JP2022096619A - 繊維材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた抗菌性を有するとともに、アルカリ処理や複数回の洗濯後にも高い抗菌性を維持することができる繊維材料を提供する。【解決手段】樹脂と酸化亜鉛粒子とを含む繊維材料であって、該酸化亜鉛粒子は、ポリシロキサンで表面処理されており、該酸化亜鉛粒子に対する表面処理量(重量%)を処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積(m2/g)で割った値が0.07~0.13であることを特徴とする繊維材料。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化亜鉛を含む繊維材料に関する。
繊維材料は、衣料品、自動車、建築、医療をはじめとする様々な分野で幅広く利用されている。近年、衣料品分野では、繊維に抗菌性や防臭性を付与する試みがなされており、例えば、銀系の化合物を繊維に配合した抗菌性繊維が報告されている(特許文献1参照)。銀の他に酸化亜鉛も抗菌材料として広く知られており、カップリング剤で処理した酸化亜鉛を配合したポリエステル(特許文献2参照)や、酸化亜鉛微粒子を人造繊維の原料に練り込み、糸状に成形した繊維(特許文献3参照)、抗菌・防臭機能を有する酸化亜鉛粒子を繊維に分散させ、且つ光触媒活性を抑えた繊維(特許文献4参照)、シリコーンで処理された酸化亜鉛とシリカゾルを含有するポリエステル(特許文献5参照)が提案されている。また所定の温度条件及び平均粒子径の銀、亜鉛、鉛又は鉄の単体又は化合物の粉体と所定の粘度の有機ポリシロキサンとの混合物が所定の融点の熱可塑性成形物中に分散した抗菌性成形物が提案されている(特許文献6参照)。
国際公開第2010/143317号 特開2011-111704号公報 特開平5-156510号公報 特開平7-197309号公報 特開2020-117827号公報 特開平1-250411号公報
上記のように抗菌性付与のために繊維に金属成分を配合した材料が種々提案されているが、金属成分のうち、銀化合物は優れた抗菌性材料ではあるものの、ポリエステル等の繊維に配合した場合は銀イオンが基材と反応して黄変等の問題を起こすことがあった。また、繊維材料には一般的に風合いを付与する目的で、水酸化ナトリウム水溶液などで繊維を部分的に加水分解するアルカリ処理が行われているが、銀系抗菌剤を配合した繊維でこの処理を行うと、銀が溶出してしまい、抗菌活性が大幅に低下してしまう問題があった。
またカップリング剤で処理した酸化亜鉛粒子を配合したポリエステルに関して、カップリング剤は末端に官能基を持つことから未処理の酸化亜鉛粒子よりも繊維高分子への固着に有利ではあるものの、水素結合等の作用により表面処理酸化亜鉛粒子同士での凝集が進行する恐れがあり、またカップリング剤がアルカリにより分解すると黄変等の問題が発生する事があった。更に従来の酸化亜鉛粒子を配合した繊維材料は、銀系抗菌剤と同様にアルカリ処理で抗菌活性が低下する課題や、洗濯を繰り返すことで酸化亜鉛粒子が脱落し、抗菌性が低下するという課題があった。
本発明は、上記現状に鑑み、優れた抗菌性を有するとともに、アルカリ処理や複数回の洗濯後にも高い抗菌性を維持することができる繊維材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、優れた抗菌性を有するとともに、アルカリ処理や複数回の洗濯後にも高い抗菌性を維持することができる繊維材料について検討し、酸化亜鉛粒子に対する表面処理量が所定の範囲となるようにポリシロキサンで表面処理した酸化亜鉛粒子を樹脂に配合した材料を繊維状にすると、得られる繊維材料が抗菌性に優れたものとなるとともに、アルカリ処理や複数回の洗濯後にも高い抗菌性を維持でき、発明の課題を解決できることを見出た。更に本発明者は、このような材料が抗菌性だけでなく抗ウイルス性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、樹脂と酸化亜鉛粒子とを含む繊維材料であって、該酸化亜鉛粒子は、ポリシロキサンで表面処理されており、該酸化亜鉛粒子に対する表面処理量(重量%)を処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積(m/g)で割った値が0.07~0.13であることを特徴とする繊維材料である。
上記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、25~250nmであることが好ましい。
上記繊維材料は、JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることが好ましい。
上記繊維材料は、洗濯を30回繰り返し行った後に、JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることが好ましい。
上記ポリシロキサンは、ジアルキルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記樹脂は、25℃での水との接触角が60~105°であることが好ましい。
本発明の繊維材料は、優れた抗菌性を有するとともに、アルカリ処理や複数回洗濯を行った後にも高い抗菌性を維持することができることから、抗菌性が求められる衣料品等の材料として好適に使用することができる。更に本発明の繊維材料は、抗菌性に加え、高い抗ウイルス性も有する点でも優れた材料である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明の繊維材料は、酸化亜鉛粒子に対する表面処理量(重量%)を処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積(m/g)で割った値が0.07~0.13となるようにポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子と樹脂とを含むことを特徴とする。
酸化亜鉛の他に抗菌性を有することが知られる物質として銅や酸化チタンがあるが、銅は繊維に配合すると繊維が着色する。また酸化チタンはラジカルを発生させやすい性質があり、抗菌性を有する酸化チタンを繊維に配合すると光活性で繊維自体が痛んでしまう現象がみられる。また酸化亜鉛粒子についても、表面処理がされていないものをポリエチレンテレフタレート繊維に配合した場合、塩基触媒として作用して配合量によっては繊維を加水分解してしまうことがある。これに対し、ポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子は繊維自体を痛めることがなく、繊維を着色することもない。また、繊維に酸化亜鉛粒子を配合しただけであると、アルカリ処理や洗濯で繊維から酸化亜鉛粒子が脱落して抗菌性が低下してしまうが、酸化亜鉛粒子にポリシロキサンで表面処理をすることで酸化亜鉛粒子と繊維とのなじみが良くなり、洗濯による酸化亜鉛粒子の脱落を抑制することが可能となる。ここで、表面処理量が多すぎると、酸化亜鉛粒子の表面がポリシロキサンで覆われすぎて十分な抗菌性が発揮されなくなる。本発明の繊維材料は、ポリシロキサンによる適度な表面処理がされた酸化亜鉛粒子を用いることで、優れた抗菌性を発揮しつつ、アルカリ処理や複数回の洗濯を行った後にも優れた抗菌性が維持されるものである。
また、本発明の繊維材料は抗ウイルス性にも優れる。これは、一般的に抗菌剤の作用メカニズムはウイルスにも有効である為であり、抗菌性に優れた本発明の繊維材料は高い抗ウイルス性も保有する。またアルカリ処理や複数回の洗濯を行った後にも高い抗ウイルス性が維持される。
酸化亜鉛粒子に対する表面処理量(重量%)を処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積(m/g)で割った値は、0.07~0.13であればよいが、0.08~0.12であることが好ましい。より好ましくは、0.08~0.11である。
本発明の繊維材料は、JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることが好ましい。このような抗菌活性値のものであれば、十分な抗菌性を有するということができる。該抗菌試験における抗菌活性値は3以上であることがより好ましい。
なお、抗菌試験における定量試験は、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
また本発明の繊維材料は、洗濯を30回繰り返し行った後に、JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることが好ましい。このような抗菌活性のものであれば、洗濯後にも十分な抗菌性を維持しているということができる。洗濯を30回繰り返し行った後の該抗菌試験における抗菌活性値は3以上であることがより好ましい。
なお、抗菌試験における定量試験は、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
本発明の繊維材料が含む酸化亜鉛粒子の量は、繊維材料が含む樹脂100重量部に対して、表面処理前の酸化亜鉛粒子の量が0.01~5重量部となる量であることが好ましい。酸化亜鉛粒子の量が5重量部より多いと、紡糸することが難しくなるおそれがあり、0.01重量部より少ないと、繊維に十分な抗菌性、抗ウイルス性を付与することができないおそれがある。より好ましくは、繊維材料が含む樹脂100重量部に対して、表面処理前の酸化亜鉛粒子の量が0.05~5重量部となる量であり、更に好ましくは、0.1~3重量部となる量であり、特に好ましくは、0.1~1重量部となる量である。
上記酸化亜鉛粒子は、比表面積が3~100m/gのものが好ましい。このような比表面積のものであると、より優れた抗菌活性を発揮することができる。また、樹脂中に均一に混練しやすく、繊維全体に抗菌効果を均一に付与することができる。比表面積が3m/gよりも小さいものは粗大粒子が多くなり糸の強度が弱くなる。また、比表面積が100m/gよりも大きいものは、樹脂中で凝集しやすく、結果、糸が切断する恐れが高くなる。酸化亜鉛粒子の比表面積は、より好ましくは、5~50m/gであり、更に好ましくは、8~40m/gである。
本発明における酸化亜鉛粒子の比表面積は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
上記酸化亜鉛粒子は、平均一次粒子径が25~250nmのものが好ましい。このような粒子径であると、繊維の加工性が良くなったり、繊維が強度に優れたものとなる。平均一次粒子径が25nmよりも小さい酸化亜鉛粒子は粒子の分散に多大なエネルギーを要するだけでなく、アルカリ洗浄時に溶解しやすくなる。また、平均一次粒子径が250nmよりも大きい酸化亜鉛粒子は、抗菌効果の活性点が減るだけでなく、繊維加工時に糸切れや毛羽などが発生しやすくなる。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、より好ましくは30~150nmである。
本発明における平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の繊維材料が含む酸化亜鉛粒子は、ポリシロキサンで表面処理がされたものである。
上述したとおり、酸化亜鉛粒子をポリシロキサンで表面処理することで、繊維とのなじみがよくなり、アルカリ処理や洗濯で酸化亜鉛粒子が繊維から脱落することを効果的に抑制することができる。また主要な構成元素としてケイ素を含むポリシロキサンは、繊維を着色することがないため、ポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子は繊維材料に抗菌・抗ウイルス性を付与する材料として好適である。
ポリシロキサンとしては、ジアルキルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。中でも、酸化亜鉛との反応性が高いメチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーが好ましい。
上記ポリシロキサンによる表面処理量は、表面処理前の酸化亜鉛粒子100重量部に対して、0.6~3重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.7~3重量部であり、更に好ましくは、0.8~3重量部である。この処理量が少なすぎるとアルカリ処理時に酸化亜鉛粒子が溶解して抗菌活性の効果が低下し、多すぎると酸化亜鉛粒子が凝集したり、酸化亜鉛粒子の表面がポリシロキサンで覆われすぎることで抗菌活性が落ちてしまう。また、ポリシロキサンとしてメチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーといった反応性の高いシリコーンを用いた場合、処理に用いた量が多くなると、紡糸工程等で未反応のSi-H部に由来する水素ガスが発生して発泡等のトラブルが発生し、糸強度が低下する等の問題が発生するおそれがある。水素発生量は表面処理した酸化亜鉛粒子1g当り1ml以下であることが好ましい。
本発明の繊維材料は、樹脂を含むものである。樹脂は特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、アラミド、ビニロン、ビニリデン、アクリル、ポリクラール、ポリ乳酸が挙げられる。
本発明の繊維材料が含む樹脂はこれらのいずれのものであってもよく、またこれらの1種を含むものであっても、2種以上を含むものであってもよい。
本発明の繊維材料が含む樹脂としては、25℃での水との接触角が60~105°であるものが好ましい。このような親油性の樹脂はポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子とのなじみが特によく、このような樹脂とポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子とを組み合わせることで、得られる繊維材料がアルカリ処理や複数回の洗濯後にも、より高い抗菌性を維持することができるものとなる。25℃での水との接触角が60~105°の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等が挙げられる。より好ましくは、25℃での水との接触角が65~100°の樹脂であり、更に好ましくは、25℃での水との接触角が70~95°の樹脂である。
樹脂の水との接触角は、接触角測定装置により測定し、ヤング・ラプラス法で算出することができる。
本発明の繊維材料は、樹脂とポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子とを含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、着色剤、酸化亜鉛粒子とは別種の抗菌剤等が挙げられ、これらの1種を含むものであっても、2種以上を含むものであってもよい。
本発明の繊維材料が含む酸化亜鉛粒子をポリシロキサンで表面処理する方法は特に制限されないが、例えば、酸化亜鉛粒子とポリシロキサンとを乾式又は湿式で混合することや乾式処理した後に熱処理すること等により行うことができる。
本発明の樹脂と酸化亜鉛粒子とを含む繊維材料を製造する方法は特に制限されないが、樹脂中に酸化亜鉛粒子を均一に配合することが好ましく、二軸混練押出機、ミキサー等を用いて混練することが好ましい。また、粒子をより均一に分散する点から、酸化亜鉛粒子と、酸化亜鉛粒子に対して0.5~20倍の重量の樹脂とを予め混練して樹脂と酸化亜鉛粒子との配合物を得た後、該配合物と樹脂とを混練して繊維材料を得る方法は、本発明の繊維材料の好適な製造方法の一つである。
また本発明の繊維材料を紡糸して糸の形状にして用いる場合、紡糸方法は特に制限されず、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、押出紡糸等の紡糸方法の中から、使用する繊維の種類に応じて適宜選択することができる。
本発明の繊維材料は、抗菌・抗ウイルス性に優れるとともに、複数回の洗濯後にも優れた抗菌・抗ウイルス性を発揮する材料であることから、衣料品、寝具、インテリア用品をはじめとする各種用途に好適に用いることができる。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。なお、各物性の測定方法は以下の通りである。
<酸化亜鉛粒子の比表面積>
比表面積は、マウンテック製全自動比表面積測定装置Macsorb HM model-1220により測定した。
<酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径>
平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡にて観察した200個の粒子の外接円直径のメディアン値を平均一次粒子径とした。
<酸化亜鉛粒子の水素発生量>
ポリシロキサン処理酸化亜鉛粒子10gとエタノール50mlを200ml三角フラスコに入れ、マグネットスターラーで撹拌しながら、密閉した状態で1%水酸化カリウム/エタノール溶液20mlを添加した。発生したガスを水上置換法で10分間捕集して、その発生量を測定した。
製造例1(ポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子の製造)
高速撹拌ミキサーに比表面積10m/gの酸化亜鉛粒子を投入し、粉全体がゆっくりと回る速度で撹拌した。その速度で撹拌を続けたまま、酸化亜鉛粒子に対して1%のハイドロゲンジメチコン(信越シリコーン社製、KF-99)を滴下し、滴下を終えた段階で10m/s以上の速さで混合した。次いで、取り出した粉体を120℃以上で加熱する事により、表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子について、水素発生量を測定したところ、0.05ml/gであり、平均一次粒子径は102nmであった。
1.抗菌性評価
実施例1
製造例1で製造された、比表面積10m/gの酸化亜鉛粒子に対して1%のハイドロゲンジメチコン(信越シリコーン社製、KF-99)で表面処理をした表面処理酸化亜鉛粒子10重量部とポリエチレンテレフタレート90重量部をミキサーで約30秒間均一に混合した後、30mmφ二軸混練押出機を用い、280℃にて混練し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。次いで、その得られたペレットとポリエチレンテレフタレート樹脂を4:96の重量比でミキサーを用いて混合した。更に、30mmφ単軸押出機を用い、280℃で造粒して紡糸用ペレットを得た。この紡糸用ペレットを孔数48の紡糸口金を装着した溶融防止装置を用いて押出紡糸することで糸を得た。
更に50g/L濃度の90℃水酸化ナトリウム水溶液に糸を湿潤させ、アルカリ処理を施し、繊維の変色の有無を目視で確認したところ、変色は確認されなかった。
続いて、処理後の糸に対してJIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌での抗菌試験を行って抗菌活性値を算出したところ、4.8であった。またこの処理後の糸の洗濯を30回繰り返した後、同じ抗菌試験を行って抗菌活性値を算出したところ、4.0であった。
なお、抗菌試験において定量試験は菌液吸収法、生菌数の測定法は混釈平板培養法であり、試験片は自然にオートクレーブで滅菌した。また、洗濯方法は一般社団法人繊維評価技術協議会SEKマーク繊維製品の洗濯方法の標準洗濯法、吊り干しで行った。
実施例2及び比較例1~4
酸化亜鉛粒子及び酸化亜鉛粒子を表面処理するハイドロゲンジメチコンを表1のように変更した以外は製造例1と同様にして表面処理酸化亜鉛粒子を製造し、粒子の水素発生量を測定した。また該表面処理酸化亜鉛粒子を用いて実施例1と同様にして糸を得、アルカリ処理後の繊維の変色の有無を確認し、繊維の抗菌活性値、及び、洗濯30回後の繊維の抗菌活性値を測定した。実施例2、比較例4では、ハイドロゲンジメチコンとして、信越シリコーン社製KF-99に代えて、信越シリコーン社製KF-9901を用いた。
比較例1は酸化亜鉛粒子を配合させずに紡糸したものである。
比較例4は、実施例1の、表面処理酸化亜鉛粒子10重量部とポリエチレンテレフタレート90重量部を混合、混練し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得る操作の代わりに、表面処理をしていない酸化亜鉛粒子9.75重量部とハイドロゲンジメチコン(信越シリコーン社製、KF-9901)0.25重量部と、ポリエチレンテレフタレート90重量部を混合、混練し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た以外は実施例1と同様の操作を行ったものである。
結果を表1に示す。
実施例3
製造例1で製造された、比表面積10m/gの酸化亜鉛粒子に対して1%のハイドロゲンジメチコン(信越シリコーン社製、KF-99)で表面処理をした表面処理酸化亜鉛粒子20重量部とポリエチレンテレフタレート80重量部をミキサーで約30秒間均一に混合した後、30mmφ二軸混練押出機を用い、280℃にて混練し、ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。次いで、その得られたペレットとポリエチレンテレフタレート樹脂を12:88の重量比でミキサーを用いて混合した。更に、30mmφ単軸押出機を用い、280℃で造粒して紡糸用ペレットを得た。この紡糸用ペレットを孔数48の紡糸口金を装着した溶融防止装置を用いて押出紡糸することで糸を得た。この糸に含まれる酸化亜鉛とポリシロキサンの濃度はそれぞれ2.4%と0.024%である。
更に50g/L濃度の90℃水酸化ナトリウム水溶液に糸を湿潤させ、アルカリ処理を施し、繊維の変色の有無を目視で確認したところ、変色は確認されなかった。
続いて実施例1と同様に、処理後の糸に対してJIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌と肺炎桿菌での抗菌試験を行って抗菌活性値を算出したところ、4.7であった。またこの処理後の糸の洗濯を30回繰り返した後、同じ抗菌試験を行って抗菌活性値を算出したところ、4.0であった。
Figure 2022096619000001
2.抗ウイルス性評価
実施例3と同様にして紡糸用ペレットを孔数48の紡糸口金を装着した溶融防止装置を用いて押出紡糸することで得た糸を50g/L濃度の90℃水酸化ナトリウム水溶液に湿潤させ、アルカリ処理を施した処理後の糸に対してISO 18184:2019に準じた下記方法でA型インフルエンザに対する抗ウイルス試験を実施した。また比較例1で製造したアルカリ処理を施した処理後の糸についても同様の抗ウイルス試験を実施した。
酸化亜鉛を配合していない比較例1ではウイルス感染価が6.91であったのに対し、実施例3の表面処理酸化亜鉛配合の糸で測定したウイルス感染価は2.66であった。
ウイルス感染価とは、観察されたプラーク数の常用対数平均値であり、数字が低いほど、観察されたプラーク数が少ないことになり、抗ウイルス性が高いことになる。
<抗ウイルス試験>
(1)0.4gのサンプルをバイアル瓶に入れる。
(2)4.1×10PFU/mLに調整したウイルス液(A型インフルエンザウイルス H3N2、A/Hon Kong/8/68)を200μLバイアル瓶中のサンプルに滴下する。
(3)サンプルを25℃で4時間静置する(ISO 18184:2019では2時間静置)。
(4)バイアル瓶中のサンプルにSCDLP培地20mLを添加し、5秒間の撹拌を5回繰り返して洗い出しを行う。
(5)洗い出し液中のウイルス感染価をプラーク法にて測定する。なお、宿主細胞にはMDCK細胞(イヌ人造由来細胞由来株)を使用する。
上記操作を3回行い、ウイルス感染価を算出する。
Figure 2022096619000002
抗菌活性値が2.2以上であれば抗菌防臭効果を有すると判断されるため、実施例1~3の繊維材料は、洗濯30回後でも十分な抗菌性能を有することが確認された。また、比表面積がより小さい実施例1、3の繊維材料は実施例2の繊維材料よりも繰返し洗濯後の抗菌活性値の低下の度合いが小さいことから、酸化亜鉛粒子の溶出がより少なく、繰り返し洗濯が行われる用途に使用される抗菌繊維としてより適しているといえる。また実施例1~3のいずれも、アルカリ処理後の変色は確認されず、酸化亜鉛粒子の水素発生量も少なかった。
対して、酸化亜鉛粒子を配合していない比較例1の繊維材料では抗菌活性が発現しなかった。また、ポリシロキサンによる表面処理を施していない酸化亜鉛粒子を配合した比較例2の繊維材料は、洗濯前は比較的高い抗菌活性値を示したものの、ポリシロキサン処理酸化亜鉛粒子を配合した実施例1~3の繊維材料よりも抗菌活性値は小さかった。これは、繊維材料にアルカリ処理を施したことで酸化亜鉛粒子が溶解したためと考えられる。また洗濯30回後には抗菌活性値が大幅に低下しており、これは酸化亜鉛粒子が洗濯によって大量に溶出または脱落したためと考えられる。
比較例3の繊維材料は、実施例1~3や比較例2の繊維材料に比べて抗菌活性値が低くなっている。これは、酸化亜鉛粒子の表面が過剰なポリシロキサンで表面処理されたことで抗菌活性が低下したためと考えられる。また比較例3の表面処理酸化亜鉛粒子は水素発生量も多かった。
ポリシロキサンを酸化亜鉛粒子の表面処理に使用するのではなくポリエチレンフタレート樹脂に直接配合した比較例4の繊維材料は優れた抗菌活性を示すものの、洗濯後に抗菌活性が著しく低下した。これは、酸化亜鉛粒子表面がシリコーンで覆われていないため、洗濯によって多量の酸化亜鉛粒子の溶出または脱落が起きたためと考えられる。
これらの結果から、所定の割合のポリシロキサンで表面処理された酸化亜鉛粒子は水素発生が少なく紡糸工程でのトラブルの発生が十分に抑制されたものであり、この酸化亜鉛粒子を繊維に配合することで、優れた抗菌性を有するとともに、複数回の洗濯後にも高い抗菌性を維持することができる繊維材料となることが確認された。
また表2の結果から、本発明の繊維は高い抗ウイルス性も持つことが確認された。

Claims (6)

  1. 樹脂と酸化亜鉛粒子とを含む繊維材料であって、
    該酸化亜鉛粒子は、ポリシロキサンで表面処理されており、
    該酸化亜鉛粒子に対する表面処理量(重量%)を処理前の酸化亜鉛粒子の比表面積(m/g)で割った値が0.07~0.13であることを特徴とする繊維材料。
  2. 前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、25~250nmであることを特徴とする請求項1に記載の繊維材料。
  3. JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維材料。
  4. 洗濯を30回繰り返し行った後に、JIS L1902:2015の方法で黄色ブドウ球菌及び肺炎桿菌を用いて行った抗菌試験における抗菌活性値が2.2以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の繊維材料。
  5. 前記ポリシロキサンは、ジアルキルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の繊維材料。
  6. 前記樹脂は、25℃での水との接触角が60~105°であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の繊維材料。
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