JP2022095154A - 負極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022095154000001
【課題】本開示は、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することが可能な負極活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本開示においては、負極活物質の製造方法であって、Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得る、分散工程と、上記LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加して、上記LiSi前駆体からLi元素を抽出することにより、Si繊維を含有する不織布状の粒子を得る、Li抽出工程と、上記不織布状の粒子を濾過により回収する回収工程と、を有し、上記回収工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行う、負極活物質の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本開示は、負極活物質の製造方法に関する。
近年、電池の開発が盛んに行われている。例えば、自動車産業界では、電気自動車またはハイブリッド自動車に用いられる電池および電池に用いられる活物質の開発が進められている。
例えば、全固体電池の負極層に用いられる負極活物質として、Si系活物質が知られている。Si粒子を負極活物質として用いた場合には、充電に伴う膨張が大きくなり、電池の拘束圧が増大する場合がある。特許文献1および特許文献2では、負極活物質を多孔質とすることで、膨張の抑制を図っている。特許文献1には、第1元素と第2元素の合金M中にシリコン微粒子が分散したシリコン複合材料を形成した後、シリコン複合材料から、合金Mを取り除く多孔質シリコン粒子の製造方法が開示されている。特許文献2では、粒子状または膜状であるシリコンを、40℃以上の温度において相対湿度75体積%以上の雰囲気に20時間以上暴露して、シリコンの少なくとも表面に酸化膜を形成する工程、および酸化膜をフッ化水素酸により除去する工程を有する多孔質シリコンの製造方法が開示されている。
特開2013-203626号公報 特開2013-008487号公報
負極活物質(Si系活物質)の膨張低減にはさらなる改善の余地がある。これに対し、本出願人は、Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得た後、LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加してLiSi前駆体からLi元素を抽出する方法であれば、Si繊維が3次元的に絡み合った不織布状の粒子が得られることを発見し、このようなSi繊維を含有する不織布状の負極活物質であれば、充電時における膨張量が低減されることを見出している(特願2020-056422)。
一方、反応液から不織布状の粒子を濾過分離する際、粒子表面には可燃性の有機溶媒が付着している。濾過分離を大気中で行うと、不織布状の粒子は比表面積が大きいため、大気中の酸素と反応して発熱する場合がある。周囲に有機溶媒(可燃ガス)が存在すると、稀に発火する場合があり、燃焼熱によって不織布状の粒子の結晶化が進行し、充電に伴う膨張量が大きくなる場合がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することが可能な負極活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、負極活物質の製造方法であって、Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得る、分散工程と、上記LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加して、上記LiSi前駆体からLi元素を抽出することにより、Si繊維を含有する不織布状の粒子を得る、Li抽出工程と、上記不織布状の粒子を濾過により回収する回収工程と、を有し、上記回収工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行う、負極活物質の製造方法を提供する。
本開示によれば、回収工程を酸素濃度が低い雰囲気下で行うことで、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することができる。
本開示においては、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することが可能な負極活物質の製造方法を提供できるという効果を奏する。
本開示における負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。 本開示における電池の一例を示す概略断面図である。 実施例、比較例1および比較例2における負極活物質のXRD測定の結果である。 実施例および比較例1における拘束圧増加量の測定結果である。
図1は、本開示における負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。本開示における負極活物質の製造方法は、Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得る、分散工程と、LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加して、LiSi前駆体からLi元素を抽出することにより、Si繊維を含有する不織布状の粒子を得る、Li抽出工程と、不織布状の粒子を濾過により回収する回収工程と、を有している。また、本開示においては、回収工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行う。
本開示によれば、回収工程を酸素濃度が低い雰囲気下で行うことで、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することができる。具体的には、回収工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行うことにより、不織布状の粒子と酸素の反応を抑制することができ、仮に発熱しても、酸素濃度が5体積%以下、即ち一般的な有機溶媒蒸気の爆発下限界酸素濃度(10体積%程度)の半分以下と十分に低いため、有機溶媒蒸気が発火するのを抑制することができる。その結果、結晶Siの生成を抑制できるため、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することができる。
1.分散工程
本開示における分散工程は、Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得る工程である。
LiSi前駆体は、Si元素とLi元素とを含有していれば特に限定されず、市販品を購入してもよく、自ら調製してもよい。LiSi前駆体を調製する方法としては、例えば、Si元素を含有する原料とLi元素を含有する原料とを混合する方法が挙げられる。混合方法としては、例えば、Si粒子とLi粒子とをAr雰囲気下でメノウ乳鉢を用いて混合する方法、Si粒子とLi粒子とをメカニカルミリング法を用いて混合する方法を挙げることができる。
LiSi前駆体は、Si(ダイヤモンド型)の結晶相を有することが好ましい。Siの結晶相は、CuKα線を用いたXRD測定において、2θ=28.4°、47.3°、56.1°、69.2°、76.4°の位置に典型的なピークを有する。これらのピーク位置は、それぞれ、±0.5°の範囲で前後していてもよく、±0.3°の範囲で前後していてもよい。LiSi前駆体は、Si(ダイヤモンド型)の結晶相を主相として有していてもよい。「主相」とは、XRDチャートにおいて、最も強度が大きいピークが属する結晶相をいう。
また、LiSi前駆体の組成は特に限定されない。LiSi前駆体は、Li元素およびSi元素のみを有していてもよく、さらに、他の金属元素を含有していてもよい。LiSi前駆体に含まれる全ての金属元素に対する、Li元素およびSi元素の合計の割合は、例えば50mol%以上であり、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。LiSi前駆体において、Si元素およびLi元素の合計に対するLi元素の割合は、例えば30mol%以上であり、50mol%以上であってもよく、80mol%以上であってもよい。一方、Li元素の割合は、例えば95mol%以下であり、90mol%以下であってもよい。
分散媒としては、LiSi前駆体を分散させることができるものであれば特に限定されない。分散媒は、ベンゼン環を有していなくてもよく、ベンゼン環を有していてもよいが、後者であることが好ましい。分散媒としては、例えば、n-ヘプタン、n-オクタン、n-デカン、2-エチルヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ヘキセン、ヘプテン等の不飽和炭化水素、1,3,5-トリメチルベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、イソアミルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類を挙げることができる。これらの中でも、n-ブチルエーテル、1,3,5-トリメチルベンゼンおよびn-ヘプタンが好ましく、特に1,3,5-トリメチルベンゼンが好ましい。
また分散媒は、水分量が少ないことが好ましい。水分はLiSi前駆体と反応するためである。分散媒における水分量は、例えば100ppm以下であり、50ppm以下であってもよく、30ppm以下であってもよく、10ppm以下であってもよい。
LiSi前駆体分散液はLiSi前駆体に分散媒を添加して、混合することにより得ることができる。混合方法は特に限定されない。
2.Li抽出工程
本開示におけるLi抽出工程は、LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加して、LiSi前駆体からLi元素を抽出することにより、Si繊維を含有する不織布状の粒子である負極活物質を得る工程である。
Li抽出溶媒は、LiSi前駆体からLi元素を抽出できる溶媒であれば特に限定されない。Li抽出溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール等の1級アルコール、2-プロパノール、2-ブタノール、2-ペンタノール、2-ヘキサノール等の2級アルコール、tert-ブチルアルコール等の3級アルコール、フェノール等のフェノール類、1,2-エタンジオール、1,3-ブタンジオール等のグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル、b-D-グルコピラノース等のピラノース類、エリトロフラノース等のフラノース類、グルコース類、フルクトース類等の多糖類を挙げることができる。また、Li抽出溶媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸等の酸溶液も挙げることができる。中でも、Li抽出溶媒は、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ヘキサノールおよび酢酸の少なくとも一種が好ましい。Li抽出溶媒として、上記化合物1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、Li抽出溶媒は、水分量が少ないことが好ましい。Li抽出溶媒における水分量は、例えば100ppm以下であり、50ppm以下であってもよく、30ppm以下であってもよく、10ppm以下であってもよい。水分量が多すぎるとSiが酸化し、電池性能を悪化させる懸念がある。
Li抽出工程は、1段階であってもよいし、2段階であってもよい。例えば、Li抽出工程が1段階である場合、冷却したLiSi前駆体分散液と、上記酸溶液以外の任意のLi抽出溶媒とを反応させる工程とすることができる。Li抽出工程が2段階である場合、上記1段階後の反応液と、上記酸溶液とを反応させる工程とすることができる。Li抽出工程を2段階とすることで、より確実にLiSi前駆体からLi元素を抽出することができる。
3.回収工程
本開示における回収工程は、Li抽出工程後の反応溶液に対して濾過を行うことにより上記不織布状の粒子を回収する工程である。本開示においては、本工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行う。不織布状の粒子は比表面積が大きいため、酸素と反応(発熱反応)しやすい。また、上記Li抽出工程後の不織布状の粒子の表面には、可燃性の有機溶媒が付着している場合がある。酸素濃度が上記割合以下であれば、不織布状の粒子と酸素の反応を抑制することができ、仮に発熱しても、酸素濃度が5体積%以下、即ち一般的な有機溶媒蒸気の爆発下限界酸素濃度(10体積%程度)の半分以下と十分に低いため、有機溶媒蒸気の発火を抑制することができる。その結果、結晶Siの生成を抑制できるため、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質を製造することができる。酸素濃度は3体積%以下であってもよく、1体積%以下であってもよい。酸素濃度の下限は特に限定されないが、0体積%であってもよく、0体積%より高くてもよい。
上記回収工程としては、例えば、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下であるグローブボックス内で濾過を行う方法が挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス等が挙げられる。
また、本開示における回収工程では洗浄処理を行ってもよい。洗浄処理を行うことで、負極活物質へ不純物が混入することを抑制できる。不純物が少ない負極活物質では凝集が抑制されるため、充電に伴う膨張量がより小さい負極活物質を製造することができる。上記不純物は、例えば、以下のように、Li抽出後の溶液に含まれるLiおよびSiが重合した副生成物であると考えられる。
上記Li抽出工程後の不織布状の粒子の表面には、LiおよびSiがエトキシリチウムおよびテトラエトキシシランの状態で溶解した反応液が付着している可能性がある。エトキシリチウムおよびテトラエトキシシランは、水分と反応して加水分解したり、脱水縮合(ゾルゲル反応)したりすることで、ガラスを形成する特性がある。そのため、LiSi等のリチウムシリケートおよびSiO等が、不純物として負極活物質の表面に残存する可能性がある。ここで、上記ゾルゲル反応は、塩基触媒によって加速する。そこで、洗浄処理を行うことで、ゾルゲル反応を抑制しつつ、不織布状の粒子の表面から上記反応溶液を除去することができる。その結果、不純物が負極活物質の表面に残存することを抑制でき、負極活物質の凝集を抑制することができる。
洗浄処理は、上記不織布状の粒子を酸で洗浄することにより行うことができる。例えば、上記Li抽出工程の後に、濾過により得られた不織布状の粒子に、酸を含んだ溶液を投入しながら継続して濾過する方法を挙げることができる。洗浄処理の時間および回数は特に限定されない。
洗浄処理に用いられる酸は、特に限定されず、上記Li抽出溶媒と同様の酸を挙げることができる。なお、洗浄処理に用いられる酸は、Li抽出工程で用いられた酸と同種であることが好ましい。
また、上記Li抽出工程後の溶液および洗浄処理後の溶液から固体反応物(負極活物質)を分離して得られた負極活物質に対し、真空乾燥を施してもよい。
4.負極活物質
本開示における負極活物質の製造方法により製造される負極活物質は、電池に用いられる負極活物質であって、Si繊維を含有する不織布状の粒子である。なお、本開示において不織布状とは、Si繊維が三次元的に絡み合った網目形状を意味する。負極活物質がSi繊維を含有する不織布状の粒子であるため、充電に伴う膨張量が小さい負極活物質とすることができる。
本開示におけるSi繊維は、所定の平均直径を有していてもよい。平均直径は、例えば8nm以上であり、10nm以上であってもよく、15nm以上であってもよく、20nm以上であってもよい。一方、平均直径は、例えば70nm以下であり、60nm以下であってもよく、50nm以下であってもよく、40nm以下であってもよく、30nm以下であってもよい。また、本開示におけるSi繊維は、所定の平均長さを有していてもよい。平均長さは、例えば50nm以上400nm以下である。ここで、本開示におけるSi繊維の長さとは、一方の連結点(複数のSiが連結する点)から、他方の連結点(複数のSiが連結する点)までの長さと定義する。Si繊維の平均長さおよび平均直径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により求めることができる。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。
また、本開示におけるSi繊維は、所定のアスペクト比(平均長さ/平均直径)を有していてもよい。アスペクト比(平均長さ/平均直径)は、例えば1以上であり、5以上であってもよく、15以上であってもよく、20以上であってもよい。一方、アスペクト比(平均長さ/平均直径)は、例えば50以下であり、40以下であってもよく、30以下であってもよい。
本開示におけるSi繊維は、Siの単体であってもよく、Si元素を主成分として含有する合金であってもよい。合金中のSi元素の割合は、例えば50at%以上であり、70at%以上であってもよく、90at%以上であってもよい。合金中のSi元素以外の金属元素としては、例えばLi元素を挙げることができる。
本開示により製造される負極活物質は、所定の平均粒径(D50)を有している。平均粒径(D50)は0.2μm以上であり、例えば、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよく、1.5μm以上であってもよい。一方、平均粒径(D50)は3.0μm未満であり、例えば、2.5μm以下であってもよく、2.0μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径(D50)が上記のような範囲であれば、負極活物質層に用いた場合、負極活物質全体に均一にイオンが挿入され、負極活物質層が均一に膨張することにより、負極活物質層全体としての膨張が抑制できると考えられる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により求めることができる。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。
また、本開示により製造される負極活物質は非晶質であることが好ましい。ここで、本開示において非晶質とは、CuKα線を用いたXRD測定においてハローピーク(ハローパターンにおけるブロードなピーク)が確認されることを言う。ハローピークは、CuKα線を用いたXRD測定において、ピーク位置が2θ=24.0°~32.0°にあることが好ましい。同様に、ハローピークは、ピーク位置が2θ=40.0°~60.0°にあることが好ましい。また、ハローピークの半値幅は、例えば3°以上であり、5°以上であってもよく、10°以上であってもよい。なお、本開示においては、CuKα線を用いたXRD測定において、ピーク位置が2θ=24.0°~32.0°にあり、かつ、半値幅が3°以上であるハローピーク(後述するピークb)が観察されることが好ましい。
また、本開示における負極活物質は、CuKα線を用いたXRD測定において、ピーク位置が2θ=28.4°±0.5°にあり、かつ、Siに由来するピークaが観察されなくてもよく、観察されてもよいが、前者の方が好ましい。前者の方が、後者よりも、負極活物質の非晶質性が高いことを意味するからである。ピークaは、Si結晶相(ダイヤモンド型のSi結晶相)に由来するピークである。また、「ピークaが観察されない」とは、ピークaの強度が、周囲のノイズと区別できない程度に小さいことをいう。
ピークaのピーク位置は、2θ=28.4°±0.4°であってもよく、2θ=28.4°±0.2°であってもよい。また、ピークaの半値幅は、通常、ピークbの半値幅より小さく、例えば3°以下であり、1°以下であってもよく、0.5°以下であってもよい。
また、本開示における負極活物質は、CuKα線を用いたXRD測定において、通常、ピーク位置が2θ=24.0°~32.0°にあり、かつ、半値幅が3°以上であるピークbが観察される。ピークbは、上述したハローピークの一つであり、ピークaとは異なるピークである。ピークbの半値幅は、例えば、4°以上であってもよく、5°以上であってもよく、10°以上であってもよい。
また、本開示における負極活物質は、所定の空隙率を有していてもよい。空隙率は、例えば5%以上であり、10%以上であってもよく、20%以上であってもよい。一方、空隙率は、例えば50%以下であり、40%以下であってもよく、30%以下であってもよい。空隙率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により求めることができる。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。空隙率は、これらサンプルから求めた平均値とすることができる。
5.電池
本開示において製造された負極活物質は、電池に用いられ、特に全固体電池に用いられることが好ましい。図2は本開示において製造された負極活物質を用いた全固体電池の一例を示す概略断面図である。図2に示される全固体電池10は、正極活物質層1と、上述した負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された固体電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5とを有する。これらの部材は、一般的な外装体に収納されていてもよい。
負極活物質層における負極活物質の割合は、例えば、20重量%以上であり、30重量%以上であってもよく、40重量%以上であってもよい。一方、負極活物質の割合は、例えば、80重量%以下であり、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよい。
また、負極活物質層は、必要に応じて、固体電解質、導電材およびバインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。負極活物質層に用いられる固体電解質材料としては、例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料等を挙げることができる。また、固体電解質材料は、例えば、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br)を含有していても良い。また、固体電解質材料は、結晶性材料であっても良く、非晶質材料であっても良い。固体電解質材料は、ガラスであっても良く、結晶化ガラス(ガラスセラミックス)であっても良い。固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状を挙げることができる。導電材およびバインダーは一般的な固体電池に用いられる材料と同様とすることができる。負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
全固体電池は、例えば、全固体リチウムイオン電池であることが好ましい。全固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、一次電池には、二次電池の一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。
本開示によれば、負極活物質層が上述した負極活物質を含有することで、拘束圧増加量を低減できる電池とすることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[比較例1]
(負極活物質の合成)
Si粒子(平均粒径0.5μm、高純度化学製)0.65gと、Li金属(本城金属製)0.60gとを、Ar雰囲気下においてメノウ乳鉢を用いて混合し、LiSi前駆体を得た。Ar雰囲気下のガラス反応器内で、LiSi前駆体1.0gと、分散媒(1,3,5-トリメチルベンゼン、ナカライテスク製)125mlとを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合した。混合後に得られたLiSi前駆体分散液を冷却し、エタノール(ナカライテスク製)125mlを分散液温度が0~5℃の範囲となるように、120分かけて滴下した。反応後、更に酢酸(ナカライテスク製)50mlを滴下して、60分間反応させた。反応後、大気環境(酸素濃度21体積%)にて吸引ろ過により液体と固体反応物(負極活物質)とを分離した。得られた固体反応物を120℃で2時間真空乾燥して、負極活物質を回収した。なお、比較例1では目視で発火は確認されなかった。
(固体電解質の合成)
LiS(フルウチ化学製)0.550gと、P(アルドリッチ製)0.887gと、LiI(日宝化学製)0.285gと、LiBr(高純度化学製)0.277gとを、メノウ乳鉢で5分間混合した。得られた混合物に、n-ヘプタン(脱水グレード、関東化学製)を4g加え、遊星型ボールミルを用いて40時間メカニカルミリングすることで固体電解質を得た。
(評価用電池の作製)
LiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業製)に、LiNbOを用いて表面処理を施して正極活物質を得た。この正極活物質1.5gと、導電材(VGCF、昭和電工製)0.023gと、上記固体電解質0.239gと、バインダー(PVdF、クレハ製)0.011gと、酪酸ブチル(キシダ化学製)0.8gとを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合し、正極合材を得た。
上記合成した負極活物質1.0gと、導電材(VGCF、昭和電工製)0.04gと、上記固体電解質0.776gと、バインダー(PVdF、クレハ製)0.02gと、酪酸ブチル(キシダ化学製)1.7gとを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合し、負極合材を得た。
1cmのセラミックス製の型に上記固体電解質0.065gを入れて、1ton/cmでプレスしセパレート層(固体電解質層)を作製した。その片側に上記正極合材0.018gを入れ、1ton/cmでプレスして正極活物質層を作製した。正極活物質層とは逆側に上記負極合材0.0054gを入れ4ton/cmでプレスすることで負極活物質層を作製した。また正極集電体にアルミ箔を、負極集電体に銅箔を用いた。これにより、評価用電池(全固体電池)を作製した。
[比較例2]
比較例1と同様の方法により、負極活物質を得た。比較例1では目視で発火は確認されなかったが、比較例2では濾過後、粉体回収時に一瞬光る程度であるが発火が確認された。また、比較例1と同様の方法により、評価用電池を作製した。
[実施例]
比較例1と同様にしてLi抽出反応を行い、その後、酸素濃度5体積%のArグローブボックス内にて吸引ろ過にて液体と固体反応物(負極活物質)とを分離した。得られた固体反応物を120℃で2時間真空乾燥して、負極活物質(Si繊維を含有する不織布状の粒子)を回収した。回収した負極活物質を用いたこと以外は、比較例1と同様にして評価用電池を作製した。
[粒度分布測定]
比較例1、比較例2および実施例で得られた負極活物質の粒度分布測定結果(D10、50、90)を表1に示す。
[XRD測定]
上記比較例1、2、および実施例で得られた負極活物質に対して、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。結果を図3に示す。
[拘束圧増加量]
実施例および比較例1で得られた評価用電池について、0.245mAで4.55VまでCC/CV充電した後、0.245mAで3.0VまでCC/CV放電を行った。初回充電において、電池の拘束圧力をモニタリングし、4.55Vでの拘束圧を測定した。結果を表1に示す。比較例1における拘束圧増加量を1.00として相対評価した結果を図4に示す。
Figure 2022095154000002
表1に示されるように、実施例の負極活物質の各粒径は、比較例1および比較例2と比較して小さくなった。これは、不織布状のSi粒子と酸素との反応が抑制された結果、凝集が抑制されたためであると推察される。
また、図3に示されるように、比較例1および比較例2で得られた負極活物質は、結晶Si(ダイヤモンド型)のピークが確認された。一方、実施例は非晶質Siであることが確認された。図4および表1に示されるように、実施例は、比較例1と比較して拘束圧増加量が低減された。
比較例1および比較例2では、得られた不織布状の粒子が大気中の酸素と反応して発熱し、結晶化が進行したと推察される。さらに、比較例2では、粒子表面に付着している有機溶媒(可燃ガス)が発火し、燃焼熱によってポーラスSiの結晶化が進行したと推察される。比較例1のように目視で発火を確認できない場合でも、部分的には発熱、結晶化が進行しており、拘束圧増加量が大きくなったと推察される。
1 …正極活物質層
2 …負極活物質層
3 …電解質層
4 …正極集電体
5 …負極集電体
10 …全固体電池

Claims (1)

  1. 負極活物質の製造方法であって、
    Si元素とLi元素とを含有するLiSi前駆体に、分散媒を添加してLiSi前駆体分散液を得る、分散工程と、
    前記LiSi前駆体分散液にLi抽出溶媒を添加して、前記LiSi前駆体からLi元素を抽出することにより、Si繊維を含有する不織布状の粒子を得る、Li抽出工程と、
    前記不織布状の粒子を濾過により回収する回収工程と、
    を有し、
    前記回収工程を、酸素濃度が5体積%以下の不活性ガス雰囲気下で行う、負極活物質の製造方法。
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