JP2022093921A - 重合体溶液の製造方法及び重合体溶液 - Google Patents

重合体溶液の製造方法及び重合体溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の単量体組成において均一に溶解した重合体溶液を効率的に得ることができる製造方法、及び透明で品質が高い重合体溶液を提供することを目的とする。【解決手段】酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体を含む単量体を溶媒存在下で重合する重合体溶液の製造方法であって、上記単量体の総量100質量%に対し酸基含有単量体の含有割合は5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体の含有割合は1~60質量%であり、上記溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒の含有割合は10~100質量%である重合体溶液の製造方法。 本製造方法によって得られる重合体は構成単位の総量100質量%に対し酸基含有単量体由来の構成単位を5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を1~60質量%含み、含まれる溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒は10~100質量%である重合体溶液によって解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体溶液の製造方法及び重合体溶液に関する。より好適には、アルカリ可溶性重合体溶液の製造方法及びアルカリ可溶性重合体溶液に関する。
アルカリ可溶性重合体は、カラーフィルターやフォトリソスペーサー用のレジスト組成物のバインダーポリマーとして有用である。特に、N-置換マレイミド系重合体は、ガラス転移温度が高く、熱的な特性を向上することができることから、エレクトロニクス樹脂の分野で広く使用されている。例えば、カラーフィルター用保護膜、ハードコート材、有機デバイス用封止材等の表面保護材料及び層間絶縁材料の分野では、電気・電子部品の組み立て過程で熱がかかっても黄変や変形等しにくい材料が要求されており、N-置換マレイミド系重合体を用いることが好適である(例えば、特許文献1、2参照)。
このアルカリ可溶性重合体は、カルボキシル基等の酸基含有単量体を含む単量体溶液を重合し、更に、この重合体(前駆体ポリマー)に対して重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加反応させることで側鎖に重合性二重結合を導入し硬化性を高めることがある。導入する側鎖二重結合の量を多くする場合、前駆体ポリマーを製造するための酸基含有単量体の使用量を増やす必要がある。そのため、酸基の量が多い重合体の製造では特定の重合溶媒が使用されている(例えば、特許文献3参照)。
また、重合体の熱的特性を向上するためにN-置換マレイミド系単量体の含有量を多くすることがある(例えば、特許文献4参照)。
よって、重合する単量体溶液に含まれる酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体の含有量を幅広く変更しても均一に溶解し、安定的に製造できる重合溶媒が望まれている。
特開2003-201316号公報 特開2003-192739号公報 特開2004-107401号公報 特開2010-210962号公報
例えば、N-置換マレイミド系単量体は常温で固体であり耐熱性が良好な重合体を得るためにその使用量を増やすと溶解するのに多量の溶媒が必要になることがある。そのため重合体溶液を製造する際の重合溶媒として、汎用的なエステル系溶媒を通常の使用量で用いたところ、透明な重合体溶液を得るのが困難であった。本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、所望の単量体組成において均一に溶解した重合体溶液を効率的に得ることを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の単量体及び溶媒を含む単量体溶液の重合において、アルカリ可溶性重合体溶液の製造方法及び均一に溶解したアルカリ可溶性重合体溶液を見出した。また、本発明者は、このような重合体溶液から得られる硬化性樹脂組成物は、カラーフィルター等の用途の部材を形成するためのレジスト組成物として特に好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)及び(2)により達成される。
(1)酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体を含む単量体を溶媒存在下で重合する重合体溶液の製造方法であって、該単量体の総量100質量%に対し酸基含有単量体の含有割合は5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体の含有割合は1~60質量%であり、該溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒の含有割合は10~100質量%であることを特徴とする重合体溶液の製造方法。
(2)酸基含有単量体由来の構成単位及びN-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を有する重合体並びに溶媒を含む重合体溶液であって、該重合体は構成単位の総量100質量%に対し酸基含有単量体由来の構成単位を5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を1~60質量%含み、該溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒は10~100質量%含まれることを特徴とする重合体溶液。
本発明の重合体溶液の製造方法を用いることで、特定の単量体組成において均一に溶解した重合体溶液を効率的に得ることができる。含まれる重合体は品質が高く、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルター、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の光学部材や電機・電子機器等の各種用途に好適に用いることができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。さらに、上限値および下限値について、好適な数値を段階的に記載する場合、各々分けて記載した上限値と下限値を、適宜組み合わせた数値範囲も好適な数値範囲である。
[重合体溶液の製造方法(原料)]
本発明は、酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体を含む単量体を溶媒存在下で重合する重合体溶液の製造方法であって、上記単量体の総量100質量%に対し酸基含有単量体の含有割合は5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体の含有割合は1~60質量%であり、上記溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒の含有割合は10~100質量%であることを特徴とする重合体溶液の製造方法である。好ましくはアルカリ可溶性重合体溶液の製造方法である。
本発明で使用する単量体及びその他の各成分について説明する。
[単量体]
本発明の重合体溶液の製造方法で使用される単量体は、酸基含有単量体、及びN-置換マレイミド系単量体を必須成分とする。
<酸基含有単量体>
酸基含有単量体(単量体(a)とも称する)としては、酸基及び/又は酸無水物基と重合性二重結合とを有する化合物が挙げられる。上記重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。上記酸基含有単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和長鎖モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;等が挙げられる。これらのなかでも、汎用性、入手性等の観点から、不飽和モノカルボン酸類が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。上記酸基含有単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でもカルボキシル基を有するモノマーが好ましく、特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
重合する単量体中における酸基含有単量体の割合として、全単量体総量に対して1~60質量%が好ましく、5~50質量%がさらに好ましく、5~40質量%が特に好ましく、10~35質量%が最も好ましい。酸基含有単量体の量が少なすぎると、アルカリ可溶性が充分でなくなる恐れがある。また、多すぎると、耐熱分解性が低下したり、溶媒に対する溶解性が低下したりする恐れがある。本発明においては、後述のように、側鎖に反応性二重結合を導入するために(メタ)アクリル酸グリシジル等を反応させる場合がある。このような場合には、消費される酸基含有単量体の量を予め上乗せする必要がある。(メタ)アクリル酸グリシジル等を反応させた変性後の重合体溶液の単量体成分(単量体単位)における酸基含有単量体の総量としては、全単量体総量に対して1~50質量%が好ましく、5~40質量%がさらに好ましく、5~30質量%が特に好ましく、10~30質量%が最も好ましい。
<N-置換マレイミド系単量体>
上記N-置換マレイミド系単量体(単量体(b)とも称する)としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022093921000001
(式中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1~30の一価の炭化水素基を表す。)
一般式(1)中、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1~30の一価の炭化水素基である。上記一価の炭化水素基は、炭素数が1~20であることが好ましく、6~12であることがより好ましい。
上記炭化水素基としては、鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよいし、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよいが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基、ノニル基、メチルオクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、ジメチルヘプチル基、3-エチルヘプチル基、4-エチルヘプチル基、トリメチルヘキシル基、3,3-ジエチルペンチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。なかでも、炭素数1~30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~12のアルキル基であることが更に好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環系脂環式炭化水素基;ジシクロペンタニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環系脂環式炭化水素基;が挙げられる。
なかでも、炭素数3~30の単環又は多環系脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数3~18の単環又は多環系脂環式炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6~12の単環系脂環式炭化水素基であることが更に好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。なかでも、炭素数6~30の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6~12の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
上記N-置換マレイミド系単量体の具体例としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-2-エチルヘキシルマレイミド、N-デシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-テトラデシルマレイミド、N-ステアリルマレイミド、N-2-デシルテトラデシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド、N-クロロフェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミド、N-ヒドロキシルエチルマレイミド、N-ヒドロキシルフェニルマレイミド、N-メトキシフェニルマレイミド、N-カルボキシフェニルマレイミド、N-ニトロフェニルマレイミド、N-トリブロモフェニルマレイミド、N,N’-オルトフェニレンビスマレイミド、N,N’-メタフェニレンビスマレイミド、N,N’-パラフェニレンビスマレイミド等が挙げられる。なかでも、共重合性の点から、N-ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが好ましく、加熱での着色の少なさの点からN-ベンジルマレイミドがより好ましい。
上記N-ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p-メチルベンジルマレイミド、p-ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p-ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o-クロロベンジルマレイミド、o-ジクロロベンジルマレイミド、p-ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
上記N-置換マレイミド系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合する単量体中における、N-置換マレイミド系単量体の割合は、全単量体総量100質量%に対して好ましくは1~60質量%、より好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%であるのがよい。N-置換マレイミド系単量体の量が多すぎると、溶媒やアルカリへの溶解性が低下したり、重合の際、析出又はゲル化し易くなったりする恐れがあり、一方、少なすぎると、耐熱性や基板との密着性が不充分となる恐れがある。
本発明の変性後の重合体溶液を得る際の単量体成分中におけるN-置換マレイミド系単量体の割合は、特に制限されないが、全単量体成分中1~50質量%、好ましくは5~45質量%、さらに好ましくは10~40質量%であるのがよい。
N-置換マレイミド系単量体の量が多すぎると、溶媒やアルカリへの溶解性が低下したり、重合の際、析出又はゲル化し易くなったりする恐れがあり、一方、少なすぎると、耐熱性が不充分となる恐れがある。
<他の単量体>
前駆体ポリマーを製造するための単量体成分は、上記酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体と共重合可能な他の単量体(単量体(c)とも称する)を更に含んでいてもよい。なお、重合体における単量体単位の配列形態は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。単量体(c)としては、上述した単量体(a)及び(b)と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、下記の単量体を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-2-イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン等の(メタ)アクリル酸エステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-1,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-2,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、p-メンタン-3,8-ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]-オクタン-1-メチル-4-イソプロピル-5,6-ジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を含む(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等の、(メタ)アクリル酸グリシジル以外のエポキシ基含有単量体;
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、キシレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン等の芳香族ビニル類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等。
他の単量体の中でも、溶解性の点から脂環式炭化水素基含有単量体、特に脂環式(メタ)アクリレートを共重合することが好ましい。脂環式炭化水素基含有単量体について以下に説明する。
上記脂環式炭化水素基含有単量体としては、脂環式炭化水素基を有し、かつ重合性二重結合を有する単量体が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、好ましくは炭素数が3~12、より好ましくは炭素数が7~10の脂環式炭化水素基が挙げられ、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロへプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の単環式炭化水素基;ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、イソボルニル等の多環式炭化水素基が挙げられる。なかでも、より一層優れた溶解性と耐熱着色性を発揮することができる点で、上記脂環式炭化水素基は、多環式炭化水素基であることが好ましく、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、イソボルニルであることが更に好ましく、ジシクロペンタニルであることが特に好ましい。
上記重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。上記重合性二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。すなわち、上記脂環式炭化水素基含有単量体は、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。
上記脂環式炭化水素基含有単量体としては、具体的には、上述した脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、上記脂環式炭化水素基含有単量体としては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが更に好ましく、ジシクロペンタニルメタクリレートが特に好ましい。上記脂環式炭化水素基含有単量体は、上述したもののうち、1種のみを有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
上記単量体(a)、(b)及び(c)の各含有量は、得ようとする重合体の目的、用途に応じて適宜設定することができる。
上記単量体(a)は、総単量体成分100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが更に好ましい。
上記単量体(b)は、総単量体成分100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましい。
上記単量体(c)は、総単量体成分100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、94質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
上記単量体(a)、(b)、(c)の各含有量は、2種以上の単量体を含む場合、その合計量である。
[重合開始剤]
本発明の重合体溶液の製造方法で用いられる重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;等が挙げられる。これら重合開始剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。なお、開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、オリゴマー(例えば、分子量500以下)濃度を低減し、分子量分布が小さい重合体を得ることができる点で、全単量体成分(全単量体総量100質量%)に対して0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上3質量%未満とするのがよい。
[連鎖移動剤]
上記単量体成分を重合する際には、分子量調整のために、必要に応じて、通常用いられる連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n-ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられるが、好ましくは、連鎖移動効果が高く、残存モノマーを低減でき、入手も容易な、n-ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸がよい。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件、目標とするポリマーの分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ゲル化することなく重量平均分子量が数千~数万のポリマーを得ることができる点で、全単量体成分(全単量体総量100質量%)に対して0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%とするのが好ましい。
[溶媒]
上記単量体を溶媒存在下で重合する際、本発明で用いるカーボネート系溶媒の含有割合は、溶媒の総量100質量%に対し10~100質量%である。好ましくは、10~90質量%、さらに好ましくは10~80質量%、特に好ましくは10~70質量%である。
10質量%未満では、単量体(b)の含有割合を高くした場合に単量体(b)の溶解が困難となる恐れがある。また、カーボネート系溶媒の含有割合が100質量%であると、溶解性の点で単量体組成の調整幅が広がるので好ましいが、重合温度を高くしたい場合には、用いるカーボネート系溶媒よりも沸点の高い溶媒との混合溶媒が好ましい。
なお、反応槽にN-置換マレイミド系単量体を含む単量体溶液を滴下する場合は、単量体溶液の総溶媒量100質量%に対し、カーボネート系溶媒が20~90質量%含まれることが好ましく、30~90質量%含まれることが特に好ましく、30~80質量%含まれることが最も好ましい。
上記カーボネート系溶媒及び/又はその他の溶媒は、1atmにおける沸点が80℃以上250℃以下の溶媒が好ましく、85℃以上200℃以下の溶媒がさらに好ましい。
カーボネート系溶媒以外の溶媒は、通常のラジカル重合反応で使用される溶媒を用いることができる。本発明においては、レジスト組成物の溶剤として汎用的に使用されるエステル系溶媒、アルコール系溶媒が好ましい。具体的には、カーボネート系溶媒も含めて以下の通り挙げられる。
<カーボネート系溶媒>
カーボネート系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(炭酸ジメチル)、ジエチルカーボネート(炭酸ジエチル)、ジビニルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ-sec-ブチルカーボネート(炭酸ジブチル)、ジヘキサデシルカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート(炭酸ジフェニル)、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。中でも炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、及び炭酸ジフェニルが好ましく、ジメチルカ-ボネ-ト(炭酸ジメチル)、ジエチルカ-ボネ-ト(炭酸ジエチル)等の炭素数1~6のジアルキルカ-ボネ-トが特に好ましい。
<エステル系溶媒>
エステル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;等が挙げられる。
<アルコール系溶媒>
アルコール系溶媒とは、飽和アルコール、すなわち不飽和二重結合を有さず、かつ水酸基を少なくとも1つ含む化合物を意味する。
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;等が好ましい。より好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。
<その他の溶媒>
エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等が挙げられ、アミド系溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
これら溶媒は、カーボネート系溶媒単独の場合でも1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。また、カーボネート系溶媒以外の溶媒を溶媒の総量100質量%に対し10質量%未満の範囲で用いても良い。混合溶媒の場合は50質量%未満、さらには30質量%未満の範囲でカーボネート系溶媒以外の溶媒を用いても良い。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテルやイソプロパノール等のアルコール系溶媒との混合溶媒が好ましい形態として挙げられる。
[重合体溶液の製造方法(重合工程)]
本発明で用いる単量体を重合する方法としては、溶液重合、乳化重合等が挙げられる。中でも、溶液重合が、工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であるため好適である。また、上記単量体の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。上記重合反応における重合開始方法は、熱や電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー源から重合開始に必要なエネルギーを単量体成分に供給すればよく、更に重合開始剤を併用すれば、重合開始に必要なエネルギーを大きく下げることができ、また、反応制御が容易となるため好適である。また上記単量体を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。上記単量体を溶液重合法により重合する場合、重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものがよい。本発明ではカーボネート系溶媒を重合溶媒として用いる効率的な製造方法を見出した。好ましくは反応槽に滴下する単量体溶液における総溶媒量100質量%に対し、カーボネート系溶媒が20~90質量%含まれることで単量体の溶解性が向上する製造方法を見出した。好ましくは30~90質量%、特に好ましくは30~80質量%である。
本発明で用いる反応槽(反応容器)の容積は、実験室スケールでは0.5~10リットル、工業生産スケールでは、通常0.1~50mである。好ましくは0.2~45m、より好ましくは0.3~40mである。上記反応槽の内部の材質としては、特に限定されず、例えばステンレス鋼製、好ましくはSUS304、SUS316、SUS316L等のSUS製が耐食性の点から好ましい。また、反応槽の内部にグラスライニング加工等が施され、反応原料および反応生成物に対して不活性なものとすることが望ましい。
最終的に得られる重合体溶液の体積は反応槽の体積の40~80体積%に制御することが好ましく、50~70体積%に制御することがさらに好ましい。80体積%を超える範囲では重合反応溶液の割合が高くなり、急な温度上昇への対応等、重合制御や安全面で困難を伴う場合がある。また、最終的に得られる重合体溶液の固形分濃度(重合濃度)は10~70質量%であることが好ましい。より好ましくは30~50質量%である。
その他、重合体溶液の上部である気相部は不活性ガスによる置換(好ましくは窒素置換)により酸素濃度を低くしておくことが好ましい。例えば、重合反応溶液中に不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素など)をバブリングする方法、不活性ガスを反応系内に吹き込み気相部中の酸素を減少させる方法が挙げられる。窒素をバブリングする具体的な方法としては、多孔質のフィルターを装着した窒素ラインを反応液中(好ましくは下部)に入れ、反応液を攪拌しながら窒素をフローする方法が挙げられる。不活性ガスを反応系内に吹き込む方法としては、反応槽の上部に窒素導入口を設けて吹き込むことが挙げられる。その際は排気口を設けておく。不活性ガスとしては、大気中に最も多く含まれる気体で、常温常圧下では、極めて不活性かつ、アルゴン等の希ガスに比べると安価な窒素が好ましい。その窒素の導入量は 例えば実験室スケール(0.5~5リットル)では、0.1(ml/分)~300(ml/分)の流速で吹き込むことが好ましく、さらには1(ml/分)~150(ml/分)の流速で吹き込むことが好ましい。工業生産スケール(0.5~5m)では、0.1(l/分)~300(l/分)の流速で吹き込むことが好ましく、さらには1(l/分)~150(l/分)の流速で吹き込むことが好ましい。その結果、気相部の酸素濃度は5体積%以下、好ましくは3体積%以下に制御できる。
使用する反応槽(反応容器)の形状は特に限定されず、例えば多角型、円筒型等があるが、撹拌効果、取り扱い性、汎用性等の点からは円筒形が好ましい。また、邪魔板はあっても良いし、無くても良いが、邪魔板を設けることで、重合反応溶液の均一性を高めることができる。撹拌機としては、電動モーター等の動力源、回転軸、撹拌機等から構成されるが、その撹拌翼の形状は問わない。撹拌機としては、デスクタービン、ファンタービン、湾曲ファンタービン、矢羽タービン、多段ファンタービン、ファウドラー翼、ブルマージン型、角度付翼、プロペラ型、多段翼、アンカー型、ゲート型、二重リボン翼、スクリュー翼、マックスブレンド翼等を挙げることができる。重合反応中の撹拌動力(工業生産スケール)は0.1~4.0kW/m、好ましくは0.1~3.0kW/m、より好ましくは0.2~2.0kW/mである。すなわち、撹拌動力が0.1kW/m未満では重合反応溶液の均一性が低下する傾向がある。一方、撹拌動力が4.0kW/mを越えると、重合反応溶液が反応槽(反応容器)の内壁面に飛散し、反応槽の内壁面で反応を起してゲル化する可能性がある。その他、重合反応中の容器内の圧力については、加圧、減圧の制御の必要性は問わない。特殊な操作をしたり、特殊な原料を使用しない限り、通常、常圧で行えばよい。重合反応時の単量体の投入方法は、特に制限されず、一部を初期仕込みして残りを滴下しても良いし、全量を滴下しても良いが、発熱量の制御の点で、一部を初期仕込みして残りを滴下するか、あるいは全量を滴下するのが好ましい。本明細書では、あらかじめ単量体を反応槽に仕込む(重合前に単量体を反応槽に投入する)ことを、初期仕込みとも称する。
上記重合の条件に関し、重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、重合溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。混合溶媒の場合は、一番沸点が高い溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。例えば、50~150℃が好ましく、70~120℃がより好ましい。また、重合時間も同様に適宜設定することができるが、例えば、1~8時間が好ましく、2~6時間がより好ましい。
[重合体の二重結合付加工程]
本発明のアルカリ可溶性重合体溶液の製造方法では、上記重合工程(熟成工程がある場合は熟成工程後)で得られる重合体(ベースポリマーとも称す)に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させる工程(二重結合付加工程、変性工程とも称す)を含むことも好適である。これにより、側鎖に二重結合を有する重合体(側鎖二重結合含有重合体とも称す)としてのアルカリ可溶性重合体を得ることができ、基板等との密着性や表面硬度により優れた硬化物を与えることが可能になる。このように本発明の重合体溶液の製造方法は、上記重合工程と、二重結合付加工程とを含む形態であることも好適である。なお、重合体溶液をレジスト組成物に用いるために、上記重合工程後または二重結合付加工程後の重合体溶液の溶媒をレジスト用溶剤に置換するため、溶媒置換することも好適である。置換する溶媒はエステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒が好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、反応性の点で、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、酸基と結合し得る官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基等が挙げられ、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、変成処理反応の速さ、耐熱性、分散性の点から、エポキシ基(グリシジル基を含む)が好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(単量体)を用いることが好適である。
特に好ましい形態として、重合体溶液の重合体(ベースポリマー)にエポキシ基含有単量体を反応させることによって側鎖二重結合を導入する形態が挙げられる。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物の使用量は、例えば、上記ベースポリマー成分(ベースポリマーを構成する単量体成分の総量)100質量部に対し、1~170質量部とすることが好適である。より好ましくは3~150質量部、更に好ましくは5~120質量部である。上記ベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させる工程では、例えば、該ベースポリマー成分の酸基(好ましくはカルボキシル基)の量を、該酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物の量より過剰にする方法;上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、更に多塩基酸無水物基を有する化合物を反応させる方法;等を採用することが好適である。これにより、側鎖二重結合含有重合体を好適に得ることができる。側鎖二重結合含有重合体の二重結合当量は300~2000(g/当量)が好ましく、400~2000(g/当量)がさらに好ましい。上記範囲に制御することで硬化性と現像性の両立ができる。また、側鎖二重結合含有重合体のガラス転移温度(Tg)が120℃以下であることが好ましい。これにより、密着性が向上する。より好ましくは100℃以下である。下限値は特に限定されないが、耐熱性の観点から、-10℃以上であることが好ましい。より好ましくは0℃以上である。
上記ベースポリマー(好ましくはカルボキシル基を有する重合体)と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程は、良好な反応速度を確保し、かつゲル化を防ぐために、50~160℃の温度範囲で行うことが好ましい。より好ましくは70~140℃、更に好ましくは90~130℃である。また、反応速度を向上するために、触媒として、通常使用されるエステル化又はエステル交換用の塩基性触媒や酸性触媒を用いることができる。中でも、副反応が少なくなるため、塩基性触媒を用いることが好ましい。
上記塩基性触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n-ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;テトラメチル尿素等の尿素化合物;テトラメチルグアニジン等のアルキルグアニジン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3級ホスフィン;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、反応性、取扱い性やハロゲンフリー等の点で、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチル尿素、トリフェニルホスフィンが好ましい。
上記触媒の使用量は、上記ベースポリマー成分(上記ベースポリマーを構成する単量体成分)と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合基を有する化合物との合計量100質量部に対し、0.01~5質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.1~3質量部である。
上記ベースポリマーと、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程はまた、ゲル化を防ぐために、重合禁止剤を添加し、分子状酸素含有ガスの存在下で行うことが好ましい。分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気又は酸素ガスが用いられ、反応容器内に吹き込まれる。
上記重合禁止剤としては、通常使用されるラジカル重合性単量体用の重合禁止剤を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、メトキノン、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系禁止剤、有機酸銅塩やフェノチアジン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、低着色、重合防止能力等の点でフェノール系禁止剤が好ましく、入手性、経済性から、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、メトキノン、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールがより好ましい。
上記重合禁止剤の使用量としては、充分な重合防止効果の確保、及び、硬化性樹脂組成物(レジスト組成物)としたときの硬化性等の観点から、上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物との合計量100質量部に対し、0.001~1質量部であることが好ましい。より好ましくは0.01~0.5質量部である。
上記多塩基酸無水物基を有する化合物としては、例えば、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
[重合体溶液(重合体と溶媒を含む組成物)]
本発明は、酸基含有単量体由来の構成単位及びN-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を有する重合体並びに溶媒を含む重合体溶液であって、該重合体は構成単位の総量100質量%に対し酸基含有単量体由来の構成単位を5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を1~60質量%含み、該溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒は10~100質量%含まれることを特徴とする重合体溶液(好ましくは、アルカリ可溶性重合体溶液)である。
必須成分である酸基含有単量体(単量体(a))由来の構成単位及びN-置換マレイミド系単量体(単量体(b))由来の構成単位、並びに溶媒は、上述した重合体溶液の製造方法における単量体由来の構成単位、及び溶媒である。任意成分の他の単量体(単量体(c))や溶媒についても上述した化合物の通りである。
また、上記の各構成単位の数値範囲及びカーボネート系溶媒の数値範囲について、好適な数値範囲は上述した重合体溶液の製造方法の説明における好適な数値範囲と同じ数値範囲である。具体的には以下の通りである。
単量体(a)由来の構成単位は、構成単位の総量100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
上記単量体(b)由来の構成単位は、構成単位の総量100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましい。
上記単量体(c)由来の構成単位は、構成単位の総量100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、94質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
また、カーボネート系溶媒の含有割合は、溶媒の総量100質量%に対し、好ましくは、10~90質量%、さらに好ましくは10~80質量%、特に好ましくは10~70質量%、最も好ましくは10~50質量%である。
上記数値範囲に調整することで透明で均一なアルカリ可溶性重合体溶液(アルカリ可溶性重合体と溶媒との組成物)となる。
本発明の好ましい形態であるアルカリ可溶性重合体溶液に含まれるアルカリ可溶性重合体は、酸価が30~300mgKOH/gであることが好ましく、40~160mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価がこの範囲にあることで、充分なアルカリ可溶性が発現するため、例えば、このアルカリ可溶性重合体を含むレジスト組成物をアルカリ現像型レジストとして用いた場合に、特に良好な製版性を発揮することができる。
なお、上記重合体は側鎖に二重結合が付加されていても良い。二重結合が付加されている場合は、付加前(変性前)のベースポリマー(前駆体ポリマー)の酸価は250mgKOH/g以上、350mgKOH/g以下が好ましい。
上述の範囲にすることにより、変性後の最終重合体の酸価を高く設計できたり、二重結合の導入可能量が多くなる。その結果、優れた現像速度と硬化性を両立できる。アルカリ可溶性重合体の酸価としてより好ましくは40mgKOH/g以上であり、また、より好ましくは270mgKOH/g以下、更に好ましくは250mgKOH/g以下、特に好ましくは230mgKOH/g以下、一層好ましくは210mgKOH/g以下、最も好ましくは160mgKOH/g以下である。
重合体の酸価は、例えば、0.1規定(N)のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)により、重合体溶液の酸価を測定し、重合体溶液の酸価及び重合体溶液の固形分濃度から、重合体1gあたりの酸価(mgKOH/g)を計算することで求めることができる。ここで、重合体溶液の固形分は、次のようにして求めることができる。
重合体溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させる。その後、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック株社製)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定する。その重量減少量から、重合体溶液の固形分(樹脂)の重量を計算する。
上記アルカリ可溶性重合体はまた、重量平均分子量が2000~25万であることが好適である。分子量がこの範囲にあることで、より良好な製版性を得ることが可能になる。より好ましくは3000~10万、更に好ましくは4000~50000、特に好ましくは4000~40000、最も好ましくは4000~30000である。
重合体の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;HLC-8220GPC、東ソー社製)を用い、THFを溶離液とし、カラムに、TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)を用い、標準ポリスチレン換算にて求めることができる。
上述した重合体溶液に含まれる重合体に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させることによって側鎖二重結合が導入されることを特徴とする重合体(好ましくはアルカリ可溶性重合体)も本発明の一形態である。
上述した重合体の二重結合付加工程によって側鎖二重結合を含有するアルカリ可溶性重合体の場合、二重結合当量は300~2000(g/当量)が好ましく、400~800(g/当量)がさらに好ましい。上記範囲に制御することで硬化性と現像性の両立ができる。
二重結合当量は、上記共重合体の二重結合1molあたりの重合体溶液の固形分の質量である。上記重合体溶液の固形分の質量とは、上記共重合体を構成する単量体成分の質量と重合禁止剤の質量とを合計したものである。上記二重結合当量は、重合体溶液の重合体固形分の質量(g)を重合体の二重結合量(mol)で除することにより、求めることができる。上記共重合体の二重結合量は、重合の際に使用した酸基を含む単量体と、重合性二重結合を有する化合物との量から求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。
また、アルカリ可溶性重合体のガラス転移温度(Tg)が120℃以下であることが好ましい。これにより、密着性が向上する。より好ましくは100℃以下である。下限値は特に限定されないが、耐熱性の観点から、-10℃以上であることが好ましい。より好ましくは0℃以上である。
ガラス転移温度(Tg)は、例えば以下の方法で測定できる。共重合体溶液を5cm角のガラス基盤に塗布し、ガラス基板上にスピンコートし、室温・減圧下にて4時間乾燥し、膜質量30mg以下の薄膜を形成することにより揮発成分を除去し、固形分を得る。得られた固形分をDSC(示差走査熱量計法、測定機器:ネッチDSC3500)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/minでJIS-K7121に準拠し測定する。
上述した重合体、光重合開始剤及び重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物(レジスト組成物)も本発明の一形態である。
[レジスト組成物]
本発明の重合体溶液または重合体溶液の製造方法から好適に得られるアルカリ可溶性重合体は、耐熱性、透明性、基板との密着性、現像性、感光性等の各種物性に優れるとともに、画像形成性及び表面平滑性にも優れ、未露光部の残渣や地汚れ等がなく、かつ膜厚が充分に低減された硬化物(硬化膜)を与えることができる。したがって、上記アルカリ可溶性重合体は、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルターの着色層、ブラックマトリックス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の用途に好ましく使用される。中でも、これらの用途に使用されるレジスト組成物の含有成分として用いることが好適である。このように上記アルカリ可溶性重合体がレジスト組成物(硬化性樹脂組成物)に用いられる形態もまた、本発明の好適な形態の一つである。
上記レジスト組成物は、上記アルカリ可溶性重合体、重合性化合物(好ましくは多官能の重合性単量体)を含むことが好ましく、光重合開始剤をさらに含むことが特に好ましい。
[重合性化合物]
上記重合性化合物とは、重合性単量体とも称し、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
上記単官能の重合性単量体としては、例えば、上記(メタ)アクリレート系重合体の単量体成分に好ましく含有される他の単量体として例示した化合物のうち、N置換マレイミドや(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和モノカルボン酸類;不飽和多価カルボン酸類;不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;不飽和酸無水物類;芳香族ビニル類;共役ジエン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;N-ビニル化合物類;不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
上記多官能の重合性単量体としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の多官能アリルエーテル類;(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート類;トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル類;等。
上記重合性化合物の中でも、レジスト組成物の硬化性をより高める観点から、多官能の重合性化合物を用いることが好適である。重合性化合物として多官能の重合性化合物を用いる場合、その官能数として好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。また、硬化収縮をより抑制する観点から、官能数は10以下が好ましく、より好ましくは8以下である。
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好適である。
上記重合性化合物として多官能の重合性化合物を用いる場合、当該重合性化合物の中でも、反応性、経済性、入手性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート化合物等の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好適である。より好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物であり、これによってレジスト組成物が感光性及び硬化性により優れたものとなり、より一層高硬度で高透明性の硬化物を得ることが可能になる。更に好ましくは、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることである。
上記重合性化合物の含有割合としては、用いる重合性化合物や上記重合体の種類の他、目的や用途等に応じて適宜設定すればよいが、現像性や製版性により優れる観点から、レジスト組成物の固形分総量100質量%に対し、2質量%以上であることが好ましく、また、85質量%以下であることが好適である。下限値としてより好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、上限値としてより好ましくは83質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは78質量%以下、最も好ましくは75質量%以下である。
[光重合開始剤]
上記光重合開始剤として好ましくは、ラジカル重合性の光重合開始剤である。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものであり、通常使用されるものを1種又は2種以上使用することができる。また、必要に応じて、光増感剤や光ラジカル重合促進剤等を1種又は2種以上併用してもよい。光重合開始剤とともに、光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。併用した場合は感度や硬化性がより向上される。
上記光重合開始剤として具体的には、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物等。
上記光重合開始剤と併用してもよい光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3-ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、目的、用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、光重合開始剤を除くレジスト組成物の固形分総量100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好適である。これにより、密着性により優れた硬化物を得ることができ、高温暴露後においても剥がれがより充分に抑制される。また、光重合開始剤の分解物が与える影響や経済性等とのバランスを考慮すると、30質量部以下であることが好ましい。下限値としてより好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、特に好ましくは2質量部以上であり、上限値としてより好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
上記光増感剤及び光ラジカル重合促進剤は、上述したように使用しなくてもよいが、使用する場合は、硬化性、分解物が与える影響及び経済性のバランスの観点から、レジスト組成物の固形分総量100質量%に対し、0.001~20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01~15質量%、更に好ましくは0.05~10質量%である。
[溶剤]
上記レジスト組成物はまた、溶剤を含むことが好適である。溶剤は希釈剤等として好ましく使用される。すなわち具体的には、粘度を下げ取扱い性を向上する;乾燥により塗膜を形成する;色材の分散媒とする;等のために好適に使用されるものであり、レジスト組成物中の各含有成分を溶解又は分散することができる、低粘度の有機溶媒又は水である。
上記溶剤としては、カーボネート系溶媒以外の溶媒を使用することが好ましく、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないがエステル系溶媒(エステル類)を必須とすることが特に好ましい。他の溶剤も含めて、例えば、下記の化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;水;等。
上記溶剤の総使用量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、レジスト組成物の総量100質量%中に、10~90質量%含まれるようにすることが好ましい。より好ましくは20~80質量%である。
本発明の重合体溶液と他の成分を混合してレジスト組成物を製造する際は、溶媒置換するカーボネート系溶媒量、重合体や他の成分の固形分を確認した上で、上記数値範囲になるように溶剤量を調整すればよい。
[他の成分]
上記レジスト組成物は更に、それが適用される各用途の要求特性に応じて、例えば、色材(着色剤、顔料、染料とも称す);分散剤;耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等の1種又は2種以上を、更に混合してもよい。例えば、上記レジスト組成物をカラーフィルター用途に使用する場合には、色材を混合することが好ましい。このように上記レジスト組成物に更に色材を混合する形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。また、色材、分散剤、耐熱向上剤、レベリング剤、カップリング剤及び現像助剤からなる群より選択される少なくとも1種を混合する形態も好適である。
[レジスト組成物の製造方法]
上記レジスト組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。混合・分散工程は特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。なお、上記レジスト組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て製造することが好適である
上記色材の分散処理工程としては、例えば、まず、色材(好ましくは有機顔料)、分散剤及び溶剤を各所定量秤量し、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ニーダー、ブレンダー等の分散機を用い、色材を微粒子分散させて液状の色材分散液(ミルベースとも称す)とする手法が挙げられる。好ましくは、ロールミル、ニーダー、ブレンダー等で混練分散処理をしてから、0.01~1mmのビーズを充填したビーズミル等のメディアミルで微分散処理をする。得られたミルベースに、別途攪拌混合しておいた、アルカリ可溶性重合体、重合性単量体、及び、光重合開始剤、並びに、必要に応じて溶剤やレベリング剤等を含む組成物(好ましくは透明液)を加えて混合、均一な分散溶液とし、レジスト組成物を得ることができる。なお、得られたレジスト組成物は、フィルター等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去するのが好ましい。
[硬化物及び硬化物の製造方法]
上記レジスト組成物は、上述したように、耐熱性や透明性に特に優れ、現像性、耐溶剤性、基板(基材)との密着性、感光性及び硬化性等の基本性能に優れる硬化物を与えるものである。このような硬化物はまた、画像形成性及び表面平滑性にも優れ、例えば、現像後に未露光部の残渣や地汚れ等がないものである。このような上記レジスト組成物を硬化してなる硬化物、上記レジスト組成物を硬化する硬化物の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記硬化物(硬化膜)は、その膜厚(厚み)が0.1~20μmであることが好適である。これにより、上記硬化物を用いた部材、基板上に上記硬化物を有する積層体や表示装置等の低背化要求に充分に応えることができる。より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
上記硬化物は、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜、フィルム、有機保護膜等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の構成部材の用途に好適に使用することができる。なかでも、カラーフィルター用途に好ましく使用される。このように上記レジスト組成物を用いてなるカラーフィルター、すなわち具体的には、基板上に、上記レジスト組成物により形成される硬化物を有するカラーフィルター及びカラーフィルターの製造方法は、本発明の好適な実施形態の1つである。なお、上記カラーフィルターに使用される基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、アルカリ強化ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(例えばLCD用カラーフィルタ)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。中でも、耐熱性の点から、ガラス基板や、耐熱性樹脂からなるシート、フィルム又は基板が好ましい。また、上記基板は透明基板であることが好適である。
また上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
また、上記レジスト組成物により形成される硬化物を有する表示装置用部材及び表示装置の製造方法も、本発明の好適な実施形態に含まれる。表示装置としては、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適であり、上記硬化物は、各種表示装置における保護膜や絶縁膜として有用である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に関し、実施例、比較例および特性評価により具体的に示す。なお、実施例および比較例では、特に記載しない限り%は質量%を、部は質量部を意味する。
[評価方法]
重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC-8220GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量(Mw)を測定した。
(2)酸価(AV)
重合体溶液を3g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液を滴定液として用いて滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-555、平沼産業社製)を用いて行い、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
(3)固形分
重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック社製)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
(4)耐熱性
重合体溶液64.3部に対して、ライトアクリレートDPE-6A(共栄社化学株式会社製)を22.5部、イルガキュア907(BASFジャパン株式会社製)を5部添加し、混合することにより、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物を、スピンコーター(ミカサ株式会社製、1H-D7)を用いて、塗布量が固形分換算で0.2~0.5mg/cmとなるよう、5cm角ガラス基板(ソーダライムガラスAS-2K、株式会社東新理興製)上に均一に塗布した。この際、各硬化性樹脂組成物について、スピンコーターの回転数を変化させて塗布量(固形分換算)を変え、塗布量の異なる2枚の塗布板を作製した。2枚のうち1枚の塗布量が必ず0.3mg/cmより大きい値となるように、他の1枚の塗布量が必ず0.3mg/cmより小さい値となるようにした。
これらの塗布板を90℃で3分間乾燥させることにより、ガラス基板上に塗膜が形成された積層体を得た。ガラス基板の端部に付着している樹脂を除去した後、得られた積層体を、パーフェクトオーブン恒温器(エスペック株式会社製)を用いて250℃で2時間加熱処理を行い、室温まで冷却した。
得られた積層体の塗膜表面を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM-3700A)を用いて測定し、加熱処理後のb値を得た。各塗膜につき上述のようにして用意した2枚の塗膜の測定値から塗布量(x)とb値(y)の近似直線(検量線)を求め、塗布量が0.3mg/cmの場合のb値を各塗膜の耐熱着色性の結果として採用し、下記基準で評価した。
○:b値が1~3。
△:b値が3~5。
×:b値が5~10。
(5)溶解性
目視で重合体溶液を観察し、下記の基準にて評価した。具体的には、下記基準で評価した。
○:重合体溶液が無色透明である。
×:重合体溶液が白濁している。
[実施例1]
重合体溶液1の調製
温度計、攪拌機、ガス導入管、冷却管及び滴下槽導入口を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)123部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながら加熱して90℃まで昇温した。
他方、滴下槽(A)として、N-シクロヘキシルマレイミド(CHMI)40部、メタクリル酸(MAA)20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル(日立化成社製「ファンクリルFA-513M」、以下DCPMAともいう)40部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤、日油社製「パーブチルO」、以下「PBO」と称する。)2部、PGMEA13部、炭酸ジメチル(DMC)35部をよく混合したものを準備した。
CHMIは全量溶解していることを確認した。滴下槽(B)に、n-ドデシルメルカプタン(n-DM)3.5部、PGMEA5.1部を攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃になった後、同温度を保持しながら、滴下槽から135分かけて滴下を開始し、重合を行った。その後60分間90℃を保持した後、110℃まで昇温し180分間熟成を行い、重合体溶液1を得た。
得られた重合体溶液1は透明な溶液であり、重量平均分子量は11000、重合体の酸価は126mgKOH/g、固形分は35質量%であった。
耐熱性評価は〇であった。
[実施例2]
重合体溶液2の調製
単量体のCHMI40部をベンジルマレイミド(BzMI)40部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、重合体溶液2を得た。
得られた重合体溶液2は透明な溶液であり、重量平均分子量は11000、重合体の酸価は126mgKOH/g、固形分は35質量%であった。
耐熱性評価は〇であった。
[実施例3]
重合体溶液3の調製
溶媒のDMC35部を炭酸ジエチル(DEC)35部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、重合体溶液3を得た。
得られた重合体溶液3は透明な溶液であり、重量平均分子量は11000、重合体の酸価は126mgKOH/g、固形分は35質量%であった。
耐熱性評価は〇であった。
[比較例1]
重合体溶液4の調製
単量体と溶媒について表1の処方に変更し、実施例1と同様の操作を行うことはできなかった。この処方ではCHMIは溶け残りが多く見られたため、重合を実施しなかった。そのため重合体溶液4における耐熱性の評価はできなかった。
[比較例2]
重合体溶液5の調製
単量体のCHMI40部をメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)40部とした以外は実施例1と同様の操作を行い、重合体溶液5を得た。
得られた重合体溶液5は透明な溶液であり、重量平均分子量は11000、重合体の酸価は126mgKOH/g、固形分は35質量%であった。
耐熱性評価は劣り△であった。

各条件と評価結果を表1に示す。
Figure 2022093921000002
実施例1~3では、単量体成分としてN-置換マレイミド系単量体を高い割合で使用しているが、滴下槽(A)におけるモノマー希釈溶媒としてカーボネート系溶媒であるDMC又はDECを約73%と高い割合で使用しているのでN-置換マレイミド系単量体が溶解し、最終的に透明な重合体溶液が得られた。
N-置換マレイミド系単量体及びカーボネート系溶媒(総溶媒量の10~100質量%、好ましくは30~90質量%)を含む単量体溶液も本発明の一形態である。
比較例1では、モノマー希釈溶媒としてカーボネート系溶媒を使用していないのでCHMIが溶解せずに溶け残った。
比較例2で得られる重合体では、単量体成分としてN-置換マレイミド系単量体を使用していないので実施例1~3で得られる重合体に比べて耐熱性が低いと考えられる。
実施例1~3と、比較例1及び2との比較より、本発明の重合体溶液及び重合体溶液の製造方法の優位性を確認できた。
本発明の重合体溶液は、カーボネート系溶媒を含む透明で均質なアルカリ可溶性重合体溶液である。従って、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の各種光学部材;カラーフィルター用保護膜、ハードコート材、有機デバイス用封止材等の表面保護部材;等の各種用途に好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 酸基含有単量体及びN-置換マレイミド系単量体を含む単量体を溶媒存在下で重合する重合体溶液の製造方法であって、該単量体の総量100質量%に対し酸基含有単量体の含有割合は5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体の含有割合は1~60質量%であり、該溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒の含有割合は10~100質量%であることを特徴とする重合体溶液の製造方法。
  2. 酸基含有単量体由来の構成単位及びN-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を有する重合体並びに溶媒を含む重合体溶液であって、該重合体は構成単位の総量100質量%に対し酸基含有単量体由来の構成単位を5~40質量%、N-置換マレイミド系単量体由来の構成単位を1~60質量%含み、該溶媒の総量100質量%に対しカーボネート系溶媒は10~100質量%含まれることを特徴とする重合体溶液。
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