JP2022092368A - タイヤ製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、加硫されたタイヤを加硫金型から取り出す際に、ブラダーを減圧することに起因するタイヤの変形を防止しうるタイヤ製造方法に関する。
従来より、タイヤを加硫する際、加硫金型とタイヤとの間の空気をバキューム手段によって外部に排気させ、これにより空気溜まりに起因するタイヤの外観品質の低下を防止する方法(便宜上、「バキューム加硫」という場合がある。)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
上記特許文献1で用いる加硫装置は、加硫金型と、加硫金型を密閉状態で囲みうるとコンテナと、加硫金型内に配されるブラダーとを具える。そして、コンテナ内の空気を減圧手段により吸引することにより、加硫金型とタイヤとの間の空気を外部に排出させている。
又前記加硫装置では、コンテナの内部が減圧された状態にてブラダーに加熱加圧媒体を注入することで、タイヤを加硫する。又加硫されたタイヤを加硫金型から取り出す際には、ブラダーを減圧しブラダーをタイヤから引き出すことが行われる。
しかし、「バキューム加硫」で用いる加硫装置では、コンテナ内の気密性が高く形成されている。そのため、図7に一点鎖線で示すように、ブラダーaを減圧する際、ブラダーaとタイヤtとの間が真空状態になり、ブラダーaに合わせてタイヤt、特にはトレッド部taが変形してしまうという問題が生じる。このような変形は、タイヤ振動などの原因となりうる。
本発明は、バキューム加硫において、ブラダーを減圧してタイヤを加硫金型から取り出す際のタイヤの変形を防止しうるタイヤ製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、加硫金型とコンテナとブラダーとを含む加硫装置を用いて、未加硫のタイヤを加硫するタイヤ製造方法であって、
前記タイヤが投入された開状態の前記加硫金型を、前記コンテナで囲みながら閉じる金型閉工程と、
前記コンテナの内部の減圧状態にて前記ブラダーに加熱加圧媒体を注入し、前記タイヤを加硫する加硫工程と、
前記ブラダーから前記加熱加圧媒体を排出しかつ前記ブラダーを減圧した状態にて前記加硫金型を開く金型開工程とを含み、
前記ブラダーへの前記加熱加圧媒体の注入の完了以降において、少なくとも前記ブラダーと前記タイヤとの間を大気に導通させる大気導通が行われる。
前記タイヤが投入された開状態の前記加硫金型を、前記コンテナで囲みながら閉じる金型閉工程と、
前記コンテナの内部の減圧状態にて前記ブラダーに加熱加圧媒体を注入し、前記タイヤを加硫する加硫工程と、
前記ブラダーから前記加熱加圧媒体を排出しかつ前記ブラダーを減圧した状態にて前記加硫金型を開く金型開工程とを含み、
前記ブラダーへの前記加熱加圧媒体の注入の完了以降において、少なくとも前記ブラダーと前記タイヤとの間を大気に導通させる大気導通が行われる。
また、前記大気導通は、前記ブラダーの内圧が負圧となる前に行われるのが好ましい。
本発明に係るタイヤ製造方法において、前記大気導通は、前記コンテナの内部を大気に導通させることにより行われるのが好ましい。
本発明に係るタイヤ製造方法において、前記加硫金型は、前記ブラダーと前記タイヤとの間に通じる流路を有するのが好ましい。
本発明は、コンテナの内部の減圧状態にてブラダーに加熱加圧媒体を注入し、タイヤを加硫する加硫工程を具える。これにより、加硫金型とタイヤとの間の空気を排気させて加硫でき、空気溜まりに起因する外観品質の低下を防止しうる。
又本発明は、ブラダーへの加熱加圧媒体の注入の完了以降において、少なくともブラダーとタイヤとの間を大気に導通させる大気導通が行われる。これにより、ブラダーを減圧してブラダーをタイヤから引き出す際、タイヤが変形するのを防止できる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤ製造方法に用いられる加硫装置1の一実施例を示す断面図である。図1において、本実施形態の加硫装置1は、加硫金型2とコンテナ11とブラダー3とを含んで構成される。
図1は、本発明のタイヤ製造方法に用いられる加硫装置1の一実施例を示す断面図である。図1において、本実施形態の加硫装置1は、加硫金型2とコンテナ11とブラダー3とを含んで構成される。
加硫金型2は、下部プレート4に取り付く下の金型部2Lと、昇降移動可能な上部プレート5に取り付く上の金型部2Uとを有する。下部プレート4は、例えばプレス機のテーブル台(図示しない)等に支持される。また上部プレート5は、本例では、プレス機の昇降台9に、シリンダ10を介して保持される。従って、本例では、昇降台9自体が昇降移動するとともに、上部プレート5は前記昇降台9に対して相対的に昇降移動しうる。下部プレート4及び上部プレート5は、例えば加熱用のプラテン板を含んで構成される。
加硫金型2は、上部プレート5の上昇により、開状態Y1となり、加硫金型2内への未加硫のタイヤTの投入、及び加硫されたタイヤの取り出しが行われる。又上部プレート5の下降により、加硫金型2は閉状態Y2(図2に示す)となり加硫が行われる。
下の金型部2Lは、未加硫のタイヤTの下ビード部及び下サイドウォール部を成形する面SLを有する下サイドモールド7Lを具える。なお下の金型部2Lとしては、下ビード部を成形するモールド部分と、下サイドウォール部を成形するモールド部分とに分割されていてもよい。
上の金型部2Uは、タイヤTの上ビード部及び上サイドウォール部を成形する面SUを有する上サイドモールド7Uと、タイヤTのトレッド部を成形する面STを有するトレッドモールド8とを具える。上の金型部2Uとしては、上ビード部を成形するモールド部分と、上サイドウォール部を成形するモールド部分とに分割されていてもよい。トレッドモールド8は、周方向に分割される複数のセグメント8Aから構成される。各セグメント8Aは、その上端部が、前記上部プレート5に、タイヤ半径方向に移動可能に支持される。また昇降台9には、下降の際、各セグメント8Aを半径方向内側に移動させる円筒状のコンテナ11が取り付く。
前記面SL、SU、STを総称してタイヤ成形面Sと云う場合がある。
コンテナ11は、その内周面に下方に向かって大径となるコーン状の案内面11sを有する。各セグメント8Aは、適宜のガイド手段(図示しない。)を介して、前記案内面11sに沿って摺動可能に保持される。従って、コンテナ11の下降により、各セグメント8Aは、閉状態Y2となるまで、案内面11sに押されて下部プレート4上をタイヤ半径方向内側に移動しうる。
図2に示すように、下部プレート4には、本例では、シール壁部12が立設する。このシール壁部12は、コンテナ11と同心な円筒状をなし、例えばOリング等のシールリング18を介して、下降状態のコンテナ11との間をシールする。これにより、閉状態Y2において、コンテナ11とシール壁部12とで囲む内部スペースHを密閉しうる。シールリング18は、コンテナ11の外周面に配されても良く、又シール壁部12の内周面に配されても良い。又シール壁部12には、内部スペースHに通じる排気孔19が形成される。
なおシール壁部12の他の実施例として、シール壁部12をコンテナ11の一部として、コンテナ11の外周に上下にスライド自在に設けても良い。この場合、シール壁部12の下端部に、閉状態Y2において下部プレート4との間をシールするシール部材を設けるのが好ましい。
加硫金型2の中心位置には、ブラダー3を有するブラダー中心機構13が配される。本例のブラダー中心機構13は、前記ブラダー3と、上下のクランプリング14U、14Lと、センタポスト15とを含む。
下のクランプリング14Lは、ブラダー3の下開口部を保持する。この下のクランプリング14Lは、下の金型部2Lを介して下部プレート4に支持される。上のクランプリング14Uは、ブラダー3の上開口部を保持する。この上のクランプリング14Uは、センタポスト15の上端部に取り付けられる。センタポスト15は、下部プレート4に例えばシリンダ等の昇降手段(図示省略)を介して昇降移動可能に取り付けられる。
ブラダー中心機構13は、センタポスト15を摺動可能に保持するとともに、ブラダー3内に、加熱加圧媒体を給排しうる給排口16Aを具える筒部16をさらに具える。
加熱加圧媒体として、本例では、窒素ガスなどの不活性ガスが使用される。しかし、不活性ガスとスチームとの混合ガスを使用しても良く、さらには、スチームを使用した後、このスチームに引き続いて不活性ガスを供給することも好ましい。
加硫金型2は、ブラダー3とタイヤTとの間に通じる第1の流路20、及び加硫金型2とタイヤTとの間に通じる第2の流路21とを有する。
図3に、下の金型部2Lを代表して示すように、第1の流路20は、下サイドモールド7Lをタイヤ軸方向に貫通して延びる。第1の流路20の一端部20aは、下サイドモールド7Lのタイヤ軸方向内面上かつタイヤ成形面Sよりもタイヤ半径方向内側の位置で開口する。これにより、第1の流路20は、ブラダー3と下サイドモールド7Lとの間を介して、ブラダー3とタイヤTとの間に導通しうる。第1の流路20は、上サイドモールド7Uにも同様に形成される。
第2の流路21は、下サイドモールド7Lをタイヤ軸方向に貫通して延びる。第2の流路21の一端部21aは、タイヤ成形面Sで開口する。これにより、第2の流路21は、下サイドモールド7LとタイヤTとの間に導通しうる。第2の流路21は、上サイドモールド7Uにも同様に形成される。
第1、第2の流路20、21は、下サイドモールド7Lと下部プレート4との間の流路22、及び上サイドモールド7Uと上部プレート5との間の流路23を含む流路、及び前記内部スペースHをへて排気孔19に導通している。
図2に示すように、加硫装置1は、内部スペースHを減圧するための減圧手段25をさらに具える。減圧手段25は、排気孔19に、切替弁26を介して通じる真空タンク27と、この真空タンク27に通じる真空ポンプ28とを具える。切替弁26には、大気との導通を入切りするON-OFF弁33が接続される。従って、切替弁26とON-OFF弁33との操作により、
・排気孔19と真空タンク27との連通により、内部スペースHを減圧させる;
・連通の遮断により、内部スペースHの減圧を維持させる:
・減圧を解除して内部スペースHを大気に開放させる:
を選択させうる。
・排気孔19と真空タンク27との連通により、内部スペースHを減圧させる;
・連通の遮断により、内部スペースHの減圧を維持させる:
・減圧を解除して内部スペースHを大気に開放させる:
を選択させうる。
図中の符号28はストレーナであり、符号29は、真空タンク27と真空ポンプ28との導通を入切りするON-OFF弁、符号30は真空ポンプ28からの空気の逆流を防ぐ一方弁である。
次に、タイヤ製造方法は、図4、5に示すように、タイヤ投入工程S1と、金型閉工程S2と、加硫工程S3と、金型開工程S4とを含む。
図4(a)に示すように、タイヤ投入工程S1では、開状態Y1において、予め形成された未加硫のタイヤTを、周知のローダ(図示省略)を用いて下サイドモールド7L上に投入する。投入時、ブラダー3は減圧状態であり、タイヤTとの接触が避けられる。又投入後、一点鎖線で示すように、ブラダー3を保持内圧にて膨張させる。これにより、タイヤTを内側から支えて垂直に保持する。保持内圧として、40~70kPa(ゲージ圧)の範囲が好適である。
図4(b)、(c)に示すように、金型閉工程S2では、タイヤTが投入された開状態Y1の加硫金型2を、コンテナ11で囲みながら閉じる。具体的には、本例では、昇降台9が上部プレート5とともに下降し、セグメント8Aが下部プレート4上に到達した時点で上部プレート5の下降が終了する。このとき、下サイドモールド7Lと上サイドモールド7Uとの間でタイヤTは狭持される。その後、昇降台9がさらに下降し、コンテナ11がセグメント8Aをタイヤ半径方向内側に押進する。これにより、閉状態Y2になるとともに、コンテナ11とシール壁部12とで囲む内部スペースHを密閉する。
図5(a)に示すように、加硫工程S3では、減圧手段25を作動させ、コンテナ11内の内部スペースHを減圧させる。そしてこの減圧状態にてブラダー3内に加熱加圧媒体を注入し、タイヤTを加硫する。なおコンテナ11が下降し、内部スペースHが密閉された時点で、減圧を開始しても良い。又減圧の開始後であれば、減圧が完了する前にブラダー3内への加熱加圧媒体の注入を開始しても良い。
減圧に伴い、タイヤTと加硫金型2との間の空気は、第2の流路21を介して外部に強制排気される。同様に、減圧に伴い、タイヤTとブラダー3との間の空気も、第1の流路20を介して外部に強制排気される。これにより、空気溜まりの発生が防止され、タイヤの外観品質の低下が抑制される。
図5(b)に示すように、金型開工程S4では、ブラダー3から加熱加圧媒体を排出しかつブラダー3を減圧した状態(負圧となった状態)、即ち、加硫されたタイヤT1からブラダー3を引き出した状態にて、加硫金型2が開かれる。
又タイヤ製造方法では、ブラダー3内への加熱加圧媒体の注入の完了以降(完了時を含む)において、少なくともブラダー3とタイヤTとの間を大気に導通させる大気導通が行われる。この大気導通は、本例では、切替弁26とON-OFF弁33との操作により、内部スペースHへの減圧を解除し内部スペースHを大気に導通させることにより行われる。
これにより、図6に示すように、金型開工程S4においてブラダー3を減圧させる際、ブラダー3とタイヤT1との間に、大気Eを第1の流路20から送り込むことができる。その結果、加硫されたタイヤT1からブラダー3を引き出す際のタイヤT1の変形を防止することができる。
大気導通としては、ブラダー3とタイヤTとの間に通じるが内部スペースHとは独立する流路を別途設け、ブラダー3とタイヤTとの間のみを大気に導通させても良い。
この大気導通は、加熱加圧媒体の注入の完了以降であれば、加硫中に行っても良い。なお、タイヤT1の変形防止のためには、ブラダー3の内圧が負圧となる前に行うことが好ましい。言い換えれば、加熱加圧媒体がブラダー3から排気途中であっても、ブラダー3の内圧が0からマイナスに切り替わるまでは、大気導通を行うことができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するために、図2に示す構造を有する加硫装置を用い、表1の仕様に基づいてタイヤサイズ235/60Rのタイヤが、それぞれ30本、バキューム加硫によって製造された。そして、タイヤの空気残りによる不良、及びブラダーを引き出す際のタイヤの変形不良の発生の有無が、目視検査によって全数(各30本)チェックされた。不良の発生したタイヤが0本の場合を「無」、1本以上ある場合を「有」としている。
従来例と比較例と実施例は、大気導通の有無及び大気導通のタイミング以外、実質的に同仕様である。
1 加硫装置
2 加硫金型
3 ブラダー
11 コンテナ
20 流路
S2 金型閉工程
S3 加硫工程
S4 金型開工程
T タイヤ
2 加硫金型
3 ブラダー
11 コンテナ
20 流路
S2 金型閉工程
S3 加硫工程
S4 金型開工程
T タイヤ
Claims (3)
- 加硫金型とコンテナとブラダーとを含む加硫装置を用いて、未加硫のタイヤを加硫するタイヤ製造方法であって、
前記タイヤが投入された開状態の前記加硫金型を、前記コンテナで囲みながら閉じる金型閉工程と、
前記コンテナの内部の減圧状態にて前記ブラダーに加熱加圧媒体を注入し、前記タイヤを加硫する加硫工程と、
前記ブラダーから前記加熱加圧媒体を排出しかつ前記ブラダーを減圧した状態にて前記加硫金型を開く金型開工程とを含み、
前記ブラダーへの前記加熱加圧媒体の注入の完了以降において、少なくとも前記ブラダーと前記タイヤとの間を大気に導通させる大気導通が行われ、
前記大気導通は、前記ブラダーの内圧が負圧となる前に行われる、
タイヤ製造方法。 - 前記大気導通は、前記コンテナの内部を大気に導通させることにより行われる、請求項1に記載のタイヤ製造方法。
- 前記加硫金型は、前記ブラダーと前記タイヤとの間に通じる流路を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2020205146A JP2022092368A (ja) | 2020-12-10 | 2020-12-10 | タイヤ製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020205146A JP2022092368A (ja) | 2020-12-10 | 2020-12-10 | タイヤ製造方法 |
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JP2020205146A Pending JP2022092368A (ja) | 2020-12-10 | 2020-12-10 | タイヤ製造方法 |
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2020
- 2020-12-10 JP JP2020205146A patent/JP2022092368A/ja active Pending
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