JP2023177819A - タイヤ加硫用ブラダのパンクを検出する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫工程において早期にブラダのパンクを検出することができる、タイヤ加硫用ブラダのパンクを検出する方法を提供する。
【解決手段】加硫金型にセットされた未加硫のタイヤをブラダによって内側から加熱加圧する加硫工程中に前記ブラダのパンクを検出する方法であって、前記加硫工程が、第1加硫媒体の供給によって第1内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加熱する加熱段階と、前記加熱段階の後に、第2加硫媒体の供給によって前記第1内圧よりも高い第2内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加圧する加圧段階とを含み、前記加圧段階にて、前記第2内圧とした前記ブラダを少なくとも一時的に減圧させ、漏れ出た前記第1加硫媒体をセンサで検知することによりパンクを検出する。
【選択図】図2

Description

本開示は、タイヤの加硫成形に用いられるタイヤ加硫用ブラダに発生したパンクを検出する方法に関する。
従来、タイヤの加硫成形には、ゴム製の袋体であるタイヤ加硫用ブラダ(以下、単に「ブラダ」と呼ぶ)が用いられている。ブラダは、加硫金型にセットされた未加硫のタイヤ(生タイヤ)の内側に配置され、圧力及び温度が調整された加硫媒体の供給に応じて膨張変形する。加硫工程では、膨張変形したブラダによってタイヤが加硫金型のタイヤ成形面に押し付けられる。タイヤは、加硫金型によって外側から加熱加圧されると共に、ブラダによって内側から加熱加圧される。
ブラダは、経年劣化によってパンクする可能性がある。パンクが発生したブラダでタイヤを加硫成形すると、加硫媒体のリークに起因した成形不良を生じる恐れがある。したがって、加硫成形を終えたタイヤを加硫金型から取り出した後、そのタイヤに生じた成形不良を通じてパンクの発生を認識できる。しかし、そこからブラダの交換作業を開始すると、前段取り(交換準備)を行う時間も含めて加硫機を停止させなければならず、稼働率の大幅な低下が避けられない。
特許文献1,2には、それぞれ、タイヤを加硫金型から取り出す前にブラダのパンクを検出する方法が記載されている。しかしながら、これらは、加硫工程の終盤となる、ブラダの内部に充填されている加硫媒体を外部に排出する段階でパンクを検出する手法である。そのため、パンクを検出した後で直ちにブラダの交換作業を開始しても、前段取りを行う時間も含めて加硫機を停止させることになる可能性が高く、やはり稼働率の大幅な低下が避けられない。
特開2017-39288号公報 特開2001-191332号公報
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加硫工程において早期にブラダのパンクを検出することができる、タイヤ加硫用ブラダのパンクを検出する方法を提供することにある。
本開示の方法は、加硫金型にセットされた未加硫のタイヤをブラダによって内側から加熱加圧する加硫工程中に前記ブラダのパンクを検出する方法であって、前記加硫工程が、第1加硫媒体の供給によって第1内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加熱する加熱段階と、前記加熱段階の後に、第2加硫媒体の供給によって前記第1内圧よりも高い第2内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加圧する加圧段階とを含み、前記加圧段階にて、前記第2内圧とした前記ブラダを少なくとも一時的に減圧させ、漏れ出た前記第1加硫媒体をセンサで検知することによりパンクを検出するものである。
加硫機の構成の一例を模式的に示す図 ブラダの内圧の推移の一例を示すグラフ ブラダとタイヤとの間にトラップされたスチームを示すイメージ図 加硫工程の時間の内訳に関する具体例を示した表
まずは、加硫機の構成の一例について説明する。図1は、タイヤ子午線断面に沿った加硫機100の断面を模式的に示している。本実施形態の加硫機100は、加硫金型1(以下、単に「金型1」と呼ぶ場合がある)と、その金型1を保持するコンテナ2と、ゴム製の袋体であるタイヤ加硫用ブラダ3(以下、単に「ブラダ3」と呼ぶ場合がある)と、金型1の中心部に設けられた中心機構4とを備える。図1では金型1が型閉め状態にあり、タイヤTはタイヤ軸方向を上下に向けてセットされている。図1における左方向はタイヤ径方向外側であり、右方向はタイヤ径方向内側である。
金型1は、タイヤTのトレッドを成形するトレッド型11と、タイヤTのサイドウォールを成形するサイド型12,13と、タイヤTのビード部が嵌合されるビードリング14,15とを備える。トレッド型11は、タイヤ周方向に分割された複数のセクターで構成されており、型閉め状態ではそれらが寄り集まって環状に連なっている。金型1は、そのような分割タイプのトレッド型11を備えたセグメンテッドモールドであるが、これに限定されず、例えばトレッド型の中央部で上下に二分割された2ピースモールドであってもよい。
金型1は、セットされたタイヤTの外表面に接するタイヤ成形面16を備える。タイヤ成形面16は、トレッド型11の内面と、サイド型12,13の内面とを含む。図示を省略しているが、トレッド型11の内面には、タイヤのトレッドパターンを形成するための凹凸が設けられている。通気孔17は、ベントホールとも呼ばれ、金型1のタイヤ成形面16に開口して形成されている。図1では、トレッド型11の内面で開口する1本の通気孔17しか描いていないが、実際には、トレッド型11やサイド型12,13の内面で開口する多数の通気孔が形成されている。
コンテナ2は、セクターの各々に対応して設けられた複数のセグメント21と、セグメント21のタイヤ径方向外側に配置されたアウターリング22とを備える。トレッド型11は、セグメント21によって保持されている。セグメント21の外周面と、それに係合するアウターリング22の内周面とは、互いに同じ傾斜を有するテーパ面によって形成されている。これらのテーパ面は、それぞれ下方に向かってタイヤ径方向外側に傾斜している。トレッド型11は、アウターリング22の昇降に伴ってタイヤ径方向に移動自在に構成されている。
コンテナ2は、更に、サイド型12を支持する上側プラテン23と、サイド型13を支持する下側プラテン24と、アウターリング22を支持するアーム25とを備える。上側プラテン23は、昇降可能に構成されている。上側プラテン23の下面には、セグメント21がタイヤ径方向に沿って摺動可能に支持されている。アーム25は、上側プラテン23の上面に立設されたガイド26に昇降可能に取り付けられている。ガイド26に対してアーム25が相対的に昇降することで、セグメント21に対してアウターリング22が相対的に昇降し、セグメント21に保持された各セクターがタイヤ径方向に移動する。
タイヤの加硫成形は、図1に示した型閉め状態において行われる。コンテナ2は、電気ヒータや蒸気ジャケットなどの熱源を有しており、それによって高温に保持された金型1がタイヤTを外側から加熱する。加硫成形が終了したら、上述したコンテナ2の機構によってトレッド型11を拡径させる(各セクターをタイヤ径方向外側に移動させる)と共に、トレッド型11とサイド型12を上昇させて、型開き状態に移行する。型開き状態では、加硫成形後のタイヤを取り出したり、未加硫のタイヤをセットしたりすることが可能となる。
ブラダ3は、金型1にセットされたタイヤTの内側に配置されている。ブラダ3は、後述する加硫媒体が供給されることにより膨張変形し、その内部に充填された加硫媒体が排出されることにより収縮変形する。加硫工程では、膨張変形したブラダ3によってタイヤ成形面16にタイヤTが押し付けられる。ブラダ3は、中心機構4によって支持されている。より具体的には、ブラダ3の上端部が中心機構4の上部クランプ42によって支持され、ブラダ3の下端部が中心機構4の下部クランプ43によって支持されている。
中心機構4は、金型1の中心部において上下方向に延びるセンターポスト41を備える。センターポスト41は、金型1に対して、タイヤ径方向内側に離間して配置されている。センターポスト41には、上部クランプ42及び下部クランプ43が取り付けられている。上部クランプ42及び下部クランプ43の各々の少なくとも一部は、ブラダ3と一緒に、センターポスト41に対して着脱自在に構成されている。図示を省略しているが、センターポスト41には、ブラダ3の内部に加硫媒体を供給するための第1供給ライン51s及び第2供給ライン51nの供給口と、ブラダ3の内部に充填された加硫媒体を外部に排出するための排出ライン52の排出口とが設けられている。
加硫機100には、供給口を介してブラダ3の内部に連通する第1供給ライン51s及び第2供給ライン51nと、排出口を介してブラダ3の内部に連通する排出ライン52とが設けられている。第1供給ライン51sには第1加硫媒体の供給源53sが接続され、第2供給ライン51nには第2加硫媒体の供給源53nが接続されている。第1供給ライン51s及び第2供給ライン51nには、それぞれ供給バルブ54,55が設けられている。排出ライン52には、排出バルブ56が設けられている。各バルブの開閉操作は、図示しない制御装置によって制御可能に構成されている。
加硫機100には、金型1のタイヤ成形面16に開口して形成された通気孔17に連通する排気ライン61が設けられている。加硫成形時、タイヤTの外表面とタイヤ成形面16との間の余分な空気は、通気孔17から排気ライン61を経由して外部に排出される。通気孔17から排気ライン61に至る経路は、コンテナ2の間隙(例えば、トレッド型11とセグメント21との間隙、サイド型12と上側プラテン23との間隙、サイド型13と下側プラテン24との間隙など)を介して設けられているが、これに限られない。コンテナ2の間隙の所要部位には図示しないシール材が装着されており、上述した余分な空気が適切に排気ライン61に送られるように構成されている。
排気ライン61は途中で分岐しており、そのうち一方の分岐路61aには吸引機62が接続され、他方の分岐路61bには大気開放バルブ63が接続されている。分岐路61aに設けられた吸引機62のバルブ64及び大気開放バルブ63の開閉操作は、図示しない制御装置によって制御される。センサ65は、排気ライン61に接続された大気開放バルブ63の上流側に設置されている。センサ65は、圧力計66と共に、排気ライン61の分岐点61cと大気開放バルブ63との間に設置されている。センサ65は圧力計66の上流側に配置されているが、これらは逆でも構わない。本実施形態では、センサ65が温度センサである例を示す。
次に、加硫機100を用いてタイヤTを加硫成形し、その過程でブラダ3のパンクを検出する方法について説明する。タイヤの加硫成形は、金型1にセットされた未加硫のタイヤTを加熱加圧する加硫工程を経て実行される。加硫工程では、未加硫のタイヤTを金型1によって外側から加熱加圧すると共に、そのタイヤTをブラダ3によって内側から加熱加圧する。後述するように、本実施形態によれば、加硫工程中に、更に言えば加硫工程における比較的早い時期に、ブラダ3のパンクを検出することが可能である。
加硫工程は、第1加硫媒体の供給によって内圧P1(第1内圧に相当)としたブラダ3でタイヤTを加熱する加熱段階と、その加熱段階の後に、第2加硫媒体の供給によって内圧P1よりも高い内圧P2(第2内圧に相当)としたブラダ3でタイヤTを加圧する加圧段階とを含む。一例として、内圧P1は1.6MPaであり、内圧P2は2.4MPaである。第1加硫媒体には加熱媒体となる流体が用いられ、好ましくは蒸気が用いられる。第2加硫媒体には加圧媒体となる流体が用いられ、好ましくは加圧ガスとして不活性ガスが用いられる。本実施形態では、第1加硫媒体としてスチームが用いられ、第2加硫媒体として窒素ガス(Nガス)が用いられる例を示す。
図2は、ブラダ3の内圧の推移を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸はブラダ3の内圧を示している。横軸のT1からT2までの範囲が加熱段階に相当し、T2からT6までの範囲が加圧段階に相当する。未加硫のタイヤTを投入した金型1が型閉め状態にされた後、圧力と温度が調整されたスチームがブラダ3の内部に供給される。ブラダ3は、所定の時間(T2の時点まで)一定の内圧P1で保持される。この間、供給バルブ54は開かれ、供給バルブ55及び排出バルブ56は閉じられている。タイヤTは、スチームの供給により膨張変形したブラダ3によって内側から加熱されると共に、タイヤ成形面16に押し付けられて外側からも加熱される。
金型1を型閉めする際(例えば、型閉めの完了直前からスチームの供給開始後30秒間)、大気開放バルブ63を閉じた状態で吸引機62を作動させて、タイヤTの外表面とタイヤ成形面16との間の余分な空気を吸引することが好ましい。これにより、残留空気による成形不良の発生を抑制できる。吸引された空気は、排気ライン61を通じて吸引機62のタンクに送られる。このとき、圧力計66で検知されるゲージ圧(負圧)によって、吸引機62による排気の状況を確認できる。上述のようにコンテナ2の間隙にシール材が装着されていることは、吸引作用を高めるのに効果的である。吸引終了後は分岐路61aのバルブ64を閉じ、次いで大気開放バルブ63を開く。
ブラダ3にパンクが発生している場合には、加熱段階においてブラダ3からスチームがリークする。しかし、図3に示したイメージ図のように、ブラダ3の外部にリークしたスチームSは、ブラダ3の外表面とタイヤTの内表面との間にトラップされやすい。ブラダ3の小さな破れRを介して徐々にリークが進行すること、及び、加熱段階ではブラダ3が一定の内圧P1に保持されていることが、その原因として考えられる。便宜上、以降の説明では、このようにしてトラップされたスチームSを「スチームTS」と呼ぶ場合がある。尚、トラップされたスチームTSは、タイヤTに熱を奪われて、その一部または全部が凝縮してドレーン化することがあると考えられる。
図2におけるT2の時点で、加熱段階から加圧段階に切り替えられる。切り替わる際には、供給バルブ54を閉じて供給バルブ55を開くことで、圧力と温度が調整された窒素ガスがブラダ3の内部に供給される。これによって、ブラダ3をより高圧の内圧P2とし、タイヤTを更に加圧して加硫を促進することができる。また、加圧段階では、内圧P2としたブラダ3を少なくとも一時的に減圧させる。ブラダ3の減圧は、排出バルブ56を閉じたまま供給バルブ55を閉じて窒素ガスの供給を停止することで、タイヤTに熱を奪われたブラダ3の内圧が低下することにより発現される。最初の減圧は、図2におけるT2からT3までの範囲で行われている。
本実施形態では、上記のように内圧P2としたブラダ3を減圧させ、漏れ出たスチームをセンサ65で検知することによりパンクを検出する。ブラダ3を減圧させることで、トラップされていたスチームTSの圧力が相対的に高くなり、ブラダ3とタイヤTとの間から漏れ出ることができる。例えば図3で図示したスチームTSは、ブラダ3の減圧に応じて図面右側に移動し、ブラダ3とタイヤTとの間から漏れ出ることができる。尚、トラップされていたスチームTSがドレーン化している場合には、ブラダ3の減圧によってドレーンが再蒸発し、気化に伴う体積膨張とも相俟って、スチームTSの圧力が相対的に高くなり、ブラダ3とタイヤTとの間から漏れ出ると考えられる。
センサ65は、センサ65に送られてきた空気の温度を検知する。トラップされていたスチームTSが加圧段階で漏れ出ると、通常よりも高温の空気がセンサ65に送られてきて、スチームが精度良く検知される。センサ65は、スチームを検知可能であれば特に限定されず、例えば湿度センサであってもよい。図1に示す判定器67は、センサ65の検知結果を予め設定された閾値と比較し、閾値を超えている場合にはブラダ3にパンクが発生していると判定する。その判定結果は、音声、光または画像などを出力可能な報知器68に送信され、パンクが検出された場合に作業者に報知される。これらの機器の制御は、図示しない制御装置によって行われる。
ブラダ3とタイヤTとの間から漏れ出たスチームは、上述したコンテナ2の間隙に入り込む。本実施形態では、コンテナ2の間隙を介して、排気ライン61を通って送られてきたスチームをセンサ65で検知する。コンテナ2の間隙にシール材が装着されていることは、漏れ出たスチームを排気ライン61を通じてセンサ65に供給するうえで有益である。分岐路61bは、金型1やコンテナ2から十分に離れた位置にあり、雰囲気温度(周囲温度)付近まで冷却された空気が大気開放されるように構成されている。したがって、高温(例えば100℃付近)のスチームが含まれていると急激な温度差を生じるため、センサ65によって精度良くスチームを検知できる。
図2のように、本実施形態の加圧段階では、ブラダ3を内圧P2とした時点で直ちに窒素ガスの供給を停止してブラダ3を減圧させている。つまりは、ブラダ3が内圧P2に到達した時点で供給バルブ55を閉じている。かかる方法によれば、トラップされていたスチームTSが漏れ出るタイミングを早めて、より早期にブラダ3のパンクを検出することができる。
また、本実施形態の加圧段階では、窒素ガスの供給停止(即ち、供給バルブ55の閉鎖)によるブラダ3の減圧と、窒素ガスの供給再開(即ち、供給バルブ55の開放)によるブラダ3の加圧とを交互に繰り返している。具体的には、図2におけるT2からT3までの範囲で最初の減圧を行い、T3の時点で窒素ガスの供給を再開してブラダ3を再加圧し、それ以降も同様に減圧と加圧とを交互に繰り返している。これによって、最初の減圧で漏れ出なかったスチームTSが二回目以降の減圧で漏れ出る場合があり、パンク検出の可能性が高められる。また、窒素ガスが間欠的に供給されることにより、ブラダ3の内部を撹拌する効果を奏して温度の均一化を図ることができる。
本実施形態の加圧段階では、減圧させたブラダ3が内圧P1よりも高く且つ内圧P2よりも低い所定の内圧P3(第3内圧に相当)に到達した時点(図2におけるT3,T4及びT5の時点)で、窒素ガスの供給を再開してブラダ3を加圧している。一例として、内圧P3は2.1MPaである。図2では減圧を四回実施しているが、少なくとも一時的にブラダ3を減圧させるものである限り、回数は特に限られない。図2のように、減圧させたブラダ3が内圧P2から内圧P3に至る時間は徐々に長くなっている。これは、時間の経過と共にタイヤTの温度が上昇する結果、タイヤTの熱吸収によるブラダ3の内圧低下の勾配が次第に小さくなるためである。
図2におけるT6の時点では、タイヤTの加熱加圧を終了するため、排出バルブ56を開いてブラダ3の内部に充填されている加硫媒体を排出する。それによりブラダ3を収縮変形させると共に、金型1を型開き状態として、加硫済みタイヤを金型1から取り出せる状態にする。上述した特許文献1,2に記載された手法は、この加硫媒体を排出するタイミングでブラダ3のパンクを検出するものである。
本実施形態によれば、加硫工程において早期に(例えば、加硫工程の前半となる、図2におけるT2からT3までの範囲で)、ブラダ3のパンクを検出できる。例えばT7の時点でパンクを検出した場合であれば、それ以降の時間を使って前段取り(交換準備)を行うことができる。そのため、加硫済みタイヤを金型1から取り出した後で直ちに、或いは短い前段取りを挟んで、ブラダ3の交換作業を開始でき、その結果、加硫機100の停止時間を短縮できる。前段取りとしては、予備のブラダを治具(上部及び下部クランプ)に取り付けたり、それらのアセンブリをリフターなどの運搬機器を用いて金型1の近辺に運搬したりする作業が例示される。
図4は、加硫工程の時間の内訳に関する具体例を示した表である。例1~4における共通事項として、加熱段階でブラダに供給されるスチームの圧力は1.6MPa、温度は203℃である。また、加圧段階でブラダに供給される窒素ガスの圧力は2.3MPa、温度は常温である。その加圧段階では、図2で示したようにブラダの減圧と加圧とを交互に繰り返し、窒素ガスを間欠的に供給している。
例1は、ブラダのパンクを検出する機能が無い例である。したがって、金型から取り出した加硫成形後のタイヤの状態を通じてパンクの発生を認識することになる。そのため、交換準備可能時間(加硫工程中に前段取りに使える時間)が得られない。ブラダを交換する場合には、前段取りの時間も含めて加硫機を停止させなければならず、稼働率の大幅な低下が避けられない。
例2は、加硫工程の終盤において、ブラダ内の加硫媒体を排出する際にパンクを検出する例である。そのため、交換準備可能時間が得られるとしても0.5分以下であり、加硫工程中に前段取りに使える実質的な時間は見込めない。したがって、ブラダを交換する場合は、前段取りを行う時間も含めて加硫機を停止させなければならず、稼働率の大幅な低下が避けられない。
例3は、前述した実施形態のように、加圧段階におけるブラダの減圧に際してパンクを検出する例である。そのため、加硫時間が例1,2と同じであるにも関わらず、6.5~7.5分の交換準備可能時間が得られている。この時間に前段取りを実行すれば、加硫工程後すぐにブラダの交換作業を開始できるため、加硫機の停止時間の短縮化に資する。また、加硫工程中に前段取りを完了できなかったとしても、すでに実行した分だけ前段取りは短くなるため、やはり加硫機の停止時間の短縮化に資する。
例4は、例3と同様に、加圧段階におけるブラダの減圧に際してパンクを検出する例である。例4では例3よりも加圧段階に要する時間が長いため、9.5~10.5分の交換準備可能時間が得られている。これにより、加硫工程中に前段取りを実行できる時間が更に確保されるため、加硫機の停止時間を効果的に短縮し、稼働率の大幅な低下を抑制できる。
[1]
上記の通り、本開示の方法は、加硫金型1にセットされた未加硫のタイヤTをブラダ3によって内側から加熱加圧する加硫工程中にブラダ3のパンクを検出する方法であって、加硫工程が、第1加硫媒体としてのスチームの供給によって内圧P1としたブラダ3でタイヤTを加熱する加熱段階と、加熱段階の後に、第2加硫媒体としての窒素ガスの供給によって内圧P1よりも高い内圧P2としたブラダ3でタイヤTを加圧する加圧段階とを含み、加圧段階にて、内圧P2としたブラダ3を少なくとも一時的に減圧させ、漏れ出たスチームTSをセンサ65で検知することによりパンクを検出するものである。
かかる方法によれば、加熱段階でトラップされた第1加硫媒体(スチームTS)を加圧段階におけるブラダ3の減圧によって漏れ出させ、それをセンサ65で検知することにより、加硫工程において早期にブラダ3のパンクを検出することができる。その結果、加硫機100の停止時間を短縮して、ブラダ3の交換に伴う稼働率の大幅な低下を抑制することができる。
[2]
上記[1]の方法において、センサ65が温度センサであることが好ましい。これにより、高温の第1加硫媒体(スチームTS)を精度良く検知することができる。
[3]
上記[1]または[2]の方法において、加硫金型1のタイヤ成形面16に開口して形成された通気孔17と連通する排気ライン61を通って送られてきたスチームをセンサ65で検知することが好ましい。かかる方法によれば、ブラダ3の減圧によって漏れ出た第1加硫媒体(スチームTS)を検知するうえで都合がよい。
[4]
上記[3]の方法において、排気ライン61が途中で分岐し、そのうち一方の分岐路61aには吸引機62が接続され、他方の分岐路61bには大気開放バルブ63が接続されており、センサ65が、排気ライン61の分岐点61cと大気開放バルブ63との間に設置されていることが好ましい。かかる方法によれば、ブラダ3の減圧によって漏れ出た第1加硫媒体(スチームTS)を検知するうえで都合がよい。
[5]
上記[1]~[4]いずれか1つの方法において、加圧段階では、ブラダ3を内圧P2とした時点で直ちに窒素ガスの供給を停止してブラダ3を減圧させることが好ましい。かかる方法によれば、第1加硫媒体(スチームTS)が漏れ出るタイミングを早めて、より早期にブラダ3のパンクを検出することができる。
[6]
上記[1]~[5]いずれか1つの方法において、加圧段階では、窒素ガスの供給停止によるブラダ3の減圧と、窒素ガスの供給再開によるブラダ3の加圧とを交互に繰り返すことが好ましい。かかる方法によれば、ブラダ3の最初の減圧で漏れ出なかった第1加硫媒体(スチームTS)が二回目以降の減圧で漏れ出る場合があり、パンク検出の可能性を高めることができる。
本開示のパンク検出方法は、上記の如き加熱段階と加圧段階とを含む加硫工程中にブラダのパンクを検出するものであり、その加硫工程においては、従来公知の加硫機や金型構造、加硫条件などを何れも採用することが可能である。
以上、本開示の実施形態について説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく、特許請求の範囲によって示され、更には特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
したがって、例えば、前述の実施形態では、加硫工程の開始に際して排気ライン61に接続した吸引機62を作動させ、タイヤTの外表面とタイヤ成形面16との間の余分な空気を吸引する例を示したが、これに限定されない。本開示のパンク検出方法において、そのような吸引は必須ではないため、省略しても構わない。
また、前述の実施形態では、内圧P2としたブラダ3を少なくとも一時的に減圧させるために、排出バルブ56を閉じたまま供給バルブ55を閉じて窒素ガスの供給を停止する例を示したが、これに限定されない。例えば、供給バルブ55の閉鎖に代えて又は加えて、排出バルブ56を開放することによりブラダ3の内圧を低下させても構わない。
また、前述の実施形態では、排気ライン61の分岐点61cと大気開放バルブ63との間に設置したセンサ65によってスチームTSを検知する例を示したが、これに限定されない。漏れ出たスチームTS(第1加硫媒体)を検知可能である限り、センサ65は、排気ライン61の別の箇所に設置されていてもよく、或いは排気ライン61ではない別の箇所に設置されていてもよい。
本開示のタイヤ加硫用ブラダのパンクを検出する方法は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
1 加硫金型
2 コンテナ
3 タイヤ加硫用ブラダ
4 中心機構
16 タイヤ成形面
17 通気孔
61 排気ライン
61a 分岐路
61b 分岐路
61c 分岐点
62 吸引機
63 大気開放バルブ
65 センサ
100 加硫機

Claims (6)

  1. 加硫金型にセットされた未加硫のタイヤをブラダによって内側から加熱加圧する加硫工程中に前記ブラダのパンクを検出する方法であって、
    前記加硫工程が、第1加硫媒体の供給によって第1内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加熱する加熱段階と、前記加熱段階の後に、第2加硫媒体の供給によって前記第1内圧よりも高い第2内圧とした前記ブラダで前記タイヤを加圧する加圧段階とを含み、
    前記加圧段階にて、前記第2内圧とした前記ブラダを少なくとも一時的に減圧させ、漏れ出た前記第1加硫媒体をセンサで検知することによりパンクを検出することを特徴とする、タイヤ加硫用ブラダのパンクを検出する方法。
  2. 前記センサが温度センサである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加硫金型のタイヤ成形面に開口して形成された通気孔と連通する排気ラインを通って送られてきた前記第1加硫媒体を前記センサで検知する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記排気ラインが途中で分岐し、そのうち一方の分岐路には吸引機が接続され、他方の分岐路には大気開放バルブが接続されており、
    前記センサが、前記排気ラインの分岐点と前記大気開放バルブとの間に設置されている、請求項3に記載の方法。
  5. 前記加圧段階では、前記ブラダを前記第2内圧とした時点で直ちに前記第2加硫媒体の供給を停止して前記ブラダを減圧させる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記加圧段階では、前記第2加硫媒体の供給停止による前記ブラダの減圧と、前記第2加硫媒体の供給再開による前記ブラダの加圧とを交互に繰り返す、請求項1~5いずれか1項に記載の方法。
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