JP2022092183A - 亜鉛二次電池用負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電池の動作中に被覆層が溶出することを抑制し、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる亜鉛二次電池用負極を提供することを目的とする。【解決手段】亜鉛を含む基材と、負極集電体とを有し、前記基材が前記負極集電体の表面に配置され、前記基材の表面の少なくとも一部に被覆層が形成され、前記被覆層が疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含み、前記基材と前記被覆層とが分子的に結合している、亜鉛二次電池用負極。【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛二次電池用負極に関する。
近年、携帯機器の普及や、環境及びエネルギー問題を背景としたハイブリッド車の普及、あるいは電気自動車や余剰電力貯蔵用の定置式大型電池の開発などに見られるように、電池、特に二次電池の果たす役割とそれに対する期待はますます大きくなっている。代表的な二次電池として、亜鉛二次電池が挙げられる。亜鉛二次電池の具体例としては、ニッケル亜鉛二次電池、空気亜鉛二次電池、銀亜鉛二次電池等が知られている。中でも、ニッケル亜鉛二次電池は、高率放電性能に優れ、低温で使用可能であるという利点を有する。加えて、ニッケル亜鉛二次電池は、不燃性のアルカリ電解液を使用することから安全性が高いという利点を有する。
しかしながら、ニッケル亜鉛二次電池は、貯蔵中に負極亜鉛が腐蝕し、電気容量が低下する場合がある。このような負極亜鉛の腐蝕を抑制する方法として、例えば、特許文献1には、亜鉛負極に用いる亜鉛粉末又は亜鉛合金粉末に、疎水性のアルキル基を有する非イオン界面活性剤、具体的には、エチレンオキサイドの付加モル数が8以上でアルキル基の炭素数が6~25であるエステル型のエチレングリコール系非イオン界面活性剤を添加して、亜鉛の耐蝕性を向上させる方法が提案されている。
特公平6-75396号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法のように亜鉛粉末に単に被覆材を添加して吸着させただけでは亜鉛粉末と被覆材との密着性が弱いため電池の動作中に被覆材が溶出し、電池の充放電サイクルの経過に伴い容量維持率が低下する場合があり、改善の余地がある。
そこで、本発明は、電池の動作中に被覆材が溶出することを抑制し、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる亜鉛二次電池用負極を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、亜鉛二次電池用負極において、亜鉛を含む基材と被覆層とを分子的に結合させることにより、電池の動作中に被覆層が溶出することを抑制し、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]
亜鉛を含む基材と、負極集電体とを有し、
前記基材が前記負極集電体の表面に配置され、
前記基材の表面の少なくとも一部に被覆層が形成され、
前記被覆層が疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含み、
前記基材と前記被覆層とが分子的に結合している、亜鉛二次電池用負極。
本発明の亜鉛二次電池用負極は、電池の動作中に被覆層が溶出することを抑制し、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る亜鉛二次電池用負極の形態の一例を模式的に示す断面図である。 図1の符号4で示した四角囲み部分における表面に被覆層が形成された基材の拡大図である。 表面に被覆層が形成されていない従来の基材の模式図である。 実施例及び比較例における亜鉛二次電池のサイクル特性の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極は、亜鉛を含む基材と、負極集電体とを有し、前記基材が前記負極集電体の表面に配置され、前記基材の表面の少なくとも一部に被覆層が形成され、前記被覆層が疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含み、前記基材と前記被覆層とが分子的に結合している。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極は、このような構成とすることにより、電池の動作中に被覆層が溶出することを抑制し、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる。そして、本実施形態の亜鉛二次電池用負極を用いることにより、耐久性に優れる亜鉛二次電池を提供することができる。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極がこのような効果を発現する要因は明らかではないが、本発明者らはその要因を以下のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。図1は、本実施形態の亜鉛二次電池用負極の形態の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すとおり、亜鉛二次電池用負極10は、負極集電体5の表面に、基材(Zn粒子)1と、表面に被覆層が形成された基材(ZnO粒子)2とが配置され、各々の基材がバインダ3により結着されている。各基材は負極集電体の片面だけに配置されていてもよく、表裏両面に配置されていてもよい。図2は、図1の符号4で示した四角囲み部分における表面に被覆層が形成された基材(ZnO粒子)の拡大図である。図2に示すとおり、本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、基材(ZnO粒子)6の少なくとも一部の表面が被覆層20(疎水基及び親水基を有する高分子化合物)と分子的に結合しているため、電池の充放電サイクルを多数回経過させても被覆層20の溶出を抑制でき、基材(ZnO粒子)6の形状が保たれる。その結果、基材(ZnO粒子)6中の亜鉛とOH-との反応(亜鉛(Zn2+)生成及び溶解析出)が制御され、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる。特に、図2に示すとおり、基材(ZnO粒子)6において、表面を被覆層20で完全に被覆するのではなく部分的に被覆して、イオンの通り易い部分30を形成することにより、基材(ZnO粒子)6中の亜鉛とOH-との反応(亜鉛(Zn2+)生成及び溶解)がイオンの通り易い部分30を中心に発生するようになり、未反応部が存在できるようになる。その結果、基材(ZnO粒子)6の形状が保たれ、電池の深充放電サイクル(>SOC80%以上)の経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる。一方、図3に示すとおり、従来の基材(ZnO粒子)7は、表面に被覆層が形成されていないため、基材(ZnO粒子)7中の亜鉛とOH-との反応(亜鉛(Zn2+)生成及び溶解析出)が制御されずランダムに起こる。その結果、基材(ZnO粒子)7の形状が保たれず、電池の充放電サイクルの経過に伴い容量維持率が低下する。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、基材としては、亜鉛を含む化合物(亜鉛化合物)及び金属亜鉛からなる群より選ばれ1種以上の粒子であれば特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛粒子、金属亜鉛粒子等が挙げられる。これらの粒子の平均粒子径は、1nm~10μmであることが好ましく、50nm~1μmであることがより好ましく、100nm~0.8μmであることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、基材の粒子の平均粒子径は、例えば、窒素吸着法又は光散乱法の測定データに基づいて算出することができる。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、基材の表面の少なくとも一部に被覆層が形成される。該被覆層の最大厚みは、0.1nm~50nmであることが好ましく、0.5nm~10nmであることがより好ましく、0.8nm~5nmであることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、被覆層の最大厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)での画像観察によるコート膜厚測定値に基づいて算出することができる。
また、基材の表面における被覆層の被覆率は調整することができ、上述したとおり、基材の表面を完全に被覆するのではなく部分的に被覆して、イオンの通り易い部分を形成することが好ましい。基材の表面における被覆層の平均被覆率は10%~90%であることが好ましく、30%~80%であることがより好ましく、60%~75%であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、被覆層の平均被覆率は、例えば、被覆及び吸着させたコート材の重量と、TEMによる画像観察とを組み合わせることにより算出することができる。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極は、亜鉛を含む基材と、疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含む被覆層とが分子的に結合している。該基材と該被覆層とを分子的に結合させる方法としては、特に限定されないが、例えば、該基材と該被覆層とを熱処理する方法が挙げられ、具体的には、例えば、該基材に含まれる金属亜鉛又は亜鉛化合物と、該被覆層に含まれる疎水基及び親水基を有する高分子化合物とを脱水縮合させる方法が挙げられる。なお、被覆層における高分子化合物の少なくとも一部分が基材と分子的に結合していればよい。
なお、本実施形態において、基材と被覆層とが分子的に結合していることは、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)又はX線光電分光法(XPS法)により確認することができる。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、基材の表面に形成される被覆層は、疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含む。該高分子化合物としては、分子構造の一部にメチル基、オレフィン系分子構造、及び/又は酸素原子が含まれる化合物が好ましい。また、該高分子化合物としては、分子構造の一部にフッ素原子が含まれる化合物が好ましい。本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、このような分子構造の一部に疎水部分を有する高分子化合物を基材の表面に形成することが好ましいが、このような疎水部分を有しない高分子化合物であっても上述した亜鉛とOH-との反応(亜鉛(Zn2+)生成及び溶解析出)を抑制できるような被覆層が基材の表面に形成されていればよい。
また、該高分子化合物としては、分子構造の一部にケイ素原子が含まれる化合物が好ましい。
該高分子化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロゲンジメチコン、又は、エトキシシラン、アミノシラン等をモノマーとするケイ素原子含有高分子化合物が主に挙げられ、特に該高分子化合物中にフッ素原子を含んでいてもよい。
本実施形態の亜鉛二次電池用負極において、このような高分子化合物を含む被覆層と、亜鉛を含む基材とを分子的に結合させることにより、被覆層の溶出を抑制でき、その結果、電池の充放電サイクルの経過に伴う容量維持率の低下を抑制できる。そして、本実施形態の亜鉛二次電池用負極を用いることにより、耐久性に優れる亜鉛二次電池を提供することができる。
以下、亜鉛二次電池の一例として、ニッケル亜鉛二次電池について説明する。
ニッケル亜鉛二次電池は、典型的には、例えば、正極活物質(水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等)を含む正極と、負極活物質(亜鉛、酸化亜鉛等)を含む負極と、これらを絶縁するセパレータと、アルカリ電解液とを備える。
正極には、ニッケル亜鉛二次電池に用いられている従来公知の正極を使用してよい。
具体的には、正極は、典型的には、正極集電体と、当該正極集電体に支持された正極活物質とを有する。
正極集電体の形態としては、特に限定されないが、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル、メッシュ、発泡体、セルメット等が挙げられる。
正極集電体を構成する材料としては、耐アルカリ性を有する金属が好ましく、ニッケルがより好ましい。
正極活物質としては、水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケルの少なくとも一方が用いられる。正極では、この正極活物質により、以下の電気化学的反応が起こる。
〔充電〕Ni(OH)2+OH-→NiOOH+H2O+e-
〔放電〕NiOOH+H2O+e-→Ni(OH)2+OH-
電池特性向上の観点から、正極活物質には、亜鉛、コバルト、カドミウム等が固溶されていてもよい。電池特性向上の観点から、正極活物質の表面が、金属コバルト、コバルト酸化物等で被覆されていてもよい。
また、正極は、導電材、バインダ等を含有していてもよい。すなわち、正極において、正極活物質と他の成分を含む正極合材が、正極集電体に支持されていてもよい。
導電材としては、特に限定されないが、例えば、オキシ水酸化コバルト、及びその前駆体等が挙げられる。
バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)等が挙げられる。
セパレータは、正極と負極との間に介在し、正極と負極とを絶縁するとともに、水酸化物イオンを伝導する部材である。セパレータには、ニッケル亜鉛二次電池に用いられている従来公知のセパレータを使用してよい。
セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、樹脂製の多孔質フィルム、樹脂製の不織布等を用いることができる。樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が挙げられる。
セパレータは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。
また、セパレータとして、多孔質基材に、アルミナ、シリカ等の酸化物や、窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物を付着させたものを使用することができる。
また、負極は、導電材、バインダ等を含有していてもよい。
ニッケル亜鉛二次電池の負極では、以下の電気化学的反応が起こるため、負極活物質は、亜鉛及び酸化亜鉛のうちの少なくとも1種が挙げられる。
〔充電〕ZnO+H2O+2e-→Zn+2OH-
〔放電〕Zn+2OH-→ZnO+H2O+2e-
負極集電体の形態としては、特に限定されないが、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル、メッシュ、発泡体、セルメット等が挙げられる。また、エンボス加工の凸部の頂部が開口したシート材等が挙げられる。
負極集電体を構成する材料としては、導電性の高い金属が好ましく、銅及び銅合金(例、真鍮等)がより好ましく、銅が特に好ましい。
また、負極集電体は、少なくとも表面が導電性を有していればよいため、表面が銅又は銅合金製で内部がニッケル等の他の材料製である構成も可能である。この内部の材料は、金属に限られず、よって、銅メッキされた不織布等も負極集電体として用いることができる。
負極活物質が析出可能な表面積が大きく、かつデンドライトの成長方向が分散されてデンドライトによる短絡が特に起こりにくいことから、負極集電体としては、三次元網目構造を有するものが好ましい。具体的には、発泡体、セルメット、銅メッキされた不織布が好ましい。中でも、柔軟性が高く負極の設計の自由度が高くなることから、銅メッキされた不織布がより好ましい。
負極集電体の表面は、亜鉛、スズ等の金属でメッキされていてもよく、スズでメッキされていることが好ましい。このようなメッキによれば、負極集電体からの水素発生を抑制することができる。
電解液には、電解質として、通常、アルカリ金属水酸化物が用いられる。アルカリ金属水酸化物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、中でも、水酸化カリウムが好ましい。
電解液の溶媒としては、通常、水が用いられる。
電解質の濃度は、特に制限はないが、好適には5mol/L以上11mol/L以下である。
ニッケル亜鉛二次電池は、各種用途に利用可能であり、好適な用途としては、家庭用又は産業用のバックアップ電源、及び電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<亜鉛二次電池用負極の作製>
負極における基材の一つとして、酸化亜鉛粉(LPZINC-2-KS 堺化学工業製)を用いた。なお、該基材の酸化亜鉛の平均粒子径は、2μmであった。該基材の酸化亜鉛と、疎水基及び親水基を有し、分子構造の一部にケイ素原子(Si)を含む高分子化合物(ハイドロゲンジメチコン)とを脱水縮合(分子的に結合)させることにより、前記基材の表面に前記高分子化合物を含む被覆層を形成した。該被覆層の最大厚みは0.8nmであり、基材の表面における被覆層の平均被覆率は80%であった。
次に、被覆層を形成した酸化亜鉛粉と、金属亜鉛粉と、カルボキシメチルセルロースと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、イオン交換水とを、順に90:10:1:3:60の質量割合で混合して混合物を得た。その後、得られた混合物に対して、公転-自転ミキサーにより10分間、混練脱泡を行い、スラリーインクを作製した。
次に、作製したスラリーインクを負極集電体であるスズメッキされた発泡金属銅の上に塗工(塗工量目安:88mg/cm2)し、80℃で0.5時間、さらに150℃で1時間真空乾燥した。得られた乾燥物をロールプレスにより線圧1tonでプレスして、亜鉛二次電池用負極を作製した。
<亜鉛二次電池の作製>
上記作製した亜鉛二次電池用負極(厚さ120μm)の全体を親水性のセルロース混合不織布(セパレータ)で包埋した。
上記と同じくニッケル製発泡金属の上に水酸化ニッケルを塗工及び乾燥し、得られた乾燥物をプレスして、正極を作製した。プレスを実施した正極に正極端子を溶接したものを重ねて前記不織布(セパレータ)で正極全体を包埋した。該正極全体を包埋したものと前記負極全体を包埋したものとをあわせて電極体を得た。
得られた電極体を電池筐体(容器)に入れた後、6Mの水酸化カリウム(KOH)の電解液を適量滴下後、電池筐体(容器)を封止して一定時間静置し亜鉛二次電池を作製した。
<サイクル特性評価>
上記作製した亜鉛二次電池を用いて、充電状態/充電率(SOC)を100%、初期容量を140mAhと想定し、1~3サイクル目は表1:活性化 充放電パターンにて、4サイクル目以降は表2:サイクル試験 充放電パターンにて、50サイクルの充放電を行い、サイクル特性を評価した。なお、サイクル特性は、容量維持率(%)=(50サイクル目の容量/1サイクル目の容量)×100で定義した。結果を表3に示す。
[比較例1]
負極の作製において基材の酸化亜鉛粉に被覆層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして亜鉛二次電池を作製し、サイクル特性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2022092183000002
Figure 2022092183000003
Figure 2022092183000004
表3の結果から、亜鉛二次電池において、負極の基材として、高分子化合物を分子的に結合させて表面に被覆層を形成した基材を用いることにより、50サイクル目の容量維持率の低下を抑制でき、サイクル特性に優れることがわかった。
[実施例2]
<亜鉛二次電池の作製>
負極の基材において、金属亜鉛粉を用いずに、被覆層を形成した酸化亜鉛粉の割合を100質量%とした以外は、実施例1と同様にして、亜鉛二次電池を作製した。
<サイクル特性評価>
上記作製した亜鉛二次電池を用いて、SOCを80~0%、充電:1.95V、放電:1.10Vの条件で、100サイクルの充放電を行い、サイクル特性を評価した。1回目の充放電サイクルの際の放電容量と、各回数のサイクル数での放電容量の値を用いて、容量維持率(%)=(各サイクル数での容量/1サイクル目の容量)×100を算出した。結果を図4に示す。
[実施例3]
負極の基材において、金属亜鉛粉の割合を75質量%、被覆層を形成した酸化亜鉛粉の割合を25質量%とした以外は、実施例2と同様にして、亜鉛二次電池を作製し、サイクル特性を評価した。結果を図4に示す。
[比較例2]
負極の基材において、被覆層を形成した酸化亜鉛粉に代えて、酸化亜鉛粉に対して前記高分子化合物を分子的に結合させず単に3質量%の割合で混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、亜鉛二次電池を作製した。作製した亜鉛二次電池について、実施例2と同様にして、サイクル特性を評価した。結果を図4に示す。
図4の結果から、亜鉛二次電池において、負極の基材として、表面に高分子化合物を分子的に結合させ被覆層を形成した基材を用いることにより、100サイクル目の容量維持率の低下を抑制でき、サイクル特性に優れることがわかった。
以上のことから、本実施形態の亜鉛二次電池用負極を用いることにより、耐久性の高い亜鉛二次電池を提供できることがわかる。
10…亜鉛二次電池用負極、1…基材(Zn粒子)、2…表面に被覆層が形成された基材(ZnO粒子)、3…バインダ、4…図2で拡大して示した表面に被覆層が形成された基材(ZnO粒子)含む部分、5…負極集電体、6…表面に被覆層が形成された基材(ZnO粒子)、7…表面に被覆層が形成されていない基材(ZnO粒子)、20…被覆層(ZnO粒子と分子的に結合した有機材料)、30…イオンの通り易い部分

Claims (1)

  1. 亜鉛を含む基材と、負極集電体とを有し、
    前記基材が前記負極集電体の表面に配置され、
    前記基材の表面の少なくとも一部に被覆層が形成され、
    前記被覆層が疎水基及び親水基を有する高分子化合物を含み、
    前記基材と前記被覆層とが分子的に結合している、亜鉛二次電池用負極。
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