JP2022092074A - コーティング剤及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】製膜性に優れ、かつブロッキング性、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる膜を形成可能なコーティング剤を提供すること。【解決手段】2八面体型スメクタイトと、水酸基を有するビニル樹脂と、溶剤と、を含有し、2八面体型スメクタイトが、層間イオンとして、アンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する2八面体型スメクタイトであり、溶剤がアルコールを含有し、アルコールの含有量が、溶剤全量に対して20~80質量%である、コーティング剤。【選択図】なし
Description
本発明は、コーティング剤及び積層体に関する。
食品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の保護、耐レトルト性、耐熱性、透明性、加工性等の機能が要求される。内容物の品質保持のためには、特にガスバリア性が重要となる。最近では、包装材料だけでなく、太陽電池、半導体等の電子材料に用いられる材料についても、高いガスバリア性が要求されるようになっている。このような材料は、例えば、基材とガスバリア性を有するコート層とが積層されて構成されている。したがって、高いガスバリア性を有するコート層を形成可能なコーティング剤が求められる。
特許文献1には、水酸基を有する樹脂及びイソシアネート化合物を、粘土鉱物等の板状無機化合物及び光遮断剤と組み合わせることで、ガスバリア性等の特性が向上することが記載されている。
また、特許文献2には変性粘土を主要構成成分とする材料が記載されており、変性粘土を用い、必要に応じて添加剤を用い、変性粘土結晶を配向させ、緻密に積層させることにより、自立膜として利用可能な機械的強度、ガスバリア性、耐水性、熱安定性及びフレキシビリティーを備えた膜材が得られるとされる。
コーティング剤は、ガスバリア性に加えて、製膜性に優れ(コート層を好適に形成でき)、かつブロッキング性に優れる膜(コート層)を形成可能であることが望ましい。
本発明の目的は、製膜性に優れ、かつブロッキング性、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる膜を形成可能なコーティング剤を提供することにある。
本発明者らは、層間イオンとして、アンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する2八面体型スメクタイトと、水酸基を有するビニル樹脂と、アルコールを所定量含む溶剤とを組み合わせることによって、製膜性に優れ、かつブロッキング性、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる膜を形成可能なコーティング剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一側面において、2八面体型スメクタイトと、水酸基を有するビニル樹脂と、溶剤と、を含有し、2八面体型スメクタイトが、層間イオンとして、アンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する2八面体型スメクタイトであり、溶剤はアルコールを含有し、アルコールの含有量は、溶剤全量に対して20~80質量%である、コーティング剤を提供する。
2八面体型スメクタイトは、モンモリロナイトであってよい。2八面体型スメクタイトのナトリウムイオン当量は、10meq/100g未満であってよい。2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量、リチウムイオン当量、及び水素イオン当量の合計は、50~120meq/100gであってよい。
コーティング剤は、ポリカルボン酸を更に含有していてよい。水酸基を有するビニル樹脂の水酸価は、800~1500であってよい。
本発明によれば、製膜性に優れ、かつブロッキング性、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる膜を形成可能なコーティング剤を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
一実施形態のコーティング剤は、2八面体型スメクタイトと、水酸基を有するビニル樹脂と、溶剤と、を含有する。
<2八面体型スメクタイト>
粘土鉱物の基本構造は、Si-Oの四面体シートとAl-O等の八面体シートから構成され、八面体シートに入る陽イオンがAl3+など三価のイオンの場合に2八面体と呼ばれる。2八面体型スメクタイトの陽イオン交換容量は、通常60-150meq/100gである。2八面体型スメクタイトの具体的な構造としては、モンモリロナイト、バイデライトが知られている。
粘土鉱物の基本構造は、Si-Oの四面体シートとAl-O等の八面体シートから構成され、八面体シートに入る陽イオンがAl3+など三価のイオンの場合に2八面体と呼ばれる。2八面体型スメクタイトの陽イオン交換容量は、通常60-150meq/100gである。2八面体型スメクタイトの具体的な構造としては、モンモリロナイト、バイデライトが知られている。
2八面体型スメクタイトは、層間イオンとして、アンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する2八面体型スメクタイトである。
2八面体型スメクタイトのナトリウムイオン当量は、10meq/100g未満であってよい。2八面体型スメクタイトのナトリウムイオン当量は、例えば、5meq/100g以下、又は2meq/100g以下であってよい。2八面体型スメクタイトのナトリウムイオン当量は、1Nの酢酸アンモニウム溶液に溶出してくる陽イオン量をイオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量、リチウムイオン当量、及び水素イオン当量の合計が、50~120meq/100gであってよい。2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量、リチウムイオン当量、及び水素イオン当量の合計は、50meq/100g以上、80meq/100g以上、又は100meq/100g以上であってよく、120meq/100g以下、又は110meq/100g以下であってよい。2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量は、1Nの塩化カリウム溶液に溶出してくる陽イオン量、リチウムイオン当量は、1Nの酢酸アンモニウム溶液に溶出してくる陽イオン量をそれぞれイオンクロマトグラフィーにより測定することで求めることができる。また、水素イオン当量はイオン交換前の陽イオン量とイオン交換後の陽イオン量の差から求めることができる。例えば、層間イオンがナトリウムであるモンモリトナイトを用いた場合は、イオン交換操作前後のモンモリロナイトから1Nの酢酸アンモニウム溶液に溶出してくるナトリウムイオン量をイオンクロマトグラフィー測定し、その差分から水素イオン当量を求めることができる。
2八面体型スメクタイトの層間イオン(陽イオン)をアンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種に交換する方法は、通常のイオン交換方法であってよく、例えば、2八面体型スメクタイトの水分散体を、水素イオン、アンモニウムイオン、又はリチウムイオンを予め保持させた陽イオン交換樹脂で処理する方法であってよい。当該方法は、イオン交換樹脂を充填したカラムへ上記水分散体を通液する方法であってよく、イオン交換樹脂と上記水分散体とを混合してバッチ攪拌する方法であってもよい。
より具体的な例を挙げて説明すると、例えば、層間陽イオンをリチウムイオンに交換する場合、アンバーライトIR120B-Hを予め水酸化リチウムで処理して、イオン交換樹脂にリチウムイオンを保持させる。このリチウムイオンを保持したイオン交換樹脂が充填されたカラムに、2八面体型スメクタイトの濃度が2%の水分散体を1mL/分の速度で通液する。通液後の水分散体を110℃のオーブンで終夜乾燥することで、層間イオンがリチウムイオンである2八面体型スメクタイトを得ることができる。
2八面体型スメクタイトの含有量は、コーティング剤中の不揮発分全量に対して、例えば、水蒸気バリア性及び酸素バリア性(例えば高湿度下での酸素バリア性)により一層優れる等の観点から、5質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上であってよく、例えば、コーティング剤の成形性がより一層優れたものとなり、かつ、基材への密着性が向上する等の観点から、70質量%以下、又は60質量%以下であってよい。2八面体型スメクタイトの含有量は、コーティング剤中の不揮発分全量に対して、例えば、5~70質量%、20~60質量%、又は40~60質量%であってよい。不揮発分とは、コーティング剤中の溶剤以外の成分を意味する。
<水酸基を有するビニル樹脂>
コーティング剤は、水酸基を有するビニル樹脂を含有する。水酸基を有するビニル樹脂は、例えば、重合性二重結合を有するアルコールのエステル化物を重合した後、けん化処理をすることによって得ることができる。
コーティング剤は、水酸基を有するビニル樹脂を含有する。水酸基を有するビニル樹脂は、例えば、重合性二重結合を有するアルコールのエステル化物を重合した後、けん化処理をすることによって得ることができる。
重合性二重結合を有するアルコールのエステル化物は、例えば、ビニルエステルであってよい。ビニルエステルとしては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニル等が挙げられる。
また、水酸基を有するビニル樹脂は、例えば、水酸基を有するビニルモノマーの重合若しくは共重合、又は水酸基を有するビニルモノマーと、水酸基を有しないビニルモノマーとの共重合によって得ることができる。水酸基を有するビニルモノマーは、重合性二重結合を有する基(例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、又は(メタ)アクリロイル基)及び水酸基をそれぞれ少なくとも一つ有するモノマーである。水酸基を有しないビニルモノマーは、重合性二重結合を有する基(例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、又は(メタ)アクリロイル基)を少なくとも一つ有し、かつ、水酸基を有しないモノマーである。(メタ)アリル基とは、アリル基又はメタリル基を意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
水酸基を有するビニルモノマー(水酸基含有ビニルモノマー)としては、例えば、(メタ)アリルアルコール、ビニルアルコール、;1-ブテン-3-オール等の炭素数4~12のアルケンモノオール又はアルケンジオール;2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等の末端に重合性二重結合を有するアルケニルエーテル;ヒドロキシスチレン;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル;ε-カプロラクトンを開環重合した化合物と(メタ)アクリル酸のモノエステル化物;等の水酸基含有ビニルモノマーが挙げられる。
水酸基を有しないビニルモノマー(水酸基非含有ビニルモノマー)としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン;ジクロロエチレン、塩化ビニル、等のハロゲン化オレフィン;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;ビニルエステル;マレイン酸ジエステル;フマル酸ジエステル;イタコン酸ジエステル;(メタ)アクリルアミド;スチレン及びその誘導体;ビニルエーテル;ビニルケトン;マレイミド;アリル化合物;(メタ)アクリロニトリル;ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、N-ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン等のビニル基が置換した複素環式基を有する化合物;N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のビニルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸-2-フェニルビニル、(メタ)アクリル酸-1-プロペニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸-2-アリロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸-γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
ビニルエステルの例としては、上記例示したモノマーが挙げられる。
マレイン酸ジエステルの例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
フマル酸ジエステルの例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等が挙げられる。
イタコン酸ジエステルの例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ニトロフェニルアクリルアミド、N-エチル-N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、N-アリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
スチレン誘導体の例としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルケトンの例としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等が挙げられる。
マレイミドの例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
アリル化合物の例としては、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、N-アリルアニリン、塩化アリル、臭化アリル等が挙げられる。
水酸基を有するビニル樹脂は、水酸基価(単位:mgKOH/g)が例えば800~1500の範囲になるように、水酸基を含んでいてよい。水酸基を有するビニル樹脂の水酸基価は、例えば、800以上、又は1000以上であってよく、1500以下、又は1300以下であってもよい。水酸基を有するビニル樹脂の水酸基価は、例えば、800~1500、又は1000~1300であってよい。水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法により測定することができる。また、ビニル樹脂を合成して用いる場合には、使用するモノマー組成から水酸基価を算出することも可能である。
水酸基を有するビニル樹脂が、重合性二重結合を有するアルコールのエステル化物の重合体をけん化処理して得られる樹脂である場合、水酸基を有するビニル樹脂の重量平均分子量は、けん化処理前のビニル樹脂の重量平均分子量から換算することができる。けん化処理前のビニル樹脂(アセトキシ基(CH3C(=O)O-)を有するビニル樹脂)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に限定されないが、300以上であってよく、4000以下であってよい。
水酸基を有するビニル樹脂は、下記式(1)で表される構造単位A(部分構造Aともいう。)を有するビニル樹脂(以下、「ビニル樹脂A」ともいう。)であることが好ましい。この場合、ビニル樹脂Aが水酸基を有することから、水酸基間の相互作用によってビニル樹脂の凝集力が向上するだけでなく、2八面体型スメクタイトとの親和性が高くなり、それゆえより一層高いガスバリア性を発揮することとなる。また、ビニル樹脂Aは構造単位(A)を有することにより、アルコールへの溶解性が向上するだけでなく、コーティング剤に耐水性を付与できることから、水蒸気バリア性、及び高湿度下での酸素バリア性の更なる向上が期待できる。
式(1)中、mは、0又は1を表し、*は、結合手を表す。mは、好ましくは0である。
式(1)中、mは、0又は1を表し、*は、結合手を表す。mは、好ましくは0である。
水酸基を有するビニル樹脂が構造単位Aを含む場合、構造単位Aの含有量は、水酸基を有するビニル樹脂中の水酸基全体のモル量に対し、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、好ましくは99モル%以下である。構造単位Aの含有量は、水酸基を有するビニル樹脂中の水酸基全体のモル量に対し、好ましくは85モル%以上99モル%以下、より好ましくは90モル%以上99モル%以下である。mが0である構造単位Aの含有量が上記の範囲であることが好ましい。
水酸基を有するビニル樹脂は、構造単位A以外の構造単位(他の構造単位)を含んでいてもよい。他の構造単位は、例えば、下記式(2)で表される構造単位B(部分構造Bともいう。)であってよい。水酸基を有するビニル樹脂は、構造単位Aを含み、更に、構造単位Bを含むことが好ましい。一実施形態において、水酸基を有するビニル樹脂は、構造単位A及び構造単位Bのみからなっていてもよい。水酸基を有するビニル樹脂が構造単位Bを含有することで、成形体としたときの成膜性、膜強度、及びコーティング剤の接着性がより一層向上する。
式(2)中、R1は、水素原子、炭素数1~2のアルキル基を表し、nは、0又は1を表し、*は、結合手を表す。R1は、具体的には、水素原子、メチル基又はエチル基であり、nは、好ましくは0である。R2は、水素原子、又はアセチル基である。ここで、R1とR2が同時に水素原子とならない。
構造単位Bの含有量は、耐水性に優れる観点から、水酸基を有するビニル樹脂中の水酸基全体のモル量に対し、1モル%以上である。構造単位Bの含有量は、成形体としたときの成膜性、膜強度、組成物の接着性等に優れる観点から、水酸基を有するビニル樹脂中の水酸基全体のモル量に対し、好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。構造単位Bの含有量は、水酸基を有するビニル樹脂中の水酸基全体のモル量に対し、好ましくは1モル%以上30モル%以下、より好ましくは1モル%以上15モル%以下であり、更に好ましくは1モル%以上10モル%以下である。
R1が水素原子で、R2がアセチル基であり、nが0である構造単位Bの含有量が上記の範囲になることが好ましい。
R1が水素原子で、R2がアセチル基であり、nが0である構造単位Bの含有量が上記の範囲になることが好ましい。
水酸基を有するビニル樹脂が構造単位A及びBを含む場合、構造単位Aと構造単位Bの含有量の合計に対する構造単位Aの含有量のモル%(A/(A+B)×100)は、ガスバリア性がより一層向上する観点から、85モル%以上、99モル%以下であることが好ましい。
構造単位A及び/又は構造単位Bを有するビニル樹脂の製造方法としては特に限定されず、公知慣用の方法で製造することができる。例えば、構造単位A又はBに対応する水酸基含有ビニルモノマーのエステル化物を重合した後、けん化処理をすることにより、水酸基を有するビニル樹脂を製造することができる。
構造単位Aに対応する水酸基含有ビニルモノマーとしては、ビニルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール等が挙げられる。構造単位Bに対応する水酸基含有ビニルモノマーのエステル化物におけるエステルとは、上記例示したとおりのエステルであってよい。構造単位Bに対応する水酸基含有ビニルモノマーのエステル化物の中でも好ましくは、酢酸エステルである酢酸ビニル、酢酸アリル、又は酢酸クロチルである。これらは1種類を使用してもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
構造単位Bに対応する水酸基含有ビニルモノマーとしては、イソプロペニルアルコール、メタリルアルコール、イソブテニルアルコール等が挙げられる。構造単位Aに対応する水酸基含有ビニルモノマーのエステル化物におけるエステルとは、酢酸エステル、プロパン酸エステル、ブタン酸エステル、2-メチルプロパン酸エステル、ペンタン酸エステル、3-メチルブタン酸エステル、2,2-ジメチルプロパン酸エステル、ヘキサン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸エステル、安息香酸エステル等が挙げられる。構造単位Aに対応する水酸基含有ビニルモノマーのエステル化物の中でも好ましくは、酢酸エステルである酢酸イソプロペニル、酢酸メタリル、又は酢酸イソブテニルである。これらは1種類単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
水酸基を有するビニル樹脂は、単一のモノマーを重合させて得られるホモポリマーであってもよく、複数種のモノマーを共重合させて得られるコポリマーであっても構わない。このとき、ビニルモノマーとして、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基のそれぞれを有するモノマーを組み合わせて用いても構わない。
水酸基を有するビニル樹脂は、ビニルモノマーをラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等により重合することによって得られる。重合の際には重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
アニオン重合開始剤としては、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等の有機アルカリ金属;メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド等の有機アルカリ土類金属;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属などが挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、塩酸、硫酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化第二スズ、塩化第二鉄等のルイス酸などが挙げられる。
実施形態では、1種のビニル樹脂を単独で用いてよく、複数のビニル樹脂を組み合わせて用いてもよい。ビニル樹脂は、直鎖型ポリマーであってよく、分岐型ポリマーであってもよい。ビニル樹脂が分岐型ポリマーである場合、くし型であってよく、星型であってもよい。
水酸基を有するビニル樹脂の含有量は、コーティング剤中の不揮発分全量に対し、水蒸気バリア性及び酸素バリア性がより一層優れたものとなる観点から、30質量%以上、又は40質量%以上であってよく、コーティング剤の成形性がより一層優れたものとなる観点から、95質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であってよい。
<溶剤>
コーティング剤は、溶剤を更に含有する。溶剤は、塗膜の乾燥性に優れる観点から、アルコールを含有する。溶剤は、アルコールのみを含有するものであってよい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メトキシプロパノール(1-メトキシー2-プロパノール等)が挙げられる。アルコールは、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
コーティング剤は、溶剤を更に含有する。溶剤は、塗膜の乾燥性に優れる観点から、アルコールを含有する。溶剤は、アルコールのみを含有するものであってよい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メトキシプロパノール(1-メトキシー2-プロパノール等)が挙げられる。アルコールは、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
溶剤は、アルコールに加えて、例えば、水、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を更に含有してもよい。
アルコールの含有量は、溶剤全量に対して、製膜性に優れ、かつブロッキング性に優れる膜を形成可能という効果の観点から、20質量%以上であり、当該効果が更に好適に奏される観点から、好ましくは、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、又は45質量%以上である。アルコールの含有量は、溶剤全量に対して、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れる膜を形成可能という効果の観点から、80質量%以下であり、当該効果が更に好適に奏される観点から、好ましくは、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下である。アルコールの含有量は、溶剤全量に対して、20~80質量%、25~70質量%、30~60質量%、又は40~50質量%以下であってもよい。
アルコールは、乾燥性(ブロッキング性)により一層優れる観点から、エタノールを含有していてよい。アルコールは、エタノールのみを含有していてよく、エタノール及びエタノール以外のアルコールを含有していてよい。エタノール以外のアルコールは、例えば、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、及びメトキシプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種であってよい。アルコール中のエタノールの含有量は、アルコール全量に対して、50質量%以上、80質量%以上、又は95質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。
コーティング剤の不揮発分の含有量は、コーティング剤全量を基準として、1~10質量%であってよく、好ましくは2~8質量%であり、より好ましくは4~7質量%である。
<ポリカルボン酸>
コーティング剤は、ポリカルボン酸を更に含有する。本明細書において、ポリカルボン酸とは、カルボキシル基を2個以上有する化合物を意味する。ポリカルボン酸としては、カルボキシル基を2個以上有する樹脂(但し、水酸基及びカルボキシル基を有するビニル樹脂を除く。)を用いることができる。ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアスパラギン酸、又はポリアクリル酸とポリマレイン酸との共重合体が挙げられる。
コーティング剤は、ポリカルボン酸を更に含有する。本明細書において、ポリカルボン酸とは、カルボキシル基を2個以上有する化合物を意味する。ポリカルボン酸としては、カルボキシル基を2個以上有する樹脂(但し、水酸基及びカルボキシル基を有するビニル樹脂を除く。)を用いることができる。ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアスパラギン酸、又はポリアクリル酸とポリマレイン酸との共重合体が挙げられる。
ポリカルボン酸の含有量は、水酸基を有するビニル樹脂及びポリカルボン酸の合計含有量に対して、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であってよい。コーティング剤が水酸基を有するビニル樹脂及びポリカルボン酸以外の樹脂(他の樹脂)を含有する場合、ポリカルボン酸の含有量は、水酸基を有するビニル樹脂、ポリカルボン酸及び他の樹脂の合計含有量に対して、上記範囲内であってよい。
<他の成分>
コーティング剤は、修飾剤を更に含有してもよい。修飾剤としては、カップリング剤、シラン化合物、酸無水物等が挙げられる。コーティング剤がこれらの修飾剤を含有する場合、2八面体型スメクタイトの濡れ性が向上し、コーティング剤への分散性がより一層向上する。修飾剤は、1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
コーティング剤は、修飾剤を更に含有してもよい。修飾剤としては、カップリング剤、シラン化合物、酸無水物等が挙げられる。コーティング剤がこれらの修飾剤を含有する場合、2八面体型スメクタイトの濡れ性が向上し、コーティング剤への分散性がより一層向上する。修飾剤は、1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミカップリング剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、例えば3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、例えば3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウム等が挙げられる。
アルミカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
シラン化合物としては、アルコキシシラン、シラザン、シロキサン等が挙げられる。アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。シラザンとしてはヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。シロキサンとしては加水分解性基含有シロキサン等が挙げられる。
酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸アルケニル無水コハク酸等が挙げられる。
修飾剤の含有量は、2八面体型スメクタイト全量に対し、0.1~30質量%であることが好ましい。修飾剤の含有量が0.1質量%以上であれば、2八面体型スメクタイトのコーティング剤への分散性がより良好なものとなる。修飾剤の含有量が30質量%以下であれば、コーティング剤に対する修飾剤の機械物性への影響をより抑えることができる。修飾剤の配合量は、好ましくは0.3~20質量%であり、より好ましくは0.5~15質量%である。
コーティング剤は、各種の添加剤(水酸基を有するビニル樹脂、2八面体型スメクタイト、修飾剤及び溶剤に該当する化合物は除く。)を含有してもよい。添加剤としては、例えば、有機フィラー、無機フィラー、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤、酸素捕捉剤(酸素捕捉機能を有する化合物)、粘着付与剤等が例示できる。これらの各種添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用される。
添加剤のうち、無機フィラーとしては、金属、金属酸化物、樹脂、鉱物等の無機物及びこれらの複合物が挙げられる。無機フィラーの具体例としては、アルミナ、チタン、ジルコニア、銅、鉄、銀、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、粘土鉱物等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性を向上させる目的で、粘土鉱物を併用してもよい。
酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
粘着付与剤としては、キシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂等が挙げられる。粘着付与剤を添加することで塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させることができる。粘着性付与剤の添加量はコーティング剤全量100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましい。
<積層体>
実施形態の積層体は、基材と、上述したコーティング剤を基材上にコートしてなるコート層と、を有する。積層体は、例えば、包装材料、工業材料等に好適に用いられる。実施形態の積層体は、様々な分野における包装材料として好適に利用することができる。
実施形態の積層体は、基材と、上述したコーティング剤を基材上にコートしてなるコート層と、を有する。積層体は、例えば、包装材料、工業材料等に好適に用いられる。実施形態の積層体は、様々な分野における包装材料として好適に利用することができる。
コーティング剤を基材上にコートする方法は特に限定されない。具体的な方法としては、ロールコート、グラビアコート等の各種コーティング方法を例示することができる。また、コーティング装置についても特に限定されない。例えば、基材上に、コーティング剤を塗工し、必要に応じて、乾燥処理を行うことによって、基材と、基材上に形成されたコート層とを備える積層体を得ることができる。乾燥条件は、例えば、コーティング剤が溶剤を含む場合には、溶剤の種類、使用量等に応じて適宜設定してよい。乾燥は、例えば、50℃~100℃の条件で、0.5分間~10分間保持することによって実施してよい。
基材は、例えば、板状、シート状、又はフィルム状であってよい。基材の材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)を挙げることができる。
基材は、コーティング剤を塗工する面上を表面処理されていてもよく、表面処理されていなくてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理が挙げられる。基材の厚みは、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、50μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってよい。
コート層の厚みは、例えば、0.1~5μmであってよい。コート層の厚みは、例えば、0.5μm以上、又は1μm以上であってよく、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であってよい。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<コーティング剤の調製>
ビニル樹脂として、以下のビニル樹脂1~2を準備した。
・ビニル樹脂1(ポリビニルアルコール、水酸基価:1250、日本酢ビ・ポバール株式会社製、JF-03)
・ビニル樹脂2(ポリビニルアルコール、水酸基価:1000、日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP-05)
ビニル樹脂として、以下のビニル樹脂1~2を準備した。
・ビニル樹脂1(ポリビニルアルコール、水酸基価:1250、日本酢ビ・ポバール株式会社製、JF-03)
・ビニル樹脂2(ポリビニルアルコール、水酸基価:1000、日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP-05)
イオン交換水と、エタノール又は1-プロパノールと、水酸基価1250の上記ポリビニルアルコール(ビニル樹脂1)、又は水酸基価1000の上記ポリビニルアルコール(ビニル樹脂2)と、ポリアクリル酸(東亞合成株式会社製、ジュリマーAC-10L)とを表1に示す組成(単位:質量部)で含む樹脂溶液1~5を準備した。
イオン交換水と、エタノールと、1-プロパノールと、2八面体型スメクタイトとして、アンモニウム型モンモリロナイト(NH4-MMT)、リチウム型モンモリロナイト(Li-MMT)、又はナトリウム型モンモリロナイト(Na-MMT)とを表2に示す組成(単位:質量部)で含む、粘土分散液1~8を準備した。アンモニウム型モンモリロナイトとしては、ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製「クニピアF」)のナトリウムイオンをアンモニウムイオンに交換することにより得られたアンモニウム型モンモリロナイトを用いた。リチウム型モンモリロナイトとしては、クニミネ工業株式会社製「クニピアM」を用いた。ナトリウム型モンモリロナイトとしては、クニミネ工業株式会社製「クニピアF」を用いた。
2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量、リチウムイオン当量、及び水素イオン当量の合計は、アンモニウム型モンモリロナイトでは110meq/100g、リチウム型モンモリロナイトでは110meq/100g、ナトリウム型モンモリロナイトでは110meq/100gであった。アンモニウム型モンモリロナイト及びリチウム型モンモリロナイトのナトリウムイオン当量は、10meq/100g未満であった。
表3に示す種類の樹脂溶液(10質量部)及び粘土分散液(20質量部)を組み合わせて、実施例及び比較例のコーティング剤を準備した。表3には、水酸基を有するビニル樹脂及びポリカルボン酸の合計含有量に対するポリカルボン酸の含有量、不揮発分(溶剤以外の成分)全量に対する2八面体型スメクタイトの含有量、溶剤全量に対するアルコールの含有量、アルコール全量に対するエタノールの含有量、及びコーティング剤中の不揮発分(溶剤以外の成分)の含有量も示す。
<製膜性、ブロッキング性、酸素透過性及び水蒸気透過性の評価>
上述した方法により得られたコーティング剤を用いて、コロナ処理された12μmの基材(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、商品名:E-5100、東洋紡株式会社製)のコロナ処理面に、バーコーターを用いて、各コーティング剤を乾燥後の塗工量が0.5g/m2になるように塗工して、積層体Xを得た。このときの塗工面を光学顕微鏡で観察し、塗工面が平滑である場合を「A」、平滑でない場合を「B」として、製膜性を評価した。また、比較例2については、製膜できなかった。このような場合を「C」として評価した。
上述した方法により得られたコーティング剤を用いて、コロナ処理された12μmの基材(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、商品名:E-5100、東洋紡株式会社製)のコロナ処理面に、バーコーターを用いて、各コーティング剤を乾燥後の塗工量が0.5g/m2になるように塗工して、積層体Xを得た。このときの塗工面を光学顕微鏡で観察し、塗工面が平滑である場合を「A」、平滑でない場合を「B」として、製膜性を評価した。また、比較例2については、製膜できなかった。このような場合を「C」として評価した。
次に、積層体Xを塗工後直ぐに60℃の乾燥機中で5秒間加熱処理した後すぐに三つ折りにして、24時間5kgfの加重をかけ、積層体Yを得た。三つ折りにされた積層体Yを開き、そのときに、塗工面と基材面との間で抵抗や音がない場合は「A」、抵抗はないが音がする場合は「B」、フィルムが張り付いてしまっている場合は「C」として、ブロッキング性を評価した。
続いて、積層体Xを塗工後直ぐに80℃の乾燥機中で1分加熱処理した。これにより、積層体Zを得た。得られた積層体Zについて、以下のとおり酸素透過率及び水蒸気透過率を測定した。
(酸素透過率の測定)
酸素透過率の測定は、JIS-K7126(等圧法)に準じ、モコン社製の酸素透過率測定装置「OX-TRAN1/50」を用いて、温度23℃、75%RHの雰囲気下で実施した。なお、RHとは相対湿度を表す。
酸素透過率の測定は、JIS-K7126(等圧法)に準じ、モコン社製の酸素透過率測定装置「OX-TRAN1/50」を用いて、温度23℃、75%RHの雰囲気下で実施した。なお、RHとは相対湿度を表す。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率の測定は、「防湿包装材料の透過湿度試験方法」JIS Z0208に準じ、透湿カップを用いて、温度40℃、90%RHの雰囲気下で実施した。
水蒸気透過率の測定は、「防湿包装材料の透過湿度試験方法」JIS Z0208に準じ、透湿カップを用いて、温度40℃、90%RHの雰囲気下で実施した。
Claims (9)
- 2八面体型スメクタイトと、水酸基を有するビニル樹脂と、溶剤と、を含有し、
前記2八面体型スメクタイトが、層間イオンとして、アンモニウムイオン、リチウムイオン、及び水素イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する2八面体型スメクタイトであり、
前記溶剤がアルコールを含有し、
前記アルコールの含有量が、前記溶剤全量に対して20~80質量%である、コーティング剤。 - 前記2八面体型スメクタイトがモンモリロナイトである、請求項1に記載のコーティング剤。
- 前記2八面体型スメクタイトのナトリウムイオン当量が、10meq/100g未満である、請求項1又は2に記載のコーティング剤。
- 前記2八面体型スメクタイトのアンモニウムイオン当量、リチウムイオン当量、及び水素イオン当量の合計が、50~120meq/100gである、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング剤。
- ポリカルボン酸を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング剤。
- 前記ビニル樹脂の水酸基価が、800~1500である、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング剤。
- 基材と、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング剤を前記基材上にコートしてなるコート層と、を有する、積層体。
- 前記コート層の厚みが0.1~5μmである、請求項7に記載の積層体。
- 包装材料として用いられる、請求項7又は8に記載の積層体。
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