JP2022090755A - ガス吸着分離装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着剤の交換量を削減し、吸着剤の交換作業を簡素化し、吸着剤の再生時における水分凝縮を抑制する。【解決手段】ガス吸着分離装置1は、原料ガス導入配管4と、精製ガス取り出し配管5と、前記原料ガス導入配管4と前記精製ガス取り出し配管5の間に設けられる、吸着剤3が充填された吸着筒2A、2Bと、吸着剤再生後の排気ガスを排出するための排気ガス排出配管9を備え、前記吸着筒2A、2Bの上部に原料ガスの導入部が、下部に精製ガスの取り出し部が設けられており、前記吸着筒2A、2Bの上部が開閉可能であり、前記排気ガス排出配管9において絞り部材10が設けられているものである。【選択図】図1
Description
本発明は、ガス吸着分離装置に関し、詳しくは、原料ガスを上から下に流すダウンフロー方式で導入するガス吸着分離装置に関する。
ガス吸着分離装置は、空気中のN2/O2の分離、He、Ar等の希ガスの精製、バイオガスからのメタン/CO2の分離、石油改質ガスからの炭化水素の分離など、各種ガスの分離や精製などに用いられている。
例えば、空気中のN2とO2とを分離するPSA(圧力スイング吸着)では、原料ガスとなる空気を圧縮機やブロアで昇圧した後、吸着剤の充填された吸着筒に導入して分離・精製を行う。その工程中において、圧縮機やブロア等で原料ガスに油分が混入するが、当該油分は吸着剤を劣化させる。また、原料ガスの空気には様々な微量成分が含まれており、その中には吸着剤を劣化させる成分も存在する。そのため、分離・精製を行うことで吸着剤は徐々に劣化する。また、不純物として空気を含む希ガスの回収精製を行うPSA、空気中のCO2を除去するTSA(温度スイング吸着)、天然ガスやバイオガスを分離するPSAなどにおいても、原料ガスの流通によって吸着剤は徐々に劣化する。当該吸着剤の劣化を回避するために、吸着剤被毒成分の完全除去や、原料ガス昇圧時のオイルフリー化などが試みられている。
しかしながら、吸着剤被毒成分の完全除去や原料ガス昇圧時の完全なオイルフリー化の達成には多大なコストを要するため、一般的にはあまり行われておらず、実際のガス吸着分離装置においては、劣化した吸着剤の定期的な交換が行われている。吸着剤の劣化は原料ガスの入口の方から徐々に進行するため、交換時には劣化していない部分も存在するが、現状では、その劣化していない吸着剤も含めて全量を交換している。例えば、10年間稼動させた空気中の不純物を除去する装置において、吸着剤を取り出して分析すると、少なくとも吸着剤層の出口側の半分は劣化しておらず、継続使用できる状態であった。そのため、吸着剤の交換において、交換量の削減や交換作業の簡素化の点で改良の余地がある。
なお、ガス吸着分離装置には、原料ガスを下から上に流すアップフロー方式のものと、上から下に流すダウンフロー方式のものがある。アップフロー方式のガス吸着分離装置では、ガスの流通によって吸着剤が流動化しないようにするため、ガスの流速を抑えて運転を行う必要がある。しかし、ダウンフロー方式のガス吸着分離装置では、ガスが高速で流通しても吸着剤は流動化しないため、ガスの流速を速くできると共に、吸着速度に優れる小粒径吸着剤の使用が可能である。(特許文献1~3を参照)。但し、水分を含むガスの吸着分離においてダウンフロー方式を適用すると、吸着剤層上部で吸着された水分が、吸着剤の再生工程で行うブローダウンの際に凝縮し、液滴となって下部へ垂れ、下部の吸着剤層を劣化させることがある。当該劣化が起こると、精製ガスの純度低下や下部吸着剤層の含水などの問題を生じる。そのため、ダウンフロー方式においては、吸着剤の再生時における水分凝縮を抑制することが求められている。
以上の点に鑑みて、本発明は、吸着剤の交換量を削減し、吸着剤の交換作業を簡素化し、吸着剤の再生時における水分凝縮を抑制することができるガス吸着分離装置を提供することを目的としている。
本発明の第1の発明は、原料ガス導入配管と、精製ガス取り出し配管と、前記原料ガス導入配管と前記精製ガス取り出し配管の間に設けられる、吸着剤が充填された吸着筒と、吸着剤再生後の排気ガスを排出するための排気ガス排出配管とを備えるガス吸着分離装置であって、前記吸着筒の上部に原料ガスの導入部が、下部に精製ガスの取り出し部が設けられており、前記吸着筒の上部が開閉可能であり、絞り部材が前記排気ガス排出配管に設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第2の発明は、前記原料ガスは、前記吸着筒の温度が常温である時に、露点が0℃以下であることを特徴とするものである。
本発明の第3の発明は、前記リンスガスとして精製ガスを用いることを特徴とするものである。
本発明の第4の発明は、前記絞り部材はオリフィスであることを特徴とするものである。
本発明のガス吸着分離装置によれば、吸着剤の交換量を削減し、吸着剤の交換作業を簡素化し、吸着剤の再生時における水分凝縮を抑制することができる。
図1は、本発明のガス吸着分離装置の一形態例を示すものである。
ガス吸着分離装置1は、吸着剤3を充填した2つの吸着筒2A、2Bと、原料ガス導入配管本管4と、原料ガス導入配管枝管4A、4Bと、精製ガス取り出し配管本管5と、精製ガス取り出し配管枝管5A、5Bと、圧縮機6と、リンスガス導入配管本管8と、リンスガス導入配管枝管8Aと、排気ガス排出配管本管9と、排気ガス排出配管枝管9Aと、絞り部材10と、上部均圧配管11と、下部均圧配管12と、各配管に設けられて開閉を行う原料ガス導入バルブV1a、V1bと、排気ガス排出バルブV2a、V2bと、上部均圧バルブV3a、V3bと、下部均圧バルブV4a、V4bと、リンスガス導入バルブV5a、V5bと、精製ガス取り出しバルブV6a、V6bとから構成されている。
原料ガス導入配管本管4は原料ガスを導入するための配管であり、原料ガスを昇圧するための圧縮機6が設けられている。当該圧縮機6によって昇圧された原料ガスは、原料ガス導入配管本管4から原料ガス導入配管枝管4A、4Bに分岐して、各吸着筒2A、2Bの上部に設けられた導入口に導入される。原料ガス導入配管枝管4A、4Bには、個々の配管の開閉を制御する原料ガス導入バルブV1a、V1bが設けられている。
精製ガス取り出し配管本管5は、各吸着筒2A、2Bで吸着分離処理がなされた後のガス(精製ガス)を外部に排出するための配管である。各吸着筒2A、2Bの下部に設けられた取り出し口から排出された精製ガスは、精製ガス取り出し配管枝管5A、5Bから、精製ガス取り出し配管本管5に合流して外部に排出される。精製ガス取り出し配管枝管5A、5Bには、個々の配管の開閉を制御する精製ガス取り出しバルブV6a、V6bが設けられている。
吸着筒2A、2Bはガス吸着分離処理を行うための装置であり、有底筒状体の内部に吸着剤3が充填されたものである。当該有底筒状体の上部には蓋部材7がフランジ接合されており、必要に応じて開閉できるようになっている。当該吸着筒2A、2Bの上部には前記原料ガス導入配管枝管4A、4Bが、下部には精製ガス取り出し配管枝管5A、5Bが接続されており、原料ガスが上から下へ流れるダウンフロー方式の装置を構成している。
リンスガス導入配管本管8は、吸着剤3の再生処理を行うためのガス(リンスガス)を各吸着筒2A、2Bに導入するための配管である。当該リンスガス導入配管本管8から導入されたリンスガスは、リンスガス導入配管枝管8Aに分岐して各吸着筒2A、2Bに導入される。リンスガス導入配管枝管8Aには、個々の配管の開閉を制御するリンスガス導入バルブV5a、V5bが設けられている。本形態例においては、リンスガスとして精製ガスを用いており、リンスガス導入配管本管8が精製ガス取り出し配管本管5から分岐している。
排気ガス排出配管本管9は、吸着剤3の再生処理が終了した後のリンスガス及び吸着剤3から脱離したガスの混合物(排気ガス)を外部に排出するための配管である。各吸着筒2A、2Bから排出された排気ガスは、排気ガス排出配管枝管9Aから排気ガス排出配管本管9に合流して外部に排出される。排気ガス排出配管枝管9Aには、個々の配管の開閉を制御する排気ガス排出バルブV2a、V2bが設けられている。
また、排気ガス排出配管本管9には、絞り部材10としてのオリフィスが設けられている。当該絞り部材10は、断熱膨張による温度低下により排気ガス中の水分が凝縮するのを抑制するものであり、水分が凝縮して生じる液滴によって吸着剤3が劣化するのを防止する。
上部均圧配管11、下部均圧配管12は、各吸着筒2A、2Bにおいて筒内圧力の均衡を図るために用いられる配管であり、それぞれに個々の配管の開閉を制御する上部均圧バルブV3a、V3b、下部均圧バルブV4a、V4bが設けられている。
以上のように構成されたガス吸着分離装置1を用いた原料ガスの吸着分離処理及び吸着剤3の再生処理は、以下のようにして行われる。
まず、吸着筒2Aにおいて原料ガスの吸着分離処理が行われる。原料ガス源(図示せず)から原料ガス導入配管本管4に導入された原料ガスは、圧縮機6で昇圧されて、原料ガス導入配管枝管4Aを通過し、原料ガス導入バルブV1aが開いて、吸着筒2Aに導入され、当該吸着筒2A内部が加圧される。その間、吸着筒2Bでは、排気ガス排出バルブV2bが開いて、当該吸着筒2B内部の気体が排出される。
その後、吸着筒2A内部では、吸着剤3による吸着分離処理が行われる。吸着分離処理後の原料ガスは、精製ガス取り出し配管枝管5Aから、精製ガス取り出しバルブV6aが開いて、精製ガス取り出し配管本管5を通じて精製ガスとして外部に送られる。その間、吸着筒2Bでは、吸着筒2Aから精製ガスの一部が、リンスガスとして、精製ガス取り出し配管本管5から分岐して設けられたリンスガス導入配管本管8から、リンスガス導入配管枝管8Aへと導入され、リンスガス導入バルブV5bが開いて、吸着筒2Bに導入されて、吸着剤3の再生処理が行われる。再生処理後のリンスガスは、排気ガスとして、排気ガス排出配管枝管9Aから、排気ガス排出バルブV2bが開いて、排気ガス排出配管本管9へと排出される。
吸着筒2Aでの吸着分離処理及び吸着筒2Bでの再生処理が終了すると、これまで開いていたバルブがすべて閉じ、上部均圧バルブV3a、V3b及び下部均圧バルブV4a、V4bが開いて、両吸着筒2A、2Bの均圧が行われる。
両吸着筒2A、2Bの均圧の後、吸着筒2Aでの再生処理及び吸着筒2Bでの吸着分離処理が行われる。まず、原料ガスが、原料ガス導入配管本管4から原料ガス導入配管枝管4Bを通過し、原料ガス導入バルブV1bが開いて、吸着筒2Bに導入されて、当該吸着筒2B内部が加圧される。その間、吸着筒2Aでは、排気ガス排出バルブV2aが開いて、当該吸着筒2A内部の気体が排出される。
その後、吸着筒2B内部では、吸着剤3による吸着分離処理が行われる。吸着分離処理後の原料ガスは、精製ガス取り出し配管枝管5Bから、精製ガス取り出しバルブV6bが開いて、精製ガス取り出し配管本管5を通じて精製ガスとして外部に送られる。その間、吸着筒2Aでは、吸着筒2Bから精製ガスの一部が、精製ガス取り出し配管本管5から分岐して設けられたリンスガス導入配管本管8から、リンスガス導入配管枝管8Aへと導入され、リンスガス導入バルブV5aが開いて、吸着筒2Aに導入されて、吸着剤3の再生処理が行われる。再生処理後のリンスガスは、排気ガスとして、排気ガス排出配管枝管9Aから、排気ガス排出バルブV2aが開いて、排気ガス排出配管本管9へと排出される。
吸着筒2Aでの再生処理及び吸着筒2Bでの吸着分離処理が終了すると、これまで開いていたバルブがすべて閉じ、上部均圧バルブV3a、V3b及び下部均圧バルブV4a、V4bが開いて、両吸着筒2A、2Bの均圧が行われる。その後、再度吸着筒2Aでの吸着分離処理及び吸着筒2Bでの再生処理が行われ、これを繰り返していく。
このようにして、各吸着筒2A、2Bで、吸着筒の加圧、吸着分離処理、均圧、再生処理、均圧という工程をそれぞれ繰り返して、各吸着筒2A、2Bでの原料ガスの吸着分離処理及び吸着剤3の再生処理が連続的に行われる。
排気ガス排出配管本管9において排出された排気ガスは、絞り部材10を通過することで、水分の凝縮が抑制された状態となって外部に排出される。
上記吸着分離処理の際に、原料ガスは、各吸着筒2A、2Bにおいて、ダウンフロー方式、すなわち上から下へと流れる形で導入されるようになっている。ダウンフロー方式とすることで、吸着剤3が流動化しない上に、小粒径の吸着剤を使用することで吸着能力に優れ、有効吸着量が大きい吸着筒とすることができる。また、ダウンフロー方式とすることで、吸着剤3の劣化が吸着剤層の上部から下部へと進行するため、吸着分離処理を行った後の吸着剤3は上部が劣化しているが、下部は必ずしも劣化していないものとなっている。
ここで、上記した原料ガスの吸着分離処理及び吸着剤の再生処理をある程度行うと、吸着剤3が圧縮機6の油分や原料ガス中の微量成分によって部分的に劣化してくる。劣化した吸着剤3については交換を行う必要がある。本形態例においては、吸着分離処理をダウンフロー方式で行っているために、劣化した吸着剤3は吸着剤層の上部のみに存在している。そこで、吸着剤3の交換を行う時には、各吸着筒2A、2B上部の蓋部材7を開放して(フランジ接合を解除して)、吸着剤層の上部のみを取り出して交換すれば良い。吸着剤層下部の吸着剤は劣化していないので、交換せずにそのまま継続して使用することができる。吸着剤層下部の交換を行わないことによって、吸着剤の交換量の削減、交換作業の簡素化が達成される。
なお、本発明に適用される原料ガスについて、成分としては特に制限はなく、例えば、空気、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン、ネオン、水素、メタン、炭化水素類である。また、圧力としては、ガス成分が液化しない圧力であればよく、例えば、0.2~1.0MPa(g)である。また、温度としては、ガス成分が液化しない温度であればよく、例えば、0~40℃である。また、露点は、高すぎると水分の凝縮抑制が困難になるため、吸着筒の温度が常温の場合において、0℃以下であり、好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-60℃以下である。
また、吸着筒の容積について、吸着筒が小型の場合は、吸着剤層下部の抜き取りが容易であることに鑑みれば、1筒の容積が10L以上であり、好ましくは30L以上である。
また、吸着剤の種類としては特に制限はなく、例えば、活性炭(MSC(分子ふるい炭素)を含む)、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライトなどを用いることができる。
なお、上記形態例において、ガス吸着分離装置1は吸着筒を2つ備えるものとしているが、吸着筒の数は必ずしも2つである必要はなく、吸着分離処理を行う状況に応じて1つとしても3つ以上としてもよい。また、上記形態例において、原料ガスが高い圧力を有するのであれば、圧縮機6による昇圧は不要である。また、吸着分離処理及び再生処理の運転方法や各バルブの開閉操作に関しては、装置の運用方法に合わせて適宜変更することができる。
また、上記形態例において、リンスガスとして精製ガスを用いているが、ドライエアーや窒素ガス等のガスを外部から導入してリンスガスとして用いることもできる。また、上記形態例において、絞り部材10としてオリフィスを用いているが、穴開きプレートや絞り弁など、同様の効果を奏する部材を用いることもできる。また、必要に応じて、装置の前後に、原料ガスや精製ガスのレシーバータンク、吸着剤の再生用の真空ポンプやヒーター、ガス中の微量成分の除去装置、粉塵フィルター、精製器等を設けることができる。
1・・・ガス吸着分離装置、2A、2B・・・吸着筒、3・・・吸着剤、4・・・原料ガス導入配管本管、4A、4B・・・原料ガス導入配管枝管、5・・・精製ガス取り出し配管本管、5A、5B・・・精製ガス取り出し配管枝管、6・・・圧縮機、7・・・蓋部材、8・・・リンスガス導入配管本管、8A・・・リンスガス導入配管枝管、9・・・排気ガス排出配管本管、9A・・・排気ガス排出配管枝管、10・・・絞り部材、11・・・上部均圧配管、12・・・下部均圧配管、V1a、V1b・・・原料ガス導入バルブ、V2a、V2b・・・排気ガス排出バルブ、V3a、V3b・・・上部均圧バルブ、V4a、V4b・・・下部均圧バルブ、V5a、V5b・・・リンスガス導入バルブ、V6a、V6b・・・精製ガス取り出しバルブ
Claims (4)
- 原料ガス導入配管と、精製ガス取り出し配管と、前記原料ガス導入配管と前記精製ガス取り出し配管の間に設けられる、吸着剤が充填された吸着筒と、吸着剤再生後の排気ガスを排出するための排気ガス排出配管とを備えるガス吸着分離装置であって、
前記吸着筒の上部に原料ガスの導入部が、下部に精製ガスの取り出し部が設けられており、
前記吸着筒の上部が開閉可能であり、
絞り部材が前記排気ガス排出配管に設けられていることを特徴とするガス吸着分離装置。 - 前記原料ガスは、前記吸着筒の温度が常温である時に、露点が0℃以下であることを特徴とする請求項1記載のガス吸着分離装置。
- 吸着剤再生用のリンスガスとして精製ガスを用いることを特徴とする請求項1または2記載のガス吸着分離装置。
- 前記絞り部材はオリフィスであることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のガス吸着分離装置。
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