JP2022089777A - 発光装置の再生方法および再生発光装置の製造方法 - Google Patents

発光装置の再生方法および再生発光装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面の樹脂が劣化し輝度が低下したLED等の発光装置を容易に輝度回復させ、かつ長時間の耐久性を得ることが可能な発光装置の再生方法および再生発光装置の製造方法の提供。【解決手段】表面3の樹脂2の劣化により樹脂2の表面3に凹凸4が形成されたLED1の再生方法であり、樹脂2の表面3に透明な樹脂塗料5を塗布して樹脂2の表面3の凹凸4を埋めることにより、LED1の樹脂2の表面3に形成された凹凸4が透明な樹脂塗料5により埋められて、樹脂2の表面3が滑らかな状態に再生され、くすみが改善し、凹凸による光の乱反射が軽減されて、輝度が回復し、かつ樹脂の長時間の耐久性も得られ、持続可能な社会へ大きく寄与できる。【選択図】図1

Description

本発明は、表面の樹脂が劣化したLED等の発光装置の再生方法および再生発光装置の製造方法に関する。
近年、道路や建物外壁などの屋外においても、電光表示板、カラーディスプレイ(看板)や交通信号灯など(以下、「電光表示板等」と称す。)に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が利用されている(例えば、特許文献1,2参照。)。LEDは信頼性が高く、長寿命であるため、交換周期も大幅に減少できるが、屋外環境では紫外線に曝されることにより、LEDチップを封止している表面の樹脂が劣化し、樹脂の表面に鱗状の凹凸が形成され、樹脂の表面がくすむ。この形成された凹凸により光が乱反射してしまうため、徐々に輝度が低下し、電光表示板等の視認性が悪化していく。
特開2010-26863号公報 登録実用新案第3119922号公報
従来、くすみ対策としては、新品のLEDに交換するか、表面の樹脂を研磨して鱗状の凹凸を均すことが実施されている。しかしながら、電光表示板等には多数のLEDが配置されているため、全てのLEDを交換もしくは研磨する作業は大変である。また、各LEDの樹脂の表面はドーム状の曲面となっているため、樹脂の表面を研磨するにしてもドーム状の曲面に沿って研磨する作業は大変労力がかかるものとなっている。
そこで、本発明においては、表面の樹脂が劣化もしくは外部からの傷により表面に凹凸が形成されたLED等の発光装置を容易に再生することが可能な発光装置の再生方法および再生発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発光装置の再生方法は、表面の樹脂の劣化もしくは外部からの傷により樹脂の表面に凹凸が形成された発光装置の再生方法であって、樹脂の表面に透明な樹脂塗料を塗布して樹脂の表面の凹凸を埋めることを特徴とする。これにより、発光装置の樹脂の表面に形成された凹凸が透明な樹脂塗料により埋められて、樹脂の表面が滑らかな状態に再生された発光装置が得られる。
本発明の再生方法は、樹脂の表面を一切研磨することなく、樹脂塗料を塗布することが望ましい。樹脂塗料の塗布の前準備として樹脂の表面の凹凸を多少研磨することも可能であるが、樹脂の表面を一切研磨することなく樹脂塗料を塗布することにより、再生工程を簡略化することが可能となる。
樹脂塗料は、シリコン系塗料であることが望ましい。シリコン系塗料は、Si-O-Si-の分子構造を有し、強い結合エネルギーを示すため、紫外線や熱に強い。
本発明の再生発光装置の製造方法は、表面の樹脂の劣化もしくは外部からの傷により樹脂の表面に凹凸が形成された発光装置に対し、樹脂の表面に透明な樹脂塗料を塗布して樹脂の表面の凹凸を埋めることを特徴とする。これにより、劣化した発光装置の樹脂の表面に形成された凹凸が透明な樹脂塗料により埋められて、樹脂の表面が滑らかな状態に再生された再生発光装置が得られる。
(1)本発明によれば、表面の樹脂の劣化もしくは外部からの傷により樹脂の表面に凹凸が形成された発光装置の樹脂の表面に形成された凹凸が透明な樹脂塗料により埋められて、樹脂の表面が滑らかな状態となり、くすみが改善され、凹凸による乱反射が軽減されることで輝度が回復した発光装置が得られる。
(2)樹脂塗料としてシリコン系塗料を使用することにより、さらに耐久性が向上した発光装置が得られる。
本発明の実施の形態における発光装置の再生方法を示す説明図であって、(A)は劣化したLEDの表面の拡大断面図、(B)は樹脂塗料塗布後の状態を示す拡大断面図である。 顕微FT-IR表面反射法によるレンズの赤外吸収スペクトルの例を示す図である。 レンズに用いられているビスフェノールA型エポキシ樹脂の分子構造式を示す図である。 レンズ先端部分のSEM写真を示す図である。 劣化したLEDをデジタルカメラとマイクロスコープで撮影した画像を示す図であって、(A)はLED全体の画像を示す図、(B)は観察箇所1の画像を示す図、(C)は観察箇所2の画像を示す図、(D)は観察箇所3の画像を示す図である。 新品のLEDをデジタルカメラとマイクロスコープで撮影した画像を示す図であって、(A)はLED全体の画像を示す図、(B)は観察箇所1の画像を示す図、(C)は観察箇所2の画像を示す図、(D)は観察箇所3の画像を示す図である。 照度測定試験装置の概要図である。 実施例1~5および比較例1,2の概要と試験結果を示す図である。 新品と10年使用したLEDユニットの照度を比較した図である。 新品と一番効果のあった実施例5の塗料の塗布前後の照度を比較した図である。 照度測定方法を示す説明図である。 シリコン系塗料の塗布前後のレンズ表面外観写真を示す図である。 耐久性評価試験に用いた促進耐候性試験機の光波長分布を示す図である。 促進劣化処理時間に対する再生LEDの照度変化率を示す図である。 アルコキシリル基結合アクリル樹脂の架橋反応図である。
図1は本発明の実施の形態における発光装置の再生方法を示す説明図であって、(A)は劣化したLEDの表面の拡大断面図、(B)は樹脂塗料塗布後の状態を示す拡大断面図である。
図1(A)に示す発光装置としてのLED1は、LED素子(図示せず。)を樹脂2により封止したものである。LED素子を封止する樹脂2としては、一般的にエポキシ樹脂が使用される。樹脂2は、砲弾型(ドーム状)に成型されており、レンズとして作用する。電光掲示板等に使用されるLED1は、屋外環境では紫外線に曝されることにより、樹脂2の表面3が劣化し、細かなひび割れが発生して凹凸4が形成された状態となっている。また、凹凸4は外部からの傷による場合もある。
エポキシ樹脂は硬化剤の種類によって数十種類のものが市販されており、その光学的特性はそれぞれ異なっている。図2は劣化したレンズの先端部と側面部について、顕微FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)表面反射法により得られた赤外吸収スペクトルの例を示している。同図に示されるように、当該レンズは波長830cm-1と1510cm-1付近(同図中○印波長)にエポキシ樹脂の特徴である特性吸収帯が現れており、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの縮合物、通称ビスフェノールA型と呼ばれるものと考えられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、図3に示す分子構造式の通りベンゼン環を有し、ベンゼン環を有する高分子材料は比較的光劣化に弱い傾向があると言われている。レンズの先端部と側面部とを比較したとき、図2(A)に示されるように先端部は、波長3400cm-1付近(図2↓印波長)のOH基が極めて大きいこと、エポキシ樹脂を構成する波長830cm-1、1510cm-1付近が側面部(同図(B)参照。)よりも減少していることから、くすみ現象の激しい先端部では劣化がより進行していると言える。
プラスチック等の高分子材料の成形体は、特に平面形状ではない球体形状の場合、成形時に残留ひずみが大なり小なり発生し、成形体に内在することになる。この残留ひずみは、長期にわたる劣化ダメージにより、成形体全体を低分子化し脆弱化させ、表面にクラックへ至る前の細かなひび割れ(クレイズ)を発生させる。その後、劣化がより進行することでクレイズはクラックへ成長するものと考えられる。
そこで、SEM(走査型電子顕微鏡)にて、くすみの大きいレンズとくすみの小さいレンズのそれぞれのレンズ先端部を中心に、詳細な表面形態観察を実施した。図4はSEMによるレンズ先端部分の表面形態観察結果を示している。図4(A)に示すように、くすみの大きいレンズには無数の激しいクレイズの存在が認められる。一方、同じ先端部であってもくすみの小さいレンズは、図4(B)に示すようにクレイズは限りなく少ない。
図5は劣化したLEDをIPA(イソプロピルアルコール)により拭き取り後、デジタルカメラとマイクロスコープで撮影した画像を示す図であって、(A)はLED全体の画像を示す図、(B)は観察箇所1の画像を示す図、(C)は観察箇所2の画像を示す図、(D)は観察箇所3の画像を示す図である。同図(C)に示すように、樹脂の表面は劣化し、20μm~100μm間隔で細かなひび割れ(クレイズ)が発生して凹凸が形成された状態となっている。
図6は新品のLEDをIPAにより拭き取り後、デジタルカメラとマイクロスコープで撮影した画像を示す図であって、(A)はLED全体の画像を示す図、(B)は観察箇所1の画像を示す図、(C)は観察箇所2の画像を示す図、(D)は観察箇所3の画像を示す図である。図5の劣化したLEDと比較して図6の新品のLEDの樹脂の表面は滑らかであり、劣化したLEDのような20μm~100μm間隔の細かなひび割れは無い。
図4(A)のSEM写真より、レンズ先端部でのクレイズ幅は1~2μm、クレイズ数はそれぞれのクレイズが連続しているため無数に発生している。これらのクレイズ溝(凹凸4)を樹脂塗料5により埋めることで、光の乱反射は収まり、光はレンズを直線的に投下し、くすみは回復する。そこで、本実施形態における発光装置の再生方法では、図1(B)に示すように、劣化したLED1の樹脂2の表面3に対し、透明な樹脂塗料5をスプレーまたは刷毛塗りにより塗布する。このとき、LED1の表面3の凹凸4に樹脂塗料5が浸入して、凹凸4が埋まるようにする。その後、樹脂塗料5を乾燥させると、樹脂2の表面3が滑らかな状態に再生される。
樹脂塗料としては、フッ素系塗料、ウレタン系塗料やシリコン系塗料等を使用することができる。フッ素系塗料は、炭素とフッ素によるC-F結合の分子構造を有し、結合エネルギーが抜群に強いため、屋外曝露時に受ける紫外線熱からのダメージに強く、ウレタン系塗料の倍以上の耐久性がある。ウレタン系塗料では、分子構造中のウレタン結合が極性基を有するため、基材(エポキシ)に対し、強固な密着性を示す。シリコン系塗料は、Si-O-Si-の分子構造を有し、フッ素系塗料と同様の強い結合エネルギーを示し、紫外線や熱に強いという特徴がある。
なお、樹脂塗料5の塗布の前準備として樹脂2の表面3の凹凸4を多少研磨することも可能であるが、本実施形態における発光装置の再生方法では研磨は不要であり、樹脂2の表面3を一切研磨することなく樹脂塗料5を塗布しても、樹脂2の表面3は滑らかな状態に再生される。
本発明の再生方法により市販の透明な樹脂塗料(実施例1~5)を用いて劣化したLEDの再生を行い、再生後のLED(以下、「再生LED」と称することもある。)について照度計(コニカミノルタ:T-10MA)により照度を測定した。図7は照度測定試験装置の概要図である。また、比較例1として新品のLEDの照度を測定した。さらに、比較例2として、市販の研磨材を用いて劣化したLEDの表面を研磨後、照度を測定した。
照度の測定方法は以下の通りである。
(1)安定化電源をAC100Vコンセントへ接続。
(2)LEDをLED固定台に置き、固定。
(3)端子からLEDへ2V給電し、LEDを点灯。
(4)遮光用BOXの上面の測定用穴に照度計の測定部分をはめ込み、テープ等で固定。
(5)照度計の測定値を記録。
図8は実施例1~5および比較例1,2の概要と試験結果を示している。実施例1~5の再生LEDでは、比較例1の新品LEDには及ばないものの、塗布前後のLEDの写真から透明な樹脂塗料の塗布により樹脂の表面のくすみが改善されていることが分かる。また、照度再生率についても、比較例2の研磨による方法以上の効果が確認できた。
図9は新品と10年使用したLEDユニットの照度を比較した図である。図9から分かるように10年使用したことにより照度は平均で29.9%減少していた。
図10は新品と一番効果のあった実施例5の塗料(ケイムラウレタン)の塗布前後の照度を比較した図である。図10から分かるように実施例5では塗布前は新品から照度が33.3%減少していたが、塗布により新品に対して14.2%減少まで改善された。
本実施例においては、レンズの輝度回復に有効と考えられる主成分を有する3種類の透明な樹脂塗料を選定して輝度回復試験を行った。また、輝度回復したレンズの機能がどれほど持続するのかを把握するため、促進耐候試験による耐久性能を確認した。さらに、促進耐候試験で機能が再度低下したレンズに2度目の塗布を行い、再々生の効果についても検証した。
<1>レンズの再生
レンズ再生検証のための輝度回復試験にあたっては、本来ならば輝度を計測すべきであるが、計測が容易である照度計測に置き換えた。照度計測は、図11に示すように遮光ボックス内で固定したLEDをDC-2Vの印加により発光させ、コニカミノルタ製照度計T-10をLEDに15mmまで近接させてLED先端方向の直射照度を計測した。測定にあたっては、塗料塗布前(再生前)と塗布後24時間の室温養生(再生後)した照度を塗料ごとに3検体測定し、それぞれの平均値を表1に示した。
Figure 2022089777000002
表1に示されるように、再生前の照度は270~310lxであったものが、再生後には360~438lxへと回復効果が認められた。再生前後の照度比である照度回復率は133~141%と、ウレタン系塗料とシリコン系塗料がやや高いものの、各塗料による回復に顕著な差異は認められなかった。
図12は3種の塗料の中で最も大きな照度回復率を示したシリコン系塗料の塗布前後のレンズ表面外観写真である。外観目視観察を行ったところ、くすみがなくなり十分に透明性が回復し、光沢も増している(図12上参照。)。さらに、実体顕微鏡によって拡大観察すると、図12下に示されるように、塗布前はレンズ表面に無数のクレイズが見られていたが、塗布後にはクレイズが消失していた。
このように、劣化したレンズに樹脂塗料を塗布することで、LEDは外観という定性的にも、照度という定量的にも回復することを立証できた。
<2>レンズの耐久性評価
<2-1>促進耐候試験
図13は耐久性評価に用いた促進耐候性試験機アイスーパーUVテスター SUV-W161-T05(岩崎電気製)の光波長分布を示している。図中には、比較のために、太陽光と、ISOにて規格化されているキセノンランプと、JISで規格化されている紫外線カーボンアークとについても併記した。同図に示されるように、本評価に用いた促進耐候性試験機の照射波長は、太陽光、キセノンランプおよびカーボンアークの全ての波長を含んだ波長分布を示し、照射対象試料に対し、強い劣化ダメージを与える。なおかつ、照射時の比エネルギー値は、太陽光300~400nmの年間放射露光量306MJ/m2で、太陽光、キセノンランプおよびカーボンアークと比較して高い照射エネルギーを有している。
この促進耐候性試験機では300~400nmの放射照度150±8mW/cm2から計算すると、1年相当分は57時間になる。促進耐候試験の時間は、電光表示板の更新時期を設置後30年とした場合、20年経過時点でレンズの再生を行い、残り10年間の中間において再々生を行うことを想定し、5年相当分となる285時間の照射を行った。
<2-2>促進耐候試験結果
促進耐候試験時間に対する再生LEDの照度変化率を図14に示した。照度変化率とは、再生化直後の照度を100%としたときの経時による照度が低下する変化率を表している。この結果から、シリコン系塗料では、照射228時間(約4年相当分)まで全く低下せず、285時間(約5年相当分)で僅か2%の低下に留まった。続いてフッ素系塗料が7%、ウレタン系塗料が20%と、シリコン系塗料が最も照度低下の少ないことが確認できた。以上の結果より、3種の塗料の中でシリコン系塗料が抜群の耐久性を有することが立証できた。
また、一般に、光の透過の妨げの度合いを見る間接的測定手段として曇り度(日本工業規格、プラスチック-透明材料のヘーズの求め方、JIS K 7136:2000)、光沢度(日本工業規格、塗料一般試験方法-第4部:塗膜の視覚特性-第7節:鏡面光沢度、JIS K 5600-4-7:1999)が存在する。これらの測定手法に基づき、それぞれ3種の塗料に測定を実施したものの、いずれも照度と同様の低下挙動を示し、結果としてシリコン系塗料の耐久性に対する抵抗の高さが際立った。
<2-3>レンズの再々生
上述のようにレンズに3種の塗料を塗布し、5年相当分の促進耐候試験後、照度の低下が一番少ないシリコン系材料で2%低下、最も低下が大きいウレタン系塗料で20%低下という結果を得た。すなわち、シリコン系塗料の塗布によるレンズ再生で5年の耐久性が確保できることが分かった。そこで、5年経過後、さらに電光表示板の寿命延長を試みるとどうなるかを推測するため、劣化処理後に同一塗料を再度塗布した場合、照度が再生するのかを検証した。その結果を表2に示した。
Figure 2022089777000003
表2において、回復照度は再生時と再々生時の照度差を、照度回復率は再生時に対する再々生時の照度の比率を表している。3種の塗料とも照度は回復するものの、回復の程度は塗料によって大きく異なった。フッ素系塗料とシリコン系塗料では、一度目の再生と二度目の再生(再々生)の比率である照度回復率は99%であった。すなわち、一度目の再生も二度目の再生もほぼ同じ照度へ回復することが明らかになった。なお、ウレタン系塗料は、分子構造中にNH等の助色団を含むことから黄変化が生じるため、照度回復率は低下するものと考えられる。
以上の結果から本再々生手法を用いることで、レンズに対しては半永久的に使用可能であるということが言える。
<2-4>塗料の剥離試験
レンズを構成するエポキシの分子構造式は図3に示すとおり無極性ポリマーではない。しかし、シリコン系塗料は一般に基材に対し、密着性に劣る。シリコン系接着剤(RTV(室温硬化))はエポキシ系接着剤の1/4の接着力である。そこで、促進耐候試験後のレンズからの剥離試験を市販のセロハンテープ、ガムテープを用いて実施した。
その結果、いずれの塗料もレンズ表面からの剥離現象は照射処理後でも全く示すことなく、劣化後もレンズに対する十分な密着性を保持していることが確認された。シリコン系塗料では部分的な剥離すら認められなかった。この要因として、シリコン系塗料では、官能基の極性効果以外にクレイズの発生が著しいため、アンカー効果による機械的、物理的な接着効果も十分生じていると考えられる。
<2-5>アクリルシリコン系塗料の照度回復性・耐久性効果
シリコン系塗料として特にアクリルシリコン系塗料を用いた場合、アクリルシリコン系塗料はアルコキシリル基がアクリル樹脂に加水分解、脱水縮合により架橋反応を生じさせ、硬化させているものと推察される。アクリルシリコン系塗料の場合、塗布後、約24時間の養生が必要であり、この養生時間が架橋反応終了時間と考えられる。
すなわち、図15のアルコキシリル基結合アクリル樹脂の架橋反応図に示すとおり、シロキサン結合(-Si-O-Si-)は結合エネルギーが他の結合と比べると遙かに大きいため、劣化に強く、耐光性、耐水性および耐熱性の全ての点において優れている。さらに、架橋も施されているため、耐溶剤性も優れている。このため、長期間の屋外曝露に十分耐えられるものと考えられる。
以上のように、本実施形態における発光装置の再生方法によれば、樹脂2の表面3に透明な樹脂塗料5を塗布して樹脂2の表面3の凹凸4を埋めるだけで、簡単に樹脂2の表面3が滑らかな状態に再生され、凹凸による光の乱反射が軽減されて、くすみが改善され、輝度が回復したLED1が得られる。したがって、この再生方法によれば、電光表示板等が設置される現場において透明な樹脂塗料の塗布により容易にLEDを再生させ、視認性を回復させることが可能であり、また、劣化したLEDを再生した再生発光装置を製造することも可能である。
なお、上記においては、LED素子を封止する樹脂2としてエポキシ樹脂が使用されたLED1の再生について説明したが、エポキシ樹脂以外の樹脂が使用されたものであっても、その表面に細かなひび割れが発生したものに対して、凹凸4を樹脂塗料5により埋めることで、光の乱反射は収まり、光はレンズを直線的に投下し、くすみは回復する。また、発光装置としてLEDを例に説明したが、発光部が樹脂により覆われた発光装置にも適用可能である。
本発明は、表面の樹脂が劣化もしくは外部からの傷により表面に凹凸が形成され、輝度が低下したLED等の発光装置の輝度回復と長時間の耐久性を得ることが可能であり、持続可能な社会へ大きく寄与できる発光装置の再生方法および劣化した発光装置から再生発光装置を製造する方法として有用である。
1 LED
2 樹脂
3 表面
4 凹凸
5 樹脂塗料

Claims (5)

  1. 表面の樹脂の劣化もしくは外部からの傷により前記樹脂の表面に凹凸が形成された発光装置の再生方法であって、
    前記樹脂の表面に透明な樹脂塗料を塗布して前記樹脂の表面の凹凸を埋めることを特徴とする発光装置の再生方法。
  2. 前記樹脂の表面を一切研磨することなく、前記樹脂塗料を塗布することを特徴とする請求項1記載の発光装置の再生方法。
  3. 前記樹脂塗料の塗布は、スプレーまたは刷毛塗りによる請求項1または2に記載の発光装置の再生方法。
  4. 前記樹脂塗料は、シリコン系塗料である請求項1から3のいずれかに記載の発光装置の再生方法。
  5. 表面の樹脂の劣化もしくは外部からの傷により前記樹脂の表面に凹凸が形成された発光装置に対し、前記樹脂の表面に透明な樹脂塗料を塗布して前記樹脂の表面の凹凸を埋めることを特徴とする再生発光装置の製造方法。
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