JP2022087800A - 原子層堆積装置および原子層堆積方法 - Google Patents

原子層堆積装置および原子層堆積方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ALDにおいて成膜効率や成膜精度の改善に貢献する技術を提供する。【解決手段】被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバ3内にガスを供給するガス供給部4において、原料ガスをチャンバ3内に供給する原料ガス供給ラインL2と、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ3内に供給するオゾンガス供給ラインL1と、不活性ガスをチャンバ3内に供給する不活性ガス供給ラインL3と、を有しているものとする。オゾンガス供給ラインL1は、オゾンガス供給ラインL1に設けられた開閉弁V1の開閉により、当該オゾンガス供給ラインL1内のオゾンガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ3内に供給自在なオゾンガスバッファ部L12と、オゾンガスバッファ部L12内のガス圧力を計測するオゾンガスバッファ部圧力計PL1と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、原子層堆積装置および原子層堆積方法に関するものであって、例えば半導体デバイス等に適用可能な薄膜を形成する技術に係るものである。
半導体デバイス(例えば、CPUの回路)等の先端デバイスの薄膜を形成(以下、単に成膜と適宜称する)する手法としては、蒸着、スパッタリング、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)が代表的である。なかでも、ALDは、段差被覆性と緻密性に最も優れており、最先端デバイスの薄膜形成手段としては必須のものとなっている(例えば、特許文献1)。
ALDでは、主に、被成膜対象物(例えば、シリコンウエハ)が備えられたチャンバ(真空容器等)全体を真空排気する工程、チャンバ内にALDの原料ガス(例えば、TMA(トリメチルアルミニウム))を導入する工程、チャンバから原料ガスを除去する工程、チャンバに原料ガスの酸化剤(例えば、水蒸気)を供給する工程、の4つの工程が繰り返し行われる。チャンバ内に原料ガスを導入し、当該チャンバ内に原料ガスを満たすことで、被成膜対象物の表面(被成膜面)に1分子層分の原料ガスが吸着し、当該被成膜対象物の被成膜面に原料ガスの分子層が形成される。
そして、チャンバ内に原料ガスの酸化剤を供給することで、被成膜面に形成された原料ガスの分子層が酸化され、当該被成膜面に原料ガスの酸化膜(例えば、酸化アルミニウム)の分子層が形成される。前記4つの工程を繰り返し行うことで、繰り返し回数に応じた膜厚を有する薄膜が形成される。
ALDによる成膜工程は、成膜温度が高くなってしまう傾向がある。例えば、TMAと水蒸気を十分に反応させるためには、被成膜対象物を比較的高温(例えば300℃~500℃)まで加熱する必要がある。また、最先端デバイスに用いられるGaN、ZnOのような化合物半導体の場合、被成膜面にヘテロエピタキシーやMBE(Molecular Beam Epitaxy)で組成の微妙に異なる薄膜半導体層が数層重ねて形成されることがある。これらの薄膜半導体層は、加熱により組成ずれが発生してしまうおそれがあるため、低温で成膜することが強く求められる。
また、他の最先端デバイスでは、ALDによる成膜温度が、室温~100℃が好ましいという考えがある。よって、酸化剤をオゾン(O3)やプラズマ酸素に置き換え、当該酸化剤により発生するラジカルを利用したALDが検討されている。オゾンは熱分解で強力な酸化剤であるOラジカルを発生でき、低温化が可能であったが、それでも被成膜対象物を数百℃に加熱する必要があった。また、最初からOラジカルを供給可能であって最も低温化が可能とされているプラズマ酸素を用いた場合でも、100℃~150℃程度の低温化であり、さらなる低温化が求められている。
また、従来のALDによる成膜工程は、成膜時間が長くなる等により成膜効率が低くなってしまう傾向がある。例えば、被成膜面に対し、ALDにより1分子層を成膜するためには、まず当該被成膜面に原料ガスを吸着させ、原料ガスを除去し、当該被成膜面に形成された原料ガス層(吸着層)を酸化する工程を行う必要がある。この工程は、通常数分を要する。例えば、酸化アルミニウムの場合は1分子層の厚みが約0.1nm程度なので、実用的な10nm程度の成膜には約100分子層が必要となり、1分子層あたり30秒としても50分程度もかかってしまう。例えば、CVD等の他の成膜方法であれば、10nm程度の成膜であれば1分以内で成膜可能なことから、他の成膜方法と比較して、ALDの成膜時間の長さは大きなデメリットになるおそれがあった。
その他、近年においては、原料ガスや酸化剤等の各種ガスをシャワーヘッドを介して供給して枚葉処理により成膜する手法や、オゾンと不飽和炭化水素の反応により発生するOHラジカルを酸化剤として用いる手法の検討も行われている(例えば特許文献2,3)。
特開2014-057014号公報 特許6702514号公報 特許6677356号公報
ニュースリリース 2018年"世界初 ピュアオゾンを使用し常温で酸化膜を作る技術を確立しました"、[オンライン]、2019年7月31日、株式会社明電舎ホームページ、インターネット、〈https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1227605_2469.html〉
一般的なALDで利用されているラジカルにおいては、寿命が比較的短いため、チャンバ内で広く拡散することが困難であり、例えば凹凸状の被成膜面に吸着している原料ガスを酸化することが困難となってしまうことも考えられる。
このため、被成膜対象物においては、被成膜面が平坦である平板状の基板等に限定されたり、枚葉処理に限定されてしまうおそれがあった。また、例えば所望の膜質を有する酸化膜を形成することが困難となるおそれもあった。
以上のような傾向により、成膜効率や成膜精度の改善(成膜時間の短縮化や酸化膜の高膜質化等)が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成膜効率や成膜精度の改善に貢献する技術を提供することを目的としている。
この発明に係る原子層堆積装置および原子層堆積方法は、前記の課題の解決に貢献できるものであり、原子層堆積装置の一態様としては、被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバと、チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、チャンバ内のガスを吸気して当該チャンバ外に排出し、当該チャンバ内の減圧状態を維持するガス排出部と、を備え、ガス供給部は、原料ガスをチャンバ内に供給可能な原料ガス供給配管を有している原料ガス供給ラインと、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給可能なオゾンガス供給配管を有しているオゾンガス供給ラインと、不活性ガスをチャンバ内に供給可能な不活性ガス供給配管を有している不活性ガス供給ラインと、を備え、オゾンガス供給ラインは、オゾンガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該オゾンガス供給配管内のオゾンガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ内に供給自在なオゾンガスバッファ部と、オゾンガスバッファ部内のガス圧力を計測するオゾンガスバッファ部圧力計と、を備えていることを特徴とする。
また、オゾンガスバッファ部内に蓄積するオゾンガスの蓄積量をオゾンガスバッファ部圧力計の計測値の変化量に基づいて制御するオゾンガス蓄積量制御部を、更に備えていることを特徴としても良い。
また、オゾンガスバッファ部内の容積は、チャンバ内の容積の1/50以上であることを特徴としても良い。
また、オゾンガス供給配管内のうちオゾンガスバッファ部よりも下流側の容積は、当該オゾンガスバッファ部内の容積の1/10~1/2の範囲内であることを特徴としても良い。
また、オゾンガス供給配管の下流側先端部は、チャンバ内周面から突出しているオゾンガスノズル部を有して成り、原料ガス供給配管の下流側先端部は、チャンバ内周面から突出している原料ガスノズル部を有して成り、オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部それぞれは、チャンバの内周面から突出して延在している筒状部と、筒状部の前記突出した方向の先端部を封止している蓋部と、筒状部の外周面を当該筒状部の径方向に貫通している複数個のノズル孔と、を有していることを特徴としても良い。
また、オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部は、互いに平行となるようにチャンバ内周面から突出しており、オゾンガスノズル部のノズル孔と、原料ガスノズル部のノズル孔と、は互いに対向した位置に設けられていることを特徴としても良い。
また、チャンバ内におけるオゾンガスノズル部および原料ガスノズル部の両者間を加熱するチャンバ内加熱部が、当該両者間に配置されており、チャンバ内加熱部は、チャンバ内における前記両者間を、オゾンガス供給配管内の温度および原料ガス供給配管内の温度よりも高温となるように加熱することが可能なことを特徴としても良い。
また、チャンバ内周面の温度を調整する内周面温度調整部を、更に備え、内周面温度調整部は、チャンバ内周面の温度を、オゾンガス供給配管内の温度および原料ガス供給配管内の温度よりも高温に調整することが可能であり、オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部は、互いに平行となるようにチャンバ内周面から突出しており、オゾンガスノズル部のノズル孔と、原料ガスノズル部のノズル孔と、は互いに反対向きの位置に設けられていることを特徴としても良い。
また、チャンバ内周面は、当該チャンバ内周面から突出したガス流ガイド部が設けられており、ガス流ガイド部は、チャンバ内周面から、チャンバ内における被成膜対象物の収容位置に向かって延出していることを特徴としても良い。
また、複数個の原料ガス供給ラインが、チャンバに対して並列に設けられていることを特徴としても良い。
また、各原料ガス供給ラインの原料ガス供給配管内の温度をそれぞれ調整することが可能な供給配管温度調整部を、更に備えていることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給ラインは、原料ガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該原料ガス供給配管内の原料ガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積した原料ガスをチャンバ内に供給自在な原料ガスバッファ部と、原料ガスバッファ部内のガス圧力を計測する原料ガスバッファ部圧力計と、を備えていることを特徴としても良い。
また、原料ガスバッファ部内に蓄積する原料ガスの蓄積量を原料ガスバッファ部圧力計の計測値の変化量に基づいて制御する原料ガス蓄積量制御部を、更に備えていることを特徴としても良い。
また、原料ガスバッファ部内の容積は、チャンバ内の容積の1/500以上であることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給配管内のうち原料ガスバッファ部よりも下流側の容積は、当該原料ガスバッファ部の容積の1/10~1/2の範囲内であることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給配管における原料ガスバッファ部の上流側または/および下流側に、当該原料ガスバッファ部とガス排出部とを連通状態または遮断状態に切り替え可能なバイパス配管を有しているバイパスラインが、備えられていることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給ラインは、原料ガス供給配管と不活性ガス供給配管とを連通状態または遮断状態に切り替え可能な不活性ガス追加供給配管を有している不活性ガス追加ラインを、備えていることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給ラインは、原料ガス供給配管と不活性ガス供給配管とを連通状態または遮断状態に切り替え可能な不活性ガス追加供給配管を有している不活性ガス追加ラインを、備えており、原料ガスバッファ部は、原料ガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該原料ガス供給配管内の原料ガスと、不活性ガス追加供給配管を介して不活性ガス供給配管から原料ガス供給配管内に供給された不活性ガスと、が混合された混合ガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積した前記混合ガスをチャンバ内に供給自在であることを特徴としても良い。
また、不活性ガス追加供給配管内の温度を原料ガス供給配管内の温度よりも高温に調整することが可能な追加供給配管温度調整部を、更に備えていることを特徴としても良い。
原子層堆積方法の一態様は、前記原子層堆積装置を用い、当該原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、酸化膜を構成する元素を含む原料ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該原料ガスの吸着層を形成する原料ガス供給工程と、原料ガス供給工程で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を酸化する酸化剤供給工程と、酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、を有することを特徴とする。
原子層堆積方法の他の態様は、前記原子層堆積装置を用い、当該原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、酸化膜を構成する元素を含む原料ガスと、不活性ガスと、が混合された前記混合ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該混合ガス中の原料ガスによる吸着層を形成する原料ガス供給工程と、原料ガス供給工程で供された前記混合ガスの余剰ガスと、当該混合ガス中の原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を酸化する酸化剤供給工程と、酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、を有し、原料ガス供給工程の前記混合ガスは、原料ガスバッファ部内が所定の圧力に到達するまで、当該原料ガスバッファ部内に原料ガスを蓄積して封止する原料ガス蓄積工程と、原料ガスバッファ部内が原料ガス蓄積工程の場合よりも高圧の所定の圧力に到達するまで、不活性ガス追加供給配管を介して当該原料ガスバッファ部内に不活性ガスを供給することにより、前記混合ガスを得て当該原料ガスバッファ部内に蓄積し封止する混合ガス蓄積工程と、を予め実施して得ることを特徴とする。
また、混合ガス蓄積工程により原料ガスバッファ部内に蓄積した前記混合ガスにおける原料ガスの分圧は、1000Pa以下とし、当該混合ガスにおける原料ガスの濃度は、当該混合ガスにおける原料ガスと不活性ガスとの分圧比による換算値で30%以下とする、ことを特徴としても良い。
また、原料ガス供給工程は、原料ガスバッファ部内に蓄積した前記混合ガスを、チャンバ内に対して1秒以内で供給を完了し、当該チャンバ内の圧力を0.1~100Paの範囲内とすることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給工程の後、原料ガス供給配管内に不活性ガスを供給することにより、当該原料ガス供給配管内に残存するガスを当該不活性ガスに置換することを特徴としても良い。
また、酸化剤供給工程によりオゾンガスバッファ部内に蓄積したオゾンガスの分圧は、10000Pa以下とすることを特徴としても良い。
また、酸化剤供給工程は、オゾンガスバッファ部内に蓄積したオゾンガスを、チャンバ内に対して1秒以内で供給を完了し、当該チャンバ内の圧力を10~1000Paの範囲内とすることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給工程によりチャンバ内にガスを供給して一定時間封止してから、原料ガスパージ工程により、当該ガスをチャンバ外に排気し、酸化剤供給工程によりチャンバ内にガスを供給して一定時間封止してから、酸化剤パージ工程により、当該ガスをチャンバ外へ排気することを特徴としても良い。
また、原料ガスパージ工程および酸化剤パージ工程は、それぞれチャンバ内に不活性ガスを複数回繰り返し供給して行い、前記複数回繰り返し供給する不活性ガスの供給量は、原料ガス供給工程においてチャンバ内に供給したガスの10倍以上、または酸化剤供給工程においてチャンバ内に供給したガスの10倍以上とすることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給工程によりチャンバ内に供給されたガスの封止時間、および酸化剤供給工程によりチャンバ内に供給されたガスの封止時間は、それぞれ1~1000秒の範囲内とすることを特徴としても良い。
また、原料ガス供給工程、原料ガスパージ工程、酸化剤供給工程、酸化剤パージ工程の各工程によるサイクルを複数回行い、各原料ガス供給工程のうち少なくとも1工程で用いる原料ガスと、残りの工程で用いる原料ガスとは、それぞれ異なる種類の原料ガスであることを特徴としても良い。
また、酸化膜は、Al23、HfO2、TiO2、ZnO、Ta23、Ga23、MoO3、RuO2、SiO2、ZrO2、Y23のいずれかの吸着層を含む、ことを特徴としても良い。
以上示したように本発明によれば、成膜効率や成膜精度の改善に貢献することが可能となる。
実施例によるALD装置の一例を説明するための概略構成図。 被成膜対象物2の一例を説明するための概略断面図。 酸化膜21の形成に係る成膜工程図。 酸化膜21の形成例を示す反応模式図。シャワーヘッドに形成された孔の一例を示す図である。 工程S1~S4による成膜サイクルの一例を説明するための経過時間に対する圧力変化特性図。 実施例3による酸化膜21の断面観察結果を説明するための各種断面画像。 実施例4による配管L11,L21のガスノズル部61,62の構成例を説明するための概略構成図(筒状部6aを軸心方向に断面した図であって、当該筒状部6a内側から臨んだ図)。 実施例4による配管L11,L21のガスノズル部61,62の構成例を説明するための概略構成図((A)はチャンバ3内を被成膜対象物2の開口縁面22a側から臨んだ図(開口縁面22a等の描写は省略)、(B)はチャンバ3内を蓋部6b側から臨んだ図(被成膜対象物2は図2同様に断面した図))。 実施例5によるチャンバ3内の各ガスの加熱構成例を説明するための概略構成図((A)(B)それぞれは図8と同様に描写した図)。 実施例6によるチャンバ3内の各ガスの加熱構成例を説明するための概略構成図((A)(B)それぞれは図8と同様に描写した図)。
本発明の実施形態の原子層堆積装置および原子層堆積方法(以下、ALD装置およびALD方法と適宜称する)は、例えば成膜温度を比較的高温にしたり、酸化剤により発生するラジカルを利用した従来のALD方法(以下、単に従来ALD方法と適宜称する)とは、全く異なるものである。
すなわち、本実施形態のALD装置およびALD方法は、被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバと、チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、チャンバ内のガスを吸気して当該チャンバ外に排出し、当該チャンバ内の減圧状態を維持するガス排出部と、を備えているものとする。ガス供給部は、原料ガスをチャンバ内に供給可能な原料ガス供給配管を有している原料ガス供給ラインと、80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給可能なオゾンガス供給配管を有しているオゾンガス供給ラインと、不活性ガスをチャンバ内に供給可能な不活性ガス供給配管を有している不活性ガス供給ラインと、を有しているものとする。
そして、オゾンガス供給ラインは、オゾンガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該オゾンガス供給配管内のオゾンガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ内に供給自在なオゾンガスバッファ部と、オゾンガスバッファ部内のガス圧力を計測するオゾンガスバッファ部圧力計と、を備えているものとする。
このような本実施形態によれば、オゾンガスをチャンバ内に対して広く拡散し易くなり、例えば凹凸状の被成膜面に吸着している原料ガスを酸化することも十分可能となる。
このため、例えば、被成膜対象物を加熱したり酸化剤としてラジカルを利用しなくても、被成膜面に吸着している原料ガスを十分に酸化することができ、所望の膜質の酸化膜を形成することが可能となる。また、例えば複数の被成膜対象物をチャンバ内に配置し、それぞれの被成膜面に対して一括で酸化膜を形成(比較的大きな容積のチャンバを用いたバッチ処理等)することも可能となる。これにより、成膜効率や成膜精度の改善に貢献することが可能となる。
また、80体積%以上の高濃度のオゾンガスを供給できるため、比較的低温(例えば100℃以下)で酸化膜を形成することも可能であるため、例えばSi基板等のように耐熱性が比較的高い基板だけでなく、当該耐熱性が比較的低い合成樹脂で形成された基板またはフィルム等においても、酸化膜を適宜形成することが可能となる。
本実施形態のALD装置およびALD方法は、前述のようにガス供給部において原料ガス供給ライン,オゾンガス供給ライン,不活性ガス供給ラインを備え、当該オゾンガス供給ラインのオゾンガスバッファ部においてオゾンガスを一時的に蓄積して封止自在、かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ内に供給自在な態様であれば良く、種々の分野(例えば、ALD,CVD等による成膜分野,改質分野,チャンバ分野,オゾンガス分野,供給ライン分野等)の技術常識を適宜適用し、必要に応じて先行技術文献等を適宜参照して設計変形することが可能であり、その一例として以下に示す実施例が挙げられる。
なお、以下の実施例では、例えば互いに同様の内容について同一符号を引用する等により、詳細な説明を適宜省略しているものとする。
≪実施例≫
<ALD装置11の主な構成>
図1は、実施例によるALD装置11の概略を示すものである。このALD装置11は、例えば後述の図2に示すような被成膜対象物2を出し入れ自在に収容可能なチャンバ(反応容器)3と、チャンバ3内に各種ガスを供給するガス供給部4と、チャンバ3内のガスを吸気して当該チャンバ3外に排出するガス排出部5と、を主として備えている。チャンバ3内に収容した被成膜対象物2は、例えば図外の支持部により適宜支持することが可能である。
チャンバ3は、オゾンガスをチャンバ3内に噴き出すオゾンガス噴出口31と、原料ガスをチャンバ3内に噴き出す原料ガス噴出口32と、不活性ガスをチャンバ3内に噴き出す不活性ガス噴出口33と、有している。これら噴出口31~33においては、例えばチャンバ3における被成膜対象物2と対向する位置(図1ではチャンバ3の図示上方側の位置)に設けられている。また、チャンバ3には、当該チャンバ3内のガス圧力を計測可能な圧力計Pが設けられている。
ガス供給部4は、オゾンガス発生装置G1のオゾンガス(例えば80体積%以上のオゾンガス)を噴出口31からチャンバ3内に供給するオゾンガス供給ラインL1と、原料ガス供給装置G2の原料ガスを噴出口32からチャンバ3内に供給する原料ガス供給ラインL2と、不活性ガス供給装置G3の不活性ガスを噴出口33からチャンバ3内に供給する不活性ガス供給ラインL3と、を備えている。
ガス排出部5は、例えばチャンバ3における各噴出口31~33から距離を隔てた位置(図1ではチャンバ3の図示側方側の位置)に設けられる。このガス排出部5は、チャンバ3内のガスを吸気して当該チャンバ3外に排出し、当該チャンバ3内を減圧状態(例えばチャンバ3内が真空環境下となるような状態)に維持することが可能な構成とする。図1のガス排出部5の場合、排気管5a,開閉弁5b,真空ポンプ5c等を有した構成となっている。
<オゾンガス供給ラインL1>
オゾンガス供給ラインL1は、オゾンガス発生装置G1と噴出口31との間を接続し、当該オゾンガス発生装置G1のオゾンガスを供給可能なオゾンガス供給配管L11を、備えている。この配管L11は、当該配管L11内のガス流を流通可能状態(開状態)または流通遮断状態(閉状態)に切り替え自在なオゾンガス開閉弁V1(図1中では後述のオゾンガスバッファ部L12の上流側および下流側に位置する開閉弁V1a,V1b)と、当該開閉弁V1の開閉により当該配管L11内のオゾンガス(チャンバ3よりも上流側の位置のオゾンガス)を蓄積して封止自在かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ3内に供給自在なオゾンガスバッファ部L12と、を備えている。また、配管L11は、オゾンガスバッファ部L12内のガス圧力を計測可能なオゾンガスバッファ部圧力計PL1を、備えている。
オゾンガスバッファ部L12は、配管L11を流通するオゾンガスを受容して蓄積し所定圧力で適宜封止でき、その所定圧力のオゾンガスをチャンバ3内に適宜供給できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。一例としては、オゾンガスバッファ部L12内の容積を、チャンバ3の容積の1/50以上程度(具体例としては、チャンバ3の容積が50000ccの場合に、オゾンガスバッファ部L12の容積を1000cc)とし、当該オゾンガスバッファ部L12内のガス圧を10000Pa以下程度で保持できる態様が挙げられる。
また、配管L11内のうちオゾンガスバッファ部L12よりも下流側の容積(例えば図1では、オゾンガスバッファ部L12の出口から噴出口31までの容積。後述のオゾンガスノズル部61を有している場合は、当該オゾンガスノズル部61を含む容積)は、適宜設定することが可能であり、その一例としては、当該オゾンガスバッファ部L12内の容積の1/10~1/2の範囲内とすることが挙げられる。
オゾンガスバッファ部L12内に蓄積するオゾンガスの蓄積量(チャンバ3内に供給するオゾンガスの供給量)は、例えば図外のオゾンガス蓄積量制御部により、圧力計PL1の計測値の変化量に基づいて制御することが可能である。
開閉弁V1においても、種々の態様を適用することが可能であり、その一例として、図1に示すようにオゾンガスバッファ部L12の上流側および下流側それぞれに開閉弁V1a,V1bを設けたり、それら開閉弁V1a,V1bに自動バルブを適用した態様が挙げられる。
このようなオゾンガス供給ラインL1において、例えば開閉弁V1を適宜開閉動作し、オゾンガスバッファ部L12内のガス圧を圧力計PL1に基づいて適宜制御することにより、当該オゾンガスバッファ部L12内に所定圧力および所定濃度のオゾンガスを蓄積し、そのオゾンガスをチャンバ3内に供給できることとなる。
このオゾンガスをチャンバ3内に供給した後、オゾンガスバッファ部L12内に残存したオゾンガスは、次回のオゾンガス蓄積動作時に、オゾンガス発生装置G1からの新たなオゾンガスと共に、当該オゾンガスバッファ部L12内に蓄積して利用可能(改めてチャンバ3内に供給可能)である。
<原料ガス供給ラインL2>
原料ガス供給ラインL2は、原料ガス供給装置G2と噴出口32との間を接続し、当該原料ガス供給装置G2の原料ガスを供給可能な原料ガス供給配管L21を、備えている。この配管L21は、当該配管L21内のガス流を流通可能状態(開状態)または流通遮断状態(閉状態)に切り替え自在な原料ガス開閉弁V2(図1中では後述の原料ガスバッファ部L22の上流側や下流側に位置する開閉弁V2a~V2c)と、当該開閉弁V2の開閉により当該原料ガス供給ラインL2内の原料ガス(チャンバ3よりも上流側の位置の原料ガス)を蓄積して封止自在かつ当該蓄積した原料ガスをチャンバ3内に供給自在な原料ガスバッファ部L22と、を備えている。
また、配管L21は、原料ガスバッファ部L22内のガス圧力を計測可能な原料ガスバッファ部圧力計PL2を、備えている。なお、図1の配管L21の場合、後述のバイパスラインL4,不活性ガス追加ラインL5も備えている。
原料ガスバッファ部L22は、配管L21を流通する原料ガスを受容して所定圧力で適宜蓄積でき、その所定圧力の原料ガスをチャンバ3内に適宜供給できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。一例としては、原料ガスバッファ部L22内の容積を、チャンバ3の容積の1/500以上程度(具体例としては、チャンバ3の容積が50000ccの場合に、原料ガスバッファ部L22の容積を100cc)とし、当該原料ガスバッファ部L22内のガス圧を100000Pa以下程度で保持できる態様が挙げられる。
また、配管L21内のうち原料ガスバッファ部L22よりも下流側の容積(例えば図1では、原料ガスバッファ部L22の出口から噴出口32までの容積。後述の原料ガスノズル部62を有している場合は、当該原料ガスノズル部62を含む容積)は、適宜設定することが可能であり、その一例としては、当該原料ガスバッファ部L22内の容積の1/10~1/2の範囲内とすることが挙げられる。
原料ガスバッファ部L22内に蓄積する原料ガスの蓄積量(チャンバ3内に供給する原料ガスの供給量)は、例えば図外の原料ガス蓄積量制御部により、圧力計PL2の計測値の変化量に基づいて制御することが可能である。具体的には、チャンバ3に対して原料ガスを供給開始する前後において、圧力計PL2の計測値の変化量と、原料ガスバッファ部L22の容積と、に基づいて原料ガスの蓄積量を算出して制御することが挙げられる。
開閉弁V2においても、種々の態様を適用することが可能であり、その一例として、図1に示すように原料ガスバッファ部L22の上流側や下流側に開閉弁V2a~V2cを適宜設けたり、それら開閉弁V2a~V2cにおいて高速で精密に開閉制御可能な高速開閉バルブを適用した態様が挙げられる。図1の開閉弁V2bの場合、後述の不活性ガス追加ラインL5を接続するために、三方弁構造になっている。
このような原料ガス供給ラインL2において、例えば開閉弁V2を適宜開閉動作し、原料ガスバッファ部L22内のガス圧を圧力計PL2に基づいて適宜制御することにより、当該原料ガスバッファ部L22内に所定圧力および所定濃度の原料ガスを蓄積し、その原料ガスをチャンバ3内に供給できることとなる。
この原料ガスをチャンバ3内に供給した後、原料ガスバッファ部L22内に残存した原料ガスは、次回の原料ガス蓄積動作時に、原料ガス供給装置G2からの新たな原料ガスと共に、当該原料ガスバッファ部L22内に蓄積して利用可能(改めてチャンバ3内に供給可能)である。
また、原料ガスをチャンバ3内に供給した後の原料ガスバッファ部L22内(配管L21内)においては、例えば後述するように不活性ガス供給ラインL3を介して不活性ガスを供給しても良い。これにより、当該原料ガスバッファ部L22内に残存する余剰ガス(例えば原料ガス、または当該原料ガスと不活性ガスとの混合ガス)を当該不活性ガスに置換することが可能である。
なお、原料ガスバッファ部L22内に蓄積した原料ガスをチャンバ3内に供給する場合、当該原料ガスバッファ部L22とチャンバ3との両者が連通状態となるが、当該両者間の圧力が平衡状態に到達するまでには、配管圧損次第で長い時間を要する可能性がある。
このような場合には、原料ガスバッファ部L22内のガス圧(例えば原料ガスとキャリアガスの混合ガス圧力)を高めたり、平衡状態到達前にチャンバ3へのガス供給を一旦停止して当該チャンバ3内の圧力を保持した状態で、被成膜面20に対する原料ガスの曝露を適宜継続しても構わない。
また、原料ガス供給ラインL2においては、チャンバ3に対して複数個並列に設けても良いが、当該各原料ガス供給ラインL2における原料ガスの蒸気圧がそれぞれ異なる場合には、例えば図外の温度調整部(例えば熱電対,熱交換器,赤外線ヒータ等の加熱機構等を有し配管L21内の温度調整が可能な供給配管温度調整部等)により、当該各原料ガス供給ラインL2内をそれぞれ温度調整することが挙げられる。例えば、原料ガスとして後述のTMA,TDMATを供給する2つ原料ガス供給ラインL2がある場合、各配管L21内の温度をそれぞれ50℃,150℃に温度調整することが挙げられる。
前記温度調整部においては、単に原料ガス供給ラインL2を温度調整するだけでなく、他の構成要素を温度調整する構成であっても良い。例えば、図1に示すように、二点差線で囲んだ領域内の構成要素を温度調整できる構成が挙げられる。具体例としては、後述するように不活性ガス追加供給配管L51内の温度を調整することが可能な構成(追加供給配管温度調整部)や、チャンバ3の内周面30の温度を調整することが可能な構成(内周面温度調整部)が挙げられる。
<不活性ガス供給ラインL3>
不活性ガス供給ラインL3は、不活性ガス供給装置G3と噴出口33との間を接続し、当該不活性ガス供給装置G3の不活性ガスを供給可能な不活性ガス供給配管L31を、備えている。この配管L31は、当該配管L31内のガス流を流通可能状態(開状態)または流通遮断状態(閉状態)に切り替え自在な開閉弁V3(図1中では後述のマスフローコントローラL32の下流側に位置する開閉弁V3a,V3b)と、当該配管L31内のガス流量を制御可能なマスフローコントローラL32と、を備えている。開閉弁V3においても、開閉弁V1等と同様に種々の態様を適用することが可能であり、特に限定されるものではない。
このような不活性ガス供給ラインL3において、例えば開閉弁V3を適宜開閉動作し、不活性ガス供給装置G3からの不活性ガスの供給量をマスフローコントローラL32によって適宜制御することにより、当該不活性ガスをチャンバ3内に供給できることとなる。
なお、後述するように、不活性ガス追加ラインL5を介して配管L31内から配管L31内に不活性ガスを供給できる構成の場合には、例えば図外の温度調整部により、配管L31内の温度を調整できるようにしても良い。
<バイパスラインL4>
原料ガス供給ラインL2においては、例えば図1に示すように、配管L21における原料ガスバッファ部L22の上流側または/および下流側に、当該原料ガスバッファ部L22とガス排出部5とを開閉弁V4により連通状態または遮断状態に切り替え可能なバイパスラインL4を、備えていても良い。
図1のバイパスラインL4の場合、配管L21における原料ガスバッファ部L22の上流側または/および下流側と、ガス排出部5の排気管5aにおける開閉弁5bおよび真空ポンプ5cの両者間と、を接続するバイパス配管L41を有している。開閉弁V4においては、開閉弁V1等と同様に種々の態様を適用することが可能であり、特に限定されるものではない。
このようなバイパスラインL4により、例えば前記のように原料ガスバッファ部L22内に残存した原料ガスにおいては、再利用せずに、バイパスラインL4,ガス排出部5を介して排出することが可能となる。
<不活性ガス追加ラインL5>
原料ガス供給ラインL2においては、例えば図1に示すように、当該原料ガス供給ラインL2の配管L21と不活性ガス供給ラインL3の配管L31とを開閉弁V5により連通状態または遮断状態に切り替え可能な不活性ガス追加ラインL5を、備えていても良い。
図1の不活性ガス追加ラインL5の場合、配管L21における原料ガスバッファ部L22の下流側(図1では三方弁構造の開閉弁V2b)と、不活性ガス供給ラインL3の配管L31におけるマスフローコントローラL32および開閉弁V3aの両者間と、を接続する不活性ガス追加供給配管L51を有している。また、配管L51は、原料ガスバッファ部L22内のガス圧力を計測可能な原料ガスバッファ部圧力計PL5を、備えている。開閉弁V4においては、開閉弁V1等と同様に種々の態様を適用することが可能であり、特に限定されるものではない。
このような不活性ガス追加ラインL5により、原料ガス供給ラインL2に不活性ガスを供給し、その不活性ガスを原料ガスのキャリアガスとして適用することが可能となる。この場合、原料ガスバッファ部L22内のガス濃度(不活性ガスで希釈された原料ガス(混合ガス)の濃度)においては、例えば図外の濃度制御部により、計算式Pα/Pβ×100に基づいて算出することができる。
なお、前記計算式中のPαは、真空状態の原料ガスバッファ部L22内に原料ガスを供給して蓄積し封止した場合の圧力計PL2の計測値であり、Pβは、当該Pαを計測した後に原料ガスバッファ部L22内に不活性ガスのみを供給した場合の圧力計PL5の計測値とする。
原料ガスを不活性ガスで希釈、すなわち原料ガスと不活性ガスとの混合ガスを得るには、以下に示す原料ガス蓄積工程,混合ガス蓄積工程を実施(例えば後述の原料ガス供給工程S1の前に予め実施。具体例としては、後述の項目[3],[5],[7]以外で実施)することが挙げられる。
まず、原料ガス蓄積工程では、原料ガス供給ラインL2において、原料ガスバッファ部L22内が所定の圧力に到達するまで、当該原料ガスバッファ部L22内に原料ガスを蓄積して封止する。
そして、混合ガス蓄積工程では、原料ガスバッファ部L22内が更に高圧の所定の圧力(原料ガス蓄積工程の場合よりも高圧の所定の圧力)に到達するまで、配管L51を介して原料ガスバッファ部L22内に不活性ガスを供給することにより、所望の混合ガスを得て当該原料ガスバッファ部L22内に蓄積し封止する。
前記混合ガス蓄積工程において、原料ガスバッファ部L22内に蓄積する混合ガスにおける原料ガスの分圧は、適宜設定することが可能であり、その一例としては、1000Pa以下に設定することが挙げられる。また、前記混合ガスにおける原料ガスの濃度も、適宜設定することが可能であり、その一例としては、当該混合ガスにおける原料ガスと不活性ガスとの分圧比による換算値で30%以下とすることが挙げられる。また、例えば図外の温度調整部(追加供給配管温度調整部)により、配管L51内の温度を配管L21内の温度よりも高温に調整することが挙げられる。
前記のように混合ガスをチャンバ3内に供給した後、再び原料ガス蓄積工程,混合ガス蓄積工程を実施する場合には、予め当該配管L21内に不活性ガスのみを供給し、当該配管L21内に残存するガスを不活性ガスに置換する不活性ガス置換工程を実施(具体例としては、後述の項目[5]と項目[6]との間で実施)しておいても良い。この不活性ガス置換工程によれば、前記配管L21内に残存していたガスは、チャンバ3(もしくはバイパスラインL4)を介して排出されることとなる。
<ALD装置を用いる場合の成膜工程>
ALD装置11においては、図3に示す原料ガス供給工程S1,原料ガスパージ工程S2,酸化剤供給工程S3,酸化剤パージ工程S4を順次実行するALD方法により、チャンバ3内の被成膜対象物2の被成膜面20に所望の酸化膜21を形成することが可能となる。
図3において、まず原料ガス供給工程S1では、原料ガス供給ラインL2により、原料ガス供給装置G2の原料ガス(目的とする酸化膜21を構成する元素を含む原料ガス)を噴出口32からチャンバ3内に供給する。これにより、図4(a)の反応模式図のように、チャンバ3内の被成膜対象物2の被成膜面20に対して原料ガスが吸着し、当該原料ガスによる吸着層21aが形成される。図4(a)では、基板状の被成膜対象物2における被成膜面20に対し、1分子層のTMAガスが吸着されている状態を描写するものとなっている。
なお、被成膜対象物2の被成膜面20に例えば不純物等が付着している場合には、原料ガス供給工程S1の前段において被成膜面20を清浄(例えば、不活性ガス供給ラインL3により不活性ガス供給装置G3の不活性ガスをチャンバ3に供給してパージ)し、当該被成膜面20に対して原料ガスを吸着し易くしておくことが好ましい。
原料ガス供給工程S1の後、原料ガスパージ工程S2では、不活性ガス供給ラインL3により不活性ガス供給装置G3の不活性ガスを噴出口33からチャンバ3内に供給したり、当該チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気して排出する。これにより、前記原料ガス供給工程S1で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面20に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面20から除去する。
次に、酸化剤供給工程S3では、オゾンガス供給ラインL1により、オゾンガス発生装置G1のオゾンガスを噴出口31からチャンバ3内に供給する。これにより、図4(b)の反応模式図のように、被成膜面20に形成されている吸着層21aが酸化(図4ではメチル基(CH3)が酸化)され、当該被成膜面20における次の成膜のための吸着可能領域20aが形成されることとなる。この図4(b)の反応模式図に示すような酸化反応は、室温(25℃)でも可能である。
そして、酸化剤パージ工程S4では、原料ガスパージ工程S2と同様に、不活性ガス供給ラインL3により不活性ガス供給装置G3の不活性ガスを噴出口33からチャンバ3内に供給したり、当該チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気して排出する。これにより、前記酸化剤供給工程S3で供されたオゾンガスの余剰ガスと、前記原料ガスの吸着層21aを酸化することで生じたガスと、を被成膜面20から除去する。
以上のような各工程S1~S4によるサイクル(以下、単に成膜サイクルと適宜称する)を適宜繰り返すことにより、被成膜面20に対して所望厚さの酸化膜21を形成することが可能となる。この成膜サイクルにおける各種成膜条件は、例えば目的とする酸化膜21に応じて、適宜設定することが可能である。
また、前記成膜サイクルを複数回行う場合、例えば各原料ガス供給工程S1のうち少なくとも1工程と残りの工程とを、それぞれ異なる種類の原料ガスを被成膜対象物2に供給(混合ガスを供給する場合には、それぞれ異なる種類の原料ガスを用いた混合ガスを供給)することにより、それぞれ異なる原料ガスの吸着層21aからなる多層構造の酸化膜21(すなわち、複数の吸着層21aが積層された酸化膜21)を、構成できることとなる。
例えば、チャンバ3に対して複数個の原料ガス供給ラインL2が並列に設けられている場合には、当該各原料ガス供給ラインL2それぞれを異なる種類の原料ガスを供給できるようにし、成膜サイクル毎に当該各原料ガス供給ラインL2の何れかを選択的に稼動(原料ガスを供給)させることにより、所望の多層構造の酸化膜21を構成することが可能となる。
具体的に、図5に示すような成膜サイクルにおいては、以下に示す項目[1]~[8]に従って行うことが挙げられる。
・項目[1];チャンバ3内を真空排気(チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気して真空引き)
・項目[2];酸化剤供給工程S3の実施(チャンバ3内にオゾンガスを供給して封止)
・項目[3];酸化剤パージ工程S4の実施(チャンバ3内に不活性ガスを供給、および真空排気)
・項目[4];チャンバ3内を真空排気
・項目[5];原料ガス供給工程S1の実施(チャンバ3内に原料ガスを供給して封止)
・項目[6];チャンバ3内を真空排気
・項目[7];原料ガスパージ工程S2の実施(チャンバ3内に不活性ガスを供給、および真空排気)
・項目[8];チャンバ3内を真空排気(次サイクルの項目[1]に相当)。
なお、オゾンガスバッファ部L12によるオゾンガスの蓄積は、項目[1]~[8]のうち、項目[2]以外で行うことが好ましい。
また、原料ガスバッファ部L22による原料ガスの蓄積は、項目[1]~[8]のうち、項目[5]以外で行うことが好ましい。ただし、図1に示すように備えられた不活性ガス追加ラインL5により、原料ガス供給ラインL2の原料ガスバッファ部L22に不活性ガスを供給する場合には、項目[3],[5],[7]以外で行うことが好ましい。項目[3],[7]において原料ガスバッファ部L22への不活性ガスの供給を行うと、当該不活性ガスの流量が不安定になることが考えられるためである。
また、項目[3],[7]それぞれは、成膜サイクルにおいて単に1回ずつ実施しても良く、複数回実施(サイクルパージ)しても良い。このように項目[3],[7]をそれぞれ複数回実施することにより、オゾンガスと原料ガスとの気相混合をより抑制し易くなる可能性がある。
また、項目[3],[7]それぞれのサイクルパージにおいて、不活性ガスの供給量(それぞれサイクルパージによる総量)は、適宜設定することが可能であり、その一例としては、原料ガス供給工程S1においてチャンバ3内に供給したガスの10倍以上、または酸化剤供給工程S3においてチャンバ3内に供給したガスの10倍以上とすることが挙げられる。
<各工程S1~S4における不活性ガス>
原料ガスパージ工程S2や酸化剤パージ工程S4においては、チャンバ3内のガスをガス排出部5により吸気すると同時に、不活性ガス供給ラインL3により不活性ガスをチャンバ3内に適宜供給することにより、当該チャンバ3内のガスのガス流が促進され、余剰ガス等の除去(パージ)に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。
また、チャンバ3内の容積・形状等によっては(例えば容積が大きい場合(例えば容積1m3超の場合)や形状が複雑な場合には)、ガス供給部4から供給する原料ガスやオゾンガスのガス流が低くなってしまう場合があるが、前記のように不活性ガスを適宜供給(具体的には、チャンバ3の容積・形状に基づいて不活性ガスの供給量を調整したり、当該不活性ガスを断続的に供給)することにより、当該ガス流を促進できる可能性がある。
したがって、各工程S1~S4においては、それぞれ不活性ガスを適宜供給することにより、チャンバ3内におけるガス流を適宜調整できる。これにより、原料ガスやオゾンガスを所望の供給量で供給することが容易になったり、チャンバ3内のガスの排出が容易となる可能性がある。
<被成膜対象物2の一例>
被成膜対象物2においては、成膜サイクルを適宜実行して被成膜面20に所望の酸化膜21を形成できるものであれば良く、その一例として固形状,基板状,粉体状(例えば多数の粒子状の被成膜対象物2の集合体),フィルム状,シート状,布状,繊維状等の種々のものが挙げられる。
また、原料ガスと80体積%以上の高濃度のオゾンガスとを用いて酸化膜を形成する手法では、当該酸化膜を比較的低温で形成することが可能であるため、例えば基板またはフィルム等の場合、Si基板等の比較的耐熱性が高い基板等に限定されることはなく、耐熱性が比較的低い合成樹脂で形成された基板等に酸化膜を形成することもできる。
被成膜対象物2が樹脂を用いてなる場合、当該樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アラミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリプロピレン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いたものが挙げられる。
その他、PE(ポリエチレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、POM(ポリオキシメチレン、または、アセタール樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、PA(ポリアミド)、PFA(4フッ化エチレン、パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PVD(ポリ二塩化ビニル)等を用いたものも挙げられる。
被成膜対象物2の被成膜面20においては、単なる平坦状に形成されたものに限定されず、種々の態様であっても良い。例えば図2に示す被成膜対象物2は、複数個のトレンチ溝22が形成された固形状であり、被成膜面20において凹凸状の段差等が形成されたものとなっている。
また、被成膜対象物2は、例えば成膜性能の向上を図る目的で、図外の温度調整部によって加温や冷却する等により、適宜温度調整しても良い。具体例としては、被成膜面20の成膜温度が室温程度~100℃の範囲内となるように、必要に応じて温度調整することが挙げられる。
<原料ガスの一例>
原料ガス供給工程S1で適用する原料ガスは、酸化膜を形成する元素(例えば、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、錫(Sn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、鉛(Pb)等;以下これらの元素を金属または金属元素という)を構成元素として含む態様が挙げられる。
例えば、Si-O結合若しくはSi-C結合を有する有機シリコンまたは金属元素-酸素結合若しくは金属元素-炭素結合を有する有機金属を含有する原料ガスや、有機金属錯体またはケイ素や金属の水素化物等の原料ガスが挙げられる。
より具体的には、原料ガスとして、シラン(ケイ化水素の総称)、TEOS(TetraEthyl OrthoSillicate)、TMS(TriMthoxySilane)、TES(TriEthoxySilane)、TMA(TriMethyl Alminium)、TEMAZ(Tetrakis(ethylmethylamino)zirconium)、3DAMAS(トリ・ジメチルアミノ・シラン;SiH[N(CH323)、TDMAT(テトラキス・ジメチルアミノ・チタニウム;Ti[N(CH324)、TDMAH(テトラキス・ジメチルアミノ・ハフニウム;Hf[N(CH324)等を用いたものが挙げられる。また、金属元素1種類だけでなく複数種類の金属元素を含む異種複核錯体(例えば、特開2016-210742等に記載の錯体)を用いたものも挙げられる。
<オゾンガスの一例>
酸化剤供給工程S3で適用するオゾンガスは、種々の濃度のものを適用することが可能であるが、オゾン濃度が高いほど好ましい。具体的には、高濃度のオゾンガスにおいて、オゾン濃度(体積%濃度)を80~100体積%とすること好ましい。このような高濃度のオゾンガスは、オゾン含有ガスから蒸気圧の差に基づいてオゾンのみを液化分離した後、再び液化したオゾンを気化させて得ることができる。
オゾンガス発生装置G1としては、例えば、特開2001-304756号公報や特開2003-20209号公報の特許文献に開示されているものが挙げられる。このようなオゾンガス発生装置G1は、オゾンと他のガス(例えば、酸素)の蒸気圧の差に基づきオゾンのみを液化分離して高濃度のオゾン(オゾン濃度≒100体積%)を生成している。特に、オゾンのみを液化および気化させるチャンバを複数備えると、これらのチャンバを個別に温度制御することにより、連続的に高濃度のオゾンガスを供給することができる。
なお、高濃度のオゾンガスを生成する市販の装置として、例えば、明電舎製のピュアオゾンジェネレータ(MPOG-HM1A1)がある。
<不活性ガスの一例>
不活性ガスは、例えば原料ガスパージ工程S2や酸化剤パージ工程S4において適用したり、原料ガスのキャリアガスとして適用可能なものであれば良い。その一例としては、N2,Ar,He等の不活性ガスが挙げられる。
<噴出口31~33の一例>
噴出口31~33は、それぞれオゾンガス,原料ガス,不活性ガスを例えば所望の供給量(流量等),圧力等でチャンバ3に供給できれば良く、種々の態様を適用することが可能である。
また、噴出口31~33は、チャンバ3に対して単に1個ずつ設けるだけでなく、それぞれ複数個設けても良い。また、噴出口31~33の形状は、適宜設定することが可能であり、その一例として円形,矩形,楕円,スリット状等にすることが挙げられる。
噴出口31~33から供給される各ガスの供給量や圧力においては、例えば、オゾンガス供給ラインL1,原料ガス供給ラインL2,不活性ガス供給ラインL3をそれぞれ適宜稼動することにより、適宜設定することが可能である。
<ガス供給量,圧力等の一例>
チャンバ3に供給する原料ガス,オゾンガス,不活性ガスの供給量や、当該各ガスによる圧力(例えばチャンバ3内のオゾンガスによる圧力(分圧))等は、適宜制御して設定することが可能であり、その一例としてはチャンバ3内の被成膜対象物2の種類,形状,個数や、当該各ガスの種類,濃度等を考慮して設定することが挙げられる。
具体例としては、図5に示すように各工程S1~S4による成膜サイクルを実施する場合において、成膜サイクルによるチャンバ3内のプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まるように、各ガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。より具体的には、不活性ガス供給ラインL3からチャンバ3内に対して不活性ガスを供給(例えば後述のように断続的に供給)し、当該供給によりベース圧力が1Pa~1000Pa程度の範囲内に収まるように適宜制御して設定することが挙げられる。成膜サイクル1回に要する時間は適宜設定することが可能であり、特に限定されるものではないが、例えば数秒~数十秒(例えば3秒~60秒)程度に設定することが挙げられる。
また、酸化剤供給工程S3において80体積%以上のオゾンガスをチャンバ3内に供給する場合、種々の態様で供給することが可能であり、その一例としては、当該オゾンガスの被成膜面20に対する曝露量を1×105ラングミュア以上とし、オゾンガスバッファ部L12内に蓄積したオゾンガスをチャンバ3内に対して1秒以内で供給完了し、当該チャンバ3内の圧力が10~1000Paの範囲内となるように、当該オゾンガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。
ただし、前記オゾンガスの曝露量(1×105ラングミュア以上)の制御は、プリカーサー(原料ガス)としてTMAを用いた場合に必要とされる曝露量の一例を示すものである。したがって、プリカーサーの種類が異なる場合(TMA以外の場合)には、例えばオゾンによる酸化反応の起こり易さに応じて、当該必要とされる曝露量は変化することとなる。
例えば、チャンバ3内に、オゾンガスの他に不活性ガスが存在している場合には、当該オゾンガスの分圧が100Pa以下となるように設定することとなる。また、オゾンガスの供給による圧力上昇においては、100Pa以下、好ましくは50Pa以下、より好ましく10Pa以下となるように適宜設定することが挙げられる。
このような酸化剤供給工程S3によれば、原料ガス供給工程S1において被成膜面20に吸着した吸着層21aを、十分に酸化することが可能となる。
原料ガス供給工程S1においてチャンバ3に供給する原料ガスの供給量等は、例えば当該原料ガスを被成膜面20に吸着させ、後段の酸化剤供給工程S3において十分に酸化(酸化膜を形成)できるように設定すれば良く、特に限定されるものではない。
具体例としては、被成膜面20に対する原料ガスの曝露量が1×104ラングミュア以上となるように、当該原料ガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。また、原料ガス供給工程S1において原料ガスと不活性ガスとの混合ガスをチャンバ3内に供給する場合も、種々の態様で供給することが可能であり、その一例としては、原料ガスバッファ部L22内に蓄積した前記混合ガスをチャンバ3内に対して1秒以内で供給完了し、当該チャンバ3内の圧力が0.1~100Paの範囲内となるように、当該混合ガスの供給量等を適宜設定することが挙げられる。
ただし、前記原料ガスの曝露量(1×105ラングミュア以上)の制御は、プリカーサーとしてTMAを用いた場合、および被成膜面20に金属材料が析出されたもの(例えばSi)を被成膜対象物2として適用した場合に必要とされる曝露量の一例を示すものである。したがって、プリカーサーの種類やや前記析出された金属材料の種類が異なる場合には、被成膜面20に対するプリカーサーの吸着量が変化するため、その変化量に応じて、原料ガスの曝露量を適宜調整することが必要となる。
原料ガス供給工程S1によりチャンバ3内に供給したガス(原料ガス、または当該原料ガスと不活性ガスとの混合ガス)の封止時間、および酸化剤供給工程S3によりチャンバ3内に供給したガス(オゾンガス)の封止時間は、適宜設定することが可能であり、その一例としては、それぞれ1~1000秒の範囲内とすることが挙げられる。具体的には、被成膜対象物2の被成膜面20の形状(凹凸状の段差等)を考慮して、前記1~1000秒の範囲内で適宜設定することが挙げられる。
原料ガスパージ工程S2,酸化剤パージ工程S4において、チャンバ3に供給する不活性ガスの供給量等は、前記のようにプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まる態様であれば良く、適宜設定することが可能である。例えば、ガス排出部5によってパージしている状態の場合には、当該パージをアシストできる程度に設定することが挙げられる。具体例としては、不活性ガス供給ラインL3により、チャンバ3に対して不活性ガスを断続的に供給し、当該チャンバ3内における原料ガスやオゾンガスを希釈し過ぎないように適宜設定(例えば、オゾンガス供給量の10倍以内に設定)することが挙げられる。
<ガス排出部5の一例>
ガス排出部5による排気は、前記のようにチャンバ3内のプロセス圧力が1000Pa以下の範囲内に収まるように、当該チャンバ3内の減圧状態を維持できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。
図1のガス排出部5の場合、排気管5a,開閉弁5b,真空ポンプ5c等を有した構成となっているが、その他にオゾンキラー(オゾンを分解する除害筒等の除害設備;図示省略)等を適宜有した構成とすることも挙げられる。また、真空ポンプ5cは、オゾンに耐性のある構成(例えば、ドライポンプ)を適用することが好ましい。
また、ガス排出部5において複数の排気ラインを設けておき、各工程S1~S4において当該各排気ラインを使い分けるようにしても良い。これにより、各工程S1~S4において排気するガスをそれぞれ専用の除害設備に振り分けて処理することが可能となる。
<支持部の一例>
チャンバ3内に収容した被成膜対象物2を支持する支持部は、例えば被成膜面20に対する成膜を妨げないように支持できる態様であれば良く、特に限定されるものではない。
<実施例1;ALD装置11による項目[5]の原料ガス吸着量>
以上示したALD装置11により項目[4]を実施した後の項目[5]において、チャンバ3内,原料ガスバッファ部L22内の圧力、被成膜対象物2における被成膜面20に対する原料ガスの吸着量を検証した。
なお、この検証条件において、チャンバ3の容積は50000cc、原料ガスバッファ部L22の容積は100ccとした(後述の実施例2も同様)。また、当該原料ガスバッファ部L22内に蓄積した原料ガスは、不活性ガス供給ラインL3,不活性ガス追加ラインL5を介して希釈し、当該希釈した原料ガス(混合ガス)における原料ガスバッファ部L22内のガス圧が1000Pa(原料ガスの分圧は133Pa)となるようにした。また、原料ガス,被成膜対象物2には、それぞれTMA,Si基板を適用した。
まず、前記項目[5]を実施したところ、チャンバ3内および原料ガスバッファ部L22内の圧力が10Pa程度で原料ガスの分圧が1.33Paとなった。また、被成膜対象物2の被成膜面20に対する原料ガスの曝露時間が1秒の場合に、当該原料ガスの吸着量は約1×104ラングミュア程度となった。
この結果から、例えば被成膜面20の吸着確率が0.001とした場合、被膜率(被覆率)がほぼ1の飽和に必要な曝露時間は、1秒程度となることを確認できた。
<実施例2;ALD装置11による項目[2]のオゾンガス吸着量>
以上示したALD装置11により項目[1]を実施した後の項目[2]において、被成膜対象物2における被成膜面20に対するオゾンガスの吸着量を検証した。
なお、本実施例2では、チャンバ3の容積において、実施例1で適用したチャンバ3の容積の1/10程度となるように縮小した。この理由は、本実施例2において、チャンバ3内に収容する被成膜対象物2が1個のみであって、被成膜面20に対するオゾンガスの吹き付けも容易であり、チャンバ3内におけるオゾンガスの壁面付着を十分抑制できたためである。これにより、被成膜面20に対するガスの吹き付け位置が好適に設定されている場合には、前記壁面付着によるガスの減少影響を抑制でき、チャンバ3の容積の縮小化が可能であることが判った、
なお、この検証条件において、オゾンガスバッファ部L12内に蓄積するオゾンガス濃度は80~100体積%とし、被成膜対象物2にはSi基板を適用した。
まず、前記項目[2]を実施したところ、チャンバ3内の圧力が40Paで、被成膜対象物2の被成膜面20に対するオゾンガスの曝露時間が1秒の場合に、当該オゾンガスの吸着量は約3×105ラングミュア程度となった。
この結果から、例えば複数の被成膜対象物2をチャンバ3内に配置した場合であっても、それぞれの被成膜面20に対して一括で酸化膜21を形成可能であることが確認できた。
<実施例3;ALD装置11による成膜例>
以上示したALD装置11により成膜サイクルを実施(項目[1]~[8]を適宜実施)し、トレンチ溝22の開口縁面22a,底面22bそれぞれに形成される酸化膜21の膜厚(nm)を断面観察し、その観察結果を図6に示した。
なお、図6中の(A)欄は、項目[2]においてオゾンガスを不活性ガス(Ar)により希釈した場合、(B)欄は、当該項目[2]においてオゾンガスを希釈しない場合(オゾンガス濃度が80~100体積%の場合)とする。また、原料ガスにはTMAを適用し、被成膜対象物2においては深さ140μm,開口幅3.5μmのトレンチ溝22が形成されているSi基板を適用した。
図6によると、(B)欄に描写されている開口縁面22a,底面22bの各酸化膜21の膜厚は、それぞれ119nm,78nmとなり、(A)欄に描写されている酸化膜21と比較して厚く形成され、アスペクト比(底面22bの酸化膜21の膜厚/開口縁面22aの酸化膜21の膜厚)が高くなっていることが読み取れる。
すなわち、項目[2]においては、オゾンガス濃度を高くすることにより、トレンチ溝22の奥部まで届くオゾン分子が多くなり、当該トレンチ溝22の底面22bに対する酸化膜21の成膜を十分に促進できることが判った。特に、一旦液化過程を経て得られる高濃度(80~100体積%)のオゾンガスは、例えば重金属の汚不純物が少ないことから、酸化膜21中の不純物を低減できるだけでなく、トレンチ溝22に対する酸化膜21において被覆性の改善効果を期待できることも判った。
<実施例4;配管L11,L21,L31の構成例>
以上示したALD装置11の配管L11,L21,L31においては、チャンバ3内に対して各々のガスを適宜供給できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。
例えば、配管L11,L21の下流側先端部(チャンバ3側の先端部)は、単に図1に示したように噴出口31,32に接続可能な構成とするのではなく、当該噴出口31,32をチャンバ3外内方向に貫通させてチャンバ3内に延在させた構成とすることが挙げられる。このような配管L11,L21の下流側先端部の構成例としては、それぞれ図7,図8に示すようなオゾンガスノズル部61,原料ガスノズル部62を有したノズル構造が挙げられる。
図7,図8に示すガスノズル部61,62それぞれは、チャンバ3の内周面30における噴出口31,32の位置から突出している円筒形状の筒状部6aと、筒状部6aの軸心方向一端側を封止している蓋部6bと、筒状部6aの外周面を当該筒状部6aの径方向に貫通している複数個のノズル孔6cと、を有した構成となっている。ノズル孔6cにおいては、筒状部6aの軸心方向に対し所定間隔(例えば後述の間隔d3)を隔てて配列するように設けられている。
図8の場合、チャンバ3内におけるガスノズル部61,62の両者は、図8に示すように、互いに平行となるように内周面30から突出した姿勢であって、ガスノズル部61のノズル孔6cと、ガスノズル部62のノズル孔6cと、が互いに対向して位置する姿勢となっている。
このようなガスノズル部61,62に適用する材料,形状等は、特に限定されるものではないが、チャンバ3内に供給する各種ガスや供給量等を考慮して適宜選定することが挙げられる。例えば、ステンレス(SUS)材,石英材,セラミック材等から適宜選択し、その材料を所望の形状に成形加工して得ることが可能である。当該形状の一例としては、筒状部6aの内径d1を2~10mmの範囲内,ノズル孔6cの孔径d2を1~5mmの範囲内,隣接するノズル孔6c同士の間隔d3を5mm以上とすることが挙げられる。
また、ガスノズル部61,62は、それぞれ配管L11,L21の下流側先端部に一体化させた構成でも良く、当該下流側先端部に着脱自在(例えば、図8に示す開口部6dが着脱自在)な別体構成としても良い。
被成膜対象物2においては、チャンバ3内に適宜配置することが可能であるが、例えば図8に示すように、ガスノズル部61,62の両者間(以下、単にノズル61,62間と適宜)に直交した方向の位置で、当該被成膜対象物2の開口縁面22aがノズル61,62間に対向するように配置することが挙げられる。
本実施例4のようなノズル構造の配管L11,L21によれば、当該配管L11,L21によりチャンバ3内に供給する各ガスを、それぞれガスノズル部61,62のノズル孔6cを介してチャンバ3内に噴出(例えば図8中の点線矢印で示すように噴出)させて供給することができ、当該チャンバ3内にて拡散(以下、単にガス拡散と適宜称する)し易くすることが可能となる。
また、図8に示したように、ガスノズル部61のノズル孔6cと、ガスノズル部62のノズル孔6cと、を互いに対向させた場合には、オゾンガスと原料ガス(または原料ガスおよび不活性ガスの混合ガス)との両者(以下、単に両ガスと適宜称する)を、互いに衝突させることができる。これにより、両ガスにおいては、内周面30等に付着することを抑制しながらガス拡散(付着前にガス拡散)させることができる、すなわち効果的なガス拡散を実現することが可能となる。
本実施例4において、実施例3と同様にALD装置11により成膜サイクルを実施したところ、図6に示したものと同様の酸化膜21の成膜が可能であることを確認できた。
<実施例5;チャンバ3内の各ガスを加熱する構成の一例>
図9は、実施例5によるチャンバ3内の各ガスを加熱する構成の一例を示すものであり、ノズル61,62間に加熱部(チャンバ内加熱部)63を配置した構成となっている。
図9の加熱部63は、円柱状の加熱体からなるものであって、チャンバ3の内周面30における噴出口31,32間から延出するように支持して設けられている。
この加熱部63は、ノズル61,62間の両ガスを加熱できれば良く、種々の態様を適用することが可能であるが、好ましくは、当該ノズル61,62間の両ガスを、配管L11内の温度および配管L21内の温度よりも高温に加熱できる態様とすることが挙げられる。
本実施例5のような加熱構成によれば、ガスノズル部61,62のノズル孔6cから噴出した両ガスを、ノズル61,62間において加熱部63で加熱および干渉しながら衝突させることができる。これにより、例えば実施例4の場合と比較して、原料ガス(または原料ガスおよび不活性ガスの混合ガス)の過剰な物理吸着を抑制できる可能性がある。また、ノズル61,62間において両ガスが加熱されるため、当該両ガスのガス拡散中の再液化を抑制することが可能となる。
本実施例5においても、実施例3と同様にALD装置11により成膜サイクルを実施したところ、図6に示したものと同様の酸化膜21の成膜が可能であることを確認できた。
<実施例6;チャンバ3内の各ガスを加熱する構成の他例>
図10は、実施例6によるチャンバ3内の各ガスを加熱する構成の他例を示すものである。図10におけるガスノズル部61,62の両者は、互いに平行となるように内周面30から突出した姿勢であって、ガスノズル部61のノズル孔6cと、ガスノズル部62のノズル孔6cと、が互いに反対向で位置する姿勢となっている。
図10のチャンバ3は、例えば図外の温度調整部(内周面温度調整部)により、内周面30を適宜温度調整できる構成になっているものとする。この内周面30の温度調整の一例としては、適宜設定することが可能であるが、少なくとも、オゾンガス供給配管内の温度および原料ガス供給配管内の温度よりも高温に調整できるものが好ましい。
内周面30においては、当該内周面30から突出した形状のガス流ガイド部64が設けられており、当該内周面30に沿って流動する各ガスを、チャンバ3内における被成膜対象物2の収容位置に向かって流動するように案内可能な構成となっている。
ガス流ガイド部64は、前記のようにチャンバ3内の各ガスを適宜案内できる態様であれば良く、その形状やチャンバ内に設ける個数等は適宜設定することが可能である。図10のガス流ガイド部64の場合、内周面30に対するノズル孔6cの噴出方向から偏倚した位置(図10中の点線矢印で示す噴出方向から図示下側に偏倚した位置)に設けられており、チャンバ3内における被成膜対象物2の収容位置に向かって湾曲しながら延出した形状となっている。
本実施例6のような加熱構成によれば、例えば実施例5のようにチャンバ3内に加熱部63を配置しなくても、ガスノズル部61,62のノズル孔6cから噴出した両ガスを加熱することができ、実施例5と同様に、当該両ガスのガス拡散中の再液化を抑制することが可能となる。また、実施例5のような加熱部63が不要となるため、チャンバ3内の簡略化や小型化等に貢献できる可能性がある。また、内周面30にガス流ガイド部64を適宜設置することにより、チャンバ3内において所望のガス拡散が十分可能となる。
本実施例6においても、実施例3と同様にALD装置11により成膜サイクルを実施したところ、図6に示したものと同様の酸化膜21の成膜が可能であることを確認できた。
以上、具体的な実施形態を示して本発明のALD方法およびALD装置にいて説明したが、本発明のALD方法およびALD装置は、実施形態に限定されるものではなく、その特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、設計変更されたものも、本発明の技術的範囲に属する。
11…ALD装置
2…被成膜対象物、20…被成膜面、20a…吸着可能領域、21…酸化膜,21a…吸着層,22…トレンチ溝
3…チャンバ、30…内周面、31~33…噴出口
4…ガス供給部
5…ガス排出部
61,62…ガスノズル部、加熱部63、ガス流ガイド部64
L1…オゾンガス供給ライン、L11…オゾンガス供給配管、L12…オゾンガスバッファ部
L2…原料ガス供給ライン、L21…原料ガス供給配管、L22…原料ガスバッファ部
L3…不活性ガス供給ライン、L31…不活性ガス供給配管
L4…バイパスライン、L41…バイパス配管
L5…不活性ガス追加ライン、L51…不活性ガス追加供給配管
G1…オゾンガス発生装置、G2…原料ガス供給装置、G3…不活性ガス供給装置

Claims (31)

  1. 被成膜対象物を出し入れ自在に収容可能なチャンバと、
    チャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
    チャンバ内のガスを吸気して当該チャンバ外に排出し、当該チャンバ内の減圧状態を維持するガス排出部と、
    を備え、
    ガス供給部は、
    原料ガスをチャンバ内に供給可能な原料ガス供給配管を有している原料ガス供給ラインと、
    80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給可能なオゾンガス供給配管を有しているオゾンガス供給ラインと、
    不活性ガスをチャンバ内に供給可能な不活性ガス供給配管を有している不活性ガス供給ラインと、
    を備え、
    オゾンガス供給ラインは、
    オゾンガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該オゾンガス供給配管内のオゾンガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積したオゾンガスをチャンバ内に供給自在なオゾンガスバッファ部と、
    オゾンガスバッファ部内のガス圧力を計測するオゾンガスバッファ部圧力計と、
    を備えていることを特徴とする原子層堆積装置。
  2. オゾンガスバッファ部内に蓄積するオゾンガスの蓄積量をオゾンガスバッファ部圧力計の計測値の変化量に基づいて制御するオゾンガス蓄積量制御部を、更に備えていることを特徴とする請求項1記載の原子層堆積装置。
  3. オゾンガスバッファ部内の容積は、チャンバ内の容積の1/50以上であることを特徴とする請求項1または2記載の原子層堆積装置。
  4. オゾンガス供給配管内のうちオゾンガスバッファ部よりも下流側の容積は、当該オゾンガスバッファ部内の容積の1/10~1/2の範囲内であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の原子層堆積装置。
  5. オゾンガス供給配管の下流側先端部は、チャンバ内周面から突出しているオゾンガスノズル部を有して成り、
    原料ガス供給配管の下流側先端部は、チャンバ内周面から突出している原料ガスノズル部を有して成り、
    オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部それぞれは、
    チャンバの内周面から突出して延在している筒状部と、
    筒状部の前記突出した方向の先端部を封止している蓋部と、
    筒状部の外周面を当該筒状部の径方向に貫通している複数個のノズル孔と、
    を有していることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の原子層堆積装置。
  6. オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部は、互いに平行となるようにチャンバ内周面から突出しており、
    オゾンガスノズル部のノズル孔と、原料ガスノズル部のノズル孔と、は互いに対向した位置に設けられていることを特徴とする請求項5記載の原子層堆積装置。
  7. チャンバ内におけるオゾンガスノズル部および原料ガスノズル部の両者間を加熱するチャンバ内加熱部が、当該両者間に配置されており、
    チャンバ内加熱部は、チャンバ内における前記両者間を、オゾンガス供給配管内の温度および原料ガス供給配管内の温度よりも高温となるように加熱することが可能なことを特徴とする請求項6記載の原子層堆積装置。
  8. チャンバ内周面の温度を調整する内周面温度調整部を、更に備え、
    内周面温度調整部は、チャンバ内周面の温度を、オゾンガス供給配管内の温度および原料ガス供給配管内の温度よりも高温に調整することが可能であり、
    オゾンガスノズル部および原料ガスノズル部は、互いに平行となるようにチャンバ内周面から突出しており、
    オゾンガスノズル部のノズル孔と、原料ガスノズル部のノズル孔と、は互いに反対向きの位置に設けられていることを特徴とする請求項5記載の原子層堆積装置。
  9. チャンバ内周面は、当該チャンバ内周面から突出したガス流ガイド部が設けられており、
    ガス流ガイド部は、チャンバ内周面から、チャンバ内における被成膜対象物の収容位置に向かって延出していることを特徴とする請求項8記載の原子層堆積装置。
  10. 複数個の原料ガス供給ラインが、チャンバに対して並列に設けられていることを特徴とする請求項1~9の何れかに記載の原子層堆積装置。
  11. 各原料ガス供給ラインの原料ガス供給配管内の温度をそれぞれ調整することが可能な供給配管温度調整部を、更に備えていることを特徴とする請求項10記載の原子層堆積装置。
  12. 原料ガス供給ラインは、
    原料ガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該原料ガス供給配管内の原料ガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積した原料ガスをチャンバ内に供給自在な原料ガスバッファ部と、
    原料ガスバッファ部内のガス圧力を計測する原料ガスバッファ部圧力計と、
    を備えていることを特徴とする請求項1~11の何れかに記載の原子層堆積装置。
  13. 原料ガスバッファ部内に蓄積する原料ガスの蓄積量を原料ガスバッファ部圧力計の計測値の変化量に基づいて制御する原料ガス蓄積量制御部を、更に備えていることを特徴とする請求項12記載の原子層堆積装置。
  14. 原料ガスバッファ部内の容積は、チャンバ内の容積の1/500以上であることを特徴とする請求項12または13記載の原子層堆積装置。
  15. 原料ガス供給配管内のうち原料ガスバッファ部よりも下流側の容積は、当該原料ガスバッファ部の容積の1/10~1/2の範囲内であることを特徴とする請求項12~14の何れかに記載の原子層堆積装置。
  16. 原料ガス供給配管における原料ガスバッファ部の上流側または/および下流側に、当該原料ガスバッファ部とガス排出部とを連通状態または遮断状態に切り替え可能なバイパス配管を有しているバイパスラインが、備えられていることを特徴とする請求項12~15の何れかに記載の原子層堆積装置。
  17. 原料ガス供給ラインは、原料ガス供給配管と不活性ガス供給配管とを連通状態または遮断状態に切り替え可能な不活性ガス追加供給配管を有している不活性ガス追加ラインを、備えていることを特徴とする請求項1~16の何れかに記載の原子層堆積装置。
  18. 原料ガス供給ラインは、原料ガス供給配管と不活性ガス供給配管とを連通状態または遮断状態に切り替え可能な不活性ガス追加供給配管を有している不活性ガス追加ラインを、備えており、
    原料ガスバッファ部は、原料ガス供給配管に設けられた開閉弁の開閉により、当該原料ガス供給配管内の原料ガスと、不活性ガス追加供給配管を介して不活性ガス供給配管から原料ガス供給配管内に供給された不活性ガスと、が混合された混合ガスを蓄積して封止自在、かつ当該蓄積した前記混合ガスをチャンバ内に供給自在であることを特徴とする請求項12~16の何れかに記載の原子層堆積装置。
  19. 不活性ガス追加供給配管内の温度を原料ガス供給配管内の温度よりも高温に調整することが可能な追加供給配管温度調整部を、更に備えていることを特徴とする請求項18記載の原子層堆積装置。
  20. 請求項1~19の何れかに記載の原子層堆積装置を用い、当該原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、
    酸化膜を構成する元素を含む原料ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該原料ガスの吸着層を形成する原料ガス供給工程と、
    原料ガス供給工程で供された原料ガスの余剰ガスと、当該原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、
    80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を酸化する酸化剤供給工程と、
    酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、
    を有することを特徴とする原子層堆積方法。
  21. 請求項18または19記載の原子層堆積装置を用い、当該原子層堆積装置のチャンバ内における被成膜対象物の被成膜面に酸化膜を形成する方法であって、
    酸化膜を構成する元素を含む原料ガスと、不活性ガスと、が混合された前記混合ガスをチャンバ内に供給して、被成膜面に当該混合ガス中の原料ガスによる吸着層を形成する原料ガス供給工程と、
    原料ガス供給工程で供された前記混合ガスの余剰ガスと、当該混合ガス中の原料ガスが被成膜面に吸着することで生じたガスと、を当該被成膜面から除去する原料ガスパージ工程と、
    80体積%以上のオゾンガスをチャンバ内に供給し、被成膜面に形成された吸着層を酸化する酸化剤供給工程と、
    酸化剤供給工程で供されたオゾンガスの余剰ガスと、吸着層を酸化することで生じたガスと、を被成膜面から除去する酸化剤パージ工程と、
    を有し、
    原料ガス供給工程の前記混合ガスは、
    原料ガスバッファ部内が所定の圧力に到達するまで、当該原料ガスバッファ部内に原料ガスを蓄積して封止する原料ガス蓄積工程と、
    原料ガスバッファ部内が原料ガス蓄積工程の場合よりも高圧の所定の圧力に到達するまで、不活性ガス追加供給配管を介して当該原料ガスバッファ部内に不活性ガスを供給することにより、前記混合ガスを得て当該原料ガスバッファ部内に蓄積し封止する混合ガス蓄積工程と、
    を予め実施して得ることを特徴とする原子層堆積方法。
  22. 混合ガス蓄積工程により原料ガスバッファ部内に蓄積した前記混合ガスにおける原料ガスの分圧は、1000Pa以下とし、当該混合ガスにおける原料ガスの濃度は、当該混合ガスにおける原料ガスと不活性ガスとの分圧比による換算値で30%以下とする、
    ことを特徴とする請求項21記載の原子層堆積方法。
  23. 原料ガス供給工程は、原料ガスバッファ部内に蓄積した前記混合ガスを、チャンバ内に対して1秒以内で供給を完了し、当該チャンバ内の圧力を0.1~100Paの範囲内とすることを特徴とする請求項21または22記載の原子層堆積方法。
  24. 原料ガス供給工程の後、原料ガス供給配管内に不活性ガスを供給することにより、当該原料ガス供給配管内に残存するガスを当該不活性ガスに置換することを特徴とする請求項21~23の何れかに記載の原子層堆積方法。
  25. 酸化剤供給工程によりオゾンガスバッファ部内に蓄積したオゾンガスの分圧は、10000Pa以下とすることを特徴とする請求項20~24の何れかに記載の原子層堆積方法。
  26. 酸化剤供給工程は、オゾンガスバッファ部内に蓄積したオゾンガスを、チャンバ内に対して1秒以内で供給を完了し、当該チャンバ内の圧力を10~1000Paの範囲内とすることを特徴とする請求項20~25の何れかに記載の原子層堆積方法。
  27. 原料ガス供給工程によりチャンバ内にガスを供給して一定時間封止してから、原料ガスパージ工程により、当該ガスをチャンバ外に排気し、
    酸化剤供給工程によりチャンバ内にガスを供給して一定時間封止してから、酸化剤パージ工程により、当該ガスをチャンバ外へ排気することを特徴とする請求項20~26の何れかに記載の原子層堆積方法。
  28. 原料ガスパージ工程および酸化剤パージ工程は、それぞれチャンバ内に不活性ガスを複数回繰り返し供給して行い、
    前記複数回繰り返し供給する不活性ガスの供給量は、原料ガス供給工程においてチャンバ内に供給したガスの10倍以上、または酸化剤供給工程においてチャンバ内に供給したガスの10倍以上とすることを特徴とする請求項27記載の原子層堆積方法。
  29. 原料ガス供給工程によりチャンバ内に供給されたガスの封止時間、および酸化剤供給工程によりチャンバ内に供給されたガスの封止時間は、それぞれ1~1000秒の範囲内とすることを特徴とする請求項27または28記載の原子層堆積方法。
  30. 原料ガス供給工程、原料ガスパージ工程、酸化剤供給工程、酸化剤パージ工程の各工程によるサイクルを複数回行い、
    各原料ガス供給工程のうち少なくとも1工程で用いる原料ガスと、残りの工程で用いる原料ガスとは、それぞれ異なる種類の原料ガスであることを特徴とする請求項20~29の何れかに記載の原子層堆積方法。
  31. 酸化膜は、Al23、HfO2、TiO2、ZnO、Ta23、Ga23、MoO3、RuO2、SiO2、ZrO2、Y23のいずれかの吸着層を含む、ことを特徴とする請求項20~30の何れかに記載の原子層堆積方法。
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