JP2022087002A - 自動車用排気管及び自動車用マフラ - Google Patents

自動車用排気管及び自動車用マフラ Download PDF

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Abstract

【課題】比較的簡単な構造で、高い消音性能を得ることができる排気管及び自動車用マフラを提供する。【解決手段】本発明の排気管100又は自動車用マフラ1は、排気ガスが排出される出口端部110の外周面に凹状に形成される凹部121を備える。【選択図】図2A

Description

本発明は、排気ガスを外気に放出する排気管、及びこの排気管を備える自動車用マフラに関する。
特許文献1には、排気ガスを外気に放出する排気管として、テールパイプの出口付近に円環状デバイスが装着され、気流音を低減させるテールパイプの構造が開示されている。このテールパイプは、テールパイプに対して円環状デバイスを装着されるので、構造が複雑である。
特開2004-360618号公報
本発明は、比較的簡単な構造で、高い消音性能を得ることができる排気管及び自動車用マフラを提供するものである。
本発明のある態様によれば、排気管は、排気ガスが排出される出口端部の外周面に凹状に形成される凹部を備える。
上記態様によれば、排気管の出口端部の外周面に凹状に形成される凹部によって、排気管の出口端部から排気ガスが放出される際に、渦輪の発生を効率的に抑制することができ、高い消音性能を得ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る排気管が適用される自動車用マフラの概略斜視図である。 図2Aは、排気管の出口端部を示す概略斜視図である。 図2Bは、図2Aにおける正面図である。 図2Cは、図2BにおけるIIC部の拡大図である。 図3Aは、凸部近傍の拡大斜視図である。 図3Bは、図2BにおけるIIIB-IIIB断面図である。 図4Aは、排気管の出口端部における排気ガスの流れを説明する断面図である。 図4Bは、排気管の出口端部における排気ガスの流れを説明する斜視図である。 図5は、比較例に係る排気管から放出される排気ガスの渦輪の状態を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態に係る排気管から放出される排気ガスの渦輪崩壊(渦輪抑制)の状態を示す図である。 図7Aは、図5に示す比較例に係る排気管と本発明の第1実施形態に係る排気管とで消音性能の比較実験を行った結果を示す図である。 図7Bは、図5に示す比較例に係る排気管と本発明の第1実施形態に係る排気管とで消音性能の比較実験を行った結果を示す図である。 図8は、出口端部の内径に対する凸部の高さの割合による消音効果感度について説明する図である。 図9は、凹部におけるV字形状の角度による消音効果感度について説明する図である。 図10は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る排気管の側面図である。 図11Aは、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る排気管の側面図である。 図11Bは、図11Aにおける正面図である。 図12は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る排気管の平面図である。 図13は、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る排気管が適用される自動車用マフラの平面の断面図である。 図14は、本発明の第2実施形態に係る排気管の側面図である。 図15Aは、図14における側面の断面図である。 図15Bは、本発明の第2実施形態の変形例に係る排気管の側面の断面図である。 図16は、本発明の第3実施形態に係る排気管の平面図である。 図17は、図16における側面の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
以下、図1から図13を参照して、本発明の第1実施形態に係る排気管100、及び排気管100を備える自動車用マフラ1について説明する。
まず、図1から図3Bを参照して自動車用マフラ1及び排気管100の構成について説明する。
図1は、排気管100が適用される自動車用マフラ1の概略斜視図である。図2Aは、排気管100の出口端部110を示す概略斜視図である。図2Bは、図2Aにおける正面図である。図2Cは、図2BにおけるIIC部の拡大図である。図3Aは、凸部120近傍の拡大斜視図である。図3Bは、図2BにおけるIIIB-IIIB断面図である。
図1に示すように、自動車用マフラ1は、マフラ本体10と、排気管100と、を備える。
排気管100は、円筒形状に形成される。排気管100は、出口端部110を有する。排気管100は、図示しないが、内燃機関(エンジン)から排出された排気ガスを触媒にて浄化した後、テールチューブの出口端部110から外気に放出するものである。
図2Aに示すように、出口端部110は、円筒形状の排気管100の中心線に垂直な平面でカットされて略円形に形成される。
出口端部110の内周部には、内壁面111から径方向内側(内周側)に向けて突出する凸部120が設けられている。凸部120は、出口端部110の周方向に沿って複数個設けられている。
出口端部110の外周部には、外周面から径方向内側(内周側)に向けて凹状に形成される凹部121が設けられている。凹部121は、出口端部110の周方向に沿って複数個設けられている。
凸部120及び凹部121は、排気管100の出口端部110における周方向の同じ位置に設けられる。即ち、凸部120及び凹部121は、排気管100の出口端部110において表裏一体に設けられている。凸部120及び凹部121は、排気管100の出口端部110にて周方向に等間隔に設けられる。凸部120及び凹部121は、排気管100の出口端部110に対するプレス加工によって成形される。
排気管100では、出口端部110に設けられた複数の凸部120及び凹部121によって、排気管100内から排出される排気ガスの流れがコントロールされる。これにより、排気管100の出口端部110から排気ガスが排出される際に形成される渦輪の抑制に加えて崩壊効果も得られるため、高い消音性能を得ることができる。
次に、図4A及び図4Bを参照して、排気管100の作用について説明する。
図4Aは、排気管100の出口端部110における排気ガスの流れを説明する断面図である。図4Bは、排気管100の出口端部110における排気ガスの流れを説明する斜視図である。
図4A及び図4Bに示すように、排気管100では、一つの凸部120又は隣り合う凸部120の影響を受け、排気管100の内壁面111側を通過する排気ガスの流れが速くなる。これにより、排気管100から放出される排気ガスの主流(図4Aの矢印F1)が、排気管100の出口端部110で受ける速度差によって渦輪が発生し複数の凸部120を起点として排気ガスの流れが速くなる作用を受け、渦輪を崩壊させることができる(渦輪崩壊効果)。特に、排気管100では、上述した凸部120を出口端部110の周方向に複数設けることにより、渦輪崩壊効果を高めることができる。
また、排気管100では、凸部120と表裏一体に設けられる凹部121側にて、排気管100から放出される排気ガス(主流)に対し、凸部120の下流側端部付近で負圧が発生する。その結果、凹部121に沿って外気が導入される。これにより、排気管100から放出される排気ガスの主流(図4Aの矢印F1)と、凹部121から導入される外気(図4Aの矢印F2)との速度差が排気管100の出口端部110付近で緩和され、当該速度差によって空間S1(図4A参照)における渦輪の発生を効果的に抑制することができる(渦輪抑制効果)。
即ち、本実施形態では、排気管100の出口端部110に複数個の凸部120及び凹部121をそれぞれ設けたことにより、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
なお、出口端部110に複数個の凸部120及び凹部121を共に設けるのではなく、複数個の凸部120のみ、若しくは複数個の凹部121のみを設けてもよい。出口端部110に凹部121を設けずに複数個の凸部120のみを設けた場合には、渦輪崩壊効果を高めることができるので、高い消音性能を得ることができる。一方、出口端部110に凸部120を設けずに複数個の凹部121のみを設けた場合には、渦輪の発生を効果的に抑制することができるので、高い消音性能を得ることができる。
また、凸部120と凹部121とを、排気管100の出口端部110における周方向の同じ位置に設けるのではなく、周方向の異なる位置に設けてもよい。この場合にも、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
また、凸部120と凹部121とを出口端部110の全周にわたって設けるのではなく、周の一部のみに設けてもよい。
次に、図5及び図6を参照して、比較例に係る排気管(標準的な排気管)から放出される排気ガスの渦輪の状態と、本実施形態の排気管100から放出される排気ガスの渦輪崩壊(渦輪抑制)の状態とについて説明する。図5は、比較例に係る排気管から放出される排気ガスの渦輪の状態を示す図である。具体的には、図5は、本実施形態における凸部120及び凹部121が設けられていない円筒形状の排気管(ノーマルタイプ)から排気ガスを放出した状態を示すものである。図6は、本実施形態に係る排気管100から放出される排気ガスの渦輪崩壊(渦輪抑制)の状態を示す図である。
図5に示すように、ノーマルタイプの排気管では、出口付近から渦輪が連なるように生成されていることが分かる。これに対して、図6に示すように、排気管100では、出口付近において渦輪が崩壊ないし抑制されていることが分かる。このように、凸部120による渦輪崩壊効果と凹部121による渦輪抑制効果とが得られることで、高い消音性能を得ることができる。
次に、図7A及び図7Bを参照して、比較例に係るノーマルタイプの排気管と、排気管100とで消音性能の比較実験を行った結果について説明する。
図7A及び図7Bは、比較例に係るノーマルタイプの排気管と排気管100とで消音性能の比較実験を行った結果を示す図である。
図7Aに示すように、直線状に形成される排気管であるストレートチューブの場合には、排気管100は、比較例に係る排気管(BASE)と比較して消音効果に2.3dBの差が生じ、高い消音性能を発揮することが分かった。また、曲線状に曲がった排気管(図1参照)の場合には、排気管100は、比較例に係る排気管(BASE)と比較して消音効果に0.8dBの差が生じ、高い消音性能を発揮することが分かった。
また、車外騒音規制の強化に伴って、例えば、タイヤ騒音、エンジン騒音、インテーク騒音、エキゾースト騒音などの車両の騒音低減が求められている。エキゾースト騒音における車外騒音の主要因は、気流騒音である。このエキゾーストの気流騒音は、例えば、マフラ内での1kHz~2kHz程度の周波数が主な音源周波数となるが、この他にも、テールチューブ後流で騒音が発生する。
これに対して、図7Bに示すように、1kHz~2kHz程度の周波数にて、排気管100は、比較例に係る排気管(ノーマルテール)と比較して消音効果に大きな差が生じており、高い消音性能を発揮することが分かった。
続いて、主に図8及び図9を参照して、凸部120及び凹部121の形状による消音効果感度について説明する。
まず、主に図8を参照して、出口端部110の内径Yに対する凸部120の高さXの割合による消音効果感度について説明する。
図8は、出口端部110の内径Yに対する凸部120の高さXの割合による消音効果感度について説明する図である。図8では、横軸は、出口端部110の内径Yに対する凸部120の高さXの割合[%]であり、縦軸は、消音効果感度[dB(A)]である。
ここで、排気管100の出口端部110の内径をYとし(図2B参照)、排気管100の出口端部110の内方側(径方向内側)に突出する凸部120の高さをXとする(図2C参照)。なお、高さXは、排気管100の内壁面111からの凸部120の最大高さ寸法である。
図8に示すように、内径Yに対する高さXが10[%]以下である場合に、消音効果感度が0.0[dB(A)]よりも低くなっている、即ち、消音効果が大きくなっていることが分かる。よって、排気管100の出口端部110の内径Yと凸部120の高さXとの関係が、0<X/Y≦0.1の関係式を満たすようにすることが望ましい。
このように、凸部120の高さXと、排気管100の出口端部110の内径Yとの関係が、0<X/Y≦0.1の関係式を満たすことにより、排気管100の出口端部110から排気ガスが放出される際に形成される渦輪の崩壊効果を高めることができ、高い消音性能を得ることができる。
なお、凸部120の高さXとは、排気管100の出口端部110の内壁面111から内方側に突出した寸法を示し、例えば、排気管100の出口端部110における内壁面111から径方向内方側に突出した凸部120の最大高さを含むものである。また、排気管100の出口端部110の内径Yとは、例えば、排気管100が円筒形状であればその直径のことであり、排気管100が楕円筒形状である場合は、その短径のことである。
次に、主に図9を参照して、凹部121におけるV字形状の角度θによる消音効果感度について説明する。
図9は、凹部121におけるV字形状の角度θによる消音効果感度について説明する図である。図9では、横軸は、凹部121におけるV字形状の角度θ[°]であり、縦軸は、消音効果感度[dB(A)]である。
ここで、排気管100の周方向における凹部121の角度をθとし(図3A参照)、排気管100の径方向(深さ方向)における凹部121の角度をαとする(図3B参照)。
図9に示すように、角度θが60[°]以下である場合に、消音効果感度が0.0[dB(A)]よりも低くなっている、即ち、消音効果が大きくなっていることが分かる。V字形状の角度θが60[°]よりも大きくなると、排気ガスの主流に対する外気導入が充分に得られず、渦輪抑制効果が十分に得られないおそれがある。よって、所望の渦輪崩壊効果を得るためには、凹部121におけるV字形状の角度θが、θ≦60°の範囲を満たすようにすることが望ましい。この場合、排気管100のパイプ径(直径)が63.5[mm](内径63.5Φ)以上のものも対象となる。
なお、凹部121は、深さ方向においても略V字形状(V溝)となっている。また、この深さ方向における凹部121の角度αは、5[°]以上の範囲であることが望ましい。
次に、図10から図13を参照して、本発明の第1実施形態の第1から第4の変形例に係る排気管100について各々説明する。
図10は、本発明の第1実施形態の第1変形例に係る排気管100の側面図である。図11Aは、本発明の第1実施形態の第2変形例に係る排気管100の側面図である。図11Bは、図11Aにおける正面図である。図12は、本発明の第1実施形態の第3変形例に係る排気管100の平面図である。図13は、本発明の第1実施形態の第4変形例に係る排気管100が適用される自動車用マフラ1の平面の断面図である。
図10に示すように、第1の変形例に係る排気管100は、円筒形状に形成される。排気管100は、出口端部110を有する。
出口端部110は、円筒形状の排気管100の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部110には、凸部120及び凹部121が設けられる。
このように、出口端部110が斜めにカットされている場合にも同様に、出口端部110に複数個の凸部120及び凹部121をそれぞれ設けたことにより、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
図11Aに示すように、第2の変形例に係る排気管100は、下方に向かって曲線状に曲がった円筒形状に形成される。排気管100は、出口端部110を有する。
出口端部110は、排気管100が下方に向かって曲線状に曲がっていることによって、斜め下方に向かって開口している。出口端部110は、円筒形状の排気管100の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部110には、凸部120及び凹部121が設けられる。
このように、排気管100が下方に向かって曲線状に曲がった円筒形状に形成される場合にも同様に、出口端部110に複数個の凸部120及び凹部121をそれぞれ設けたことにより、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
図12に示すように、第3の変形例に係る排気管100は、側方に向かって曲線状に曲がった円筒形状に形成される。排気管100は、出口端部110を有する。
出口端部110は、排気管100が側方に向かって曲線状に曲がっていることによって、斜め側方に向かって開口している。出口端部110は、円筒形状の排気管100の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部110には、凸部120及び凹部121が設けられる。
このように、排気管100が側方に曲線状に曲がった円筒形状に形成される場合にも同様に、出口端部110に複数個の凸部120及び凹部121をそれぞれ設けたことにより、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
図13に示すように、第4の変形例に係る自動車用マフラ1は、マフラ本体10と、排気管100と、を備える。
マフラ本体10は、第1内部排気管としての内部排気管11と、第2内部排気管としての内部排気管12と、第3内部排気管としての内部排気管13と、第4内部排気管としての内部排気管14と、を有する。
内部排気管11には、エンジンから排出されて触媒を通過した排気ガスが導かれる。内部排気管11から排出される排気ガスは、内部排気管12と内部排気管13とに分岐して各々に導かれる。内部排気管12と内部排気管13とから排出される排気ガスは、合流して内部排気管14に導かれる。内部排気管14に流入する排気ガスは、排気管100を通じて外部に排出される。
このとき、内部排気管11の出口端部11aと、内部排気管12の出口端部12aと、内部排気管13の出口端部13aと、には、複数個の凸部120及び凹部121が各々設けられる。なお、出口端部11aと出口端部12aと出口端部13aとのすべてに複数個の凸部120及び凹部121を設けるのではなく、少なくともいずれか一つに複数個の凸部120及び凹部121が設けられればよい。
このように、マフラ本体10の内部排気管11~13の出口端部11a~13aのうち少なくとも一つに複数個の凸部120及び凹部121が設けられることで、マフラ本体10の内部にて上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
以上の第1の実施形態によれば、以下に示す効果を有する。
車外騒音規制の強化に伴って、例えば、タイヤ騒音、エンジン騒音、インテーク騒音、エキゾースト騒音などの車両の騒音低減が求められている。エキゾースト騒音における車外騒音の主要因は、気流騒音である。このエキゾーストの気流騒音は、例えば、マフラ内での1kHz~2kHz程度の周波数が主な音源周波数となるが、この他にも、テールチューブ後流で騒音が発生する。
これに対して、排気管100は、テールチューブ後流で発生する騒音を効果的に低減させるものである。即ち、排気管100は、テールチューブ後流の空間で発生する音源に関して、排気ガスと外気との摩擦により発生する渦輪に着目し、この渦輪の発生を抑制又は渦輪を崩壊させることで、エキゾーストの気流音を消音させるものである。
排気管100では、テールチューブ後端部(排気管100の出口端部110)にV字形状の凹み(排気管100の出口端部110の内方側に突出する凸部120)を設け、テールチューブ後流で発生する渦輪を崩壊させる効果(渦輪崩壊効果)により、上述したエキゾーストの気流音を効果的に消音させることができる。
なお、気流音は、流速に比例して大きくなるため、テールチューブ径を大きくし、流速を下げて気流音を低減することが可能である。一方、テールチューブ径を大きくすると、車室内こもり音に影響のある次数音(成分)が悪化する。そのため、テールチューブ径を大きくするのには限界がある。
ここで、「排気管100の出口端部110の内方側に突出する凸部120が出口端部110の周方向の複数個所に設けられる」とは、図3Bに示すように排気管100の出口端部110と凸部120の下流側端部とが同じ位置となるように凸部120が延設された構成以外にも、例えば、排気管100の円筒形状の出口端部110を一部残した位置、即ち、出口端部110から排気ガス流れ方向手前の位置に凸部120が設けられた構成も含まれる。この構成においても、凸部120の高さX(排気管100の内壁面111から径方向に突出する高さX)と、排気管100の出口端部110の内径Yとの関係が0<X/Y≦0.1の関係式を満たすようにすることで、所望の渦輪崩壊効果が得られる。なお、ここで、凸部120の高さXと排気管100の出口端部110の内径Yとの関係は、0.03≦X/Y≦0.09の関係を満たすようにすることが更に望ましい。これにより、更に排気管100の内径を考慮した最適な渦輪崩壊効果を得ることができる。
ただし、図2Aから図4Bに示すように、排気管100の出口端部110に各凸部120が到達するように延設された構造とし、かつ排気管100の出口端部110の外周面側から凸部120に表裏一体に凹部121を形成する構造とすることにより、排気管100の出口端部110からの排気ガス放出時に、環状の排気ガス渦(渦輪)の形成を凹部121からの外気導入により効果的に低減させることができる。即ち、凸部120による渦輪崩壊効果と凹部121からの外気導入による渦輪形成抑制効果との相乗効果により、高い消音性能を得ることができる。
また、凸部120は、排気管100内から出口端部110を通って排出される排気ガスの排出方向(図4Aの矢印F1)に沿って凸部120の幅が漸大するV字形状を有することが望ましい。具体的には、図4Bに示すように、排気管100の内壁面111側を流れる排気ガスの流速が略V字形状の凸部120によって速くなり、かつ、排気管100の出口端部110における内壁面111側の排気ガスの流れをV字形状に沿って案内することで、排気管100の出口端部110からの排気ガスの排出時に形成される渦輪の崩壊を促進させることができる。
また、凸部120は、排気管100内から出口端部110を通って排出される排気ガスの排出方向に向かって凸部120の高さが漸大するテーパ形状である。この場合の凸部120の高さXは、凸部120における最大の高さ部分である。これにより、排気管100の出口端部110付近で凸部120に沿って放出される排気ガスの流れを凸部120のテーパ形状によってコントロールし、渦輪崩壊効果を高めることができる。また、凸部120は、その高さ方向においても幅が漸小するテーパ形状である。これにより、渦輪崩壊効果を促進させることができる。
また、排気管100の出口端部110の外周部には、凹部121が設けられていることが望ましい。ここで、凸部120と凹部121とは、上述した各実施形態にて説明したように、排気管100の出口端部110において同じ位置(排気管100の出口端部110において表裏一体)に設けなくてもよい。例えば、排気管100の出口端部110の外周部に沿って、凸部120と凹部121との位置が周方向にずれて配置されていてもよい。具体的には、隣り合う凸部120の間に対応して排気管100の出口端部110の外周面側に凹部121を設けても、外気導入効果と渦輪崩壊効果を得ることができる。なお、凹部121は、排気管100の出口端部110の外周に設けなくてもよい。この場合には、凸部120による渦輪崩壊効果によって消音性能を確保することができる。ただし、更に高い消音効果を得るためには、凸部120及び凹部121を排気管100の出口端部110に設けることが望ましい。加工上の観点からは凸部120及び凹部121を表裏一体とするのがよい。
また、凹部121は、排気管100の長手方向下流側に向かって幅が漸大するV字形状を有することが望ましい。これにより、外気導入が促され、渦輪抑制効果を高めることができる。
また、所望の渦輪崩壊効果を得るためには、凹部121におけるV字形状の角度θが、θ≦60°の範囲を満たすようにすることが望ましい。この場合、排気管100の内径63.5Φ以上のパイプ径も対象とすることができる。V字形状の角度θが60°より大きくなると、排気ガスの主流に対する外気導入が充分に得られず、渦輪抑制効果が充分に得られないおそれがある。
なお、凹部121は、深さ方向においても略V字形状(V溝)とすることが望ましい。この深さ方向における凹部121の角度α(図3B参照)は、5[°]以上の範囲とすることが望ましい。
また、凸部120又は凹部121は、例えば、排気管100の出口端部110に対してプレス加工により成形される。これにより、排気管100に対して一体的に設けることが可能となるため、本実施形態では、その構成が比較的簡単でありながら、高い消音効果を得ることができる。
また、凹部121は、排気管100における長手方向に深さが漸大する形状(V溝形状)を有することが望ましい。これにより、外気導入効果を更に高め、渦輪形成を効果的に抑制することができる。その結果、凸部120によって形成される気流による渦輪崩壊効果が加わり、高い消音性能を得ることができる。
なお、本実施形態では、凸部120の高さX(排気管100の内壁面111から径方向に突出する高さX)と、排気管100の出口端部110の内径Yとの関係が0<X/Y≦0.1の関係式を満たすようにすることで、所望の渦輪崩壊効果を得る点にある。しかしながら、このような凸部120の高さXと排気管100の出口端部110の内径Yとの関係式に限定されず、例えば、排気管100の出口端部110の内方側に突出する凸部120が出口端部110の周方向の複数個所に設けられ、かつ、排気管100の出口端部110の外周部に複数の凹部121が設けられる構造も広く対象とすることができる。この場合、凸部120と凹部121とは表裏一体でもよく、表裏異なる位置に設けられてもよい。いずれにしても、凸部120による渦輪崩壊効果と、凹部121による渦輪抑制効果とが相乗的に得られ、高い消音性能を得ることができる。
(第2実施形態)
以下、図14から図15Bを参照して、本発明の第2実施形態に係る排気管200について説明する。以下に示す各実施形態では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、排気管200の側面図である。図15Aは、図14における側面の断面図である。図15Bは、本発明の第2実施形態の変形例に係る排気管200の側面の断面図である。
図14に示すように、排気管200は、排気管本体210と、フィニッシャ220と、を有する。
図15Aに示すように、排気管本体210は、円筒形状に形成される。排気管本体210は、出口端部210aを有する。
出口端部210aは、円筒形状の排気管200の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部210aには、凸部120及び凹部121が設けられる。
フィニッシャ220は、円筒部221と、底部222と、を有する。
円筒部221は、排気管本体210の外径よりも大きな内径を有する円筒形状に形成される。円筒部221は、排気管本体210の外周に間隔をあけて略同心円状に設けられる。円筒部221は、排気管本体210との間に環状の空間223を形成する。円筒部221は、排気ガス流れ方向における下流側に出口端部221aを有する。
出口端部221aは、円筒形状の排気管200の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部221aは、排気管本体210の出口端部210aと略平行である。出口端部221aには、凸部120及び凹部121が設けられる。
底部222は、円筒部221の排気ガス流れ方向における上流側の上流端部221bに設けられる。底部222は、排気管本体210の外周面と円筒部221の内周面とを連結し、排気管本体210に対してフィニッシャ220を保持する。底部222は、空間223と外部とを連通させる複数の貫通孔224を有する。
排気管200では、排気管本体210の出口端部210aから排気ガスが排出されると共に、フィニッシャ220の貫通孔224を介して空間223に外気が導かれて出口端部221aから排出される。そのため、出口端部210aから排出される排気ガスと出口端部221aから排出される外気との流速差が、フィニッシャ220が設けられない場合の排気ガスと外気との流速差と比較して小さくなる。よって、渦輪を発生させる排気ガスと外気との間の摩擦力が小さくなる。
また、排気管本体210の出口端部210aとフィニッシャ220の出口端部221aとには、凸部120及び凹部121が設けられるので、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
図15Bに示す変形例では、排気管本体210の外周に、空間223と連通する複数の貫通孔211が設けられる。また、フィニッシャ220は、底部222に貫通孔224を有さない。
この変形例では、排気管本体210の出口端部210aから排気ガスが排出されると共に、排気管本体210の貫通孔211を介して空間223に排気ガスの一部が導かれて出口端部221aから排出される。そのため、排気ガスが、出口端部210aと出口端部221aとに分岐して排出されるので、流速が低くなる。そのため、排気ガスとフィニッシャ220の外周を流れる外気との流速差が小さくなる。よって、渦輪を発生させる排気ガスと外気との間の摩擦力が小さくなる。
また、排気管本体210の出口端部210aとフィニッシャ220の出口端部221aとには、凸部120及び凹部121が設けられるので、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
なお、排気管本体210の出口端部210aとフィニッシャ220の出口端部221aとに共に凸部120及び凹部121を設けるのではなく、いずれか一方のみに凸部120及び凹部121を設けてもよい。
(第3実施形態)
以下、図16及び図17を参照して、本発明の第3実施形態に係る排気管300について説明する。
図16は、排気管300の平面図である。図17は、図16における側面の断面図である。
図16に示すように、排気管300は、排気管本体310と、カバー320と、を有する。
排気管本体310は、側方に向かって曲線状に曲がった円筒形状に形成される。排気管本体310は、出口端部310aを有する。
出口端部310aは、排気管本体310が側方に向かって曲線状に曲がっていることによって、斜め側方に向かって開口している。出口端部310aは、円筒形状の排気管本体310の中心線に垂直な平面に対して斜めに交差する平面でカットされて長円形(略楕円形)に形成される。出口端部310aには、凸部120及び凹部121が設けられる。
カバー320は、排気管本体310の上方に間隔をあけて略円弧形状の断面を有する曲面状に設けられる。カバー320は、排気管本体310との間に空間323を形成する。カバー320は、排気ガス流れ方向における下流側に出口端部321aを有する。出口端部321aには、凸部120及び凹部121が設けられる。
排気管300では、排気管本体310の出口端部310aから排気ガスが排出されると共に、カバー320と排気管本体310との間の空間323に外気が導かれて出口端部321aから排出される。出口端部321aでは、凸部120及び凹部121が設けられることで、空間323の流路面積が小さくなり、出口端部321aから排出される外気の流速が高くなる。そのため、出口端部310aから排出される排気ガスと出口端部321aから排出される外気との流速差が、カバー320が設けられない場合の排気ガスと外気との流速差と比較して小さくなる。よって、渦輪を発生させる排気ガスと外気との間の摩擦力が小さくなる。
また、排気管本体310の出口端部310aとカバー320の出口端部321aとには、凸部120及び凹部121が設けられるので、上述した渦輪崩壊効果と渦輪抑制効果の相乗効果が得られ、高い消音性能を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上述した各実施形態では、排気管100,排気管本体210,及び排気管本体310は、略円形の断面形状を有する円筒形状に形成される。これに限らず、排気管100,排気管本体210,及び排気管本体310は、例えば、長円形(楕円形)の断面形状を有する筒形状や、矩形の断面形状を有する筒形状に形成されてもよい。即ち、排気管100,排気管本体210,及び排気管本体310は、任意の断面形状を有する筒形状であればよい。
1 自動車用マフラ
100 排気管
200 排気管
300 排気管
110 出口端部
111 内壁面
120 凸部
121 凹部
210a 出口端部
310a 出口端部
X 凸部の高さ
Y 排気管の内径
本発明のある態様によれば、自動車用排気管は、排気ガスが排出される出口端部の外周面から径方向内側に向けて凹状に形成される凹部と、前記出口端部の内周部に形成され、前記出口端部の内壁面から径方向内側に向けて突出する凸部と、を備え、前記凹部及び前記凸部は、前記出口端部において表裏一体に、前記出口端部の一部に周方向にわたって複数設けられ、前記凹部は、前記自動車用排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に向かって深さが漸大するV溝形状に形成され、前記凸部は、前記自動車用排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に沿って幅が漸大するV字形状かつ高さが漸大するテーパ形状に形成され、前記凸部の前記内壁面から径方向内側に突出する高さXと前記出口端部の内径Yとが、0<X/Y≦0.1の関係式を満たし、前記内壁面に沿って流れる排気ガスの流速を前記凸部で速くさせ、かつ前記出口端部における前記内壁面に沿った排気ガスの流れを前記凸部に沿って案内することで、前記出口端部からの排気ガスの排出時に排気ガスと外気との摩擦により形成される渦輪の崩壊を促進すると共に、前記自動車用排気管から放出される排気ガスと前記凹部に沿って導入される外気との速度差が前記出口端部付近で緩和されることで、前記渦輪の発生を抑制する

Claims (12)

  1. 排気管であって、
    排気ガスが排出される出口端部の外周面に凹状に形成される凹部を備える、
    ことを特徴とする排気管。
  2. 請求項1に記載の排気管であって、
    排気ガスが排出される前記出口端部の内周面に突出する凸部を備える、
    ことを特徴とする排気管。
  3. 請求項2に記載の排気管であって、
    前記凸部と前記凹部とは、前記出口端部の周方向に複数設けられる、
    ことを特徴とする排気管。
  4. 請求項2又は3に記載の排気管であって、
    前記凸部と前記凹部とは、前記出口端部の周方向の同じ位置に設けられる、
    ことを特徴とする排気管。
  5. 請求項4に記載の排気管であって、
    前記凸部と前記凹部とは、前記出口端部の周方向に等間隔に設けられる、
    ことを特徴とする排気管。
  6. 請求項2から5のいずれか一つに記載の排気管であって、
    前記凸部の高さXと前記出口端部の内径Yとが、0<X/Y≦0.1の関係式を満たす、
    ことを特徴とする排気管。
  7. 請求項6に記載の排気管であって、
    前記凸部は、前記排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に向かって高さが漸大する形状であり、
    前記凸部の高さXは、前記凸部における最大の高さ部分である、
    ことを特徴とする排気管。
  8. 請求項2から7のいずれか一つに記載の排気管であって、
    前記凸部は、前記排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に沿って幅が漸大するV字形状である、
    ことを特徴とする排気管。
  9. 請求項1から8のいずれか一つに記載の排気管であって、
    前記凹部は、前記排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に向かって幅が漸大するV字形状を有する、
    ことを特徴とする排気管。
  10. 請求項9に記載の排気管であって、
    前記凹部におけるV字形状の角度θは、θ≦60°の範囲である、
    ことを特徴とする排気管。
  11. 請求項1から10のいずれか一つに記載の排気管であって、
    前記凹部は、前記排気管内から前記出口端部を通って排出される排気ガスの排出方向に向かって深さが漸大する形状である、
    ことを特徴とする排気管。
  12. 請求項1から11のいずれか一つに記載の排気管を備える、
    ことを特徴とする自動車用マフラ。
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