JP2022085336A - 測定装置、測定システム、測定方法、プログラムおよび測定装置の校正方法 - Google Patents

測定装置、測定システム、測定方法、プログラムおよび測定装置の校正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流体の流れの状態の測定精度を向上させる。【解決手段】測定装置は、発光部と、受光部と、第1算出部と、認識部と、第2算出部と、を備える。発光部は、内部で流体が流れる被照射物に光を照射する。受光部は、被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する。第1算出部は、出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する。認識部は、第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。第2算出部は、第1パワースペクトルとノイズ値とに基づいて、流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する。【選択図】図3

Description

本開示は、測定装置、測定システム、測定方法、プログラムおよび測定装置の校正方法に関する。
流体の流れの状態を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1の記載を参照)。
特許第5806390号公報
流体の流れの状態を測定する技術については、測定精度を向上させる点で改善の余地がある。
測定装置、測定システム、測定方法、プログラムおよび測定装置の校正方法が開示される。
測定装置の一態様は、発光部、受光部、第1算出部、認識部および第2算出部を備えている。前記発光部は、内部で流体が流れる被照射物に光を照射する。前記受光部は、前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する。前記第1算出部は、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する。前記認識部は、前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する。
測定システムの一態様は、発光部、受光部、第1算出部、認識部および第2算出部を備えている。前記発光部は、内部で流体が流れる被照射物に光を照射する。前記受光部は、前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する。前記第1算出部は、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する。前記認識部は、前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する。
測定方法の一態様は、第1工程、第2工程、第3工程および第4工程を有する。前記第1工程において、発光部によって内部で流体が流れている被照射物に光を照射しながら、受光部によって前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する。前記第2工程において、第1算出部によって、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する。前記第3工程において、認識部によって、前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。前記第4工程において、前記第2算出部によって、前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する。
プログラムの一態様は、内部で流体が流れている被照射物に発光部が光を照射する場合に、前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光する受光部によって出力される前記干渉光の強度に応じた出力信号に基づく信号が入力されるコンピュータに、第1計算工程、認識工程および第2計算工程を実行させるためのものである。前記第1計算工程において、前記信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する。前記認識工程において、前記第1パワースペクトルに基づいて該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。前記第2計算工程において、前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する。
測定装置の校正方法の一態様は、第5工程、第6工程、第7工程および第8工程を有する。前記第5工程において、発光部によって内部で流体が流れている被照射物に光を照射しながら、受光部によって前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する。前記第6工程において、第1算出部によって、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第3パワースペクトルを算出する。前記第7工程において、認識部によって、前記第3パワースペクトルに基づいて該第3パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する。前記第8工程において、設定部によって、前記第3パワースペクトルにおいて周波数の増加に応じて信号強度が前記ノイズ値に至る周波数に応じて、前記被照射物の内部で流れる流体の流れの状態を示す流れ状態値の算出に用いる使用周波数範囲の上限を設定する。
例えば、流体の流れの状態の測定精度が向上し得る。
図1は、第1~7実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す概略図である。 図2は、第1~4実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す概略図である。 図3は、第1~3実施形態に係る演算回路で実現される機能的な構成の一例を示す図である。 図4は、第1パワースペクトルの一例を示す図である。 図5(a)は、第2パワースペクトルの一例を示す図である。図5(b)は、第2パワースペクトルの他の一例を示す図である。 図6(a)は、測定装置を用いた測定方法の流れの一例を示す流れ図である。図6(b)は、図6(a)のステップS4における処理の流れの一例を示す流れ図である。 図7は、第2流れ状態値が3つの異なる設定値にそれぞれ設定された場合に算出された第1パワースペクトルを示す図である。 図8(a)および図8(b)は、それぞれ第2流れ状態値の設定値と第1流れ状態値の算出値との関係を示す図である。 図9(a)および図9(b)は、それぞれ第2流れ状態値の設定値と第1流れ状態値の算出値との関係を示す図である。 図10は、第2流れ状態値の設定値と第1流れ状態値の算出値との関係を示す図である。 図11(a)および図11(b)は、第4実施形態に係る演算回路で実現される機能的な構成の一例を示す図である。 図12(a)は、第4実施形態に係る測定装置の校正方法の流れの一例を示す流れ図である。図12(b)は、第4実施形態に係る測定装置を用いた測定方法の流れの一例を示す流れ図である。 図13は、第5実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す概略図である。 図14は、第6実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す概略図である。 図15は、第7実施形態に係る測定システムの構成の一例を示す概略図である。 図16(a)は、レーザーの発光量を1とした場合に受光素子によって検出される信号強度についてのパワースペクトルの一例を太い実線で描いた曲線、およびパワースペクトルにおけるノイズ成分の一例を細い一点鎖線で描いた曲線、をそれぞれ模式的に示す図である。図16(b)は、レーザーの発光量を0.5とした場合に受光素子によって検出される信号強度についてのパワースペクトルの一例を太い実線で描いた曲線、およびパワースペクトルにおけるノイズ成分の一例を細い一点鎖線で描いた曲線、をそれぞれ模式的に示す図である。
流体の流れの状態を測定する装置(測定装置ともいう)として、例えば、レーザー血流計などの光学的な手法を用いて流体の流量および流速の少なくとも一方を測定する装置が知られている。レーザー血流計は、例えば、発光素子としてのレーザーから生体に照射されたレーザー光が散乱する際に生ずるドップラーシフトに起因したレーザー光の波長の変化に基づいて、生体の血流量を算出することができる。
より具体的には、周波数foのレーザー光が生体に照射されると、血管内を流れる血液の流れ(血球などの粒子の移動)による光の散乱と、他の固定組織(皮膚組織および血管を形成している組織など)による光の散乱と、によって、散乱光が生じる。このとき、血球による散乱で生じた散乱光の周波数fは、他の固定組織による散乱で生じた散乱光の周波数foと比較して、血球などの粒子の移動速度に対応したドップラーシフトによってfbだけ変化した周波数fo+fbとなる。この変調周波数fbは、血流の速度をVとし、流体に対するレーザー光の入射角度をθとし、レーザー光の波長をλとすると、次の式(1)で示される。
fb=(2V×cosθ)/λ ・・・(1)
ここでは、固定組織によって生じる周波数foの光と、移動する血球によって生じる周波数fo+fbの光と、の相互干渉によって、差周波fbが光ビート(うなり)として観測され得る。換言すれば、周波数が互いに異なる2種類の光を受光素子が受光することで得られる電気信号(受光信号)には、これらの2種類の光の相互干渉によって生ずる光ビートに対応する電気信号(光ビート信号ともいう)の成分が含まれる。
光ビートの周波数に対応する差周波fbは、元のレーザー光の周波数foよりも非常に小さい。例えば、780nmの波長の光の周波数は、400テラヘルツ(THz)程度であり、通常の受光素子で検出が可能である応答速度を超えている。これに対して、光ビートの周波数(光ビート周波数ともいう)fbは、血球の移動速度に依存するものの、例えば、数キロヘルツ(kHz)から数十kHz程度であり、通常の受光素子が十分応答して検出することが可能である周波数帯域に含まれる。このため、受光素子を用いて、固定組織によって生じた周波数foの光と、移動する血球によって生じた周波数fo+fbの光と、を受光することで得られる電気信号(受光信号)は、直流(DC)成分の信号(DC信号)に光ビート周波数fbの強度変調信号が重畳されたような波形を示す。そして、周波数fbの光ビート信号を解析することで、血流量を算出することができる。
例えば、まず、受光素子によって検出された受光信号についてフーリエ変換(FFT)などの演算を用いて周波数と信号強度との関係を示すパワースペクトルP(f)を算出する。次に、このパワースペクトルP(f)に周波数fの重み付けを行うことで、重み付け後のパワースペクトル(重み付けパワースペクトルともいう)P(f)×fを算出する。次に、重み付けパワースペクトルP(f)×fについて、所定の範囲の周波数で積分を行って、第1の計算値(∫{P(f)×f}df)を算出する。次に、下記の式(2)で示されるように、第1の計算値(∫{P(f)×f}df)を、パワースペクトルP(f)について所定の範囲の周波数で積分を行うことで算出される第2の計算値(∫P(f)df)で除することで、光ビート周波数fbにおける平均周波数fmを算出する。
fm=∫{P(f)×f}df/{∫P(f)df} ・・・(2)
そして、平均周波数fmを用いた所定の計算で、生体の血流量を算出することが考えられる。
このような流体の流量を測定する測定装置は、血管内を流れる血液だけでなく、配管などの流路を構成している部分(流路構成部ともいう)内の流路を流れる流体一般を測定の対象(測定対象ともいう)としてもよい。
ところで、パワースペクトルP(f)には、例えば、流体の流れとは異なる流体の外部の環境(外部環境ともいう)に起因するノイズの成分(ノイズ成分ともいう)が含まれ得る。外部環境に起因するノイズは、例えば、流路構成部の振動に起因するノイズ、周囲からの熱に起因するノイズ、および測定装置の各種回路で生じる電磁的なノイズなどを含み得る。パワースペクトルP(f)に含まれるノイズ成分は、例えば、低周波から高周波に至る広い周波数の範囲で存在し得る。そして、このような外部環境に起因するノイズは、例えば、測定装置において流体の流量を測定する際に、測定精度の低下を招く。
例えば、レーザーの発光強度が小さい場合、レーザーの温度上昇および経年劣化などに起因してレーザーの発光強度が低下する場合、あるいは流路構成部における光の透過率が低下した場合には、測定対象としての流体に照射されるレーザー光の強度が小さくなり得る。測定対象としての流体に照射されるレーザー光の強度が小さい条件では、例えば、受光素子による受光で得られる電気信号(受光信号)の強度が低下し、パワースペクトルP(f)においてノイズ成分が占める割合が大きくなり得る。また、例えば、測定の対象物としての流体に含まれる粒子の濃度が低下した場合にも、受光素子による受光で得られる電気信号(受光信号)の強度が低下し、パワースペクトルP(f)においてノイズ成分が占める割合が大きくなり得る。
例えば、同一の流路構成部に、測定対象としての同一の流体を、同一の流量および同一の流速で流して、測定装置で測定を行う場合を想定する。この場合には、例えば、レーザーの発光量が大きければ、図16(a)で示されるように、受光素子によって検出される受光信号から算出されるパワースペクトルP(f)の信号強度が比較的高くなる。このため、曲線101Lで示されるパワースペクトルP(f)において曲線101Lnで示されるノイズ成分が占める割合は低い。これに対して、例えば、レーザーの発光量が小さければ、図16(b)で示されるように、受光素子によって検出される受光信号から算出されるパワースペクトルP(f)の信号強度が比較的低くなる。これにより、曲線102Lで示されるパワースペクトルP(f)において曲線102Lnで示されるノイズ成分が占める割合が高い。図16(b)の例では、特に、パワースペクトルP(f)のうちの比較的高い周波数の範囲における信号強度がノイズ成分によって大きく異なるものとなる。このような場合には、例えば、パワースペクトルP(f)から算出される流体の流量の測定精度が低下し得る。
また、例えば、レーザーの発光強度の低下だけでなく、流体の流量の変化に応じたパワースペクトルP(f)の形状の変化によっても、パワースペクトルP(f)においてノイズ成分が占める割合が変化し、測定精度が低下する場合がある。このような問題は、流体の流量を測定する測定装置に限られず、流体の流量および流速の少なくとも一方を含む流体の流れの状態を測定する測定技術一般に共通する。
したがって、流体の流れの状態を測定する技術については、測定精度を向上させる点で改善の余地がある。
そこで、本開示の発明者は、流体の流れの状態の測定精度を向上させることができる技術を創出した。
これについて、以下、第1実施形態から第7実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。
<1.第1実施形態>
<1-1.測定装置>
図1および図2は、測定装置1の構成の一例を示す概略図である。図1で示されるように、測定装置1は、例えば、内部803で流体802が流れる物体(被照射物ともいう)800に光L1を照射することができる。被照射物800は、流路を構成する物体(流路構成部ともいう)801と、この流路を流れる流体802と、を含む。流路構成部801の内部803が被照射物800の内部803である。測定装置1は、例えば、被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2を受光し、受光した干渉光L2に基づいて、流体802の流れの状態を定量的に測定することができる。換言すれば、測定装置1は、流体802の流れの状態を示す定量的な値(流れ状態値ともいう)を算出することができる。流路構成部801は、例えば、生体内の血管または各種装置の配管などの管状の物体(管状体ともいう)を含む。
流れ状態値としては、流体802の流れの状態を直接的に示す定量的な値(直接的な流れ状態値あるいは第2流れ状態値ともいう)と、流体802の流れの状態を間接的に示す定量的な値(間接的な流れ状態値あるいは第1流れ状態値ともいう)とがある。直接的な流れ状態値は、例えば、流量および流速のうちの少なくとも一方を含む。流量は、例えば、単位時間あたりに流路を通過する流体の量である。流体の量は、例えば、体積または質量で表される。流速は、流路における流体の流れの速さである。流れの速さは、例えば、単位時間あたりに流体が進む距離で表される。間接的な流れ状態値の例については後述する。
測定装置1は、例えば、光のドップラー効果を利用して流体802の流れの状態を定量的に測定することができる。例えば、流体802に対する光の照射に応じて、その光が流体802で散乱を生じる場合には、流体802の流れに応じたドップラー効果によって、流体802の移動速度に応じた光の周波数のシフト(ドップラーシフトともいう)が生じる。測定装置1は、このドップラーシフトを利用して、流体802の流れの状態を定量的に測定することができる。
流れの状態が定量的に測定される対象物(被測定物ともいう)としての流体802は、例えば、その流体802自体が光を散乱するもの、あるいは光を散乱する物質(散乱物質ともいう)または光を散乱する物体(散乱体ともいう)を流動させるものを含む。被測定物としての流体802には、例えば、水、血液、プリンター用のインク、飲料などの各種水溶液、または粉体などの散乱体を含む気体などが適用される。例えば、散乱物質または散乱体が流体に追従して流動する場合には、「散乱物質または散乱体の流量」を「流体の流量」とみなしてもよいし、「散乱物質または散乱体の流速」を「流体の流速」とみなしてもよい。
図1で示されるように、測定装置1は、例えば、配線基板2と、センサ3と、処理回路4と、演算回路5と、コネクタ6と、を備えている。測定装置1は、配線基板2、センサ3、処理回路4、演算回路5およびコネクタ6を収容する外装ケースを備えていてもよい。
配線基板2の一方の主面上には、例えば、センサ3、処理回路4、演算回路5およびコネクタ6が位置している。配線基板2は、単層基板であってもよいし、多層基板であってもよい。処理回路4、演算回路5およびコネクタ6のうちの少なくとも一つは、配線基板2の他方の主面上に位置していてもよい。
コネクタ6には、例えば、測定装置1の外部の装置もしくは機器から延びるケーブル、あるいは測定装置1の外部の装置もしくは機器が備えているコネクタが接続される。コネクタ6には、例えば、測定装置1に電気を供給する電源が接続される。電源からコネクタ6に供給される電気は、配線基板2を通じて、センサ3、処理回路4および演算回路5に供給される。
センサ3は、例えば、発光部31および受光部32を備えている。
発光部31は、例えば、被照射物800に光L1を照射することができる。換言すれば、発光部31は、例えば、内部803で流体802が流れる被照射物800に光L1を照射することができる。発光部31が被照射物800に照射する光L1には、例えば、流体802に応じた所定の波長の光が適用される。例えば、流体802が血液である場合には、光L1の波長は、600nmから900nm程度に設定される。また、例えば、流体802がプリンター用のインクである場合には、光L1の波長は、700nmから1000nm程度に設定される。発光部31には、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの半導体レーザー素子が適用される。発光部31は、発光素子ともいえる。
受光部32は、例えば、発光部31から被照射物800に照射された光L1のうち、被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2を受光することができる。受光部32は、例えば、受光した光を光の強度に応じた電気信号に変換することができる。このため、受光部32は、例えば、被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2を受光して、この干渉光L2の強度に応じた時間領域の信号(出力信号ともいう)320を出力することができる。受光部32が受光することができる干渉光L2は、被照射物800からの散乱光のうち、流体802の周囲で静止している物体(静止物体ともいう)からのドップラーシフトを生じていない散乱光と、流体802からのシフト量がΔfであるドップラーシフトを生じた散乱光と、によって生じる干渉光を含む。例えば、流体802が血管内を流れる血液である場合には、静止物体は、皮膚および血管などを含む。流体802が配管内を流れるインクである場合には、静止物体は、配管などを含む。この場合には、配管は、例えば、透光性を有する材料によって構成される。透光性を有する材料には、例えば、ガラスまたはポリマー樹脂などが適用される。
ここで、時間の経過に対する干渉光L2の強度の変化(時間変化ともいう)は、ドップラーシフトを生じていない散乱光の周波数と、ドップラーシフトを生じた散乱光の周波数との周波数差Δfに対応する周波数のうなりを示す。このため、受光部32から出力される干渉光L2の強度に応じた出力信号320は、干渉光L2の強度の時間変化におけるうなりに対応する信号(うなり信号とも光ビート信号ともいう)の成分を含む。受光部32には、例えば、干渉光L2の強度の時間変化におけるうなりに追従することができる能力(時間分解能ともいう)を有するものが適用される。受光部32が受光することができる光の波長は、例えば、発光部31から被照射物800に照射される光L1の波長および流体802の速さの範囲などの測定条件に応じて設定される。受光部32には、例えば、シリコン(Si)フォトダイオード、ガリウムヒ素(GaAs)フォトダイオード、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)フォトダイオード、またはゲルマニウム(Ge)フォトダイオードなどの各種のフォトダイオードが適用される。受光部32は、受光素子ともいえる。
センサ3は、発光部31および受光部32以外に、例えば、パッケージ33およびカバー部材34を備えている。パッケージ33は、発光部31および受光部32を収容する。パッケージ33は、例えば、発光部31を収容する凹部331と、受光部32を収容する凹部332と、を有する。パッケージ33は、例えば、セラミック材料または有機材料などで構成された多層配線基板で構成される。例えば、この多層配線基板を通じて、発光部31および受光部32は、配線基板2に電気的に接続される。セラミック材料には、例えば、酸化アルミニウム質焼結体またはムライト質焼結体などが適用される。有機材料には、例えば、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などが適用される。カバー部材34は、例えば、パッケージ33の凹部331および凹部332を覆う。カバー部材34は、例えば、透明のガラス板で構成される。凹部331内の発光部31が発する光L1は、カバー部材34を透過した後に被照射物800に照射される。また、被照射物800からの干渉光L2は、カバー部材34を透過した後に、凹部332内の受光部32で受光される。
処理回路4は、例えば、センサ3のパッケージ33を構成する多層配線基板および配線基板2を通じて、受光部32と電気的に接続されている。演算回路5は、例えば、配線基板2を通じて、処理回路4と電気的に接続されている。
処理回路4は、例えば、受光部32から出力される出力信号320に対して各種の処理を行うことができる。この各種の処理は、例えば、信号を増幅する処理(増幅処理ともいう)および信号から交流成分(AC信号ともいう)を抽出する処理(AC信号抽出処理ともいう)などを含み得る。
図2で示されるように、処理回路4は、例えば、増幅回路41と、抽出回路42と、を備えている。増幅回路41は、例えば、受光部32から入力される出力信号320を増幅して出力することができる。増幅回路41は、例えば、オペアンプ、抵抗およびコンデンサなどを含む。抽出回路42は、例えば、増幅回路41で増幅された出力信号からAC信号321を抽出することができる。抽出回路42には、例えば、増幅回路41で増幅された出力信号から交流成分(AC信号)321を抽出して演算回路5に出力するフィルタが適用される。このフィルタには、例えば、オペアンプ、抵抗およびコンデンサなどを含むハイパスフィルタなどが適用される。
処理回路4は、例えば、発光部31に対する電力の供給を制御することによって、発光部31の発光を制御してもよい。また、処理回路4は、抽出回路42から出力されるAC信号321を増幅して演算回路5に出力する増幅回路を備えていてもよい。
演算回路5は、例えば、少なくとも1つの電気回路としてのプロセッサを有する。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路(IC)および/またはディスクリート回路(discrete circuits)として、実現されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、例えば、種々の既知の技術に従って実現され得る。
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1つ以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された1つ以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1つ以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサは、例えば、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、これらのデバイスもしくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
第1実施形態では、演算回路5は、例えば、マイクロプロセッサを備えている。マイクロプロセッサは、図2で示されるように、例えば、A/Dコンバータ51、演算部としてのCPU(Central Processing Unit)52および記憶回路53などを有する。
A/Dコンバータ51は、例えば、処理回路4から入力されるアナログ形式のAC信号321をデジタル形式のAC信号322に変換することができる。AC信号322は、時間領域の信号であって、時系列に並ぶ、AC信号322の信号強度を表す複数のデジタル値で構成されている。
CPU52は、例えば、デジタル形式のAC信号322に基づいて、流体802の流れの状態を定量的に測定することができる。ここでは、CPU52は、例えば、AC信号322に基づいて流れ状態値を算出することができる。換言すれば、CPU52は、例えば、受光部32から出力された出力信号320に基づいて、流体802の流れの状態を示す流れ状態値を算出することができる。受光部32から出力される出力信号320の周波数および信号強度は、光のドップラー効果に依存する。このため、出力信号320の周波数と信号強度との関係を示すパワースペクトルは、流体802の流れ状態値に応じて変化する。そこで、CPU52では、例えば、出力信号320の交流成分にあたるAC信号322に対してフーリエ変換(詳細には離散フーリエ変換)を行うことで、AC信号322のパワースペクトルを算出し、このパワースペクトルに基づいて流体802の流れ状態値を算出することができる。
記憶回路53は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの、CPU52が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶回路53には、プログラム531が記憶されている。演算回路5の各種機能は、例えば、CPU52が記憶回路53内のプログラム531を実行することによって実現される。
図3は、CPU52がプログラム531を実行することによって演算回路5で実現される複数の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図3で示されるように、演算回路5は、機能ブロックとして、例えば、第1算出部521、認識部522および第2算出部523を有する。第1算出部521、認識部522および第2算出部523は、例えば、CPU52において実現される。
第1算出部521は、例えば、AC信号322に基づいて、信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示すパワースペクトル(第1パワースペクトルともいう)401を算出することができる。ここでは、第1パワースペクトル401は、例えば、AC信号322に対してフーリエ変換が行われることで算出され得る。ここで、AC信号322は、出力信号320の交流成分にあたる。このため、例えば、AC信号322は、出力信号320に基づく信号である。よって、例えば、第1算出部521は、受光部32から出力された出力信号320に基づいて、第1パワースペクトル401を算出することができるものといえる。
図4は、第1算出部521で算出される第1パワースペクトル401の一例を示す図である。図4の横軸は、周波数を示す。図4の縦軸は、各周波数におけるAC信号322の信号強度を示す。図4では、太い実線で描かれた曲線1Lが、第1パワースペクトル401の一例を示す。ここでは、例えば、周波数をfnとし、周波数fnにおけるAC信号322の信号強度をP1(fn)とすると、第1パワースペクトル401は、P1(fn)で示される。
ここで、流路構成部801内では、流体802の流速は、均一ではなく、流路構成部801内での場所に応じて異なる。流体802の流速は、流路構成部801の内壁に近い場所ほど小さくなる傾向にある。このため、受光部32は、ドップラーシフトのシフト量Δf(差周波Δfともいう)が互いに異なる複数の散乱光を含む干渉光L2を受光する。つまり、受光部32は、周波数が互いに異なる複数の散乱光を含む干渉光L2を受光する。その結果、AC信号322のパワースペクトル(第1パワースペクトル)401は、図4で示されるように、周波数方向において広がりを持つ形状を成す。また、第1パワースペクトル401は、例えば、流体802の流れとは異なる外部環境に起因するノイズ成分を含む。外部環境は、例えば、流路構成部801の振動、周囲の熱および各種回路で生じる電磁界などを含む。図4では、細い一点鎖線で描かれた曲線1Lnが、第1パワースペクトル401におけるノイズ成分の一例を模式的に示す。図4で示されるように、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分は、例えば、低周波から高周波に至る広い周波数の範囲で存在し得る。
認識部522は、例えば、第1算出部521によって算出された第1パワースペクトル401に基づいて、この第1パワースペクトル401におけるノイズ成分の信号強度に係る値(ノイズ値ともいう)Pn1を認識することができる。ここで、認識部522は、例えば、第1パワースペクトル401を近似式の形態に変換した後に、この近似式の形態の第1パワースペクトル401に基づいて、ノイズ値Pn1を認識してもよい。第1パワースペクトル401の近似式は、例えば、最小二乗法などを用いて算出され得る。具体的には、例えば、周波数がxとされ、信号強度がyとされ、係数a1,b1および定数c1を用いた2次式(y=a1×x+b1×x+c1)で周波数と信号強度との関係を表すものとされる。そして、例えば、最小二乗法などが用いられて、第1パワースペクトル401の生データに対して2次式のフィッティングが行われることで、係数a1,b1および定数c1が求められ、第1パワースペクトル401の近似式としての2次式が算出され得る。ここでは、例えば、2次式の代わりに、累乗または指数などを用いた種々の形式の関数を用いた近似式が算出されてもよい。
例えば、認識部522は、第1パワースペクトル401における信号強度の最小値(最小信号強度ともいう)に応じてノイズ値Pn1を認識することができる。この場合には、ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401における最小信号強度そのものが適用される。ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401についての最小信号強度を基準とした値が適用されてもよい。最小信号強度を基準とした値としては、例えば、第1パワースペクトル401のうちの最小信号強度を示す周波数以上の周波数帯における任意の信号強度もしくは信号強度の統計値、および最小信号強度に所定の計算が行われることで算出される値などが挙げられる。最小信号強度を基準とした値は、例えば、第1パワースペクトル401においてn番目(nは、2以上の自然数)に小さな信号強度であってもよい。統計値には、例えば、第1パワースペクトル401についての信号強度の平均値、最大値または中央値などの所定の統計値が適用される。所定の計算には、例えば、第1所定値(例えば、1.1など)を乗じる乗算、第2所定値(例えば、0.9など)で除する除算、または最小信号強度に所定値(例えば、0.1)を乗じた値を加算もしくは減算する計算などが適用される。このようにして、例えば、ノイズ値Pn1が容易に認識され得る。
また、例えば、認識部522は、第1パワースペクトル401における傾きが閾値に到達した周波数に応じてノイズ値Pn1を認識してもよい。ここで、傾きは、第1パワースペクトル401における周波数の増加に対する信号強度の変化の割合を示す値である。第1パワースペクトル401における傾きは、例えば、第1パワースペクトル401における近接する周波数における複数の信号強度の平均どうしから求められてもよい。閾値には、例えば、ゼロあるいはゼロの近傍の値が適用される。この場合には、ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401において周波数の増加に伴って傾きが閾値よりも小さな値から閾値に到達した周波数(第1周波数ともいう)fn1における信号強度が適用される。ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401についての第1周波数fn1における信号強度に応じた値が適用されてもよい。第1周波数fn1における信号強度に応じた値には、例えば、第1パワースペクトル401についての第1周波数fn1における信号強度を基準とした値が適用されてもよい。第1周波数fn1における信号強度を基準とした値としては、例えば、第1パワースペクトル401の第1周波数fn1における信号強度に所定の計算が行われることで算出される値などが挙げられる。所定の計算には、例えば、第1所定値(例えば、1.1など)を乗じる乗算、第2所定値(例えば、0.9など)で除する除算、または第1周波数fn1における信号強度に所定値(例えば、0.1)を乗じた値を加算もしくは減算する計算などが適用される。また、ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401についての第1周波数fn1を基準とした周波数に基づく値、もしくは第1パワースペクトル401についての第1周波数fn1を基準とした周波数の範囲における信号強度に基づく値が適用されてもよい。ここでは、ノイズ値Pn1には、例えば、第1パワースペクトル401における第1周波数fn1以上の周波数帯における任意の信号強度もしくは信号強度の統計値などが適用される。統計値には、例えば、平均値、最大値または中央値などの所定の統計値が適用される。このようにして、例えば、ノイズ値Pn1が容易に認識され得る。
第2算出部523は、例えば、第1算出部521によって算出された第1パワースペクトル401と、認識部522によって認識されたノイズ値Pn1と、に基づいて、流体802の流れの状態を示す流れ状態値を算出することができる。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分を考慮した、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。第2算出部523では、例えば、近似式の形態に変換した第1パワースペクトル401と、ノイズ値Pn1と、に基づいて、流れ状態値が算出されてもよい。
第1実施形態では、第2算出部523は、第1パワースペクトル401に対してノイズ値Pn1を用いた補正を行った後に、流れ状態値を算出する。具体的には、例えば、第2算出部523は、第1パワースペクトル401に対してノイズ値Pn1を用いた補正を行うことで、補正後のパワースペクトル(第2パワースペクトルともいう)402を求め、この第2パワースペクトル402に基づいて、流れ状態値を算出する。
ここでは、例えば、第2算出部523は、第1パワースペクトル401に対してノイズ値Pn1を用いた減算を含む計算を行うことで第2パワースペクトル402を算出することができる。この場合には、例えば、第1パワースペクトル401に対するノイズ成分の影響を低減するための補正が容易に実現され得る。ノイズ値Pn1を用いた減算を含む計算には、例えば、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度からノイズ値Pn1を減じる計算が適用される。このとき、例えば、ノイズ値Pn1に対して、所定の数値の乗算、加算、減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度から減じられてもよい。
また、ここでは、例えば、第2算出部523は、第1パワースペクトル401に対してノイズ値Pn1を用いた除算を含む計算を行うことで第2パワースペクトル402を算出してもよい。この場合にも、例えば、第1パワースペクトル401に対するノイズ成分の影響を低減するための補正が容易に実現され得る。ノイズ値Pn1を用いた除算を含む計算には、例えば、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度をノイズ値Pn1によって除する計算が適用される。このとき、例えば、ノイズ値Pn1に対して、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値によって、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度が除されてもよい。
図5(a)は、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度からノイズ値Pn1が減じられることで算出される第2パワースペクトル402の一例を示す図である。図5(b)は、第1パワースペクトル401の各周波数の信号強度をノイズ値Pn1によって除することで算出される第2パワースペクトル402の一例を示す図である。図5(a)および図5(b)のそれぞれの横軸は、周波数を示す。図5(a)および図5(b)のそれぞれの縦軸は、各周波数における信号強度を示す。図5(a)では、太い実線で描かれた曲線2Lが第2パワースペクトル402の一例を示す。図5(b)では、太い実線で描かれた曲線2Lが第2パワースペクトル402の他の一例を示す。ここでは、例えば、周波数をfnとし、周波数fnにおける信号強度をP2(fn)とすると、第2パワースペクトル402は、P2(fn)で示される。
また、第1実施形態では、第2算出部523は、例えば、第2パワースペクトル402に基づいて間接的な流れ状態値(第1流れ状態値)V1を算出する第1段階の計算と、第1流れ状態値V1から直接的な流れ状態値(第2流れ状態値)V2を算出する第2段階の計算と、を順に行うことができる。
第1段階の計算では、例えば、第2算出部523は、周波数fnで重み付けされた信号強度P2(fn)を所定の周波数範囲で積分することによって得られる積分値(第1積分値ともいう)を算出する。また、第2算出部523は、信号強度P2(fn)を所定の周波数範囲で積分することによって得られる積分値(第2積分値ともいう)を算出する。そして、第2算出部523は、第1積分値を第2積分値で除することで得られる値を第1流れ状態値として算出することができる。このようにして算出される第1流れ状態値V1は、下記の式(1)で表される。式(1)で表される第1流れ状態値V1は、受光部32が受光する干渉光L2に含まれる複数の散乱光のシフト量Δfの平均周波数を示す。第1流れ状態値V1は、流体802の状態に応じて変化し、流体802の流量および流速に応じた値となる。
V1=Σ{fn×P2(fn)}/ΣP2(fn) ・・・(3)
ここで、第1流れ状態値V1の算出方法は、上記の例に限られない。例えば、第2算出部523は、周波数fnで重み付けされた信号強度P2(fn)を所定の周波数範囲で積分することによって得られる第1積分値を第1流れ状態値V1として算出してもよい。また、例えば、第2算出部523は、第1積分値を第2積分値で除することで得られる値を再度第2積分値で除することで得られる値を第1流れ状態値V1として算出してもよい。また、例えば、第2算出部523は、第2積分値を第1流れ状態値V1として算出してもよい。
第2段階の計算では、例えば、第2算出部523は、第1流れ状態値V1と、関係データ532と、に基づいて、第2流れ状態値V2を算出することができる。関係データ532は、例えば、第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示すデータである。関係データ532は、例えば、記憶回路53に予め格納されている。関係データ532には、例えば、検量データ(検量線ともいう)が適用される。検量データは、例えば、第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す関数式を示すデータであってもよいし、第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示すテーブル(対応表)を示すデータであってもよい。記憶回路53に、第1流れ状態値V1と流体802の流量との関係を示す検量データが記憶されている場合には、第2算出部523は、流れ状態値V1と検量データとに基づいて、流体802の流量を算出することができる。記憶回路53に、第1流れ状態値V1と流体802の流速との関係を示す検量データが記憶されている場合には、第2算出部523は、流れ状態値V1と検量データとに基づいて、流体802の流速を算出することができる。
検量データが準備される場合には、例えば、測定装置1において第1事前準備処理が行われる。第1事前準備処理は、発光部31が発する光L1の強度および流体802の濃度などが一定の条件で行われる。第1事前準備処理では、流体802の第2流れ状態値V2(例えば、流量もしくは流速)を制御可能なポンプなどで既知の値に設定し、設定した第2流れ状態値V2で流路構成部801内を流れる流体802を対象として第1流れ状態値V1を算出する第1算出処理が実行される。第1事前準備処理では、第2流れ状態値V2が複数の設定値に順次に設定され、第2流れ状態値V2の設定値が変更される度に、第1算出処理が実行される。これにより、第1事前準備処理では、第2流れ状態値V2の設定値と、その設定値に第2流れ状態値V2が設定されているときに算出される第1流れ状態値V1と、の組み合わせが、複数組得られる。そして、第1事前準備処理の結果から得られる、第2流れ状態値V2の設定値と、その設定値に第2流れ状態値V2が設定されているときに算出された第1流れ状態値V1と、の関係に基づいて、検量データが得られる。第1事前準備処理の結果から検量データが生成される処理は、測定装置1で実行されてもよいし、測定装置1以外の他の装置で実行されてもよい。
検量データは、例えば、流体802の種類などによって異なる。検量データには、例えば、第2流れ状態値V2の設定値と、その設定値に第2流れ状態値V2が設定されているときに算出された第1流れ状態値V1と、の関係が、比例関係を示すデータが適用される。検量データは、例えば、第2流れ状態値V2の設定値と、その設定値に第2流れ状態値V2が設定されているときに算出された第1流れ状態値V1と、の関係が、二次以上の多項式などで表されるデータであってもよい。
<1-2.測定装置を用いた測定方法>
図6(a)および図6(b)は、測定装置1を用いた測定方法の流れの一例を示す流れ図である。この測定方法の流れは、例えば、演算回路5においてプログラム531が実行されることにより、演算回路5によって測定装置1の動作が制御されることで実現され得る。ここでは、例えば、コネクタ6に接続されている外部の装置もしくは機器から入力される電気信号に応答して、図6(a)で示される、ステップS1からステップS4の処理がこの記載の順に実行される。換言すれば、例えば、測定装置1を用いた測定方法は、ステップS1の処理を行う第1工程と、ステップS2の処理を行う第2工程と、ステップS3の処理を行う第3工程と、ステップS4の処理を行う第4工程と、を有する。また、ステップS2の処理を行う第2工程(第1計算工程ともいう)、ステップS3の処理を行う第3工程(認識工程ともいう)およびステップS4の処理を行う第4工程(第2計算工程ともいう)の実行は、演算回路5が備える、コンピュータの一種であるマイクロプロセッサが記憶回路53内のプログラム531を実行することによって実現され得る。換言すれば、プログラム531が、コンピュータに、第1計算工程と、認識工程と、第2計算工程と、を実行させることができる。
ステップS1においては、例えば、発光部31によって内部803で流体802が流れている被照射物800に光L1が照射されながら、受光部32によって被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2が受光されてこの干渉光L2の強度に応じた出力信号320が出力される。このとき、受光部32から出力される出力信号320は、処理回路4によって各種の処理が行われた後に演算回路5に出力される。処理回路4では、例えば、増幅回路41によって出力信号320が増幅される。また、処理回路4では、例えば、抽出回路42によって増幅回路41で増幅された出力信号からAC信号321が抽出される。このとき、処理回路4から演算回路5にAC信号321が出力される。また、演算回路5では、A/Dコンバータ51によって処理回路4から入力されたアナログ形式のAC信号321がデジタル形式のAC信号322に変換される。このとき、例えば、AC信号322が、演算回路5が備えるコンピュータの一種であるマイクロプロセッサに入力される。
ステップS2においては、例えば、第1算出部521によって、ステップS1において受光部32から出力された出力信号320に基づくAC信号322に基づいて、信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトル401が算出される。換言すれば、ここでは、第1算出部521によって、ステップS1において受光部32から出力された出力信号320に基づいて、第1パワースペクトル401が算出される。ここでは、例えば、第1パワースペクトル401は、AC信号322に対するフーリエ変換によって算出され得る。
ステップS3においては、例えば、認識部522によって、ステップS2において算出された第1パワースペクトル401に基づいて、この第1パワースペクトル401におけるノイズ成分の信号強度に係る値(ノイズ値)Pn1が認識される。ここでは、例えば、認識部522によって、ノイズ値Pn1は、第1パワースペクトル401における信号強度の最小値(最小信号強度)に応じて認識されてもよいし、第1パワースペクトル401における傾きが閾値に到達した周波数に応じて認識されてもよい。傾きは、第1パワースペクトル401における周波数の増加に対する信号強度の変化の割合を示す。
ステップS4においては、例えば、第2算出部523によって、ステップS2において算出された第1パワースペクトル401と、ステップS3において認識されたノイズ値Pn1と、に基づいて、流体802の流れの状態を示す流れ状態値が算出される。第1実施形態では、例えば、ステップS4において、図6(b)で示される、ステップS41およびステップS42の処理が、この記載の順に実行される。
ステップS41においては、例えば、第2算出部523によって、第1パワースペクトル401に対してノイズ値Pn1を用いた補正が行われることで、補正後のパワースペクトル(第2パワースペクトル)402が求められる。ここでは、第2パワースペクトル402は、例えば、第2算出部523によって、第1パワースペクトル401に対して、ノイズ値Pn1を用いた減算を含む計算、またはノイズ値Pn1を用いた除算を含む計算など、が行われることで算出され得る。
ステップS42においては、例えば、ステップS41で算出された第2パワースペクトル402に基づいて、流れ状態値が算出される。ここでは、第2パワースペクトル402に基づく流れ状態値の算出は、例えば、第2パワースペクトル402に基づいて第1流れ状態値V1を算出する第1段階の計算と、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2を算出する第2段階の計算と、を含む。
<1-3.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る測定装置1においては、例えば、発光部31によって内部803で流体802が流れている被照射物800に光L1が照射されながら、受光部32によって被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2が受光されてこの干渉光L2の強度に応じた出力信号320が出力される。そして、この出力信号320に基づいて算出される第1パワースペクトル401と、この第1パワースペクトル401に基づいて認識されるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値Pn1と、に基づいて、流体802の流れの状態を示す流れ状態値が算出される。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分を考慮した、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、第2算出部523は、例えば、第1パワースペクトル401に対するノイズ値Pn1を用いた補正によって第2パワースペクトル402を求めることなく、第1パワースペクトル401とノイズ値Pn1とに基づいて第2流れ状態値V2を算出する第2算出部523Aに置換されてもよい。
<<第1の算出方法>>
例えば、第2算出部523Aが、第1パワースペクトル401から予め設定されたルールで得られる信号強度に係る特定の値(特定信号強度ともいう)と、ノイズ値Pn1と、を用いた予め設定された所定の計算(第1所定計算ともいう)を行い、流れ状態値を算出する態様が考えられる。特定信号強度には、例えば、第1パワースペクトル401についてのノイズ値Pn1よりも大きな信号強度の値が適用される。換言すれば、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401から得られる特定信号強度と、ノイズ値Pn1と、の関係から、流れ状態値を算出することができてもよい。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分を考慮した、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
ここで、特定信号強度としては、例えば、第1パワースペクトル401から予め設定されたルールで得られる信号強度の統計的な値(統計値ともいう)などが採用される。この統計値には、例えば、第1パワースペクトル401についての信号強度の最大値、平均値または中央値などが適用される。換言すれば、予め設定されたルールには、例えば、第1パワースペクトル401についての信号強度の最大値、平均値または中央値などの特定の統計値を算出するルールが適用される。これにより、例えば、特定信号強度が容易に取得され得る。また、特定信号強度には、例えば、第1パワースペクトル401における信号強度の最大値、平均値または中央値などの少なくとも1つの統計値を基準とした他の信号強度の値が適用されてもよい。この場合には、例えば、第1パワースペクトル401における信号強度の統計値(例えば、最大値など)に、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が、特定信号強度として採用される態様が考えられる。ここでは、例えば、第1パワースペクトル401が近似式の形態に変換された後に、近似式の形態の第1パワースペクトル401から予め設定されたルールで特定信号強度が求められてもよい。
また、第1所定計算としては、例えば、特定信号強度に係る数値をノイズ値Pn1に係る数値で除する計算などが適用される。特定信号強度に係る数値には、例えば、特定信号強度そのものが適用されてもよいし、特定信号強度に対して、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が適用されてもよい。ノイズ値Pn1に係る数値には、例えば、ノイズ値Pn1そのものが適用されてもよいし、ノイズ値Pn1に対して、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が適用されてもよい。このように、例えば、第1所定計算が、特定信号強度に対するノイズ値Pn1を用いた除算を含む場合には、第1パワースペクトル401におけるノイズ成分の影響が容易に低減され、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
また、第2算出部523Aは、例えば、上述したような特定信号強度とノイズ値Pn1とを用いた第1所定計算を行うことで第1流れ状態値V1を算出する第1段階の計算と、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値を算出する第2段階の計算と、を順に行うことができる。第2段階の計算では、第2算出部523Aは、例えば、第1実施形態に係る第2算出部523と同様に、第1流れ状態値V1と、第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す関係データ532と、に基づいて、第2流れ状態値V2を算出することができる。
ここで、制御可能なポンプによって流体802の第2流れ状態値V2が複数の異なる設定値にそれぞれ設定された場合に、第2実施形態に係る測定装置1を用いて第1流れ状態値V1を算出した結果の具体例について説明する。ここでは、流路構成部801として、3mmの内径と4mmの外径とを有するペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)製のチューブを用いた。流体802として、擬似的な血液(10μmの直径を有する球状のポリマーを含有した水溶液)を用いた。第2流れ状態値V2の複数の異なる設定値として、100ミリリットル毎分(ml/min)、50ml/minおよび10ml/minの3つの異なる設定値を採用した。
図7は、流体802の第2流れ状態値V2が3つの異なる設定値にそれぞれ設定された場合に、第1算出部521によって算出された第1パワースペクトル401を示す図である。図7では、第2流れ状態値V2の設定値が100ml/minに設定された場合に、第1算出部521において受光部32から出力された出力信号320(具体的には、AC信号322)に基づいて算出された第1パワースペクトル401が太い実線の曲線11Lで示されている。また、第2流れ状態値V2の設定値が50ml/minに設定された場合に、第1算出部521において受光部32から出力された出力信号320(具体的には、AC信号322)に基づいて算出された第1パワースペクトル401が太い一点鎖線の曲線12Lで示されている。また、第2流れ状態値V2の設定値が10ml/minに設定された場合に、第1算出部521において受光部32から出力された出力信号320(具体的には、AC信号322)に基づいて算出された第1パワースペクトル401が太い破線の曲線13Lで示されている。図7には、3つの第1パワースペクトル401におけるノイズ成分を模式的に示す細い一点鎖線の曲線1Lnが付されている。ここでは、3つの第1パワースペクトル401について、認識部522によって最小信号強度をノイズ値Pn1として認識した。図7で示されるように、第2流れ状態値V2の設定値が変更されたとしても、ノイズ値Pn1がほとんど変わっていないことが確認された。
図8(a)は、図7で示された第1パワースペクトル401における信号強度の最大値を特定信号強度とし、特定信号強度をノイズ値Pn1で除した値を第1流れ状態値V1の算出値とした場合について、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を3つのプロットで示す図である。図8(a)においては、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を示す3つのプロットが、二点鎖線で示す直線に沿って位置している。この場合には、例えば、関係データ532として、図8(a)の二点鎖線で示す直線に沿った第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す検量データが準備されれば、第2算出部523Aにおける第2段階の計算によって、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2が精度良く算出され得るものと推定された。
図8(b)は、図7で示された第1パワースペクトル401における信号強度の平均値を特定信号強度とし、特定信号強度をノイズ値Pn1で除した値を第1流れ状態値V1の算出値とした場合について、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を3つのプロットで示す図である。図8(b)においても、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を示す3つのプロットが、二点鎖線で示す直線に沿って位置している。この場合にも、例えば、関係データ532として、図8(b)の二点鎖線で示す直線に沿った第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す検量データが準備されれば、第2算出部523Aにおける第2段階の計算によって、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2が精度良く算出され得るものと推定された。
<<第2の算出方法>>
また、例えば、第2算出部523Aが、第1パワースペクトル401の信号強度に係る積分値(特定積分値ともいう)と、ノイズ値Pn1と、を用いた予め設定された所定の計算(第2所定計算ともいう)を行い、流れ状態値を算出する態様が採用されてもよい。換言すれば、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401の信号強度に係る特定積分値と、ノイズ値Pn1と、の関係から、流れ状態値を算出することができてもよい。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分を考慮した、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
ここで、特定積分値(=Σ{P1(fn)})には、例えば、第1パワースペクトル401における信号強度を所定の積分のルールに従って積分することによって得られる積分値が適用される。所定の積分のルールとしては、例えば、第1パワースペクトル401における信号強度を全周波数範囲で積分を行うルール、および第1パワースペクトル401における信号強度を所定の周波数範囲で積分を行うルールなどが考えられる。所定の周波数範囲には、例えば、第1パワースペクトル401の信号強度が周波数の増加によってノイズ値Pn1に至るまでの周波数の範囲が適用され得る。
また、第2所定計算としては、例えば、特定積分値に係る数値をノイズ値Pn1に係る数値で除する計算などが適用される。特定積分値に係る数値には、例えば、特定積分値そのものが適用されてもよいし、特定積分値に対して、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が適用されてもよい。ノイズ値Pn1に係る数値には、例えば、ノイズ値Pn1そのものが適用されてもよいし、ノイズ値Pn1に対して、所定の数値の乗算、加算もしくは減算、または所定の数値のべき乗の計算などが行われた値が適用されてもよい。このようにして、例えば、第2所定計算が、特定積分値に対するノイズ値Pn1を用いた除算を含む場合には、第1パワースペクトル401におけるノイズ成分の影響が容易に低減され、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
図9(a)は、図7で示された第1パワースペクトル401における信号強度を全周波数範囲で積分することで得た積分値を特定積分値とし、特定積分値をノイズ値Pn1で除した値を第1流れ状態値V1の算出値とした場合について、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を3つのプロットで示す図である。図9(a)においては、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を示す3つのプロットが、二点鎖線で示す直線に沿って位置している。この場合には、例えば、関係データ532として、図9(a)の二点鎖線で示す直線に沿った第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す検量データが準備されれば、第2算出部523Aにおける第2段階の計算によって、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2が精度良く算出され得るものと推定された。
<<第3の算出方法>>
第2実施形態では、例えば、第2算出部523Aが、第1パワースペクトル401の信号強度がノイズ値Pn1に至るまでの周波数の増加に対する信号強度の減少の割合(特定の傾きともいう)を算出して、流れ状態値を算出する態様が採用されてもよい。換言すれば、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401における特定の傾きから、流れ状態値を算出することができてもよい。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分を考慮した、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
ここで、例えば、図4で示されるように、第1パワースペクトル401について、周波数の最小値(最小周波数ともいう)をfn0とし、最小周波数fn0における信号強度をP0とし、周波数の増加によって信号強度が減少してノイズ値Pn1となる周波数(第2周波数ともいう)をfn1Aとする。この場合には、例えば、特定の傾きには、例えば、図4において二点鎖線Ln1で示される線分の傾きの絶対値が適用される。より具体的には、特定の傾きには、例えば、第2周波数fn1Aにおける信号強度(ノイズ値)Pn1から最小周波数fn0における信号強度P0を減じた値を、第2周波数fn1Aから最小周波数fn0を減じた値によって除して、絶対値とした値(=|(Pn1-P0)/(fn1A-f0)|)が適用される。第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401を、最小二乗法などを用いて近似式の形態に変換した後に、この近似式の形態の第1パワースペクトル401から特定の傾きを算出してもよい。最小周波数fn0における信号強度P0は、例えば、第1パワースペクトル401における最小周波数およびその近傍の周波数における信号強度の平均値であってもよい。また、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401について、最小周波数fn0における信号強度P0および最小周波数fn0の代わりに、信号強度の最大値(最大信号強度ともいう)およびこの最大信号強度を示す周波数(第3周波数ともいう)を用いて、特定の傾きを算出してもよい。最大信号強度は、例えば、第1パワースペクトル401における第3周波数およびその近傍の周波数における信号強度の平均値などであってもよい。
図9(b)は、図7で示された第1パワースペクトル401についての特定の傾きを第1流れ状態値V1の算出値とした場合について、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を3つのプロットで示す図である。ここでは、ノイズ値Pn1として、第1パワースペクトル401における最小信号強度を採用した。第2周波数fn1Aとして、第1パワースペクトル401における最小信号強度を示す周波数を採用した。特定の傾きとしては、第1パワースペクトル401について、ノイズ値Pn1から最小信号強度P0を減じた値を、第2周波数fn1Aから最小周波数fn0を減じた値によって除して、絶対値とした値(=|(Pn1-P0)/(fn1A-f0)|)を採用した。図9(b)においては、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を示す3つのプロットが、二点鎖線で示す直線に沿って位置している。この場合には、例えば、関係データ532として、図9(b)の二点鎖線で示す直線に沿った第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す検量データが準備されれば、第2算出部523Aにおける第2段階の計算によって、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2が精度良く算出され得るものと推定された。
<2-2.第3実施形態>
上記第2実施形態において、例えば、第2算出部523Aは、第1パワースペクトル401のうちの、周波数の増加に応じて信号強度がノイズ値Pn1に至る周波数に応じた上限で規定される周波数の範囲(使用周波数範囲ともいう)R0における部分的なパワースペクトルに基づいて、流れ状態値を算出してもよい。換言すれば、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401のうち、信号強度に占めるノイズ成分の影響が大きな周波数の範囲を除く、部分的なパワースペクトルに基づいて、流れ状態値を算出してもよい。これにより、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分の影響が低減された、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
ここで、第1パワースペクトル401において、周波数の増加に応じて信号強度がノイズ値Pn1に至る周波数には、図4で示されるように、周波数の増加によって信号強度が減少してノイズ値Pn1に至る周波数(第2周波数)fn1Aが適用される。使用周波数範囲R0の上限は、例えば、第2周波数fn1Aであってもよいし、第2周波数fn1Aに基づく周波数であってもよい。換言すれば、使用周波数範囲R0の上限は、第2周波数fn1Aに応じた周波数で規定され得る。使用周波数範囲R0の上限は、例えば、第2周波数fn1Aよりも小さな周波数とされてもよいし、第2周波数fn1Aよりも大きな周波数とされてもよい。例えば、使用周波数範囲R0の上限が、第2周波数fn1Aを基準として所定のルールで設定されてもよい。所定のルールとしては、例えば、第1パワースペクトル401において信号強度の値が存在している周波数のうちの、第2周波数fn1Aよりもm個(mは自然数)小さな周波数あるいはm個(mは自然数)小さな周波数を、使用周波数範囲R0の上限とするルールなどが考えられる。また、使用周波数範囲R0の下限は、例えば、最小周波数fn0であってもよいし、信号強度の最大値(最大信号強度)を示す周波数(第3周波数)などの他の特定の周波数であってもよい。このため、使用周波数範囲R0は、例えば、第1パワースペクトル401とノイズ値Pn1とに基づいて求められ得る。
また、部分的なパワースペクトルには、例えば、図4で示されるように、第1パワースペクトル401のうちの、使用周波数範囲R0におけるパワースペクトルが適用される。
ここで、部分的なパワースペクトルに基づいて流れ状態値を算出する方法には、例えば、上記第1実施形態における第2パワースペクトル402から流れ状態値を算出する方法と同様な方法が適用され得る。
図10は、図7で示された第1パワースペクトル401における信号強度を最小周波数fn0から第2周波数fn1Aまでの使用周波数範囲R0で積分することで得た積分値を第1流れ状態値V1の算出値とした場合について、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を3つのプロットで示す図である。ここでは、ノイズ値Pn1として、第1パワースペクトル401における最小信号強度を採用した。第2周波数fn1Aとして、第1パワースペクトル401における最小信号強度を示す周波数を採用した。図10においては、第2流れ状態値V2の設定値と第1流れ状態値V1の算出値との関係を示す3つのプロットが、二点鎖線で示す直線に沿って位置している。この場合には、例えば、関係データ532として、図10の二点鎖線で示す直線に沿った第1流れ状態値V1と第2流れ状態値V2との関係を示す検量データが準備されれば、第2算出部523における第2段階の計算によって、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2が精度良く算出され得るものと推定された。
なお、第1実施形態において、例えば、第2算出部523Aが、第1パワースペクトル401のうちの、周波数の増加に応じて信号強度がノイズ値Pn1に至る周波数に応じた上限で規定される周波数の範囲における部分的なパワースペクトルを、第2パワースペクトル402としてもよい。
<2-3.第4実施形態>
上記第3実施形態において、例えば、測定装置1の校正が行われる際に使用周波数範囲R0が設定されてもよい。測定装置1の校正は、例えば、流体802の種類が変更される際に行われる。そして、測定装置1では、流体802の流れ状態値の測定が行われる際に、第1パワースペクトル401のうちの校正の際に設定された使用周波数範囲R0における部分的なパワースペクトルに基づいて、流れ状態値が算出されてもよい。この場合にも、例えば、第1パワースペクトル401に含まれるノイズ成分の影響が低減された、流れ状態値が算出され得る。その結果、例えば、測定装置1において、流れ状態値の測定精度が向上し得る。
図11(a)および図11(b)は、CPU52がプログラム531を実行することによって演算回路5で実現される複数の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図11(a)には、演算回路5で実現される測定装置1の校正に係る複数の機能的な構成の一例が示されている。図11(a)で示されるように、演算回路5は、機能ブロックとして、例えば、第1算出部521、認識部522および設定部524Cを有する。第1算出部521、認識部522および設定部524Cは、例えば、CPU52において実現される。図11(b)には、流体802の流れ状態値の測定に係る複数の機能的な構成の一例が示されている。図11(b)で示されるように、演算回路5は、機能ブロックとして、例えば、第1算出部521および第2算出部523Cを有する。第1算出部521および第2算出部523Cは、例えば、CPU52において実現される。
図12(a)は、測定装置1の校正方法の流れの一例を示す流れ図である。この校正方法の流れは、例えば、演算回路5においてプログラム531が実行されることにより、演算回路5によって測定装置1の動作が制御されることで実現され得る。図12(b)は、測定装置1を用いた測定方法の流れの一例を示す流れ図である。この測定方法の流れは、例えば、演算回路5においてプログラム531が実行されることにより、演算回路5によって測定装置1の動作が制御されることで実現され得る。
測定装置1の校正が行われる際には、例えば、流路構成部801の内部に流体802が流されている状態で、コネクタ6に接続されている外部の装置もしくは機器から入力される電気信号に応答して、図12(a)で示される、ステップSs1からステップSs4の処理がこの記載の順に実行される。換言すれば、例えば、測定装置1の校正方法は、ステップSs1の処理を行う第5工程と、ステップSs2の処理を行う第6工程と、ステップSs3の処理を行う第7工程と、ステップSs4の処理を行う第8工程と、を有する。
ステップSs1においては、例えば、発光部31によって内部803で流体802が流れている被照射物800に光L1が照射されながら、受光部32によって被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2が受光されてこの干渉光L2の強度に応じた出力信号320が出力される。このとき、受光部32から出力される出力信号320は、処理回路4によって各種の処理が行われた後に、演算回路5に出力される。処理回路4では、例えば、増幅回路41によって出力信号320が増幅され、増幅回路41で増幅された出力信号からAC信号321が抽出回路42によって抽出され、処理回路4から演算回路5にAC信号321が出力される。また、演算回路5では、A/Dコンバータ51によって、処理回路4から入力されたアナログ形式のAC信号321が、デジタル形式のAC信号322に変換される。
ステップSs2においては、例えば、第1算出部521によって、ステップSs1において受光部32から出力された出力信号320に基づくAC信号322に基づいて、信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示すパワースペクトル(第3パワースペクトルともいう)403が算出される。換言すれば、第1算出部521によって、ステップSs1において受光部32から出力された出力信号320に基づいて、第3パワースペクトル403が算出される。ここでは、例えば、第3パワースペクトル403は、AC信号322に対しするフーリエ変換によって算出され得る。
ステップSs3においては、例えば、認識部522Cによって、ステップSs2において算出された第3パワースペクトル403に基づいて、この第3パワースペクトル403におけるノイズ成分の信号強度に係る値(ノイズ値)Pn1が認識される。ここでは、例えば、上記各実施形態において第1パワースペクトル401に基づいてノイズ値Pn1が認識される方法と同様な方法によって、第3パワースペクトル403に基づいてノイズ値Pn1が認識され得る。
ステップSs4においては、例えば、設定部524Cによって、ステップSs2において算出された第3パワースペクトル403と、ステップSs3において認識されたノイズ値Pn1と、に基づいて、使用周波数範囲R0が設定される。より具体的には、設定部524Cによって、ステップSs2において算出された第3パワースペクトル403において周波数の増加に応じて信号強度がノイズ値Pn1に至る周波数に応じて、被照射物800の内部803で流れる流体802の流れ状態値の算出に用いる使用周波数範囲R0の上限が設定される。ここでは、例えば、上記第3実施形態において第1パワースペクトル401とノイズ値Pn1とに基づいて使用周波数範囲R0の上限が設定される方法と同様な方法で、第3パワースペクトル403とノイズ値Pn1とに基づいて使用周波数範囲R0の上限が設定され得る。使用周波数範囲R0の下限は、例えば、最小周波数fn0であってもよいし、信号強度の最大値(最大信号強度)を示す周波数(第3周波数)などの他の特定の周波数であってもよい。
また、測定装置1を用いて流体802の流れ状態値の測定が行われる際には、例えば、流路構成部801の内部に流体802が流されている状態で、コネクタ6に接続されている外部の装置もしくは機器から入力される電気信号に応答して、図12(b)で示される、ステップSs5からステップSs7の処理がこの記載の順に実行される。換言すれば、例えば、測定装置1を用いた測定方法は、ステップSs5の処理を行う第9工程と、ステップSs6の処理を行う第10工程と、ステップSs7の処理を行う第11工程と、を有する。
ステップSs5においては、例えば、発光部31によって内部803で流体802が流れている被照射物800に光L1が照射されながら、受光部32によって被照射物800で散乱した光を含む干渉光L2が受光されてこの干渉光L2の強度に応じた出力信号320が出力される。このとき、受光部32から出力される出力信号320は、処理回路4によって各種の処理が行われた後に、演算回路5に出力される。処理回路4では、例えば、増幅回路41によって出力信号320が増幅され、増幅回路41で増幅された出力信号からAC信号321が抽出回路42によって抽出され、処理回路4から演算回路5にAC信号321が出力される。また、演算回路5では、A/Dコンバータ51によって、処理回路4から入力されたアナログ形式のAC信号321が、デジタル形式のAC信号322に変換される。
ステップSs6においては、例えば、第1算出部521によって、ステップSs5において受光部32から出力された出力信号320に基づくAC信号322に基づいて、信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトル401が算出される。換言すれば、第1算出部521によって、ステップSs5において受光部32から出力された出力信号320に基づいて、第1パワースペクトル401が算出される。ここでは、例えば、第1パワースペクトル401は、AC信号322に対しするフーリエ変換によって算出され得る。
ステップSs7においては、例えば、第2算出部523Cによって、ステップSs6において算出された第1パワースペクトル401のうちの、上記のステップSs4で設定された使用周波数範囲R0における部分的なパワースペクトルに基づいて、流れ状態値が算出される。ここでは、例えば、第1パワースペクトル401のうちの使用周波数範囲R0における部分的なパワースペクトルに基づいて第1流れ状態値V1を算出する第1段階の計算と、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2を算出する第2段階の計算と、が順に行われる。
以上のように、第4実施形態では、例えば、測定装置1の校正を行う際に使用周波数範囲R0が設定されれば、測定装置1を用いて流体802の流れ状態値を測定する際における計算量が低減され得る。このため、例えば、測定装置1を用いて流体802の流れ状態値を複数回あるいは繰り返し測定するような場合には、測定装置1における流体802の流れ状態値を算出するための演算量が低減され得る、
<2-4.第5実施形態>
上記各実施形態において、測定装置1は、例えば、図13で示されるように、入力部40を有していてもよいし、出力部50を有していてもよい。
入力部40は、例えば、コネクタ6を介して演算回路5に接続される。入力部40は、例えば、ユーザの動作に応答して、測定装置1による流れ測定に関する種々の条件(測定条件ともいう)に係る情報を演算回路5に入力することができる。測定条件は、例えば、演算回路5で算出される第1パワースペクトル401における周波数の範囲、発光部31が発する光L1の光量もしくは強度、受光部32が信号を出力する周期、A/Dコンバータ51におけるサンプリングレートおよび検量データなどを含み得る。入力部40には、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルまたはスイッチなどの操作部あるいは音声による入力が可能なマイク部などが適用される。これにより、例えば、ユーザは、所望の測定条件を容易に設定することができる。その結果、例えば、測定装置1の利便性が向上し得る。また、入力部40は、例えば、流体802における粘度、濃度または散乱体の大きさなど、流体802に関する種々の情報を入力することができてもよい。
出力部50は、例えば、コネクタ6を介して演算回路5に接続される。出力部50は、例えば、種々の情報を可視的に出力する表示部を含んでいてもよいし、種々の情報を可聴的に出力するスピーカ部を含んでいてもよい。表示部には、例えば、液晶ディスプレイまたはタッチパネルなどが適用される。入力部40がタッチパネルを含む場合には、入力部40と出力部50の表示部とが1つのタッチパネルで実現され得る。この場合には、例えば、測定装置1の構成部材が減り、測定装置1の小型化および製造の容易化が図られ得る。ここで、例えば、出力部50が、演算回路5によって算出された流れ状態値を可視的に出力することが可能であれば、ユーザは、流体802に係る流れ状態値を容易に認識することができる。ここで、例えば、ユーザが、入力部40を介して出力部50における種々の情報の出力態様を変更させることが可能であってもよい。出力態様の変更には、例えば、表示形式の変更または表示される情報の切り替えなどが含まれ得る。これにより、例えば、ユーザは、流れ状態値の測定に関する種々の情報を容易に認識することができる。その結果、例えば、測定装置1の利便性が向上し得る。
<2-5.第6実施形態>
上記各実施形態において、測定装置1は、例えば、図14で示されるように、外部制御部60をさらに有していてもよい。外部制御部60は、例えば、マイクロコンピュータ(マイコン)などのコンピュータを含み得る。
外部制御部60は、例えば、測定条件に係る情報を保持しており、この測定条件に係る情報を演算回路5に入力可能であってもよい。これにより、例えば、演算回路5において処理する項目が少なくなり、演算回路5における処理速度を向上させることができる。ここで、測定条件には、例えば、演算回路5で算出される第1パワースペクトル401における周波数の範囲、発光部31が発する光L1の光量もしくは強度、受光部32が信号を出力する周期、A/Dコンバータ51におけるサンプリングレートおよび検量データなどが適用される。
また、外部制御部60は、例えば、入力部40および出力部50の制御を行うことが可能であってもよい。この場合には、例えば、演算回路5が制御する種々の機能を有する部分(機能部ともいう)の数が少なくなり、演算回路5の処理速度が向上し得る。また、外部制御部60は、例えば、複数の電子部品によって構成された種々の他の機能部を有していてもよい。種々の他の機能部には、例えば、圧力計または温度計などが適用される。これにより、例えば、測定装置1における設計の自由度が向上し、測定装置1の利便性が向上し得る。
外部制御部60と、演算回路5、入力部40および出力部50と、の間における通信は、有線および無線の何れの方式で実現されてもよい。演算回路5と外部制御部60との間における通信は、例えば、任意の通信規格に準じた通信が適用される。任意の通信規格は、例えば、IIC(Inter Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)またはUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)などを含む。
ここで、例えば、センサ3および処理回路4と外部制御部60とが、直接的に通信可能であってもよい。この場合には、例えば、測定装置1が、演算回路5を有することなく、外部制御部60が演算回路5の機能を有していてもよい。ここでは、例えば、センサ3と外部制御部60とが、直接通信を行うことで、処理回路4および演算回路5と外部制御部60との間で生じる信号の遅延が解消され得る。これにより、例えば、測定装置1の処理速度が向上し得る。その結果、例えば、測定装置1の利便性が向上し得る。
<2-6.第7実施形態>
上記各実施形態において、例えば、測定装置1を構成する全ての部分または少なくとも2つ以上の部分が、相互に通信可能に接続された、測定システム100が採用されてもよい。図15は、第7実施形態に係る測定システム100の構成の一例を示す概略図である。図15で示されるように、測定システム100は、例えば、発光部31と、受光部32と、処理回路4と、第1算出部521、認識部522および第2算出部523,523A,523Cなどの機能を実現するCPU52を含む演算回路5と、を備えている。図15の例では、例えば、発光部31と受光部32との間、発光部31と演算回路5との間、受光部32と処理回路4との間、および処理回路4と演算回路5との間のそれぞれが通信可能に接続されている状態にある。
<3.その他>
上記各実施形態において、例えば、第2算出部523,523A,523Cは、例えば、第1流れ状態値V1から第2流れ状態値V2を算出しなくてもよい。この場合には、例えば、ユーザは、第1流れ状態値V1の変化に基づいて、流体802の流れの状態の変化を把握してもよい。
上記各実施形態において、例えば、処理回路4において、出力信号320からAC信号を抽出するAC信号抽出処理が行われなくてもよい。この場合にも、第1算出部521は、出力信号320に基づいて、第1パワースペクトル401および第3パワースペクトル403を算出することができる。
上記第3実施形態において、認識部522は、例えば、ノイズ値Pn1を認識することなく、第1パワースペクトル401における周波数の増加に対する信号強度の変化の割合を示す傾きが閾値に到達した周波数に応じて、ノイズ値Pn1に至る第2周波数fn1Aを認識してもよい。この場合には、第2算出部523Aは、例えば、第1パワースペクトル401のうちの、第2周波数fn1Aに応じた上限で規定される周波数の範囲における部分的なパワースペクトルに基づいて、流れ状態値を算出してもよい。
上記第4実施形態において、ステップSs3の第7工程では、例えば、認識部522によって、ノイズ値Pn1が認識されることなく、第3パワースペクトル403における周波数の増加に対する信号強度の変化の割合を示す傾きが閾値に到達した周波数に応じて、第3パワースペクトル403において周波数の増加に応じて信号強度がノイズ値Pn1に至る第2周波数fn1Aが認識されてもよい。この場合には、例えば、ステップSs4の第8工程においては、例えば、設定部524Cによって、ステップSs3で認識された第2周波数fn1Aに応じて、被照射物800の内部803で流れる流体802の流れ状態値の算出に用いる使用周波数範囲R0の上限が設定されてもよい。
上記各実施形態において、演算回路5で実現される機能の少なくとも一部の機能は、例えば、専用の電子回路などのハードウェアで構成されてもよい。
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 測定装置
100 測定システム
31 発光部
32 受光部
320 出力信号
321,322 交流信号(AC信号)
401 第1パワースペクトル
402 第2パワースペクトル
403 第3パワースペクトル
5 演算回路
521 第1算出部
522 認識部
523,523A,523C 第2算出部
524C 設定部
52 CPU
53 記憶回路
531 プログラム
800 被照射物
801 流路構成部
802 流体
803 内部
L1 光
L2 干渉光
R0 使用周波数範囲
V1 第1流れ状態値
V2 第2流れ状態値
Pn1 ノイズ値

Claims (16)

  1. 内部で流体が流れる被照射物に光を照射する発光部と、
    前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する受光部と、
    前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する第1算出部と、
    前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する認識部と、
    前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する第2算出部と、を備えている、測定装置。
  2. 請求項1に記載の測定装置であって、
    前記認識部は、前記第1パワースペクトルにおける信号強度の最小値に応じて前記ノイズ値を認識する、測定装置。
  3. 請求項1に記載の測定装置であって、
    前記認識部は、前記第1パワースペクトルにおける周波数の増加に対する信号強度の変化の割合を示す傾きが閾値に到達した周波数に応じて前記ノイズ値を認識する、測定装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルに対して前記ノイズ値を用いた補正を行うことで第2パワースペクトルを求めるとともに、該第2パワースペクトルに基づいて前記流れ状態値を算出する、測定装置。
  5. 請求項4に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルに対して前記ノイズ値を用いた減算を含む計算を行うことで前記第2パワースペクトルを算出する、測定装置。
  6. 請求項4に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルに対して前記ノイズ値を用いた除算を含む計算を行うことで前記第2パワースペクトルを算出する、測定装置。
  7. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルから予め設定されたルールで得られ且つ前記ノイズ値よりも大きな信号強度に係る特定信号強度と、前記ノイズ値と、を用いた所定の計算を行い、前記流れ状態値を算出する、測定装置。
  8. 請求項7に記載の測定装置であって、
    前記特定信号強度は、前記第1パワースペクトルから予め設定されたルールで得られる信号強度の統計的な値を含む、測定装置。
  9. 請求項8に記載の測定装置であって、
    前記統計的な値は、前記第1パワースペクトルについての信号強度の最大値、平均値または中央値を含む、測定装置。
  10. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルの信号強度に係る積分値と、前記ノイズ値と、を用いた所定の計算を行い、前記流れ状態値を算出する、測定装置。
  11. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルの前記ノイズ値に至るまでの周波数の増加に対する信号強度の減少の割合を算出して、前記流れ状態値を算出する、測定装置。
  12. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の測定装置であって、
    前記第2算出部は、前記第1パワースペクトルのうちの、周波数の増加に応じて信号強度が前記ノイズ値に至る周波数に応じた上限で規定される周波数の範囲における部分的なパワースペクトルに基づいて、前記流れ状態値を算出する、測定装置。
  13. 内部で流体が流れる被照射物に光を照射する発光部と、
    前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する受光部と、
    前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する第1算出部と、
    前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する認識部と、
    前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する第2算出部と、を備えている、測定システム。
  14. 発光部によって内部で流体が流れている被照射物に光を照射しながら、受光部によって前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する第1工程と、
    第1算出部によって、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する第2工程と、
    認識部によって、前記第1パワースペクトルに基づいて、該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する第3工程と、
    前記第2算出部によって、前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する第4工程と、を有する、測定方法。
  15. 内部で流体が流れている被照射物に発光部が光を照射する場合に、前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光する受光部によって出力される前記干渉光の強度に応じた出力信号に基づく信号が入力されるコンピュータに、
    前記信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第1パワースペクトルを算出する第1計算工程と、
    前記第1パワースペクトルに基づいて該第1パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する認識工程と、
    前記第1パワースペクトルと前記ノイズ値とに基づいて、前記流体の流れの状態を示す流れ状態値を算出する第2計算工程と、を実行させるためのプログラム。
  16. 発光部によって内部で流体が流れている被照射物に光を照射しながら、受光部によって前記被照射物で散乱した光を含む干渉光を受光して該干渉光の強度に応じた出力信号を出力する第5工程と、
    第1算出部によって、前記出力信号に基づいて信号強度の時間変化についての周波数と信号強度との関係を示す第3パワースペクトルを算出する第6工程と、
    認識部によって、前記第3パワースペクトルに基づいて該第3パワースペクトルにおけるノイズ成分の信号強度に係るノイズ値を認識する第7工程と、
    設定部によって、前記第3パワースペクトルにおいて周波数の増加に応じて信号強度が前記ノイズ値に至る周波数に応じて、前記被照射物の内部で流れる流体の流れの状態を示す流れ状態値の算出に用いる使用周波数範囲の上限を設定する第8工程と、を有する測定装置の校正方法。
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