1. 概要
TGF-βスーパーファミリーは、TGF-β、アクチビン、ノーダル、骨形成タンパク質(BMP)、増殖および分化因子(GDF)および抗ミュラー管ホルモン(AMH)をはじめとする30種類を超える分泌型因子を含む(Weiss et al. (2013) Developmental Biology, 2(1): 47-63)。脊椎動物および無脊椎動物の両方で見出されるこのスーパーファミリーのメンバーは、広範な組織で遍在的に発現され、動物の一生を通して発生の最も早い段階で機能する。実際に、TGF-βスーパーファミリータンパク質は、幹細胞自己再生、原腸形成、分化、臓器形態形成、および成体組織ホメオスタシスの重要な仲介因子である。この偏在的な活性と合致して、異常なTGF-βスーパーファミリーシグナル伝達は、広範囲のヒト病理と関連付けられる。
TGF-βスーパーファミリーのリガンドは、一方の単量体の中央部の3-1/2巻きのヘリックスが、他方の単量体のβ鎖により形成される凹状表面に詰め込まれる、同じ二量体構造を共有する。TGF-βファミリーメンバーの大多数は、分子間ジスルフィド結合によりさらに安定化される。このジスルフィド結合は、2箇所の別のジスルフィド結合により形成される環を通じて横断し、「システインノット」モチーフと名付けられたものを生成する(Lin et al. (2006) Reproduction 132: 179-190;およびHinck et al. (2012) FEBS Letters 586: 1860-1870)。
TGF-βスーパーファミリーシグナル伝達は、I型およびII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体により媒介され、これらはリガンド刺激に際して下流のSMADタンパク質(例えば、SMADタンパク質1、2、3、5、および8)をリン酸化し、これを活性化する[Massague (2000) Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1:169-178]。これらのI型およびII型受容体は、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。一般的には、I型受容体が細胞内シグナル伝達を媒介し、II型受容体がTGF-βスーパーファミリーリガンドの結合に必要とされる。I型およびII型受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、それにより、II型受容体によるI型受容体のリン酸化が生じる。
TGF-βファミリーは、それらが結合するI型受容体およびそれらが活性化するSmadタンパク質に基づいて、2種類の系統発生枝へと分けることができる。一方は、比較的最近進化した枝であり、例えば、TGF-β、アクチビン、GDF8、GDF9、GDF11、BMP3およびノーダルを含み、I型受容体を介してシグナル伝達して、Smad2およびSmad3を活性化する(Hinck (2012) FEBS Letters 586:1860-1870)。他方の枝は、スーパーファミリーのうちの比較的遠い関連性のタンパク質を含み、例えば、BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF1、GDF5、GDF6、およびGDF7が挙げられ、Smad1、Smad5、およびSmad8を介してシグナル伝達する。
アクチビンは、TGF-βスーパーファミリーのメンバーであり、当初は卵胞刺激ホルモンの分泌の調節因子として発見されたが、その後に、種々の生殖系および非生殖系の役割が特性決定されている。3種類の基本的なアクチビン型があり(A、B、およびAB)、これらは2種類の近接した関連性のβサブユニット(それぞれ、βAβA、βBβB、およびβAβB)のホモ/ヘテロ二量体である。ヒトゲノムには、アクチビンCおよびアクチビンEもまたコードされ、これらは、主に肝臓で発現され、βCまたはβEを含有するヘテロ二量体型もまた公知である。TGF-βスーパーファミリーの中では、アクチビンは特有かつ多機能な因子であり、卵巣および胎盤細胞でのホルモン産生を刺激し、神経細胞生存を補助し、細胞タイプに応じて細胞周期進行に正または負に影響を及ぼし、かつ少なくとも両生類胚での中胚葉分化を誘導することができる(DePaolo et al. (1991) Proc Soc Ep Biol Med. 198:500-512;Dyson et al. (1997) Curr Biol. 7:81-84;およびWoodruff (1998) Biochem Pharmacol. 55:953-963)。数種類の組織では、アクチビンシグナル伝達は、その関連するヘテロ二量体であるインヒビン(inhibin)によりアンタゴナイズされる。例えば、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌の調節では、アクチビンはFSH合成および分泌を促進するが、インヒビンは、FSH合成および分泌を減少させる。アクチビン生体活性を調節し、かつ/またはアクチビンに結合する他のタンパク質としては、フォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP、FLRGまたはFSTL3としても知られる)、およびα2-マクログロブリンが挙げられる。
本明細書中に記載される場合、「アクチビンA」に結合する薬剤としては、単離型βAサブユニットの文脈で、または二量体複合体(例えば、βAβAホモ二量体またはβAβBヘテロ二量体)としてのいずれかにかかわらず、βAサブユニットに特異的に結合する薬剤である。ヘテロ二量体複合体(例えば、βAβBヘテロ二量体)の場合、「アクチビンA」に結合する薬剤は、βAサブユニット内に存在するエピトープに特異的であるが、複合体の非βAサブユニット(例えば、複合体のβBサブユニット)内に存在するエピトープには結合しない。同様に、「アクチビンA」をアンタゴナイズ(阻害)する、本明細書中に開示される薬剤は、単離型βAサブユニットの文脈で、または二量体複合体(例えば、βAβAホモ二量体またはβAβBヘテロ二量体)としてのいずれかにかかわらず、βAサブユニットにより媒介される1種以上の活性を阻害する薬剤である。βAβBヘテロ二量体の場合には、「アクチビンA」を阻害する薬剤は、βAサブユニットの1種以上の活性を特異的に阻害するが、複合体の非βAサブユニット(例えば、複合体のβBサブユニット)の活性を阻害しない薬剤である。この原則はまた、「アクチビンB」、「アクチビンC」、および「アクチビンE」に結合しかつ/またはこれを阻害する薬剤にも適用される。「アクチビンAB」をアンタゴナイズする、本明細書中に開示される薬剤は、βAサブユニットにより媒介される1種以上の活性およびβBサブユニットにより媒介される1種以上の活性を阻害する薬剤である。
BMPおよびGDFは、一緒に、TGF-βスーパーファミリーの特徴的な折り畳みを共有するシステインノットサイトカインのファミリーを形成する(Rider et al. (2010) Biochem J.、429(1):1-12)。このファミリーとしては、例えば、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP2a、BMP3、BMP3b(GDF10としても知られる)、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、BMP8a、BMP8b、BMP9(GDF2としても知られる)、BMP10、BMP11(GDF11としても知られる)、BMP12(GDF7としても知られる)、BMP13(GDF6としても知られる)、BMP14(GDF5としても知られる)、BMP15、GDF1、GDF3(VGR2としても知られる)、GDF8(ミオスタチンとしても知られる)、GDF9、GDF15、およびデカペンタプレジック(decapentaplegic)が挙げられる。BMPにその名を与えた骨形成を誘導する能力とは別に、BMP/GDFは、広範囲の組織の発生での形態形成活性を示す。BMP/GDFホモおよびヘテロ二量体は、I型およびII型受容体二量体の組み合わせと相互作用して、複数の考えられるシグナル伝達複合体を生成し、これが、SMAD転写因子の2種類の競合セットのうちの1種類の活性化をもたらす。BMP/GDFは、非常に特異的かつ局所的機能を有する。これらは、BMP/GDF発現の発生上の制限およびサイトカインに対して高親和性を有して結合する数種類の特異的BMPアンタゴニストタンパク質の分泌を介するものをはじめとする、複数の様式で調節される。奇妙なことに、これらのアンタゴニストのうちの複数が、TGF-βスーパーファミリーリガンドも類似する。
増殖および分化因子-8(GDF8)はまた、ミオスタチンとしても知られる。GDF8は、骨格筋量の負の調節因子であり、かつ発達中および成体骨格筋で高度に発現される。トランスジェニックマウスでのGDF8ヌル突然変異は、骨格筋の著明な肥大および過形成により特徴付けられる[McPherron et al. Nature (1997) 387:83-90]。同様の骨格筋量の増加が、ウシでの、およびとりわけヒトでの、GDF8の天然に存在する突然変異で明らかである(Ashmore et al. (1974) Growth, 38:501-507;Swatland and Kieffer, J. Anim. Sci. (1994) 38:752-757;McPherron and Lee, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997) 94:12457-12461;Kambadur et al. Genome Res. (1997) 7:910-915;およびSchuelke et al. (2004) N Engl J Med, 350:2682-8)。ヒトでのHIV感染に関連する筋肉の萎縮がGDF8タンパク質発現での増加を伴うこともまた、研究により示されている(Gonzalez-Cadavid et al., PNAS (1998) 95:14938-43)。加えて、GDF8は、筋肉特異的酵素(例えば、クレアチンキナーゼ)の産生を変化させ、かつ筋芽細胞増殖を変化させることができる[国際公開第00/43781号]。GDF8プロペプチドは、プロセシングされたGDF8ドメイン二量体に非共有的に結合して、その生物学的活性を不活性化することができる[Miyazono et al. (1988) J. Biol. Chem., 263: 6407-6415;Wakefield et al. (1988) J. Biol. Chem., 263:7646-7654;およびBrown et al. (1990) Growth Factors, 3: 35-43]。GDF8および構造的に関連するタンパク質に結合し、かつそれらの生物学的活性を阻害する他のタンパク質としては、フォリスタチン、および潜在的にフォリスタチン関連タンパク質が挙げられる[Gamer et al. (19
99) Dev. Biol., 208: 222-232]。
BMP11としても知られるGDF11は、マウス発生中の尾芽、肢芽、上顎弓および下顎弓、ならびに後根神経節で発現される分泌タンパク質である[McPherron et al. (1999) Nat. Genet., 22: 260-264;およびNakashima et al. (1999) Mech. Dev., 80: 185-189]。GDF11は、中胚葉組織および神経組織の両方のパターニングで特有の役割を果たす[Gamer et al. (1999) Dev Biol., 208:222-32]。GDF11は、発生中のニワトリ肢での軟骨形成および筋形成の負の調節因子であることが示された[Gamer et al. (2001) Dev Biol., 229:407-20]。筋肉でのGDF11の発現はまた、GDF8と同様の筋肉生長の調節でのその役割も示唆する。加えて、脳でのGDF11の発現は、GDF11が、神経系の機能に関連する活性も有する可能性があることを示唆する。興味深いことに、GDF11は、嗅上皮の神経形成を阻害することが見出されている[Wu et al. (2003) Neuron., 37:197-207]。それゆえ、GDF11は、筋肉疾患および神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)などの疾患の治療でのin vitroおよびin vivo用途を有する可能性がある。
部分的には、本開示は、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト(阻害剤)が、腎臓疾患を治療またはその進行速度および/もしくは重症度を低減し、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療し、予防し、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するとの知見に関連する。一部の実施形態では、本開示は、腎臓疾患を治療、予防またはその進行速度および/もしくは重症度を低減する、あるいは1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療し、予防し、またはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減する使用のための、1種以上のアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1、ノーダル、ALK4、ALK5、ALK7、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3、等)を阻害するアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの使用に関する。
本明細書中で用いる用語は一般に、本開示の文脈内および各用語が用いられる具体的な文脈内で、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。本開示の組成物および方法ならびにそれらの製造および使用方法の記載において追加的な指針を実施者に提供するために、後記および本明細書中の他の箇所において、ある用語を説明する。用語のいずれかの使用の範囲または意味は、該用語が使用される具体的な文脈から明らかであろう。
「相同性」は、全てのその文法的形態および綴りの変形において、同じ生物種におけるスーパーファミリーからのタンパク質および異なる生物種からの相同タンパク質を含む、「共通の進化起源」を有する2つのタンパク質の間の関係を意味する。そのようなタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、同一性の割合(%)に関するものを含む配列類似性により、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存位置の存在により表される配列相同性を有する。しかし、一般的な用法および本出願においては、「高度に」のような副詞で修飾された場合の「相同」なる語は配列類似性を指すことがあり、一般的な進化的起源に関連してもしなくてもよい。
「配列類似性」なる語は、全てのその文法的形態において、共通の進化起源を共有していても共有していなくてもよい複数の核酸またはアミノ酸配列の間の同一性または対応の度合を意味する。
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関する「配列同一性(%)」は、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列内のアミノ酸配列(または核酸)と同一である、候補配列内のアミノ酸残基(または核酸)の百分率として定義され、この場合、それらの配列をアライメントさせ、最大配列同一性(%)が得られるように必要に応じてギャップを導入した後で同一性が決定され、配列同一性の一部としていずれの保存的置換をも考慮しない。アミノ酸配列同一性(%)を決定するためのアライメントは当技術分野の技量の範囲内の種々の方法で達成可能であり、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成可能である。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインメントさせるための適切なパラメータを決定することが可能である。しかし、本発明の目的においては、アミノ酸(核酸)配列同一性(%)は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムはGenentech, Inc.により作成され、そのソースコードは米国著作権局(U.S. Copyright Office, Washington D.C., 20559)にユーザー文書と共に提出されており、それは米国著作権局において米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムはGenentech, Inc., South San Francisco, Calif.から公的に入手可能であり、あるいは該ソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX (登録商標) V4.0Dを含むUNIX (登録商標) オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータはALIGN-2プログラムにより設定され、変動しない。
「アゴナイズする」とは、全てのその文法形式において、タンパク質および/または遺伝子を(例えばそのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅することによって、または不活性のタンパク質を活性状態となるように誘導することによって)活性化する、あるいはタンパク質および/又は遺伝子の活性を上昇させるプロセスをいう。
「アンタゴナイズする」とは、全てのその文法形式において、タンパク質および/または遺伝子を(例えばそのタンパク質の遺伝子発現を阻害するかもしくは低減させることによって、または活性のタンパク質を不活性状態となるように誘導することによって)阻害する、あるいはタンパク質および/又は遺伝子の活性を低減させるプロセスをいう。
本明細書および特許請求の範囲の全体において数値に関して用いられる「約」および「およそ」なる語は、当業者によく知られ許容される精度区間(interval of accuracy)を意味する。一般に、そのような精度区間は±10%である。あるいは、特に生物学的系においては、「約」および「およそ」なる語は、与えられた値の一桁(10倍)以内、好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下である値を意味し得る。
本明細書に開示されている数値範囲は、その範囲を定める数を含む。
単数形の語「a」および「an」は、その語が用いられている文脈に明らかに矛盾しない限り、複数対象物を含む。単数形ならびに「1以上」および「少なくとも1つ」なる語は本明細書においては互換的に用いられ得る。更に、本明細書中で用いられる場合の「および/または」は、2以上の特定されている特徴または成分のそれぞれの、その他のものを伴う又は伴わない具体的な開示とみなされるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」のような句において用いる「および/または」なる語は「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むと意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」のような句において用いる「および/または」なる語は以下の態様のそれぞれを含むと意図される:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
本明細書の全体において、「含む」、または「含み」もしくは「含んで」のような変形は、示されている整数または整数群の包含を意味するが、いずれかの他の整数または整数群の除外を意味しないと理解される。
2. TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および共受容体ポリペプチド、それらの変異体、ならびにタンパク質複合体
特定の態様では、本明細書中に開示される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、ActRIIポリペプチド(例えば、ActRIIAまたはActRIIBポリペプチド)、その変異体、または少なくとも1種のActRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体(例えば、2個のActRIIポリペプチドを含むホモ二量体または1個のActRIIポリペプチドおよび異種ポリペプチド(例えば、ALK4)を含むヘテロ二量体)である。本明細書中で用いる場合、用語「ActRII」とは、II型アクチビン受容体のファミリーを意味する。このファミリーは、IIA型アクチビン受容体(ActRIIA)およびIIB型アクチビン受容体(ActRIIB)を含む。ActRIIポリペプチド、またはActRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体は、例えば、1種以上のActRII結合性リガンド(例えば、アクチビン、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1およびノーダル)、ActRII受容体(例えば、ActRIIAおよびActRIIB)、ActRII関連I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、ALK7、等)および/またはActRII関連共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、等)を阻害することができる。一部の実施形態では、シグナル伝達(Smadシグナル伝達)を阻害するActRIIポリペプチド、またはActRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体の能力は、例えば、本明細書中に記載されるものをはじめとする細胞ベースのアッセイで決定される。ActRIIポリペプチド、またはActRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体は、単独で、または1種以上の追加の補助的療法または活性薬剤と組み合わせて、腎臓疾患または腎臓疾患の1種以上の合併症を治療、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減するために用いることができる。
本明細書中で用いる場合、用語「ActRIIB」とは、いずれかの生物種由来のアクチビンIIB型受容体(ActRIIB)タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなActRIIBタンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのActRIIBへの言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及として理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ActRIIBポリペプチド」としては、ActRIIBファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。そのような変異体ActRIIBポリペプチドの例は、本開示全体、ならびに国際公開第2006/012627号、同第2008/097541号、同第2010/151426号、および同第2011/020045号(それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる)を通して提供される。本明細書中に記載されるすべてのActRIIB関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に別途記載しない限り、ヒトActRIIB前駆体タンパク質配列(配列番号1;NCBIデータベース登録番NP_001097.2)のナンバリングに基づく。64位でのアルギニンからアラニンへの置換を含有する別のActRIIB突然変異体が、配列番号2に示される。
プロセシングされた細胞外ActRIIBポリペプチド配列が、配列番号3に表わされる。代替的なA64型のプロセシングされた細胞外ActRIIBポリペプチド配列が、配列番号4に表わされる。細胞外ドメインのC末端「テイル」は、両方の配列中で一重下線により示される。
一部の実施形態では、タンパク質は、N末端に「SGR...」配列を含んで産生されることができる。「テイル」が欠失した配列(Δ15配列)は、それぞれ、野生型およびR64A突然変異体を表わす配列番号5および6に示される。
ヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列は配列番号7として示され、Genbank参照配列NM_001106.3のヌクレオチド25~1560を表わし、これは、ActRIIB前駆体のアミノ酸1-513をコードする。示される配列は、64位にアルギニンを与え、代わりにアラニンを与えるように改変することができる。シグナル配列には下線が付してある。
プロセシングされた細胞外ヒトActRIIBポリペプチド(配列番号3)をコードする核酸配列が、配列番号8に示される。この配列の64位のアルギニンに対するコドンは、代わりにアラニンに対するコドンに置き換えることができる。
ヒトActRIIB細胞外ドメインとヒトActRIIA細胞外ドメインとのアミノ酸配列のアライメントが、図1に示される。このアライメントは、ActRIIリガンドと直接的に接触すると考えられる両方の受容体内のアミノ酸残基を示す。例えば、複合的ActRII構造は、ActRIIBリガンド結合性ポケットが、部分的には、残基Y31、N33、N35、L38~T41、E47、E50、Q53~K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78~N83、Y85、R87、A92、およびE94~F101により規定されることを示した。これらの位置では、保存的突然変異が許容されるであろうことが予測される。
加えて、ActRIIBは脊椎動物では非常に保存されており、細胞外ドメインの大きな伸長部は完全に保存されている。例えば、図2は、種々のActRIIBオルソログと比較したヒトActRIIB細胞外ドメインの複数配列アライメントを示す。ActRIIBに結合するリガンドのうちの多くもまた、非常に保存されている。したがって、これらのアライメントから、正常なActRIIBリガンド結合活性に対して重要であるリガンド結合性ドメイン内の重要なアミノ酸位置を予測すること、および正常なActRIIBリガンド結合活性を著明に変化させることなく置換に耐え得るであろうアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本明細書中に開示される方法に従って有用である活性なヒトActRIIB変異体ポリペプチドとしては、別の脊椎動物ActRIIBの配列に由来する対応する位置に1個以上のアミノ酸を含むことができるか、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列中のものと類似の残基を含むことができる。限定することを意味することなく、以下の例は、活性なActRIIB変異体を定義する本アプローチを説明する。ヒト細胞外ドメイン中のL46は、アフリカツメガエル(Xenopus)ActRIIB中ではバリンであり、つまり、この位置は改変することができ、かつ任意により、V、IもしくはFなどの別の疎水性残基、またはAなどの非極性残基へと改変することができる。ヒト細胞外ドメイン中のE52は、アフリカツメガエルではKであり、このことは、この部位が、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yおよび好ましくはAなどの極性残基を含む広範囲の変化に耐え得ることを示す。ヒト細胞外ドメイン中のT93は、アフリカツメガエルではKであり、このことは、この位置では広い構造的多様性が許容され、S、K、R、E、D、H、G、P、GおよびYなどの極性残基が好ましいことを示す。ヒト細胞外ドメイン中のF108はは、アフリカツメガエルではYであり、したがって、YまたはI、VもしくはLなどの他の疎水性基が許容されるはずである。ヒト細胞外ドメイン中のE111は、アフリカツメガエルではKであり、このことは、D、R、KおよびH、ならびにQおよびNをはじめとする荷電残基がこの位置では許容されるであろうことを示す。ヒト細胞外ドメイン中のR112は、アフリカツメガエルではKであり、このことは、RおよびHをはじめとする酸性残基がこの位置では許容されることを示す。ヒト細胞外ドメイン中の119位のAは、比較的保存されておらず、げっ歯類ではPであり、アフリカツメガエルではVとして出現し、つまり、本質的にいかなるアミノ酸でもこの位置では許容されるはずである。
さらに、ActRIIタンパク質は、特にリガンド結合性に関して、構造的および機能的特徴について当技術分野で特性決定されている[Attisano et al. (1992) Cell 68(1):97-108;Greenwald et al. (1999) Nature Structural Biology 6(1): 18-22;Allendorph et al. (2006) PNAS 103(20): 7643-7648;Thompson et al. (2003) The EMBO Journal 22(7): 1555-1566;ならびに米国特許第7,709,605号、同第7,612,041号、および同第7,842,663号]。本明細書中の教示に加えて、これらの参考文献は、1種以上の望ましい活性(例えば、リガンド結合活性)を残したActRIIB変異体をいかにして作製するかについての十分なガイダンスを提供する。
例えば、スリーフィンガー毒性フォールディングとして知られる決まった構造的モチーフが、I型およびII型受容体によるリガンド結合性に対して重要であり、かつ各単量体受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に局在する保存されたシステイン残基により形成される(Greenwald et al. (1999) Nat Struct Biol 6:18-22;およびHinck (2012) FEBS Lett 586:1860-1870)。したがって、これらの保存されたシステインの最外部により画定される通りのヒトActRIIBのコアリガンド結合性ドメインは、配列番号1(ActRIIB前駆体)の29~109位に対応する。これらのシステイン画定コア配列に隣接する、構造的に比較的決められていないアミノ酸は、必ずしもリガンド結合性を変化させることなく、N末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、もしくは28残基、および/またはC末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、もしくは22残基、切断することができる。N末端および/またはC末端切断についての例示的ActRIIB細胞外ドメインとしては、配列番号3、4、5、および6が挙げられる。
Attisanoらは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端にあるプロリンノットの欠失が、アクチビンに対する受容体の親和性を低下させたことを示した。本明細書の配列番号1のアミノ酸20~119を含有するActRIIB-Fc融合タンパク質である「ActRIIB(20-119)-Fc」は、プロリンノット領域および完全な膜近傍ドメインを含むActRIIB(20-134)-Fcと比較して、GDF11およびアクチビンに対して低減した結合性を有する(例えば、米国特許第7,842,663号を参照されたい)。しかしながら、ActRIIB(20-129)-Fcタンパク質は、プロリンノット領域が破壊されているにもかかわらず、野生型と比較して、同様の、しかし幾分か低減した活性を保持する。
つまり、アミノ酸134、133、132、131、130および129(配列番号1に関して)で終止するActRIIB細胞外ドメインはすべて活性であると予測されるが、アミノ酸134または133で終止する構築物が最も活性であり得る。同様に、残基129~134(配列番号1に関して)のうちのいずれかでの突然変異は、大きな縁によりリガンド結合親和性が変化することが予測される。このことの支持として、P129およびP130(配列番号1に関して)の突然変異がリガンド結合性を実質的に減少させないことが、当技術分野で公知である。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、アミノ酸109(最後のシステイン)ほどに早く終止することができるが、しかしながら、109~119(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、または119)で終止する形態は、低下したリガンド結合性を有することが予測される。アミノ酸119(本開示の配列番号1に関して)はあまり保存されておらず、したがって、容易に改変または切断される。アミノ酸128(配列番号1に関して)またはそれより後ろで終止するActRIIBポリペプチドは、リガンド結合活性を保持するはずである。アミノ酸119~127(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、または127)(配列番号1に関して)で、またはその間で終止するActRIIBポリペプチドは、中等度の結合能を有するであろう。これらの形態のうちのいずれも、臨床条件または実験条件に応じて、使用に望ましい場合がある。
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29またはそれより前(配列番号1に関して)で開始するタンパク質は、リガンド結合活性を保持することが予測される。アミノ酸29は、最初のシステインを表わす。24位(配列番号1に関して)でのアラニンからアスパラギンへの突然変異は、リガンド結合性に実質的に影響を及ぼさずに、N結合型グリコシル化配列を導入する(米国特許第7,842,663号)。このことは、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域(アミノ酸20~29に対応する)中の突然変異は、良好に許容されることを確認する。特に、20、21、22、23、および24位(配列番号1に関して)で開始するActRIIBポリペプチドは、一般的にリガンド結合活性を保持するはずであり、かつ25、26、27、28、および29位(配列番号1に関して)で開始するActRIIBポリペプチドもまた、リガンド結合活性を保持することが予測される。驚くべきことに、22、23、24、または25位で開始するActRIIB構築物が、最も強い活性を有するであろうことが実証されている(例えば、米国特許第7,842,663号)。
併せて考えると、ActRIIBの活性部分(例えば、リガンド結合性部分)についての一般式は、配列番号1のアミノ酸29~109を含む。したがって、ActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号1のアミノ酸20~29のうちのいずれか1箇所に対応する残基で開始し(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のうちのいずれか1箇所で開始し)、かつ配列番号1のアミノ酸109~134のうちのいずれか1箇所に対応する位置で終止する(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のうちのいずれか1箇所で終止する)ActRIIBの一部分に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を、含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。他の例としては、配列番号1の20~29位(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位のうちのいずれか1箇所)または21~29位(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位のうちのいずれか1箇所)の位置で開始し、配列番号1の119~134位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位のうちのいずれか1箇所)、119~133位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、または133位のうちのいずれか1箇所)、129~134位(例えば、129、130、131、132、133、または134位のうちのいずれか1箇所)、または129~133位(例えば、129、130、131、132、または133位のうちのいずれか1箇所)で終止するポリペプチドが挙げられる。他の例としては、配列番号1の20~24位(例えば、20、21、22、23、または24位のうちのいずれか1箇所)、21~24位(例えば21、22、23、または24位のうちのいずれか1箇所)、または22~25位(例えば、22、22、23、または25位のうちのいずれか1箇所)で開始し、かつ配列番号1の109~134位(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位のうちのいずれか1箇所)、119~134位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位のうちのいずれか1箇所)または129~134位(例えば、129、130、131、132、133、または134位のうちのいずれか1箇所)で終止する構築物が挙げられる。これらの範囲内の変異体、特に、配列番号1の対応する一部分に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるものもまた、考慮される。
本明細書中に記載される変異は、様々な様式で組み合わせることができる。一部の実施形態では、ActRIIB変異体は、リガンド結合性ポケット中に、1、2、5、6、7、8、9、10または15箇所以下の保存的アミノ酸変化、任意によりリガンド結合性ポケット中の40、53、55、74、79および/または82位に0箇所、1箇所またはそれ以上の非保存的変化を含む。多様性が特に良好に許容され得る結合性ポケットの外側の部位としては、細胞外ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端(上記の通り)、ならびに42~46位および65~73位(配列番号1に関して)が挙げられる。65位でのアスパラギンからアラニンへの変化(N65A)は、R64バックグラウンド中のリガンド結合性を減少させないようである(米国特許第7,842,663号)。この変更は、おそらく、A64バックグラウンド中のN65でのグリコシル化を除去し、つまり、この領域での著明な変更が許容されるであろうことを実証する。R64Aの変更はあまり許容されない一方で、R64Kは良好に許容され、つまり、Hなどの別の塩基性残基が64位で許容され得る(米国特許第7,842,663号)。加えて、多くの場合に保存されることが有益であるActRIIB中のアミノ酸位置があることが、当技術分野で記載される突然変異導入プログラムの結果により示される。配列番号1に関して、これらとしては、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、特にトリプトファン)、37位(酸性、特にアスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特にフェニルアラニンまたはチロシン)が挙げられる。つまり、本開示は、ActRIIBポリペプチド中で保存され得るアミノ酸のフレームワークを提供する。保存することが望ましい場合がある他の位置は、以下の通りである:すべて配列番号1に関して、52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98位(極性または荷電、特に、E、D、RまたはK)。
ActRIIB細胞外ドメインへのさらなるN結合型グリコシル化部位(N-X-S/T)の付加が良好に許容されることが、以前に実証されている(例えば、米国特許第7,842,663号を参照されたい)。したがって、N-X-S/T配列は、本開示のActRIIBポリペプチド中に、図1で規定されるリガンド結合性ポケットの外側の位置に一般的に導入することができる。非内因性N-X-S/T配列配列の導入に対して特に好適な部位としては、アミノ酸20~29、20~24、22~25、109~134、120~134または129~134(配列番号1に関して)が挙げられる。N-X-S/T配列はまた、ActRIIBとFcドメインまたは他の融合構成要素との間のリンカーへと、ならびに任意により融合構成要素自体へと導入することもできる。そのような部位は、既存のSもしくはTに関して正しい位置にNを導入することにより、または既存のNに対応する位置にSもしくはTを導入することにより、最小限の努力で導入することができる。つまり、N結合型グリコシル化部位を生成するであろう望ましい改変は、以下の改変である:A24N、R64N、S67N(可能であればN65A改変と組み合わせて)、E105N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112SおよびR112T(配列番号1に関して)。グリコシル化されることが予測されるいずれのSも、グリコシル化によって与えられる保護により、免疫原性部位を生成することなくTへと改変することができる。同様に、グリコシル化されることが予測されるいずれのTも、Sへと改変することができる。つまり、改変S67TおよびS44T(配列番号1に関して)が意図される。同様に、A24N変異体では、S26T改変を用いることができる。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、上記の通りの1個以上の追加の非内在性N結合型グリコシル化コンセンサス配列を有する変異体であり得る。
特定の態様では、本明細書中に開示される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、ActRIIBポリペプチド(その断片および機能的変異体を含む)ならびに少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むタンパク質複合体(例えば、2個のActRIIBポリペプチドを含むホモ二量体または1個のActRIIBポリペプチドおよび異種ポリペプチド(例えば、ALK4)を含むヘテロ二量体)である。好ましくは、ActRIIBポリペプチドは可溶性である(例えば、ActRIIBの細胞外ドメインを含む)。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3)の活性(例えば、Smadシグナル伝達)をアンタゴナイズする。したがって、一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3、等))に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸20~29に対応する残基で開始し、かつ配列番号1のアミノ酸109~134に対応する位置で終止する、ActRIIBの一部分に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸29~109に少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸25~131に少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1、2、3、4、5、6、181、182、184、187、188、189、190、192、193、196、197、198、199、201、205、および206のいずれか1種のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示のActRIIBポリペプチドは、配列番号1のL79に対応する位置が酸性アミノ酸でない(すなわち、天然に存在する酸性アミノ酸DもしくはEまたは人工的酸性アミノ酸残基でない)、ActRIIBポリペプチドを含む。
特定の実施形態では、本開示は、ActRIIAポリペプチドに関する。本明細書中で用いる場合、用語「ActRIIA」とは、いずれかの生物種由来のアクチビンIIA型受容体(ActRIIA)タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなActRIIAタンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのActRIIAに対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種に対する言及であると理解される。ActRIIAファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ActRIIAポリペプチド」としては、ActRIIAファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドを含むポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)が挙げられる。そのような変異体ActRIIAポリペプチドの例は、本開示全体、ならびに国際公開第2006/012627号および同第2007/062188号(それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる)を通して提供される。
ヒトActRIIA前駆体タンパク質配列が、配列番号9または10に表わされる。
プロセシングされた細胞外ヒトActRIIAポリペプチド配列が、配列番号11に表わされる。プロセシングされた細胞外ActRIIAポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号14の配列を有する。
C末端「テイル」が欠失された細胞外ドメイン(Δ15配列)を有する配列が、配列番号12に表わされる。
ヒトActRIIA前駆体タンパク質(配列番号9)をコードする核酸配列が以下に示され(配列番号13)、Genbank参照配列NM_001616.4のヌクレオチド159~1700に対応する。シグナル配列には下線が付してある。
ActRIIAは脊椎動物では非常に保存されており、細胞外ドメインの大きな伸長部は完全に保存されている。例えば、図3は、種々のActRIIAオルソログと比較したヒトActRIIA細胞外ドメインの複数配列アライメントを示す。ActRIIAに結合するリガンドのうちの多くもまた、非常に保存されている。したがって、これらのアライメントから、正常なActRIIAリガンド結合活性に対して重要であるリガンド結合性ドメイン内の重要なアミノ酸位置を予測すること、ならびに正常なActRIIAリガンド結合活性を著明に変化させることなく置換に耐え得るであろうアミノ酸位置を予測することが可能である。したがって、本明細書中に開示される方法に従って有用である活性なヒトActRIIA変異体ポリペプチドとしては、別の脊椎動物ActRIIAの配列に由来する対応する位置に1個以上のアミノ酸を含むことができるか、またはヒトもしくは他の脊椎動物配列中のものと類似の残基を含むことができる。
限定することを意味することなく、以下の例は、活性なActRIIA変異体を定義する本アプローチを説明する。図3に示される通り、ヒト細胞外ドメイン中のF13は、ヒツジ(Ovis aries)(配列番号18)、ニワトリ(Gallus gallus)(配列番号21)、ウシ(Bos Taurus)(配列番号22)、メンフクロウ(Tyto alba)(配列番号23)、およびミオティス・ディビディイ(Myotis davidii)(配列番号24)ActRIIAではYであり、このことは、F、W、およびYをはじめとする芳香族残基はこの位置では許容される。ヒト細胞外ドメイン中のQ24は、ウシActRIIAではRであり、このことは、D、R、K、H、およびEをはじめとする荷電残基がこの位置では許容されるであろうことを示す。ヒト細胞外ドメイン中のS95はニワトリおよびメンフクロウActRIIAではFであり、このことは、E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、およびおそらくは、L、I、またはFなどの疎水性残基をはじめとする広範囲の変更がこの部位では許容され得ることを示す。ヒト細胞外ドメイン中のE52は、ヒツジActRIIAではDであり、このことは、DおよびEをはじめとする酸性残基が、この位置では許容されることを示す。ヒト細胞外ドメイン中のP29は、比較的あまり保存されておらず、ヒツジActRIIAではSであり、かつミオティス・ディビディイ(Myotis davidii)ActRIIAではLであり、つまり、本質的にはいかなるアミノ酸でもこの位置では許容されるはずである。
さらに、上述の通り、ActRIIタンパク質は、特にリガンド結合性に関して、構造的/機能的特徴について当技術分野で特性決定されている[Attisano et al. (1992) Cell 68(1):97-108;Greenwald et al. (1999) Nature Structural Biology 6(1): 18-22;Allendorph et al. (2006) PNAS 103(20): 7643-7648;Thompson et al. (2003) The EMBO Journal 22(7): 1555-1566;ならびに米国特許第7,709,605号、同第7,612,041号、および同第7,842,663号]。本明細書中の教示に加えて、これらの参考文献は、1種以上の望ましい活性(例えば、リガンド結合活性)を残したActRII変異体をいかにして作製するかについての十分なガイダンスを提供する。
例えば、スリーフィンガー毒性フォールディングとして知られる決まった構造的モチーフが、I型およびII型受容体によるリガンド結合性に対して重要であり、かつ各単量体受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に局在する保存されたシステイン残基により形成される(Greenwald et al. (1999) Nat Struct Biol 6:18-22;およびHinck (2012) FEBS Lett 586:1860-1870)。したがって、これらの保存されたシステインの最外部により画定される通りのヒトActRIIAのコアリガンド結合性ドメインは、配列番号9(ActRIIA前駆体)の30~110位に対応する。したがって、これらのシステイン画定コア配列に隣接する、構造的に比較的決められていないアミノ酸は、必ずしもリガンド結合性を変化させることなく、N末端で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29残基、およびC末端で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25残基、切断することができる。例示的なActRIIA細胞外ドメイン切断体としては、配列番号12が挙げられる。
したがって、ActRIIAの活性部分(例えば、リガンド結合性)についての一般式は、配列番号9のアミノ酸30~110を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドである。したがって、ActRIIAポリペプチドは、例えば、配列番号9のアミノ酸21~30のうちのいずれか1箇所に対応する残基で開始し、かつ配列番号9のアミノ酸110~135のうちのいずれか1箇所に対応する位置で終止する、ActRIIAの一部分に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。他の例としては、配列番号9のアミノ酸21~30、22~30、23~30、24~30から選択される位置から開始し、かつ配列番号9のアミノ酸111~135、112~135、113~135、120~135、130~135、111~134、111~133、111~132、または111~131から選択される位置で終止する構築物が挙げられる。この範囲内の変異体、特に、配列番号9の対応する一部分に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むものもまた考慮される。つまり、一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチドを含むことができる。任意により、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつ、リガンド結合性ポケット中に1、2、5、10または15箇所以下の保存的アミノ酸変化を含むポリペプチドを含む。
特定の態様では、本明細書中に開示される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、ActRIIAポリペプチド(その断片および機能的変異体を含む)ならびに少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むタンパク質複合体(例えば、2個のActRIIAポリペプチドを含むホモ二量体または1個のActRIIAポリペプチドおよび異種ポリペプチド(例えば、ALK4)を含むヘテロ二量体)である。好ましくは、ActRIIAポリペプチドは可溶性である(例えば、ActRIIAの細胞外ドメイン)。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3、等)を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達)。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3、等))に結合する。一部の実施形態では、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21~30に対応する残基で開始し、かつ配列番号9のアミノ酸110~135に対応する位置で終止する、ActRIIAの一部分に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30~110に少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸21~135に少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ActRIIAポリペプチドは、配列番号9、10、11、12、15、18-24、177、178、および180のいずれか1種のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の態様では、本開示は、BMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「BMPRII」とは、いずれかの生物種由来の骨形成タンパク質受容体II型(BMPRII)タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなBMPRIIタンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのBMPRIIに対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。BMPRIIファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「BMPRIIポリペプチド」としては、BMPRIIファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのBMPRII関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトBMPRII前駆体タンパク質配列(配列番号34、NCBI参照配列NP_001195.2)のナンバリングに基づく。配列番号34中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。BMPRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号35に示され、これはGenbank参照配列NM_001204.6のヌクレオチド1149~4262の通りである。プロセシングされた細胞外BMPRIIポリペプチド配列は配列番号36に表わされ、これは、配列番号37の核酸配列によりコードすることができる。BMPRIIのオルタナティブアイソフォームであるアイソフォーム2(GenBank:AAA86519.1)は配列番号38に表わされ(シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される)、これは配列番号39の核酸配列(Genbank参照配列U25110.1のヌクレオチド163~1752に対応し、シグナル配列には下線が付してある)によりコードすることができる。プロセシングされた細胞外BMPRIIポリペプチド配列(アイソフォーム2)は配列番号40に表わされ、これは配列番号41の核酸配列によりコードすることができる。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のBMPRIIポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明(例えば、BMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)に従って使用するためのBMPRIIポリペプチドは、可溶性である(例えば、BMPRIIの細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのBMPRIIポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34、36、38、または40のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34のアミノ酸27~34(例えば、アミノ酸残基27、28、29、30、31、32、33、または34)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号34のアミノ酸123~150(例えば、アミノ酸残基123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34のアミノ酸27~123に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34のアミノ酸27~150に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34のアミノ酸34~123に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号34のアミノ酸34~150に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号38のアミノ酸27~34(例えば、アミノ酸残基27、28、29、30、31、32、33、または34)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号38のアミノ酸123~150(例えば、アミノ酸残基123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号38のアミノ酸27~123に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号38のアミノ酸27~150に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号38のアミノ酸34~123に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号38のアミノ酸34~150に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、MISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「MISRII」とは、いずれかの生物種由来のミュラー管阻害物質受容体II型(MISRII)タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなMISRIIタンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのMISRIIに対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。MISRIIファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「MISRIIポリペプチド」としては、MISRIIファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのMISRII関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトMISRII前駆体タンパク質配列(配列番号42、NCBI参照配列NP_065434.1)のナンバリングに基づく。配列番号42中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。MISRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号43に示され、これはGenbank参照配列NM_020547.2のヌクレオチド81~1799の通りである。プロセシングされた細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム1)は配列番号44に表わされ、これは、配列番号45の核酸配列によりコードすることができる。ヒトMISRII前駆体タンパク質配列のオルタナティブアイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列NP_001158162.1)は配列番号46に表わされ(シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される)、これは配列番号47の核酸配列(Genbank参照配列NM_001164690.1のヌクレオチド81~1514に対応する)によりコードすることができる。プロセシングされた細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム2)は、プロセシングされた細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム1)と100%同一である(すなわち、配列番号44のアミノ酸配列を有し、これは配列番号45の核酸配列によりコードすることができる)。ヒトMISRII前駆体タンパク質配列のオルタナティブアイソフォームであるアイソフォーム3(NCBI参照配列NP_001158163.1)は配列番号48に表わされ(シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される)、これは配列番号49の核酸配列(Genbank参照配列NM_001164691.1のヌクレオチド81~1514に対応する)によりコードすることができる。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされた細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム3)は、プロセシングされた細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム1)と100%同一である(すなわち、配列番号44のアミノ酸配列を有し、これは配列番号45の核酸配列によりコードすることができる)。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のMISRIIポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのMISRIIポリペプチド(例えば、MISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、MISRIIの細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのMISRIIポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42、44、46、または48のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸17~24(例えば、アミノ酸残基17、18、19、20、21、22、23、または24)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号42のアミノ酸116~149(例えば、アミノ酸残基116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、または149)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸17~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸17~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸24~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸24~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号46のアミノ酸17~24(例えば、アミノ酸残基17、18、19、20、21、22、23、または24)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号46のアミノ酸116~149(例えば、アミノ酸残基116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、または149)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号46のアミノ酸17~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号46のアミノ酸17~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号46のアミノ酸24~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号46のアミノ酸24~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号42のアミノ酸17~24(例えば、アミノ酸残基17、18、19、20、21、22、23、または24)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号48のアミノ酸116~149(例えば、アミノ酸残基116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、または149)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号48のアミノ酸17~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号48のアミノ酸17~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号48のアミノ酸24~116に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号48のアミノ酸24~149に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、ALK1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「ALK1」とは、いずれかの生物種由来のアクチビン受容体様キナーゼ-1タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなALK1タンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのALK1に対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。ALK1ファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK1ポリペプチド」としては、ALK1ファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのALK1関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトALK1前駆体タンパク質配列(配列番号52、NCBI参照配列NP_000011.2)のナンバリングに基づく。配列番号52中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。ヒトALK1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号53に示され、これはGenbank参照配列NM_000020.2のヌクレオチド284~1792の通りである。プロセシングされた細胞外ALK1ポリペプチド配列は配列番号54に表わされ、これは、配列番号55の核酸配列によりコードすることができる。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のALK1ポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK1ポリペプチド(例えば、ALK1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、ALK1の細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのALK1ポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52または54のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52のアミノ酸22~34(例えば、アミノ酸残基22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号52のアミノ酸95~118(例えば、アミノ酸残基95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112,113、114、115、116、117、118、または119)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52のアミノ酸22~95に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52のアミノ酸22~118に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52のアミノ酸34~95に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号52のアミノ酸34~118に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、ALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「ALK4」とは、いずれかの生物種由来のアクチビン受容体様キナーゼ-4タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなALK4タンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのALK4に対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。ALK4ファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK4ポリペプチド」としては、ALK4ファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのALK4関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトALK4前駆体タンパク質配列(配列番号56、NCBI参照配列NP_004293)のナンバリングに基づく。配列番号56中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。ALK4前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号57に示され、これはGenbank参照配列NM_004302.4のヌクレオチド78~1592に対応する。シグナル配列には下線が付され、細胞外ドメインは太字で示される。プロセシングされた細胞外ヒトALK4ポリペプチド配列は配列番号58に表わされ、これは、配列番号59の核酸配列によりコードすることができる。ヒトALK4前駆体タンパク質配列のオルタナティブアイソフォームであるアイソフォームC(NCBI参照配列NP_064733.3)は配列番号60に表わされ、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。ALK4前駆体タンパク質(アイソフォームC)をコードする核酸配列は配列番号61に表わされ、これはGenbank参照配列NM_020328.3のヌクレオチド78~1715に対応する。プロセシングされた細胞外ALK4ポリペプチド配列(アイソフォームC)は、対応するプロセシングされた細胞外ALK4ポリペプチド配列と100%同一である(すなわち、配列番号58のアミノ酸配列を有し、これは配列番号59の核酸配列によりコードすることができる)。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のALK4ポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明(例えば、ALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)に従って使用するためのALK4ポリペプチドは、可溶性である(例えば、ALK4の細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのALK4ポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56、58、または60のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56のアミノ酸24~34(例えば、アミノ酸残基24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号56のアミノ酸101~126(例えば、アミノ酸残基101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56のアミノ酸24~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56のアミノ酸24~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56のアミノ酸34~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号56のアミノ酸34~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号83のアミノ酸24~34(例えば、アミノ酸残基24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号60のアミノ酸101~126(例えば、アミノ酸残基101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号60のアミノ酸24~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号60のアミノ酸24~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号60のアミノ酸34~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号60のアミノ酸34~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、ALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「ALK5」とは、いずれかの生物種由来のアクチビン受容体様キナーゼ-5タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなALK5タンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのALK5に対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。ALK5ファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK5ポリペプチド」としては、ALK5ファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのALK5関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトALK5前駆体タンパク質配列(配列番号62、NCBI参照配列NP_004603.1)のナンバリングに基づく。配列番号62中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。ALK5前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号63に示され、これはGenbank参照配列NM_004612.2のヌクレオチド77~1585に対応する。プロセシングされた細胞外ALK5ポリペプチド配列は配列番号64に表わされ、これは、配列番号65の核酸配列によりコードすることができる。ヒトALK5前駆体タンパク質配列のオルタナティブアイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列XP_005252207.1)は配列番号66に表わされる(シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される)。ヒトALK5前駆体タンパク質(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は配列番号67に表わされ(シグナルペプチドには下線が付され、細胞外ドメインは太字で示される)、これはGenbank参照配列XM_005252150.1のヌクレオチド77~1597に対応する。
プロセシングされた細胞外ALK5ポリペプチド配列(アイソフォーム2)は配列番号68に表わされ、これは配列番号69の核酸配列によりコードされ得る。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のALK5ポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK5ポリペプチド(例えば、ALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、ALK5の細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのALK5ポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62、64、66、または68のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62のアミノ酸25~36(例えば、アミノ酸残基25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号62のアミノ酸101~126(例えば、アミノ酸残基101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、または126)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62のアミノ酸25~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62のアミノ酸25~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62のアミノ酸36~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号62のアミノ酸36~126に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号66のアミノ酸25~36(例えば、アミノ酸残基25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号66のアミノ酸101~130(例えば、アミノ酸残基101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、または130)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号66のアミノ酸25~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号66のアミノ酸25~130に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号66のアミノ酸36~101に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号66のアミノ酸36~130に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、ALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。本明細書中で用いる場合、用語「ALK7」とは、いずれかの生物種由来のアクチビン受容体様キナーゼ-7タンパク質のファミリーおよび突然変異誘発または他の改変によりそのようなALK7タンパク質から誘導される変異体を意味する。本明細書中でのALK7に対する言及は、現在特定されている形態のうちのいずれか1種への言及であると理解される。ALK7ファミリーのメンバーは、一般的に、システインリッチ領域を含むリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/トレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK7ポリペプチド」としては、ALK7ファミリーメンバーのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのALK7関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトALK7前駆体タンパク質配列(配列番号70、NCBI参照配列NP_660302.2)のナンバリングに基づく。配列番号70中では、シグナルペプチドは一重下線により示され、細胞外ドメインは太字で示される。ヒトALK7アイソフォーム1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号71に示され、これはGenbank参照配列NM_145259.2のヌクレオチド244~1722の通りである。
プロセシングされた細胞外ALK7アイソフォーム1ポリペプチド配列は配列番号72に表わされ、これは、配列番号73の核酸配列によりコードすることができる。ヒトALK7のオルタナティブアイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列NP_001104501.1)のアミノ酸配列は配列番号74に表わされ、細胞外ドメインは太字で示される。プロセシングされたALK7ポリペプチド(アイソフォーム2)の核酸配列は配列番号75に表わされ、これはNCBI参照配列NP_001111031.1のヌクレオチド279~1607に対応する。細胞外ALK7ポリペプチド(アイソフォーム2)のアミノ酸配列は配列番号76に表わされ、これは配列番号77の核酸配列によりコードすることができる。オルタナティブヒトALK7前駆体タンパク質であるアイソフォーム3のアミノ酸配列(NCBI参照配列NP_001104502.1)は配列番号78に表わされ、シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないALK7ポリペプチド前駆体タンパク質(アイソフォーム3)をコードする核酸配列は配列番号79に表わされ、これはNCBI参照配列NM_001111032.1のヌクレオチド244~1482に対応する。シグナル配列は実線下線により示される。プロセシングされたALK7ポリペプチド(アイソフォーム3)のアミノ酸配列は配列番号80に表わされる。このアイソフォームは膜貫通ドメインを欠損しており、したがって、その全体が可溶性であると提案されている(Roberts et al., 2003, Biol Reprod 68:1719-1726)。配列番号80のN末端変異体が、下記の通りに予測される。プロセシングされたALK7ポリペプチド(アイソフォーム3)の核酸配列は配列番号81に表わされる。オルタナティブヒトALK7前駆体タンパク質であるアイソフォーム4のアミノ酸配列(NCBI参照配列NP_001104503.1)は配列番号82に表わされ、シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないALK7ポリペプチド前駆体タンパク質(アイソフォーム4)をコードする核酸配列は配列番号83に表わされ、これはNCBI参照配列NM_001111033.1のヌクレオチド244~1244に対応する。シグナル配列は実線下線により示される。プロセシングされたALK7ポリペプチド(アイソフォーム4)のアミノ酸配列は配列番号84に表わされる。ALK7アイソフォーム3と同様に、アイソフォーム4は膜貫通ドメインを欠損しており、したがって、その全体が可溶性であると提案されている(Roberts et al., 2003, Biol Reprod 68:1719-1726)。プロセシングされたALK7ポリペプチド(アイソフォーム4)の核酸配列は配列番号85に表わされる。
ラットでの全長ALK7(アイソフォーム1)(NCBI参照配列NP_620790.1を参照されたい)のシグナル配列、およびヒトALK7とラットALK7との間の高い配列同一性の程度に基づいて、ヒトALK7アイソフォーム1のプロセシング型は、配列番号86に表わされることが予測される。
プロセシングされたALK7アイソフォーム1の活性な変異体が予測され、これらの変異体では、配列番号72がN末端で1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸だけ切断され、配列番号86がN末端で1または2アミノ酸だけ切断されている。配列番号86と合致して、ロイシンが、ヒトALK7アイソフォーム3(配列番号80)およびヒトALK7アイソフォーム4(配列番号84)のプロセシング型でのN末端アミノ酸であることがさらに予測される。特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のALK7ポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK7ポリペプチド(例えば、ALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、ALK7の細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのALK7ポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70、72、74、76、78、80、82、84、または86のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70のアミノ酸21~28(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、または28)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号70のアミノ酸92~113(例えば、アミノ酸残基92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、または113)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70のアミノ酸21~92に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70のアミノ酸21~113に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70のアミノ酸28~92に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号70のアミノ酸28~113に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号74のアミノ酸1~13(例えば、アミノ酸残基1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号74のアミノ酸42~63(例えば、アミノ酸残基42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、または63)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号74のアミノ酸1~42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号74のアミノ酸1~63に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号74のアミノ酸13~42に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号74のアミノ酸13~63に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号78のアミノ酸21~28(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、または28)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号78のアミノ酸411~413(例えば、アミノ酸残基411、412、または413)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号78のアミノ酸21~411に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号78のアミノ酸21~413に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号78のアミノ酸28~411に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号78のアミノ酸28~413に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号82のアミノ酸21~28(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、または28)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号82のアミノ酸334~336(例えば、アミノ酸残基334、335、または336)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号82のアミノ酸21~334に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号82のアミノ酸21~336に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号82のアミノ酸28~334に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号82のアミノ酸28~336に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含む。
用語「クリプト-1ポリペプチド」としては、いずれかの天然に存在するクリプト-1タンパク質(TDGF1またはその非ヒトオルソログのうちの1つによりコードされる)ならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのクリプト-1ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトクリプト-1前駆体タンパク質配列(配列番号87、NCBI参照配列NP_003203.1)のナンバリングに基づく。シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないヒトクリプト-1アイソフォーム1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号88に示され、これはNCBI参照配列NM_003212.3のヌクレオチド385~948に対応する。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされたクリプト-1アイソフォーム1ポリペプチド配列は配列番号89に表わされ、これは、配列番号90の核酸配列によりコードすることができる。ヒトクリプト-1アイソフォーム2タンパク質配列(NCBI参照配列NP_001167607.1)は配列番号91に表わされ、これは配列番号92の核酸配列によりコードすることができ、NCBI参照配列NM_001174136.1のヌクレオチド43~558に対応する。プロセシングされた細胞外クリプト-1ポリペプチド配列(アイソフォーム2)は配列番号93に表わされ、これは配列番号94の核酸配列によりコードすることができる。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのクリプト-1ポリペプチド(例えば、クリプト-1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、クリプト-1の細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのクリプト-1ポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87、89、91、または93のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸31~82(例えば、アミノ酸残基31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、または82)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号87のアミノ酸172~188(例えば、アミノ酸残基172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、または188)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸31~188に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸63~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸82~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸82~188に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸31~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号87のアミノ酸63~188に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸15~66(例えば、アミノ酸残基15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、または66)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号91のアミノ酸156~172(例えば、アミノ酸残基156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、または172)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸15~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸47~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸47~156に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸66~165に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸15~156に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号91のアミノ酸66~172に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチドを含む。
用語「クリプティックポリペプチド」としては、いずれかの天然に存在するクリプティックタンパク質(CFC1またはその非ヒトオルソログのうちの1つによりコードされる)ならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのクリプティックポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトクリプティックアイソフォーム1前駆体タンパク質配列(配列番号95、NCBI参照配列NP_115934.1)のナンバリングに基づく。シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないヒトクリプティックアイソフォーム1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号96に示され、これはNCBI参照配列NM_032545.3のヌクレオチド289~957に対応する。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされたクリプティックアイソフォーム1ポリペプチド配列は配列番号97に表わされ、これは配列番号98によりコードすることができる。ヒトクリプティックアイソフォーム2前駆体タンパク質(NCBI参照配列NP_001257349.1)は配列番号99に表わされる。シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないヒトクリプティックアイソフォーム2前駆体タンパク質をコードする核酸配列は配列番号100に表わされ、NCBI参照配列NM_001270420.1のヌクレオチド289~861に対応する。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされたクリプティックアイソフォーム2ポリペプチド配列は配列番号101に表わされ、これは配列番号102の核酸配列によりコードすることができる。ヒトクリプティックアイソフォーム3前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_001257350.1)は配列番号103に表わされる。シグナルペプチドは一重下線により示される。プロセシングされていないヒトクリプティックアイソフォーム3前駆体タンパク質をコードする核酸配列は配列番号104に表わされ、NCBI参照配列NM_001270421.1のヌクレオチド289~732に対応する。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされたクリプティックアイソフォーム3ポリペプチド配列は配列番号105に表わされ、これは配列番号106の核酸配列によりコードすることができる。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のクリプティックポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのクリプティックポリペプチド(例えば、クリプティックポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)は、可溶性である(例えば、クリプティックの細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのクリプティックポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95、97、99、101、103、または105のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸26~90(例えば、アミノ酸残基26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50,51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号95のアミノ酸157~233(例えば、アミノ酸残基157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、126、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、または233)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸26~233に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸26~157に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸90~157に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸26~169に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸90~169に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸90~233に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号95のアミノ酸26~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号99のアミノ酸26~30(例えば、アミノ酸残基26、27、28、29、または30)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号99のアミノ酸82~191(例えば、アミノ酸残基82、83、84、85、86、57、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、または191)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号99のアミノ酸26~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号99のアミノ酸26~191に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号99のアミノ酸30~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号99のアミノ酸30~191に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号103のアミノ酸26~30(例えば、アミノ酸残基26、27、28、29、または30)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号103のアミノ酸82~148(例えば、アミノ酸残基82、83、84、85、86、57、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、または148)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号103のアミノ酸26~148に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号103のアミノ酸26~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号103のアミノ酸30~148に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号103のアミノ酸30~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含む。
用語「クリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチド」(クリプティック1B)としては、いずれかの天然に存在するクリプティックファミリータンパク質1Bタンパク質(CFC1Bまたはその非ヒトオルソログのうちの1つによりコードされる)ならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。本明細書中に記載されるすべてのクリプティックファミリータンパク質1B関連ポリペプチドについてのアミノ酸のナンバリングは、具体的に特に記載しない限り、ヒトクリプティックファミリータンパク質1B前駆体タンパク質配列(配列番号107、NCBI参照配列NP_001072998.1、シグナルペプチドは一重下線により示される)のナンバリングに基づく。プロセシングされていないクリプティックファミリータンパク質1B前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、配列番号108に示され、これはNCBI参照配列NM_001079530.1のヌクレオチド392~1060に対応する。シグナル配列には下線が付してある。プロセシングされたクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチド配列は配列番号109に表わされ、これは、配列番号110の核酸配列によりコードすることができる。
特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチド(その断片、機能的変異体、および改変型を含む)を含むヘテロマルチマーに関する。好ましくは、本開示の発明(例えば、クリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含むヘテロマルチマーおよびその使用)に従って使用するためのクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドは、可溶性である(例えば、クリプティックファミリータンパク質1Bの細胞外ドメイン)。他の好ましい実施形態では、本開示の発明に従って使用するためのクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドは、1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107または109のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸26~30(例えば、アミノ酸残基26、27、28、29、または30)のうちのいずれか1箇所で開始し、かつ配列番号107のアミノ酸82~223(例えば、アミノ酸残基82、83、84、85、86、57、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、126、217、218、219、220、221、222、または223)のうちのいずれか1箇所で終止するポリペプチドに対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸26~223に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸26~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸30~82に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸30~223に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸26~169に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーは、配列番号107のアミノ酸30~169に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である少なくとも1個のクリプティックファミリータンパク質1Bポリペプチドを含む。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるALK4ポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のALK4ポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4ホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるALK5ポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のALK5ポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5ホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるALK7ポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のALK7ポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK7ホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるActRIIAポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のActRIIAポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIAホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるActRIIBポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のActRIIBポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIBホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるクリプト-1ポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のクリプト-1ポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1ホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるクリプティックポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のクリプティックポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるクリプティック1Bポリペプチドのうちのいずれか)をはじめとする少なくとも2個のクリプティック1Bポリペプチドを含むホモマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1Bホモマルチマーはホモ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK1:ActRIIBヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:ActRIIBヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5:ActRIIBヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK7:ActRIIBヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK1:ActRIIAヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:ActRIIAヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5:ActRIIAヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK7:ActRIIAヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:BMPRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5:BMPRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK7:BMPRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:MISRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5:MISRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK7:MISRIIヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK1:ALK4ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK1:ALK5ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK1:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:ALK5ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK4:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のALK5:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIA:ActRIIBヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIA:BMPRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIA:MISRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIB:BMPRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のActRIIB:MISRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ALK1ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ALK4ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ALK5ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ALK1ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ALK4ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ALK5ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK1ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ALK1ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK4ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ALK4ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK5ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ALK5ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のALK7ポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ALK7ヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ActRIIAヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:ActRIIBヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:BMPRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:MISRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ActRIIAヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:ActRIIBヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:BMPRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:MISRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIAポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ActRIIAヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のActRIIBポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:ActRIIBヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のBMPRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:BMPRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のMISRIIポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプティック1B:MISRIIヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:クリプティックポリペプチドヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプト-1ポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、本開示のクリプト-1:クリプティック1Bヘテロマルチマー複合体は、ヘテロ二量体である。
特定の態様では、本開示は、その断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティックポリペプチド、ならびにその断片、機能的変異体、および改変型(例えば、本明細書中に記載されるもののうちのいずれか)をはじめとする少なくとも1個のクリプティック1Bポリペプチドを含むヘテロマルチマーに関する。特定の好ましい実施形態では、クリプティックポリペプチド:クリプティック1Bヘテロマルチマーは、可溶性である。一部の実施形態では、本開示のクリプティックポリペプチド:クリプティック1Bヘテロマルチマーは、ヘテロ二量体である。
一部の実施形態では、本開示は、治療有効性または安定性(例えば、保存寿命およびin vivoでのタンパク質分解に対する抵抗性)を強化するなどの目的のために、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK4、ALK5、およびALK7)、TGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、BMPRII、およびMISRII)および/またはTGF-βスーパーファミリー共受容体(例えば、クリプト-1、クリプティック、およびクリプティック1B)の構造を改変することにより、機能的変異体を作製することを検討する。変異体は、アミノ酸置換、欠失、付加、またはそれらの組み合わせにより作製することができる。例えば、ロイシンからイソロイシンもしくはバリンへの、アスパラギン酸からグルタミン酸への、トレオニンからセリンへの単独置換、またはあるアミノ酸から構造的に関連するアミノ酸への同様の置換(例えば、保存的突然変異)は、結果として生じる分子の生物学的活性に対して大きな影響を与えないであろうことを期待することは合理的である。保存的置換は、それらの側鎖が関連しているアミノ酸のファミリーの範囲内で行なわれるものである。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列中の変化が機能的ホモログを生じるか否かは、野生型ポリペプチドと同様の様式で細胞中での応答を生じさせるか、または1種以上のTGF-βスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF3、GDF5、GDF1、GDF8、GDF11、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、ノーダルを含む)に結合する、変異体ポリペプチドの能力を評価することにより、容易に決定することができる。
特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させる、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7)、TGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、BMPRII、およびMISRII)および/またはTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチド(例えば、エンドグリン、ベータグリカン、クリプト-1、クリプティック、クリプティック1B、CRIM1、CRIM2、BAMBI、BMPER、RGM-A、RGM-B、およびヘモジュベリン(hemojuvelin))の特異的突然変異を検討する。そのような突然変異は、O結合型またはN結合型グリコシル化部位などの、1箇所以上のグリコシル化部位を導入または除去するために、選択することができる。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般的に、アスパラギン-X-トレオニンまたはアスパラギン-X-セリン(式中、「X」はいずれかのアミノ酸)のトリペプチド配列を含み、この配列は、適切な細胞のグリコシル化酵素により特異的に認識される。変更はまた、ポリペプチドの配列に1個以上のセリンまたはトレオニン残基(O結合型グリコシル化部位)の付加、またはそれによる置換によっても行なうことができる。グリコシル化認識部位の1番目もしくは3番目のアミノ酸の一方または両方での様々なアミノ酸置換または欠失(および/または2番目の位置でのアミノ酸欠失)が、改変されたトリペプチド配列での非グリコシル化を生じさせる。ポリペプチド上の炭水化物部分の数を増大させる別の手段は、ポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによるものである。用いるカップリング法に応じて、糖は、(a) アルギニンおよびヒスチジン;(b) 遊離カルボキシル基;(c) 遊離スルフヒドリル基(システインのものなど);(d) 遊離ヒドロキシル基(セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンのものなど);(e) 芳香族残基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのものなど);または(f) グルタミンのアミド基に連結される。ポリペプチド上に存在する1個以上の炭水化物部分の除去は、化学的および/または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化には、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または同等の化合物へのポリペプチドの曝露を含むことができる。この処理は、アミノ酸配列は完全なままで、連結型の糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除く大部分またはすべての糖の切断を生じる。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら[Meth. Enzymol. (1987) 138:350]により記載されるものなどの、様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用により到達できる。哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞はすべて、異なるグリコシル化パターンを導入する可能性があり、これはペプチドのアミノ酸配列により影響を受け得るので、用いる発現系のタイプに応じて、適宜、ポリペプチドの配列を調整することができる。一般的に、ヒトでの使用のための本開示のヘテロマルチマーは、適正なグリコシル化をもたらす哺乳動物細胞株(HEK293またはCHO細胞株など)で発現させることができるが、他の哺乳動物発現細胞株が同様に有用であることが期待される。
本開示はさらに、突然変異体、特に、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7)、TGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、BMPRII、およびMISRII)および/またはTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチド(例えば、エンドグリン、ベータグリカン、クリプト-1、クリプティック、クリプティック1B、CRIM1、CRIM2、BAMBI、BMPER、RGM-A、RGM-B、およびヘモジュベリン(hemojuvelin))のコンビナトリアル突然変異体のセット、ならびに切断型突然変異体を作製する方法を検討する。コンビナトリアル突然変異体のプールは、機能的に活性な(例えば、リガンド結合性)TGF-βスーパーファミリーI型受容体、TGF-βスーパーファミリーII型受容体、および/またはTGF-βスーパーファミリー共受容体配列を特定するために特に有用である。そのようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、変化した特性(変化した薬物動態または変化したリガンド結合性など)を有するポリペプチド変異体を作製することであり得る。様々なスクリーニングアッセイが以下に提供され、そのようなアッセイは、変異体を評価するために用いることができる。例えば、TGF-β共受容体変異体は、TGF-βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、ノーダル、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン(neurturin)、アルテミン(artemin)、ペルセフィン(persephin)、MIS、およびレフティ)に結合して、TGF-βスーパーファミリーリガンドとTGF-βスーパーファミリー共受容体との結合性を阻害し、かつ/またはTGF-βスーパーファミリーリガンドにより引き起こされるシグナル伝達を妨害する能力について、スクリーニングすることができる。
本開示のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチド(ヘテロマルチマーおよびホモマルチマーを含む)の活性は、例えば、細胞ベースのアッセイまたはin vivoアッセイでも試験することができる。例えば、筋細胞中での筋肉生成に関与する遺伝子の発現またはタンパク質の活性に対するTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドの影響を、評価することができる。これは、必要であれば、1種以上の組み換えTGF-βスーパーファミリーリガンドタンパク質(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、ノーダル、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン(neurturin)、アルテミン(artemin)、ペルセフィン(persephin)、MIS、およびレフティ)の存在下で行なうことができ、TGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドおよび任意によりTGF-βスーパーファミリーリガンドを産生させるように細胞をトランスフェクションすることができる。同様に、本開示のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを、マウスまたは他の動物に投与することができ、筋肉形成および強度などの1種以上の測定値を、当技術分野で認識される方法を用いて評価することができる。同様に、ヘテロマルチマー、またはその変異体の活性は、骨芽細胞、脂肪細胞、および/または神経細胞で、例えば、本明細書中に記載されるアッセイおよび当技術分野での常識であるアッセイにより、これらの細胞の生長に対するいずれかの影響について試験することができる。SMAD応答性リポーター遺伝子をそのような細胞株で用いて、下流のシグナル伝達に対する影響についてモニタリングすることができる。
参照TGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドと比較して増大した選択性または概して増大した効力を有するコンビナトリアル誘導型変異体を作製することができる。そのような変異体は、組み換えDNA構築物から発現される場合、遺伝子療法プロトコールで用いることができる。同様に、突然変異誘発により、対応する未改変TGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する変異体を生じさせることができる。例えば、改変型タンパク質は、未改変型ポリペプチドの破壊その他の不活性化を生じさせるタンパク質分解または他の細胞性プロセシングに対して、より安定であるか、またはより不安定にすることができる。そのような変異体、およびそれらをコードする遺伝子を用いて、ポリペプチドの半減期を変化させることにより、ポリペプチド複合体レベルを変化させることができる。例えば、短い半減期は、より一時的な生物学的作用を生じさせることができ、かつ、誘導性発現系の一部分である場合には、細胞内での組み換えポリペプチド複合体レベルの、より厳密な制御を可能にし得る。Fc融合タンパク質中では、突然変異を、リンカー(もしあれば)および/またはFc部分中に生じさせ、それにより、例えば、免疫原性、半減期、および溶解性をはじめとするTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドの1種以上の活性を変化させることができる。
コンビナトリアルライブラリーは、潜在的なTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチド配列の少なくとも一部分をそれぞれ含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーを用いて作製することができる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列へと酵素的にライゲーションして、潜在的なTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体コードヌクレオチド配列の縮重セットが、個別のポリペプチドとして、あるいは、大型の融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイ用)のセットとして、発現可能とすることができる。
潜在的ホモログのライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から作製することができる、多数の方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を、自動DNA合成機で行なうことができ、続いて、合成遺伝子を発現用の適切なベクターへとライゲーションさせることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である。例えば、Narang, SA (1983) Tetrahedron 39:3;Itakura et al. (1981) Recombinant DNA, Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules, ed. AG Walton, Amsterdam: Elsevier pp273-289;Itakura et al. (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323;Itakura et al. (1984) Science 198:1056;Ike et al. (1983) Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい。そのような技術は、他のタンパク質の標的化型進化で用いられてきた。例えば、Scott et al., (1990) Science 249:386-390;Roberts et al. (1992) PNAS USA 89:2429-2433;Devlin et al. (1990) Science 249: 404-406;Cwirla et al., (1990) PNAS USA 87: 6378-6382;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号を参照されたい。
あるいは、他の形態の突然変異誘発を用いて、コンビナトリアルライブラリーを作製することができる。例えば、本開示のヘテロマルチマーを作製し、例えば、以下の方法を用いてスクリーニングすることにより、ライブラリーから単離することができる:アラニンスキャン突然変異誘発[例えば、Ruf et al. (1994) Biochemistry 33:1565-1572;Wang et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:3095-3099;Balint et al. (1993) Gene 137:109-118;Grodberg et al. (1993) Eur. J. Biochem. 218:597-601;Nagashima et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:2888-2892;Lowman et al. (1991) Biochemistry 30:10832-10838;およびCunningham et al. (1989) Science 244:1081-1085を参照されたい]、リンカースキャン突然変異誘発[例えば、Gustin et al. (1993) Virology 193:653-660;およびBrown et al. (1992) Mol. Cell Biol. 12:2644-2652;McKnight et al. (1982) Science 232:316を参照されたい]、飽和突然変異誘発[例えば、Meyers et al., (1986) Science 232:613を参照されたい]; PCR突然変異誘発[例えば、Leung et al. (1989) Method Cell Mol Biol 1:11-19を参照されたい];または化学的突然変異誘発をはじめとするランダム突然変異誘発[例えば、Miller et al. (1992) A Short Course in Bacterial Genetics, CSHL Press, Cold Spring Harbor, NY;およびGreener et al. (1994) Strategies in Mol Biol 7:32-34を参照されたい]。リンカースキャン突然変異誘発は、特にコンビナトリアル条件では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および/または共受容体ポリペプチドの切断(生体活性)型を特定するための魅力的な方法である。
広範囲の技術が、点突然変異および切断により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするために、かつ、これに関して、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするために、当技術分野で公知である。そのような技術は、一般的に、本開示のヘテロマルチマーのコンビナトリアル突然変異誘発により作製される遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用可能であろう。大型の遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く用いられる技術は、典型的に、遺伝子ライブラリーを複製可能発現ベクター中へとクローニングするステップ、得られたベクターのライブラリーを用いて適切な細胞を形質転換するステップ、および所望の活性の検出が、生成物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を促進する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させるステップを含む。好ましいアッセイとしては、TGF-βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、ノーダル、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン(neurturin)、アルテミン(artemin)、ペルセフィン(persephin)、MIS、およびレフティ)結合性アッセイおよび/またはTGF-βスーパーファミリーリガンド媒介シグナル伝達アッセイが挙げられる。
特定の実施形態では、本開示のヘテロマルチマーTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチド(そのヘテロマルチマーおよびホモマルチマーを含む)は、TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、または共受容体ポリペプチド中に天然に存在するいずれかのものに加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。そのような修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられる。結果として、TGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖、およびリン酸などの非アミノ酸構成要素を含むことができる。TGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドの機能性に対するそのような非アミノ酸構成要素の影響は、他のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチド変異体に関して、本明細書中に記載されている通りに試験することができる。本開示のポリペプチドが、該ポリペプチドの新生型を切断することにより細胞中で生成される場合、翻訳後プロセシングはまた、タンパク質の適正なフォールディングおよび/または機能に対して重要であり得る。種々の細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3またはHEK293)は、そのような翻訳後活性に関する特異的細胞内機構および特徴的メカニズムを有し、かつTGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および/または共受容体ポリペプチドならびにそれを含むヘテロマルチマーの適正な修飾およびプロセシングを確実にするために選択されることができる。
一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドは、1種以上の異種部分をさらに含み(例えば、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドドメインおよびTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドドメインに対して異種である第2のポリペプチドドメインを含むポリペプチド)、それにより、所望の特性が賦与される。例えば、一部の融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離のために特に有用である。そのような融合ドメインの周知の例としては、限定するものではないが、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合性タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられる。アフィニティー精製の目的のために、グルタチオンコンジュゲート化、アミラーゼコンジュゲート化、およびニッケルコンジュゲート化またはコバルトコンジュゲート化樹脂などの、アフィニティークロマトグラフィー用の関連するマトリックスが用いられる。そのようなマトリックスのうちの多くが、Pharmacia GST精製システムおよび(HIS6)融合パートナーを用いて有用なQIAexpressTMシステム(Qiagen社)などの「キット」形態で入手可能である。別の例として、融合ドメインは、ポリペプチドの検出を促進するために選択することができる。そのような検出ドメインの例としては、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびにエピトープタグ」(それに対する特異的抗体が入手可能である、通常は短いペプチド配列)が挙げられる。特異的モノクローナル抗体に対する周知のエピトープタグが容易に入手可能であり、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、およびc-mycタグが挙げられる。一部の場合には、融合ドメインは、Xa因子またはトロンビンに対するものなどの、プロテアーゼ切断部位を有し、これにより、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それによって融合タンパク質から組み換えタンパク質を放出させることが可能になる。続いて、放出されたタンパク質を、引き続くクロマトグラフィー分離に
より融合ドメインから単離することができる。
一部の実施形態では、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドは、ポリペプチドを安定化させることが可能である1箇所以上の改変を含む。例えば、そのような改変は、ポリペプチドのin vitro半減期を増強し、ポリペプチドの循環半減期を増強し、かつ/またはポリペプチドのタンパク質分解を減少させる。そのような安定化改変としては、限定するものではないが、融合タンパク質(例えば、I型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドドメインおよび安定化剤ドメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の改変(例えば、本開示のポリペプチドに対するグリコシル化部位の付加を含む)、および炭水化物部分の改変(例えば、本開示のポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が挙げられる。本明細書中で用いる場合、「安定化剤ドメイン」とは、融合タンパク質の場合と同様の融合ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)のみを意味するのではなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性部分を含む。
融合タンパク質の異なる構成要素(例えば、免疫グロブリンFc融合タンパク質)は、所望の機能性と合致するいずれかの様式で配置することができることが理解される。例えば、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドドメインは、異種ドメインに対してC末端に配置することができ、あるいは、異種ドメインを、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドドメインに対してC末端に配置することができる。TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ドメインと異種ドメインとは、融合タンパク質中で隣り合っている必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列を、いずれかのドメインのC末端もしくはN末端に、またはドメイン間に含めることができる。
例えば、TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、または共受容体融合タンパク質は、式A-B-Cに表わされるアミノ酸配列を含むことができる。B部分は、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドドメインに対応する。A部分およびC部分は、独立して、0個、1個または2個以上のアミノ酸であり得、A部分およびC部分の両方が存在する場合には、Bに対して異種である。Aおよび/またはC部分を。リンカー配列を介してB部分に連結することができる。リンカーは、グリシンリッチ(例えば、2~10個、2~5個、2~4個、2~3個のグリシン残基)であるか、またはグリシンおよびプロリン残基が豊富であり、かつ、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの単独配列もしくはトレオニン/セリンおよび/もしくはグリシンの繰り返し配列(例えば、GGG(配列番号223)、GGGG(配列番号222)、TGGGG(配列番号219)、SGGGG(配列番号220)、TGGG(配列番号217)、GGGS(配列番号221)、またはSGGG(配列番号218))、シングレット、またはリピートを含むことができる。特定の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、または共受容体融合タンパク質は、式A-B-Cに表わされるアミノ酸配列を含み、式中、Aはリーダー(シグナル)配列であり、BはTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドドメインからなり、かつCは、in vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、組織局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製のうちの1つ以上を強化するポリペプチド部分である。特定の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、または共受容体融合タンパク質は、式A-B-Cに表わされるアミノ酸配列を含み、式中、AはTPAリーダー配列であり、BはTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドドメインからなり、かつCは免疫グロブリンFcドメインである。
具体例として、本開示は、免疫グロブリンFcドメインのCH1、CH2、またはCH3ドメインなどの免疫グロブリンの定常ドメインを含むポリペプチドに融合されたTGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、または共受容体ポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に由来するFcドメインが、本明細書中で提供される。CDCまたはADCC活性のいずれかを低減させる他の突然変異が公知であり、かつ、集合的には、これらの変異体のいずれかが本開示中に含められ、本開示のヘテロマルチマーの有益な構成要素として用いられることができる。任意により、配列番号135のIgG1 Fcドメインが、Asp-265、Lys-322、and Asn-434(対応する全長IgG1に従ってナンバリングされている)などの残基での1箇所以上の突然変異を有する。特定の場合には、これらの突然変異のうちの1種以上(例えば、Asp-265突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、Fcγ受容体への低下した結合能を有する。他の場合には、これらの突然変異のうちの1種以上(例えば、Asn-434突然変異)を有する突然変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に対する増大した結合能を有する。
ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に対して用いることができる生来型アミノ酸配列の例が、以下に示される(配列番号135)。点線下線はヒンジ領域を示し、実線下線は天然に存在する変異体を有する位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号135に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。G1Fc中に天然に存在する変異体は、配列番号135中で用いられるナンバリングシステム(Uniprot P01857を参照されたい)に従って、E134DおよびM136Lを含むであろう。
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に対して用いることができる生来型アミノ酸配列の例が、以下に示される(配列番号136)。点線下線はヒンジ領域を示し、二重下線は、配列中にデータベースの矛盾がある位置(UniProt P01859に従って)を示す。部分的には、本開示は、配列番号136に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に対して用いることができるアミノ酸配列の2つの例が、以下に示される。G3Fc中のヒンジ領域は、他のFc鎖中である限り、最大4回であり得、類似する17残基のセグメントが先行する3個の同一の15残基のセグメントを含む。以下に示される第1のG3Fc配列(配列番号137)は、単一の15残基セグメントからなる短いヒンジ領域を含み、一方で、第2のG3Fc配列(配列番号138)は、全長ヒンジ領域を含む。それぞれの場合に、点線下線はヒンジ領域を示し、実線下線はUniProt P01859に従って天然に存在する変異体を有する位置を示す。部分的には、本開示は、配列番号137または138に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
G3Fc中に天然に存在する変異体(例えば、Uniprot P01860を参照されたい)としては、E68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Y(配列番号137で用いられるナンバリングシステムに変換される場合)が挙げられ、本開示は、これらの変異体のうちの1種以上を含むG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。加えて、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、異なるヒンジ長により特徴付けられる構造的多型を示す(Uniprot P01859を参照されたい)。具体的には、変異体WISはV領域の大部分およびCH1領域の全部を欠損している。この変異体は、ヒンジ領域中に通常存在する11個に加えて、7位に余分な鎖間ジスルフィド結合を有する。変異体ZUCは、V領域の段部分、CH1領域の全部、およびヒンジの一部分を欠損する。変異体OMMは、対立遺伝子型または別のガンマ鎖サブクラスを表わすことができる。本開示は、これらの変異体のうちの1種以上を含有するG3Fcドメインを含む追加の融合タンパク質を提供する。
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に対して用いることができる生来型アミノ酸配列の例が、以下に示される(配列番号139)。点線下線はヒンジ領域を示す。部分的には、本開示は、配列番号139に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
Fcドメイン中の様々な遺伝子操作された突然変異が、G1Fc配列(配列番号135)に関して本明細書中に提示され、G2Fc、G3Fc、およびG4Fc中の類似する突然変異は、図4のG1Fcとそれらのアライメントから誘導することができる。不均一なヒンジ長に起因して、アイソタイプアライメント(図4)に基づく類似Fc位置は、配列番号135、136、137、および139中では異なるアミノ酸数を有する。ヒンジ、CH2、およびCH3領域からなる免疫グロブリン配列(例えば、配列番号135、136、137、138、または139)中の所与のアミノ酸位置は、ナンバリングが、Uniprotデータベース中と同様に全長IgG1重鎖定常ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3領域からなる)を包含する場合には、同じ位置とは異なる数字により特定されるであろうこともまた、理解できる。例えば、ヒトG1Fc配列(配列番号135)、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(Uniprot P01857)、およびヒトIgG1重鎖中の選択されたCH3位置同士の対応は、以下の通りである。
特定の態様では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチド(例えば、本明細書中に記載されるもの)は、共有的または非共有的に、少なくとも1個の追加のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドと共に、ヘテロマルチマーを形成することができる。当技術分野で公知の多数の方法を、ヘテロマルチマーを作製するために用いることができる。例えば、天然に存在しないジスルフィド結合を、第1のポリペプチド(例えば、TGF-βスーパーファミリーI型ポリペプチド)上の天然に存在するアミノ酸を、システインなどの遊離のチオール含有残基と置き換えることにより構築することができ、それにより、該遊離チオールが第2のポリペプチド(例えば、TGF-βスーパーファミリーII型ポリペプチド)上の別のチオール含有残基と相互作用して、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間にジスルフィド結合を形成させる。ヘテロマルチマー形成を促進するための相互作用の追加の例としては、限定するものではないが、Kjaergaardら、国際公開第2007147901号に記載されるものなどのイオン性相互作用; Kannanら、米国特許第8,592,562号に記載されるものなどの静電的誘導効果(electrostatic steering effect); Christensenら、米国特許出願公開第20120302737号に記載されるものなどのコイルドコイル相互作用; Pack & Plueckthun,(1992) Biochemistry 31: 1579-1584に記載されるものなどのロイシンジッパー;およびPack et al., (1993) Bio/Technology 11: 1271-1277に記載されるものなどのヘリックス・ターン・ヘリックスモチーフが挙げられる。種々のセグメントの連結を、例えば、化学的架橋、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などの共有結合、またはビオチン-アビジンもしくはロイシンジッパー技術などによる親和性相互作用を介して、得ることができる。好ましくは、本明細書中に開示されるポリペプチドはヘテロ二量体を形成するが、限定するものではないが、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、およびさらなるアリゴマー構造などのより高次のヘテロマルチマーもまた含められる(例えば、図5および6を参照されたい)。
一部の実施形態では、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および/または共受容体ポリペプチドは、少なくとも1個のマルチマー化ドメインを含む。本明細書中で開示される場合、用語「マルチマー化ドメイン」とは、少なくとも第1のポリペプチドと少なくとも第2のポリペプチドとの間の共有的または非共有的相互作用を促進する、アミノ酸またはアミノ酸の配列を意味する。本明細書中に開示されるポリペプチドは、マルチマー化ドメインへと、共有的または非共有的に連結させることができる。一部の実施形態では、マルチマー化ドメインは、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間の相互作用を促進して、ヘテロマルチマー形成(例えば、ヘテロ二量体形成)を促し、任意により、ホモマルチマー形成(例えば、ホモ二量体形成)を妨げるかまたはそれ以外の様式で不利にして、所望のヘテロマルチマーの収率を増大させる(例えば、図5および6を参照されたい)。
特定の態様では、マルチマー化ドメインは、相互作用ペアのうちの一方の構成要素を含むことができる。一部の実施形態では、本開示のポリペプチドは、第2のポリペプチドと共有的または非共有的に会合している第1のポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成することができ、このとき、該第1のポリペプチドは、第1のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列を含み;かつ、該第2のポリペプチドは、第2のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含む。機能的実施形態はまた、ホモ二量体複合体を形成することができる相互作用ペアを利用することができるが、相互作用ペアは、相互作用して複合体、特にヘテロ二量体複合体を形成するいずれかの2種類のポリペプチド配列であり得る。相互作用ペアは、増大した血清半減期などの改善された特性/活性を賦与するか、または別の部分が連結されて改善された特性/活性を提供するアダプターとして作用するように選択することができる。例えば、ポリエチレングリコール部分を、相互作用ペアの一方または両方の構成要素に連結して、改善された血清半減期などの改善された特性/活性を提供することができる。
相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、非対称的ペアであり得、これは、該ペアのメンバー同士が、自己会合ではなく優先的に互いに会合することを意味する。したがって、非対称的相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、会合して、例えば、ヘテロ二量体複合体を形成することができる(例えば、図5Aおよび5Bを参照されたい)。あるいは、相互作用ペアは、未誘導型(unguided)であり得、このことは、ペアのメンバーが互いに会合するか、または実質的な優先度なしに自己会合することができ、つまり、同じかまたは異なるアミノ酸配列を有することができることを意味する。したがって、未誘導型相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、会合して、ホモ二量体複合体またはヘテロ二量体複合体を形成することができる。任意により、相互作用ペア(例えば、非対称的ペアまたは未誘導型相互作用ペア)の第1のメンバーは、相互作用ペアの第2のメンバーと共有的に会合する。任意により、相互作用ペア(例えば、非対称的ペアまたは未ガイド相互作用ペア)の第1のメンバーは、相互作用ペアの第2のメンバーと非共有的に会合する。
非対称的な免疫グロブリンベースのタンパク質の、単一細胞株からの大規模生成で生じる問題は、「鎖会合問題」(chain association issue)として知られる。二重特異的抗体の生成で顕著に立ちはだかった通りに、鎖会合問題は、異なる重鎖および/または軽鎖を単一細胞株で生成させる場合に生来的に生じる複数の組み合わせの中から、所望のマルチ鎖タンパク質を効率よく生成させることの困難性に関連する(例えば、Klein et al (2012) mAbs 4:653-663を参照されたい)。この問題は、2種類の異なる重鎖および2種類の異なる軽鎖が同じ細胞で生成される場合(この場合、1種類のみが典型的に望まれている際に、合計16種類の考えられる鎖の組み合わせ(これらの一部は同一であるが)がある)に最も急務である。それでもなお、同じ原則が、2種類のみの(非対称的な)重鎖を組み込んだ所望のマルチ鎖融合タンパク質の収率低下の主因となる。
好ましい非対称的融合タンパク質を許容できる収率で生成させるために、単一細胞株中でのFc含有融合ポリペプチド鎖の所望の対形成を増大させる、様々な方法が当技術分野で公知である(例えば、Klein et al (2012) mAbs 4:653-663;およびSpiess et al (2015) Molecular Immunology 67(2A): 95-106を参照されたい)。Fc含有鎖の所望の対形成を取得するための方法としては、限定するものではないが、電荷ベースの対形成(静電的誘導)、「隆起の嵌入」(knobs-into-holes)立体的対形成、SEED体(SEEDbody)対形成、およびロイシンジッパーベースの対形成が挙げられる。例えば、Ridgway et al (1996) Protein Eng 9:617-621;Merchant et al (1998) Nat Biotech 16:677-681;Davis et al (2010) Protein Eng Des Sel 23:195-202;Gunasekaran et al (2010);285:19637-19646;Wranik et al (2012) J Biol Chem 287:43331-43339;米国特許第5932448号;国際公開第1993/011162号;同第2009/089004号、および同第2011/034605号を参照されたい。本明細書中に記載される通り、これらの方法は、2個以上のTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含むヘテロ二量体を作製するために用いることができる。図5および6を参照されたい。
例えば、特異的ポリペプチド間の相互作用を促進することができる1つの手段は、空洞への突起挿入(protuberance-into-cavity(knob-into-holes))相補的領域を遺伝子操作することによるものである(Arathoonら、米国特許第7,183,076号およびCarterら、同第5,731,168号に記載されるものなど)。「突起」は、第1のポリペプチド(例えば、第1の相互作用ペア)の界面の小型アミノ酸側鎖を、大型側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)へと置き換えることにより、構築することができる。突起と同一または類似のサイズの相補的「空洞」を、大型アミノ酸側鎖を比較的小さいもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)へと置き換えることにより、任意により、第2のポリペプチド(例えば、第2の相互作用ペア)の界面上に作製する。好適な配置および寸法を有する突起または空洞が第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドのいずれかの界面上に存在する場合、隣り合う界面に、対応する空洞または突起をそれぞれ遺伝子操作することだけが必要である。
中性pH(7.0)では、アスパラギン酸およびグルタミン酸は負に荷電し、リジン、アルギニン、およびヒスチジンは正に荷電する。これらの荷電残基は、ヘテロ二量体形成を促進するために、かつ同時にホモ二量体形成を妨害するために、用いることができる。誘因性の相互作用が、逆の電荷間で生じ、反発性の相互作用が、類似の荷電同士の間で生じる。部分的には、本明細書中に開示されるタンパク質複合体は、荷電界面残基の部位特異的突然変異誘発を行なうことにより、ヘテロマルチマー形成(例えば、ヘテロ二量体形成)のために誘因性相互作用を用い、任意により、ホモ二量体形成(例えば、ホモ二量体形成)を妨害するために反発性相互作用を用いる。
例えば、IgG1 CH3ドメイン界面は、ドメイン間相互作用に関与する以下の4箇所の固有の荷電残基対を含む:Asp356-Lys439'、Glu357-Lys370'、Lys392-Asp399'、およびAsp399-Lys409'(第2鎖中の残基ナンバリングは、(')により示す)。IgG1 CH3ドメイン中の残基に割り当てるために本明細書中で用いるナンバリング法は、KabatのEUナンバリング法に合わせてあることに留意されたい。CH3-CH3ドメイン相互作用中に存在する2倍対称に起因して、各固有の相互作用は、構造中に2回現われるであろう(例えば、Asp-399-Lys409'およびLys409-Asp399')。野生型配列中では、K409-D399'は、ヘテロ二量体およびホモ二量体両方の形成に都合がよい。第1鎖中の荷電極性を切り替える単一突然変異(例えば、K409E;正の電荷から負の電荷へ)は、第1鎖ホモ二量体の形成に対して不利な相互作用をもたらす。不利な相互作用は、同じ電荷同士(負と負;K409E-D399'およびD399-K409E')の間で生じる反発性相互作用によって発生する。第2鎖中の荷電極性を切り替える類似の突然変異(D399K';負から正へ)は、第2鎖ホモ二量体の形成に対して不利な相互作用をもたらす(K409'-D399K'およびD399K-K409')。しかし同時に、2箇所の突然変異(K409EおよびD399K')は、ヘテロ二量体形成に対して有利な相互作用をもたらす(K409E-D399K'およびD399-K409')。
ヘテロ二量体形成およびホモ二量体阻止に対する静電的誘導効果(electrostatic steering effect)は、例えば、Arg355およびLys360をはじめとする第2鎖での逆に荷電した残基と対形成ができるかまたはできない追加の荷電残基の突然変異により、さらに強化することができる。以下の表2は、本明細書中に開示されるヘテロマルチマーのヘテロマルチマー形成を増強するために、単独または組み合わせで用いることができる、考えられる電荷変更突然変異を列記する。
一部の実施形態では、本願の融合タンパク質中にCH3-CH3界面を生成させる1個以上の残基を、荷電アミノ酸を用いて置き換えて、それにより、相互作用が静電的に不利になるようにする。例えば、界面中の正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、またはヒスチジン)を、負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)を用いて置き換える。あるいは、または上記の置換と組み合わせて、界面中の負に荷電したアミノ酸を、正に荷電したアミノ酸を用いて置き換える。特定の実施形態では、アミノ酸を、所望の電荷特性を有する天然に存在しないアミノ酸を用いて置き換える。負に荷電した残基(AspまたはGlu)からHisへの突然変異は、側鎖体積を増加させ、このことが、立体的な問題を引き起こす場合があることに留意すべきである。さらに、Hisタンパク質ドナー型およびアクセプター型は、局在する環境に依存する。これらの問題は、設計戦略と共に考慮されるべきである。界面残基はヒトおよびマウスIgGサブクラスで高度に保存されているので、本明細書中に開示される静電的誘導効果を、ヒトおよびマウスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に適用することができる。この戦略はまた、CH3ドメイン界面の非荷電残基を荷電残基へと改変することにまで広げることができる。
部分的には、本開示は、電荷対形成(静電的誘導)に基づいて相補的となるように遺伝子操作されたFc配列を用いる、非対称的Fc含有ポリペプチド鎖の所望の対形成を提供する。静電的相補性を有するFc配列同士のペアのうちの一方を、任意的なリンカーを用いるかまたは用いずに、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドと任意的に融合させて、TGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体受容体融合ポリペプチドを作製することができる。この1本の鎖を、第1のFcに対して相補的なFc配列と共に選択された細胞で共発現させて、所望のマルチ鎖構築物の作製を有利にさせることができる(例えば、TGF-βスーパーファミリーヘテロマルチマー)。静電的誘導に基づくこの例では、配列番号140(ヒトG1Fc(E134K/D177K))および配列番号141(ヒトG1Fc(K170D/K187D))が、相補的Fc配列の例であり(遺伝子操作されたアミノ酸置換には二重下線が施されている)、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体ポリペプチドを、配列番号140または配列番号141のいずれか(両方ではない)に融合させることができる。生来型hG1Fc、生来型hG2Fc、生来型hG3Fc、および生来型hG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fc中の対応する位置(図4を参照されたい)でのアミノ酸置換により、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号140および141)の代わりに用いることができる相補的Fcペアが生成されるであろうことは理解できる。
部分的には、本開示は、立体的相補性に関して遺伝子操作されたFc配列を用いる、非対称的Fc含有ポリペプチド鎖の所望の対形成を提供する。部分的には、本開示は、立体的相補性の一例として、隆起嵌入(knobs-into-holes)対形成を提供する。立体的相補性を有するFc配列のペアのうちの一方を、任意的なリンカーを用いるかまたは用いずに、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドと任意的に融合させて、TGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体融合ポリペプチドを作製することができる。この1本の鎖を、第1のFcに対して相補的なFc配列と共に選択された細胞で共発現させて、所望のマルチ鎖構築物の作製を有利にさせることができる。隆起嵌入対形成に基づくこの例では、配列番号142(ヒトG1Fc(T144Y))および配列番号143(ヒトG1Fc(Y185T))が、相補的Fc配列の例であり(遺伝子操作されたアミノ酸置換には二重下線が施されている)、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドを、配列番号142または配列番号143のいずれか(両方ではない)に融合させることができる。生来型hG1Fc、生来型hG2Fc、生来型hG3Fc、および生来型hG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fc中の対応する位置(図4を参照されたい)でのアミノ酸置換により、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号142および143)の代わりに用いることができる相補的Fcペアが生成されるであろうことは理解できる。
遺伝子操作されたジスルフィド結合と組み合わせた隆起嵌入対形成に基づくFc相補性の例が、配列番号144(hG1Fc(S132C/T144W))および配列番号145(hG1Fc(Y127C/T144S/L146A/Y185V))に開示される。これらの配列中の遺伝子操作されたアミノ酸置換には二重下線が施され、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体を、配列番号144または配列番号145のいずれか(両方ではない)に融合させることができる。生来型hG1Fc、生来型hG2Fc、生来型hG3Fc、および生来型hG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fc中の対応する位置(図4を参照されたい)でのアミノ酸置換により、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号144および145)の代わりに用いることができる相補的Fcペアが生成されるであろうことは理解できる。
部分的には、本開示は、ヒトIgGおよびIgA CH3ドメインの相互嵌合するβ鎖セグメントを作製するために遺伝子操作されたFc配列を用いる、非対称的Fc含有ポリペプチド鎖の所望の対形成を提供する。そのような方法としては、SEED体(SEEDbody)融合タンパク質の形成を可能にする、鎖交換遺伝子操作型ドメイン(SEED)CH3ヘテロ二量体の使用が挙げられる(例えば、Davis et al (2010) Protein Eng Design Sel 23:195-202を参照されたい)。SEED体相補性を有するFc配列のペアのうちの一方を、任意的なリンカーを用いるかまたは用いずに、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドと任意的に融合させて、TGF-βスーパーファミリー融合ポリペプチドを作製することができる。この1本の鎖を、第1のFcに対して相補的なFc配列と共に選択された細胞で共発現させて、所望のマルチ鎖構築物の作製を有利にさせることができる。SEED体(Sb)対形成に基づくこの例では、配列番号146(hG1Fc(SbAG))および配列番号147(hG1Fc(SbGA))が、相補的IgG Fc配列の例であり(IgA Fcから遺伝子操作されたアミノ酸置換には二重下線が施されている)、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体ポリペプチドを、配列番号146または配列番号147のいずれか(両方ではない)に融合させることができる。生来型hG1Fc、生来型hG2Fc、生来型hG3Fc、および生来型hG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG1Fc、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fc中の対応する位置(図4を参照されたい)でのアミノ酸置換により、下記の相補的IgG-IgAペア(配列番号146および147)で用いることができるFc単量体が生成されるであろうことは理解できる。
部分的には、本開示は、Fc CH3ドメインのC末端に連結された切断可能なロイシンジッパードメインを用いる、非対称的Fc含有ポリペプチド鎖の所望の対形成を提供する。ロイシンジッパーの連結は、ヘテロ二量体型抗体重鎖の優先的なアッセンブリを引き起こすために十分である。例えば、Wranik et al (2012) J Biol Chem 287:43331-43339を参照されたい。本明細書中に開示される通り、ロイシンジッパー形成性鎖に連結されたFc配列のペアのうちの一方を、任意的なリンカーを用いるかまたは用いずに、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチドと任意的に融合させて、TGF-βスーパーファミリー融合ポリペプチドを作製することができる。この1本の鎖を、相補的なロイシンジッパー形成性鎖に連結されたFc配列と共に選択された細胞で共発現させて、所望のマルチ鎖構築物の作製を有利にさせることができる。精製後の細菌性エンドプロテイナーゼLys-Cを用いた構築物のタンパク質分解消化により、ロイシンジッパードメインを放出させることができ、これにより、その構造が生来型Fcのものと同一であるFc構築物が生じる。ロイシンジッパー対形成に基づくこの例では、配列番号148(hG1Fc-Ap1(酸性))および配列番号149(hG1Fc-Bp1(塩基性))が、相補的IgG Fc配列の例であり(遺伝子操作された相補的ロイシンジッパー配列には下線が施されている)、構築物のTGF-βスーパーファミリーI型、II型、または共受容体ポリペプチドまたは共受容体ポリペプチドを、配列番号148または配列番号149のいずれか(両方ではない)に融合させることができる。生来型hG1Fc、生来型hG2Fc、生来型hG3Fc、および生来型hG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG1Fc、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fcへと、任意的なリンカーを用いるかまたは用いずに、連結されたロイシンジッパー形成性配列(図4を参照されたい)により、下記のロイシンジッパー形成性ペア(配列番号148および149)で用いることができるFc単量体が生成されるであろうことは理解できる。
好ましい実施形態では、本明細書中に記載される方法に従って用いられる対象である、そのヘテロマルチマーおよびホモマルチマーをはじめとするTGF-βスーパーファミリー受容体ポリペプチドは、単離されたポリペプチド複合体である。本明細書中で用いる場合、単離されたタンパク質(またはタンパク質複合体)またはポリペプチド(またはポリペプチド複合体)は、その天然の環境の構成成分から分離されているものである。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマー複合体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)により決定される場合に、95%、96%、97%、98%、または99%を超える純度まで精製される。抗体純度を評価するための方法は、当技術分野で周知である(例えば、Flatman et al., (2007) J. Chromatogr. B 848:79-87を参照されたい。一部の実施形態では、本開示のヘテロマルチマー調製物は、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドホモマルチマー、TGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドホモマルチマー、および/またはTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチドホモマルチマーを実質的に含まない。例えば、一部の実施形態では、ヘテロマルチマー調製物は、約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドホモマルチマーを含む。一部の実施形態では、ヘテロマルチマー調製物は、約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドホモマルチマーを含む。一部の実施形態では、ヘテロマルチマー調製物は、約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチドホモマルチマーを含む。一部の実施形態では、ヘテロマルチマー調製物は、約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドホモマルチマーおよび約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチドホモマルチマーを含む。一部の実施形態では、ヘテロマルチマー調製物は、約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドホモマルチマーおよび約10%、9%、8%、7%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満のTGF-βスーパーファミリー共受容体ポリペプチドホモマルチマーを含む。
特定の実施形態では、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、または共受容体ポリペプチド、ならびにそれらのヘテロマルチマー複合体は、種々の当技術分野で公知の技術により作製することができる。例えば、本開示のポリペプチドは、Bodansky、M. Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag, Berlin (1993)およびGrant G. A. (ed.), Synthetic Peptides: A User's Guide, W. H. Freeman and Company, New York (1992)に記載されるものなどの、標準的なタンパク質化学技術を用いて合成することができる。加えて、自動化ペプチド合成機が市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600を参照されたい)。あるいは、本開示のポリペプチドおよび複合体(それらの断片または変異体を含む)は、種々の発現系(例えば、大腸菌、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を、当技術分野で周知の通りに用いて、組み換え的に産生させることができる。さらなる実施形態では、本開示の改変型または未改変型ポリペプチドは、例えば、トリプシン、テルモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対形成塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を用いた、組み換え的に産生された全長TGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および/または共受容体ポリペプチドの消化により生成させることができる。コンピュータ分析(市販のソフトウェア、例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation, Inc.を用いる)を、タンパク質分解切断部位を特定するために用いることができる。
3. TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および共受容体ポリペプチドをコードする核酸
特定の実施形態では、本開示は、本明細書中に開示されるTGF-βスーパーファミリーI型受容体、II型受容体、および共受容体(それらの断片、機能的変異体、および融合タンパク質を含む)をコードする単離型および/または組み換え核酸を提供する。例えば、配列番号13は、天然に存在するヒトActRIIA前駆体ポリペプチドをコードし、一方で、配列番号14は、ActRIIAのプロセシングされた細胞外ドメインをコードする。対象である核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。そのような核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、本開示のTGF-βスーパーファミリーヘテロマルチマーを作製するための方法で用いることができる。
本明細書中で用いる場合、単離された核酸とは、その天然の環境の構成成分から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸としては、通常は該核酸分子を含有する細胞中に含有されるが、該核酸分子は、染色体外に、またはその天然の染色体上の位置とは異なる染色体上の位置に存在する、核酸分子が挙げられる。
特定の実施形態では、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210、ならびにその変異体のうちの1種の核酸を含むと理解される。変異体ヌクレオチド配列としては、対立遺伝子変異体をはじめとする、1箇所以上のヌクレオチド置換、付加、または欠失により異なる配列が挙げられ、したがって、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210のうちのいずれか1種に指定されるヌクレオチド配列とは異なるコード配列を含むであろう。
特定の実施形態では、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドは、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である単離型または組み換え核酸配列によりコードされる。当業者は、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210に相補的な配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である核酸配列もまた本開示の範囲内に入ることを理解するであろう。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離されているか、組み換えであるか、かつ/もしくは異種ヌクレオチド配列と融合されているか、またはDNAライブラリー中の核酸配列であり得る。
他の実施形態では、本開示の核酸としては、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210に指定されるヌクレオチド配列、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210の相補体配列、またはその断片に、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列もまた挙げられる。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシーの条件が様々であり得ることを容易に理解するであろう。例えば、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、約45℃でのハイブリダイゼーション、それに続く2.0×SSC、50℃での洗浄を行なうことができるであろう。例えば、洗浄ステップ中の塩濃度は、約2.0×SSC、50℃での低ストリンジェンシーから、約0.2×SSC、50℃での高ストリンジェンシーまでの間から選択することができる。加えて、洗浄ステップの温度は、室温(約22℃)での低ストリンジェンシー条件から、約65℃での高ストリンジェンシー条件まで上昇させることができる。温度および塩の両方を変化させることができ、または、温度もしくは塩濃度を一定に保ちながら、他の変数を変更することができる。一実施形態では、本開示は、6×SSC、室温の低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、それに続く2×SSC、室温での洗浄を行なった核酸を提供する。
遺伝的コードの縮重に起因して、配列番号7、8、13、14、35、37、39、41、43、45、47、49、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、179、183、185、186、191、194、195、200、203、および210に表わされる通りの核酸からは異なる単離された核酸もまた、本開示の範囲内に入る。例えば、多数のアミノ酸が、2種類以上の三連塩基により指定される。同じアミノ酸を特定するコドン、またはシノニム(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンに対するシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」突然変異を生じ得る。しかしながら、対象であるタンパク質のアミノ酸配列での変更を生じるDNA配列多型が、哺乳動物細胞の間に存在するであろうことが予期される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸のうちの1箇所以上のヌクレオチド(例えば、最大でヌクレオチドのうちの約3~5%)でのこれらの変異が、天然の対立遺伝子変異に起因して所与の生物種の個体間で存在し得ることを理解するであろう。いずれかおよびすべてのそのようなヌクレオチド変異ならびに結果として生じるアミノ酸多型は、本開示の範囲内に入る。
特定の実施形態では、本開示の組み換え核酸は、発現構築物中で1種以上の調節ヌクレオチド配列に機能的に連結されていることができる。調節ヌクレオチド配列は、発現用に用いられる宿主細胞に一般的に適切であろう。多数のタイプの適切な発現ベクターおよび好適な調節配列が、様々な宿主細胞に対して当技術分野で公知である。典型的には、該1種以上の調節ヌクレオチド配列としては、限定するものではないが、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合性部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が挙げられる。当技術分野で公知の通りの構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターが、本開示により意図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーターか、2種類以上のプロモーターのエレメントを組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドなどのエピソーム上で細胞中に存在することができ、または発現構築物は染色体に挿入されることができる。一部の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含有する。選択可能マーカー遺伝子は当技術分野で周知であり、かつ用いる宿主細胞と共に変わるであろう。
本開示の特定の態様では、対象である核酸は、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドをコードし、かつ少なくとも1種の調節配列に機能的に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供される。調節配列は、当技術分野で認識され、かつTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの発現を指示するために選択される。したがって、調節配列との用語は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントを含む。例示的調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。例えば、それが機能的に連結された場合にDNA配列の発現を制御する広範な発現制御配列のうちのいずれかを、これらのベクター中で用いて、それによりTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼにより指向されるT7プロモーター、λファージの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fd外被タンパク質に対する制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼまたは他の解糖系酵素に対するプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母α-接合因子のプロモーター、バキュロウイルスシステムのポリヘドロンプロモーターおよび原核細胞もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、ならびにそれらの種々の組み合わせが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現が指示されるタンパク質のタイプなどの因子に依存し得ることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力、および抗生物質マーカーなどのベクターによりコードされるいずれかの他のタンパク質の発現もまた、考慮されるべきである。
本開示の組み換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)のいずれかまたはその両方での発現に対して好適なベクター中へとライゲーションすることにより、作製することができる。組み換えTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの生成のための発現ビヒクルとしては、プラスミドおよびその他のベクターが挙げられる。例えば、好適なベクターとしては、以下のタイプのプラスミドが挙げられる:大腸菌などの原核細胞での発現に対して、pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来プラスミド。
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を容易にするための原核生物配列、および真核細胞中で発現される1個以上の真核生物転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに対して好適な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターの一部は、原核細胞および真核細胞の両方で複製および薬物抵抗性選択を容易にするために、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列を用いて改変される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)、またはEBウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)などのウイルスの誘導体を、真核細胞中でのタンパク質の一時的発現のために用いることができる。他のウイスル(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子療法送達システムの説明中で、下記に見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換で用いられる様々な方法は、当技術分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方に対する他の好適な発現系、ならびに一般的な組み換え手順については、例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 3rd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)を参照されたい。一部の場合には、バキュロウイルス発現系を用いて組み換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。そのような発現系の例としては、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393およびpVL941など)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(β-gal含有pBlueBac IIIなど)が挙げられる。
好ましい実施形態では、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)などのベクターは、CHO細胞中での、対象であるTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの生成のために設計されるであろう。明らかであろう通り、対象である遺伝子構築物を用いて、例えば、精製のために、融合タンパク質または変異体タンパク質をはじめとするタンパク質を生成させる目的で、対象であるTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの発現を引き起こすことができる。
本開示はまた。対象であるTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドのうちの1種以上に対するコード配列を含む組み換え遺伝子を用いてトランスフェクションされた宿主細胞にも関する。宿主細胞は、いずれかの原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本開示のTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドを、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いて)、酵母、または哺乳動物細胞[例えば、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞株]中で発現させることができる。他の好適な宿主細胞が、当業者に公知である。
したがって、本開示はさらに、対象であるTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの生成方法に関する。例えば、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドをコードする発現ベクターを用いてトランスフェクションされた宿主細胞を、適切な条件下で培養して、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの発現を生じさせることができる。ポリペプチドを分泌させて、細胞およびポリペプチドを含有する培地の混合物から単離することができる。あるいは、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドは、回収および溶解された細胞から取得される細胞質または膜画分から単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副生成物を含む。細胞培養用の好適な培地は、当技術分野で周知である。対象であるポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、限外ろ過、電気泳動、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの特定のエピトープに対して特異的な抗体を用いる免疫アフィニティー精製ならびにTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドに融合したドメインに結合する薬剤を用いるアフィニティー精製(例えば、プロテインAカラムを、TGF-βスーパーファミリーI型受容体-Fc融合タンパク質、II型受容体-Fc融合タンパク質、および/または共受容体-Fc融合タンパク質を精製するために用いることができる)をはじめとするタンパク質を精製するために、当技術分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
一部の実施形態では、精製は、例えば、以下のステップのうちの3種以上をいずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了することができるであろう。TGF-βスーパーファミリーI型受容体-Fc融合タンパク質、II型受容体-Fc融合タンパク質、および/または共受容体-Fc融合タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される場合に90%超、95%超、96%超、98%超、または99%超の純度、およびSDS-PAGEにより測定される場合に90%超、95%超、96%超、98%超、または99%超の純度まで、精製することができる。純度の標的レベルは、哺乳動物系、特に非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス)、およびヒトでの所望の結果を達成するために十分なものであるべきである。
別の実施形態では、組み換えTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドの所望の部分のN末端の精製リーダー配列(ポリ(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列など)をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いるアフィニティークロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。その後、続いて、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼを用いる処理により除去して、精製されたTGF-βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド、II型受容体ポリペプチド、および/または共受容体ポリペプチドを提供することができる。例えば、Hochuli et al. (1987) J. Chromatography 411:177;およびJanknecht et al. (1991) PNAS USA 88:8972を参照されたい。
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的には、ライゲーション用の平滑末端またはジグザグ末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切な場合にコヒーシブ末端の埋め合わせ、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、ならびに酵素的ライゲーションを用いて、慣用の技術に従って、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片同士の連結を行なう。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動化DNA合成機をはじめとする慣用の技術により合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅を、キメラ型遺伝子配列を生成するためにその後にアニーリングすることができる、2個の連続的な遺伝子断片間の相補的なオーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて、行なうことができる。例えば、Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel et al., John Wiley & Sons: 1992を参照されたい。
4. 抗体アンタゴニスト
特定の態様では、本明細書中に開示される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、抗体(アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト抗体)、または抗体の組み合わせである。アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、例えば、1種以上のActRIIリガンド(例えば、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、および/またはアクチビンBEなど)、GDF8、GDF3、GDF1、GDF11、ノーダル、および/またはGDF3)、ActRII受容体(ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(ALK4、ALK5、および/またはALK7)、および/またはそれらの共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合することができる、本明細書中に記載される通り、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト抗体は、単独で、または1種以上の補助的療法もしくは活性薬剤と組み合わせて、腎臓疾患を治療するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療するか、予防するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、用いることができる。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともアクチビンに結合する。本明細書中で用いる場合、アクチビン抗体(または抗アクチビン抗体)とは、一般的に、該抗体がアクチビンを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってアクチビンに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、アクチビン抗体が、無関係の非アクチビンタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、アクチビンに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、アクチビン抗体は、異なる生物種由来のアクチビン間で保存されているアクチビンのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗アクチビン抗体は、ヒトアクチビンに結合する。一部の実施形態では、アクチビン抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からアクチビンを阻害することができ、つまり、アクチビン媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、アクチビン抗体は、ActRII共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に対する結合性からアクチビンを阻害することができ、つまり、アクチビン媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。アクチビンAは、アクチビンBに対して類似する配列相同性を有し、したがって、アクチビンAに結合する抗体が、一部の場合には、アクチビンBにも結合し、かつ/またはこれを阻害することができ、これは抗アクチビンB抗体にも適用されることに留意すべきである。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、アクチビンに結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、アクチビンに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、アクチビン抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、アクチビンA抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF8を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF8に結合する。本明細書中で用いる場合、GDF8抗体(または抗GDF8抗体)とは、一般的に、該抗体がGDF8を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってGDF8に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、GDF8抗体が、無関係の非GDF8タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、GDF8に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、GDF8抗体は、異なる生物種由来のGDF8間で保存されているGDF8のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗GDF8抗体は、ヒトGDF8に結合する。一部の実施形態では、GDF8抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からGDF8を阻害することができ、つまり、GDF8媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDF8抗体は、共受容体に対する結合性からGDF8を阻害することができ、つまり、GDF8媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。GDF8は、GDF11に対して類似する配列相同性を有し、したがって、GDF8に結合する抗体が、一部の場合には、GDF11にも結合し、かつ/またはこれを阻害できることに留意すべきである。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、GDF8に結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF11、GD
F3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、GDF8に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、GDF8抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、GDF8抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF11を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF11に結合する。本明細書中で用いる場合、GDF11抗体(または抗GDF11抗体)とは、一般的に、該抗体がGDF11を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってGDF11に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、GDF11抗体が、無関係の非GDF11タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、GDF11に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、GDF11抗体は、異なる生物種由来のGDF11間で保存されているGDF11のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗GDF11抗体は、ヒトGDF11に結合する。一部の実施形態では、GDF11抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からGDF11を阻害することができ、つまり、GDF11媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDF11抗体は、共受容体に対する結合性からGDF11を阻害することができ、つまり、GDF11媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。GDF11は、GDF8に対して類似する配列相同性を有し、したがって、GDF11に結合する抗体が、一部の場合には、GDF8にも結合し、かつ/またはこれを阻害できることに留意すべきである。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、GDF11に結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、GDF11に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、GDF11抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、GDF11抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF1を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF1に結合する。本明細書中で用いる場合、GDF1抗体(または抗GDF1抗体)とは、一般的に、該抗体がGDF1を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってGDF1に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、GDF1抗体が、無関係の非GDF1タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、GDF1に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、GDF1抗体は、異なる生物種由来のGDF1間で保存されているGDF1のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗GDF1抗体は、ヒトGDF1に結合する。一部の実施形態では、GDF1抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からGDF1を阻害することができ、つまり、GDF1媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDF1抗体は、共受容体に対する結合性からGDF1を阻害することができ、つまり、GDF1媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、GDF1に結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF3、ノーダルおよび/またはGDF11)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、GDF1に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、GDF1抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、GDF1抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともGDF3に結合する。本明細書中で用いる場合、GDF3抗体(または抗GDF3抗体)とは、一般的に、該抗体がGDF3を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってGDF3に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、GDF3抗体が、無関係の非GDF3タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、GDF3に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、GDF3抗体は、異なる生物種由来のGDF3間で保存されているGDF3のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗GDF3抗体は、ヒトGDF3に結合する。一部の実施形態では、GDF3抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からGDF3を阻害することができ、つまり、GDF3媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDF3抗体は、共受容体に対する結合性からGDF3を阻害することができ、つまり、GDF3媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、GDF3に結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF1、ノーダルおよび/またはGDF11)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、GDF3に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、GDF3抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、GDF3抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともノーダルを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともノーダルに結合する。本明細書中で用いる場合、ノーダル抗体(または抗ノーダル抗体)とは、一般的に、該抗体がノーダルを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってノーダルに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ノーダル抗体が、無関係の非ノーダルタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ノーダルに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ノーダル抗体は、異なる生物種由来のノーダル間で保存されているノーダルのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ノーダル抗体は、ヒトノーダルに結合する。一部の実施形態では、ノーダル抗体は、I型および/またはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)に対する結合性からノーダルを阻害することができ、つまり、ノーダル媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、ノーダル抗体は、共受容体に対する結合性からノーダルを阻害することができ、つまり、ノーダル媒介シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害することができる。一部の実施形態では、本開示は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、およびその使用に関し、該抗体は、ノーダルに結合し、かつ、例えば、1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3および/またはGDF1)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)にさらに結合する。一部の実施形態では、ノーダルに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ノーダル抗体および、例えば、1種以上のGDFスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、アクチビンBE)、GDF8、GDF3、GDF1および/またはGDF11)、1種以上のI型受容体および/もしくはII型受容体(例えば、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、および/またはALK7)および/または1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、ノーダル抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともActRIIBを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともActRIIBに結合する。本明細書中で用いる場合、ActRIIB抗体(または抗ActRIIB抗体)とは、一般的に、該抗体がActRIIBを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってActRIIBに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ActRIIB抗体が、無関係の非ActRIIBタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ActRIIBに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ActRIIB抗体は、異なる生物種由来のActRIIB間で保存されているActRIIBのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ActRIIB抗体は、ヒトActRIIBに結合する。一部の実施形態では、ActRIIB抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1および/またはノーダル)に対する結合性からActRIIBを阻害することができる。一部の実施形態では、抗ActRIIB抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、ActRIIBならびに1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、1種以上の共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)および/または追加のII型受容体(例えばActRIIA)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ActRIIB抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、および/または追加のII型受容体(例えば、ActRIIA)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。ActRIIBは、ActRIIAに対して類似する配列相同性を有し、したがって、ActRIIBに結合する抗体が、一部の場合には、ActRIIAにも結合し、かつ/またはこれを阻害できることに留意すべきである。一部の実施形態では、ActRIIBに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、ActRIIB抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともActRIIAを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともActRIIAに結合する。本明細書中で用いる場合、ActRIIA抗体(または抗ActRIIA抗体)とは、一般的に、該抗体がActRIIAを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってActRIIAに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ActRIIA抗体が、無関係の非ActRIIAタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ActRIIAに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ActRIIA抗体は、異なる生物種由来のActRIIA間で保存されているActRIIAのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ActRIIA抗体は、ヒトActRIIAに結合する。一部の実施形態では、ActRIIA抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からActRIIAを阻害することができる。一部の実施形態では、抗ActRIIA抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、ActRIIAならびに1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)および/または追加のII型受容体(例えばActRIIB)に結合する。一部の
実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ActRIIA抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF1、GDF3および/またはノーダル)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、および/または追加のII型受容体(例えば、ActRIIB)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。ActRIIAは、ActRIIBに対して類似する配列相同性を有し、したがって、ActRIIAに結合する抗体が、一部の場合には、ActRIIBにも結合し、かつ/またはこれを阻害できることに留意すべきである。一部の実施形態では、ActRIIAに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、ActRIIA抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK4を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK4に結合する。本明細書中で用いる場合、ALK4抗体(または抗ALK4抗体)とは、一般的に、該抗体がALK4を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってALK4に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ALK4抗体が、無関係の非ALK4タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ALK4に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ALK4抗体は、異なる生物種由来のALK4間で保存されているALK4のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ALK4抗体は、ヒトALK4に結合する。一部の実施形態では、ALK4抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からALK4を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ALK4抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、ALK4ならびに1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK5、および/またはALK7)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ALK4抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF1、GDF3および/またはノーダル)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK5および/またはALK7)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、ALK4に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、ALK4抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK5を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK5に結合する。本明細書中で用いる場合、ALK5抗体(または抗ALK5抗体)とは、一般的に、該抗体がALK5を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってALK5に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ALK5抗体が、無関係の非ALK5タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ALK5に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ALK5抗体は、異なる生物種由来のALK5間で保存されているALK5のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ALK5抗体は、ヒトALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からALK5を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、ALK5ならびに1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK4、および/またはALK7)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ALK5抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF1、GDF3および/またはノーダル)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK4および/またはALK7)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、ALK5に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、ALK5抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK7を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともALK7に結合する。本明細書中で用いる場合、ALK7抗体(または抗ALK7抗体)とは、一般的に、該抗体がALK7を標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってALK7に結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、ALK7抗体が、無関係の非ALK7タンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、ALK7に対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、ALK7抗体は、異なる生物種由来のALK7間で保存されているALK7のエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗ALK7抗体は、ヒトALK7に結合する。一部の実施形態では、ALK7抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からALK7を阻害することができる。一部の実施形態では、抗ALK7抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、ALK7ならびに1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK4、および/またはALK5)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、ALK7抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF1、GDF3および/またはノーダル)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、および/または追加のI型受容体(例えば、ALK4および/またはALK5)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、ALK7に結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、ALK7抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプトを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプトに結合する。本明細書中で用いる場合、クリプト抗体(または抗クリプト抗体)とは、一般的に、該抗体がクリプトを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってクリプトに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、クリプト抗体が、無関係の非クリプトタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、クリプトに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、クリプト抗体は、異なる生物種由来のクリプト間で保存されているクリプトのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗クリプト抗体は、ヒトクリプトに結合する。一部の実施形態では、クリプト抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からクリプトを阻害することができる。一部の実施形態では、抗クリプト抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、クリプトならびに1種以上の追加のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、1種以上のII型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、クリプト抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプティック、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、クリプトに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、クリプト抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプティックを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプティックに結合する。本明細書中で用いる場合、クリプティック抗体(または抗クリプティック抗体)とは、一般的に、該抗体がクリプティックを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってクリプティックに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、クリプティック抗体が、無関係の非クリプティックタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、クリプティックに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、クリプティック抗体は、異なる生物種由来のクリプティック間で保存されているクリプティックのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗クリプティック抗体は、ヒトクリプティックに結合する。一部の実施形態では、クリプティック抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からクリプティックを阻害することができる。一部の実施形態では、抗クリプティック抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、クリプティックならびに1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプト、および/またはクリプティック1B)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、クリプティック抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプト、および/またはクリプティック1B)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、クリプティックに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、クリプティック抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
特定の態様では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプティック1Bを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト抗体、または抗体の組み合わせは、少なくともクリプティック1Bに結合する。本明細書中で用いる場合、クリプティック1B抗体(または抗クリプティック1B抗体)とは、一般的に、該抗体がクリプティック1Bを標的とする診断剤および/または治療剤として有用になるように、十分な親和性を伴ってクリプティック1Bに結合する抗体を意味する。特定の実施形態では、クリプティック1B抗体が、無関係の非クリプティック1Bタンパク質に結合する程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、Biacore、または他のタンパク質間相互作用もしくは結合親和性アッセイにより測定される場合に、クリプティック1Bに対する該抗体の結合性の、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。特定の実施形態では、クリプティック1B抗体は、異なる生物種由来のクリプティック1B間で保存されているクリプティック1Bのエピトープに結合する。特定の好ましい実施形態では、抗クリプティック1B抗体は、ヒトクリプティック1Bに結合する。一部の実施形態では、クリプティック1B抗体は、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよびアクチビンBE)、GDF11、GDF1、GDF3および/またはノーダル)に対する結合性からクリプティック1Bを阻害することができる。一部の実施形態では、抗クリプティック1B抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)であり、該抗体は、クリプティック1Bならびに1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプト、および/またはクリプティック)に結合する。一部の実施形態では、本開示は、抗体の組み合わせ、およびその使用に関し、このとき、該抗体の組み合わせは、クリプティック1B抗体および、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、GDF11、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、およびアクチビンBE)、GDF3、GDF1および/またはノーダル)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK7および/またはALK5)、および/または追加の共受容体(例えば、クリプト、および/またはクリプティック)に結合する1種以上の追加の抗体を含む。一部の実施形態では、クリプティック1Bに結合する多重特異的抗体は、アクチビンBには結合しないか、または実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDを有してアクチビンBに結合するか、または比較的緩やかな結合性(例えば、約1×10-8Mまたは約1×10-9M)を有する)。一部の実施形態では、クリプティック1B抗体を含む抗体の組み合わせは、アクチビンB抗体を含まない。
抗体との用語は、最も広い意味で本明細書中で用いられ、かつ、限定するものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、および所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片をはじめとする、種々の抗体構造を包含する。抗体断片とは、完全抗体が結合する抗原に結合する完全抗体の一部分を含む、完全抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例としては、限定するものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異的抗体が挙げられる[例えば、Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134;Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag、New York), pp. 269-315 (1994);国際公開第93/16185号;ならびに米国特許第5,571,894号;同第5,587,458号;および同第5,869,046号を参照されたい]。ダイアボディは、二価または二重特異的であり得る、2箇所の抗原結合性部位を含む抗体断片である[例えば、EP 404,097;国際公開第1993/01161号;Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134 (2003);およびHollinger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448を参照されたい]。トリアボディおよびテトラボディについても、Hudson et al. (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部分を含む抗体断片である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6,248,516号を参照されたい)。本明細書中に開示される抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。特定の実施形態では、本開示は、それに結合され、かつ検出されることができるラベル(例えば、該ラベルは、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)を含む。特定の好ましい実施形態では、本開示の抗体は、単離された抗体である。特定の好ましい実施形態では、本開示の抗体は、組み換え抗体である。
本明細書中の抗体は、いずれのクラスでもあり得る。抗体のクラスとは、その重鎖により保持される定常ドメインまたは定常領域の種類を意味する。5種類の主要な抗体のクラスがあり:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、かつこれらのうちの数種類はサブクラス(アイソタイプ)へとさらに分けることができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)。免疫グロブリンの様々なクラスに対応する対応する重鎖定常ドメインは、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。
一般的には、本明細書中に開示される方法での使用のための抗体は、好ましくは高い結合親和性を有して、その標的抗原に特異的に結合する。親和性は、KD値として表わすことができ、内在的な結合親和性(例えば、最小限のアビディティ効果を有する)を反映する。典型的には、結合親和性は、細胞不含条件または細胞を伴う条件かのいずれかにかかわらず、in vitroで測定される。本明細書中に開示されるものをはじめとする、当技術分野で公知の多数のアッセイのうちのいずれかを用いて、結合親和性測定値を取得することができ、そのようなアッセイとしては、例えば、Biacore、放射性標識抗原結合性アッセイ(RIA)、およびELISAが挙げられる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、少なくとも1×10-7もしくはそれより強い、1×10-8もしくはそれより強い、1×10-9もしくはそれより強い、1×10-10もしくはそれより強い、1×10-11もしくはそれより強い、1×10-12もしくはそれより強い、1×10-13もしくはそれより強い、または1×10-14もしくはそれより強いKDを有して、それらの標的抗原(例えば、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、ALK5、ALK7,アクチビン、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1、ノーダル、クリプティック、クリプティック1B、および/またはクリプト)に結合する。
特定の実施形態では、KDは、以下のアッセイにより記載される通りに、対象となる抗体およびその標的抗原のFabバージョンを用いて行なわれるRIAにより測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、未標識抗原の滴定系列の存在下で、最小限の濃度の放射性標識抗原(例えば、125I標識)を用いてFabを平衡化するステップ、および続いて、抗Fab抗体コーティングプレートを用いて結合型抗原を捕捉するステップにより、測定される[例えば、Chen et al. (1999) J. Mol. Biol. 293:865-881]。アッセイのための条件を確立するために、マルチウェルプレート(例えば、MICROTITER(登録商標)、Thermo Scientific社より)を、捕捉性抗Fab抗体(例えば、Cappel Labs社より)を用いてコーティング(例えば、一晩)し、続いて、好ましくは室温(約23℃)でウシ血清アルブミンを用いてブロッキングする。非吸着プレート中で、放射性標識抗原を、対象となるFabの連続希釈と共に混合し[例えば、Presta et al.、(1997) Cancer Res. 57:4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致して]。対象となるFabを次に、好ましくは一晩インキュベートして(しかし、インキュベーションは、より長い時間(例えば、65時間)継続することができる)、平衡に達することを確実にする。その後、混合物を、好ましくは室温で約1時間のインキュベーションのために、捕捉プレートへと移す。次に、溶液を除去し、プレートを、好ましくはポリソルベート20とPBSの混合物を用いて数回洗浄する。プレートが乾燥した場合、シンチレーション剤(scintillant)(例えば、MICROSCINT(登録商標)、Packardより)を加え、プレートをガンマカウンターでカウントする(例えば、TOPCOUNT(登録商標)、Packardより)。
別の実施形態によれば、KDは、例えば、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(BIAcore, Inc., Piscataway、N.J.)を、約10応答単位(RU)で固定化抗原CM5チップと共に使用して、表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE社)を、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を、供給業者の説明書に従って用いて活性化する。例えば、抗原を、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8を用いて5μg/mL(約0.2μM)まで希釈し、その後、流速5μL/分で注入して、カップリングしたタンパク質の約10応答単位(RU)を達成することができる。抗原の注入に続いて、1Mエタノールアミンを、未反応基をブロッキングするために注入する。動態測定のためには、Fabの2倍連続希釈(0.78nM~500nM)を、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標)界面活性剤を含有するPBS(PBST)中で、約25μL/分の流速で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、例えば、単純な一対一ラングミュア結合性モデル(BIACORE(登録商標) Evaluation Software version 3.2)を用いて、会合および解離センサーグラムを同時にフィッティングすることにより、算出される。平衡化解離定数(KD)を、比koff / konとして算出する(例えば、Chen et al., (1999) J. Mol. Biol. 293:865-881を参照されたい)。オン速度が過剰な場合(例えば、上記の表面プラズモン共鳴アッセイにより106M-1s-1)、オン速度を、蛍光消光技術を用いて決定することができ、この技術は、分光計(ストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments社)または8000シリーズSLM-AMINCO(登録商標)分光光度計(ThermoSpectronic社)など)で撹拌キュベットを用いて測定される場合に、漸増濃度の抗原の存在下で、PBS中の20nM抗抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(例えば、励起=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)の増減を測定する。
抗体断片は、限定するものではないが、本明細書中に記載される通りの、完全抗体のタンパク質分解消化ならびに組み換え宿主細胞による産生(例えば、大腸菌またはファージ)をはじめとする種々の技術により作製することができる。ヒトActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAC、アクチビンAB、アクチビンBC、アクチビンBE、および/またはアクチビンAE)、GDF11、GDF8、GDF1、GDF3、ノーダル、クリプティック、クリプティック1B、およびクリプトの核酸およびアミノ酸配列は、当技術分野で公知である。加えて、抗体を生成するための多数の方法が当技術分野で周知であり、そのうちの一部は本明細書中に記載されている。したがって、本開示による使用のための抗体アンタゴニストは、当技術分野での知識および本明細書中に提供される教示に基づいて、当業者により慣習的に作製できる。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体は、キメラ型抗体である。キメラ型抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または生物種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残余の部分が異なる供給源または生物種に由来する抗体を意味する。特定のキメラ型抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855に記載されている。一部の実施形態では、キメラ型抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類由来の可変領域)およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ型抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変更されている、「クラススイッチ型」抗体である。一般的に、キメラ型抗体には、その抗原結合性断片が含まれる。
特定の実施形態では、本明細書中に提供されるキメラ型抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体とは、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基およびヒトフレームワーク領域(FR)由来のアミノ酸残基を含むキメラ型抗体を意味する。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、HVRの全部または実質的に全部(例えば、CDR)が非ヒト抗体のものに対応し、かつFRの全部または実質的に全部がヒト抗体のものに対応する、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインのうちの実質的に全部を含むであろう。ヒト化抗体は、任意により、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含むことができる。抗体(例えば、非ヒト抗体)の「ヒト化型」とは、ヒト化を受けた抗体を意味する。ヒト化抗体およびそれを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633に総説されており、かつ、例えば、in Riechmann et al., (1988) Nature 332:323-329;Queen et al. (1989) Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:10029-10033;米国特許第5,821,337号;同第7,527,791号;同第6,982,321号;および同第7,087,409号;Kashmiri et al., (2005) Methods 36:25-34[SDR(a-CDR)グラフト化を記載する];Padlan, Mol. Immunol. (1991) 28:489-498(「再表面化」を記載する);Dall'Acqua et al. (2005) Methods 36:43-60(「FRシャッフリング」を記載する);Osbourn et al. (2005) Methods 36:61-68;およびKlimka et al. Br. J. Cancer (2000) 83:252-260(FRシャッフリングに対する「誘導型選択」アプローチを記載する)にさらに記載されている。ヒト化のために用いることができるヒトフレームワーク領域としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:「ベストフィット」法を用いて選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. (1993) J. Immunol. 151:2296を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体の定常配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285;およびPresta et al. (1993) J. Immunol., 151:2623を参照されたい);ヒトプロセシング型(体細胞突然変異型)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633を参照されたい);およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al., (1997) J. Biol. Chem. 272:10678-10684;およびRosok et al., (1996) J. Biol. Chem. 271:22611-22618を参照されたい)。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の種々の技術を用いて作製することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel (2008) Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)およびLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459に広く記載されている。例えば、ヒト抗体は、免疫源(例えば、GDF11ポリペプチド、アクチビンBポリペプチド、ActRIIAポリペプチド、またはActRIIBポリペプチド)を、抗原負荷に応答して完全ヒト抗体またはヒト可変領域を有する完全抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に投与することにより、調製することができる。そのような動物は、典型的には、内在性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えているか、または染色体外に存在するかもしくは動物の染色体へとランダムにインテグレートされている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部分を典型的に含む。そのようなトランスジェニック動物では、内在性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的には不活性化されている。トランスジェニック動物からのヒト抗体を取得するための方法の総説として、例えば、Lonberg (2005) Nat. Biotech. 23:1117-1125;米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号(XENOMOUSETM技術を記載する);米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)技術を記載する);米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する);米国特許出願公開2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)技術を記載する)を参照されたい。そのような動物から生成される完全抗体由来のヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変することができる。
本明細書中に提供されるヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のための、ヒトミエローマおよびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株が記載されている(例えば、Kozbor J. Immunol., (1984) 133: 3001;Brodeur et al. (1987) Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63, Marcel Dekker, Inc., New York;およびBoerner et al. (1991) J. Immunol., 147: 86を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して産生されるヒト抗体もまた、Li et al., (2006) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562に記載されている。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の生成を記載する)およびNi, Xiandai Mianyixue (2006) 26(4):265-268 (2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)に記載されるものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)もまた、Vollmers and Brandlein (2005) Histol. Histopathol., 20(3):927-937 (2005)およびVollmers and Brandlein (2005) Methods Find Exp. Clin. Pharmacol., 27(3):185-91に記載されている。本明細書中に提供されるヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製できる。そのような可変ドメイン配列は、続いて、所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は、当技術分野で公知であり、かつ本明細書中に記載されている。
例えば、本開示の抗体は、所望の活性(1種または複数)を有する抗体について、コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。ファージディスプレイライブラリーを作製し、かつ所望の結合特性を保持する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための、種々の方法が当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. (2001), Methods in Molecular Biology 178:1-37, O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, N.J.に総説され、かつ、例えば、McCafferty et al. (1991) Nature 348:552-554;Clackson et al., (1991) Nature 352: 624-628;Marks et al. (1992) J. Mol. Biol. 222:581-597;Marks and Bradbury (2003), Methods in Molecular Biology 248:161-175, Lo, ed., Human Press, Totowa, N.J.;Sidhu et al. (2004) J. Mol. Biol. 338(2):299-310;Lee et al. (2004) J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093;Fellouse (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472;およびLee et al. (2004) J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132にさらに記載されている。
特定のファージディスプレイ法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別個にクローニングし、ファージライブラリー中にランダムに組み換えし、これを次に、Winter et al. (1994) Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455に記載される通り、抗原結合性ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片として、またはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫された供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する要件を有さずに、免疫源(例えば、アクチビンA)に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al. (1993) EMBO J, 12: 725-734により記載される通りナイーブなレパートリーをクローニングし(例えば、ヒトから)、いかなる免疫化も用いずに、広範囲の非自己およびかつ自己抗原に対する抗体を単一供給源を、提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、幹細胞由来の再構成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、かつ、ランダム配列を含有するPCRプライマーを用いて高度可変CDR3領域をコードし、in vitroでの再構成を実行することにより、Hoogenboom and Winter (1992) J. Mol. Biol., 227: 381-388により記載される通りに、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許公報としては、例えば、以下のものが挙げられる:米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、および同第2009/0002360号。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体は、多重特異的抗体、例えば、二重特異的抗体である。1種以上(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類またはそれ以上)の抗原上の少なくとも2種類の異なるエピトープ(例えば、2種類、3種類、4種類、5種類、または6種類以上)に対する結合特異性を有する、多重特異的抗体(典型的には、モノクローナル抗体)。
多重特異的抗体を作製するための技術としては、限定するものではないが、異なる特異性を有する2種類の免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアの組み換え共発現が挙げられる[例えば、 Milstein and Cuello (1983) Nature 305: 537;国際公開第93/08829号;およびTraunecker et al. (1991) EMBO J. 10: 3655、および米国特許第5,731,168号(「隆起嵌入」(knob-in-hole)遺伝子操作)を参照されたい]。多重特異的抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電的誘導効果(例えば、国際公開第2009/089004A1号を参照されたい);2種以上の抗体または断片の架橋[例えば、米国特許第4,676,980号;およびBrennan et al. (1985) Science, 229: 81を参照されたい];二重特異的抗体を作製するためのロイシンジッパーの使用[例えば、Kostelny et al. (1992) J. Immunol., 148(5):1547-1553を参照されたい];二重特異的抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用[例えば、Hollinger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448];単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al. (1994) J. Immunol., 152:5368を参照されたい);および三重特異的抗体の調製(例えば、Tutt et al. (1991) J. Immunol. 147: 60を参照されたい)によっても作製できる。多重特異的抗体は、全長抗体または抗体断片として調製することができる。「オクトパス抗体」をはじめとする3か所以上の機能的抗原結合性部位を有する遺伝子操作された抗体もまた、本明細書中に含められる[例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号を参照されたい]。
特定の実施形態では、本明細書中に開示される抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体とは、実質的に均質な抗体の集団から取得される抗体、すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合することを意味するが、例えば、天然に存在する突然変異を含むかまたはモノクローナル抗体調製物の作製中に生じる考えられる変異体抗体は除外され、そのような変異体は一般的に、少量で存在する。典型的には様々なエピトープを標的とする様々な抗体を含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一のエピトープを標的とする。つまり、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から取得される抗体の特性を示し、かついずれかの特定の方法により抗体の生成を必要とするものと解釈するべきではない。例えば、本方法に従って用いられる対象であるモノクローナル抗体は、限定するものではないが、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法、本明細書中に記載されるモノクローナル抗体を作製するためのそのような方法およびその他の例示的方法をはじめとする、種々の技術により作製することができる。
例えば、アクチビン由来の免疫源を用いることにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準的なプロトコールにより作製することができる[例えば、Antibodies: A Laboratory Manual ed. by Harlow and Lane (1988) Cold Spring Harbor Press: 1988を参照されたい]。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物を、免疫原性形態のアクチビンポリペプチド、抗体応答を生起することが可能である抗原性断片、または融合タンパク質を用いて、免疫化することができる。タンパク質またはペプチドに対して免疫原性を賦与するための技術は、担体へのコンジュゲート化または当技術分野で周知の他の技術を含む。アクチビンポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進行は、血漿または血清中の抗体力価の検出によりモニタリングすることができる。標準的なELISAまたは他の免疫アッセイを、抗体産生のレベルおよび/または結合親和性のレベルを評価するために、抗原として免疫源と共に用いることができる。
アクチビンの抗原性調製物を用いた動物の免疫化に続いて、抗血清を取得することができ、所望であれは、該血清からポリクローナル抗体を単離することができる。モノクローナル抗体を生成するためには、抗体産生細胞(リンパ球)を、免疫化された動物から回収して、ミエローマ細胞などの不死化細胞と、標準的な体細胞融合手順により融合させて、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。そのような技術は当技術分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler and Milstein (1975) Nature、256: 495-497を参照されたい)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbar et al. (1983) Immunology Today、4:72を参照されたい)、およびヒトモノクローナル抗体を生成させるためのEBVハイブリドーマ技術(Cole et al. (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. pp. 77-96)が挙げられる。ハイブリドーマ細胞は、アクチビンポリペプチドと特異的に反応性である抗体の産生のために、免疫化学的にスクリーニングすることができ。モノクローナル抗体を、そのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離することができる。
特定の実施形態では、1箇所以上のアミノ酸改変を、本明細書中に提供される抗体のFc領域へと導入して、それによりFc領域変異体を作製することができる。Fc領域変異体は、1箇所以上のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換、欠失、および/または付加)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含むことができる。
例えば、本開示は、in vivoでの抗体の半減期が重要である用途に対する望ましい候補にする、一部の、しかし全部ではないエフェクター機能を保持する抗体変異体を包含し、それでもまだ、特定のエフェクター機能(例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC))は不必要または有害である。in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害性アッセイを行なって、CDCおよび/またはADCC活性の低減/喪失を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合性アッセイを行なって、抗体がFcγR結合性を欠失している(それゆえ、ADCC活性を欠損している場合がある)が、FcRn結合能は保持していることを確認することができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、例えば、Ravetch and Kinet (1991) Annu. Rev. Immunol. 9:457-492に概説されている。対象となる分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例が、米国特許第5,500,362号;Hellstrom, I. et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:7059-7063;Hellstrom, I et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:1499-1502;米国特許第5,821,337号;Bruggemann, M. et al. (1987) J. Exp. Med. 166:1351-1361に記載されている。あるいは、非放射活性アッセイ法を用いることができる(例えば、ACTITM、フローサイトメトリー用の非放射活性細胞傷害性アッセイ;CellTechnology, Inc. Mountain View, Calif.;およびCytoTox 96(登録商標) 非放射活性細胞傷害性アッセイ、Promega, Madison, Wis.)。そのようなアッセイのために有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー細胞(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはそれに加えて、対象となる分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynes et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652-656に開示されているものなどの動物モデルで評価することができる。C1q結合性アッセイもまた、抗体がC1qに結合できず、それゆえ、CDC活性を欠損していることを確認するために用いることができる(例えば、C1qおよびC3c結合性ELISA(国際公開第2006/029879号および同第2005/100402号)を参照されたい)。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行なうことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al. (1996) J. Immunol. Methods 202:163;Cragg, M. S. et al. (2003) Blood 101:1045-1052;およびCragg, M. S, and M. J. Glennie (2004) Blood 103:2738-2743を参照されたい)。FcRn結合性およびin vivoクリアランス/半減期決定もまた、当技術分野で公知の方法を用いて行なうことができる[例えば、Petkova、S. B. et al. (2006) Intl. Immunol. 18(12):1759-1769を参照されたい]。低下したエフェクター機能を有する本開示の抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327および329のうちの1箇所以上の置換を有する者が挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc突然変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297および327のうち2箇所以上での置換を有するFc突然変異体が挙げられ、残基265および297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
特定の実施形態では、システイン遺伝子操作型抗体を作製することが望ましい場合があり、そのような抗体は、例えば、「thioMAbs」であり、これは、抗体の1箇所以上の残基がシステイン残基を用いて置換されている。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基が抗体のアクセス可能な部位に配置され、抗体を、薬物部分またはリンカー-薬物部分などの他の部分とコンジュゲートするために用いて、本明細書中でさらに説明される通りの免疫コンジュゲートを作製することができる。特定の実施形態では、以下の残基のうちのいずれかの1箇所以上が、システインに置換されていることができる:軽鎖のV205(Kabatナンバリング);重鎖のA118(EUナンバリング);および重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン遺伝子操作型抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載される通りに作製することができる。
加えて、望ましい抗体を特定するために抗体をスクリーニングするために用いられる技術は、取得される抗体の特性に影響を与える場合がある。例えば、抗体が、溶液中で抗原への結合のために用いられる予定である場合、溶液結合性を試験することが望ましい可能性がある。多様な種々の技術を、特定の望ましい抗体を特定するために、抗体と抗原との間の相互作用を試験するために利用可能である。そのような技術としては、ELISA、表面プラズモン共鳴結合性アッセイ(例えば、Biacore結合性アッセイ、Biacore AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International社(Gaithersburg, Maryland)の常磁性ビーズシステム)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列変異体が意図される。例えば、抗体および/または結合性ポリペプチドの結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、抗体および/または結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列への適切な改変の導入により、またはペプチド合成により調製することができる。そのような改変としては、例えば、抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列からの欠失、および/または該アミノ酸配列への挿入および/または該アミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、および置換のいずれかを組み合わせることにより、最終的な構築物に到達することができるが、但し、最終的な構築物は、所望の特性、例えば、標的結合性(例えば、アクチビンEおよび/またはアクチビンCなどのアクチビン結合性)を保持する。
改変(例えば、置換)は、例えば、抗体親和性を改善するために、HVR中で行なうことができる。そのような改変は、HVR「ホットスポット」中で、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによりコードされる残基中で[例えば、Chowdhury (2008) Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照されたい]、および/またはSDR(a-CDR)中で行なうことができ、得られる変異体VHまたはVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築し、かつそこから再選択することによる、親和性成熟が、当技術分野で記載されてきた[例えば、Hoogenboom et al., in Methods in Molecular Biology 178:1-37, O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, N.J., (2001)を参照されたい]。親和性成熟の一部の実施形態では、多様な方法のうちのいずれかにより、成熟のために選択された種々の遺伝子中に、多様性が導入される(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発)。続いて、二次ライブラリーが作製される。次に、所望の親和性を有するいずれかの抗体変異体を特定するために、ライブラリーをスクリーニングする。多様性を導入するための別の方法は、数個のHVR残基(例えば、一度に4~6残基)がランダム化される、HVR標的化アプローチを含む。抗原結合性に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャン突然変異誘発またはモデル化を用いて、具体的に特定することができる。特に、CDR-H3およびCDR-L3が、多くの場合に標的化される。
特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗体が抗原に結合する能力を実質的に低下させない限り、1箇所以上のHVR内で生じることができる。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書中に提供される通りの保存的置換)を、HVR中に行なうことができる。そのような改変は、HVR「ホットスポット」またはSDRの外側であり得る。上記に提供される変異体VHおよびVL配列の特定の実施形態では、各HVRのいずれかは改変されていないか、または1、2もしくは3箇所以下のアミノ酸置換を含む。
突然変異誘発のために標的化することができる抗体および/または結合性ポリペプチドの残基または領域の特定のための有用な方法は、「アラニンスキャン突然変異誘発」と称され、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085に記載される通りである。この方法では、標的残基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、およびGluなどの荷電残基)のうちの1残基または群が特定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)により置き換えられ、それにより、抗体-抗原の相互作用が影響されるか否かを決定する。さらなる置換を、当初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入することができる。あるいは、またはそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を決定して、それにより、抗体と抗原との間の接触点を特定する。そのような接触残基および隣接する残基が、置換の候補として標的化または除外される。変異体は、それらが所望の特性を保持するか否かを決定するためにスクリーニングすることができる。
アミノ酸配列挿入としては、1個の残基から、100個以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシ末端融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列間挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入的変異体としては、酵素(例えば、ADEPTに関して)または抗体の血清半減期を増大させるポリペプチドへの抗体のN末端またはC末端の融合体が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される抗体および/または結合性ポリペプチドは、当技術分野で公知であり、かつ容易に入手可能である、追加の非タンパク質性部分を含むようにさらに改変することができる。抗体および/または結合性ポリペプチドの誘導体化のために好適な部分としては、限定するものではないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、製造中の利点を有し得る。ポリマーは、いずれかの分子量のものであり得、かつ分岐または非分岐であり得る。抗体および/または結合性ポリペプチドに連結されるポリマー数は様々であり得、2個以上のポリマーが連結される場合、それらは、同じかまたは異なる分子であり得る。一般的に、誘導体化のために用いられるポリマーの数および/または種類は、限定するものではないが、改善されるべき抗体および/または結合性ポリペプチドの特定の特性または機能、抗体誘導体および/または結合性ポリペプチド誘導体が規定された条件下での療法中で用いられるか否かをはじめとする検討事項に基づいて決定することができる。
6. 小分子アンタゴニスト
他の態様では、本明細書中に記載される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、小分子(アクチビンおよび/またはGDF小分子アンタゴニスト)、または小分子アンタゴニストの組み合わせである。GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1、および/またはノーダル)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、II型受容体(例えば、ActRIIBおよび/またはActRIIA)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、および/またはSmadポリペプチド(例えば、Smad2および/またはSmad3)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、例えば、本明細書中に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで決定される場合に、1種以上のGDFリガンドにより媒介されるシグナル伝達を阻害する。本明細書中に記載される通り、GDF小分子アンタゴニストは、単独で、または1種以上の補助的療法もしくは活性薬剤と組み合わせて、腎臓疾患を治療するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療するか、予防するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、用いることができる。
一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF11を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF8を阻害し、任意によりGDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)を阻害し、任意によりGDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビンBを阻害し、任意によりアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビンAを阻害し、任意によりアクチビン(例えば、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF1を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF11、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともノーダルを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、GDF11、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF3を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプトを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプティックを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプティック1Bを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともActRIIAを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともActRIIBを阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK4を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK5を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK7を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、ALK4、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともSmad2を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、ALK4、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくともSmad3を阻害し、任意によりGDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK5、ALK4、ALK7、クリプト、クリプティック1B、クリプティック、およびSmad2のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、本明細書中に開示される通り、アクチビンBを阻害しないか、または実質的に阻害しない。一部の実施形態では、GDF小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、本明細書中に開示される通り、アクチビンAを阻害しないか、または実質的に阻害しない。GDF小分子アンタゴニストは、直接的または間接的阻害剤であり得る。例えば、間接的小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、少なくとも1種以上のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、またはアクチビンBE)、GDF11、GDF1、ノーダル、GDF3、および/またはGDF8)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプティック、クリプティック1B、および/またはクリプト)、および/または1種以上の下流のシグナル伝達構成要素(例えば、Smad2およびSmad3などのSmad)の発現(例えば、転写、翻訳、細胞分泌、またはそれらの組み合わせ)を阻害することができる。あるいは、直接的小分子アンタゴニスト、または小分子アンタゴニストの組み合わせは、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、またはアクチビンBE)、GDF11、GDF1、ノーダル、GDF3、および/またはGDF8)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5および/またはALK7)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプティック、クリプティック1B、および/またはクリプト)、および/または1種以上の下流のシグナル伝達構成要素(例えば、Smad2およびSmad3などのSmad)に直接的に結合し、かつ阻害することができる。1種以上の間接的および1種以上の直接的GDF小分子アンタゴニストの組み合わせを、本明細書中に開示される方法に従って用いることができる。
本開示の結合性有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、N-置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、ウレア、カルバメート、カルボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハライド、アリールスルホネート、アルキルハライド、アルキルスルホネート、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物、および酸塩化物であり得る。
7. ポリヌクレオチドアンタゴニスト
他の態様では、本明細書中に記載される方法および使用に従って用いられる対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、ポリヌクレオチド(アクチビンおよび/またはGDFポリヌクレオチドアンタゴニスト)、またはポリヌクレオチドの組み合わせである。GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、例えば、1種以上のGDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAE、またはアクチビンBE)、GDF11、GDF8、GDF3、GDF1、および/またはノーダル)、I型受容体(例えば、ALK4、ALK5および/またはALK7)、II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプティック、クリプティック1B、および/またはクリプト)、および/または1種以上の下流のシグナル伝達構成要素(例えば、Smad2およびSmad3などのSmad)を阻害することができる。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、例えば、本明細書中に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで決定される場合に、1種以上のGDFリガンドにより媒介されるシグナル伝達を阻害する。本明細書中に記載される通り、GDFポリヌクレオチドアンタゴニストは、単独で、または1種以上の補助的療法もしくは活性薬剤と組み合わせて、腎臓疾患を治療するかもしくはその進行速度、頻度、および/または重症度を低減させるために、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療するか、予防するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、用いることができる。
一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF11を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF8を阻害し、任意により、GDF11、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)を阻害し、任意により、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビンAを阻害し、任意により、追加のアクチビン(例えば、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともアクチビンBを阻害し、任意により、追加のアクチビン(アクチビンA、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF1を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF11、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともノーダルを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF3、GDF11、GDF1、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともGDF3を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF1、GDF11、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプトを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプティックを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプト、ククリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともクリプティック1Bを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともActRIIAを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともActRIIBを阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK4を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ActRIIA、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK5を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ActRIIA、ALK4、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともALK7を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ActRIIA、ALK5、ALK4、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともSmad2を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ActRIIA、ALK5、ALK4、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、およびSmad3のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、少なくともSmad3を阻害し、任意により、GDF8、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンAEおよび/またはアクチビンBE)、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIB、ActRIIA、ALK5、ALK4、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、およびSmad2のうちの1種以上をさらに阻害する。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、本明細書中に開示される通り、アクチビンBを阻害しないか、または実質的に阻害しない。一部の実施形態では、GDFポリヌクレオチドアンタゴニスト、またはポリヌクレオチドアンタゴニストの組み合わせは、本明細書中に開示される通り、アクチビンAを阻害しないか、または実質的に阻害しない。
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アンチセンス核酸、RNAi分子(例えば、小分子干渉RNA(siRNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA))、アプタマーおよび/またはリボザイムであり得る。ヒトGDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、およびアクチビンE)、GDF1、ノーダル、GDF3、ActRIIA、ActRIIB、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、ALK4、ALK5、ALK7、Smad2、およびSmad3の核酸配列およびアミノ酸配列は、当技術分野で公知である。加えて、ポリヌクレオチドアンタゴニストを作製する多数の様々な方法が、当技術分野で周知である。したがって、本開示に従って使用するためのポリヌクレオチドアンタゴニストは、当技術分野での知識および本明細書中に提供される教示に基づいて、当業者により慣習的に作製できる。
アンチセンス技術は、アンチセンスDNAもしくはRNAを介して、または三重鎖ヘリックス形成を介して、遺伝子発現を制御するために用いることができる。アンチセンス技術は、例えば、Okano (1991) J. Neurochem. 56:560; Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, Fla. (1988)の中で議論されている。三重鎖ヘリックス形成は、例えば、Cooney et al. (1988) Science 241:456;およびDervan et al., (1991) Science 251:1300の中で議論されている。本方法は、相補的DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合性に基づく。一部の実施形態では、アンチセンス核酸は、本明細書中に開示される遺伝子のRNA転写産物の少なくとも一部分に相補的な一本鎖RNAまたはDNA配列を含む。しかしながら、好ましくはあるが、絶対的な相補性は必要でない。
本明細書中で言及される「RNAの少なくとも一部分に対して相補的」な配列とは、RNAとハイブリダイズすることができるために十分な相補性を有する配列を意味し;本明細書中に開示される遺伝子の二本鎖アンチセンス核酸の場合には、二重鎖DNAの一本鎖が試験されるか、または三重鎖形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズ可能性は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存するであろう。一般的に、ハイブリダイズする核酸が大きいほど、それが含有し得るが、安定な二重鎖(または場合によっては三重鎖)をそれでも形成できるRNAに伴う塩基ミスマッチが多くなる。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準的手順を用いて、許容できるミスマッチの程度を突き止めることができる。
メッセージの5'末端(例えば、AUG開始コドンまで、およびそれを含む5'非翻訳配列)に対して相補的であるポリヌクレオチドは、翻訳を阻害する上で最も効率的に機能するはずである。しかしながら、mRNAの3'非翻訳配列に対して相補的な配列が、同様に、mRNAの翻訳を阻害する上で効果的であることが示されている(例えば、Wagner, R., (1994) Nature 372:333-335を参照されたい)。つまり、本開示の遺伝子の5'または3'非翻訳非コード領域のいずれかに対して相補的なオリゴヌクレオチドを、内在性mRNAの翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチ中で用いることができるであろう。mRNAの5'非翻訳領域に対して相補的なポリヌクレオチドは、AUG開始コドンを含むはずである。mRNAコード領域に対して相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、比較的効果的でない翻訳の阻害因子であるが、本開示の方法に従って用いることができるであろう。本開示のmRNAの5'、3'またはコード領域に対してハイブリダイズするように設計されているか否かにかかわりなく、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきであり、かつ好ましくは、6~約50ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドである。具体的な態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドである。
一実施形態では、本開示のアンチセンス核酸は、外来性配列からの転写により細胞内で生成される。例えば、ベクターまたはその一部分が、転写されて、本開示の遺伝子のアンチセンス核酸(RNA)が生成される。そのようなベクターは、所望のアンチセンス核酸をコードする配列を含むであろう。そのようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを生成させることができる限り、エピソームに保持されるか、または染色体にインテグレートされることができる。そのようなベクターは、当技術分野で標準的な組み換えDNA技術の方法を用いて構築することができる。ベクターは、脊椎動物細胞での複製および発現のために用いられる、プラスミド、ウイルス、または当技術分野で公知の他のベクターであり得る。本開示の所望の遺伝子をコードする配列、またはその断片の発現は、脊椎動物細胞、好ましくはヒト細胞中で作用するための、当技術分野で公知のいずれかのプロモーターによるものであり得る。そのようなプロモーターは、誘導性または構成的であり得る。そのようなプロモーターとしては、限定するものではないが、SV40初期プロモーター領域[例えば、Benoist and Chambon (1981) Nature 290:304-310を参照されたい]、ラウス肉腫ウイルスの3'LTRに含まれるプロモーター[例えば、Yamamoto et al. (1980) Cell 22:787-797を参照されたい]、ヘルペスチミジンプロモーター[例えば、Wagner et al. (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445を参照されたい]、およびメタロチオネイン遺伝子の調節配列[例えば、Brinster, et al. (1982) Nature 296:39-42を参照されたい]が挙げられる。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンタゴニストは、以下の分子のうちの1種以上の発現を標的とする干渉RNA(RNAi)分子である:GDF11、GDF8、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、およびアクチビンE)、GDF1、GDF3、ActRIIA、ActRIIB、クリプティック、クリプティック1B、クリプト、ALK4、ALK5、ALK7、Smad2、およびSmad3。RNAiとは、標的化されたmRNAの発現を干渉するRNAの発現を意味する。具体的には、RNAiは、siRNA(小分子干渉RNA)を介して、特異的mRNAと相互作用することを介して、標的化された遺伝子をサイレント化する。dsRNA複合体が、続いて、細胞による分解に対する標的とされる。siRNA分子は、十分に相補的(例えば、該遺伝子に対して少なくとも80%の同一性)な標的遺伝子の発現を干渉する、10~50ヌクレオチド長の二本鎖RNA二重鎖である。一部の実施形態では、siRNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列に対して少なくとも85、90、95、96、97、98、99、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
追加のRNAi分子としては、短いヘアピンRNA(shRNA);ならびに短い緩衝性ヘアピンおよびマイクロRNA(miRNA)が挙げられる。shRNA分子は、ループにより連結されている標的遺伝子由来のセンスおよびアンチセンス配列を含有する。shRNAは、核から細胞質へと輸送され、mRNAと共に分解される。Pol IIIまたはU6プロモーターが、 promoters can be used to express RNAs for RNAiのためにRNAを発現するために用いることができる。 Paddison et al.(Genes & Dev. (2002) 16:948-958, 2002)は、RNAiに影響を与える手段としてヘアピンへとフォールディングされる小分子RNA分子を用いている。したがって、そのような短いヘアピンRNA(shRNA)分子はまた、本明細書中に記載される方法で有利に用いられる。機能的shRNAのステムおよびループの長さは様々であり;ステム長は約25~約30ntの何処かの範囲であり得、ループサイズは、サイレント化活性に影響を与えない、4~約25ntの範囲内であり得る。いずれかの特定の理論に拘泥することは望まないが、これらのshRNAは、DICER RNaseの二本鎖RNA(dsRNA)生成物に似通っており、いずれのイベントでも、特異的遺伝子の発現を阻害するための同じ能力を有する。shRNAは、レンチウイルスベクターから発現させることができる。miRNAは、「ステプ-ループ」構造を特徴とするプレmiRNAとして最初に転写される約10~70ヌクレオチド長の一本鎖RNAであり、続いて、RISCを介したさらなるプロセシング後に、プロセシングされたmiRNAへとプロセシングされる。
限定するものではなくsiRNAをはじめとするRNAiを媒介する分子は、化学合成(Hohjoh, FEBS Lett 521:195-199, 2002)、dsRNAの加水分解(Yang et al. , Proc Natl Acad Sci USA 99:9942-9947, 2002)によりin vitroで、T7 RNAポリメラーゼによるin vitro転写により(Donzeet et al., Nucleic Acids Res 30:e46, 2002;Yu et al. , Proc Natl Acad Sci USA 99:6047-6052, 2002)、および大腸菌RNase III などのヌクレアーゼを用いる二本鎖RNAの加水分解(Yang et al., Proc Natl Acad Sci USA 99:9942-9947, 2002) により生成することができる。
別の態様によれば、本開示は、限定するものではないが、デコイDNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、複合体化DNA、カプセル化DNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、裸のRNA、カプセル化RNA、ウイルスRNA、二本鎖RNA、RNA干渉を生じさせることが可能な分子、またはそれらの組み合わせをはじめとする、ポリヌクレオチドアンタゴニストを提供する。
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストはアプタマーである。アプタマーは、結合して、標的分子に特異的に結合する三者構造を形成する、二本鎖DNA分子および一本鎖RNA分子を含む、核酸分子である。アプタマーの生成および治療的使用は、当技術分野で十分に確立されている(例えば、米国特許第5,475,096号)。アプタマーについての追加の情報は、米国特許出願公開第20060148748号に見出すことができる。核酸アプタマーは、例えば、指数的富化によるリガンドの系統進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment;SELEX)プロセスを介して、当技術分野で公知の方法を用いて選択することができる。SELEXは、標的分子に対する高度な特異的結合性を有する核酸分子のin vitro進化のための方法であり、米国特許第5,475,096号;同第5,580,737号;同第5,567,588号;同第5,707,796号;同第5,763,177号;同第6,011,577号;および同第6,699,843号に記載される通りである。アプタマーを特定するための別のスクリーニング法が、米国特許第5,270,163号に記載されている。SELEXプロセスは、様々な二次元および三次元構造を形成する核酸の能力、ならびに仮想的にはいかなる化合物(単量体または多量体のいずれであるかにかかわりなく、他の核酸分子およびポリペプチドが挙げられる)と共にリガンドとして機能する(特異的結合ペアを形成する)ためにヌクレオチド単量体内で利用可能な化学的多様性に基づく。いずれのサイズまたは組成の分子でも、標的として振る舞い得る。SELEX法は、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの選択、ならびに所望の結合親和性および選択性を達成するために、同じ一般的選択スキームを用いて、結合、分割および増幅の段階的反復を含む。ランダム化配列のセグメントを含み得る、核酸の混合物から始まり、SELEX法は、該混合物を結合に有利な条件下で標的と接触させるステップ;標的分子に特異的に結合しているそれらの核酸から未結合核酸を分割するステップ;核酸-標識複合体を解離させるステップ;核酸-標識複合体から解離した核酸を増幅して、核酸のリガンド富化混合物を取得するステップを含
む。結合、分割、解離および増幅のステップを、所望されるだけの多数のサイクルだけ反復して、標的分子に対して高い親和性および特異性を有して結合する核酸リガンドが得られる。
典型的には、そのような結合性分子は、動物に対して別個に投与されるが[例えば、O'Connor (1991) J. Neurochem. 56:560を参照されたい]、そのような結合性分子はまた、宿主細胞により取り込まれ、かつin vivoで発現されるポリヌクレオチドから、in vivoで発現させることもできる[例えば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, Fla. (1988)を参照されたい]。
8. フォリスタチンおよびFLRGアンタゴニスト
他の態様では、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、フォリスタチンまたはFLRGポリペプチドである。本明細書中に記載される通り、フォリスタチンおよび/またはFLRGポリペプチドは、腎臓疾患を治療するかもしくはその進行速度、頻度、および/または重症度を低減させるために、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療するか、予防するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるために、用いることができる。
用語「フォリスタチンポリペプチド」としては、フォリスタチンのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられ、フォリスタチンのいずれかの機能的単量体またはマルチマーがさらに挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のフォリスタチンポリペプチドは、アクチビン活性、特にアクチビンAに結合し、かつ/またはこれを阻害する。アクチビン結合特性を保持するフォリスタチンポリペプチドの変異体は、フォリスタチンとアクチビンとの相互作用を含む以前の研究に基づいて特定することができる。例えば、国際公開第2008/030367号は、アクチビン結合性に関して重要であることが示されている具体的なフォリスタチンドメイン(「FSD」)を開示する。配列番号150および151で以下に示される通り、フォリスタチンN末端ドメイン、FSD2、および比較的低い程度ではFSD1が、アクチビン結合性に関して重要であるフォリスタチン内の例示的ドメインを代表する。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、フォリスタチンの変異体を作製および試験するためにも適切である。フォリスタチンポリペプチドとしては、フォリスタチンポリペプチドの配列に対して少なくとも約80%同一であり、任意により、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のフォリスタチンの配列に由来するポリペプチドが挙げられる。フォリスタチンポリペプチドの例としては、プロセシングされたフォリスタチンポリペプチドもしくはより短いアイソフォームおよび、例えば、国際公開第2005/025601号に記載される通りの、ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドの他の変異体が挙げられる。
フォリスタチンは、オルタナティブmRNAスプライシングおよびタンパク質の種々のグリコシル化に基づいて、31~49kDaの分子量の範囲を有し得る単鎖ポリペプチドである。フォリスタチン遺伝子由来のオルタナティブスプライシングmRNAは、288アミノ酸(すなわち、FST288、配列番号150)および315アミノ酸(すなわち、FST315、配列番号151)のアイソフォームをコードし、後者は、タンパク質分解によりプロセシングされて、また別のアイソフォームである、フォリスタチン303(FST303)を生じることができる。生来型ヒトフォリスタチンポリペプチドのアミノ酸配列の解析により、該配列が、以下の5種類のドメインを有することが明らかになっている:シグナル配列(配列番号150のアミノ酸1~29)、N末端ドメイン(FSTND)(配列番号150のアミノ酸30~94)、フォリスタチンドメイン-1(FSTFD1)(配列番号150のアミノ酸95~164)、フォリスタチンドメイン-2(FSTFD2))(配列番号1のアミノ酸168~239)、およびフォリスタチンドメイン-3(FSTFD3)(配列番号150のアミノ酸245~316)。Shimanski et al (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85:4218-4222を参照されたい。
ヒトフォリスタチン-288(FST288)前駆体は、配列番号150のアミノ酸配列を有し(NCBI参照配列NP_006341;Uniprot P19883-2)、これは、点線下線により示されるシグナルペプチド、破線下線により示されるN末端ドメイン(FSTND)、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン1~3(FSTFD1、FSTFD2、FSTFD3)を含む。
プロセシングされたヒトフォリスタチン変異体FST288は、配列番号152のアミノ酸配列を有し、これは、破線下線により示されるN末端ドメイン、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン1~3を含む。さらに、最初のシステインに先行する最初のアミノ酸GまたはNは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
ヒトフォリスタチン-315(FST315)前駆体は、配列番号151のアミノ酸配列を有し(NCBI参照配列NP_037541.1;Uniprot P19883)、これは、点線下線により示されるシグナルペプチド、破線下線により示されるN末端ドメイン(FSTND)、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン1~3(FSTFD1、FSTFD2、FSTFD3)を含む。C末端伸長部を表わす最後の27残基が、このフォリスタチンアイソフォームを、より短いフォリスタチンアイソフォームであるFST288から区別する。
プロセシングされたヒトFST315は、配列番号153のアミノ酸配列を有し、これは、破線下線により示されるN末端ドメイン、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン1~3を含む。さらに、最初のシステインに先行する最初のアミノ酸GまたはNは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
本開示のフォリスタチン関連ポリペプチドとしては、フォリスタチンタンパク質のいずれかの天然に存在するドメインならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)が挙げられる。例えば、FST315およびFST288はミオスタチン、アクチビン(アクチビンAおよびアクチビンB)、およびGDF11に対して高親和性を有すること、およびフォリスタチンドメイン(例えば、FSTND、FSTFD1、FSTFD2、およびFSTFD3)が、そのようなTGFβリガンドの結合性に関与すると考えられることが周知である。しかしながら、これらの4種類のドメインのそれぞれが、これらのTGF-βリガンドに対して異なる親和性を有するという知見がある。例えば、最近の研究により、N末端ドメインおよび2つのFSTFD1ドメインのみを直列に含むポリペプチド構築物が、ミオスタチンに対して高親和性を保持したことが実証され、アクチビンに対する親和性がほとんどまたはまったくないことが実証され、かつ遺伝子発現によりマウスに導入される場合に、全身性の筋肉増殖を促進した(Nakatani et al (2008) FASEB 22:478-487)。したがって、本開示は、部分的に、天然に存在するFSTタンパク質と比較して、所与のTGF-βリガンドの選択的結合性および/または阻害する変異体フォリスタチンタンパク質を包含する(例えば、ミオスタチンに対する高親和性を維持しながら、アクチビンに対する著明に低下した親和性を有する)。
FSTFD1配列は、FSTNDドメインをさらに含むポリペプチドとしての発現により構造的文脈で有利に維持される場合がある。したがって、本開示は、配列番号154に表わされるFSTND-FSTFD1配列、および、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含むポリペプチドを含み、さらに、最初のシステインに先行する最初のアミノ酸GまたはNは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
Nakataniらにより実証された通り、FSTND-FSTFD1-FSTFD1構築物は、マウスで遺伝的に発現された場合に、全身性筋肉増殖を賦与するために十分であり、したがって、本開示は、配列番号155のアミノ酸配列および、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含むポリペプチドを含む。
FSTFD1配列は、ミオスタチンおよびGDF11結合性を賦与するが、アクチビン、特にアクチビンA、およびまたアクチビンBはまた、筋肉の負の調節因子でもあること、およびしたがって、ミオスタチン/GDF11リガンド群およびアクチビンA/アクチビンBリガンド群の両方を阻害するフォリスタチンポリペプチドは、より強力な筋肉作用を提供し得ることが実証されている。FSTFD2がアクチビンAおよびB結合性を賦与することを考慮すれば、本開示は、FSTFD1-FSTFD2(配列番号156)およびFSTFD1-FSTFD2-FSTFD3(配列番号157)を含むポリペプチド、ならびにFSTND-FSTFD1-FSTFD2(配列番号158)および、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含む構築物を提供する。
291アミノ酸のフォリスタチンポリペプチド(天然に存在するFST315の切断体を表す)は、特定の実施形態では有利な特性を有し得る。したがって、未プロセシング型(配列番号159)およびプロセシング型FST291(配列番号160)ポリペプチドが本開示に含められ、異種タンパク質とさらに組み合わせることができる。さらに、最初のシステインに先行する最初のアミノ酸GまたはNは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
本明細書中では、フォリスタチンタンパク質は、FSTと称される場合がある。その後に数字が続く場合(FST288)、これは、該タンパク質がフォリスタチンの288アミノ酸のアイソフォームであることを示す。FST288-Fcとして表わされる場合、これは、FcドメインがFST288のC末端に融合されている(介在リンカーを含むかまたは含まないことができる)ことを示す。この例でのFcは、その用語が本明細書中で定義されている通り、いずれかの免疫グロブリンFc部分であり得る。FST288-G1Fcとして表わされる場合、これは、ヒトIgG1のFc部分がFST288のC末端に融合されていることを示す。反対であることが示されない限り、この命名法を用いて記載されるタンパク質は、ヒトフォリスタチンタンパク質を表わすであろう。
他の態様では、本明細書中に開示される方法に従って用いるための薬剤は、フォリスタチン様関連遺伝子(FLRG)であり、これはまた、フォリスタチン関連タンパク質3(FSTL3)としても知られる。用語「FLRGポリペプチド」としては、FLRGのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のFLRGポリペプチドは、アクチビン、特にアクチビンAに結合し、かつ/またはアクチビン活性を阻害する。アクチビン結合特性を保持するFLRGポリペプチドの変異体は、FLRGとアクチビンとの相互作用をアッセイするための慣用方法を用いて特定することができる(例えば、米国特許第6,537,966号を参照されたい)。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、FLRGの変異体を作製および試験するためにも適切である。FLRGポリペプチドとしては、FLRGポリペプチドの配列に対して少なくとも約80%同一であり、任意により、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のFLRGの配列に由来するポリペプチドが挙げられる。
FSTNによりコードされる生来型フォリスタチンアイソフォームに近縁のタンパク質は、FSTL3遺伝子によりコードされる天然に存在するタンパク質であり、フォリスタチン関連遺伝子(FLRG)、フォリスタチン様3(FSTL3)、またはフォリスタチン関連タンパク質(FSRP)としても代替的に知られる(Schneyer et al (2001) Mol Cell Endocrinol 180:33-38)。フォリスタチンと同様に、FLRGは、ミオスタチン、アクチビン、およびGDF11に高親和性を有して結合し、それにより、それらの生物活性をin vivoで阻害する(Sidis et al (2006) Endocrinology 147:3586-3597)。フォリスタチンとは異なり、FLRGはヘアピン結合性配列を保持せず、細胞表面プロテオグリカンに結合できず、かつ、したがって、細胞表面の直近ではFST288と比較して比較的効力が弱いアクチビンの阻害剤である。フォリスタチンとは対照的に、FLRGはまた、プロセシングされたミオスタチンに結合した状態で血中を循環し、つまり、これに関してはミオスタチンプロペプチドに似通っている(Hill et al (2002) J Biol Chem 277:40735-40741)。フォリスタチンとは異なり、マウスでのFLRG欠損は致死的であるが、多様な代謝的表現型を引き起こさない(Mukherjee et al (2007) Proc Natl Acad Sci USA 104:1348-1353)。
FLRGの全体的な構造は、フォリスタチンのものと類似している。生来型ヒトFLRG前駆体は、以下の4種類のドメインを含む単鎖ポリペプチドであり:シグナル配列(配列番号161のアミノ酸1~26)、N末端ドメイン(FLRGND)(配列番号161のアミノ酸38~96、アクチビンAと比較して、ミオスタチンに示差的に相互作用する(Cash et al (2012) J Biol Chem 287:1043-1053))、および本明細書中ではFLRGFD1(配列番号161のアミノ酸99~167)およびFLRGFD2(配列番号161のアミノ酸171~243)と称される2種類のフォリスタチンドメイン。
用語「FLRGポリペプチド」は、FLRGのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドを意味するために用いられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のFLRGポリペプチドは、ミオスタチン、GDF11、またはアクチビン、特にアクチビンAに結合し、かつ/またはその活性を阻害する(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB Smad2/3シグナル伝達のリガンド媒介活性化)。リガンド結合特性を保持するFLRGポリペプチドの変異体は、FLRGとリガンドとの間の相互作用をアッセイするための慣用の方法を用いて特定することができる(例えば、米国特許第6,537,966号を参照されたい)。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は上記に説明され、そのような方法はまた、FLRGの変異体を作製および試験するためにも適切である。
例えば、FLRGポリペプチドとしては、FLRGポリペプチド(例えば、配列番号161~164)の配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、配列番号161~164のうちのいずれかに対して少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のFLRGの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。用語「FLRG融合ポリペプチド」とは、上述のポリペプチドのうちのいずれかを異種(非FLRG)部分と共に含む融合タンパク質を意味することができる。アミノ酸配列は、配列番号161により表わされるヒトFLRGで特有に見出されない場合に、FLRGに対して異種であると理解される。異種部分の多数の例が本明細書中に提供され、そのような異種部分は、アミノ酸配列により、融合タンパク質のFLRGポリペプチド部分に対して近接しているか、またはリンカーもしくは他の配列などの介在するアミノ酸配列により分離されていることができる。
ヒトFLRG前駆体は、以下のアミノ酸配列(配列番号161)(NCBI参照配列NP_005851.1のアミノ酸1~263)を有し、点線下線により示されるシグナルペプチド、破線下線により示されるN末端ドメイン(FLRGND)、および実線下線により示される2種類のフォリスタチンドメイン(FSTFD1、FSTFD2)を含む。
プロセシングされたヒトFLRGは、以下のアミノ酸配列(配列番号162)(NCBI参照配列NP_005851.1のアミノ酸38~263)を含み、破線下線により示されるN末端ドメイン、および実線下線により示される2種類のフォリスタチンドメインを含む。さらに、最初のシステイン(配列番号161中の38位)に先行するアミノ酸(配列番号161のうちの27~37位)のうちのいずれかが実質的な重要性も有さずに含められることができ、そのような若干長いポリペプチドを含むポリペプチドが含められる。
FLRGFD配列は、FLRGNDドメインをさらに含むポリペプチドとしての発現により、構造的文脈で有利に維持することができる。したがって、本開示は、FLRGND-FLRGFD1配列(配列番号163)およびFLRGND-FLRGFD1-FLRGFD2配列(配列番号164)、および、以下に説明される通り、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含むポリペプチドを含む。さらに、最初のシステインに先行する最初のアミノ酸GまたはNは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
FLRG-Fcとして表わされる場合、これは、FcドメインがFLRGのC末端に融合されている(介在リンカーを含むかまたは含まないことができる)ことを示す。この例でのFcは、その用語が本明細書中で定義されている通り、いずれかの免疫グロブリンFc部分であり得る。FLRG-G1Fcとして表わされる場合、これは、IgG1のFc部分がFLRGのC末端に融合されていることを示す。反対であることが示されない限り、この命名法を用いて記載されるタンパク質は、ヒトFLRGタンパク質を表わすであろう。
特定の実施形態では、フォリスタチンポリペプチドおよびFLRGポリペプチドの機能的変異体または改変型としては、フォリスタチンポリペプチドまたはFLRGポリペプチドの少なくとも一部分および1種以上の融合ドメイン(例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化またはマルチマー化を促進するドメイン)を有する融合タンパク質が挙げられる。好適な融合ドメインは、ActRIIポリペプチドを参照して上記で詳細に議論されている。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合したフォリスタチンポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。別の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合したFLRGポリペプチドのアクチビン結合性部分を含む融合タンパク質である。
9. WFIKKN1およびWFIKKN2
FSTNおよびFSTL3に加えて、そのタンパク質生成物がフォリスタチンドメインモチーフを含有し、かつミオスタチンおよびGDF11の細胞外阻害剤として機能する、2種類の他の遺伝子が特定されている。ヒトでは、これらの近縁の遺伝子は、乳清酸性タンパク質ドメイン、フォリスタチン-カザールドメイン、免疫グロブリンドメイン、クーニッツ型プロテアーゼ阻害剤モジュールに関連する2つのタンデムドメイン、およびネトリンドメインを含む、それらの共有するドメイン構造に基づいて、WFIKKN1およびWFIKKN2と命名されている(Trexler et al (2001) Proc Natl Acad Sci USA 98:3705-3709;Trexler et al (2002) Biol Chem 383:223-228)。WFIKKN2はまた、WFIKKN関連タンパク質(WFIKKNRP)としても知られ、これらのタンパク質のマウスカウンターパートは、それらのリガンド結合能に基づいて、GDF会合性血清タンパク質2(Gasp2)およびGasp1とそれぞれ命名されている(Hill et al (2003) Mol Endocrinol 17:1144-1154)。
生来型WFIKKN1(GASP2)およびWFIKKN2(GASP1)タンパク質は、それでもなお、互いに、およびフォリスタチンまたはFLRGとは異なる重複する活性プロフィールを保持する。WFIKKNは、ミオスタチン、GDF11に対して、および一部の場合には、フォリスタチンドメイン(WFIKKN1FD、WFIKKN2FD)により主に媒介されるプロセシング型リガンドに対する結合性およびネトリンドメインにより主に媒介されるプロペプチド結合性を有してミオスタチンプロペプチドに対して、高親和性を有して結合する(Hill et al., 2003;Kondas et al (2008) J Biol Chem 283:23677-23684)。フォリスタチンおよびFLRGとは対照的に、WFIKKN1およびWFIKKN2のいずれも、アクチビンには結合しない(Szlama et al (2010) FEBS J 277:5040-5050)。WFIKKNタンパク質は、アクチビンII型受容体に対するそれらのアクセスを遮断することにより、ミオスタチンおよびGDF11シグナル伝達を阻害する(Lee et al (2013) Proc Natl Acad Sci USA 110:E3713-E3722)。両方のWFIKKN中の数箇所のプロテアーゼ阻害モジュールの存在に起因して、それらはまた、複数の種類のプロテアーゼの作用も調節するようである。WFIKKN1の組織発現パターンは、出生前および出生後に、WFIKKN2のものとは異なり、つまり、このことは、2種類のタンパク質が異なる役割を果たすことを支持する(Trexler et al (2002) Biol Chem 383:223-228)。
追加の一連の知見は、骨格筋質量の調節でのWFIKKNに関連する。WFIKKN1またはWFIKKN2のホモ接合欠失を有するマウスは、ミオスタチンおよびGDF11の過剰活性と合致する表現型を示し、表現型としては、筋肉重量の低減、迅速な解糖系IIb型線維から迅速な酸化型IIa型線維への線維型のシフト、および筋肉再生の障害が挙げられる(Lee et al (2013) Proc Natl Acad Sci USA 110:E3713-E3722)。逆に、マウスでのWFIKKN2の広範囲な過剰発現は、主に、過剰筋肉表現型をもたらす(Monestier et al (2012) BMC Genomics 13:541-551)。両方のWFIKKNタンパク質がミオスタチンに結合するが、WFIKKIN1およびWFIKKN2は、ミオスタチンプロペプチドと別様に相互作用することができ、つまり、ミオスタチンと単一ミオスタチンプロペプチド鎖との生来型複合体である半潜在性ミオスタチンによるActRIIAまたはActRIIBの活性化を別様にブロックすることができる(Szlama et al (2013) FEBS J 280:3822-3839)。併せると、本明細書中に開示される通りのWFIKKN1またはWFIKKN2ポリペプチドを含むフォリスタチン関連融合タンパク質は、内在性アクチビンの阻害に伴う潜在的な望ましくない作用を引き起こすことなく、in vivoで、腎臓疾患に関連する1種以上の症状(腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症など)の軽減の処置を補助することが予期されるであろう。
用語「WFIKKN1ポリペプチド」は、WFIKKN1のいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドを意味するために用いられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のWFIKKN1ポリペプチドは、ミオスタチン、ミオスタチンプロペプチド、ミオスタチンとミオスタチンプロペプチドとの複合体、GDF11、および潜在的にはアクチビンに結合し、かつ/またはその活性を阻害する(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB Smad2/3シグナル伝達のリガンド媒介活性化)。リガンド結合特性を保持するWFIKKN1ポリペプチドの変異体は、WFIKKN1とリガンドとの間の相互作用をアッセイするための慣用の方法を用いて特定することができる(例えば、Kondas et al 2008;Szlama et al 2013を参照されたい)。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は上記に説明され、そのような方法はまた、WFIKKN1の変異体を作製および試験するためにも適切である。
例えば、WFIKKN1ポリペプチドとしては、WFIKKN1ポリペプチド(例えば、配列番号165~167)の配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、配列番号165~167のうちのいずれかに対して少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のWFIKKN1ポリペプチドの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。用語「WFIKKN1融合ポリペプチド」とは、上述のポリペプチドのうちのいずれかを異種(非WFIKKN1)部分と共に含む融合タンパク質を意味することができる。アミノ酸配列は、配列番号165により表わされるヒトWFIKKN1で特有に見出されない場合に、WFIKKN1に対して異種であると理解される。異種部分の多数の例が本明細書中に提供され、そのような異種部分は、アミノ酸配列により、融合タンパク質のWFIKKN1ポリペプチド部分に対して近接しているか、またはリンカーもしくは他の配列などの介在するアミノ酸配列により分離されていることができる。
ヒトWFIKKN1前駆体は、配列番号165のアミノ酸配列(NCBI参照配列NP_444514.1)を有し、点線下線により示されるシグナルペプチド、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン(WFIKKN1FD)を含む。
プロセシングされたヒトWFIKKN1は、実線下線により示されるフォリスタチンドメインを含む、配列番号166のアミノ酸配列を有する。さらに、最初のシステインに先行する13アミノ酸のうちのいずれかは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
特定の態様では、本開示は、以下に表わされるWFIKKN1FDドメイン(配列番号167)、および、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含むポリペプチドを含む。
WFIKKN1-Fcとして表わされる場合、これは、Fc部分がWFIKKN1のC末端に融合されている(介在リンカーを含むかまたは含まないことができる)ことを示す。この例でのFcは、その用語が本明細書中で定義されている通り、いずれかの免疫グロブリンFc部分であり得る。WFIKKN1-G1Fcとして表わされる場合、これは、IgG1のFc部分がWFIKKN1のC末端に融合されていることを示す。反対であることが示されない限り、この命名法を用いて記載されるタンパク質は、ヒトWFIKKN1タンパク質を表わすであろう。
用語「WFIKKN2ポリペプチド」は、WFIKKN2のいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドを意味するために用いられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のWFIKKN2ポリペプチドは、ミオスタチン、ミオスタチンプロペプチド、ミオスタチンとミオスタチンプロペプチドとの複合体、GDF11、および潜在的にはアクチビンに結合し、かつ/またはその活性を阻害する(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB Smad2/3シグナル伝達のリガンド媒介活性化)。リガンド結合特性を保持するWFIKKN2ポリペプチドの変異体は、WFIKKN2とリガンドとの間の相互作用をアッセイするための慣用の方法を用いて特定することができる(例えば、Kondas et al (2008) J Biol Chem 283:23677-23684;Szlama et al (2013) FEBS J 280:3822-3839を参照されたい)。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は上記に説明され、そのような方法はまた、WFIKKN2の変異体を作製および試験するためにも適切である。
例えば、WFIKKN2ポリペプチドとしては、WFIKKN2ポリペプチド(例えば、配列番号168~172)の配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、配列番号168~172のうちのいずれかに対して少なくとも85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のWFIKKN2ポリペプチドの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。用語「WFIKKN2融合ポリペプチド」とは、上述のポリペプチドのうちのいずれかを異種(非WFIKKN2)部分と共に含む融合タンパク質を意味することができる。アミノ酸配列は、配列番号168により表わされるヒトWFIKKN2で特有に見出されない場合に、WFIKKN2に対して異種であると理解される。異種部分の多数の例が本明細書中に提供され、そのような異種部分は、アミノ酸配列により、融合タンパク質のWFIKKN2ポリペプチド部分に対して近接しているか、またはリンカーもしくは他の配列などの介在するアミノ酸配列により分離されていることができる。
ヒトWFIKKN2前駆体は、配列番号168のアミノ酸配列(NCBI参照配列NP_783165.1)を有し、点線下線により示されるシグナルペプチド、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン(WFIKKN2FD)を含む。
プロセシングされたヒトWFIKKN2は、一重下線により示されるフォリスタチンドメインを含む、配列番号169のアミノ酸配列を有する。さらに、最初のシステインに先行する11アミノ酸のうちのいずれかは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
特定の態様では、本開示は、配列番号170に表わされるWFIKKN2FDドメイン、および、例えば、1種以上の異種ポリペプチドを含むポリペプチドを含む。
マウスWFIKKN2(GASP1)前駆体は、配列番号171の以下のアミノ酸配列(NCBI参照配列NP_861540.2)を有し、点線下線により示されるシグナルペプチド、および実線下線により示されるフォリスタチンドメイン(WFIKKN2FD)を含む。
プロセシングされたマウスWFIKKN2は、一重下線により示されるフォリスタチンドメインを含む、配列番号172の以下のアミノ酸配列を有する。さらに、最初のシステインに先行する11アミノ酸のうちのいずれかは、プロセシングにより除去されるか、またはいかなる重要性も有さずに意図的に除去されることができ、そのような若干小さなポリペプチドを含むポリペプチドが、さらに含められることが理解されるであろう。
WFIKKN2-Fcとして表わされる場合、これは、FcドメインがWFIKKN2のC末端に融合されている(介在リンカーを含むかまたは含まないことができる)ことを示す。この例でのFcは、その用語が本明細書中で定義されている通り、いずれかの免疫グロブリンFc部分であり得る。WFIKKN2-G1Fcとして表わされる場合、これは、IgG1のFcドメインがWFIKKN2のC末端に融合されていることを示す。反対であることが示されない限り、この命名法を用いて記載されるタンパク質は、ヒトWFIKKN2タンパク質を表わすであろう。
10. レフティAおよびB
レフティAおよびBタンパク質は、ノーダルおよびALK7経路を介してシグナル伝達する他のタンパク質を調節することが知られている。したがって、他の態様では、ALK7アンタゴニストは、レフティAまたはレフティBポリペプチドであり、これは、単独で、または本明細書中に開示される通りの1種以上の追加の補助的療法および/または活性薬剤と組み合わせて、所望の効果(例えば、腎臓疾患および/または代謝状態もしくは障害を治療する)を達成するために用いることができる。
用語「レフティAポリペプチド」としては、レフティAのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられ、レフティAのいずれかの機能的単量体またはマルチマーがさらに挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のレフティAポリペプチドは、ノーダルに結合し、かつ/またはその活性を阻害する。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIおよびALK7ポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、レフティAの変異体を作製および試験するためにも適切である。レフティAポリペプチドとしては、レフティAポリペプチドの配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のレフティAの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。レフティAポリペプチドの例としては、プロセシングされたレフティAポリペプチドもしくはより短いアイソフォームまたはヒトレフティA前駆体ポリペプチド(配列番号173、シグナルペプチドには下線が施してある;GenBank Id: AAD48145.1)の他の変異体が挙げられる。
用語「レフティBポリペプチド」としては、レフティBのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられ、レフティBのいずれかの機能的単量体またはマルチマーがさらに挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のレフティBポリペプチドは、ノーダル活性を阻害する。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIおよびALK7ポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、レフティBの変異体を作製および試験するためにも適切である。レフティBポリペプチドとしては、レフティBポリペプチドの配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のレフティBの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。レフティBポリペプチドの例としては、プロセシングされたレフティBポリペプチドもしくはより短いアイソフォームまたはヒトレフティB前駆体ポリペプチド(配列番号174、シグナルペプチドには下線が施してある;GenBank Id: AAD48144.1)の他の変異体が挙げられる。
特定の実施形態では、レフティAポリペプチドおよびレフティBポリペプチドの機能的変異体または改変型としては、レフティAポリペプチドまたはレフティポリペプチドの少なくとも一部分および、例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化またはマルチマー化を促進するドメインなどの1種以上の融合ドメインを有する融合タンパク質が挙げられる。好適な融合ドメインは、ActRIIおよびALK7ポリペプチドを参照して上記に詳細に議論されている。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合されたレフティAおよび/またはレフティBポリペプチドのノーダル結合性部分を含む融合タンパク質である。
11. DAN関連タンパク質
DANファミリーのタンパク質のメンバーは、ALK7経路を介してシグナル伝達するリガンドを調節することが知られている。したがって、他の態様では、ALK7アンタゴニストはDAN関連タンパク質(例えば、CerberusおよびCoco)であり、これは、単独で、または本明細書中に開示される通りの1種以上の追加の補助的療法および/または活性薬剤と組み合わせて、所望の効果(例えば、腎臓疾患および/または代謝障害を有する患者を治療する)を達成するために用いることができる。
用語「Cerberusポリペプチド」としては、Cerberusのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられ、Cerberusのいずれかの機能的単量体またはマルチマーがさらに挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のCerberusポリペプチドは、ノーダルに結合し、かつ/またはその活性を阻害する。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIおよびALK7ポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、Cerberusの変異体を作製および試験するためにも適切である。Cerberusポリペプチドとしては、Cerberusポリペプチドの配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のCerberusの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。Cerberusポリペプチドの例としては、プロセシングされたCerberusポリペプチドもしくはより短いアイソフォームまたはヒトCerberus前駆体ポリペプチド(配列番号175、シグナルペプチドには下線が施してある;GenBank Id: NP_005445.1)の他の変異体が挙げられる。
DANドメインBMPアンタゴニストファミリーメンバー5、SP1、CER2、CRL2、CERL2、DANTE、GREM3、およびCKTSF1B3としても知られる用語「Cocoポリペプチド」としては、Cocoのいずれかの天然に存在するポリペプチドならびに有用な活性を保持するそのいずれかの変異体(突然変異体、断片、融合体、およびペプチドミメティクス形態を含む)を含むポリペプチドが挙げられ、Cocoのいずれかの機能的単量体またはマルチマーがさらに挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本開示のCocoポリペプチドは、ノーダルに結合し、かつ/またはその活性を阻害する。加えて、ポリペプチドのライブラリーを作製および試験するための方法は、ActRIIおよびALK7ポリペプチドの文脈で上記に説明され、そのような方法はまた、Cocoの変異体を作製および試験するためにも適切である。Cocoポリペプチドとしては、Cocoポリペプチドの配列に少なくとも約80%同一である配列を有し、任意により、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する配列を有するいずれかの公知のCocoの配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。Cocoポリペプチドの例としては、プロセシングされたCocoポリペプチドもしくはより短いアイソフォームまたはヒトCoco前駆体ポリペプチド(配列番号176、シグナルペプチドには下線が施してある;GenBank Id: NP_689867.1)の他の変異体が挙げられる。
特定の実施形態では、CerberusポリペプチドおよびCocoポリペプチドの機能的変異体または改変型としては、Cerberusポリペプチドおよび/またはCocoポリペプチドの少なくとも一部分および、例えば、ポリペプチドの単離、検出、安定化またはマルチマー化を促進するドメインなどの1種以上の融合ドメインを有する融合タンパク質が挙げられる。好適な融合ドメインは、ActRIIおよびALK7ポリペプチドを参照して上記に詳細に議論されている。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト剤は、Fcドメインに融合されたCerberusおよび/またはCocoポリペプチドのノーダル結合性部分を含む融合タンパク質である。
12. スクリーニングアッセイ
特定の態様では、本開示は、腎臓疾患を治療またはその進行速度、頻度および/もしくは重症度を低減し、特に、1種以上の腎臓疾患関連合併症(例えば、腎臓組織損傷、線維化、および/または炎症)を治療し、予防し、またはその進行速度、頻度および/もしくは重症度を低減するために用いることができる化合物(薬剤)を特定するための、対象であるアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト(例えば、以下の分子のうちの1種以上の阻害剤、または阻害剤の組み合わせ:アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3)の使用に関する。
1種以上のGDFリガンドのシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を標的化することにより腎臓疾患を治療するための治療剤についてのスクリーニングに対する、多数のアプローチがある。特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを、選択された細胞株でのGDFリガンド媒介作用を妨害する薬剤を特定するために、行なうことができる。特定の実施形態では、GDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、等)の、その結合パートナー(II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、またはI型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7など)との結合性を特異的に阻害または低減する化合物をスクリーニングおよび特定するために、アッセイを行なう。あるいは、GDFリガンドとその結合パートナー(II型受容体など)との結合性を強化する化合物を特定するために、アッセイを用いることができる。さらなる実施形態では、化合物を、II型受容体と相互作用するその能力により特定することができる。
様々なアッセイ形式が、本開示に鑑みて、満足のいくものであり、かつ、本明細書中に明示されないアッセイ形式はそれでもなお、当業者により理解されるであろう。本明細書中に記載される通り、本発明の試験化合物(薬剤)は、いずれかのコンビナトリアル化学法により作製することができる。あるいは、対象である化合物は、in vivoまたはin vitroで合成される天然に存在する生体分子であり得る。組織増殖の修飾因子として作用するそれらの能力について試験される対象である化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物(例えば、天然生成物)により産生させるか、化学的に生成させるか(例えば、ペプチドミメティクスをはじめとする小分子)、または組み換え的に産生させることができる。本発明により意図される試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティクス、糖、ホルモン、および核酸分子が挙げられる。特定の実施形態では、試験薬剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小型有機分子である。
本開示の試験化合物は、単独の、分離した物体として提供されるか、または。コンビナトリアル化学により作製されたものなどの、より高い複雑性のライブラリー中に提供されることができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハライド、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、アーテルおよび他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験システムに対する試験化合物の提示は、特に初期スクリーニングステップでは、化合物の単離された形態で、または混合物としてのいずれかであり得る。任意により、化合物は、任意により他の化合物を用いて誘導体化されることがあり、化合物の単離を促進する誘導化基を有する場合がある。誘導化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁性ビーズ、グルタチオンS-セファロース(GST)、光活性化型架橋剤またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
化合物のライブラリーおよび天然抽出物を試験する多数の薬物スクリーニングプログラムでは、所定の期間中に調査される化合物数を最大化するために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製型または半精製型タンパク質を用いて誘導することができるものなどの、無細胞系で行なわれるアッセイは、多くの場合に「初代」スクリーニングとして好ましく、このとき、それらのスクリーニングは、迅速な開発および試験化合物により誘導される分子標的中の変化の比較的容易な検出を可能にするために作製することができる。さらに、試験化合物の細胞毒性またはバイオアベイラビリティの影響は、一般的には、in vitro系では無視できることができ、アッセイはその代わりに、GDFリガンド(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、等)と、その結合パートナー(II型受容体(例えば、ActRIIAおよび/またはActRIIB)、共受容体(例えば、クリプト、クリプティック、および/またはクリプティック1B)、またはI型受容体(例えば、ALK4、ALK5、および/またはALK7など)との間の結合親和性の変化に現われ得る通りの、分子標的に対する薬物の影響について、主に焦点があてられる。
単に例示するために、本開示の例示的スクリーニングアッセイでは、対象となる化合物は、アッセイの関心に対して適切である場合、通常はActRIIBリガンドに結合することが可能である単離されかつ精製されたActRIIBポリペプチドと接触させられる。化合物とActRIIBポリペプチドとの混合物に、続いて、ActRIIBリガンド(例えば、GDF11)を含有する組成物が添加される。ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の検出および定量化により、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の複合体形成を阻害する(または増強する)化合物の有効性を決定するための手段が提供される。化合物の有効性は、種々の濃度の試験化合物を用いて取得されるデータから用量応答曲線を作成することにより、評価することができる。さらに、対照アッセイもまた、比較用のベースラインを提供するために行なうことができる。例えば、対照アッセイでは、単離かつ精製されたActRIIBリガンドを、ActRIIBポリペプチドを含有する組成物に添加して、ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の形成を、試験化合物の非存在下で定量化する。一般的に、反応物を混合できる桁は変化させることができ、かつ同時に混合することができることが理解されるであろう。さらに、精製されたタンパク質に代えて、細胞抽出物および溶解物を、好適な無細胞アッセイ系にするために用いることができる。
GDFリガンドとその結合タンパク質との間の複合体形成は、様々な技術により検出することができる。例えば、複合体の形成の変化を、例えば、放射性標識(例えば、32P、35S、14Cまたは3H)、蛍光標識(例えば、FITC)、または酵素的標識ActRIIBポリペプチドなどの検出可能に標識されたタンパク質および/またはその結合タンパク質を用いて、免疫アッセイにより、またはクロマトグラフィー検出により、定量化することができる。
特定の実施形態では、本開示は、GDFリガンドとその結合タンパク質との間の相互作用の程度を、直接的または間接的に測定する上で、蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイの使用を考慮する。さらに、光導波路(例えば、国際公開第96/26432号および米国特許第5,677,196号を参照されたい)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づくものなどの他の検出様式が、本開示の多数の実施形態と適合する。
さらに、本開示は、GDFリガンドとその結合パートナーとの間の相互作用を破壊または増強する薬剤を特定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても知られる、相互作用トラップアッセイの使用を考慮する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al. (1993) Cell 72:223-232;Madura et al. (1993) J Biol Chem 268:12046-12054;Bartel et al. (1993) Biotechniques 14:920-924;およびIwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693-1696)を参照されたい。特定の実施形態では、本開示は、GDFリガンドとその結合タンパク質との間の相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を特定するための、逆ツーハイブリッドシステムの使用を考慮する(例えば、Vidal and Legrain、(1999) Nucleic Acids Res 27:919-29;Vidal and Legrain、(1999) Trends Biotechnol 17:374-81;ならびに米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号を参照されたい)。
特定の実施形態では、対象である化合物は、GDFリガンドに相互作用するそれらの能力により特定される。化合物とGDFリガンドとの間の相互作用は、共有的または非共有的であり得る。例えば、そのような相互作用は、光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティークロマトグラフィーをはじめとするin vitro生化学法を用いて、タンパク質レベルで特定することができる(例えば、Jakoby WB et al. (1974) Methods in Enzymology 46:1を参照されたい)。特定の場合には、化合物は、GDFPリガンドに結合する化合物を検出するためのアッセイなどの、メカニズムベースのアッセイでスクリーニングすることができる。これには、固相または流動相結合イベントが挙げられる。あるいは、GDFリガンドをコードする遺伝子を、リポーターシステム(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)と共に細胞へとトランスフェクションし、好ましくはハイスループットスクリーニングによりライブラリーに対して、またはライブラリーの個々のメンバーを用いてスクリーニングすることができる。他のメカニズムベースの結合性アッセイを用いることができ;例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合性アッセイである。結合性アッセイは、ウェル、ビーズもしくはチップに固定されたか、固定化された抗体により捕捉されたか、またはキャピラリー電気泳動により分解された標的を用いて行なうことができる。結合した化合物は、通常は、発色エンドポイントまたは蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて検出することができる。
13. 治療的使用
部分的には、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト(例えば、アクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、アクチビンC、アクチビンAC、アクチビンBC、アクチビンE、アクチビンAE、および/またはアクチビンBE)、GDF8、GDF11、GDF3、GDF1、ノーダル、ActRIIA、ActRIIB、ALK4、ALK5、ALK7、クリプティック、クリプティック1B、Smad2、およびSmad3のうちの1種以上のアンタゴニスト)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の治療方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の1種以上の合併症(例えば、組織損傷、線維化、および/または炎症などのいずれかの腎臓疾患関連症状)の治療方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の1種以上の合併症の予防方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の進行速度を低減させる方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の1種以上の合併症の進行速度を低減させる方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患関連疾患イベントの頻度を低減させる方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の1種以上の合併症の頻度を低減させる方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の重症度を低減させる方法を意図する。一部の実施形態では、本開示は、有効量のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む、腎臓疾患の1種以上の合併症の重症度を低減させる方法を意図する。任意により、腎臓疾患および腎臓疾患関連疾患イベントを治療するかまたはその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるための、特に、腎臓疾患の1種以上の合併症を治療、予防、またその進行速度、頻度、および/もしくは重症度を低減させるための、本明細書中に開示される方法は、腎臓疾患を治療するための1種以上の補助的療法または追加の活性薬剤を患者に投与するステップをさらに含むことができる。例えば、患者にはまた、高血圧(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはアンジオテンシンII受容体ブロッカーまたは利尿剤を、任意により低塩食と共に用いて)、高コレステロールレベル(例えば、スタチンを用いて)貧血(例えば、ホルモンエリスロポエチンを、任意により鉄サプリメントと共に用いて)、浮腫(例えば、利尿剤を用いて)、血中流体不足(例えば、静脈内(IV)流体補填剤を用いて)、カルシウム不足または骨折(例えば、カルシウムおよび/またはビタミンDサプリメント、または血中リン酸レベルを低下させ、かつ血管の石灰化を保護するためのリン酸塩結合剤を用いて)、血中高カリウムレベル(例えば、カルシウムまたはポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Kayexalate、Kionex)を、カリウムレベルを低下させるために用いて)、毒素蓄積(例えば、血液透析および/または腹腔内透析により)などの1種以上の症状を治療または軽減するために、1種以上の補助的療法または活性薬剤を投与することもできる。加えて、腎臓移植もまた、追加の療法として用いることができる。腎臓疾患のための一部の例示的医薬品は、ラシックス(Lasix(登録商標))(フロセミド)、デマデックス(Demadex(登録商標))(トルセミド)、エデクリン(Edecrin(登録商標))(エタクリン酸)、およびエデクリンナトリウムである。
本明細書中で用いる場合、障害または状態を「予防する」治療剤とは、統計学的サンプル中で、未処置対照サンプルと比較して処置サンプルでの障害もしくは状態の発生率を低減させるか、障害関連イベントの発症を遅延させるかもしくはその頻度を低減させるか、または未処置対照サンプルと比較して障害もしくは状態の1種以上の症状の重症度を低減させる化合物を意味する。
用語「治療すること」としては、本明細書中で用いる場合、状態が確立されている場合に、該状態の軽減または除去が挙げられる。いずれかの場合には、予防または治療は、医師またはその他の医療提供者により提供される診断および治療剤の投与の意図される結果では区別されない場合がある。
一般的に、本開示に記載される場合の疾患もしくは症状の治療または予防は、有効量でアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを投与することにより達成される。薬剤の有効量とは、所望の治療的または予防的結果を達成するために、有効な量、投与量および必要な期間を意味する。本開示の薬物の治療上有効量は、疾患状態、個体の年齢、性別、および体重、ならびに該個体での所望の応答を生起する薬剤の能力などの因子に応じて変わり得る。予防的有効量とは、所望の予防的結果を達成するために、有効な量、投与量および必要な期間を意味する。
用語「被験体」、「個体」または「患者」は、本明細書全体を通して相互に交換可能であり、一般的に、哺乳動物を意味する。哺乳動物としては、限定するものではないが、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が挙げられる。
一般的に、本開示に記載される通りの腎臓関連疾患もしくは状態の治療または予防は、「有効量」で本開示のアクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせを投与することにより達成される。薬剤の有効量とは、所望の治療的または予防的結果を達成するために、有効な量、投与量および必要な期間を意味する。本開示の薬物の治療上有効量は、疾患状態、個体の年齢、性別、および体重、ならびに該個体での所望の応答を生起する薬剤の能力などの因子に応じて変わり得る。予防的有効量とは、所望の予防的結果を達成するために、有効な量、投与量および必要な期間を意味する。
腎臓は、体積、pHバランス、電解質濃度、および血圧をはじめとする血液の多数の特性を維持し、ならびに、毒物および老廃物ろ過に対する応答性を有する。これらの機能は、腎臓ネフロンの入り組んだ構造、腎臓の種々の毛細血管を通る一定の血流、および内分泌ホルモンをはじめとする身体の残余の部分からのシグナルによる腎臓の調節に依存する。腎機能の問題は、直接なメカニズム(例えば、遺伝的欠陥、感染症、または毒物曝露)により、ならびに肥大および過剰ろ過(それら自体が、多くの場合に腎機能に対するもっと直接的な傷害の結果である)などの長期的ストレス因子から次第に進行する間接的メカニズムにより現われる。血液メンテナンスおよび老廃物排泄での腎臓の中心的役割に起因して、腎臓関連疾患の徴候は多数かつ多様であり;それらは、Harrison's Principles of Internal Medicine, 18th edition, McGraw Hill, N.Y., Part 13, Chp 277-289の中で再確認することができる。
本明細書中に記載される通り、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストは、腎臓疾患モデルで種々の有益な効果を有した。特に、ALK7:ActRIIBヘテロマルチマーを用いた処置は、片側尿管閉塞(UUO)を有する被験体での腎臓組織損傷、炎症、および線維化を低減させた。これらのデータは、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを、腎臓疾患を治療または予防するために、特に、例えば、腎臓組織損傷、炎症、および/または線維化をはじめとする腎臓疾患の種々の合併症(徴候)を治療または予防するために用いることができる。
したがって、本発明の方法は、様々な腎臓関連疾患または状態に適用することができる。本明細書中で用いる場合、「腎臓関連疾患または状態」とは、腎臓または腎臓系に影響を及ぼすいずれかの疾患、障害、または状態を意味することができる。腎臓関連疾患または状態の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:慢性腎臓疾患(または不全)、急性腎臓疾患(または不全)、原発性腎臓疾患、非糖尿病性腎臓疾患、糸球体腎炎、間質性腎炎、糖尿病性腎臓疾患、糖尿病性慢性腎臓疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化、急速進行性糸球体腎炎、腎線維症、アルポート症候群、IDDM腎炎、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、腎間質性線維症、巣状分節状糸球体硬化、膜性腎症、微小変化型疾患、微量免疫(pauci-immune)型急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、多発性嚢胞腎、デント病(Dent's disease)、腎シスチン蓄積症(nephrocytinosis)、ヘイマン腎炎、多発性嚢胞腎(例えば、常染色体優性(成人型)多発性嚢胞腎、および常染色体劣性(小児型)多発性嚢胞腎)、急性腎傷害、ネフローゼ症候群、腎虚血症、有足細胞疾患または有足細胞障害、タンパク尿症、糸球体疾患、膜性糸球体腎炎、巣状分節状糸球体腎炎、子癇前症、子癇、腎病変、膠原血管病、良性起立性(体位性)タンパク尿症、IgM腎症、膜性腎症、サルコイドーシス、糖尿病、薬物に起因する腎損傷、ファブリー病、アミノ酸尿症、ファンコーニ症候群、高血圧性腎硬化症、間質性腎炎、急性間質性腎炎、鎌状赤血球病、ヘモグロビン尿症、ミオグロビン尿症、ウェゲナー肉芽腫症、1型糖原病、慢性腎疾患、慢性腎不全、糸球体濾過率(GFR)低下症、腎血管硬化症、ループス腎炎、ANCA陽性微量免疫型半月体形成性糸球体腎炎、慢性移植腎症、腎臓毒性、腎毒性、腎壊死、腎損傷、糸球体尿細管傷害、腎機能不全、腎炎症候群、急性腎不全、慢性腎不全、近位尿細管機能不全、急性腎移植拒絶、慢性腎移植拒絶、非IgAメサンギウム増殖性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、任意の種類の腎関与を伴う血管炎、任意の遺伝性腎疾患、任意の間質性腎炎、腎移植不全、腎臓癌、他の状態(例えば、高血圧症、糖尿病、および自己免疫疾患)と関連する腎疾患、デント病、腎シスチン蓄積症、ヘイマン腎炎、原発性腎疾患、虚脱性糸球体症、デンスデポジット病、寒冷グロブリン血症関連糸球体腎炎、ヘノッホ-シェーンライン病、感染後糸球体腎炎、細菌性心内膜炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ-ストラウス症候群、抗GBM抗体介在型糸球体腎炎、アミロイドーシス、モノクローナル免疫グロブリン沈着症、線維性糸球体腎炎、イムノタクトイド糸球体症、虚血性尿細管傷害、薬物誘導性尿細管間質性腎炎、毒性尿細管間質性腎炎、感染性尿細管間質性腎炎、細菌性腎盂腎炎、ポリオーマウイルス感染またはHIV感染から生じるウイルス感染性尿細管間質性腎炎、代謝誘導性尿細管間質性疾患、混合性結合組織疾患、円柱腎症、尿酸結晶もしくはシュウ酸結晶または薬物誘導性結晶の沈着から生じ得る結晶腎症、急性細胞性尿細管間質性同種移植片拒絶、リンパ腫または移植後リンパ増殖性疾患から生じる腫瘍性浸潤性疾患、腎臓の閉塞性疾患、血管疾患、血栓性微小血管症、腎血管硬化症、アテローム塞栓性疾患、混合性結合組織疾患、結節性多発動脈炎、カルシニューリン阻害剤誘導性血管疾患、急性細胞性血管性同種移植片拒絶、急性体液性同種移植片拒絶、早期腎機能低下症(ERFD)、末期腎疾患(ESRD)、腎静脈血栓症、急性尿細管壊死、急性間質性腎炎、確立された慢性腎疾患、腎動脈狭窄症、虚血性腎症、血尿症、薬物毒素誘導性慢性尿細管間質性腎炎、逆流腎症、腎臓結石、グッドパスチャー症候群、正球性正色素性貧血、腎性貧血、糖尿病性慢性腎疾患、IgG4関連疾患、フォンヒッペル-リンダウ症候群、結節性硬化症、ネフロン癆、髄質性嚢胞腎疾患、腎細胞癌、腺癌、腎芽細胞腫、リンパ腫、白血病、低シアリル化障害、慢性シクロスポリン腎症、腎再灌流傷害、腎形成異常、高窒素血症、両側性動脈閉塞、急性尿酸性腎症、血液量減少、急性両側性閉塞性尿路疾患、高カルシウム血性腎症、溶血性尿毒症症候群、急性尿貯留、悪性腎硬化症、分娩後糸球体硬化症、強皮症、非グッドパスチャー抗GBM病、顕微鏡的結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽腫症、急性放射線腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、ワルデンシュトロームマクログロブリン血症、鎮痛薬性腎症、動静脈フィステル、動静脈移植、透析、異所性腎、海綿腎、腎性骨形成異常症、単腎症、水腎、微量アルブミン尿症、尿毒症、血尿、高脂血症、低アルブミン血症、脂肪尿、アシドーシス、浮腫、尿細管間質性腎線維症、高血圧性硬化症、傍糸球体細胞腫、フレイザー症候群、馬蹄腎、腎尿細管形成異常、低カリウム血症、低マグネシウム血症、高カルシウム血症、低リン血症、ウロモジュリン関連腎臓疾患、爪・膝蓋骨症候群、リチウム腎臓毒性、TNF-α腎臓毒性、ミツバチ樹脂関連腎不全、サトウキビ収穫急性腎不全、完全LCAT欠損症、フレーリー症候群、ページ腎、逆流腎症、バルデー-ビードル症候群、膠原繊維性糸球体腎症、デント病、デニス-ドラッシュ症候群、先天性ネフローゼ症候群、イムノタクトイド糸球体腎症、フィブロネクチン糸球体腎症、ギャロウェイ-モワト症候群、リポタンパク質糸球体腎症、メソアメリカ腎症、β-サラセミア腎疾患、溶血性尿毒症症候群、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、後腹膜線維化症、結節性多発動脈炎、心腎臓症候群、髄質性腎疾患、腎動脈狭窄症、ウロモジュリン腎臓疾患、および高カリウム血症。
一部の実施形態では、本開示のアクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせは、任意により慢性腎臓疾患を治療するための1種以上の補助的療法と組み合わせて、慢性腎臓疾患を治療または予防するために用いることができる。一部の実施形態では、本開示のアクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせは、任意により慢性腎臓疾患を治療するための1種以上の補助的療法と組み合わせて、慢性腎臓疾患の1種以上の合併症(症状または徴候)(例えば、組織損傷、炎症、および/または線維化)を治療または予防するために用いることができる。一部の実施形態では、本開示のアクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせは、任意により終末期腎臓疾患を治療するための1種以上の補助的療法と組み合わせて、終末期腎臓不全を治療または予防するために用いることができる。慢性腎疾患(chronic renal disease)としても知られる慢性腎臓疾患(CKD)は、数ヵ月または数年の期間にわたる腎機能の進行性低下である。悪化する腎臓機能の症状としては、全身的な体調不良の感覚および食欲低下を挙げることができる。多くの場合、慢性腎臓疾患は、高血圧または糖尿病を有する人々およびCKDと血縁関係を有する人々などの、腎臓の問題のリスクを有することが知られている人々のスクリーニングの結果として診断される。この疾患はまた、心血管疾患、貧血、および心膜炎などの、認識されるその合併症のうちの1種を生じさせる場合に、特定されることもある。近年の専門家用ガイドラインでは、CKDの重症度は5つのステージに分類され、ステージ1は最も軽症でありかつ通常はほとんど症状を引き起こさず、ステージ5は未処置であればわずかな余命を有する重症の病状である。ステージ5のCKDは、多くの場合に、終末期腎臓疾患、終末期腎疾患、または終末期腎臓不全と称され、現在は古めかしい用語である慢性腎不全または慢性腎臓不全とほぼ同義であり;通常は、患者が腎臓交換療法を必要とする(これは、透析の形態を含み得るが、理想的には腎臓移植を構成する)ことを意味する。CKDは、当初は特異的な症状を伴わず、一般的には血清クレアチニンおよび尿中タンパク質の増加としてのみ検出される。腎臓機能が低下するにつれ、種々の症状が下記の通りに現われ得る。体液過剰およびレニン-アンジオテンシン系を介して腎臓により生成される血管作用性ホルモンの産生に起因して、血圧が上昇する場合があり、このことは、高血圧の発症および/または鬱血性心不全に罹患するリスクを増大させる。尿素が蓄積し、それにより高窒素血症および最終的には尿毒症(倦怠感から心膜炎および脳症までの範囲の症状)につながる。その高度な全身性循環に起因して、尿素は、高濃度でエクリン汗中に排出され、汗が蒸発すると皮膚上で結晶化する(「尿素霜」)。カリウムが血中に蓄積する場合がある(不快感から致死性の可能性がある不整脈を含む範囲の症状を伴う高カリウム血症)。高カリウム血症は、一般的には、糸球体ろ過率が20~25mL/分/1.73m2未満まで低下するまで発症せず、この時点では、腎臓はカリウムを排出する能力が低下している。CKDでの高カリウム血症は、酸血症(カリウムの細胞外シフトをもたらす)およびインスリンの欠乏により悪化する可能性がある。エリスロポエチン合成が減少して、貧血を引き起こす場合がある。体液体積過剰症状は、軽度の浮腫から生命を脅かす肺水腫に至る範囲で生じ得る。リン酸塩排出の低下に起因する高リン血症は、糸球体ろ過の低減に続いて一般的に生じ得る。高リン血症は、血管石灰化に対する直接的な刺激である、増大した心血管リスクを伴う。高カルシウム血症が起こる場合があり、これは、線維化細胞増殖因子23の刺激により一般的に引き起こされる。骨細胞は、FGF23の産生増加に対して応答性であり、この因子は、酵素1-α-ヒドロキシラーゼ(25-ヒドロキシコレカルシフェロールから1,25-ジヒドロキシビタミンD3への変換を担う)の強力な阻害剤である。その後、これは、二次的副甲状腺機能亢進症、腎性骨ジストロフィー、および心機能をさらに障害する血管石灰化へと進行する。代謝性アシドーシス(硫酸塩、リン酸塩、尿酸等の蓄積に起因する)が生じる場合があり、これは、酵素に対して作用する過剰な酸による酵素活性の変化を引き起こし;およびまた過剰な酸(酸血症)に起因する高カリウム血症の促進により、心膜および神経膜の興奮性を高め得る。アシドーシスはまた、近位尿細管の細胞から十分なアンモニアを生成する能力が低下することにも起因する。鉄欠乏性貧血は、腎臓機能が低下すると有病率が増加し、血液透析を必要とする患者で特に一般的である。その原因は多因子性であるが、炎症増大、エリスロポエチンの減少、および骨髄抑制につながる高尿酸血症が挙げられる。CKDを有する人々は、アテローム性動脈硬化が促進され、一般的な集団よりも心血管疾患を発症し易い。CKDおよび心血管疾患に罹患している患者は、後者のみに罹患している患者に比べて、著明に悪い予後を有する傾向がある。
別の実施形態では、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせは、慢性腎臓疾患に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)(腎臓疾患により生じる相互関係にある骨格、心血管、およびミネラル代謝障害からなる広範な症候群)を有する患者で用いることができる。CKD-MBDは、多くの場合に腎性骨ジストロフィー(ROD)と称される種々の骨格病変を包含し、アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせを用いた治療に対する好ましい実施形態である。様々な病原因子の相対的な寄与に応じて、RODは、骨再形成の多様な病理パターンとして現われる(Hruska et al., 2008、Chronic kidney disease mineral bone disorder (CKD-MBD);in Rosen et al. (ed) Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism, 7th ed. American Society for Bone and Mineral Research, Washington D.C., pp 343-349)。RODのスペクトルの一端は尿毒性骨ジストロフィーおよび骨ターンオーバー低下を伴い、これは活性な再形成部位の数の減少、大いに抑制された骨形成、および骨再吸収の低下を特徴とする。RODの他の端は、副甲状腺機能亢進症、骨ターンオーバーの増大、および線維性骨炎を伴う。アクチビンおよび/もしくはGDFアンタゴニスト、またはそのようなアンタゴニストの組み合わせが、同化作用および再吸収阻害作用の両方を発揮し得るので、これらの薬剤は、ROD病理スペクトル全体にわたる患者で有用であり得る。
特定の実施形態では、本開示は、患者での1種以上の血液学的パラメーターを測定することによる、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いて治療されているか、または治療対象の候補である患者を管理するための方法を提供する。血液学的パラメーターは、本開示のアンタゴニストを用いる治療対象の候補である患者のための適切な投与量を評価するために、治療中に血液学的パラメーターをモニタリングするために、本開示の1種以上のアンタゴニストを用いる治療中に投与量を調整するか否かを評価するために、かつ/または本開示の1種以上のアンタゴニストの適切な維持用量を評価するために、用いることができる。血液学的パラメーターのうちの1種以上が正常レベルを外れている場合、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与を減少、遅延、または終了させることができる。
本明細書中に開示される方法に従って測定することができる血液学的パラメーターとしては、例えば、赤血球レベル、血圧、鉄貯蔵、および当技術分野で認識される方法を用いて、赤血球レベルの増大に相関する体液中に見出される他の物質が挙げられる。そのようなパラメーターは、患者由来の血液サンプルを用いて決定することができる。赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、および/またはヘマトクリットレベルの増大は、血圧の上昇を引き起こし得る。
一実施形態では、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いる治療対象の候補である患者での、1種以上の血液学的パラメーターが正常範囲を外れているか、または正常の高値寄りである場合、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与の開始は、血液学的パラメーターが、自然に、または治療的介入を介して、正常または許容可能なレベルへと戻るまで、遅らせることができるであろう。例えば、候補患者が、高血圧または前高血圧状態である場合は、該患者を、患者の血圧を低下させるために、血圧降下剤を用いて処置することができる。個々の患者の状態に対して適切ないずれかの血圧降下剤を用いることができ、例えば、利尿剤、アドレナリン阻害剤(αブロッカーおよびβブロッカーを含む)、血管拡張剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、またはアンジオテンシンII受容体ブロッカーが挙げられる。血圧は、食餌レジメンおよび運動レジメンを用いて代替的に治療することができる。同様に、候補患者は正常よりも低いかまたは正常の低値寄りの鉄貯蔵を有する場合、患者は、該患者の鉄貯蔵が正常または許容可能なレベルへと戻るまで、食餌および/または鉄サプリメントの適切なレジメンを用いて処置することができる。正常よりも高い赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを有する患者に対しては、本開示の1種以上のアンタゴニストの投与は、該レベルが正常または許容可能なレベルへと戻るまで、遅らせることができる。
特定の実施形態では、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いる治療対象の候補である患者での、1種以上の血液学的パラメーターが正常レベルを外れているか、または正常の高値寄りである場合に、投与の開始を遅らせることができない場合がある。しかしながら、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与量または投与頻度を、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与に際して生じる血液学的パラメーターの許容できない上昇のリスクを低減させるであろう量に設定することができる。あるいは、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストと、血液学的パラメーターの望ましくないレベルに対処する治療剤と組み合わせる、治療レジメンを、患者のために開発することができる。例えば、患者が高い血圧を有する場合、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストおよび血圧降下剤の投与を含む治療レジメンを設計することができる。望ましいレベルよりも低い鉄貯蔵を有する患者に対しては、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストおよび鉄補給を含む治療レジメンを開発することができる。
一実施形態では、1種以上の血液学的パラメーターについてのベースラインパラメーターは、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いる治療対象の候補である患者に対して確立することができ、該ベースライン値に基づいて、その患者に対して適切な投与レジメンが確立される。あるいは、患者の病歴に基づいて確立されるベースラインパラメーターを、患者へと適切なアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト投与レジメンを説明するために用いることができるであろう。例えば、健康な患者が、規定の正常範囲を超える確立されたベースライン血圧値を有する場合、本開示の1種以上のアンタゴニストを用いる処置の前に、該患者の血圧を、一般的集団に関して正常であると見なされる範囲にする必要はない場合がある。本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いる処置の前の1種以上の血液学的パラメーターに対する患者のベースライン値はまた、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いる処置中の血液学的パラメーターに対するいずれかの変化をモニタリングするための関連する比較値としても用いることができる。
特定の実施形態では、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いて治療されている患者での1種以上の血液学的パラメーターが測定される。血液学的パラメーターは、治療中の患者をモニタリングするために用いることができ、かつ、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与の調整もしくは終了または別の治療剤の追加投与を可能にするために用いることができる。例えば、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与が、血圧、赤血球レベル、またはヘモグロビンレベルの上昇、または鉄貯蔵の減少を生じる場合、1種以上の血液学的パラメーターに対する本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの影響を低減させるために、本開示の1種以上のアンタゴニストの投与を、量または頻度について減少させることができる。1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与が、患者に対して有害である1種以上の血液学的パラメーターの変化を生じさせる場合、該血液学的パラメーターが許容可能なレベルへと戻るまで一時的に、または永続的に、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与を終了させることができる。同様に、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与の用量または頻度を減少させた後に、1種以上の血液学的パラメーターが許容可能な範囲内にならない場合、投与を終了させることができる。本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与の減少または終了に対する代替として、またはそれに加えて、患者に、例えば、血圧降下剤または鉄サプリメントなどの、血液学的パラメーターの望ましくないレベルに対処する追加の治療剤を投与することができる。例えば、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを用いて治療されている患者が高い血圧を有する場合、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与を同じレベルで継続することができ、かつ、血圧降下剤を治療レジメンに加えるか、本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与を減少させ(例えば、量および/または頻度について)、かつ血圧降下剤を治療レジメンに加えるか、または本開示の1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの投与を終了させ、血圧降下剤を用いて患者を処置することができる。
14. 医薬組成物
本明細書に記載される治療薬(例えばアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト)は、医薬組成物に製剤化することができる。本開示に従う使用のための医薬組成物は、1種以上の生理的に許容される担体または賦形剤を使用して慣用の方法で製剤化することができる。
特定の実施形態では、本開示の治療方法は、組成物を全身的または局所的に、インプラントまたは装置として投与することを含む。投与される場合、本開示における使用のための治療用組成物は、例えば実質的に発熱物質非含有、または発熱物質非含有の、生理的に許容される任意の形態であり得る。前記のとおりに場合により組成物中に含まれてもよい、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト以外の治療上有用な物質は、本明細書に開示された方法において、主題の化合物と同時に、または連続的に投与され得る。
典型的には、本明細書に開示されるタンパク質治療剤は非経口投与され、特に静脈内又は皮下に投与される。非経口投与に適した医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される無菌等張水溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、または使用直前に無菌注射溶液または分散液へと再構成され得る無菌粉末と共に、1種以上のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを含むことが可能であり、これは、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、意図される被投与者の血液と製剤を等張にする溶質、または懸濁もしくは増粘剤を含有し得る。本開示の医薬組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材の使用、分散液の場合には必要粒径の維持、および界面活性剤の使用により維持され得る。
組成物及び製剤は、望ましい場合には、活性成分を含有する1以上の単位投与形態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイスで提供することができる。パックは、例えばブリスターパックのように、金属またはプラスティック製のホイルを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与についての説明書が添付されたものであっても良い。
更に、組成物は標的組織部位への送達のための形態でカプセル化または注射され得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、1以上の治療用化合物(例えば、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト)を標的組織部位に送達し得るマトリックスであって、発生中の組織のための構造を提供し、最適に体内に再吸収されるマトリックスを含み得る。例えば、マトリックスはアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストの徐放をもたらし得る。そのようなマトリックスは、他の移植医学用途のために現在使用されている材料から構成され得る。
マトリックス材の選択は生体適合性、生分解性、機械的特性、美容的外観および界面特性に基づく。本組成物の個々の用途が、適切な製剤を定める。組成物のための有望なマトリックスは生分解性であり化学的に定められる硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物であり得る。他の有望な材料は生分解性であり生物学的に十分に定められるもの、例えば、骨または皮膚コラーゲンである。更なるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス成分から構成される。他の有望なマトリックスは非生分解性であり、化学的に定められるもの、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミナートまたは他のセラミックである。マトリックスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムのような前記タイプの材料のいずれかの組合せから構成され得る。カルシウム-アルミナート-ホスファートの場合のように、バイオセラミックを組成および加工において改変して、孔径、粒径、粒子形状および生分解性を改変することが可能である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、経口的に、例えばカプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味付けされた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを使用する)として、および/または洗口剤などとして投与されることが可能であり、それぞれは、所定量の物質を有効成分として含有する。物質はボーラス、舐剤またはペーストとしても投与され得る。
特定の実施形態では、本発明の方法は、鼻内投与のために製剤化することができる。本発明の鼻内投与は、液体担体としての水又は塩溶液を、治療的有効量で水に分散または溶解させる1種以上の治療化合物(例えばアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト)と共に使用する鼻スプレーの使用を含み得る。
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、散剤、顆粒剤など)においては、本発明の1以上の治療化合物は、1以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または以下のいずれかと混合され得る:(1)充填剤(フィラー)または増量剤(エクステンダー)、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシア;(3)保水剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリカートおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアラート;(8)吸収剤、例えば、カオリン、ベントナイトクレー;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤をも含み得る。また、同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟および硬ゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用され得る。
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン(乳剤)、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。有効成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物を含有し得る。経口組成物は、不活性希釈剤のほかに、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤ならびに保存剤をも含み得る。
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカントならびにそれらの混合物を含有し得る。
本発明の組成物は、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤をも含有し得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの配合により確保され得る。等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることも望ましいかもしれない。また、吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの配合により、注射可能な医薬形態の持続的吸収がもたらされ得る。
投与レジメンは、本開示の化合物(例えば、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニスト)の作用を変化させる種々の要因を考慮して、主治医により決定されると理解される。種々の要因には、限定的なものではないが、患者の年齢、性別および食事、疾患の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因が含まれる。場合によって、投与量は、再構成において使用されるマトリックスの種類、および組成物中の化合物の種類によって変動し得る。最終組成物への他の公知増殖因子の添加も投与に影響を及ぼし得る。進行は、ESSまたは血液学的パラメーターの定期的評価によりモニターされ得る。
特定の実施形態では、本発明はまた、アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストのインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。そのような治療は、前記のような障害を有する細胞または組織内へのアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストポリヌクレオチド配列の導入により、その治療効果を達成するであろう。アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストポリヌクレオチド配列の送達は、組換え発現ベクター、例えばキメラウイルスまたはコロイド分散系を用いて達成され得る。アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストポリヌクレオチド配列の治療的送達に好ましいのは標的化リポソームの使用である。
本明細書中に教示されている遺伝子治療に利用され得る種々のウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または好ましくはRNAウイルス、例えばレトロウイルスが含まれる。好ましくは、レトロウイルスベクターはマウスまたは鳥類レトロウイルスの誘導体であり得る。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの追加的なレトロウイルスベクターは複数の遺伝子を含み得る。これらのベクターの全ては、形質導入細胞が特定され生成され得るように、選択マーカー用の遺伝子を導入し、または組込み得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合させることにより、標的特異的にされ得る。好ましい標的化は、抗体を使用することにより達成される。アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを含有するレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、特定のポリヌクレオチド配列がレトロウイルスゲノム内に挿入され、またはウイルスエンベロープに結合され得る、と当業者は認識するであろう。好ましい実施形態において、ベクターは骨または軟骨に標的化される。
あるいは、通常のリン酸カルシウムトランスフェクションにより、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドで組織培養細胞を直接的にトランスフェクトすることが可能である。ついで、これらの細胞を、関心のある遺伝子を含有するベクタープラスミドでトランスフェクトする。得られた細胞はレトロウイルスベクターを培地内に放出する。
アクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストポリヌクレオチドのためのもう1つの標的化送達系はコロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質に基づく系、例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームが含まれる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DNAおよび無傷ビリオンが水性内部に封入され、生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(例えば、Fraleyら, Trends Biochem. Sci., 6:77, 1981を参照されたい)。リポソームビヒクルを使用する効率的な遺伝子導入のための方法は当技術分野において公知であり、例えば、Manninoら, Biotechniques, 6:682, 1988を参照されたい。リポソームの組成は、通常はリン脂質の組合せ、通常はステロイド、特にコレステロールとの組合せである。他のリン脂質または他の脂質も使用され得る。リポソームの物理的特性はpH、イオン強度および二価カチオンの存在に左右される。
リポソームの製造に有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドが含まれる。例示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。リポソームの標的化は、例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づくことによっても可能であり、当技術分野において公知である。
本開示は、pHを調整するための酸および塩基;ならびに狭い範囲内にpHを維持するための緩衝剤を含むために改変され得る製剤を提供する。
15. キット
特定の実施形態では、本開示はまた、少なくとも1種の本開示のアクチビンおよび/またはGDFアンタゴニストを充填した1個以上の容器を含む、医薬パッケージまたはキットも提供する。任意により、それらの容器には、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を管理する政府機関により指定された形式での注意書きであって、(a) ヒト投与についての製造、使用もしくは販売の政府機関による承認、(b) 使用についての指示、またはその両方を反映している注意書きが伴い得る。
例示
ここでは本発明を一般的に説明しているが、本発明の特定の実施形態の例示の目的のみに含められ、かつ本発明を限定することを意図しない、以下の実施例を参照することにより、本発明がより容易に理解されるであろう。
実施例1:ActRIIa-Fc融合タンパク質
ヒトまたはマウスFcドメインを、その間に最小限のリンカーを伴って融合されたヒトActRIIaの細胞外ドメインを有する、可溶性ActRIIA融合タンパク質を構築した。構築物は、それぞれ、ActRIIA-hFc(配列番号177、Fc部分には下線を施してある)およびActRIIA-mFcと参照される。
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質を、CHO細胞株で発現させた。異なるリーダー配列(例えば、ミツバチメリチン(HBML)リーダー(配列番号214)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー(配列番号215)、または生来型リーダー(配列番号216))を用いることができる。例示的ActRIIA-hFc構築物は、TPAリーダーを含み、かつ、配列番号178に表わされる未プロセシング型アミノ酸配列を有し、この配列は、配列番号179の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードすることができる。
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcの両方が、組み換え発現に著しく適している。例示的ActRIIA-hFcタンパク質は、単独の、はっきりとしたタンパク質のピークとして精製された。N末端の配列決定により、-ILGRSETQE(配列番号50)の単一配列が明らかになった。精製は、例えば、以下のうちの3種類以上を、いずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成できるであろう:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了できるであろう。ActRIIA-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定される場合に98%超、およびSDS-PAGEにより決定される場合に95%超の純度まで精製された。図7に示される通り、融合タンパク質は、サイズ分離カラム(図7A)およびクマシー染色SDS-PAGE(図7B)により可視化される場合に、単独のはっきりしたピークとして精製される。
ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcは、リガンドに対して高い親和性を示した。GDF-11またはアクチビンAを、標準的アミンカップリング手順を用いてBiacoreTM CM5チップ上に固定化した(図8)。ActRIIA-hFcおよびActRIIA-mFcタンパク質をシステムにロードし、結合性を測定した。ActRIIA-hFcは、5×10-12の解離定数(KD)を有してアクチビンに結合し、9.96×10-9のKDを有してGDF11に結合した。ActRIIA-mFcは同様の挙動を示した。
ActRIIA-hFcは、薬物動態研究では非常に安定であった。ラットに、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgのActRIIA-hFcタンパク質を投与し、該タンパク質の血漿レベルを、24、48、72、144および168時間後に測定した。別個の研究では、ラットに1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgで投与した。ラットでは、ActRIIA-hFcは11~14日間の血清半減期を有し、該薬物の循環レベルは、2週間後に非常に高かった(それぞれ、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与に対して11μg/mL、110μg/mL、または304μg/mL)。カニクイザルでは、血漿半減期は14日間よりも実質的に長く、該薬物の循環レベルは、それぞれ、1mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgの初期投与に対して25μg/mL、304μg/mL、または1440 μg/mLであった。
実施例2:代替的ActRIIA-Fcタンパク質
本明細書中に記載される方法に従ってFc融合タンパク質を構築するために用いることができる種々のActRIIA変異体が、国際公開第2006/012627号(例えば、pp. 55~58を参照されたい)に記載されている(該文献はその全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。代替的構築物は、C末端テイル(ActRIIAの細胞外ドメインの最後の15アミノ酸)の欠失を有し得る。そのような構築物のアミノ酸配列が、配列番号180に提示されている(Fc部分には下線が施してある)。
実施例3:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ActRIIa-Fcホモ二量体の効果
腎臓疾患に対するActRIIa-Fcホモ二量体の効果を、以前の実施例および簡単な説明として本明細書中で言及したものと類似する方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。ActRIIa-Fcホモ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図17に示される)および炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図18に示される)の発現を著明に抑制し、TGFβ1およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図19、上側2枚のパネル)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図19に示される、下側パネル)。
実施例4:ActRIIB-Fc融合タンパク質の作製
本出願人らは、ヒトまたはマウスFcドメインを、その間に最小限のリンカーを伴って融合されたヒトActRIIBの細胞外ドメインを有する、可溶性ActRIIB融合タンパク質を構築した。構築物は、それぞれ、ActRIIB(20-134)-hFc(ヒトFcドメインに融合されたヒトActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の配列を有する生来型ActRIIB残基20~134)を含む)およびActRIIB-mFcと称される。
ActRIIB(20-134)-hFc(配列番号181)およびActRIIB-mFcタンパク質を、CHO細胞株で発現させた。3種類の異なるリーダー配列を、これらの配列に付加することができる:例えば、(i) ミツバチメリチン(HBML)リーダー(配列番号214)、(ii) 組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー(配列番号215)、および(iii) 生来型リーダー(配列番号216)など。TPAリーダー配列を有する例示的ActRIIB(20-134)-hFc融合タンパク質は、配列番号182の未プロセシング型アミノ酸配列を有し、これは、配列番号183の核酸配列を有するポリヌクレオチドによりコードされることができる。
CHO細胞産生物質のN末端配列決定により、主な配列-GRGEAE(配列番号51)が明らかになった。留意すべきことに、文献中で報告されている他の構築物は、-SGR...配列から始まる。そのような報告された構築物もまた、本明細書中に開示されるActRIIBおよびその融合タンパク質中に組み入れることができる。
精製は、例えば、以下のうちの3種類以上を、いずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成できるであろう:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了できるであろう。
本出願人らはさらに、ActRIIB(25-131)-hFc融合タンパク質を作製し、これは、N末端およびC末端切断を有するヒトActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1の配列を有する生来型ActRIIBの残基25~131)を、生来型ActRIIBリーダーに代えてN末端にTPAリーダー配列、および最小限のリンカー(3個のグリシン残基)を介してヒトFcドメインとC末端で融合させて含む(配列番号184)。この融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは配列番号185に示される。本出願人らは、コドンを改変し、初期形質転換体の発現レベルでの実質的な改善をもたらしたActRIIB(25-131)-hFcタンパク質をコードする変異体核酸(配列番号186)を見出した。プロセシング型ActRIIB(25-131)-hFcタンパク質は、配列番号187のアミノ酸配列を有する(N末端はN末端配列決定により確認した)。
発現された分子を、例えば、以下のうちの3種類以上を、いずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより精製した:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了できるであろう。
ActRIIB(25-131)-hFcおよびその全長カウンターパートであるActRIIB(20-134)-hFcに対する数種類のリガンドの親和性を、in vitroでBiacoreTM装置を用いて評価し、結果を、以下の表3にまとめる。Kd値は、非常に速い複合体の会合および解離に起因して定常状態親和性フィッティングにより取得され、このことは、konおよびkoffの正確な決定を妨げた。ActRIIB(25-131)-hFcは、例えば、アクチビンA、アクチビンB、およびGDF11に、高親和性で結合した。
別の例示的ActRIIB-hFc融合タンパク質は、配列番号188のアミノ酸配列を有し、これは、ヒトFcドメインと融合したActRIIB由来部分(配列番号189、対応するActRIIB細胞外ドメイン配列のL79D置換を含む)を含む。ActRIIB由来部分またはActRIIB-hFc融合タンパク質の全長を、単量体として、または非Fc融合タンパク質として、単量体、二量体、もしくはさらに高次の複合体として用いることができる。
ActRIIB(L79D, 20-134)-hFc融合タンパク質を、CHO細胞株で発現させた。3種類の異なるリーダー配列を発現のために用いることができる:(i) ミツバチメリチン(HBML)リーダー(配列番号214)、(ii) 組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー(配列番号215)、および(iii) 生来型リーダー(配列番号216)。例示的ActRIIB(L79D, 20-134)-hFc融合タンパク質は、TPAリーダーを有し、配列番号190の未プロセシング型アミノ酸配列を有する。そのような例示的融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号191の核酸配列を有する。
実施例5:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ActRIIB(20-134)-Fcホモ二量体の効果
腎臓疾患に対するActRIIB(20-134)-Fcホモ二量体の効果を、以前の実施例および簡単な説明として本明細書中で言及したものと類似する方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。ActRIIB(20-134)-Fcホモ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図20に示される)および炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図21に示される)の発現を著明に抑制し、TGFβ1およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図22、上側2枚のパネル)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図22に示される、下側パネル)。
実施例6:切断型ActRIIB細胞外ドメインを含む融合タンパク質の作製
実施例4に例示される通り、ActRIIB(L79D, 20-134)-hFc融合タンパク質(配列番号190)を、ロイシンからアスパラギン酸への置換(配列番号1の残基79)を含有するActRIIB細胞外ドメイン(配列番号1中の残基20~134)へのTPAリーダーのN末端融合および最小限のリンカー(3個のグリシン残基)を含むヒトFcドメインのC末端融合により作製した。さらに、ActRIIB(L79D, 25-131)-hFc(配列番号192)と称される切断型ActRIIB細胞外ドメインを含む類似の融合タンパク質を、ロイシンからアスパラギン酸への置換(配列番号1の残基79)を含有する切断型細胞外ドメイン(配列番号1の残基25~131)へのTPAリーダーのN末端融合および最小限のリンカー(3個のグリシン残基)を含むヒトFcドメインのC末端融合により作製した。ActRIIB(L79D, 25-131)-hFcの細胞精製形態の配列を、配列番号193に提示する。この融合タンパク質をコードする1種類のヌクレオチド配列を配列番号194に示し、まったく同じ融合タンパク質をコードする代替的ポリヌクレオチド配列を、配列番号195に示す。
これらおよび他のActRIIB-hFcタンパク質の、数種類のリガンドに対する親和性を、in vitroでBiacoreTM装置を用いて評価した。結果を、以下の表4にまとめる。Kd値は、非常に速い複合体の会合および解離に起因して定常状態親和性フィッティングにより取得され、このことは、konおよびkoffの正確な決定を妨げた。
切断型の細胞外ドメインを有する融合タンパク質であるActRIIB(L79D, 25-131)-hFcは、、より長い変異体であるActRIIB(L79D, 20-134)-hFcにより示されるアクチビンBおよびGDF11に対するリガンド選択性と同等であるかこれを上回り、L79D置換を含まないActRIIB-hFcカウンターパートと比較して、アクチビンA結合性の明らかな欠損、アクチビンB結合性の部分的欠損、およびGDF11結合性のほぼ完全な保持を伴った。L79D置換を含まない別の切断型変異体(すなわち、ActRIIB(25-131)-hFcおよびActRIIB(20-134)-hFc)は、ここで示されたリガンドに対しては同様の結合選択性を有したことに留意されたい。ActRIIB(L79D, 25-131)-hFcはまた、Smad2/3シグナル伝達リガンドであるGDF8ならびにSmad1/5/8リガンドであるBMP6およびBMP10に対して、強い~中等度の結合性も保持する。
実施例7:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ActRIIB(L79D, 25-131)-hFcホモ二量体の効果
腎臓疾患に対するActRIIB(L79D, 25-131)-hFcホモ二量体の効果を、以前の実施例および簡単な説明として本明細書中で言及したものと類似する方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。ActRIIB(L79D, 25-131)-hFcホモ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図44に示される)または炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図45に示される)の発現を抑制しなかった。該処置は、TGFβ1およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害せず(図46)、または腎臓損傷も低減させなかった(NGALのダウンレギュレーション、図46に示される)。
実施例8:ALK4:ActRIIBヘテロ二量体の作製
本出願人らは、細胞外ドメインとFcドメインとの間に位置するリンカーを含んで、それぞれ別個にFcドメインと融合している、ヒトActRIIBおよびヒトALK4の細胞外ドメインを含む可溶性ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロマー複合体を構築した。個々の構築物は、それぞれ、ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドと称され、それぞれの配列が以下に提供される。本実施例および他の実施例で、二量体を形成するために用いられる融合タンパク質のActRIIB部分は、天然型または突然変異型ActRIIB配列のいずれかの部分を含み得ることに留意する。例えば、ActRIIB部分は、別途記載しない限り、天然型ActRIIBの全長細胞外ドメイン(例えば、ActRIIB(20-134)配列)、切断(例えば、ActRIIB(25-131)配列)、伸長、または突然変異(例えば、ActRIIB(L79D, 25-131)またはActRIIB(L79D, 20-134)配列)を有する細胞外ドメインを含み得る。
ActRIIB-FcまたはALK4-Fcホモ二量体複合体とは異なり、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロマー複合体の形成を促進するための方法論は、Fcドメインのアミノ酸配列中に改変を導入して、非対称的ヘテロマー複合体の形成を誘導することである。Fcドメインを用いて非対称的相互作用ペアを作製する多数の異なるアプローチが、本開示中に記載される。
図5および6に示される構造に加えて、ALK4:ActRIIBヘテロ二量体は、図9および11のものなどの他のマルチマー構造中で形成され得る。マルチマー複合体のための考えられる単量体は、図10に例示される種々の融合タンパク質を含む。
ActRIIB-Fc(配列番号199または201)およびALK4-Fc(配列番号202および204)ポリペプチド配列で例示される1つのアプローチでは、相互作用表面にカチオン性アミノ酸を導入するように一方のFcドメインが改変され、他方のFcドメインは相互作用表面にアニオン性アミノ酸を導入するように改変される。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを用いる(配列番号215)。
配列番号199では、リーダー(シグナル)配列およびリンカーには下線が施されている。ActRIIB-Fc:ActRIIB-FcまたはALK4-Fc:ALK4-Fcホモ二量体複合体ではなく、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2箇所のアミノ酸置換(酸性アミノ酸をリジンへと置き換える)を、配列番号199に二重下線で示される通りに、ActRIIB融合タンパク質のFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされたタンパク質(すなわち、リーダー配列を含まない)は配列番号201のアミノ酸配列を有する。配列番号199または201のアミノ酸配列は、任意により、C末端からリジン(K)を除去して提供することができる。配列番号199をコードするポリヌクレオチドは、配列番号200の核酸配列を有する。
対応するALK4-Fc融合ポリペプチドは、配列番号202のアミノ酸配列を有する(リーダー配列およびリンカーには下線が施されている)。上記の配列番号199および201のActRIIB-Fc融合ポリペプチドを含むヘテロ二量体形成を誘導するために、2箇所のアミノ酸置換(リジンからアスパラギン酸へと置き換える)を、配列番号202で二重下線により示される通りに、ALK4-Fc融合ポリペプチドのFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされたタンパク質(すなわち、リーダー配列を含まない)は配列番号204のアミノ酸配列を有する。配列番号202および204のアミノ酸配列は、任意により、C末端にリジン(K)を付加して提供することができる。配列番号202をコードする1つのポリヌクレオチドは、配列番号203の核酸配列を有する。
ActRIIB-Fc(配列番号199もしくは201、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)およびALK4-Fcタンパク質(配列番号202もしくは204、またはC末端にリジン(K)が付加されている対応する配列)を、CHO細胞株で共発現させてそこから精製し、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせることができる。
非対称的Fc融合タンパク質を用いるヘテロマルチマー複合体の形成を促進するための別のアプローチでは、Fcドメインが、それぞれ、配列番号205または206および207または208のActRIIB-FcおよびALK4-Fcポリペプチド配列で例示される通りに、相補的疎水性相互作用および追加の分子間ジスルフィド結合を導入するように改変される。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK4-Fc融合ポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを用いる(配列番号215)。
配列番号205に表わされるActRIIB-Fcポリペプチド配列では、リーダー(シグナル)配列およびリンカーには下線が施されている。ホモ二量体複合体ではなくALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2箇所のアミノ酸置換(セリンをシステインへと置き換え、およびトレオニンをトリプトファンへと置き換える)を、上記で二重下線により示される通りに、融合タンパク質のFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされたタンパク質(すなわち、リーダー配列を含まない)は配列番号206のアミノ酸配列を有する。配列番号205および206のアミノ酸配列は、任意により、C末端からリジン(K)を除去して提供することができる。
配列番号207に表わされるALK4-Fcポリペプチド配列では、リーダー配列およびリンカーには下線が施されている。上記の配列番号205または206のActRIIB-Fc融合ポリペプチドを含むヘテロ二量体形成を誘導するために、4箇所のアミノ酸置換を、配列番号207に二重下線により示される通りに、ALK4融合ポリペプチドのFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされたタンパク質(すなわち、リーダー配列を含まない)は配列番号208のアミノ酸配列を有する。配列番号207および208のアミノ酸配列は、任意により、C末端からリジン(K)を除去して提供することができる。
ActRIIB-Fc(配列番号205もしくは206、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)およびALK4-Fcタンパク質(配列番号207もしくは208、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)をCHO細胞株で共発現させてそこから精製し、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせることができる。
様々なALK4-Fc:ActRIIB-Fc複合体の精製は、例えば、以下のうちの3種類以上を、いずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成することができるであろう:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了できるであろう。
実施例9:ActRIIB-Fcホモ二量体およびALK4-Fcホモ二量体と比較したALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体のリガンド結合性プロフィール
BiacoreTMベースの結合性アッセイを用いて、上記の通りの例示的ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIB-FcおよびALK4-Fcホモ二量体複合体の結合選択性と比較した。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体、ActRIIB-Fcホモ二量体、およびALK4-Fcホモ二量体を、抗Fc抗体を用いるシステムに、独立して捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表5にまとめ、ここで、効率的なリガンドトラップを最もよく示すリガンドオフ速度(kd)を、灰色影により示す。
これらの比較結合性データにより、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-FcまたはALK4-Fcホモ二量体のいずれと比較しても、変化した結合性プロフィール/選択性を有することが実証される。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、いずれのホモ二量体と比較してもアクチビンBに対する強化された結合性を示し、ActRIIB-Fcホモ二量体で観察される通りのアクチビンA、GDF8、およびGDF11に対する強い結合性を保持し、かつBMP9、BMP10、およびGDF3に対して実質的に低下した結合性を示す。特に、BMP9は、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体に対して低い親和性を示すかまたは観察可能な親和性を示さず、一方で、このリガンドは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体に対して強く結合する。ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、ヘテロ二量体は、BMP6に対して中等度のレベルの結合性を保持する。図12を参照されたい。
加えて、A-204 レポーター遺伝子アッセイ(Reporter Gene Assay)を用いて、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、GDF8、BMP10、およびBMP9によるシグナル伝達に対するALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体の影響を評価した。細胞株:ヒト横紋筋肉腫(筋肉由来)。リポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennler et al., 1998, EMBO 17: 3091-3100に記載される通り)。CAGA12モチーフがTGF-β応答性遺伝子(PAI-1遺伝子)中に存在するので、このベクターは、Smad2および3を介してシグナル伝達する因子に対して一般的に用いられる。例示的A-204 レポーター遺伝子アッセイを、以下に概説する:
1日目: A-204細胞を48ウェルプレートに分け入れる;
2日目:A-204細胞に、10μg pGL3(CAGA)12またはpGL3(CAGA)12(10μg)+pRLCMV(1μg)およびFugeneを用いてトランスフェクションする;
3日目:因子(培地+0.1%BSA中に希釈)を加える、阻害剤は、細胞に添加する前に約1時間、因子と共に予備インキュベーションする必要がある。約6時間後、細胞をPBSですすぎ、続いて溶解させる;
上記のステップ後、本出願人はルシフェラーゼアッセイを行なった。
ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体の両方が、本アッセイで、アクチビンA、アクチビンB、GDF11、およびGDF8の強力な阻害剤であると決定された。特に、図13に示されるホモ二量体/ヘテロ二量体IC50比較データ中で見て取れる通り、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と同様に、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11シグナル伝達経路を阻害する。しかしながら、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体のBMP9およびBMP10シグナル伝達経路の阻害は、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して顕著に低下している。このデータは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体およびActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体の両方が、アクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11に対して強い結合性を示すが、BMP10およびBMP9は、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体に対して、ActRIIB-Fc:ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して顕著に低下した親和性を有することが観察された上述の結合性データと合致する。
併せると、したがって、これらのデータは、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体が、ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して、アクチビンB、アクチビンA、GDF8、およびGDF11のより選択的なアンタゴニストであることを実証する。したがって、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体は、そのような選択的アンタゴニズムが有利である特定の用途では、ActRIIB-Fcホモ二量体よりも有用であろう。例としては、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、GDF8、およびGDF11のうちの1種以上のアンタゴニズムを保持するが、BMP9、BMP10、GDF3、およびBMP6のうちの1種以上のアンタゴニズムを最小化することが望ましい、治療的用途が挙げられる。
実施例10:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ALK4:ActRIIBヘテロマルチマーの効果
腎臓疾患に対する実施例7に記載されたALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の効果を、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。例えば、Klahr and Morrissey (2002) Am J Physiol Renal Physiol 283: F861-F875を参照されたい。
12週齢の24頭のC57BL/6雄性マウスに、腎臓の下極のレベルで左側片側尿管結紮を2回行なった。3日後、8頭のマウスを安楽死させ、個々の動物から腎臓を回収して、腎臓損傷を評価した。残余のマウスをランダムに2群に分けた;(i) 8頭のマウスに、術後3日目、7日目、10日目、および14日目に10mg/kgの用量でALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体を皮下注入し、(ii) 8頭のマウスは、術後3日目、7日目、10日目、および14日目にビヒクル対照であるリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を皮下注入した。両方の群を、該当する動物取扱ガイドラインに従って、17日目に屠殺した。個々の動物からの腎臓の半分を、UUO腎臓および反対側腎臓の両方から、組織学的分析(H&E、マッソンのトリクローム染色)のために回収し腎臓の1/4をRNA抽出(RNeasy Midi Kit、Qiagen, IL)のために用いた。
種々の遺伝子のレベルを評価するために、UUO腎臓サンプルに対する遺伝子発現分析を行なった。QRT-PCRを、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性遺伝子(Col1a1、フィブロネクチン、PAI-1、CTGF、およびa-SMA)、炎症性遺伝子(TNF-α、およびMCP1)、サイトカイン(TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、およびアクチビンA)および腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。図14を参照されたい。ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子および炎症性遺伝子の発現を顕著に抑制し、TGFβ1/2/3のアップレギュレーションを阻害し、かつ腎臓損傷を減少させた。組織学的データにより、ALK4-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体処置が、UUOモデルでの、腎臓線維化を顕著に阻害し、腎臓損傷を減少させたことが確認された。
併せると、これらのデータによりALK4:ActRIIBヘテロマルチマー処置は、腎臓線維化および炎症を抑制し、かつ腎臓損傷を減少させることが実証される。さらに、これらのデータは、例えば、ALK4および/またはActRIIB結合性リガンドのアンタゴニスト、ALK4および/またはActRIIB受容体のアンタゴニスト、ALK4および/またはActRIIB下流シグナル伝達媒介因子(例えば、Smad)のアンタゴニスト、およびALK4および/またはActRIIBと会合するTGFβスーパーファミリー共受容体のアンタゴニストをはじめとする、他のALK4:ActRIIBアンタゴニストが、腎臓疾患の治療または予防で有用であり得ることを示す。
実施例11:ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体の作製
本出願人らは、細胞外ドメインとFcドメインとの間に位置するリンカーを含んでFcドメインとそれぞれ融合した、ヒトActRIIBおよびヒトALK7の細胞外ドメインを含む可溶性ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロマー複合体を構築した。個々の構築物は、それぞれ、ActRIIB-FcおよびALK7-Fcと称される。
ActRIIB-FcまたはALK7-Fcホモ二量体複合体とは異なり、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロマー複合体の形成を促進するための方法論は、Fcドメインのアミノ酸配列中に改変を導入して、非対称的ヘテロマー複合体の形成を誘導することである。Fcドメインを用いて非対称的相互作用ペアを作製する多数の異なるアプローチが、本開示中に記載される。
ActRIIB-Fc(配列番号199)および以下にそれぞれ開示されるALK7-Fcポリペプチド配列で例示される1つのアプローチでは、相互作用表面にカチオン性アミノ酸を導入するように一方のFcドメインが改変され、他方のFcドメインは相互作用表面にアニオン性アミノ酸を導入するように改変される。ActRIIB-Fc融合ポリペプチドおよびALK7-Fc融合ポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダーを用いる(配列番号215)。
配列番号199では、リーダー(シグナル)配列およびリンカーには下線が施されている。考えられるホモ二量体複合体のいずれかではなく、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2箇所のアミノ酸置換(酸性アミノ酸をリジンへと置き換える)を、上記に二重下線で示される通りに、ActRIIB融合タンパク質のFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされた(すなわち、リーダー配列を含まない)ActRIIB-Fc融合ポリペプチドは配列番号201のアミノ酸配列を有する。配列番号199および201の両方が、任意により、C末端からリジン(K)を除去して提供することができる。配列番号199をコードするポリヌクレオチドは、配列番号200の核酸配列を有する。
ALK7-Fc融合タンパク質の例示的な誘導型が、配列番号209に与えられる。この配列中では、シグナル配列およびリンカー配列には下線が施されている。ホモ二量体複合体ではなく、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2箇所のアミノ酸置換(リジンからアスパラギン酸へと置き換える)は、二重下線により示される通りに、融合タンパク質のFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされた(すなわち、リーダー配列を含まない)ALK7-Fc融合ポリペプチドは配列番号211のアミノ酸配列を有する。配列番号209および211の両方が、任意により、C末端にリジンを付加して提供することができる。配列番号209をコードするポリヌクレオチドは、配列番号210の核酸配列を有する。
ActRIIB-Fc(配列番号199もしくは201、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)およびALK7-Fcタンパク質(配列番号209もしくは211、またはC末端にリジン(K)が付加されている対応する配列)を、CHO細胞株で共発現させてそこから精製し、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせることができる。
非対称的Fc融合タンパク質を用いるヘテロマルチマー複合体の形成を促進するための別のアプローチでは、Fcドメインが、ActRIIB-FcおよびALK7-FcポリペプチドのFcドメイン中に、相補的疎水性相互作用および追加の分子間ジスルフィド結合を導入するように改変される。例えば、突然変異型ActRIIB-Fcポリペプチド(配列番号205)では、リーダー配列およびリンカーには下線が施されている。考えられるホモ二量体複合体のいずれかではなくActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2箇所のアミノ酸置換(セリンをシステインへと置き換え、およびトレオニンをトリプトファンへと置き換える)を、上記で二重下線により示される通りに、融合タンパク質のFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされた(すなわち、リーダー配列を含まない)ActRIIB-Fc融合ポリペプチドは配列番号206のアミノ酸配列を有する。配列番号205および206の両方が、任意により、C末端からリジンを除去して提供することができる。
ALK7-Fc融合タンパク質の例示的な突然変異型(誘導型二量体化のための)が配列番号212に表わされる。この配列では、リーダーおよびリンカーには下線が施されている。上記の配列番号205または206のActRIIB-Fc融合ポリペプチドを含むヘテロ二量体形成を誘導するために、4箇所のアミノ酸置換を、二重下線により示される通りに、ALK7融合ポリペプチドのFcドメインへと導入することができる。対応するプロセシングされた(すなわち、リーダー配列を含まない)ALK7-Fc融合ポリペプチドは配列番号213のアミノ酸配列を有する。配列番号212および213の両方が、任意により、C末端からリジンを除去して提供することができる。
ActRIIB-Fc(配列番号205もしくは206、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)およびALK7-Fcタンパク質(配列番号212もしくは213、またはC末端からリジン(K)が除去されている対応する配列)を、CHO細胞株で共発現させてそこから精製し、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcを含むヘテロマー複合体を生じさせることができる。
様々なActRIIB-Fc:ALK7-Fc複合体の精製は、例えば、以下のうちの3種類以上を、いずれかの順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップにより達成することができるであろう:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスろ過およびバッファー交換を用いて完了できるであろう。
実施例12:ActRIIB-Fcホモ二量体およびALK7-Fcホモ二量体と比較したActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体のリガンド結合性プロフィール
BiacoreTMベースの結合性アッセイを用いて、例示的ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIB-FcおよびALK7-Fcホモ二量体複合体の結合選択性と比較した。ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体、ActRIIB-Fcホモ二量体、およびALK7-Fcホモ二量体などの例示的二量体を、抗Fc抗体を用いるシステムに、独立して捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表6にまとめ、ここで、効率的なリガンドトラップを最もよく示すリガンドオフ速度(kd)を、灰色影により示す。
これらの比較結合性データにより、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-Fcホモ二量体またはALK7-Fcホモ二量体のいずれと比較しても、変化した結合性プロフィール/選択性を有することが実証される。興味深いことに、ActRIIB-Fcホモ二量体に対して最も強い結合性を有する5種類のリガンドのうちの4種類(アクチビンA、BMP10、GDF8、およびGDF11)が、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体に対して低下した結合性を有し、例外として、アクチビンBはヘテロ二量体に対して強固な結合性を保持している。同様に、ActRIIB-Fcホモ二量体に対する中等度の結合性を有する4種類のリガンドのうちの3種類(GDF3、BMP6、および特にBMP9)は、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体に対して低下した結合性を有し、一方で、アクチビンACに対する結合性は増大し、全体で、ヘテロ二量体との2番目に強いリガンド相互作用となる。最後に、アクチビンCおよびBMP5は、予期せぬことに、ActRIIB-Fcホモ二量体に対する結合性のなさ(アクチビンC)または弱い結合性(BMP5)にもかかわらず、中等度の強度を有してActRIIB-Fc:ALK7ヘテロ二量体に結合する。総合的な結果は、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体は、ActRIIB-Fcホモ二量体またはALK7-Fcホモ二量体(上記のリガンドのいずれにも結合しない)のいずれのものとも、明らかに異なるリガンド結合性プロフィールを有する。図15を参照されたい。
これらの結果は、したがって、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体が、ActRIIB-Fcホモ二量体と比較して、アクチビンBおよびアクチビンACの、より選択的なアンタゴニストであることを実証する。さらに、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体は、アクチビンCに対する堅牢な結合性という通常とは異なる特性を示す。したがって、ActRIIB-Fc:ALK7-Fcヘテロ二量体は、そのような選択的アンタゴニズムが有利である特定の用途では、ActRIIB-Fcホモ二量体よりも有用であろう。例としては、アクチビンBまたはアクチビンACのアンタゴニズムを保持するが、アクチビンA、GDF3、GDF8、GDF11、BMP9、またはBMP10のうちの1種以上のアンタゴニズムを低減することが望ましい、治療的用途が挙げられる。アクチビンC、または、アクチビンCとアクチビンEとの類似性に基づいて、アクチビンEをアンタゴナイズすることが望ましい治療、診断、または分析用途もまた挙げられる。
実施例13:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ALK7:ActRIIBヘテロマルチマーの効果
腎臓疾患に対する実施例11に記載されたALK7-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体の効果を、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。例えば、Klahr and Morrissey (2002) Am J Physiol Renal Physiol 283: F861-F875を参照されたい。
12週齢の24頭のC57BL/6雄性マウスに、腎臓の下極のレベルで左側片側尿管結紮を2回行なった。3日後、8頭のマウスを安楽死させ、個々の動物から腎臓を回収して、腎臓損傷を評価した。残余のマウスをランダムに2群に分けた;(i) 8頭のマウスに、術後3日目、7日目、10日目、および14日目に10mg/kgの用量でALK7-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体を皮下注入し、(ii) 8頭のマウスは、術後3日目、7日目、10日目、および14日目にビヒクル対照であるリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を皮下注入した。両方の群を、該当する動物取扱ガイドラインに従って、17日目に屠殺した。個々の動物からの腎臓の半分を、UUO腎臓および反対側腎臓の両方から、組織学的分析(H&E、マッソンのトリクローム染色)のために回収し、腎臓の1/4をRNA抽出(RNeasy Midi Kit、Qiagen, IL)のために用いた。
種々の遺伝子のレベルを評価するために、UUO腎臓サンプルに対する遺伝子発現分析を行なった。QRT-PCRを、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、フィブロネクチン、PAI-1、CTGF、およびa-SMA)、炎症性遺伝子(TNF-α、およびMCP1)、サイトカイン(TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、およびアクチビンA)、腎障害遺伝子(NGAL)、低酸素誘導性因子1-α(HIF1a)、およびアクチビンA受容体(ActRIIA)の発現を評価した。図16を参照されたい。ALK7-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子および炎症性遺伝子の発現を顕著に抑制し、TGFβ1/2/3、アクチビンA、およびActRIIaのアップレギュレーションを阻害し、かつ腎臓損傷を減少させた。組織学的データにより、ALK7-Fc:ActRIIB-Fcヘテロ二量体処置が、UUOモデルでの、腎臓線維化を顕著に阻害し、かつ腎臓損傷を減少させたことが確認された。
併せると、これらのデータによりALK7:ActRIIBヘテロマルチマー処置は、腎臓線維化および炎症を抑制し、かつ腎臓損傷を減少させることが実証される。さらに、これらのデータは、例えば、ALK7および/またはActRIIB結合性リガンドのアンタゴニスト(例えば、リガンド抗体およびフォリスタチン、Cerberusおよびレフティなどの他のリガンドトラップ)、ALK7および/またはActRIIB受容体のアンタゴニスト、ALK7および/またはActRIIB下流シグナル伝達媒介因子(例えば、Smad)のアンタゴニスト、およびTGF-βスーパーファミリー共受容体のアンタゴニスト(例えば、クリプトまたはクリプティックのアンタゴニスト)をはじめとする、他のALK7:ActRIIBアンタゴニストが、腎臓疾患の治療または予防で有用であり得ることを示す。
実施例14:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗TGF-β汎抗体の効果
腎臓疾患に対する抗TGF-β1/2/3汎抗体(すなわち、TGF-βのアイソフォーム1、2および3に結合する)の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。汎抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図23に示される)の発現を顕著に抑制し、炎症性遺伝子(TNF-α、図24に示される)を若干低下させ、かつTGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害した(図25)。しかしながら、ActRIIA-Fcホモ二量体およびActRIIB-Fcホモ二量体とは異なり、汎抗体は、腎臓損傷を低減させなかった(NGALのダウンレギュレーションなし、図25に示される)。
実施例15:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗アクチビンA抗体の効果 腎臓疾患に対する抗アクチビンA抗体の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗アクチビンA抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図26に示される)および炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図27に示される)の発現を顕著に抑制し、TGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図28)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図28に示される)。
実施例16:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗アクチビンA/B抗体の効果
腎臓疾患に対する抗アクチビンA/B抗体の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗アクチビンA/B抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図29に示される)および炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図30に示される)の発現を顕著に抑制し、TGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図31)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図31に示される)。
実施例17:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗アクチビンB抗体の効果 腎臓疾患に対する抗アクチビンB抗体の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗アクチビンB抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図32に示される)または炎症性遺伝子(IL-1BおよびTNF-α、図33に示される)の発現を有意に抑制しなかった。該処置は、TGFβ1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを有意に阻害せず(図34)、または腎臓損傷を低減させなかった(NGALのダウンレギュレーション、図34に示される)。
実施例18:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗ActRIIA抗体の効果
腎臓疾患に対する抗ActRIIA抗体の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗ActRIIA抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図35に示される)および炎症性遺伝子(TNF-α、図36に示される)の発現を顕著に抑制し、TGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図37)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図37に示される)。
実施例19:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗ActRIIA/IIB抗体の効果 腎臓疾患に対する抗ActRIIA/IIB抗体の効果を、以前の実施例および簡単な説明として本明細書中で言及したものと同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗ActRIIA/IIB抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図38に示される)および炎症性遺伝子(TNF-α、図39に示される)の発現を顕著に抑制し、TGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図40)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図40に示される)。
実施例20:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的抗ActRIIB抗体の効果
腎臓疾患に対する抗ActRIIB抗体の効果を、以前の実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
QRT-PCRは、CFX ConnectTM リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad, CA)を用いて行ない、それにより、種々の線維性および炎症性遺伝子ならびに腎障害遺伝子(NGAL)の発現を評価した。抗ActRRIIB抗体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図41に示される)または炎症性遺伝子(TNF-α、図42に示される)の発現を抑制しなかった。該処置は、TGFβ1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害せず(図43)、または腎臓損傷を低減させなかった(NGALのダウンレギュレーション、図43に示される)。
実施例21:ActRIIA-Fcホモ二量体およびALK4-Fcホモ二量体と比較したALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体のリガンド結合性プロフィール
同様に、ActRIIAポリペプチド(例えば、その細胞外ドメイン)を、それ自体(すなわち、ホモ二量体)または他のポリペプチド(すなわち、ヘテロ二量体)とのさらなる二量体化のために、例えば、ヒトIgG Fcドメインと融合させることができる。本実施例および他の実施例では、二量体を形成するための融合タンパク質のActRIIA部分は、本明細書中に開示されるかまたは当技術分野で公知である天然型または突然変異型ActRIIA配列のいずれかの部分を含み得ることに留意する。例えば、ActRIIA部分は、別途記載しない限り、天然型ActRIIAの全長細胞外ドメイン、切断、伸長、または突然変異を含む細胞外ドメインを含み得る。
BiacoreTMベースの結合性アッセイを用いて、これらの実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、例示的ALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIA-FcおよびALK4-Fcホモ二量体複合体のものと比較した。
図49に示される通り、これらの比較結合性データにより、ALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体は、ActRIIA-FcまたはALK4-Fcホモ二量体のいずれと比較しても、変化した結合性プロフィール/選択性を有することが実証される。ALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体は、いずれのホモ二量体と比較してもアクチビンACおよびアクチビンAに対する強化された結合性を示し、ActRIIA-Fcホモ二量体を用いて観察される通りのアクチビンABに対する強い結合性を保持し、かつアクチビンB、BMP10およびBMP7に対して実質的に低下した結合性を示す。
実施例22:腎臓線維化、炎症、および腎臓損傷に対する例示的ALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体の効果
腎臓疾患に対するALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体の効果を、これらの実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、マウス片側尿管閉塞モデルで評価した。
ALK4-Fc:ActRIIA-Fcヘテロ二量体を用いたマウスの処置は、線維性遺伝子(Col1a1、Col3a1、PAI-1、フィブロネクチン、CTGF、およびa-SMA、図50に示される)および炎症性遺伝子(TNF-α、図51に示される)の発現を顕著に抑制し、TGF-β1/2/3およびアクチビンAのアップレギュレーションを阻害し(図52)、かつ腎臓損傷を低減させた(NGALのダウンレギュレーション、図52に示される)。
実施例23:BMPRII-Fcホモ二量体およびALK4-Fcホモ二量体と比較したALK4-Fc:BMPRII-Fcヘテロ二量体のリガンド結合性プロフィール
BiacoreTMベースの結合性アッセイを用いて、これらの実施例および本明細書中と同じ方法を用いて、例示的ALK4-Fc:BMPRII-Fcヘテロ二量体複合体のリガンド結合選択性を、BMPRII-FcおよびALK4-Fcホモ二量体複合体のものと比較した。
図53に示される通り、これらの比較結合性データにより、ALK4-Fc:BMPRII-Fcヘテロ二量体は、BMPRII-FcまたはALK4-Fcホモ二量体のいずれと比較しても、変化した結合性プロフィール/選択性を有することが実証される。ALK4-Fc:BMPRII-Fcヘテロ二量体は、いずれのホモ二量体と比較してもアクチビンA、アクチビンBおよびアクチビンABに対する強化された結合性を示し、BMPRII-Fcホモ二量体を用いて観察される通りのBMP10に対する中等度の結合性を保持し、かつBMP9およびBMP15に対して実質的に低下した結合性を示す。
実施例24:一般的方法
他に特定されない限り、上記の実施例で使用する材料および方法は、以下に例示される通りである:
ヒト融合タンパク質の作製
構築された融合タンパク質は、最初に、COS細胞における一過性トランスフェクションにより発現させる。簡潔に説明すると、FuGENE(登録商標)6トランスフェクション試薬(Promega)を使用して、COS細胞(ATCC(登録商標))を、標的融合タンパク質をコードするプラスミドで一晩トランスフェクトする。翌日、細胞をリン酸緩衝食塩水で洗浄し、無血清培地を加える。72時間のインキュベーションの後、COS馴化培地を回収し、濾過し、MabSelect SuReカラム(GE Healthcare, UK)上にローディングする。融合タンパク質を0.1M グリシン(pH3.0)で溶出し、1Mトリス(pH8.0)を1:10の比で添加することにより、溶出画分を直ちに中和する。NanoDrop(商標)分光光度計(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を使用して、タンパク質を定量する。
タンパク質発現を促進するための遍在性クロマチン開口エレメント(UCOE)を含有し、標的融合タンパク質をコードするプラスミドで、CHO細胞を標準的な方法によりトランスフェクトする。例えば、Cytotechnology(2002)38:43-46を参照されたい。メトトレキサート(MTX)中、10nM、20nMおよび50nMの濃度でプールを選択する。50nMのMTXプールが最高発現レベルをもたらし、したがって、このプールから希釈クローンを得、無血清懸濁増殖に適応させて、精製用の馴化培地を得る。
CHO細胞由来の融合タンパク質の精製
表面プラズモン共鳴およびレポーター遺伝子アッセイによる後続の特徴づけのために、CHO細胞において発現されたヒト融合タンパク質を以下のとおりに精製する。標的融合タンパク質を含有する馴化培地を濃縮し、濾過し、予めPBSで平衡化されたMAb SelectSuReカラムにローディングする。ついで樹脂をPBSで洗浄し、タンパク質を0.1M グリシン(pH3.5)で溶出する。タンパク質を含有する画分を5%(v/v)1Mトリス(pH8.0)で中和する。バッファーA(50mM Tris pH 8.0)およびB(50mM Tris、1M NaCl pH 8.0)で予め平衡化されたQ Sepharose FF 10mLカラム(GE Healthcare)上に溶出プールをローディングする。10% B(100mM NaCl)で洗浄し、ついで20% B(200mM NaCl)で溶出する。50mMアルギニン(pH7.22)を含有するPBSで平衡化されたHiLoad(商標)26/60 Superdex(GE Healthcare)でタンパク質を更に処理する。画分を分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより評価し、そして90%を超える単量体を含有する画分をプールし、濃縮し、特徴づけする。サンプルの純度を分析用サイズ排除クロマトグラフィー、およびクーマシー染色を用いるSDS-PAGEにより評価する。
融合タンパク質のリガンド結合プロファイル
表面プラズモン共鳴を用いて、融合タンパク質とその結合パートナーとの結合を調べ、特徴づけする。初期定性スクリーニングにおいて、組換え融合タンパク質をBIACORE(商標)CM5チップ上に共有結合により固定化し、社内で作製した又はR&D Systemsから入手した30個を超えるリガンドを捕捉融合タンパク質上に個々に注入して、室温でのそれらの結合の度合を特徴づけする。このスクリーニングの結果に基づいて、本出願人らは、選択されたリガンドを生理的温度でのヒト融合タンパク質への結合の定量的特徴づけに付す。ある条件のために、融合タンパク質をCHO細胞において発現させ、実施例1に記載されているとおりに精製し、BIACORE(商標)チップ上で抗Fc抗体で捕捉し、37℃で以下のリガンドを使用する表面プラズモン共鳴により試験する。
細胞に基づくアッセイにおける融合タンパク質へのリガンド結合の阻害
レポーター遺伝子アッセイを用いて、細胞のシグナル伝達(例えばTGF-β/Smadシグナル伝達)を阻害するヒト融合タンパク質の能力を測定する。これらのアッセイは、pGL3 BRE(TGF-β/Smad応答要素を含む)レポータープラスミドおよびトランスフェクション効率を制御するためのウミシイタケ(Renilla)レポータープラスミド(pRLCMV)でトランスフェクトされたヒト細胞株に基づく。TGF-β応答要素はプロモーターと共にpGL3 BREレポータープラスミドのプロモーター内に存在し、したがって、このベクターは、Smadタンパク質を介してシグナル伝達する因子に一般的に有用である。
該アッセイの初日に、細胞を、それぞれ、8.5×104細胞/ウェルまたは12.5×104細胞/ウェルで48ウェルプレート内で分配する。第2日に、10μgのpGL3 BRE、100ngのpRLCMV、30μlのFugene HD(Roche Applied Science, DE)および970μlのOptiMEM(商標)(Invitrogen)を含有する溶液を30分間プレインキュベートし、ついで、イーグル最小必須培地またはマッコイ5A培地(0.1% BSAで補足されたもの)のいずれかからなるアッセイバッファーに加える。該混合液をプレート化細胞(500μl/ウェル)に適用し、37℃で一晩インキュベートする。
第3日に、培地を除去し、リガンドとインヒビターとの混合物(後記のとおり)と共に37℃で一晩インキュベートする。48ウェルプレートを使用して、融合タンパク質を200μlの体積のアッセイバッファー中で系列希釈した。試験リガンドを含有する等しい体積のアッセイバッファーを加えて、予め決定されたEC50に等しい最終リガンド濃度を得る。試験溶液を37℃で30分間インキュベートし、ついで、250μlの混合物を全ウェルに加える。試験品の各濃度を二重に重複して決定する。試験溶液の存在下の一晩のインキュベーションの後、細胞をリン酸緩衝食塩水で洗浄し、ついで受動溶解バッファー(Promega E1941)で溶解し、-70℃で一晩保存する。第4日および最終日に、プレートを穏やかに振盪しながら室温に加温する。細胞ライセートを化学発光プレート(96ウェル)に二重重複で移し、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ(Dual-Luciferase Reporter Assay)系(Promega E1980)からの試薬を使用してルミノメーターにおいて分析して、正規化ルシフェラーゼ活性を決定する。
これらのアッセイは、本出願人らが高アフィニティ結合体として表面プラズモン共鳴により特定したTGF-β/Smadにより媒介される細胞シグナル伝達を阻害する融合タンパク質の能力を評価するために用いる。これらのアッセイで使用した融合タンパク質をCHO細胞において発現させ、前記のとおりに精製する。
参照による援用
本明細書中で挙げられている全ての刊行物および特許を、各個の刊行物または特許が参照により本明細書中に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書中に組み入れることとする。
本発明内容の特定の実施形態を説明したが、前記の明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。本明細書および以下の特許請求の範囲を精査すれば、多数の変形形態が当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を均等物のその全範囲と共に参照することにより、そして本明細書をそのような変形形態と共に参照することにより決定されるべきである。