詳細な説明
本開示は、とりわけ、診断法および治療法などの様々な用途におけるポリペプチド、ポリペプチドをコードする核酸、ポリペプチドの生成、およびポリペプチドの使用に関する。例えば、ポリペプチドは、骨減少に関連した状態、がん、代謝障害(例えば、不十分なインスリン産生に関連した障害)、免疫障害、筋肉消耗状態、または筋骨格障害を有する被験体を処置するのに有用である。限定的であるように決して意図していないが、例示的なポリペプチド、ポリペプチドを含有する組成物(例えば、医薬組成物および製剤)、ならびに上記のいずれかを作製および使用するための方法を、以下に詳しく述べる。
ポリペプチド
本明細書に記載のポリペプチドは、クリプティックポリペプチド(例えば、脊椎動物クリプティックポリペプチド)、その機能性断片、またはポリペプチドもしくは断片のバリアントを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、ヒトクリプティックポリペプチドのすべてまたは一部、例えば、アミノ酸配列:
を含むものを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、任意の脊椎動物、例えば、爬虫類、トリ、または哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類(例えば、Rhesus macaqueまたはCynomolgus macaque)などの非ヒト哺乳動物)由来のクリプティックポリペプチドのすべてまたは一部を含む。当業者は、このような配列は、当技術分野で公知であり、または日常の実験を使用して容易に入手可能であることを十分に理解するはずである(例えば、Sambrookら(以下)を参照)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、例えば、以下のアミノ酸配列:
を有するPan troglodytes由来のクリプティックポリペプチドのすべてまたは一部を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、げっ歯類クリプティックポリペプチドのすべてまたは一部を含む。例えば、ポリペプチドは、例えば、以下のアミノ酸配列:
を有するネズミのクリプティックポリペプチドのすべてまたは一部を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含み、これは、アミノ末端リーダー配列を欠くヒトクリプティックポリペプチドのアミノ酸配列に対応する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含み、これは、アミノ末端リーダー配列またはカルボキシ末端プロペプチドドメインを含まないヒトクリプティックポリペプチドのアミノ酸配列に対応する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含み、これは、ヒトクリプティックポリペプチドの低相同性ドメインに対応する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、クリプティックポリペプチドのEGFドメイン、例えば、ヒトクリプティックポリペプチドのEGFドメインに対応する以下のアミノ酸配列
を含む、例えば、ヒトクリプティックポリペプチドのEGFドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、クリプティックポリペプチドのクリプト−FRL−1−クリプティック(CFC)ドメイン、例えば、以下のアミノ酸配列:
を含む、例えば、ヒトクリプティックポリペプチドのCFCドメインを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
のうちの1つまたは複数を含む。クリプティックの例示的な断片の略図を図8に示す。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下の配列:
のうちの一方または両方を含む。
本明細書では、バリアントクリプティックポリペプチド、またはバリアントクリプティックポリペプチドの断片を含むポリペプチドも特徴とする。このようなバリアントは、これらが由来した野生型クリプティックポリペプチドに対して、1個または複数のアミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、それが由来した野生型クリプティックポリペプチド(例えば、配列番号2または3に表されたアミノ酸配列を含む野生型ヒトクリプティックポリペプチド)に対して、少なくとも2個の(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、または100個超の)アミノ酸置換、欠失、または挿入を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、それが由来した野生型クリプティックポリペプチド(例えば、配列番号2または3に表されたアミノ酸配列を含む野生型ヒトクリプティックポリペプチド)に対して、20個以下の(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下の)アミノ酸置換、欠失、または挿入を含む。置換は、保存的、非保存的、または両方の混合であり得る。
本明細書で使用される場合、用語「保存的置換」は、所与のポリペプチドにおける天然配列中に存在するアミノ酸の、同様の立体的性質を有する天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸での置き換えを指す。置き換えられる天然アミノ酸の側鎖が極性または疎水性である場合、保存的置換は、やはり極性または疎水性であり、任意選択で、置き換えられるアミノ酸の側鎖と同じまたは同様の立体的性質をもつ天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸で置き換えられるべきである。保存的置換は、典型的には、以下の群内の置換を含む:グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシン、およびロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギン、グルタミン、セリン、およびトレオニン;リシン、ヒスチジン、およびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。一文字のアミノ酸の略語は、以下の通りである:アラニン(A);アルギニン(R);アスパラギン(N);アスパラギン酸(D);システイン(C);グリシン(G);グルタミン(Q);グルタミン酸(E);ヒスチジン(H);イソロイシン(I);ロイシン(L);リシン(K);メチオニン(M);フェニルアラニン(F);プロリン(P);セリン(S);トレオニン(T);トリプトファン(W)、チロシン(Y);およびバリン(V)。
語句「非保存的置換」は、本明細書で使用される場合、親配列中に存在するアミノ酸の、異なる電気化学的および/または立体的性質を有する別の天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸による置き換えを指す。よって、置換しているアミノ酸の側鎖は、置換されている天然アミノ酸の側鎖より有意に大きい(または小さい)場合があり、かつ/または置換されているアミノ酸と有意に異なる電子的性質をもつ官能基を有してよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、バリアントクリプティックポリペプチドであって、それが由来した野生型クリプティックポリペプチドと少なくとも70(例えば、少なくとも71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列を有する、バリアントクリプティックポリペプチドを含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のバリアントポリペプチド、またはその断片は、配列番号1〜12に表されたアミノ酸配列のうちのいずれか1つと少なくとも80(例えば、少なくとも81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
のうちのいずれか1つ(またはそれ超)を含む、アミノ酸配列を含み、ポリペプチドのアミノ酸配列は、他の点では、配列番号1または2に表されたアミノ酸配列と少なくとも70(例えば、少なくとも71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一である。
パーセント(%)アミノ酸配列同一性は、最大パーセント配列同一性を実現するために配列をアラインメントし、必要であればギャップを導入した後の参照配列中のアミノ酸と同一である候補配列中のアミノ酸のパーセンテージとして定義される。パーセント配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当技術分野の技術の範囲内である様々な方法で、例えば、公的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えば、BLASTソフトウェアまたはClustalW2を使用して実現することができる。比較されている配列の全長にわたる最大アラインメントを実現するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含め、アラインメントを測定するための適切なパラメータは、公知の方法によって決定することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、クリプティックポリペプチドの機能性断片またはバリアントクリプティックポリペプチドを含む。このような機能性断片およびバリアントポリペプチドは、バリアントまたは断片が由来した対応する成熟クリプティックポリペプチドの活性の少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100)%を保持する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のバリアントまたは機能性断片は、アクチビンAおよび/またはアクチビンBに関して、バリアントまたは機能性断片が由来した成熟野生型クリプティックポリペプチドの親和性の少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100)%を保持する。
本明細書に記載のポリペプチドは、アクチビンA(例えば、ヒトアクチビンA)に特異的に結合することができる。用語「特異的結合」、「特異的に結合する」、および同様の文法的な用語は、本明細書で使用される場合、生理学的条件下で相対的に安定である複合体を形成する2つの分子を指す。典型的には、結合は、会合定数(ka)が106M−1s−1より高い場合、特異的であるとみなされる。よって、本明細書に記載のポリペプチドは、少なくとも106(またはそれ超)(例えば、少なくとも107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、もしくは1015、またはそれより高い、あるいはそれ超)M−1s−1のkaでアクチビンAに特異的に結合することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、10−3s−1未満、またはそれに等しい解離定数(kd)(例えば、8×10−4、5×10−4、2×10−4、10−4、または10−5)s−1を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12M、または10−13M未満のKDでアクチビンA(例えば、ヒトアクチビンA)に結合する。平衡定数KDは、運動速度定数の比kd/kaである。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、1×10−9M未満のKDでアクチビンAに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、100ピコモル濃度未満、50ピコモル濃度未満、25ピコモル濃度未満、10ピコモル濃度未満、または5ピコモル濃度未満のKDでアクチビンAに結合する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、約1ピコモル濃度から約100ピコモル濃度、例えば、約1〜約5ピコモル濃度、約1〜約10ピコモル濃度、約1〜約20ピコモル濃度、または約1〜約50ピコモル濃度の間であるKDでアクチビンAに結合する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、10−8、10−9、または5×10−10M未満のKDでアクチビンB(例えば、ヒトアクチビンB)に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、1×10−9M未満のKDでアクチビンBに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、500ピコモル濃度未満のKDでアクチビンBに結合する。
ポリペプチドが標的抗原に結合するかどうかおよび/または標的抗原に対するポリペプチドの親和性を決定するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、1つのポリペプチドの標的ポリペプチドへの結合は、それだけに限らないが、ウエスタンブロット、ドットブロット、プラズモン表面共鳴法(例えば、BIAcore system;Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、スウェーデンおよびPiscataway、N.J.)、または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの様々な技法を使用して検出および/または定量することができる。作用物質(agent)とアクチビンAとの相互作用を評価するための例示的な方法は、例えば、Liら、(2010年)J Biol Chem、285巻(47号):36645〜36655頁;Harringtonら、(2006年)EMBO J、25巻:1035〜1045頁;およびFischerら、(2003年)J Endocrinol、176巻:61〜68頁に記載されており、これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
いくつかの種(ヒトを含む)由来の成熟アクチビンAのアミノ酸配列が、当技術分野で周知である。ヒトアクチビンAは、例えば、2つの13kDaインヒビンβAサブユニットのホモ二量体であり、これは、アミノ末端プロペプチドがサブユニットのそれぞれから切断されるまで活性でない。ヒトインヒビンベータA鎖の例示的なアミノ酸配列は、以下の通りである:
シグナルペプチドに対応するアミノ酸は、太字にされており、プロペプチドに対応するアミノ酸に下線を引いてある。
アクチビンAは、当技術分野において記載されており、アクチビンAタンパク質は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかにおいて使用することができ、いくつかの供給元、例えば、affymetrix eBioscience(San Diego、California)およびR&D Systems(Minneapolis、Minnesota)から市販されている。
一部の実施形態では、本明細書に記載のバリアントまたは機能性断片は、バリアントもしくは機能性断片が由来した成熟野生型クリプティックポリペプチドの、アクチビンAのその同族細胞表面受容体(複数可)への結合を阻害する能力および/またはアクチビンAの同族細胞表面受容体のうちの少なくとも1つを通じて細胞内シグナル伝達を誘導するアクチビンAの能力の少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100)%を保持する。アクチビンAシグナル伝達(またはその阻害)を評価するための細胞に基づく方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Harringtonら、上記、Schmiererら、(2003年)J Biol Chem、278巻:21197〜21203頁;Chantryら、(2010年)J Bone Mineral Res、25巻(12号):2633〜2646頁;および米国特許出願公開第20120141469号に記載されている。例えば、培養された骨芽細胞を、クリプティックポリペプチドまたはそのバリアントもしくは機能性断片の存在または非存在下でアクチビンAと接触させることができる。骨芽細胞石灰化の程度を測定することができる。さらに、破骨細胞の数または活性に対するアクチビンAの試験阻害剤(例えば、本明細書に記載のクリプティックのバリアントまたは機能性断片)の効果も、例えば、Chantryら(上記)に記載されているように測定することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のバリアントまたは機能性断片は、バリアントもしくは機能性断片が由来した成熟野生型クリプティックポリペプチドの、アクチビンBのその同族細胞表面受容体(複数可)への結合を阻害する能力および/またはアクチビンBの同族細胞表面受容体のうちの少なくとも1つを通じて細胞内シグナル伝達を誘導するアクチビンBの能力の少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100)%を保持する。アクチビンBシグナル伝達(またはその阻害)を評価するための細胞に基づく方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Tsuchidaら、(2004年)Mol Cell Endocrinol、220巻(1〜2号):59〜65頁;Wackerら、(2014年)PLoS One、9巻(10号):e111276頁;Frandsenら、(2007年)Biochem Biophys Res Commun、362巻(3号):568〜574頁;および米国特許第5,071,834号に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「阻害すること」およびその文法的な同義語は、特定の作用、機能、または相互作用を低下させること、制限すること、および/または遮断することを指す。一実施形態では、本用語は、所与の出力またはパラメータのレベルを、対応する対照における量の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれ未満である量に低減することを指す。所与の出力またはパラメータのレベルの低減は、出力またはパラメータの絶対的な非存在を意味する必要はないが、それを意味する場合がある。本発明は、出力またはパラメータを完全に排除する方法を要求せず、その方法に限定されない。
一部の実施形態では、本明細書に記載のバリアントまたは機能性断片は、バリアントまたは機能性断片が由来した成熟野生型クリプティックポリペプチドの、アクチビンAおよび/またはアクチビンBのその同族細胞受容体(例えば、ActRIIAまたはActRIIB)との相互作用を阻害する親和性の少なくとも5(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100)%を保持する。
本明細書で使用される場合、用語「相互作用」は、2つの分子間の相互作用に言及するとき、互いの分子の物理的接触(例えば、結合)を指す。一般に、このような相互作用は、前記分子の一方または両方の活性(これは、生物学的効果を生じさせる)をもたらす。このような相互作用を阻害すると、相互作用に関与する1種または複数種の分子の活性が混乱する。阻害は、完全であり得るが、その必要はない。
機能的に活性なバリアントまたは断片は、組換えで生成されたポリペプチドをスクリーニングすることによって得ることができる(以下を参照)。さらに、断片は、当技術分野で周知の技法、例えば、固相f−Mocまたはt−Boc化学反応を使用して化学合成することができる。断片を生成し(組換えでまたは化学合成によって)、試験してアクチビンAタンパク質もしくはアクチビンAによって媒介されるシグナル伝達(および/またはアクチビンBタンパク質もしくはアクチビンBによって媒介されるシグナル伝達)のアンタゴニスト(阻害剤)として機能し得るペプチジル断片を同定することができる。ポリペプチドの機能的に活性なバリアントはまた、クリプティックポリペプチドをコードする対応する変異誘発させた核酸から組換えで生成された修飾ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。バリアントを生成および試験して、アクチビンAタンパク質(もしくはアクチビンB)またはアクチビンA(もしくはアクチビンB)によって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(阻害剤)として機能し得るものを同定することができる。
コンビナトリアルライブラリーを、それぞれがクリプティックポリペプチド配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって生成することができる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列中に酵素的にライゲーションすることができ、その結果、潜在的なクリプティックポリペプチドヌクレオチド配列の縮重したセットは、個々のポリペプチドとして、または代わりに一連のより大きい融合タンパク質として(例えば、ファージディスプレイのため)発現可能である。
潜在的な相同体のライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から作製することができる多くの方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNAシンセサイザーで実行することができ、次いで合成遺伝子を発現のために適切なベクター中にライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で周知である(例えば、Narang、(1983年)Tetrahedron、39巻:3頁;Itakuraら、(1984年)Annu Rev Biochem、53巻:323頁;Itakuraら、(1984年)Science、198巻:1056頁;およびIkeら、(1983年)Nucleic Acid Res、11巻:477頁を参照)。このような技法は、他のタンパク質の指向進化において使用されている(例えば、Scottら、(1990年)Science、249巻:386〜390頁;Robertsら、(1992年)Proc Natl Acad Sci USA、89巻:2429〜2433頁;Devlinら、(1990年)Science、249巻:404〜406頁;Cwirlaら、(1990年)Proc Natl Acad Sci USA、87巻:6378〜6382頁;ならびに米国特許第5,223,409号;同第5,198,346号;および同第5,096,815号を参照)。
点変異およびトランケーションによって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、ならびにその事に関して、ある特定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするための広範囲の技法が当技術分野で公知である。このような技法は一般に、クリプティックポリペプチドのコンビナトリアル変異誘発によって作製される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応できる。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用されている技法は、典型的には、複製可能な発現ベクター中への遺伝子ライブラリーのクローニング、ベクターの得られるライブラリーを用いた適切な細胞の形質転換、および所望の活性の検出が、生成物が検出された遺伝子をコードするベクターの相対的に容易な単離を容易にする条件下でのコンビナトリアル遺伝子の発現を含む。好適なアッセイとしては、アクチビン結合アッセイおよびアクチビン媒介細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、異種部分にコンジュゲートすることができる。異種部分は、例えば、異種ポリペプチド、治療剤(例えば、毒素または薬物)、あるいは検出可能標識、例えば、それだけに限らないが、放射性標識、酵素標識、蛍光標識、重金属標識、発光標識、またはビオチンもしくはストレプトアビジンなどの親和性タグであり得る。適当な異種ポリペプチドとしては、例えば、抗体または断片を精製するのに使用するための抗原性タグ(例えば、FLAG(DYKDDDDK(配列番号14))、ポリヒスチジン(6−His;HHHHHH(配列番号15)、赤血球凝集素(HA;YPYDVPDYA(配列番号16))、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP))が挙げられる。異種ポリペプチドには、診断マーカーまたは検出可能マーカーとして有用であるポリペプチド(例えば、酵素)、例えば、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)も含まれる。適当な放射性標識としては、例えば、32P、33P、14C、125I、131I、35S、および3Hが挙げられる。適当な蛍光標識としては、限定することなく、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、DyLight(商標)488、フィコエリトリン(PE)、ヨウ化プロピジウム(PI)、PerCP、PE−Alexa Fluor(登録商標)700、Cy5、アロフィコシアニン、およびCy7が挙げられる。発光標識には、例えば、様々な発光ランタニド(例えば、ユウロピウムまたはテルビウム)キレートのいずれかが含まれる。例えば、適当なユウロピウムキレートとしては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはテトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)のユウロピウムキレートが挙げられる。酵素標識としては、例えば、アルカリホスファターゼ、CAT、ルシフェラーゼ、および西洋わさびペルオキシダーゼが挙げられる。
2つのタンパク質を、いくつかの公知の化学架橋剤のうちのいずれかを使用して架橋することができる。このような架橋剤の例は、「ヒンダード(hindered)」ジスルフィド結合を含む連結を介して2つのアミノ酸残基を連結する架橋剤である。これらの連結において、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元グルタチオンまたは酵素ジスルフィド還元酵素の作用による還元から保護される(ジスルフィド結合のいずれかの側の基を妨げることによって)。1つの適当な試薬、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、タンパク質の一方の末端リシンおよび他方の末端システインを利用して2つのタンパク質間でこのような連結を形成する。それぞれのタンパク質の異なるカップリング部分によって架橋するヘテロ二官能性試薬も使用することができる。他の有用な架橋剤としては、限定することなく、2つのアミノ基(例えば、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2つのスルフヒドリル基(例えば、1,4−ビス−マレイミドブタン)、アミノ基とスルフヒドリル基(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アミノ基とカルボキシル基(例えば、4−[p−アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、およびアルギニンの側鎖に存在するアミノ基とグアニジウム基(例えば、p−アジドフェニルグリオキサール一水和物)を連結する試薬が挙げられる。
一部の実施形態では、放射性標識をタンパク質剤のアミノ酸骨格に直接コンジュゲートすることができる。代わりに、放射性標識を、遊離アミノ基に結合して関連タンパク質のメタ−ヨードフェニル(mIP)誘導体を形成する、より大きい分子(例えば、メタ−[125I]ヨードフェニル−N−ヒドロキシスクシンイミド([125I]mIPNHS)中の125I)(例えば、Rogersら、(1997年)J Nucl Med、38巻:1221〜1229頁を参照)、またはひいてはタンパク質骨格に結合するキレート(例えば、DOTAまたはDTPA)の一部として含めることができる。放射性標識またはこれらを含有するより大きい分子/キレートを本明細書に記載の抗体または抗原結合断片にコンジュゲートする方法は、当技術分野で公知である。このような方法では、放射性標識またはキレートのタンパク質への結合を容易にする条件(例えば、pH、塩濃度、および/または温度)下でタンパク質を放射性標識とともにインキュベートすることを必要とする(例えば、米国特許第6,001,329号を参照)。
蛍光標識(「フルオロフォア」と時に呼ばれる)をタンパク質(例えば、抗体)にコンジュゲートするための方法は、タンパク質化学の技術分野で公知である。例えば、フルオロフォアを、フルオロフォアに結合したスクシンイミジル(NHS)エステルまたはテトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分を使用してタンパク質の遊離アミノ基(例えば、リシンの)またはスルフヒドリル基(例えば、システイン)にコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、フルオロフォアをスルホ−SMCCなどのヘテロ二官能性架橋剤部分にコンジュゲートすることができる。適当なコンジュゲーション方法では、フルオロフォアのタンパク質への結合を容易にする条件下で抗体タンパク質またはその断片をフルオロフォアとともにインキュベートすることを必要とする。例えば、WelchおよびRedvanly(2003年)「Handbook of Radiopharmaceuticals: Radiochemistry and Applications」、John Wiley and Sons(ISBN0471495603)を参照。
一部の実施形態では、作用物質を、例えば、循環中、例えば、血液、血清、または他の組織中の抗体の安定化および/または保持を改善する部分で修飾することができる。例えば、クリプティックポリペプチド、またはそのバリアントもしくは機能性断片を含む作用物質を、例えば、Leeら、(1999年)Bioconjug Chem、10巻(6号):973〜8頁;Kinstlerら、(2002年)Advanced Drug Deliveries Reviews、54巻:477〜485頁;およびRobertsら、(2002年)Advanced Drug Delivery Reviews、54巻:459〜476頁に記載されているようにPEG化し、またはHES化することができる(Fresenius Kabi、ドイツ;例えば、Pavisicら、(2010年)Int J Pharm、387巻(1〜2号):110〜119頁を参照)。安定化部分は、ポリペプチドの安定性または保持を、少なくとも1.5(例えば、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40、もしくは50、またはそれ超)倍改善することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、骨標的剤を含有し得る。骨に対する親和性または骨に向かう能力を有する作用物質は、当技術分野で公知である。本明細書で使用される場合、「骨標的剤」は、骨の主要な構成要素であるヒドロキシアパタイト中のカルシウムイオンに対して高い親和性を有する化学構造体またはリガンドを指す。ポリペプチドは、一実施形態では、骨以外の体の領域内のカルシウム沈着物、例えば、動脈、心臓、腎臓、または胆嚢内のカルシウム沈着物を標的とし得る。しかし、骨標的剤は、理想的には、骨組織に選択的に結合する。骨標的剤は、被験体の骨組織に付着され、好ましくは非骨組織より高い親和性で骨に結合し、ある特定の長さの時間にわたって結合したままであり、それによって骨環境に組成物を送達する。言い換えれば、骨標的剤は、好ましくは、非骨組織より少なくとも2倍大きい親和性(例えば、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも25倍大きい親和性)で骨組織に結合する。骨標的剤は、好ましくは、骨組織に可逆的に結合し、それは、骨標的剤が最終的に骨から離れ、体から排出されることを意味する。
一部の実施形態では、骨標的剤は、望ましくは、ホスフェート、ホスホネート、ビスホスホネート、ヒドロキシビスホスホネート、アミノメチレンホスホン酸、酸性ペプチド、またはこれらの組合せからなる群から選択される。骨標的剤は、これらの基のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれ超を担持し得る。例えば、骨標的剤は、ホスホネートであり得、それは、骨標的剤が1つのホスホネート、2つのホスホネート、または3つもしくはそれ超のホスホネートを含み得ることを意味する。本発明において使用するのに適した1つの骨標的剤は、EDTMP(エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラキス(メチレンホスホン酸)であり、疼痛緩和のために骨転移部に選択的な放射線量を送達するための放射性153Sm複合体として現在FDAが承認している(Quadramet(商標))。EDTMPは、4つのホスホン酸基を含有するホスホネートであり、したがってテトラホスホネートである。153Sm−EDTMPなどの化合物は、腫瘍が10:1超の比で正常な骨に対して存在する骨中に選択的に局在化される。
一部の実施形態では、骨標的剤は、ポリホスホン酸である。ポリホスホン酸は、生物学的に活性な分子を骨組織への標的化に成功することが実証された。例えば、ABDTMPなどのポリアミノホスホン酸を成長因子(骨形成を刺激するための)に(イソチオシアナト化学反応を介して)コンジュゲートすると、成長因子のラットの骨への標的化の成功がもたらされた(例えば、国際特許出願公開第WO94/00145号を参照)。同様に、骨標的剤は、タンパク質にカップリングされた。例えば、ヒト血清アルブミンにコンジュゲートされたビスホスホネートは、in vitroで(Biotechnol Prog、16巻:258頁(2000年))およびin vivoで(Biotechnol Prog、16巻:1116頁(2000年))タンパク質を骨に送達することに成功した。骨標的剤の有用性は、タンパク質の骨への送達以外に及び、例えば、小さい治療用分子を含む。BADなどの、骨標的ビスホスホネートおよびアルキル化剤を含むコンジュゲートが作製された(例えば、Wingenら、(1986年)J Cancer Res Clin Oncol、111巻:209頁を参照)。
一部の実施形態では、骨標的剤は、式:Xnを含み、ここで、Xは、生理的pHで負電荷を有するカノニカルまたは非カノニカルアミノ酸であり、nは、1〜25の整数である。一部の実施形態では、Xは、アスパラギン酸またはグルタミン酸である。一部の実施形態では、nは、5から15の間の整数である。一部の実施形態では、nは、10から16の間の整数である。一部の実施形態では、nは、少なくとも4(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)である。一部の実施形態では、nは、20未満(例えば、19、18、17、16、または15未満)である。
他の実施形態では、骨標的剤は、(アスパラギン酸)nまたは(グルタミン酸)nである。骨および象牙質中に大量に見つかる糖タンパク質オステオネクチンの酸リッチペプチド配列は、ヒドロキシアパタイトに対して強い親和性を有する(Fujisawaら、(1996年)Biochimica et Biophysica Acta、53巻:1292頁)。よって、酸性アミノ酸を含むペプチドリガンドは、骨標的剤の適当な候補である。実際に、(Glu)10は、ビオチンに結合しているとき、標識ストレプトアビジンをヒドロキシアパタイトに動員することに成功した(国際特許出願公開第WO98/35703号にさらに記載されている)。骨に繋ぎ止められた(Asp)6は、破骨細胞によって媒介される骨吸収プロセスの間に代謝されると考えられる。したがって、酸性ペプチドリガンドは、化合物を骨に動員する手段を提供するだけでなく、骨細胞および周囲組織に化合物を徐々に放出する機構も提供する。
骨標的剤の他の例としては、それだけに限らないが、アミノ−およびヒドロキシ−アルキルホスホン酸およびジホスホン酸;アレンドロネート、パミドロネート、4−アミノブチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、およびアミノメチレンビスホスホン酸を含めたヒドロキシビスホスホン酸;フィチン酸などのホスフェート;ならびにアミノメチレンホスホン酸、例えば、N,N−ビス(メチルホスホノ)−4−アミノ−安息香酸およびニトリロトリ(メチルホスホン酸)が挙げられる。
一部の実施形態、例えば、骨標的剤がタンパク質である実施形態では、作用物質は、融合タンパク質としての本明細書に記載のポリペプチドの一部であり得る(以下を参照)。
融合タンパク質
一部の実施形態では、ポリペプチドは、クリプティックポリペプチド(また、クリプティックペプチドのバリアントまたは機能性断片)の少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインを有する融合タンパク質であり得る。このような融合ドメインの周知の例としては、それだけに限らないが、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられる。融合ドメインは、所望の性質を付与するように選択され得る。例えば、一部の融合ドメインは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的に関して、親和性クロマトグラフィーの関連したマトリックス、例えば、グルタチオン結合樹脂、アミラーゼ結合樹脂、およびニッケル結合樹脂またはコバルト結合樹脂が使用される。別の例として、融合ドメインは、ポリペプチドの検出を容易にするように選択され得る。このような検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)および「エピトープタグ」が挙げられ、エピトープタグは通常、特異的抗体が利用可能である短いペプチド配列である。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc−mycタグが挙げられる。一部の実施形態では、融合タンパク質は、クリプティックポリペプチド(バリアントまたは機能性断片)部分および異種部分(例えば、Fc領域またはアルブミン分子)を隔てる1つまたは複数のアミノ酸のリンカー部分を含む。一部の実施形態では、リンカー部分は、
に表されたアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカー領域は、ポリグリシン配列またはポリ(GS)配列を含む。一部の場合では、融合ドメインは、第Xa因子、トロンビン、またはタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼなどの、プロテアーゼによる切断部位を有し、これは、関連したプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それによってこれらから組換えタンパク質を遊離することを可能にする。次いで遊離したタンパク質を、後続のクロマトグラフィ分離によって融合ドメインから単離することができる。一部の実施形態では、クリプティックポリペプチドを、in vivoでクリプティックポリペプチドを安定化するドメイン(「安定剤」ドメイン)と融合することができる。「安定化させること」とは、これが破壊の低下、腎臓によるクリアランスの低下、または他の薬物動態学的効果のためであるかどうかにかかわらず血清半減期を増大させるものを意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合物は、広範囲のタンパク質に望ましい薬物動態学的性質を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合物も望ましい性質を付与することができる。選択され得る他の型の融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能ドメイン(望まれる場合、骨成長のさらなる刺激などの追加の生物学的機能を付与する)が挙げられる。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、Fcドメインに融合したクリプティックポリペプチド(またはそのバリアントもしくは機能性断片)を含み得る。一部の実施形態では、Fcドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含み得、またはそれからなり得る。
一部の実施形態では、Fcドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含み得、またはそれからなり得る。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列:
を含む。リンカー配列は、太字にされており、一方、融合タンパク質のFc領域に下線が引かれている。残りの配列は、ヒトクリプティックの断片に対応する。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列:
を含む。リンカー配列は、太字にされており、一方、融合タンパク質のFc領域に下線が引かれている。残りの配列は、ヒトクリプティックの断片である。
一部の環境では、例えば、変異、欠失、もしくは遺伝子操作によって媒介される他の変更、または他の手法によって免疫グロブリン重鎖定常領域を修飾し、その結果、ある特定の活性、例えば、補体結合または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の刺激が低減または排除され、一方、好ましくは、Fc受容体(例えば、FcRn)に結合するFc領域の能力を保存することが有用であり得る。
一部の実施形態では、Fc領域(本明細書に記載の抗体または抗原結合断片のものを含む)は、その対応する変更されていない定常領域と比べてエフェクター機能が低減された(またはエフェクター機能を有さない)変更されたFc定常領域であり得る。Fc定常領域が関与するエフェクター機能は、定常またはFc領域の性質を変更することによってモジュレートすることができる。変更されたエフェクター機能としては、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、アポトーシス、1つもしくは複数のFc受容体への結合、および炎症促進性応答の活性のうちの1つまたは複数におけるモジュレーションが挙げられる。モジュレーションは、変更されていない形態の定常領域の活性と比較して、変更された定常領域を含有する対象抗体が呈するエフェクター機能活性の増大、低下、または排除を指す。特定の実施形態では、モジュレーションは、活性が無効にされ、または完全に存在しない状況を含む。例えば、モジュレートされたADCCおよび/またはCDC活性を示す変更されたFc定常領域は、変更されていない形態のFc定常領域のADCCおよび/またはCDC活性のおよそ0〜50%(例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満)を呈し得る。本明細書に記載の変更されたFc領域は、低減された、または測定可能でないADCCおよび/またはCDC活性を呈する場合がある。
ある特定の実施形態では、変更された定常領域は、天然配列定常領域または変更されていない定常領域と比較して、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失、例えば、天然配列定常領域または親ポリペプチドの定常領域中に約1〜約100個のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を有する。一部の実施形態では、本明細書における変更された定常領域は、変更されていない定常領域と少なくとも約70%の相同性(類似性)または同一性、ならびに変更されていない定常領域と一部の事例では少なくとも約75%および他の事例では少なくとも約80%の相同性または同一性、ならびに他の実施形態では、変更されていない定常領域と少なくとも約85%、90%、または95%の相同性または同一性を有する。変更された定常領域は、1個または複数のアミノ酸欠失または挿入も含有し得る。その上、変更された定常領域は、例えば、変更されたグリコシル化パターン(例えば、変更されていない定常領域と比べて1つもしくは複数の糖コンポーネントの付加、1つもしくは複数の糖コンポーネントの喪失、または1つもしくは複数の糖コンポーネントの組成の変化)を含めた変更された翻訳後修飾をもたらす1個または複数のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有し得る。
変更されたFc定常領域は、バリアント定常、Fc、または重鎖領域を有する抗体を操作または産生することによって生じさせることができ;組換えDNA技術ならびに/または細胞培養および発現条件を使用して、変更された機能ならびに/または活性を有する抗体を産生することができる。例えば、組換えDNA技術を使用して、エフェクター機能を含めた抗体機能に影響する領域(例えば、Fcまたは定常領域など)に1個または複数のアミノ酸置換、欠失、または挿入を操作することができる。代わりに、例えば、グリコシル化パターンなどの翻訳後修飾の変化は、抗体が産生される細胞培養および発現条件をマニピュレートすることによって実現することができる。抗体のFc領域に1個または複数の置換、付加、または欠失を導入するための適当な方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら、(1989年)「Molecular Cloning: A Laboratory Manual、2版」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;PCT公開第WO06/53301号;および米国特許第7,704,497号に記載されている標準的なDNA変異誘発技法を含む。これらの文献のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
エフェクター機能が低減された変更されたFc定常領域は、抗体のある特定の領域のアミノ酸配列に他の型の変化を導入することによって生成することができる。このようなアミノ酸配列変化としては、それだけに限らないが、例えば、PCT公開第WO94/28027号および同第WO98/47531号;ならびにXuら、(2000年)Cell Immunol、200巻:16〜26頁に記載されているAla−Ala変異が挙げられる。これらの実施形態によれば、Fc定常領域は、234位におけるアラニンへの置換または235位におけるアラニンへの変異を含む。その上、変更された定常領域は、二重変異:234位におけるアラニンへの変異および235位におけるアラニンへの第2の変異を含有し得る。一実施形態では、Fc定常領域は、IgG4フレームワークを含み、Ala−Ala変異は、234位におけるフェニルアラニンからアラニンへの変異(複数可)および/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。別の実施形態では、Fc定常領域は、IgG1フレームワークを含み、Ala−Ala変異は、234位におけるロイシンからアラニンへの変異(複数可)および/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。Fc定常領域は、代替としてまたは加えて、CH2ドメイン内の点変異K322Aを含めた他の変異を担持し得る(Hezarehら、(2001年)J Virol、75巻:12161〜12168頁)。
重鎖定常領域に導入されるとき、エフェクター機能を低下させる追加の置換は、例えば、Shieldsら、(2001年)J Biol Chem、276巻(9号):6591〜6604頁に示されている。特に、Shieldsらの表1(「Binding of human IgG1 variants to human FcRn and FcγR」)を参照。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。Fc受容体(FcRn、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIIAを含む)のパネルへの結合に関して、ライブラリーの各抗体が重鎖定常領域内の1個または複数の置換によって異なる抗IgE抗体のライブラリーをスクリーニングすることによって、著者らは、特異的Fc−Fc受容体相互作用をモジュレートするいくつかの置換を同定した。例えば、CH2ドメインがD265A置換(Kabatら(上記)による重鎖アミノ酸番号付け)を含有するバリアントIgG2a重鎖定常領域は、バリアント定常領域とIgG Fc受容体FcγRIIB、FcγRIII、FcγRI、およびFcγRIVとの相互作用を完全に喪失させる。6595頁、表1におけるShieldsら(2001年)。Baudinoら、(2008年)J Immunol、181巻:6664〜6669頁(上記)も参照。
ヒンジ領域内の変化もエフェクター機能に影響する。例えば、ヒンジ領域の欠失は、Fc受容体に対する親和性を低減し得、補体活性化を低減し得る(Kleinら、(1981年)Proc Natl Acad Sci USA、78巻:524〜528頁)。したがって、本開示はまた、ヒンジ領域内の変更を有する抗体に関する。
一部の実施形態では、変更されたFc定常領域(例えば、変更されたヒトFc定常領域)は、変更されたまたはバリアントFc定常領域が由来した天然Fc定常領域のものより大きい親和性で胎児性Fc受容体(neonatal Fc receptor)(FcRn)に結合することができる。例えば、Fc定常領域は、バリアントヒトFc定常領域が由来した天然ヒトFc定常領域と比べて1個または複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8個、またはそれ超の)アミノ酸置換を含み得る。置換は、相互作用のpH依存性を維持しながらpH6.0においてバリアントFc定常領域を含有するIgG抗体のFcRnへの結合親和性を増大させることができる。例えば、Hintonら、(2004年)J Biol Chem、279巻:6213〜6216頁、およびDatta-Mannanら、(2007年)Drug Metab Dispos、35巻:1〜9頁を参照。抗体のFc定常領域内の1個または複数の置換が、(相互作用のpH依存性を維持しながら)pH6.0においてFcRnに対するFc定常領域の親和性を増大させるかどうかを試験するための方法は、当技術分野で公知であり、作業実施例に例示されている。例えば、Datta-Mannanら、(2007年)J Biol Chem、282巻(3号):1709〜1717頁;国際公開第WO98/23289号;国際公開第WO97/34631号;および米国特許第6,277,375号を参照。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
FcRnに対する抗体Fc定常領域の結合親和性を増強する置換は、当技術分野で公知であり、これらとしては、例えば、(1)Dall’Acquaら(2006年)J Biol Chem、281巻:23514〜23524頁によって記載されたM252Y/S254T/TT256E三重置換;(2)Hintonら、(2004年)J Biol Chem、279巻:6213〜6216頁およびHintonら、(2006年)J Immunol、176巻:346〜356頁に記載されたM428LまたはT250Q/M428L置換;ならびに(3)Petkovaら、(2006年)Int Immunol、18巻(12号):1759〜69頁に記載されたN434AまたはT307/E380A/N434A置換が挙げられる。追加の置換ペアリング:P257I/Q311I、P257I/N434H、およびD376V/N434Hは、例えば、Datta-Mannanら、(2007年)J Biol Chem、282巻(3号):1709〜1717頁に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
一部の実施形態では、バリアント定常領域は、バリンについてEUアミノ酸残基255における置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、アスパラギンについてEUアミノ酸残基309における置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、イソロイシンについてEUアミノ酸残基312における置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、EUアミノ酸残基386における置換を有する。
一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、それが由来した天然定常領域と比べて、30個以下の(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下の)アミノ酸置換、挿入、または欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250I、およびV308Fからなる群から選択される1個または複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、バリアントヒトFc定常領域は、それぞれEU番号付けで、428位におけるメチオニンおよび434位におけるアスパラギンを含む。一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、例えば、米国特許第8,088,376号に記載されている通り、428L/434S二重置換を含む。
一部の実施形態では、変更されたまたはバリアントFc定常領域は、天然ヒトFc定常領域と比べて、アミノ酸位置237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434、または436(EU番号付け)において置換を含む。一部の実施形態では、置換は、すべてEU番号付けで、237位におけるグリシンの代わりにメチオニン;238位におけるプロリンの代わりにアラニン;239位におけるセリンの代わりにリシン;248位におけるリシンの代わりにイソロイシン;250位におけるトレオニンの代わりにアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファン、またはチロシン;252位におけるメチオニンの代わりにフェニルアラニン、トリプトファン、またはチロシン;254位におけるセリンの代わりにトレオニン;255位におけるアルギニンの代わりにグルタミン酸;256位におけるトレオニンの代わりにアスパラギン酸、グルタミン酸、またはグルタミン;257位におけるプロリンの代わりにアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、トレオニン、またはバリン;258位におけるグルタミン酸の代わりにヒスチジン;265位におけるアスパラギン酸の代わりにアラニン;270位におけるアスパラギン酸の代わりにフェニルアラニン;286位におけるアスパラギンの代わりにアラニンまたはグルタミン酸;289位におけるトレオニンの代わりにヒスチジン;297位におけるアスパラギンの代わりにアラニン;298位におけるセリンの代わりにグリシン;303位におけるバリンの代わりにアラニン;305位におけるバリンの代わりにアラニン;307位におけるトレオニンの代わりにアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、またはチロシン;308位におけるバリンの代わりにアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、またはトレオニン;309位におけるロイシンまたはバリンの代わりにアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、またはアルギニン;311位におけるグルタミンの代わりにアラニン、ヒスチジン、またはイソロイシン;312位におけるアスパラギン酸の代わりにアラニンまたはヒスチジン;314位におけるロイシンの代わりにリシンまたはアルギニン;315位におけるアスパラギンの代わりにアラニンまたはヒスチジン;317位におけるリシンの代わりにアラニン;325位におけるアスパラギンの代わりにグリシン;332位におけるイソロイシンの代わりにバリン;334位におけるリシンの代わりにロイシン;360位におけるリシンの代わりにヒスチジン;376位におけるアスパラギン酸の代わりにアラニン;380位におけるグルタミン酸の代わりにアラニン;382位におけるグルタミン酸の代わりにアラニン;384位におけるアスパラギンまたはセリンの代わりにアラニン;385位におけるグリシンの代わりにアスパラギン酸またはヒスチジン;386位におけるグルタミンの代わりにプロリン;387位におけるプロリンの代わりにグルタミン酸;389位におけるアスパラギンの代わりにアラニンまたはセリン;424位におけるセリンの代わりにアラニン;428位におけるメチオニンの代わりにアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、またはチロシン;433位におけるヒスチジンの代わりにリシン;434位におけるアスパラギンの代わりにアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、またはチロシン;および436位におけるチロシンまたはフェニルアラニンの代わりにヒスチジンからなる群から選択される。
融合タンパク質の異なるエレメントを所望の機能性と一致する任意の様式で配列することができることが理解される。例えば、クリプティックポリペプチドを異種ドメインのC末端に配置してもよく、または代わりに、異種ドメインをクリプティックポリペプチドのC末端に配置してもよい。クリプティックポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列を、いずれかのドメインの、またはドメイン同士間のC末端またはN末端に含めてもよい。
ポリペプチド発現
組換えポリペプチド(例えば、断片または融合タンパク質)は、分子生物学およびタンパク質化学の技術分野で公知の様々な技法を使用して生成することができる。例えば、融合タンパク質をコードする核酸を、転写および翻訳調節配列を含有する発現ベクター中に挿入することができ、この調節配列としては、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、転写ターミネーターシグナル、ポリアデニル化シグナル、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が挙げられる。調節配列としては、プロモーターならびに転写開始および停止配列が挙げられる。さらに、発現ベクターは、1つを超える複製系を含むことができ、その結果これは、2種の異なる生物内で、例えば、発現について哺乳動物細胞または昆虫細胞内で、ならびにクローニングおよび増幅について原核生物宿主内で維持され得る。
いくつかの可能なベクター系が、哺乳動物細胞内の核酸からの組換えポリペプチドの発現に利用可能である。1つのクラスのベクターは、所望の遺伝子配列の宿主細胞ゲノム内への組み込みに依拠する。安定して組み込まれたDNAを有する細胞は、薬物耐性遺伝子、例えば、E.coli gpt(MulliganおよびBerg、(1981年)Proc Natl Acad Sci USA、78巻:2072頁)またはTn5 neo(SouthernおよびBerg、(1982年)Mol Appl Genet、1巻:327頁)を同時に導入することによって選択することができる。選択可能マーカー遺伝子は、発現されるDNA遺伝子配列に連結し、または共トランスフェクションによって同じ細胞内に導入することができる(Wiglerら、(1979年)Cell、16巻:77頁)。第2のクラスのベクターは、染色体外プラスミドに自律複製能力を付与するDNAエレメントを利用する。これらのベクターは、動物ウイルス、例えば、ウシパピローマウイルス(Sarverら、(1982年)Proc Natl Acad Sci USA、79巻:7147頁)、サイトメガロウイルス、ポリオーマウイルス(Deansら、(1984年)Proc Natl Acad Sci USA、81巻:1292頁)、またはSV40ウイルス(LuskyおよびBotchan、(1981年)Nature、293巻:79頁)に由来し得る。
発現ベクターは、後続の核酸の発現に適した様式で細胞内に導入することができる。導入の方法は、以下に論じる標的細胞型によって概ね決定される(dictated)。例示的な方法としては、CaPO4沈降、リポソーム融合、カチオン性リポソーム、電気穿孔、ウイルス感染、デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、および直接マイクロインジェクションが挙げられる。
組換えタンパク質の発現のための適切な宿主細胞としては、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、および哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などのげっ歯類細胞株)が挙げられる。E.coliなどの細菌、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisなどの真菌、SF9などの昆虫細胞、哺乳動物細胞株(例えば、ヒト細胞株)、ならびに初代細胞株が特に対象である。
一部の実施形態では、組換えタンパク質は、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック哺乳動物)において発現させ、この動物から精製することができる。例えば、組換えタンパク質は、例えば、Houdebine、(2002年)Curr Opin Biotechnol、13巻(6号):625〜629頁;van Kuik-Romeijnら、(2000年)Transgenic Res、9巻(2号):155〜159頁;およびPollockら、(1999年)、J Immunol Methods、231巻(1〜2号):147〜157頁に記載されているように、トランスジェニック非ヒト哺乳動物(例えば、げっ歯類)において産生させ、乳から単離することができる。
ポリペプチドは、タンパク質の発現を可能にするのに十分な条件下で、かつ時間の量にわたって、ポリペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって細胞から産生させることができる。タンパク質発現のためのこのような条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって変動し、日常の実験を通じて当業者によって容易に確認される。例えば、E.coliにおいて発現されるタンパク質は、封入体から再フォールディングすることができる(例えば、Houら、(1998年)Cytokine、10巻:319〜30頁を参照)。細菌発現系およびこれらを使用するための方法は、当技術分野で周知である(Current Protocols in Molecular Biology、Wiley & Sons、およびMolecular Cloning--A Laboratory Manual --3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(2001年)を参照)。コドン、適当な発現ベクター、および適当な宿主細胞の選択は、いくつかの要因に応じて様々であり、必要に応じ、容易に最適化することができる。本明細書に記載の融合タンパク質は、哺乳動物細胞において、またはそれだけに限らないが、酵母、バキュロウイルス、およびin vitro発現系を含めた他の発現系において発現させることができる(例えば、Kaszubskaら、(2000年)Protein Expression and Purification、18巻:213〜220頁を参照)。
発現後に、組換えタンパク質を単離することができる。用語「精製された」または「単離された」は、本明細書に記載のタンパク質のうちのいずれかに適用する場合、ポリペプチドであって、それに天然に付随するコンポーネント(例えば、タンパク質または他の天然に存在する生物学的もしくは有機分子)、例えば、タンパク質を発現する原核生物細胞または真核生物細胞における他のタンパク質、脂質、および核酸から分離または精製されたポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチドは、それが試料中の総タンパク質の少なくとも60(例えば、少なくとも65、70、75、80、85、90、92、95、97、または99)重量%を構成する場合、精製されている。
組換えタンパク質は、他のコンポーネントがどのように試料中に存在するかに応じて当業者に公知の様々な方法で単離または精製することができる。標準的な精製法としては、電気泳動技法、分子技法、免疫学的技法、ならびにイオン交換、疎水性、親和性、および逆相HPLCクロマトグラフィーを含めたクロマトグラフィー技法が挙げられる。例えば、抗体は、標準的な抗抗体カラム(例えば、プロテインAまたはプロテインGカラム)を使用して精製することができる。タンパク質濃縮と併せた限外濾過技法および透析濾過技法も有用である。例えば、Scopes(1994年)「Protein Purification、3版」、Springer-Verlag、New York City、New Yorkを参照。必要な精製の程度は、所望の使用に応じて変動する。一部の事例では、発現タンパク質の精製は、必要ではない。
精製タンパク質の収率または純度を決定するための方法は、当技術分野で公知であり、これらとしては、例えば、ブラッドフォードアッセイ、UV分光法、ビウレットタンパク質アッセイ、ローリータンパク質アッセイ、アミドブラックタンパク質アッセイ、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、およびゲル電気泳動法(例えば、クマシーブルーなどのタンパク質染色剤またはコロイド銀染色剤を使用する)が挙げられる。
一部の実施形態では、エンドトキシンをタンパク質調製物から除去することができる。タンパク質試料からエンドトキシンを除去するための方法は、当技術分野で公知であり、作業実施例に例示されている。例えば、エンドトキシンは、限定することなく、ProteoSpin(商標)エンドトキシン除去キット(Norgen Biotek Corporation)、Detoxi−Gelエンドトキシン除去ゲル(Thermo Scientific;Pierce Protein Research Products)、MiraCLEAN(登録商標)エンドトキシン除去キット(Mirus)、またはAcrodisc(商標)−Mustang(登録商標)E膜(Pall Corporation)を含めた様々な市販の試薬を使用してタンパク質試料から除去することができる。
試料中に存在するエンドトキシンの量(精製前後の両方)を検出および/または測定するための方法は、当技術分野で公知であり、市販のキットが利用可能である。例えば、タンパク質試料中のエンドトキシンの濃度は、QCL−1000発色キット(Chromogenic kit)(BioWhittaker)、カブトガニ血球抽出成分(LAL)に基づくキット、例えば、Associates of Cape Cod Incorporatedから入手可能なPyrotell(登録商標)、Pyrotell(登録商標)−T、Pyrochrome(登録商標)、Chromo−LAL、およびCSEキットを使用して決定することができる。
医薬組成物および製剤
本明細書に記載の組成物は、例えば、抗原に対する免疫応答を増強するのに被験体に投与するための医薬液剤として製剤化することができる。医薬組成物は一般に、薬学的に許容されるキャリアを含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるキャリア」は、生理学的に適合性である任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを指し、これらを含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩を含み得る(例えば、Bergeら、(1977年)J Pharm Sci、66巻:1〜19頁を参照)。
組成物は、標準方法によって製剤化することができる。医薬製剤は、十分に確立した技術分野であり、例えば、Gennaro、(2000年)「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、20版、Lippincott、Williams & Wilkins(ISBN:0683306472);Anselら、(1999年)「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems」、7版、Lippincott Williams & Wilkins Publishers(ISBN:0683305727);およびKibbe、(2000年)「Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association」、3版(ISBN:091733096X)にさらに記載されている。一部の実施形態では、組成物は、例えば、適当な濃度の、かつ2〜8℃(例えば、4℃)で貯蔵するのに適した緩衝液として製剤化することができる。一部の実施形態では、組成物は、0℃未満の温度(例えば、−20℃または−80℃)で貯蔵するために製剤化され得る。一部の実施形態では、組成物は、2〜8℃(例えば、4℃)で最大で2年(例えば、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、1年半、または2年)にわたって貯蔵するために製剤化され得る。よって、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、2〜8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年にわたる貯蔵で安定である。
医薬組成物は、様々な形態で存在し得る。これらの形態としては、例えば、液体、半固体、および固形剤形、例えば、液体液剤(liquid solution)(例えば、注射用および注入用液剤)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、粉剤・散剤(powder)、リポソーム剤、ならびに坐剤が挙げられる。好適な形態は、意図される投与モードおよび治療用途に部分的に依存する。例えば、全身または局所送達を意図された組成物を含有する組成物は、注射用または注入用液剤の形態で存在し得る。したがって、組成物は、非経口モード(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)による投与のために製剤化することができる。「非経口投与」、「非経口的に投与される」、および他の文法的に等価な語句は、本明細書で使用される場合、通常注射による、経腸および局部投与以外の投与モードを指し、限定することなく、静脈内、鼻腔内、眼内、肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、および胸骨内注射および注入を含む(以下を参照)。
組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高濃度で安定に貯蔵するのに適した他の規則構造物(ordered structure)として製剤化することができる。滅菌注射用液剤は、必要に応じて上記に列挙した成分のうちの1つまたは組合せを有する適切な溶媒中に必要量の本明細書に記載の組成物を組み込み、その後濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散剤は、基本分散媒および上記に列挙した成分からの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に本明細書に記載の組成物を組み込むことによって調製される。滅菌注射用液剤を調製するための滅菌粉末の場合では、調製のための方法は、真空乾燥および凍結乾燥を含み、これらは、本明細書に記載の組成物と、任意の追加の望まれる成分(以下を参照)であって、先に滅菌濾過しておいたその溶液からの成分との粉末を生じる。液剤の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合では要求される粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる試薬、例えば、モノステアリン酸塩、およびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
本明細書に記載の組成物は、免疫リポゾーム組成物で製剤化することもできる。このような製剤は、当技術分野で公知の方法、例えば、Epsteinら、(1985年)Proc Natl Acad Sci USA、82巻:3688頁;Hwangら、(1980年)Proc Natl Acad Sci USA、77巻:4030頁;ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載された方法などによって調製することができる。循環時間が増強されたリポソームは、例えば、米国特許第5,013,556号に開示されている。
ある特定の実施形態では、組成物は、埋め込み体およびマイクロカプセル化送達系を含めた制御放出製剤など、迅速放出に対して化合物を保護するキャリアとともに製剤化することができる。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法が、当技術分野で公知である。例えば、J.R. Robinson、(1978年)「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems」、Marcel Dekker,Inc.、New Yorkを参照。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、非経口注射によって水溶液で投与される。本開示は、有効量の薬剤(または1種を超える薬剤)を含み、ならびに薬学的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、および/またはキャリアを任意選択で含む医薬組成物を特徴とする。このような組成物は、滅菌水、緩衝食塩水(例えば、Tris−HCl、アセテート、ホスフェート)、pHおよびイオン強度;ならびに任意選択で添加剤、例えば、洗浄剤および可溶化剤(例えば、TWEEN(登録商標)20、TWEEN80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、ならびに防腐剤(例えば、チメロサール(thimersol)、ベンジルアルコール)および増量物質(例えば、ラクトース、マンニトール)を含む。製剤は、例えば、濾過を使用して、滅菌剤を組成物中に組み込んで、組成物を照射することによって、または組成物を加熱することによって滅菌することができる。
上述の通り、相対的に高濃度の組成物を作製することができる。例えば、組成物は、約10mg/mL〜100mg/mLの間(例えば、約9mg/mLから90mg/mLの間;約9mg/mLから50mg/mLの間;約10mg/mLから50mg/mLの間;約15mg/mLから50mg/mLの間;約15mg/mLから110mg/mLの間;約15mg/mLから100mg/mLの間;約20mg/mLから100mg/mLの間;約20mg/mLから80mg/mLの間;約25mg/mLから100mg/mLの間;約25mg/mLから85mg/mLの間;約20mg/mLから50mg/mLの間;約25mg/mLから50mg/mLの間;約30mg/mLから100mg/mLの間;約30mg/mLから50mg/mLの間;約40mg/mLから100mg/mLの間;約50mg/mLから100mg/mLの間;または約20mg/mLから50mg/mLの間)の濃度で製剤化することができる。一部の実施形態では、組成物は、5mg/mL超かつ50mg/mL未満の濃度で製剤化することができる。水溶液中のタンパク質を製剤化するための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第7,390,786号;McNallyおよびHastedt(2007年)、「Protein Formulation and Delivery」、2版、Drugs and the Pharmaceutical Sciences、175巻、CRC Press;ならびにBanga、(1995年)、「Therapeutic peptides and proteins: formulation, processing, and delivery systems」、CRC Pressに記載されている。一部の実施形態では、水溶液は、中性pH、例えば、6.5から8の間(例えば、7から8の間かつ7と8とを含む)のpHを有する。一部の実施形態では、水溶液は、約6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0のpHを有する。一部の実施形態では、水溶液は、6超(または6に等しい)(例えば、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、または7.9超のまたはそれに等しい)の、しかしpH8未満のpHを有する。
本明細書で使用される場合、「約」および同様の文法的な用語は、測定の特質または精度を考慮して測定される量についての誤差の許容される程度を指す。誤差の例示的な程度には、最大で20%(例えば、19、18、17、16、15、14、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%以下、または1%未満)が含まれる。一部の実施形態では、例えば、生物系では、約は、1桁以内、例えば、4倍、3倍、または2倍以内である値を含む。一部の実施形態では、「約」は、述べた参照値の100%以下の値を指す。
治療用ポリペプチドをコードする核酸を、細胞内で薬剤を発現および産生させるのに使用され得る核酸を送達するための遺伝子療法プロトコールの一部として使用される遺伝子構築物中に組み込むことができる。このようなコンポーネントの発現構築物は、任意の治療上有効なキャリア、例えば、in vivoで細胞にコンポーネント遺伝子を有効に送達することができる任意の製剤または組成物で投与することができる。手法は、組換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、および単純ヘルペスウイルス−1(HSV−1)を含めたウイルスベクター、または組換え細菌もしくは真核生物プラスミド中に対象遺伝子を挿入することを含む。ウイルスベクターは、直接的に細胞をトランスフェクトすることができ;プラスミドDNAは、例えば、カチオン性リポソーム(リポフェクチン)または誘導体化ポリリシンコンジュゲート、グラミシジンS、人工ウイルスエンベロープまたは他のこのような細胞内キャリア、およびin vivoで実行される遺伝子構築物の直接注射またはCaPO4沈降(例えば、WO04/060407を参照)の助けを借りて送達され得る。適当なレトロウイルスの例としては、pLJ、pZIP、pWE、およびpEMが挙げられ、これらは、当業者に公知である(例えば、Eglitisら、(1985年)Science、230巻:1395〜1398頁;DanosおよびMulligan、(1988年)Proc Natl Acad Sci USA、85巻:6460〜6464頁;Wilsonら、(1988年)Proc Natl Acad Sci USA、85巻:3014〜3018頁;Armentanoら、(1990年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻:6141〜6145頁;Huberら、(1991年)Proc Natl Acad Sci USA、88巻:8039〜8043頁;Ferryら、(1991年)Proc Natl Acad Sci USA、88巻:8377〜8381頁;Chowdhuryら、(1991年)Science、254巻:1802〜1805頁;van Beusechemら、(1992年)Proc Natl Acad Sci USA、89巻:7640〜7644頁;Kayら、(1992年)Human Gene Therapy、3巻:641〜647頁;Daiら、(1992年)Proc Natl Acad Sci USA、89巻:10892〜10895頁;Hwuら、(1993年)J Immunol、150巻:4104〜4115頁;米国特許第4,868,116号および同第4,980,286号;PCT公開第WO89/07136号、同第WO89/02468号、同第WO89/05345号、および同第WO92/07573号を参照)。別のウイルス遺伝子送達システムは、アデノウイルス由来ベクターを利用する(例えば、Berknerら、(1988年)BioTechniques、6巻:616頁;Rosenfeldら、(1991年)Science、252巻:431〜434頁;およびRosenfeldら、(1992年)Cell、68巻:143〜155頁を参照)。アデノウイルス株Ad 5型dl324、またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する適当なアデノウイルスベクターは、当業者に公知である。対象遺伝子の送達に有用なさらに別のウイルスベクター系は、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。例えば、Flotteら、(1992年)Am J Respir Cell Mol Biol、7巻:349〜356頁;Samulskiら、(1989年)J Virol、63巻:3822〜3828頁;およびMcLaughlinら、(1989年)J Virol、62巻:1963〜1973頁を参照。
一部の実施形態では、組成物は、1種または複数種の追加の治療剤、例えば、骨形成、骨密度、または骨量を増大させるための追加の薬剤とともに製剤化することができる。
組成物が第2の活性剤と組み合わせて使用される予定の場合、組成物を、第2の薬剤とともに共製剤化することができ、または組成物を、第2の薬剤製剤と別個に製剤化することができる。例えば、それぞれの医薬組成物を、例えば、投与の直前に混合し、一緒に投与することができ、または例えば、同じまたは異なる時点で、別個に投与することができる(以下を参照)。
キット
本開示はまた、例えば、骨減少に関連した状態、または本明細書に記載の任意の他の状態(例えば、がん、代謝障害、筋肉消耗障害、筋骨格障害、もしくは免疫障害)を処置するために、本明細書に記載のポリペプチドのうちのいずれか1種または複数種を投与するための梱包された医薬組成物またはキットに関係する。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種および状態の処置用ポリペプチド(複数可)を投与するための指示を含む。指示には、どのように、例えば、皮下にまたは静脈内に、およびいつ、例えば、0週目、2週目、4週目などに、異なる用量の1種または複数種のポリペプチドが、処置のために被験体に投与されるべきであるかを記述することができる。
本発明の別の態様は、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物、ならびにそれぞれ、骨減少に関連した状態を処置するのに有用な追加の治療剤、および薬学的に許容されるキャリアを含む1種または複数種の医薬組成物を含有するキットに関係する。代わりに、キットは、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種、それを必要とする被験体(例えば、骨減少に関連した状態を有する被験体)を処置するのに有用な1種または複数種の薬物、および薬学的に許容されるキャリアを含む単一医薬組成物を含む。指示には、どのように、例えば、皮下に、およびいつ、例えば、0週目、2週目、4週目などに、異なる用量の1種または複数種のポリペプチドおよび/または追加の治療剤が、処置のために被験体に投与されるべきであるかを記述することができる。キットは、本明細書に記載の状態、例えば、骨減少に関連した状態を処置するための医薬組成物の投薬についての指示を含有し得る。
一部の実施形態では、キットは、骨成長、骨密度、骨強度、骨形成などのうちの少なくとも1つの徴候の改善について試験するための1種もしくは複数種の試薬および/または指示を含む。
治療用途
本明細書に記載のポリペプチドは、いくつかの治療用途で使用することができる。例えば、ポリペプチドは、骨形成、骨量、骨密度、骨強度などを増大させることができる。したがって、ポリペプチドは、様々な治療用途において、例えば、骨の減少、不足、または損傷に関連した疾患または状態を処置または防止するのに有用である。例えば、本明細書に記載のクリプティックポリペプチドは、骨減少に関連した状態、例えば、骨粗鬆症またはパジェット病に罹患している被験体を処置するのに有用である。一部の実施形態では、本開示は、個体に治療有効量の本明細書に記載のポリペプチドを投与することによって、骨損傷を処置または防止することをを必要とする個体における骨損傷を処置または防止する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、個体に治療有効量の本明細書に記載のポリペプチドを投与することによって、骨成長または石灰化を促進することをを必要とする個体における骨成長または石灰化を促進する方法を提供する。これらの方法は、好ましくは、動物、より好ましくは、ヒトの治療的および予防的処置を目的としている。一部の実施形態では、本開示は、低骨密度または骨強度の低下に関連した障害を処置するための本明細書に記載のポリペプチドの使用を提供する。
本明細書に記載の組成物は、投与経路に部分的に依存する様々な方法を使用して被験体、例えば、ヒト被験体に投与することができる。経路は、例えば、静脈内注射もしくは注入(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)注射、または筋肉内注射(IM)であり得る。
投与は、例えば、局所的な注入、注射によって、または埋め込み体の手段によって実現することができる。埋め込み体は、サイラスティック膜(sialastic membrane)などの膜、または繊維を含めた多孔質、非多孔質、またはゼラチン状材料のものであり得る。埋め込み体は、被験体に組成物を持続的または周期的放出するように構成することができる。例えば、米国特許出願公開第20080241223号;米国特許第5,501,856号;同第4,863,457号;および同第3,710,795号;EP488401;ならびにEP430539号を参照。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。組成物は、例えば、拡散性、侵食性、または対流性システム、例えば、浸透圧ポンプ、生分解性埋め込み体、電気拡散システム、電気浸透システム、蒸気圧ポンプ、電解ポンプ、発泡ポンプ、圧電ポンプ、侵食に基づくシステム、または電気機械システムに基づく埋め込み型デバイスによって被験体に送達することができる。
本明細書で使用される場合、用語「有効量」または「治療有効量」は、in vivo設定において、処置されている障害の1つもしくは複数の症状を処置し、阻害し、もしくは和らげるのに、または他の方法で所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果をもたらす(例えば、骨減少に関連した状態を処置する)のに十分な投与量を意味する。正確な投与量は、様々な要因、例えば、被験体に依存する変数(例えば、年齢、免疫系の健康など)、疾患、および行われている処置によって変動する。治療有効量の本明細書に開示の薬剤は、1つもしくは複数の症状を処置し、改善し、または本明細書に記載の状態、例えば、骨減少に関連した状態を防止する(例えば、発症を遅延させ、または症状の発症の重症度を低減する)。
本明細書に記載の抗体またはこれらの断片のうちのいずれかの適当なヒト用量は、例えば、第I相用量漸増研究においてさらに評価することができる。例えば、van Gurpら、(2008年)Am J Transplantation、8巻(8号):1711〜1718頁;Hanouskaら、(2007年)Clin Cancer Res、13巻(2号、第1部):523〜531頁;およびHetheringtonら、(2006年)Antimicrobial Agents and Chemotherapy、50巻(10号):3499〜3500頁を参照。
このような組成物の毒性および治療有効性は、細胞培養物または実験動物(例えば、骨障害の動物モデル)における公知の薬学的手順によって決定することができる。これらの手順は、例えば、LD50(集団の50%に致死性の用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するのに使用することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、これは、比LD50/ED50として表現され得る。高い治療指数を呈する薬剤が好適である。毒性副作用を呈する組成物を使用してもよいが、このような化合物を患部組織の部位に向ける送達システムを設計し、正常細胞の潜在的な損傷を最小限にし、それによって副作用を低減するように注意が払われるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトに使用するための投与量の範囲を処方するのに使用することができる。このような抗体またはその抗原結合断片の投与量は、一般に、ほとんどまたはまったく毒性を伴わないED50を含むポリペプチドの、循環中の濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養で決定されるIC50(すなわち、症状の半最大阻害(half-maximal inhibition)を実現する抗体の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を実現するように動物モデルにおいて処方することができる。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。一部の実施形態では、例えば、局所投与が望まれる場合、細胞培養または動物モデリングを使用して、局所部位内の治療有効濃度を実現するのに要求される用量を決定することができる。
本明細書に記載の方法のいずれかの一部の実施形態では、薬剤を、1種または複数種の追加の治療剤(例えば、骨疾患を処置するための治療剤)と併せて哺乳動物に投与することができる。
本明細書で使用される場合、被験体は、好ましくはヒトであるが、非ヒト霊長類(例えば、サル、ヒヒ、もしくはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ラット、またはマウスであってもよい。一部の実施形態では、被験体は、飼いならされた動物または農場動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は、乳仔(例えば、ヒト乳児)である。
本明細書で使用される場合、「防止の必要のある」、「処置の必要のある」、または「その必要のある」被験体は、適切な医療従事者(例えば、ヒトの場合における医者、看護師、またはナースプラクティショナー;非ヒト哺乳動物の場合における獣医)の判断によって、所与の処置(例えば、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種を用いた処置)から適度に利益を得る被験体を指す。一部の実施形態では、その被験体は、骨減少に関連した状態などの本明細書に記載の状態を有すると診断されている被験体である。
用語「防止すること」は、当技術分野で認識されており、状態に関して使用される場合、当技術分野においてよく理解されており、組成物を受けない被験体と比べて、被験体における医学的状態の症状の頻度を低減し、またはその症状の発症を遅延させる組成物の投与を含む。
骨および/もしくは軟骨形成を誘導する、骨減少を防止する、骨石灰化を増大させる、または骨の無機質脱落を防止するための方法も本明細書で提供されている。例えば、本明細書に記載のポリペプチドを使用して、ヒトおよび他の動物における骨粗鬆症を処置し、骨折および軟骨欠損を修復することができる。ポリペプチドは、骨粗鬆症の発生に対する保護対策として無症候性低骨密度と診断されている患者において有用であり得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種は、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損を治癒させるのに有用である。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、閉鎖および開放骨折低減において、ならびにまた、人工関節の固定の改善において使用することができる。骨形成剤によって誘導される新規骨形成は、先天性、外傷誘導、または腫瘍切除誘導頭蓋顔面欠損の修復に寄与し、美容形成手術においても有用である。一部の実施形態では、ポリペプチドのうちの1種または複数種を使用して骨粗鬆症を処置することができる。
骨減少に関連した状態としては、限定することなく、骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症を含む)、副甲状腺機能亢進症、クッシング病、パジェット病、甲状腺中毒症、慢性下痢体質もしくは吸収不良、尿細管性アシドーシス、または神経性食欲不振症が挙げられる。骨粗鬆症は、様々な要因によって引き起こされ、またはそれに関連する場合がある。女性(female)、特に閉経期後の女性であること、低体重を有すること、および座りがちな生活様式に至ることはすべて、骨粗鬆症(骨ミネラル密度の減少、骨折リスクに至る)のリスクファクターである。以下のプロファイルのうちのいずれかを有する人は、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種を用いた処置の候補であり得る:閉経期後の、エストロゲンまたは他のホルモン補充療法を受けていない女性(woman);股関節部骨折または喫煙の個人歴または母親の既往歴を有する人;背が高い(5フィート7インチ超)または痩せている(125ポンド未満)閉経期後の女性;骨減少に関連した臨床状態を有する男性;Prednisone(商標)などのコルチコステロイド、Dilantin(商標)およびある特定のバルビツレートなどの様々な抗発作医薬、または高用量甲状腺補充薬を含めた骨減少を引き起こすことが知られている医薬を使用している人;1型糖尿病、肝疾患、腎疾患を有し、または骨粗鬆症の家族歴を有する人;高い骨代謝回転(例えば、尿試料中の過剰なコラーゲン)を有する人;甲状腺機能亢進症などの甲状腺状態を有する人;単に軽度の外傷後に骨折を経験したことがある人;椎骨骨折のX線証拠または骨粗鬆症の他の徴候を有していたことがある人。
上述したように、骨粗鬆症は、別の障害に関連した状態として、またはある特定の医薬の使用からも起き得る。薬物または別の医学的状態から生じる骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症として公知である。クッシング病として公知の状態では、体が産生する過剰量のコルチゾールが骨粗鬆症および骨折をもたらす。続発性骨粗鬆症に関連した最も一般的な医薬は、コルチコステロイドであり、それは、副腎によって天然に産生されるホルモンであるコルチゾールのように作用する薬物のクラスである。十分なレベルの甲状腺ホルモン(甲状腺によって産生される)が骨格の発達に必要とされるが、過剰の甲状腺ホルモンは、経時的に骨量を低下させ得る。アルミニウムを含有する制酸剤は、腎臓問題を有する人、特に透析を受けているヒトが高用量で服用するとき骨減少に至り得る。続発性骨粗鬆症を引き起こし得る他の医薬としては、発作を防止するのに使用されるフェニトイン(phenyloin)(ジランチン)およびバルビツレート;一部の形態の関節炎、がん、および免疫障害用薬物である、メトトレキセート(リウマトレックス、イムネックス、フォレックスPFS);一部の自己免疫疾患を処置し、臓器移植患者における免疫系を抑制するのに使用される薬物である、シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル);前立腺がんおよび子宮内膜症を処置するのに使用される黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(ルプロン、ゾラデックス);抗凝固医薬であるヘパリン(カルシパリン、リクエミン(Liquaemin));ならびに高コレステロールを処置するのに使用されるコレスチラミン(クエストラン)およびコレスチポール(コレスチド(Colestid))が挙げられる。がん療法から生じる骨減少は、広く認識されており、がん療法誘導骨減少(cancer therapy induced Bone loss)(CTIBL)と呼ばれる。骨転移は、骨の中に空洞を作る場合があり、それは、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種を用いた処置によって矯正され得る。よって、本明細書に記載のポリペプチドは、がんに関連した骨減少を処置するのにも有用である。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、筋肉量または筋肉強度を増大させることをを必要とする被験体における筋肉量または筋肉強度を増大させるのに使用することができる。例えば、ポリペプチドは、筋肉消耗障害を有する被験体を処置するのに有用である。一部の実施形態では、処置される被験体(例えば、ヒト)は、筋肉消耗障害を有し、または筋萎縮に罹患している。筋肉消耗障害は、本明細書で使用される場合、筋肉消耗が、原発性症状、例えば、筋ジストロフィー、脊髄損傷、神経変性疾患、食欲不振症、筋肉減少症、悪液質や、拘束、長期床上安静、または無重力に起因する筋萎縮症などのうちの1つである障害または状態、および異常に高い脂肪対筋肉比が疾患または疾患前状況において関係する障害、例えば、II型糖尿病またはシンドロームXを包含する。
骨格筋の委縮は、使用の欠如、老化、飢餓の結果として、ならびに様々な疾患、障害、および状態、例えば、敗血症、筋ジストロフィー、AIDS、老化、およびがんの帰結として成体動物の筋肉に起こる。筋肉の喪失は一般に、タンパク質含有量、力の生成、疲労抵抗、および筋線維径の低下によって特徴付けられる。これらの低下は、タンパク質合成の低下およびタンパク質分解の増大の両方に帰され得る。本発明の組成物および方法が対象とする筋肉消耗および関連状態には、筋成長の増強または筋肉消耗の減少が、治療上、または別の方法で、望ましい結果を生じさせる任意の状態が含まれる。状態としては、筋ジストロフィー、筋肉減少症、悪液質、糖尿病、および筋肉量の改善であって、例えば、食用動物においてこのような改善が倫理的で望ましい場合の筋肉量の改善が挙げられる。
1つのクラスの筋肉消耗障害は、上述したように、筋ジストロフィーである。これらは、神経筋障害の異種グループであり、これらとしては、最も一般的な型のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、複数の型の肢帯型MD(LGMD)、および他の先天型MD(CMD)が挙げられる。進行性の筋損傷および筋肉喪失、組織炎症、ならびに健康な筋肉の繊維性および脂肪性組織での置き換えは、筋ジストロフィーにおいて筋肉消耗をもたらす。極端な筋肉喪失は、その疾患の最も顕著な徴候の1つであり、死を含めた合併症および症状に至る。
筋肉減少症は、筋肉量、強度、および機能の年齢関連性の喪失である。これは、生涯のうちの40代に始まり、およそ75歳の年齢後に加速する。身体不活動、運動単位リモデリング、ホルモンレベルの低下、およびタンパク質合成の低下を含めた多くの要因は、すべて筋肉減少症の一因となり得る。身体不活動を例外として、これらのすべては、遺伝子制御の対象となり得、この場合、遺伝子モジュレーションが有用であり得る。例えば、筋タンパク質合成およびタンパク質破壊の速度が筋肉減少症に影響する。タンパク質合成および破壊のバランスが体内のタンパク質含有量を決定する。調査により、筋タンパク質合成速度は、より若い成人と比較した場合、高齢者においてより低いことが一貫して報告されている。例えば、遺伝子モジュレーションによって生じる筋タンパク質異化作用の低下は、筋肉量の喪失の減速または逆転をもたらし得る。
悪液質は、がん、AIDS、敗血症、およびうっ血性心不全を含めた様々な深刻な疾患に関連した状態である。その主要な作用は、栄養不良によって引き起こされない、脂肪組織および骨格筋の両方の大量の喪失である。悪液質は、すべてのがん死のほぼ3分の1の一因となる。まだ十分に理解されていないプロセスでは、サイトカインおよび腫瘍因子が、筋肉遺伝子産物を抑制することによって消耗を媒介する。悪液質因子は、ミオシン重鎖を標的にすることにおいて選択的であることが示された。悪液質は、いくつかのシステムの複雑な混乱に関与し、それは、貧血、インスリン抵抗性、免疫抑制、および急性期応答の活性化ももたらす。生じる進行性衰弱は、がんを有する患者を放射線および化学療法の毒性効果により影響されやすくする場合があり;多くのこのような患者は、自身の腫瘍でではなく、悪液質関連症候群で死亡する。
上述したように、本明細書に記載のポリペプチドは、アクチビンAおよびアクチビンBに結合し、これらの活性を阻害する。アクチビンは、膵島によるインスリン産生を調節することが示されている。Tsuchidaら、(2004年)Mol Cell Endocrinol、220巻(1〜20号):59〜65頁およびWuら、(2014年)Diabetologia、57巻(1号):148〜156頁。よって、本開示は、いずれの特定の理論または作用機序にも束縛されないが、本明細書に記載のポリペプチドはまた、代謝障害、例えば、不十分なインスリン産生に関連した障害を処置するのに有用であり得る。代謝障害は、例えば、2型糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、高血糖、および肥満であり得る。
別の態様では、本開示は、免疫障害(例えば、炎症疾患または自己免疫障害)を有する被験体を処置するための方法を特徴とする。本方法は、被験体に、本明細書に記載のポリペプチドのうちのいずれかの1種または複数種を、免疫障害を処置するのに十分な量で投与することを含む。一部の実施形態では、免疫障害は、異常な宿主防御応答に関連する免疫障害である。一部の実施形態では、免疫障害は、例えば、(a)感染、毒性物質または外傷、手術に応じた創傷治癒、重度のやけど、または他の組織傷害、髄膜炎、虫垂炎、腎尿細管壊死、外傷性脳傷害、および敗血症によって負わされた組織の急性傷害;(b)それだけに限らないが、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血管炎、抗リン脂質症候群、強皮症、全身性エリテマトーデス、および変形性関節症を含めた自己免疫疾患;ならびに(c)それだけに限らないが、肺炎、サルコイドーシス、閉塞性細気管支炎、肺高血圧症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、それだけに限らないが、インフルエンザAウイルスH5N1およびH1N1、コロナウイルスSARS、ならびにヒトライノウイルスCおよびDを含めた病原性ウイルスなどの感染因子に対する急性応答を含めた呼吸器疾患であり得る。例えば、欧州特許出願公開第2594280号を参照。
ポリペプチドは、がんなどの増殖性障害に苦しんでいる被験体を処置するのにも有用である。一部の実施形態では、哺乳動物は、がんまたは感染症を有する、それを有すると疑われる、またはそれを発症するリスクがある哺乳動物である。がんは、細胞の制御されない分裂、および浸潤を通じた隣接組織への直接増殖によって、または転移による遠位部位への移植(この場合、がん細胞は、血流もしくはリンパ系を通じて輸送される)によって拡散する細胞の能力によって特徴付けられる疾患または障害のクラスである。がんは、すべての年齢の人に影響し得るが、リスクは、年齢とともに増大する傾向がある。がんの型として、例えば、肺がん、乳がん、結腸がん、膵がん、腎がん、胃がん、肝がん、骨がん、血液がん、神経組織がん(例えば、神経芽細胞腫)、黒色腫、甲状腺がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、子宮頸がん、膣がん、または膀胱がんを挙げることができる。血液がん(液性腫瘍)としては、例えば、白血病(例えば、慢性リンパ球性白血病、例えば、B細胞またはT細胞型慢性リンパ球性白血病)および多発性骨髄腫が挙げられる。骨がんとしては、限定することなく、骨肉腫および骨癌が挙げられる。
一部の実施形態では、がんは、アクチビンAおよび/またはアクチビンBの1種または複数種の受容体を発現するがん細胞を含む。一部の実施形態では、がんは、その増殖(例えば、増殖の速度もしくは規模)および/または生存能がアクチビンAまたはアクチビンBによって正に影響されるがん細胞を含む。例えば、Togashiら、(2015年)Cancer Lett、356巻(2号B部):819〜827頁;Marinoら、(2014年)Mol Hum Reprod、20巻(12号):1223〜1237頁;Kangら、(2009年)J Bone Miner Res、24巻(7号):1180〜1193頁;Hodaら、(2012年)Br J Cancer、107巻:1978〜1986頁;およびWildiら、(2001年)Gut、49巻(3号):409〜417頁を参照。がん細胞によるアクチビン受容体の存在または発現レベルを検出するための方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Wildiら、上記に記載されている。
遺伝子発現は、例えば、目的のタンパク質またはタンパク質のmRNA発現として検出することができる。すなわち、タンパク質の存在または発現レベル(量)は、mRNAまたはタンパク質発現のレベルを検出および/または測定することによって決定することができる。
様々な適当な方法を使用して、タンパク質のmRNA発現のレベルを検出および/または測定することができる。例えば、mRNA発現は、ノーザンブロットもしくはドットブロット分析、逆転写酵素PCR(RT−PCR;例えば、定量的RT−PCR)、in situハイブリダイゼーション(例えば、定量的in situハイブリダイゼーション)、または核酸アレイ(例えば、オリゴヌクレオチドアレイもしくは遺伝子チップ)分析を使用して決定され得る。このような方法の詳細は、以下に、かつ例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、2版、1、2、および3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor、N.Y.、USA、1989年11月;Gibsonら、(1999年)Genome Res、6巻(10号):995〜1001頁;ならびにZhangら、(2005年)Environ Sci Technol、39巻(8号):2777〜2785頁;米国特許出願公開第2004086915号;欧州特許第0543942号;ならびに米国特許第7,101,663号に記載されている。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
一例では、生体試料中の1種または複数種の個別のmRNA集団の存在または量は、生体試料から全mRNAを単離すること(例えば、Sambrookら(上記)および米国特許第6,812,341号を参照)、および、単離されたmRNAをアガロースゲル電気泳動に付してサイズによってmRNAを分離することによって決定することができる。次いでサイズで分離されたmRNAは、ニトロセルロース膜などの固体支持体に移される(例えば、拡散によって)。次いで、生体試料中の1種または複数種のmRNA集団の存在または量は、目的のmRNA配列に相補的な、1種または複数種の検出可能に標識されたポリヌクレオチドプローブであって、これらの対応するmRNA集団に結合し、よってこのmRNA集団を検出可能にする、オリゴヌクレオチドプローブを使用して決定することができる。検出可能標識としては、例えば、蛍光(例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、アロフィコシアニン(APC)、またはフィコエリトリン)、発光(例えば、ユウロピウム、テルビウム、Quantum Dot Corporation、Palo Alto、CAによって供給されているQdot(商標)ナノ粒子)、放射線(例えば、125I、131I、35S、32P、33P、または3H)、および酵素(西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)標識が挙げられる。
別の例では、生体試料中のmRNAの個別の集団の存在または量は、核酸(またはオリゴヌクレオチド)アレイを使用して決定することができる。例えば、生体試料から単離されたmRNAは、ランダムヘキサマーまたはオリゴ(dT)−プライマー媒介第1鎖合成を用いるRT−PCRを使用して増幅することができる。RT−PCRステップを使用してアンプリコンを検出可能に標識することができ、または任意選択で、アンプリコンをRT−PCRステップの後で検出可能に標識することができる。例えば、検出可能標識を、様々な適当な技法のうちのいずれかを使用してアンプリコンに酵素的に(例えば、ニックトランスレーションもしくはT4ポリヌクレオチドキナーゼなどのキナーゼによって)または化学的にコンジュゲートすることができる(例えば、Sambrookら、上記を参照)。次いで、検出可能に標識されたアンプリコンは、複数のポリヌクレオチドプローブセットに接触させられる。それぞれのセットは、対応するアンプリコンに特異的な(かつそれに結合することができる)ポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)プローブのうちの1種または複数種を含有し、この場合、その複数が異なるアンプリコンにそれぞれ対応する多くのプローブセットを含有する。一般に、プローブセットは、固体支持体に結合しており、それぞれのプローブセットの位置は、固体支持体上で予め決められている。検出可能に標識されたアンプリコンの、プローブセットの対応するプローブへの結合は、生体試料中の標的mRNAの存在または量を示す。核酸アレイを使用してmRNA発現を検出するための追加の方法は、例えば、米国特許第5,445,934号;同第6,027,880号;同第6,057,100号;同第6,156,501号;同第6,261,776号;および同第6,576,424号に記載されている。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
検出可能標識を検出および/または定量する方法は、標識の特質に依存する。適切な酵素によって触媒される反応の生成物は(この場合検出可能標識は酵素である;上記を参照)、限定することなく、蛍光、発光、もしくは放射性であり得、またはこれらは、可視光もしくは紫外光を吸収し得る。このような検出可能標識を検出するのに適した検出器の例としては、限定することなく、X線フィルム、放射能カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、ルミノメーター、およびデンシトメーターが挙げられる。
様々な方法、例えば、チオシアン酸グアニジウム溶解、その後のCsCl遠心分離によって組織試料からRNAを抽出することができる(Chirgwinら、1979年、Biochemistry、18巻:5294〜5299頁)。単一細胞由来のRNAは、Dulac、(1998年)Curr Top Dev Biol、36巻:245頁、およびJenaら、(1996年)J Immunol Methods、190巻:199頁に記載されている方法など、単一細胞からcDNAライブラリーを調製するための方法に記載されているように得ることができる。例えば、RNAsinを含めることによって、RNA分解を回避する注意が払われなければならない。
次いでRNA試料は、特定の種を富化することができる。一実施形態では、ポリ(A)+RNAがRNA試料から単離される。一般に、このような精製は、mRNAのポリAテールを利用する。特に、かつ上述したように、ポリTオリゴヌクレオチドを、mRNAの親和性リガンドとして機能を果たすように固定支持体上内に固定することができる。この目的のためのキットは、市販されており、例えば、MessageMakerキット(Life Technologies、Grand Island、NY)である。
本明細書に記載の方法で使用され得るプローブの型としては、cDNA、リボプローブ、合成オリゴヌクレオチド、およびゲノムプローブが挙げられる。使用されるプローブの型は一般に、例えば、in situハイブリダイゼーションのためのリボプローブ、およびノーザンブロッティングのためのcDNAなどの特定の状況によって決定される。一実施形態では、プローブは、そのRNAに固有のヌクレオチド領域に向けられる。プローブは、マーカーmRNA転写物を区別して認識するのに要求されるのと同じ程度に短くてよく、例えば、15塩基程度の短さであってよいが、少なくとも17、18、19、もしくは20、またはそれ超の塩基のプローブも使用することができる。一実施形態では、プライマーおよびプローブは、マーカーに対応するヌクレオチド配列を有するDNA断片にストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズする。本明細書で使用する場合、用語「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーションが、ヌクレオチド配列中に少なくとも95%の同一性が存在する場合にのみ起こることを意味する。別の実施形態では、「ストリンジェントな条件」下でのハイブリダイゼーションは、配列同士間で少なくとも97%の同一性が存在するとき起こる。
プローブの標識の形態は、放射性同位体、例えば、32Pおよび35Sの使用などの、適切である任意のものであり得る。放射性同位体を用いた標識は、プローブが化学的または生物学的に合成されるかどうかにかかわらず、適切に標識された塩基の使用によって実現され得る。
ある特定の実施形態では、生体試料は、試験被験体由来のポリペプチド分子を含有する。代わりに、生体試料は、試験被験体由来のmRNA分子または試験被験体由来のゲノムDNA分子を含有し得る。
他の実施形態では、方法は、対照被験体から対照生体試料を得ること、マーカーポリペプチド、mRNA、ゲノムDNA、またはこれらの断片の存在が生体試料中で検出されるように、マーカーポリペプチド、mRNA、ゲノムDNA、またはこれらの断片を検出することができる化合物または薬剤と対照試料とを接触させること、および対照試料中のマーカーポリペプチド、mRNA、ゲノムDNA、またはこれらの断片の存在を、試験試料中のマーカーポリペプチド、mRNA、ゲノムDNA、またはこれらの断片の存在と比較することにさらに関与する。
融合タンパク質の発現も、タンパク質(例えば、融合タンパク質)の発現を検出および/または測定することによって決定することができる。タンパク質発現を決定する方法では一般に、目的の標的タンパク質に特異的な抗体を使用することに関与する。例えば、タンパク質発現を決定する方法としては、それだけに限らないが、ウエスタンブロットもしくはドットブロット分析、免疫組織化学検査(例えば、定量的免疫組織化学検査)、免疫細胞化学検査、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素結合免疫吸着スポット(ELISPOT;Coliganら編、(1995年)Current Protocols in Immunology、Wiley、New York)、または抗体アレイ分析(例えば、米国特許出願公開第20030013208号および同第2004171068号を参照、これらのそれぞれの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている)が挙げられる。タンパク質発現を検出するための上記方法および追加の方法のうちの多くのさらなる記載は、例えば、Sambrookら(上記)に見出すことができる。
一例では、タンパク質発現の存在または量は、ウエスタンブロッティング法を使用して決定することができる。例えば、ライセートは生体試料から調製することができる、または生体試料自体をLaemmli緩衝液と接触させ、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に付すことができる。次いでサイズによって分離された、SDS−PAGEで分離されたタンパク質をフィルター膜(例えば、ニトロセルロース)に移し、目的のタンパク質に特異的な検出可能に標識された抗体を使用してイムノブロッティング技法に付すことができる。結合した検出可能に標識された抗体の存在または量は、生体試料中のタンパク質の存在または量を示す。
別の例では、イムノアッセイを、タンパク質のタンパク質発現を検出および/または測定するのに使用することができる。上記の通り、検出の目的に関して、イムノアッセイは、検出部分(例えば、蛍光剤または酵素)を持つ抗体を用いて実施することができる。生体試料由来のタンパク質は、固相マトリックス(例えば、マルチウェルアッセイプレート、ニトロセルロース、アガロース、セファロース、コード化粒子、もしくは磁気ビーズ)に直接的にコンジュゲートさせることができ、またはこれは、特異的結合対の第2のメンバー(例えば、ストレプトアビジンもしくはビオチン)に結合すると固相マトリックスに結合する特異的結合対の第1のメンバー(例えば、ビオチンもしくはストレプトアビジン)にコンジュゲートさせることができる。固相マトリックスへのこのような結合は、タンパク質を、検出抗体と接触させる前に生体試料の他の妨害または無関係コンポーネントから精製することを可能にし、また、後続の非結合抗体の洗浄を可能にする。ここで、上記の通り、結合した検出可能に標識された抗体の存在または量は、生体試料中のタンパク質の存在または量を示す。
タンパク質に特異的な抗体または抗体断片を生成させるための方法は、例えば、動物を使用して免疫によって、またはファージディスプレイなどのin vitro法によって生成させることができる。標的タンパク質のすべてまたは一部を含むポリペプチドを、抗体または抗体断片を生成させるのに使用することができる。抗体は、モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の調製物であり得る。
遺伝子発現を検出または測定するための方法は、任意選択で、複数の試料の迅速な調製、処理、および分析を可能にするフォーマットで実施することができる。これは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェルもしくは386ウェル)またはアレイ(例えば、核酸チップもしくはタンパク質チップ)においてであり得る。様々な試薬の原液を手作業またはロボット制御で提供することができ、後続の試料調製(例えば、RT−PCR、標識、または細胞固定)、ピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベート(例えば、ハイブリダイゼーション)、試料読み出し、データ収集(光学データ)、および/または分析(コンピューター支援画像分析)を、市販の分析ソフトウェア、ロボティクス、およびアッセイから生じるシグナルを検出することができる検出計測装置を使用してロボット制御で行うことができる。このような検出器の例としては、それだけに限らないが、分光光度計、ルミノメーター、蛍光光度計、および放射性同位体減衰を測定するデバイスが挙げられる。例示的なハイスループット細胞ベースアッセイ(例えば、細胞内の標的タンパク質の存在またはレベルを検出する)は、ArrayScan(登録商標)VTI HCSリーダーまたはKineticScan(登録商標)HCS Reader技術(Cellomics Inc.、Pittsburg、PA)を利用することができる。
本明細書で使用される場合、がんを「発症するリスクにある」被験体は、がんを発症する1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、もしくは8、またはそれ超の)リスクファクターを有する被験体である。例えば、がんを発症するリスクにある被験体は、がんを発症する素因(すなわち、腫瘍抑制遺伝子における変異(例えば、BRCA1、p53、RB、もしくはAPCにおける変異)などのがんを発症する遺伝性素因)を有し得、または状態をもたらし得るその状態に曝露されている。よって、被験体が、変異誘発性または発癌性レベルのある特定の化合物(例えば、タバコの煙中の発癌性化合物、例えば、アクロレイン、ヒ素、ベンゼン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ポロニウム−210(ラドン)、ウレタン、または塩化ビニル)に曝露されているとき、被験体は、「がんを発症するリスクにある」被験体であり得る。さらに、被験体が、例えば、大線量の紫外光もしくはX線照射に曝露され、または腫瘍を引き起こす/腫瘍に関連したウイルス、例えば、パピローマウイルス、エプスタイン−バーウイルス、B型肝炎ウイルス、もしくはヒトT細胞白血病−リンパ腫ウイルスに曝露されている(例えば、感染している)とき、被験体は、「がんを発症するリスクに」あり得る。がんは、細胞の制御されない分裂、および浸潤を通じた隣接組織への直接の成長によって、または転移による遠位部位への移植(この場合、がん細胞は、血流もしくはリンパ系を通じて輸送される)によって拡散する細胞の能力によって特徴付けられる疾患または障害のクラスである。がんは、すべての年齢の人に影響し得るが、リスクは、年齢とともに増大する傾向がある。がんの型として、例えば、肺がん、乳がん、結腸がん、膵がん、腎がん、胃がん、肝がん、骨がん、血液がん、神経組織がん(例えば、多形性神経膠芽腫などの神経膠芽腫)、黒色腫、甲状腺がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、子宮頸がん、膣がん、または膀胱がんを挙げることができる。
がんまたは感染症を「有すると疑われる」被験体は、がんまたは感染症の1つまたは複数の症状を有する被験体である。がんまたは感染症を発症するリスクにある、またはそれを有すると疑われる哺乳動物は、目的の種内のすべての哺乳動物を含むわけではないことが理解されるべきである。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、目的の適応症についての1つまたは複数の追加の療法を含めてより広い治療レジメンの一部として投与することができる。すなわち、本明細書に記載のポリペプチドは、他の医薬品と共同で投与され得る。共同投与は、単一共製剤(co-formulation)の投与によって、同時投与によって、または別個の時点における投与によって達成され得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、他の骨活性剤とともに投与される場合、特に有利であり得る。患者は、本明細書に記載のポリペプチドのうちの1種または複数種を共同で受け、カルシウムサプリメント、ビタミンD、適切なエクササイズ、および/または一部の場合では、他の医薬を受けることにより利益を得ることができる。他の医薬の例としては、ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、イバンドロネート、およびリセドロネート)、カルシトニン、エストロゲン、副甲状腺ホルモン、ならびにラロキシフェンが挙げられる(上記を参照)。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、1種または複数種の抗がん療法とともに投与することができる。適当な抗がん療法としては、例えば、化学療法剤、イオン化放射線、免疫療法剤、または温熱療法が挙げられる。化学療法剤としては、それだけに限らないが、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、タキソール、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。
これらの化学療法抗腫瘍化合物は、これらの作用機序によって、例えば、以下:代謝拮抗物質/抗がん剤、例えば、ピリミジン類似体(5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン)ならびにプリン類似体、葉酸塩アンタゴニストおよび関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)、微小管破壊剤、例えば、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン、およびナベルビン、エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)、DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテル、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびエトポシド(VP16))を含めた抗増殖剤/抗有糸分裂剤;抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン;酵素(L−アスパラギンを全身性に代謝し、自己自体のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を取り除くL−アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル−ブスルファン、ニトロソ尿素(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes-dacarbazinine)(DTIC);葉酸類似体(メトトレキセート)などの抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗物質;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)、およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびトロンビンの他の阻害剤);線維素溶解剤(組織プラスミノゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤(antimigratory agent);抗分泌剤(ブレベルジン);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);免疫調節剤(サリドマイドおよびその類似体、例えば、レナリドミド(レブリミド、CC−5013)およびCC−4047(アクチミド))、シクロホスファミド;抗血管新生化合物(TNP−470、ゲニステイン)および成長因子阻害剤(血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGF)阻害剤);アンギオテンシン受容体ブロッカー;一酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ);細胞周期阻害剤および分化誘導因子(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシンおよびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、およびプレドニゾロン);成長因子シグナルトランスダクションキナーゼ阻害剤;ミトコンドリア機能障害誘導因子およびカスパーゼアクチベーター;ならびにクロマチン破壊剤(chromatin disruptor)を含む群に分類することができる。
用語「免疫療法剤」は、被験体において宿主免疫系を刺激して腫瘍またはがんに対する免疫応答を生じさせることができる任意の分子、ペプチド、抗体、または他の薬剤を含み得る。様々な免疫療法剤が組成物において有用であり当技術分野で公知であり、これらとしては、例えば、PD−1および/またはPD−1L阻害剤、CD200阻害剤、CTLA4阻害剤が挙げられる。例示的なPD−1/PD−L1阻害剤(例えば、抗PD−1および/または抗PD−L1抗体)は、当技術分野で公知であり、例えば、国際特許出願公開第WO2010036959号および同第WO2013/079174号、ならびに米国特許第8,552,154号および同第7,521,051号に記載されている。これらのそれぞれの開示は、これらが抗体の記載に関する場合、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。例示的なCD200阻害剤も当技術分野で公知であり、例えば、国際特許出願公開第WO2007084321号に記載されている。適当な抗CTLA4アンタゴニスト剤は、国際特許出願公開第WO2001/014424号および同第WO2004/035607号;米国特許出願公開第2005/0201994号;および欧州特許第EP1212422号に記載されている。追加のCTLA−4抗体は、米国特許第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、および同第6,984,720号に記載されている。
別の実施形態では、放射線療法が使用される。放射線療法で使用される放射線は、イオン化放射線であり得る。放射線療法は、ガンマ線、X線、またはプロトンビームであることもできる。放射線療法の例としては、それだけに限らないが、外部ビーム照射療法、放射性同位体(I−125、パラジウム、イリジウム)の組織内移植、ストロンチウム−89などの放射線同位体、胸部放射線療法、腹腔内P−32放射線療法、ならびに/または全腹部および骨盤放射線療法が挙げられる。放射線療法の一般的な概要については、Hellman、16章:Principles of Cancer Management: Radiation Therapy、6版、2001年、DeVitaら編、J. B. Lippencott Company、Philadelphiaを参照。放射線療法は、放射線が離れた線源から向けられる外部ビーム放射線または遠隔放射線療法として投与することができる。放射線処置は、放射能源ががん細胞または腫瘍塊に近い体の内部に配置される内部療法または近接照射療法としても投与することもできる。光増感物質(photosensitizer)、例えば、ヘマトポルフィリンおよびその誘導体、ベルテポルフィン(Vertoporfin)(BPD−MA)、フタロシアニン、光増感物質Pc4、デメトキシ−ヒポクレリンA;ならびに2BA−2−DMHAの投与を含む光線力学的療法の使用も包含される。
一部の実施形態では、ホルモン療法が使用される。ホルモン治療剤処置は、例えば、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニスト(例えば、フルタミド、ビカルタミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ロイプロリド酢酸塩(LUPRON)、LH−RHアンタゴニスト)、ホルモン生合成およびプロセシングの阻害剤、ならびにステロイド(例えば、デキサメタゾン、レチノイド、デルトイド、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、鉱質コルチコイド、エストロゲン、テストステロン、プロゲスチン)、ビタミンA誘導体(例えば、オールトランスレチノイン酸(ATRA));ビタミンD3類似体;抗ゲスタゲン(例えば、ミフェプリストン、オナプリストン)、または抗アンドロゲン(例えば、酢酸シプロテロン)を含み得る。
一部の実施形態では、体組織が高温(最大で106°F)に曝露される手順である温熱(hyperthermia)が、がんを処置するのに使用され、または対象の療法として選択される。熱は、細胞に損傷を与え、または細胞が生きるのに必要とする物質を細胞から取り除くことによって腫瘍を縮小するのに役立ち得る。温熱療法は、外部および内部加熱デバイスを使用する局所的、局部的、および全身温熱であり得る。温熱は、これらの有効性を増大させることを試みるために他の形態の療法(例えば、放射線療法、化学療法、および生物学的療法)とともにほとんど常に使用される。局所的温熱は、腫瘍などの非常に小さいエリアに施される熱を指す。エリアは、体外のデバイスから腫瘍に向けられた高周波数波で外部から加熱することができる。内部加熱を実現するために、薄い加熱されたワイヤーまたは温水で満たされた中空管;移植されたマイクロ波アンテナ;および無線周波数電極を含めたいくつかの型の滅菌したプローブのうちの1つが使用され得る。局部的温熱では、臓器または肢が加熱される。高エネルギーを生じさせる磁石およびデバイスが加熱される領域にわたって配置される。灌流と呼ばれる別の手法では、患者の血液の一部が取り出され、加熱され、次いで内部で加熱されるべき領域にポンプ搬送(灌流)される。全身加熱は、体全体にわたって拡散した転移性がんを処置するのに使用される。これは、温水毛布、ホットワックス、誘導コイル(電気毛布におけるもののような)、またはサーマルチャンバー(大きいインキュベーターと同様)を使用して達成することができる。温熱は、放射線副作用または合併症のいずれの顕著な増大も引き起こさない。しかし、皮膚に直接的に施される熱は、処置される患者の約半分において不快またはさらにはかなりの局所的疼痛を引き起こし得る。熱は、水疱も引き起こし得、水疱は一般に、急速に治癒する。
一部の実施形態では、光線力学的療法(PDT、光放射療法、光線療法、または光化学療法とも呼ばれる)が、一部の型のがんを処置するのに使用される。これは、光増感剤(photosensitizing agent)として公知のある特定の化学物質が、生物が特定の型の光に曝露されるとき、単細胞生物を殺すことができるという発見に基づく。PDTは、光増感剤と組み合わせて固定周波数レーザー光を使用することによってがん細胞を破壊する。PDTでは、光増感剤は、血流中に注射され、体全体にわたって細胞によって吸収される。この作用物質は、それが正常細胞内に残るより長い時間にわたってがん細胞内に残る。処置されるがん細胞がレーザー光に曝露されるとき、光増感剤は、光を吸収し、処置されたがん細胞を破壊する活性型の酸素を生じさせる。光曝露は、光増感剤の大部分が健康な細胞を離れたが、依然としてがん細胞内に存在するときに行われるように、慎重に時間を計らなければならない。PDTで使用されるレーザー光は、光ファイバー(fiber-optic)(非常に細いガラスストランド)によって誘導することができる。光ファイバーは、適切な量の光を送達するようにがんの近くに配置される。光ファイバーは、肺がんの処置のために気管支鏡によって肺に、または食道がんの処置のために内視鏡によって食道に誘導することができる。PDTの利点は、それが健康な組織に引き起こす損傷が最小限であることである。しかし、現在使用されているレーザー光は、組織の約3センチメートル((1+1/8)インチ余り)を超えて通過することができないので、PDTは、皮膚上もしくは皮膚直下または内部器官の裏層上の腫瘍を処置するのに主に使用されている。光線力学的療法は、処置後6週間またはそれ超にわたって皮膚および眼を光に対して感受性にする。患者は、少なくとも6週間、直射日光および明るい室内光を回避するようにアドバイスされる。患者が屋外に行かなければならない場合、彼らは、サングラスを含めた保護衣を着用する必要がある。PDTの他の一時的な副作用は、具体的なエリアの処置に関連し、これらとして、咳嗽、嚥下困難、腹痛、および呼吸に伴う痛み、または息切れを挙げることができる。1995年12月に、米国食品医薬品局(FDA)は、閉塞を引き起こしている食道がんの症状を緩和するための、およびレーザー単独で満足に処置することができない食道がんのための、ポルフィマーナトリウムと呼ばれる光増感剤、またはPhotofrin(登録商標)を承認した。1998年1月に、FDAは、肺がんの通常の処置が適切でない患者における早期非小細胞肺がんの処置についてポルフィマーナトリウムを承認した。国立がん研究所および他の施設は、膀胱、脳、喉頭、および口腔のがんを含めたいくつかの型のがんに対する光線力学的療法の使用を評価する臨床試験(調査研究)をサポートしている。
一部の実施形態では、レーザー療法は、高強度光を利用してがん細胞を破壊するのに使用される。この技法は、特に、がんを他の処置によって治すことができないとき、出血または閉塞などのがんの症状を緩和するのに使用されることが多い。これは、腫瘍を縮小させ、または破壊することによってがんを処置するのにも使用され得る。用語「レーザー」は、輻射の誘導放出による光増幅を意味する。電球からの光などの常光は、多くの波長を有し、すべての方向に広がる。一方、レーザー光は、特定の波長を有し、狭いビームに集束される。この型の高強度光は、たくさんのエネルギーを含有する。レーザーは、非常に強力であり、鋼をカットし、またはダイヤモンドを成形するのに使用することができる。レーザーはまた、非常に正確な手術作業、例えば、眼の損傷した網膜の修復または組織のカット(メスの代わりに)に使用することができる。いくつかの異なる種類のレーザーが存在するが、わずか3種類が医学において広い使用を獲得している:二酸化炭素(CO2)レーザー:この型のレーザーは、より深い層に貫入することなく皮膚の表面から薄層を除去することができる。この技法は、皮膚内に深く広がっていない腫瘍およびある特定の前がん状態を処置するのに特に有用である。伝統的なメス手術の代替として、CO2レーザーは、皮膚をカットすることもできる。レーザーは、このように使用されて皮膚がんを除去する。ネオジム:イットリウム−アルミニウム−ガーネット(Nd:YAG)レーザー:このレーザーからの光は、他の型のレーザーからの光より組織内に深く貫入することができ、これは、血液を急速に凝固させることができる。これは、光ファイバー(optical fiber)によって体のあまりアクセス可能でない部分に運ぶことができる。この型のレーザーは時に、咽喉がんを処置するのに使用される。アルゴンレーザー:このレーザーは、組織の表層のみを通過することができ、したがって皮膚科において、および眼の手術において有用である。これはまた、光線力学的療法(PDT)として公知の手順において腫瘍を処置するのに感光色素とともに使用される。レーザーは、レーザーがメスより正確であることを含めて、標準的な手術道具に対していくつかの利点を有する。周囲の皮膚または他の組織との接触がわずかであるので、切開部付近の組織が保護される。レーザーによって生じる熱は、手術部位を滅菌し、よって感染症のリスクを低減する。レーザーの精度がより小さい切開部を可能にするので、必要とされ得る手術時間はより少ない。治癒時間は、短縮されることが多く、その理由は、レーザーが血管を熱融着させ、出血、腫大、または瘢痕がより少ないためである。レーザー手術は、あまり複雑でない場合がある。例えば、光ファイバーを用いて、レーザー光を、大きい切開部を作ることなく体の部分に向けることができる。より多くの手順を外来患者ベースで行うことができる。レーザーは、がんを処置するのに2つの方法で、すなわち、熱で腫瘍を縮小させ、もしくは破壊することによって、またはがん細胞を破壊する光増感剤として公知の化学物質を活性化させることによって使用することができる。PDTでは、光増感剤は、がん細胞内に保持され、光によって刺激されてがん細胞を殺す反応を引き起こすことができる。CO2およびNd:YAGレーザーは、腫瘍を縮小させ、または破壊するのに使用される。これらは、医師が膀胱などの体のある特定のエリアを見ることを可能にするチューブである内視鏡とともに使用され得る。一部のレーザーからの光は、光ファイバーを備えたフレキシブル内視鏡によって伝送することができる。これは、医師が手術を除いて他の方法では到達することのできない体の部分において見ることおよび作業することを可能にし、したがってレーザービームの非常に正確な照準化を可能にする。レーザーは、低出力顕微鏡とともに使用することもでき、処置されている部位の明らかな視界を医者に与える。他の機器とともに使用されて、レーザーシステムは、直径が200ミクロン、非常に微細なスレッドの幅未満という小さいカットエリアをもたらすことができる。レーザーは、多くの型のがんを処置するのに使用される。レーザー手術は、ある特定のステージの声門(声帯)がん、頚部がん、皮膚がん、肺がん、膣がん、外陰がん、および陰茎がんの標準的な処置である。がんを破壊するためのその使用に加えて、レーザー手術は、がんによって引き起こされる症状を緩和するのを助けるのにも使用される(緩和ケア)。例えば、レーザーは、患者の気管(ウインドパイプ)を遮断している腫瘍を縮小させ、または破壊し、呼吸するのをより容易にするのに使用され得る。これはまた、結腸直腸がんおよび肛門がんの緩和のために時に使用される。レーザー誘導組織内温熱療法(LITT)は、レーザー療法におけるつい最近の発展のうちの1つである。LITTは、熱が、細胞に損傷を与え、または細胞が生きるのに必要とする物質を細胞から取り除くことによって腫瘍を縮小するのに役立ち得るという、温熱と呼ばれるがん処置と同じアイデアを使用する。この処置では、レーザーは、体内の組織内エリア(臓器同士間のエリア)に向けられる。次いでレーザー光が腫瘍の温度を上昇させ、それによりがん細胞が損傷し、または破壊される。
以下の実施例は、本開示を限定するのではなく、例示するように意図されている。
(実施例1)
材料および方法
TGF−βファミリーリガンド。組換えアクチビンA、アクチビンB、ノーダル(3218−ND−025/CF)、GDF−1(6937−GD−010/CF)、GDF−3(958−G3−010)、GDF−8、GDF−11(1958−GD−010/CF)、TGF−β−1、BMP−2(355−BM−010/CF)、BMP−4(314−BP−010/CF)、およびBMP−9(3209−BP−010/CF)は、R&D Biosystemから得た。ノーダル、GDF−3、およびGDF−11は、E.coli内で産生される一方、すべての他のリガンドは、哺乳動物細胞を使用して発現させた。(一部の事例では、E.coli内で産生される材料の異なるロットは、異なる活性を有した。)
発現プラスミド。合成ヒトACTRIIA−hIgG−Fc、ACTRIIB−hIgG−Fc、ALK4−hIgg−Fc、およびクリプティック−hIgG−Fc遺伝子は、Life Technologies(GeneArt(登録商標))から得た。融合構築物は、ヒトACTRIIA(アミノ酸1〜120)、ACTRIIB(アミノ酸1〜120)、ALK4(アミノ酸1〜110)、およびクリプティック(アミノ酸1〜155)の細胞外ドメイン(ECD)を含んでいた。機能ドメインを、TEV切断部位、グリシン/セリンリッチ領域、およびFLAG−タグを含有する22アミノ酸長リンカー(配列番号18)を介してヒトIgG1 Fc(配列番号21)に連結した。クリプト−1およびBMPRIIは、Thermo Scientificより得たcDNAからクローニングした。クリプト1(1〜161)およびBMPRII(1〜120)を包含するアンプリコンを、PCRを使用してhIgG1−Fcドメインに融合させた。
タンパク質精製。ACTRIIA−Fc、ACTRIIB−Fc、ALK4−Fc、BMPRII−Fc、クリプティック−Fc、およびクリプト−1−Fc、ならびにアクチビンA、アクチビンB、GDF−8、TGF−β−1は、プロテインA捕捉を使用して馴化培地(condition medium)(CHO細胞培養物)から精製した。タンパク質を100mMグリシン、pH3.0で溶出し、2M Tris、pH9.0で直ちに中和した。固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを、馴化培地からノーダルを捕捉するのに使用した。タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製または分析して単分散であることを確認した。精製タンパク質をリン酸緩衝食塩水、pH7.5中に透析し、−20℃または−80℃で貯蔵した。タンパク質の純度は、還元および非還元条件下でSDS−PAGEまたはウエスタンブロットにより調べた。阻害アッセイに関しては、Fc融合タンパク質由来のFc部分をタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、その後プロテインA親和性クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーを使用して除去した。
細胞株。A204細胞(HTB−82)およびHOS細胞(CRL−1543)は、ATCCから得た。細胞は、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)培養条件(10% FBS、0.2ユニット/mlウシインスリン(SigmaAldrich、11070−73−8)、および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)混合物を補充したRPMI培地)によって維持した。骨芽細胞研究に関しては、HOS細胞を10% FBSおよび1% P/Sを含むアルファ−MEM中で維持した。細胞を加湿した5% CO2雰囲気下で37℃にて成長させた。新たに解凍した細胞を少なくとも3回継代させた後、アッセイを実施した。
イムノブロッティング。2.0×105細胞を24ウェルプレートに蒔き、完全培地中で80%コンフルエンスまで成長させ、1×PBSで洗浄し、一晩飢餓状態にし、39nMアクチビンAまたはアクチビンBを含む、または含まない無血清培地中で追加の24時間成長させた。細胞を17.8または178nMクリプティック−1−FcまたはACTRIIA−Fcで処理した。タンパク質ライセートは、氷冷RIPA溶解緩衝液(150mM NaCl、1% NP40、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、50mM Tris pH8.0、1×「Recom ProteaseArrest」プロテアーゼ阻害剤カクテル(G−Biosciences、786−436)、および2×「PhosphataseArrest」ホスファターゼ(phosphastase)阻害剤カクテル(G−Biosciences、786−450))を使用することによって調製した。細胞ライセートは、−80℃で貯蔵した。ライセートのタンパク質濃度は、Bradfordを使用して決定した。ウエスタンブロッティングについては、等量のタンパク質を、還元条件下で、「AnykD」SDS−ポリアクリルアミドゲル(Bio−Rad、456−9035)で分離し、Hybond−P膜(GE Healthcare、RPN2020F)に移した。膜を5% BSAでブロッキングし、1:1000希釈の一次抗ホスホ−Smad2(Cell Signaling、3108S)抗体、抗Smad2(Cell Signaling、5339S)抗体、または抗アクチン(Cell Signaling、3108S)抗体とともにインキュベートし、その後1:2000希釈の西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。WesternBright ECL HRP基質を検出に使用した(Advansta、K−12043−D20)。ウエスタンブロットは、ゲルをオートラジオグラフィーフィルム(Denville、E3018)に曝露することによって可視化した。免疫ブロットは、ImageJソフトウェアを使用して定量した。
表面プラズモン共鳴。受容体−リガンド結合親和性は、Biacore 2000を使用してSPRによって決定した。抗ヒトIgG(Fc)抗体を、アミンカップリング化学反応を使用してCM5チップの4つのチャネルに固定した。精製したクリプト−1−Fc、クリプティック−Fc、ACTRIIA−Fc、ACTRIIB−Fc、BMPRII−Fc、またはALK4−Fcを実験フローチャネルに捕捉した。参照チャネルを監視して非特異的結合、ドリフト、およびバルクシフトを明らかにした。リガンド結合の速度論的分析に関して、リガンド(ノーダル、アクチビンA、アクチビンB、GDF−1、GDF−3、GDF−8、GDF−11、TGF−β−1、BMP−4、BMP−2、およびBMP−9)の濃度シリーズを50μl/分の流量で実験および対照フローチャネル上に注射した。受容体へのクリプト−1またはクリプティック結合の分析に関して、5μMの濃度のFcなしのクリプト−1またはクリプティックを50μl/分の流量で実験および対照フローチャネル上に注射した。クリプト−1またはクリプティックの存在下でのリガンド結合の速度論的分析に関して、過剰のクリプト−1またはクリプティック(200nM)と組み合わせたリガンド(ノーダル、アクチビンA)の濃度シリーズを50μl/分の流量で実験および対照フローチャネル上に注射した。阻害分析に関して、1nM ノーダル、アクチビンA、またはアクチビンBを、0nM、0.5、5、10、40、50、100、または400nM Fcなしのクリプト−1またはクリプティックと組み合わせた。予めアセンブルしたリガンド−クリプティック複合体を、50μl/分の流量で実験および対照フローチャネル上に注射した。各結合サイクル後に、抗体表面をベースラインに再生させた。すべての実験は、25℃で実施した。0.1% BSAを含有するHBS−EPS緩衝液(0.01M HEPES、0.5M NaCl、3mM EDTA、0.005%(v/v)Tween20、pH7.4)をランニング緩衝液として使用した。E.coliノーダル含有試料は、BSA無しで保存した。その理由は、BSAの存在が組換えノーダルを急速に不活化させるためである。センソグラムは、2重参照することによって分析した。運動速度定数を得るために、処理したデータを、Scrubber、Clamp、またはBiaEvaluationソフトウェアを使用し、マストランスポートリミテーションを用いて1:1ラングミュア相互作用モデルにフィッティングした。平衡結合定数Kdは、結合速度定数の比kd/kaを計算することによって決定した。結果を表1(以下)に要約する。
レポーターアッセイ。完全培地(10%ウシ胎児血清を補充したマッコイ5A培地(Invitrogen))中の約50,000 A204細胞(ATCC)を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、一晩成長させた。次の日、pNL[NlucP/SBE/Hygro]ベクター(実験ルシフェラーゼレポータープラスミド、ホタルルシフェラーゼ、Promega)200ng、pNL[NLucP/minP/Hygro]ベクター(対照ルシフェラーゼレポータープラスミド、ウミシイタケルシフェラーゼ、Promega)2ng、リポフェクタミン2000(Life Technologies)24μl、および マッコイ5A培地(Life Technologies)960μlを含有する溶液を調製し、室温で30分間インキュベートした。インキュベートした後、マッコイ5A培地3840μlをトランスフェクション溶液に添加し、細胞を1×PBSで洗浄し、トランスフェクション溶液50μlを各ウェルに添加した。トランスフェクション試薬含有培地を翌日除去し、細胞を1×PBSで洗浄し、培地を、試験タンパク質を含有する無血清マッコイ5A培地で置き換えた。37℃で16時間インキュベートした後、ルシフェラーゼ活性をDual−Glo Luciferase Assay System(Promega)で検出した。化学発光を、Infinite M200プレートリーダーを使用して測定した。相対ルシフェラーゼ単位は、ホタルルシフェラーゼ単位(FLU)をウミシイタケルシフェラーゼ単位(RLU)で除すことによって計算した。
骨芽細胞石灰化分析。HOS細胞を12ウェルプレートの1ウェル当たり100,000細胞で蒔いた。コンフルエンシーに到達した際、培地を2mMホスフェートおよび25μg/mlアスコルビン酸で補充した。ビヒクル、20μg/mlクリプティック、または50ng/mlアクチビンAを単独または一緒に2週間それぞれフィーディングして(2〜3日毎)細胞を処理した。細胞をPBSですすぎ、室温で30分間10%ホルマリン中に固定した。細胞を新たに作製した20mMアリザリンレッド染色液とともに1時間インキュベートし、すすぎ、デジタル写真を撮った。染色剤を10%塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinum chloride)で除去し、570nmの波長で定量した。
統計。細胞ベースアッセイは、四連で実施し、少なくとも2つの異なる時点で繰り返した。統計的有意性は、両側t−検定を使用して決定した。0.05未満のP値を統計的に有意とみなした。
(実施例2)
クリプティックおよびクリプト−1の発現および精製
クリプティックおよびクリプト−1は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを介して膜に結合している分泌タンパク質である(図1、パネルA)。可溶型のヒトクリプティックおよびクリプト−1を、可溶型をコードする核酸を安定にトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で発現させた。可溶型は、タバコエッチモザイクウイルス(TEV)切断部位を含有する22アミノ酸リンカーを介して互いに連結されたタンパク質の細胞外ドメインおよびヒトIgG1由来のFc部分を含んでいた(図1、パネルB)。クリプティックに関して、N末端シグナルペプチドを含み、アラニン167で終わる構築物を作製した。クリプト−1に関して、クリプティックのシグナルペプチドを使用し、クリプティック残基アラニン167に類似して、トレオニン163を構築物の終端とした(図1、パネルA)。クリプティック−Fcおよびクリプト−1−Fcタンパク質を、プロテインA親和性クロマトグラフィー、その後サイズ排除クロマトグラフィーによって馴化培地から精製した。1リットル当たりおよそ精製クリプティック−Fc 100mgおよびクリプト−1−Fc 30mgを培養細胞から得た。分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、クリプティックを凝集していない形態で得ることができることを示した(図1、パネルC)。精製タンパク質のクマシー染色SDS−PAGEゲルは、予期されたように、還元条件下でおよそ50kDa、および非還元条件下でおよそ100kDaのバンドを示した(図1、パネルC)。
(実施例3)
クリプティックおよびクリプト−1は、別個のリガンドに結合する
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、ヒトクリプティックおよびクリプト−1のリガンド結合特異性を特徴付けた。精製Fc融合タンパク質を、抗hFc抗体と架橋したCM5センサーチップに捕捉し、血清レベルをはるかに上回った濃度(45〜47)を含む様々な濃度で捕捉したクリプティックおよびクリプト−1に異なるTFGβファミリーリガンドを引き続いて注射した(図2、表1)。クリプティックは、非常に高い親和性(それぞれ、ka=3.1×105(M−1s−1)、kd=4.6×10−5(s−1)、Kd=0.15nMおよびka=3.1×105(M−1s−1)、kd=4.6×10−5(s−1)、Kd=0.15nM)でアクチビンAおよびアクチビンBに結合することが示された(図2、パネルAおよびB)。さらに、クリプティックは、アクチビンAおよびアクチビンBよりはるかに低い親和性ではあるがGDF−8およびGDF−11にも結合した(図2、パネルCおよびD)。それでもやはり、クリプティックとGDF−8またはGDF−11との相互作用は、遅い解離速度(それぞれ、kd=4.6×10−4および4.6×10−4(s−1))によって示されるように、相対的に安定である。クリプティックは、ノーダルにも結合したが、クリプティック−ノーダル相互作用は、ノーダル−クリプト−1相互作用より数桁弱かった(図2、パネルEおよびF)。クリプティックは、任意の他の試験したTGF−βファミリーリガンド、例えば、TGF−β−1、GDF−1、GDF−3、BMP−2、BMP−4、およびBMP−9に感知できるほどに結合しなかった(図2、パネルE)。これらの知見は、アクチビンAおよびアクチビンBは、ヒトにおいてクリプティックによって調節される主要なリガンドであり、クリプティックは、GDF−8およびGDF−11シグナル伝達の調節においても役割を果たし得ることを示す。
同様の実験をヒトクリプト−1で実施し、それにより、そのリガンド結合特異性は、クリプティックのものと明確に別個の結合特異性であることが明らかになった。すべての試験したリガンドのうち、ノーダルのみが、感知できる親和性でヒトクリプト−1に結合した(図2、パネルF)。アクチビンBは、クリプト−1にも結合したが、この相互作用は、その速い解離速度(kd=4.6×10−5(s−1))によって反映されるように不安定である。クリプト−1の、アクチビンAを含む任意の他の試験したTGF−βファミリーリガンドへの結合は観察されなかった。したがって、これらの知見は、クリプト−1がノーダルに非常に特異的であることを示す。
(実施例4)
クリプティックは、ALK4へのリガンド結合を調節しない
リガンド−ALK4相互作用におけるクリプティックの役割を確立するために、ヒトALK4−Fcをセンサーチップに捕捉した。クリプティックがALK4に結合するかどうかを決定するために、Fcなしのクリプティックを様々な濃度で注射した。リガンドおよび他の因子の非存在下で、クリプティックのALK4への結合は、生理的レベルをはるかに上回る濃度(例えば、20μM)でさえ、検出されなかった(図3、パネルA)。これらの知見は、クリプティックが他の因子の非存在下でALK4と相互作用しないことを実証する。
クリプティックがI型受容体へのリガンド結合を増強または促進するかどうかを決定するために、アクチビンAとALK4との相互作用に対するクリプティックの効果を研究した(図3、パネルB、C、およびD)。ヒトALK4−Fcをセンサーチップに捕捉し、クリプティック(0〜40nM)で滴定した一定量のアクチビンA(1nM)(図3、パネルB)または過剰のクリプティック(400nM)存在下の滴定したアクチビンA(0〜40nM)と接触させた(図3、パネルD)。ヒトクリプティックは、アクチビンAとALK4との相互作用を変更しなかった。実際に、ALK4への遊離アクチビンA結合の動態モデルは、過剰のヒトクリプティックの存在下でのALK4へのアクチビンA結合の動態モデルと実質的に区別不能である(k
a=3.1×10
5(M
−1s
−1)、k
d=4.6×10
−5(s
−1)、K
d=0.15nM)(表1)。総合すると、これらの知見は、クリプティックは、ALK4へのアクチビンA結合において役割を果たさないことを実証する。
(実施例5)
クリプティックは、II型受容体へのリガンド結合を阻害する
次に、II型受容体へのリガンド結合に対するクリプティックの効果を研究した(図4)。リガンドアクチビンA、アクチビンB、およびGDF−8をこれらの研究のために選択した(図2)。クリプティックがII型受容体と相互作用するかどうかを決定するために、ヒトACTRIIA、ACTRIIB、またはBMPRIIをセンサーチップに捕捉し、その後捕捉した受容体上にクリプティックを通過させた。リガンドの非存在下では、クリプティックは、生理的レベルをはるかに上回る濃度(例えば、20μM)において、ACTRIIA、ACTRIIB、またはBMPRIIに結合しなかった(図3、パネルA)。
クリプティックがACTRIIA、ACTRIIB、またはBMPRIIへのリガンド結合に対する効果を有するかどうかを決定するために、これらの受容体をセンサーチップに捕捉し、0から1600nMの間の濃度のクリプティックとともにプレインキュベートしたアクチビンA(1nM)、アクチビンB(10nM)、またはGDF−8(40nM)をセンサーチップ上に通過させた。クリプティックは、濃度依存様式で高親和性受容体へのリガンド結合を阻害した。阻害は、逆の幾何学的配置、すなわち、センサーチップに捕捉したクリプティック−Fc、および様々な量のACTRIIAの存在下でセンサーチップ上に通過させたアクチビンAで観察された(図4、パネルH)。クリプティックは、リガンド−II型受容体相互作用を競合的に阻害することがさらに判明した。これらの知見は、ヒトクリプティックは、II型受容体ACTRIIA、ACTRIIB、およびBMPRIIによる結合を受けるのと同じ部位でアクチビンA、アクチビンB、およびGDF−8に結合するという結論を支持する。
(実施例6)
クリプティックは、アクチビンシグナル伝達を阻害する
上述したように、本明細書に提供したデータは、クリプティックがリガンド−II型受容体相互作用を競合的に阻害することを示す。本開示は、いずれの特定の理論または作用機序によっても限定されないが、クリプティックは、リガンド媒介シグナルトランスダクションおよび遺伝子発現も阻害し得る。リガンド依存遺伝子発現に対するクリプティックの潜在的効果を調べるために、A−204横紋筋肉腫細胞にpSBE4−luc、Smad−2/3−応答性レポーター、および対照としてpRL−CMV−lucをトランスフェクトした(Zawalら、(1998年)Mol Cell、1巻:611〜617頁)。トランスフェクトした細胞を、10nMアクチビンAまたはアクチビンB、および異なる濃度のクリプティック−Fcで処理した(図5、パネルAおよびC)。両リガンドは、ルシフェラーゼレポーター活性を強く誘導し(対照と比べておよそ8倍)、そのクリプティック−Fcは、濃度依存様式でリガンド依存ルシフェラーゼシグナルを阻害した(図5、パネルAおよびC)。実際に、クリプティック−Fcは、アクチビンAおよびアクチビンB誘導ルシフェラーゼレポーター活性を、真正アクチビン阻害剤ACTRIIA−Fcと同様に阻害した(図5、パネルBおよびD)。シグナルトランスダクションに関して、ホスホ−Smad2ウエスタンブロットを実施した(図5、パネルBおよびD)。A−204細胞を、10nMリガンドおよび滴定したクリプティック−Fcでも処理した。アクチビンAおよびアクチビンBは、Smad−2リン酸化を誘導し、クリプティック−Fcは、Smad−2リン酸化を阻害した。実際に、クリプティック−Fcは、ACTRIIA−Fcと同様の効力でSmad−2リン酸化を阻害した(図5、パネルBおよびD)。
アクチビンAは、骨芽細胞石灰化を阻害し、アクチビンA阻害剤は、骨芽細胞石灰化を促進することを考慮すると(例えば、Pearを参照)、クリプティック−Fcは、アクチビンAの存在下で骨芽細胞石灰化に対する効果を有する。ヒトHOS細胞をコンフルエンスまで成長させ、クリプティックとともに、またはクリプティック無しで、アクチビンA(50ng/ml)の存在下または非存在下で分化するように誘導した(ホスフェートおよびビタミンCの添加によって)。予期されたように、アクチビンAの添加は骨芽細胞石灰化を防止する(図5、パネルEおよびF)。驚くべきことに、10μg/mlクリプティック−Fcは、アクチビンAによる石灰化抑制を防止した(図5、パネルEおよびF)。要約すると、3つの異なるin vitro実験からの本発明者らの結果は、クリプティック−Fcは、骨芽細胞石灰化の修復を含む生理学的に妥当な転帰を伴ってアクチビンA媒介シグナル伝達を効率的に阻害することを実証する(図5)。
本開示を、その具体的な実施形態を参照して記載してきたが、本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、均等物を代用することができることが当業者によって理解されるべきである。さらに、特定の局面、材料、物質の組成、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本開示の目的、趣旨、および範囲に適応させるように、多くの改変を行うことができる。すべてのこのような改変は、本開示の範囲内であるように意図されている。