JP2022083887A - 氷再結晶化抑制剤、冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、及び大豆発酵物又はその抽出物 - Google Patents

氷再結晶化抑制剤、冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、及び大豆発酵物又はその抽出物 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍食品又はフリーズドライ食品の品質を良好に維持できる氷再結晶化抑制剤及び冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、並びに冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための大豆発酵物又はその抽出物の提供。【解決手段】大豆発酵物又はその抽出物を含む、氷再結晶化抑制剤。【選択図】図1

Description

本発明は、氷再結晶化抑制剤、冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、及び大豆発酵物又はその抽出物に関する。
食品の冷凍は長期にわたって品質を維持できる保存技術として広く普及している。一方、食品を冷凍する過程で氷の結晶が成長するに伴い、細胞組織の破壊に付随する食感の劣化、解凍後又は水戻し後のドリップ発生、変色、澱粉の老化などが生じる場合がある。
この問題を解決する方法として、氷の再結晶化を抑制する物質を食品に添加することが提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、植物由来のタンパク質を食品に添加した状態で冷凍すると氷の再結晶化が抑制され、品質が良好に維持されることが記載されている。
特開2016-69603号公報 特表2012-121172号公報
氷の再結晶化を抑制しうる物質を新たに見出すことは、食品の冷凍保存技術の選択の幅を広げ、食品産業の発展に資するものである。
上記事情にかんがみ、本開示は、冷凍食品又はフリーズドライ食品の品質を良好に維持できる氷再結晶化抑制剤及び冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、並びに冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための大豆発酵物又はその抽出物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1>大豆発酵物又はその抽出物を含む、氷再結晶化抑制剤。
<2>前記大豆発酵物は味噌を含む、<1>に記載の氷再結晶化抑制剤。
<3>前記大豆発酵物又はその抽出物は分子量が140000~160000である成分を含む、<1>又は<2>に記載の氷再結晶化抑制剤。
<4>コラーゲンペプチドをさらに含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の氷再結晶化抑制剤。
<5>前記大豆発酵物又はその抽出物と前記コラーゲンペプチドとの質量比(大豆発酵物又はその抽出物:コラーゲンペプチド)は1:1~1:100である、<5>に記載の氷再結晶化抑制剤。
<6>冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための、<1>~<5>のいずれか1項に記載の氷再結晶化抑制剤。
<7>大豆発酵物又はその抽出物を食品に添加する工程と、前記食品を冷凍する工程と、を含む冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法。
<8>冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための、大豆発酵物又はその抽出物。
本開示によれば、冷凍食品又はフリーズドライ食品の品質を良好に維持できる氷再結晶化抑制剤及び冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法、並びに冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための大豆発酵物又はその抽出物が提供される。
実施例で凍結及び乾燥した豆腐の断面写真である。 実施例で凍結及び乾燥した豆腐の断面写真である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、以下の説明によって本発明の範囲が制限されるものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<氷再結晶化抑制剤>
本開示の氷再結晶化抑制剤は、大豆発酵物又はその抽出物を含む。
本発明者らの検討により、大豆発酵物又はその抽出物は、氷の再結晶化を抑制する作用を有することがわかった。このような知見は、これまでに報告のないものである。
本開示において「氷再結晶化抑制剤」とは、氷結晶の成長を抑制する作用を有する物質又は組成物を意味する。
氷再結晶化抑制剤の上記作用は、氷再結晶化抑制剤が氷結晶の結晶面に結合して、氷結晶への自由水のさらなる結合を抑制することによって生じると考えられる。より具体的には、後述する実施例に記載した方法で測定される氷結晶化阻害活性(RI)が1よりも小さい場合に氷結晶の成長を抑制する作用を有すると判断できる。
本開示の氷再結晶化抑制剤は大豆発酵物又はその抽出物を含むものであるため、生体及び環境への副作用を生じるおそれがなく、安全性に優れている。
さらに、生鮮品ではなく加工品を原料とするため増産が容易であり、生産性に優れている。
本開示において、大豆発酵物の種類は特に制限されず、味噌、醤油、納豆等の大豆を原料として用いる発酵食品から選択してもよい。あるいは、食用を目的とせずに大豆を発酵させたものであってもよい。
食品廃棄物の有効利用の観点からは、大豆発酵物は、発酵食品を製造する際に発生する残渣、副産物、不要になった在庫品等であってもよい。
ある実施態様では、大豆発酵物は味噌であってもよい。味噌としては米味噌(米麹を用いて製造する味噌)、麦味噌(麦麹を用いて製造する味噌)、豆味噌(豆麹を用いて製造する味噌)などが挙げられ、特に制限なく使用できる。
大豆発酵物は、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
氷再結晶化抑制剤に含まれる大豆発酵物又はその抽出物の濃度は特に制限されず、使用方法、使用目的等に応じて調節できる。
氷再結晶化抑制剤は乾燥粉末や濃縮液の状態であって、使用する際に水等で希釈するものであってもよい。
本開示では、大豆発酵物をそのまま氷再結晶化抑制剤として用いてもよく、大豆発酵物の抽出物を氷再結晶化抑制剤として用いてもよい。
大豆発酵物の抽出物を得る方法は、特に制限されない。例えば、大豆発酵物を溶媒と混合して溶解させた後、遠心分離、ろ過等により残渣を分離することで、抽出物を溶液(抽出液)として得てもよい。溶媒の種類は特に制限されず、水又はアルコール等の水溶性溶媒であってもよく、水であることが好ましい。
大豆発酵物が塩分を含む場合、必要に応じて塩分を除去する処理(脱塩)を実施してもよい。
充分な氷再結晶化抑制効果を得る観点からは、氷再結晶化抑制剤のRIは0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
充分な氷再結晶化抑制効果を得る観点からは、氷再結晶化抑制剤に含まれる大豆発酵物又はその抽出物は、分子量が140000~160000である成分を含むことが好ましく、分子量が158000である成分を含むことがより好ましい。
大豆発酵物又はその抽出物に分子量が上記範囲である成分が含まれるか否かは、ゲルろ過クロマトグラフィー等の公知の方法で確認することができる。
氷再結晶化抑制剤は、大豆発酵物又はその抽出物、及び溶媒以外の成分をさらに含んでもよい。例えば、大豆発酵物以外の氷再結晶化抑制作用を有する物質、保存安定剤、増粘剤、調味料等が挙げられる。
大豆発酵物以外の氷再結晶化抑制作用を有する物質は、特に制限なく使用できる。具体的には、動物、植物、昆虫、菌類、微生物等に由来するタンパク質、多糖類などが挙げられる。
氷再結晶化抑制剤は、大豆発酵物又はその抽出物と、コラーゲンペプチドとを含むものであってもよい。
コラーゲンペプチドは氷再結晶化抑制作用を有することが知られている。発明者らの検討の結果、コラーゲンペプチドと大豆発酵物又はその抽出物とを併用すると、コラーゲンペプチドのみ、又は大豆発酵物又はその抽出物のみを用いる場合に比べ、氷再結晶化を抑制する効果が相乗的に増大することがわかった。
上記の相乗効果を効果的に得る観点からは、大豆発酵物又はその抽出物とコラーゲンペプチドとの質量比(大豆発酵物又はその抽出物:コラーゲンペプチド)は、1:1~1:100であることが好ましく、1:2~1:50であることがより好ましく、1:5~1:20であることがさらに好ましい。上記質量比は、固形分換算の値である。
コラーゲンペプチドとしては牛、豚、魚等に由来するコラーゲンペプチドが挙げられ、これらを特に制限なく使用できる。
氷再結晶化抑制剤の用途は、氷再結晶化抑制作用を利用するものであれば特に制限されない。例えば、冷凍食品又はフリーズドライ食品、医薬品、化粧品等の製造に用いてもよい。中でも冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に好適に用いられる。
<冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法>
本開示の冷凍食品又はフリーズドライ食品は、大豆発酵物又はその抽出物を食品に添加する工程と、前記食品を冷凍する工程と、を含む。
上記方法で製造される冷凍食品又はフリーズドライ食品は、食感の劣化、解凍後又は水戻し後のドリップ発生、変色、澱粉の老化などが生じにくく、良好な品質が維持される。
本開示において「食品」には、人又は動物の食用又は飲用に供されるあらゆる物が含まれ、固体であっても液体であってもよい。
冷凍食品又はフリーズドライ食品の種類は特に制限されず、生鮮食品及び加工食品のいずれであってもよい。また、冷凍食品又はフリーズドライ食品は野菜、穀類等の植物性食品であっても、肉、魚、乳製品等の動物性食品であってもよい。
大豆発酵物又はその抽出物を食品に添加する方法は、特に制限されない。例えば、大豆発酵物又はその抽出物を含む溶液に食品を浸漬する方法、大豆発酵物又はその抽出物を食品の原料に混合する方法などが挙げられる。
大豆発酵物又はその抽出物の食品への添加量は、特に制限されない。たとえば、食品100gに対して0.0001g~1g(固形分換算)の範囲で添加してもよい。
大豆発酵物又はその抽出物を添加した食品を冷凍する方法は、特に制限されない。たとえば、-50℃~-18℃の温度環境下で食品を冷凍してもよい。
<大豆発酵物又はその抽出物>
本開示の大豆発酵物又はその抽出物は、冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるためのものである。
本開示の大豆発酵物又はその抽出物の詳細及び好ましい態様は、上述した氷再結晶化抑制剤に含まれる大豆発酵物又はその抽出物の詳細及び好ましい態様と同様である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)味噌抽出物の調製
50mLのコニカルチューブに10gの味噌(米味噌)と30mLの蒸留水を加え、撹拌して味噌の水溶液を得た。次いで、水溶液から塩分を除くために12,000rpmで15分の遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿物に30mLの蒸留水を加え、上記と同様に遠心分離を2回行った。その後、沈殿物から上清を除去し、沈殿物を300mLの三角フラスコに移した。チューブ1本分の沈殿に対して40mLの蒸留水を加え、100℃で30分加熱した。加熱後の溶液に対して12,000rpmで15分の遠心分離及びろ過(No.5のろ紙を使用)を実施して、最終的に固形分の濃度が1mg/mLの味噌抽出物となるように調製した。
(2)氷再結晶化抑制活性(RI)の測定
濃度が表1に示す値(mg/mL)となるように蒸留水の量を変更して得た味噌抽出物にショ糖を加えてサンプル1~5を作製し、各サンプルのRIを下記に示す方法で測定した。
(RIの測定方法)
ショ糖を30w/v%含む氷結晶化阻害剤の溶液を-40℃に冷却した後に-6℃まで温度を上げ、30分後に認められる氷結晶の平均面積Aを測定する。別途、対照としてショ糖の30w/v%水溶液につき同様の処理を行い、氷結晶の平均面積Bを測定する。測定された氷結晶化阻害剤の氷結晶の平均面積Aを、対照の氷結晶の平均面積Bで除して得られる数値(A/B)をRIとする。
氷結晶の平均面積は、凍結したサンプルの表面を電子顕微鏡及び画像解析処理ソフト(Scion Imageを使用)を用いて解析した画像から、画像中の氷結晶の総面積を氷結晶の個数で除することにより算出した。各サンプルで測定されたRIの平均値及び標準偏差(n=5)を表1に示す。
Figure 2022083887000002
表1に示すように、味噌抽出物の濃度が大きくなるにつれてRIの値が小さくなる傾向が認められた。
(3)ゲルろ過クロマトグラフィー
上記(1)で得られた味噌抽出物(1mg/mL)に塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次いで、2倍量の酢酸エチルを添加して酢酸エチル相と水相とに分画した。得られた水相を濃縮して得られた濃度20mg/mlのサンプル(1mL)について、Sepacryl S-200を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを実施したところ、分子量158000に相当する位置にピークが確認された。
ピークの前後10本程度を回収し、濃縮した後に味噌抽出物(0.1mg/mL)のRIを測定したところ0.53であった。これらの結果から、味噌抽出物に含まれる分子量が158000付近の成分が氷結晶化阻害作用に関与することが示唆された。
(4)コラーゲンペプチドのRI測定
氷結晶化阻害作用を有する物質であるウシコラーゲンペプチドに蒸留水を加えて、表2に示す固形分濃度となるサンプル11~16を調製した。各サンプルで測定されたRIの平均値及び標準偏差(n=5)を表2に示す。
Figure 2022083887000003
表1に示すように、サンプル中のウシコラーゲンペプチドの濃度が大きくなるにつれてRIの値が小さくなる傾向が認められた。
(5)味噌抽出物+コラーゲンペプチドのRI測定
味噌抽出物(0.1mg/mL)と、表3に示す固形分濃度のウシコラーゲンペプチドとを体積比1:1で混合したサンプル21~26を調製した。各サンプルで測定されたRIの平均値及び標準偏差(n=5)を表2に示す。
あわせて、表2に示したサンプル11~16のうち、同量のウシコラーゲンペプチドを含むサンプルのRIとの差(ΔRI)をそれぞれ算出した。ΔRIの値がプラスであることは、ウシコラーゲンペプチドを含むサンプルに味噌抽出物を添加することにより氷結晶化抑制作用が増大したことを意味する。
Figure 2022083887000004
表3に示すように、味噌抽出物(0.1mg/mL)とウシコラーゲンペプチド(1.0mg/mL)を1:1の混合比で含む「サンプル23」のRIは0.43であり、ウシコラーゲンペプチド(1.0mg/mL)のみを含む「サンプル13」のRI(0.63)と比べて大きく低下した。さらに、同量の味噌抽出物(0.1mg/mL)のみを含む「サンプル1」のRI(0.56)と比べて大きく低下した。このことは、味噌抽出物とウシコラーゲンペプチドとを併用すると、味噌抽出物のみ又はウシコラーゲンペプチドのみを用いる場合に比べて氷結晶化阻害作用が相乗的に増大することを示唆している。
さらに、味噌抽出物のみを含むサンプル1~5、及びウシコラーゲンペプチドのみを含むサンプル11~16にみられたような濃度依存的な傾向と異なり、味噌抽出物とウシコラーゲンペプチドを含むサンプル21~26の中では「サンプル23」のΔRIが最も大きかった。このことから、味噌抽出物とウシコラーゲンペプチドとを併用する場合には、氷結晶化阻害作用の発現に適した配合割合があることがわかった。
(6)豆腐の冷凍保存試験1
豆腐(絹)を1cm角の立方体に切り、ペーパーで軽く水気をふき取り、質量を測定した。次いで、切った豆腐を10個ずつプラスチックバッグに入れ、0.1%(v/v)又は10%(v/v)のPMエキスを含む蒸留水(400mL)を加えて30分間浸漬した。
使用した「PMエキス」は味噌抽出物(0.1mg/mL)とウシコラーゲンペプチド(1.0mg/mL)の体積比1:1の混合物であり、以下も同様である。
浸漬後、取り出した豆腐の水気を軽くふき取り、冷凍庫(-20℃)で1週間保存した。その後室温にて3時間かけて自然解凍した。対照として、PMエキスを含まない蒸留水(400mL)を用いて同様の処理を行った。解凍後の豆腐のドリップ割合(質量%)を下記式により算出した。
ドリップ割合={(解凍後質量-冷凍前質量)/冷凍前質量}×100
0.1%(v/v)のPMエキスを含む蒸留水に浸漬した場合のドリップ割合は35.2質量%、10%(v/v)のPMエキスを含む蒸留水に浸漬した場合のドリップ割合は37.6質量%であり、PMエキスを含まない蒸留水に浸漬した場合の44.1質量%に比べてドリップの発生が抑制されていた。
(7)豆腐の冷凍保存試験2
豆腐(絹)1丁を半分に切り、メッシュ上で1分間水を切り、質量を測定した。次いで、切った豆腐を1個ずつプラスチックバッグに入れ、0.1%(v/v)又は10%(v/v)の味噌抽出物(1mg/mL)を含む蒸留水(40mL)を加えて30分間浸漬した。
浸漬後、取り出した豆腐の水気をふき取り、冷凍庫(-20℃)で1週間保存した。その後室温にて3時間かけて自然解凍し、メッシュ上で5分間水を切り、質量を測定した。対照として、味噌抽出物を含まない蒸留水(40mL)を用いて同様の処理を行った。
解凍後の豆腐の質量変化(g)を下記式により算出した。
質量変化=(解凍後質量-冷凍前質量)
0.1%(v/v)の味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬した場合の質量変化は57.15g、10%(v/v)の味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬した場合の質量変化は56.57gであり、味噌抽出物を含まない蒸留水に浸漬した場合の59.65gに比べて質量の変化が抑制されていた。
(8)豆腐の冷凍保存試験3
豆腐(絹)を1cm角の立方体に切り、ザルに1分間おいて水を切った。この豆腐200gに0.01%(v/v)の味噌抽出物(1mg/mL)を含む蒸留水(120mL)を加えて、-4℃の冷蔵庫内で一晩浸漬した。その後水を切り、-50℃のフリーズドライ機に入れ、一晩かけて凍結させた。その後、一晩かけて乾燥させた。対照として、味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬しない豆腐に対して同様の処理を行った。
1分間湯に浸した後の豆腐を被験者(6名)が試食し、触感の指標としての「滑らかさ」について-3~+3までの7段階の点数評価を行った。点数が高いほど滑らかであることを意味する。
味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬した後に凍結及び乾燥した豆腐の評価点数の平均値は0.8であり、味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬しないで凍結及び乾燥した豆腐の-0.5に比べて高く、滑らかさの評価が良好であった。また、2標本t検定のP値は0.042であり、有意差が認められた。
次いで、乾燥した状態の豆腐の断面を卓上顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ、Miniscope TM4000plus MD)で観察した。図1は味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬した後に凍結及び乾燥した豆腐の断面(倍率:100倍)であり、図2は味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬しないで凍結及び乾燥した豆腐の断面(倍率:100倍)である。図1と図2の比較からわかるように、味噌抽出物を含む蒸留水に浸漬した後に凍結及び乾燥した豆腐の方が、観察される網目構造が細かい。これは、冷凍時の氷結晶の成長がより抑制されたためと考えられる。その結果、触感の劣化がより抑制されたと考えられる。
(9)鶏むね肉の冷凍保存試験
約50gに切った鶏むね肉を、0.1%(v/v)の味噌抽出物(1mg/mL)を含む食塩水(2質量%)に浸漬し、冷蔵庫で18.5時間保存した。
保存後に水を切り、一切れごとに質量(冷凍前)を測定し、プラスチックバッグに10切れずつ入れて冷凍庫(-20℃)で1週間保存した。その後室温にて6時間かけて自然解凍し、質量(冷凍後)を測定した。対照として食塩水(2%(v/v))を用いて同様の処理を行った。
解凍後のドリップ割合を(6)と同様にして算出したところ、味噌抽出物を含む食塩水に浸漬した場合は7.0±1.2質量%であり、味噌抽出物を含まない食塩水に浸漬した場合の10.3±2.1質量%に比べてドリップの発生が抑制されていた。
(10)豚ロース肉の冷凍保存試験
約50gに切った豚ロース肉を、0.1%(v/v)の味噌抽出物(1mg/mL)を含む食塩水(2質量%)に浸漬し、冷蔵庫で18.5時間保存した。さらに、0.1%(v/v)%のPMエキスを含む食塩水(2%(v/v))に浸漬し、冷蔵庫で18.5時間保存した。
保存後に水を切り、一切れごとに質量(冷凍前)を測定し、プラスチックバッグに10切れずつ入れて冷凍庫(-20℃)で1週間保存した。その後室温にて6時間かけて自然解凍し、質量(冷凍後)を測定した。対照として食塩水(2%(v/v))を用いて同様の処理を行った。
解凍後のドリップ割合を(6)と同様にして算出したところ、味噌抽出物を含む食塩水に浸漬した場合は4.8±1.4質量%、PMエキスを含む食塩水に浸漬した場合は4.6±1.1質量%であり、味噌抽出物又はウシコラーゲンペプチドを含まない食塩水に浸漬した場合の7.5±2.4質量%に比べてドリップの発生が抑制されていた。
(11)枝豆の冷凍保存試験
枝豆(枝付き)を、0.1%(v/v)のPMエキスを含む蒸留水に浸漬し、冷蔵庫で16時間保存した。
浸漬後、枝から外したさやをプラスチックバッグに入れて、冷凍庫(-20℃)で15日間保存し、その後室温で解凍した。
対照として、蒸留水、及び0.1%(v/v)のウシコラーゲンペプチド(1mg/mL)を含む蒸留水をそれぞれ用いて同様の処理を行った。
冷凍前と解凍後のさやの色を色彩色差計(CM-5、コニカミノルタ株式会社)で測定した。具体的には、任意に選択した3個のさやの色差(ΔEab)、明度(L値)及び彩度(C値)を測定し、その平均値を求めた。
ΔEabの値は小さいほど好ましく、L値及びC値は大きいほど好ましいと判断できる。
(L値)
PMエキスを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、冷凍前のL値の平均値が47.0であり、蒸留水に浸漬した枝豆のL値(46.0)及びウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した枝豆のL値(46.1)との間に大きな差はなかった。
これに対し、PMエキスを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、解凍後のL値の平均値が38.5であり、蒸留水に浸漬した枝豆のL値(36.5)及びウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した枝豆のL値(35.8)に比べて値が大きく、黒ずみがより抑制されていた。
(C値)
PMエキスを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、冷凍前のC値の平均値が29.5であり、蒸留水に浸漬した枝豆のC値(29.6)及びウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した枝豆のC値(29.0)との間に大きな差はなかった。
これに対し、PMエキスを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、解凍後のC値の平均値が23.4であり、蒸留水に浸漬した枝豆のC値(22.8)及びウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した枝豆のC値(21.9)に比べて値が大きく、色の鮮やかさがより保持されていた。
(ΔEab)
PMエキスを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、解凍後のΔEabの平均値が10.6であり、蒸留水に浸漬した枝豆の11.7及びウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した枝豆の12.6に比べて値が小さかった。
以上の結果から、味噌抽出物とウシコラーゲンペプチドとを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、これらを含まない蒸留水に浸漬した場合に比べて変色が抑制されることがわかった。
さらに、味噌抽出物とウシコラーゲンペプチドとを含む蒸留水に浸漬した枝豆は、ウシコラーゲンペプチドのみを含む蒸留水に浸漬した場合に比べて変色が抑制されることがわかった。
(12)米飯試験
(米飯の作製)
米(150g)に水(180mL)及びPMエキス(20mL)を加え、1時間浸漬した後に炊飯した。得られた米飯の粗熱をとり、ラップで包み、冷凍庫(-20℃)で2週間保存した。対照として、PMエキスを用いる代わりに水の量を200mLに変更して同様の処理を行った。
(酢飯の作製)
米(150g)に水(180mL)及びPMエキス(20mL)を添加し、1時間浸漬した後に炊飯した。得られた米飯に市販のすし酢(30mL)を混ぜ、粗熱をとり、ラップで包み、冷凍庫(-20℃)で2週間冷凍保存した。対照として、PMエキスを添加する代わりに水の量を200mLに変更して同様の処理を行った。
(食感の評価)
2週間冷凍保存した後の米飯又は酢飯を自然解凍し、被験者(18名)が試食し、食感の指標としての「もちもち感」について1点又は2点の点数評価を行った。具体的には、PMエキスを添加した米飯又は酢飯とPMエキスを添加していない米飯又は酢飯のうち、よりもちもちした食感が感じられる方を1点とし、そうでない方を2点とした。
検定表から、評価点の合計が23点以下であれば有意にもちもち感があると判断でき、31点以上であれば有意にもちもち感がないと判断できる。18名の評価点の合計値を表4に示す。
Figure 2022083887000005
表4に示すように、PMエキスを添加した米飯及び酢飯のいずれも評価点の合計値が23点以下であり、有意にもちもち感があると評価された。
(水分量)
冷凍保存前の米飯又は酢飯の水分量と、冷凍保存及び自然解凍の米飯又は酢飯の水分量(質量%)を、加熱乾燥式水分計で測定した。結果を表5に示す。
Figure 2022083887000006
表5に示すように、PMエキスを添加した米飯及び酢飯のいずれも、PMエキスを添加していない米飯及び酢飯と比べたときの冷凍前後の水分量の変化に大きな差は認められなかった。
(白色度)
自然解凍後の米飯又は酢飯の白色度の指標としてのWB値を、測色計を用いて測定した。結果を表6に示す。
Figure 2022083887000007
表6に示すように、PMエキスを添加した米飯とPMエキスを添加していない米飯との間でWB値に大きな差はなかったが、PMエキスを添加した酢飯のWB値がPMエキスを添加していない酢飯のWB値に比べて低い値を示した。
WB値が高い(白い)ほど、澱粉の老化による白蝋化が進んでいると考えられる。したがって、PMエキスを添加した酢飯は澱粉の老化が抑制されていると考えられる。

Claims (8)

  1. 大豆発酵物又はその抽出物を含む、氷再結晶化抑制剤。
  2. 前記大豆発酵物は味噌を含む、請求項1に記載の氷再結晶化抑制剤。
  3. 前記大豆発酵物又はその抽出物は分子量が140000~160000である成分を含む、請求項1又は請求項2に記載の氷再結晶化抑制剤。
  4. コラーゲンペプチドをさらに含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の氷再結晶化抑制剤。
  5. 前記大豆発酵物又はその抽出物と前記コラーゲンペプチドとの質量比(大豆発酵物又はその抽出物:コラーゲンペプチド)は1:1~1:100である、請求項4に記載の氷再結晶化抑制剤。
  6. 冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の氷再結晶化抑制剤。
  7. 大豆発酵物又はその抽出物を食品に添加する工程と、前記食品を冷凍する工程と、を含む冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造方法。
  8. 冷凍食品又はフリーズドライ食品の製造に用いるための、大豆発酵物又はその抽出物。
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