JP2022083759A - ケーキ生地用気泡安定剤、ケーキ生地、ケーキ生地の製造方法、ケーキの製造方法及び菓子類の製造方法 - Google Patents

ケーキ生地用気泡安定剤、ケーキ生地、ケーキ生地の製造方法、ケーキの製造方法及び菓子類の製造方法 Download PDF

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【課題】実質的に乳化剤を含有させなくても、外観や食感に優れ、本来の自然な風味が感じられるケーキを製造することができるケーキ生地用気泡安定剤を提供する。【解決手段】カルボキシメチルセルロースを含有し、かつ、実質的に乳化剤を含有しないケーキ生地用気泡安定剤。好ましくは、前記カルボキシメチルセルロースが、1%水溶液の25℃における粘度が16000mPa・s以下である、該ケーキ生地用気泡安定剤。さらに好ましくは、後粉法、又はオールインミックス法で製造されるケーキ生地に使用される、該ケーキ生地用気泡安定剤。【選択図】なし

Description

本発明は、外観や食感に優れ、本来の自然な風味が感じられるケーキを安定的に生産できるケーキ生地用気泡安定剤、ケーキ生地、ケーキ生地の製造方法、ケーキの製造方法及び菓子類の製造方法に関する。
スポンジケーキ、蒸しケーキ、バウムクーヘン等、鶏卵の起泡力によって含気させるケーキ生地は、共立て法、別立て法等、いわゆる後粉法と呼ばれる、鶏卵を泡立てた後に小麦粉や油脂を添加する方法を用いることで、鶏卵の泡を保ち、比重を軽くすることができる。
しかし、これらの方法は、製造方法が煩雑であること、小麦粉や油脂の添加に作業の熟練を要することから、大量生産には向かない。このため近年は、すべての原料を混合して泡立てるオールインミックス法が主流となっている。本来、オールインミックス法のように小麦粉や油脂を鶏卵とともに泡立てると、鶏卵による起泡力が阻害されるため、比重が軽くならず、外観や食感が劣ったスポンジケーキとなってしまう。そこでオールインミックス法では乳化剤を大量に含有する起泡剤が使用される。
例えば、特許文献1には、グリセリン脂肪酸エステルを0.5~20質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを1~20質量%、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5~10質量%、及びHLBが5~15である、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5~10質量%含有するケーキ用起泡性乳化剤組成物であって、上記ソルビタン脂肪酸エステル及びHLBが5~15である、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルの主要構成脂肪酸が炭素数22の飽和脂肪酸であることを特徴とする、オールインミックス法に適したケーキ用起泡性乳化剤組成物が記載されている。
一方で、多品種のケーキ生地を比較的少ないロットで生産する生産ラインでは、依然として後粉法が好まれる場合がある。その理由の一つには、オールインミックス法では小麦粉を含んだ生地が後粉法よりも多く撹拌されるため、グルテンが多く発生し、このことが食感に悪影響を与えることが挙げられる。しかし、前述のように、後粉法では、鶏卵による気泡を維持したまま、小麦粉や油脂を添加、混合する作業には熟練が必要であり、工業的に安定したケーキ生地を製造する際の課題となっていた。
また、近年は原料費の抑制や、賞味期限の延長を目的として、卵の配合量の少ないスポンジケーキの生地配合が試みられているが、起泡力を有する卵の配合量が少なくなると、後粉法での作業にはより熟練が必要となり、場合によってはスポンジケーキの製造が困難である。
そこで後粉法においても、通常オールインミックス法で用いるような、乳化剤を大量に含有する起泡剤を用いることで、小麦粉や油脂の添加、混合工程に熟練を必要としない、安定したケーキ生地の生産が図られている。
例えば、特許文献2には、後粉法で得られる生地であって、穀粉100重量部に対して、油脂40~55重量部、全卵300~360重量部、菓子用起泡剤15~30重量部、糖類80~120重量部、膨張剤2~3重量部、増粘多糖類0.7~3重量部及び水50~80重量部を含有する、チルド流通ロールケーキ用スポンジケーキ生地が記載されている。また、特許文献2には、菓子用起泡剤は、グリセリン脂肪酸エステル、液糖、水を含み、グリセリン脂肪酸エステルの融点以上に加熱して冷却しα型結晶にしたものであることも記載されている。
また、実質的に乳化剤を含有させなくても、オールインミックス法などにより製造されるケーキ生地においても、安定した気泡を作ることが可能なケーキ生地用気泡安定剤の開発が行われている。
例えば、特許文献3においては、ゲル化性テストで200cP以上の粘度を示すペクチンを含有し、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とするケーキ生地用気泡安定剤が記載されている。
特開2009-095247号公報 特開2015-084741号公報 特開2019-208472号公報
しかしながら、特許文献2のように乳化剤を用いると、ケーキ本来の自然な風味が損なわれるという問題があった。また最近、一部の消費者の間では、乳化剤を含む菓子が敬遠される場合があり、製造者は対応を求められることがあった。
また、特許文献3のように、ペクチンを用いると、乳化剤に起因する風味が損なわれる問題を解消することができる。しかしながら、ペクチンの添加量が比較的多く必要とされるという問題があった。
よって、本発明の目的は、実質的に乳化剤を含有させなくても、外観や食感に優れ、本来の自然な風味が感じられるケーキを製造することができ、添加量当たりの起泡効果の高いケーキ生地用気泡安定剤、該ケーキ生地用気泡安定剤を用いたケーキ生地、ケーキ生地の製造方法、ケーキの製造方法及び菓子類の製造方法を提供することにある。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、カルボキシメチルセルロースを含有し、かつ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、カルボキシメチルセルロースを含有することにより、実質的に乳化剤を含有させなくても、安定した気泡を作ることができるので、本来の自然な風味を有し、外観や食感に優れたケーキを得ることができる。また、カルボキシメチルセルロースは、ペクチンよりも添加量当たりの起泡力が高く、添加量を少なくすることで、くちゃつき等の食感への影響をより小さくすることができる。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤において、前記カルボキシメチルセルロースは、1%水溶液の25℃における粘度が16000mPa・s以下であることが好ましい。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤において、後粉法で製造されるケーキ生地に使用されることが好ましい。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤において、オールインミックス法で製造されるケーキ生地に使用されることが好ましい。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤において、気泡安定剤として、カルボキシメチルセルロースをケーキ生地中に、0.005~0.2質量%含有することが好ましい。
本発明のケーキは、前記ケーキ生地を用いて得られ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする。
本発明の菓子類は、前記ケーキを有し、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする。
本発明のケーキ生地の製造方法は、実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、前記ケーキ生地用気泡安定剤と、を混合して生地を作成する混合工程を含むことを特徴とする。
本発明のケーキ生地の製造方法において、前記混合工程において、前記生地中の前記カルボキシメチルセルロースの含量が0.005~0.2質量%となるように、前記ケーキ生地用気泡安定剤を添加することが好ましい。
本発明のケーキ生地の製造方法の1つの好ましい態様は、実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、前記ケーキ生地用気泡安定剤と、をオールインミックス法によって混合して生地を作成する混合工程と、前記混合工程において得られた前記生地を強制発泡機を用いて起泡させる起泡工程と、を含むケーキ生地の製造方法である。
本発明のケーキ生地の製造方法の別の好ましい態様は、糖類と、卵と、前記ケーキ生地用気泡安定剤と、を含む第1原料を混合し、含気させて含気生地を作成する第1工程と、前記第1工程で得られた前記含気生地と、澱粉質原料粉を含有する第2原料と、を混合する第2工程と、を含む実質的に乳化剤を含有しないケーキ生地の製造方法である。
本発明のケーキの製造方法は、前記ケーキ生地の製造方法により得られたケーキ生地を加熱処理することを特徴とする。
本発明の菓子類の製造方法は、前記ケーキの製造方法により得られたケーキを用いて菓子類を製造し、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、カルボキシメチルセルロースを含有することにより、実質的に乳化剤を含有させなくても、安定した気泡を作ることができるので、本来の自然な風味を有し、外観や食感に優れたケーキを得ることができる。また、カルボキシメチルセルロースは、ペクチンよりも添加量当たりの起泡力が高く、少ない添加量で外観や食感に優れたケーキを得ることができる。
また、本発明のケーキ生地の製造方法によれば、上記ケーキ生地用気泡安定剤を用いることにより、実質的に乳化剤を含有させなくても、安定した気泡を作ることができるので、外観や食感に優れたケーキを製造することができる。また、このケーキは、実質的に乳化剤を含有しないので、本来の自然な風味が感じられるものである。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、カルボキシメチルセルロース(以下「CMC」と略称する)を含有し、かつ、実質的に乳化剤を含有しない。
「実質的に乳化剤を含有しない」とは、ケーキ生地用気泡安定剤を製造する際に乳化剤を意図的に添加しないという意味であり、ケーキ生地用気泡安定剤を製造中又は保管中に不可避的に混入する微量の乳化剤を含んでいても構わない。
尚、後述するケーキ生地、ケーキ及び菓子類も実質的に乳化剤を含有しない。すなわち、上述のように、これらを製造する際に乳化剤が意図的に添加されないという意味であり、これらの製造中又は保管中に不可避的に混入する微量の乳化剤が含まれていても構わない。
ここで、乳化剤としては、食品表示法に基づく食品表示基準において、乳化剤の一括名での表示が認められている添加物が挙げられ、特に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン(酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、分別レシチンを含む)等が挙げられる。これらの乳化剤はそれぞれ特有の風味を有し、ケーキや菓子の本来の風味を損なう。
一方で、一般的にケーキ生地、ケーキ、菓子類の原料として用いられる小麦粉や卵類、乳製品、油脂等に微量含有されるレシチンやモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロールといった成分を含有する場合には、風味に悪影響を及ぼすことはない。これらは意図的に添加された物でなく不可避的に混入された場合に当たり、「実質的に乳化剤を含有しない」とみなすことができる。
本発明において、「実質的に乳化剤を含有しない」の具体的な基準としては、上記意図的に添加された乳化剤の含有量が、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であることを意味している。
CMCは、セルロースに水酸化ナトリウム、クロロ酢酸ナトリウムを反応させ、セルロースの水酸基にカルボキシメチル基を置換することにより得られる。CMCは、食品添加物として用いられることが可能であれば特には限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩等であってもよい。
CMCの溶液の粘度は特に制限されるものではないが、CMCの1%水溶液の25℃における粘度が16000mPa・s以下であるとよく、好ましくは、1600mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・sであるとよい。CMCの1%水溶液の25℃における粘度の下限値は特に限定されるものではないが、30mPa・s以上であることが好ましい。
尚、CMCの1%水溶液は、例えば、測定試料であるカルボキシメチルセルロース10gを精秤し、蒸留水900mlを加え、撹拌機で撹拌溶解させ、溶解水量=試料採取量×(99-測定試料の水分(%))となるように補正して得られる。ここで、測定試料の水分(%)は、乾燥重量を求めることで得られる。
CMCの1%水溶液の25℃における粘度は、以下のようにして求めることができる。25℃±0.2℃の恒温水相に粘度測定液を入れて25℃とし、粘度をBM型回転粘度計を用いて測定する。ローターの回転開始から3分後の目盛りを読み取り、ローターNo.、回転数によって下の表1の係数を乗じて粘度値とする。
Figure 2022083759000001
CMCの1%水溶液の粘度が30mPa・sを下回ると、気泡安定の効果が得にくい傾向がある。また、CMCの溶液の粘度が16000mPa・sを超えると、食感がクチャつく傾向がある。その場合にはケーキの配合を調整することにより、クチャつきを解消するとよい。
CMCのエーテル化度は特に制限されるものではないが、0.3~1.7であるとよく、好ましくは、0.5~1.6であるとよい。この範囲であれば、食品添加物として市販されており入手が容易である。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、本発明の奏する効果を阻害しない範囲で、一般的にケーキ用気泡安定剤に使用される、その他の食品や食品添加物を含むことができる。
このような成分としては、例えば、油脂、卵類、穀粉類、糖類、澱粉類、食物繊維、無機塩及び有機酸塩、乳製品、乳や卵、大豆由来のタンパク素材、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、グアーガムやキサンタンガム、タマリンドガムなどの増粘多糖類、加工澱粉、メチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのCMC以外のセルロースエーテル類、酸化防止剤、着色料、保存料、pH調整剤等を挙げることができる。
本発明のケーキ生地用気泡安定剤は、例えば、共立て法や別立て法を含む後粉法又は、オールインミックス法で製造されるケーキの原料に用いることができる。共立て法は、卵を糖類(例えば、砂糖)と共に起泡させ、小麦粉等を混合することによりケーキ生地を製造する方法、すなわちケーキの製造方法(以下、ケーキ生地等の製造方法とも称する)である。別立て法は、卵白と糖類を起泡させた後、卵黄、小麦粉等を混合するケーキ生地等の製造方法である。後粉法は、少なくとも卵を含むケーキ原料を起泡させた後、小麦粉等の澱粉質原料を混合するケーキ生地等の製造方法の総称である。オールインミックス法は、小麦粉、糖類、卵、油脂等を一括混合し、起泡させるケーキ生地等の製造方法である。
ケーキ生地の主原料としては、全卵、卵黄、卵白等の卵類、小麦粉、薄力粉、中力粉、全粒粉、米粉等の穀粉類、上白糖、グラニュー糖、粉糖等の糖類、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、乳脂肪、バター、マーガリン、ショートニング等の油脂、生乳、牛乳、脱脂乳、粉乳、生クリーム等の乳製品、練り込み用クリーム類、コーンスターチ、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等の澱粉類、これら澱粉類に、酸処理、酵素処理、エステル化、エーテル化、架橋化等の化学的処理、あるいは高周波処理、湿熱処理、放射線処理等の物理的処理を、単独もしくは複数施してなる加工澱粉、チョコレート、ココアパウダー、アーモンドプードル、ベーキングパウダー等の膨張剤、キサンタンガム、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。本発明においては、卵類、穀粉類が必須の原料である。
ここで、糖類、卵及びケーキ生地用気泡安定剤は、後述する後粉法における第1原料に相当する。また、穀粉類及び澱粉類は、澱粉質原料粉、すなわち後述する後粉法における第2原料に相当する。
卵は、澱粉質原料粉100質量部に対して、好ましくは120~250質量部添加することができる。卵の添加量が少ないと起泡しづらくなり、気泡の安定性も低下するが、本発明の気泡安定剤を用いることにより、卵の量が澱粉質原料粉100質量部に対して120~170質量部、好ましくは130~160質量部であったとしても、生地の気泡が安定し、外観や食感に優れた後粉法によるケーキを製造することができる。
また、上記卵類としては、割卵でも液卵でも使用することができ、また、殺菌、凍結、加塩、加糖等の前処理の有無にかかわらず使用することができる。
また、上記卵類は前述のとおり全卵、卵黄、卵白を用いることができるが、好ましくは全卵を用いることができる。
ケーキ生地の副原料としては、イースト、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等のチーズ類、アルコール、フルーツ、野菜、ハーブ、スパイス、食塩、保存料、ビタミン、カルシウム、蛋白質、アミノ酸等が挙げられる。
本発明のケーキ生地の製造方法は、実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、上述のケーキ生地用気泡安定剤とを混合して生地を作成する混合工程を含む。当該混合工程においては、生地中のCMCの含量が0.005~0.5質量%となるように、上述のケーキ生地用気泡安定剤を添加することが好ましい。また、生地中のCMCの含量の下限は、0.01質量%以上であるとより好ましく、0.04質量%以上であるとさらに好ましい。また、生地中のCMCの含量の上限は、0.2質量%以下であるとより好ましい。
CMCの含量が0.005質量%未満であると、ケーキ生地中の気泡が安定せずに脱泡したり、生地が離水や分離したりする要因となる。その結果、生地を加熱処理することにより得られたケーキの内相が不均一となる傾向があり、またケーキの食感がソフトさに欠ける傾向がある。また、CMCの含量が0.2質量%を超えると、ケーキ生地を加熱処理することにより得られたケーキがくちゃついた食感となる傾向にある。
ケーキ生地の製造においては、例えば、オールインミックス法及び後粉法を採用することができる。
オールインミックス法においては、実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、前記ケーキ生地用気泡安定剤と、をオールインミックス法によって混合して生地を作成する混合工程と、混合工程において得られた生地を強制発泡機を用いて起泡させる起泡工程と、を含むことが好ましい。
強制発泡機としては、特には限定されないが、配管中に強制的に空気を送り込み混合するモンドミキサー、オークスミキサー、ターボミックス等に代表される連続ミキサーや、加圧下で高速混合することにより空気を多量に含ませる加圧式ミキサー等のような強制的に発泡する装置が挙げられる。大気圧下で雰囲気中の空気を混合しながら起泡させる縦型ミキサー、横型ミキサー、スラリーミキサー等は、本発明における強制発泡機に含まれない。
後粉法においては、糖類と、卵と、前記ケーキ生地用気泡安定剤とを含む第1原料を混合し、含気させる第1工程と、前記第1工程で得られた含気生地に、澱粉質原料粉を含有する第2原料を添加混合する第2工程と、を含む。
また、本発明のケーキ生地の製造方法においては、前記第1工程の後又は第2工程の後に、前記含気生地に油脂を添加混合する第3工程を含むことが好ましい。
第3工程は、本発明の好ましい態様において、第1工程又は第2工程の後に行われる。尚、第1工程において、第1原料に油脂を添加することにより、第3工程を第1工程において行うようにしてもよい。また、第3工程を例えば第1工程の後、及び、第2工程の後に行うなど、複数回に分けて行うようにしてもよい。中でも好ましくは、第3工程は、第2工程の後に行われるとよい。
後粉法における混合工程において用いるミキサーとしては、特に限定されないが、縦型ミキサー、横型ミキサー、スラリーミキサー、加圧式ミキサー、連続ミキサー等を用いることができる。
本発明のケーキは、ケーキ生地を目的にあったケーキ型に流し入れたり、鉄板上に一定の厚さとなるように流し入れたりして、オーブンや蒸し器で加熱処理等することによって製造することができる。
こうして得られるケーキとしては、スポンジケーキ(シフォンケーキ、バタースポンジ、カステラ、エンゼルケーキ等)、バウムクーヘン、生地をホイップするタイプの蒸しケーキ等が挙げられる。
本発明の菓子類は、上記ケーキに、例えばクリーム類(生クリーム、ホイップクリーム、バタークリーム、カスタードクリーム等)、バター、ジャム、及び果物等を挟んだり載せたりして、得ることができる。この場合、ケーキ以外の原料も実質的に乳化剤を含まないことが好ましく、また、本発明の菓子類の10質量%以上が上記ケーキであることが好ましい。
本発明の菓子類は、上記ケーキ以外のケーキを併せて用いても構わないが、上記ケーキ以外のケーキも実質的に乳化剤を含まないことが好ましい。また、使用するケーキの50質量%以上が上記ケーキであることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
[試験例1](後粉法によって製造されたケーキ生地及びケーキ)
1.ケーキ生地及びケーキの製造
以下の要領で比較例1~4及び実施例1~14のケーキ生地及びケーキの製造を行った。
(比較例1)
下記の表2に示す配合1の原料を用いて、後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。なお、表2のうち全卵及び上白糖を第1原料とし、薄力粉及びベーキングパウダーを第2原料とした。尚、第1原料及び第2原料については、後述の比較例2~4及び実施例1~14においても同様とする。
Figure 2022083759000002
具体的には、配合1に記載の原料のうち、第1原料の全卵、上白糖、脱脂粉乳を20コートのミキサーボールに入れ、ホバートミキサーで3速で2分間ホイップを行い比重を0.35に調整した。次いで、第2原料の薄力粉とベーキングパウダー、水、第3原料のコーン油を順次ミキサーボールに添加し、比較例1のケーキ生地を得た。
更に、このケーキ生地の最終比重を測定した後、6号デコ型に350g流し入れてオーブンで170℃で35分前後焼成し、比較例1のスポンジケーキを得た。尚、比較例2~4及び実施例1~11についても、このケーキ生地の製造方法及びスポンジケーキの製造方法で作成した。
(比較例2)
下記表3に示す配合2の原料を用いて、比較例1と同様な後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表3に記載の増粘剤としてペクチン(製品名「OF645C」、株式会社カーギルジャパン製)を用いた。
Figure 2022083759000003
(比較例3)
表3に示した配合2の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表2に記載の増粘剤としてメチルセルロース(製品名「メトセルA4M(登録商標)」、ユニテックフーズ株式会社製)を用いた。
(比較例4)
表3に示した配合2の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表2に記載の増粘剤としてHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(製品名「メトセルK250M(登録商標)、ユニテックフーズ株式会社製)を用いた。
(実施例1)
表2に示した配合2の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例2)
表4に示した配合3の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000004
(実施例3)
表5に示した配合4の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000005
(実施例4)
表6に示した配合5の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000006
(実施例5)
下記表7に示した配合6の原料を用いて、比較例1と同様な後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000007
(実施例6)
表8に示した配合7の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000008
(実施例7)
表3に示した配合2の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例8)
表4に示した配合3の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例9)
表5に示した配合4の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例10)
表6に示した配合5の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例11)
表5に示した配合4の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10LC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例12)
表5に示した配合4の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F08HC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例13)
表9に示した配合8の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F120MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000009
(実施例14)
表10に示した配合9の原料を用いて、比較例1と同様の後粉法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F1400MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000010
(2)評価
比較例1~4及び実施例1~14のスポンジケーキについて、ケーキ生地の脱泡の有無、ケーキ生地の分離の状態、ボリュームの測定及び食感(ソフトさ、くちゃつき)を評価した。
脱泡の有無については、生地表面の脱泡による穴の有無を観察し、「脱泡がみられない」ものについて〇、「わずかに脱泡がみられる」ものについて△、「明らかな脱泡がみられる」ものについて×とした。
分離の状態については、生地表面を観察し、「分離のみられない」ものについて○、「分離がわずかにみられる」ものについて△、「明らかな分離がみられる」ものについて×とした。
スポンジケーキのボリュームは、体積測定器(商品名「Volscan profiler 600」、Stable Micro Systems製)を用いて測定した。食感(ソフトさ、くちゃつき)の評価は、官能試験により評価した。官能試験は、訓練されたパネル10名がケーキを食べ、以下の基準で評価して点数をつけ、10名の平均点を求めた。
(ソフトさ)
-2点:比較例1よりもかなり劣る
-1点:比較例1より劣る
0点:比較例1と同等
1点:比較例1よりもソフト
2点:比較例1よりもかなりソフト
(くちゃつき)
-2点:比較例1よりもかなりくちゃつく
-1点:比較例1よりくちゃつく
0点:比較例1と同等
1点:比較例1よりもくちゃつかない
2点:比較例1よりもかなりくちゃつかない
(3)結果
ボリュームの測定及び食感(ソフトさ、くちゃつき)の評価結果を表11に示す。また、実施例1乃至14で用いたCMCの1%水溶液の粘度及びエーテル化度を表12に示す。
Figure 2022083759000011
Figure 2022083759000012
(3-1)生地における脱泡の有無及び分離の状態について
表10に示されるように、気泡安定剤を使用しない生地(比較例1)、メチルセルロースを用いた生地(比較例3)及びHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(K250M)を用いた生地(比較例4)では、明らかな脱泡や分離がみられるものであった。
これに対して、CMCを用いた生地(実施例1~14)を使用した生地では、脱泡や分離の状態はわずかにみられるものか、みられないものであった。
(3-2)ケーキの食感について
メチルセルロースを用いた生地(比較例3)及びHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(K250M)を用いた生地(比較例4)では、くちゃつきが感じられるか、ややくちゃつく傾向がみられた。
これに対して、CMCを用いた生地(実施例1~14)を使用した生地では、食感のソフトさ、クチャつきについて、比較例1~4よりも良好な結果が得られた。
尚、実施例2~6及び実施例8~14については、ペクチンを使用した比較例2よりも少ない使用量で、食感について良好な結果が得られた。
[試験例2](オールインミックス法によって製造されたケーキ生地及びケーキ)
1.ケーキ生地及びケーキの製造
以下の要領で比較例5~8及び実施例15~25のケーキ生地及びケーキの製造を行った。
(比較例5)
下記の表13に示す配合10の原料を用いて、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。
Figure 2022083759000013
具体的には、配合10に記載の原料を20コートのミキサーボールに入れ、縦型ミキサー(関東混合機工業製)を用いて2速で5分間ホイップを行った。次いで、モンドミキサー(モンドミックス製)を用いて起泡させて比較例1のケーキ生地を得た。
更に、このケーキ生地の最終比重を測定した後、6号デコ型に350g流し入れてオーブンで170℃で40分前後焼成し、比較例5のスポンジケーキを得た。尚、比較例6~8及び実施例15~25についても、このケーキ生地の製造方法及びスポンジケーキの製造方法で作成した。
(比較例6)
下記の表14に示す配合11の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表14に記載の増粘剤としてペクチン(製品名「OF645C」、株式会社カーギルジャパン製)を用いた。
Figure 2022083759000014
(比較例7)
表14に示した配合11の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表12に記載の増粘剤としてメチルセルロース(製品名「メトセルA4M(登録商標)」、ユニテックフーズ株式会社製)を用いた。
(比較例8)
表14に示した配合11の原料を用いて、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、表2に記載の増粘剤としてHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(製品名「メトセルK250M(登録商標)」、ユニテックフーズ株式会社製)を用いた。
(実施例15)
表14に示した配合11の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例16)
表15に示した配合12の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000015
(実施例17)
表16に示した配合13の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000016
(実施例18)
表17に示した配合14の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000017
(実施例19)
表18に示した配合15の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F10MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000018
(実施例20)
表14に示した配合11の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例21)
表16に示した配合13の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例22)
表17に示した配合14の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。増粘剤としてCMC(製品名「F30MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例23)
表16に示した配合13の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。増粘剤としてCMC(製品名「F10LC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例24)
表16に示した配合13の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。増粘剤としてCMC(製品名「F08HC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
(実施例25)
表19に示した配合16の原料を用いて、比較例5と同様に、連続ミキサーを用いたオールインミックス法によりケーキ生地を作成し、このケーキ生地を用いてスポンジケーキを製造した。尚、増粘剤としてCMC(製品名「F120MC」、日本製紙ケミカル株式会社製)を用いた。
Figure 2022083759000019
(2)評価
比較例5~8及び実施例15~25のスポンジケーキについて、ケーキ生地の脱泡の有無、ケーキ生地の分離の状態、ボリュームの測定及び食感(ソフトさ、くちゃつき)を評価した。評価の方法は、試験例1と同一であるので説明を省略する。
(3)結果
ボリュームの測定及び食感(ソフトさ、くちゃつき)の評価結果を表20に示す。
Figure 2022083759000020
(3-1)生地における脱泡の有無及び分離の状態について
表20に示されるように、気泡安定剤を使用しない生地(比較例5)及びメチルセルロースを使用した生地(比較例7)では、明らかな脱泡や分離がみられるものであった。
HPMC(K250M)を使用した生地(比較例8)では、分離はみられないものの明らかな脱泡がみられた。
これに対して、CMCを使用した生地(実施例15~25)では、実施例19のみ脱泡や分離の状態はわずかにみられ、その他の実施例においてはみられなかった。
(3-2)ケーキの食感について
メチルセルロースを使用した生地(比較例7)、及びHPMC(K250M)を使用した生地(比較例8)では、くちゃつきが感じられるか、ややくちゃつく傾向がみられた。尚、メチルセルロースを使用した生地(比較例7)では、食感がソフトさに欠ける傾向がみられた。
これに対して、CMCを使用した生地(実施例15~25)では、食感のソフトさ、クチャつきについて、比較例5~8よりも良好な結果が得られた。
尚、実施例16~19及び実施例21~25については、ペクチンを使用した比較例6よりも少ない使用量で、食感について良好な結果が得られた。

Claims (13)

  1. カルボキシメチルセルロースを含有し、かつ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とするケーキ生地用気泡安定剤。
  2. 前記カルボキシメチルセルロースは、1%水溶液の25℃における粘度が16000mPa・s以下である、請求項1に記載のケーキ生地用気泡安定剤。
  3. 後粉法で製造されるケーキ生地に使用される、請求項1又は2記載のケーキ生地用気泡安定剤。
  4. オールインミックス法で製造されるケーキ生地に使用される、請求項1又は2記載のケーキ生地用気泡安定剤。
  5. 気泡安定剤として、カルボキシメチルセルロースをケーキ生地中に、0.005~0.5質量%含有することを特徴とするケーキ生地。
  6. 請求項5のケーキ生地を用いて得られ、実質的に乳化剤を含有しないケーキ。
  7. 請求項6に記載のケーキを有し、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする菓子類。
  8. 実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、請求項1又は2に記載のケーキ生地用気泡安定剤と、を混合して生地を作成する混合工程を含むことを特徴とするケーキ生地の製造方法。
  9. 前記混合工程において、前記生地中の前記カルボキシメチルセルロースの含量が0.005~0.2質量%となるように、前記ケーキ生地用気泡安定剤を添加する、請求項8に記載のケーキ生地の製造方法。
  10. 実質的に乳化剤を含有しないケーキ原料と、請求項1又は2に記載のケーキ生地用気泡安定剤と、をオールインミックス法によって混合して生地を作成する混合工程と、
    前記混合工程において得られた前記生地を強制発泡機を用いて起泡させる起泡工程と、
    を含むことを特徴とするケーキ生地の製造方法。
  11. 糖類と、卵と、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーキ生地用気泡安定剤と、を含む第1原料を混合し、含気させて含気生地を作成する第1工程と、
    前記第1工程で得られた前記含気生地と、澱粉質原料粉を含有する第2原料と、を混合する第2工程と、
    を含むことを特徴とする、実質的に乳化剤を含有しないケーキ生地の製造方法。
  12. 請求項8乃至11のいずれかのケーキ生地の製造方法により得られたケーキ生地を加熱処理することを特徴とするケーキの製造方法。
  13. 請求項12のケーキの製造方法により得られたケーキを用いて菓子類を製造する、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする菓子類の製造方法。
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