以下に、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係るクリアランス計測システム1(クリアランス計測装置とも称する)は、第一の物体13の平面状の上面13aと、当該第一の物体13の上面13aから上方に配置された第二の物体14の平面状の下面14aとのクリアランスCを計測するシステムであって、図1に示すように、ラインレーザー10と、カメラ11と、端末装置12とを備えている。
ここで、第二の物体14の側面14bは、下面14aに対して直角であり、第二の物体14の上面14cは、例えば、下面14aに対して平行である。第二の物体14の側面14bと上面14cとの角は、面取りされ、斜面14dが形成されている。尚、第一の物体13と第二の物体14の種類に特に限定は無いが、例えば、第一の物体13は、建物や構造物の平面状の板や床、土地や道路等を挙げることが出来る。又、第二の物体14は、例えば、構造物やブロック、壁やドア等を挙げることが出来る。
又、ラインレーザー10は、第一の物体13と第二の物体14との間のクリアランスCに直線状のラインレーザー光Lを照射するように構成されている。カメラ11は、第一の物体13と第二の物体14との間のクリアランスCの画像を撮影するように構成されている。ラインレーザー10の光の色に特に限定は無く、例えば、赤や緑等を挙げることが出来る。
端末装置12は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置、タブレット型端末装置、ウェアラブル型端末装置を含む。端末装置12は、記憶部と、入力部と、出力部とを備え、入力部は、例えば、キーボード、マウス等であり、出力部は、例えば、液晶ディスプレイ等である。
端末装置12は、ラインレーザー10とカメラ11とに通信可能に接続され、ラインレーザー10とカメラ11との制御を司る。端末装置12は、図示しないCPU、ROM、RAM等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM等に記憶されているプログラムを実行する。後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで各部の機能を実現する。
次に、図2-図10を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、計測者は、第一の物体13と第二の物体14との間のクリアランスCを計測するために、計測キーを端末装置12に入力する。すると、ラインレーザー10は、第一の物体13の上面13aと、第二の物体14の側面14bとに向けて予め配置されており、端末装置12のラインレーザー照射部201は、図4Aに示すように、ラインレーザー10を用いて、第一の物体13の上面13aと、第二の物体14の側面14bとの間にラインレーザー光Lを横切らせて照射する(図3:S101)。
ここで、第一の物体13の上面13aは、平面状であるため、直線状のラインレーザー光Lが現れる。又、第二の物体14の側面14bも、同様に、平面状であるため、直線状のラインレーザー光Lが現れる。
又、カメラ11は、ラインレーザー光Lが照射されている第一の物体13の上面13aと、第二の物体14の側面14bとに向けて予め配置されている。つまり、ラインレーザー10とカメラ11は、同じ方向で同じ位置を向いて配置されている。そのため、端末装置12の画像撮影部202は、図4Aに示すように、カメラ11を用いて、ラインレーザー光Lが照射された状態の第一の物体13の上面13aと、第二の物体14の側面14bとを含む照射中画像を撮影する(図3:S102)。
ここで、画像撮影部202が照射中画像を撮影する方法に特に限定は無い。例えば、端末装置12と、第一の物体13と第二の物体14とが、それぞれ固定されている場合は、画像撮影部202は、照射中画像を一枚撮影すれば良い。一方、端末装置12が固定され、第一の物体13と第二の物体14とが動く場合は、画像撮影部202は、第一の物体13と第二の物体14との動く速度に対して十分に速いシャッター速度で照射中画像を撮影することで、第一の物体13と第二の物体14との動きによる撮影環境の変化を受けずに、照射中画像を取得することが出来る。一方、第一の物体13と第二の物体14との動く速度がシャッター速度よりも速い場合は、画像撮影部202は、ラインレーザー10とカメラ11とを第一の物体13と第二の物体14との動きに向けて動かしながら、所定の期間(例えば、数秒)内に複数の画像を撮影し、複数の画像を平均化して、平均化画像を照射中画像として取得することで、第一の物体13と第二の物体14とのクリアランスを捕らえる照射中画像を取得することが出来る。
又、画像撮影部202は、照射中画像において、第二の物体14の側面14bに照射されるレーザー光Lが垂直方向に沿って現れるように、当該照射中画像を撮影すると好ましい。これにより、後述する第二の物体14の側面14bにラインレーザー光Lの直線の式を算出する際に、精度高く算出することが出来る。
さて、照射中画像400には、図4Bに示すように、第一の物体13の上面13aにラインレーザー光Lの第一の直線401が写り、第二の物体14の側面14bにラインレーザー光Lの第二の直線402が写っている。又、カメラ11は、第二の物体14の側面14bに近接する上面14cも捕えており、照射中画像400には、第二の物体14の上面14cにラインレーザー光Lの第三の直線403が写り、第二の物体14の斜面14dにラインレーザー光Lの第四の直線404が写っている。尚、図4Bでは、セグメント14の側面14bにラインレーザー光Lの第二の直線402は、照射中画像400においてほぼ垂直方向に沿って写っている。
そして、端末装置12の直線特定部203は、照射中画像400における第一の物体13の上面13aのラインレーザー光Lを示す第一の直線と、第二の物体14の側面14bのラインレーザー光Lを示す第二の直線とを特定する(図3:S103)。
ここで、直線特定部203が直線を特定する方法に特に限定は無い。例えば、直線特定部203は、図5Aに示すように、カメラ11において、照射中画像400の撮影アングルと同じ撮影アングルで、ラインレーザー光Lが照射されていない状態の第一の物体13の上面13aと第二の物体14の側面14bとを含む照射前画像500を取得する。
照射前画像500には、照射中画像400と同様に、第一の物体13の上面13aと第二の物体14の側面14bと上面14cと斜面14dとが写っている。
照射前画像500の取得の方法には、例えば、直線特定部203は、ラインレーザー照射部201にラインレーザー光Lの照射を停止させるとともに、画像撮影部202に、ラインレーザー光Lが照射されていない状態の第一の物体13の上面13aと第二の物体14の側面14bとの間を写す照射前画像500を撮影させる方法を挙げることが出来る。その他の方法として、ラインレーザー照射部201がラインレーザー光Lを照射する前に、画像撮影部202が、カメラ11で先に照射前画像500を撮影しておき、その後、ラインレーザー照射部201がラインレーザー光Lを照射して、画像撮影部202が、カメラ11で照射中画像400を撮影しても良い。上述では、端末装置12と、第一の物体13と第二の物体14とが、それぞれ固定されている場合である。一方、端末装置12が固定され、第一の物体13と第二の物体14とが動く場合で、且つ、シャッター速度が、第一の物体13と第二の物体14との動く速度に対して十分に速い場合は、画像撮影部202は、ラインレーザー光Lの照射と停止を繰り返しながら、照射中画像と照射前画像とを撮影しても良い。又、端末装置12が固定され、第一の物体13と第二の物体14とが動く場合で、且つ、シャッター速度が、第一の物体13と第二の物体14との動く速度よりも遅い場合は、画像撮影部202は、ラインレーザー10とカメラ11とを第一の物体13と第二の物体14との動きに向けて動かしながら、ラインレーザー光Lの照射と停止を繰り返して、照射中画像と照射前画像とを撮影しても良い。その際に、照射中画像と照射前画像とを複数撮影して、平均化しても良い。
次に、直線特定部203は、照射中画像400から照射前画像500を減算することで得られる差分画像501を直線画像として生成する。直線画像とは、直線が示された画像を意味する。具体的には、直線特定部203は、照射中画像400の各画素の画素値から、当該照射中画像400の各画素の座標(2次元座標値)に対応する座標の照射前画像500の画素の画素値を減算することで差分画像501を生成する。直線画像501には、図5Bに示すように、第一の直線401と、第二の直線402と、第三の直線403と、第四の直線404とが映し出されている。これにより、照射中画像400の背景に様々なノイズが生じていたとしても、ラインレーザー光Lの直線のみが残った直線画像501を簡単に取得することが出来る。
尚、直線画像501には、ノイズが含まれる場合もあるため、直線特定部203は、必要に応じて、直線画像501にフィルタ処理を行っても構わない。
更に、直線特定部203は、直線のみを含む直線画像501に直線検出処理を行うことで、直線画像501に含まれる直線に対して、直線を構成する複数の線分を検出する。直線検出処理は、例えば、ハフ(Hough)変換処理を挙げることが出来る。又、直線検出処理における線分の検出の精度を上げるために、例えば、必要に応じて、直線画像501にエッジ処理を行っても構わない。エッジ処理は、例えば、Canny法を挙げることが出来る。
さて、直線検出処理では、図5Bに示すように、例えば、所定の傾きと切片を有する第一の直線401では、当該第一の直線401を構成する複数の線分401aが検出される。又、第一の直線401と異なる傾きと切片を有する第二の直線402では、当該第二の直線402を構成する複数の線分402aが検出される。尚、直線画像501中の他の直線、例えば、第三の直線403と第四の直線404も同様である。
そして、直線特定部203は、直線画像501の座標系における線分の傾きと切片に対するクラスタリングを行い、検出した複数の線分を、いくつかのクラスタに分類する。クラスタの分類には、直線の傾きと切片が用いられる。例えば、第一の直線401に対して第一の傾きと切片が設定されると、直線特定部203は、設定された第一の直線401の第一の傾きと切片に近いクラスタの線分を当該第一の直線401として特定する。又、第二の直線402に対して第二の傾きと切片が設定されると、直線特定部203は、設定された第二の直線402の第二の傾きと切片に近いクラスタの線分を当該第二の直線402として特定する(クラスタリング、ラベル付け)。
例えば、直線特定部203は、図6Aに示すように、直線画像501における各線分の傾きaと切片bを算出すると、第一の直線401を構成する線分401aでは、当該第一の直線401の第一の傾きa01と切片b01に近接し、第二の直線402を構成する線分402aでは、当該第二の直線402の第二の傾きa02と切片b02に近接する。第三の直線を構成する線分403aも第四の直線404を構成する線分404aも同様である。各線分の傾きaと切片bは、各直線の傾きa0と切片b0に近接するため、直線特定部203は、線分の傾きaと切片bに基づいて、クラスタリングを行う。一方、第一の直線401の第一の傾きa0と切片b0を予め設定しておき、直線特定部203は、第一の直線401の第一の傾きと切片に近いクラスタの線分401aを当該第一の直線401として特定する。第二の直線402と第三の直線403と第四の直線404も同様である。これにより、直線画像501に存在する線分を適切な直線に割り当てて特定することが可能となる。
ここで、第二の直線402と第三の直線403との間に存在する線分の傾きや切片は、第二の直線402の第二の傾きa02と切片b02にも、第三の直線403の第三の傾きa03と切片b03にも、近接することがある。このような直線間に存在する線分は、ノイズになり易く、最終的な精度に影響を及ぼすため、除外することが好ましい。第一の直線401と第二の直線402との間に存在する線分も同様である。
尚、他の方法として、例えば、直線特定部203は、直線画像501の領域毎に線分を分類し、分類した領域の線分を、当該領域に対応する直線として特定しても良い(クラスタリング、ラベル付け)。例えば、直線特定部203は、図6Bに示すように、直線画像501のうち、第一の物体の上面13aの領域として予め指定された第一の指定領域R1に存在する複数の線分401aを、当該第一の物体13の上面13aに照射されたラインレーザー光Lの第一の直線401として特定する。又、直線特定部203は、第二の物体14の側面14bの領域として予め指定された第二の指定領域R2に存在する複数の線分を、当該第二の物体14の側面14bに照射されたラインレーザー光Lを示す第二の直線として特定する(割り当て)。又、直線特定部203は、第二の物体14の上面14cの領域として予め指定された第三の指定領域R3に存在する複数の線分を、当該第二の物体14の上面14cに照射されたラインレーザー光Lを示す第三の直線403として特定し、第二の物体14の斜面14dの領域として予め指定された第四の指定領域R4に存在する複数の線分を、当該セグメント14の斜面14dに照射されたラインレーザー光Lを示す第四の直線404として特定する。
ここで、クラスタリングを行う方法として、特に限定は無く、例えば、k-means法等を挙げることが出来る。直線特定部203が線分を領域毎に分類する場合、例えば、線分の所定の座標値(例えば、Y座標値)と、重複しない各領域の座標値の範囲(Y座標値の範囲)とを比較し、線分の座標値が含まれる座標値の範囲の領域に当該線分を分類する。
尚、他の方法として、例えば、直線特定部203は、照射中画像400から、ラインレーザー光Lの色に対応する画素値の画素のみを抽出し、抽出した画素から、第一の指定領域R1に存在する画素を第一の直線401として特定する。第二の直線402、第三の直線403、第四の直線404も同様である。
これらの場合であっても、例えば、第一の指定領域R1と第二の指定領域R2との間に存在する線分を除外すると好ましい。尚、第二の指定領域R2と第三の指定領域R3との間に存在する線分や第三の指定領域R3と第四の指定領域R4との間に存在する線分も同様である。
さて、直線特定部203が直線の特定を完了すると、端末装置12の直線式算出部204は、特定された第一の直線401における2点以上の複数の点の2次元座標値から、当該第一の直線401の式を算出するとともに、特定された第二の直線402における2点以上の複数の点の2次元座標値から、当該第二の直線402の式を算出する(図3:S104)。
ここで、直線式算出部204が直線の式を算出する方法に特に限定は無い。例えば、図7に示すように、直線画像501において、特定された直線(例えば、第一の直線401)を構成する複数の線分(401a)のそれぞれには、2次元座標値を有する始点と終点の2点が存在する。そこで、直線式算出部204は、先ず、第一の直線401を構成する複数の線分401aのそれぞれの始点と終点の2点を取得し、取得した各線分401a毎の2点を集めた全ての点を第一の直線401における複数の点Aとし、第一の直線401における複数の点Aの2次元座標値(Xai、Yai)(i=1、2、3、、、)に回帰分析法(例えば、最小二乗法)を行い、第一の直線401の式(回帰直線式)を算出する。これにより、第一の直線401の式を簡単に算出することが出来る。
第二の直線の式も同様であり、直線式算出部204は、第二の直線402を構成する複数の線分402aのそれぞれの始点と終点の2点を取得し、取得した各線分402a毎の2点を集めた全ての点を第二の直線402における複数の点Bとし、第二の直線402における複数の点Bの2次元座標値(Xbj、Ybj)(j=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第二の直線402の式(回帰直線式)を算出する。
尚、本発明の実施形態では、第三の直線403も使用するため、直線式算出部204は、第三の直線403を構成する複数の線分403aのそれぞれの始点と終点の2点を取得し、取得した各線分403a毎の2点を集めた全ての点を第三の直線403における複数の点Cとし、第三の直線403における複数の点Cの2次元座標値(Xci、Yci)(k=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第三の直線403の式(回帰直線式)を算出する。必要に応じて、同様の方法により、第四の直線404の式を算出しても良い。
尚、他の方法として、直線特定部203が、複数の線分で構成される直線でなく、複数の画素として検出した場合は、直線式算出部204は、検出された線分上の複数の画素を2点以上の複数の点とし、複数の点の2次元座標値に回帰分析法を行い、当該直線の式を算出すれば良い。
さて、直線式算出部204が直線の式の算出を完了すると、端末装置12の換算係数算出部205は、第二の直線402上、又は、当該第二の直線402と平行な位置に存在し、既知の寸法を有する既知線を特定し、特定した既知線の寸法を当該既知線の画像内の長さで除算した換算係数を算出する(図3:S105)。
ここで、換算係数算出部205が換算係数を算出する方法に特に限定は無い。例えば、既知線が、第二の物体14の側面14bの上端点から下端点までの直線である場合、丁度、第二の物体14の厚みt(高さ)に相当する。ここで、第二の物体14は、側面14bと上面14cとの角が面取りされていることから、換算係数算出部205は、図8に示すように、直線画像501において、第二の物体14の側面14bの第二の直線402の式と第二の物体14の上面14cの第三の直線403の式から、第二の直線402と第三の直線403との交点Pの2次元座標値(Xp、Yp)を算出する。この交点Pが、第二の直線402上における第二の物体14の厚みtの上端点に対応する。
次に、換算係数算出部205は、第二の直線402の最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)を算出する。この最下点Qが、第二の直線402上における第二の物体14の厚みtの下端点に対応する。
そして、換算係数算出部205は、交点P(上端点)の2次元座標値(Xp、Yp)から最下点Q(下端点)の2次元座標値(Xq、Yq)との間の距離を、既知線の画像内の長さdとして算出する。既知線の寸法tが既知であり、既知線の寸法tは、既知線の画像内の長さdに対応することから、換算係数算出部205は、既知線の寸法tを既知線の画像内の長さdで除算した除算値を換算係数αとして算出する。これにより、直線画像501における第二の直線402上の長さを現実の寸法に簡単に換算することが出来る。
尚、上述では、第二の物体14の厚みtを既知線としたが、既知線の構成に特に限定は無く、例えば、既知の寸法を有し、第二の直線402上に存在するか、第二の直線402と平行に存在する線状、多角形状のものであれば、特に限定は無い。
さて、換算係数算出部205が換算係数の算出を完了すると、端末装置12のクリアランス算出部206は、第二の直線402上における所定の点と、第一の直線401と第二の直線402との交点Rとの間で、クリアランスCを含む部分を特定し、特定した部分の画像内の長さに換算係数αを乗算した乗算値を用いて、クリアランスCの計測値を算出する(図3:S106)。
ここで、クリアランス算出部206がクリアランスCを算出する方法に特に限定は無い。例えば、クリアランス算出部206は、図8に示すように、第一の直線401の式と第二の直線402の式とから、第一の直線401と第二の直線402との交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)を算出する。この交点Rが、第二の直線402上における第一の物体13の上面13aの交点に対応する。
次に、第二の直線402上におけるクリアランスCは、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの下端点Qと第一の物体13の上面13aの交点Rとの間隔に相当するから、クリアランス算出部206は、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの下端点Qと、第一の物体13の上面13aの交点Rとの間隔をクリアランスCの部分として特定する。そして、クリアランス算出部206は、下端点Qの2次元座標値(Xq、Yq)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離を、クリアランスCの長さcとして算出し、算出したクリアランスCの長さcに換算係数αを乗算した乗算値をクリアランスCの計測値として算出する。これにより、ラインレーザー光Lの画像から簡単にクリアランスCを計測することが可能となる。
ところで、上述では、第二の物体14の厚みtを既知線としたが、既知の寸法を有する第二の直線402上の直線、又は第二の直線402と平行な線状のものであれば、特に限定は無い。例えば、第二の物体14の側面14bの所定の部分の寸法を既知線としても良い。第二の物体14は、その種類によって、上述の他に、図9Aに示すように、第二の物体14の側面14bと上面14cとの角が面取りされ、第一の斜面14dが形成されるとともに、第二の物体14の側面14bと下面14aとの角が面取りされ、第二の斜面14eが形成されている場合もある。この場合、照射中画像400では、ラインレーザー光Lの第一の直線401、第二の直線402、第三の直線403、第四の直線404の他に、第二の物体14の第二の斜面14eにラインレーザー光Lの第五の直線405が写る。
そこで、換算係数算出部205は、第二の物体14の側面14bの第二の直線402の式と第二の物体14の第一の斜面14dの第四の直線404の式から、第二の直線402と第四の直線404との交点P1の2次元座標値(Xp1、Yp1)を算出する。この交点P1は、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの上端点に対応する。次に、換算係数算出部205は、第二の物体14の側面14bの第二の直線402の式と第二の物体14の第二の斜面14eの第五の直線405の式から、第二の直線402と第五の直線405との交点P2の2次元座標値(Xp2、Yp2)を算出する。この交点P2は、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの下端点に対応する。そして、換算係数算出部205は、交点P1の2次元座標値(Xp1、Yp1)と交点P2の2次元座標値(Xp2、Yp2)との間の距離を、第二の物体14の側面14bの寸法sに対応する既知線の画像内の長さdとして算出する。第二の物体14の側面14bの寸法sは、例えば、第二の物体14の厚みtから、第一の斜面14dの高さh1と第二の斜面14eの高さh2とを減算した減算値として算出することが出来るから、換算係数算出部205は、既知線の寸法sを既知線の画像内の長さdで除算した除算値を換算係数αとして算出する。このように、第二の直線402上の直線に既知線があれば、どのような線でも良く、その他に、例えば、第二の物体14の側面14bに予め設けられた、既知の寸法を有するスケールやマーカーであっても構わない。
さて、上述のように、第二の物体14の側面14bの下方の角が面取りされている場合は、照射中画像400に、第二の直線402上における第二の物体14の厚みtの下端点(第二の物体14の下面14aの端部)が写っていない可能性が高いため、テールクリアランスCの計測値は、下記のように算出される。即ち、クリアランス算出部206は、図9Bに示すように、第一の直線401の式と第二の直線402の式とから、第一の直線401と第二の直線402との交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)を算出する。
ここで、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの下端点P2と第一の物体13の上面13aの交点Rとの間隔は、クリアランスCを含む部分であり、第二の直線402上におけるクリアランスCは、この間隔から第二の斜面14eの高さh2を減算した減算値に相当する。そこで、クリアランス算出部206は、第二の直線402上における第二の物体14の側面14bの下端点P2と、第一の物体13の上面13aの交点Rとの間隔を、クリアランスCを含む部分として特定する。そして、クリアランス算出部206は、下端点P2の2次元座標値(Xp2、Yp2)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離を、クリアランスCを含む部分の画像内の長さdとして算出し、算出した、クリアランスCを含む部分の画像内の長さdに換算係数αを乗算した乗算値を上述の間隔Xとして算出し、算出した間隔Xから第二の斜面14eの高さh2を減算した減算値をクリアランスCの計測値として算出する。これにより、ラインレーザー光Lの画像から簡単にクリアランスCを計測することが可能となる。
その他に、例えば、図10Aに示すように、第二の物体14の側面14bと平行な線状のマークMが設けられ、マークMの長手方向の寸法mが既知の寸法である場合、このマークMを既知線として用いても良い。この場合、照射中画像400では、ラインレーザー光Lの第一の直線401、第二の直線402、第三の直線403が写るが、第二の直線402は、マークMと重複すると、第二の物体14の上下方向の厚みtを既知線とする方法と同等になるが、第二の直線402がマークMと重複しない場合は、下記のようになる。
換算係数算出部205は、先ず、照射中画像400において、マークMの上端点M1(Xm1、Ym1)と、下端点M2(Xm2、Ym2)とを算出する。マークMの上端点M1と下端点M2は、マークMの長手方向の寸法mに対応するように、相互に対面する位置の点となる。図10Aでは、マークMの上端点M1と下端点M2は、右側の上端点と右側の下端点が選定されている。次に、換算係数算出部205は、マークMの上端点M1の2次元座標値(Xm1、Ym1)と、マークMの下端点M2の2次元座標値(Xm2、Ym2)との間の距離を、マークMの長手方向の寸法mに対応する既知線の画像内の長さdとして算出する。そして、換算係数算出部205は、既知線の寸法mを既知線の画像内の長さdで除算した除算値を換算係数αとして算出する。このように、第二の直線402と平行な既知線であっても、換算係数αを算出することが出来る。この後、クリアランス算出部206は、第一の直線401と第二の直線402との交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)を算出し、第二の物体14の側面14bの下端点Qの2次元座標値(Xq、Yq)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離を、クリアランスCの長さcとして算出し、算出したクリアランスCの長さcに換算係数αを乗算した乗算値をクリアランスCの計測値として算出すれば良い。
更に、例えば、図10Bに示すように、第二の物体14の側面14bの上下方向に沿って二つのマークM1、M2が設けられ、2つのマークM1、M2の長手方向の間隔mが既知の寸法である場合であっても、同様である。
即ち、換算係数算出部205は、照射中画像400において、上方の第一のマークM1の上端点M11(Xm11、Ym11)と、下方の第二のマークM2の下端点M21(Xm21、Ym21)とを算出する。第一のマークM1の上端点M11と第二のマークM2の下端点M21とは、2つのマークM1、M2の長手方向の間隔mに対応するように、相互に対面する位置の点とし、図10Bでは、第一のマークM1の上端点M11と第二のマークM2の下端点M21とは、第一のマークM1の左側の上端点と第二のマークM2の左側の下端点が選定される。次に、換算係数算出部205は、第一のマークM1の上端点M11の2次元座標値(Xm11、Ym11)と、第二のマークM2の下端点M21の2次元座標値(Xm21、Ym21)との間の距離を、2つのマークM1、M2の長手方向の間隔mに対応する既知線の画像内の長さdとして算出する。そして、換算係数算出部205は、既知線の寸法mを既知線の画像内の長さdで除算した除算値を換算係数αとして算出する。このように、第二の直線402と平行で、間隔が既知の二つのマークであっても、換算係数αを算出することが出来る。この後、クリアランス算出部206は、上述と同様の方法により、クリアランスCの計測値を算出すれば良い。
さて、クリアランス算出部206がクリアランスCの計測値の算出を完了すると、端末装置12は、出力部(液晶ディスプレイ)を介して算出されたクリアランスCの計測値を表示する。これにより、計測者は、簡単な操作でクリアランスCの計測値を容易に確認することが可能となる。
<実施例>
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
図1~図2に基づいて本発明に係るクリアランス計測システム1を設計・作製した。先ず、平面状の薄肉の板材を第一の物体13とし、略直方体で厚みtが既知(360mm)のコンクリートブロックを第二の物体14とした。コンクリートブロック14の下面14aは平面状であり、コンクリートブロック14の側面14bは、下面14aに対して直角であり、コンクリートブロック14の上面14cは、下面14aに対して平行である。
板材13の上面13aとコンクリートブロック14の下面14aとの間に略直方体の隙間ブロックを設け、板材13の上面13aとコンクリートブロック14の下面14aとの間にクリアランスCを設けた。隙間ブロックの厚みは、50mmであり、これをクリアランスCの設定値にした。
先ず、クリアランス計測システム1のラインレーザー照射部201は、板材13の上面13aとコンクリートブロック14の側面14bとの間にラインレーザー光Lを横切らせて照射し、クリアランス計測システム1の画像撮影部202は、図11Aに示すように、ラインレーザー光Lが照射された状態の板材13の上面13aとコンクリートブロック14の側面14bとを含む照射中画像1100を撮影した。
次に、直線特定部203は、ラインレーザー光Lを示す直線を簡単に特定するために、ラインレーザー照射部201によるラインレーザー光Lの照射を停止させるとともに、図11Aに示すように、画像撮影部202により、ラインレーザー光Lが照射されていない状態の板材13の上面13aとコンクリートブロック14の側面14bとを含む照射前画像1101を撮影させた。そして、直線特定部203は、図11Bに示すように、照射中画像1100と照射前画像1101との差分で構成される差分画像1102を直線画像として生成した。更に、直線特定部203は、直線画像1102に対して直線検出処理(Hough変換処理)を行い、直線画像1102中の直線を構成する複数の線分を検出し、直線画像1102の座標系における線分についてクラスタリングを行い、第一の直線1103と、第二の直線1104と、第三の直線1105とをそれぞれ特定した。尚、板材13の厚みは薄いことから、板材13を載置した床面を板材13の上面13aとみなして、第一の直線803を特定した。
次に、直線式算出部204は、第一の直線1103を構成する複数の線分の始点と終点2点を取得し、取得した各線分毎の2点を集めた全ての点を第一の直線における複数の点Aとし、図12に示すように、第一の直線1103における複数の点Aの2次元座標値(Xai、Yai)(i=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第一の直線1103の式(回帰直線式y=-1.1244x+2771.6)を算出した。又、直線式算出部204は、第二の直線1104を構成する複数の線分の始点と終点の2点を取得し、取得した各線分毎の2点を集めた全ての点を第二の直線1104における複数の点Bとし、第二の直線1104における複数の点Bの2次元座標値(Xbj、Ybj)(j=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第二の直線1104の式(回帰直線式y=-0.2054x+852.51)を算出した。更に、直線式算出部204は、第三の直線1105を構成する複数の線分の始点と終点の2点を取得し、取得した各線分毎の2点を集めた全ての点を第三の直線1105における複数の点Cとし、第三の直線805における複数の点Cの2次元座標値(Xck、Yck)(k=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第三の直線1105の式(回帰直線式y=-1.2257x+3391.6)を算出した。
ここで、既知線は、図13に示すように、コンクリートブロック14の側面14bの上端点Pから下端点Qまでの直線を示すコンクリートブロック14の厚みtであり、上端点Pが第二の直線1104と第三の直線1105との交点であるため、換算係数算出部205は、第二の直線1104の式と第三の直線1105の式とから、交点Pの2次元座標値(Xp、Yp)(=2488.64,341.24)を算出した。次に、換算係数算出部205は、第二の直線1104上の最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)(=2134.46,414.00)を算出した。そして、換算係数算出部205は、交点Pの2次元座標値(Xp、Yp)と最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)との間の距離を、既知線の画像内の長さd(=361.57)として算出した。更に、換算係数算出部205は、既知線の厚みt(360mm)を既知線の画像内の長さd(361.57)を除算した除算値を換算係数α(=0.995634)(mm/-)として算出した。
次に、クリアランス算出部206は、第一の直線1103の式と第二の直線1104の式とから、第一の直線1103と第二の直線1104との交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)(=2088.34,423.48)を算出し、最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離を、クリアランスCの画像内の長さc(=47.09)として算出し、クリアランスCの画像内の長さcに換算係数αを乗算した乗算値(46.88mm)をクリアランスCの計測値として算出した。
ここで、隙間ブロックの寸法が50.00mmであり、この値が板材13とコンクリートブロック14とのクリアランスCの設定値とすると、算出したクリアランスCの計測値が46.00mmであり、設定値と計測値との差分は4.00mmとなり、測定精度が高いことが確認出来た。
<実施例2>
実施例1のクリアランス計測システム1を用いて、2つのマークM1、M2を第二の物体14の側面14bの上下方向に沿って設けた場合の第一の物体13と第二の物体14との間のクリアランスCを計測した。第一の物体13と第二の物体14との配置は、実施例1と同様である。図14に示すように、第一のマークM1の右側の下端点と、第二のマークM2の右側の下端点との間の長手方向の間隔mが既知の寸法とした。次に、第一の物体13の上面13aに写った第一の直線1401と、第二の物体14の側面14bに写った第二の直線1402と、第二の物体14の上面14cに写った第三の直線1403とを特定した。そして、第一の直線1401の式と第二の直線1402の式とを算出し、第一のマークM1の右側の下端点と、第二のマークM2の右側の下端点との間の距離を、既知線の画像内の長さdとして算出し、既知線の寸法mを既知線の画像内の長さdで除算した換算係数を算出した。更に、第一の直線1401と第二の直線1402との交点Rを算出し、第二の物体14の側面14bの下端点Qの2次元座標値(Xq、Yq)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離を、クリアランスCの長さcとして算出し、算出したクリアランスCの長さcに換算係数αを乗算した乗算値をクリアランスCの計測値として算出した。
ここで、第一の物体13と第二の物体14との間のクリアランスCが43.00mmと設定された場合、条件によるものの、クリアランスCの計測値は43.49mmであり、設定値と計測値との差分は0.49mmとなり、測定精度が高いことが確認出来た。
<実施例3>
実施例1のクリアランス計測システム1を用いて、シールドマシン(シールド掘削機)とセグメントのクリアランスC(テールクリアランス)を計測した。図15に示すように、シールドマシン2の前胴部20の内壁20aに、L字状の取付治具20bを介して、ラインレーザー10とカメラ11とを据え付け、ラインレーザー10とカメラ11とは、ケーブルを介して端末装置(図示せず)に接続した。
先ず、シールドマシン2のテール部21を第一の物体13とし、テール部21の内側に位置するセグメント22を第二の物体14とした。テール部21の内周面21aは、軸方向に対して平行であり、セグメント22の外周面22aは、テール部21の内周面21aに対して平行である。セグメント22の側面22bは、外周面22aに対して直角に設けられ、セグメント22の内周面22cは、外周面22aに対して平行である。尚、セグメント22の側面22bと上面22cとの角は、面取りされ、斜面22dが形成されている。セグメント22の側面22bの上端点から下端点までの直線(セグメント厚)が既知線であり、その寸法は350.00mmである。
テール部21の内周面21aとセグメント22の外周面22aとの間にクリアランスCが設けられており、その寸法は、50.00mmであり、これをクリアランスCの設定値にした。
先ず、クリアランス計測システム1のラインレーザー照射部201は、テール部21の内周面21aとセグメント22の外周面22aとの間にラインレーザー光Lを横切らせて照射し、画像撮影部202は、図16Aに示すように、ラインレーザー光Lが照射された状態のテール部21の内周面21aとセグメント22の外周面22aとを含む照射中画像1600を撮影した。
次に、直線特定部203は、ラインレーザー照射部201によるラインレーザー光Lの照射を停止させ、図16Aに示すように、画像撮影部202により、ラインレーザー光Lが照射されていない状態のテール部21の内周面21aとセグメント22の外周面22aとを含む照射前画像1601を撮影させた。そして、直線特定部203は、図16Bに示すように、照射中画像1600と照射前画像1601との差分で構成される差分画像1602を直線画像として生成した。次に、直線特定部203は、直線画像1602に対して直線検出処理(Hough変換処理)を行い、直線画像1602中の直線を構成する複数の線分を検出し、テール部21の内周面21aの領域として予め指定された第一の指定領域R1に存在する複数の線分を第一の直線1603とし、セグメント22の側面22bの領域として予め指定された第二の指定領域R2に存在する複数の線分を第二の直線1604とし、セグメント22の上面22cの領域として予め指定された第三の指定領域R3に存在する複数の線分を第三の直線1605として特定した。
次に、直線式算出部204は、第一の直線1603を構成する複数の線分の始点と終点の2点を取得し、取得した各線分毎の2点の全てを第一の直線1603における複数の点Aとし、図17に示すように、第一の直線1603における複数の点Aの2次元座標値(Xai、Yai)(i=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第一の直線1603の式(回帰直線式y=-1.3681x+2663)を算出した。又、直線式算出部204は、第二の直線1604を構成する複数の線分の始点と終点の2点を取得し、取得した各線分毎の2点を集めた全ての点を第二の直線1604における複数の点Bとし、第二の直線1604における複数の点Bの2次元座標値(Xbj、Ybj)(j=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第二の直線1604の式(回帰直線式y=11.385x-13481)を算出した。更に、直線式算出部204は、第三の直線1605を構成する複数の線分の始点と終点の2点を取得し、取得した各線分毎の2点を集めた全ての点を第三の直線1605における複数の点Cとし、第三の直線1605における複数の点Cの2次元座標値(Xck、Yck)(k=1、2、3、、、)に回帰分析法(最小二乗法)を行い、第三の直線1605の式(回帰直線式y=-0.5971x+1051.3)を算出した。
ここで、既知線は、図18に示すように、セグメント22の側面22bの上端点から下端点までの直線を示すセグメント厚であり、上端点Pが第二の直線1604と第三の直線1605との交点であるため、換算係数算出部205は、第二の直線1604の式と第三の直線1605の式とから、交点Pの2次元座標値(Xp、Yp)(=1212.86、327.09)を算出した。次に、換算係数算出部205は、第二の直線1604上の最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)(=1259.23、855.00)を算出した。そして、換算係数算出部205は、交点Pの2次元座標値(Xp、Yp)と最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)との間の距離を既知線の画像内の長さd(=530.00)として算出した。更に、算係数算出部205は、既知線の厚みt(350.00mm)を既知線の画像内の長さd(529.94)を除算した除算値を換算係数α(=0.660443)(mm/-)として算出した。
次に、クリアランス算出部206は、第一の直線1603の式と第二の直線1604の式とから、第一の直線1603と第二の直線1604との交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)(=1265.91、931.06)を算出し、最下点Qの2次元座標値(Xq、Yq)と交点Rの2次元座標値(Xr、Yr)との間の距離をクリアランスCの画像内の長さc(=76.36)として算出し、クリアランスCの画像内の長さcに換算係数αを乗算した乗算値(50.00mm)をクリアランスCの計測値として算出した。
ここで、クリアランスCの設定値が50.00mmであり、算出したクリアランスCの計測値が50.43mmであり、設定値と実測値との差分は0.43mmとなり、極めて測定精度が高いことが確認出来た。
このように、本発明では、二つの物体の間のクリアランスを簡単に、且つ、精度高く計測することが可能であり、一般的な構造物、建築物、機器装置、地盤、道路、車輌、鉄道等、二つの物体の間のクリアランスを計測する計測分野、土木技術分野、測量分野等で応用することが出来る。
本発明では、端末装置12が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを所定の処理装置に読み出させ、当該処理装置が各部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。更に、各部が実行するステップを本発明の位置計測方法として提供することも可能である。