JP2022082062A - 二次電池 - Google Patents

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真理 川渕
Mari Kawabuchi
哲 高市
Satoru Takaichi
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Abstract

【課題】硫黄を含有する材料を用いた二次電池において、電池の製造後の保管時や定常運転時における硫化水素の発生を防止しうる手段を提供する。【解決手段】正極と、負極と、これらの間に介在する固体電解質層とを含む発電要素を有する二次電池において、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む固体電解質層の少なくとも一部に、あるいは、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む正極活物質層の少なくとも一部に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を設ける。【選択図】図3

Description

本発明は、二次電池に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池などの非水電解質二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギーを有することが求められている。したがって、現実的な全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
ここで、現在一般に普及しているリチウムイオン二次電池は、電解質に可燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウムイオン二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められる。
そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池等の全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、全固体リチウムイオン二次電池においては、従来の液系リチウムイオン二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材料、大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な向上が図れる。硫黄単体(S)や硫化物系材料からなる正極活物質や、硫黄を含有する固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池は、その有望な候補である。
ところで、硫黄を含有する材料を用いた全固体電池においては、硫黄成分と水分とが反応して硫化水素(HS)が発生する場合がある。硫化水素には独特の刺激臭があるほか、硫化水素が電池の外装体(ラミネートパック)から流出した場合には、電池モジュール内の金属部品(接続部材など)を腐食させる虞もある。接続部材などの金属部品に腐食が発生すると接触抵抗が増大し、電池モジュールの出力特性や信頼性が低下するという問題がある。
ここで、特許文献1には、電池ケースの破損時などにおける硫化物固体電解質からの硫化水素の発生を防止することを目的とした技術が開示されている。具体的に、特許文献1に記載の技術では、密閉型電池ケース内で、硫化物系固体電解質膜と反応しない性質を有する流動性封止剤(例えば、流動パラフィン)に発電要素を浸漬させている。そして、前記密閉型電池ケースが破損した際に当該流動性封止剤を固化させる固化手段(金属アルコキシドなどの固化剤)を隔離部材を介して電池ケース内に配置しておくことで、電池ケースの破損時には電池ケースに加わる衝撃に応答して固化剤と流動性封止剤とを反応させて、硫化物固体電解質からの硫化水素の発生を防止している。
特開2009-193729号公報
特許文献1に記載の技術によれば、電池ケースの破損時における硫化水素の発生をある程度防止することが可能である。その一方で、特許文献1に記載の技術では、電池ケースが破損していない、二次電池の製造後の保管時や定常運転時における硫化水素の発生を防止することはできないという問題がある。ここで、二次電池の製造後の保管時や定常運転時においても硫化水素の発生を防止しておくことが好ましいことに変わりはない。
そこで本発明は、硫黄を含有する材料を用いた二次電池において、電池の製造後の保管時や定常運転時における硫化水素の発生を防止しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む固体電解質層の少なくとも一部に、あるいは、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む正極活物質層の少なくとも一部に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を設けることにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、固体電解質を含む固体電解質層とを有する発電要素を備える二次電池が提供される。そして、当該二次電池においては、前記固体電解質層が、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有するか、あるいは、前記正極活物質層が、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有する点に特徴がある。
本発明に係る二次電池に存在する硫化水素発生防止領域は、硫黄に対する酸素の原子比率(O/S比)が3.0以上であることにより、水分に対して安定であり、硫化水素を発生しにくい組成となっている。このため、本発明に係る二次電池によれば、二次電池の製造後の保管時や定常運転時における硫化水素の発生が防止される。その結果、硫化水素の発生に伴う二次電池の出力特性や信頼性の低下もまた、防止されうる。
図1は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である扁平積層型電池の外観を表した斜視図である。 図2は、図1に示す2-2線に沿う断面図である。 図3は、図1および図2に示す積層型電池の発電要素を構成する単電池層の拡大断面図である。 図4は、本発明の他の実施形態に係る積層型電池10aの発電要素21を構成する単電池層19の拡大断面図である。 図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る積層型電池10aの発電要素21を構成する単電池層19の拡大断面図である。 後述する実験例1において硫化水素の発生挙動を分析した結果を示すグラフである。 後述する実験例3において硫化水素の発生挙動を分析した結果を示すグラフである。
本発明の一形態は、正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、固体電解質を含む固体電解質層とを有する発電要素を備え、前記固体電解質層が、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有するか、あるいは、前記正極活物質層が、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有する、二次電池である。
以下、図面を参照しながら、上述した本形態の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明に係る二次電池の一実施形態である扁平積層型全固体電池の外観を表した斜視図である。図2は、図1に示す2-2線に沿う断面図である。積層型とすることで、電池をコンパクトにかつ高容量化することができる。なお、本明細書においては、図1および図2に示す扁平積層型の双極型でない全固体リチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明する。ただし、本形態に係る全固体電池の内部における電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用しうるものである。
図1に示すように、積層型電池10aは、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための負極集電板25、正極集電板27が引き出されている。発電要素21は、積層型電池10aの電池外装材(ラミネートフィルム29)によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、負極集電板25および正極集電板27を外部に引き出した状態で密封されている。
なお、本形態に係る全固体電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型の全固体電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材にラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムを含むラミネートフィルムの内部に収容される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図1に示す集電板(25、27)の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。負極集電板25と正極集電板27とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、負極集電板25と正極集電板27をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図1および図2に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
図2に示すように、本実施形態の積層型電池10aは、実際に充放電反応が進行する扁平略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、固体電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。本実施形態において、固体電解質層17は、硫化物固体電解質の1種であるアルジロダイト型硫化物固体電解質(LiPSCl)を含んでいる。負極は、負極集電体11’の両面に負極活物質(ここでは、金属リチウム(Li))を含有する負極活物質層13が配置された構造を有する。正極は、正極集電体11”の両面に正極活物質(ここでは、硫黄単体(S))を含有する正極活物質層15が配置された構造を有する。具体的には、1つの負極活物質層13とこれに隣接する正極活物質層15とが、固体電解質層17を介して対向するようにして、負極、固体電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する負極、固体電解質層および正極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図2に示す積層型電池10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。
図2に示すように、発電要素21の両最外層に位置する最外層負極集電体には、いずれも片面のみに負極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。
負極集電体11’および正極集電体11”は、各電極(正極および負極)と導通される負極集電板(タブ)25および正極集電板(タブ)27がそれぞれ取り付けられ、電池外装材であるラミネートフィルム29の端部に挟まれるようにしてラミネートフィルム29の外部に導出される構造を有している。負極集電板25および正極集電板27はそれぞれ、必要に応じて負極リードおよび正極リード(図示せず)を介して、各電極の負極集電体11’および正極集電体11”に超音波溶接や抵抗溶接などにより取り付けられていてもよい。
図3は、図1および図2に示す積層型電池10aの発電要素21を構成する単電池層19の拡大断面図である。
本実施形態においては、図2および図3に示すように、固体電解質層17の外周縁部の全周にわたって、硫化水素発生抑制領域18が設けられている(なお、硫化水素発生抑制領域18の詳細については、後述する)。ここで、この硫化水素発生抑制領域18は、固体電解質層17の外周縁部において、負極活物質層13から正極活物質層15まで積層方向に連続的に設けられている。その結果、硫化水素発生抑制領域18は負極活物質層13および正極活物質層15の双方に隣接し、固体電解質層17と同等の厚みを有する硫化水素発生抑制層として配置されていることになる。また、本実施形態において、硫化水素発生抑制領域(硫化水素発生抑制層)18は、固体電解質層17の外周縁部の全周にわたって設けられている。これにより、固体電解質層17の外周縁部の全周にわたって、硫化物固体電解質が水分等と反応することによる硫化水素の発生が効果的に防止されうる。
本実施形態に係る積層型電池10aにおいて、負極活物質層13の外周端は、発電要素21を平面視した際に、固体電解質層17の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18と重複するように構成されている。ここで、本明細書において、平面視においてある端部がある領域と「重複する」とは、当該端部が、平面視において、当該領域の外周端と内周端との間に位置することを意味する。したがって、本実施形態に係る積層型電池10aにおいて、負極活物質層13の外周端は、発電要素21を平面視した際に、硫化水素発生抑制領域18の外周端よりも内側に位置するとともに、硫化水素発生抑制領域18の内周端よりも外側に位置することになる。負極活物質層13の外周端が硫化水素発生抑制領域18の外周端よりも内側に位置することで、電池の製造時における負極活物質層13の外周端を経由した短絡の発生が効果的に防止されうる。一方、負極活物質層13の外周端が硫化水素発生抑制領域18の内周端よりも外側に位置することで、電池の運転時におけるデンドライトの成長に起因する内部短絡の発生が効果的に防止されうる。
本実施形態に係る積層型電池10aにおいては、正極活物質層15の外周端もまた、発電要素21を平面視した際に、固体電解質層17の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18と重複するように構成されている。正負極間における反応は主として固体電解質層17の中央部(硫化水素発生抑制領域18以外の領域)において進行する。このため、正極活物質層15の外周端が硫化水素発生抑制領域18の内周端よりも外側に位置することで、有効電極面積を最大限に確保することができ、電池容量の低下を防止することができる。
また、本実施形態に係る積層型電池10aにおいて、正極活物質層15の外周端は、発電要素21を平面視した際に、負極活物質層13の外周端よりも内側に位置するように構成されている。正極活物質層15の外周端が負極活物質層13の外周端よりも内側に位置することで、電極反応に関与しにくい正極活物質層15の領域を最小限に抑えることができ、やはり電池容量の低下を防止することができる。
なお、硫化水素発生抑制領域は、図3に示すように負極活物質層15から正極活物質層13まで積層方向に連続的に設けられていてもよいが、積層方向の一部のみに設けられていてもよい。
図3に示す実施形態は、固体電解質層17が硫化物固体電解質を含む場合に、当該固体電解質層17の一部に硫化水素発生抑制領域18を設けたものである。本発明によれば、正極活物質層15に硫化水素発生抑制領域18が設けられる形態もまた提供される。具体的には、正極活物質層15が硫黄を含有する材料を含む場合に、硫化水素発生抑制領域18を当該正極活物質層15に設けることで、正極活物質層15における硫化水素の発生を防止することができる。
図4は、本発明の他の実施形態に係る積層型電池10aの発電要素21を構成する単電池層19の拡大断面図である。
本実施形態においては、図4に示すように、正極活物質層15の外周縁部の全周にわたって、硫化水素発生抑制領域18が設けられている。ここで、この硫化水素発生抑制領域18は、正極活物質層15の外周縁部において、固体電解質層17から正極集電体11”まで積層方向に連続的に設けられている。その結果、硫化水素発生抑制領域18は固体電解質層17および正極集電体11”の双方に隣接し、正極活物質層15と同等の厚みを有する硫化水素発生抑制層として配置されていることになる。また、本実施形態において、硫化水素発生抑制領域(硫化水素発生抑制層)18は、正極活物質層15の外周縁部の全周にわたって設けられている。これにより、正極活物質層15の外周縁部の全周にわたって、正極活物質である硫黄単体(S)や、正極活物質層15に含まれる硫化物固体電解質が水分等と反応することによる硫化水素の発生が効果的に防止されうる。
上述した硫化水素発生抑制領域18は、固体電解質層17および正極活物質層15の双方に設けられていてもよい。図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る積層型電池10aの発電要素21を構成する単電池層19の拡大断面図である。
本実施形態においては、図5に示すように、固体電解質層17の外周縁部および正極活物質層15の外周縁部の全周にわたって、硫化水素発生抑制領域18が設けられている。これにより、固体電解質層17および正極活物質層15の外周縁部の全周にわたって、各層に含まれる硫化物固体電解質や、正極活物質層15に含まれる硫黄単体(S)が水分等と反応することによる硫化水素の発生が効果的に防止されうる。
また、本実施形態において、正極活物質層15の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18の内周端は、発電要素21を平面視した際に、固体電解質層17の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18と重複するように構成されている。すなわち、正極活物質層15の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18の内周端は、発電要素21を平面視した際に、固体電解質層17の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18の内周端よりも外側に位置している。正負極間における反応は主として固体電解質層17の中央部(硫化水素発生抑制領域18以外の領域)において進行する。このため、正極活物質層15の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18の内周端が固体電解質層17の外周縁部に存在する硫化水素発生抑制領域18の内周端よりも外側に位置することで、有効電極面積を最大限に確保することができ、電池容量の低下を防止することができる。
以下、本形態に係る二次電池の主要な構成部材について説明する。
[集電体]
集電体は、正極活物質層と接する一方の面から、負極活物質層と接する他方の面へと電子の移動を媒介する機能を有する。集電体を構成する材料に特に制限はない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材などが用いられてもよい。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、後者の導電性を有する樹脂としては、非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、集電体の全質量100質量%に対して5~80質量%である。
なお、集電体は、単独の材料からなる単層構造であってもよいし、あるいは、これらの材料からなる層を適宜組み合わせた積層構造であっても構わない。集電体の軽量化の観点からは、少なくとも導電性を有する樹脂からなる導電性樹脂層を含むことが好ましい。また、単電池層間のリチウムイオンの移動を遮断する観点からは、集電体の一部に金属層を設けてもよい。
[負極活物質層]
負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含む。高い電池容量を達成可能であるという観点から、負極活物質は、金属リチウム(Li)またはリチウム含有合金を必須に含むことが好ましい。これらの負極活物質の種類としては、特に制限されないが、リチウム含有合金としては、例えば、リチウムと、リチウムと合金化しうる材料の少なくとも1種との合金が挙げられる。ここで、リチウムと合金化しうる材料としては、例えば、Si、Au、In、Ge、Sn、Pb、Al、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、リチウムと合金化しうる材料は、Si、Au、In、Ge、Sn、Pb、AlおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、Si、AuまたはInを含むことがより好ましい。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料や、Nb、LiTi12等の金属酸化物も用いられうる。
負極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられるが、薄膜状であることが好ましい。なお、負極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は、固体電解質をさらに含んでもよい。負極活物質層が固体電解質を含むことにより、負極活物質層のイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質や酸化物固体電解質が挙げられるが、硫化物固体電解質であることが好ましい。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P(LPS)、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS4、LiPS4、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-Z(ただし、m、nは正の数であり、Zは、Ge、Zn、Gaのいずれかである)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数であり、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれかである)等が挙げられる。なお、「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、例えば、LiPS骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよく、Li骨格を有していてもよい。LiPS骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LiI-LiPS、LiI-LiBr-LiPS4、LiPSが挙げられる。また、Li骨格を有する硫化物固体電解質としては、例えば、LPSと称されるLi-P-S系固体電解質(例えば、Li11)が挙げられる。また、硫化物固体電解質として、例えば、Li(4-x)Ge(1-x)(xは、0<x<1を満たす)で表されるLGPS等を用いてもよい。なかでも、活物質層に含まれる硫化物固体電解質は、P元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましい。さらに、硫化物固体電解質は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)を含有していてもよい。イオン伝導性に優れるという観点からは、好ましい一実施形態において、固体電解質は、LiS-P、Li11、Li3.20.96S、LiS-SiS、LiS-B、LiS-GeS、Li3.25Ge0.250.75、Li10GeP12およびLiPSX(Xは、Cl、BrまたはIである)からなる群から選択される硫化物固体電解質を含む。
なお、硫化物固体電解質がLiS-P系である場合、LiSおよびPの割合は、モル比で、LiS:P=50:50~100:0の範囲内であることが好ましく、なかでもLiS:P=70:30~80:20であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温(25℃)におけるイオン伝導度(例えば、Liイオン伝導度)は、例えば、1×10-5S/cm以上であることが好ましく、1×10-4S/cm以上であることがより好ましい。なお、固体電解質のイオン伝導度の値は、交流インピーダンス法により測定することができる。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等が挙げられる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LAGP)、一般式Li1+xAlTi2-x(PO(0≦x≦2)で表される化合物(LATP)等が挙げられる。また、酸化物固体電解質の他の例としては、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、薄膜形状等が挙げられる。固体電解質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、特に限定されないが、40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。一方、平均粒径(D50)は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
負極活物質層における固体電解質の含有量は、例えば、0~60質量%の範囲内であることが好ましく、0~50質量%の範囲内であることがより好ましい。
負極活物質層は、上述した負極活物質および固体電解質に加えて、従来公知の導電助剤およびバインダの少なくとも1つをさらに含有していてもよい。
導電助剤の形状は、粒子状または繊維状であることが好ましい。導電助剤が粒子状である場合、粒子の形状は特に限定されず、粉末状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であっても構わない。
導電助剤が粒子状である場合の平均粒子径(一次粒子径)は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましい。なお、本明細書中において、「導電助剤の粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「導電助剤の平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
負極活物質層が導電助剤を含む場合、当該負極活物質層における導電助剤の含有量は特に制限されないが、負極活物質層の合計質量に対して、好ましくは0~10質量%であり、より好ましくは2~8質量%であり、さらに好ましくは4~7質量%である。このような範囲であれば、負極活物質層においてより強固な電子伝導パスを形成することが可能となり、電池特性の向上に有効に寄与することが可能である。
一方、バインダとしては、特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
負極活物質層の厚さは、目的とする全固体電池の構成によっても異なるが、例えば、0.1~1000μmの範囲内であることが好ましい。なお、電池の作製時(完全放電状態)においては、負極活物質層は存在していなくてもよい。この場合には、負極集電体(例えば、上述した金属箔)が固体電解質層と隣接することとなる。
[正極活物質層]
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)またはリチウムを含有する硫黄の還元生成物(Li~LiSの各化合物のいずれか)が好ましく用いられる。ここで例えば、硫黄単体(S)は、1670mAh/g程度と極めて大きい理論容量を有し、低コストで資源が豊富であるという利点を備えている。この場合、全固体電池が充電状態で提供される場合には、正極活物質として硫黄単体(S)を含む。また、全固体電池が放電状態で提供される場合には、正極活物質としてリチウムを含有する硫黄の還元生成物(上述したLi~LiSの各化合物のいずれか)を含有する。
なお、正極活物質層は、上述した硫黄単体(S)またはリチウムを含有する硫黄の還元生成物(上述したLi~LiSの各化合物のいずれか)以外の正極活物質を含んでもよい。ただし、正極活物質層に含まれる正極活物質に占める硫黄単体またはリチウムを含有する硫黄の還元生成物の割合は、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%であり、さらに好ましくは90~100質量%であり、いっそう好ましくは95~100質量%であり、特に好ましくは98~100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
硫黄単体またはリチウムを含有する硫黄の還元生成物以外の正極活物質としては、例えば、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、ポリ硫化カーボン等が挙げられる。また、S-カーボンコンポジット、TiS、TiS、TiS、NiS、NiS、CuS、FeS、MoS、MoS等の無機硫黄化合物も用いられうる。さらに、硫黄を含まない正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、Li(Ni-Mn-Co)O等の層状岩塩型活物質、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO等のオリビン型活物質、LiFeSiO、LiMnSiO等のSi含有活物質等が挙げられる。また上記以外の酸化物活物質としては、例えば、LiTi12が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質の形状は、例えば、粒子状(球状、繊維状)、薄膜状等が挙げられる。正極活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、1nm~100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm~50μmの範囲内であり、さらに好ましくは100nm~20μmの範囲内であり、特に好ましくは1~20μmの範囲内である。なお、本明細書において、活物質の平均粒径(D50)の値は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、40~99質量%の範囲内であることが好ましく、50~90質量%の範囲内であることがより好ましい。
正極活物質層もまた、負極活物質層と同様に、固体電解質、導電助剤および/またはバインダをさらに含んでもよい。
[固体電解質層]
本形態に係る全固体電池の固体電解質層は、固体電解質を主成分として含有し、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在する層である。また、本形態に係る全固体電池の固体電解質層は、イオン伝導度および耐久性に優れるという観点から、硫化物固体電解質を必須に含むことが好ましく、この場合、その他の固体電解質を含んでもよい。ただし、固体電解質層に含まれる固体電解質に占める硫化物固体電解質の割合は、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%であり、さらに好ましくは90~100質量%であり、いっそう好ましくは95~100質量%であり、特に好ましくは98~100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。なお、固体電解質層に含有される硫化物固体電解質およびその他の固体電解質の具体的な形態については上述したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
固体電解質層における固体電解質の含有量は、例えば、10~100質量%の範囲内であることが好ましく、50~100質量%の範囲内であることがより好ましく、90~100質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
固体電解質層は、上述した固体電解質に加えて、バインダをさらに含有していてもよい。固体電解質層に含有されうるバインダの具体的な形態については上述したものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
固体電解質層の厚さは、目的とする全固体電池の構成によっても異なるが、例えば、1~1000μmの範囲内であることが好ましく、10~300μmの範囲内であることがより好ましい。
[硫化水素発生抑制領域]
上述したように、本形態に係る二次電池においては、固体電解質層がリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む場合に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域が当該固体電解質層の少なくとも一部に設けられている。あるいは、正極活物質層が硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む場合に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域が当該正極活物質層の少なくとも一部に設けられている。なお、本明細書において、固体電解質層や正極活物質層を構成する原子の種類およびその原子組成比率については、後述する実施例で用いられているようなX線光電子分光(XPS)法により測定される結果を採用するものとする。
本発明者らの検討によれば、上記O/S比が3.0以上である硫化物固体電解質または正極材料は、水分等と接触しても硫化水素をそれほど発生しないことが判明した。そのメカニズムは完全には明らかとはなっていないが、上記O/S比が3.0以上である硫化物固体電解質または正極材料の表面には比較的安定な皮膜が形成されていることで、水分との接触によっても硫化水素の発生が防止されているものと推測している。なお、本発明において、硫化水素発生抑制領域におけるO/S比の値は3.0以上であればよいが、硫化水素の発生をより効果的に抑制することが可能となるという観点から、O/S比の値は、好ましくは5.6以上であり、より好ましくは7.3以上であり、さらに好ましくは7.7以上である。一方、この値の上限値については特に制限はないが、通常は10.0以下であれば十分である。
上記O/S比が3.0以上である硫化物固体電解質または正極材料からなる硫化水素発生抑制領域を固体電解質層または正極活物質層の少なくとも一部に設ける手法について特に制限はなく、従来の技術常識が適宜参酌されうる。一例として、Li、PおよびSを含有する硫化物固体電解質(実際には不可避的に酸素(O)も含有している)に対して水蒸気曝露処理を施すという手法が挙げられる。このような手法によれば、Li、PおよびS(並びにO)を含有する硫化物固体電解質におけるO/S比の値を3.0以上にまで増大させることができる。なお、本発明者らの検討によれば、水蒸気曝露処理を施す前の硫化物固体電解質のO/S比は1.4程度であることが判明している。
したがって、本発明の他の形態によれば、水蒸気曝露処理によって上述した硫化水素発生抑制領域を形成することを含む二次電池の製造方法もまた、提供される。すなわち、本発明の他の形態は、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む固体電解質層前駆体、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質または前記硫化物固体電解質を含む正極活物質層前駆体を水蒸気に曝露することにより、あるいは、前記固体電解質層前駆体および前記正極活物質層前駆体を含む発電要素を水蒸気に曝露することにより、前駆体の少なくとも一部に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を設けることを含む、二次電池の製造方法に関する。本明細書では、水蒸気曝露処理によって硫化水素発生抑制領域が形成される前の(原料である)固体電解質層を「固体電解質層前駆体」と称する。同様に、水蒸気曝露処理によって硫化水素発生抑制領域が形成される前の(原料である)正極活物質層を「正極活物質層前駆体」と称する。
本形態に係る二次電池の製造方法において、水蒸気曝露処理の具体的な条件については特に制限はないが、例えば、水蒸気雰囲気下に原料である固体電解質層前駆体または正極活物質層前駆体を静置したり、水蒸気流中に原料である固体電解質層前駆体または正極活物質層前駆体を配置したりすればよい。なお、このような操作によって固体電解質層前駆体や正極活物質層前駆体の外周縁部にのみ硫化水素発生抑制領域を形成したい場合には、硫化水素発生抑制領域を形成したくない領域(例えば、各層の中央部の領域)に対応する部位にマスクを配置した状態で上述の水蒸気曝露処理を施せばよい。また、固体電解質層前駆体および正極活物質層前駆体を含む発電要素前駆体に対して水蒸気曝露処理を施すことで、固体電解質層前駆体の外周縁部および正極活物質層前駆体の外周縁部にまとめて硫化水素発生抑制領域を形成してもよい。
水蒸気曝露処理は、例えば、後述する実施例の欄に記載されているように、ヘリウム等のキャリアガスの露点を調整した状態で固体電解質層前駆体や正極活物質層前駆体に対して当該キャリアガスを流通させることにより行うことができる。この際、水蒸気曝露処理を施される固体電解質層前駆体や正極活物質層前駆体の温度について特に制限はないが、好ましくは20~55℃程度であり、より好ましくは25~50℃である。また、キャリアガスの露点についても特に制限はないが、好ましくは-40~+15℃程度である。なお、キャリアガスの露点が低いほど、水蒸気曝露処理によって得られる固体電解質層や正極活物質層のO/S比の値は大きくなる傾向にある。また、水蒸気曝露処理の時間についても特に制限はないが、好ましくは10~200分程度であり、より好ましくは30~150分である。
従来、硫黄を含有する材料が水分と接触すると硫化水素が発生することが知られていたが、硫黄含有材料に対して積極的に水蒸気曝露処理を施すことで硫化水素の発生量が経時的に減少し、最終的にはほぼ発生しなくなるという現象は知られていなかった。本発明は本発明者らによって見出されたこのような新規な現象に関する知見に基づき完成されたものである。そして、従来は回避すべきであるとされていた硫黄含有材料と水分との接触を積極的に行う水蒸気曝露処理をあえて採用することで、硫化水素の発生を抑制可能な部材が得られるということは予期せぬことであった。したがって、このような従来の常識を覆す形で完成された本発明は、従来の技術に対して特許性を有するものであるといえる。
[正極集電板および負極集電板]
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、負極集電板25と正極集電板27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極リードおよび負極リード]
また、図示は省略するが、集電体(11’、11”)と集電板(25、27)との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、図1および図2に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム29を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
図1および図2に示す実施形態に係る積層型電池は、複数の単電池層が並列に接続された構成を有することにより、高容量でサイクル耐久性に優れるものである。したがって、本実施形態に係る積層型電池は、EV、HEVの駆動用電源として好適に使用される。
以上、全固体電池の一実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、本発明に係るリチウムイオン二次電池が適用される電池の種類として、集電体の一方の面に電気的に結合した正極活物質層と、集電体の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層とを有する双極型電極を含む、双極型(バイポーラ型)の電池も挙げられる。
また、本形態に係る二次電池は、全固体型でなくてもよい。すなわち、固体電解質層は、従来公知の液体電解質(電解液)をさらに含有していてもよい。固体電解質層に含まれうる液体電解質(電解液)の量について特に制限はないが、固体電解質により形成された固体電解質層の形状が保持され、液体電解質(電解液)の液漏れが生じない程度の量であることが好ましい。
用いられうる液体電解質(電解液)は、有機溶媒にリチウム塩が溶解した形態を有する。用いられる有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4-メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2-メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびγ-ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。中でも、有機溶媒は、急速充電特性および出力特性をより向上できるとの観点から、好ましくは鎖状カーボネートであり、より好ましくはジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはエチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)から選択される。
リチウム塩としては、Li(FSON(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド;LiFSI)、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。中でも、リチウム塩は、電池出力および充放電サイクル特性の観点から、好ましくはLi(FSON(LiFSI)である。
液体電解質(電解液)は、上述した成分以外の添加剤をさらに含有してもよい。かような化合物の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ジフェニルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2-ジビニルエチレンカーボネート、1-メチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-メチル-2-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-1-ビニルエチレンカーボネート、1-エチル-2-ビニルエチレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、ビニルオキシメチルエチレンカーボネート、アリルオキシメチルエチレンカーボネート、アクリルオキシメチルエチレンカーボネート、メタクリルオキシメチルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロパルギルエチレンカーボネート、エチニルオキシメチルエチレンカーボネート、プロパルギルオキシエチレンカーボネート、メチレンエチレンカーボネート、1,1-ジメチル-2-メチレンエチレンカーボネートなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、添加剤を電解液に使用する場合の使用量は、適宜調整することができる。
[組電池]
組電池は、電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
電池が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型の組電池をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池を形成することもできる。何個の電池を接続して組電池を作製するか、また、何段の小型組電池を積層して大容量の組電池を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本発明に係る全固体電池は、長期使用しても放電容量が維持され、サイクル特性が良好である。さらに、体積エネルギー密度が高い。電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの車両用途においては、電気・携帯電子機器用途と比較して、高容量、大型化が求められるとともに、長寿命化が必要となる。したがって、上記非水電解質二次電池は、車両用の電源として、例えば、車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
具体的には、電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に搭載することができる。本発明では、長期信頼性および出力特性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《硫化物固体電解質の水蒸気曝露処理》
<実験例1>
(硫化物固体電解質の準備)
まず、サンプルとして、硫化物固体電解質の1種であるアルジロダイト型硫化物固体電解質(LiPSCl)を準備した。
(水蒸気曝露処理)
上記で準備した固体電解質サンプルを磁製皿に秤量し、試験容器内にペレット状に封止した。なお、本実験における雰囲気ガスはヘリウム(He)とした。
次いで、25℃に設定した恒温槽の内部に上記試験容器を設置し、恒温槽の温度が安定していることを確認した。その後、露点を13℃に調整したヘリウム(He)ガスを試験容器の内部に0.2L/分の流量で120分間流通させることにより、固体電解質サンプルに対して水蒸気曝露処理を施した。
(XPS法による固体電解質サンプルの表面組成の分析)
上記のようにして水蒸気曝露処理を施した固体電解質サンプル(ペレット)の表面組成を、X線光電子分光(XPS)法を用いて分析した。また、得られた分析結果から、硫黄(S)原子の量に対する酸素(O)原子の量の比率(原子比率)を算出した。結果を下記の表1に示す。
(硫化水素の発生挙動の分析)
また、水蒸気曝露処理によって固体電解質サンプルから発生したガスについてはガスバッグに回収した。そして、回収されたガスにおける硫化水素濃度をガス検知管を用いて測定することにより、サンプルからの硫化水素発生の挙動を分析した。なお、ガスバッグは10分おきに回収した。
<実験例2>
恒温槽の温度を50℃に設定したこと以外は、上述した実験例1と同様の手法により、固体電解質サンプルに対して水蒸気曝露処理を施し、表面組成および硫化水素の発生挙動を分析した。結果を下記の表1に示す。
<実験例3>
試験容器の内部に流通させるヘリウムガスの露点を-30℃以下とした。具体的には、ヘリウムガスのボンベから直結で試験容器の内部にヘリウムガスを流通させた。このこと以外は、上述した実験例2と同様の手法により、固体電解質サンプルに対して水蒸気曝露処理を施し、表面組成および硫化水素の発生挙動を分析した。結果を下記の表1に示す。
<実験例4>
試験容器の内部に流通させるヘリウムガスの露点を-30℃以下とした。具体的には、ヘリウムガスのボンベから直結で試験容器の内部にヘリウムガスを流通させた。このこと以外は、上述した実験例1と同様の手法により、固体電解質サンプルに対して水蒸気曝露処理を施し、表面組成および硫化水素の発生挙動を分析した。結果を下記の表1に示す。なお、表1に記載の各元素組成比の値は、小数第1位まで求めた各元素の組成比の値(その他についてはその他の元素の合計値)を整数となるように四捨五入した値である。また、表1に記載のO/S比の値は、小数第1位まで求めたOおよびSの元素組成比から算出されたO/Sの値を、小数第2位で四捨五入した値である。
Figure 2022082062000002
表1に示す結果から、硫化物固体電解質サンプルに対して水蒸気曝露処理を施し、その際の条件を調節することで、硫黄(S)原子の原子組成比および酸素(O)原子の原子組成比の増減を逆方向に制御することができることがわかる。そしてその結果、実験例1~4において採用したような水蒸気曝露処理によれば、O/S比の値を3.0以上に制御することができることもわかる。なお、水蒸気曝露処理を施すことなく同様にXPSにより固体電解質サンプルの表面の元素組成比を分析してO/S比を算出したところ、約1.4であった。
また、実験例1および実験例3において硫化水素の発生挙動を分析した結果(グラフ)を図6(実験例1)および図7(実験例3)にそれぞれ示す。なお、図6および図7に示すグラスの縦軸は、各実験例における硫化水素発生量の相対値である。これらのグラフからわかるように、水蒸気曝露処理を施すことにより、その進行に伴って硫化水素は発生するものの、一定時間の経過後には硫化水素の発生量はほぼゼロとなり、その後は水蒸気と接触しても硫化水素は発生しないことがわかる。このことから、本発明に係る二次電池によれば、O/S比の値が3.0以上とされている固体電解質層や正極活物質層における硫化水素発生抑制領域の存在により、電池の製造後の保管時や電池の運転時における硫化水素の発生が効果的に防止できることがわかる。また、図6と図7との対比から、O/S比の値が大きいほど、硫化水素の発生を抑制する作用はより強いと考えられる。
10a 積層型電池、
11 負極集電体、
12 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 電解質層、
18 硫化水素発生抑制領域、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 負極集電板(負極タブ)、
27 正極集電板(正極タブ)、
29 ラミネートフィルム。

Claims (10)

  1. 正極活物質を含有する正極活物質層を含む正極と、
    負極活物質を含有する負極活物質層を含む負極と、
    前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在し、固体電解質を含む固体電解質層と、
    を有する発電要素を備え、
    前記固体電解質層が、リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有するか、あるいは、
    前記正極活物質層が、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質並びに/またはリチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有する、二次電池。
  2. 前記固体電解質層が、前記硫化物固体電解質を含み、かつ、前記硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有する、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記硫化水素発生抑制領域が前記固体電解質層の外周縁部の少なくとも一部に存在し、かつ、前記発電要素を平面視した際に、前記負極活物質層の外周端の少なくとも一部が前記硫化水素発生抑制領域と重複するように配置されている、請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記硫化水素発生抑制領域が前記固体電解質層の外周縁部の少なくとも一部に存在し、かつ、前記発電要素を平面視した際に、前記正極活物質層の外周端の少なくとも一部が前記硫化水素発生抑制領域と重複するように構成されている、請求項2または3に記載の二次電池。
  5. 前記発電要素を平面視した際に、前記硫化水素発生抑制領域と重複するように配置されている前記正極活物質層の前記外周端が前記負極活物質層の外周端より内側に位置するように構成されている、請求項4に記載の二次電池。
  6. 前記正極活物質層が、前記硫黄含有正極活物質および/または前記硫化物固体電解質を含み、かつ、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を少なくとも一部に有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. 前記硫化水素発生抑制領域が前記正極活物質層の外周縁部の少なくとも一部および前記固体電解質層の外周縁部の少なくとも一部に存在し、かつ、前記発電要素を平面視した際に、前記正極活物質層の外周縁部に存在する前記硫化水素発生抑制領域の内周端の少なくとも一部が前記固体電解質層の外周縁部に存在する前記硫化水素発生抑制領域と重複するように構成されている、請求項6に記載の二次電池。
  8. 前記硫化水素発生抑制領域におけるO/S比が7.3以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の二次電池。
  9. 全固体リチウムイオン二次電池である、請求項1~8のいずれか1項に記載の二次電池。
  10. リチウム(Li)、リン(P)、硫黄(S)および酸素(O)を含有する硫化物固体電解質を含む固体電解質層前駆体、硫黄(S)を含有する硫黄含有正極活物質または前記硫化物固体電解質を含む正極活物質層前駆体を水蒸気に曝露することにより、あるいは、前記固体電解質層前駆体および前記正極活物質層前駆体を含む発電要素前駆体を水蒸気に曝露することにより、前駆体の少なくとも一部に、硫黄(S)原子に対する酸素(O)原子の原子比率(O/S比)が3.0以上である硫化水素発生抑制領域を設けることを含む、二次電池の製造方法。
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