JP2022077687A - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な熱収縮性フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】一般式(A):-(Ar-S)-[一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る成形工程と、前記未延伸フィルムを、結晶化温度未満の温度環境で延伸して、熱収縮性フィルムを得る延伸工程と、を備える、熱収縮性フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性フィルム及びその製造方法、耐熱性フィルムの製造方法、並びに耐熱性部材の製造方法に関する。
従来、様々な分野において、耐熱性樹脂により形成され耐熱性部材が使用されている。例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、機械的強度などに優れた樹脂であることが知れており、特許文献1には、ポリフェニレンスルフィド樹脂からなり、200℃における5分間の熱収縮率がフィルムのあらゆる方向で0.05%であるポリフェニレンスルフィドフィルムが開示されている。
特開2002-47360号公報
前記の通り、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、機械的強度などに優れているという特徴を有しており、ポリフェニレンスルフィド樹脂のこれらの特性は、ポリフェニレンスルフィド樹脂が結晶化することで発現されている。したがって、従来のポリフェニレンスルフィドフィルムは、高温環境に晒された場合の寸法安定性に優れるという特徴を有する。すなわち、一方で、ポリフェニレンスルフィドフィルムは、ほとんど熱収縮しないことから、熱収縮によって部材の表面の被覆するような用途に適用することが困難である。
このような状況下、本発明は、新規な熱収縮性フィルムを提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記の従来技術の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、所定の製造条件によって未延伸フィルムを成形し、その後に延伸することにより、新規な熱収縮性フィルムが得られることを見出した。
より具体的には、一般式(A):-(Ar-S)-で表される繰り返し単位を有するポリマー(一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。)を含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る成形工程と、未延伸フィルムを、結晶化温度未満の温度環境で延伸して、熱収縮性フィルムを得る延伸工程とを備える、熱収縮性フィルムの製造方法を採用することにより、耐熱性に優れる樹脂により形成されているにも拘わらず、熱収縮性を有するフィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記一般式(A):
-(Ar-S)- (A)
[一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る成形工程と、
前記未延伸フィルムを、結晶化温度未満の温度環境で延伸して、熱収縮性フィルムを得る延伸工程と、
を備える、熱収縮性フィルムの製造方法。
項2. 前記成形フィルムを冷却する温度が90℃以下である、項1に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
項3. 前記結晶化温度が160℃以下である、項1又は2に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
項4. 前記熱収縮性フィルムは、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、1%以上である、項1~3のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
項5. 前記熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、10%以下である、項1~4のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
項6. 前記熱収縮性フィルムは、円筒状無端フィルムである、項1~5のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
項7. 項1~6のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
前記熱収縮性フィルムを、結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させる収縮工程と、
を備える、耐熱性フィルムの製造方法。
項8. 項1~6のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
前記熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程と、
前記熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させることにより、前記熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性フィルムで前記部材を被覆する被覆工程と、
を備える、耐熱性部材の製造方法。
項9. 下記一般式(A):
-(Ar-S)- (A)
[一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂により形成されており、
温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、1%以上である、熱収縮性フィルム。
項10. 前記熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、10%以下である、項9に記載の熱収縮性フィルム。
項11. 前記熱収縮性フィルムは、円筒状無端フィルムである、項9又は10に記載の熱収縮性フィルム。
項12. 項9~11のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを、結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させる収縮工程を備える、耐熱性フィルムの製造方法。
項13. 項9~11のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
前記熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程と、
前記熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させることにより、前記熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性フィルムで前記部材を被覆する被覆工程と、
を備える、耐熱性部材の製造方法。
本発明によれば、新規な熱収縮性フィルム及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該熱収縮性フィルムを利用した、耐熱性フィルムの製造方法、耐熱性部材の製造方法を提供することもできる。
本発明の熱収縮性フィルムが円筒状無端フィルムである場合についての略図的斜視図である。 本発明の熱収縮性フィルムが円筒状無端フィルムである場合について、熱収縮性フィルムを熱収縮させて部材を被覆する方法を説明するための模式図である。
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る成形工程と、前記未延伸フィルムを、結晶化温度未満の温度環境で延伸して、熱収縮性フィルムを得る延伸工程とを備えることを特徴としている。本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は、このような特徴を備えることにより、新規な熱収縮率フィルムを製造することができる。具体的には、例えば、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂によって形成された熱収縮性フィルムであって、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が1%以上である熱収縮率フィルムを製造することができる。
-(Ar-S)- (A)
[一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
以下、本発明の熱収縮性フィルムの製造方法、本発明の熱収縮性フィルム、当該熱収縮性フィルムを熱収縮させた耐熱性フィルム、及び当該熱収縮性フィルムを熱収縮させた耐熱性フィルムで部材を被覆した耐熱性部材の製造方法について詳述する。
1.熱収縮性フィルムの製造方法
前述の熱収縮特性を備える本発明の熱収縮性フィルムは、例えば次のような成形工程と延伸工程とを備える製造方法により、好適に製造することができる。
(成形工程)
成形工程においては、下記一般式(A):
-(Ar-S)- (A)
[一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る。
成形工程においては、まず、前記の熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される後述のフィラーや添加物などの原料を温度280℃以上に加熱し、連続溶融押出成形によってフィルム状に成形された成形フィルムを得る。
一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。基Arは、置換基を有することがあるフェニレン基であることが好ましい。
基Arが置換基を有する場合、置換基としては、特に制限されないが、熱収縮性フィルムの熱収縮性を高める観点から、好ましくは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。同様の観点から、基Arは、置換基を有しないことが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。
一般式(A)において、基Arがフェニレン基であるポリマーは、ポリフェニレンスルフィド(PSS)と称されるポリマーである。
ポリフェニレンスルフィドは、市販品が容易に入手可能である。
本発明において、一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、上記繰り返し単位により構成された単独重合体であってもよいし、他の繰り返し単位との共重合体であってもよい。
熱可塑性樹脂は、上記のポリマーに加えて、さらに他のポリマーを含んでいてもよい。他のポリマーとしては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)などが挙げられる。これらの他のポリマーは、例えば、上記のポリマーを補強することなどを目的として用いることができる。
熱可塑性樹脂において、上記一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーの割合としては、好ましくは50~100質量%程度、より好ましくは80~100質量%程度が挙げられる。また、上記の他のポリマーの割合としては、好ましくは0~20質量%程度が挙げられる。熱可塑性樹脂における上記ポリマーと上記他のポリマーの割合がこのような範囲にあることにより、部材の表面を被覆するために十分な熱収縮率を発揮し得る。
熱可塑性樹脂の融点としては、耐熱性に優れた特性を発揮すれば、特に制限されないが、好ましくは220~380℃程度、より好ましくは250~340℃程度が挙げられる。
熱収縮性フィルムには、上記の熱可塑性樹脂に加えて、必要に応じてフィラーや添加剤を含ませてもよい。フィラーは、本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させて得られる被覆部材の機械的強度を高めることなどを目的として、必要に応じて添加される。フィラーとしては、公知のフィラーを用いることができ、板状、薄片状、鱗片状等の無機フィラーや、カーボンブラックなどを使用することができる。
無機フィラーとしては、例えば、鱗片状または薄片状の雲母、マイカ、セリサイト、イライト、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、バーミキュライト、板状または薄片状の二酸化チタン、チタン酸カリウムやチタン酸リチウムなどの鱗片状チタン酸塩化合物、ベーマイトなどが挙げられる。フィラーとしては、これらの中でも、好ましくは、マイカ、セリサイト、イライト、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、鱗片状チタン酸塩化合物、ベーマイトなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノフィルムなどが挙げられる。フィラーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。熱収縮性フィルムがフィラーを含む場合、フィラーの含有量としては、好ましくは3~30質量%程度が挙げられる。
添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、熱伝導剤、可塑剤、光安定剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、接着剤、難燃剤、分散剤などが挙げられる。添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。熱収縮性フィルムが添加剤を含む場合、添加剤の含有量としては、好ましくは30~60質量%程度が挙げられる。
原料の混合方法としては、公知の混合手段を適用することができ、例えば二軸押出成形を用いることができる。連続溶融押出成形は、公知の溶融押出成形手段を適用することができ、例えば単軸押出機と押出成形用のサーキュラーマンドレルダイとを用いる方法が挙げられる。このとき、得られる成形フィルムの肉厚は、サーキュラーマンドレルのリップ幅及び押出成形条件を適宜設定して所望の厚みに調節することができる。吐出後のフィルムの形状を精度よく保持するために、ダイ出口にエアーリング等のマンドレルを使用してもよい。また、二軸押出機の先端にサーキュラーマンドレルダイを設置することにより、原料の混合と溶融押出を一度に行ってフィルム状に成形することもできる。
連続溶融押出成形における加熱温度は、熱可塑性樹脂を成形可能な溶融状態としつつ、得られる熱収縮性フィルムに対して、低温環境(例えば100℃程度)において、部材の表面を被覆するために十分な熱収縮率(例えば100℃で5分間静置された際の熱収縮率が1%以上)を発揮させる観点から、280℃以上であればよく、原料とする熱可塑性樹脂に応じて適宜設定すればよい。当該加熱温度は、好ましくは290~350℃程度、より好ましくは300~340℃程度が挙げられる。
成形工程においては、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る。すなわち、本発明の熱収縮性フィルムの製造方法においては、未延伸フィルムの結晶化度が20%を超えない程度の冷却温度で成形フィルムを冷却する必要がある。未延伸フィルムを冷却する温度としては、未延伸フィルムを形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましく、好ましくは90℃以下、より好ましくは80~90℃が挙げられる。例えば、ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度は88℃であるため、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィドを用いる場合、88℃以下の温度(好ましくは80~88℃の温度)で冷却することが好ましい。
また、未延伸フィルムの結晶化度は、20%以下であればよいが、本発明の効果をより一層好適に発揮する観点から、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは0%である。本発明において、結晶化度の測定方法は以下の通りである。
<結晶化度の測定方法>
示差走査熱量計(例えば、島津製作所製 DSC-60)にて、JIS K 7121に記載の測定方法に準拠し、30℃から300℃まで10℃/minで昇温させたときの結晶化熱量及び融解熱量を測定し、以下の式により算出する。
結晶化度=(融解熱量-結晶化熱量)/100%結晶化時の想定融解熱量×100
成形フィルムの冷却は、例えば冷却マンドレルを用いて行うことができる。より具体的には、溶融押出しされた溶融状態の熱可塑性樹脂をマンドレル形状のサイジング(サイジングマンドレル)に沿わせてフィルム状に成形する。このとき、サイジングマンドレルを前記冷却温度に設定する。
成形フィルムを冷却する際の冷却時間としては、好ましくは5秒間以上、より好ましくは10秒間以上、さらに好ましくは10~90秒間が挙げられる。
未延伸フィルムの厚みは、特に制限されず、熱収縮性フィルムの用途などに応じて適宜調整すればよいが、例えば300μm以下、好ましくは10~150μm程度、より好ましくは20~50μm程度である。
(延伸工程)
延伸工程においては、上記の成形工程で成形されたフィルム(未延伸フィルム)を、未延伸フィルムを形成する熱可塑性樹脂の結晶化温度未満の温度環境で延伸する。この延伸工程により、熱収縮性フィルムに前記の熱収縮性を付与する。この延伸工程は、成形工程と連続して行ってもよいし、別工程で行ってもよい。また、フィルムの延伸工程は、公知の延伸装置を用いたフィルムラー延伸によって行うことができる。フィルムラー延伸は同時二軸延伸であってもよいし、TD方向のみの一軸延伸であってもよい。
延伸工程を行う雰囲気下の温度は、未延伸フィルムを形成する熱可塑性樹脂の結晶化温度未満の温度とする。上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、結晶性樹脂であるため、延伸温度が高いほど結晶化が進む。結晶化が進むほど、フィルムの機械的強度を高めることができるものの、フィルムの熱収縮率は小さくなる。したがって、本発明において、未延伸フィルムに熱収縮性を付与するために、結晶化温度未満の温度で延伸する。なお、結晶化温度未満とは、未延伸フィルムを形成する熱可塑性樹脂の結晶化の進行が早められる温度未満であり、例えば124℃以下、好ましくは88~110℃程度、より好ましくは90~100℃程度である。熱可塑性樹脂の結晶化温度付近以下の温度を選択して、結晶化があまり進まないようにすることで、低温環境において、部材の表面を被覆するために十分な熱収縮率を発揮させることができる。例えば、ポリフェニレンスルフィドは、124℃以上の温度で結晶化が進行するため、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィドを用いる場合、124℃未満の温度で延伸することが好ましい。
延伸工程においては、未延伸フィルムに所望の熱収縮性を付与するために、延伸条件を設定する。具体的には、TD方向の熱収縮率は、未延伸フィルムの外径と延伸フィルムの外径の比(横方向延伸倍率)で制御する。横方向延伸倍率は、例えば、1.10以上に設定することができる。また、MD方向の収縮率は、延伸部に導入する未延伸フィルムの速度と延伸部から離脱してゆく延伸フィルムの速度の比(縦方向延伸倍率)で制御する。一方、熱収縮性フィルムを得るためには、縦方向延伸倍率は任意で構わない。そのため、縦方向の長さを固定せずにある程度自由な状態で、横方向の延伸のみを行なってもよい。また、使用用途によっては、縦方向延伸倍率を0.95~1.20倍程度の範囲内に設定してもよい。
本発明の熱収縮性フィルムは、上記の成形工程及び延伸工程を経て、長尺のフィルムとして得られる。したがって、本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させて被覆させる部材の大きさに応じて、所望の長さに切断し、本発明の熱収縮性フィルムとすることができる。
本発明の製造方法によって得られる熱収縮性フィルムの結晶化度は、優れた熱収縮性を発揮する観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である。
また、本発明の製造方法によって得られる熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である。
本発明の製造方法によって得られる熱収縮性フィルムの形状は、シート状、円筒状(チューブ状)などとすることができる。例えば、本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させて、円筒状または円柱状の部材の表面を好適に被覆する観点からは、当該フィルムは円筒状無端フィルムであることが好ましい。
熱収縮性フィルムの厚みは、特に制限されず、熱収縮性フィルムの用途などに応じて適宜調整すればよいが、例えば300μm以下、好ましくは10~150μm程度、より好ましくは20~50μm程度である。例えば、本発明の熱収縮性フィルムがチューブ状である場合、チューブの肉厚M(図1を参照)をこのような厚みに設定することが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる熱収縮性フィルムは、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、例えば1%以上であり、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは20%以上である。当該熱収縮率は、実施例に記載の方法により測定される。なお、熱収縮性フィルムがチューブ状である場合には、後述の「2.熱収縮性フィルム」の欄に記載した方法で熱収縮率を求める。
2.熱収縮性フィルム
本発明の熱収縮性フィルムは、前記一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂により形成されており、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、1%以上であることを特徴としている。
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は、特に制限されないが、前記「1.熱収縮性フィルムの製造方法」の欄で説明した本発明の製造方法を採用することによって、好適に製造することができる。
本発明の熱収縮性フィルムにおいて、一般式(A)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂、さらにはフィラーや添加剤の詳細については、前記「1.熱収縮性フィルムの製造方法」の欄で説明した通りである。
前記の通り、本発明の熱収縮性フィルムの形状は、シート状、円筒状(チューブ状)などである。本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させて、円筒状または円柱状の部材の表面を好適に被覆する観点からは、当該フィルムは円筒状無端フィルムであることが好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムの厚みは、特に制限されず、熱収縮性フィルムの用途などに応じて適宜調整すればよいが、例えば300μm以下、好ましくは10~150μm程度、より好ましくは20~50μm程度である。前記の通り、例えば、本発明の熱収縮性フィルムがチューブ状である場合、チューブの肉厚M(図1を参照)をこのような厚みに設定することが好ましい。
また、本発明の熱収縮性フィルムがチューブ状である場合、チューブの長さL(図1を参照)としては、被覆する部材の大きさなどに応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば1000~4000mm程度が挙げられる。チューブの外径N(図1を参照)としては、被覆する部材の大きさなどに応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば50~300mm程度が挙げられる。
本発明の熱収縮性フィルムは、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が1%以上であり、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは20%以上である。当該熱収縮率は、実施例に記載の方法により測定される。なお、熱収縮性フィルムがチューブ状である場合には、当該熱収縮率(%)は、熱収縮前後の熱収縮性チューブについて、チューブを長手方向に切断してチューブを開き、チューブの周長をノギスで測定して、次の計算式により求める。
熱収縮率=(熱収縮前の周長-熱収縮後の周長)÷熱収縮前の周長×100(%)
本発明の熱収縮性フィルムの結晶化度は、優れた熱収縮性を発揮する観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である。
また、本発明の熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である。
3.耐熱性部材の製造方法
本発明の耐熱性部材は、本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させた被覆部材によって、部材の表面が被覆されたものである。本発明の耐熱性部材は、本発明の熱収縮性フィルムの内側に部材を配置して、熱収縮性フィルムを熱収縮させることにより、部材を熱収縮性フィルムで被覆することにより製造することができる。より具体的には、本発明の耐熱性部材は、以下の工程を備える方法によって好適に製造することができる。
本発明の熱収縮性フィルムを用意する工程
本発明の熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程
本発明の熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させることにより、熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性フィルム(収縮フィルム)で部材を被覆する被覆工程。
本発明の熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程において、本発明の熱収縮性フィルムの詳細については、前述の通りである。また、部材としては、特に制限されないが、本発明の熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性部材(被覆部材)で外表面を好適に被覆して、耐熱性等を付与する観点から、円柱状または円筒状の部材であることが好ましい。部材としては、例えば優れた耐熱性が要求される分野に使用されるものであり、具体例としては、CFRP製ローラなどが挙げられる。
(被覆工程)
被覆工程においては、本発明の熱収縮性フィルム内に部材を配置した状態で、熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させて、部材の表面に熱収縮性フィルムを密着させる。すなわち、この被覆工程により、本発明の熱収縮性フィルムが熱収縮した被覆部材によって、部材を被覆して、耐熱性部材を得る。熱収縮させる工程は、後述の「4.耐熱性フィルムの製造方法」の欄で説明する収縮工程に相当する。前述のとおり、本発明の熱収縮性フィルムは、低温環境(例えば100℃程度)において、部材の表面を被覆するために十分な熱収縮率(例えば100℃で5分間静置された場合の熱収縮率が1%以上)を発揮するため、例えば100℃程度でも熱収縮させることができ、好適に耐熱性部材が得られる。なお、結晶化温度以上とは、熱収縮性フィルムを形成する前記の熱可塑性樹脂の結晶化の進行が早められる温度以上であり、好ましくは120~160℃程度、より好ましくは130~150℃程度である。例えば、ポリフェニレンスルフィドは、124℃以上の温度で結晶化が進行するため、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィドを用いる場合、124℃以上の温度(好ましくは124~150℃)で加熱することが好ましい。
被覆工程を説明するための模式図を図2に示す。被覆工程においては、図2のように、部材2を熱収縮性フィルム1内に配置し、この状態で熱収縮性フィルム1を加熱して内側に収縮させて、熱収縮性フィルム1を部材2に密着させることにより、熱収縮性フィルム1が熱収縮した被覆部材10で部材2の表面を被覆して、耐熱性部材を得る。
被覆工程における加熱温度としては、部材の耐熱温度に応じて適宜設定できるが、本発明の耐熱性部材の製造方法においては、前記の結晶化温度以上であれば、比較的低温環境において、好適に被覆工程を行うことができる。本発明の熱収縮性フィルムを好適に熱収縮させて、部材の表面に密着させる観点から、被覆工程における加熱温度としては、好ましくは120~160℃程度、より好ましくは130~150℃程度が挙げられる。また、加熱時間は、熱収縮性フィルム及び部材の大きさに応じて適宜設定されるが、例えば、熱収縮性フィルムが上記の温度に到達してから10分間以上、好ましくは10~15分間程度の間、上記の温度を保持すればよい。
本発明の熱収縮性フィルムによる部材の被覆は、例えば円柱状又は円筒状の部材であれば、部材の表面に本発明の熱収縮性フィルムを被せ、おおよそ同心軸上に自由状態で静置させ、恒温槽で加熱することにより行うことができる。
(アニール工程)
本発明の耐熱性部材の製造方法においては、被覆工程の後、さらにアニール工程を有していてもよい。アニール工程においては、被覆工程における加熱温度よりも高温度において、耐熱性部材を加熱する。アニール工程は、耐熱性部材の機械的強度を高める(特に、引張弾性率を高める)ために必要に応じて行う。すなわち、アニール工程によって、上記のポリマーを含む熱可塑性樹脂により構成された被覆部材の機械的強度が高められる。
本発明において、アニール工程における耐熱性部材の加熱温度としては、上記の被覆工程における加熱温度よりも高温であることが好ましく、具体的には、好ましくは160~200℃程度、より好ましくは170~180℃程度が挙げられる。
アニール工程は、上記の被覆工程における加熱後、連続して加熱温度を上昇させて行ってもよいし、被覆工程後に被覆部材を冷却してから、アニール工程における加熱を行ってもよい。加熱時間は、耐熱性部材の大きさに応じて適宜設定されるが、例えば、耐熱性部材の表面温度が上記の温度に到達してから30分間以上、好ましくは60~90分間程度の間、上記の温度を保持すればよい。
アニール工程は、例えば、耐熱性部材を恒温層中で加熱することにより行うことができる。
4.耐熱性フィルムの製造方法
本発明の耐熱性フィルムは、本発明の熱収縮性フィルムを熱収縮させたものである。本発明の耐熱性フィルムは、以下の工程を備える方法によって好適に製造することができる。
本発明の熱収縮性フィルムを用意する工程
本発明の熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させる収縮工程。
すなわち、本発明の熱収縮性フィルムを前述の結晶化温度以上の温度に加熱し、熱収縮させることにより、本発明の耐熱性フィルムが得られ、収縮工程において、部材が内側に配置されていれば、本発明の耐熱性部材が得られる。
本発明の熱収縮性フィルムを用意する工程において、本発明の熱収縮性フィルムの詳細については、前述の通りである。また、本発明の被覆部材の製造方法において、収縮工程については、「3.耐熱性部材の製造方法」の被覆工程と同様であり、必要に応じて前述のアニール工程をさらに有していてもよい。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。本発明において、熱収縮性フィルムの熱収縮率及び結晶化度は、それぞれ、以下のとおり測定した。
<熱収縮率>
後述する実施例1の熱収縮性フィルム(幅50mm、長さ500mm)を、大気環境下、温度25℃の環境から、温度100℃の恒温槽内へ移し、5分間加熱して、熱収縮率%を測定した。熱収縮率は、それぞれ、フィルムの幅長をノギスで測定して、次の計算式により求めた。結果を表1に示す。
熱収縮率=(熱収縮前の幅長-熱収縮後の幅長)÷熱収縮前の幅長×100(%)
また、後述する実施例2,3で得られた各熱収縮性チューブ(長さ500mm)を、大気環境下、温度25℃の環境から、温度100℃の恒温槽内へ移し、5分間加熱して、熱収縮率を測定した。熱収縮率(%)は、熱収縮前後の熱収縮性チューブについて、チューブを長手方向に切断してチューブを開き、チューブの周長をノギスで測定して、次の計算式により求めた。結果を表1に示す。
熱収縮率=(熱収縮前の周長-熱収縮後の周長)÷熱収縮前の周長×100(%)
<結晶化度>
未延伸フィルム及び熱収縮性フィルムについて、それぞれ、示差走査熱量計(島津製作所製 DSC-60)にて、JIS K 7121に記載の測定方法に準拠し、30℃から380℃まで10℃/minで昇温させたときの結晶化熱量及び融解熱量を測定し、以下の式に結晶化度を算出した。結果を表1に示す。
結晶化度=(融解熱量-結晶化熱量)/100%結晶化時の想定融解熱量×100
また、熱収縮性フィルムについて、大気環境下、温度25℃の環境から、温度90℃の恒温槽内へ移し、5分間加熱した後の結晶化度を、同様にして算出した。結果を表1に示す。
<実施例1>
以下の成形工程及び延伸工程により、熱収縮性フィルムを製造した。熱可塑性樹脂としてPSS(ポリフェニレンスルファイド、ポリプラスチックス社製のW300)を用いた。次に、熱可塑性樹脂を、バレル温度300℃で溶融させ、Tダイから押出して、連続溶融押出成形を行った。得られた成形フィルム(厚み120μm)を、85℃に冷却したロールで冷却固化(冷却時間は5秒間)し、未延伸フィルム(厚み120μm)を得た。次に、未延伸フィルムを延伸温度94℃のテンタ―式延伸機でTD方向に1.2倍延伸し、熱収縮性フィルム(厚み100μm)を得た。熱可塑性樹脂の結晶化温度(ガラス転移温度)、未延伸フィルムの冷却温度及び結晶化温度、熱収縮率フィルムの延伸温度、結晶化温度、温度100℃の気相中で5分間加熱された後の結晶化度及び厚みをそれぞれ表1に纏めた。
<実施例2>
以下の成形工程及び延伸工程により、熱収縮性チューブ(チューブ状の熱収縮性フィルム)を製造した。熱可塑性樹脂として、PPS(ポリフェニレンスルファイド、ポリプラスチック社製のW-300)をスクリュー径30mの単軸押出機に投入し、330℃に加熱混練した。次に、環状ダイスから2.0m/minの速度にて溶融押出しして成形チューブとし、サイジングマンドレル(外径φ6mm、30mm長)でマンドレル内部に加圧水を循環させて85℃に設定を行い、内径φ5.8mm、肉厚100μmの未延伸チューブを製造した。
次に、成形工程で得られた未延伸チューブを、長さ1000mmにカットし、94℃に加熱した内径φ7.5mmシリンダーにて内圧(0.14MPa)を加えることにより拡張し、チューブの外径を保った状態でTg(88℃)以下の温度(50℃)まで冷却することにより、外径φ7.5mm、肉厚80μmの熱収縮性チューブを製造した。
<実施例3>
以下の成形工程及び延伸工程により、熱収縮性チューブ(チューブ状の熱収縮性フィルム)を製造した。熱可塑性樹脂として、PPS(ポリフェニレンスルファイド、ポリプラスチック社製のW-300)をスクリュー径30mの単軸押出機に投入し、330℃に加熱混練した。次に、環状ダイスから2.0m/minの速度にて溶融押出しして成形チューブとし、サイジングマンドレル(外径φ40.5mm、30mm長)でマンドレル内部に加圧水を循環させて85℃に設定を行い、内径φ40mm、肉厚30μmの未延伸チューブをピンチしコアに巻き取ることで製造した。
次に、成形工程で得られた巻き取られた未延伸チューブを、リング状の熱風発生口から100℃熱風を発生させ、リングを挟む二つのピンチローラ間で内圧を掛けながらそのリング内を移動させた。チューブ外径がφ50mmとなる内圧をフィードバック制御により調整し、第1ピンチローラの回転スピードを1m/min、第2ピンチローラの回転スピードを1.2m/minとし第2ピンチローラ前のチューブ温度(50℃)まで冷却し巻き取ることにより、外径φ50mm、肉厚25μmの熱収縮性チューブを製造した。
[引張弾性率の評価]
熱収縮性フィルムを、150℃の大気環境下の恒温槽で30分間加熱して熱収縮させた収縮フィルム(耐熱性フィルム)をサンプルとした。サンプルをJIS K 7127に規定された形状及びサイズ(20mm×250mm)の試験片とし、常温環境下、引張速度10mm/分の条件で、サンプルの引張弾性率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022077687000001
1…熱収縮性フィルム
2…部材
10…被覆部材
L…フィルムの長さ
M…フィルムの肉厚
N…フィルムの外径

Claims (13)

  1. 下記一般式(A):
    -(Ar-S)- (A)
    [一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
    で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂を温度280℃以上に加熱して連続溶融押出成形に供し、得られた成形フィルムを冷却して結晶化度が20%以下の未延伸フィルムを得る成形工程と、
    前記未延伸フィルムを、結晶化温度未満の温度環境で延伸して、熱収縮性フィルムを得る延伸工程と、
    を備える、熱収縮性フィルムの製造方法。
  2. 前記成形フィルムを冷却する温度が90℃以下である、請求項1に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  3. 前記結晶化温度が160℃以下である、請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  4. 前記熱収縮性フィルムは、温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、1%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  5. 前記熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、10%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  6. 前記熱収縮性フィルムは、円筒状無端フィルムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
    前記熱収縮性フィルムを、結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させる収縮工程と、
    を備える、耐熱性フィルムの製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
    前記熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程と、
    前記熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させることにより、前記熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性フィルムで前記部材を被覆する被覆工程と、
    を備える、耐熱性部材の製造方法。
  9. 下記一般式(A):
    -(Ar-S)- (A)
    [一般式(A)において、基Arは、置換基を有することがある芳香族炭化水素基である。]
    で表される繰り返し単位を有するポリマーを含む熱可塑性樹脂により形成されており、
    温度100℃の気相中で5分間加熱された際の熱収縮率が、1%以上である、熱収縮性フィルム。
  10. 前記熱収縮性フィルムは、温度25℃の環境から、温度90℃の気相中で5分間置かれた後の結晶化度が、10%以下である、請求項9に記載の熱収縮性フィルム。
  11. 前記熱収縮性フィルムは、円筒状無端フィルムである、請求項9又は10に記載の熱収縮性フィルム。
  12. 請求項9~11のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを、結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させる収縮工程を備える、耐熱性フィルムの製造方法。
  13. 請求項9~11のいずれか1項に記載の熱収縮性フィルムを用意する工程と、
    前記熱収縮性フィルムの内側に部材を配置する工程と、
    前記熱収縮性フィルムを結晶化温度以上の温度で加熱して熱収縮させることにより、前記熱収縮性フィルムが熱収縮した耐熱性フィルムで前記部材を被覆する被覆工程と、
    を備える、耐熱性部材の製造方法。
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