JP2022077169A - ナットウキナーゼを含む経口組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、ナットウキナーゼを含み、粘性を増大させ得る経口組成物を提供することである。【解決手段】ナットウキナーゼを含む経口組成物に長命草粉末を含有させることにより、ナットウキナーゼと長命草粉末との相乗的作用によって、粘性が飛躍的に増大する。【選択図】なし
Description
本発明は、ナットウキナーゼを含み、粘性を増大させ得る経口組成物に関する。
血栓症は、血管内に血栓が形成され、循環系における血流が閉塞する病態であり、脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞等の重篤な疾患を発症させる要因になっていることが知られている。従来、血栓症の予防又は治療には、抗血小板剤、抗血液凝固剤、血栓溶解剤等の薬剤の投与によって、血栓の形成を妨げたり、血栓を溶解させたりする方法が用いられている。しかしながら、このような薬剤は、副作用を伴ったり、医師の管理下での服用が必要であったりするため、簡易且つ日常的に摂取できるものではない。
一方、日本の伝統食品の1つである納豆は、血栓溶解活性を有するナットウキナーゼが含まれていることが報告されて以来、健康食品としての価値が見直されている。しかしながら、納豆は、独特の臭いや粘りがあり、納豆を食さない人も多く存在しているのが実情である。そこで、従来、ナットウキナーゼを容易に摂取できるようにするために、ナットウキナーゼをカプセル剤や錠剤等の食品に製剤化したものが開発されている。このようなナットウキナーゼを含む食品は、医師の管理下での服用を必要とせず、簡易且つ日常的に摂取できるので、セルフメディケーションの上でも有益である。
従来、ナットウキナーゼを経口組成物に製剤化する技術について種々報告されている。例えば、特許文献1には、凍結乾燥した乳発酵産物、ナットウキナーゼ、及び食品に使用可能な担体を含む食品組成物は、摂取し易く、乳発酵産物とナットウキナーゼに由来する有益な効果が得られることが報告されている。また、特許文献2には、大豆粉末40~80質量%と、ナットウキナーゼ粉末0.5~15質量%と、オリゴ糖3~30質量%を含む粉末混合物を造粒してなる平均粒径100~500μmの顆粒状大豆加工食品は、納豆臭がなく、液状やクリーム状食品に対する分散性が良好になることが報告されている。
液剤や飲料において、食感(とろみ等)を向上させたり、製造時の容器への充填適性を向上させたりするには、適度な粘性を備えさせることが有効であるが、ナットウキナーゼ自体は殆ど粘性を呈しないため、従来技術では、ナットウキナーゼを含む経口組成物を液剤又は飲料にすると、適度な粘度を呈することができないという欠点があった。
そこで、本発明は、ナットウキナーゼを含み、粘性を増大させ得る経口組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、ナットウキナーゼを含む経口組成物に長命草粉末を含有させることにより、ナットウキナーゼと長命草粉末との相乗的作用によって、粘性が飛躍的に増大することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ナットウキナーゼ、及び長命草粉末を含有する、経口組成物。
項2. 水を含み、液状である、項1に記載の経口組成物。
項3. 固体状であり、水を添加して経口摂取又は経口投与される、項1に記載の経口組成物。
項4. ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させる方法であって、
経口組成物にナットウキナーゼ及び長命草粉末を含有させる、粘性増強方法。
項5. ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させるために使用され、
長命草粉末を有効成分とする、粘性増強剤。
項1. ナットウキナーゼ、及び長命草粉末を含有する、経口組成物。
項2. 水を含み、液状である、項1に記載の経口組成物。
項3. 固体状であり、水を添加して経口摂取又は経口投与される、項1に記載の経口組成物。
項4. ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させる方法であって、
経口組成物にナットウキナーゼ及び長命草粉末を含有させる、粘性増強方法。
項5. ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させるために使用され、
長命草粉末を有効成分とする、粘性増強剤。
本発明の経口組成物によれば、増粘剤を使用せずとも、ナットウキナーゼと長命草粉末との相乗的作用によって、粘性を飛躍的に増大させることができる。本発明の経口組成物は、増粘剤を使用せずとも粘性を増大させて適度な粘度を呈させ得るので、製造時の容器への充填適性や食感(とろみ等)を向上させることが可能になる。
1.経口組成物
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼ、及び長命草粉末を含有することを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼ、及び長命草粉末を含有することを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
[ナットウキナーゼ]
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼを含む。ナットウキナーゼとは、納豆菌が産生するフィブリン分解作用を有する酵素である。
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼを含む。ナットウキナーゼとは、納豆菌が産生するフィブリン分解作用を有する酵素である。
本発明で使用されるナットウキナーゼは、公知の製造方法で得ることができる。ナットウキナーゼの具体的な製造方法としては、納豆菌を培養する方法、ナットウキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ形質転換体から得る方法、化学合成によって合成する方法等が挙げられる。本発明で使用されるナットウキナーゼは、いずれの製造方法で得られたものであってもよいが、製造コストの低減等の観点から、納豆菌を培養する方法で得られたものが好ましい。
また、本発明で使用されるナットウキナーゼは、精製品であってもよいが、可食性があることを限度として、精製されていない状態であってもよい。例えば、納豆菌を培養することにより得られたナットウキナーゼを使用する場合であれば、納豆菌の培養物の抽出物であってもよい。更には、納豆菌の培養物を、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等に供してナットウキナーゼを精製したものであってもよく、また、納豆菌の培養物を必要に応じて固液分離等の粗精製処理に供した後に、水分の除去又は乾燥させたもの等であってもよい。
また、ナットウキナーゼは、賦形剤等を添加した粉末品、粗精製品、精製品等として市販されており、本発明では、ナットウキナーゼとして、これらの市販品を使用することもできる。
本発明の経口組成物におけるナットウキナーゼの含有量については、経口組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、本発明の経口組成物1g当たりのナットウキナーゼ量として、100FU以上、好ましくは300~15000FU、更に好ましくは500~10000FU、特に好ましくは800~5000FUが挙げられる。
なお、本発明において、ナットウキナーゼの活性を示す「FU」は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会が2003年1月15日に公示したナットウ菌培養エキス食品の規格基準に従うフィブリン分解活性単位である。
[長命草粉末]
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼと共に、長命草粉末を含有する。長命草粉末は、単独では低粘性しか示さないが、ナットウキナーゼとの相乗的作用によって、粘性を増大させることができる。
本発明の経口組成物は、ナットウキナーゼと共に、長命草粉末を含有する。長命草粉末は、単独では低粘性しか示さないが、ナットウキナーゼとの相乗的作用によって、粘性を増大させることができる。
長命草は、セリ科カワラボウフウ属に属し、ボタンボウフウとも呼ばれる多年草植物であり、日本では関東・石川県以西の本州、四国、九州、及び沖縄諸島に生息している植物である。
長命草粉末の原料部位は、長命草の全草又はその一部(葉、茎、根、花、種子等)のいずれであってもよいが、好ましくは長命草の葉、茎及び/又は根、より好ましくは葉及び/又は根が挙げられる。長命草粉末は、未乾燥の状態のものであってもよいが、乾燥状態のもの(乾燥粉末)であることが好ましい。
長命草の乾燥粉末は、例えば、長命草の全草又はその一部を乾燥した後に粉砕したり、長命草の全草又はその一部を粉砕した後に乾燥したりすることにより得ることができる。
長命草粉末の粒子径としては、特に制限されないが、例えば、500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下が挙げられる。
長命草粉末は、例えば、商品名「長命草粉末」(株式会社金秀バイオ)等として市販されており、本発明では、市販品の長命草粉末を使用することができる。
本発明の経口組成物における長命草粉末の含有量については、経口組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.01~30重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは1~15重量%が挙げられる。
本発明の経口組成物において、ナットウキナーゼに対する長命草粉末の比率としては、特に制限されないが、例えば、ナットウキナーゼ10000FU当たり、長命草粉末が0.01~5g、好ましくは0.01~1g、更に好ましくは0.01~0.5gが挙げられる。
[水]
本発明の経口組成物が液状で提供される場合には、水が含まれる。本発明の経口組成物を液状で提供する場合、本発明の経口組成物における水の含有量については、経口組成物の用途、備えさせるべき粘性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、10~98重量%、好ましくは50~95重量%、より好ましくは60~90重量%が挙げられる。
本発明の経口組成物が液状で提供される場合には、水が含まれる。本発明の経口組成物を液状で提供する場合、本発明の経口組成物における水の含有量については、経口組成物の用途、備えさせるべき粘性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、10~98重量%、好ましくは50~95重量%、より好ましくは60~90重量%が挙げられる。
[その他の成分]
本発明の経口組成物は、前述する成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
本発明の経口組成物は、前述する成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、前述する成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、油脂、ロウ、炭化水素、脂肪酸、高級アルコール類、水溶性高分子、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、キレート剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
[剤型・製剤形態]
本発明の経口組成物の剤型は、例えば、液状又は固体状であればよいが、好ましくは液状が挙げられる。
本発明の経口組成物の剤型は、例えば、液状又は固体状であればよいが、好ましくは液状が挙げられる。
本発明の経口組成物が液状で提供される場合には、そのまま又は必要に応じて水で希釈して経口摂取又は経口投与される。本発明の経口組成物が液状で提供される場合、経口組成物は粘性が増大された状態になっており、経口摂取又は経口投与するのに適した粘度を備えることができる。本発明の経口組成物が液状で提供される場合、その粘度については特に制限されないが、例えば、ULアダプターを用いたブルックフィールド粘度計で、トルク値20%、温度25℃の条件で測定される粘度として、100~1000cP、好ましくは200~600cpが挙げられる。
本発明の経口組成物が固体状で提供される場合には、水を添加して液状にして経口摂取又は経口投与される。本発明の経口組成物が固体状で提供される場合、経口摂取又は経口投与する際に水を添加することにより、粘性が増大された状態で発現し、経口摂取又は経口投与する際に適度な粘度を呈し得る。本発明の経口組成物が固体状で提供される場合、経口摂取又は経口投与する際に添加する水の量については、例えば、水添加後に水の含有量が前述する範囲を満たす範囲となるように適宜設定すればよい。
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、具体的には、飲料及び内服用医薬品が挙げられる。
本発明の経口組成物を飲料の製剤形態にする場合、前述する成分を、そのまま又は他の素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲料としては、一般の飲料の他、特定保健用食品、栄養機能食品、及び機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲料の形態として、特に制限されないが、具体的には、栄養ドリンク、清涼飲料、果汁飲料、炭酸飲料等の飲料;粉末飲料等が挙げられる。
本発明の経口組成物を内服用医薬品の製剤形態にする場合、前述する成分を、そのまま又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用の医薬品としては、具体的には、液剤;水を添加して服用される医薬品(錠剤、顆粒剤、粉剤等)が挙げられる。
2.粘性増強方法・粘性増強剤
本発明の粘性増強方法は、ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させる方法であって、経口組成物にナットウキナーゼ及び長命草粉末を含有させることを特徴とする。
本発明の粘性増強方法は、ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させる方法であって、経口組成物にナットウキナーゼ及び長命草粉末を含有させることを特徴とする。
また、本発明の粘性増強剤は、ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させるために使用されるものであって、長命草粉末を有効成分とすることを特徴とする。
本発明の粘性増強法及び粘性増強剤によって、ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させることが可能になる。本発明の粘性増強法及び粘性増強剤において、使用される成分の種類や使用量、具体的実施態様等については、前記「1.経口組成物」の欄に記載の通りである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験例1
表1に示す組成の経口組成物を調製した。得られた経口組成物20gをガラス瓶(φ30×65mm、マルエム製 スクリュー管No.6)に充填し、25℃、40℃又は50℃で遮光下、或は直射日光が当たる条件の25℃で1週間保存した。調製直後及び保存後の経口組成物の粘度を、ブルックフィールド粘度計(Brookfield社製DV-2+PRO、スピンドル:ULアダプター、SPプログラム:S00;測定時のトルク値20%;トルク値20%となるように回転数を0.3~5.0rpmの範囲内で設定;測定時の温度25℃)を用いて粘度を測定した。
表1に示す組成の経口組成物を調製した。得られた経口組成物20gをガラス瓶(φ30×65mm、マルエム製 スクリュー管No.6)に充填し、25℃、40℃又は50℃で遮光下、或は直射日光が当たる条件の25℃で1週間保存した。調製直後及び保存後の経口組成物の粘度を、ブルックフィールド粘度計(Brookfield社製DV-2+PRO、スピンドル:ULアダプター、SPプログラム:S00;測定時のトルク値20%;トルク値20%となるように回転数を0.3~5.0rpmの範囲内で設定;測定時の温度25℃)を用いて粘度を測定した。
結果を表1に示す。ナットウキナーゼを単独で含む経口組成物では、製造直後及び1週間保存後の双方で粘性が認められなかった(比較例1)。また、長命草粉末を単独で含む経口組成物では、製造直後及び1週間保存後の双方で僅かな粘性しか呈しなかった(比較例2)。これに対して、ナットウキナーゼと長命草粉末を含む経口組成物では、製造直後及び1週間保存後の双方で両成分の相乗的作用によって粘性が飛躍的に増大していた(実施例1)。
なお、実施例1において、1週間保存後の粘度が製造直後に比べて増大していることは、実際の製品の場合には保管又は流通時に徐々に増粘することを示している。即ち、実施例1の経口組成物が実際の製品として販売されて、摂取される際には、粘性が増して適度な粘度範囲になっているといえる。
Claims (5)
- ナットウキナーゼ、及び長命草粉末を含有する、経口組成物。
- 水を含み、液状である、請求項1に記載の経口組成物。
- 固体状であり、水を添加して経口摂取又は経口投与される、請求項1に記載の経口組成物。
- ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させる方法であって、
経口組成物にナットウキナーゼ及び長命草粉末を含有させる、粘性増強方法。 - ナットウキナーゼを含有する経口組成物の粘性を増強させるために使用され、
長命草粉末を有効成分とする、粘性増強剤。
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