JP2022076629A - X線撮影装置 - Google Patents

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Takatoshi Miwa
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Abstract

【課題】パワーアシスト機構による支援を受ける操作ハンドルを備えるX線撮影装置において、操作者が意図する方向へより正確に操作対象を移動させることができるX線撮影装置を提供する。【解決手段】X線管11およびX線検出器25のうち少なくとも一方を移動させる操作を行う操作ハンドル29と、操作者が操作ハンドル29に付与した力CtおよびモーメントMoの方向および大きさを検出する力覚センサ33と、力覚センサ33が検出した検出量KpおよびモーメントMoに応じて支持機構5を移動させるためのアシスト力Asを変化させる制御を行うアシスト力制御部69と、を備え、アシスト力制御部69は、検出量Kpの方向が反転する一方でモーメントMoの方向が反転しない場合、通常モードから当該通常モードと比べてアシスト力Asを低減させる低アシストモードへと移行するように構成される。【選択図】図14

Description

本発明は、パワーアシスト機構による支援の下で撮像系を移動させる操作ハンドルを備えたX線撮影装置に関する。
X線画像による診断を行うために用いられる一般的なX線撮影装置として、X線管と、X線検出器と、X線管を手動で移動させるために用いられる操作ハンドルを備える装置が知られている。操作ハンドルの左右両端には操作者が手で握るために用いられる把持部が配設されている。操作者は片手または両手で操作ハンドルを把持することによってX線管を並進移動または回転移動させる。X線管は当該X線管を支持する支持機構を含めて重量が大きいので、操作ハンドルには手動により付与される力を補うパワーアシスト機構が設けられている(例えば、特許文献1)
このような操作ハンドルの裏面側には、力覚センサが接続されている。力覚センサは直交する3軸方向への並進方向の力と、当該3軸方向の各々の軸周りのモーメントを検出する。すなわち力覚センサは操作ハンドルに加えられた力およびモーメントの各方向成分を検出し、パワーアシスト機構は検出された各方向成分の力またはモーメントに一定のアシスト比を乗じることによりアシスト量を算出する。当該アシスト比の値としては、検出された力を十分に増幅できる程度に大きい値が用いられる。
すなわち、操作ハンドルが並進方向に操作された場合は力覚センサが検出した並進方向の力にアシスト比を乗じることで並進方向のアシスト量が算出される。操作ハンドルが回転方向に操作された場合は力覚センサが検出したモーメントにアシスト比を乗じることで回転方向のアシスト量が算出される。そして、算出されたアシスト量に応じてモータを例とする駆動機構が制御される。駆動機構が制御されることにより、X線管を移動させるためのアシスト力が発生する。当該アシスト力の支援によって、操作者は重量が大きいX線管を手動で移動させることができる。
特開2020-110228号公報
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
従来の構成では、操作ハンドルを片手で把持した状態で力覚センサに近づく方向または力覚センサから遠ざかる方向へ力を付与した場合、操作中において意図する方向とは異なる方向にアシスト力が付与されるという問題が発生しうる。異なる方向にアシスト力が付与されることにより、X線管が操作者の意図する方向とは異なる方向へ移動する可能性が懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パワーアシスト機構による支援を受ける操作ハンドルを備えるX線撮影装置において、操作者が意図する方向へより正確に操作対象を移動させることができるX線撮影装置を提供することを目的とする。
上記問題について本発明者らが検討した結果、以下のような知見が得られた。すなわち、従来の操作ハンドル100は図19および図20に示すように、ハンドル部101と、ハンドル部101の裏面側に配設される力覚センサ103と、ハンドル部101および力覚センサ103の各々に接続されている板バネ105と、板バネ105の変位量を所定値以下に抑制するメカニカルストッパ107とを備えている。ハンドル部101は図示しないX線管と接続されている。異なる方向に付与されるアシスト力は、所定値以上に変位しようとする板バネ105がメカニカルストッパ107に干渉することによって発生すると考えられる。
操作者が片手でハンドル部101を把持して上向きの方向である方向a1へ操作力P1を付与すると、板バネ105はハンドル部101とともに上方向へ引き上げられる。操作力P1が比較的大きい場合、図21に示すように、板バネ105は上方向へ所定値以上の距離を移動しようとしてメカニカルストッパ107に干渉する。符号Rで示される領域において板バネ105がメカニカルストッパ107に干渉すると、当該領域Rが支点となり、力覚センサ103に対して操作力P1とは逆方向a2に対して反発力P2が作用する。
力覚センサ103が下向き方向の反発力P2を検出すると、反発力P2に比較的大きい値であるアシスト比を乗じることで下向き方向a2へ向かうアシスト量が算出される。その結果、下向き方向a2に作用する強いアシスト力が発生する。このように、板バネ105がメカニカルストッパ107に干渉することにより、操作者はa1方向へ向かって操作力P1をハンドル部101に付与する一方で、操作力P1を上回るアシスト力が下向き方向a2に作用する。その結果、操作者はX線管をa1方向へ移動することを意図しているにも関わらず、X線管は実際には下向き方向a2へ移動する事態が発生する。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち本発明に係るX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線管と、前記X線管と対向して配置され,前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管および前記X線検出器のうち少なくとも一方を移動可能に支持する支持機構と、前記支持機構を移動させるためのアシスト力を付与する駆動部と、前記X線管および前記X線検出器のうち少なくとも一方を移動させる操作を行う操作部と、前記操作部と連結される可動部を有し、操作者が前記操作部に付与した力およびモーメントの方向および大きさを検出する力覚センサと、前記操作部と前記力覚センサとの間で前記操作部の外側に向けて張り出して設けられ、前記可動部とともに変位し、外力によって変形する板状部材と、前記板状部材の周端部の近くに隙間を介して設けられ、前記操作部に過度な加重が作用して前記力覚センサの前記可動部と共に前記板状部材が変位した場合に前記周端部に接触して前記板状部材を受け止めるとともに、前記板状部材に外力を作用させて前記板状部材を変形させるストッパ機構であって、前記板状部材の前記周端部を受け止める受け止め位置が、操作者が前記操作部を把持する把持位置と比べて前記力覚センサの中心側寄りの位置となるように構成されているストッパ機構と、前記力覚センサが検出した前記力およびモーメントに応じて前記アシスト力を変化させる制御を行うアシスト力制御部と、を備え、前記アシスト力制御部は、前記力の方向が反転する一方で前記モーメントの方向が反転しない場合、通常モードから前記通常モードと比べて前記アシスト力を低減させる低アシストモードへと移行するように構成されるものである。
当該構成において、可動部を有し、操作者が操作部に付与した力およびモーメントの方向および大きさを検出する力覚センサと、力覚センサの可動部とともに変位し、外力によって変形する板状部材と、板状部材が変位した場合に板状部材の周端部に接触して板状部材を受け止めるストッパ機構とを備えている。そして当該力覚センサが検出した力およびモーメントの方向および大きさに応じて、X線管およびX線検出器のうち少なくとも一方を移動可能に支持する支持機構を移動させるためのアシスト力を変化させる制御を行う。
具体的には、力覚センサが検出した力の方向が反転する一方でモーメントの方向が反転しない場合、通常モードから低アシストモードへと移行するようにアシスト力制御部が構成される。低アシストモードでは、通常モードと比べてアシスト力が低減される。力の方向が反転する一方でモーメントの方向が反転しない場合、操作者が実際に操作部へ力を付与する方向と、アシスト力が作用する方向とが異なる。そこで、通常モードから低アシストモードへと移行させることによって、アシスト力を低減させる。アシスト力を低減させることにより、操作者が実際に操作部へ付与する力をアシスト力が上回り操作者の意図する方向とは異なる方向へ支持機構が移動するという事態の発生を防止できる。
また、上述した発明において、前記アシスト力制御部は、前記低アシストモードである場合において前記モーメントの大きさが所定値を下回った場合に前記低アシストモードを解除して前記通常モードへと移行するように構成されることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るX線撮影装置によれば、低アシストモードである場合においてモーメントの大きさが所定値を下回った場合、アシスト力制御部は自動的に低アシストモードを解除して通常モードへと移行するように構成されている。低アシストモードである場合においてモーメントの大きさが所定値を下回ることにより、操作者が実際に操作部へ力を付与する方向と異なる方向へ、大きなアシスト力が作用する事態が解消されたことが判別できる。よって、モーメントの大きさが十分に小さくなることをトリガとして自動的に低アシストモードから通常モードへ自動的に切り換えることにより、操作者は確実かつ速やかに適切な方向へ作用する大きなアシスト力の支援を受けて支持機構を移動させることができる。
また、上述した発明において、前記操作部は、前記低アシストモードを解除して前記通常モードへと移行させる低アシスト解除スイッチを備えることが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るX線撮影装置によれば、低アシストモードを解除して通常モードへと移行させる低アシスト解除スイッチを備える。このような構成では操作者が任意のタイミングで低アシストモードから通常モードへと移行できる。よって、強いアシスト力の支援を要すると操作者が判断したタイミングにおいて、速やかに通常モードへと切り換えてアシスト力による支援を受けることが可能となる。
また、上述した発明において、前記板状部材は弾性を有しており、前記弾性によって前記力覚センサに過剰な力が伝達されることを防止することが好ましい。
[作用・効果]本発明に係るX線撮影装置によれば、板状部材は弾性を有しており、弾性によって力覚センサに過剰な力が伝達されることを防止する。このような構成により、力覚センサに伝達される力が過剰となることに起因して力覚センサが劣化することを確実に回避できる。また、板状部材は弾性を有するので、操作部に力が付与された場合に板状部材は弾性変形し、付与された力が解消されると板状部材は速やかに初期状態の形状に復帰する。よって、板状部材の継続的な使用が可能になるとともに、操作者が付与した力を力覚センサへ適切に伝達する構成を実現できる。
本発明に係るX線撮影装置によれば、力覚センサが検出した力の方向が反転する一方でモーメントの方向が反転しない場合、通常モードから低アシストモードへと移行するようにアシスト力制御部が構成される。低アシストモードでは、通常モードと比べてアシスト力が低減される。
力の方向が反転する一方でモーメントの方向が反転しない場合、操作者が実際に操作部へ力を付与する方向と、アシスト力が作用する方向とが異なる。そのため、通常モードから低アシストモードへと移行させることによって、操作者が力を付与した方向とは異なる方向へ作用するアシスト力を低減させる。異なる方向へ作用するアシスト力を低減させることにより、操作者が実際に操作部へ付与する力をアシスト力が上回り操作者の意図する方向とは異なる方向へ支持機構が移動するという事態の発生を防止できる。よって、アシスト力による支援を受ける操作部を備えるX線撮影装置において、操作者が意図する方向へ正確に操作対象を移動させることができる
実施例に係るX線撮影装置の全体構成を説明する正面図である。 実施例に係る操作機構の正面図である。 実施例に係る操作機構の右側面図である。 実施例に係る操作機構のA-A断面図である。 実施例に係る力覚センサの正面図である。 実施例に係る操作ハンドルをx1方向へ移動させた状態を示す図である。 実施例に係るメカニカルストッパの横断面図である。 実施例に係るX線撮影装置の機能ブロック図である。 実施例に係るロック機構および駆動部の機能ブロック図である。 実施例に係るX線撮影装置の動作を示すフローチャートである。 実施例において、操作者が操作ハンドルをy1方向へ操作力を徐々に付与する場合における、力覚センサが検知する検出量とモーメントとの大きさおよび方向の変化を示すタイミングチャートである。 実施例について、タイミングt0からt1までの間における操作機構の状態を示す横断面図である。 実施例について、タイミングt1からt2までの間における操作機構の状態を示す横断面図である。 実施例について、タイミングt2からt3までの間における操作機構の状態を示す横断面図である。 実施例において、操作者が操作ハンドルをy1方向へ操作力を付与した後にy2方向へ操作力を徐々に付与する場合における、力覚センサが検知する検出量とモーメントとの大きさおよび方向の変化を示すタイミングチャートである。 実施例について、タイミングt5からt6までの間における操作機構の状態を示す横断面図である。 実施例について、タイミングt6からt7までの間における操作機構の状態を示す横断面図である。 変形例に係る操作機構の正面図である。 従来例に係る操作ハンドルの正面図である。 従来例に係る操作ハンドルの横断面図である。 従来例に係る操作ハンドルにおいて、過剰な力が付与された状態を示す横断面図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
<全体構成の説明>
実施例に係るX線撮影装置1は図1に示すように、移動体3と、支持機構5と、天板7と、撮影スタンド9とを備えている。
移動体3は、X線管11と操作機構13とを備えており、支持機構5によって天井Tから吊り下げるように支持される。支持機構5は、レール15および天井走行部17を介して天井Tから垂下されている。レール15は天井Tに沿ってx方向に延びている。天井走行部17は、レール15に沿ってx方向に往復移動可能に構成されている。
支持機構5は、レール19と、ガイド部21と、支柱23と、回転保持部24とを備えている。レール19は天井走行部17に接続されており、y方向に延びている。ガイド部21は、レール19に沿ってy方向に往復移動可能に構成されている。支柱23はガイド部21の下部に接続されており、z方向(鉛直方向)に伸縮可能となっている。これらの構成により、支持機構5は移動体3をx方向、y方向、z方向の各々の並進方向へ移動可能に支持する。
回転保持部24は支柱23の下部に配設されており、z方向の軸周りに回転移動可能に構成されている。回転保持部24の一端側は支柱23に接続されている。回転保持部24の他端側は、移動体3をx方向の軸周りに回転移動可能に保持する。これらの構成により、移動体3は支持機構5とともにx方向、y方向、z方向の各々へ直進移動可能となる。また、移動体3は回転保持部24によってx方向の軸周りおよびz方向の軸周りに回転移動可能となる。
天板7は、仰臥姿勢をとる被検体Mを載置させるものであり、臥位姿勢におけるX線撮影を行う際に用いられる。撮影スタンド9は、立位姿勢をとる被検体Mに対してX線撮影を行う際に用いられる。天板7および撮影スタンド9の各々にはX線検出器25が配設されている。
X線管11は、被検体Mに対してX線を照射する。X線検出器25は移動可能に構成されており、X線管11から照射されたX線を検出して電気信号に変換する。X線管11およびX線検出器25は、撮像系を構成する。X線管11の下部にはコリメータ27が設けられている。コリメータ27は、X線管11から照射されるX線を所定の形状に制限する。所定の形状の一例としては、角錐となっているコーン状などが挙げられる。
<操作部の構成>
ここで、図2ないし図4を用いて操作機構13の構成について説明する。図2は操作機構13を備える移動体3の正面図であり、図3は移動体3の右側面図である。図4は図3におけるA-A断面図である。
操作機構13は、操作ハンドル29と、板状部材31と、力覚センサ33と、メカニカルストッパ35とを備えている。操作ハンドル29の周縁部には把持部37が形成されており、中央部には胴体部38が設けられている。操作者は把持部37を片手または両手で握ることによって操作機構13に対して各種操作を行う。操作ハンドル29は本発明における操作部に相当する。
板状部材31は操作ハンドル29の裏面側に配設されており、操作ハンドル29の胴体部38と接続されている。板状部材31の周端部Sは、操作ハンドル29の胴体部38の外側に向けて張り出すように構成されている。板状部材31は外力によって変形する材料で構成されており、具体的には板バネなどの弾性を有する材料が例として挙げられる。
力覚センサ33は、板状部材31の裏面側に配設されている。力覚センサ31は図5に示すように、可動部41とリング部43と3本のビーム部45とを備えている。可動部41は、力覚センサ33の中央部に配設されている三角柱状の剛性部材であり、板状部材31と接続されている。リング部43は、可動部41を囲繞するように配設されており、メカニカルストッパ35と接続されている。
3本のビーム部45は、それぞれ可動部41を中心として放射状に延びるように配設されており、可動部41とリング部43とを接続する。ビーム部45は伸縮性および可撓性を有しており、ビーム部45の各々には歪みゲージが設けられている。歪みゲージの各々は、可動部41に付与された各方向の力およびモーメントを検出する。
すなわち、操作者が把持部37を把持して操作ハンドル29を操作することにより、操作ハンドル29に付与された力の方向および大きさに応じて、操作ハンドル29とともに板状部材31および可動部41が変位する。そしてメカニカルストッパ35に固定されているリング部43と変位する可動部41との間に発生する歪みがビーム部45によって検出される。
一例として図6に示すように、操作者が操作ハンドル29をx方向について左方向(符号x1で示す方向)へ操作した場合、可動部41は操作ハンドル29および板状部材31とともにx1方向へ変位する。一方、リング部43はメカニカルストッパ35に固定されているので、3本のビーム部45において発生する歪みに偏りが発生する。すなわち、図6における左側のビーム部45は収縮する一方、右側のビーム部45は伸長する。このような歪みの偏りに基づいて、力覚センサ33は可動部41がx1方向へ移動していることおよびx1方向への可動部41の移動距離を検出する。
このように、操作者が把持部37を把持して操作ハンドル29を操作することにより、力覚センサ33はx、y、zの各方向に付与された力と、x方向の軸周りのモーメントと、z方向の軸周りのモーメントとを検出する。すなわち、力覚センサ33は操作ハンドル29に付与された力およびモーメントの各々について、方向および大きさを検出する。力覚センサ33によって検出された力の方向および大きさの情報は、検出量Kpとして後述するアシスト力制御部69へ送信される。力覚センサ33によって検出されたモーメントの方向および大きさの情報についてもモーメントMoとしてアシスト力制御部69へ送信される。
メカニカルストッパ35は、操作ハンドル29および板状部材31の変位量を所定値以下に抑制するものであり、板状部材31の周端部Sの近くに隙間を介して設けられる。本実施例においてメカニカルストッパ35は操作ハンドル29の裏面側に設けられている。メカニカルストッパ35は、本発明におけるストッパ機構に相当する。
メカニカルストッパ35は図7に示すように、円板状の底部46に円筒状の側周部47が立設された形状を有しており、内部に板状部材31と力覚センサ33とを収納するように構成されている。力覚センサ33のリング部43は、メカニカルストッパ35の底部46に固定されている。
側周部47の内面には、円周方向に延びるスリット部48が形成されている。板状部材31の周端部Sは、スリット部48の内部に配置されるように、凹部48および板状部材31の位置が設定される。z方向におけるスリット部48の厚みは、板状部材31の厚みより厚くなるように構成されている。x方向およびy方向におけるスリット部48の径は、板状部材31の径より大きくなるように構成されている。そのため、板状部材31はスリット部の内部において変位できる一方、操作者が操作ハンドル29を過剰な力で操作した場合であっても操作ハンドル29および板状部材31の変位量はいずれも所定値以下に抑制されることとなる。
具体的には、作者が操作ハンドル29をx、y、またはzの各方向へ過剰な力で操作した場合、板状部材31は操作ハンドル29と力覚センサ33の可動部41とともに変位する。そして板状部材31の周端部Sはメカニカルストッパ35に接触して受け止められ、それ以上の変位が抑制される。メカニカルストッパ35によって板状部材31の変位量を抑制することにより、力覚センサ33に過剰な力が作用することを防止する。またこのとき、板状部材31に外力が作用して変形することにより、力覚センサ33に過剰な力が伝達されることをより確実に防止する。
なお図4および図6に示すように、メカニカルストッパ35が板状部材31の周端部Sを受け止める受け止め位置Lは、操作者が把持部37を把持する把持位置Kと比べて、力覚センサ33の中心側寄りの位置となるように構成されている。一例として、把持部37はスリット部48よりも外側に配設されるように操作機構13が構成されている。
また、操作ハンドル29は図2に示すように、タッチパネル49とロック用スイッチ51とを備えている。タッチパネル49は、操作者による入力操作を受け付けることができるタッチ式のパネルであり、X線撮影条件を例とする各種情報を表示する。
ロック用スイッチ51は把持部37の近傍に複数設けられており、後述するロック機構53の各々についてオン/オフを切り換える。ロック機構53がオンの状態に切り換えられることにより、所定の方向について移動体3の移動が禁止された状態となる。ロック機構53がオフの状態に切り換えられることにより、所定の方向について移動体3の移動が許可された状態となる。
本実施例において、ロック用スイッチ51は3種類のロック用スイッチ51a、51b、51cを備えている。ロック用スイッチ51aをオンの状態に切り換えることにより、移動体3はx、y、およびz方向の各々への直進移動が禁止される。ロック用スイッチ51bをオンの状態に切り換えることにより、移動体3はx方向の軸周りにおける回転移動が禁止される。ロック用スイッチ51cをオンの状態に切り換えることにより、移動体3はz方向の軸周りにおける回転移動が禁止される。
支持機構5は図8に示すように、ロック機構53と、位置検出部55と、平行駆動部57と、回転駆動部59とを備えている。位置検出部55は支持機構5に支持されている移動体3の位置および方向を検出する。位置検出部55の一例として、x軸、y軸、およびz軸の各々に設けられたポテンショメータが挙げられる。位置検出部55によって検出された、移動体3の位置および方向に関する情報は後述する主制御部61へ随時送信される。
平行駆動部57は、x方向、y方向、およびz方向の各々へ移動体3を平行移動させるものであり、一例としてx方向、y方向、およびz方向の各々に対応して配設された3つのモータ57a~57cによって構成される。回転駆動部59は、x方向の軸周りまたはz方向の軸周りの各々へ移動体3を回転移動させるものであり、一例としてx軸周りおよびz軸周りの各々に対応して配設されたモータ59aおよびモータ59bによって構成される。
ロック機構53は、平行駆動部57および回転駆動部59の動作を禁止させるものであり、本実施例では3つのロック機構53a~53cによって構成される。ロック機構53a~53cは、ロック用スイッチ51a~51cの各々が操作されることによってオン/オフの状態が切り換えられる。
すなわち図9に示すように、ロック用スイッチ51aが操作されてロック機構53aがオンの状態となることによって、平行駆動部57を構成するモータ57a~57cの各々は回転が禁止された状態となる。この場合、移動体3は各方向について平行移動が禁止される。
また、ロック用スイッチ51bが操作されてロック機構53bがオンの状態となることによって、回転駆動部57を構成するモータ59aは回転が禁止された状態となる。この場合、移動体3はx方向の軸周りについての回転移動が禁止される。ロック用スイッチ51cが操作されてロック機構53cがオンの状態となると、回転駆動部57を構成するモータ59bは回転が禁止された状態となり、移動体3はz方向の軸周りについての回転移動が禁止される。
X線撮影装置1は図8に示すように、さらに主制御部61、入力部63、および表示部65を備えている。主制御部61は一例として中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)などの情報処理機構を有しており、X線撮影装置1における各部の動作を統括制御する。
主制御部61は、画像生成部67と、アシスト力制御部69と、モード切換部71とを備えている。画像生成部67はX線検出器7の後段に設けられており、X線検出器7から出力されたX線検出信号に基づいて各種画像処理を行うことによってX線画像を生成する。
入力部63は、X線撮影装置1に対する操作者の各種指示を入力するものであり、その例として、キーボード入力式のパネル、タッチ入力式のパネル、押しボタン式のスイッチ、切り換え式のスイッチなどが挙げられる。表示部65は一例として高画質モニタであり、画像生成部67が生成したX線画像を表示する。
アシスト力制御部69は、力覚センサ33によって検出された力の大きさに基づいて、移動体3に対して平行駆動部57または回転駆動部59が付与する力であるアシスト力を算出する。
アシスト力制御部69がアシスト力を算出する構成の一例について、図6を用いて説明する。操作者が把持部37を握り、x1方向に手動で操作力Ctを付与して操作ハンドル29を操作した場合、操作ハンドル29とともに可動部41がx1方向へ移動する。力覚センサ33は可動部41の移動に起因するビーム部45の歪みに基づいて、操作力Ctの大きさおよび方向を検出する。
アシスト力制御部69は、力覚センサ33が検出した力の値である検出量Kpに対して、所定のアシスト比の値αを乗じることによってアシスト力Asを算出する。この場合、アシスト力Asは方向x1へ向かう力でありその値は(α・Kp)に等しい。アシスト比の値αは、一例として0.5以上2.0以下程度である。なお、操作者が操作ハンドル29に付与した操作力Ctがそのまま力覚センサ33に伝達されている場合、検出量Kpの値は操作力Ctの値と等しくなる。
アシスト力制御部69によって算出されたアシスト力Asに応じて、主制御部61は平行駆動部57または回転駆動部59の駆動方向および駆動量を制御する。このように、操作者は操作機構13を操作する際に、手動による操作力Ctに加えて、平行駆動部57または回転駆動部59によって付与されるアシスト力Asの支援を受ける。そのため、操作者は重量のある移動体3および支持機構5を容易に移動させることができる。
モード切換部71はアシスト力制御部69の上流に設けられており、アシスト力制御部69に対して、通常モードと低アシストモードとを切り換える制御を行う。通常モードとは、アシスト力制御部69がアシスト力Asを算出する際に用いられるアシスト比として、比較的高い値であるαを用いるモードである。一方、低アシストモードとは、アシスト力制御部69がアシスト力Asを算出する際に用いられるアシスト比として、比較的低い値であるβを用いるモードである。低アシストモードにおけるアシスト比の値βは一例として0以上0.5以下程度である。
モード切換部71は、力覚センサ33が検出する力およびモーメントの各々について、方向の変化を検出することによって通常モードと低アシストモードとを切り換える制御を行う。力の方向およびモーメントの方向がいずれも反転する場合、または力の方向およびモーメントの方向がいずれも反転しない場合、モード切換部71はアシスト力制御部に対して通常モードを続行させる制御を行う。
これに対し、力の方向が反転する一方でモーメントの方向が反転しない場合、モード切換部71はアシスト力制御部に対して、通常モードから低アシストモードへ切り換える制御を行う。低アシストモードに切り換えられることにより、アシスト力制御部69によって算出されるアシスト力の大きさは(β・Kp)となる。
<一般的な操作の説明>
ここで、移動体3を移動させてX線管11の位置を調整し、X線撮影を行うための一般的な操作について説明する。図10は、X線撮影装置1において移動体3を移動させてX線撮影を行う一連の工程を説明するフローチャートである。ここでは移動体3を移動させる際において、操作者が操作ハンドル29に付与する操作力Ctが適度な大きさである場合、すなわち操作力Ctが過剰な大きさでない場合について説明する。
まず、移動体3を移動させる方向に応じてロック用スイッチ51を適宜操作する(ステップS1)。一例として移動体3を直進移動させる場合、ロック用スイッチ51aを操作してロック機構53aをオフの状態にすることで、移動体3は直進移動が可能となる。
次に、操作者は移動体3を移動させる方向に応じて操作ハンドル29を移動させる(ステップS2)。移動体3を図1において左右方向(x方向)に直進移動させる場合、操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29をx方向へ水平に移動させる。移動体3を図1における上下方向(z方向)へ直進移動させる場合、操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29をz方向へ水平に移動させる。
移動体3を図1において手前方向に直進移動させる場合、操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29をy1方向へ引っ張るように操作する。移動体3を図1において奥方向に直進移動させる場合、操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29をy2方向へ押し込むように操作する。
なお、予めロック用スイッチ51bおよび51cを操作してロック機構53bおよび53cをオンの状態にすることにより、移動体3はx軸周りの回転移動およびz軸周りの回転移動が禁止された状態となる。そのため、ロック用スイッチ51bおよび51cをオンにした状態で操作ハンドル29を直進方向へ移動させることにより、移動体3を直進移動させる際に移動体3の向きが想定外に変わってしまうことを防止できる。
移動体3をx方向の軸周りに回転移動させる場合、ステップS1においてロック用スイッチ51bを操作してロック機構53bをオフの状態にすることで、移動体3はx軸周りの回転移動が可能となる。操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29を図2で示す円弧軌道D2に沿って回転させることで、移動体3はx方向の軸周りに回転移動する。
移動体3をz方向の軸周りに回転移動させる場合、予めロック用スイッチ51cを操作してロック機構53cをオフの状態にすることで、移動体3はz軸周りの回転移動が可能となる。操作者は把持部37を把持した状態で操作ハンドル29を図2で示す円弧軌道D1に沿って回転させることで、移動体3はz方向の軸周りに回転移動する。
なお、移動体3を回転移動させる場合、予めロック用スイッチ51aを操作してロック機構53aをオンの状態にすることにより、移動体3の直進移動が禁止された状態となる。そのため、ロック機構53aをオンにした状態で操作ハンドル29を回転操作することにより、移動体3を回転移動させる際に、移動体3の3次元位置が変位することを回避できる。
操作者が操作ハンドル29を移動させると、力覚センサ33は操作者によって付与された力およびモーメントを検出する(ステップS3)。移動体3を移動させる際において、操作者が操作ハンドル29に付与する操作力Ctが適度な大きさである場合(過剰な大きさでない場合)、板状部材31の変位量は所定値以下であるので板状部材31はメカニカルストッパ35に干渉しない。この場合、操作力Ctはそのまま力覚センサ33へと伝達されるので、力覚センサ33が検出する力およびモーメントは、実際に操作者が付与した操作力Ctの力およびモーメントに等しい。つまり、力覚センサ33の検出量Kpの大きさは、操作力Ctの大きさに等しい。
そして、板状部材31はメカニカルストッパ35に干渉していない場合、力覚センサ33が検出する力およびモーメントはいずれも反転していない。そのため、アシスト力制御部69はモード切換部71によって通常モードに制御される(ステップS4-1)。よって、アシスト力制御部69はアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出する。検出量Kpは操作力Ctと等しいので、アシスト力Asの大きさは(α・Ct)と算出される(ステップS5-1)。アシスト力制御部69は、当該アシスト力Asに基づいて平行駆動部57または回転駆動部59の駆動を制御することにより、操作者の操作を支援するアシスト力を発生させる。
操作者は、操作力Ctに応じた方向および大きさのアシスト力の支援を受けつつ移動体3を移動させる。移動体3を適宜移動させることによって、被検体Mを介してX線検出器25と対向する位置へとX線管11を移動させる。X線管11の位置を調整した後、X線管11からX線を照射する。X線検出器25は、X線管11から照射されて被検体Mを透過したX線を検出してX線検出信号を発信する。画像生成部67は、X線検出器25から発信されたX線検出信号に基づいてX線画像を生成する。
<過剰な操作力が付与された場合の制御>
次に、操作者が操作ハンドル29に対して過剰な操作力Ctを付与した場合において、アシスト力Asを適切に制御する本発明の構成について説明する。なお図12ないし図14に示すように、操作ハンドル29のうち右側の把持部37を片手で把持して方向y1へ引っ張るように操作する場合を例として説明する。
図11は、力覚センサ33が検出する力およびモーメントの各々について、方向および大きさを示すタイミングチャートである。力覚センサ33が検出する力である検出量Kpは比較的太い実線で示されており、力覚センサ33が検出するモーメントについてはモーメントMoとして比較的細い実線で示されている。
また、力覚センサ33が検出する力の方向がy1方向である場合は検出量Kpの大きさを正の値で示し、力覚センサ33が検出する力の方向がy2方向である場合は検出量Kpの大きさを負の値で示している。そしてモーメントMoの方向がz軸周りについて反時計回り方向であるf1方向である場合はモーメントMoの大きさを正の値で示し、モーメントMoの方向がz軸周りについて時計回り方向であるf2方向である場合はモーメントMoの大きさを負の値で示している。
本実施例ではタイミングt0において、操作者は右側の把持部37を把持した状態で操作ハンドル29に対して方向y1へ向かう操作力Ctの付与を開始するものとする。そして時間の経過とともに操作力Ctの大きさを増大させるものとする。そしてタイミングt1において、増大するy1方向への操作力Ctによって板状部材31がメカニカルストッパ35に接触するものとする。なお、タイミングtnにおいて操作者が操作ハンドル29に付与する操作力Ctの大きさをCtnとする。
タイミングt0からt1までの間における操作機構13の状態は図12に示されている。このとき、操作力Ctは比較的小さいので、板状部材31が操作ハンドル29とともにy1方向へ変位する距離(変位量)は小さい。よって板状部材31の周端部Sはメカニカルストッパ35に干渉することなくスリット部48の内部空間に留まっている。そのため、y1方向へ向かう操作力Ctはそのまま板状部材31を介して力覚センサ33へと伝達される。よって、力覚センサ33がy軸方向の力として検出する検出量Kpの方向および大きさは、操作力Ctの方向および大きさと等しい。
また、y1方向へ操作力Ctが付与されることによって、力覚センサ33を通りz方向に平行な軸の周りについて、反時計回りのモーメントMoが発生する。すなわち、図12において符号Ceで示される点の周りについて反時計回り(f1方向)のモーメントMoが発生する。当該モーメントMoは検出量Kpとともに力覚センサ33によって検出される。板状部材31がメカニカルストッパ35に接触していない状態において、検出量KpおよびモーメントMoの大きさは、操作力Ctとともに増大する。
タイミングt0からt1までの間において、力覚センサ33が検出する力(検出量Kp)およびモーメントMoはいずれも反転していない。そのため、モード切換部71はアシスト力制御部69を通常モードに設定する(ステップS4-1)。アシスト力制御部69は、検出量Kpの方向および大きさに基づいて、アシスト比αを用いてアシスト力Asを算出する(ステップS5-1)。算出されるアシスト力は(α・Kp)であり、これは(α・Ct)と等しい。主制御部61は、算出されたy1方向へのアシスト力Asに基づいて平行駆動部57を駆動させることにより、y1方向へ移動部3を移動させる。
次に、タイミングt1以降における動作について説明する。図13は、タイミングt0からt1までの間における操作機構13の状態を示している。時間の経過とともに操作者がy1方向へ作用する操作力Ctを増大させていくと、操作力Ctの増大に応じて、y1方向へ向かう板状部材31の変位量も増大する。そのため、タイミングt1において板状部材31の周端部Sがメカニカルストッパ35におけるスリット部48の上面に接触する。板状部材31がスリット部48の上面に接触すると、板状部材31はメカニカルストッパ35によって受け止められているので、板状部材31の周端部Sはそれ以上y1方向へ移動することができなくなる。
タイミングt1以降、操作者はy1方向に向けて操作力Ct1より大きい操作力Ctを操作ハンドル29に付与していく。しかし、タイミングt1以降は板状部材31の周端部Sがメカニカルストッパ35によって受け止められているので、操作力Ctのうち操作力Ct1のみが板状部材31を介して力覚センサ33へ伝達される。よって、操作ハンドル29から伝達される力Deに起因して力覚センサ33が検出する力の大きさは、タイミングt1以降は一定の値Ct1である。
力覚センサ33が検知するモーメントMoは、操作ハンドル29が変位する方向および変位する距離に応じて変化する。言い換えると、力覚センサ33が検知するモーメントMoは、操作力Ctのうち操作ハンドル29から伝達される力の方向および大きさに応じて変化する。すなわち、操作力Ctのうち操作ハンドル29から力覚センサ33へ伝達される力Deが一定となることにより、力覚センサ33が検出するモーメントMoの大きさおよび方向もタイミングt1以降は一定となる。
そして、操作力Ct1より大きい操作力Ctをy1方向に加えることにより、方向y1とは逆方向である方向y2に向かう力が新たに発生する。すなわち、操作者が把持部37を把持する把持位置Kと比べて、メカニカルストッパ35が板状部材31の周端部Sを受け止める受け止め位置Lは、力覚センサ33の中心側寄りの位置となるように構成されている。そのため、y1方向へ変位する板状部材31の周端部Sがメカニカルストッパ35に接触し、メカニカルストッパ35が周端部Sを受け止めることにより、受け止め位置Lが支点となる。
そして、受け止め位置Lと比べて力覚センサ33の外側よりの位置である把持位置Kにおいてy1方向へ向かう操作力Ctが付与されている。そのため、把持位置Kを力点、受け止め位置Lを支点とする梃子の原理により、受け止め位置Lよりも力覚センサ33の中心側寄りの位置において、操作力Ctとは逆向きの力である反発力Reが発生する。
反発力Reは、y1とは逆方向であるy2へ向かう力であり、操作力Ctが増大すると反発力Reの大きさも増大する。その結果、力覚センサ33は操作ハンドル29から伝達されるy1方向(正の方向)の力Deのみならず、y2方向(負の方向)の反発力Reも検出する。よって、力覚センサ33が検出する検出量Kpの値は(De-Re)となる。つまり、タイミングt1以降は反発力Reの増大によって検出量Kpは減少していき、タイミングt2において検出量Kpは0となる。
タイミングt1からt2までの間において、検出量Kpは正の値であるので検出量Kpはy1方向となっており反転していない。そのため、モード切換部71はアシスト力制御部69を通常モードに設定した状態を続行する(ステップS4-1)。アシスト力制御部69は、アシスト比αを用いてアシスト力Asを算出する。アシスト比αの値は比較的大きい値であるが、反発力Reの発生によって検出量Kpは減少している。そのため、y1方向へ向かうアシスト力Asは発生するものの、タイミングt1以前と比べてアシスト力Asの値は小さい。
次に、タイミングt2からタイミングt3までの間における動作について説明する。図14は、タイミングt2からタイミングt3までの間における操作機構13の状態を示している。操作力Ctを過度に増大させることによって反発力Reが増大するため、タイミングt2以降は検出量Kpが正の値から負の値に反転する。すなわち、操作者は方向y1へ操作力Ctを付与しているにも関わらず、力覚センサ33は方向y2へ力が作用していると判定する。
そしてタイミングt2からさらに操作力Ctを増大させていくと、y2方向へ向かう反発力Reがさらに増大するため、負の値に反転した検出量Kpはさらに減少していく。ここでアシスト力制御部69が当該検出量Kpに対してアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出すると、アシスト比αは比較的大きい値であるので、アシスト力Asはy2方向へ向かう大きな力として算出されてしまう。その結果、操作ハンドル29をy1方向へ変位させる力Deと比べて、操作ハンドル29をy2方向へ変位させるアシスト力Asが大きく上回る。よって、操作者はy1方向へ操作ハンドル29を操作しようとしているにも関わらず、操作ハンドル29を含む移動体3はy2方向へ移動するという事態が発生する。
そこで、実施例に係るX線撮影装置1では、タイミングt2以降はアシスト比の値を低くすることによって、操作者の意図する方向とは異なる方向へ移動体3が移動することを防止する。ここで、タイミングt1において反発力Reが発生した後も板状部材31はスリット部48の上面に受け止められた状態を維持している。言い換えると、反発力Reが発生してさらに検出量Kpが負の値に反転した後であっても、操作ハンドル29の変位量および変位方向は変化していない。よって、タイミングt1以降において、力覚センサ33が検出するモーメントMoの方向および大きさは一定である。つまり、タイミングt2を経過してもモーメントMoは正の値を維持しており負の値には反転していない。
そこで、モード切換部71は、力覚センサ33が検出する検出力Kpが反転する一方で力覚センサ33が検出するモーメントMoが反転していないことをトリガとして、アシスト力制御部69を通常モードから低アシストモードへと切り換える(図10の符号R1およびR2、ステップS4-2を参照)。
低アシストモードに切り換えられることにより、アシスト力制御部69はアシスト比βを用いてアシスト力Asの算出を行う(ステップS5-2)。アシスト比βはアシスト比αと比べて値が小さいので、低アシストモードにおいて(β・Kp)として算出されるアシスト力Asは小さい値となる。従って、通常モードから低アシストモードへと切り換えることにより、反発力Reが発生した場合であっても、操作ハンドル29をy2方向へ変位させるアシスト力Asは操作ハンドル29をy1方向へ変位させる力Deを大きく下回る。よって、操作者はy1方向へ操作ハンドル29を操作しようとしているにも関わらず、操作者の意図する方向とは異なるy2方向へ移動体3が移動するという事態を回避できる。
次に、操作者が操作ハンドル29の操作を停止する場合に動作について説明する。ここで、操作者はタイミングt3において把持部37から手を離して過剰な操作力Ctの付与を停止するものとする。
操作力Ctの付与が停止されることにより、操作機構13を構成する各部は初期位置へと復帰していく。すなわち操作力Ctが停止されると、板状部材31の変位量は急激に低下して所定値を下回るので、板状部材31はメカニカルストッパ35との接触が解除される。板状部材31がメカニカルストッパ35から離れることにより、受け止め領域Lが支点となることがなくなるので反発力Reは発生しなくなる。
また、操作力Ctの付与を停止することによって、操作ハンドル29から板状部材31を介して力覚センサ33に伝達される力Deも急速に低下する。よって図11に示すように、タイミングt3以降において、力覚センサ33が検出する検出力KpおよびモーメントMoはいずれも低下し、所定のタイミングにおいてゼロとなる。なおモーメントMoはタイミングt4において、絶対値が予め定められた所定値Mxを下回る。
モード切換部71は、アシスト力制御部69が低アシストモードである状態においてモーメントMoの絶対値が所定値Mxを下回った場合、アシスト力制御部69の低アシストモードを解除する。すなわちタイミングt4において、モード切換部71はアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードへと切り換える(図10の符号R3、およびステップS4-1を参照)。なお所定値Mxは、ゼロまたは十分に小さい正の値とする。
モーメントMoの絶対値が十分小さくなっている場合、操作力Ctの値も十分に小さくなっている。そのため、アシスト比として比較的大きい値であるαを用いたとしてもアシスト力Asが作用する方向が操作者の意図する方向と異なるという事態が発生しない。よって、モーメントMoの絶対値が十分小さくなった後に操作者が再び操作力Ctの付与を開始した場合において、アシスト力制御部69は速やかに適切な方向へ作用する大きなアシスト力Asを移動体3へと付与できる。よって、アシスト比αを用いて算出されたアシスト力Asの付与によって、操作者による移動体3の操作を適切かつ十分に支援できる。
<力およびモーメントが反転する場合の制御>
図11などに示したように、本発明に係るX線撮影装置1において力覚センサ33が検出する検出量Kpが反転していない場合、モード切換部71は検出量Kpの方向が操作力Ctと同じ方向であると判断し、アシスト力制御部69を通常モードに設定する。そして検出量Kpが反転する一方でモーメントMoが反転していない場合、モード切換部71は検出量Kpの方向が操作力Ctと逆方向であると判断し、アシスト力制御部69を低アシストモードに設定する。
次に、力覚センサ33が検出する検出量KpおよびモーメントMoがいずれも反転する場合の制御について、図15に示すタイミングチャートなどを用いて説明する。検出量KpおよびモーメントMoがいずれも反転するという事態は、操作者が操作ハンドル29を移動させる方向を逆向きに変更する操作を行う場合において発生する。
図15に示すタイミングチャートでは、図11と同様にタイミングt0において、操作者は右側の把持部37を把持した状態で操作ハンドル29に対して方向y1へ向かう操作力Ctの付与を開始する。そして時間の経過とともに操作力Ctの大きさを増大させ、タイミングt1において、増大するy1方向への操作力Ctによって板状部材31がメカニカルストッパ35に接触する。
ただし、図15に示すタイミングチャートに係る操作では、タイミングt1より後のタイミングt5において、操作者は操作ハンドル29の把持部37を移動させる方向をy1方向からy2方向へと逆向きに変更させる。そしてタイミングt5以降は時間の経過とともにy2方向へ向けて操作力Ctの大きさを増大させ、タイミングt6において、増大するy2方向への操作力Ctによって板状部材31がメカニカルストッパ35に接触するものとする。
タイミングt5において操作力Ctの向きをy1方向からy2方向へ変化させることにより、y1方向への検出量Kpおよび点Ceの周りについて反時計回り方向のモーメントMoは速やかに減少していく。そしてタイミングtaにおいて検出量KpおよびモーメントMoはゼロとなる。タイミングt5からtaまでの間において、検出量KpおよびモーメントMoはいずれも反転していないので、モード切換部71はアシスト力制御部69を通常モードの状態に維持する(図11の符号R1、R2)。
検出量Kpはタイミングt5以降において急速に減少しているので、アシスト比としてαの値を用いたとしてもアシスト力Asは絶対値が小さい正の値として算出される。そのためタイミングt5からtaまでの間において、通常モードで算出されたアシスト力Asによって、移動体3はy1方向に僅かに動く程度に留まる。よって当該アシスト力Asが操作者にとって妨げになるという問題は発生しにくい。
そして図16に示すように、タイミングta以降はy2方向に加えられる操作力Ctに起因して、点Ceの周りについて時計回り方向のモーメントMoが発生する。なおタイミングtaからタイミングt6において、y2方向へ向かう操作力Ctの大きさは比較的小さいので、板状部材31が操作ハンドル29とともにy2方向へ変位する距離は小さい。よって板状部材31の周端部Sはメカニカルストッパ35に干渉することなくスリット部48の内部空間に留まっている。
板状部材31がメカニカルストッパ35に干渉していないため、y2方向へ向かう操作力Ctはそのまま板状部材31を介して力覚センサ33へと伝達される。よって、力覚センサ33が検出する検出量Kpの方向および大きさは、操作力Ctの方向および大きさと等しい。
また、タイミングtaからタイミングt6までの間は板状部材31がメカニカルストッパ35に干渉していない。そのため、操作ハンドル29および板状部材31がy2方向へ変位する距離は、y2方向へ付与する操作力Ctの大きさに比例する。すなわちタイミングtaからタイミングt6において、検出量KpおよびモーメントMoは負の値をとり、時間の経過とともに両者は徐々に減少していく。
このように操作力Ctの向きをy1方向からy2方向へ変化させる操作を行う場合、検出量KpおよびモーメントMoはいずれもタイミングtaにおいて正の値から負の値へと反転する。タイミングta以降において、操作者はy2方向へ操作機構13を移動させることを意図しており、力覚センサ33にはy2方向に向かう操作力Ctがそのまま検出量Kpとして検出されている。
つまり、操作者が意図する移動方向と検出量Kpの方向とが同じであるので、比較的大きいアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出することが望ましい。よって、検出量KpおよびモーメントMoがいずれも反転している場合、モード切換部71はアシスト力制御部69を通常モードに設定する(図10の符号R1~R2、およびステップS4-1を参照)。すなわちタイミングtaにおいても、モード切換部71はアシスト力制御部69が通常モードを維持するように制御する。その結果、アシスト比αを用いることにより、アシスト力Asは絶対値が大きい負の値として算出される。当該アシスト力Asに基づいて、移動体3に対してy2方向に向かう強いアシスト力が発生するので、当該アシスト力の支援によって操作者は容易にy2方向へ操作機構13を移動できる。
なお、操作者がタイミングt6以降もy2方向に向かってさらに操作力Ctを増大させていく場合、検出量Kpが反転する一方でモーメントMoが反転しない事態が発生するのでアシスト力制御部69のモードを切り換える制御が行われる。すなわちy2方向に向かってさらに操作力Ctを増大させることにより、タイミングt6において板状部材31の周端部Sがメカニカルストッパ35におけるスリット部48の下面に接触する。板状部材31がスリット部48の下面に接触すると、板状部材31はメカニカルストッパ35によって受け止められているので、板状部材31の周端部Sはそれ以上y2方向へ移動できなくなる。
タイミングt6以降、操作者はy2方向に向けて操作力Ct6より大きい操作力Ctを操作ハンドル29に付与していく。しかし図17に示されるように、タイミングt6以降は板状部材31の周端部Sがメカニカルストッパ35によって受け止められているので、操作力Ctのうち操作力Ct6のみが板状部材31を介して力覚センサ33へ伝達される。よって、操作ハンドル29から伝達される力Deに起因して力覚センサ33が検出する力の値は、タイミングt6以降は一定の値Ct6である。また、操作ハンドル29から伝達される力に起因して力覚センサ33が検出するモーメントMoの大きさおよび方向もタイミングt6以降は一定となる。
板状部材31の周端部Sの下面がメカニカルストッパ35に受け止められている状態で、把持部37に対して操作力Ct6より大きい操作力Ctをy2方向に加えると、y1方向へ向かう反発力Reが発生する。具体的には図17に示すように、把持部37の把持位置Kを力点、受け止め位置Lを支点とする梃子の原理により、受け止め位置Lよりも力覚センサ33の中心側寄りの位置において、操作力Ctとは逆向きに作用する反発力Reが発生する。
y2方向へ作用する操作力Ctの大きさが増大するに伴い、y1方向に作用する反発力Reの大きさも時間の経過とともに増大していく。そのため、タイミングt6以降は時間の経過とともに検出量Kpの値が負の値から正の値に向かっていく。
そしてタイミングt7において、検出量Kpは負の値から正の値へと反転する。検出量Kpが正の値に反転することでアシスト力Asも正の値となる。よって、大きいアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出すると、操作者はy2方向へ操作ハンドル29を操作しようとしているにも関わらず、操作ハンドル29を含む移動体3はアシスト力の支援によってy1方向へ移動するという事態が発生しうる。
ここで、タイミングt7において反発力Reが発生した後も、力覚センサ33が検出するモーメントMoの値は一定の負の値Mt6を維持している。すなわち検出量Kpは反転する一方で、モーメントMoは点Ceについて右回り方向f2を維持しており反転していない。そのため、モード切換部71はタイミングt7以降において、検出量Kpが反転している一方でモーメントMoが反転していないことをトリガとしてアシスト力制御部69を通常モードから低アシストモードへと切り換える(図10の符号R1およびR2、ステップS4-2を参照)。
低アシストモードに切り換えられることにより、アシスト力制御部69はアシスト比βを用いてアシスト力Asの算出を行う(ステップS5-2)。通常モードから低アシストモードへと切り換えることにより、図17において反発力Reが発生した場合であっても、操作ハンドル29をy1方向へ変位させるアシスト力Asは、操作ハンドル29をy2方向へ変位させる力Deを大きく下回る。よってタイミングt7以降において、操作者はy2方向へ操作ハンドル29を操作しようとしているにも関わらず、操作者の意図する移動方向とは異なるy1方向へ移動体3が移動するという事態を回避できる。
なお、低アシストモードに切り換えられた後、力覚センサ33が検出するモーメントMoの大きさ(絶対値)が所定の値を下回ることによって当該低アシストモードが解除される。一例として、タイミングt7以降において操作者が把持部37から手を離して操作力Ctの付与を止めることにより、力覚センサ33が検出する検出量KpおよびモーメントMoはゼロに向かう。そしてモーメントMoの絶対値がMxを下回ること(ここではモーメントMoの値が上昇して-Mxを上回ること)をトリガとして、モード変換部71はアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードへと切り換える。
モーメントMoの大きさが所定値を下回る場合、モーメントMoの大きさが十分に小さい。つまり、操作者が操作機構13に付与している操作力Ctの大きさが十分に小さいので、板状部材31の変位量が小さい。言い換えると、モーメントMoの大きさが十分に小さい場合は板状部材31がメカニカルストッパ35に接触していないので、操作力Ctの方向とは異なる方向に向かう反発力Reが発生していないことになる。
反発力Reが発生していない場合、操作者が操作機構13へ実際に付与している操作力Ctの方向と、力覚センサ33が検出する検出量Kpの方向は同じである。よって、モーメントMoの大きさが十分に小さい場合はアシスト力Asの方向と操作力Ctの方向が同じであるので、アシスト比として比較的大きい値であるαを用いることによって、操作者は適切な方向に作用する十分に大きいアシスト力Asの支援を受けつつ操作機構13を操作できる。
<実施形態の構成による効果>
(第1項)本実施形態に係るX線撮影装置は、被検体MにX線を照射するX線管11と、X線管11と対向して配置され,被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器25と、X線管11およびX線検出器25のうち少なくとも一方を移動可能に支持する支持機構5と、支持機構5を移動させるためのアシスト力Asを付与する平行駆動部57および回転駆動部59と、X線管11およびX線検出器25のうち少なくとも一方を移動させる操作を行う操作ハンドル29と、操作ハンドル29と連結される可動部41を有し、操作者が操作ハンドル29に付与した力CtおよびモーメントMoの方向および大きさを検出する力覚センサ33と、操作ハンドル29と力覚センサ33との間で操作ハンドル29の外側に向けて張り出して設けられ、可動部41とともに変位し、外力によって変形する板状部材31と、板状部材31の周端部Sの近くに隙間を介して設けられ、操作ハンドル29に過度な加重が作用して力覚センサ33の可動部41と共に板状部材31が変位した場合に周端部Sに接触して板状部材31を受け止めるとともに、板状部材31に外力を作用させて板状部材31を変形させるメカニカルストッパ35であって、板状部材31の周端部Sを受け止める受け止め位置Lが、操作者が操作ハンドル29を把持する把持位置Kと比べて力覚センサ33の中心側寄りの位置となるように構成されているメカニカルストッパ35と、力覚センサ33が検出した検出量KpおよびモーメントMoに応じてアシスト力Asを変化させる制御を行うアシスト力制御部69と、を備え、アシスト力制御部69は、検出量Kpの方向が反転する一方でモーメントMoの方向が反転しない場合、通常モードから当該通常モードと比べてアシスト力Asを低減させる低アシストモードへと移行するように構成される。
第1項に記載のX線撮影装置1では、支持機構5を移動させるために操作者が操作ハンドル29を手動で操作する際に、支持機構5を移動させる力であるアシスト力Asを付与して操作者の操作を支援するパワーアシスト機構を有している。また、操作者が操作ハンドル29に付与した操作力Ctを検出量Kpとして検出するとともに操作者が操作ハンドル29に付与した力に起因するモーメントをモーメントMoとして検出する力覚センサ33を備えている。力覚センサ33は、検出量KpおよびモーメントMoの各々について、方向および大きさを検出する。アシスト力制御部69は、検出量Kpに基づいてアシスト力Asを算出する。
また、X線撮影装置1は、操作ハンドル29に過度な加重が作用した場合に操作ハンドル29が所定値以上に変位することを防止する構成として、板状部材31およびメカニカルストッパ35を備えている。板状部材31は力覚センサ33と操作ハンドル29との間において両者を連結するように配設され、板状部材31の周端部Sが操作ハンドル29の外側に張り出している。メカニカルストッパ35は板状部材31の周端部Sの近くに隙間を介して設けられる。操作ハンドル29に過度な荷重が作用すると、操作ハンドル29とともに変位する板状部材31は、その周端部Sがメカニカルストッパ35に接触して受け止められるので、板状部材31および操作ハンドル29が所定値以上に変位することを回避できる。
ここで図19ないし図21を用いて示したように、パワーアシスト機構を備える従来のX線撮影装置100において、過度な荷重が作用した場合にハンドル部101の変位量を一定以下に制限する板バネ105およびメカニカルストッパ107をさらに備える場合、操作者がハンドル部101に付与した力の方向とは異なる方向にアシスト力が付与されるという事態が発生しうる。
すなわち、操作者がハンドル部101へ上向きに対して過度な力P1を付与すると、板バネ105がメカニカルストッパ107に干渉して受け止められる。板バネ105が受け止められることにより、力覚センサ103に伝達される上向きの力が一定値以上になることを防止する。このとき、板バネ105が受け止められた当該領域Rを支点とする梃子の原理により、力覚センサ103に対して力P1とは逆方向の反発力P2が作用する。そのため、力覚センサ103は一定値の上向きの力に加えて、下向きの反発力P2をも検出することとなる。
従来のX線撮影装置100では、力覚センサ103が検出する力に対して、常に一定値のアシスト比を乗じることによってアシスト力を算出する。そして操作者がハンドル部101に付与する力P1の大きさが増大すると、梃子の原理により反発力P2も増大する。よって、力覚センサ103に伝達される一定値の上向きの力の大きさを反発力P2が上回と、操作者は上向きの力P1をハンドル部101に付与しているにも関わらず、力覚センサ103が検出する力は全体として下向きとなる。その結果、力覚センサ103が検出する力にアシスト比が乗じられ、下向きのアシスト力が算出されてハンドル部101に付与される。つまり、板バネ105がメカニカルストッパ107に干渉することによって発生する反発力P2が、操作者の意図する方向とは異なる方向にアシスト力が付与される原因と考えられる。
そこで、本実施形態に係るX線撮影装置1では、アシスト力制御部69は力覚センサ33が検出した検出量KpおよびモーメントMoに応じてアシスト力Asを変化させる制御を行う。具体的には、検出量Kpの方向が反転する一方でモーメントMoの方向が反転しない場合、アシスト力制御部69は通常モードから低アシストモードへと移行する。アシスト力制御部69は低アシストモードになると、通常モードと比べてアシスト力が低減される。
本発明に係る発明者は力覚センサ33が検出するモーメントMoに着目し、さらに反発力Reの増大に起因して検出量Kpの方向が反転した場合であっても、力覚センサ33が検出するモーメントMoの方向は反転しないことを見出した。すなわち、力覚センサ33に作用する反発力Reは、力覚センサ33上における点Ceの周りのモーメントに影響を及ぼさない。そのため、反発力Reが増大して検出量Kpの方向が反転した場合であっても、操作力Ctの方向が反転しない限りはモーメントMoの方向も反転しない。よって、検出量Kpの方向が反転する一方でモーメントMoの方向が反転しない状態を検出することにより、操作者が操作ハンドル29に付与している操作力Ctの方向と、力覚センサ33が検出する検出量Kpの方向とが異なっていることを判別できる。
この状態で通常モードを維持して比較的大きいアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出すると、操作者が意図する移動方向である操作力Ctの方向とは異なる方向に対して大きなアシスト力Asが作用する。そこで、検出量Kpの方向が反転する一方でモーメントMoの方向が反転しないことをトリガとしてアシスト力制御部69を低アシストモードに切り換え、比較的小さいアシスト比βを用いてアシスト力Asを算出する。
低アシストモードでアシスト力Asを算出することにより、アシスト力Asの方向が操作力Ctの方向と異なる場合であっても、アシスト力Asの大きさが操作力Ctの大きさを上回ることを防止できる。よってアシスト力制御部69を低アシストモードへと切り換えることにより、支持機構5が操作者の意図する方向とは異なる方向に移動するという事態が発生することを回避できる。
なお、検出量KpおよびモーメントMoがいずれも反転する場合、検出量Kpと同様に操作力Ctの方向も反転している。すなわち、アシスト力Asが作用する方向と操作者が操作力Ctを作用させている方向は同じである。よって検出量KpおよびモーメントMoがいずれも反転する場合、アシスト力制御部69は通常モードを維持し、高いアシスト比αを用いてアシスト力Asを算出する。通常モードでアシスト力Asを算出することにより、操作者が操作力Ctを作用させている方向に対して大きいアシスト力Asが作用される。従って、大きな力であるアシスト力Asの支援を受けて操作者は容易に操作ハンドル29を操作できる。
(第2項)また第1項に記載のX線撮影装置において、アシスト力制御部69は、低アシストモードである場合においてモーメントMoの大きさが所定値Mxを下回った場合に前記低アシストモードを解除して前記通常モードへと移行するように構成される。
第2項に記載のX線撮影装置によれば、低アシストモードである場合においてモーメントMoの大きさが所定値Mxを下回った場合、アシスト力制御部69は自動的に低アシストモードを解除して通常モードへと移行するように構成される。低アシストモードである場合においてモーメントMoの大きさが所定値Mxを下回ることにより、操作者が実際に操作ハンドル29へ操作力Ctを付与する方向と異なる方向へ、大きなアシスト力Asが作用しうる状態が解消されたことが判別できる。よって、モーメントMoの大きさが十分に小さくなることをトリガとして自動的に低アシストモードから通常モードへアシスト力制御部69を自動的に切り換えることにより、操作者は確実かつ速やかに適切な方向へ作用する大きなアシスト力Asの支援を受けて支持機構5を移動させることができる。
(第3項)また第1項または第2項に記載のX線撮影装置において、操作ハンドル29は、低アシストモードを解除して通常モードへと移行させる低アシスト解除ボタン75を備える。
第3項に記載のX線撮影装置によれば、低アシストモードを解除して通常モードへと移行させる低アシスト解除ボタン75が操作ハンドル29に設けられている。操作者は低アシスト解除ボタン75を操作することにより、低アシストモードに設定されているアシスト力制御部69は通常モードへと移行する。すなわち操作者は任意のタイミングでアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードへと移行させることができる。よって、強いアシスト力Asの支援を要すると操作者が判断したタイミングにおいて速やかにアシスト力制御部69を通常モードへと切り換えることにより、大きなアシスト力Asによる支援を受けることが可能となる。
(第4項)また第1項ないし第3項のいずれかに記載のX線撮影装置において、板状部材31は弾性を有しており、当該弾性によって力覚センサ33に過剰な力が伝達されることを防止する。
第4項に記載のX線撮影装置によれば、板状部材31は弾性を有しており、力覚センサ33に過剰な力が伝達されることを当該弾性によって防止する。このような構成により、力覚センサ33に伝達される力が過剰となることに起因して力覚センサ33が劣化することをより確実に回避できる。また、板状部材31は弾性を有するので、操作ハンドル29に力が付与された場合に板状部材31は弾性変形し、付与された力が解消されると板状部材31は速やかに初期状態の形状に復帰する。よって、板状部材31を継続的に使用できるとともに、操作者が付与した操作力Ctを力覚センサ33へ適切に伝達する構成を実現できる。
<他の実施形態>
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例において、アシスト力制御部69が低アシストモードに切り換えられた後、力覚センサ33が検出するモーメントMoの大きさが所定値Mx以下となることをトリガとしてモード切換部71はアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードに切り換える制御を行うが、これに限られない。すなわち図18に示すように、操作ハンドル29に低アシスト解除ボタン75を配設し、操作者が低アシスト解除ボタン75を押下することをトリガとして、モード切換部71はアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードに切り換えてもよい。
X線撮影装置1が低アシスト解除ボタン75を備えることにより、操作者は任意のタイミングにおいてアシスト力制御部69を低アシストモードから通常モードへと復帰できる。すなわち、過剰な操作力Ctを操作ハンドル29へ付与することに起因してアシスト力制御部69が低アシストモードへと切り換えられた場合、操作者は操作ハンドル29に付与する操作力Ctの大きさを適切に調整した後、モーメントMoの低減を待つことなく速やかにアシスト力制御部69を通常モードに復帰できる。
(2)上述した実施例または変形例において、支持機構5はX線管11を支持し、操作機構13はX線管11の位置を移動させる操作を行う構成であるがこれに限られない。他の構成として、支持機構5はX線検出器25を支持し、操作機構13はX線検出器25の位置を移動させる操作を行う構成であってもよい。
(3)上述した実施例または変形例において、力覚センサ33の具体的な構成として3本のビーム部45を備えるビーム式の力覚センサを例示したが、ビーム部45の数は3つに限ることはなく、適宜変更してよい。また、力覚センサ33はビーム式の力覚センサに限ることはなく、力およびモーメントを検出できるセンサであればリング式、ブロック式を例とする公知の力覚センサを適宜用いてよい。
(4)上述した実施例または変形例において、板状部材31を受け止めることによって板状部材31の変位量を所定値以下に制限するストッパ機構としてメカニカルストッパ35を例示したが、これに限られない。板状部材31を受け止める受け止め位置Lが、操作ハンドル29に操作力Ctを付与する把持位置Kと比べて力覚センサ33の中心側寄りの位置となるような構成であれば、メカニカルストッパ35以外のストッパ機構を適宜用いてもよい。
(5)上述した実施例または変形例において、アシスト力制御部69が低アシストモードに設定されると、アシスト比の値が比較的高いαから比較的低いβへと変更される構成を例として説明したが低アシストモードにおける制御はこれに限られない。すなわち、算出されるアシスト力Asの大きさを低減する構成であれば、低アシストモードにおける制御はアシスト比を変更する方法以外であってもよい。低アシストモードにおける制御の他の一例として、移動体3の移動速度を所定値以下に制限させる速度制限機構をオンに制御する構成が挙げられる。
1 …X線撮影装置
3 …移動体
5 …支持機構
7 …天板
9 …撮影スタンド
11 …X線管
13 …操作機構
23 …支柱
25 …X線検出器
27 …コリメータ
29 …操作ハンドル(操作部)
31 …板状部材
33 …力覚センサ
35 …メカニカルストッパ
37 …把持部
38 …胴体部
41 …可動部
43 …リング部
45 …ビーム部
48 …スリット部
49 …タッチパネル
51 …ロック用スイッチ
53 …ロック機構
55 …位置検出部
57 …平行駆動部
59 …回転駆動部
61 …主制御部
63 …入力部
65 …表示部
67 …画像生成部
69 …アシスト力制御部
71 …モード切換部
75 …低アシスト解除ボタン
K …把持位置
L …受け止め位置
S …周端部

Claims (4)

  1. 被検体にX線を照射するX線管と、
    前記X線管と対向して配置され,前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管および前記X線検出器のうち少なくとも一方を移動可能に支持する支持機構と、
    前記支持機構を移動させるためのアシスト力を付与する駆動部と、
    前記X線管および前記X線検出器のうち少なくとも一方を移動させる操作を行う操作部と、
    前記操作部と連結される可動部を有し、操作者が前記操作部に付与した力およびモーメントの方向および大きさを検出する力覚センサと、
    前記操作部と前記力覚センサとの間で前記操作部の外側に向けて張り出して設けられ、前記可動部とともに変位し、外力によって変形する板状部材と、
    前記板状部材の周端部の近くに隙間を介して設けられ、前記操作部に過度な加重が作用して前記力覚センサの前記可動部と共に前記板状部材が変位した場合に前記周端部に接触して前記板状部材を受け止めるとともに、前記板状部材に外力を作用させて前記板状部材を変形させるストッパ機構であって、前記板状部材の前記周端部を受け止める受け止め位置が、操作者が前記操作部を把持する把持位置と比べて前記力覚センサの中心側寄りの位置となるように構成されているストッパ機構と、
    前記力覚センサが検出した前記力および前記モーメントに応じて前記アシスト力を変化させる制御を行うアシスト力制御部と、
    を備え、
    前記アシスト力制御部は、
    前記力の方向が反転する一方で前記モーメントの方向が反転しない場合、通常モードから前記通常モードと比べて前記アシスト力を低減させる低アシストモードへと移行するように構成されるX線撮影装置。
  2. 請求項1に記載のX線撮影装置において、
    前記アシスト力制御部は、前記低アシストモードである場合において前記モーメントの大きさが所定値を下回った場合に前記低アシストモードを解除して前記通常モードへと移行するように構成されるX線撮影装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置において、
    前記操作部は、前記低アシストモードを解除して前記通常モードへと移行させる低アシスト解除スイッチを備えるX線撮影装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のX線撮影装置において、
    前記板状部材は弾性を有しており、前記弾性によって前記力覚センサに過剰な力が伝達されることを防止するX線撮影装置。
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