JP2022076139A - 制振構造 - Google Patents
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Abstract
Description
制振ダンパーとしては、例えば特許文献1や特許文献2に記載の制振ダンパーが知られている。
特許文献1には、高さ方向に並列した複数の振動吸収フィンにより制振を行う鋼製ダンパーが記載されている。
また、特許文献2には、粘弾性体により制振を行う粘弾性ダンパーが記載されている。
しかし、近年は狭小な土地に住宅を建てた場合等に、縦材間隔が455mmの壁構造に制振構造を適応することが求められている。
このように幅の狭い壁構造に従来の制振構造を適用する場合、以下のような問題がある。
(1)狭い柱間に種々の制振部材を収めることができず、制振構造を適用できないおそれがある。
(2)縦材間隔が狭いと、構造材同士の地震等による相対変位量が小さくなるため、制振ダンパーの変形量が小さくなり、その機能を発揮できないおそれがある。
前記縦材に沿って配置する補強材を有し、前記補強材を介して前記固定材を前記縦材に固定してもよい。
前記固定材は、平板状、平面視L字状、又は平面視T字状の鋼材であってもよい。
前記固定材は、平面視矩形の木材であってもよい。
一対の前記固定材の一方は、平板状、平面視L字状、又は平面視T字状の鋼材であり、他方は平面視矩形の木材であってもよい。
制振ダンパーは縦方向に所定の間隔で複数個設けてもよい。
(2)縦材の間隔が狭いと、相対変位量が小さくなるが、変位のロスがなく制振ダンパーに伝えられるため、例えば縦材の間隔が455mmの壁構造でも制振を行うことができる。
(3)縦材に沿った固定材と、固定材に取り付ける制振ダンパーのみを縦材間に収めるため、縦材が幅狭な場合でも制振構造とすることができる。
<1>制振構造の概要
本発明の制振構造は、柱やスタッド等の平行する2本の縦材1と、縦材1の上下の梁や土台、上枠、下枠等の平行する横材2で構成された壁構造に制振ダンパー4を取り付けて制振機能を付与したものである(図1)。
制振ダンパー4は、2本の縦材1の長さ方向に沿って設けた一対の固定材3の高さ方向中央で、固定材3間に亘って設ける。本実施例においては、それぞれの縦材1に補強材5を設け、補強材5に固定材3を固定するが、縦材1の強度が高ければ、固定材3を直接縦材1に固定してもよい。また、補強材5は、縦材1の外側に設けてもよい。補強材5は縦材1と断面略同形にする等、規格により定められたサイズであれば、縦材1に対する各部材の配置位置の算定や各部材のサイズの選定が容易となる。
固定材3は、平面視L字状の鋼材である(図2)。なお、L字状に限定されず、T字状であってもよい。また、平板状とし、縦材1の表面から他方の縦材1側に突出するように固定してもよい。
固定材3は、一本の縦材1に対して一本の長尺の部材としてもよいし、高さ方向で複数に分割してもよい。複数に分割することにより、運搬や現場での取り扱いが容易となる。
固定材3は、地震等により壁構造が変形したときに固定した縦材1に追従して変位するように、縦方向に所定の間隔でビス等により補強材5もしくは縦材1に強固に固定する。
固定材3には、高さ方向に所定の間隔でボルト孔31を設ける。
制振ダンパー4は、鋼板からなる第1プレート41と第2プレート42に、高減衰ゴムやアクリルゴム等からなる粘弾性体43を接着したものである。
第2プレート12は、固定材3に固定する平板である。
第1プレート41は、鋼板を折曲したものであり、一方の端部から固定部411、第1段差部412、プレート接合部413、第2段差部414、粘弾性体接着部415の順に形成する(図3)。
固定部411は固定材3に固定するものであり、第2プレート42と同一平面上にある。
そして、第1段差部412により第2プレート42の厚さだけ立ち上げ、プレート接合部413を第2プレート42と接する。
次に、第2段差部414により粘弾性体43の厚さだけ立ち上げて粘弾性体接着部415を形成して粘弾性体43を接着し、第1プレート41と第2プレート42を一体とする。
第1プレート41に第1段差部412とプレート接合部413を形成することにより、プレート接合部413の部分で固定材3、第2プレート42、第1プレート41が重合されて一体となっており、制振ダンパー4の壁構造に対する面外方向への変形が防止される。
第1プレート41、第2プレート42にはボルト孔416、421を設け、これらのボルト孔416、421と、固定材3に設けたボルト孔31に固定ボルト44を挿通し、固定ナット45を螺合することで、制振ダンパー4を固定材3に固定する。
このとき、固定材3のボルト孔31や、制振ダンパー4のボルト孔416、421を横長の長孔状とすることで、異なる柱間隔(縦材1の間隔)の壁構造にも同一の固定材3、制振ダンパー4を適用することができる。
粘弾性体43は高減衰ゴム、アクリルゴム等からなる。
粘弾性体43の両面に第1プレート41と第2プレート42を接着することにより、粘弾性体43は、第1プレート41と第2プレート42の相対的な変位に合わせて変形し、振動吸収を行う。
地震により木造住宅に力が作用すると、縦材1に傾きが生じる。一方の縦材1aには補強材5a、固定材3aを介して第1プレート41が固定されており、他方の縦材1bには補強材5b、固定材3bを介して第2プレート42が固定されている。
そして、縦材1a、1bが傾くと、それに合わせて第1プレート41と第2プレート42が相対的に変位し、この変位に合わせて第1プレート41と第2プレート42に接着した粘弾性体43が変形し、制振機能が働く(図4)。
縦材1の間隔が狭いと、相対変位量が小さくなるが、変位のロスがなく粘弾性体43に伝えられるため、例えば縦材1の間隔が455mmの壁構造でも制振ダンパー4により制振を行うことができる。
また、縦材1に沿った固定材3と、固定材3に取り付ける制振ダンパー4のみを縦材1間に収めるため、縦材1が幅狭な場合でも制振構造とすることができる。
上述の実施例1においては、固定材3間には高さ方向中央に一つの制振ダンパー4を設けたが、制振ダンパー4は一つに限らず、高さ方向に所定の間隔で複数個設けて、制振機能を高めてもよい(図5)。固定材3が複数に分割される場合には、連結材32により連結する。
上述の実施例1、2においては、固定材3を鋼材としたが、木製の角材としてもよい(図6)。
固定材3を木製とすることにより、コストが安くなり、現場での調達も容易となる。
固定材3を木製とする場合には、制振ダンパー4のボルト孔416、421に代えてビス孔46を設け、固定ビス47により固定材3に固定する。
また、一対の固定材3のうち、一方を鋼材、他方を木製とすることもできる。
本発明の制振構造は、複数を並列して設けることもできる(図8、9)。
例えば尺モジュールの壁構造に対して、幅方向の中間に縦材1や補強材5を追加し、その両側に固定材3や制振ダンパー4を設ける。
このとき、縦方向の制振ダンパー4の取り付け高さを左右で変えてもよい。
左右の制振ダンパー4の高さが同じ場合、中央の縦材1にかかるせん断力が集中するが、制振ダンパー4を上下に分散して配置することで、中央の縦材1にかかるせん断力が相殺され、中央の縦材1に作用するせん断力を小さくすることができる。
2 横材
3 固定材、31 ボルト孔
4 制振ダンパー、41 第1プレート、411 固定部、412 第1段差部、413 プレート接合部、414 第2段差部、415 粘弾性体接着部、416 ボルト孔、42 第二プレート、421 ボルト孔、43 粘弾性体、44 固定ボルト、45 固定ナット、46 ビス孔、47 固定ビス
5 補強材
Claims (6)
- 平行する2本の縦材と、
2本の前記縦材の上端及び下端に接合した2本の平行な横架材と、
それぞれの前記縦材に沿って固定する一対の固定材と、
一対の前記固定材間に亘って設ける制振ダンパーと、からなる、制振構造。 - 前記縦材に沿って配置する補強材を有し、
前記補強材を介して前記固定材を前記縦材に固定する、請求項1に記載の制振構造。 - 前記固定材は、平板状、平面視L字状、又は平面視T字状の鋼材である、請求項1又は2に記載の制振構造。
- 前記固定材は、平面視矩形の木材である、請求項1又は2に記載の制振構造。
- 一対の前記固定材の一方は、平板状、平面視L字状、又は平面視T字状の鋼材であり、他方は平面視矩形の木材である、請求項1又は2に記載の制振構造。
- 制振ダンパーを縦方向に所定の間隔で複数個設ける、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制振構造。
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