JP2022070967A - 硬化体層、プリント配線板、半導体装置、樹脂シート、プリント配線板の製造方法、及び樹脂シートの製造方法 - Google Patents

硬化体層、プリント配線板、半導体装置、樹脂シート、プリント配線板の製造方法、及び樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無機充填材の除去能が低いN2ガス又はO2ガスによるプラズマを用いても、スミア除去性を十分に確保することができる硬化体層を提供する。【解決手段】最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板の前記導体層側の面上に設けられた、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物の硬化物で形成された硬化体層であって、A0-1/A1-2>1.1を満たす硬化体層。【選択図】図2

Description

本発明は、硬化体層、プリント配線板、半導体装置、樹脂シート、プリント配線板の製造方法、及び樹脂シートの製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進み、多層プリント配線板においては、ビルドアップ層が複層化され、配線の微細化及び高密度化も一層進んでいる。導体形成方法としては、例えば、無電解めっきと電解めっきで導体層を形成するセミアディティブ法等が知られている。絶縁層とめっき導体層との密着性は、絶縁層の粗化処理によって形成される凹凸の程度に影響を受け、一般に、密着性を高めるには、絶縁層表面の粗度をより大きくすることが考えられる。
しかしながら、絶縁層表面の粗度が大きい場合、該表面上に形成される回路の間の幅の制限も大きくならざるを得ず、高密度配線には不利となる。従って、高密度配線化のために、絶縁層表面に粗化処理後の粗度が小さくても密着性に優れる導体層を形成する方法が要求されている。
特許文献1には、支持フィルム上に樹脂組成物層が形成された接着フィルムを、回路基板に積層して、樹脂組成物層を熱硬化後に支持フィルムを剥離して、絶縁層表面にスパッタ法により導体層を形成することにより、粗度が比較的小さいにも関わらず、導体層が高い剥離強度を示す多層プリント配線板を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、絶縁層と銅配線の熱膨張率のミスマッチ解消のために、樹脂組成物に無機充填材を高配合することが行われており、さらに高密度化・小型化に対応するために比較的粗度が小さいにもかかわらず高い剥離強度を得ることが記載されている。
特開2007-273615号公報 特開2015-150885号公報
無機充填材を高配合した従来の絶縁層(硬化体層)に対して乾式粗化工程を採用した場合、CFガスなどのフッ素系ガスを使用したプラズマ処理では、スミア除去性が良好であるものの、高価な設備投資が要求される上、人体及び環境に対する影響が課題となる。その一方で、無機充填材の除去能が低いNガス又はOガスを使用するプラズマ処理では、無機充填材及び当該無機充填材の下部に位置する樹脂成分が十分に除去できないことから、スミア除去性が十分に確保できなかった。
そこで、本発明の課題は、乾式粗化工程において、フッ素系ガスを使用しなくとも、無機充填材の除去能が低いNガス又はOガスによるプラズマ処理により、十分に良好なスミア除去性を確保できる硬化体層;前記の硬化体層を備えたプリント配線板及びその製造方法;前記の硬化体層を備えた半導体装置;前記硬化体層を得ることができる樹脂シート及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、硬化体層の導体層近傍領域における無機充填材の樹脂成分に対する量(無機充填材/樹脂成分)を相対的に低く抑えることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板の前記導体層側の面上に設けられた、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物の硬化物で形成された硬化体層であって、
前記硬化体層の主表面に垂直な前記硬化体層の断面において、前記導体層からの距離が0μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とし、1μmから2μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とした場合に、A0-1/A1-2>1.1を満たす、硬化体層。
[2] 前記断面において、前記導体層からの距離が0μmから0.5μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とし、0.5μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とした場合に、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、[1]に記載の硬化体層。
[3] 前記断面において、前記導体層からの距離が0.5μmからdμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとし、dμmから0.5Dμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとした場合に、0.9≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは前記硬化体層の厚みである。)を満たす、[1]又は[2]に記載の硬化体層。
[4] 前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化体層。
[5] 前記樹脂組成物が、さらに、活性エステル系硬化剤を含む、[4]に記載の硬化体層。
[6] 前記樹脂組成物が、さらに、シアネートエステル系硬化剤を含み、その含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、15質量%以上である、[4]又は[5]に記載の硬化体層。
[7] 前記樹脂組成物の窒素原子含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、1質量%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化体層。
[8] 前記硬化体層が、第1の樹脂組成物の硬化物で形成された第1硬化体層と、前記第1の樹脂組成物とは異なる組成を有する第2の樹脂組成物の硬化物で形成された第2硬化体層とを、前記基板とは反対側からこの順に備える、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化体層。
[9] 前記第2硬化体層の厚さが2μm未満である、[8]に記載の硬化体層。
[10] 前記第2の樹脂組成物の無機充填材含有量が20質量%未満である、[8]又は[9]に記載の硬化体層。
[11] Oガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理に供するための、[1]~[10]のいずれかに記載の硬化体層。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載の硬化体層と、導体層を備える基板とを有するプリント配線板。
[13] 前記硬化体層に、トップ径が15μm以下のビアホールが形成された[12]に記載のプリント配線板。
[14] [1]~[11]のいずれかに記載の硬化体層を含む、半導体装置。
[15] 支持体と、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物層とを有する樹脂シートであって、
前記樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成した場合における前記硬化体層の主表面に垂直な前記硬化体層の断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とし、1μmから2μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とした場合に、A0-1/A1-2>1.1を満たす、樹脂シート。
[16] 前記断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0μmから0.5μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とし、0.5μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とした場合に、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、[15]に記載の樹脂シート。
[17] 前記断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0.5μmからdμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとし、dμmから0.5Dμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとした場合に、0.9≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは前記硬化体層の厚みである。)を満たす、[15]又は[16]に記載の樹脂シート。
[18] 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂を含む、[15]~[17]のいずれかに記載の樹脂シート。
[19] 前記樹脂組成物層が、さらに、活性エステル系硬化剤を含む、[18]に記載の樹脂シート。
[20] 前記樹脂組成物層が、さらに、シアネートエステル系硬化剤を含み、その含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、15質量%以上である、[18]又は[19]に記載の樹脂シート。
[21] 前記樹脂組成物層の窒素原子含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、1質量%以上である、[15]~[20]のいずれかに記載の樹脂シート。
[22] 前記樹脂組成物層が、第1の樹脂組成物で形成された第1層と、前記第1の樹脂組成物とは異なる組成を有する第2の樹脂組成物で形成された第2層とを、前記支持体側からこの順位備える、[15]~[21]のいずれかに記載の樹脂シート。
[23] 前記第2層の厚さが2μm未満である、[22]に記載の樹脂シート。
[24] 前記第2の樹脂組成物の無機充填材含有量が20質量%未満である、[22]又は[23]に記載の樹脂シート。
[25] 前記樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成させた後に、硬化体層をOガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理に供するための、[15]~[24]のいずれかに記載の樹脂シート。
[26] (A)無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物層を含む樹脂シートを、最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板に、前記樹脂組成物層が前記基板の前記導体層側の面に接合するように積層する工程、
(B)前記樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成する工程、
(C)前記硬化体層にビアホールを形成する工程、及び
(D)前記硬化体層に、Oガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理を行う工程
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記硬化体層の主表面に垂直な前記硬化体層の断面において、前記導体層からの距離が0μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とし、1μmから2μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とした場合に、A0-1/A1-2>1.1を満たす、プリント配線板の製造方法。
[27] 前記断面において、前記導体層からの距離が0μmから0.5μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とし、0.5μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とした場合に、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、[26]に記載のプリント配線板の製造方法。
[28] 前記断面において、前記導体層からの距離が0.5μmからdμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとし、dμmから0.5Dμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとした場合に、0.9≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは前記硬化体層の厚みである。)を満たす、[26]又は[27]に記載のプリント配線板の製造方法。
[29] 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂を含む、[26]~[28]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[30] 前記樹脂組成物層が、さらに、活性エステル系硬化剤を含む、[29]に記載のプリント配線板の製造方法。
[31] 前記樹脂組成物層が、さらに、シアネートエステル系硬化剤を含み、その含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、15質量%以上である、[29]又は[30]に記載のプリント配線板の製造方法。
[32] 前記樹脂組成物層の窒素原子含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、1質量%以上である、[26]~[31]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[33] 前記樹脂組成物層が、第1の樹脂組成物で形成された第1層と、第1の樹脂組成物とは異なる組成を有する第2の樹脂組成物で形成された第2層とを備える、[26]~[32]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[34] 前記第2層の厚さが2μm未満であり、前記第2層が前記基板と接合する、[33]に記載のプリント配線板の製造方法。
[35] 前記第2の樹脂組成物の無機充填材含有量が20質量%未満である、[33]又は[34]に記載のプリント配線板の製造方法。
[36] (A)工程が、支持体と、前記支持体上に形成された前記樹脂組成物層とを有する樹脂シートを、前記樹脂組成物層が前記基板の前記導体層側の面に接合するように積層することを含む、[26]~[35]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[37] 前記ビアホールのトップ径が、15μm以下である、[26]~[36]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[38] (D)工程が、Oガスによるプラズマ処理を行う工程である、[26]~[37]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[39] 支持体と、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物層とを有する樹脂シートの製造方法であって、
(α)前記支持体上に形成された第1の樹脂組成物で形成された第1層上に、前記第1の樹脂組成物とは異なる組成を有する第2の樹脂組成物で形成された第2層を形成し、樹脂組成物層を得る工程
を含み、
前記樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成した場合における前記硬化体層の主表面に垂直な前記硬化体層の断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とし、1μmから2μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とした場合に、A0-1/A1-2>1.1を満たす、樹脂シートの製造方法。
[40] 前記断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0μmから0.5μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とし、0.5μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とした場合に、A0-0.5/A0.5-1>1.1を満たす、[39]に記載の樹脂シートの製造方法。
[41] 前記断面において、前記支持体とは反対側の前記硬化体層の主表面からの距離が0.5μmからdμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとし、dμmから0.5Dμmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとした場合に、0.9≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(ここで、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは前記硬化体層の厚みである。)を満たす、[39]又は[40]に記載の樹脂シートの製造方法。
[42] 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂を含む、[39]~[41]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[43] 前記樹脂組成物層が、さらに、活性エステル系硬化剤を含む、[42]に記載の支持体付樹脂シートの製造方法。
[44] 前記第2層の厚さが2μm未満である、[39]~[43]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[45] 前記第2の樹脂組成物の無機充填材含有量が20質量%未満である、[39]~[44]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[46] (α)工程が、
(α1)支持体と、前記支持体上に形成された第1の樹脂組成物からなる第1層とを含む支持体付き仮樹脂シートを準備する工程、及び
(α2)前記第1層上に、前記第2の樹脂組成物を含む塗工液を塗布し、乾燥して第2層を形成する工程
を含む、[39]~[45]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[47] 樹脂シートが、前記樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成させた後に、前記硬化体層をOガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理に供するためのものである、[39]~[46]のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
本発明によれば、デスミア処理において、無機充填材の除去能が低いNガス又はOガスによるプラズマを用いても、スミア除去性を十分に確保することができる硬化体層;前記の硬化体層を備えたプリント配線板及びその製造方法;前記の硬化体層を備えた半導体装置;前記硬化体層を得ることができる樹脂シート及びその製造方法;を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態における硬化体層の断面を模式的に示す断面図を示す。 図2は、本発明の一実施形態におけるビアホールが形成された硬化体層の断面を模式的に示す断面図を示す。 図3は、本発明の一実施形態における硬化体層の断面を模式的に示す断面図を示す。 図4は、本発明の一実施形態における支持体と樹脂組成物層とを有する樹脂シートの断面を模式的に示す断面図を示す。 図5は、本発明の一実施形態における樹脂シートの樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成した場合の支持体と硬化体層の断面を模式的に示す断面図を示す。 図6は、本発明の一実施形態における樹脂シートの樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成した場合の支持体と硬化体層の断面を模式的に示す断面図を示す。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
<硬化体層の概要>
図1は、本発明の一実施形態における硬化体層100の断面を模式的に示す断面図である。図1に示す硬化体層100は、導体層210を備えた基板200の前記導体層210側の面210U上に設けられている。そこで、図1には、硬化体層100だけでなく、導体層210を備える基板200も示す。
図1に示す本発明の一実施形態における硬化体層100は、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物の硬化物で形成されている。この硬化体層100は、導体層210を備えた基板200の導体層210側の面210U上に設けられている。また、導体層210は、基板200の最外層の少なくとも一部として設けられている。よって、硬化体層100の少なくとも一部は、導体層210上に設けられている。
硬化体層100の主表面(ここでは、硬化体層100の導体層210側の面)100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離が0μmから1μmまでの領域110における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とする。また、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離が1μmから2μmまでの領域120における単位面積当たりの樹脂成分の面積を、A1-2とする。この場合に、硬化体層100は、A0-1/A1-2>1.1(以下、「条件(1)」ともいう)を満たす。
本明細書において、「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する成分のうち、無機充填材を除いた成分をいう。また、「単位面積当たりの樹脂成分の面積」とは、硬化体層100の断面の単位面積当たりの樹脂成分が占める面積をいう。
条件(1)は、導体層210からの距離が0μmから1μmまでの領域110は、1μmから2μmまでの領域120に比べて、樹脂成分の面積がより大きく、無機充填材の量がより少ないということを表す。
条件(1)は、十分にスミア除去性を確保する観点から、A0-1/A1-2>1.13であることが好ましく、A0-1/A1-2>1.15より好ましく、A0-1/A1-2>1.2であることがさらに好ましい。
さらに、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離が0μmから0.5μmまでの領域130における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とする。また、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離が0.5μmから1μmまでの領域140における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とする。この場合、硬化体層100は、A0-0.5/A0.5-1>1.1(以下、「条件(2)」ともいう)を満たすことが好ましい。
条件(2)は、導体層210からの距離が0μmから0.5μmまでの領域130は、0.5μmから1μmまでの領域140に比べて、樹脂成分の面積がより大きく、無機充填材の量がより少ないということを表す。
条件(2)は、十分にスミア除去性を確保する観点から、A0-0.5/A0.5-1>1.13であることが好ましく、A0-0.5/A0.5-1>1.15より好ましく、A0-0.5/A0.5-1>1.2であることがさらに好ましい。
図2は、本発明の一実施形態における硬化体層100の断面を模式的に示す断面図である。この図2では、硬化体層100にビアホール300が形成された後、デスミア処理が行われる前の状態を示す。
図2に示すように硬化体層100にビアホール300が形成されると、そのビアホール300の側面300Sにスミア310が生じることがある。ビアホール300の径は、一般に、導体層210に近いほど小さい。よって、仮に導体層210に近いビアホール300の底部320にスミア310が残ると、ビアホール300が塞がり、導通不良の原因となる可能性がある。よって、このようなビアホール300の底部320のスミア310は、デスミア処理によって取り除くことが望まれる。しかし、スミア310が無機充填材を多く含む場合、Nガス及びOガスのようなフッ素を含まないガスを用いたプラズマ処理としてのデスミア処理では、スミア310を十分に取り除くことが難しかった。
これに対し、本実施形態に係る硬化体層100は、条件(1)或いは条件(1)に加えて条件(2)を満たしていることから、導体層210の近傍領域では、無機充填材の量が相対的に少なく、導体層210から遠ざかるに従い、連続的或いは段階的な勾配を伴って、無機充填材の割合が上昇する。よって、硬化体層100に形成されるビアホール300内では、底部320に形成されるスミア310が含む無機充填材の量が少ない。したがって、絶縁層として無機充填材を高配合した硬化体層100を用いる場合であっても、ビアホール300に生じるスミア310を、無機充填材の除去能が低いNガスやOガスによるプラズマによって効果的に除去できる。したがって、フッ素系ガスを使用しなくとも、良好なスミア除去性を達成することができる。
図3は、本発明の一実施形態としての硬化体層100の断面を模式的に示す断面図である。図3に示すように、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離が0.5μmからdμmまでの領域150における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとする。また、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、導体層210からの距離がdμmから0.5Dμmまでの領域160における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとする。この場合に、0.9≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.1(以下、「条件(3)」ともいう)を満たすことが好ましい。ここで、dは0.5<d<0.5Dを満たす数であり、Dは硬化体層100の厚みである。
条件(3)は、導体層100から一定以上遠ざかると、無機充填材と樹脂成分との量比に変化がなくなり、相対的に均一な組成を有する相となることを示す。
条件(3)は、0.92≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.08であることが好ましく、0.95≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.05であることがより好ましく、0.98≦A0.5-d/Ad-0.5D≦1.02であることがさらに好ましい。
条件(3)を満たすことにより、導体層210の近傍の限られた領域において急激な組成勾配を有するため、高い剥離強度を確保しつつ、十分なスミア除去性を確保できる。
硬化体層100の厚さDは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。硬化体層100の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
前記のように、硬化体層100は、Nガス又はOガスを用いたプラズマ処理によるスミア除去性に優れるという特性を示す。前記のスミア除去性は、最大スミア長によって評価できる。最大スミア長としては、5μm未満であることが好ましく、3μm未満であることがより好ましく、2μm未満であることがさらに好ましい。「最大スミア長」とは、ビアホールの底面の円周から円中心へのスミアの最大長さを意味する。前記の最大スミア長の評価は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
また、硬化体層100は、導体層210との間の剥離強度を高い水準で得られるという特性を示す。剥離強度としては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.40kgf/cm以上、より好ましくは0.50kgf/cm以上、さらに好ましくは0.55kgf/cm以上である。一方、上限値は、5kgf/cm以下等とし得る。剥離強度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
ある実施形態では、硬化体層は、第1の樹脂組成物の硬化物で形成された第1硬化体層と、第2の樹脂組成物の硬化物で形成された第2硬化体層とを、前記基板とは反対側からこの順に備えることにより条件(1)を満たす(以下「層状勾配型」ともいう)。この場合、導体層を備える基板と接合する側の第2硬化体層を形成する第2の樹脂組成物の無機充填材含有量を、第1の樹脂組成物の無機充填材含有量よりも低くすることで、導体層近傍領域の樹脂成分の面積を高めることができる。第2硬化体層の厚さは、本発明の所望の効果が得られる限り限定されるものではないが、好ましくは、2μm未満であり、より好ましくは1.5μm未満であり、さらに好ましくは、1μmであり、特に好ましくは、0.8μmである。当該実施形態における第2の樹脂組成物の無機充填材含有量については、以下で詳述する。当該実施形態では、硬化体層は、第1硬化体層と第2硬化体層からなる2層の形態に限られず、3層以上の硬化体層であってもよい。したがって、硬化体層は、第1及び2の樹脂組成物とは異なる組成を有する樹脂組成物の硬化物で形成された硬化体層をさらに備えていてもよい。
他の実施形態では、硬化体層は、導体層を備える基板上で組成が均質な樹脂組成物を硬化させて得られる硬化体層であって、導体層近傍領域で不均一な組成を有することにより条件(1)を満たす硬化体層(以下「導体層近傍勾配型」ともいう)である。条件(1)を満たすことができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂組成物に一定量のシアネートエステル系硬化剤などの窒素含有成分を含有させることで、導体層近傍勾配型の硬化体層を得ることができる。シアネートエステル系硬化剤の具体例又は含有量等については、以下で詳述する。当該実施形態では、硬化体層は一層であっても複層であってもよい。すなわち、層状勾配型と導体層近傍勾配型を組み合わせた形態であってもよい。
<単位面積当たりの樹脂成分の面積>
単位面積当たりの樹脂成分の面積は、後述の[樹脂面積比の測定]に記載の方法により測定及び算出することができる。具体的には、(1)硬化体層の主表面に垂直な断面が露出するように断面出しを行い、断面試料を作製すること、及び(2)断面試料を走査電子顕微鏡(SEM)観察し、得られたSEM像について画像解析して樹脂面積を求めることにより、測定することができる。
画像解析では、樹脂成分部分と無機充填材部分を2値化し、樹脂成分部分のピクセル数を樹脂面積として扱う。また、樹脂面積の測定にあたっては、測定領域の幅(例えば、硬化体層主表面に平行な方向における測定距離)を等しく設定する。
当然のことではあるが、樹脂面積の比の測定に際しては、画像解析の精度を担保させるべく、条件の校正を行う。斯かる校正は、(無機充填材部分のピクセル数)/(断面試料の断面の全ピクセル数)×100の値が、断面試料の無機充填材の体積%値と実質的に一致するように2値化閾値を設定することで実施し得る。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、樹脂成分及び(A)無機充填材を含む。樹脂組成物は、樹脂成分として(B)エポキシ樹脂を含んでいることが好ましい。樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(C)硬化剤、(D)熱可塑性樹脂、(E)有機充填材、(F)難燃剤、(G)硬化促進剤、(H)その他の添加剤等が挙げられる。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)無機充填材>
樹脂組成物は、(A)成分を、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、40質量%以上含有する。樹脂組成物中において(A)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、樹脂組成物全体に対して(A)成分を40質量%以上含有することを意図する。
(A)無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられ、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)無機充填材の市販品としては、例えば、電化化学工業社製の「UFP-30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;などが挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下、0.7μm以下である。無機充填材の平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上、0.07μm以上、又は0.1μm以上である。無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(A)無機充填材の比表面積は、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは1.5m/g以上、特に好ましくは2m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは50m/g以下、45m/g以下又は40m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
樹脂組成物全体に対する(A)無機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、線熱膨張係数及び誘電正接の低い硬化物を得る観点から、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、55質量%以上である。その上限は、得られる硬化物の機械強度の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
硬化体層が第1硬化体層と第2硬化体層の2層からなる層状勾配型の場合、樹脂組成物全体の(A)無機充填材の含有量Fは、以下のように計算する。
F(質量%)=(F+F)/(L+L
(式中、Fは第1の樹脂組成物の無機充填材の含有量(質量%)を示し、Fは第2の樹脂組成物の無機充填材の含有量(質量%)を示し、Lは硬化前の第1の樹脂組成物の厚みを示し、Lは硬化前の第2の樹脂組成物の厚みを示す。)
層状勾配型の硬化体層を得るために、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物を用いる場合、導体層を備える基板と接合する側の第2硬化体層を形成する第2の樹脂組成物(第2層)の無機充填材含有量は、条件(1)を満たすことができる限り特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは、20質量%未満であり、より好ましくは10質量%未満であり、さらに好ましくは5質量%未満であり、特に好ましくは0質量%である。この場合、第2硬化体層と反対側、すなわち支持体を有する場合に支持体と接合する側の第1硬化体層を形成する第1の樹脂組成物(第1層)の無機充填材含有量は、樹脂組成物全体の(A)無機充填材の含有量の条件を満たす限り特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、線熱膨張係数及び誘電正接の低い硬化物を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、60質量%以上である。その上限は、得られる硬化物の機械強度の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
<(B)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、任意で(B)エポキシ樹脂を含む。
(B)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(B)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(B)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(B)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:1~1:20、より好ましくは1:1~1:10、特に好ましくは1:1~1:5である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
(B)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq~5000g/eq、より好ましくは50g/eq~3000g/eq、さらに好ましくは80g/eq~2000g/eq、さらにより好ましくは110g/eq~1000g/eqである。この範囲となることで、樹脂組成物層の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(B)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(B)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。その上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。樹脂組成物中において(B)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(B)成分の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
<(C)硬化剤>
樹脂組成物は、任意で(C)硬化剤を含む。
(C)硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤及びカルボジイミド系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、被着体に対する密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤又は含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤又はトリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンタレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000」、「HPC-8000H」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」、「EXB-8150-65T」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
硬化剤を含む場合、エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2~1:2の範囲が好ましく、1:0.3~1:1.5がより好ましく、1:0.4~1:1.2がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の不揮発成分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の不揮発成分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、得られる硬化物の耐熱性がより向上する。
樹脂組成物が(C)硬化剤を含有する場合、(C)硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。その上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。樹脂組成物中において(C)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(C)成分の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
樹脂組成物は、活性エステル系硬化剤を含んでいることが好ましい。活性エステル系硬化剤を含む場合、活性エステル系硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは12質量%以上である。その上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
特定の好適な実施形態では、シアネートエステル系硬化剤を含んでいることが好ましい。当該実施形態では、効果的に導体層近傍勾配型の硬化体層、又は層状勾配型と導体層近傍勾配型を組み合わせた硬化体層を得ることができる。
樹脂組成物にシアネートエステル系硬化剤が含まれることで、組成が均質な樹脂組成物を使用したとしても、硬化時に導体層近傍領域で無機充填材の割合が低下するため、ビアホールに生じるスミアを、無機充填材の除去能が低いNガス又はOガスによるプラズマを用いたとしても効果的に除去できる。
当該実施形態において、シアネートエステル系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、スミア除去性を十分に確保する観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。その上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
<(D)熱可塑性樹脂>
樹脂組成物は、任意で(D)熱可塑性樹脂を含む。
(D)成分としての熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点、並びに、表面粗さが小さく導体層との密着性に特に優れる絶縁層を得る観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
(D)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
樹脂組成物が(D)熱可塑性樹脂を含有する場合、(D)熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。その上限は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。樹脂組成物中において(D)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(D)成分の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
<(E)有機充填材>
樹脂組成物は、任意で(E)有機充填材を含む。
(E)有機充填材としては、電子部品を封止するに場合などに使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体である限り特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、具体的には、XER-91(日本合成ゴム社製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3816N、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、アイカ工業社製)、PARALOID EXL2655、EXL2602(以上、ダウケミカル社製)等が挙げられる。
(E)有機充填材の平均粒径は、好ましくは0.005μm~1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm~0.6μmの範囲である。(E)有機充填材の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子社製「FPAR-1000」)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。
樹脂組成物が(E)有機充填材を含有する場合、(E)有機充填材の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。その上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。樹脂組成物中において(E)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(E)成分の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
<(F)難燃剤>
樹脂組成物は、任意で(F)難燃剤を含む。
(F)難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
(F)難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、大塚化学社製の「SPS-100」;三光社製の「HCA-HQ-HST」、「HCA-HQ」等が挙げられる。
樹脂組成物が(F)難燃剤を含有する場合、(F)難燃剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。その上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。樹脂組成物中において(F)成分は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(F)成分の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
<(G)硬化促進剤>
樹脂組成物は、任意で(G)硬化促進剤を含む。
(G)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が(G)硬化促進剤を含有する場合、(G)硬化促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。その上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。脂組成物中において(G)硬化促進剤は、樹脂組成物全体に均一に含まれることのみを意図しておらず、ここでいう、(G)硬化促進剤の含有量とは、樹脂組成物全体に対する含有量を意味する。
<(H)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の樹脂添加剤;重合開始剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。それぞれの含有量は当業者であれば適宜設定できる。
ある実施形態では、樹脂組成物の窒素原子含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、1質量%以上であることが好ましい。樹脂組成物の窒素原子含有量(質量%)は、樹脂成分の総質量で、アミン系硬化促進剤、シアネートエステル系硬化剤等の分子内に含まれる窒素原子の質量を除して百分率に換算して得られる数値である。当該実施形態では、効果的に導体層近傍勾配型の硬化体層、又は層状勾配型と導体層近傍勾配型を組み合わせた硬化体層を得ることができる。
窒素原子含有量が樹脂成分に対して1質量%以上であることにより、組成が均質な樹脂組成物を使用したとしても、硬化時に導体層近傍領域で無機充填材の割合が低下するため、ビアホールに生じるスミアを、無機充填材の除去能が低いNガス又はOガスによるプラズマを用いて効果的に除去できる。ここで、導体層近傍領域の無機充填材の割合の低下は、窒素原子を含む分子が導体層に移動することによるものと推定される。
当該実施形態において、樹脂組成物の窒素原子含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%としたとき、スミア除去性を十分に確保する観点から、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは1.8質量%以上、特に好ましくは2質量%以上である。その上限は、特に限定されるものではないが、10質量%などとし得る。
<樹脂シート>
樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有する樹脂シートの形態で用いることが好適である。
好適な実施形態において、樹脂シートは、支持体と、支持体上に形成された樹脂組成物層とを有する。図4は、本発明の一実施形態における支持体500と樹脂組成物層400とを有する樹脂シート600の断面を模式的に示す断面図である。樹脂組成物層400の無機充填材含有量は40質量%以上である。この樹脂組成物層400は、支持体500上に設けられている。
図5は、図4の樹脂組成物層400を硬化させて硬化体層100を形成した場合の支持体500と硬化体層100の断面を模式的に示す断面図である。樹脂組成物層400を硬化させて硬化体層100を形成した場合における硬化体層100の主表面(ここでは、硬化体層100の支持体500とは反対側の面)100Dに垂直な硬化体層100の断面において、支持体500とは反対側の硬化体層100の主表面100Dからの距離が0μmから1μmまでの領域110’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とする。また、主表面100Dからの距離が1μmから2μmまでの領域120’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とする。この場合に、硬化体層100は、上記条件(1)を満たす。
さらに、樹脂組成物層400を硬化させて硬化体層100を形成した場合における硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、支持体500とは反対側の硬化体層100の主表面100Dからの距離が0μmから0.5μmまでの領域130’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-0.5とする。また、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、主表面100Dからの距離が0.5μmから1μmまでの領域140’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-1とする。この場合に、硬化体層100は、上記条件(2)を満たすことが好ましい。
図6は、図4の樹脂組成物層400を硬化させて硬化体層100を形成した場合の支持体500と硬化体層100の断面を模式的に示す断面図である。図6に示すように、樹脂組成物層400を硬化させて硬化体層100を形成した場合における硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、支持体500とは反対側の硬化体層100の主表面100Dからの距離が0.5μmからdμmまでの領域150’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0.5-dとする。また、硬化体層100の主表面100Dに垂直な硬化体層100の断面において、主表面100Dからの距離がdμmから0.5Dμmまでの領域160’における単位面積当たりの樹脂成分の面積をAd-0.5Dとする。この場合に、硬化体層100は、上記条件(3)を満たすことが好ましい。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
第1の樹脂組成物で形成された第1層と、第2の樹脂組成物で形成された第2層とを備える樹脂組成物層を硬化させて、層状勾配型の硬化体層を得る場合、基板と接合する第2層の厚さは、本発明の所望の効果が得られる限り限定されるものではないが、好ましくは、2μm未満であり、より好ましくは1.5μm未満であり、さらに好ましくは、1μmであり、特に好ましくは、0.8μmである。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニス(すなわち樹脂組成物を含む塗工液)を調製し、この塗工液を、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
層状勾配型の硬化体層を得るために、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物を用いる場合、樹脂組成物層は、以下の工程(α)により製造することができる。
(α)支持体上にダイコーター等を用いて第1の樹脂組成物を含む塗工液を塗布し、乾燥して、第1の樹脂組成物で形成された第1層を形成することにより、支持体と第1層とを含む仮樹脂シートを準備する工程(以下、工程(α1)ともいう)、及び支持体上に接合する第1層上に、第2の樹脂組成物で形成された第2層を接合又は形成する工程(以下、工程(α’)ともいう)。
ある実施形態では、工程(α’)は、好ましくは、(α2)第1層上に、ダイコーター等を用いて第2の樹脂組成物を含む塗工液を塗布し、乾燥して第2層を形成する工程である。
他の実施形態では、工程(α’)は、好ましくは、(α2’)第1層を形成した支持体とは別の第2の支持体上にダイコーター等を用いて第2の樹脂組成物を含む塗工液を塗布し、乾燥して、第2の樹脂組成物で形成された第2層を形成することにより、第2の支持体と第2層とを含む仮樹脂シートを準備する工程、及び(α2’’)第1層を含む仮樹脂シートと、第2層を含む仮樹脂シートとを接合する工程である。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
樹脂シートは、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層用)により好適に使用することができる。特に、樹脂シートは、Oガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理が適用される絶縁層用途に好適である。
<プリント配線板>
プリント配線板は、絶縁層として上述した硬化体層を備え、さらに、最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板を有する。硬化体層は、通常、基板の導体層側の面に設けられる。
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(A)乃至(D)の工程を含む方法により製造することができる:
(A)無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物層を含む樹脂シートを、最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板に、樹脂組成物層が基板の導体層側の面に接合するように積層する工程;
(B)樹脂組成物層を硬化させて硬化体層を形成する工程;
(C)硬化体層にビアホールを形成する工程;
(D)硬化体層に、Oガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理を行う工程。
プリント配線板を製造するに際しては、(E)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。
これらの工程(A)乃至工程(E)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体の除去を、工程(A)と工程(B)との間、工程(B)と工程(C)との間、工程(C)と工程(D)の間、又は工程(D)と工程(E)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(B)~工程(E)の硬化体層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
工程(A)は、樹脂シートを基板に、樹脂組成物層が基板の導体層側の面に接合するように積層する工程である。よって、工程(A)は、支持体と、支持体上に形成された樹脂組成物層とを有する樹脂シートを、樹脂組成物層が基板の導体層側の面に接合するように積層することを含む。
本明細書において基板とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。
また、基板は、片面または両面に導体層を備え、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに硬化体層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層回路基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層回路基板を使用してもよい。
基板が備える導体層の導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
基板が備える導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、硬化体層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
基板が備える導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に1μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
内層回路基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層回路基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層回路基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層回路基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層回路基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
工程(B)は、樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して硬化体層を形成する工程である。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の硬化体層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満、好ましくは60℃以上115℃未満、より好ましくは70℃以上110℃未満の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
工程(C)は、硬化体層にビアホールを形成する工程である。工程(C)のビアホール形成は、例えば、レーザー等を使用して実施され得る。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。本発明の硬化体層を用いれば、ビアホールのトップ径は、例えば15μm以下で適用可能である。ビアホールの最小トップ径は、特に限定されるものではないが、15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましく、11μm以下であることがさらに好ましい。
工程(D)は、硬化体層に、Oガス及びNガスからなる群から選ばれる1以上のガスによるプラズマ処理を行う工程である。プラズマ処理に使用するガスはOガスであることが好ましい。この工程(D)において、スミアの除去が行われる。プラズマ処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の硬化体層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。
一実施形態において、プラズマ処理後の硬化体層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上等とし得る。また、プラズマ処理後の硬化体層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上等とし得る。硬化体層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(E)は、導体層を形成する工程であり、硬化体層上に導体層を形成する。工程(E)で形成される導体層に使用する導体材料、形態、厚さ等については、基板が備える導体層と同様であり得る。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により導体層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、導体層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、別途明示のない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<測定・評価方法>
まず、本明細書での物性評価における測定・評価方法について説明する。
[測定・評価用基板の調製]
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路基板として、回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ3μm、基板厚み0.15mm、三菱ガス化学社製「HL832NSF LCA」、255×340mmサイズ)を用意した。該内層回路基板の両面を、メック社製「FlatBOND-FT」にて銅表面の有機被膜処理を行った。
(2)樹脂シートの積層
下記の各実施例及び比較例で作製した樹脂シート1~5から保護フィルムを剥離した。樹脂組成物層の露出した樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニチゴー・モートン社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(3)樹脂組成物層の硬化
樹脂シートの積層後、樹脂組成物層を熱硬化させて、内層回路基板の両面に硬化体層を形成した。その際、支持体が付いた状態で樹脂組成物層を熱硬化させた。
樹脂組成物層の熱硬化は130℃(130℃のオーブンに投入後)で30分間、次いで175℃で(175℃のオーブンに移し替えた後)30分間、熱硬化させた。その後、基板を室温雰囲気下に取り出し、支持体を剥離した。この基板を評価基板Aとする。評価基板Aにおける硬化体層の厚みは10μmであった。
(4)UV-YAGレーザーによるビアホールの形成
UV-YAGレーザー加工機(ビアメカニクス株式会社製「LU-2L212/M50L」)を使用して、下記条件にて硬化体層に小径のビアホールを形成した。
パワー0.08W、ショット数25、狙いトップ径10μm
(5)デスミア処理
ビアホールの形成後、硬化体層を形成した内層回路基板を真空プラズマエッチング装置(Tepla社製100-E PLASMA SYSTEM)を使用して、Oガス100%、真空度100Paの条件にて、5分間処理を行った。この基板を評価基板Bとする。
(6)導体層の形成
硬化体層の露出表面に導体層を形成した。評価基板Bに、スパッタリング装置(キャノンアネルバ社製「E-400S」)を用いて、チタン層(厚さ30nm)、次いで銅層(厚さ300nm)を形成した。得られた基板を、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、セミアディティブ法に従って、エッチングレジストを形成し、露光・現像によるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、25μmの厚さで導体層を形成した。導体パターン形成後、200℃にて60分間加熱してアニール処理を行った。得られたプリント配線板を評価基板Cと称する。
[樹脂面積比の測定]
評価基板Aについて、支持体表面に垂直な方向の硬化体層の断面が露出するように断面出しを行い、その断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を、集束イオンビーム/走査イオン顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて実施し、SEM観察像を画像として保存した。画像解析ソフト(アメリカ国立衛生研究所製「ImageJ」)を使用して、測定領域の幅7.5μmにおける支持体と硬化体層の境界から一定距離a(μm)~b(μm)の領域と、b(μm)~c(μm)の領域について樹脂部分を黒色、樹脂以外の無機充填材部分を白色として白黒2値化し、各領域について黒色部分のピクセル数として樹脂部分の面積A’a-bとA’b-cをぞれぞれ導き出し、条件(1)~条件(3)に対応する単位面積当たりの樹脂成分の面積Aa-b/Ab-cをそれぞれ下記式に従って算出した。
a-b/Ab-c=k(A’a-b/A’b-c
ここで、kはk=|c-b|/|b-a|を満たす係数を表す。条件(1)A0-1/A1-2では、a=0、b=1、c=2であり、条件(2)A0-0.5/A0.5-1では、a=0、b=0.5、c=1である。条件(3)A0.5-d/Ad-0.5Dについては、dを1(μm)に設定した。なお、評価基板Aの硬化層の厚みDは10(μm)である。したがって、条件(3)A0.5-d/Ad-0.5Dでは、a=0.5、b=1、c=5である。
なお、樹脂面積比の測定に際しては、(無機充填材部分のピクセル数)/(断面試料の断面の全ピクセル数)×100の値が、断面試料の無機充填材の体積%値±3の範囲となるように2値化閾値を設定し、条件を校正した。
[スミア除去性の評価]
評価基板Bのビアホール底部の周囲をSEMにて観察し、得られた画像からビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。スミア除去性は、以下の基準に従って評価した。
評価基準:
○:最大スミア長が2μm未満
×:最大スミア長が2μm以上
[硬化体層と導体層の密着強度(剥離強度)の測定]
硬化体層と導体層の剥離強度の測定は、評価基板Cについて、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、評価基板Cの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、剥離強度(kgf/cm)を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC-50C-SL」)を使用した。
下記の実施例及び比較例で使用した樹脂組成物1~4のワニスは、下記に従って調製した。
[樹脂組成物1のワニスの調製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)10部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量約190)20部、及びビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)10部、ホスファゼン樹脂(大塚化学社製「SPS-100」)2部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部をMEK60部、トルエン20部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)30部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)8部、ベンゾオキサジン化合物(JFEケミカル社製「ODA-BOZ」の固形分50質量%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)4部、球状シリカ(デンカ社製「UFP-30」、平均粒径0.3μm、比表面積30.9m)110部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物1のワニスを調製した。
[樹脂組成物2のワニスの調製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)10部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量約190)20部、及びビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269)10部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)50部をMEK60部、トルエン20部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)30部、フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)8部、ベンゾオキサジン化合物(JFEケミカル社製「ODA-BOZ」の固形分50質量%のMEK溶液)6部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)4部を混合し、樹脂組成物2のワニスを調製した。
[樹脂組成物3のワニスの調製]
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP6000」、エポキシ当量約250)10部と、液状ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)10部と、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量約185)10部をMEK10部、シクロヘキサノン10部、ソルベントナフサ40部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)16部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT30」、シアネート当量約124、不揮発分80質量%のMEK溶液)6部と共に攪拌混合し、さらに
活性エステル硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)12部、硬化促進剤として4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の1質量%のMEK溶液2部、コバルト(III)アセチルアセトナート(東京化成社製)の1質量%のMEK溶液4.5部、及び球形シリカ(アドマテックス社製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm、比表面積5.9m)140部、難燃剤として(三光社製「HCA-HQ-HST」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド)4部、ゴム粒子としてスタフィロイド(ガンツ化成社製、AC3816N)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂組成物3のワニスを調製した。樹脂組成物3の窒素原子含有量は2.02質量%である。
[樹脂組成物4のワニスの調製]
樹脂組成物3において、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)16部を8部に、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT30」、シアネート当量約124、不揮発分80質量%のMEK溶液)6部を1部に変更したこと以外は、樹脂組成物3と同様にして樹脂組成物4のワニスを調製した。樹脂組成物3の窒素原子含有量は0.88質量%である。
<実施例1:樹脂シート1の作製>
支持体として厚さ38μmのPETフィルム(リンテック社製「AL5」)を用意した。該支持体上に樹脂組成物1のワニスをダイコーターにて均一に塗布し、塗布膜を80~120℃(平均100℃)で3分間乾燥させて、該支持体上に樹脂組成物1で形成された第1層(厚さ9.5μm)を形成した。次いで、乾燥後の樹脂組成物層の総厚さが10μmとなるように、第1層上に樹脂組成物2のワニスをダイコーターにて均一に塗布し、塗布膜を80℃で1分間乾燥させ、樹脂面に厚さ15μmのポリプロピレンカバーフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」)の平滑面側を貼り合わせ、支持体(38μmPETフィルム)/樹脂組成物層1/樹脂組成物層2/保護フィルム(MA-411)という構成の樹脂シート1を作製した。
<実施例2:樹脂シート2の作製>
支持体として厚さ38μmのPETフィルム(リンテック社製「AL5」)を用意した。該支持体上に樹脂組成物1のワニスをダイコーターにて均一に塗布し、塗布膜を80~120℃(平均100℃)で3分間乾燥させて、樹脂組成物1の層(厚さ9.5μm)を備える樹脂シートdを作成した。次に厚さ25μmのPETフィルム(リンテック社製「AL5」)の支持体を用意し、樹脂組成物2のワニスをダイコーターにて均一に塗布し、塗布膜を80℃で1分間乾燥させて、樹脂組成物2の層(厚さ0.5μm)を備える樹脂シートeを作製した。次いでホットロールを使用して、支持体(38μmPETフィルム)/樹脂組成物層1/樹脂組成物層2/支持体(25μm離型PET:保護フィルムとしてラミネート前に剥離)の構成となるよう、樹脂シートdと樹脂シートeを重ね合わせて樹脂シート2を作製した。
<実施例3:樹脂シート3の作製>
支持体として厚さ38μmのPETフィルム(リンテック社製「AL5」)を用意した。該支持体上に樹脂組成物3のワニスをダイコーターにて均一に塗布し、塗布膜を80~120℃(平均100℃)で3分間乾燥させ、樹脂面に厚さ15μmのポリプロピレンカバーフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」)の平滑面側を貼り合わせ、支持体(38μmPETフィルム)/樹脂組成物層3(厚さ10μm)/保護フィルム(MA-411)という構成の樹脂シート3を作製した。
<比較例1:樹脂シート4の作製>
樹脂シート3の作製において、ワニスを樹脂組成物1に変更したこと以外は樹脂シート3と同様にして樹脂シート4を作製した。
<比較例2:樹脂シート5の作製>
樹脂シート3の作製において、ワニスを樹脂組成物4に変更したこと以外は樹脂シート3と同様にして樹脂シート5を作製した。
実施例及び比較例の各評価結果を表1に示す。
Figure 2022070967000002
以上の結果により、条件(1)~条件(3)が所定の範囲を満たす硬化体層は、高い剥離強度を維持しつつ、Nガス又はOガスを用いたプラズマ処理によるスミア除去性に優れていることがわかる。
100 硬化体層
100D 硬化体層の主表面
110 導体層からの距離が0μmから1μmまでの領域
110’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離が0μmから1μmまでの領域
120 導体層からの距離が1μmから2μmまでの領域
120’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離が1μmから2μmまでの領域
130 導体層からの距離が0μmから0.5μmまでの領域
130’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離が0μmから0.5μmまでの領域
140 導体層からの距離が0.5μmから1μmまでの領域
140’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離が0.5μmから1μmまでの領域
150 導体層からの距離が0.5μmからdμmまでの領域
150’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離が0.5μmからdμmまでの領域
160 導体層からの距離がdμmから0.5Dμmまでの領域
160’ 支持体とは反対側の硬化体層の主表面からの距離がdμmから0.5Dμmまでの領域
200 基板
210U 基板の導体層側の面
210 導体層
300 ビアホール
300S ビアホールの側面
310 スミア
320 ビアホールの底部
400 樹脂組成物層
500 支持体
600 樹脂シート

Claims (1)

  1. 最外層の少なくとも一部に導体層を備える基板の前記導体層側の面上に設けられた、無機充填材含有量が40質量%以上である樹脂組成物の硬化物で形成された硬化体層であって、
    前記硬化体層の主表面に垂直な前記硬化体層の断面において、前記導体層からの距離が0μmから1μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA0-1とし、1μmから2μmまでの領域における単位面積当たりの樹脂成分の面積をA1-2とした場合に、A0-1/A1-2>1.1を満たす、硬化体層。
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