JP2022068618A - 非水電解質二次電池電極用結合剤 - Google Patents

非水電解質二次電池電極用結合剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明によれば、カルボキシメチルセルロースの未溶解物の発生を減少しうる、カルボキシメチルセルロースの溶解性に優れた電極用結合剤を得ることを課題とする。【解決手段】無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上、及び25℃でのB型粘度計(30rpm)で測定された1質量%水溶液の粘度が1,000~20,000であるカルボキシメチルセルロース又はその塩と、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物を含む、非水電解質二次電池の電極用結合剤。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池電極用結合剤に関する。
近年、電子機器、特に携帯電話、PDA(personal digital assistant)、ノート型パソコンなどの携帯機器が、小型化、軽量化、薄型化、高性能化し、携帯機器の普及が進んでいる。このような携帯機器の利用範囲の多様化に伴い、これらを駆動させる電池が非常に重要な部品となっている。電池のうち、高いエネルギー密度を有し高容量である、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。
通常、非水電解質二次電池は以下のようにして作製される。すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な炭素材料などからなる負極活物質を含有する負極と、リチウム含有遷移金属複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24など)からなる正極活物質を含有する正極が、集電基材(集電体)としての金属箔の表面にそれぞれシート状に形成され、シート状正極およびシート状負極を得る。そしてシート状正極及びシート状負極が、同じくシート状に形成されたセパレーターを介して、巻回あるいは積層され、ケース内に収納される。シート状正極およびシート状負極は、集電基材(集電体)となる金属箔と、その表面に形成される、活物質を含む合剤層を備える構造であり、負極活物質スラリー(あるいはペースト)または正極活物質スラリー(あるいはペースト)が集電材上に塗布、乾燥され形成され得る。
負極活物質スラリー(ペースト)は、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な炭素材料などからなる負極活物質のほかに結合剤(バインダー)を含む。結合剤として、スチレン/ブタジエンラテックス(SBR)を主成分とする負極用の結合剤が特許文献1(特開平5-74461号公報)に開示されている。
特許文献1によると、水溶性増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースを水に溶解させて水溶液を調製し、これにSBRと負極活物質を混合してスラリーが製造される。当該スラリーは塗工液として基材上に塗布、乾燥されることによって、シート状負極が形成される。
一方、非水電解質二次電池の正極の製造では、溶剤には従来N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機系溶剤が用いられてきた。しかし、取り扱いに要するコストの低減や排出時の環境負荷への影響から、近年、溶剤として水が使用されてきている。
正極活物質スラリー(ペースト)は、正極活物質としてのリチウム含有遷移金属複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24など)、導電材としてのカーボン等のほかに、結合剤を含む。結合剤としては、カルボキシメチルセルロースなどの、1%水溶液における粘度が4000mPa・s以上のセルロースが特許文献2(特開2003-157847号公報)に記載されている。特許文献2には、カルボキシメチルセルロースを、導電材やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などとともに純水に投入し、活物質ペーストを調製することが記載されている。
負極活物質スラリー(ペースト)は、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な炭素材料などからなる負極活物質のほかに結合剤(バインダー)を含む。結合剤として、スチレン/ブタジエンラテックス(SBR)を主成分とする負極用の結合剤が特許文献1(特開平5-74461号公報)に開示されている。
特許文献1によると、水溶性増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースを水に溶解させて水溶液を調製し、これにSBRと負極活物質を混合してスラリーが製造される。当該スラリーは塗工液として基材上に塗布、乾燥されることによって、シート状負極が形成される。
一方、非水電解質二次電池の正極の製造では、溶剤には従来N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機系溶剤が用いられてきた。しかし、取り扱いに要するコストの低減や排出時の環境負荷への影響から、近年、溶剤として水が使用されてきている。
正極活物質スラリー(ペースト)は、正極活物質としてのリチウム含有遷移金属複合酸
化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24など)、導電材としてのカーボン等のほかに、結合剤を含む。結合剤としては、カルボキシメチルセルロースなどの、1%水溶液における粘度が4000mPa・s以上のセルロースが特許文献2(特開2003-157847号公報)に記載されている。特許文献2には、カルボキシメチルセルロースを、導電材やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などとともに純水に投入し、活物質ペーストを調製することが記載されている。
特開平5-74461号公報 特開2003-157847号公報 しかしながら、特許文献1及び特許文献2ともに、結合剤として用いられるカルボキシメチルセルロースの未溶解物がスラリー中に残存し、スラリーを塗布した集電基材上にスジ状の欠陥(ストリーク)を生じてしまう懸念があった。
そこで本発明では、カルボキシメチルセルロースの未溶解物の発生を減少しうる、カルボキシメチルセルロースの溶解性に優れた電極用結合剤を得ることを目的とする。
本発明者らは鋭意努力の結果、以下の[1]~[6]により課題を解決できることを見出した。
[1]無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上、及び25℃でのB型粘度計(30rpm)で測定された1質量%水溶液の粘度が1,000~20,000であるカルボキシメチルセルロース又はその塩と、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物を含む、非水電解質二次電池の電極用結合剤。
[2]前記カルボキシメチル化セルロース又はその塩が、乾燥質量Bの該カルボキシメチルセルロースまたはその塩の0.3質量%水溶液2リットルを調製して-200mmHgの減圧条件にて250メッシュのフィルターですべて濾過し、濾過後の前記フィルター上の残渣の乾燥質量Aを測定した際に、前記乾燥質量Bに対する乾燥質量Aの比率が50ppm未満である、ことを特徴とする[1]に記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
[3]前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の機械的な粉砕処理物である、[1]~[2]いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
[4]前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、メタノールを分散媒としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計100%粒子径が50μm未満であることを特徴とする、[1]~[3]いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
[5]前記カルボキシメチルセルロース又はその塩に対し、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物が、30~150重量%の範囲で含まれることを特徴とする[1]~[4]いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
[6][1]~[5]いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤を含む、水溶液。
本発明によれば、カルボキシメチルセルロースの未溶解物の発生を減少しうる、カルボキシメチルセルロースの溶解性に優れた電極用結合剤を得ることができる。
すなわち本発明は、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上、及び25℃でのB型粘度径で測定された1質量%水溶液の粘度が1,000~20,000であるカルボキシメチルセルロース又はその塩と、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物を含む、非水電解質二次電池の電極用結合剤である。
<カルボキシメチルセルロースまたはその塩>
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩は、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基がカルボキシメチルエーテル基に置換された構造を持つ。カルボキシメチルセルロースは、塩の形態であってもよい。カルボキシメチルセルロースの塩としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの金属塩などを挙げ得る。
本発明においてセルロースとは、D-グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」とも言う。)がβ,1-4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。
天然セルロースとしては、晒パルプまたは未晒パルプ(晒木材パルプまたは未晒木材パルプ);リンター、精製リンター;酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース、等が例示される。晒パルプ又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹等が挙げられる。また、晒パルプ又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合わせた方法でもよい。製造方法により分類される晒パルプまたは未晒パルプとしては例えば、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、砕木パルプ、亜硫酸パルプ、クラフトパルプ等が挙げられる。さらに、製紙用パルプの他に溶解パルプを用いてもよい。溶解パルプとは、化学的に精製されたパルプであり、主として薬品に溶解して使用され、人造繊維、セロハンなどの主原料となる。
再生セルロースとしては、セルロースを銅アンモニア溶液、セルロースザンテート溶液、モルフォリン誘導体など何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸されたものが例示される。
微細セルロースとしては、上記天然セルロースや再生セルロースをはじめとする、セルロース系素材を、解重合処理(例えば、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等)して得られるものや、前記セルロース系素材を、機械的に処理して得られるものが例示される。
本発明のカルボキシメチルセルロース又はその塩は、その無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度が、0.45以上であることが重要であり、0.5以上であることがより好ましい。カルボキシメチル置換度が0.45未満であると、水への溶解が十分でなくなるおそれがある。
本発明において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基(-OH)のうちカルボキシメチルエーテル基(-OCH2COOH)に置換されているものの割合を示す。なお、カルボキシメチル置換度はDSと略すことがある。
カルボキシメチルセルロースまたはその塩の無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度の上限は、1.5以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましい。
なお当該カルボキシメチル置換度は、試料中のカルボキシメチルセルロースを中和するのに必要な水酸化ナトリウム等の塩基の量を測定して確認することができる。この場合、カルボキシメチルセルロース又はその塩のカルボキシメチルエーテル基が塩の形態である場合には、測定前に予めカルボキシメチルセルロースに変換しておく。測定の際には、塩基、酸を用いた逆滴定、フェノールフタレイン等の指示薬を適宜組み合わせることができる。
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩は、25℃でのB型粘度計(30rpm)で測定された1質量%水溶液の粘度が1,000~20,000mPa・sのものが好ましく、1,500~15,000mPa・sのものがより好ましく、2,000~10,000mPa・sのものがさらにより好ましい。粘度が上記範囲にあることで沈降しにくく、塗工性も良好な電極スラリーを作製することができるため非水電解質二次電池に適する。
またカルボキシメチルセルロース又はその塩は、0.3質量%の該カルボキシメチルセルロース又はその塩の水溶液2リットルを-200mmHgの減圧条件にて250メッシュのフィルターですべて濾過した際のフィルター上の残渣の乾燥質量を質量Aとし、前記水溶液に溶解したカルボキシメチルセルロース又はその塩の質量を質量Bとした場合に、質量Bに対する質量Aの比率が50ppm未満であることが好ましい。50ppm以上であると、カルボキシメチルセルロース又はその塩を用いて電極を形成した際に、電極にストリークやピンホールなどの外観不良が発生し、電池の品質が低下するおそれがある。前記質量Bに対する前記質量Aの比率の下限は特に限定されず、少なければ少ないほどよい。
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩の製法は限定されず、公知のカルボキシメチルセルロース又はその塩の製法を適用することができる。即ち、原料であるセルロースをマーセル化剤(アルカリ)で処理してマーセル化セルロース(アルカリセルロース)を調製した後に、エーテル化剤を添加してエーテル化反応させることで本発明におけるカルボキシメチルセルロース又はその塩を製造することができる。
原料のセルロースとしては、上述のセルロースであれば特に制限なく用いることができるが、セルロース純度が高いものが好ましく、特に、溶解パルプ、リンターを用いることが好ましい。これらを用いることにより、純度の高いカルボキシメチルセルロース又はその塩を得ることができる。
マーセル化剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩等を使用することができる。エーテル化剤としてはモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ソーダ等を使用することができる。
水溶性の一般的なカルボキシメチルセルロースの製法の場合のマーセル化剤とエーテル化剤のモル比は、エーテル化剤としてモノクロロ酢酸を使用する場合では2.00~2.45が一般的に採用される。その理由は、2.00未満であるとエーテル化反応が不十分に行われない可能性があるため、未反応のモノクロロ酢酸が残って無駄が生じる可能性があること、及び2.45を超えると過剰のマーセル化剤とモノクロロ酢酸による副反応が進行してグリコール酸アルカリ金属塩が生成するおそれがあるため、不経済となる可能性があることにある。
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩は、市販のものをそのまま、或いは必要に応じて処理してから用いてもよい。市販品としては、例えば、日本製紙(株)製の商品名「サンローズ」(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)が挙げられる。
[粉砕処理]
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩は、上述したようなカルボキシメチルセルロース又はその塩をそのまま用いてもよいが、さらに粉砕処理が施されたもの(粉砕処理物)であってもよい。粉砕処理は、通常は機械を用いて行われる機械的粉砕処理である。カルボキシメチルセルロース又はその塩の粉砕処理の方法としては、粉体の状態で処理する乾式粉砕法と、液体に分散、あるいは溶解させた状態で処理する湿式粉砕法との両方法が例示される。本発明においてはこれらのいずれを選択してもよい。
カルボキシメチルセルロースまたはその塩の水溶液を調製すると、カルボキシメチルセルロースまたはその塩に由来するゲル粒子が未溶解物として、水溶液中に残存する。カルボキシメチルセルロース又はその塩を機械的に乾式あるいは湿式粉砕処理することで、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の機械的な粉砕処理物の水溶液においては、上記のゲル粒子が微細化される。その結果、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の機械的な粉砕処理物の水溶液を用いて電極を形成すると、電極の表面に発生するスジ状の欠陥(ストリーク)や剥がれ、ピンホール等の原因となる粗大な未溶解物を、さらに抑制することができると考えられる。
本発明で機械的な粉砕処理のために使用可能な粉砕装置としては以下の様な乾式粉砕機および湿式粉砕機が挙げられる。
乾式粉砕機は、カッティング式ミル、衝撃式ミル、気流式ミル、媒体ミルが例示される。これらは単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができるが、気流式ミルが好ましい。
カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、
ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。
衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインイパクトミル(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株)製)、サンプルミル((株)セイシン製)、バンタムミル((株)セイシン製)、アトマイザー((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。
気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株)製)、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、超音速ジェットミル(日本ニューマチック工業(株)製)等が例示される。
媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。
湿式粉砕機としては、マスコロイダー(増幸産業(株)製)、高圧ホモジナイザー(三丸機械工業(株)製)、媒体ミルが例示される。媒体ミルとしては、ビーズミル(アイメックス(株)製)等を例示できる。
[カルボキシメチルセルロースの粒径]
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩の粒径は、小さい方が好ましい。すなわち、メタノールを分散剤としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計100%粒子径の値(本明細書においては、以降「最大粒子径」ということがある)が50μm未満であることが望ましく、45μm未満であることがより望ましい。カルボキシメチルセルロース又はその塩の最大粒子径が50μm以上であるとカルボキシメチルセルロース又はその塩の水溶液中の未溶解物が増加する傾向がある。
また、本発明においてカルボキシメチルセルロース又はその塩は、造粒処理が施されていてもよい。これにより、取り扱いが容易となる。造粒処理を施すことによりカルボキシメチルセルロース又はその塩の最大粒子径は50μm以上となることがあるが、造粒処理前のカルボキシメチルセルロース又はその塩の最大粒子径は50μm未満であることが好ましい。
なお、最大粒子径の下限は特には限定されない。小さければ小さいほど好ましく、0を超えていればよい。
カルボキシメチルセルロースまたはその塩の、メタノールを分散媒としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計50%粒子径(以下、平均粒子径という。)は、通常は30μm以下であり、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。また、平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常は5μm以上であり、10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。
本発明においては、カルボキシメチルセルロース又はその塩を粒子径の大きさ(好ましくは最大粒子径の大きさ)に基づき分級し得る。分級とは、分級の対象である粒子を、ある粒子径の大きさ以上のものとそれ以下のものとを篩い分けする処理を意味する。
分級は、最大粒子径が50μm未満であるか50μm以上であるかを基準として行うことが好ましい。これにより、最大粒子径が50μm未満のカルボキシメチルセルロース又
はその塩を選択的に収集することができる。
カルボキシメチルセルロースまたはその塩として、カルボキシメチルセルロースまたは
その塩の粉砕処理物を用いる場合、上記の分級の時期は特に限定されず、粉砕処理の途中
に設けてもよいし、粉砕処理の終了後に設けてもよい。
分級の方法は、公知の方法、例えば乾式分級機、湿式分級機を用いる方法を用いればよい。乾式分級機としては、サイクロン式分級機、DSセパレーター、ターボクラシフィア、ミクロセパレータ、エアーセパレータ等が挙げられる。一方湿式分級機としては、液体サイクロン方式の分級機、遠心沈降機、ハイドロッシレーター等が挙げられる。このうち乾式分級機が好ましく、サイクロン式分級機がより好ましい。
<価数2以下のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオン>
本発明の電極用結合剤は、2価以下のアルカリ金属イオン及びまたはアルカリ土類金属イオンを含むことが重要である。本発明における価数2以下のアルカリ金属イオン及びまたはアルカリ土類金属イオンとは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどを挙げることができる。
そのような2価以下のアルカリ金属の塩化物及びまたはアルカリ土類金属の塩化物を、カルボキシメチルセルロースとともに電極用結合剤として用いると、金属イオンがカルボキシメチルセルロースに配位することで、カルボキシメチルセルロースのイオン反発の低下、つまり水を内包できるネットワーク構造が形成しにくくなる。その結果、粉末溶解時の継子(未溶解粉末が塊状となったもので、表面のみゲル化しており、内部は未溶解粉末のもの)は細かくなる、あるいは形成しにくくなるため、粉末の溶解性が向上し、未溶解粉末を減少できることから、負極活物質スラリーを塗布した集電基材上のスジ状の欠陥(ストリーク)を減少することができる。
<電極用結合剤>
本発明の非水二次電池用の電極用結合剤は、上述するカルボキシメチルセルロース又はその塩と、2価以下のアルカリ金属の塩化物及びまたはアルカリ土類金属の塩化物とを含むことが重要である。そのような電極用結合剤は、カルボキシメチルセルロース又はその塩に対し、2価以下のアルカリ金属の塩化物及びまたはアルカリ土類金属の塩化物が、30~150重量%の範囲で含むことが好ましく、30~120重量%の範囲がより好ましく、30~100重量%の範囲がさらに好ましく、30~80重量%、40~80重量%、または35~60重量%が特に好ましい。配合比が本範囲であると、前述するカルボキシメチルセルロースと2価以下のアルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物由来の金属イオンが配位することでより効果的に発生することができると推測される。また2価以下のアルカリ金属の塩化物及び又はアルカリ土類金属の塩化物が、本範囲を超えると、カルボキシメチルセルロースの溶解性が向上しすぎてしまい水溶液とした際の粘性が低くなるため、好ましくない。なお、そのような2価以下のアルカリ金属の塩化物及びまたはアルカリ土類金属の塩化物は、前述する範囲において2種以上を併用して用いることもできる。
本発明の電極用結合剤は、水溶液とすることもできる。そのような水溶液の製造条件は特に制限はなく、例えば、電極用結合剤を、水(例えば蒸留水、精製水、水道水など)に添加し、必要に応じて撹拌などを行い溶解させて調製することができる。またカルボキシメチルセルロースまたはその塩を水などに溶解した後、2価以下のアルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物を添加し、攪拌などを行い溶解させることもできる。同様に、2価以下のアルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物を水などに溶解させたのち、カルボキシメチルセルロースまたはその塩を攪拌など行い溶解させることもできる。
そのようにして得られる電極用結合剤の水溶液の粘度は、1,000~14,000mPa・sのものが好ましく、1,000~10,000mPa・sのものがより好ましく、1,000~8,000mPa・sのものがさらに好ましく、1,100~6,000mPa・sのものが特に好ましい。電極用結合剤の水溶液の粘度が本範囲にあることで、電極用組成物を構成した際に作業性(塗工性など)に優れることができる。
本発明の電極用結合剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の電極組成物を構成する成分を添加することもできる。
<電極組成物>
本発明の電極用結合剤は、電極の活物質と共に電極組成物を構成し得る。電極組成物の性状は特に限定されず、スラリー状、ペースト状のいずれであってもよい。
本発明において、電極組成物中のカルボキシメチルセルロース又はその塩の含有量は、電極組成物の全体に対して、好ましくは0.1~4.0質量%である。
電極組成物には、該組成物により形成される電極が負極および正極のいずれかに応じて様々な成分が含まれ得る。
負極用の電極組成物の場合には、通常、負極活物質が含まれる。負極活物質としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、コ-クス、炭素繊維のような黒鉛質材料;リチウムと合金を形成することが可能な元素、すなわち例えばAl、Si、Sn、Ag、Bi、Mg、Zn、In、Ge、Pb、Tiなどの元素;前記リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む化合物;前記リチウムと合金を形成することが可能な元素及び前記化合物と、炭素及び/又は前記黒鉛質材料との複合化物;リチウムを含む窒化物が使用できる。このうち黒鉛質材料が好ましく、黒鉛がより好ましい。
正極用の電極組成物の場合には、通常、正極活物質が含まれる。正極活物質としては、LiMexOy(MeはNi、Co、Mnの少なくとも1種を含む遷移金属を意味する。x、yは任意の数を意味する。)系の正極活物質が好ましい。LiMexOy系の正極活物質は、特に限定されるものではないが、LiMn24系、LiCoO2系、LiNiO2系の正極活物質が好ましい。LiMn24系、LiCoO2系、LiNiO2系の正極活物質としては、たとえば、LiMnO2、LiMn2O4、LiCoO2、LiNiO2、を主骨格として、各種金属元素が置換した化合物が例示される。LiMn24系、LiCoO2
、LiNiO2系の正極活物質は、電子とリチウムイオンの拡散性能に優れるなど正極活物質としての性能に優れているため、高い充放電効率と良好なサイクル特性とを有するリチウムイオン二次電池が得られる。このうちLiCoO2系の正極活物質が好ましく、LiCoO2がより好ましい。一方、材料コストの低さからは、LiMn24系の正極活物質を用いることが好ましい。
電極組成物中の活物質の含有量は、通常は90~99質量%、好ましくは91~99質量%、より好ましくは92~99質量%である。
正極用の電極組成物の場合には、電極組成物は導電材を有することが好ましい。電極組成物が導電材を有することで、製造される正極の特性が向上する。また、導電材は、正極の電気伝導性を確保し得る。導電材としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質の1種または2種以上を混合したものが挙げられる。このうちカーボンブラックが好ましい。
また、電極組成物には、カルボキシメチルセルロース又はその塩の水溶液以外の結合剤が含まれ得る。負極用の電極組成物の場合の結合剤としては、合成ゴム系結合剤が例示される。合成ゴム系結合剤としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム及びこれら合成ゴムのラテックスよりなる群から選択された1種以上が使用できる。このうち、スチレンブタジエンゴム(SBR)が好ましい。また、正極用の電極組成物の場合の結合剤としては、前記負極用の結合剤として挙げた合成ゴム系結合剤のほか、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が例示され、このうちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
電極組成物中の結合剤の含有量は、通常は1~10質量%、好ましくは1~6質量%、より好ましくは1~2質量%である。
電極組成物の製造条件は特に限定はない。例えば、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の水溶液に、電極組成物を構成する他の成分を添加し、必要に応じて撹拌しながら混合する。
電極組成物の性状も特に限定されない。例えば、液状、ペースト状、スラリー状などが挙げられ、いずれであってもよい。
電極組成物は、非水電解質二次電池のための電極の製造に用いられる。非水電解質二次電池用の電極の製造は、前記電極組成物を集電基材(集電体)上に積層する方法によればよい。積層の方法としては例えば、ブレード塗工、バー塗工、ダイ塗工が挙げられ、ブレード塗工が好ましい。例えばブレード塗工の場合には、ドクターブレードなどの塗工装置を用いて電極組成物を集電基材上にキャスティングする方法が例示される。また、積層の方法は上記具体例に限定されず、バックアップロールに巻回して走行する集電基材上に、スロットノズルを有するエクストルージョン型注液器より前記電極組成物を吐出させ塗布する方法も例示される。ブレード塗工においては、キャスティング後さらに必要に応じて加熱(温度は例えば80~120℃、加熱時間は例えば4~12時間)などによる乾燥、ロールプレスなどによる加圧を行い得る。
集電基材としては、構成された電池において致命的な化学変化を起こさない電気伝導体であれば何れも使用可能である。
負極活物質用の集電基材としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素、銅や前記ステンレス鋼の表面にカ-ボン、ニッケル、チタンまたは銀を付着処理させたもの等が利用できる。これらのうち、銅または銅合金が好ましいが、銅が最も好ましい。
正極用の集電基材の材料としては、たとえば、アルミニウム、ステンレスなどの金属が例示され、アルミニウムが好ましい。集電基材の形状としては、網、パンチドメタル、フォームメタル、板状に加工された箔などを用いることができ、板状に加工された箔が好ましい。
電極組成物により形成された非水電解質二次電池用電極の形状は特に限定されないが、通常はシート状である。シート状の極板の場合の厚さ(集電基材部分を除く、電極組成物から形成される合剤層の厚さ)は、組成物の組成や製造条件などにもより適宜選択するため一義的に規定することは困難であるが、通常は30~150μmである。
前記組成物により形成される電極は非水電解質二次電池の電極として用いられる。すなわち本発明は、前記組成物により形成される電極を備える、非水電解質二次電池をも提供する。非水電解質二次電池は、正電極及び負電極が交互に、セパレータを介して積層され、多数回巻回された構造を取りうる。前記セパレータは通常、非水電解質で含浸される。
この負電極および/または正電極として、前記した電極組成物により形成された負電極および/または正電極が用いられうる。かかる非水電解質二次電池は、溶解性に優れるカルボキシメチルセルロースまたはその塩が用いられ、フィルターによる濾過などの工程を省略できるので生産性に優れると共に、初期不可逆容量が顕著に改善され、高い電池特性を発揮しうるものである。
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれにより限定される
ものではない。
本明細書において、各指標の測定は以下の方法による。
<カルボキシメチル置換度(CM-DS)の測定方法>
カルボキシメチルセルロース粉砕処理物の試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CMC塩)をH-CMC(カルボキシメチルセルロース)にした。絶乾したH-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定した。CM-DSを、次式1によって算出した。
(式1)
A=[(100×F-(0.1NのHSO(mL))×F’)×0.1]
/(H-CMCの絶乾重量(g))
カルボキシメチル置換度(CM-DS)=0.162×A/(1-0.05
8×A)
A:1gのH-CMCの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのHSOのファクター
F:0.1NのNaOHのファクター
<粘度>
カルボキシメチル化セルロース又はその塩を、1000ml容ガラスビーカーに測りとり、蒸留水900mlに分散し、固形分1%(w/v)となるように水分散体を調製する。水分散体を25℃で撹拌機を用いて600rpmで3時間撹拌する。その後、JIS-Z-8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.1ローター/回転数30rpmで3分後の粘度を測定した。
<最大粒子径、平均粒子径および粒度分布の測定>
カルボキシメチルセルロースの最大粒子径、及び平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計(マイクロトラック Model-9220-SPA、日機装(株)製)により行った。ここで、最大粒子径とは体積類型100%粒子径の値を、平均粒子径とは体積累計50%粒子径の値を示した。測定に当たっては、試料をメタノールに分散させた後、超音波処理を少なくとも1分以上行ったものについて測定を行った。
<水溶液に溶解させたカルボキシメチルセルロースの乾燥質量に対する濾過残渣の質量の
質量比の測定>
カルボキシメチルセルロース又はその塩の0.3質量%(カルボキシメチルセルロースまたはその塩の乾燥質量を基準とした質量%)水溶液2リットルを調製した。この水溶液2リットルを-200mmHgの減圧条件にて、濾過器(「セパロート」桐山製作所製)を用いて、250メッシュのフィルター(ステンレス製、目開き63μm)にて濾過した。250メッシュのフィルターに残存した残渣を、温度105℃で、16時間送風乾燥させた後、乾燥した残渣の質量を測定し、カルボキシメチルセルロース水溶液中のカルボキシメチルセルロースの質量に対する質量パーセント(ppm)で表示した。
<水溶液に溶解させた電極結合剤の溶解性>
水溶液に溶解させた電極用結合剤の溶解性は、カルボキシメチルセルロースと、カルボキシメチルセルロースに対して30~150質量%の範囲で添加した2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物を300ml容ガラスビーカーに測りとり、カルボキシメチルセルロースの固形分濃度が2%(w/v)となるように蒸留水を加え電極用結合剤の水分散体を得た。水分散体を25℃で撹拌機を用いて500rpmで1時間撹拌し、その後、カルボキシメチルセルロースの継子(未溶解粉末が塊まり状となったもの)の有無を目視判断し、下記基準で溶解性の評価とした。
〇:継子の発生がなく、溶解性が良好。
×:継子が発生し、溶解性に劣る。
<水溶液に溶解させた電極用結合剤の粘度>
水溶液中に溶解させた電極用結合剤の粘度は,上述する電極用結合剤の水分散体を、カルボキシメチル化セルロースと同様にB型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.1ローター/回転数30rpmで3分後の粘度を測定した。
<電池評価>
[電極組成物の塗工性]
集電体上にスラリーを塗工・乾燥し、小型卓上ロールプレス後の塗工面を目視確認し、下記の基準で評価した。
〇:塗工面に凝集物や塗工剥がれが全く見られない。
△:塗工面の一部に凝集物や塗工剥がれがみられるが、実態上問題ない。
×:塗工面全体にわたり、凝集物や塗工剥がれがみられる。
(製造例1)
市販カルボキシメチルセルロース2g(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7800mPa・s、カルボキシメチル置換度0.75、平均粒子径14μm、濾過残渣の質量の質量比48ppm、日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ」)」)と、該カルボキシメチルセルロースに対して50質量%となるように塩化ナトリウム1g(富士フィルム和光純薬株式会社製)とを、300mlガラスビーカーに測り取り、カルボキシメチルセルロースの固形分濃度が2%(w/v)となるよう蒸留水を加え、25℃で撹拌機を用いて500rpmで1時間攪拌し、水分散体の電極用結合剤1を得た。
(製造例2)
市販カルボキシメチルセルロース2g(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7800mPa・s、カルボキシメチル置換度0.75、平均粒子径14μm、濾過残渣の質量の質量比48ppm、日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ」)」)と、カルボキシメチルセルロースに対して50質量%の塩化カリウム1g(富士フィルム和光純薬株式会社製)を300 mlガラスビーカーに測り取り、カルボキシメチルセルロースの固形分濃度が2%(w/v)となるよう蒸留水を加え、25℃で撹拌機を用いて500rpmで1時間攪拌し、水分散体の電極用結合剤2を得た。
(製造例3)
市販カルボキシメチルセルロース2g(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7800mPa・s、カルボキシメチル置換度0.75、平均粒子径14μm、濾過残渣の質量の質量比48ppm、日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ」)」)と、カルボキシメチルセルロースに対して50質量%の塩化カルシウム1g(富士フィルム和光純薬株式会社製)を300 mlガラスビーカーに測り取り、市販カルボキシメチルセルロースの固形分濃度が2%(w/v)となるよう蒸留水を加え、25℃で撹拌機を用いて500rpmで1時間攪拌し、水分散体の電極用結合剤3を得た。
(比較製造例1)
市販カルボキシメチルセルロース2g(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7800mPa・s、14μm、濾過残渣の質量の質量比48ppm、カルボキシメチル置換度0.75、日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ」)」)と、カルボキシメチルセルロースに対して50質量%の塩アルミニウム1g(富士フィルム和光純薬株式会社製)を300 mlガラスビーカーに測り取り、市販カルボキシメチルセルロースの固形分濃度が2%(w/v)となるよう蒸留水を加え、25℃で撹拌機を用いて500rpmで攪拌したが凝集体の電極結合剤4となった。
[実施例1]
<負極板の作製>
負極材としてSiOx、アセチレンブラック(Strem Chemicals社製)、電極用結合剤1、スチレンブタジエンゴム(SBR、JSR社製、品番S2910(E)-12-Na)の固形分重量比率が97:0.5:1.0:1.5になるように全量で3.07g混合し、さらにスラリー濃度が45.6質量%になるように水を添加し、マゼルスター(倉敷紡績製、KK-250S)を用いてよく攪拌し4.52gのスラリーを作製した。このスラリーをアプリケーターで縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC-WS)に塗工し、30分風乾した後、乾燥機にて60℃で30分間乾燥した。更に小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA-602)を用いて、5kN、ロール周速50m/minの条件でプレスし、目付き量62.9g/m2、放電実効容量330mAh/gの負極板1を得た。
[実施例2]
電極結合剤1の代わりに、電極結合剤2を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極板2を得た。
[実施例3]
電極結合剤1の代わりに、電極結合剤3を用いた以外は、実施例1と同様にして、負極板3を得た。
[比較例1]
電極結合体1の代わりに、電極結合剤4を用いた実施例1と同様の手順で負極板を作成したが、凝集体となっているため負極板を得ることができなかった。
[比較例2]
電極結合剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、負極板4を得た。
Figure 2022068618000001

Claims (6)

  1. 無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上、及び25℃でのB型粘度計(30rpm)で測定された1質量%水溶液の粘度が1,000~20,000であるカルボキシメチルセルロース又はその塩と、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物を含む、非水電解質二次電池の電極用結合剤。
  2. 前記カルボキシメチル化セルロース又はその塩が、乾燥質量Bの該カルボキシメチルセルロースまたはその塩の0.3質量%水溶液2リットルを調製して-200mmHgの減圧条件にて250メッシュのフィルターですべて濾過し、濾過後の前記フィルター上の残渣の乾燥質量Aを測定した際に、前記乾燥質量Bに対する乾燥質量Aの比率が50ppm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
  3. 前記カルボキシメチルセルロースまたはその塩の機械的な粉砕処理物である、請求項1~2いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
  4. 前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、メタノールを分散媒としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計100%粒子径が50μm未満であることを特徴とする、請求項1~3いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
  5. 前記カルボキシメチルセルロース又はその塩に対し、2価以下のアルカリ金属及び又はアルカリ土類金属の塩化物が、30~150重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1~4いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤。
  6. 請求項1~5いずれかに記載の非水電解質二次電池の電極用結合剤を含む、水溶液。
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