JP2022067754A - 墓構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、複数の家単位で納骨することができる墓構造に関する。
古来より、故人を埋葬するために墓を建立することが行われている。家制度が普及するに伴い家単位で墓を建立して歴代の家長が管理し、先祖を供養するとともに亡くなった家族のお骨を納骨する慣習が定着している。そして、それに対応した墓構造が実用化されている。
一般的な墓構造としては、仏式では、先祖代々の墓として、竿石、上台石、中台石及び下台石を積み重ねた構造が普及しており、内部にカロートが形成されている。また、家単位ではなく個々人の墓として故人の個性を表すために様々なデザインの墓も提案されている。
近年、人口減少が進む社会状況の中で、これまで家単位の墓を維持管理してきた家族が居なくなる場合が増加してきており、維持管理されない墓は、最終的に無縁仏として合同墓に移される等の措置がとられて供養されている。そのため、こうした状況に対応して新たな形態の墓構造が提案されている。
例えば、特許文献1では、複数の筒状体を個別に抜き取り交換可能な状態で束ねて納骨部を構成し、筒状体の下端の少なくとも一部が開口されると共に開口部分が地面に接するように若しくは地中に埋まるように配置された合葬用墓が記載されている。また、特許文献2では、夫妻がそれぞれの実家を供養できるようにするために、墓内部に左右二室に区画した納骨室を備え、区画した納骨室に対応して二つの納骨口及び納骨口の上部に夫妻のそれぞれの氏を彫刻する平面部を設けた点が記載されている。また、特許文献3では、家族墓として区画板を移動して納骨室を分割できるようにした納骨堂が記載されている。
上述した特許文献1では、複数の故人を合葬する墓構造であり、これまでように家単位で先祖を供養することは想定されていない。また、特許文献2及び3では、納骨室を区画して複数の家単位で納骨することが可能となっているが、家族墓が前提となっており、維持管理されない墓が増加しているといった社会的な状況に十分対応するものとはなっていない。
そこで、本発明は、納骨する家単位の数に合わせて変更することができる墓構造を提供することを目的とするものである。
本発明に係る墓構造は、墓石部と、前記墓石部の周囲に配設された巻石部と、前記巻石部の内側に取り外し可能に並列配置されるとともに前側に納骨口が形成された複数のカロートとを備え、前記墓石部は、前記カロートの上面に当接して支持されている。さらに、前記巻石部は、左右両側及び後側にブロック状の巻石を配置して構成されており、左右両側の前記巻石の間に取り外し可能に配設されるとともに前記カロートの前記納骨口に対応して複数の開口部が形成された下段部を備えている。さらに、前記下段部の前記開口部を閉鎖する蓋体を備えている。さらに、前記蓋体には少なくとも家名が表示されている。
本発明は、上記のような構成を有することで、複数のカロートを取り外し可能に配置することができるので、納骨する家単位の数に合わせてカロートを並列配置することが可能となり、納骨する家単位に応じて容易に変更することができる。
また、複数の家で墓の維持管理を行うため、無縁仏となるリスクが減少することになり、墓の継承者及び墓地の管理者の双方にメリットとなる。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る墓構造に関する外観斜視図である。墓構造は、上部に立設する軸石1と、軸石1を設置する上台2及び下台3とから構成される墓石部Sを備え、墓石部Sの周囲に墓地の境界を画定するブロック状の巻石部4が平面視矩形状に配設されている。墓石部Sは、軸石、上台及び下台からなる構成以外構成を用いることもでき、特に限定されない。例えば、軸石、上台、中台及び下台に構成してもよく、公知の墓石部を用いることができる。
図2は、墓石部Sを取り外した状態を示す分解斜視図である。巻石部4は左右両側及び後側の三方にブロック状の巻石を配置して構成されており、前側は開放されて境界部分に細幅で板状の庫裡段部5が敷設されている。庫裡段部5の内側には、板状の拝石部6及びその両側に一対の貼石部7が敷設されている。
拝石部6の後ろ側には、ブロック状の下段部8が左右両側の巻石に当接するように配設されており、下段部8の上面には細幅で板状の上段部9が載置されている。
下段部8には、前後方向に連通する複数の矩形状の開口部8a及び8bが形成されており、開口部8a及び8bの前側には、それぞれ蓋体10a及び10bが配置されて各開口部を閉鎖するようになっている。下段部8は、取り外し可能に設けられており、納骨する家単位の数に対応した開口部が形成されたものに交換することができるようになっている。
上段部9の後ろ側には下台3との間に載置台11が配置されている。載置台11の上面には、花立、水鉢台、角香炉といった部材が適宜配置されるようになっている。下台3及び載置台11の左右両側には一対の貼石部12が巻石部4の内側に張り出すように取り付けられている。
巻石部4の内側には、下段部8により区画された収容室が形成されており、収容室の底面は地面が露出した状態となっている。収容室内には、家単位で遺骨を納骨する複数のカロート20及び30が並列配置して収容されている。カロートは、取り外し可能に配置されており、納骨する家単位の数に合わせて収容するようになっている。なお、収容室内には、地域の風習に合わせてカロートの底面に床石を敷設することもできる。
図3は、カロートに関する外観斜視図である。カロート20は、右側壁部21、左側壁部22、前側壁部23及び後側壁部24を矩形の枠状に接続して構成されており、各壁部は所定の厚さの板状体で形成されている。右側壁部21の上部は、他の壁部よりも低く形成されて段差部21aが設けられており、段差部21aには右側の貼石部12の側端部が接合することで他の壁部とほぼ同じ高さとなるように設定されている。前側壁部23には、矩形状の納骨口23aが形成されており、下段部8に形成された開口部8bとほぼ一致するように設定されている。
そして、カロート20を収容室内に設置する場合には、段差部21aを右側の貼石部12の側端部に接合するとともに前側壁部23を下段部8の内面に密着させて納骨口23aを開口部8bに位置合せして設置する。
カロート30は、右側壁部31、左側壁部32、前側壁部33及び後側壁部34を矩形の枠状に接続して構成されており、各壁部は所定の厚さの板状体で形成されている。左側壁部32の上部は、他の壁部よりも低く形成されて段差部32aが設けられており、段差部32aには左側の貼石部12の側端部が接合することで他の壁部とほぼ同じ高さとなるように設定されている。前側壁部33には、矩形状の納骨口33aが形成されており、下段部8に形成された開口部8aとほぼ一致するように設定されている。
そして、カロート30を収容室内に設置する場合には、段差部32aを左側の貼石部12の側端部に接合するとともに前側壁部33を下段部8の内面に密着させて納骨口33aを開口部8aに位置合せして設置する。
図4は、図2のA-A断面図であり、図5は、図2のB-B断面図である。カロート20及び30には、それぞれの内部に家別の骨壺N1及びN2が収容されており、家単位で区画されて納骨されるようになっている。また、カロート20及び30の上面には、下台3の底面が当接して墓石部Sを支持するようになっている。したがって、納骨された各家の先祖をそれぞれ供養する墓構造となっている。
また、カロート20及び30の前側に形成された納骨口23a及び33aは、それぞれ下段部8の開口部8a及び8bに接合して連通するように配置されており、外部から各カロートに遺骨を別々の開口部を通して納骨するようになっている。そして、各開口部には個別に蓋体10a及び10bが配置されており、各家の遺骨を納骨する際にその家に対応する蓋体を開けてその家に対応するカロートに直接納骨することができ、個別の墓構造と同様に供養することが可能となる。各蓋体は、上段部9の下側に当接するように嵌め込まれており、底面の接地面積が広くなるように形成されているので、不用意に倒れたり移動することがなく、開口部を確実に閉鎖するようになっている。
蓋体には、各家の少なくとも家名を表示することで、納骨されている家を明示することができ、墓守が代替わりした場合でも複数の家単位で供養を継続することが可能となる。蓋体には、家名の外に家紋、戒名といった関連情報を表示することもでき、要望に合わせて種々の画像や情報を表示することが可能である。
また、供養する家単位の数に変更がある場合には、変更に合わせて収容するカロートの数を変更し、変更されたカロートの数に合わせて開口部が形成された下段部に交換して取り付けることで容易に対応することができ、墓石部等のそれ以外の部材を変更することがなくなる。そのため、親戚等で墓を維持管理できない場合に、その家の遺骨を納骨して家単位で供養することが可能となる。このように、複数の家単位で墓を管理するので、墓の継承者が居なくなって無縁仏となるリスクを減少させることができ、墓を末永く存続させることが可能となる。
例えば、上述した例では、カロートの左右の幅を狭く形成して3個のカロートを収容可能とし、3個のカロートの納骨口の位置に合わせて3個の開口部が形成された下段部と交換することで3家族単位を供養するように設定することができる。3個の開口部にはそれぞれ少なくとも家名を表示した蓋体を配置することで、納骨した家を明示することが可能となる。また、家名以外にも家紋、戒名等の画像や情報を表示することができる。
なお、本発明に係る墓構造に用いる各部材は、公知の石材等の材料により適宜成形することができ、各部材の造形デザインについても必要に応じて変更可能で、特に限定されない。
G・・・地面、S・・・墓石部、N1、N2・・・骨壺、1・・・軸石、2・・・上台、3・・・下台、4・・・巻石部、5・・・庫裡段部、6・・・拝み石部、7・・・貼石部、8・・・下段部、9・・・上段部、10a、10b・・・蓋体、11・・・載置台、12・・・貼石部、20・・・カロート、21・・・右側壁部、21a・・・段差部、22・・・左側壁部、23・・・前側壁部、24・・・後側壁部、30・・・カロート、31・・・右側壁部、32・・・左側壁部、32a・・・段差部、33・・・前側壁部、34・・・後側壁部
Claims (4)
- 墓石部と、前記墓石部の周囲に配設された巻石部と、前記巻石部の内側に取り外し可能に並列配置されるとともに前側に納骨口が形成された複数のカロートとを備え、前記墓石部は、前記カロートの上面に当接して支持されている墓構造。
- 前記巻石部は、左右両側及び後側にブロック状の巻石を配置して構成されており、左右両側の前記巻石の間に取り外し可能に配設されるとともに前記カロートの前記納骨口に対応して複数の開口部が形成された下段部を備えている請求項1に記載の墓構造。
- 前記下段部の前記開口部を閉鎖する蓋体を備えている請求項1又は2に記載の墓構造。
- 前記蓋体には少なくとも家名が表示されている請求項3に記載の墓構造。
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