JP2022066767A - 顕微鏡システム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、顕微鏡システムに関する。
近年、生体の組織、器官、細胞等の試料を観察するために、共焦点顕微鏡を備える顕微鏡システムが用いられることが多くなっている。共焦点顕微鏡は、対物レンズの焦点面と光学的に共役となる位置にピンホールが配置された共焦点光学系を備えており、共焦点光学系のピンホールを介した光を検出することによって試料の観察を行う顕微鏡である。このような共焦点顕微鏡では、焦点面における情報のみが得られるため、解像度及びコントラストが優れた画像を観察することができる。
以下の特許文献1~3には、従来の共焦点顕微鏡及びその関連装置が開示されている。具体的に、以下の特許文献1には、光源からの励起光の振幅又は位相を変調するとともに励起光を試料に対して選択的に透過させる空間光変調装置を共焦点光学系に設けることで、小型化を図った共焦点顕微鏡が開示されている。以下の特許文献2には、スピニングディスクを回転させて試料に対する励起光の照射位置を変更する(励起光によって試料を走査する)ことで、試料の共焦点像を得るディスク走査型共焦点顕微鏡が開示されている。以下の特許文献3には、共焦点顕微鏡で用いられる照明光ビームを生成する生成装置が開示されている。
ところで、従来の共焦点顕微鏡において、波長が近い複数の励起光が含まれる光を試料に照射した場合に得られる蛍光のスペクトルは、各々の励起光を個別に試料に照射したときに得られる蛍光のスペクトルが重なり合ったものとなることがある。スペクトルが重なった蛍光は、観察波長帯域毎に弁別することが困難であることから、互いにノイズになりあう現象(以下、「蛍光クロストーク」という)が生ずる。このような蛍光クロストークが生ずると、共焦点像の解像度及びコントラストの低下が引き起こされるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様による顕微鏡システム(1、2)は、試料(SP)に照射される励起光を出力する光源部(11、14、31a、31b)と、前記光源部から出力される励起光を変調する第1空間光変調器(15、32a、32b)と、前記第1空間光変調器で変調された励起光が前記試料に照射されることにより得られる蛍光を、前記第1空間光変調器に同期して変調する第2空間光変調器(18)と、前記第2空間光変調器で変調された蛍光を、前記試料に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させる第1フィルタ(20)と、前記第1フィルタを透過した蛍光を撮影する撮影装置(22)と、を備える。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記光源部が、前記試料の観察領域(OA)内に設定された複数の照射領域(R1~R4)に異なる波長の励起光が照射されるようにされており、前記第1フィルタが、前記複数の照射領域に対応する領域(R21~R24)毎に、異なる波長帯域の蛍光を選択的に透過させる。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記光源部が、複数の波長を含む励起光を出力する光源(11)と、前記光源から出力される励起光のうち、前記複数の照射領域に対応する領域(R11~R14)毎に異なる波長の励起光を透過させる第2フィルタ(14)と、を備える。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記第2フィルタが、前記第1空間光変調器に同期して、前記複数の照射領域に対応する領域の各々を透過させる励起光の波長を変える。
或いは、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記光源部が、波長が異なる励起光を出力する複数の光源(31a、31b)を備えており、前記第1空間光変調器が、前記複数の光源に対応して複数設けられていて、対応する光源から出力される励起光が前記複数の照射領域の少なくとも1つに照射されるように、対応する光源から出力される励起光を変調する。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記第1空間光変調器が、対応する光源から出力される励起光が照射される前記複数の照射領域の少なくとも1つを変える。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記撮影装置が、前記第1空間光変調器及び前記第2空間光変調器に同期して、前記第1フィルタを透過した蛍光を撮影する。
また、本発明の一態様による顕微鏡システムは、前記第1空間光変調器又は前記第2空間光変調器の少なくとも一方を制御して、前記光源部から前記撮影装置に至るまでの光学特性を調整する制御装置(23)を更に備える。
本発明によれば、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施形態による顕微鏡システムについて詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の実施形態の詳細について説明する。
〔概要〕
本発明の実施形態は、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる顕微鏡システムを提供するものである。具体的には、試料の同一箇所には特定波長の励起光のみが照射されるようにし、試料から得られる蛍光を、試料に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させることで、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができるようにするものである。
本発明の実施形態は、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる顕微鏡システムを提供するものである。具体的には、試料の同一箇所には特定波長の励起光のみが照射されるようにし、試料から得られる蛍光を、試料に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させることで、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができるようにするものである。
ここで、上述した特許文献3に開示された生成装置を、上述した特許文献1,2に開示された共焦点顕微鏡に適用した場合を考える。この場合においては、波長が異なる複数の励起光が試料の同一箇所に照射されるため、蛍光クロストークが発生する可能性がある。このため、得られる共焦点像の解像度及びコントラストが低下する虞がある。また、上述した特許文献1に開示された共焦点顕微鏡では、空間光変調装置と共焦点像を撮影する撮影装置とが非同期であると考えられるため、バンディングノイズが発生する可能性があり、得られる共焦点像の品質が低下する虞もある。
本発明の実施形態では、光源部から出力される励起光を第1空間光変調器で変調し、第1空間光変調器で変調された励起光が試料に照射されることにより得られる蛍光を第1空間光変調器に同期して第2空間光変調器で変調し、第2空間光変調器で変調された蛍光を、試料に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させ、第1フィルタを透過した蛍光を撮影するようにしている。これにより、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる。
〔第1実施形態〕
〈顕微鏡システムの要部構成〉
図1は、本発明の第1実施形態による顕微鏡システムの要部構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の顕微鏡システム1は、光源11(光源部)、コリメートレンズ12、ミラー13、液晶波長可変フィルタ14(光源部、第2フィルタ)、空間光変調器15(第1空間光変調器)、ダイクロイックミラー16、顕微鏡ユニット17、空間光変調器18(第2空間光変調器)、リレーレンズ19、液晶波長可変フィルタ20(第1フィルタ)、ミラー21、カメラ22、及び制御装置23を備える。
〈顕微鏡システムの要部構成〉
図1は、本発明の第1実施形態による顕微鏡システムの要部構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の顕微鏡システム1は、光源11(光源部)、コリメートレンズ12、ミラー13、液晶波長可変フィルタ14(光源部、第2フィルタ)、空間光変調器15(第1空間光変調器)、ダイクロイックミラー16、顕微鏡ユニット17、空間光変調器18(第2空間光変調器)、リレーレンズ19、液晶波長可変フィルタ20(第1フィルタ)、ミラー21、カメラ22、及び制御装置23を備える。
このような顕微鏡システム1は、光源11から出力される励起光を試料SPに照射し、これにより得られる蛍光をカメラ22で撮影することにより、試料SPの共焦点像を得るものである。本実施形態の顕微鏡システム1は、波長帯域が異なる複数の共焦点像を一度の観察で得ることが可能である。尚、試料SPは、例えば、蛍光色素が添加された生体の組織、器官、細胞等であり、ステージST上に載置されている。
光源11は、制御装置23の制御の下で、試料SPを励起するための励起光を出力する。光源11から出力される励起光は、コヒーレント光(レーザ光)であっても良く、インコヒーレント光であっても良い。光源11から出力される励起光は、複数の波長を含む励起光である。これは、波長帯域が異なる複数の共焦点像を一度の観察で得るためである。
例えば、光源11から出力される励起光には、4つの波長λ1~λ4のレーザ光が含まれる。例えば、波長λ1は405[nm]であり、波長λ2は488[nm]であり、波長λ3は561[nm]であり、波長λ4は640[nm]である。尚、光源11から出力される光の波長範囲は、上記の波長範囲(405~640[nm])に制限される訳ではなく、試料SPの光学的な特性に応じた任意の波長範囲にすることができる。
コリメートレンズ12は、光源11から出力される励起光を平行光に変換する(コリメートする)。ミラー13は、コリメートレンズ12でコリメートされた励起光を、ステージST上に載置された試料SPに向けて反射する。
液晶波長可変フィルタ14は、ミラー13から試料SPに至る励起光の光路上に配置されており、制御装置23の制御の下で、特定波長の励起光を透過させる。液晶波長可変フィルタ14が透過させる励起光の波長は、制御装置23によって制御される。尚、液晶波長可変フィルタは、LCTF(Liquid Crystal Tunable Filter)とも呼ばれる。
図2は、本発明の第1実施形態による顕微鏡システムに設けられる液晶波長可変フィルタを模式的に示す図である。尚、図2(a)は、液晶波長可変フィルタ14を模式的に示す図であり、図2(b)は、液晶波長可変フィルタ20を模式的に示す図である。図2(a)に示す通り、液晶波長可変フィルタ14は、励起光が入射する面が、4つの領域R11~R14に分割されている。液晶波長可変フィルタ14は、制御装置23の制御によって、領域R11~R14毎に異なる波長の励起光を透過させること、及び、各領域R11~R14を透過させる励起光の波長を変えることが可能である。
例えば、液晶波長可変フィルタ14は、ある時点では、波長λ1の励起光が領域R11を透過し、波長λ2の励起光が領域R12を透過し、波長λ3の励起光が領域R13を透過し、波長λ4の励起光が領域R14を透過するようにすることができる。また、他の時点では、波長λ4の励起光が領域R11を透過し、波長λ1の励起光が領域R12を透過し、波長λ2の励起光が領域R13を透過し、波長λ3の励起光が領域R14を透過するようにすることができる。尚、液晶波長可変フィルタ14の励起光が入射する面の分割数は4に限られる訳ではなく、2又は3であっても良く、5以上であっても良い。
空間光変調器15は、制御装置23の制御の下で、液晶波長可変フィルタ14を透過した励起光の振幅、位相、偏光を空間的、時間的に変調する。空間光変調器15は、ミラー13から試料SPに至る励起光の光路上における液晶波長可変フィルタ14の後段であって、試料SPの観察面(後述する対物レンズ17aの焦点面)と光学的に共役となる位置に配置される。この空間光変調器15は、制御装置23の制御によって、励起光を透過させる領域を変えることができる。このため、空間光変調器15は、共焦点光学系のピンホールとして用いられる。尚、空間光変調器は、SLM(Spatial Light Modulator)とも呼ばれる。
図3は、本発明の第1実施形態による顕微鏡システムに設けられる空間光変調器を模式的に示す図である。尚、図3(a)は、空間光変調器15を模式的に示す図であり、図3(b)は、空間光変調器18を模式的に示す図である。図3(a)に示す通り、空間光変調器15は、液晶波長可変フィルタ14を透過した励起光が入射する面が、複数の画素G1に区画されている。空間光変調器15は、励起光の振幅、位相、偏光を、画素G1毎に変調可能である。
また、制御装置23の制御によって、図3(a)に示す通り、空間光変調器15に設けられた複数の画素G1のうち、所定の画素G1を光透過領域A11とし、その他の画素G1を遮光領域A12とすることができる。これにより、光透過領域A11とされた画素G1をピンホールと同様に機能させることができる。尚、制御装置23の制御によって、光透過領域A11とする画素G1及び遮光領域A12とする画素G1を選択的に切り替えることができる。このため、本実施形態では、ピンホール(光透過領域A11)の位置を様々に変化させることができる。
ダイクロイックミラー16は、光源11から出力される励起光を透過させるとともに、試料SPに励起光を照射して得られる反射光や蛍光等(以下、これらを総称する場合には、「戻り光」という)を空間光変調器18に向けて反射する。尚、ダイクロイックミラー16に代えて、ハーフミラーを用いることもできる。顕微鏡ユニット17は、対物レンズ17aを備えており、ダイクロイックミラー16を透過した励起光を試料SPに照射するとともに、試料SPに励起光を照射して得られる戻り光をダイクロイックミラー16に導く。尚、顕微鏡システム1では、対物レンズ17aの焦点面(像側焦点面)が試料SPの観察面とされている。
空間光変調器18は、制御装置23の制御の下で、ダイクロイックミラー16で反射された戻り光の振幅、位相、偏光を、空間光変調器15に同期して空間的、時間的に変調する。空間光変調器18は、ダイクロイックミラー16で反射された戻り光の光路上であって、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)と光学的に共役となる位置に配置される。この空間光変調器18は、制御装置23の制御によって、戻り光を透過させる領域を変えることができる。このため、空間光変調器18は、空間光変調器15と同様に、共焦点光学系のピンホールとして用いられる。
図3(b)に示す通り、空間光変調器18は、ダイクロイックミラー16で反射された戻り光が入射する面が、複数の画素G2に区画されている。空間光変調器18は、励起光の振幅、位相、偏光を、画素G2毎に変調可能である。また、制御装置23の制御によって、図3(b)に示す通り、空間光変調器18に設けられた複数の画素G2のうち、所定の画素G2を光透過領域A21とし、その他の画素G2を遮光領域A22とすることができる。これにより、光透過領域A21とされた画素G2をピンホールと同様に機能させることができる。尚、制御装置23の制御によって、光透過領域A21とする画素G2及び遮光領域A22とする画素G2を選択的に切り替えることができる。このため、本実施形態では、ピンホール(光透過領域A21)の位置を様々に変化させることができる。
リレーレンズ19は、ダイクロイックミラー16で反射された戻り光の光路上であって、空間光変調器18の後段に配置されている。このリレーレンズ19は、空間光変調器18を透過した戻り光をリレーしつつ、その光学像を液晶波長可変フィルタ20に結像させる。
液晶波長可変フィルタ20は、制御装置23の制御の下で、リレーレンズ19を介して導かれた戻り光を、試料SPに照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させる。液晶波長可変フィルタ20が透過させる励起光の波長は、制御装置23によって制御される。図2(b)に示す通り、液晶波長可変フィルタ20の入射面は、4つの領域R21~R24に分割されている。液晶波長可変フィルタ20は、制御装置23の制御によって、領域R21~R24毎に異なる波長の戻り光を透過させること、及び、各領域R21~R24を透過させる戻り光の波長を変えることが可能である。
図4は、本発明の第1実施形態において、試料に照射される励起光の波長と、観察の対象となっている波長帯域との関係の一例を示す図である。図4に示す通り、試料SPに波長λ1の照明光が照射された場合にはスペクトルSP1を有する蛍光が得られ、試料SPに波長λ2の照明光が照射された場合にはスペクトルSP2を有する蛍光が得られるとする。また、試料SPに波長λ3の照明光が照射された場合にはスペクトルSP3を有する蛍光が得られ、試料SPに波長λ4の照明光が照射された場合にはスペクトルSP4を有する蛍光が得られるとする。
観察の対象となっている波長帯域は、試料SPに波長λ1の励起光が照射された場合には波長帯域WB1であり、試料SPに波長λ2の励起光が照射された場合には波長帯域WB2であるとする。また、試料SPに波長λ3の励起光が照射された場合には波長帯域WB3であり、試料SPに波長λ4の励起光が照射された場合には波長帯域WB4であるとする。
例えば、液晶波長可変フィルタ20は、ある時点では、波長帯域WB1の戻り光が領域R21を透過し、波長帯域WB2の戻り光が領域R22を透過し、波長帯域WB3の戻り光が領域R23を透過し、波長帯域WB4の戻り光が領域R24を透過するようにすることができる。また、他の時点では、波長帯域WB4の戻り光が領域R21を透過し、波長帯域WB1の戻り光が領域R22を透過し、波長帯域WB2の戻り光が領域R23を透過し、波長帯域WB3の戻り光が領域R24を透過するようにすることができる。尚、液晶波長可変フィルタ20の入射面の分割数は、液晶波長可変フィルタ14の入射面の分割数と同じであれば良く、2又は3であっても良く、5以上であっても良い。
尚、上記の波長帯域WB1は、例えば、422.5~476.5[nm]に設定され、上記の波長帯域WB2は、例えば、500.5~550[nm]に設定される。また、上記の波長帯域WB3は、例えば、581.5~618.5[nm]に設定され、上記の波長帯域WB4は、例えば、661.5~690.5[nm]である。尚、上述した波長帯域WB1~WB4はあくまでも一例であって、試料SPに照射されるレーザ光の波長に応じて任意の波長帯域を設定することができる。
ミラー21は、液晶波長可変フィルタ20を透過した戻り光をカメラ22に向けて反射する。カメラ22は、ミラー21によって反射された戻り光の光学像を撮影して画像を得るものである。このカメラ22は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子を備えており、2次元の静止画像又は動画を撮影可能なカメラである。カメラ22は、その撮像面が試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)と光学的に共役となる位置に配置される。尚、本実施形態において、カメラ22は、CMOSを備えたものであるとする。
制御装置23は、顕微鏡システム1の動作を統括して制御する。具体的に制御装置23は、光源11、液晶波長可変フィルタ14、空間光変調器15、空間光変調器18、液晶波長可変フィルタ20、及びカメラ22の動作を制御して、試料SPから発せられる蛍光を撮影する。また、制御装置23は、カメラ22で得られた画像を合成して、試料SPの共焦点像を得る処理を行う。この制御装置23としては、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、或いはワークステーションにより実現される。尚、制御装置23は、得られた試料SPの共焦点像を液晶表示装置等の表示装置に表示しても良く、得られた試料SPの共焦点像の画像データを外部に出力しても良い。
〈顕微鏡システムの動作〉
顕微鏡システム1の動作が開始されると、制御装置23によって光源11が制御され、光源11からは複数の波長(例えば、波長λ1~λ4)のレーザ光を含む励起光が出力される。光源11から出力された励起光は、コリメートレンズ12でコリメートされてミラー13で反射された後、液晶波長可変フィルタ14に入射する。
顕微鏡システム1の動作が開始されると、制御装置23によって光源11が制御され、光源11からは複数の波長(例えば、波長λ1~λ4)のレーザ光を含む励起光が出力される。光源11から出力された励起光は、コリメートレンズ12でコリメートされてミラー13で反射された後、液晶波長可変フィルタ14に入射する。
液晶波長可変フィルタ14に入射した励起光は、液晶波長可変フィルタ14でフィルタリングされ、図2(a)に示す領域R11~R14毎に異なる波長の励起光が透過する。例えば、波長λ1の励起光が領域R11を透過し、波長λ2の励起光が領域R12を透過し、波長λ3の励起光が領域R13を透過し、波長λ4の励起光が領域R14を透過する。
液晶波長可変フィルタ14を透過した励起光は、空間光変調器15に入射し、図3(a)に示す通り、ピンホールとして機能する画素G1(光透過領域A11とされた画素G1)を透過する。液晶波長可変フィルタ14を透過した励起光は、ダイクロイックミラー16を透過し、顕微鏡ユニット17によりステージST上の試料SPに照射される。
図5は、本発明の第1実施形態において励起光が試料SPに照射される様子を説明するための図である。図5に示す矩形領域は、試料SPの観察領域OAを示している。この観察領域OAは、励起光が照射されて蛍光が発せられる領域であり、試料SPの共焦点像を得ようとする領域である。
図5に示す通り、試料SPの観察領域OAには、空間光変調器15のピンホールとして機能する画素G1を通過した点状の励起光が照射される。但し、試料SPの観察領域OA内には、液晶波長可変フィルタ14の領域R11~R14に対応する照射領域R1~R4が設定されており、照射領域R1~R4毎に異なる波長の励起光が照射される。
例えば、液晶波長可変フィルタ14の領域R11に対応する照射領域R1には波長λ1の励起光が点状に照射され、液晶波長可変フィルタ14の領域R12に対応する照射領域R2には波長λ2の励起光が点状に照射される。また、液晶波長可変フィルタ14の領域R13に対応する照射領域R3には波長λ3の励起光が点状に照射され、液晶波長可変フィルタ14の領域R14に対応する照射領域R4には波長λ4の励起光が点状に照射される。
試料SPに励起光が照射されると、試料SPからは照射された励起光に応じた蛍光が発せられる。例えば、試料SPの観察領域OAのうちの照射領域R1からは、図4に示すスペクトルSP1を有する蛍光が発せられ、照射領域R2からは、図4に示すスペクトルSP2を有する蛍光が発せられる。また、照射領域R3からは、図4に示すスペクトルSP3を有する蛍光が発せられ、照射領域R4からは、図4に示すスペクトルSP4を有する蛍光が発せられる。
試料SPから発せられた蛍光を含む戻り光は、顕微鏡ユニット17を介してダイクロイックミラー16に導かれて反射された後、空間光変調器18に入射する。空間光変調器18に入射した戻り光は、空間光変調器18に入射し、図3(b)に示す通り、ピンホールとして機能する画素G2(光透過領域A21とされた画素G2)を透過する。空間光変調器18を透過した戻り光は、リレーレンズ19を介して液晶波長可変フィルタ20に導かれる。
液晶波長可変フィルタ20に導かれた戻り光は、液晶波長可変フィルタ20でフィルタリングされ、図2(b)に示す領域R21~R24毎に異なる波長の戻り光が透過する。例えば、図4に示す波長帯域WB1の戻り光が領域R21(図5に示す観察領域OAの照射領域R1に対応する領域)を通過し、図4に示す波長帯域WB2の戻り光が領域R22(図5に示す観察領域OAの照射領域R2に対応する領域)を通過する。また、図4に示す波長帯域WB3の戻り光が領域R23(図5に示す観察領域OAの照射領域R3に対応する領域)を通過し、図4に示す波長帯域WB4の戻り光が領域R24(図5に示す観察領域OAの照射領域R4に対応する領域)を通過する。
液晶波長可変フィルタ20を透過した戻り光は、ミラー21で反射された後、カメラ22に入射する。すると、ミラー21によって反射された戻り光の光学像がカメラ22によって撮影され、撮影された画像の画像データが制御装置23に出力される。カメラ22から出力された画像データが入力されると、制御装置23は、空間光変調器15,18を制御して、ピンホールとして機能する画素G1,G2(図3参照)の位置を変えつつカメラ22から出力される画像データを順次取得する。
以上の処理が終了すると、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14,20を制御して、液晶波長可変フィルタ14の領域R11~R14を透過させる波長、及び液晶波長可変フィルタ20の領域R21~R24を通過させる波長帯域を変える。例えば、制御装置23は、波長λ4,λ1,λ2,λ3の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11,R12,R12,R14をそれぞれ透過するよう制御する。また、制御装置23は、図4に示す波長帯域WB4,WB1,WB2,WB3の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21,R22,R23,R24をそれぞれ通過するように制御する。
以上の制御が終了すると、制御装置23は、空間光変調器15,18を制御して、ピンホールとして機能する画素G1,G2(図3参照)の位置を変えつつカメラ22から出力される画像データを順次取得する。このように、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14,20を制御しつつ、空間光変調器15,18を制御して、試料SPの共焦点像を取得する。
図6は、本発明の第1実施形態による顕微鏡システムの制御シーケンスの一例を示す図である。図6(a)に示す通り、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14、空間光変調器15,18、及びカメラ22を同期制御する。尚、図6では図示を省略しているが、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ20も液晶波長可変フィルタ14等と同期するように制御する。
図6(a)に示す例において、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14を透過する励起光が、図6(b)に示すP1~P4となるように制御する。具体的に、制御装置23は、時刻t1において、波長λ1,λ2,λ3,λ4の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11,R12,R12,R14をそれぞれ透過するよう制御する。このとき、制御装置23は、図4に示す波長帯域WB1,WB2,WB3,WB4の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21,R22,R23,R24をそれぞれ通過するように制御する。
次に、制御装置23は、時刻t2において、波長λ4,λ1,λ2,λ3の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11,R12,R12,R14をそれぞれ透過するよう制御する。このとき、制御装置23は、図4に示す波長帯域WB4,WB1,WB2,WB3の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21,R22,R23,R24をそれぞれ通過するように制御する。
次いで、制御装置23は、時刻t3において、波長λ3,λ4,λ1,λ2の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11,R12,R12,R14をそれぞれ透過するよう制御する。このとき、制御装置23は、図4に示す波長帯域WB3,WB4,WB1,WB2の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21,R22,R23,R24をそれぞれ通過するように制御する。
続いて、制御装置23は、時刻t4において、波長λ2,λ3,λ4,λ1の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11,R12,R12,R14をそれぞれ透過するよう制御する。このとき、制御装置23は、図4に示す波長帯域WB2,WB3,WB4,WB1の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21,R22,R23,R24をそれぞれ通過するように制御する。尚、時刻t5以降は、時刻t1~時刻t4における制御が繰り返される。
このように、制御装置23は、波長λ1~λ4の励起光が、液晶波長可変フィルタ14の領域R11~R14を順次通過するように液晶波長可変フィルタ14を制御する。また、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14に同期させて、図4に示す波長帯域WB1~WB4の戻り光が、液晶波長可変フィルタ20の領域R21~R24を順次通過するように制御する。これにより、図5に示す観察領域OAの照射領域R1~R4を異なる波長λ1~λ4の励起光で順次励起することができる。また、観察領域OAの照射領域R1~R4の各々で発せられる蛍光を含む戻り光を、照射領域R1~R4の各々に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させることができる。
制御装置23に入力された画像データは、制御装置23に設けられた格納装置(図示省略)格納される。そして、制御装置23では、格納装置に格納された画像データを読み出して合成し、試料SPの波長帯域が異なる複数の共焦点像を得る処理が行われる。これにより、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)における波長帯域が異なる複数の共焦点像を得ることができる。尚、ステージSTを移動させて試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)を変えながら上述した動作を行うことで、試料SPの三次元画像を得ることも可能である。
以上の通り、本実施形態では、まず、光源11から射出された複数の波長が含まれる励起光を、液晶波長可変フィルタ14でフィルタリングするとともに、空間光変調器15で変調するようにしている。これにより、試料SPの観察領域OA内に設定された照射領域R1~R4毎に波長が異なる点状の励起光が照射されるようにしている。次に、照射領域R1~R4で発せられる蛍光を含む戻り光を空間光変調器18で変調するとともに、液晶波長可変フィルタ20でフィルタリングしてカメラ22で撮影するようにしている。これにより、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる。
また、本実施形態では、制御装置23の制御によって、空間光変調器15,18と共焦点像を撮影するカメラ22とが同期するようにしている。これにより、バンディングノイズが発生するのを防止することができるため、得られる共焦点像の品質の低下を防止することができる。
尚、上述した実施形態では、制御装置23が、液晶波長可変フィルタ14,20、空間光変調器15,18、及びカメラ22を同期制御する例ついて説明した。しかしながら、これら全てが必ずしも同期制御される必要はない。図7は、本発明の第1実施形態における制御装置で行われる同期制御の例を示すタイミングチャートである。図7(a)に示す通り、制御装置23は、液晶波長可変フィルタ14,20と、空間光変調器15,18と、カメラ22とが同期しないように制御しても良い。
或いは、図7(b)に示す通り、制御装置23は、空間光変調器15,18とカメラ22とが同期し、液晶波長可変フィルタ14,20が同期しないように制御しても良い。もちろん、図7(c)に示す通り、制御装置23は、上述した実施形態のように、液晶波長可変フィルタ14,20と、空間光変調器15,18と、カメラ22とが同期するように制御しても良い。
また、本実施形態では、制御装置23が、空間光変調器15,18の少なくとも一方を制御すれば、光源11からカメラ22に至るまでの光学特性を調整することが可能である。これにより、光学的な収差(例えば、球面収差や色収差)の補正、シェーディング補正、光学的再配置方式による超解像の実現、共焦理論解像度の確保等を行うことができる。また、ステージSTを移動させることなく、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)の高速移動を実現することもできる。尚、このような制御を行う場合(例えば、設計段階で行う場合)には、励起光の光路又は戻り光の光路に波面センサを設け、波面センサの検出結果に基づいて行っても良い。
〔第2実施形態〕
〈顕微鏡システムの要部構成〉
図8は、本発明の第2実施形態による顕微鏡システムの要部構成を示す図である。尚、図8においては、図1に示す構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図8に示す顕微鏡システム2は、図1に示す光源11、液晶波長可変フィルタ14、空間光変調器15、及びミラー21を省略し、光源31a,31b(光源部)、空間光変調器32a,32b(第1空間光変調器)、ミラー33、ダイクロイックミラー34、ミラー35、ビームスプリッタ36、波面センサ37、ビームスプリッタ38、及び波面センサ39を設けた構成である。
〈顕微鏡システムの要部構成〉
図8は、本発明の第2実施形態による顕微鏡システムの要部構成を示す図である。尚、図8においては、図1に示す構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図8に示す顕微鏡システム2は、図1に示す光源11、液晶波長可変フィルタ14、空間光変調器15、及びミラー21を省略し、光源31a,31b(光源部)、空間光変調器32a,32b(第1空間光変調器)、ミラー33、ダイクロイックミラー34、ミラー35、ビームスプリッタ36、波面センサ37、ビームスプリッタ38、及び波面センサ39を設けた構成である。
このような顕微鏡システム2は、光源31a,31bから出力される励起光を試料SPに照射し、これにより得られる蛍光をカメラ22で撮影することにより、試料SPの共焦点像を得るものである。本実施形態の顕微鏡システム2は、図1に示す顕微鏡システム1と同様に、波長帯域が異なる複数の共焦点像を一度の観察で得ることが可能である。また、本実施形態の顕微鏡システム2は、光源31a,31bからカメラ22に至るまでの光学特性を調整可能である。
光源31a,31bは、制御装置23の制御の下で、試料SPを励起するための励起光を出力する。光源31a,31bから出力される励起光は、コヒーレント光(レーザ光)であっても良く、インコヒーレント光であっても良い。光源31a,31bから出力される励起光は、互いに波長が異なる励起光である。これは、波長帯域が異なる複数の共焦点像を一度の観察で得るためである。例えば、光源31aから出力される励起光は波長λ1のレーザ光であり、光源31bから出力される励起光は波長λ2のレーザ光である。
空間光変調器32a,32bは、制御装置23の制御の下で、光源31a,31bから出力された励起光の振幅、位相、偏光を空間的、時間的に変調する。空間光変調器32aは、光源31aに対応して設けられており、光源31aから出力される励起光の光路上であって、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)と光学的に共役となる位置に配置される。空間光変調器32bは、光源31bに対応して設けられており、光源31bから出力される励起光の光路上であって、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)と光学的に共役となる位置に配置される。尚、空間光変調器32a,32bは、図3に示すものと同様のものである。
空間光変調器32a,32bは、対応する光源31a,31bから出力される励起光が、図5に示す試料SPの観察領域OA内に設定された複数の照射領域の少なくとも1つに照射されるように、対応する光源31a,31bから出力される励起光を変調する。これら空間光変調器32a,32bは、制御装置23の制御によって、励起光が照射される領域を変えることができる。
例えば、図5に示す通り、観察領域OA内に4つの照射領域R1~R4が設定されている場合を考える。この場合には、空間光変調器32aは、例えば、対応する光源31aから出力される励起光が、図5に示す観察領域OA内に設定された照射領域R1に照射されるように、対応する光源31aから出力される励起光を変調する。また、空間光変調器32bは、例えば、対応する光源31bから出力される励起光が、図5に示す観察領域OA内に設定された照射領域R2に照射されるように、対応する光源31bから出力される励起光を変調する。
尚、上記の場合において、空間光変調器32aは、例えば、対応する光源31aから出力される励起光が、図5に示す観察領域OA内に設定された照射領域R1,R2に照射されるように、対応する光源31aから出力される励起光を変調しても良い。また、空間光変調器32bは、例えば、対応する光源31bから出力される励起光が、図5に示す観察領域OA内に設定された照射領域R3,R4に照射されるように、対応する光源31bから出力される励起光を変調しても良い。
ミラー33は、空間光変調器32aを通過した励起光をダイクロイックミラー34に向けて反射する。ダイクロイックミラー34は、ミラー33で反射された励起光を透過させるとともに、空間光変調器32aを通過した励起光を反射する。尚、空間光変調器32a,32bを通過した励起光の光学像は、ダイクロイックミラー34で合成されることになる。ミラー35は、ダイクロイックミラー34で合成された励起光の光学像をコリメートレンズ12に向けて反射する。
ビームスプリッタ36は、ミラー13とダイクロイックミラー16との間における励起光の光路上に配置されており、ミラー13で反射された励起光の一部を波面センサ37に向けて反射する。波面センサ37は、ビームスプリッタ36で反射される励起光の光路上に配置されており、ビームスプリッタ36で反射される励起光(即ち、ミラー13で試料SPに向けて反射された励起光)の波面を検出し、その検出結果を制御装置23に出力する。
ビームスプリッタ38は、図1に示すミラー21に代えて設けられており、液晶波長可変フィルタ20を透過した戻り光の一部をカメラ22に向けて反射し、残りの一部を透過させる。波面センサ39は、液晶波長可変フィルタ20を透過した戻り光の光路上に配置されており、液晶波長可変フィルタ20を透過した戻り光(即ち、カメラ22の撮像面に結像される戻り光)の波面を検出し、その検出結果を制御装置23に出力する。
本実施形態において、制御装置23は、波面センサ37,39の検出結果に基づいて、空間光変調器32a,32b又は空間光変調器18の少なくとも一方を制御して、光源31a,31bからカメラ22に至るまでの光学特性を調整する。例えば、制御装置23は、波面センサ37の検出結果に基づいて、空間光変調器32a,32bを制御することにより、試料SPの観察を行いながら、試料SPに照射される励起光の波面を調整する。また、制御装置23は、波面センサ39の検出結果に基づいて、空間光変調器18を制御することにより、試料SPの観察を行いながら、カメラ22に入射する戻り光の波面を調整する。
このような波面の調整を行うことで、光学的な収差(例えば、球面収差や色収差)の補正、シェーディング補正、光学的再配置(OPR:Optical Photon Reassignment)方式による超解像の実現、共焦理論解像度の確保等を行うことができる。また、ステージSTを移動させることなく、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)の高速移動を実現することもできる。
〈顕微鏡システムの動作〉
本実施形態の顕微鏡システム2は、光源31a,31b及び空間光変調器32a,32bの組み合わせによって試料SPに照射する励起光を生成しており、基本的な動作は第1実施形態の顕微鏡システム1と同様である。このため、ここでの詳細な説明は省略する。
本実施形態の顕微鏡システム2は、光源31a,31b及び空間光変調器32a,32bの組み合わせによって試料SPに照射する励起光を生成しており、基本的な動作は第1実施形態の顕微鏡システム1と同様である。このため、ここでの詳細な説明は省略する。
以上の通り、本実施形態では、まず、光源31a,31bから射出された互いに波長が異なる励起光を、空間光変調器32a,32bで変調するようにしている。これにより、試料SPの観察領域OA内に設定された照射領域R1~R4の少なくとも2つに波長が異なる点状の励起光が照射されるようにしている。次に、照射領域R1~R4の少なくとも2つで発せられる蛍光を含む戻り光を空間光変調器18で変調するとともに、液晶波長可変フィルタ20でフィルタリングしてカメラ22で撮影するようにしている。これにより、蛍光クロストークの影響が殆ど無く、解像度及びコントラストが優れた共焦点像を得ることができる。
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、制御装置23の制御によって、空間光変調器15,18と共焦点像を撮影するカメラ22とを同期させることが可能である。これにより、バンディングノイズが発生するのを防止することができるため、得られる共焦点像の品質の低下を防止することができる。
また、本実施形態では、波面センサ37,39の検出結果に基づいて、制御装置23が、空間光変調器32a,32b又は空間光変調器18の少なくとも一方を制御して、光源31a,31bからカメラ22に至るまでの光学特性を調整するようにしている。これにより、光学的な収差(例えば、球面収差や色収差)の補正、シェーディング補正、光学的再配置方式による超解像の実現、共焦理論解像度の確保等を行うことができる。また、ステージSTを移動させることなく、試料SPの観察面(対物レンズ17aの焦点面)の高速移動を実現することもできる。
以上、本発明の実施形態による顕微鏡システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態では、4つの波長λ1~λ4が含まれる励起光を出力する光源11を備える例について説明した。しかしながら、光源11は、2又は3の波長が含まれる励起光を出力するものであっても、5以上の波長が含まれる励起光を出力するものであっても良い。また、上述した第2実施形態では、2つの波長λ1,λ2の励起光をそれぞれ出力する光源31a,31bを備える例について説明した。しかしながら、顕微鏡システム2に設けられる光源の数は、3つ以上であっても良い。
1,2 顕微鏡システム
11 光源
14 液晶波長可変フィルタ
15 空間光変調器
18 空間光変調器
20 液晶波長可変フィルタ
22 カメラ
23 制御装置
31a,31b 光源
32a,32b 空間光変調器
OA 観察領域
R1~R4 照射領域
R11~R14 領域
R21~R24 領域
SP 試料
11 光源
14 液晶波長可変フィルタ
15 空間光変調器
18 空間光変調器
20 液晶波長可変フィルタ
22 カメラ
23 制御装置
31a,31b 光源
32a,32b 空間光変調器
OA 観察領域
R1~R4 照射領域
R11~R14 領域
R21~R24 領域
SP 試料
Claims (8)
- 試料に照射される励起光を出力する光源部と、
前記光源部から出力される励起光を変調する第1空間光変調器と、
前記第1空間光変調器で変調された励起光が前記試料に照射されることにより得られる蛍光を、前記第1空間光変調器に同期して変調する第2空間光変調器と、
前記第2空間光変調器で変調された蛍光を、前記試料に照射される励起光の波長に応じて選択的に透過させる第1フィルタと、
前記第1フィルタを透過した蛍光を撮影する撮影装置と、
を備える顕微鏡システム。 - 前記光源部は、前記試料の観察領域内に設定された複数の照射領域に異なる波長の励起光が照射されるようにされており、
前記第1フィルタは、前記複数の照射領域に対応する領域毎に、異なる波長帯域の蛍光を選択的に透過させる、
請求項1記載の顕微鏡システム。 - 前記光源部は、複数の波長を含む励起光を出力する光源と、
前記光源から出力される励起光のうち、前記複数の照射領域に対応する領域毎に異なる波長の励起光を透過させる第2フィルタと、
を備える請求項2記載の顕微鏡システム。 - 前記第2フィルタは、前記第1空間光変調器に同期して、前記複数の照射領域に対応する領域の各々を透過させる励起光の波長を変える、請求項3記載の顕微鏡システム。
- 前記光源部は、波長が異なる励起光を出力する複数の光源を備えており、
前記第1空間光変調器は、前記複数の光源に対応して複数設けられていて、対応する光源から出力される励起光が前記複数の照射領域の少なくとも1つに照射されるように、対応する光源から出力される励起光を変調する、
請求項2記載の顕微鏡システム。 - 前記第1空間光変調器は、対応する光源から出力される励起光が照射される前記複数の照射領域の少なくとも1つを変える、請求項5記載の顕微鏡システム。
- 前記撮影装置は、前記第1空間光変調器及び前記第2空間光変調器に同期して、前記第1フィルタを透過した蛍光を撮影する、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の顕微鏡システム。
- 前記第1空間光変調器又は前記第2空間光変調器の少なくとも一方を制御して、前記光源部から前記撮影装置に至るまでの光学特性を調整する制御装置を更に備える請求項1から請求項7の何れか一項に記載の顕微鏡システム。
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