JP2022066607A - ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】染料により染色可能なポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法を提供する。【解決手段】無変性のポリプロピレンと、無変性のポリプロピレンと相溶する無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含み、無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト変性率が1.50~2.50質量%であることを特徴とする、ポリプロピレン樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、染料により染色可能なポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法に関するものである。
ポリプロピレン(PP)は、他の化学繊維や天然繊維と比べて比重が0.91と軽く、水に浮く軽量な素材である。例えば、化学繊維の比重は、ポリエステルが1.38、ナイロンが1.14、アクリルが1.14、アセテートが1.30、レーヨンが1.50である。また、天然繊維の比重は、綿が1.54、羊毛が1.32、絹が1.40、麻が1.50である。さらに、ポリプロピレンは、疎水性であるために速乾性や保温性が高く、また、耐薬品性や強度にも優れている。
ポリプロピレンは、このような特性を有効活用するべく、繊維化して着色し、養生用のブルーシート、建築工事用メッシュシート等の産業用途に用いられている。例えば、可染性のポリプロピレン繊維として、ポリプロピレンとカチオン可染性ポリマーとをブレンドしてなる海島構造を有するポリマーアロイ繊維が提案されている(特許文献1)。
また、水性染浴によって染色可能な改質ポリプロピレン糸として、ヒドロキシル基を含み所定分子量のCR-ポリプロピレンと、二官能性のカルボン酸または対応するカルボン酸誘導体との反応物が提案されている(特許文献2)。
特開2015-148027号公報 特許第4188557号公報
しかしながら、ポリプロピレンはその染色性が十分ではなく、例えば分散染料で染色処理をした場合、汚染される程度にしか染色されない。そのため、ポリプロピレン繊維を使用した衣料製品等は、他の繊維の衣料と比べて発色性に劣ることから、ポリプロピレンは一般的な衣料用途としてはほとんど流通していないというのが現状である。
したがって、衣料用途としては、染色性の良好なポリエステル等の、ポリプロピレン以外の繊維が用いられるが、この場合は繊維の比重が大きいため、製品の軽量化が課題となる。
そこで、ポリプロピレンを衣料用途の繊維として適用することができれば、ポリエステル等の他の素材よりも比重が軽いため、軽量な製品を製造することが可能となる。さらに、他の繊維と比べて、糸を極細化しない分、見掛け濃度が大きくなるため、染料の使用量を減らすことが可能であり、染色堅牢性を満足することが期待できる。
上記の問題点に鑑み、本発明では、染料により染色可能なポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様であるポリプロピレン樹脂組成物は、無変性のポリプロピレンと、前記無変性のポリプロピレンと相溶する無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含み、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト変性率が1.50~2.50質量%であることを特徴とする。
前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比が、50:50~97:3であってもよい。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であってもよい。
前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であってもよい。
前記ポリプロピレン樹脂組成物は、メルトフローレートが、温度230℃、荷重2.16kgの条件で10~40g/10分であってもよい。
また、本発明の一態様であるポリプロピレン樹脂成形体は、無変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの相溶体を含み、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト変性率が1.50~2.50質量%であることを特徴とする。
前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比が、50:50~97:3であってもよい。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であってもよい。
前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であってもよい。
前記相溶体が、分散染料により染色された染色物であってもよい。
また、本発明の一態様であるポリプロピレン樹脂成形体の製造方法は、前記ポリプロピレン樹脂組成物の溶融体を得る溶融体製造工程と、前記溶融体を成形して予備成形体とする成形工程と、前記予備成形体を冷却固化して成形体を得る冷却固化工程と、を含むことを特徴とする。
前記ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法は、前記冷却固化工程後の前記成形体を分散染料により染色する染色工程を含んでもよい。
以上説明したように、本発明によれば、染料により染色可能なポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法を提供することができる。
紡糸に用いたマルチフィラメント製造装置を模式的に表す側面図である。
以下、本発明のポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法の一態様について、詳細に説明する。
[ポリプロピレン樹脂組成物]
ポリプロピレン樹脂組成物は、無変性のポリプロピレンと、前記無変性のポリプロピレンと相溶する無水マレイン酸変性ポリプロピレンとを含む。無変性のポリプロピレン(以下、「無変性PP」とする場合がある)は、プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂であり、重縮合の際に何らの変性剤も用いられておらず、改質されていないポリマーである。このような無変性PPであれば、比重が軽いため、例えば繊維や糸等の表面積を大きくしても染料の使用量を低減することが可能であり、染色堅牢性の高い軽量な製品を提供することができる。また、ポリプロピレンの特徴である速乾性、保温性、耐薬品性および強度を繊維等の製品に付与することができる。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、「変性PP」とする場合がある)としては、前記無変性のポリプロピレンと相溶するものを用いる。無水マレイン酸で変性することにより改質したポリプロピレンは、無変性PPと比べて染色性に優れている。特に分散染料による染色性は、衣料用途として一般的なポリエステルと同等である。このような変性PPが、無変性PPと相溶することにより、染色堅牢性が高く、軽量であると共に、速乾性、保温性、耐薬品性および強度等を満足しつつ、均一な染色性を発揮することができる。
例えば、無変性PPと相溶しない変性PPを用いると、糸や繊維等の製品とした場合に無変性PPと変性PPの分布が均一とならず、無変性PPと変性PPとが海島構造を形成するおそれがある。そうすると、無変性PPと変性PPとでは染色性が異なるため、製品全体として均一な染色性を満足することができない場合がある。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおいて、無水マレイン酸のグラフト変性率は1.50~2.50質量%である。無水マレイン酸のグラフト変性率は、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレン中における無水マレイン酸の含有量である。グラフト変性率がこの範囲内であることにより、ポリプロピレンとしての特性を満足しつつ、優れた染色性を発揮することができる。無水マレイン酸の変性率が小さいと、染色性を満足することができない場合がある。また、変性率が大きい場合には、無変性PPと相溶しないおそれがある。グラフト変性率が、1.75~2.15質量%であれば、無変性PPとの相溶性を満足しつつ、種々の色の染料を用いた場合においても、安定して染色性を発揮することができる。
上記特徴を有するポリプロピレン樹脂組成物の具体的な形態としては、例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状およびフレーク状等の固形の無変性PPと変性PPとの混合物が挙げられる。いずれのPPもペレット状の混合物である場合や、一方のPPがフレーク状で、他方のPPがペレット状の混合物の場合、一方のPPが粉末状およびペレット状であり、他方のPPがフレーク状である場合等が挙げられる。また、無変性PPと変性PPを溶融させて相溶化して一体化させ、粉末状、顆粒状、ペレット状およびフレーク状等の固形としたもの、無変性PPと変性PPとをポリマーアロイとしたもの、また、無変性PPと変性PPとを溶剤に溶解させて液状としたものも、ポリプロピレン樹脂組成物に該当し得る。ただし、本発明においてポリプロピレン樹脂組成物は、これらのものに限定されない。
前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比は、50:50~97:3であることが好ましい。質量比がこの範囲内であることにより、ポリプロピレンとしての特性を満足しつつ、優れた染色性を発揮することができる。無変性PPの割合が大きいと、染色性を満足することができない場合がある。また、変性PPの割合を大きくしても、染色性は向上しない。前記質量比が70:30~95:5であれば、ポリプロピレンとしての特性および染色性を満足しつつ、糸や繊維、フィルム等の製品への加工性に優れるため、より好ましい。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量(Mz)が、50000~100000であることが好ましい。ポリマーの分子量は、他のポリマーとの相溶性に影響し、また溶融粘度等が変わるために加工性にも影響する。変性PPのZ平均分子量がこの範囲内であることにより、無変性PPとの相溶性および加工性を満足することができる。変性PPのZ平均分子量が小さいと、無水マレイン酸によるPPの改質への影響が大きくなる場合があり、染色性は上がるものの、無変性PPとの相溶性が低下するおそれがある。また、変性PPのZ平均分子量が大きい場合には、無水マレイン酸によるPPの改質への影響が小さくなる場合があり、染色性が低下するおそれがある。前記Z平均分子量が70000~90000であれば、無変性PPとの相溶性および加工性を満足すると共に、速乾性、保温性、耐薬品性および強度を製品に付与することができるため、より好ましい。
Z平均分子量は、例えばGPC(ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができ、以下の式(1)により求めることができる。
Z平均分子量=Σ(Mi・Mi・Hi)/Σ(Mi・Hi) ・・・(1)
ここで、Miはピーク開始点からi番目における分子量、Hiはピーク開始点からi番目におけるベースラインからのピーク高さを意味する。
前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量は、50000~100000であることが好ましい。無変性PPのZ平均分子量がこの範囲内であることにより、変性PPとの相溶性および加工性を満足することができる。無変性PPのZ平均分子量が大きいと、溶融粘度が大きくなる等によって加工性が低下する場合がある。また、無変性PPのZ平均分子量が小さいと、糸や繊維等の製品とした場合に強度が損なわれるおそれがある。加工性および製品強度を考慮すると、前記Z平均分子量が85000~95000であることが、より好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、温度230℃、荷重2.16kgの条件で10~40g/10分であることが好ましい。メルトフローレートがこの範囲内であることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を加熱して溶融させた状態として、糸や繊維等に加工する際の、加工性を満足することができる。メルトフローレートの値が大きい場合や小さい場合には、加工性が低下するおそれがある。溶融紡糸に用いる種々の製造装置への適用性を考慮すると、前記メルトフローレートが20~30g/10分であることが、より好ましい。なお、メルトフローレートは、例えばJIS K 7210(1999)に準じて測定することができる。
ポリプロピレン樹脂組成物としては、無変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンに加え、その他の成分を含んでもよい。例えば、ポリプロピレンの改質等の目的により無変性PPおよび変性PPと相溶するポリマーや添加剤等を含んでもよく、また、加工を容易とする観点から溶剤等を含んでもよい。
[ポリプロピレン樹脂成形体]
次に、ポリプロピレン樹脂成形体について説明する。ポリプロピレン樹脂成形体は、無変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの相溶体を含む。無変性PPは、プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂であり、重縮合の際に何らの変性剤も用いられておらず、改質されていないポリマーである。このような無変性PPであれば、比重が軽いため、例えば繊維や糸等の表面積を大きくしても染料の使用量を低減することが可能であり、染色堅牢性の高い軽量なポリプロピレン樹脂成形体とすることができる。また、ポリプロピレンの特徴である速乾性、保温性、耐薬品性および強度をポリプロピレン樹脂成形体に付与することができる。
変性PPは、無水マレイン酸で変性することにより改質したポリプロピレンであり、無変性PPと比べて染色性に優れている。特に分散染料による染色性は、衣料用途として一般的なポリエステルと同等である。このような変性PPと無変性PPとの相溶体を含むことにより、ポリプロピレン樹脂成形体は、染色堅牢性が高く、軽量であると共に、速乾性、保温性、耐薬品性および強度等を満足しつつ、均一な染色性を発揮することができる。相溶体は、複数の物質が相互に親和性を有して形成された溶液や混和物である。ポリプロピレン樹脂成形体においては、相溶体は、海島構造等の分布の偏りがなく、無変性PPと変性PPが均一に溶けて混ざり合った混和物である。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおいて、無水マレイン酸のグラフト変性率は1.50~2.50質量%である。無水マレイン酸のグラフト変性率は、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレン中における無水マレイン酸の含有量である。グラフト変性率がこの範囲内であることにより、ポリプロピレンとしての特性を満足しつつ、優れた染色性を発揮することができる。無水マレイン酸の変性率が小さいと、染色性を満足することができない場合がある。また、変性率が大きい場合には、無変性PPと相溶しないおそれがある。グラフト変性率が、1.75~2.15質量%であれば、無変性PPとの相溶性を満足しつつ、種々の色の染料を用いた場合においても、安定して染色性を発揮することができる。
上記特徴を有するポリプロピレン樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂組成物を加工したものであり、例えば、糸、繊維、織物、編物、不織布、衣料、フィルム、シート、容器、キャップ、注射器等の医療用器具等が挙げられる。ただし、本発明においてポリプロピレン樹脂成形体は、これらのものに限定されない。
前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比は、50:50~97:3であることが好ましい。質量比がこの範囲内であることにより、ポリプロピレンとしての特性を満足しつつ、優れた染色性を発揮することができる。無変性PPの割合が大きいと、染色性を満足することができない場合がある。また、変性PPの割合を大きくしても、染色性は向上しない。前記質量比が70:30~95:5であれば、ポリプロピレンとしての特性および染色性を満足しつつ、糸や繊維、フィルム等の製品への加工性に優れるため、より好ましい。
前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であることが好ましい。ポリマーの分子量は、他のポリマーとの相溶性に影響し、また溶融粘度等が変わるために加工性にも影響する。変性PPのZ平均分子量がこの範囲内であることにより、無変性PPとの相溶性および加工性を満足することができる。変性PPのZ平均分子量が小さいと、無水マレイン酸による改質の影響が大きくなる場合があり、無変性PPとの相溶性や染色性が低下するおそれがある。また、変性PPのZ平均分子量が大きい場合には、溶融粘度が大きくなる等によって加工性が低下する場合がある。前記Z平均分子量が70000~90000であれば、無変性PPとの相溶性および加工性を満足すると共に、速乾性、保温性、耐薬品性および強度を製品に付与することができるため、より好ましい。
前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量は、50000~100000であることが好ましい。無変性PPのZ平均分子量がこの範囲内であることにより、変性PPとの相溶性および加工性を満足することができる。無変性PPのZ平均分子量が大きいと、溶融粘度が大きくなる等によって加工性が低下する場合がある。また、無変性PPのZ平均分子量が小さいと、糸や繊維等の製品とした場合に強度が損なわれるおそれがある。加工性および製品強度を考慮すると、前記Z平均分子量が85000~95000であることが、より好ましい。
前記相溶体が、分散染料により染色された染色物であってもよい。染料としては、分散染料、カチオン染料、酸性染料、水溶性染料等が挙げられ、目的に応じて種々の染料を単独または組み合わせて染色することができる。衣料用途としては、特に分散染料を用いることで、ムラが無く均一な染色性を満足する。染色は、染料へ相溶体を浸漬する等、通常の染色手法を用いて行うことができる。
ポリプロピレン樹脂成形体としては、無変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンに加え、その他の成分を含んでもよい。例えば、ポリプロピレンの改質等の目的により無変性PPおよび変性PPと相溶するポリマーや添加剤、可塑剤等を含んでもよく、また、上記した染料等を含むことができる。
[ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法]
次に、上記したポリプロピレン樹脂成形体の製造方法について、説明する。当該製造方法は、以下に示す溶融体製造工程と、成形工程と、冷却固化工程とを含む。
(溶融体製造工程)
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の溶融体を得る工程である。例えば、ポリプロピレン樹脂組成物は、加熱や減圧等することにより、溶融させることができる。溶融体は、無変性PPと変性PPが相溶して、均一に溶けて混ざり合った混和物であり、流動性を有する液状である。ポリプロピレン樹脂組成物を加熱や減圧する方法は、通常の方法を採用することができる。例えば、加熱手段を備えたタンク内にポリプロピレン樹脂組成物のペレットを投入し、ペレットを加熱しつつ撹拌羽根等で混練することにより、溶融体を得ることができる。
(成形工程)
前記溶融体を成形して予備成形体とする工程である。例えば、ポリプロピレン樹脂組成物として糸を製造する場合には、前記タンクに、紡糸口金等の溶融体をタンクから押し出すことのできる押出口を設け、この押出口から溶融体を押し出すことにより、糸条の流動体としての予備成形体を得ることができる。
また、フィルムを製造する場合には、例えば、前記タンク中の溶融体を、マニホールド、リップ等を備えるTダイへ送り出し、溶融体をマニホールドにて幅方向に広げ、スリット状のリップでフィルムの厚さを調整すること等により、フィルム状の流動体としての予備成形体を得ることができる。
(冷却固化工程)
前記予備成形体を冷却固化して成形体を得る工程である。予備成形体は溶融した流動体であり、これを冷却することにより、固化させることができる。例えば、ポリプロピレン樹脂組成物として糸を製造する場合には、糸条の流動体を室温条件下にさらすことにより、固化して糸となり得る。
また、フィルムを製造する場合には、フィルム状の流動体を例えばキャスティング装置へ送り出し、キャスティング装置の冷却ロールに接触させることにより、冷却、固化してフィルム化することができる。
[染色工程]
ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法は、さらに染色工程を含むことができる。染色工程に用いる染料としては、分散染料、カチオン染料、酸性染料、水溶性染料等が挙げられ、目的に応じて種々の染料を単独または組み合わせて染色することができる。衣料用途としては、特に分散染料を用いることで、ムラが無く均一な染色性を満足する。染色工程は、特に限定されないが、例えば分散染料を溶かした分散液に相溶体を浸漬し、130℃に加熱して30分程度染色処理後、ソーピング剤により相溶体表面の余分な染料を除去して、水洗、脱水、乾燥する等、通常の染色手法を含むことができる。染色工程は、冷却固化工程後に行うことができ、また、上記した各工程の間に行うことや、上記した各工程と共に行うことができる。例えば、ポリプロピレン樹脂組成物の溶融体を得た後に、この溶融体に染料を加えて染色後、溶融体を成形することができる。
ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法としては、前記した溶融体製造工程、成形工程、冷却固化工程および染色工程に加え、さらにその他の工程を含んでもよい。例えば、冷却硬化工程後に成形体を所定形状に加工する加工工程等を含むことができる。
具体的には、ポリプロピレン樹脂組成物として糸を製造する場合には、前記冷却固化工程後の糸を再度加熱して引き延ばす延伸工程、熱処理により糸のひずみをとる熱処理工程、糸を所定の長さに切断する切断工程、糸をボビン等に巻き取る巻き取り工程等が挙げられる。
また、フィルムを製造する場合には、前記冷却固化工程後のフィルムを縦や横に延伸する延伸工程、インクや接着剤の付着性を向上させるためのコロナ処理工程、火炎処理工程、薬品処理工程、巻取機等で巻き取る巻取工程等が挙げられる。
以上のように、本発明によれば、染料により染色可能であることにより、特に一般的な衣料用途に好適なポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形体およびポリプロピレン樹脂成形体の製造方法を提供することができる。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[衣料用途としての染料の選択]
表1に示す黒色染料を用いて、無変性のポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンおよびポリエステルの染色性について評価した。無変性のポリプロピレンおよび無水マレイン酸変性ポリプロピレンの物性について、表2に示す。なお、染色性の対比用に使用したポリエステルとしては、衣料用途として一般的な、ポリエチレンテレフタレート(MFR(280℃、2.16kg):30g/10min、融点:250℃、比重:1.38、Z平均分子量:160,000)を使用した。
Figure 2022066607000002
Figure 2022066607000003
(染色方法)
各ポリマーとしては、ペレット状のマスターバッチを使用し、以下の条件にて各ペレット状ポリマーの染色を行った。
・分散染料:130℃に加熱した分散染料中に、ポリマーを30分浸漬。
・カチオン染料:120℃に加熱したカチオン染料中に、ポリマーを30分浸漬。
・酸性染料:100℃に加熱した酸性染料中に、ポリマーを30分浸漬。
・直接染料:90℃に加熱した直接染料中に、ポリマーを30分浸漬。
上記の染色を行った後に、各ペレット状ポリマーを室温にて自然乾燥させ、染色性を評価した。結果を表3に示す。表3において、分光光度計を用いた明度(L*)が20未満であるものを、染色性に優れるとして〇、明度が20~60であるものを、染色可能であるとして△、明度が60より大きいものを、染色が不十分であるものとして×、と評価した。
Figure 2022066607000004
変性PPは、分散染料により染色した場合において、衣料製品に用いられるポリエステルと同様の染色性を発揮した。また、変性PPはカチオン染料によっても染色可能であるが、酸性染料や直接染料では十分に染色されなかった。
また、無変性PPは、分散染料によって染色することは可能であるが、衣料用途としての染色性を満足するものではなかった。
上記の結果より、変性PPは分散染料による染色性に優れることがわかった。ただし、MFRの値が高いために糸や繊維に加工することは困難である。その一方で、無変性PPは染色性については変性PPに劣るものの、MFRの値が低く、糸や繊維への加工が容易なものであった。そこで、染色性と加工性を満足し得るポリプロピレンを見出すべく、以下に示すように、無変性PPと変性PPとの相溶体を作製し、染色性および加工性について評価を行った。
[ポリプロピレン樹脂組成物の染色性の評価]
無変性PPと変性PPとを所定比率に混同した相溶体を作製し、相溶体のMFRの測定、および上記の分散染料を用いた染色性について評価した。結果を表4に示す。表4において、染色性の評価手法は、表3と同様である。
Figure 2022066607000005
糸や繊維に加工するためには、ポリマーのMFRは10~40g/10分であることが好ましい。表4の結果から、無変性PPと変性PPとの質量比が95:5~67:33の相溶体であれば、加工性および染色性を満足することがわかった。
なお、上記では糸や繊維を想定した加工性を評価したが、シートやフィルムを製造する場合には、表4の結果にかかわらず、製造装置に適したMFRに調整して製造することができる。
[紡糸性および紡糸の評価]
次に、上記の[衣料用途としての染料の選択]の評価結果を踏まえたうえで、以下に示す実施例1~4および比較例1を実施し、ポリプロピレン樹脂組成物を紡糸して筒編み後に染色して、紡糸性、紡糸の染色性、および染色堅牢度について評価を行った。
〈紡糸〉
紡糸機はマルチフィラメント製造装置(株式会社ムサシノキカイ製)を使用した。図1に、紡糸に用いたマルチフィラメント製造装置100を模式的に表す側面図を示す。
(マルチフィラメント製造装置)
マルチフィラメント製造装置100は、原料が投入されるホッパー10、ホッパー10より送られてきた原料を加熱して溶融するシリンダー20、シリンダー20より押し出された溶融した原料を矢印で示す圧力Pで丸孔から押し出して糸条にするノズル30、ノズルから押し出された糸Yを周囲から加熱する加熱筒40、加熱筒40から糸を周囲から冷却する冷却筒50、冷却筒50から送られてきた糸をオイリング処理するオイリングロール60、オイリング処理後の糸に一定荷重を一定時間かけて、初期伸びを除去するプリテンションロール70、糸を延伸処理する延伸ロール80、延伸後の糸を巻き取るボビン90を備える。
(紡糸処理)
ペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を原料とし、ホッパー10の開口部11より原料をマルチフィラメント製造装置100へ投入し、シリンダー20で溶融させてノズル30へ送り、未図示のギアポンプからヘッド31へかかる圧力により丸孔から原料を押出し、複数の糸条とした。そして、複数の糸を一本の糸Yに束ねつつ、加熱筒40および冷却筒50を通して糸Yを固化させた。冷却筒50内には、矢印で示す空気Aが送られ、糸Yを冷却した。その後、オイリング処理および延伸処理を行って糸をボビン90に巻取ることで、紡糸処理を終了した。
紡糸条件は、シリンダー20における符号21~24の部分の温度をそれぞれ180℃、190℃、200℃、200℃とし、ノズルの丸孔口金を24フィラメントノズルとした。また、ノズル30における樹脂温度を220℃とし、丸孔からの押出量を7.5g/分とした。延伸条件としては、オイリングロールの周速を150m/分、プリテンションロール70の周速を200m/分、延伸ロール81の周速を210m/分、温度50℃、延伸ロール82の周速を250m/分(延伸倍率1.2倍)、温度40℃、延伸ロール83の周速を240m/分、温度40℃とした。1時間以上安定して紡糸可能であった場合を紡糸性良好と評価した。
〈筒編み〉
上記にて製造した紡糸を筒状に試験編みするべく、試験用筒編み機(koikemachine社製)を使用して筒編みした。
〈精練〉
得られた筒編みに付着する汚れや油分を精練するため、界面活性剤(北広ケミカル社製スコアロールE13)を1g/Lの割合で添加した洗浄液に筒編みを投入し、60℃にて10分洗浄した。その後、水洗して汚れや油分および界面活性剤を筒編みから除去した。
〈染色〉
精錬後の筒編みに対し、表1に示す分散染料を使用して、一般的なポリエステルの染色方法と同様に、130℃に加熱した分散染料中に筒編みを30分浸漬して染色した。染色後、筒編みを室温にて自然乾燥させ、明度の測定および染色堅牢度の評価を行った。
〈明度の測定〉
染色後の筒編みが均一に染色されていることを目視にて確認後、分光光度計により筒編みの3か所について明度(L*)を測定し、その平均値が20未満のものを、問題なく黒色に染まっているものと判断し、良好と評価した。また、平均値が20以上のものは、黒色への染色が不十分であり、不良と評価した。
〈染色堅牢度〉
(摩擦堅牢度)
JIS L0849に準じ、摩擦試験機を使用して摩擦堅牢度を評価した。乾摩擦3-4級以上であり、かつ湿摩擦3-4級以上のものを、摩擦堅牢度が良好であると評価した。
(洗濯堅牢度)
JIS L0844(A-2法)に準じ、洗濯堅牢度を測定した。添付布としては綿およびナイロンを使用し、汚染度の大きい添付布が3-4級以上のものを、洗濯堅牢度が良好であると評価した。
[実施例1]
表2に示す無変性PP(日本ポリプロ社製ノバテックSA3A)のペレットと、変性PP(化薬アクゾ社製 カヤブリッド006P)のペレットを、質量比90:10として240℃にて混合し、MFR18.8(230℃、2.16kg)、平均分子量(Mz)90000のペレットを得た。このペレットを紡糸して300デシテックス24フィラメントのポリマー繊維を得た。紡糸開始より1時間以上糸切れは発生せず、紡糸性は良好であった。
得られたポリマー繊維を筒編みし、精練後に分散染料を4%o.w.fの条件(ポリマー繊維100gに対して4gの染料を使用)で染色した。明度は18.17で良好であり、摩擦堅牢度は乾摩擦3-4級、湿摩擦3-4級で良好であった。さらに、洗濯堅牢度についても3-4級であり、良好であった。
[実施例2]
表2に示す無変性PP(日本ポリプロ社製ノバテックSA3A)のペレットと、変性PP(化薬アクゾ社製 カヤブリッド006P)のペレットを、質量比85:15として240℃にて混合し、MFR22.0(230℃、2.16kg)、平均分子量(Mz)89000のペレットを得た。このペレットを紡糸して300デシテックス24フィラメントのポリマー繊維を得た。紡糸開始より1時間以上糸切れは発生せず、紡糸性は良好であった。
得られたポリマー繊維を筒編みし、精練後に分散染料を4%o.w.fの条件で染色した。明度は16.87で良好であり、摩擦堅牢度は乾摩擦3-4級、湿摩擦3-4級で良好であった。さらに、洗濯堅牢度についても3-4級であり、良好であった。
[実施例3]
表2に示す無変性PP(日本ポリプロ社製ノバテックSA3A)のペレットと、変性PP(化薬アクゾ社製 カヤブリッド006P)のペレットを、質量比80:20として240℃にて混合し、MFR24.5(230℃、2.16kg)、平均分子量(Mz)89000のペレットを得た。このペレットを紡糸して300デシテックス24フィラメントのポリマー繊維を得た。紡糸開始より1時間以上糸切れは発生せず、紡糸性は良好であった。
得られたポリマー繊維を筒編みし、精練後に分散染料を4%o.w.fの条件で染色した。明度は15.76で良好であり、摩擦堅牢度は乾摩擦3-4級、湿摩擦3-4級で良好であった。さらに、洗濯堅牢度についても3-4級であり、良好であった。
[実施例4]
表2に示す無変性PP(日本ポリプロ社製ノバテックSA3A)のペレットと、変性PP(化薬アクゾ社製 カヤブリッド006P)のペレットを、質量比75:25として240℃にて混合し、MFR27.3(230℃、2.16kg)、平均分子量(Mz)89000のペレットを得た。このペレットを紡糸して300デシテックス24フィラメントのポリマー繊維を得た。紡糸開始より1時間以上糸切れは発生せず、紡糸性は良好であった。
得られたポリマー繊維を筒編みし、精練後に分散染料を4%o.w.fの条件で染色した。明度は15.68で良好であり、摩擦堅牢度は乾摩擦3-4級、湿摩擦3-4級で良好であった。さらに、洗濯堅牢度についても3-4級であり、良好であった。
[比較例1]
変性PPは使用せずに、表2に示す無変性PP(日本ポリプロ社製ノバテックSA3A)のペレットを紡糸して、300デシテックス24フィラメントのポリマー繊維を得た。紡糸開始より1時間以上糸切れは発生せず、紡糸性は良好であった。
得られたポリマー繊維を筒編みし、精練後に分散染料を4%o.w.fの条件で染色した。明度は25.07であり、黒色への染色は不十分であった。また、摩擦堅牢度は、乾摩擦3-4級、湿摩擦3-4級で良好であった。さらに、洗濯堅牢度についても3-4級であり、良好であった。
表5に、実施例1~4および比較例1におけるペレットの無変性PPと変性PPとの混合比、MFR、平均分子量、明度および染色性の評価結果を示す。
Figure 2022066607000006
紡糸するためには、ポリマーのMFRは10~40g/10分であることが好ましく、表4より、無変性PPと変性PPとの質量比が95:5~67:33の相溶体であれば、加工性および染色性を満足する結果が得られている。表5では、実際に紡糸して紡糸性や染色性等を評価した結果を示しているが、この結果は、表4を裏付けることができるものであった。
[まとめ]
実施例より明らかなように、本発明のポリプロピレン樹脂組成物であれば、加工性に優れ、分散染料等により染色可能なポリプロピレン樹脂組成物を製造し、提供することができる。よって、衣料製品用の糸や繊維として好適なものであり、また、シートやフィルム等にも適用可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 ホッパー
11 開口部
20 シリンダー
21、22、23、24 シリンダー20における部分
30 ノズル
31 ヘッド
40 加熱筒
50 冷却筒
60 オイリングロール
70 プリテンションロール
80、81、82、83 延伸ロール
90 ボビン
100 マルチフィラメント製造装置
A 空気
P 圧力
Y 糸

Claims (8)

  1. 樹脂として、無変性のポリプロピレンと、
    前記無変性のポリプロピレンと相溶する無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの相溶体のみを含み、
    前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト変性率が1.50~2.50質量%であり、
    前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であり、
    前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000である、
    ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比が、50:50~97:3であることを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. メルトフローレートが、温度230℃、荷重2.16kgの条件で10~40g/10分であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 無変性のポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの相溶体を含み、
    前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおける無水マレイン酸のグラフト変性率が1.50~2.50質量%であり、
    前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であり、
    前記無変性のポリプロピレンのZ平均分子量が、50000~100000であり、
    樹脂として、前記無変性のポリプロピレンと、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンのみを含む、
    ポリプロピレン樹脂成形体。
  5. 前記無変性のポリプロピレンと前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの質量比が、50:50~97:3であることを特徴とする、請求項4に記載のポリプロピレン樹脂成形体。
  6. 前記相溶体が、分散染料により染色された染色物であることを特徴とする、請求項4または5に記載のポリプロピレン樹脂成形体。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載のポリプロピレン樹脂組成物の溶融体を得る溶融体製造工程と、
    前記溶融体を成形して予備成形体とする成形工程と、
    前記予備成形体を冷却固化して成形体を得る冷却固化工程と、
    を含むことを特徴とする、ポリプロピレン樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記冷却固化工程後の前記成形体を分散染料により染色する染色工程を含む、請求項7に記載のポリプロピレン樹脂成形体の製造方法。
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