JP2015030129A - 吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法 - Google Patents

吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法 Download PDF

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昭典 番場
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Abstract

【課題】繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状複合材が本来持つ機械的物性を損ねることなく、コーティングにより識別性と吸水性の両性能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材に吸水性及び着色識別機能を付与してなる繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法であって、該扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に、吸水性樹脂粉末、合成樹脂バインダー成分、着色成分、及び有機溶媒を含む組成物により調製された吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程、次いで該塗布層を乾燥して吸水兼着色層を形成する工程、を含むことを特徴とする吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を、簡易な工程により製造する方法に関する。
従来、長手方向などの一軸方向に補強繊維(補強材)を配列させた繊維強化合成樹脂(いわゆる「FRP」)製の長尺複合材といえば、実用物性重視の観点から各種のガラス長繊維、芳香族ポリアミド繊維等のスーパー繊維を補強材とし、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂をマトリックス材料として固めた棒状、パイプ状などの長尺複合材が知られている。
しかし、熱硬化性樹脂をマトリックスとするものでは、熱硬化後は塑性変形しないため、使用時に必要に応じて熱付形することができない等の問題があった。さらに、このような構成の繊維強化合成樹脂製複合材には、産業廃棄時の環境汚染、焼却処分した場合の残灰廃棄等の問題があった。また、PET、ナイロンなど単体繊維の高温・高倍率延伸、緩和アニール処理を施した高強度グレード繊維などを補強材とし、それより融点の低い熱可塑性樹脂、或いは繊維を溶融してマトリックス状に複合した複合材料も提案されている。
ところが、このような複合材料では、溶融樹脂の粘度が比較的高いため、補強繊維間に溶融樹脂を均等に分散させることは難しく、繊維集束時に繊維束を細かく、多分散させるなどのファインな操作が必要となり、作業性とコストアップが問題となっていた。
一方、この均等分散問題を解決するために、予め補強繊維の融点より低融点のマトリックス樹脂を、当該補強繊維の表面或いは表面の一部に複合させて溶融紡糸或いは更に延伸した複合長繊維を集束し、溶融固化する提案もなされている。
しかしながら、従来の繊維強化熱可塑性樹脂製複合材は、各種形状への加工時のフレキシビリティーを優先するがゆえに、複合長繊維の延伸過程で、補強繊維が充分に高強度化する程度の温度、倍率が掛けられていないのが現状であり、複合材として高強度は達成されず、物性用途が限られた範囲にとどまっていた。
そこで、本出願人は、この様な従来技術の課題をそれぞれ鋭意検討し、廃棄、焼却、リサイクル、コスト、物性の点でバランスの取れた複合材及びその製造方法について特許文献1により提案している。
すなわち、特許文献1に記載の製造方法は、鞘成分と芯成分とを備え、鞘成分の融点が芯成分の融点より20℃以上低い熱可塑性樹脂からなる鞘芯型複合紡糸繊維を集束し、鞘成分の融点以上で、芯成分の融点以下の温度で、延伸しつつ鞘成分を融合させた繊維強化熱可塑性樹脂製の線状複合材であって、引張強度が4.0cN/dtex以上の線状複合材としたものである。
この特許文献1に係る繊維強化熱可塑性樹脂製線状ないしはロッド状複合物(以下、「繊維強化熱可塑性樹脂製複合材料」又は単に「複合材料」ということがある。)によれば、農業用、漁業用、土木・建材用、ケーブル用、産業資材用などの用途に実用でき、かつ、ガラス繊維、アラミド繊維等を使用していないので、産業廃棄、焼却後の残灰廃棄等においても環境負荷が小さい材料を提供することができる。
また、汎用繊維を高倍率延伸して補強材としているため、引張強度、剛性において従来の繊維強化熱可塑性樹脂製複合材に対して各段に優れているとともに、経済性にも優れている。
特開2003−326609号公報
しかしながら、特許文献1の繊維強化熱可塑性樹脂製複合材料の用途開発において、用途によってデザイン性、識別性の観点から、繊維強化熱可塑性樹脂製複合材料に着色が必要となる場合がある。
通常、鞘成分あるいは芯成分に、高濃度の顔料を配合したマスターバッチを添加して、いわゆる原着により着色を行うが、色の種類を増やそうとすると原料切り替えでの原料ロス、及び溶融紡糸機内、紡糸ヘッド部、ノズルなどの装置に滞留する着色した溶融樹脂の置換や洗浄に手間がかかる。また、発色性をより良くするためにマスターバッチの添加量を増やそうとすると、繊維強度等の機械的物性が低下してしまうなどの問題があった。
また、繊維強化熱可塑性樹脂製複合材料に対して、吸湿や結露防止、親水化、止水などの観点から吸水性が必要となる場合があるが、特許文献1に示す複合材料では、このような性能を備えておらず、このような性能を満足できる複合材料、特に扁平状複合材が求められていた。
そこで本発明者らは、繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状複合材が本来持つ機械的物性を損ねることなく、コーティングにより識別性と吸水性の両性能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状複合材の製造方法を提供することを目的として鋭意研究して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔6〕を提供する。
〔1〕繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材に吸水性及び着色識別機能を付与してなる繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法であって、該扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に、吸水性樹脂粉末、合成樹脂バインダー成分、着色成分、及び有機溶媒を含む組成物により調製された吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程、次いで該塗布層を乾燥して吸水兼着色層を形成する工程、を含むことを特徴とする吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
〔2〕扁平状繊維基材が、鞘成分がポリオレフィン系樹脂からなる鞘芯型複合紡糸繊維に由来する扁平状海島型繊維である前記〔1〕に記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
〔3〕扁平状繊維基材の全面に吸水性及び着色識別機能を付与してなる前記〔1〕又は〔2〕に記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
〔4〕吸水兼着色層塗布液は、海水吸水性樹脂粉末及び/又は純水吸水性樹脂粉末からなる吸水性樹脂粉末100質量部、ポリビニルアセタール樹脂または変性ポリプロピレンから選択される1種以上からなる合成樹脂バインダー成分1〜400質量部、有機溶剤に可溶な着色成分1〜9400質量部、有機溶媒1〜9400質量部、からなる前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
〔5〕単位重量0.05〜0.4g/mの扁平状繊維基材に、少なくとも片面に吸水兼着色層を2〜150g/m2に形成する前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材。
本発明によれば、繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状複合材が本来持つ機械的物性を損ねることなく、コーティングにより識別性と吸水性の両性能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を、従来における原料切替ロスを生じることがなく、かつ多色の要求にも機敏に対応できる経済的で効率的な製造方法を提供できる。
本発明の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の製造方法で得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材における吸水兼着色層の態様例を示し、(a)全面に塗布層形成、(b)上面及び両側面に塗布層形成、(c)上面及び左側面に塗布層形成した場合の模式図である。 本発明の製造方法に使用できる鞘芯型複合紡糸繊維(未延伸繊維)の断面模式図である。 本発明の製造方法に使用できる扁平状海島型繊維の断面模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法は、繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に、吸水性樹脂粉末、合成樹脂バインダー成分、着色成分、及び有機溶媒を含む組成物により調製された吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程、次いで該塗布層を乾燥して吸水兼着色層を形成する工程、を含むことを特徴とする。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法(以下、「複合材の製造方法」ということがある。)に用いられる、繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材は、長手方向に引張強力などの機械的物性を発現させる観点から、連続状の補強繊維の構成要素が長手方向に配向した繊維状物質であることが好ましい。さらに、補強繊維は、後述するマトリックス成分としての熱可塑性樹脂との関連及び廃棄処理時の環境負荷を少なくする観点から、ガラス繊維、アラミド繊維等ではなく熱可塑性樹脂からなる繊維から選択される。
なお、本発明の複合材の製造方法に用いられる繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材は、補強繊維として織布、不織布、スリットフィルム等を用い、これらの補強繊維を熱可塑性樹脂のマトリックスで結着した扁平状の基材であってもよい。
また、本発明の複合材の製造方法において、吸水兼着色塗布液により塗布層を形成する工程は、扁平状繊維基材を織物、編み物やシート状物、3次元賦形物などの成形体に成形した後に、吸水兼着色塗布液に浸漬するなどして吸水兼着色層を形成させてもよい。
さらに、本発明の複合材の製造方法に用いられる扁平状繊維基材は、前記補強繊維を結着するマトリックス成分として熱可塑性樹脂が用いられる。
すなわち、本発明の複合材の製造方法に用いられる繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材は、補強繊維成分及びマトリックス成分が共に熱可塑性樹脂からなることを特徴としている。
なお、本発明において扁平状とは、長手軸方向に直交する断面において、断面の見かけの幅寸法が見かけの厚み寸法よりも1.5倍以上大きいことを意味し、必ずしも長方形状などの上下辺、左右辺が平行な矩形状等を意味するものではなく、楕円形等をも含まれる。また、見かけの幅とは、長手方向に直交する任意の断面の幅、見かけの厚みとは、当該任意の断面における最大厚みを意味するものである。
本発明の複合材の製造方法に用いられる扁平状繊維基材としては、鞘成分がポリオレフィン系樹脂からなる鞘芯型複合紡糸繊維に由来する扁平状海島型繊維が、補強繊維の分散性、高強度性等の観点より好適である。かかる扁平状海島型繊維は、特許文献1に記載の製造方法、すなわち、鞘成分と芯成分とを備え、鞘成分の融点が芯成分の融点より20℃以上低い熱可塑性樹脂からなる鞘芯型複合紡糸未延伸繊維を集束し、鞘成分の融点以上で、芯成分の融点以下の温度で、延伸しつつ鞘成分を融合させることで得ることができる。
本発明の複合材の製造方法において、前記扁平状海島型繊維は、鞘芯型複合紡糸未延伸繊維の鞘成分樹脂が、芯成分繊維として延伸された後に補強効果を発現する島成分繊維(補強繊維)を結着するマトリックス成分となるので、複合繊維の鞘成分樹脂は、芯成分樹脂の融点より20℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ブテン1等のαオレフインの2元、3元共重合PP等のポリオレフィン樹脂が所望の複合材形状への熱賦形、加工性、コストの観点から好適である。
一方、鞘芯型複合紡糸繊維に由来する扁平状海島型繊維において、芯成分を構成する樹脂としては、島成分繊維すなわち複合材の補強繊維を構成する芯成分の樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンから選択されることが、高強度性、紡糸安定性、生産性等の観点から好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法は、前記の扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に、吸水性樹脂粉末、合成樹脂バインダー成分、着色成分、及び有機溶媒を含む組成物により調製された吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程が含まれる。
本発明の塗布層を形成する工程において、扁平状繊維基材に塗布液により塗布層を形成する方法としては、ディップ(含浸)コーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、コンマコーティング等通常のコーティング方式が採用される。
本発明において、グラビアコーティング、ロールコーティングには、これらのリバース式のものも含まれる。
また、本発明の複合材の製造方法において、グラビアコーティング方式等を採用すれば、ツートーン模様、縞模様、ドット模様等、様々な模様パターンの組み合わせが可能、原着や染色では困難な多様な識別性を付与することができる。
塗布層を形成する工程を含む具体的な本発明の製造方法の一例として、図1に示す方法では、扁平状繊維基材の全面(図2(a)参照)に吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程、及び該塗布層を乾燥して、吸水兼着色層を形成する工程を示している。
同図に示す複合材の製造方法の一例では、扁平状繊維基材10を供給ローラー11により連続的に吸水兼着色層塗布液Cが満たされた含浸(付着)槽12に導いて、塗布液Cを扁平状繊維基材10の全面に付着させ、しごき棒13に接触させて塗布液の厚みを調整した後、乾燥,固化装置14に導いて、乾燥により塗布液中の有機溶媒を蒸発させて、吸水兼着色層(図2の符号20)が形成された繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材30として引取ローラー15により引取り、次いで巻取機16により、所定の巻き形態に巻き取られる。
また、上記の複合材の製造方法の例においては、扁平状繊維基材10(6)は、既に製造されて所定の巻形状に巻かれた扁平状繊維基材を巻き戻しつつ供給ローラー11から供給してもよいし、例えば鞘芯型複合紡糸から扁平状海島型繊維6を連続的に製造し、これに直結して該扁平状海島型繊維6を扁平状繊維基材10として供給して、本発明の前記各工程を経る複合材の製造方法であってもよい。
さらに、上記の複合材の製造方法の例においては、前記各工程により得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材30は、巻き取られることなく、直接、用途に応じて対象物品に巻回する等の利用工程に連続的に供給してもよい。
巻き取った扁平状繊維基材は、真空加熱装置にてアニール処理を行うことがあるが、例えば、鞘芯型複合紡糸から扁平状海島型繊維を連続的に製造し、これに直結して扁平状海島型繊維を扁平状繊維基材として供給して、本発明の前記各工程を経る場合は、その後にアニール処理を行ってもよい。
本発明の複合材の製造方法においては、扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に吸水兼着色層が形成されるが、吸水兼着色層を一方の面に形成するか、全面に形成するかは、繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の用途において要求される吸水兼着色層の機能により決定される。
すなわち、用途における使用時に全面が視認され、識別上全面に着色層を有する方が容易に識別できる場合や、吸水層による吸水量を確保するため、全面に吸水機能を付与する場合等は、全面に吸水兼着色層を形成すればよい。
また、用途において、接触する物質の面が、当該吸水兼着色層によって悪影響を受ける場合等や、経済性の観点から一方の面のみに吸水兼着色層を有していれば、性能上満足できる場合には、一方の面のみの吸水兼着色層の形成が選択される。
さらに、一方の面のみに吸水兼着色層の形成する場合には、扁平状繊維基材の他方の面には、粘着剤層、滑り防止層等を形成するなど、繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の多機能化を図ってもよい。
なお、本発明において「扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に」とは、例えば図2(b)に示すように、扁平状基材10の上面を主体として左右の両側面に、逆凹字状に吸水兼着色層を形成する場合、扁平状基材10の下面を主体として、左右の両側面に吸水兼着色層を形成する場合(図示省略)、図2(c)に示すように扁平状基材10の上面を主体としてその左側面に上下逆L字状 ( 『 )に、或いは扁平状基材10の下面を主体として、その右側面に左右逆L字状( 』 )に(図示省略)、又は下面と左側面とにL字状に吸水兼着色層を形成する場合(図示省略)のように、幅方向の面であって識別において主体的な(幅広な)面となる上面又は下面のいずれか一方の面が含まれない場合を、「扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に」というものとする。なお、「扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に」に吸水兼着色層を形成する場合は、図1に示すごとき含浸(ディップ)法では、塗布液の粘度との関係から全面に吸水兼着色層が形成されてしまうので、形成は困難であり、この方法に代えて、塗布液をロール転写するなどの印刷法などにより塗布層を形成することができる。
また、吸水兼着色層の僅かな脱離も嫌う場合、吸水兼着色層を保護するために、不織布や水溶性ポリマーフィルム等で一方の面、あるいは、全面を覆ってもよい。
この場合、吸水兼着色層の識別性を損なわない程度の低目付の不織布、透明なフィルム、あるいは識別性を付与した不織布、フィルムであることが望ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法に使用できる吸水兼着色層塗布液を構成する吸水性樹脂粉末としては、水と接したときに溶けることがなく、自重の10〜数100倍の吸水機能を有する合成ポリマーで、例えば、アクリル酸塩系架橋物、酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸塩反応物、イソブチレン・マレイン酸共重合体架橋物、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等があり、その1種あるいは2種以上を混合してもよい。
海水の吸水能力の観点から、海水吸水性樹脂としては、イソブチレン・マレイン酸共重合体架橋物、スルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物、ポリN−ビニルアセトアミド架橋物、ポリエチレンオキサイド変性物などが挙げられ、その1種あるいは2種以上を混合して使用してもよい。また、純水吸水性樹脂としては、アミドアクリル酸塩系架橋物、酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸塩反応物、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等を挙げることができ、その1種あるいは2種以上を混合して使用してもよい。特に、海水の吸水能力の観点からは、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物(クラレ社製KIゲル)、スルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物が望ましい。海水吸水性樹脂粉末及び/又は純水吸水性樹脂粉末を適宜の比率で混合して使用してもよい。
また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、吸水兼着色層塗布液を構成する合成樹脂バインダー成分としては、後述する有機溶剤に溶解可能な樹脂であれば特に限定されないが、好ましくはポリオレフィン系樹脂との密着性の良好なものが挙げられる。この種の樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、塩素化変性ポリプロピレン等、が柔軟性、密着(接着)性、透明性の観点から好ましい。
さらに、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、吸水兼着色層塗布液を構成する着色成分としては、有機溶剤で調合するため有機溶剤に可溶なものが好ましい。具体例としては、市販されている油性マーキングペンのインクが色の種類が多いこと、着色斑になりにくく発色がよいことから好ましく、キシレン系油性マーキングペンのインキが特に好ましい。
この種のインキとしては、例えば、マジックインキ(登録商標)補充液(寺西化学工業社製)やアートライン(登録商標)補充液(シャチハタ社製)などを挙げることができる。
また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、吸水兼着色層塗布液を構成する有機溶媒としては、吸水性樹脂粉末の吸水性を阻害することなく、合成樹脂バインダーあるいは着色成分を溶解し得るものであれば、全て使用でき、例えば、キシレン、トルエン,ベンゼン,メチルエチルケトン,アセトン,メチルイソブチレン,酢酸エチル,ジオキサン,テトラヒドロフラン,シクロヘキサン,アルコール等を挙げることができ、その1種あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、吸水兼着色層塗布液には、吸水性能等を向上させるため界面活性剤や無機添加剤、可塑剤、架橋剤、耐光剤、耐候剤等の助剤を適宜添加してもよい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、前記の吸水性樹脂粉末,合成樹脂バインダー,着色剤及び有機溶剤、さらには任意に添加される各種助剤は、公知の溶解,混合機中で充分に撹拌,溶解,混合して吸水兼着色層塗布液に調製される。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法において、吸水兼着色層塗布液は、海水吸水性樹脂粉末及び/又は純水吸水性樹脂粉末からなる吸水性樹脂粉末100質量部に対して、ポリビニルアセタール樹脂または変性ポリプロピレンから選択される1種以上からなる合成樹脂バインダー成分1〜400質量部、有機溶剤に可溶な着色成分1〜9400質量部、有機溶媒1〜9400質量部、からなる組成物とすることができる。
合成樹脂バインダー成分は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、1〜400質量部、より好ましくは5〜250質量部、特に好ましくは10〜100質量部である。1質量部より少ないと、扁平状繊維基材に吸水性樹脂粉末を固定できず、400質量部より多いと、吸水性樹脂粉末の吸水性を阻害してしまう。5〜250質量部では、吸水樹脂粉末の吸水性を効果的に保持したまま扁平状繊維基材に固定できる。
また、着色成分は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して1〜9400質量部、より好ましくは3〜1800質量部、特に好ましくは5〜850質量部である。1質量部より少ないと、吸水性樹脂粉末の白色粒子を着色成分が覆う構造をとることができずに吸水性樹脂の白色の影響を受け、また、扁平状繊維基材も十分に着色されないため、発色性が弱い。9400質量部より多いと、着色成分の付着量が多すぎるため発色性が強すぎ、色の鮮やかさが悪くなる。また、過剰な付着はコストが高くなり、経済面で良くない。更には扁平状繊維基材の機械的物性を損ねてしまう。3〜1800質量部では、吸水性樹脂粉末の白色粒子を着色成分が覆う構造をとることができるため吸水性樹脂の白色の影響を受けることはなく、扁平状繊維基材も十分に着色されるため発色性よく着色できる。また、扁平状繊維基材の機械的物性を損ねてしまうこともない。
さらに、有機溶媒は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して1〜9400質量部、より好ましくは3〜1800質量部、特に好ましくは5〜850質量部である。1質量部より少ないと、粘度が高すぎるため扁平状繊維基材表面に塗布層を形成する際に基材表面に均一に塗布できない。9400質量部より多いと全体的な濃度が低くなり、吸水性と識別性を発現できない。3〜1800質量部では、扁平状繊維基材表面に塗布層を形成するのに好適な粘度を確保でき、適度な濃度となるため吸水性と識別性を効果的に発現できる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法においては、単位重量0.05〜0.4g/mの扁平状繊維基材に、少なくとも片面に吸水兼着色層を1〜75g/m2、全面に2〜150g/m2に形成することができる。
扁平状繊維基材の単位重量が0.05〜0.4g/mであれば、幅が0.3〜4.0mm、厚みが0.01〜0.16mmの範囲となって、吸湿性の結束材や吸湿テープ等の用途に好適に使用できる。
吸水兼着色層(塗膜層)は、固形分として扁平状繊維基材の片面に1〜75g/m2、全面に2〜150g/m2に付着していることが望ましく、片面に1g/m2、及び全面に2g/m2以上であれば十分な吸水性、識別性が得られ、片面に75g/m2、全面に150g/m2以下であれば乾燥後の付着層の比率が多くなり過ぎ、扁平状繊維基材の機械的物性を損ねることもない。
また、本発明は前記の複合材の製造方法で製造された繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材をも提供する。
以下、本発明について実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例においては、次の方法にしたがって各種評価を行った。
<吸水倍率>
10cmに切った繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材のサンプルの重量を測定した。そして、25℃の蒸留水あるいは人工海水(マリンアートSF−1、富田製薬社製)に3分間浸漬し、取り出して25℃で3分間吊下げて水切りを行った後、重量を測定した。吸水倍率を下記の式より求めた。
吸水倍率 =(浸漬後重量)/(蒸留水又は人工海水への浸漬前重量)
<添着度>
得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材のサンプルを100mmの長さで切り出した。10mm×20mm(2.0cm2)のステンレス製治具にガーゼ(白十字製、ガーゼタイプI)を固定し、200gの荷重(100g/cm2)をかけながら、長さ方向にストローク長60mmで10往復の摺動試験を行った。摺動試験後のサンプルを目視で評価し、乾燥したコーティング物が剥がれていなかったら「○」、大部分が剥がれていたら「×」と判定した。
<識別性>
得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材サンプルと比較対象の比較例に用いた扁平状海島型繊維の色調等と見比べて、鮮やかな色が発色されていれば「○」、ぼやけた色であれば「×」と判定した。
<繊度>
得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材サンプルを長さ300mmに切り出し、電子天秤にて重量を秤量し、n=3の平均値から繊度(dtex)を求めた。
<引張強度>
定速伸張型引張試験機((株)オリエンテック社製、テンシロンRTM−250)を用い、チャック間200mm、引張速度200mm/minにて測定した。得られた荷重−伸び曲線の最大荷重から破断強度を算出し、得られた荷重−伸び曲線の最大荷重時の伸度、また初期の直線部傾きをそれぞれ計測し、n=3の平均値から破断強度、破断伸度、ヤング率を求めた。
実施例1
繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材の製造
芯成分として融点が256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)(ユニチカ社製、グレード名:SA−1206)を使用し、また、鞘成分としてメタロセン触媒により重合された融点が125℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(以下、「共重合ポリプロピレン」又は「co-PP樹脂」と称することがある。)(日本ポリプロピレン社製、グレード名:ウィンテックWSX02)を使用し、定法の複合紡糸設備、鞘芯型複合紡糸ノズル(120H)を用い、鞘/芯断面比=4/6で、300℃で紡糸し、排気・風冷による冷却を連続的に行い、繊度が8412dtexの鞘芯型着色複合繊維の未延伸糸を得た。
引き続き、この紡糸未延伸糸の120フィラメントを集束し、200℃で6倍に乾熱延伸し、延伸と共に鞘成分のco-PP樹脂で芯成分繊維間を融合一体化したトータル繊度1405dtex、芯成分フィラメント数120本の扁平状繊維を得た。続けて150℃のローラーでプレス(ゲージ圧:0.35Mpa)することによって、幅と厚みを調整し、鞘成分のco-PP樹脂で融合一体化した無着色の扁平状海島型繊維を作製した。更に連続してこれを巻き取りテンション0.49Nにて、長さが12インチの紙管に、35kmの長さに巻取った。
これを真空加熱装置にて、真空度(絶対圧)0.05MPa、温度125℃で、30時間アニール処理した。
得られた扁平状海島型繊維は、海成分の溶融開始温度が111℃、海成分の溶融ピーク温度が127℃であった。また、鞘成分が一体化して海成分となった扁平状海島型繊維であることが確認された。100℃、3時間養生後の熱収縮率は0.38%であった。また、扁平状海島型繊維の幅は2.1mm、厚みは0.10mmで、単位重量は、0.158g/mであった。
得られた前記の無着色(ナチュラル)の扁平状海島型繊維を扁平状繊維基材として、その全面に以下の手順で塗布液を調製し、これを全面に塗布して吸水兼着色層を形成(積層)するため吸水兼着色層塗布液(コーティング液)を次のように調製した。
<吸水兼着色層塗布液(コーティング液)の調製>
吸水性樹脂としてスルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物(日本触媒社製、アクアリックCS 6S)24g、合成樹脂バインダーとしてポリビニルアセタール(ブチラール)樹脂(積水化学工業社製、エスレックBL−S)6.0g、有機溶媒としてキシレン56.0g及び着色成分として青色の油性インキ補充液(寺西化学工業社製、マジックインキ補充液)14gを振とう機(アズワン社製ビッグローター BR−2)にて24時間混合して、吸水兼着色層塗布液C1とした。
<繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造>
以下、図1を参照して本実施例を説明する。巻き取られ、真空加熱装置にて、真空度(絶対圧)0.05MPa、温度125℃で、30時間アニール処理も経た前記扁平状海島型繊維を扁平状繊維基材10として、供給ローラー11により引き出して上記の吸水兼着色層塗布液Cが満たされた含浸(ディップ)槽に導き、扁平状繊維基材の全面に吸水兼着色層塗布液C1を付着させ、しごき棒13に接触させて塗布液の厚みを調製した後、引き続いてこれを入口温度を120℃、出口温度を100℃に設定された長さ1mの乾燥炉に3m/minで通して溶媒を揮発させ、扁平状繊維基材の全面に吸水兼着色層を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を得た。得られた吸水兼着色層の塗布量は18.1g/m2であった。
扁平状繊維基材の性状、吸水兼着色層塗布液の組成、得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の塗層、性能評価、複合材物性、基材物性をまとめて表1に示す。
実施例2
実施例1において、吸水兼着色層塗布液(コーティング液)として、着色成分として黒色の油性インキ補充液(寺西化学工業社製、マジックインキ補充液)7g、有機溶媒としてキシレン63gとした吸水兼着色層塗布液C2を用いた他は実施例1と同様にして、扁平状繊維基材の全面に吸水兼着色層を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を得た。
扁平状繊維基材の性状、吸水兼着色層塗布液の組成、得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の塗層、性能評価、複合材物性、基材物性をまとめて表1に示す。
実施例3
吸水性樹脂としてスルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物(日本触媒社製、アクアリックCS 6S)15g、合成樹脂バインダーとして無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三菱化学社製、サーフレンP−1000)18.0g、有機溶媒としてキシレン59.0g及び着色成分として青色の油性インキ補充液(寺西化学工業社製、マジックインキ補充液)8gとして実施例1と同様に吸水兼着色層塗布液C3を調製し、これを用いた他は実施例1と同様にして、扁平状繊維基材の全面に吸水兼着色層を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を得た。
扁平状繊維基材の性状、吸水兼着色層塗布液の組成、得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の塗層、性能評価、複合材物性、基材物性をまとめて表1に示す。
比較例1
実施例1において、扁平状繊維基材を製造するに際して、実施例1の鞘成分原料に、さらに着色用青色15%MB(東京インキ社製、グレード名:TPM 5BA649 BLUE MF #131)を5%添加し、青色の扁平状繊維基材を得た。また、塗布液には着色成分を加えることなく、吸水性樹脂としてスルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物(日本触媒社製、アクアリックCS 6S)24g、合成樹脂バインダーとしてポリビニルアセタール(ブチラール)樹脂(積水化学工業社製、エスレックBL−S)6.0g、有機溶媒としてキシレン70.0gとした吸水層塗布液C4とした他は、実施例1と同様にして繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を得た。
扁平状繊維基材の性状、吸水層塗布液の組成、得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の塗層、性能評価、複合材物性、基材物性をまとめて表1に示す。
比較例2
比較例1と同じく、原着による青色の扁平状繊維基材を用い、吸水層塗布液の組成を以下のものに変更した。吸水性樹脂としてスルホアルキルアクリレート・アクリル酸共重合体架橋物(日本触媒社製、アクアリックCS 6S)30g、合成樹脂バインダー及び着色成分を配合することなく、有機溶媒としてキシレン70gからなる吸水層塗布液C5を得た。これを用いた他は実施例1と同様にして繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を得た。
扁平状繊維基材の性状、吸水層塗布液の組成、得られた繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の塗層、性能評価、複合材物性、基材物性をまとめて表1に示す。
比較例3
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法の製造工程において、吸水兼着色層塗布液の塗布や、乾燥工程での物性の変化を比較するためのブランクとして、比較例3に無着色(ナチュラル)の扁平状繊維基材の物性を測定し表1に示した。
Figure 2015030129
表1の結果より、実施例1〜3の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材は、吸水倍率が2.56〜3.61倍で、耐摺動性に優れ、着色も鮮やかで識別性に優れるものであった。また、吸水兼着色層塗布液の塗布や、乾燥工程での扁平状繊維基材の物性の低下もないことが確認できた。
よって、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法は、吸水兼着色層塗布液の吸水性樹脂粉末、着色成分等を選択することによって、用途に応じて要求される、吸水性や識別性、色数等に多様に対応することができることが確認できた。
本発明によれば、繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状複合材が本来持つ機械的物性を損ねることなく、コーティングにより識別性と吸水性の両性能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材を、従来における原料切替ロスを生じることがなく、かつ多色の要求にも対応できる経済的で効率的な製造方法を提供できる。また、本発明の吸水兼着色層を形成した繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材は、織物、編み物、シート状物あるいは3次元賦形物などの成形体に成形することができるので、これらの素材として有効に利用できる。
1 鞘芯型複合紡糸繊維
2 芯成分
3 鞘成分
4 島成分
5 海成分
6 扁平状海島型繊維
10 扁平状繊維基材
11 供給ローラー(引出しローラー)
12 吸水兼着色層塗布液含浸(ディップ)槽
13 しごき棒
14 乾燥,固化装置
15 引取装置
16 巻取機
20 塗布層
30 繊維強化熱可塑性樹脂製扁平複合材
C 吸水兼着色層塗布液

Claims (6)

  1. 繊維強化熱可塑性樹脂製の扁平状繊維基材に吸水性及び着色識別機能を付与してなる繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法であって、該扁平状繊維基材の少なくとも一方の面に、吸水性樹脂粉末、合成樹脂バインダー成分、着色成分、及び有機溶媒を含む組成物により調製された吸水兼着色層塗布液による塗布層を形成する工程、次いで該塗布層を乾燥して吸水兼着色層を形成する工程、を含むことを特徴とする吸水性及び着色識別機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
  2. 扁平状繊維基材が、鞘成分がポリオレフィン系樹脂からなる鞘芯型複合紡糸繊維に由来する扁平状海島型繊維である請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
  3. 扁平状繊維基材の全面に吸水性及び着色識別機能を付与してなる請求項1又は2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
  4. 吸水兼着色層塗布液は、海水吸水性樹脂粉末及び/又は純水吸水性樹脂粉末からなる吸水性樹脂粉末100質量部、ポリビニルアセタール樹脂または変性ポリプロピレンから選択される1種以上からなる合成樹脂バインダー成分1〜400質量部、有機溶剤に可溶な着色成分1〜9400質量部、有機溶媒1〜9400質量部、からなる請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
  5. 単位重量0.05〜0.4g/mの扁平状繊維基材に、少なくとも片面に吸水兼着色層を2〜150g/m2に形成する請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂製扁平状複合材。
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