以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、「略**」との記載は、「略矩形状」を例に挙げて説明すると、完全な矩形状はもとより、実質的に矩形状と認められるものを含む意図である。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
また、以下の実施の形態で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸のマイナス側が床面側、Z軸のプラス側が天井側を表している。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面上において、互いに直交する方向である。X-Y平面は、照明装置が備える光拡散板に平行な平面である。例えば、以下の実施の形態において、「平面視」とは、Z軸方向から見ることを意味する。
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る照明装置について、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る照明装置は、ユーザに室内から窓を通して空を見るような感覚を疑似体験させるための装置である。例えば、照明装置は屋内に設置され、屋内の窓から自然の空(例えば、青空又は夕焼けなど)を模した光(以降、疑似屋外光と記載する)を疑似的に演出する。
照明装置に、空模様のように変化する映像を映し出す場合、映像の明るさや色が極端に変化すると、照明装置の近くにいるユーザにとっては違和感を生じることがある。そのため、本実施の形態の照明装置は、変化する映像を映し出す場合に、例えば明るさ又は色の変化を所定の上下限範囲内とすることで、ユーザの違和感を抑制する構成を有している。
[1-1.照明装置の構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置1の構成について説明する。図1Aは、照明装置1の外観を示す斜視図である。図1Bは、照明装置1が天井70に設置されている状態を示す斜視図である。図1Cは、照明装置1の一部の分解斜視図である。
図1A~図1Cに示すように、照明装置1は、筐体10と、発光モジュール21を有する光源20と、光反射部材30と、光拡散板40と、制御部50と、電源部60とを備える。
筐体10は、発光モジュール21と、光反射部材30と、光拡散板40と、制御部50と、電源部60とを収容する収容体である。
筐体10は、扁平な箱体であり、平面視で略矩形状をなしている。なお、筐体10の形状は、略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状、略半円状等の形状でもよく、形状は特に限定されない。
筐体10は、収容部11と、枠部12とを有する。
収容部11は、発光モジュール21と、光反射部材30と、光拡散板40と、制御部50と、電源部60とを収容する扁平な箱体である。なお、制御部50及び電源部60は収容部11に収容されていなくてもよく、例えば筐体10の外側に配置されていてもよい。収容部11は、床面側(Z軸マイナス側)の面(以降、底面と記載する)に開口(以降、第1の開口部15と記載する)を有しており、第1の開口部15を覆うように光拡散板40を収容する。つまり、第1の開口部15の大きさは、光拡散板40に対応した大きさである。本実施の形態では、第1の開口部15の形状は、略矩形状である。
枠部12は、平面視で略矩形状をなした環状(枠状)の部材であり、収容部11の底面の端縁に配置される。言い換えると、収容部11の第1の開口部15を囲むように、枠部12は収容部11の底面に配置される。そのため、照明装置1を平面視した場合、枠部12の開口(以降、第2の開口部16と記載する)と第1の開口部15とは、略同一の形状となる。本実施の形態では、第2の開口部16の形状は第1の開口部15の形状と同じ略矩形状である。
光拡散板40から出射された光は、第2の開口部16を通過する。なお、枠部12の形状は、光拡散板40から出射される光を通過できれば略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状、略半円状等の形状でもよく、形状は特に限定されない。例えば、枠部12は、平面視において、外郭が収容部11と同じ形状でもよい。
枠部12は、底面部12aと、立ち上がり部12bとを有する。照明装置1は、図1Bに示すように、底面部12aが天井面と面一となるように天井70に埋め込まれる。立ち上がり部12bは、底面部12aの第2の開口部16の端部から床面とは逆側(Z軸プラス側の方向)に向かって略鉛直に形成されている。なお、天井面は造営材の設置面の一例である。
筐体10は、例えば金属材料又は高い熱伝導性を有する非金属材料によって構成される。高い熱伝導性を有する非金属材料とは、例えば、熱伝導率が高い樹脂(高熱伝導性樹脂)などである。筐体10として熱伝導性の高い材料を用いることで、発光モジュール21が発する熱を、筐体10を介して外部に放熱することができる。なお、収容部11と枠部12とは、それぞれ別の材料で構成されていてもよい。
なお、収容部11と枠部12とが一体的に形成され筐体10を構成してもよいし、収容部11と枠部12とは別体であり、収容部11と枠部12とを接着することで筐体10を構成してもよい。
発光モジュール21は、映像を形成するための光を出射する光源である。発光モジュール21は、光反射部材30の光拡散板40とは逆側の端部(Z軸プラス側の端部)に固定される。発光モジュール21は、基板23と、基板23に実装された複数の発光素子22とで構成されている。
基板23は、複数の発光素子22を実装するためのプリント配線基板であり、略矩形状に形成されている。基板23としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。
発光素子22は、LED(Light Emitting Diode)素子で構成されている。本実施の形態では、発光素子22は、青色光、緑色光及び赤色光(つまり、光の3原色)を発光するRGBタイプのLED素子である。発光素子22は、基板23の床面側の面に複数配置されている。例えば、複数の発光素子22は、基板23の床面側の面に、行列状に配置されている。例えば、複数の発光素子22はそれぞれ、等間隔で配置されている。
なお、LED素子は、SMD(Surface Mount Device)型のLED素子であってもよいし、COB(Chip On Board)型の発光素子であってもよい。発光素子22は、RGB3色に限られす、RGBW4色であってもよいし、BW2色(青白2色)であってもよい。
また、図示しないが、基板23には、制御部50からの制御信号を伝送するための配線である信号線及び電源部60からの電力を供給するための配線である電力線が形成されている。例えば、信号線及び電力線は、複数の発光素子22のそれぞれを直列に接続するように形成されている。複数の発光素子22のそれぞれは、電力線を介して電源部60から電力の供給を受け、信号線からの制御信号に基づいて所定の光を発する。本実施の形態では、発光素子22はRGBタイプの発光素子であることから、青色光、緑色光及び赤色光の発光を制御することで様々な色の光を出射することができる。すなわち、制御部50によって各発光素子22の発光を制御することで、例えば、青空、白雲、曇り空、夕空、夕日などの映像を含む光を出射することができる。
光反射部材30は、筒状であり、少なくとも一部が発光モジュール21及び光拡散板40の間に配置されている。光反射部材30は、発光モジュール21から出射された光に対して反射性を有する光学部材である。具体的には、光反射部材30は、発光モジュール21から光反射部材30の内側面(言い換えると、光反射部材30の発光モジュール21側の面)に入射した光を、光拡散板40側に反射する。ユーザは、発光モジュール21から光反射部材30を介さずに光拡散板40に入射した光が形成する映像、及び、発光モジュール21から光反射部材30で反射して光拡散板40に入射した光が形成する映像で形成される合成映像を見ることとなる。
光反射部材30は、例えばアルミニウムなどの金属材料で形成された面に対して鏡面処理又は拡散処理を施すことで形成される。例えば、鏡面処理とは、ポリッシング処理またはラッピング処理である。例えば、拡散処理とは、アルマイト処理などのつや消し処理である。なお、拡散処理は、少なくとも光反射部材30の内側面に施されていればよい。また、光反射部材30は、必ずしも鏡面処理又は拡散処理が施されている必要はなく、鏡面処理又は拡散処理を施す前の無地素材であってもよい。
光拡散板40は、発光モジュール21側から入射した光を透過及び拡散して床面側に出射する光学部材である。具体的には、光拡散板40は、光拡散板40の光入射面(Z軸プラス側の面)から入射した光を透過及び拡散し、光出射面から出射する拡散パネルである。
光拡散板40は、平面視において矩形状の板材である。光拡散板40は、光反射部材30の発光モジュール21とは逆側の端部(Z軸マイナス側の端部)に固定される。言い換えると、光拡散板40は、発光モジュール21と対向しており、発光モジュール21を覆うように配置されている。また、光拡散板40は、筐体10の第1の開口部15を覆うように配置されている。
光拡散板40は、発光モジュール21から出射された光に対して、透光性、及び、光を拡散させる光拡散性を有している。例えば、光拡散板40は、透明なアクリル若しくはPET(Poly Ethylene Terephthalate)などの樹脂材料、又はガラスから構成された透明板に拡散加工が施されることで作製される。光拡散板40が透明な材料から構成されることで、光拡散板40は高い透過率を有する。例えば、光拡散板40の全光線透過率は、80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
拡散加工は、光拡散板40の光入射面及び光出射面の少なくとも一方の面に施される。例えば、拡散加工として、微細なドット状の穴(凹部)からなるプリズムを形成するプリズム処理などがある。また、拡散加工はプリズム処理に限定されず、シボ加工又は印刷により行われてもよい。
拡散加工が施された光拡散板40のヘイズ値は、例えば10%以上90%以下である。ヘイズ値を10%以上とすることで、光拡散板40が透明な材料で構成されていても、ユーザから発光モジュール21の発光素子22が粒状に見えることを抑制できる。また、ヘイズ値を90%以下とすることで、光拡散板40に映し出される映像の輪郭(例えば、青空の中にある雲の輪郭)をある程度保つことができる。なお、ヘイズ値は、例えばプリズム処理により形成されるプリズムの形状及び大きさに応じて調整が可能である。
図2は、照明装置1の制御構成を示すブロック図である。
照明装置1の制御構成に着目した場合、照明装置1は、制御部50と、記憶部51と、発光モジュール21とによって構成される。
制御部50は、発光モジュール21の点灯、消灯、調光、及び調色(発光色又は色温度の調整)などの動作を制御する制御装置である。制御部50は、マイクロコンピュータ、プロセッサなど、又は専用回路によって実現される。なお、電源部60は制御部50に含まれる構成要素とし、図2では電源部60の記載を省略している。電源部60は、商用電源から供給される交流電力を、整流、平滑及び降圧等して所定レベルの直流電力に変換し、当該直流電力を発光モジュール21に供給する構成要素である。
制御部50は、記憶部51に記憶された映像に関する情報を取得し、当該情報に応じて発光モジュール21を制御する。例えば、制御部50は、光拡散板40に青空を映し出す場合に、記憶部51から青空に関する情報を取得し、取得した情報をもとに複数の発光素子22の発光を制御する。この複数の発光素子22の発光により、光拡散板40に映像が映し出される。
制御部50と発光モジュール21(複数の発光素子22)とは、信号線により電気的に接続されている。制御部50は、記憶部51から入手した情報に応じて、青色LED、緑色LED及び赤色LEDそれぞれの明るさに関する情報を含む制御信号を、信号線を介して発光素子22に出力する。制御信号を受信した発光素子22は、当該制御信号に基づいて青色、緑色及び赤色を発光する。
制御部50は、例えば映像の動きが不自然にならないような時間間隔で、発光モジュール21に対して制御信号を出力する。例えば、制御部50は、制御信号を約1秒に20回出力する。これにより、例えば青空の中で雲が動いている映像などを表示する場合、より自然な動きを表示することができる。
照明装置1の制御部50は、上記のように変化する映像を表示するにあたって、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1の光拡散板40から出射される光の光量の変化、色温度の変化又は分光分布の変化が所定範囲内となるように、複数の発光素子22の発光を制御する。以下、照明装置1の映像表示方法について説明する。
[1-2.照明装置の映像表示方法]
図3A~図5を参照して、照明装置1の映像表示方法について説明する。
図3Aは、照明装置1に映像を表示する際のフローチャートである。
まず、図3Aに示すように、時間帯に応じた映像を記憶部51から入手して光拡散板40に表示する(S11)。具体的には、制御部50は、演出者(ユーザ)の意図により昼空を表示したい場合には、記憶部51に保存されている昼間の映像、例えば白雲及び青空を含む映像を入手し、この映像に基づいて複数の発光素子22を発光させる。
次に、映像上における所定パラメータが所定範囲内となるように映像を編集する(S12)。具体的には、制御部50は、映像上における白雲と青空との面積比率が、先に映し出された映像と同じ面積比率(例えば白雲領域/青空領域=0.3)となるように映像を編集する。なお、制御部50は、事前に上記条件を満たすように編集された映像を記憶部51から読み出し、この読み出した映像を編集映像として用いてもよい。
そして、編集した映像を光拡散板40に表示する(S13)。次に、映像を表示し続けるか否かを判断する(S14)。映像を表示し続けるか否かは、ユーザからの入力によって適宜決定される。映像を表示し続ける場合は(S14のYes)、ステップS12に戻り、ステップS13で表示した映像に対して、映像上における所定パラメータ(例えば面積比率)が所定範囲内となるように映像を編集する(S12)。
このように、各ステップS12、S13及びS14を繰り返し実行することで、所定の時間帯において映像を表示し続ける。図3Aにおいて、ステップS12、S13及びS14を順に実行して再びステップS12に戻る1サイクルが、照明装置1の映像表示の単位時間である。単位時間は、例えば0.001秒以上1秒以下の短い時間であり、本実施の形態における単位時間は、例えば0.05秒である。
ステップS14にて、映像を表示し続けないと判断した場合(S14のNo)は、映像の表示を終了する。
上記のフローの説明では、映像上における白雲と青空との面積比率が、先に映し出された映像と同じ面積比率であるようにする制御方法を示した。もちろん、ステップS12に示しているように所定パラメータ(面積比率)が一定の範囲内となるように制御しても構わない。
図3Bは、照明装置1に映し出される映像の光量を示す図である。図3Bの(a)及び(b)では、光拡散板40から出射される光の光量の違いをドットの濃淡で示している。
図3Bの(a)は、特定の時間に映し出される映像であり、光拡散板40には1つの大きな白雲と背景である青空とが映し出されている。図3Bの(b)は、(a)から所定時間経過した後の映像であり、光拡散板40には3つの小さな白雲と背景である青空とが映し出されている。図3Bの(b)は、例えば(a)から5分経過した後の映像である。
本実施の形態では、制御部50は、光拡散板40から出射される光の光量の変化が所定範囲内となるように、光拡散板40に映し出す映像を編集する。具体的には、制御部50は、図3Bの(a)及び(b)における白雲領域と青空領域との面積比率がほぼ同じとなるように、例えば、白雲領域/青空領域=0.2以上0.4以下の範囲となるように映像を編集する。これにより、光拡散板40から出射される光の光量の変化を所定範囲内とすることができる。光拡散板40に映し出される白雲領域及び青空領域のそれぞれの面積は、例えば、光拡散板40に映し出される画像を、白色の領域と青色の領域とに分け二値化処理することで求めることができる。
このように、制御部50は、映像を変化させる場合、すなわち発光素子22の発光を変化させる場合に、光拡散板40から出射される光の光量の変化が所定範囲内となるように制御する。これにより、照明装置1において、変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。仮に、変化する映像を映し出す照明装置からの光の光量の変化が大きい場合には、このような変化する映像を映し出す照明装置からの光により照らされた空間の内部に滞在している人は、光量の変化による違和感を感じることがある。しかしながら、本実施の形態による構成では、このような違和感を抑制することが可能となる。
図4は、照明装置1に映し出される映像の色温度を示す図である。図4の(a)及び(b)のそれぞれは、図3Bの(a)及び(b)に対応する映像であって、光拡散板40から出射される光の色温度の違いをハッチング幅の広狭で示している。
図4に示すように、照明装置1の制御部50は、映像を変化させる場合、すなわち発光素子22の発光を変化させる場合に、光拡散板40から出射される光の色温度の変化が所定範囲内となるように制御する。これにより、照明装置1に映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。例えば、色温度が白に相当する5500Kから青に相当する数万K以上に急に変化すると、光に照らされる被照射体が急に青く見えるので、ユーザにとって違和感を生じる。それに対し、図4の(a)に示す状態から(b)に示す状態への変化のように、色温度の変化が所定範囲内となるように発光素子22の発光を制御することで、ユーザにとっての違和感を抑制することができる。
図5は、照明装置1に映し出される映像の他の例を示す図である。図5の(a)及び(b)では、光拡散板40から出射される光の光量の違いをドットの濃淡で示している。
図5の(a)は、特定の時間に映し出される映像であり、光拡散板40には1つの大きな白雲と背景である青空とが映し出されている。図5の(b)は、(a)から所定時間経過した後の映像であり、光拡散板40には、白雲及び青空が消え、曇り空が映し出されている。図5の(b)は、例えば(a)から10分経過した後の映像である。
図5に示す例では、制御部50は、光拡散板40に映し出される白色光及び青色光の光束比率の変化が所定範囲内となるように、光拡散板40に映し出す映像を編集する。具体的には、制御部50は、図5の(a)及び(b)における白色光と青色光との光束比率がほぼ同じとなるように映像を編集する。これにより、光拡散板40から出射される光の光量の変化を所定範囲内とし、照明装置1において、変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。なお、曇り空の映像における白色光及び青色光のそれぞれの光束は、例えば、曇り空の画像中に存在する白色光の成分と青色光の成分とを抽出して求めることができる。
[1-3.効果など]
本実施の形態に係る照明装置1は、開口部15を有する筐体10と、筐体10に設けられ、複数の発光素子22を有する光源20と、開口部15に設けられ、複数の発光素子22から出射された光を透過及び拡散して出射する光拡散板40と、光源20の発光を制御する制御部50とを備える。制御部50は、光拡散板40に映像が映し出されるように複数の発光素子22の発光を制御し、かつ、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1から出射される光の光量の変化、及び、色温度の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光源20の発光を制御する。
このように、発光素子22の発光に基づいて映像を変化させる場合に、照明装置1から出射される光の光量の変化が所定範囲内となるように光源20の発光を制御することで、照明装置1に上記映像(変化する映像)を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。また、照明装置1から出射される光の色温度の変化が所定範囲内となるように制御することで、照明装置1に上記映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。すなわち、照明装置1では、変化する映像を映し出す照明装置1からの光により照らされた空間に対して、滞在者が感じる違和感を抑制することができる。
なお、上記では光の光量の変化又は色温度の変化が所定範囲内となるように制御する場合について示したが、それに限られず、光の分光分布の変化が所定の範囲となるように光源20の発光を制御してもよい。すなわち、制御部50は、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1から出射される光の光量の変化、色温度の変化及び分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光源20の発光を制御してもよい。
また、上記光源20の発光の制御として、制御部50は、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1の光拡散板40から出射される光の光量の変化、及び、色温度の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光源20の発光を制御してもよい。
このように、発光素子22の発光に基づいて映像を変化させる場合に、光拡散板40から出射される光の光量の変化が所定範囲内となるように光源20の発光を制御することで、照明装置1に上記映像(変化する映像)を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。また、光拡散板40から出射される光の色温度の変化が所定範囲内となるように制御することで、照明装置1に上記映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
また、制御部50は、上記光量の変化、及び、上記色温度の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光拡散板40に映し出す映像を編集してもよい。
このように、光拡散板40から出射される光の光量又は色温度の変化が所定範囲内となるように映像を編集することで、照明装置1に変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
また、上記映像が、雲及び青空の映像である場合に、制御部50は、雲の領域及び青空の領域の面積比率の変化が所定範囲内となるように、光拡散板40に映し出す映像を編集してもよい。
このように、雲の領域及び青空の領域の面積比率が所定範囲内となるように映像を編集することで、照明装置1から出射される光の総和の光量又は色温度を所定範囲内とすることができる。これにより、照明装置1に変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
また、上記映像が、白色光及び青色光によって映し出される場合に、制御部50は、白色光及び青色光の光束比率の変化が所定範囲内となるように、光拡散板40に映し出す映像を編集してもよい。
このように、白色光及び青色光の光束比率が所定範囲内となるように映像を編集することで、照明装置1から出射される光量又は色温度を所定範囲内とすることができる。これにより、照明装置1に変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。照明装置1から出射される光量を所定範囲内にするためは、それぞれの発光素子22の発光量を所定の範囲内となるように制御することもできるし、照明装置1から出射される光の総和の光量が所定の範囲内となるように制御するようにしても構わない。それぞれの発光素子22の明るさと色を大きく変えるような映像を映し出す際には、照明装置1から出射される光の総和が所定の範囲内となるように制御することができる。
また、制御部50は、単位時間において、上記光量の変化、上記色温度の変化及び上記分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化を所定範囲内としてもよい。
これによれば、決められた単位時間において、照明装置1に生じる違和感を抑制することができる。例えば、単位時間を0.001秒以上1秒以内に決定した場合、この短い時間において照明装置1に対して生じる違和感を抑制することができる。
また、制御部50は、所定の時間帯において、照明装置1から出射される光の光量の変化、色温度の変化及び分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光源20の発光を制御してもよい。
これによれば、決められた所定の時間帯において、照明装置1に生じる違和感を抑制することができる。例えば、所定の時間帯を朝昼夕夜に区切り、そのうちの昼に決定した場合、昼の時間帯において照明装置1に対して生じる違和感を抑制することができる。
(実施の形態2)
[2-1.照明装置の構成]
次に、実施の形態2に係る照明装置1Aについて説明する。実施の形態2に係る照明装置1Aは、実施の形態1の照明装置1の構成に加え、さらに、発光モジュール21とは異なる発光器具25を備えている。
図6は、照明装置1Aが天井70に設置されている状態を示す斜視図である。図7は、照明装置1の制御構成を示すブロック図である。
図6に示すように、照明装置1Aは、筐体10と、発光モジュール21及び発光器具25を有する光源20と、光反射部材30と、光拡散板40と、制御部50と、電源部60とを備える。照明装置1Aの発光モジュール21、光反射部材30、光拡散板40、制御部50及び電源部60は、実施の形態1で示した照明装置1とほぼ同じ構成を有しており、説明を省略する。
照明装置1Aの筐体10は、収容部11と、枠部12とを有し、枠部12の底面部12aは、実施の形態1の底面部12aよりも幅広となっている。本実施の形態では、この幅広の底面部12aに複数の窪み(凹部)が形成され、この窪みに発光器具25が埋め込まれている。
発光器具25は、複数の発光源26を有している。複数の発光源26は、平面視して第2の開口部16を囲むように、第2の開口部16の外側に配置されている。各発光源26は、例えば、発光素子と開口カバーとを有するダウンライトである。図7に示すように、発光器具25は、制御部50に接続されている。
制御部50は、発光モジュール21及び発光器具25の発光を制御する。具体的には、照明装置1Aの制御部50は、発光モジュール21の発光を変化させる場合に、照明装置1Aから出射される光の光量の変化、色温度の変化又は分光分布の変化が所定範囲内となるように、発光器具25の発光を制御する。
[2-2.照明装置の映像表示方法]
図8Aは、照明装置1Aに映像を表示する際のフローチャートである。
まず、時間帯に応じた映像を記憶部51から入手する(S21)。具体的には、制御部50は、記憶部51に保存されている昼間の映像、例えば白雲及び青空を含む映像を入手する。
次に、映像用である複数の発光素子22の放射光を算出する(S22)。具体的には、制御部50は、記憶部51から入手した映像信号に基づいて、発光素子22から放射される光の光量及び色温度を演算する。
次に、算出した発光素子22の放射光に応じて、発光器具25から出射される光の光量及び色温度を決定する(S23)。当該光量及び色温度を決定する際は、制御部50は、照明装置1A全体から出射される光の光量及び色温度が所定範囲内となるように決定する。すなわち、光源20である発光モジュール21及び発光器具25の両方を含めた光量及び色温度に基づいて決定する。
そして、決定した光量及び色温度に基づいて発光器具25を発光する(S24)。次に、映像を表示し続けるか否かを判断する(S25)。映像を表示し続けるか否かは、ユーザからの入力によって適宜決定される。映像を表示し続ける場合は(S25のYes)、ステップS21に戻り、新たな次の映像を入手する(S21)。
なお、ステップ21にて映像を入手する際は、映像情報から直接空間光を求める方法に加え、別途設けた光センサーから実際の環境光を入手し、この環境光に基づいて光の光量及ぶ色温度を導出してもよい。
このように、各ステップS21~S25を繰り返し実行することで、所定の時間帯において映像を表示し続ける。図8Aにおいて、ステップS21~S25を順に実行して再びステップS21に戻る1サイクルが、照明装置1Aの映像表示の単位時間である。単位時間は、例えば0.001秒以上1秒以下の短い時間である。
ステップS25にて、映像を表示し続けないと判断した場合(S25のNo)は、映像の表示を終了する。
図8Bは、照明装置1Aに映し出される映像の光量を示す図である。図8Bの(a)及び(b)では、光拡散板40から出射される光の光量の違いをドットの濃淡で示し、又、(a)及び(b)のそれぞれの下側に、光拡散板40から出射される光の分光分布図を示している。
図8Bの(a)は、特定の時間に映し出される映像であり、光拡散板40には1つの小さな白雲と背景である青空とが映し出されている。分光分布図で見ると、光拡散板40は青空の領域が多くなっているので青に相当する波長の度数が大きく、発光器具25は明るく点灯しているので赤に相当する波長の度数が大きくなっている。図8Bの(a)に図8Bの(b)は、(a)から所定時間経過した後の映像であり、光拡散板40には1つの大きな白雲と2つの小さな白雲と背景である青空とが映し出されている。分光分布図で見ると、光拡散板40は白雲の領域が増えているので黄又は赤に相当する波長の度数が増え、発光器具25は暗く点灯しているので赤に相当する波長の度数が減っている。
本実施の形態における制御部50は、図8の(a)に示す状態から図8の(b)に示す状態に変化させるにあたり、照明装置1Aから出射される分光分布の変化が所定範囲内となるように、発光器具25の発光を制御する。具体的には、制御部50は、図8Bの(a)及び(b)における分光分布図において、光拡散板40から出射される光と発光器具25から出射される光とを合計した強度(分光分布図における破線)が(a)と(b)とでほぼ同じとなるように、発光器具25の発光を制御する。言い換えれば、制御部50は、光拡散板40から出射される光の光量に対応して発光器具25を調光制御し、また、光拡散板40から出射される光の光色に対応して発光器具25を調色制御する。このように、照明装置1Aから出射される光の分光分布の変化を所定範囲内とすることで、照明装置1Aにおいて、変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制している。
[2-3.効果など]
本実施の形態に係る照明装置1Aは、開口部15を有する筐体10と、筐体10に設けられ、複数の発光素子22を有する光源20と、開口部15に設けられ、複数の発光素子22から出射された光を透過及び拡散して出射する光拡散板40と、光源20の発光を制御する制御部50とを備える。光源20は、さらに、複数の発光素子22と異なる発光源26を有する発光器具25を含む。制御部50は、光拡散板40に映像が映し出されるように複数の発光素子22の発光を制御し、かつ、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1Aから出射される光の分光分布の変化が所定範囲内となるように、発光器具25の発光を制御する。
このように、発光素子22の発光に基づいて映像を変化させる場合に、照明装置1Aから出射される光の分光分布の変化が所定範囲内となるように発光器具25を制御することで、照明装置1Aに上記映像(変化する映像)を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。また、発光素子22とは異なる発光源26を有することで、光拡散板40に映し出す映像に制限をかけずに自由な映像を演出することが可能となる。
なお、上記では光の分光分布の変化が所定範囲内となるように発光器具25の発光を制御する場合について示したが、それに限られず、光の光量の変化、及び、色温度の変化が所定の範囲となるように発光器具25の発光を制御してもよい。すなわち、制御部50は、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1Aから出射される光の光量の変化、色温度の変化及び分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、発光器具25の発光を制御してもよい。
また、制御部50は、光拡散板40から出射される光の光量に対応して発光器具25を調光してもよいし、光拡散板40から出射される光の光色に対応して発光器具25を調色してもよい。
このように、制御部50にて発光器具25を調光制御又は調色制御することで、照明装置1Aに変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る照明システム2について説明する。実施の形態3に係る照明システム2では、実施の形態2の照明装置1Aの発光器具25が、天井70に設けられている。
図9は、照明システム2を示す斜視図である。図10は、照明システム2の制御構成を示すブロック図である。
図9及び図10に示すように、照明システム2は、実施の形態1の照明装置1と、照明装置1の発光素子22と異なる発光源26を有する発光器具25と、照明装置1及び発光器具25の発光を制御する照明コントローラ55とを備えている。
照明システム2では、天井70に窪み(凹部)が形成され、この窪みに発光器具25が埋め込まれている。
発光器具25は、複数の発光源26を有している。複数の発光源26は、第2の開口部16の外側に配置されている。各発光源26は、例えば、発光素子を有するLED電球である。図10に示すように、発光器具25は、照明コントローラ55に接続されている。
照明コントローラ55は、発光モジュール21及び発光器具25の発光を制御する。具体的には、照明コントローラ55は、光拡散板40に映像が映し出されるように複数の発光素子22の発光を制御し、かつ、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明システム2から出射される光の光量の変化、色温度の変化及び分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、発光器具25の発光を制御する。これにより、照明装置1において、変化する映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
なお、照明システム2は、1台の照明装置1に限られず、複数台の照明装置1を備えていてもよい。例えば、照明システム2は、複数の照明装置1のそれぞれが異なる映像を出力している場合に、発光器具25のの光の強さ、又は、色を制御して、空間全体としての光の違和感を低減する構成であってもよい。
(その他の実施の形態)
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。
実施の形態1~3では、光拡散板40に白雲と青空とを映し出す例を示したが、映像としてはこれに限られない。例えば図11の(a)及び(b)に示すよう、光拡散板40に夕日と夕空とを映し出してもよい。この場合においても、複数の発光素子22の発光を変化させる場合に、照明装置1、1A又は照明システム2から出射される光の光量の変化、色温度の変化及び分光分布の変化のうち少なくとも1つの変化が所定範囲内となるように、光源20の発光を制御する。これにより、照明装置1、1A又は照明システム2に映像を映し出す際に生じる違和感を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、筐体10が枠部12を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、枠部12は造営材の一部として構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、照明装置1又は1Aが天井70に埋め込まれる例について説明したが、これに限定されない。例えば、照明装置1又は1Aが壁などに埋め込まれてもよい。この場合、壁は造営材の一例である。
また、上記実施の形態では、光拡散板40を作製する例として、透明板(例えば、透明なアクリル板)に拡散加工を施す例を示したが、それに限定されない。例えば、光拡散板40は、透明板に拡散シートを設けることで構成されてもよい。この場合、透明板の床面側又は発光モジュール21側の少なくとも一方の面に拡散シートが設けられていればよい。また、光拡散板40は、光拡散材(例えば、シリカ粒子などの光反射性微粒子)が内部に分散された乳白色の拡散板であってもよい。このような拡散板は、光拡散材を混合した透光性樹脂材料を所定形状に樹脂成型することによって作製される。なお、光拡散板40は、乳白色であってもよいが、光の損失を低減する観点から透明な樹脂材料などに拡散処理が施されたものを用いるとよい。
このように、本実施の形態によれば、照明装置から照射される光が、空間の明るさを実質的に支配するほど多く照射される空間において、映像の光の色や強度が変化したり、空間光の分光波長特性が変化することにより空間に存在する物の見え方が著しく変化したり、空間光黒体放射から著しく逸脱することによる滞在者(ユーザ)の違和感を抑制することができる。