JP2022063801A - 車両の制御装置 - Google Patents

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康博 日浅
Yasuhiro Hiasa
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Yasutaka Tsuchida
亨 松原
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Abstract

【課題】クルーズコントロールの実行時にエンジン回転速度を下げつつ駆動力不足を回避することができる車両の制御装置を提供する。【解決手段】電子制御装置90によれば、クルーズ要求駆動力Tccdemが、実模擬ギヤ段MSを1段アップシフトさせた場合にエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、バッテリ54の最大出力電力によって第2回転機MG2から発するパワーを駆動輪14の駆動力に換算した第2駆動力換算値TA2と、を合計した値以下である場合に、アップシフトが行われる。クルーズ要求駆動力Tccdemが第1駆動力換算値TA1以下である場合にアップシフトを行うものに比べ、アップシフトのタイミングを早くすることができ、アップシフト後にエンジン12および第2回転機MG2によってクルーズ要求駆動力Tccdemを得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、運転者により設定された目標車速或いは先行車との車間距離を維持させるクルーズ要求駆動力が得られるように、エンジンおよび回転機を制御するクルーズコントロールを実行する車両の制御装置に関し、前記クルーズコントロールの実行時においてエンジン回転速度を下げつつ駆動力不足を回避することができる技術に関するものである。
(a)エンジンと、(b)前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機と、を備えた車両の、制御装置がよく知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の制御装置がそれである。特許文献1では、運転者により設定された目標車速或いは先行車との車間距離を維持させるクルーズ要求駆動力が得られるように、前記エンジンを制御するクルーズコントロールの実行時に、疑似アクセル開度[%]と実際のエンジン回転速度[rpm]とによって車両状態を表す点が変速マップのアップシフト変速線を横切ると、前記自動変速機のアップシフトが行われることが開示されている。なお、前記疑似アクセル開度は、実際のエンジン回転速度および燃料噴射量から予め作成された疑似アクセル開度マップを適用して算出されるようになっている。又、特許文献1では、クルーズ走行中にシフトビジーが生じると、エンジン回転速度が高回転速度側でシフトアップが行われるように前記変速マップを補正することが開示されている。
特開2012-132477号公報
ところで、特許文献1のような車両では、クルーズ走行中においてエンジン回転速度が高回転速度側でシフトアップが行われるので、前記クルーズコントロールの実行時にエンジン回転速度が高くなり例えばNVが悪化する可能性があった。これに対して、前記クルーズコントロールの実行時にエンジン回転速度を下げるために、例えば前記アップシフト変速線が低回転速度側に移動するように前記変速マップを補正することが考えられる。しかしながら、前記アップシフト変速線を低回転速度側に移動させると例えばアップシフト後に駆動力が不足して前記目標車速或いは先行車との車間距離の追従性が悪化し、運転者が違和感を覚える可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、クルーズコントロールの実行時においてエンジン回転速度を下げつつ駆動力不足を回避することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された回転機と、前記回転機に対して電力を授受する蓄電装置と、を備えた車両の、制御装置であって、(b)運転者により設定された目標車速或いは先行車との車間距離を維持させるクルーズ要求駆動力が得られるように、前記エンジンおよび前記回転機を制御するクルーズコントロールの実行時には、前記クルーズ要求駆動力が、現在の前記自動変速機のギヤ段を1段アップシフトさせた場合において前記エンジンから発するエンジンパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第1駆動力換算値と、前記蓄電装置の最大出力電力によって前記回転機から発するパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第2駆動力換算値と、を合計した値以下である場合に、前記自動変速機のアップシフトを行うことにある。
第1発明の車両の制御装置によれば、(b)運転者により設定された目標車速或いは先行車との車間距離を維持させるクルーズ要求駆動力が得られるように、前記エンジンおよび前記回転機を制御するクルーズコントロールの実行時には、前記クルーズ要求駆動力が、現在の前記自動変速機のギヤ段を1段アップシフトさせた場合において前記エンジンから発するエンジンパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第1駆動力換算値と、前記蓄電装置の最大出力電力によって前記回転機から発するパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第2駆動力換算値と、を合計した値以下である場合に、前記自動変速機のアップシフトを行う。このため、例えば前記クルーズ要求駆動力が前記第1駆動力換算値以下である場合に前記自動変速機のアップシフトを行うものに比較して、アップシフトのタイミングを早くすることができると共に、アップシフト後に前記エンジンおよび前記回転機によって前記クルーズ要求駆動力を得ることができる。これによって、クルーズコントロールの実行時においてエンジン回転速度を下げつつ駆動力不足を回避することができる。
ここで、好適には、前記クルーズコントロールの実行時には、前記クルーズ要求駆動力が、現在の前記自動変速機のギヤ段において前記エンジンから発するエンジンパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第3駆動力換算値と、前記第2駆動力換算値と、を合計した値より大きい場合に、前記自動変速機のダウンシフトを行う。このため、例えば前記クルーズ要求駆動力が前記第3駆動力換算値よりも大きい場合に前記自動変速機のダウンシフトを行うものに比較して、好適にダウンシフトのタイミングを遅くすることができる。
また、好適には、前記クルーズコントロールの実行時において前記蓄電装置から前記回転機に放電が禁止されているときには、前記クルーズ要求駆動力が前記第1駆動力換算値以下である場合に、前記自動変速機のアップシフトを行う。このため、前記蓄電装置から前記回転機に放電が禁止されているときでも前記クルーズコントロールの実行時に前記自動変速機でアップシフトを行うことができる。
また、好適には、前記蓄電装置の最大出力電力は、現在の前記蓄電装置から放電することが可能な持出許容電力範囲のうちの最大値であるので、アップシフト後の駆動力不足を好適に回避することができる。
本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。 図1の機械式有段変速部の変速作動とそれに用いられる係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1の電気式無段変速部と機械式有段変速部とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。 複数のATギヤ段に複数の模擬ギヤ段を割り当てたギヤ段割当テーブルの一例を説明する図である。 複数の模擬ギヤ段の変速制御に用いる模擬ギヤ段変速マップの一例を説明する図である。 モータ走行とハイブリッド走行との切替制御に用いる動力源切替マップの一例を示す図である。 電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、クルーズコントロールの実行時における模擬有段変速制御の制御作動を説明するフローチャートである。 図7のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。 本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であって、図1の車両とは別の実施例である。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12と第1回転機MG1と第2回転機MG2とを備えている。又、車両10は、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16と、を備えている。
エンジン12は、駆動力を発生することが可能な駆動力源であって、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、第1回転機MG1の出力トルクであるMG1トルクTg及び第2回転機MG2の出力トルクであるMG2トルクTmが制御される。回転機の出力トルクは、例えばエンジン12の運転時と同じ回転方向である正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。バッテリ54は、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の各々に対して電力を授受する蓄電装置である。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース18内に設けられている。
動力伝達装置16は、ケース18内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部20及び機械式有段変速部22等を備えている。電気式無段変速部20は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン12に連結されている。機械式有段変速部22は、電気式無段変速部20の出力側に連結されている。又、動力伝達装置16は、機械式有段変速部22の出力回転部材である出力軸24に連結された差動歯車装置26、差動歯車装置26に連結された一対の車軸28等を備えている。車軸28は、駆動輪14と連結されている。尚、以下、電気式無段変速部20を無段変速部20、機械式有段変速部22を有段変速部22という。又、無段変速部20や有段変速部22等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。上記共通の軸心は、エンジン12のクランク軸、そのクランク軸に連結された無段変速部20の入力回転部材である連結軸30などの軸心である。
無段変速部20は、第1回転機MG1と、エンジン12の動力を第1回転機MG1及び無段変速部20の出力回転部材である中間伝達部材32に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構34と、を備えている。中間伝達部材32には、第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速部20は、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構34の差動状態が制御される電気式無段変速機である。無段変速部20は、変速比(ギヤ比ともいう)γ0(=エンジン回転速度Ne/MG2回転速度Nm)が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。エンジン回転速度Neは、エンジン12の回転速度であり、無段変速部20の入力回転速度すなわち連結軸30の回転速度と同値である。MG2回転速度Nmは、第2回転機MG2の回転速度であり、無段変速部20の出力回転速度すなわち中間伝達部材32の回転速度と同値である。第1回転機MG1は、エンジン回転速度Neを制御可能な回転機であって、差動用回転機に相当する。尚、第1回転機MG1の運転状態を制御することは、第1回転機MG1の運転制御を行うことである。
差動機構34は、シングルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS0、キャリアCA0、及びリングギヤR0を備えている。キャリアCA0には連結軸30を介してエンジン12が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構34において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能する。
有段変速部22は、中間伝達部材32と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する、つまり無段変速部20と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する、有段変速機としての機械式変速機構である。中間伝達部材32は、有段変速部22の入力回転部材としても機能する。中間伝達部材32には第2回転機MG2が一体回転するように連結されている。第2回転機MG2は、駆動力を発生することが可能な駆動力源として機能する回転機であって、走行駆動用回転機に相当する。又、無段変速部20の入力側にはエンジン12が連結されている。よって、有段変速部22は、駆動力源(エンジン12、第2回転機MG2)と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機である。第2回転機MG2は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に動力伝達可能に連結された回転機である。つまり、第2回転機MG2は、有段変速部22を介して駆動輪14に動力伝達可能に連結された回転機である。有段変速部22は、例えば第1遊星歯車装置36及び第2遊星歯車装置38の複数組の遊星歯車装置と、ワンウェイクラッチF1を含む、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置と、を備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、及びブレーキB2については、特に区別しない場合は単に係合装置CBという。
係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路56内の各ソレノイドバルブSL1-SL4等から出力される調圧された係合装置CBの各係合圧によりそれぞれのトルク容量が変化させられることで、各々、係合や解放などの制御状態すなわち作動状態が切り替えられる。
有段変速部22は、第1遊星歯車装置36及び第2遊星歯車装置38の各回転要素が、直接的に或いは係合装置CBやワンウェイクラッチF1を介して間接的に、一部が互いに連結されたり、中間伝達部材32、ケース18、或いは出力軸24に連結されている。第1遊星歯車装置36の各回転要素は、サンギヤS1、キャリアCA1、リングギヤR1であり、第2遊星歯車装置38の各回転要素は、サンギヤS2、キャリアCA2、リングギヤR2である。
有段変速部22は、複数の係合装置のうちの何れかの係合装置である例えば所定の係合装置の係合によって、変速比γat(=AT入力回転速度Ni/出力回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかのギヤ段が形成される有段変速機である。つまり、有段変速部22は、複数の係合装置の何れかが係合されることで、ギヤ段が切り替えられるすなわち変速が実行される。本実施例では、有段変速部22にて形成されるギヤ段をATギヤ段と称す。AT入力回転速度Niは、有段変速部22の入力回転速度すなわち中間伝達部材32の回転速度であり、MG2回転速度Nmと同値である。AT入力回転速度Niは、MG2回転速度Nmで表すことができる。出力回転速度Noは、有段変速部22の出力回転速度すなわち出力軸24の回転速度である。出力回転速度Noは、無段変速部20と有段変速部22とを合わせた全体の変速機である複合変速機40の出力回転速度でもある。複合変速機40は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機である。尚、エンジン回転速度Neは、複合変速機40の入力回転速度でもある。
有段変速部22は、例えば図2の係合作動表に示すように、複数のATギヤ段として、AT1速ギヤ段(図中の「1st」)-AT4速ギヤ段(図中の「4th」)の4段の前進用のATギヤ段が形成される。AT1速ギヤ段の変速比γatが最も大きく、ハイ側のATギヤ段程、変速比γatが小さくなる。又、後進用のATギヤ段(図中の「Rev」)は、例えばクラッチC1の係合且つブレーキB2の係合によって形成される。つまり、後進走行を行う際には、例えばAT1速ギヤ段が形成される。図2の係合作動表は、各ATギヤ段と複数の係合装置の各作動状態との関係をまとめたものである。すなわち、図2の係合作動表は、各ATギヤ段と、各ATギヤ段において各々係合される係合装置である所定の係合装置との関係をまとめたものである。図2において、「○」は係合、「△」はエンジンブレーキ時や有段変速部22のコーストダウンシフト時に係合、空欄は解放をそれぞれ表している。
有段変速部22は、後述する電子制御装置90によって、ドライバー(=運転者)のアクセル操作や車速V等に応じて形成されるATギヤ段が切り替えられる、すなわち複数のATギヤ段が選択的に形成される。例えば、有段変速部22の変速制御においては、係合装置CBの何れかの掴み替えにより変速が実行される、すなわち係合装置CBの係合と解放との切替えにより変速が実行される、所謂クラッチツゥクラッチ変速が実行される。
車両10は、更に、機械式のオイルポンプであるMOP58、不図示の電動式のオイルポンプ等を備えている。MOP58は、連結軸30に連結されており、エンジン12の回転と共に回転させられて動力伝達装置16にて用いられる作動油OILを吐出する。又、不図示の電動式のオイルポンプは、例えばエンジン12の停止時すなわちMOP58の非駆動時に駆動させられて作動油OILを吐出する。MOP58や不図示の電動式のオイルポンプが吐出した作動油OILは、油圧制御回路56へ供給される。係合装置CBは、作動油OILを元にして油圧制御回路56により調圧された各係合圧によって作動状態が切り替えられる。
図3は、無段変速部20と有段変速部22とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。図3において、無段変速部20を構成する差動機構34の3つの回転要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応するサンギヤS0の回転速度を表すg軸であり、第1回転要素RE1に対応するキャリアCA0の回転速度を表すe軸であり、第3回転要素RE3に対応するリングギヤR0の回転速度(すなわち有段変速部22の入力回転速度)を表すm軸である。又、有段変速部22の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応するサンギヤS2の回転速度、第5回転要素RE5に対応する相互に連結されたリングギヤR1及びキャリアCA2の回転速度(すなわち出力軸24の回転速度)、第6回転要素RE6に対応する相互に連結されたキャリアCA1及びリングギヤR2の回転速度、第7回転要素RE7に対応するサンギヤS1の回転速度をそれぞれ表す軸である。縦線Y1、Y2、Y3の相互の間隔は、差動機構34の歯車比ρ0に応じて定められている。又、縦線Y4、Y5、Y6、Y7の相互の間隔は、第1遊星歯車装置36の歯車比ρ1と第2遊星歯車装置38の歯車比ρ2とに応じて定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリアとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリアとリングギヤとの間が遊星歯車装置の歯車比ρ(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)に対応する間隔とされる。
図3の共線図を用いて表現すれば、無段変速部20の差動機構34において、第1回転要素RE1にエンジン12(図中の「ENG」参照)が連結され、第2回転要素RE2に第1回転機MG1(図中の「MG1」参照)が連結され、中間伝達部材32と一体回転する第3回転要素RE3に第2回転機MG2(図中の「MG2」参照)が連結されて、エンジン12の回転を中間伝達部材32を介して有段変速部22へ伝達するように構成されている。無段変速部20では、縦線Y2を横切る各直線L0e、L0m、L0Rにより、サンギヤS0の回転速度とリングギヤR0の回転速度との関係が示される。
又、有段変速部22において、第4回転要素RE4はクラッチC1を介して中間伝達部材32に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸24に連結され、第6回転要素RE6はクラッチC2を介して中間伝達部材32に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース18に選択的に連結され、第7回転要素RE7はブレーキB1を介してケース18に選択的に連結される。有段変速部22では、係合装置CBの係合解放制御によって縦線Y5を横切る各直線L1、L2、L3、L4、LRにより、出力軸24における「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「Rev」の各回転速度が示される。
図3中の実線で示す、直線L0e及び直線L1、L2、L3、L4は、少なくともエンジン12を駆動力源として走行するハイブリッド走行(=HV走行)が可能なHV走行モードでの前進走行における各回転要素の相対速度を示している。HV走行は、エンジン12からの駆動力を少なくとも用いて走行するエンジン走行である。このHV走行モードでは、差動機構34において、キャリアCA0に入力される正トルクのエンジントルクTeに対して、第1回転機MG1による負トルクの反力トルクとなるMG1トルクTgがサンギヤS0に入力されると、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd(=Te/(1+ρ0)=-(1/ρ0)×Tg)が現れる。そして、要求駆動力Frdemに応じて、エンジン直達トルクTdとMG2トルクTmとの合算トルクが車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部22を介して駆動輪14へ伝達される。第1回転機MG1は、正回転にて負トルクを発生する場合には発電機として機能する。第1回転機MG1の発電電力Wgは、バッテリ54に充電されたり、第2回転機MG2にて消費される。第2回転機MG2は、発電電力Wgの全部又は一部を用いて、或いは発電電力Wgに加えてバッテリ54からの電力を用いて、MG2トルクTmを出力する。
図3中の一点鎖線で示す直線L0m及び図3中の実線で示す直線L1、L2、L3、L4は、エンジン12の運転を停止した状態で第2回転機MG2を駆動力源として走行するモータ走行(=EV走行)が可能なEV走行モードでの前進走行における各回転要素の相対速度を示している。EV走行は、第2回転機MG2からの駆動力のみを用いて走行するモータ走行である。EV走行モードでの前進走行におけるEV走行では、キャリアCA0はゼロ回転とされ、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるMG2トルクTmが入力される。このとき、サンギヤS0に連結された第1回転機MG1は、無負荷状態とされて負回転にて空転させられる。つまり、EV走行モードでの前進走行では、エンジン12は駆動されず、エンジン回転速度Neはゼロとされ、MG2トルクTmが車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部22を介して駆動輪14へ伝達される。ここでのMG2トルクTmは、正回転且つ正トルクの力行トルクである。
図3中の破線で示す、直線L0R及び直線LRは、EV走行モードでの後進走行における各回転要素の相対速度を示している。このEV走行モードでの後進走行では、リングギヤR0には負回転にて負トルクとなるMG2トルクTmが入力され、そのMG2トルクTmが車両10の後進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段が形成された有段変速部22を介して駆動輪14へ伝達される。車両10では、後述する電子制御装置90によって、複数のATギヤ段のうちの前進用のロー側のATギヤ段である例えばAT1速ギヤ段が形成された状態で、前進走行時における前進用のMG2トルクTmとは正負が反対となる後進用のMG2トルクTmが第2回転機MG2から出力させられることで、後進走行を行うことができる。ここでのMG2トルクTmは、負回転且つ負トルクの力行トルクである。尚、HV走行モードにおいても、直線L0Rのように第2回転機MG2を負回転とすることが可能であるので、EV走行モードと同様に後進走行を行うことが可能である。
車両10は、走行用の駆動力源として、エンジン12及び第2回転機MG2を備えたハイブリッド車両である。動力伝達装置16において、エンジン12や第2回転機MG2から出力される動力は、有段変速部22へ伝達され、その有段変速部22から差動歯車装置26等を介して駆動輪14へ伝達される。このように、動力伝達装置16は、駆動力源(エンジン12、第2回転機MG2)からの駆動力を駆動輪14へ伝達する。尚、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。
図1に戻り、車両10は、エンジン12、無段変速部20、及び有段変速部22などの制御に関連する車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置90を備えている。図1は、電子制御装置90の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置90による制御機能の要部を説明する機能ブロック図である。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を行う。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、回転機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ60、出力回転速度センサ62、MG1回転速度センサ64、MG2回転速度センサ66、アクセル開度センサ68、スロットル弁開度センサ70、ブレーキペダルセンサ72、バッテリセンサ74、など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne、車速Vに対応する出力回転速度No、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng、AT入力回転速度Niと同値であるMG2回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、運転者によるブレーキペダルの踏込操作の大きさを表すブレーキ操作量Bra、バッテリ54のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、など)が、それぞれ供給される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ホイールブレーキ装置76など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を各々制御する為の回転機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Sat、ホイールブレーキによる制動トルクTbを制御する為のブレーキ制御指令信号Sbraなど)が、それぞれ出力される。
又、電子制御装置90には、運転者のアクセル操作とは独立に駆動力を制御するクルーズコントロールを実行するために、クルーズコントロールスイッチ78と、車間距離設定スイッチ80と、レーダーセンサ82と、が接続されている。なお、クルーズコントロールスイッチ78は、例えばステアリングホイール等に配設されており、クルーズコントロールスイッチ78は、クルーズコントロールの作動(オン)、非作動(オフ)を切り替えるメインスイッチと、クルーズコントロールの実行時の目標車速Vtgt[km/h]を設定する目標車速セットスイッチと、前記目標車速セットスイッチによって設定された目標車速Vtgtを増減する増減速スイッチ等と、を備えている。又、車間距離設定スイッチ80は、クルーズコントロールの実行時において先行車(前方車両)との車間距離Dtgt[m]を設定するスイッチであり、車間距離設定スイッチ80は、例えば車速Vに対して3段階で予め定められた「長」、「中」、「短」の中から選択できるように構成されている。又、レーダーセンサ82は、例えば車両前部に取り付けられたミリ波レーダーセンサであり、レーダーセンサ82は、自車走行車線上の前方車両の有無、前方車両との車間距離、前方車両との相対速度等を演算するセンサである。このため、電子制御装置90には、クルーズコントロールスイッチ78からクルーズコントロールの作動(オン)、非作動(オフ)および運転者により設定された目標車速Vtgt等を表す信号が供給され、車間距離設定スイッチ80から運転者により設定された先行車との車間距離Dtgtを表す信号が供給され、レーダーセンサ82から前方車両の有無、前方車両との車間距離、前方車両との相対速度等を表す信号が供給される。
ホイールブレーキ装置76は、車輪にホイールブレーキによる制動トルクTbを付与するブレーキ装置である。制動トルクTbは、駆動トルクTrのうちの制動側となる負トルクである。ホイールブレーキ装置76は、運転者による例えばブレーキペダルの踏込操作などに応じて、ホイールブレーキに設けられたホイールシリンダへブレーキ油圧を供給する。ホイールブレーキ装置76では、通常時には、ブレーキマスタシリンダから発生させられる、ブレーキ操作量Braに対応した大きさのマスタシリンダ油圧がブレーキ油圧としてホイールシリンダへ供給される。一方で、ホイールブレーキ装置76では、例えばABS制御時、横滑り抑制制御時、クルーズコントロールの実行時などには、ホイールブレーキによる制動トルクTbの発生の為に、各制御で必要なブレーキ油圧がホイールシリンダへ供給される。上記車輪は、駆動輪14及び不図示の従動輪である。
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部92、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部94、減速度制御手段すなわち減速度制御部96、及びクルーズ制御実行手段すなわちクルーズ制御実行部98を備えている。
AT変速制御部92は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である例えばATギヤ段変速マップを用いて有段変速部22の変速判断を行い、必要に応じて有段変速部22の変速制御を実行する為の油圧制御指令信号Satを油圧制御回路56へ出力する。上記ATギヤ段変速マップは、例えば車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速部22の変速が判断される為の予め定められた複数種類の変速線を有する所定の関係である。ここでは、車速Vに替えて出力回転速度Noなどを用いても良い。又、要求駆動力Frdemに替えて要求駆動トルクTrdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。上記ATギヤ段変速マップにおける各変速線は、アップシフトが判断される為のアップシフト線、及びダウンシフトが判断される為のダウンシフト線である。この各変速線は、ある要求駆動力Frdemを示す線上において車速Vが線を横切ったか否か、又は、ある車速Vを示す線上において要求駆動力Frdemが線を横切ったか否か、すなわち変速線上の変速を実行すべき値である変速点を横切ったか否かを判断する為のものであり、この変速点の連なりとして予め定められている。
ハイブリッド制御部94は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ52を介して第1回転機MG1及び第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御手段すなわち回転機制御部としての機能と、を含んでおり、それらの制御機能によりエンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。
ハイブリッド制御部94は、予め定められた関係である例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで駆動要求量としての駆動輪14における要求駆動力Frdemを算出する。前記駆動要求量としては、要求駆動力Frdem[N]の他に、駆動輪14における要求駆動トルクTrdem[Nm]、駆動輪14における要求駆動パワーPrdem[W]、出力軸24における要求AT出力トルク等を用いることもできる。ハイブリッド制御部94は、バッテリ54の入力可能電力Winや出力可能電力Wout等を考慮して、要求駆動トルクTrdemと車速Vとに基づく要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御する指令信号であるエンジン制御指令信号Seと、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を制御する指令信号である回転機制御指令信号Smgと、を出力する。エンジン制御指令信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPeの指令値である。回転機制御指令信号Smgは、例えばエンジントルクTeの反力トルクとしての指令出力時のMG1回転速度NgにおけるMG1トルクTgを出力する第1回転機MG1の発電電力Wgの指令値であり、又、指令出力時のMG2回転速度NmにおけるMG2トルクTmを出力する第2回転機MG2の消費電力Wmの指令値である。
バッテリ54の入力可能電力Winは、バッテリ54の入力電力の制限を規定する最大入力電力であり、バッテリ54の出力可能電力Woutは、バッテリ54の出力電力の制限を規定する最大出力電力である。バッテリ54の入力可能電力Winや出力可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びバッテリ54の充電量に相当する充電状態値SOC[%]に基づいて電子制御装置90により算出される。バッテリ54の充電状態値SOCは、バッテリ54の充電残量を示す値であり、例えばバッテリ充放電電流Ibat及びバッテリ電圧Vbatなどに基づいて電子制御装置90により算出される。
ハイブリッド制御部94は、例えば無段変速部20を無段変速機として作動させて複合変速機40全体として無段変速機として作動させる場合、最適エンジン動作点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPeが得られるエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとなるように、エンジン12を制御すると共に第1回転機MG1の発電電力Wgを制御することで、無段変速部20の無段変速制御を実行して無段変速部20の変速比γ0を変化させる。この制御の結果として、無段変速機として作動させる場合の複合変速機40の変速比γt(=Ne/No)が制御される。最適エンジン動作点は、例えば要求エンジンパワーPedemを実現するときに、エンジン12単体の燃費にバッテリ54における充放電効率等を考慮した車両10におけるトータル燃費が最も良くなるエンジン動作点として予め定められている。このエンジン動作点は、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで表されるエンジン12の運転点である。このように、動力伝達装置16では、ATギヤ段が形成された有段変速部22と無段変速機として作動させられる無段変速部20とで、無段変速部20と有段変速部22とが直列に配置された複合変速機40全体として無段変速機を構成することができる。
又は、無段変速部20を有段変速機のように変速させることも可能であるので、動力伝達装置16では、ATギヤ段が形成される有段変速部22と有段変速機のように変速させる無段変速部20とで、複合変速機40全体として有段変速機のように変速させることができる。つまり、複合変速機40では、エンジン回転速度Neの出力回転速度Noに対する比の値を表す変速比γtが異なる複数のギヤ段を選択的に成立させるように、有段変速部22と無段変速部20とを制御することが可能である。本実施例では、複合変速機40にて成立させられるギヤ段を模擬ギヤ段と称する。変速比γtは、直列に配置された、無段変速部20と有段変速部22とで形成されるトータル変速比であって、無段変速部20の変速比γ0と有段変速部22の変速比γatとを乗算した値(γt=γ0×γat)となる。
模擬ギヤ段は、例えば有段変速部22の各ATギヤ段と1又は複数種類の無段変速部20の変速比γ0との組合せによって、有段変速部22の各ATギヤ段に対してそれぞれ1又は複数種類を成立させるように割り当てられる。例えば、図4は、ギヤ段割当テーブルの一例である。図4において、複合変速機40のアップシフトでは、AT1速ギヤ段に対して模擬1速ギヤ段-模擬3速ギヤ段が成立させられ、AT2速ギヤ段に対して模擬4速ギヤ段-模擬6速ギヤ段が成立させられ、AT3速ギヤ段に対して模擬7速ギヤ段-模擬9速ギヤ段が成立させられ、AT4速ギヤ段に対して模擬10速ギヤ段が成立させられるように予め定められている。又、複合変速機40のダウンシフトでは、AT1速ギヤ段に対して模擬1速ギヤ段-模擬2速ギヤ段が成立させられ、AT2速ギヤ段に対して模擬3速ギヤ段-模擬5速ギヤ段が成立させられ、AT3速ギヤ段に対して模擬6速ギヤ段-模擬8速ギヤ段が成立させられ、AT4速ギヤ段に対して模擬9速ギヤ段-模擬10速ギヤ段が成立させられるように予め定められている。複合変速機40では、出力回転速度Noに対して所定の変速比γtを実現するエンジン回転速度Neとなるように無段変速部20が制御されることによって、あるATギヤ段において異なる模擬ギヤ段が成立させられる。又、複合変速機40では、ATギヤ段の切替えに合わせて無段変速部20が制御されることによって、模擬ギヤ段が切り替えられる。なお、図4では、アップシフトとダウンシフトとで、ATギヤ段に対して割り当てられる模擬ギヤ段が異なる場合がある一例を示したが、同じであっても良い。
ハイブリッド制御部94は、例えば無段変速部20を有段変速機のように変速させて複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる場合、予め定められた関係である例えば模擬ギヤ段変速マップを用いて複合変速機40の変速判断を行い、AT変速制御部92による有段変速部22のATギヤ段の変速制御と協調して、複数の模擬ギヤ段を選択的に成立させるように無段変速部20の変速制御を実行する。複数の模擬ギヤ段は、それぞれの変速比γtを維持できるように出力回転速度Noに応じて第1回転機MG1によりエンジン回転速度Neを制御することによって成立させることができる。各模擬ギヤ段の変速比γtは、出力回転速度Noの全域に亘って必ずしも一定値である必要はなく、所定領域で変化させても良いし、各部の回転速度の上限や下限等によって制限が加えられても良い。このように、ハイブリッド制御部94は、エンジン回転速度Neを有段変速のように変化させる変速制御が可能である。
上記模擬ギヤ段変速マップは、前記ATギヤ段変速マップと同様に車速V及び要求駆動力Frdemをパラメータとして予め定められている。図5は、模擬ギヤ段変速マップの一例であって、実線はアップシフト線であり、破線はダウンシフト線である。模擬ギヤ段変速マップに従って模擬ギヤ段が切り替えられることにより、無段変速部20と有段変速部22とが直列に配置された複合変速機40全体として有段変速機と同様の変速フィーリングが得られる。複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる模擬有段変速制御は、例えば運転者によってスポーツ走行モード等の走行性能重視の走行モードが選択された場合や要求駆動トルクTrdemが比較的大きい場合に、複合変速機40全体として無段変速機として作動させる無段変速制御に優先して実行するだけでも良いが、所定の実行制限時を除いて基本的に模擬有段変速制御が実行されても良い。
ハイブリッド制御部94による模擬有段変速制御と、AT変速制御部92による有段変速部22の変速制御とは、協調して実行される。本実施例では、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段の4種類のATギヤ段に対して、模擬1速ギヤ段-模擬10速ギヤ段の10種類の模擬ギヤ段が割り当てられている。その為、模擬ギヤ段の変速タイミングと同じタイミングでATギヤ段の変速が行われるように、ATギヤ段変速マップが定められている。具体的には、図5における模擬ギヤ段の「3→4」、「6→7」、「9→10」の各アップシフト線は、ATギヤ段変速マップの「1→2」、「2→3」、「3→4」の各アップシフト線と一致している(図5中に記載した「AT1→2」等参照)。又、図5における模擬ギヤ段の「2←3」、「5←6」、「8←9」の各ダウンシフト線は、ATギヤ段変速マップの「1←2」、「2←3」、「3←4」の各ダウンシフト線と一致している(図5中に記載した「AT1←2」等参照)。又は、図5の模擬ギヤ段変速マップによる模擬ギヤ段の変速判断に基づいて、ATギヤ段の変速指令をAT変速制御部92に対して出力するようにしても良い。このように、有段変速部22のアップシフト時は、複合変速機40全体のアップシフトが行われる一方で、有段変速部22のダウンシフト時は、複合変速機40全体のダウンシフトが行われる。AT変速制御部92は、有段変速部22のATギヤ段の切替えを、模擬ギヤ段が切り替えられるときに行う。模擬ギヤ段の変速タイミングと同じタイミングでATギヤ段の変速が行われる為、エンジン回転速度Neの変化を伴って有段変速部22の変速が行われるようになり、その有段変速部22の変速に伴うショックがあっても運転者に違和感を与え難くされる。
ハイブリッド制御部94は、走行モードとして、EV走行モード又はHV走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部94は、予め定められた関係である例えば図6に示すような走行モード切替マップを用いて、要求駆動パワーPrdemが比較的小さなEV走行領域にある場合には、EV走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが比較的大きなHV走行領域にある場合には、HV走行モードを成立させる。
上記走行モード切替マップは、図6に示すように、例えば車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、HV走行モードとEV走行モードとを切り替える為のHV走行領域とEV走行領域との境界線を有する所定の関係である。上記境界線は、例えば一点鎖線に示すような、EV走行とHV走行との切替えが判断される為の予め定められた走行領域切替線CFである。走行モードの切替えでは走行に用いられる駆動力源が切り替えられることから、走行領域切替線CFは駆動力源切替線でもある。
ハイブリッド制御部94は、要求駆動パワーPrdemがEV走行領域にあるときであっても、バッテリ54の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12の暖機が必要な場合などには、HV走行モードを成立させる。前記エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ54を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判断する為の予め定められた閾値である。
ハイブリッド制御部94は、エンジン12の運転停止時にHV走行モードを成立させた場合には、エンジン12を始動するエンジン始動制御を行う。ハイブリッド制御部94は、エンジン12を始動するときには、例えば第1回転機MG1によりエンジン回転速度Neを上昇させつつ、エンジン回転速度Neが点火可能な所定点火可能回転速度以上となったときに点火することでエンジン12を始動する。すなわち、ハイブリッド制御部94は、第1回転機MG1によりエンジン12をクランキングすることでエンジン12を始動する。
減速度制御部96は、例えば運転者によるアクセル操作(例えばアクセル開度θacc、アクセル開度θaccの減少速度)、車速V、降坂路の勾配、ホイールブレーキを作動させる為の運転者によるブレーキ操作(例えばブレーキ操作量Bra、ブレーキ操作量Braの増大速度)などに基づいて要求減速度Grdemを算出し、予め定められた関係を用いて要求減速度Grdemを実現する為の要求制動トルクTbdemを設定する。減速度制御部96は、車両10の減速走行中には、要求制動トルクTbdemが得られるように車両10の制動トルクTbを発生させる。減速度Grが大きい側は、制動トルクTbが小さい側、すなわち制動トルクTbの絶対値が大きい側である。
車両10の制動トルクTbは、例えば回生制動トルクTbr、ホイールブレーキトルクTbw、エンジンブレーキトルクTbeなどによって発生させられる。回生制動トルクTbrは、例えば第2回転機MG2の回生制御による制動すなわち第2回転機MG2による回生制動によって得られる制動トルクTbである。第2回転機MG2による回生制御は、駆動輪14から入力される被駆動トルクにより第2回転機MG2を回転駆動させて発電機として作動させ、その発電電力をインバータ52を介してバッテリ54へ充電する制御である。ホイールブレーキトルクTbwは、ホイールブレーキ装置76によるホイールブレーキによって得られる制動トルクTbである。エンジンブレーキトルクTbeは、エンジン12のフリクションによるエンジンブレーキによって得られる制動トルクTbである。
車両10の制動トルクTbは、例えばエネルギー効率の向上の観点では、回生制動トルクTbrにて優先して発生させられる。減速度制御部96は、回生制動トルクTbrに必要な回生トルクが得られるように第2回転機MG2による回生制御を実行する指令をハイブリッド制御部94へ出力する。エンジン12が回転中であるときには、エンジンブレーキが作用させられるので、エンジン回転速度Neに応じたエンジンブレーキトルクTbeが車両10の制動トルクTbとして発生させられる。回生制動トルクTbr及びエンジンブレーキトルクTbeは、駆動力源による制動トルクTb、すなわち駆動力源ブレーキトルクTbpである。
減速度制御部96は、例えば要求制動トルクTbdemの絶対値が比較的小さな場合には、専ら回生制動トルクTbrにて要求制動トルクTbdemを実現する。減速度制御部96は、例えば要求制動トルクTbdemの絶対値が比較的大きな場合には、回生制動トルクTbrにホイールブレーキトルクTbwを加えて要求制動トルクTbdemを実現する。減速度制御部96は、例えば車両10が停止する直前には、回生制動トルクTbrの分をホイールブレーキトルクTbwに置き換えて要求制動トルクTbdemを実現する。減速度制御部96は、要求制動トルクTbdemを実現するのに必要となるホイールブレーキトルクTbwを得る為のブレーキ制御指令信号Sbraをホイールブレーキ装置76へ出力する。
エンジン12が回転中であるときには、例えば回生制動トルクTbrにエンジンブレーキトルクTbeが加えられて要求制動トルクTbdemが実現させられる。エンジンブレーキトルクTbeを作用させる場合、例えば車速Vが同じであれば、複合変速機40の模擬ギヤ段が低車速側である程、エンジンブレーキトルクTbeの絶対値が大きくさせられる。
クルーズ制御実行部98は、例えば運転者によってクルーズコントロールスイッチ78のメインスイッチがオンに操作されると、運転者により設定された目標車速Vtgt或いは先行車との車間距離Dtgtに基づいて車両10の加減速をアクセル操作やブレーキ操作などの運転者の運転操作なしで自動的に行うように、すなわち、運転者により設定された目標車速Vtgt或いは先行車との車間距離Dtgtを維持させるクルーズ要求駆動力Tccdem[N]が得られるように、エンジン12、第1回転機MG1、第2回転機MG2、およびホイールブレーキ装置76等を制御するクルーズコントロールを実行する。すなわち、クルーズ制御実行部98は、前記メインスイッチがオンに操作されると、運転者により設定された目標車速Vtgtや先行車との車間距離Dtgtを達成するようにそれ等に基づいてクルーズ要求駆動力Tccdemを設定し、その設定されたクルーズ要求駆動力Tccdemが得られるように、エンジン12、第1回転機MG1、第2回転機MG2、およびホイールブレーキ装置76を各々制御する指令を、ハイブリッド制御部94および減速度制御部96に出力する。
又、クルーズ制御実行部98は、クルーズコントロールの実行時において、クルーズ制御実行部98に備えられた目標ギヤ段切替判定手段すなわち目標ギヤ段切替判定部98aとシフト条件成立判定手段すなわちシフト条件成立判定部98bとの判定に基づいて、例えば複合変速機40の複数の模擬ギヤ段MSをアップシフト又はダウンシフトする模擬有段変速制御を実行する。
目標ギヤ段切替判定部98aは、クルーズ制御実行部98でクルーズコントロールが実行されると、クルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがアップシフト側へ切り替えられたか否か、又は、クルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがダウンシフト側へ切り替えられたか否かを判定する。例えば、目標ギヤ段切替判定部98aは、例えば図5に示す模擬ギヤ段変速マップにおいて、実際の要求駆動力Frdem及び車速Vによって車両状態を示す点がアップシフト線を横切ると、クルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがアップシフト側へ切り替えられたと判定する。又、目標ギヤ段切替判定部98aは、例えば図5に示す模擬ギヤ段変速マップにおいて、実際の要求駆動力Frdem及び車速Vによって車両状態を示す点がダウンシフト線を横切ると、クルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがダウンシフト側へ切り替えられたと判定する。なお、目標模擬ギヤ段MStgtは、例えば図5に示す模擬ギヤ段変速マップにおいて変速判断された模擬ギヤ段MSである。又、クルーズコントロールの実行時には、図5に示す模擬ギヤ段変速マップ以外のクルーズコントロール専用の模擬ギヤ段変速マップが使用されても良い。又、クルーズコントロールの実行時には、アクセル操作やブレーキ操作などの運転者の運転操作が行われないので、図5に示す模擬ギヤ段変速マップで用いられる要求駆動力Frdemは、例えば、実際のアクセル開度θaccにかえて、実際のエンジン回転速度Neおよび燃料噴射量から疑似アクセル開度[%]を算出して、前記駆動要求量マップに前記疑似アクセル開度及び車速Vを適用することによって算出している。
シフト条件成立判定部98bは、目標ギヤ段切替判定部98aでクルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがアップシフト側へ切り替えられたと判定されると、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSすなわち実模擬ギヤ段MSを目標模擬ギヤ段MStgtに1段アップシフトさせるアップシフト条件CDupが成立したか否かを判定する。アップシフト条件CDupは、駆動輪14におけるクルーズ要求駆動力Tccdem[N]が、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSを1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1[W]を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1[N]と、バッテリ54から放電することが可能な最大出力電力Woutmax[W]によって第2回転機MG2から発するパワーPm[W]を駆動輪14に駆動力に換算した第2駆動力換算値TA2[N]と、を合計した値以下である場合に、成立するようになっている。
ここで、アップシフト条件CDupは、クルーズコントロールの実行時において例えば充電状態値SOCが予め定められた値よりも低くバッテリ54からの放電が禁止されているときには、駆動輪14におけるクルーズ要求駆動力Tccdemが第1駆動力換算値TA1以下である場合に、成立するようになっている。又、エンジンパワーPe1は、例えば、現在の車速Vで複合変速機40の実模擬ギヤ段MSを1段アップシフトさせたときのエンジン回転速度Ne1[rpm]と、エンジン12の性能曲線を用いてエンジン回転速度Ne1から求められるエンジントルクTe1[Nm]と、から算出されるようになっている。又、第1駆動力換算値TA1は、例えば、予め定められた、エンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算する駆動力換算マップを用いて、算出されたエンジンパワーPe1から算出されるようになっている。又、バッテリ54の最大出力電力Woutmaxは、例えば、現在のバッテリ54から放電することが可能な持出許容電力範囲のうちの最大値である。又、第2回転機MG2から発するパワーPmは、例えば、バッテリ54の出力可能電力Woutから算出されるようになっている。又、第2駆動力換算値TA2は、例えば、予め定められた、第2回転機MG2から発するパワーPmを駆動輪14の駆動力に換算する駆動力換算マップを用いて、算出されたパワーPmから算出されるようになっている。
又、シフト条件成立判定部98bは、目標ギヤ段切替判定部98aでクルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがダウンシフト側へ切り替えられたと判定されると、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSを目標模擬ギヤ段MStgtに1段ダウンシフトさせるダウンシフト条件CDdwが成立したか否かを判定する。ダウンシフト条件CDdwは、駆動輪14におけるクルーズ要求駆動力Tccdem[N]が、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSにおいてエンジン12から発するエンジンパワーPe2[W]を駆動輪14の駆動力に換算した第3駆動力換算値TA3[N]と、第2駆動力換算値TA2[N]と、を合計した値より大きい場合に、成立するようになっている。なお、ダウンシフト条件CDdwは、クルーズコントロールの実行時において例えば充電状態値SOCが予め定められた値よりも低くバッテリ54からの放電が禁止されているときには、駆動輪14におけるクルーズ要求駆動力Tccdemが第3駆動力換算値TA3より大きい場合に、成立するようになっている。又、エンジンパワーPe2は、例えば、現在のエンジン回転速度Ne2[rpm]と、エンジン12の性能曲線を用いてエンジン回転速度Ne2から求められるエンジントルクTe2[Nm]と、から算出されるようになっている。又、第3駆動力換算値TA3は、例えば、予め定められた、エンジンパワーPe2を駆動輪14の駆動力に換算する駆動力換算マップを用いて、算出されたエンジンパワーPe2から算出されるようになっている。
クルーズ制御実行部98は、目標ギヤ段切替判定部98aでクルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがアップシフト側へ切り替えられたと判定され、且つ、シフト条件成立判定部98bでアップシフト条件CDupが成立したと判定されると、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSが1段アップシフトするように、すなわち現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSが目標模擬ギヤ段MStgtにアップシフトするように、有段変速部22、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2を各々制御する指令を、AT変速制御部92及びハイブリッド制御部94に出力する。
又、クルーズ制御実行部98は、目標ギヤ段切替判定部98aでクルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがダウンシフト側へ切り替えられたと判定され、且つ、シフト条件成立判定部98bでダウンシフト条件CDdwが成立したと判定されると、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSが1段ダウンシフトするように、すなわち現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSが目標模擬ギヤ段MStgtにダウンシフトするように、有段変速部22、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2を各々制御する指令を、AT変速制御部92及びハイブリッド制御部94に出力する。
図7は、電子制御装置90の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、クルーズコントロールの実行時における模擬有段変速制御の制御作動を説明するためのフローチャートである。又、図8は、図7のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。なお、図8のタイムチャートは、クルーズコントロールの実行時における車速V、エンジン回転速度Ne、駆動輪14の駆動力、実模擬ギヤ段MS、及び目標模擬ギヤ段MStgtの時間t[sec]の変化を示している。図8において、t1は、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSである模擬2速ギヤ段を1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、第2駆動力換算値TA2と、を合計した値以下になることで、模擬2速ギヤ段から模擬3速ギヤ段へアップシフトするアップシフト条件CDupが成立した時点である。又、t2は、図5に示す模擬ギヤ段変速マップにおいて、実際の要求駆動力Frdem及び車速Vによって車両状態を示す点が図5における模擬ギヤ段の「3→4」のアップシフト線を横切った時点である。又、t3は、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSである模擬3速ギヤ段を1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、第2駆動力換算値TA2と、を合計した値以下になることで、模擬3速ギヤ段から模擬4速ギヤ段へアップシフトするアップシフト条件CDupが成立した時点である。又、t4は、図5に示す模擬ギヤ段変速マップにおいて、実際の要求駆動力Frdem及び車速Vによって車両状態を示す点が図5における模擬ギヤ段の「4→5」のアップシフト線を横切った時点である。又、t5は、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSである模擬4速ギヤ段を1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、第2駆動力換算値TA2と、を合計した値以下になることで、模擬4速ギヤ段から模擬5速ギヤ段へアップシフトするアップシフト条件CDupが成立した時点である。なお、図7のフローチャートは、クルーズコントロールの実行時において複合変速機40の目標模擬ギヤ段MStgtがアップシフト側へ切り替えられたとき(例えば図8のt2時点、t4時点)をスタートとしている。
先ず、シフト条件成立判定部98bの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段(実模擬ギヤ段)MSを1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、バッテリ54から放電することが可能な最大出力電力Woutmaxによって第2回転機MG2から発するパワーPmを駆動輪14の駆動力に換算した第2駆動力換算値TA2[N]と、を合計した値以下になったか否か、すなわち、アップシフト条件CDupが成立したか否かが判定される。S10の判定が否定される場合には、本ルーチンが終了させられる。S10の判定が肯定される場合(図8のt1時点、t3時点、t5時点)には、AT変速制御部92、ハイブリッド制御部94、及びクルーズ制御実行部98の機能に対応するS20が実行される。S20では、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段(実模擬ギヤ段)MSが1段アップシフトさせられる。
上述のように、本実施例の車両10の電子制御装置90によれば、クルーズコントロールの実行時には、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSを1段アップシフトさせた場合においてエンジン12から発するエンジンパワーPe1を駆動輪14の駆動力に換算した第1駆動力換算値TA1と、バッテリ54の最大出力電力Woutmaxによって第2回転機MG2から発するパワーPmを駆動輪14の駆動力に換算した第2駆動力換算値TA2と、を合計した値以下である場合に、複合変速機40のアップシフトを行う。このため、例えばクルーズ要求駆動力Tccdemが第1駆動力換算値TA1以下である場合に複合変速機40のアップシフトを行うものに比較して、アップシフトのタイミングを早くすることができると共に、アップシフト後にエンジン12および第2回転機MG2によってクルーズ要求駆動力Tccdemを得ることができる。これによって、クルーズコントロールの実行時においてエンジン回転速度Neを下げつつ駆動力不足を回避することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置90によれば、クルーズコントロールの実行時には、クルーズ要求駆動力Tccdemが、現在の複合変速機40の模擬ギヤ段MSにおいてエンジン12から発するエンジンパワーPe2を駆動輪14の駆動力に換算した第3駆動力換算値TA3と、第2駆動力換算値TA2と、を合計した値より大きい場合に、複合変速機40のダウンシフトを行う。このため、例えばクルーズ要求駆動力Tccdemが第3駆動力換算値TA3よりも大きい場合に複合変速機40のダウンシフトを行うものに比較して、好適にダウンシフトのタイミングを遅くすることができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置90によれば、クルーズコントロールの実行時においてバッテリ54から第2回転機MG2に放電が禁止されているときには、クルーズ要求駆動力Tccdemが第1駆動力換算値TA1以下である場合に、複合変速機40のアップシフトを行う。このため、バッテリ54から第2回転機MG2に放電が禁止されているときでもクルーズコントロールの実行時に複合変速機40でアップシフトを行うことができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置90によれば、バッテリ54の最大出力電力Woutmaxは、現在のバッテリ54から放電することが可能な持出許容電力範囲のうちの最大値であるので、アップシフト後の駆動力不足を好適に回避することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明が適用される車両100の概略構成を説明する図である。車両100は、前述の実施例1の車両10とは別の実施例である。
図9において、車両100の電気式無段変速部102は、車両10の無段変速部20と比べて、更に、ブレーキB0とクラッチC0とを備えている。ブレーキB0はサンギヤS0とケース18との間に設けられ、クラッチC0はサンギヤS0とキャリアCA0との間に設けられている。
電気式無段変速部102は、クラッチC0及びブレーキB0が共に解放されると、無段変速部20と同様に、電気式無段変速機とされる。一方で、電気式無段変速部102は、クラッチC0又はブレーキB0が係合されると、差動作用が不能な非差動状態とされる。クラッチC0が係合される非差動状態では、電気式無段変速部102は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する有段変速状態とされる。ブレーキB0が係合される非差動状態では、電気式無段変速部102は変速比γ0が「1」より小さい値に固定された増速変速機として機能する有段変速状態とされる。
車両100の機械式有段変速部104は、車両10の有段変速部22と同様に、複数組の遊星歯車装置と複数の係合装置とを備えた、公知の遊星歯車式の自動変速機である。
電気式無段変速部102と機械式有段変速部104とを合わせた全体の変速機である複合変速機106は、車両10の複合変速機40と同様に、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機である。複合変速機106では、クラッチC0及びブレーキB0の何れも係合させないことで、複合変速機40と同様の作動をさせることができる。複合変速機106では、クラッチC0及びブレーキB0の何れかを係合させることで、複合変速機106全体の変速比γtが異なる複数のギヤ段が形成される有段変速機として作動をさせることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、無段変速部20は、キャリアCA0を回転不能に固定することができるロック機構を備えていても良い。このロック機構は、例えば連結軸30をケース18に対して固定することができるワンウェイクラッチである。又は、このロック機構は、例えば連結軸30とケース18とを選択的に連結することができる、噛合式クラッチ、クラッチやブレーキなどの油圧式摩擦係合装置、乾式の係合装置、電磁式摩擦係合装置、磁粉式クラッチなどの係合装置である。又、差動機構34は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であっても良い。又、差動機構34は、複数の遊星歯車装置が相互に連結されることで4つ以上の回転要素を有する差動機構であっても良い。又、差動機構34は、エンジン12によって回転駆動されるピニオンと、そのピニオンに噛み合う一対のかさ歯車に第1回転機MG1及び中間伝達部材32が各々連結された差動歯車装置であっても良い。又、差動機構34は、2以上の遊星歯車装置がそれを構成する一部の回転要素で相互に連結された構成において、その遊星歯車装置の回転要素にそれぞれエンジン、回転機、駆動輪が動力伝達可能に連結される機構であっても良い。
また、前述の実施例では、4種類のATギヤ段に対して10種類の模擬ギヤ段を割り当てる実施態様を例示したが、この態様に限らない。好適には、模擬ギヤ段の段数はATギヤ段の段数以上であれば良く、ATギヤ段の段数と同じであっても良いが、ATギヤ段の段数よりも多いことが望ましく、例えば2倍以上が適当である。ATギヤ段の変速は、中間伝達部材32やその中間伝達部材32に連結される第2回転機MG2の回転速度が所定の回転速度範囲内に保持されるように行なうものであり、又、模擬ギヤ段の変速は、エンジン回転速度Neが所定の回転速度範囲内に保持されるように行なうものであり、それら各々の段数は適宜定められる。
また、前述の実施例では、本発明が適用される車両として、複合変速機40を備える車両10や複合変速機106を備える車両100を例示したが、車両10や車両100に限らず、自動変速機を単独で備える車両であっても、本発明を適用することができる。要は、エンジンと、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された回転機と、前記回転機に対して電力を授受する蓄電装置と、を備え、クルーズコントロールの実行時に前記自動変速機で有段変速制御する車両であれば、本発明を適用することができる。上記自動変速機は、例えば無段変速部20を単独で備える自動変速機、有段変速部22を単独で備える自動変速機、公知のDCT(Dual Clutch Transmission)を含む同期噛合型平行2軸式自動変速機、公知のベルト式無段変速機などである。又、上記回転機は、自動変速機を介して駆動輪に動力伝達可能に連結されても良いし、自動変速機を介することなく駆動輪に動力伝達可能に連結されても良い。又は、上記回転機は、エンジンの駆動力が伝達される駆動輪(例えば後輪)とは別の駆動輪(例えば前輪)に動力伝達可能に連結されても良い。この場合、上記車両は、四輪駆動車両である。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、100:車両
12:エンジン
14:駆動輪
40、106:複合変速機(自動変速機)
54:バッテリ(蓄電装置)
90:電子制御装置(制御装置)
98:クルーズ制御実行部
98b:シフト条件成立判定部
Dtgt:車間距離
MG2:第2回転機
MS:模擬ギヤ段(ギヤ段)
Pe1:エンジンパワー
Pm:パワー
TA1:第1駆動力換算値
TA2:第2駆動力換算値
Tccdem:クルーズ要求駆動力
Vtgt:目標車速
Woutmax:最大出力電力

Claims (1)

  1. エンジンと、前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機と、前記駆動輪に動力伝達可能に連結された回転機と、前記回転機に対して電力を授受する蓄電装置と、を備えた車両の、制御装置であって、
    運転者により設定された目標車速或いは先行車との車間距離を維持させるクルーズ要求駆動力が得られるように、前記エンジンおよび前記回転機を制御するクルーズコントロールの実行時には、前記クルーズ要求駆動力が、現在の前記自動変速機のギヤ段を1段アップシフトさせた場合において前記エンジンから発するエンジンパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第1駆動力換算値と、前記蓄電装置の最大出力電力によって前記回転機から発するパワーを前記駆動輪の駆動力に換算した第2駆動力換算値と、を合計した値以下である場合に、前記自動変速機のアップシフトを行う
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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