JP2022063588A - 非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents

非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイス Download PDF

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Yoshinori Kurihara
勇介 矢三
Yusuke Yaso
圭 島本
Kei Shimamot
大希 木戸
Daiki Kido
宏行 瀬戸口
Hiroyuki Setoguchi
宣久 木村
Nobuhisa Kimura
翔太 廣澤
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Abstract

【課題】蓄電デバイスを高温で使用した場合の保存耐久性と、抵抗上昇抑制効果を向上することができる非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。【解決手段】非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、三フッ化ホウ素化合物と、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩を少なくとも1種含有する蓄電デバイス用非水電解液を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電気化学特性、特に高温充電保存時における充電保存耐久性と、抵抗上昇抑制効果の向上が可能な非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスに関する。
近年、蓄電デバイス、特にリチウム電池は、携帯電話やノート型パソコン等の小型電子機器、電気自動車や電力貯蔵用として広く使用されている。リチウム電池の使用用途の拡大により、リチウム電池はさらに厳しい環境での作動が要求されている。厳しい環境の一例として、広い温度範囲での使用が挙げられる。80℃以上の高温領域での保存耐久性に加え、0℃以下での低温の始動性が要求される例も少なくない。
尚、本明細書において、リチウム電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
リチウム電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極および負極、リチウム塩と非水溶媒からなる非水電解液から構成され、リチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)などが使用され、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が使用されている。
また、リチウム電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料等が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料を用いたリチウム電池が広く実用化されている。コークスや黒鉛等の炭素材料はリチウム金属と同等の極めて卑な電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有している。
リチウム電池の正極としては、リチウムを吸蔵および放出可能な、コバルト、マンガン、およびニッケルからなる群より選ばれる1種または2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。正極活物質中の重金属は、高温充電保存時に電解液中に溶出する場合があり、溶出した金属が負極上に再析出すると、さらに電解液の分解が促進される。
特にリチウム電池を80℃以上の高温で保存した場合、前記負極上での還元分解および正極活物質中の重金属の溶出は加速的に進行することに加え、リチウム塩の熱分解が生じるため、電池特性を大きく低下させる問題がある。
特許文献1には、ジフルオロリン酸塩と三フッ化ホウ素化合物などのルイス酸を反応させて得られる錯体塩を含有する非水電解液が提案されており、リチウム二次電池のサイクル特性が向上することが報告されている。
特許文献2には、三フッ化ホウ素化合物とモノフルオロリン酸塩とを反応させてなる錯体塩を含有する非水電解液が提案されており、リチウム二次電池の保存時の抵抗上昇を抑制することが報告されている。
特開2010-257616号公報 特許6710804号公報
本発明は、蓄電デバイスの高温充電保存耐久性と、抵抗上昇抑制効果をさらに向上することが可能な非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスを提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために研究を重ね、特定の化合物を一種以上含有することにより、高温での充電保存耐久性と、抵抗上昇を抑制する効果をより向上させることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、蓄電デバイスを高温で使用した場合の保存耐久性を向上させ、さらに抵抗上昇を抑制することができる非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記の(1)および(2)を提供するものである。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、三フッ化ホウ素化合物と下記一般式(I)で表されるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩を少なくとも1種含有する非水電解液。
Figure 2022063588000001
(式中R~Rはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基を示す。ただし、R~Rのうち任意の2つ以上および/またはR~Rのうち任意の2つ以上が互いに結合を形成し、隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)
(2)正極、負極および非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスであって、該非水電解液が前記(1)に記載の非水電解液である蓄電デバイス。
本発明によれば、蓄電デバイスの高温充電保存後の抵抗上昇を抑制できる非水電解液および、それを用いたリチウム電池等の蓄電デバイスを提供することができる。
本発明は、非水電解液およびそれを用いた蓄電デバイスに関する。
本発明の非水電解液は、三フッ化ホウ素化合物と前記一般式(I)で表されるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩を含むことを特徴とする。
本発明の非水電解液中に含まれる錯体塩は、たとえば、三フッ化ホウ素化合物と、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させることにより得ることができる。この錯体塩を作製する際に使用する三フッ化ホウ素化合物は三フッ化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジn-ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジtert-ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素tert-ブチルメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素プロパノール錯体および三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素ジメチルカーボネート錯体、三フッ化ホウ素ジエチルカーボネート錯体、三フッ化ホウ素メチルエチルカーボネート錯体、三フッ化ホウ素メチルプロピルカーボネート錯体、三フッ化ホウ素メチルブチルカーボネート錯体、三フッ化ホウ素エチレンカーボネート錯体、三フッ化ホウ素プロピレンカーボネート錯体、三フッ化ホウ素1,2-ブチレンカーボネート錯体、三フッ化ホウ素2,3-ブチレンカーボネート錯体、三フッ化ホウ素4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン錯体、三フッ化ホウ素ビニレンカーボネート錯体、三フッ化ホウ素ビニルエチレンカーボネート錯体または三フッ化ホウ素4-エチニル-1,3-ジオキソラン-2-オン錯体が好適に挙げられ、中でも、三フッ化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素ジメチルカーボネート錯体または三フッ化ホウ素ジエチルカーボネート錯体が好ましい。
本発明の非水電解液中に含まれる錯体塩を得るために、三フッ化ホウ素化合物と反応させるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)は下記一般式(I)で表される。
Figure 2022063588000002
(式中R~Rはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基を示す。ただし、R~Rのうち任意の2つ以上および/またはR~Rのうち任意の2つ以上が互いに結合を形成し、隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)
前記一般式(I)においてR~Rはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。
また、前記R~Rは全て同一のアルキル基が好ましい。
前記R~Rの具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基もしくはノルマルブチル基等の直鎖のアルキル基またはイソプロピル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基もしくはターシャリーブチル基等の分枝鎖のアルキル基が挙げられ、直鎖のアルキル基であるメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基またはノルマルブチル基がより好ましい。
前記一般式(I)中のテトラアルキルアンモニウムは、例えば、エチル(ジイソプロピル)(メチル)アンモニウム、トリノルマルブチル(メチル)アンモニウムおよび1-エチル-1-メチルピロリジニウムのような異なるアルキル基や分岐を持ったアルキル基から構成されたり、または環を構成したアンモニウムでも良い。なお、本発明においては、R~Rのうち任意の2つ以上が環構造を形成している場合や、R~Rのうち任意の2つ以上が環構造を形成している場合のいずれの場合についても、テトラアルキルアンモニウムに該当するものとする。
また、前記一般式(I)中に含まれる2つのテトラアルキルアンモニウムは、同一であっても異なっていても良いが、同一である方がより好ましい。
前記一般式(I)で表されるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)の具体例としては、モノフルオロリン酸ビス(テトラメチルアンモニウム)、モノフルオロリン酸ビス(テトラエチルアンモニウム)、モノフルオロリン酸ビス(テトラノルマルプロピルアンモニウム)またはモノフルオロリン酸ビス(テトラノルマルブチルアンモニウム)が好適に挙げられ、中でもモノフルオロリン酸ビス(テトラメチルアンモニウム)またはモノフルオロリン酸ビス(テトラノルマルブチルアンモニウム)が特に好ましい。
モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)と反応させるルイス酸としての三フッ化ホウ素化合物のモル比は、好ましくはモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)1モルに対して、通常1~10モル、より好ましくは1~5モル、更に好ましくは1~3モルであり、2モルであることが最も好ましい。
本発明の非水電解液に含まれる錯体塩において、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)と反応させるルイス酸として三フッ化ホウ素化合物を使用した場合、錯体塩について、19F-NMR測定を行うことにより得られるNMRチャートにおいて、通常、化学シフト値-70~-81ppm、-140~-144ppm、-144~-148ppm、および-148~-152ppmにピークが観測される。なお、化学シフト値-140~-144ppmに現れるピークをピークαとし、化学シフト値-144~-148ppmに現れるピークをピークβとした場合に、化学シフト値-140ppm以下、-144ppm超の範囲に、ピークが存在する場合には、このピークを、ピークαとして帰属し、一方、化学シフト値-144~-148ppmの範囲に存在するピークを、ピークβとして帰属すればよい。また、化学シフト値-144ppm未満、-148ppm以上の範囲に、ピークが存在する場合には、このピークを、ピークβとして帰属し、一方、化学シフト値-140~-144ppmの範囲に存在するピークを、ピークαとして帰属すればよい。同様に、化学シフト値-144~-148ppmに現れるピークをピークγとし、化学シフト値-148~-152ppmに現れるピークをピークδとした場合に、化学シフト値-144ppm以下、-148ppm超の範囲に、ピークが存在する場合には、このピークを、ピークγとして帰属し、一方、化学シフト値-148~-152ppmの範囲に存在するピークを、ピークδとして帰属すればよい。また、化学シフト値-148ppm未満、-152ppm以上の範囲に、ピークが存在する場合には、このピークを、ピークδとして帰属し、一方、化学シフト値-144~-148ppmの範囲に存在するピークを、ピークγとして帰属すればよい。
なお、本発明の非水電解液に含まれる錯体塩は、三フッ化ホウ素化合物と、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなるものであるが、上述したように、該錯体塩について19F-NMR測定を行った場合に、複数のピークが観測され、各ピークに対応する部分構造を少なくとも1つ有する複数の化合物の混合物であるといえる。
〔非水電解液〕
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、三フッ化ホウ素化合物と、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩を少なくとも1種含有することを特徴とする。
本発明の非水電解液が、蓄電デバイスの高温充電保存耐久性と抵抗上昇抑制効果を向上させる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明の非水電解液に含まれる錯体塩は、上記のとおり、三フッ化ホウ素化合物と、モノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなるものであるため、三フッ化ホウ素化合物とモノフルオロリン酸アニオンとが反応することにより形成されるアニオン錯体化合物と、このようなアニオン錯体化合物中のモノフルオロリン酸アニオン部分構造体1モルに対して1モル以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンから構成される錯体塩化合物である。モノフルオロリン酸アニオン部分構造体はアルキルアンモニウムカチオンを多く含有しながら電極上の活性点に素早く反応し、電極被膜を形成する。アルキルアンモニウムカチオンに含まれる窒素原子が電極被膜に含まれることにより、被膜はより緻密化し、電解液の分解や正極活物質に含まれる重金属の溶出を抑制することができ、高温保存耐久性が向上する。加えて、前記アルキルアンモニウムカチオンを含む錯体塩は一部負極上でも還元し、窒素原子を含むSEI被膜を形成すると考えられる。負極SEI被膜に取り込まれた窒素原子近傍の電子密度が変化し、電導性の向上による抵抗抑制効果を発現することができる。アルキルアンモニウムカチオンを取り入れた本発明により、先行文献1および先行文献2の化合物と比べて、より優れた高温保存耐久性と抵抗上昇抑制効果が得られたと考えられる。
本発明の非水電解液において、前記三フッ化ホウ素化合物とモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩の含有量は、非水電解液中に0.01~10質量%が好ましい。該含有量は、非水電解液中に0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましい。また、その上限は、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
本発明の非水電解液において、前記三フッ化ホウ素化合物とモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応されてなる錯体塩を以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、高温保存耐久性と抵抗上昇抑制効果が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。
〔電解質塩〕
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等の無機リチウム塩、LiN(SOF)〔LiFSI〕、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso-C、LiPF(iso-C)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SOおよびLiN(SOF)〔LiFSI〕から選ばれる1種または2種以上が好ましく、LiPFを用いることがもっとも好ましい。電解質塩のそれぞれの濃度は、前記の非水電解液全量に対して、通常4質量%以上であることが好ましく、9質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましい。またその上限は、非水電解液全量に対して28質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
また、これらの電解質塩は1種で使用しても十分な性能を発揮するが、電解質塩を組合せることで更に電池特性を向上させる。好適な組合せとしては、LiPFを含み、更にLiBF、LiN(SOCFおよびLiN(SOF)から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましく、LiPFを含み、更にLiBFまたはLiN(SOF)が非水電解液中に含まれることがより好ましい。LiPF以外のリチウム塩が非水電解液全量に占めるそれぞれの割合は特に限定されないが、0.01質量%以上であると、高温保存耐久性が向上するため好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上、最も好ましくは1質量%以上である。また、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは13質量%以下である。
〔非水溶媒〕
本明細書において、「溶媒」とは溶質を溶解するための物質を示す。
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテルおよびアミドから選ばれる1種または2種以上が好適に挙げられる。高温保存耐久性が相乗的に向上するため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが特に好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネートおよび鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
環状カーボネートとしては、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートならびにフッ素原子および不飽和結合を含まない環状カーボネートが挙げられる。フッ素原子を有する環状カーボネートおよび不飽和結合を有する環状カーボネートの具体例としては、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン〔FEC〕、トランスもしくはシス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン〔DFEC〕、ビニレンカーボネート〔VC〕、ビニルエチレンカーボネート〔VEC〕または4-エチニル-1,3-ジオキソラン-2-オン〔EEC〕等が挙げられ、フッ素原子および不飽和結合を含まないカーボネートの具体例としては、エチレンカーボネート〔EC〕、プロピレンカーボネート〔PC〕、1,2-ブチレンカーボネートまたは2,3-ブチレンカーボネート等が挙げられる。
前記フッ素原子を有する環状カーボネートとしては、FECまたはDFECが好ましく、FECが特に好ましい。また、前記炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートとしてはVC、VECまたはEECが好ましく、VCが特に好ましい。
前記フッ素原子および不飽和結合を含まない環状カーボネートとしてはECまたはPCが好ましく、ECが特に好ましい。
前記環状カーボネートの総含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と高温保存耐久性が向上するので好ましい。
前記環状カーボネートは1種類で使用してもよいが、2種類以上を組合せて使用しても良い。特に本発明の電解液においては、前記フッ素原子を有する環状カーボネートおよび前記不飽和結合を有する環状カーボネートから選ばれる1種以上と、前記フッ素原子および不飽和結合を含まない環状カーボネートから選ばれる1種以上を組合せて使用すると高温保存耐久性をより向上させるため好ましい。
これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとVC、PCとVC、VCとFEC、ECとFEC、PCとFEC、FECとDFEC、ECとDFEC、PCとDFEC、VCとDFEC、VECとDFEC、VCとEEC、ECとEEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとVEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFEC、PCとVCとFEC、ECとVCとDFEC、PCとVCとDFEC、ECとPCとVCとFECまたはECとPCとVCとDFEC等が挙げられ。前記の組合せのうち、ECとVC、ECとFEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFECまたはECとPCとVCとFECの組合せがより好ましい。
前記環状カーボネートを組合せて使用する場合、その質量比((フッ素原子を有する環状カーボネートまたは炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネート)/(フッ素原子および不飽和結合を含まない環状カーボネート))は1以下であることが好ましく、0.7以下であることがさらにまた、組合せた場合のフッ素原子および不飽和結合を含む環状カーボネートの含有量は、非水電解液全量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と高温保存耐久性が向上するので好ましい。
鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート〔MEC〕、メチルプロピルカーボネート〔MPC〕、メチルブチルカーボネートおよびエチルプロピルカーボネートから選ばれる1種または2種以上の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート〔DMC〕、ジエチルカーボネート〔DEC〕、ジプロピルカーボネートおよびジブチルカーボネートからなる群より選ばれる1種または2種以上の対称鎖状カーボネート、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸プロピル等のピバリン酸エステル、プロピオン酸メチル〔MP〕、プロピオン酸エチル〔EP〕、プロピオン酸プロピル〔PP〕、酢酸メチル、酢酸エチル〔EA〕および酢酸プロピル〔PA〕から選ばれる1種または2種以上の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられ、
前記鎖状エステルの中でも、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸プロピルから選ばれる1種または2種以上の鎖状カルボン酸エステルがさらに好ましい。
本発明の非水電解液に用いる非水溶媒における鎖状エステルの含有量は、特に制限されないが、非水電解液全量に対して、5~90質量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が5質量%以上であれば非水電解液の粘度が高くなりすぎず、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。また、90質量%以下であれば非水電解液の電気伝導度が低下して高温充電保存耐久性が低下するおそれが少ないので上記範囲であることが好ましい。
環状カーボネートと鎖状エステルの割合は、高温下での電気化学特性向上の観点から、環状カーボネート:鎖状エステル(質量比)が10:90~50:50が好ましく、20:80~40:60がさらに好ましい。
その他の非水溶媒としては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン等の鎖状エーテル、ジメチルホルムアミド等のアミド、スルホラン等のスルホンおよびγ-ブチロラクトン〔GBL〕、γ-バレロラクトン、α-アンゲリカラクトン等のラクトンから選ばれる1種または2種以上が好適に挙げられる。
上記その他の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せまたは環状カーボネートと鎖状エステルとエーテルとの組合せ等が好適に挙げられ、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せがより好ましく、ラクトンの中でもγ-ブチロラクトンを用いると更に好ましい。
その他の非水溶媒の含有量は、非水電解液全量に対して、通常1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、また通常40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
一段と高温充電保存耐久性を向上させ、抵抗上昇を抑制する目的で、非水電解液中にさらにその他の添加剤を加えることが好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)~(J)の化合物が挙げられる。
(A)アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリルおよびセバコニトリルから選ばれる1種または2種以上のニトリル化合物。
ニトリル化合物の中ではアセトニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリルおよびセバコニトリルから選ばれる1種または2種以上が好ましい。
(B)シクロヘキシルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼンもしくは1-フルオロ-4-tert-ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物またはビフェニル、ターフェニル(o-、m-、p-体)、フルオロベンゼン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネートもしくはジフェニルカーボネート等の芳香族化合物。
芳香族化合物の中では、ビフェニル、ターフェニル(o-、m-、p-体)、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、tert-ブチルベンゼンおよびtert-アミルベンゼンから選ばれる1種または2種以上がより好ましく、ビフェニル、o-ターフェニル、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼンおよびtert-アミルベンゼンから選ばれる1種または2種以上が特に好ましい。
(C)メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2-イソシアナトエチル アクリレートおよび2-イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種または2種以上のイソシアネート化合物。
イソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2-イソシアナトエチル アクリレートおよび2-イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種または2種以上がより好ましい。
(D)2-プロピニル メチル カーボネート、酢酸 2-プロピニル、ギ酸 2-プロピニル、メタクリル酸 2-プロピニル、メタンスルホン酸 2-プロピニル、ビニルスルホン酸 2-プロピニル、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸 2-プロピニル、ジ(2-プロピニル)オギザレート、2-ブチン-1,4-ジイル ジメタンスルホネートおよび2-ブチン-1,4-ジイル ジホルメートから選ばれる1種または2種以上の三重結合含有化合物。
三重結合含有化合物としては、2-プロピニル メチル カーボネート、メタクリル酸 2-プロピニル、メタンスルホン酸 2-プロピニル、ビニルスルホン酸 2-プロピニル、ジ(2-プロピニル)オギザレートおよび2-ブチン-1,4-ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種または2種以上が好ましく、メタンスルホン酸 2-プロピニル、ビニルスルホン酸 2-プロピニル、ジ(2-プロピニル)オギザレートおよび2-ブチン-1,4-ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種または2種以上がより好ましい。
(E)1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-ブタンスルトン、2,4-ブタンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,3-プロペンスルトンもしくは2,2-ジオキシド-1,2-オキサチオラン-4-イル アセテート等のスルトン、エチレンサルファイト等の環状サルファイト、1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネート、1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネート等の環状スルホン、ブタン-2,3-ジイル ジメタンスルホネート、ブタン-1,4-ジイル ジメタンスルホネートもしくはメチレン メタンジスルホネート等のスルホン酸エステルおよびジビニルスルホン、1,2-ビス(ビニルスルホニル)エタンもしくはビス(2-ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン化合物から選ばれる1種または2種以上のS=O基含有化合物。
前記S=O基含有化合物としては、環状S=O基含有化合物と鎖状のS=O基含有化合物に分類することができ、環状S=O基含有化合物の中では、1,3-プロパンスルトン、1,3-ブタンスルトン、1,4-ブタンスルトン、2,4-ブタンスルトン、1,3-プロペンスルトン、2,2-ジオキシド-1,2-オキサチオラン-4-イル アセテート、メチレン メタンジスルホネート、エチレンサルファイト1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネート、および1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネートから選ばれる1種または2種以上が好適に挙げられる。また、鎖状のS=O基含有化合物の中では、ブタン-2,3-ジイル ジメタンスルホネート、ブタン-1,4-ジイル ジメタンスルホネート、ジメチル メタンジスルホネート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、ジビニルスルホンおよびビス(2-ビニルスルホニルエチル)エーテルから選ばれる1種または2種以上が好適に挙げられる。前記環状または鎖状のS=O基含有化合物の中でも、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、2,4-ブタンスルトン、2,2-ジオキシド-1,2-オキサチオラン-4-イル アセテート、1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネート、および1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イル メタンスルホネート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネートおよびジビニルスルホンから選ばれる1種または2種以上が更に好ましい。
(F)分子内に「アセタール基」を有する環状アセタール化合物。分子内に「アセタール基」を含有していればその種類は特に限定されない。その具体例としては、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサンまたは1,3,5-トリオキサン等の環状アセタール化合物。
環状アセタール化合物としては、1,3-ジオキソランまたは1,3-ジオキサンが好ましく、1,3-ジオキサンが更に好ましい。
(G)リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)、エチル 2-(ジエトキシホスホリル)アセテートおよび2-プロピニル 2-(ジエトキシホスホリル)アセテートから選ばれる1種または2種以上のリン含有化合物。
リン含有化合物としては、エチル 2-(ジエトキシホスホリル)アセテートまたは2-プロピニル 2-(ジエトキシホスホリル)アセテートが好ましく、2-プロピニル 2-(ジエトキシホスホリル)アセテートが更に好ましい。
(H)分子内に「C(=O)-O-C(=O)基」、「C(=O)-O-S(=O)基」または「S(=O)-O-S(=O)基」を有する酸無水物。その具体例としては、無水酢酸もしくは無水プロピオン酸等の鎖状のカルボン酸無水物または無水コハク酸、無水マレイン酸、3-アリル無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、1,2-オキサチオラン-5-オン 2,2-ジオキシドおよび1,2,6-オキサジチアン 2,2,6,6-テトラオキシドから選ばれる1種または2種以上の環状酸無水物。
環状酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸または3-アリル無水コハク酸が好ましく、無水コハク酸または3-アリル無水コハク酸が更に好ましい。
(I)分子内に「N=P-N基」を有するホスファゼン化合物。分子内に「N=P-N基」を含有していれば特にその種類は限定されない。その具体例としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンまたはエトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物。
環状ホスファゼン化合物としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンまたはフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物が好ましく、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンまたはエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンが更に好ましい。
(J)前記電解質塩とは別のシュウ酸骨格を有するリチウム塩化合物、リン酸骨格を有するリチウム塩化合物またはサルフェート骨格を有するリチウム塩化合物。その具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕もしくはリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕等のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPOもしくはLiPOF等のリン酸骨格を有するリチウム塩化合物またはリチウム メチルサルフェート、リチウムエチルサルフェートもしくはリチウム 2,2,2-トリフルオロエチルサルフェート等のサルフェート骨格を有するリチウム塩が挙げられる。
シュウ酸骨格を有するリチウム塩化合物としてはビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕およびリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる1種または2種以上が好ましく、ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕およびリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる1種または2種以上がさらに好ましい。
リン酸骨格を有するリチウム塩化合物としてはLiPOおよびLiPOFから選ばれる1種または2種以上が好ましく、LiPOがさらに好ましい。
サルフェート骨格を有するリチウム塩化合物としてはリチウム メチルサルフェート、リチウムエチルサルフェートおよびリチウム 2,2,2-トリフルオロエチルサルフェートから選ばれる1種または2種以上が好ましく、リチウム メチルサルフェートおよびリチウムエチルサルフェートから選ばれる1種または2種以上がさらに好ましい。
(A)~(C)の化合物のそれぞれの含有量は、非水電解液全量に対して0.01~7質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、電池特性を向上させることができる。該含有量は、非水電解液全量に対して0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
(D)~(I)の化合物のそれぞれの含有量は、非水電解液全量に対して0.001~8質量%であることが好ましい。この範囲では、被膜が厚くなり過ぎずに十分に形成され、一段と電池特性を向上させることができる。該含有量は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、非水電解液全量に対して6質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
(J)のリチウム塩化合物が非水電解液中に占めるそれぞれの割合は、非水電解液全量に対して0.01質量%以上5質量%以下である場合が好ましい。この範囲にあると一段と抵抗上昇抑制効果と電池特性を向上させることができる。好ましくは非水電解液全量に対して0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上である。また、より好ましくは非水電解液全量に対して3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
〔非水電解液の製造〕
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩および該非水溶媒に対して前記三フッ化ホウ素化合物とモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)を配合されてなる錯体塩を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒および非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液は、下記の第1~第3の蓄電デバイスに使用することができ、非水電解質として、液体状のものだけでなくゲル化されているものも使用し得る。更に本発明の非水電解液は固体高分子電解質用としても使用できる。中でも電解質塩にリチウム塩を使用する第1の蓄電デバイス用(即ち、リチウム電池用)または第3の蓄電デバイス用(即ち、リチウムイオンキャパシタ用)として用いることが好ましく、リチウム電池用として用いることが更に好ましく、リチウム二次電池用として用いることが最も適している。
〔第1の蓄電デバイス(リチウム電池)〕
本発明の第1の蓄電デバイスであるリチウム二次電池は、正極、負極および非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガンおよびニッケルからなる群より選ばれる1種または2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるかまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiCo1-x(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、ZnおよびCuから選ばれる1種または2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn、LiNiO、LiCo1-xNi(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiMnOとLiMO(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体およびLiNi1/2Mn3/2から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoOとLiMn、LiCoOとLiNiO、LiMnとLiNiOのように併用してもよい。
Mnを含有するリチウム複合金属酸化物を正極活物質として使用すると、特に充電時の金属溶出量が大きくなり、高温充電保存耐久性がより低下しやすいが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を特に抑制することができる。具体的な正極活物質としてLiMn、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2およびLiNi0.8Mn0.1Co0.1等が好適に挙げられる。
また、Niを含む正極活物質は、理論的なLi吸蔵量が多いため、蓄電デバイスの正極活物質として使用することが好ましい。しかしながら、Niを含む正極活物質は、Niの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。特に高温環境下での電池特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電池特性の低下を抑制することができる。蓄電デバイスの容量を向上させるという観点では、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、50atomic%以上が更に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1およびLiNi0.8Co0.15Al0.05等が好適に挙げられる。
更に、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩を用いることもできる。特に鉄、コバルト、ニッケルおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種以上含むリチウム含有オリビン型リン酸塩が好ましい。その具体例としては、LiFePO、LiCoPO、LiNiPOおよびLiMnPO等が挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、WおよびZr等から選ばれる1種以上の元素での置換が可能であり、またはこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePOまたはLiMnPOが好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。また、グラファイトとカーボンブラックを適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1~10質量%が好ましく、特に2~5質量%が好ましい。
正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤と混合し、これに1-メチル-2-ピロリドン等の高沸点溶剤を加えて混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃~250℃程度の温度で、2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm以上であり、より好ましくは、3g/cm以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm以上である。なお、上限としては、4g/cm以下が好ましい。
リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金およびリチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料〔易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm(ナノメータ)以上の難黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛など〕、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、LiTi12などのチタン酸リチウム化合物等を1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵および放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335~0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
複数の扁平状の黒鉛質微粒子が互いに非平行に集合或いは結合した塊状構造を有する人造黒鉛粒子や、例えば鱗片状天然黒鉛粒子に圧縮力、摩擦力、剪断力等の機械的作用を繰り返し与え、球形化処理を施した黒鉛粒子を用いることにより、負極の集電体を除く部分の密度を1.5g/cm以上の密度に加圧成形したときの負極シートのX線回折測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比I(110)/I(004)が0.01以上となると一段と正極活物質からの金属溶出量の改善と、充電保存耐久性が向上するので好ましく、0.05以上となることがより好ましく、0.1以上となることが更に好ましい。また、過度に処理し過ぎて結晶性が低下し電池の放電容量が低下する場合があるので、上限は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、高温充電保存耐久性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって高温充電保存耐久性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では高温充電保存耐久性が良好となる。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵および放出可能な金属単体や合金としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、Ti、In、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する金属が挙げられる。これらの金属は単体、合金、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよい。中でも、Si、GeおよびSnから選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、SiおよびSnから選ばれる少なくとも1種の金属が電池を高容量化できるので特に好ましい。
負極活物質としてのリチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、Ti、In、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、硼化物などが挙げられる。中でもSi元素およびTi元素を含有する金属化合物が電池特性を向上させるため好ましい。Si元素を含む金属化合物の中では、SiとSiOのコンポジット材料であるSiOはサイクル維持率を含む電池特性をより向上させることができるため好ましい。尚、前記xの範囲は0<x<2である。Ti元素を含む金属化合物の中では、LiTi12やTiNbを主成分とするチタン含有金属酸化物が充放電時の膨張収縮が小さく、難燃性であるため、電池の安全性を高める面では好ましい。
前記リチウム二次電池用負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出可能であれば特に制限されることはないが、リチウム金属、炭素材料、ケイ素金属、Si元素を含む金属酸化物(SiO)およびTi元素を含む金属酸化物(LiTi12やTiNbなど)から選ばれる1種単独または2種以上を組合せて用いることが好ましく、炭素材料、ケイ素金属、SiOから選ばれる1種単独または2種以上を組合せて用いることがさらに好ましい。
前記負極活物質として、炭素材料とSiO組合せて使用する場合、SiOの重量比は特に限定はされないが、負極活物質、導電剤、結着剤、高沸点溶剤とを含む負極合材全体の質量に対して30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃~250℃程度の温度で2時間程度真空下加熱処理することにより作製することができる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm以上であり、特に好ましくは1.7g/cm以上である。なお、上限としては、2g/cm以下が好ましい。
リチウム電池の構造には特に限定はなく、単層または複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート電池等を適用できる。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層または積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧が4.2V以上の高温充電保存耐久性に優れ、更に、4.3V以上においても特性は良好である。放電終止電圧は、通常2.8V以上、更には2.5V以上とすることができるが、本願発明におけるリチウム二次電池は、2.0V以上とすることができる。電流値については特に限定されないが、通常0.1~30Cの範囲で使用される。また、本発明におけるリチウム電池は、-40~100℃、好ましくは0~80℃で充放電することができる。
本発明においては、リチウム電池の内圧上昇の対策として、電池蓋に安全弁を設けたり、電池缶やガスケット等の部材に切り込みを入れる方法も採用することができる。また、過充電防止の安全対策として、電池の内圧を感知して電流を遮断する電流遮断機構を電池蓋に設けることができる。
〔第2の蓄電デバイス(電気二重層キャパシタ)〕
第2の蓄電デバイスは、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
〔第3の蓄電デバイス(リチウムイオンキャパシタ)〕
第3の蓄電デバイスは、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPFなどのリチウム塩が含まれる。
<製造例1>
(モノフルオロリン酸ビス(テトラメチルアンモニウム)と三フッ化ホウ素化合物を反応させて得られる錯体塩の製造方法)
撹拌子を入れた250mlPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)製反応器にモノフルオロリン酸ビス(テトラメチルアンモニウム)(5.78g、0.024mol)、別途三フッ化ホウ素ガスと炭酸プロピレンから調製した三フッ化ホウ素の炭酸プロピレン錯体(8.3%、39.2g、0.048mol)を混合し室温で終夜撹拌した。反応液中の不溶解分をPTFEメンブレンフィルター(アドバンテック社製、孔径:0.2μm)でろ別し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析結果は下記のとおりである。
19F-NMR(ベンゾトリフルオリド=-63.8ppm)δ:-74.0~-81.0(m)、δ:-140~-144ppm(m)、δ:-145~-148ppm(m)、δ:-150~-152ppm(m)
<製造例2>
(モノフルオロリン酸ジリチウムと三フッ化ホウ素化合物を反応させて得られる錯体塩の製造方法)
撹拌子を入れた500mlのPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂、以下同じ)製反応器にて、モノフルオロリン酸ジリチウム(15.0g、0.134mol)と、別途三フッ化ホウ素ガスと炭酸ジメチルから調製した三フッ化ホウ素の炭酸ジメチル錯体(40.2%、45.2g、0.268mol)と炭酸ジメチル(63.1g)とを混合し室温で終夜撹拌することで、反応液を得た。得られた反応液を19F-NMRにて分析した。分析結果は下記のとおりである。
19F-NMR(ベンゾトリフルオリド=-63.8ppm)δ:-75.0~-81.0ppm(m)、δ:-143~-148ppm(m)、δ:-149~-152ppm(m)、δ:-156~-158ppm(m)。
<実施例1>
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.8Mn0.1Co0.1(正極活物質);90質量%、炭素系導電剤;6質量%、を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1-メチル-2-ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、矩形の正極シートを作製した。また、天然黒鉛(負極活物質);98質量%と、カルボキシメチルセルロース(増粘剤);1質量%、スチレンブタジエンゴム(結着剤);1質量%を水に溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、負極シートを作製した。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
ただし、表中の非水電解液の組成は、錯体塩を除いた組成である。また、電解質塩の濃度の単位Mはmol/Lを示す。
ちなみに、実施例1の錯体塩を除いた非水電解液の質量比で示した組成は、ECが19.28質量%、FECが10.95質量%、MECが22.12質量%、DMCが31.28質量%、LiPFが14.14質量%となる。また、実施例1では、錯体塩として、製造例1で製造された錯体塩を使用した。
〔初期交流抵抗(高温充電保存前交流抵抗)、高温充電保存後交流抵抗の評価〕
上記の方法で作製した電池を用いて45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、0.2Cの定電流で放電終止電圧2.7Vで3サイクル充放電を行った。前記3サイクルの充放電までを当明細書では前処理と定義する。45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2Vまで充電を行い、85℃の恒温槽中で1日間静置した後、45℃の恒温槽中で0.2Cの定電流下終止電圧2.7Vまで放電した。前記45℃条件下での0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2Vまで充電し、85℃での静置、45℃条件の放電する操作を当明細書では高温保存試験と定義し、85℃での静置後の放電容量を残存容量と定義した。高温充電保存試験後に45℃の恒温槽中、0.2Cの定電流および定電圧で充電終止電圧4.2V、0.2Cの定電流で放電終止電圧2.7Vで1サイクルの充放電を行った。前記高温充電保存試験後の充放電の放電容量を、本明細書では回復容量と定義する。また、高温充電保存試験後に交流抵抗値の測定を行った。交流抵抗は高温保存試験後に充電率50%、0℃の恒温槽中で50mHzの交流インピーダンスの実部の抵抗値を測定した。高温充電保存後の残存容量、回復容量および交流抵抗値(電極界面抵抗値)を表1に示す。
残存容量、回復容量および交流抵抗のそれぞれの値は比較例1で測定した値を100%としたときの相対値である。
<比較例1>
錯体塩を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の作製および評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
錯体塩として、製造例2で製造された錯体塩を使用した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池の作製および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022063588000003
上記実施例1のリチウム二次電池は、本願発明の非水電解液において、本願発明の化合物を添加しない場合の比較例1のリチウム二次電池、ジフルオロリン酸リチウムと三フッ化ホウ素とを反応させてなる錯体塩を添加した場合の比較例2のリチウム二次電池に比べ、高温保存耐久性と、抵抗上昇抑制効果を向上させている。以上より、本願発明の蓄電デバイスを、高温で使用した場合の効果は、非水電解液中に、本願の化合物を含有する場合に特有の効果であることが判明した。
本発明の非水電解液を用いた蓄電デバイスは、電池を高温で使用した場合の電気化学特性に優れたリチウム二次電池等の蓄電デバイスとして有用である。

Claims (7)

  1. 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、三フッ化ホウ素化合物と、下記一般式(I)で表されるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)とを反応させてなる錯体塩を少なくとも1種含有する蓄電デバイス用非水電解液。
    Figure 2022063588000004
    (式中R~Rはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基を示す。ただし、R~Rのうち任意の2つ以上および/またはR~Rのうち任意の2つ以上が互いに結合を形成し、隣接する窒素原子とともに環を形成してもよい。)
  2. 前記一般式(I)中、R~Rがそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基である請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記錯体塩が、19F-NMR測定により得られるNMRチャートにおいて、化学シフト値-70~-82ppm、-140~-144ppm、-144~-148ppm、および-148~-152ppmにピークを有する請求項1または2に記載の非水電解液。
  4. 前記一般式(I)で表されるモノフルオロリン酸ビス(テトラアルキルアンモニウム)が、モノフルオロリン酸ビス(テトラメチルアンモニウム)およびモノフルオロリン酸ビス(テトラノルマルブチルアンモニウム)から選ばれる1種以上である請求項1~3のいずれかに記載の非水電解液。
  5. 前記錯体塩の濃度が、0.01~10質量%である請求項1~4のいずれかに記載の非水電解液。
  6. 正極、負極および非水電解液を備える蓄電デバイスであって、前記非水電解液が、請求項1~5のいずれかに記載の非水電解液である、蓄電デバイス。
  7. 前記負極に含まれる負極活物質がリチウムを吸蔵および放出可能なチタン原子を含有する金属酸化物である請求項6に記載の蓄電デバイス。
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