JP2022062906A - 実装基板 - Google Patents

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Yoshinori Ejiri
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祐貴 川名
Yuki Kawana
征央 根岸
Motohiro Negishi
勇一 谷中
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Abstract

【課題】熱応力を緩和することができ、接続信頼性に優れた実装基板を提供すること。【解決手段】絶縁基板と、該絶縁基板上に配置された焼結銅層と、絶縁基板と焼結銅層との間に配置された、絶縁基板と焼結銅層とを接合する接合層と、を備える実装基板。【選択図】図1

Description

本発明は実装基板に関する。
ファインセラミックス板の両面に銅板を貼り合わせたDBC(Direct Bonded Copper)基板及びAMC(Active Metal Brazed Copper)基板は、パワーエレクトロニクスにおいて、パワーデバイスの実装基板として用いられている。これらの実装基板は、パワーエレクトロニクス回路を構成する導体パターン、放熱板とパワーエレクトロニクス回路の絶縁を行う実装基板としての役割だけでなく、ファインセラミックスと銅の熱伝導率の高さを生かした放熱経路として働き、さらにファインセラミックス板の低熱膨張性を生かしてパワーデバイスとの接合層の熱応力を低減してパワー回路の信頼性を向上することができる。このため、上記実装基板は、特に信頼性を必要とするパワーエレクトロニクス分野で広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-71873号公報
近年、SiC又はGaNを用いたパワーデバイスが高温動作の点から注目されている。しかし、高温動作に伴う熱応力の増加、並びに、SiC(ヤング率:約440GPa)及びGaN(ヤング率:約200GPa)ではこれまでのSi(ヤング率:約130GPa)と比較してヤング率が高いことによる熱応力の増加により、接続信頼性の低下が問題になっている。DBC基板及びAMC基板において、セラミックス板(アルミナのヤング率:約380GPa、AlNのヤング率:約320GPa、SiNのヤング率:約300GPa)及び銅板(ヤング率:110~130GPa)もヤング率の高い材料であり、熱応力を緩和することは困難であった。また、DBC基板及びAMC基板は、高度な製造技術を必要とし、高価であることも課題となっている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、熱応力を緩和することができ、接続信頼性に優れた実装基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、絶縁基板と、該絶縁基板上に配置された焼結銅層と、上記絶縁基板と上記焼結銅層との間に配置された、上記絶縁基板と上記焼結銅層とを接合する接合層と、を備える実装基板を提供する。
上記実装基板において、上記焼結銅層の厚さは50μm以上1000μm以下であってもよい。
上記実装基板において、上記焼結銅層の熱伝導率は120W/m・K以上であってもよい。
上記実装基板において、上記焼結銅層のヤング率は10GPa以上70GPa以下であってもよい。
上記実装基板において、上記焼結銅層の緻密度が60体積%以上90体積%以下であってもよい。
上記実装基板において、上記絶縁基板はセラミックス基板又はガラス基板であってもよい。
上記実装基板は、上記焼結銅層の上記接合層とは反対側の面上に配置された金属箔層を更に備えてもよい。
上記実装基板において、上記接合層の厚さは10μm以下であってもよい。
本発明によれば、熱応力を緩和することができ、接続信頼性に優れた実装基板を提供することができる。
実装基板の一実施形態を示す模式断面図である。 実装基板の一実施形態を示す模式断面図である。 実装基板の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。 実装基板を用いた実装例を示す模式断面図である。 実装基板を用いた実装例を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態に係る実装基板は、絶縁基板と、該絶縁基板上に配置された焼結銅層と、上記絶縁基板と上記焼結銅層との間に配置された、上記絶縁基板と上記焼結銅層とを接合する接合層と、を備えるものである。上記構成を有する実装基板は、高発熱デバイス用の実装基板として使用可能な高熱伝導低熱応力実装基板である。
図1の(a)及び(b)は、実装基板の一実施形態を示す模式断面図である。図1の(a)に示す実装基板100は、絶縁基板2と、絶縁基板2の両面に配置された焼結銅層1と、絶縁基板2と焼結銅層1との間に配置された、絶縁基板2と焼結銅層1とを接合する接合層3と、を備える。実装基板100において、絶縁基板2の一方の面上に配置された焼結銅層1及び接合層3は、所定の導体パターンを形成している。図1の(b)に示す実装基板200は、図1の(a)に示す実装基板100の焼結銅層1上に更に金属箔層4を備える。実装基板200において、絶縁基板2の一方の面上に配置された焼結銅層1、接合層3及び金属箔層4は、所定の導体パターンを形成している。
図2の(a)及び(b)は、実装基板の他の一実施形態を示す模式断面図である。図2の(a)に示す実装基板300は、絶縁基板2と、絶縁基板2の片面に配置された焼結銅層1と、絶縁基板2と焼結銅層1との間に配置された、絶縁基板2と焼結銅層1とを接合する接合層3と、を備える。実装基板300において、焼結銅層1及び接合層3は、所定の導体パターンを形成している。図2の(b)に示す実装基板400は、図2の(a)に示す実装基板300の焼結銅層1上に更に金属箔層4を備える。実装基板400において、焼結銅層1、接合層3及び金属箔層4は、所定の導体パターンを形成している。
上述したような構成を有する実装基板は、絶縁基板2上に焼結銅層1を備えると共に、該焼結銅層1が接合層3を介して絶縁基板2に接合されていることにより、熱応力を十分に緩和することができ、優れた接続信頼性を得ることができる。これは、焼結銅層1が優れた電気伝導性及び優れた熱伝導性を有することで、高発熱デバイスを含む実装基板に実装される部品への電力供給機能と、発生した熱を速やかに拡散、排熱する機能とを発揮することができるためである。また、焼結銅層1は金属結合で結合しているため、共有結合で結合している絶縁基板2とは直接接合することが困難であるが、両者の間に接合層3を設けることにより、焼結銅層1と絶縁基板2との接合が可能となっている。
以下、上述した実装基板を構成する各部材について詳細に説明する。
(焼結銅層1)
焼結銅層(焼結Cu層)1は、高電気伝導性と高熱伝導性とを有し、高発熱デバイスを含む実装基板に実装される部品への電力供給機能と、発生した熱を速やかに拡散、排熱する機能とを発現する。
焼結銅層1の厚さは、例えば、50μm以上、1000μm以下であり、70μm以上、700μm以下が好ましく、100μm以上、500μm以下がより好ましい。厚さが50μm以上であれば、高発熱デバイスからの熱の速やかな拡散、放熱を可能とし、熱応力にも耐えられるようになる傾向がある。厚さが1000μm以下であれば、焼結銅層1の形成がし易くなり、また材料コストの面でも有利になる。
焼結銅層1のヤング率は、例えば70GPa以下であり、60GPa以下が好ましく、50GPa以下がさらに好ましい。これ以下のヤング率であれば熱応力が抑えられることから、温度サイクルに対する信頼性をより向上できる傾向がある。ヤング率の下限は、例えば10GP以上であり、15GPa以上が好ましく、20GPa以上がより好ましい。ヤング率がこれ以上であれば、焼結銅層1が脆弱となり難く、熱応力に対し焼結銅層1の破壊が生じる可能性を低減できる傾向がある。ヤング率は、ナノインデンタ、マイクロフォース試験機、万能材料試験機、四点曲げ試験機、三点曲げ試験機、引張試験機等により測定することができる。
焼結銅層1の降伏応力は、例えば80MPa以上であり、120MPa以上が好ましく、130MPa以上がより好ましい。降伏応力は熱応力に対する破壊耐性に関わり、高いほど好ましい。降伏応力は、マイクロフォース試験機、万能材料試験機、四点曲げ試験機、三点曲げ試験機、引張試験機等により測定することができる。
焼結銅層1の緻密度は、例えば60体積%以上であり、64体積%以上が好ましく、67体積%以上がより好ましい。緻密度の上限は、90体積%以下であり、85体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましい。緻密度が60体積%以上であると、熱サイクル信頼性が向上し、繰り返し熱ひずみがかかった際の焼結銅層1の破壊を抑制して信頼性が高くなる傾向があり、90体積%以下であると、ヤング率が低くなり、デバイスへの熱応力破壊が抑制されやすくなる傾向がある。緻密度は、外形形状と質量からの密度測定、蛍光X線強度測定、3次元FIB/SEM像等により測定することができる。
焼結銅層1の熱伝導率は、例えば120W/m・K以上であり、150W/m・K以上が好ましく、160W/m・K以上がより好ましい。放熱の観点から熱伝導率は大きいほど好ましいが、緻密な銅の熱伝導率が401W/m・Kであることから、この値が上限となる。熱伝導率は、フラッシュ法熱拡散率測定装置、サーモウエーブアナリシス、過渡熱測定結果の熱シミュレーションによる併せこみ等により測定することができる。
焼結銅層1の熱伝導率は、厚さ方向と面方向の熱伝導率に差があってもよく、(面方向の熱伝導率)/(厚さ方向の熱伝導率)×100(%)の値が、100%より大きい場合には高発熱デバイスで発生した熱を面方向に素早く広げ拡散させる効果が得られるため好ましい。この値は、105%以上が好ましく、120%以上がより好ましい。
このような焼結銅層1は、銅粒子の焼結により形成することができる。焼結銅層1は、乾燥銅粒子を直接堆積した後、焼結することで形成することもできる。また、銅粒子を分散媒でペースト状としたCuペーストを塗布、乾燥後に焼結することでも形成できる。
Cuペーストは例えば、銅粒子、分散媒、その他の金属粒子、添加剤から構成され、少なくとも銅粒子と分散媒とを必須成分とする。
銅粒子は、粒径、形状、表面処理剤、組成によりさまざまな種類があり、それらの構成も様々であるが、焼結することができれば、その種類・構成を問わない。
銅粒子の粒径は、小さいほど焼結温度が低下でき、反面、大きいほど分散性・Cuペースト濃度増加の点で有利となる。焼結温度を300℃以下とするため、銅粒子の一部を1μm以下の粒子で構成することが好ましい。さらに、分散性、濃度の点から100nm以下のCu粒子の割合は、全金属粒子の質量を基準として0質量%から30質量%であることが好ましい。また、Cuペースト濃度の増加、焼結時体積収縮の抑制の点から、1μmより大きい銅粒子を含んでいてもよい。
銅粒子の形状は、球状、擬球状、フレーク状、長円状、針状、樹状が挙げられる。複数の形状の銅粒子を含んでいてもよい。
銅粒子の表面処理剤は、銅粒子の酸化及び凝集を抑えるために使用され、例えば、ドデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p-フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤などが挙げられる。表面処理剤は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
銅粒子の組成は、金属銅、酸化銅、亜酸化銅を主成分とする。特に、金属銅粒子であっても、表面が自然酸化され酸化銅、亜酸化銅を不作為的に含む場合がある。銅の物性改善の点から銅粒子が銅・酸素以外の元素を5質量%以下含んでいてもよい。このような元素として、Si、Mg、Al、Ag、Ni、Fe、Zr、Ge、Mn、Sn、Zn、P、S、Mo、Ta等が挙げられる。
Cuペーストの分散媒は、銅粒子と混ぜて可撓性を付与し、乾燥あるいは焼成において除去されるものであれば特に限定されない。このような分散媒として、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、ブチルセロソルブ、カルビトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-メチルエーテル、イソボニルシクロヘキサノール、トリブチリン、テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、イソボルニルシクロヘキサノール(例えば、日本テルペン化学株式会社製の「MTPH」)、イソオクタデカノール(例えば、日産化学工業株式会社製の「ファインオキソコール180」及び「ファインオキソコール180T」)、1-ヘキサデカノール(セチルアルコール)、2-ヘキサデカノール(例えば、日産化学工業株式会社製の「ファインオキソコール1600」)、9-オクタデセノール(オレイルアルコール)等のアルキルアルコール;オクタン酸オクチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル(例えば、花王株式会社製の「エキセパールBS」)、ステアリン酸ステアリル(例えば、花王株式会社製の「エキセパールSS」)、ステアリン酸2-エチルヘキシル(例えば、花王株式会社製の「エキセパールEH-S」)、ステアリン酸イソトリデシル(例えば、花王株式会社製の「エキセパールTD-S」)、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサン酸)、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、トリブチリン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、メチルヘプタデカン、トリデシルシクロヘキサン、テトラデシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘプタデシルベンゼン、ノニルナフタレン、ジフェニルプロパン、ペンチルフェノール、ベンジルフェノール、2-(4-メトキシフェニル)エタノール(メトキシフェネチルアルコール)、安息香酸ベンジル、ヘキサデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、シンメチリンなどが挙げられる。
Cuペーストのその他の金属粒子としては、例えば、亜鉛、錫、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子が挙げられる。その他の金属粒子の体積平均粒径は、0.01~10μmであってよく、0.01~5μmであってもよく、0.05~3μmであってもよい。その他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。その他の金属粒子の含有量は、充分な接合性を得る観点から、金属粒子の全質量を基準として、20質量%未満であってよく、10質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
その他の金属粒子として、融点の低い金属種からなる金属粒子を用いた場合、焼結温度の低減効果が得られる傾向がある。さらに、複数種の金属が固溶又は分散した焼結体を得ることができるため、焼結体の降伏応力、疲労強度等の機械的な特性が改善され、接続信頼性が向上しやすい。また、複数種の金属粒子を添加することで、接合材の焼結体(焼結銅層)は、特定の被着体に対して充分な接合強度を有することができる。焼結銅層をマイクロデバイスの接合に用いる場合は、マイクロデバイスのダイシェア強度及び接続信頼性が向上しやすい。
Cuペーストの添加剤としては、還元剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、形状保持剤等が挙げられる。
還元剤を添加することで、5%以下水素含有イナートガス中、窒素中、又はアルゴン中のような還元性の低い又は還元性の無いガス雰囲気下での焼結が可能となる。このような還元剤としては、焼結温度である200℃以上までCuペースト中に残存できる還元剤である必要があり、このような還元剤として、グリセリン、ジグリセリン、ヘキサントリオール、フロログルシノール等の多価アルコール類、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グルコース等の糖類、シュウ酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸等のカルボン酸類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド類、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の多価アルコールあるいはエーテルポリマー類などが挙げられる。
Cuペーストの印刷性の向上及び印刷後の形状安定性の向上を目的に、粘度調整剤、表面張力調整剤、形状保持剤を添加してもよい。表面張力調整剤としてはノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。粘度調整剤としてはアルキルアミン、アルキルカルボン酸、シリコーン、ポリアクリル酸、多糖類等が挙げられる。形状保持剤としてはポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリエステルからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ポリカーボネートがより好ましい。ポリカーボネートとしては、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリ(ブチレンカーボネート)等のポリ(アルキレンカーボネート)などが挙げられる。
(絶縁基板2)
絶縁基板2は、低熱膨張絶縁基板であることが好ましい。絶縁基板2は、低熱膨張性と絶縁性と熱伝導性を有し、高熱伝導低熱応力実装基板の熱膨張率の調整と、焼結銅層1を流れる電流の絶縁と、高発熱デバイスより発生した熱の排熱の機能を発現する。
このような低熱膨張絶縁基板は、セラミックス基板、ガラス基板、単結晶基板が好ましく、コストの点からセラミックス基板がより好ましい。
セラミックス基板の材質としては、熱伝導率と低熱膨張率の両立の観点からアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア、窒化ホウ素、ムライト、コージライト、ステアタイト、フォルステライト、サーメット等が挙げられ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素が特に好ましい。
ガラス基板の材質としては、石英ガラス、結晶化ガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
単結晶基板の材質としては、アルミナ、ダイヤモンド、クオーツ等が挙げられる。
また、絶縁基板2の熱膨張係数を高発熱デバイスの熱膨張係数に近付けることで熱応力を低減し、接続信頼性を向上させることができる。高発熱デバイスは、Si、SiC、GaN、GaP、GaAs、InP、GaO、Al等から構成される多く、熱膨張係数はそれぞれSi:2.4、SiC:4.2(4.7)、GaN:5.6(3.2)、GaP:5.3、GaAs:6.0、InP:4.5、GaO、Al:5.0(いずれも単位はppm/K)となっている。これらの熱膨張係数は、放熱板を構成する金属の銅(16.8ppm/K)及びアルミニウム(23.0ppm/K)と比べて低い。そのため、絶縁基板2と焼結銅層1とを合わせた合成熱膨張係数を、高発熱デバイスの熱膨張係数に近づける、又は、絶縁基板2と焼結銅層1とを合わせた合成熱膨張係数を、高発熱デバイスの熱膨張係数と放熱板の熱膨張係数との中間に設定することで、全体の熱応力を低減することができる。このため、絶縁基板2の熱膨張係数は低いほど好ましく、例えば、SiNセラミック(2.8ppm/K)、SiCセラミック(3.7ppm/K)、AlNセラミック(4.6ppm/K)等を用いることが好ましい。また、本実施形態の実装基板では、稠密な銅と比較して低ヤング率の焼結銅層1で配線層が構成されているため、熱応力が低減でき、従来のDBC基板及びAMC基板より熱膨張係数の大きな絶縁基板2として、例えば、アルミナ(7.2ppm/K)、ジルコニア(10.5ppm/K)等を用いてもよい。
絶縁基板2の厚さは、絶縁性、熱サイクル信頼性の調整の点で、焼結銅層1の厚さとの兼ね合いになる。
(接合層3)
金属結合で結合している焼結銅層1と、共有結合で結合している絶縁基板2との間は、直接接合することが困難であり、両者の間に接合層3を必要とする。接合層3の形成方法としては、銅箔又は銅板を絶縁基板2上に高温高圧で直接接合させる方法(DBC法)、銅箔又は銅板をロウ材により絶縁基板2と接合させる方法(AMC法)、絶縁基板2上に接合層を蒸着又はスパッタで形成する方法等が挙げられる。
DBC法では、絶縁基板2と銅箔又は銅板とを重ねて高温高圧にすることで接合される。この際、銅箔又は銅板の表面の銅酸化物と絶縁基板2の酸化物とが界面で混ざりあい、ガラスの遷移層が形成されて接合される。絶縁基板2がAlN等であるなど酸化物ではない場合には、酸化雰囲気中での加熱等により酸化物層を形成した後、DBC法で接合される。
AMC法は、銅箔又は銅板と絶縁基板2のどちらとも接合できるロウ材を介し、高温高圧下で接合する方法である。ロウ材としては、銅箔又は銅板と絶縁基板2との両方と接合できるTi及びCrのような活性金属、並びに、融点を調整するAg及びCu等が挙げられる。
このような、DBC法で接合されたDBC基板、及び、AMC法で接合されたAMC基板は市販されており、このような市販の基板を購入して用いてもよい。DBC基板及びAMC基板の銅箔又は銅板上に焼結銅層1を必要な厚さまで形成することで、本実施形態の実装基板を形成し、接続信頼性の向上及びデバイスからの放熱性の向上の効果が得られる。
接合層3を蒸着又はスパッタで形成する方法では、絶縁基板2と接合性を有する金属(例えばTi及びCr等)を蒸着又はスパッタで形成し、続けて焼結銅層1と接続性のあるCu及びNi等を蒸着又はスパッタで形成することで、接合層3を形成することができる。
接合層3の厚さは、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
(金属箔層4)
本実施形態の実装基板は、絶縁基板2上に接合層3、焼結銅層1の順に積層されているが、焼結銅層1の外側に金属箔層4を有していてもよい。焼結銅層1は多孔質の焼結体であるため、はんだ又は接合用ペーストをこの上に用いた場合、焼結銅層1中に吸収されデバイスの接合が困難になることがある。焼結銅層1の上に金属箔層4を設けることでこの問題を解決できる。焼結銅層1の形成時に必要なデバイス素子を同時に接合する場合、又は、焼結接合材で接合する場合等、接合に問題が生じない場合にはこの金属箔層4は必要ない。
金属箔層4の材質としては、導電性、熱伝導性に優れた金属を用いることができ、その観点から銅、銀、アルミが好ましく、価格及び焼結銅層1と同質金属である点から銅がより好ましい。これらの金属に5質量%以下の異種元素を混合した合金の金属箔を用いてもよい。焼結銅層1との接合性、表面の酸化・変色防止のために、金属箔層4には異なる金属がめっきされていてもよい。めっきされる金属としては、銅、ニッケル、パラジウム、金、銀、及びこれらを主成分とする合金が挙げられる。
金属箔層4の厚さは、熱応力の低減の観点から薄い方が好ましく、32μm以下が好ましく、16μm以下がより好ましく、12μm以下がさらに好ましい。ただし、金属箔層4は薄くなると取り扱いが困難になり、価格も高くなることから、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。
金属箔層4の表面は、接着性向上のため粗化されていてもよい。
(実装基板の製造方法)
本実施形態に係る実装基板の製造方法は、絶縁基板2上に接合層3を形成する工程と、接合層3上に焼結銅層1を形成する工程とを含む。焼結銅層1表面に金属箔層4を形成する場合には、焼結銅層1を形成する工程で同時に金属箔層4を接合することができる。
絶縁基板2上に接合層3を形成する工程としては、絶縁基板2上に絶縁基板2とも金属とも接合する活性金属、例えばTi、Cr、Zr、W、Mo、V、Nb、Taを蒸着あるいはスパッタリングで成膜し、続けて焼結銅層1と接着性のある金属、例えばCu、Ni、Pd、Ag、Au、Ptを蒸着あるいはスパッタリングで成膜することで接合層3を形成できる。
活性金属の層の厚さは、例えば5nm以上であり、10nm以上が好ましい。これ以上の厚さであると、膜欠陥を低減できる傾向にある。活性金属の層の厚さは、例えば200nm以下であり、100nm以下が好ましい。不必要に厚い活性金属層はコスト、製造時間を増大させ好ましくない。
焼結銅層1と接着性のある金属の層は、活性金属の層の上にCu、Ni、Pd、Ag、Au、Ptを単独で成膜してもよいし、Ni/Au、Ni/Ag、Ni/Pd、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、Ni/Pt、Ni/Pt/Au、Ni/Pt/Agのように異なる金属を複数層設けてもよい。このような構成とすることで、活性金属層が他の金属層へ拡散して接合強度が低下することを防ぐことができる。
焼結銅層1と接着性のある金属の層の厚さは、活性金属の拡散防止の観点から、例えば10nm以上であり、50nm以上が好ましい。また、厚さの上限は1000nm程度である。これ以下の厚さであると、内部応力により剥離又はひび割れが発生することを抑制しやすい。
また、前述のように絶縁基板2上に接合層3を形成したDBC基板又はAMC基板を購入して用いてもよい。
焼結銅層1を形成する工程は、上述したCuペーストを絶縁基板2上に形成された接合層3上に配置し、焼結して焼結銅層1とすることで実現できる。
Cuペーストを接合層3上に配置する方法は、Cuペーストを付着させることができる方法であればよく、公知の方法を採用することができる。Cuペーストを接合層3上に配置する方法の具体例としては、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ジェット印刷等の印刷による方法、ディスペンサ(例えば、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、スクリューディスペンサ)、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコータ、バーコータ、アプリケータ、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ等を用いる方法、ソフトリソグラフィによる方法、粒子堆積法、電着塗装による方法などが挙げられる。
配置されたCuペーストは、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制する観点から、乾燥させてもよい。すなわち、本実施形態の製造方法は、焼結して焼結銅とする工程の前に、Cuペーストを乾燥させる乾燥工程を更に備えていてもよい。
乾燥は、大気中で行ってよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気中で行ってもよく、水素、ギ酸等の還元雰囲気中で行ってもよい。乾燥方法は、常温(例えば25℃)に放置することによる乾燥であってよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥条件(乾燥の温度及び時間)は、Cuペーストに使用した揮発成分(例えば有機溶剤及び熱分解性樹脂等の金属粒子以外の成分)の種類及び量に応じて適宜設定してよい。乾燥条件(乾燥の温度及び時間)としては、例えば、50℃以上130℃未満で1~120分間乾燥させる条件であってよい。
次に、Cuペーストを焼結して焼結銅層1とする。これにより、焼結銅層1中の粒子同士が焼結して、金属結合を形成し、熱伝導性、導電性に優れた層を形成する。また、この時、接合層3表面とも焼結により金属結合を形成して強固に接合する。Cuペーストの焼結は加熱処理あるいは加熱加圧処理で行うことができる。
加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
加熱加圧処理には、熱板プレス装置、熱圧着装置等を用いてもよいし、重りを乗せて加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよいし、ばね冶具等で加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよい。
なお、接合層3上に焼結銅層1を形成する工程は、予め基材フィルム上に形成したCuペースト層を接合層3上に転写する方法により行ってもよい。この場合、例えば以下の方法で実装基板を製造することができる。まず、基材フィルム20上にマスク30を配置し、マスク30上からCuペーストを塗布してCuペースト層11を形成する(図3の(a)参照)。その後、マスク30を剥離して、基材フィルム20上にパターン化されたCuペースト層11を有する積層体(第1積層体)を得る(図3の(b)参照)。この第1積層体と、絶縁基板2上に接合層3が形成された第2積層体とを、第1積層体のCuペースト層11と第2積層体の接合層3とが接するように位置決めして貼り合わせ、加圧しながら乾燥及び焼結する(図3の(c)参照)。これにより、Cuペースト層11が焼結され、焼結銅層1が形成される。その後、基材フィルム20を剥離することで、絶縁基板2と、該絶縁基板2上に形成された接合層3と、該接合層3上に形成された焼結銅層1と、を備える実装基板を得ることができる(図3の(d)参照)。上記方法において、加圧状態でCuペースト層11の焼結を行うことにより、焼結後の焼結銅層1にクラックが発生することをより一層防止することができる。
上記方法において、基材フィルム20としては特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、ステンレス板、ポリイミド等の耐熱樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレンコート金属板等を用いることができる。また、マスク30としては特に限定されないが、例えば、SUSステンシルマスク、スクリーン印刷版等を用いることができる。また、Cuペーストとしては、Cuペースト層11の形状維持の観点から、比較的高粘度のCuペーストを用いることが好ましい。また、第1積層体と第2積層体とを貼り合わせる前に、Cuペースト層11の形状維持の観点から、Cuペースト層11を乾燥させてもよい。
上記方法において、図3の(c)に示すように第1積層体と第2積層体とを加圧しながら乾燥及び焼結する手段としては、例えば、ばねによる加圧機構を有する冶具を用いた雰囲気制御オーブン加熱、雰囲気制御熱圧着装置、熱板プレス、加圧焼結接合装置、静水圧熱圧着装置等を用いることができる。ここで、加圧時の圧力は0.1MPa以上20MPa以下とすることができる。なお、乾燥及び焼結の方法及び条件は、先に説明したものと同様の方法及び条件を採用することができる。また、乾燥は、上述したように第1積層体と第2積層体とを貼り合わせる前に行ってもよい。
(実装基板を用いた実装例)
本実施形態の実装基板の片面には、放熱板又は水冷板が接続され、他方の面には、高発熱デバイス素子、受動素子、電極端子等が実装される。
図4は、本実施形態の実装基板を用いた実装例を示す模式断面図である。図4に示す実装例500は、図1の(a)に示す実装基板100における導体パターンを形成した焼結銅層1上に、デバイスチップ(半導体チップ)5、電極端子7及び金属ワイヤ(金属フレーム)9を実装したものである。金属ワイヤ9は、デバイスチップ5と、該デバイスチップが実装されている焼結銅層1とは別の焼結銅層1とを電気的に接続している。また、実装例500において、導体パターンを形成していない焼結銅層1上には、放熱板又は水冷板8が設けられている。
図5は、本実施形態の実装基板を用いた実装例を示す模式断面図である。図5に示す実装例600は、図1の(b)に示す実装基板200における導体パターンを形成した金属箔層4上に、ダイボンド材6を介してデバイスチップ(半導体チップ)5及び電極端子7を実装し、デバイスチップ5及び電極端子7を実装した部分以外の金属箔層4を除去した後、デバイスチップ5と、該デバイスチップが実装されている焼結銅層1とは別の焼結銅層1とを電気的に接続する金属ワイヤ(金属フレーム)9を実装したものである。また、実装例600において、導体パターンを形成していない金属箔層4上には、ダイボンド材6を介して放熱板又は水冷板8が設けられている。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(絶縁基板及び接合層の形成)
低熱膨張絶縁基板として、縦50mm×横50mm×厚さ0.25mmのアルミナ板を購入して用いた。アルミナ板の両面に、Ti(50nm)/Ni(100nm)の層(Ti層がアルミナ板側)をスパッタにより形成し、接合層とした。以下、絶縁基板の一方の面上に形成された接合層を第1接合層、他方の面上に形成された接合層を第2接合層と呼ぶ。
(Cuペーストの調製)
擬球状銅粒子500.00gとテルピネオール49.45gとを秤量し、プラネタリミキサ(特殊機化工業社製)を用いて100rpmで30分混合した。得られた混合物を3本ロールミルで3度処理して、擬球状銅粒子スラリを得た。次に、擬球状銅粒子スラリ510.59g、テルピネオール45.25g、イソブチルアルコール4.80g、板状銅粒子237.95g、亜鉛粒子1.41gを秤量し、プラネタリミキサで混合した。得られた混合物をプラスチック容器にとり、自転公転ミキサー(あわとり練太郎、シンキー社製)で2000rpmで2分脱泡してCuペーストとした。
(高熱伝導低熱応力実装基板の作製及びデバイスチップの実装)
厚さ500μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板に40mm×40mmの正方形の開口を設けて第1マスクとした。この第1マスクを接合層が形成された絶縁基板の第1接合層上に重ね、開口部にCuペーストを詰め、スキージで余分なCuペーストを除き、第1マスクを外して平坦な第1Cuペースト層を第1接合層上に形成した。次に、厚さ1000μmのPTFE板に45mm×45mmの正方形の開口を設けて第2マスクとした。この第2マスクを接合層が形成された絶縁基板の第2接合層上に重ね、開口部にCuペーストを詰め、スキージで余分なCuペーストを除き、第2マスクを外して平坦な第2Cuペースト層を第2接合層上に形成した。
次に、第1及び第2Cuペースト層上に、SiCチップ(被着面にTi/Ni層をスパッタ形成した縦5mm×横5mm×厚さ0.3mmのチップ)をマウントした。得られたサンプルを防爆温風オーブン中で90℃、15分乾燥した。その後、水素炉(神港精機社製)中で、水素中300℃で1時間焼成して焼結銅層を形成すると同時にSiCチップを接合し、高熱伝導低熱応力実装基板を得た。粘着テープで高熱伝導低熱応力実装基板の外周に沿ってダムをつくり、シリコーンゲル(SE1880、Dowcorning社製)をSiCチップ全体が被るまで注ぎ、防爆温風オーブン中で70℃30分、150℃1時間の条件で硬化して実装サンプルとした。
[実施例2]
(高熱伝導低熱応力実装基板の作製)
実施例1と同様の方法で、アルミナ板の両面にTi(50nm)/Ni(100nm)の層を形成した後、Ni層上に更に無電解Niめっき(100nm)、フラッシュPdめっき(10nm)を行い、接合層とした。これにより、被着面をPdとした。
(Cuペーストの調製)
擬球状銅粒子500.00gとテルピネオール49.45gとを秤量し、プラネタリミキサ(特殊機化工業社製)を用いて100rpmで30分混合した。得られた混合物を3本ロールミルで3度処理して、擬球状銅粒子スラリを得た。次に、擬球状銅粒子スラリ540.19g、テルピネオール14.60g、テトラエチレングリコール20.78g、板状Cu粒子123.2g、亜鉛粒子1.23gを秤量し、プラネタリミキサで混合した。得られた混合物をプラスチック容器にとり、自転公転ミキサー(あわとり練太郎、シンキー社製)で2000rpmで2分脱泡してCuペーストとした。
(高熱伝導低熱応力実装基板の作製及びデバイスチップの実装)
厚さ500μmのPTFE板に15mm×15mmの正方形の開口を設けて第1マスクとした。この第1マスクを接合層が形成された絶縁基板の第1接合層上に重ね、開口部にCuペーストを詰め、スキージで余分なCuペーストを除き、第1マスクを外して平坦な第1Cuペースト層を第1接合層上に形成した。次に、厚さ1000μmのPTFE板に45mm×45mmの正方形の開口を設けて第2マスクとした。この第2マスクを接合層が形成された絶縁基板の第2接合層上に重ね、開口部にCuペーストを詰め、スキージで余分なCuペーストを除き、第2マスクを外して平坦な第2Cuペースト層を第2接合層上に形成した。
この両面にCuペースト層を形成した絶縁基板を防爆温風オーブン中で90℃、30分乾燥してテルピネオールを除いた。乾燥した第1及び第2Cuペースト層上に15mm×15mmに切断した12μm厚の銅箔(ニラコ社製)をそれぞれ載せ、その上にポリイミドシート及び膨張黒鉛シートを載せて、雰囲気制御圧着装置(アユミ工業社製)の中で、窒素中5MPa、300℃、30分熱圧着して焼結銅層と金属箔層とを形成した。これにより、高熱伝導低熱応力実装基板を得た。
次に、焼結Cu接合材(ダイボンド材)を、5mm×5mmの開口を有する200μm厚のSUSマスクを用いて高熱伝導低熱応力実装基板の銅箔上に塗布し、その上にSiCチップ(被着面にTi/Ni層をスパッタ形成した縦5mm×横5mm×厚さ0.3mmのチップ)をマウントした。その後、水素炉(神港精機社製)中で、水素中225℃で1時間処理して焼結Cu接合材を焼結して、SiCチップと高熱伝導低熱応力実装基板とを接合した。粘着テープで高熱伝導低熱応力実装基板外周に沿ってダムをつくり、シリコーンゲル(SE1880、Dowcorning製)をSiCチップ全体が被るまで注ぎ、防爆温風オーブン中で70℃30分、150℃1時間の条件で硬化して実装サンプルとした。
ここで、上記焼結Cu接合材(ダイボンド材)は、以下のようにして準備したものである。分散媒としてジヒドロターピネオール(日本テルペン株式会社製)2.25g及びサブマイクロ銅粒子としてCH-0200(三井金属鉱業株式会社製)22.75gを混合し、3本ロールにて三回処理して中間体を得た。中間体20.25g、ジヒドロターピネオール0.39g、トリブチリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.990gと、マイクロ銅粒子として3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製)8.22gをメノウ乳鉢で乾燥粉がなくなるまで混練し、混合液をポリ瓶に移した。密栓をしたポリ瓶を、自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)を用いて、2000min-1(2000回転/分)で2分間撹拌した。その後、亜鉛(製品番号:13789、Alfa Aesar社製)0.06gと混合液をメノウ乳鉢で乾燥粉がなくなるまで混練し、混合液をポリ瓶に移した。密栓をしたポリ瓶を、自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)を用いて、2000min-1(2000回転/分)で2分間撹拌して焼結Cu接合材(ダイボンド材)とした。
[比較例1]
市販のDBC基板(京セラ社製、サイズ:縦22mm×横22mm、アルミナ板厚み:0.4mm、両面銅板厚み:各0.2mm、被着面:銅)上に、5mm×5mm×厚さ0.1mmの高鉛はんだシートを置き、その上にSiCチップ(被着面にTi/Ni層をスパッタ形成した縦5mm×横5mm×厚さ0.3mmのチップ)を置いた。その後、水素炉(神港精機社製)中で、水素中350℃で処理して高鉛はんだを溶融し、SiCチップとDBC基板とを接合した。粘着テープでDBC基板外周に沿ってダムをつくり、シリコーンゲル(SE1880、Dowcorning製)をSiCチップ全体が被るまで注ぎ、防爆温風オーブン中で70℃30分、150℃1時間の条件で硬化して実装サンプルとした。
<接続信頼性の評価:温度サイクル試験>
実施例及び比較例で得られた実装サンプルについて、温度サイクル試験装置(TSA-72ES-W、エスペック社製)中で温度サイクル試験を行った。温度サイクル条件は、低温側-40℃、高温側250℃、各温度ステップ30分の条件で行った。超音波映像装置(InSight-300、Insight社製)で、温度サイクル試験前、500サイクル後、1000サイクル後、2000サイクル後の各界面の接合状態を観察した。界面に剥離及びヒビの無いものを「良好」とし、剥離又はヒビが発生したものを「不良」とした。結果を表1に示す。
Figure 2022062906000002
1…焼結銅層、2…絶縁基板、3…接合層、4…金属箔層、5…デバイスチップ、6…ダイボンド材、7…電極端子、8…放熱板又は水冷板、9…金属ワイヤ、100,200,300,400…実装基板、500,600…実装例。

Claims (8)

  1. 絶縁基板と、該絶縁基板上に配置された焼結銅層と、前記絶縁基板と前記焼結銅層との間に配置された、前記絶縁基板と前記焼結銅層とを接合する接合層と、を備える実装基板。
  2. 前記焼結銅層の厚さが50μm以上1000μm以下である、請求項1に記載の実装基板。
  3. 前記焼結銅層の熱伝導率が120W/m・K以上である、請求項1又は2に記載の実装基板。
  4. 前記焼結銅層のヤング率が10GPa以上70GPa以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の実装基板。
  5. 前記焼結銅層の緻密度が60体積%以上90体積%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の実装基板。
  6. 前記絶縁基板がセラミックス基板又はガラス基板である、請求項1~5のいずれか一項に記載の実装基板。
  7. 前記焼結銅層の前記接合層とは反対側の面上に配置された金属箔層を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の実装基板。
  8. 前記接合層の厚さが10μm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の実装基板。
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