JP2022059577A - カーボンナノチューブ複合部材の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粘着材における皺の発生を抑制する。【解決手段】CNT複合部材の製造方法は、第1シート部の一方の主面の少なくとも周辺領域に、第1シート部よりも熱膨張率が小さい粘着材を貼付する工程(ステップS11)と、一対の電極、および、一対の電極間を接続するCNT成形体を、第1シート部の上面上に配置する工程(ステップS12)と、第1シート部よりも熱膨張率が小さい支持部材を第1シート部に固定する工程(ステップS13)と、接続シート部を加熱することにより、接続シート部に含浸している溶剤を気化させて除去する工程(ステップS14)と、第1シート部と第2シート部とを、接続シート部および粘着材を間に挟んで積層し、粘着材により第2シート部を第1シート部に固定して接続シート部を封止する工程(ステップS16)と、を備える。これにより、粘着材における皺の発生を抑制することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、カーボンナノチューブ複合部材の製造方法に関する。
近年、複数のカーボンナノチューブを様々な形状に成形し、ヒータやセンサ等の様々な製品に利用することが提案されている。例えば、特許文献1では、加熱素子であるカーボンナノチューブフィルムを2枚の基板で挟み、当該2枚の基板とカーボンナノチューブフィルムとをホットメルトグルーにて接合したヒータが提案されている。
特許第5721995号公報
ところで、カーボンナノチューブフィルムを製造する際には、多数のカーボンナノチューブを凝集させるために、エタノール等の溶剤がカーボンナノチューブフィルムに付与される場合がある。当該溶剤は、凝集後の乾燥処理によってある程度除去されるが、多数のカーボンナノチューブの間に吸着して残存している。このため、当該カーボンナノチューブフィルムを基板間に封止してヒータを形成すると、ヒータ使用時の熱により基板間にて溶剤が気化し、基板が外側へと膨らんで異常加熱等が生じるおそれがある。
そこで、一方の基板の主面に両面粘着テープ等の粘着材を介してカーボンナノチューブフィルムおよび電極を固定した後、ベーキング等の加熱処理を行ってカーボンナノチューブフィルムに吸着している溶剤を除去することが考えられる。この場合、ベーキング後に、当該一方の基板に他方の基板を積層し、カーボンナノチューブフィルムの周囲において上述の粘着材を介して基板同士を接合するが、ベーキング時に当該粘着材に皺が発生し、封止の不具合や外観の悪化が生じるおそれがある。当該皺の発生は、ベーキング時に基板が比較的大きく熱膨張することにより、粘着材が不可逆的に伸ばされたことによると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、粘着材における皺の発生を抑制することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、カーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、a)第1シート部の一方の主面の少なくとも周辺領域に、前記第1シート部よりも熱膨張率が小さい粘着材を貼付する工程と、b)一対の電極、および、前記一対の電極間を接続するカーボンナノチューブ成形体を、前記第1シート部の前記一方の主面上に配置する工程と、c)前記第1シート部よりも熱膨張率が小さい支持部材を前記第1シート部に固定する工程と、d)前記a)工程ないし前記c)工程よりも後に、前記カーボンナノチューブ成形体を加熱することにより、前記カーボンナノチューブ成形体に含浸している溶剤を気化させて除去する工程と、e)前記d)工程よりも後に、前記第1シート部と第2シート部とを、前記カーボンナノチューブ成形体および前記粘着材を間に挟んで積層し、前記粘着材により前記第2シート部を前記第1シート部に固定して前記カーボンナノチューブ成形体を封止する工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記d)工程よりも後に、前記支持部材を前記第1シート部から除去する工程をさらに備える。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記c)工程において、前記支持部材は、前記第1シート部の他方の主面上に固定される。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記c)工程において、前記支持部材は、前記周辺領域上の前記粘着材と重なる位置に固定される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記c)工程において、前記支持部材は、前記一対の電極の一方から他方に向かう方向に沿って、前記周辺領域に固定される。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記a)工程において、前記粘着材は、前記第1シート部の前記一方の主面の全面に亘って貼付される。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記カーボンナノチューブ成形体は、前記一対の電極間に供給される電力により発熱して対象物を加熱する電熱部である。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記粘着材は、シート状の基材の両面に粘着層が設けられた両面粘着テープである。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、f)前記e)工程よりも前に、前記第2シート部の主面に他の粘着材を貼付する工程をさらに備え、前記e)工程は、g)前記第1シート部、前記粘着材および前記カーボンナノチューブ成形体上に、前記カーボンナノチューブ成形体と前記他の粘着材とを対向させつつ前記第2シート部を積層する工程と、h)前記g)工程にて積層された前記第1シート部および第2シート部を、互いに対して押圧して固定する工程と、i)前記h)工程よりも後に、前記他の粘着材を所定の後処理温度まで加熱する工程とを備える。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、前記i)工程における加熱時のアレニウスパラメータは1.05以上である。
本発明では、粘着材における皺の発生を抑制することができる。
第1の実施の形態に係るCNT複合部材の平面図である。 CNT複合部材の断面図である。 CNT複合部材の断面図である。 CNT複合部材の製造の流れを示す図である。 製造途上のCNT複合部材の平面図である。 製造途上のCNT複合部材の平面図である。 製造途上のCNT複合部材の平面図である。 製造途上のCNT複合部材の底面図である。 CNT複合部材の製造に利用されるラミネータを示す側面図である。 ラミネータを示す平面図である。 第2の実施の形態に係るCNT複合部材の断面図である。 CNT複合部材の製造の流れの一部を示す図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカーボンナノチューブ複合部材1(以下、「CNT複合部材1」とも呼ぶ。)を示す平面図である。図2は、CNT複合部材1を図1中のII-IIの位置にて切断した断面図である。図3は、CNT複合部材1を図1中のIII-IIIの位置にて切断した断面図である。以下の説明では、図1中の左右方向を「長手方向」とも呼び、図1中の上下方向を「幅方向」とも呼ぶ。また、図1における紙面に垂直な方向を「上下方向」とも呼ぶ。なお、当該上下方向は、実際の重力方向と一致してもよく、一致しなくてもよい。
本実施の形態では、CNT複合部材1は、電力を供給されることにより発熱し、対象物の加熱に利用される比較的薄型のカーボンナノチューブヒータ(以下、「CNTヒータ」とも呼ぶ。)である。図1に示す例では、CNT複合部材1は、平面視において略矩形のシート状の部材である。本明細書におけるシート状とは、縦横の長さに対して厚さが薄い形状を意味し、可撓性を有していても有していなくてもよい。また、本明細書におけるシート状とは、フィルム状と呼ばれる形状も含む概念である。
CNT複合部材1は、接続シート部21と、一対の電極22と、第1シート部31と、第2シート部32とを備える。以下の説明では、接続シート部21と一対の電極22とをまとめて、CNTデバイス2とも呼ぶ。CNTデバイス2は、第1シート部31と第2シート部32との間に挟まれて封止される。すなわち、第1シート部31および第2シート部32は、CNTデバイス2を内部に収容して(すなわち、被覆して)固定する外装部材である。図1に示す例では、CNTデバイス2の全体が第1シート部31と第2シート部32との間にて封止される。
なお、第1シート部31および第2シート部32によるCNTデバイス2の封止は、接続シート部21の全体が封止されるのであれば、一対の電極22の封止は部分的であってもよい。すなわち、接続シート部21全体と各電極22の一部が、第1シート部31と第2シート部32との間にて封止され、各電極22の他の一部は、第1シート部31と第2シート部32との間から外側に突出していてもよい。あるいは、一対の電極22の全体が、第1シート部31および第2シート部32により被覆されず露出していてもよい。
第1シート部31および第2シート部32はそれぞれ、長手方向および幅方向に広がる略シート状の部材である。図1に示す例では、第1シート部31および第2シート部32の平面視における形状はそれぞれ、長手方向および幅方向に略平行な辺を有する略矩形状である。第1シート部31と第2シート部32とは、略同形状である。第1シート部31および第2シート部32はそれぞれ、可撓性を有する絶縁性のシート状部材である。第1シート部31および第2シート部32は、例えば、樹脂製または弾性高分子材料製であり、本実施の形態では、シリコーンゴム製である。第1シート部31および第2シート部32は、例えば、透明または半透明の部材である。第1シート部31および第2シート部32は、不透明であってもよい。なお、第1シート部31および第2シート部32は、必ずしも可撓性を有する必要はなく、硬質部材であってもよい。また、第1シート部31および第2シート部32の材質や色等は互いに異なっていてもよい。
図1~図3に示す例では、第1シート部31と第2シート部32とは、CNTデバイス2の周囲において略全周に亘って、シート状の粘着材33により固定される。なお、図1では、図の理解を容易にするために、粘着材33の図示を省略している。本実施の形態では、粘着材33は、シート状の基材の両面に粘着層が設けられた両面粘着テープである。粘着材33の基材は、例えば樹脂製であり、本実施の形態ではPET(ポリエチレンテレフタレート)である。0℃~200℃の温度域では、粘着材33の熱膨張係数(すなわち、線膨張形数)は、第1シート部31の熱膨張係数よりも小さい。詳細には、粘着材33の基材の上記温度域における熱膨張係数は、第1シート部31の上記温度域における熱膨張係数よりも小さい。以下の説明では、0℃~200℃の温度域における熱膨張係数を、単に「熱膨張係数」と呼ぶ。上述のPETの熱膨張係数は65ppm/℃(すなわち、ppm/K)であり、シリコーンゴムの熱膨張係数は250~400ppm/℃である。
一対の電極22は、長手方向において離間しつつ対向して配置される。一対の電極22はそれぞれ、幅方向に沿って略直線状に延びる略矩形帯状のシート状(例えば、薄板状)部材である。図1に示す例では、一対の電極22間の長手方向の距離は、幅方向のいずれの位置においても略同じである。換言すれば、一対の電極22は、互いに略平行に幅方向に延びる。各電極22は、導電体であり、例えば銅(Cu)等により形成された金属箔である。各電極22の厚さは、例えば20μm~300μmであり、好ましくは40μm~100μmである。電極22および後述する支持部材41を形成するCuの熱膨張係数は、17.7ppm/℃である。
接続シート部21は、一方の電極22から他方の電極22まで長手方向に延び、一対の電極22間を電気的に接続する。接続シート部21は、導電性のシート部材である。接続シート部21の長手方向の両端部は、一対の電極22に固定される。接続シート部21と電極22との固定は、例えば、積層された2枚の金属箔の間に接続シート部21の長手方向の端部を挟み、当該2枚の金属箔をハンダ接合することにより行われる。この場合、積層された当該2枚の金属箔が1つの電極22となる。あるいは、接続シート部21と電極22との固定は、電極22となる金属箔が、接続シート部21の長手方向の端部を間に挟んで折り畳まれて押圧されることにより行われてもよい。電極22に対する接続シート部21の固定は、上記以外の固定方法により行われてもよい。
接続シート部21は、多数のカーボンナノチューブにより形成された可撓性を有するシート状のカーボンナノチューブ成形体(以下、「CNT成形体」とも呼ぶ。)である。接続シート部21は、例えば、複数のカーボンナノチューブシート(以下、「CNTシート」とも呼ぶ。)が厚さ方向(すなわち、上下方向)に積層された積層シート状の部材である。接続シート部21におけるCNTシートの積層数は様々に変更されてよい。あるいは、接続シート部21は1層のCNTシートであってもよい。
接続シート部21の平面視における形状は、第1シート部31および第2シート部32と略同様に、長手方向および幅方向に略平行な辺を有する略矩形状である。接続シート部21は、第1シート部31および第2シート部32よりも小さい。平面視において、接続シート部21の全体は、第1シート部31および第2シート部32と重なる。図1に示す例では、一対の電極22の全体も、第1シート部31および第2シート部32と平面視において重なる。
接続シート部21におけるカーボンナノチューブの向き(すなわち、カーボンナノチューブが延びる方向)は、長手方向に略平行である。換言すれば、接続シート部21を構成する複数層のCNTシートにおいて、各CNTシートを構成する多数のカーボンナノチューブは、長手方向に略平行に延びる。なお、接続シート部21におけるカーボンナノチューブの向きは、様々に変更されてよく、例えば、幅方向に略平行であってもよい。
接続シート部21の大きさは、CNTヒータ1に求められる性能により様々に変化する。接続シート部21の長手方向の長さは、例えば20mm~500mmであり、好ましくは20mm~200mmである。接続シート部21の幅方向の幅は、例えば10mm~500mmであり、好ましくは60mm~150mmである。
CNT複合部材1は、さらに、図示省略の一対の端子を備える。当該一対の端子は、一対の電極22とそれぞれ電気的に接続される。CNTデバイス2の一対の電極22間への電力の供給は、電力供給源から当該一対の端子を介して行われる。これにより、CNTデバイス2の接続シート部21が発熱して対象物を加熱する。接続シート部21は、当該対象物を加熱する電熱部である。
次に、図4~図8を参照しつつ、CNT複合部材1の製造方法について説明する。図4は、CNT複合部材1の製造の流れを示す図である。図5~図8は、製造途上のCNT複合部材1を示す図である。
CNT複合部材1が製造される際には、まず、図5に示すように、第1シート部31の一方の主面311(以下、「上面311」とも呼ぶ。)に、略矩形帯状の両面粘着テープである粘着材33が貼付される(ステップS11)。図5では、図の理解を容易にするために、粘着材33に平行斜線を付す(図6および図7においても同様)。図5に示す例では、粘着材33は、長手方向に略平行に延びるとともに幅方向に配列され、第1シート部31の上面311に略全面に亘って貼付される。
続いて、図6に示すように、積層構造を有する各電極22の下層部分が、第1シート部31の上面311上に配置される。当該下層部分は、粘着材33により第1シート部31上に固定される。次に、図7に示すように、接続シート部21が、長手方向の両端部を一対の電極22の下層部分上に重ねた状態で、第1シート部31の上面311上に配置される。接続シート部21を構成するCNTシートには、その製造段階において、多数のカーボンナノチューブを凝集させること等を目的として、エタノール等の溶剤が付与されている。当該溶剤は、CNTシートの製造中の乾燥処理においてある程度除去されるが、多数のカーボンナノチューブ間等に吸着して残存している。したがって、図7に示す状態において、接続シート部21は当該溶剤を含浸している。
接続シート部21が第1シート部31上に配置されると、各電極22の上層部分が、上述の下層部分上に積層されてハンダ接合される。これにより、一対の電極22が形成され、接続シート部21の長手方向の両端部が一対の電極22に接合される。また、接続シート部21のうち、長手方向において一対の電極22の間に位置する部位は、粘着材33により第1シート部31上に固定される。これにより、接続シート部21および一対の電極22(すなわち、CNTデバイス2)が、第1シート部31の上面311上に配置される(ステップS12)。
CNTデバイス2の配置が終了すると、図8に示すように、支持部材41が第1シート部31の他方の主面312(以下、「下面312」とも呼ぶ。)上に固定される(ステップS13)。図8は、第1シート部31の下面312を示す底面図(すなわち、製造途上のCNT複合部材1の底面図)である。図8に示す例では、支持部材41は、略直線状に延びる略矩形帯状のシート状(例えば、薄板状)部材である。
支持部材41は、例えば、銅(Cu)等により形成された金属箔である。支持部材41の熱膨張係数は、第1シート部31の熱膨張係数よりも小さい。好ましくは、支持部材41の熱膨張係数は、粘着材33の熱膨張係数(上記例では、粘着材33の基材の熱膨張係数)よりも小さい。支持部材41は、着脱可能な粘着材(例えば、両面粘着テープや粘着剤の層等)により、第1シート部31に固定される。なお、支持部材41の材質は金属には限定されず、セラミックスや樹脂等、様々に変更されてよい。
支持部材41は、長手方向(すなわち、一対の電極22の一方から他方に向かう方向)に沿って、第1シート部31の長手方向の略全長に亘って第1シート部31の周辺領域313に固定される。第1シート部31の周辺領域313とは、第1シート部31の外周縁に沿う枠状の領域であり、図8に示す例では、二点鎖線にて示す略矩形枠状の領域である。周辺領域313は、例えば、第1シート部31全体から、CNTデバイス2に外接する最も小さい矩形状の領域(すなわち、CNTデバイス2の配置領域)を除いた領域である。支持部材41は、第1シート部31の上面311において周辺領域313上に貼付された粘着材33(図7参照)と平面視において重なる。なお、支持部材41は、第1シート部31の上面311に固定されてもよい。この場合、支持部材41は、例えば、粘着材33を介して第1シート部31の上面311に固定される。
ステップS11~S13が終了すると、CNTデバイス2が第1シート部31および支持部材41と共に加熱される。これにより、CNTデバイス2の接続シート部21に含浸している溶剤が気化し、接続シート部21から除去される(ステップS14)。ステップS14における加熱は、例えば、ベーキング炉において行われる。CNTデバイス2のベーキング処理は、例えば、100℃~200℃にて0.5時間~5時間行われる。これにより、接続シート部21に残存していた上記溶剤が、ほぼ完全に接続シート部21から除去される。なお、CNTデバイス2、第1シート部31および支持部材41の加熱方法は、加熱装置、加熱温度および加熱時間等、様々に変更されてよい。
上述のように、第1シート部31には、第1シート部31よりも熱膨張係数が小さい支持部材41が固定されているため、ステップS14の加熱処理において、第1シート部31の熱膨張が抑制される。ベーキング処理終了後のCNTデバイス2、第1シート部31および支持部材41は、室温(例えば、25℃)まで降温される。
仮に、第1シート部31に支持部材41が固定されていないとすると、第1シート部31のうちCNTデバイス2が固定されていない周辺領域313では、CNTデバイス2による熱膨張抑制等の制限がないため、比較的大きく熱膨張する。特に、周辺領域313のうち、第1シート部31よりも熱膨張係数が小さい電極22から離れた領域(すなわち、周辺領域313のうち、一方の電極22から他方の電極22へと向かう方向に延びる領域)では、第1シート部31の熱膨張が大きくなる。
しかしながら、本実施の形態に係るCNT複合部材1の製造では、支持部材41が、周辺領域313上において一方の電極22から他方の電極22へと向かう方向に沿って固定されているため、第1シート部31の熱膨張を、周辺領域313においても好適に抑制することができる。これにより、第1シート部31に貼付されている粘着材33が、熱膨張する第1シート部31に引っ張られて自身の熱膨張(すなわち、粘着材33が第1シート部31から独立した状態で加熱された場合の熱膨張)よりも大きく伸びることを抑制することができる。また、上述のように、支持部材41の熱膨張係数は粘着材33の熱膨張係数よりも小さいため、第1シート部31の熱膨張を、粘着材33の自身の熱膨張に近づけることができる。したがって、粘着材33が自身の熱膨張よりも大きく伸びることを、さらに抑制することができる。このため、降温後の粘着材33に、不可逆的な伸びによる皺が生じることを抑制または防止することができる。粘着材33の皺は、目視による外観検査において視認不能な程度まで抑制されることが好ましい。
CNTデバイス2、第1シート部31および支持部材41の降温が終了すると、支持部材41が第1シート部31から剥離されて除去される(ステップS15)。その後、第1シート部31の上面311上に第2シート部32が積層される。換言すれば、第1シート部31と第2シート部32とが、CNTデバイス2(すなわち、接続シート部21および一対の電極22)並びに粘着材33を間に挟んで積層される。そして、第2シート部32が、CNTデバイス2の周囲において(すなわち、周辺領域313において)、粘着材33により第1シート部31に固定される。これにより、CNTデバイス2が第1シート部31と第2シート部32との間に封止され、CNT複合部材1の製造が終了する(ステップS16)。
ステップS16における第1シート部31と第2シート部32との固定は、例えば、ラミネータにより行われてもよい。図9および図10はそれぞれ、ラミネータ5により第1シート部31と第2シート部32とが固定される様子を示す側面図および平面図である。図9では、第1シート部31および第2シート部32等を断面にて示す。ラミネータ5は、図9中の上下方向に隣接して配置される2つのロール51,52を備える。ラミネータ5では、間にCNTデバイス2を挟んだ第1シート部31および第2シート部32が、図9および図10中の右側から左側へと、2つのロール51,52の間を押圧されつつ通過することにより、互いに対して固定される。
ラミネータ5では、ロール51,52の少なくとも一方が加熱されることにより、第1シート部31および第2シート部32が加熱されてもよい。この場合、ラミネータ5を通過中の第1シート部31および第2シート部32の温度は、例えば、50℃~60℃である。また、第1シート部31および第2シート部32がラミネータ5を通過するのに要する時間は、例えば約1秒である。
図10に示すように、間にCNTデバイス2を挟んだ第1シート部31および第2シート部32が2つのロール51,52の間を通過する際には、第1シート部31および第2シート部32の移動方向は、一対の電極22の延びる方向(すなわち、一対の電極22の長手方向)に略平行とされることが好ましい。これにより、第1シート部31および第2シート部32が、ロール51,52から加えられる力や熱等により、上記移動方向に沿ってうねって皺が発生することを抑制することができる。当該皺の抑制は、一対の電極22の剛性により、第1シート部31および第2シート部32の上記移動方向における部分的変形(例えば、ロール51,52からの力や熱による部分的な伸び等)が抑制されることによる。特に、第1シート部31は、上述のように、ステップS14においてベーキング炉等において加熱されているため、比較的変形しやすくなっている可能性がある。したがって、ラミネータ5による第1シート部31と第2シート部32との固定時に、一対の電極22を利用して変形を抑制することが好ましい。
上述のCNT複合部材1の製造方法では、ステップS11において、粘着材33は第1シート部31の上面311の少なくとも周辺領域313に貼付されていればよい。この場合であっても、ステップS16において、第2シート部32が当該粘着材33を介して第1シート部31に固定される。また、ステップS12では、CNTデバイス2は粘着材33を介することなく第1シート部31の上面311上に配置され、例えば、接着剤等により第1シート部31に固定される。
以上に説明したように、CNT複合部材1の製造方法は、第1シート部31の一方の主面(すなわち、上面311)の少なくとも周辺領域313に、第1シート部31よりも熱膨張率が小さい粘着材33を貼付する工程(ステップS11)と、一対の電極22、および、一対の電極22間を接続するCNT成形体(すなわち、接続シート部21)を、第1シート部31の上面311上に配置する工程(ステップS12)と、第1シート部31よりも熱膨張率が小さい支持部材41を第1シート部31に固定する工程(ステップS13)と、ステップS11ないしステップS13よりも後に、接続シート部21を加熱することにより、接続シート部21に含浸している溶剤を気化させて除去する工程(ステップS14)と、ステップS14よりも後に、第1シート部31と第2シート部32とを、接続シート部21および粘着材33を間に挟んで積層し、粘着材33により第2シート部32を第1シート部31に固定して接続シート部21を封止する工程(ステップS16)と、を備える。
当該製造方法では、支持部材41によって第1シート部31の熱膨張を抑制することにより、粘着材33の不可逆的な伸びに起因する粘着材33における皺の発生を抑制することができる。その結果、CNT複合部材1の外観性を向上することができるとともに、接続シート部21の封止性を向上することができる。
上述のように、CNT複合部材1の製造方法は、ステップS14よりも後に、支持部材41を第1シート部31から除去する工程(ステップS15)をさらに備えることが好ましい。これにより、CNT複合部材1の構造を簡素化することができる。また、CNT複合部材1を小型化および軽量化することもできる。
上述のように、ステップS13において、支持部材41は、第1シート部31の他方の主面(すなわち、下面312)上に固定されることが好ましい。これにより、接続シート部21および電極22と支持部材41との干渉を考慮することなく支持部材41を配置することができる。したがって、第1シート部31上における支持部材41の配置の自由度を向上することができる。
上述のように、ステップS13において、支持部材41は、周辺領域313上の粘着材33と重なる位置に固定されることが好ましい。これにより、CNTデバイス2による制限が無いため第1シート部31が熱膨張しやすい(すなわち、粘着材33が伸ばされやすい)周辺領域313において、粘着材33の伸びを抑制することができる。
上述のように、ステップS13において、支持部材41は、一対の電極22の一方から他方に向かう方向に沿って、周辺領域313に固定されることが好ましい。これにより、周辺領域313のうち電極22から離れているため第1シート部31が熱膨張しやすい領域(すなわち、粘着材33が伸ばされやすい領域)において、粘着材33の伸びを抑制することができる。
上述のように、ステップS11において、粘着材33は、第1シート部31の上面311の全面に亘って貼付されることが好ましい。これにより、第1シート部31と第2シート部32との固定、および、CNTデバイス2の第1シート部31への固定の双方を、粘着材33により実現することができる。その結果、CNT複合部材1の構造を簡素化することができるとともに、CNT複合部材1の製造を容易とすることができる。
上述のように、接続シート部21は、一対の電極22間に供給される電力により発熱して対象物を加熱する電熱部であることが好ましい。上記CNT複合部材1の製造方法では、CNT複合部材1の外観性および接続シート部21の封止性を向上しつつ、接続シート部21に含浸している溶剤を気化させて除去することができるため、当該製造方法は、接続シート部21の発熱により溶剤が気化しやすい上記構造に特に適している。
上述のように、粘着材33は、シート状の基材の両面に粘着層が設けられた両面粘着テープであることが好ましい。上記CNT複合部材1の製造方法では、粘着材33における皺の発生を抑制することができるため、当該製造方法は、比較的小さい力で伸ばされて皺を生じやすい両面粘着テープを粘着材33として用いる場合に特に適している。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るCNT複合部材1aについて説明する。図11は、CNT複合部材1aを示す断面図であり、上述の図2に対応する。CNT複合部材1aでは、上述の粘着材33に加えて、他の粘着材34が第1シート部31と第2シート部32との間に設けられる。CNT複合部材1aの他の構造は、上述のCNT複合部材1と略同様である。以下の説明では、CNT複合部材1aの各構成に、CNT複合部材1の対応する構成と同符号を付す。
粘着材34は、例えば、粘着材33と同様に、シート状の基材の両面に粘着層が設けられた両面粘着テープである。粘着材34は、例えば、粘着材33と同じ種類の(すなわち、同じ特性を有する)両面粘着テープである。なお、粘着材34は、粘着材33とは異なる特性を有する両面粘着テープであってもよい。
粘着材34は、第2シート部32の下面(すなわち、図11中の下側の主面)に貼付されている。粘着材34は、厚さ方向においてCNTデバイス2と対向し、CNTデバイス2のうち少なくとも接続シート部21に接合される。なお、図11に示す例では、粘着材34は、第2シート部32の下面において略全面に亘って設けられており、CNTデバイス2の略全体および第1シート部31上の粘着材33と接合されている。
次に、図4および図12を参照しつつ、CNT複合部材1aの製造方法について説明する。図12は、CNT複合部材1aの製造の流れの一部を示す図である。CNT複合部材1aが製造される際には、まず、CNT複合部材1の製造と同様に、上述のステップS11~S15(図4参照)が行われる。その後、図12に示すステップS21が行われ、ステップS22~S24が行われる。ステップS22~S24は、上述のステップS16の詳細な流れを示す。
具体的には、まず、第1シート部31の上面311(図8参照)に粘着材33が貼付され(ステップS11)、接続シート部21および一対の電極22(すなわち、CNTデバイス2)が、第1シート部31の上面311上に配置される(ステップS12)。続いて、支持部材41(図8参照)が第1シート部31の下面312上に固定され(ステップS13)、CNTデバイス2が第1シート部31および支持部材41と共に加熱される。これにより、CNTデバイス2の接続シート部21に含浸している溶剤が気化し、接続シート部21から除去される(ステップS14)。ステップS14における加熱は、例えば、ベーキング炉において100℃~200℃にて0.5時間~5時間行われる。その後、支持部材41が第1シート部31から剥離されて除去される(ステップS15)。
ステップS11~S15が終了すると、第2シート部32の一方の主面に粘着材34が貼付される(ステップS21)。本実施の形態では、粘着材34は、第2シート部32の当該主面の略全面に亘って貼付される。続いて、第1シート部31に貼付された粘着材33、および、粘着材33上に固定されたCNTデバイス2を覆うように、第1シート部31上に第2シート部32が積層される(ステップS22)。このとき、第2シート部32に貼付されている粘着材34は、CNTデバイス2および粘着材33と厚さ方向に対向し、CNTデバイス2および粘着材33と接触する。
なお、上述のステップS21は、ステップS22よりも前であれば、どのタイミングで行われてもよい。例えば、ステップS21は、ステップS11~S15のいずれかと並行して行われてもよく、ステップS11~S15のいずれかのステップ間に行われてもよく、ステップS11よりも前に行われてもよい。
ステップS22にて積層された第1シート部31および第2シート部32は、互いに対して押圧されて固定される(ステップS23)。ステップS23における押圧は、例えば、上述のラミネータ5(図9および図10参照)により行われる。ラミネータ5では、間にCNTデバイス2を挟んだ第1シート部31および第2シート部32が、上記と同様に、2つのロール51,52の間を押圧されつつ通過することにより、互いに対して固定される。
上述のように、ラミネータ5では、ロール51,52の少なくとも一方が加熱されることにより、第1シート部31および第2シート部32が加熱されてもよい。この場合、ラミネータ5を通過中の第1シート部31および第2シート部32の温度は、例えば、50℃~60℃である。また、第1シート部31および第2シート部32がラミネータ5を通過するのに要する時間は、例えば約1秒である。
上述のように、間にCNTデバイス2を挟んだ第1シート部31および第2シート部32が2つのロール51,52の間を通過する際には、第1シート部31および第2シート部32の移動方向は、一対の電極22の延びる方向(すなわち、一対の電極22の長手方向)に略平行とされることが好ましい。これにより、第1シート部31および第2シート部32が、ロール51,52から加えられる力や熱等により、上記移動方向に沿ってうねって皺が発生することを抑制することができる。
ステップS23では、第2シート部32が第1シート部31に対して押圧されることにより、第2シート部32に貼付されている粘着材34が、第1シート部31上の粘着材34、接続シート部21および一対の電極22に接合される。接続シート部21は、多数のカーボンナノチューブにより構成されているため、表面に微小な凹凸が存在する。このため、ステップS23の終了後においても、接続シート部21に接合された粘着材34と接続シート部21の表面との間に、微少な空間が残存する場合がある。当該微少な空間が存在する位置では、粘着材34と接続シート部21との接合強度が低下するため、CNT複合部材1aをCNTヒータとして使用する際に、高温環境下において接続シート部21と粘着材34とが剥離しやすくなる可能性がある。
そこで、ステップS23が終了すると、粘着材34を所定の後処理温度まで加熱することにより、粘着材34を軟化させて接続シート部21の表面になじませるエージング処理が行われる(ステップS24)。これにより、ステップS23の終了時点において、接続シート部21と粘着材34との間に微少な空間が残存している場合であっても、当該空間が削減されて接続シート部21と粘着材34との密着性が向上する。また、第1シート部31および第2シート部32がラミネータ5を通過することにより変形している(例えば、湾曲している)場合、当該変形が解消または低減される。ステップS24が終了して第1シート部31および第2シート部32等が常温近傍まで降温すると、CNT複合部材1aの製造が終了する。当該降温は、自然冷却により行われてもよく、降温速度が制御された制御冷却により行われてもよい。
ステップS24は、例えば、間にCNTデバイス2、粘着材33および粘着材34を挟んで互いに固定された第1シート部31および第2シート部32が、ベーキング炉に収容されて上述の後処理温度にて所定時間加熱されることにより行われる。当該後処理温度は、粘着材34の耐熱温度以下であり、かつ、粘着材34の粘着層の軟化温度以上である。後処理温度は、例えば60℃~100℃であり、本実施の形態では80℃である。ステップS24における加熱時間は、例えば0.5時間~8時間であり、本実施の形態では4時間である。ステップS24における加熱時のアレニウスパラメータEは、好ましくは1.05以上である。アレニウスパラメータEは、以下の式1により求められる。
E=k×T×ln(vt) ・・・ (式1)
式1中のkは、ボルツマン定数(eV/K)であり、Tは加熱温度(K)であり、vは頻度因子(1/s)であり、tは加熱時間(s)である。
以下の表1は、アレニウスパラメータEと、第1シート部31および第2シート部32の接合状態との関係を示す実験結果である。実験例1~6では、加熱温度Tおよび加熱時間tを変更することによりアレニウスパラメータEを変更した。また、アレニウスパラメータEは、kを0.0000861(eV/K)とし、vを1×1011(1/s)として求めた。
Figure 2022059577000002
表1中の評価は、粘着材34の接続シート部21に対する接合状態の良否を示す。当該評価は、ステップS11~S15,S21~S24により製造されたCNT複合部材1aに電力を供給し、CNTヒータとして使用した場合における粘着材34と接続シート部21との接合状態を目視することにより行った。評価の欄の「△」は、粘着材34と接続シート部21との間に剥離が生じ、接続シート部21の面積に対する剥離面積の割合が10%以上であることを示す。評価の欄の「○」は、粘着材34と接続シート部21との間に剥離が生じ、接続シート部21の面積に対する剥離面積の割合が5%未満であることを示す。評価の欄の「◎」は、粘着材34と接続シート部21との間に剥離が実質的に生じていないことを示す。
実験例1~3では、加熱温度を27℃(すなわち、300K)とし、加熱時間をそれぞれ3600秒、57600秒、230400秒とした。実験例1~3のアレニウスパラメータEはそれぞれ、0.87、0.94、0.97であり、評価は全て「△」であった。実験例4~6では、加熱温度を80℃(すなわち、353K)とし、加熱時間をそれぞれ3600秒、7200秒、14400秒とした。実験例4~6のアレニウスパラメータEはそれぞれ、1.02、1.04、1.06であった。実験例4,5の評価は「○」であり、実験例6の評価は「◎」であった。実験例1~6から、アレニウスパラメータEは1.05以上であることが好ましい。
以上に説明したように、CNT複合部材1aの製造方法は、第1シート部31の一方の主面(すなわち、上面311)の少なくとも周辺領域313に、第1シート部31よりも熱膨張率が小さい粘着材33を貼付する工程(ステップS11)と、一対の電極22、および、一対の電極22間を接続するCNT成形体(すなわち、接続シート部21)を、第1シート部31の上面311上に配置する工程(ステップS12)と、第1シート部31よりも熱膨張率が小さい支持部材41を第1シート部31に固定する工程(ステップS13)と、ステップS11ないしステップS13よりも後に、接続シート部21を加熱することにより、接続シート部21に含浸している溶剤を気化させて除去する工程(ステップS14)と、ステップS14よりも後に、第1シート部31と第2シート部32とを、接続シート部21および粘着材33を間に挟んで積層し、粘着材33により第2シート部32を第1シート部31に固定して接続シート部21を封止する工程(ステップS16)と、を備える。
また、CNT複合部材1aの製造方法は、ステップS16よりも前に、第2シート部32の主面に他の粘着材34を貼付する工程(ステップS21)をさらに備える。さらに、ステップS16は、第1シート部31、粘着材33およびCNTデバイス2上に、CNTデバイス2と粘着材34とを対向させつつ第2シート部32を積層する工程(ステップS22)と、ステップS22にて積層された第1シート部31および第2シート部32を、互いに対して押圧して固定する工程(ステップS23)と、ステップS23よりも後に、粘着材34を所定の後処理温度まで加熱する工程(ステップS24)と、を備える。
当該製造方法では、上記と同様に、支持部材41によって第1シート部31の熱膨張を抑制することにより、粘着材33の不可逆的な伸びに起因する粘着材33における皺の発生を抑制することができる。また、ステップS24におけるエージング処理により、接続シート部21と粘着材34との密着性を向上することができる。その結果、高温環境下において粘着材34が接続シート部21から部分的に剥離して膨らみ、接続シート部21の封止性が低下したりCNT複合部材1の外観性が低下することを抑制することができる。
上述のように、ステップS24における加熱時のアレニウスパラメータEは1.05以上であることが好ましい。これにより、接続シート部21と粘着材34との密着性をさらに向上することができる。
上述のCNT複合部材1,1aの製造方法では、様々な変更が可能である。
例えば、CNT複合部材1,1aの平面視における形状は、略矩形状には限定されず、様々に変更されてよい。また、接続シート部21および各電極22の形状および配置も様々に変更されてよい。第1シート部31および第2シート部32の形状も様々に変更されてよい。例えば、第2シート部32は、必ずしも第1シート部31と同形状である必要はなく、第1シート部31よりも小さくてもよい。支持部材41の形状も様々に変更されてよい。
CNT複合部材1,1aでは、第1シート部31および/または第2シート部32の外面に接着剤等により固定される膜状または薄板状の放熱部が設けられてもよい。当該放熱部は、例えば、金属箔または金属製のシート状部材である。放熱部は、第1シート部31および/または第2シート部32の外面に蒸着等により形成された金属製の薄膜であってもよい。放熱部は、接続シート部21からの熱を均等化して放熱する放熱面である。
粘着材33は、必ずしも両面粘着テープである必要はなく、様々に変更されてよい。例えば、粘着材33は、粘着剤により形成された薄膜状の層であってもよい。粘着材34についても同様である。
支持部材41は、必ずしも第1シート部31の長手方向の略全長に亘って固定される必要はなく、第1シート部31の長手方向の一部のみに固定されてもよい。また、支持部材41は、必ずしも長手方向に沿って周辺領域313に固定される必要はなく、長手方向以外の方向に沿って周辺領域313に固定されてもよい。支持部材41は、必ずしも平面視において粘着材33と重なる位置に固定される必要はない。支持部材41は、必ずしも周辺領域313に固定される必要はなく、第1シート部31の熱膨張による粘着材33の伸びを抑制可能な位置であれば、第1シート部31上の様々な位置に固定されてよい。
上述のように、支持部材41は、第1シート部31の上面311に固定されてもよい。また、支持部材41は、第1シート部31の上面311および下面312の双方に固定されてもよい。この場合、第1シート部31の上面311に固定された支持部材41と、下面312に固定された支持部材41とは、平面視において重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
CNT複合部材1,1aの上記製造方法では、支持部材41を除去する工程(ステップS15)は、第2シート部32を第1シート部31に固定する工程(ステップS16)よりも後、または、ステップS16と並行して行われてもよい。また、当該製造方法では、ステップS15は必ずしも必要なく、支持部材41が第1シート部31に固定された状態のCNT複合部材1が製品として利用されてもよい。例えば、支持部材41が第1シート部31の下面312の略全面に亘って設けられ、上述の放熱部として利用されてもよい。
CNT複合部材1aの上記製造方法では、ステップS24において第1シート部31および第2シート部32の湾曲等の変形が低減されるが、必ずしもこれには限定されない。例えば、ステップS24において第1シート部31および第2シート部32を所定形状の治具に沿わせることにより、CNT複合部材1aを意図的に変形させることも可能である。また、ステップS24では、粘着材34のうち接続シート部21と対向する部位のみが、第2シート部32または第1シート部31を介して加熱されてもよい。この場合、例えば、粘着材34のうち接続シート部21と対向する部位のみに光が照射され、あるいは、加熱された空気等が付与される。
CNTデバイス2では、例えば、接続シート部21を構成する多数のカーボンナノチューブが、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液等を主成分とする接着剤により互いに接着されてもよい。また、当該接着剤により、接続シート部21が第1シート部31に接着されてもよい。当該接着剤は、エポキシ系、アクリル系またはシリコーンゴム系の接着剤であってもよい。当該接着剤は、導電性添加材を含んでいてもよい。当該導電性添加材は、例えば、銀(Ag)等の金属微粒子、グラフェン(具体的には、シート状グラフェンを粉砕した粉体)、ミルドファイバー、または、カーボンナノチューブの粉体である。当該導電性添加材の直径は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは1μm未満である。なお、上記接着剤は、導電性添加材を含んでいなくてもよい。
CNT複合部材1,1aは必ずしもCNTヒータである必要はなく、接続シート部21も必ずしも発熱部である必要はない。例えば、CNT複合部材1,1aは歪みセンサ等のセンサであってもよく、接続シート部21は当該センサの導電部であってもよい。
CNT複合部材1,1aでは、必ずしも接続シート部21のようなシート状のCNT成形体が設けられる必要はなく、例えば、糸状(すなわち、撚糸状または無撚糸状)のCNT成形体が一対の電極22の間に設けられてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1,1a CNT複合部材
21 接続シート部
22 電極
31 第1シート部
32 第2シート部
33 粘着材
41 支持部材
311 (第1シート部の)上面
312 (第1シート部の)下面
313 (第1シート部の)周辺領域
S11~S16 ステップ

Claims (10)

  1. カーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    a)第1シート部の一方の主面の少なくとも周辺領域に、前記第1シート部よりも熱膨張率が小さい粘着材を貼付する工程と、
    b)一対の電極、および、前記一対の電極間を接続するカーボンナノチューブ成形体を、前記第1シート部の前記一方の主面上に配置する工程と、
    c)前記第1シート部よりも熱膨張率が小さい支持部材を前記第1シート部に固定する工程と、
    d)前記a)工程ないし前記c)工程よりも後に、前記カーボンナノチューブ成形体を加熱することにより、前記カーボンナノチューブ成形体に含浸している溶剤を気化させて除去する工程と、
    e)前記d)工程よりも後に、前記第1シート部と第2シート部とを、前記カーボンナノチューブ成形体および前記粘着材を間に挟んで積層し、前記粘着材により前記第2シート部を前記第1シート部に固定して前記カーボンナノチューブ成形体を封止する工程と、
    を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記d)工程よりも後に、前記支持部材を前記第1シート部から除去する工程をさらに備えることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記c)工程において、前記支持部材は、前記第1シート部の他方の主面上に固定されることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記c)工程において、前記支持部材は、前記周辺領域上の前記粘着材と重なる位置に固定されることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  5. 請求項4に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記c)工程において、前記支持部材は、前記一対の電極の一方から他方に向かう方向に沿って、前記周辺領域に固定されることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記a)工程において、前記粘着材は、前記第1シート部の前記一方の主面の全面に亘って貼付されることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記カーボンナノチューブ成形体は、前記一対の電極間に供給される電力により発熱して対象物を加熱する電熱部であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記粘着材は、シート状の基材の両面に粘着層が設けられた両面粘着テープであることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材装置の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    f)前記e)工程よりも前に、前記第2シート部の主面に他の粘着材を貼付する工程をさらに備え、
    前記e)工程は、
    g)前記第1シート部、前記粘着材および前記カーボンナノチューブ成形体上に、前記カーボンナノチューブ成形体と前記他の粘着材とを対向させつつ前記第2シート部を積層する工程と、
    h)前記g)工程にて積層された前記第1シート部および第2シート部を、互いに対して押圧して固定する工程と、
    i)前記h)工程よりも後に、前記他の粘着材を所定の後処理温度まで加熱する工程と、
    を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
  10. 請求項9に記載のカーボンナノチューブ複合部材の製造方法であって、
    前記i)工程における加熱時のアレニウスパラメータは1.05以上であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合部材の製造方法。
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