JP2022059400A - 焼結銅ピラー形成用銅ペースト及び接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結性及び接合性に優れる、焼結銅ピラー形成用銅ペーストを提供すること。【解決手段】部材同士を接合する焼結銅ピラーを形成するための銅ペーストであって、金属粒子と、有機分散媒とを含有し、金属粒子が銅粒子を含み、有機分散媒が、沸点が280℃以上である高沸点分散媒を、有機分散媒の全質量を基準として、99質量%超の割合で含み、且つ、凝固点が20℃以下の低凝固点分散媒を含む、焼結銅ピラー形成用銅ペースト。【選択図】なし

Description

本発明は、焼結銅ピラー形成用銅ペースト及び接合体の製造方法に関する。
電子デバイスにおける電気的接合には、一般にはんだ接合が用いられる。例えば、マイクロデバイスのフリップチップ接合では、マイクロデバイスと基板上の電極パッドとの接合に、はんだボール又ははんだペースト等を用いている。
近年、フリップチップ接合では端子の狭ピッチ化に伴い、マイクロデバイス上に金属ピラーを形成し、その金属ピラーと基板上の電極パッドをはんだ接合する方法が用いられている。しかし、はんだ接合では、(1)はんだと電極パッドとの間、及び、はんだと金属ピラーとの間でカーケンダルボイドが発生する、(2)接合後に再度リフロー工程が行われた場合に、はんだが溶融し接合不良が発生する、(3)異種金属界面でのインピーダンス不整合による信号の反射が生じる等の問題がある。
これに対し、はんだ以外の金属を用いて接合を行う方法が検討されている。例えば、下記特許文献1には、マイクロデバイス上に設けられた銅ピラーと基板上の銅パッドとの間を、銅マイクロ粒子及び銅ナノ粒子を混合した接合剤(銅ペースト)を用いて接合する方法が提案されている。
米国特許出願公開第2016/0351529号明細書
上記特許文献1の方法では、デバイス上にあらかじめ銅ピラーを形成する必要があるが、銅ピラーの形成方法として主流である電解めっきによる形成方法では、ピラー形成に時間を要する課題がある。また、めっき速度を早くすると、高さのバラつきが大きくなることも問題である。
そこで、本発明者らは、銅粒子と、有機分散媒とを含有する銅ペーストを用いて接合部材間にピラー前駆体を形成して当該ピラー前駆体を焼結することで、焼結銅ピラーを形成するとともに接合部材同士を接合する方法を検討している。この方法によれば、効率よく且つ精度よく焼結銅ピラーを形成可能である。このような焼結銅ピラーを形成するために用いられる銅ペースト(焼結銅ピラー形成用銅ペースト)には、優れた接合性と優れた焼結性が求められる。
そこで、本発明は、焼結性及び接合性に優れる、焼結銅ピラー形成用銅ペーストを提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、銅ペーストに含有させる有機分散剤として、特定の温度以上の沸点を有する高沸点の有機分散媒を用いることで銅ペーストの焼結性及び接合性が向上することを見出した。また、銅ペーストは、通常室温(例えば25℃)で印刷されるため、銅ペーストに使用される有機分散媒の室温より低い温度での物性(例えば凝固点)は焼結銅ピラーの焼結性や接合性には影響しないと考えられていたところ、本発明者らの検討の結果、驚くべきことに、上記のような高沸点の有機分散媒を用いる場合には、室温以下での物性が銅ペーストの焼結性及び接合性に影響することを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一側面は、部材同士を接合する焼結銅ピラーを形成するための銅ペーストであって、金属粒子と、有機分散媒とを含有し、金属粒子が銅粒子を含み、有機分散媒が、沸点が280℃以上である高沸点分散媒を、有機分散媒の全質量を基準として、99質量%超の割合で含み、且つ、凝固点が20℃以下の低凝固点分散媒を含む、焼結銅ピラー形成用銅ペーストに関する。
上記側面の焼結銅ピラー形成用銅ペーストは焼結性及び接合性に優れる。すなわち、上記側面の焼結銅ピラー形成用銅ペーストによれば、焼結銅ピラーにおけるボイド及び亀裂の発生を抑制しながら、焼結銅ピラーと接合部材との界面における剥離の発生を抑制することができる。上記効果が得られる理由は明らかではないが、有機分散媒における高沸点分散媒の割合が99質量%超であることにより、焼結時の急激な溶剤の揮発が抑制されること、低凝固点分散媒により銅ペーストの室温での凝固が抑制され、銅ペーストの粘度が安定することで、銅ペーストの印刷性が向上すること等に起因して、上記効果が得られると推察される。
一態様では、有機分散媒の含有量は、銅ペーストの全質量を基準として、1~20質量%であってよい。
一態様では、低凝固点分散媒の含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、50質量%以上であってよい。
一態様では、金属粒子が、体積平均粒径が0.01μm以上0.8μm未満のサブマイクロ銅粒子を、金属粒子の全質量を基準として、30~100質量%の割合で含んでいてよい。
一態様では、金属粒子が、体積平均粒径が0.8μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子を、金属粒子の全質量を基準として、0質量%超70質量%以下の割合で含んでいてよい。
一態様では、低凝固点分散媒として、凝固点が10~20℃の有機分散媒を含んでいてよい。
一態様では、有機分散媒が、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、イソボルニルシクロヘキサノール及びオクタン酸オクチルからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。
本発明の一側面は、第1の部材と、第2の部材と、第1の部材及び第2の部材を接合する焼結銅ピラーと、を備える接合体を製造する方法であって、第1の部材上に、上記側面の銅ペーストをピラー状に成形した後、第2の部材を搭載し、第1の部材と第2の部材との間にピラー前駆体を設ける工程と、ピラー前駆体を焼結することにより焼結銅ピラーを形成する工程と、を備える接合体の製造方法に関する。
上記側面の接合体の製造方法によれば、焼結銅ピラーにおけるボイド、亀裂等の発生を抑制しながら、焼結銅ピラーと接合部材との界面における剥離が低減された接合体を得ることができる。
本発明によれば、焼結性及び接合性に優れる、焼結銅ピラー形成用銅ペーストを提供することができる。
本発明に係る接合体の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る接合体の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る接合体の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。 本発明に係る接合体の他の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。本明細書において、「沸点」及び「凝固点」とは、1気圧での沸点及び凝固点を意味する。
<銅ペースト>
一実施形態の銅ペーストは、金属粒子と、有機分散媒とを含有する。金属粒子は、銅粒子を含む。有機分散媒は、沸点が280℃以上である有機分散媒(高沸点分散媒)を、有機分散媒の全質量を基準として、99質量%超の割合で含み、且つ、凝固点が20℃以下の有機分散媒(低凝固点分散媒)を含む。
上記銅ペーストは、部材同士を接合する焼結銅ピラーを形成するための焼結銅ピラー形成用銅ペーストであり、具体的には、第1の部材と、第2の部材と、第1の部材及び第2の部材を接合する焼結銅ピラーと、を備える接合体を製造するために用いられる。
上記銅ペーストは、焼結性及び接合性に優れる。すなわち、上記銅ペーストによれば、焼結銅ピラーにおけるボイド及び亀裂の発生を抑制しながら、焼結銅ピラーと接合部材(第1の部材及び/又は第2の部材)との界面における剥離の発生を抑制することができる。
(金属粒子)
金属粒子は、銅粒子を含む。銅粒子とは、銅を主成分として含有する粒子をいい、例えば、粒子中の銅の含有割合が、80質量%以上である粒子をいう。銅粒子における銅の含有割合は、85質量%以上、90質量%、95質量%以上又は99質量%であってもよい。金属粒子は、必要に応じて、銅粒子以外の金属粒子(以下、「他の金属粒子」ともいう。)を更に含んでいてもよい。
銅粒子としては、サブマイクロ銅粒子、マイクロ銅粒子等が挙げられる。サブマイクロ銅粒子とは、0.01μm以上0.8μm未満の粒径を有する銅粒子を指す。マイクロ銅粒子とは、0.8μm以上50μm以下の粒径を有する銅粒子を指す。
金属粒子は、充分な接合強度及び接続信頼性を確保することが容易となる観点から、サブマイクロ銅粒子を含むことが好ましい。銅ペーストによって形成されるピラー前駆体を焼結した際の体積収縮、ボイドの発生等をより一層低減できる観点、充分な接合強度を確保することが一層容易となる観点では、金属粒子が、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子を含んでいてよい。特に、金属粒子が、サブマイクロ銅粒子及びマイクロ銅粒子ペーストを含み、接合部材がマイクロデバイスである場合には、マイクロデバイスが良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
[サブマイクロ銅粒子]
サブマイクロ銅粒子としては、例えば、150℃以上300℃以下の温度範囲で焼結性を有する銅粒子を用いることができる。サブマイクロ銅粒子としては、例えば、体積平均粒径が0.01μm以上0.8μm未満のサブマイクロ銅粒子を用いることができる。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径が0.01μm以上であれば、サブマイクロ銅粒子の合成コストの抑制、良好な分散性、表面処理剤の使用量の抑制といった効果が得られやすくなる。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径が0.8μm未満であれば、より優れた焼結性が得られやすくなる。より一層上記効果を奏するという観点から、サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径は、0.6μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよく、0.4μm以下であってもよい。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径は、0.02μm以上であってもよく、0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよい。サブマイクロ銅粒子の体積平均粒径は、例えば、0.01μm以上0.5μm以下であってもよく、0.12μm以上0.8μm未満であってもよく、0.15μm以上0.8μm未満であってもよく、0.15μm以上0.6μm以下であってもよく、0.2μm以上0.5μm以下であってもよく、0.3μm以上0.45μm以下であってもよい。
なお、本明細書において体積平均粒径とは、50%体積平均粒径を意味する。銅粒子の体積平均粒径を求める場合、原料となる銅粒子、又は銅ペーストから揮発成分を除去した乾燥銅粒子を、分散剤を用いて分散媒に分散させたものを光散乱法粒度分布測定装置(例えば、島津ナノ粒子径分布測定装置(SALD-7500nano、株式会社島津製作所製))で測定する方法等により求めることができる。光散乱法粒度分布測定装置を用いる場合、分散媒としては、ヘキサン、トルエン、α-テルピネオール、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン等を用いることができる。
サブマイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではない。サブマイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、柱状、フレーク状、略球状及びこれらの凝集体が挙げられる。サブマイクロ銅粒子の形状は、分散性及び充填性の観点では、球状、略球状、フレーク状であってよく、燃焼性、分散性、フレーク状マイクロ粒子との混合性等の観点では、球状又は略球状であってよい。本明細書において、「フレーク状」とは、板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。
サブマイクロ銅粒子のアスペクト比は、分散性、充填性、及びフレーク状マイクロ粒子との混合性の観点から、5以下であってよく、3以下であってもよい。本明細書において、「粒子のアスペクト比」とは、粒子の長辺/厚みを示す。粒子の長辺及び厚みの測定は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。
サブマイクロ銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。特定の表面処理剤としては、例えば、炭素数2~18の有機酸(例えば炭素数1~17のアルキル基を有する有機酸)が挙げられる。炭素数2~18の有機酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記サブマイクロ銅粒子とを組み合わせることで、サブマイクロ銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。
表面処理剤の処理量は、0.07質量%以上2.1質量%以下であってよく、0.10質量%以上1.6質量%以下であってもよく、0.2質量%以上1.1質量%以下であってもよい。
サブマイクロ銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販品としては、例えば、CH-0200(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.36μm)、HT-14(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.41μm)、CT-500(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.72μm)、Tn-Cu100(太陽日酸社製、体積平均粒径0.12μm)及びCu-C-40(福田金属箔粉工業製、体積平均粒径0.2μm)が挙げられる。
サブマイクロ銅粒子の含有量は、充分な接合強度を確保することが容易となる観点から、金属粒子の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってよく、100質量%以下、95質量%以下、90質量%以下又は80質量%以下であってよい。上記観点から、サブマイクロ銅粒子の含有量は、金属粒子の全質量を基準として、30~100質量%であってよく、40~95質量%であってもよく、40~90質量%であってもよく、50~95質量%であってもよく、50~90質量%であってもよく、50~80質量%であってもよく、60~90質量%であってもよく、60~80質量%であってもよい。サブマイクロ銅粒子の含有量が上記範囲内であり、接合部材がマイクロデバイスである場合は、マイクロデバイスが良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
サブマイクロ銅粒子の含有量は、焼結の促進、第1の部材と第2の部材の良好な接続、低温焼結性の発現等の観点から、銅ペーストの全質量を基準として、20~95質量%であってもよく、30~85質量%であってもよく、40~75質量%であってもよい。
[マイクロ銅粒子]
マイクロ銅粒子としては、例えば、体積平均粒径が0.8μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子を用いることができる。サブマイクロ銅粒子と組み合わせることによる上述した効果が得られやすくなる観点から、マイクロ銅粒子の体積平均粒径は、0.8μm以上20μm以下であってもよく、0.8μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上20μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上20μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよい。
マイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状、及びこれらの凝集体が挙げられる。
サブマイクロ銅粒子とマイクロ銅粒子とを組み合わせて用いる場合、マイクロ銅粒子は、フレーク状のマイクロ銅粒子を含んでいてよい。この場合、フレーク状のマイクロ銅粒子が、ピラー前駆体内で接合面に対して略平行に配向することにより、焼結時におけるピラー前駆体の接合面方向の体積収縮を抑制でき、充分な接合強度を確保することが容易となる。特に、接合部材がマイクロデバイスである場合はマイクロデバイスが良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。上記効果が顕著となる観点から、フレーク状のマイクロ銅粒子のアスペクト比は、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。
フレーク状のマイクロ銅粒子の含有量は、ピラー前駆体の高さのばらつきを抑制しながら、上述した効果が得られやすくなる観点から、金属粒子の全質量を基準として、0質量%超70質量%以下であってよく、5質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%以下であってもよく、20質量%以上40質量%以下であってもよい。
マイクロ銅粒子において、表面処理剤の処理の有無は特に限定されるものではない。分散安定性及び耐酸化性の観点から、マイクロ銅粒子は表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤は、接合時に除去されるものであってもよい。このような表面処理剤としては、例えば、ドデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p-フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マイクロ銅粒子は、市販されているものを用いることができる。市販されている球状或いは略球状のマイクロ銅粒子としては、例えば、1050Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.81μm)、1100Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.1μm)、1200Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径2.1μm)、1300Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径4.6μm)、1400Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径5.5μm)、1200YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.9μm)、1300YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.4μm)、1400YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径4.2μm)、Cu-HWQ 1.5μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径1.5μm)、Cu-HWQ 1.5μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径1.4μm)、Cu-HWQ 3.0μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、Cu-HWQ 5.0μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径4.1μm)及びCu-HWQ 10μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径9.4μm)が挙げられる。市販されているフレーク状のマイクロ銅粒子としては、例えば、MA-C025KFD(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径7.5μm)、4L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径5.7μm)、3L3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径8.0μm)、2L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径9.9μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.8μm)、1050YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.94μm)、1100YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.2μm)、1200YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.4μm)及び1400YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径5.2μm)が挙げられる。
マイクロ銅粒子の含有量は、金属粒子の全質量を基準として、サブマイクロ銅粒子と組み合わせることによる上述した効果が得られやすくなる観点から、0質量%超、5質量%以上、10質量%以上又は20質量%以上であってよく、70質量%以下、50質量%以下又は40質量%以下であってよい。上記観点から、マイクロ銅粒子の含有量は、金属粒子の全質量を基準として、0質量%超70質量%以下であってよく、5質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%以下、20質量%以上40質量%以下であってもよい。
銅粒子は、上述したマイクロ銅粒子及びサブマイクロ銅粒子による効果が損なわれない範囲で、銅ナノ粒子を含むことができる。銅ナノ粒子とは、0.01μm未満の粒径を有する銅粒子を指す。焼結銅ピラーをより緻密にし、銅含有量を向上させる観点から、銅ナノ粒子の含有量は、金属粒子の全質量を基準として、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、0質量%である(すなわち、銅ナノ粒子を含まない)ことが更に好ましい。
[銅粒子以外の金属粒子]
銅粒子以外の金属粒子(他の金属粒子)としては、例えば、亜鉛、ニッケル、銀、金、パラジウム、白金等の粒子が挙げられる。他の金属粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上10μm以下であってよく、0.01μm以上5μm以下であってもよく、0.05μm以上3μm以下であってもよい。他の金属粒子の含有量は、充分な接合性を得るという観点から、金属粒子の全質量を基準として、20質量%未満であってよく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、0質量%(すなわち、銅ナノ粒子を含まない)でもよい。他の金属粒子の形状は、特に限定されるものではない。
金属粒子が他の金属粒子を含む場合、特に凝固点の低い金属種を有する金属粒子を含む場合、焼結温度を低くすることができる。さらに、複数種の金属が固溶又は分散した焼結体を得ることができるため、焼結体の降伏応力、疲労強度等の機械的な特性が改善され、接続信頼性が向上する場合がある。また、複数種の金属粒子を添加することで、焼結体は、特定の被着体に対して充分な接合強度を有することができる。特に、接合部材がマイクロデバイスである場合は、マイクロデバイスのダイシェア強度及び接続信頼性が向上する場合がある。
(有機分散媒)
有機分散媒は、沸点が280℃以上である有機分散媒(高沸点分散媒)を、有機分散媒の全質量を基準として、99質量%超の割合で含む。換言すれば、有機分散媒における、沸点が280℃未満である有機分散媒(低沸点分散媒)の含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、1質量%未満である。有機分散媒は、高沸点分散媒のみからなっていてもよい。高沸点分散媒は、一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
高沸点分散媒の沸点は、好ましくは290℃以上であり、より好ましくは300℃以上である。このような沸点を有する分散媒は焼成温度である150℃~300℃までピラー前駆体中に残存しやすいため、密着性及び可撓性がより維持されやすくなる。また、このような沸点を有する分散媒を用いることで、焼結銅ピラーによる接合の安定的な形成が可能となる放置時間(ピラー前駆体の形成から接合部材の搭載までの時間)をより長くすることができる傾向がある。一方で、高沸点分散媒の沸点は、好ましくは450℃以下であり、より好ましくは400℃以下である。分散媒は沸点以下の温度であってもその蒸気圧によって揮発して除かれるが、沸点が450℃以下の有機分散媒を用いる場合、焼結温度の150℃~300℃で揮発速度が遅くなりすぎることがなく、残存分散媒による焼結阻害が生じにくい。
高沸点分散媒は、含まれる金属粒子(例えば、サブマイクロ銅粒子、マイクロ銅粒子等の銅粒子)の分散性を向上させるため、金属粒子表面と親和性の高い構造を選ぶことが好ましい。例えば、金属粒子がアルキル基を含む表面処理剤で表面処理されている場合には、アルキル基を有する分散媒を選ぶことが好ましい。金属粒子の表面処理剤と、高沸点分散媒の組み合わせとしては、表面処理剤が炭素数1~17のアルキル基を含む有機酸であり、高沸点分散媒が、炭素数1~17のアルキル基を含む分散媒であることが好ましく、表面処理剤が炭素数5~17のアルキル基を含む有機酸であり、高沸点分散媒が、炭素数5~17のアルキル基を含む分散媒であることがより好ましく、表面処理剤が炭素数10~17のアルキル基を含む有機酸であり、高沸点分散媒が、炭素数10~17のアルキル基を含む分散媒であることが更に好ましい。上記組み合わせによれば、高沸点分散媒の含有量を増やした場合にも、金属粒子を良好に分散させることができる。
具体的な高沸点分散媒としては、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH、日本テルペン株式会社製)、ステアリン酸ブチル、エキセパールBS(花王株式会社製)、ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王株式会社製)、ステアリン酸2-エチルヘキシル、エキセパールEH-S(花王株式会社製)、ステアリン酸イソトリデシル、エキセパールTD-S(花王株式会社製)、イソオクタデカノール、ファインオキソコール180(日産化学株式会社製)、ファインオキソコール180T(日産化学株式会社製)、2-ヘキシルデカノール、ファインオキソコール1600(日産化学株式会社製)、トリブチリン、テトラエチレングリコール、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、メチルヘプタデカン、トリデシルシクロヘキサン、テトラデシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘプタデシルベンゼン、ノニルナフタレン、ジフェニルプロパン、オクタン酸オクチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサン酸)、クエン酸トリブチル、ペンチルフェノール、セバシン酸ジブチル、オレイルアルコール、セチルアルコール、メトキシフェネチルアルコール、ベンジルフェノール、ヘキサデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、安息香酸ベンジル、シンメチリン等が挙げられる。
有機分散媒は、凝固点が20℃以下である有機分散媒(低凝固点分散媒)を含む。低凝固点分散媒は、高沸点分散媒であってもよい。すなわち、低凝固点分散媒の沸点は、280℃以上であってもよい。低凝固点分散媒の凝固点は、印刷性が向上し、焼結性及び接合性により優れる観点では、15℃以下、10℃以下、5℃以下又は0℃以下であってよい。低凝固点分散媒の凝固点は、-10℃以上、-5℃以上、0℃以上、5℃以上又は10℃以上であってよい。低凝固点分散媒は、一種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
有機分散媒が、低凝固点分散媒として、凝固点が10~20℃の有機分散媒を含む場合、印刷性、焼結性及び接合性により優れる傾向がある。かかる効果がより顕著に得られる観点では、有機分散媒は、凝固点が10~20℃の有機分散媒を2種以上含んでいてよく、凝固点が10~20℃の有機分散媒と凝固点が15℃以下の有機分散媒(例えば凝固点が0℃以下の有機分散媒)とを含んでいてもよい。
低凝固点分散媒としては、例えば、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、イソボルニルシクロヘキサノール、オクタン酸オクチル、4-n-オクチルアニリン、ベンズヒドリルアミン、イソステアリルアルコール、イソオクタデカノール、2-ヘキシルデカノール、テトラデシルメルカプタン、フェニルp-トリスルフィド、トリブチリン、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサン酸)、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、安息香酸ベンジル、アジピン酸ジブチル、リノール酸メチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2-メトキシエチル)、フタル酸エトキシカルボニルメチルエチル、O-アセチルくえん酸トリブチル、セバシン酸ジオクチル、フタル酸ジオクチル、テトラブチルすず、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、オクタデカン、トリデシルベンゼン、2-メチルヘプタデカン、1-ヘプタデセン、1-フェニルペンタデカン、スクアラン、4-ブロモジフェニルエーテル、1-ヨードナフタレン、1-ブロモ4-メチルナフタレン、りん酸クレジルジフェニル、亜りん酸トリフェニル等が挙げられる。これらの中でも、印刷性、焼結性及び接合性に優れる観点から、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、イソボルニルシクロヘキサノール及びオクタン酸オクチルからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく用いられる。
有機分散媒は、印刷性、焼結性及び接合性により優れる観点から、ステアリン酸イソトリデシルと、ステアリン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸オクチル及びイソボルニルシクロヘキサノールからなる群より選択される少なくとも1種と、を含んでいてよい。この場合、ステアリン酸イソトリデシルの含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってよい。
有機分散媒は、印刷性、焼結性及び接合性により優れる観点から、ステアリン酸2-エチルヘキシルと、オクタン酸オクチル、ステアリン酸イソトリデシル及びイソボルニルシクロヘキサノールからなる群より選択される少なくとも1種と、を含んでいてよい。この場合、ステアリン酸2-エチルヘキシルの含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってよい。
有機分散媒は、印刷性、焼結性及び接合性により優れる観点から、イソボルニルシクロヘキサノールと、オクタン酸オクチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル及びステアリン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種と、を含んでいてよい。この場合、イソボルニルシクロヘキサノールの含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってよい。
有機分散媒は、印刷性、焼結性及び接合性により優れる観点から、イソボルニルシクロヘキサノール、ステアリン酸2-エチルヘキシル及びステアリン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種と、を含んでいてよく、オクタン酸オクチルと、イソボルニルシクロヘキサノール、ステアリン酸2-エチルヘキシル及びステアリン酸イソトリデシルからなる群より選択される少なくとも1種と、を含んでいてもよい。この場合、オクタン酸オクチルの含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってよい。
低凝固点分散媒の含有量は、印刷性、焼結性及び接合性により優れる観点から、有機分散媒の全質量を基準として、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。低凝固点分散媒の含有量は、有機分散媒の全質量を基準として、100質量%以下であり、90質量%以下又は80質量%以下であってもよい。
有機分散媒の含有量は、銅ペーストをより適切な粘度に調整する観点から、銅ペーストの全質量を基準として、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上又は4質量%以上であってよい。有機分散媒の含有量は、銅粒子の焼結性がより向上する観点から、銅ペーストの全質量を基準として、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。
銅ペーストに含まれる有機分散媒の種類は、例えば、高温脱離ガスのガスクロマトグラフ-質量分析法、及びTOF-SIMSで分析できる。その他の分析方法としては、遠心分離により粒子成分を分離して得られる上澄みを通常の有機分析、例えば、FT-IR、NMR、液体クロマトグラフ及びこれらの組み合わせで同定してもよい。有機分散媒の種類の比率は、液体クロマトグラフ、NMR等で定量できる。
(金属粒子及び有機分散媒以外の成分)
銅ペーストは、金属粒子及び有機分散媒以外の成分を更に含んでいてもよい。金属粒子及び有機分散媒以外の成分としては、例えば、熱分解性樹脂等の可撓性付与成分、充填材、分散剤、フラックス等が挙げられる。
熱分解性樹脂としては、ピラー前駆体の形成後から焼成まで、ピラー前駆体を被着体である接合部材に仮止めする目的から、接着性又は粘着性を発現できる非結晶高分子が好ましい。また、熱分解性樹脂は、焼結温度で分解し残渣なく分解できる熱分解性を兼ね備えることが好ましい。
熱分解性樹脂の熱分解性温度は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。なお、熱分解性樹脂の熱分解性温度とは、熱分解性樹脂の分解開始温度であり、TG/DTA測定において5%重量減少温度とする。ただし、この温度は、空気のような酸化雰囲気下ではなく、水素或いはギ酸などを含む還元性ガス雰囲気下又は酸素を除去した不活性ガス雰囲気下における分解開始温度を意味する。
熱分解性樹脂の熱分解後の残渣は、銅粒子の焼結を妨げるため少ないほど良く、通常、焼結温度での残渣の量は、熱分解前の樹脂質量に対して、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。熱分解性樹脂の熱分解後の残渣の量は、3~5質量%水素含有イナートガス(窒素或いはアルゴン)中で熱分解性樹脂のTG/DTAにより焼結温度で焼結時間だけ保持した後の重量変化量として測定できる。なお、空気中でのTG/DTA測定は酸化分解が進むため、還元性ガス雰囲気での残渣量と比較して少なくなるため好ましくない。
熱分解性樹脂は、例えば、上述した有機分散媒に対し溶解性を有する。有機分散媒への溶解性と上記所望の特性とを有する熱分解性樹脂としては、ポリカルボナート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステルが挙げられる。
熱分解性樹脂の含有量は、銅ペーストの全質量を基準として、25質量%以下であってよく、15質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよい。焼結銅ピラーの形成が目的であれば、熱分解性樹脂を配合しなくてもよい。一方、全分散媒中に含まれる可撓性付与成分の割合を増やして乾燥の進行を低減させる観点から、熱分解性樹脂の含有量は、銅ペーストの全質量を基準として、5質量%以上であってもよい。
銅ペーストの粘度は、ピラー前駆体を形成するための印刷・塗布手法に適した粘度でああってよい。後述する各種印刷方法によってピラー前駆体を形成することが容易となる観点では、銅ペーストの25℃における粘度は、50Pa・s以上2000Pa・s以下であってよく、100Pa・s以上1750Pa・s以下であってもよく、200Pa・s以上1500Pa・s以下であってもよい。なお、銅ペーストの粘度は、E型粘度計により25℃で回転数0.5rpmの条件で測定される値を意味する。E型粘度計としては、例えば東機産業株式会社製、製品名:VISCOMETER-TV33型粘度計を用いることができる。コーンロータの測定用冶具として、例えば、3°×R14、SPPを適用できる。
銅ペーストのチキソトロピーインデックス(以下、「TI値」ともいう。)は、2.0以上20以下であってよく、3.0以上15以下であってもよく、4.0以上10以下であってもよい。銅ペーストのTI値がこの範囲内にあると、せん断力によって銅ペーストが低粘度化するため、印刷前に手作業又は攪拌装置(例えば、自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)等)により銅ペーストを攪拌することで印刷しやすくなり、また、銅ペーストが接合部材に付着した後は静置によって粘度が回復するため、印刷物の過度な濡れ広がりを抑えることができる。なお、銅ペーストのTI値は、E型粘度計により25℃で回転数0.5rpmの条件で測定される粘度をμ0.5とし、E型粘度計により25℃で回転数5rpmの条件で測定される粘度をμとしたときに、次式で算出される値である。
TI値=μ0.5/μ
<銅ペーストの調製方法>
銅ペーストは、上述の金属粒子、有機分散媒、必要に応じて、可撓性付与成分等の任意成分を混合して調製することができる。具体的には、例えば、可撓性付与成分と有機分散媒との混合液(溶液)に、サブマイクロ銅粒子と、マイクロ銅粒子と、必要に応じて、その他の金属粒子及び任意の添加剤を添加し、分散処理を行うことで銅ペーストを調製してよい。また、例えば、可撓性付与成分と有機分散媒との混合液(溶液)と、銅粒子と有機分散媒との混合液(分散液)と、必要に応じて、その他の金属粒子及び任意の添加剤とを混合することで銅ペーストを調製してもよい。
銅粒子がサブマイクロ銅粒子とマイクロ銅粒子と含む場合、まず、有機分散媒又は可撓性付与成分にサブマイクロ銅粒子と、必要に応じて分散剤とを加え、混合した上で分散処理を行い、さらにマイクロ銅粒子と、必要に応じて、その他の金属粒子とを加えて分散処理を行ってもよい。サブマイクロ銅粒子とマイクロ銅粒子とでは分散に適した分散方法、分散条件が異なる場合がある。一般にサブマイクロ銅粒子では、マイクロ銅粒子より強度の強い分散が必要であり、一方、マイクロ銅粒子は分散しやすく強度の低い分散で充分であるだけでなく、強い分散ではマイクロ銅粒子は変形を生じる。上記の手順とすることで、分散性が良くなり、銅ペーストの性能をより向上させることができる。分散液に対し分級操作をすることによって凝集物を除去してもよい。
本調製方法においては、各成分の混合後に、撹拌処理を行ってもよい。銅ペーストは、分級操作により分散液の最大粒径を調整してもよい。このとき、分散液の最大粒径は20μm以下とすることができ、10μm以下とすることもできる。
分散処理は、分散機あるいは撹拌機を用いて行うことができる。例えば、石川式攪拌機、シルバーソン攪拌機、キャビテーション攪拌機、自転公転型攪拌装置、超薄膜高速回転式分散機、超音波分散機、ライカイ機、二軸混練機、ビーズミル、ボールミル、三本ロールミル、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、超高圧型分散機、薄層せん断分散機等が挙げられる。
撹拌処理は、撹拌機を用いて行うことができる。例えば、石川式攪拌機、自転公転型攪拌装置、ライカイ機、二軸混練機、三本ロールミル、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
分級操作は、例えば、ろ過、自然沈降、遠心分離等を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、水櫛、金属メッシュ、メタルフィルター、ナイロンメッシュ等が挙げられる。
<接合体>
図1に示すように、一実施形態の接合体10は、第1の部材1と、第2の部材2と、第1の部材1及び第2の部材2を接合する焼結銅ピラー3とを備える。焼結銅ピラー3は、例えば、上記銅ペーストの焼結体からなる。
焼結銅ピラーの下面及び上面はそれぞれ、第1の部材との接合面及び第2の部材との接合面を成しており、金属結合により両者が結合している。このような金属結合が形成されていることにより、接合体は低い電気抵抗で且つ強固に接合されたものになり得る。
第1の部材1及び第2の部材2としては、アクティブ又はパッシブな電子デバイス、電子デバイスを搭載する配線板、電子デバイスと電子デバイス上に設けられた再配線層とを有するパッケージ等が挙げられる。
電子デバイスとしては、コイル、コンデンサ、SAWフィルタ、パワーIC、ロジックチップ、メモリチップ、センサ、圧電素子、トランジスタ、ダイオード等が挙げられる。
配線板としては、実装基板、銅リードフレーム等のリードフレーム、セラミックス基板、MID(Molded Interconnect Device、成形回路部品)等の印刷金属配線を有する樹脂成型品、再配線層を有するパッケージなどが挙げられる。
第1の部材1及び第2の部材2は、一方がアクティブ又はパッシブな電子デバイスであり、他方が電子デバイスを搭載する配線板であってもよい。この場合、信頼性に優れた電子デバイス実装が可能となる。
また、第1の部材1及び第2の部材2の両方が、電子デバイスと電子デバイス上に設けられた再配線層とを有するパッケージであってもよい。この場合、信頼性に優れたパッケージオンパッケージ実装が可能となる。
第1の部材1及び/又は第2の部材2は、焼結銅ピラー3との接合面に、銅、ニッケル、銀、白金、金及びパラジウムからなる群より選択される1種以上の金属を含んでいてよい。具体的には、例えば、第1の部材1及び/又は第2の部材2上に、銅、ニッケル、銀、白金、金及びパラジウムからなる群より選択される1種以上の金属を含む金属膜又は焼結金属層が設けられてよい。接合面がこれらの金属を含む場合、水素、蟻酸等の還元性ガス雰囲気下、300℃以下の焼結温度で、表面の酸化被膜を還元除去することが可能となる。そのため、接合体10は、部材の露出した金属面と焼結銅ピラーとの金属結合によって高い接合強度を有することができる。
焼結銅ピラー3は、銅の含有量が、焼結銅ピラーを構成する成分(ただし、炭素、酸素、及び窒素を除く)の合計質量を基準として、96質量%以上であることが好ましく、96.5質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることが更に好ましい。なお、上記の炭素、酸素、及び窒素は、実装によるアンダーフィルの充填又は封止材の充填により非作為的に焼結銅ピラー中に含まれることがある成分である。
銅の含有量が上記範囲である焼結銅ピラーは、上述した銅ペーストの印刷及び焼結により容易に形成することができる。また、焼結銅ピラーにおける銅の含有量が上記範囲であると、接合強度の確保及びエレクトロマイグレーションの抑制の点で有利となる。また、接合面が銅を含む場合には、同種金属による接合となるため、カーケンダルボイドの発生を抑制することが容易となり、接続信頼性に一層優れた接合体になり得る。
焼結銅ピラー3は、熱伝導率及び電気伝導率の観点から、焼結銅ピラー3に占める銅の体積割合が50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることが更に好ましい。焼結銅ピラー3に占める銅の体積割合が大きいほど焼結銅ピラー3の熱伝導率及び電気伝導率は高くなる。焼結銅ピラー3に占める銅の体積割合は、焼結銅ピラーの断面のSEM像から求めることができる。なお、本明細書において焼結銅ピラーの銅以外の部分は空孔として表現する。空孔内に充填材又はアンダーフィル等の樹脂成分が含まれている場合には当該成分の体積も空孔の体積として含める。
焼結銅ピラー3の高さHは、5~200μmであってもよく、10~150μmであってもよく、20~100μmであってもよい。ここで、焼結銅ピラー3の高さとは、焼結銅ピラー3における第1の部材1との接合面と第2の部材2との接合面との最短距離をいう。
焼結銅ピラー3の幅(直径)Wは、10~500μmであってもよく、25~300μmであってもよく、50~150μmであってもよい。ここで、焼結銅ピラー3の幅(直径)とは、焼結銅ピラー3の高さ方向(ピラーが延びる方向)に垂直な断面の最小径をいう。
焼結銅ピラー3は、上記高さHと上記幅Wとの比(H/W)(「焼結銅ピラーの断面アスペクト比」という場合もある)が0.01~4.0であってもよく、0.1~2.5であってもよく、0.15~2.0であってもよい。
上記高さH及び上記幅Wは、焼結銅ピラーの断面のSEM像から求めることができる。
焼結銅ピラー3と第1の部材及び/又は第2の部材との界面におけるせん断強度(焼結銅ピラー3の接合面と第1の部材及び/又は第2の部材の接合面との間のせん断強度)は、4MPa以上とすることができ、10MPa以上であってもよく、20MPa以上であってもよい。このとき、第1の部材及び/又は第2の部材の接合面は上述した金属を含むことができる。例えば、第1の部材及び/又は第2の部材の接合面は、上述した金属を含む金属層の表面であってよい。
せん断強度は、例えばボンディング強度試験装置を用い、装置のツールによって焼結銅ピラーを水平方向に一定速度で押し、焼結銅ピラーと部材の接合面が剥がれたときの最大強度をピラーの断面積で除することによって算出することができる。
以上説明した接合体10の製造方法は、第1の部材1上に、上記銅ペーストをピラー状に成形した後、第2の部材2を搭載し、第1の部材1と第2の部材2との間にピラー前駆体を設ける工程(以下、「第1の工程」ともいう。)と、ピラー前駆体を焼結することにより焼結銅ピラー3を形成する工程(以下、「第2の工程」ともいう。)と、を備える。以下、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
(第1の工程)
第1の工程では、まず、例えば図2に示すにように、第1の部材1上に、銅ペースト3aを印刷等によりピラー状に成形する。
銅ペーストの印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷、転写印刷、オフセット印刷、ジェットプリンティング法、ディスペンサー、ジェットディスペンサ、ニードルディスペンサ、カンマコータ、スリットコータ、ダイコータ、グラビアコータ、スリットコート、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、ステンシル印刷、ソフトリソグラフ、バーコート、アプリケータ、粒子堆積法、スプレーコータ、スピンコータ、ディップコータ、電着塗装等を用いることができる。
製造工程が簡易である、形状の安定性が保たれやすい、及び厚膜印刷がし易いなどの観点から、銅ペーストをスクリーン印刷又はステンシル印刷によりピラー状に成形することが好ましい。スクリーン印刷及びステンシル印刷では、例えば、まず、第1の部材1上にメタルマスク4を配置する(図2の(a))。次いで、第1の部材1及びメタルマスク4上に銅ペースト3aを配置する(図2の(b))。次いで、スキージ5を用いて銅ペースト3aを延ばし、メタルマスク4の孔部分に銅ペースト3aを充填する(図2の(c))。このようにして、第1の部材1上に、ピラー状に成形された銅ペースト3bを形成する(図3の(a))。
スクリーン印刷又はステンシル印刷に用いるメタルマスクのビア径は、30μm以上200μm以下であってよく、50μm以上100μm以下であってもよい。孔の配置は、格子状であってよい。ピッチ間隔は、1μm以上500μm以下であってよい。スキージ角度は、10°以上90°以下であってよく、45°以上70°以下であってもよい。
印刷高さH1は、5μm以上500μm以下であってよく、10μm以上200μm以下であってもよい。また、印刷後のピラー端部からの濡れ広がりW1は、100μm以下であってよく、50μm以下であってもよい。
次に、例えば図3に示すように、第1の部材上(ピラー状に形成された銅ペースト3b上)に第2の部材2を搭載し、第1の部材1と第2の部材2との間にピラー前駆体3cを設ける。具体的には、例えば、図3(b)に示すように、ピラー状に形成された銅ペースト3b上から、第2の部材2を押し込むことで、第2の部材2を第1の部材上に搭載する。こうして、第1の部材1及び第2の部材2との間にピラー前駆体3cが設けられる。
第2の部材2の搭載の方法は、特に限定されないが、例えば、第1の部材1及び第2の部材2がマイクロデバイス及び基板である場合、例えば、チップマウンター、フリップチップボンダー、カーボン製又はセラミックス製の位置決め冶具を用いる方法であってよい。
第2の部材2を搭載した際の押込み深さ(H1-H2)は、ピラー状に成形された銅ペーストの最上部から500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。H2は、形成される焼結銅ピラー若しくはピラー前駆体の高さを考慮して設定される。
(第2の工程)
第2の工程では、第1の部材1及び第2の部材2との間に配されたピラー前駆体3cを焼結する。これにより、焼結銅ピラー3が形成されるとともに、第1の部材1と第2の部材2とが焼結銅ピラー3により接合され、図3の(c)に示す接合体10が得られる。
ピラー前駆体3cは、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制する観点から、適宜乾燥させてもよい。乾燥時のガス雰囲気は大気中であってもよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素、ギ酸等の還元性ガス雰囲気中であってもよい。乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。乾燥の温度及び時間は、使用した有機分散媒および可撓性付与成分の種類及び量に合わせて適宜調整してもよい。乾燥の温度及び時間としては、例えば、50℃以上180℃以下で30秒以上120分間以下とすることができる。
ピラー前駆体3cの焼結は、加熱処理することで行うことができる。加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
焼結時のガス雰囲気は、ピラー前駆体3cに含まれる銅粒子や被着面の表面酸化物を除去するという観点から、還元性ガス雰囲気であってもよい。還元性ガス雰囲気としては、例えば、純水素ガス雰囲気、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス雰囲気、ギ酸ガスを含む窒素雰囲気、水素及び希ガスの混合ガス雰囲気、ギ酸ガスを含む希ガス雰囲気等が挙げられる。
ピラー前駆体3cの径が小さい場合(特には200μm以下の場合)、ギ酸がピラー前駆体3cの内部まで入り込むため銅粒子を還元させやすくなり、ギ酸ガスを含む還元性ガス雰囲気で銅粒子を充分に焼結させることができる。この場合、ギ酸リフロー炉を使用して焼結することが可能となり、効率よく焼結の度合いを向上させることができる。
加熱処理時の到達最高温度は、焼結を充分進めかつマイクロデバイス及び基板などの部材への熱ダメージの低減及び歩留まりを向上させるという観点から、150℃以上300℃以下であってよく、170℃以上250℃以下であってもよく、200℃以上250℃以下であってもよい。到達最高温度が、150℃以上であれば、到達最高温度保持時間が60分間以下においても焼結が充分に進行する傾向にある。
到達最高温度保持時間は、有機分散媒及び可撓性付与成分を充分に除去でき、焼結を充分に進められ、また、歩留まりを向上させるという観点から、1分間以上60分間以下であってもよく、1分間以上40分間未満であってもよく、1分間以上30分間未満であってもよい。
以上、一実施形態の接合体及びその製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、接合体の製造方法は、焼結銅ピラーの周囲に樹脂を充填する工程を更に備えていてもよい。この場合、図4に示すように、第1の部材1と第2の部材2との間に封止材6が設けられた接合体20が得られる。
封止材としては、接合部位を熱、湿気及び衝撃から保護し、接続信頼性を一層向上させる観点から、コンプレッションモールド用封止材、液状封止材、トランスファーモールド封止材、アンダーフィル用封止材等を用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の方法により、銅ペーストの調製、接合体の作製及びその評価、並びに、接合用ピラー付部材の作製及びその評価を行った。
[銅ペーストの調製]
オクタン酸オクチル(有機分散媒、シグマ アルドリッチ ジャパン G.K.製、沸点:307℃、凝固点:18℃)0.07gと、ステアリン酸2-エチルヘキシル(有機分散媒、花王株式会社製、沸点:340℃、凝固点:9℃)0.07gと、予め調製したCH-0200(サブマイクロ銅粒子、三井金属社製、商品名、50%体積平均粒径:0.36μm、表面処理剤:ラウリン酸)とオクタン酸オクチル(分散媒、シグマ アルドリッチ ジャパン G.K製)及びステアリン酸2-エチルヘキシル(有機分散媒、花王株式会社製)とのスラリー混合物(CH-200:オクタン酸オクチル:ステアリン酸2-エチルヘキシル=90:5:5、質量比)16.18gと、MA-025KFD(フレーク状のマイクロ銅粒子、福田金属箔粉工業株式会社製、商品名、50%体積平均粒径:5.9μm)3.52gとをメノウ乳鉢で乾燥粉がなくなるまで混練し、混合液をポリ瓶に移した。
密栓をしたポリ瓶を、自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)を用いて、2000min-1(2000回転/分)で2分間撹拌した。こうして銅ペーストを得た。
[印刷性評価]
まず、シリコンウエハ(サイズ:6インチ)上に、円形の開口を有するステンレス製のメタルマスク(厚さ:70ミクロン)を載せ、メタルスキージを用いたステンシル印刷により銅ペーストを塗布した。これにより、ピラー(ピラー状の銅ペースト)をシリコンウエハ上に配置した。メタルマスクの開口直径は150ミクロンであった。次に、デジタルマイクロスコープ(VHX-6000、株式会社キーエンス製)でシリコンウエハ上に配置されたピラーの数を確認した。印刷性の評価は、以下の判定基準で行った。結果を表1及び表2に示す。
○:形成されたピラーの数の割合が全体(マスクの開口数)の80%以上100%以下
△:形成されたピラーの数の割合が全体(マスクの開口数)の50%以上80%未満
×:形成されたピラーの数の割合が全体(マスクの開口数)の0%以上50%未満
[接合体の作製]
上記で得られた銅ペーストを用いて、以下の方法により接合体を形成した。第1の部材としての銅板(サイズ:15mm×20mm、厚み:3mm)に、φ150μmの開口がピッチ間隔500μmで格子状に設けられたステンレス製のメタルマスク(厚さ:70μm)を載せ、メタルスキージを用いたステンシル印刷により銅ペーストを塗布した。銅ペーストを塗布後、基板上に設けられたピラー状の銅ペーストに、第2の部材としてのCuめっきが施されたSiチップ(サイズ:3mm×3mm、厚さ:0.15mm)を、フリップチップボンダ(T-3000-TC-3、Dr. Tresky社製)を使って搭載した。その後、これらの積層体(銅板/ピラー前駆体/Siチップ)を焼結炉(水素10%/窒素90%の還元性ガス雰囲気)に入れ、30分かけて225℃まで上昇させ、225℃で60分間保持した。その後、水冷で50℃以下まで冷却させることで接合体を得た。
[接合性評価]
超音波スキャン装置(IS-300、インサイト社製)を使用して接合体の超音波探傷観察を実施した。プローブの周波数は35MHzであった。超音波探傷観察で得られる画像においては、ピラーで接合される箇所のうち、接合に成功した箇所が黒く表示される。得られた画像における接合に成功した箇所(黒く映っている接合箇所)の数を接合数として数え、全体(接合箇所)に対する接合数の割合に基づき、以下の判定基準で接合性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:接合数の割合が全体(接合箇所)の80%以上100%以下
△:接合数の割合が全体(接合箇所)の50%以上80%未満
×:接合数の割合が全体(接合箇所)の0%以上50%未満
[焼結性評価]
接合体をプラスチック製のカップ内に置き、周囲にエポキシ樹脂(エポマウント、リファインテック社製)を、接合体が埋まるまで流しこんだ後、カップを真空デシケータ内に静置し、1分間減圧して脱泡した。その後、室温(25℃)下10時間放置してエポキシ樹脂を硬化させた。次に、ダイヤモンド切断ホイール(11-304、リファインテック株式会社製)を付けたリファインソーエクセル(RCB-961、リファインテック株式会社製)を用い、接合断面付近で切断した。次に、耐水研磨紙(カーボンペーパー、リファインテック株式会社製)を付けた研磨装置(Refine Polisher HV、リファインテック株式会社製)で断面を研磨した。その後、CP加工装置(IM4000、株式会社日立製作所製)で加速電圧6kV、アルゴンガス流量0.07~0.1cm/min、処理時間20分でフラットミリング処理を行った。次にスパッタ装置(ION SPUTTER、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて白金を10nmの厚さでスパッタしてSEM観察用サンプルとし、SEM装置(ESEM XL30、Philips製)により、接合体の断面を印加電圧10kV、各種倍率で観察し、以下の判定基準で焼結性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:焼結銅ピラーにおけるボイド及び亀裂の数が10個未満
△:焼結銅ピラーにおけるボイド及び亀裂の数が10個以上50個以下
×:焼結銅ピラーにおけるボイド及び亀裂の数が50個以上
(実施例2)
銅ペースト中及びスラリー混合物中のオクタン酸オクチルとステアリン酸2-エチルヘキシルの配合比(質量比)が3:7となるように、オクタン酸オクチルとステアリン酸2-エチルヘキシルの使用量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(実施例3)
ステアリン酸2-エチルヘキシルに代えてステアリン酸イソトリデシル(有機分散媒、花王株式会社製、沸点:489.84℃、凝固点:12℃)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(実施例4)
銅ペースト中及びスラリー混合物中のステアリン酸2-エチルヘキシルとステアリン酸イソトリデシルの配合比(質量比)が4:6となるように、ステアリン酸2-エチルヘキシルとステアリン酸イソトリデシルの使用量を調整したこと以外は、実施例3と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(実施例5)
有機分散媒として、オクタン酸オクチルに代えてイソボルニルシクロヘキサノール(テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社製、沸点:308℃、凝固点:-6.2℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(実施例6)
有機分散媒として、ステアリン酸2-エチルヘキシルに代えてステアリン酸イソトリデシルを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(実施例7)
ステアリン酸2-エチルヘキシルに代えてステアリン酸ブチル(有機分散媒、富士フイルム和光株式会社製、沸点:343℃、凝固点:25℃)を用いたこと、及び、銅ペースト中及びスラリー混合物中のオクタン酸オクチルとステアリン酸ブチルの配合比(質量比)が9:1となるように、ステアリン酸2-エチルヘキシルとステアリン酸イソトリデシルの使用量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
(比較例1)
ステアリン酸2-エチルヘキシルに代えてジヒドロターピネオール(有機分散媒、日本テルペン化学株式会社製、沸点:220℃)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、銅ペーストを作製した。また、得られた銅ペーストを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、印刷性、焼結性及び接合性を評価した。
Figure 2022059400000001
Figure 2022059400000002
1…第1の部材、2…第2の部材、3…焼結銅ピラー、3a…銅ペースト、4…メタルマスク、5…スキージ、10,20…接合体。

Claims (8)

  1. 部材同士を接合する焼結銅ピラーを形成するための銅ペーストであって、
    金属粒子と、有機分散媒とを含有し、
    前記金属粒子が銅粒子を含み、
    前記有機分散媒が、沸点が280℃以上である高沸点分散媒を、前記有機分散媒の全質量を基準として、99質量%超の割合で含み、且つ、凝固点が20℃以下の低凝固点分散媒を含む、焼結銅ピラー形成用銅ペースト。
  2. 前記有機分散媒の含有量が、前記銅ペーストの全質量を基準として、1~20質量%である、請求項1に記載の銅ペースト。
  3. 前記低凝固点分散媒の含有量が、前記有機分散媒の全質量を基準として、50質量%以上である、請求項1又は2に記載の銅ペースト。
  4. 前記金属粒子が、体積平均粒径が0.01μm以上0.8μm未満のサブマイクロ銅粒子を、前記金属粒子の全質量を基準として、30~100質量%の割合で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の銅ペースト。
  5. 前記金属粒子が、体積平均粒径が0.8μm以上50μm以下のマイクロ銅粒子を、前記金属粒子の全質量を基準として、0質量%超70質量%以下の割合で含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の銅ペースト。
  6. 前記低凝固点分散媒として、凝固点が10~20℃の有機分散媒を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の銅ペースト。
  7. 前記有機分散媒が、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、イソボルニルシクロヘキサノール及びオクタン酸オクチルからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の銅ペースト。
  8. 第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材を接合する焼結銅ピラーと、を備える接合体を製造する方法であって、
    前記第1の部材上に、請求項1~7のいずれか一項に記載の銅ペーストをピラー状に成形した後、前記第2の部材を搭載し、前記第1の部材と前記第2の部材との間にピラー前駆体を設ける工程と、
    前記ピラー前駆体を焼結することにより前記焼結銅ピラーを形成する工程と、を備える接合体の製造方法。
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