JP2022181795A - 銅ピラー付き回路部材の製造方法及び接合体の製造方法 - Google Patents

銅ピラー付き回路部材の製造方法及び接合体の製造方法 Download PDF

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Toshiaki Tanaka
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Yoshinori Ejiri
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美智子 名取
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大 石川
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Abstract

【課題】微細な焼結銅ピラーを有する回路部材の効率的な製造方法を提供する。【解決手段】回路部材1と、回路部材1上に設けられた、開口2aを有する熱溶融性のマスク層2と、を備える積層体3を用意する工程aと、マスク層2の開口2a内に、銅粒子及び有機分散媒を含む銅ペースト4を充填して銅ピラー前駆体5を形成する工程bと、マスク層2を熱により溶融させて除去する工程cと、銅ピラー前駆体5を焼結させて焼結銅ピラー6を形成する工程dと、を備える、銅ピラー付き回路部材10の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、銅ピラー付き回路部材の製造方法及び接合体の製造方法に関する。
半導体ウェハ、リードフレーム等の回路基板上に焼結銅ピラーからなる接続端子を形成する技術として、回路基板上に銅ペーストを印刷することで銅ピラー前駆体を形成し、銅ピラー前駆体を焼結することで焼結銅ピラーを形成する方法が開発されている。銅ピラー前駆体の印刷には、例えば、メタルマスクを用いたスクリーン印刷法が用いられる。
特開2020-045514号公報
近年、半導体素子等の電子部品の微細化に伴い、焼結銅ピラーの直径をより小さくし、アスクペクト比(直径に対する高さの比)をより大きくすることが求められるようになってきている。しかしながら、本発明者らの検討の結果、スクリーン印刷法を用いて銅ペーストを印刷し焼結銅ピラーを形成する場合、例えば、メタルマスクの開口が微細化するにしたがって、銅ピラー前駆体が回路部材に付着することなく、取り外したメタルマスクの開口内に残留するといった不具合が生じやすくなることが判明した。
そこで、本発明は、微細な焼結銅ピラーを有する回路部材の効率的な製造方法、及び、該方法を用いた、接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一側面において、回路部材と、前記回路部材上に設けられた、開口を有する熱溶融性のマスク層と、を備える積層体を用意する工程aと、前記マスク層の前記開口内に、銅粒子及び有機分散媒を含む銅ペーストを充填して銅ピラー前駆体を形成する工程bと、前記マスク層を熱により溶融させて除去する工程cと、前記銅ピラー前駆体を焼結させて焼結銅ピラーを形成する工程dと、を備える、銅ピラー付き回路部材の製造方法を提供する。
上記方法では、熱溶融性のマスク層を用いるため、微細な焼結銅ピラーを有する回路部材(銅ピラー付き回路部材)を効率的に製造することができる。
前記工程cでは、前記マスク層を40~150℃に加熱することによって溶融させて除去してよい。40~150℃の加熱により溶融し除去できるマスク層は、室温で所定形状を維持しながら加熱により容易に除去できるものである。このようなマスク層を用いる場合、マスク層の残渣が生じ難い。
前記工程dでは、前記銅ピラー前駆体を150~300℃に加熱することによって焼結させて焼結銅ピラーを形成してよい。銅ピラー前駆体が150~300℃の加熱により焼結して焼結銅ピラーを形成するものであれば、回路部材への熱ダメージを低減しながら充分に焼結を進行させることができる。
前記マスク層はワックスで形成されていてよい。この場合、マスク層と回路基板との密着性に優れるため、マスク層と回路基板との界面に銅ペーストがにじむ現象が生じ難い。また、マスク層を加熱により溶融させた後に残渣なく除去し易い。
前記開口の直径は200μm以下であってよい。
前記開口の直径に対する前記開口の深さの比は0.5以上であってよい。
本発明は、他の一側面において、第一の回路部材と、前記第一の回路部材に接合された第二の回路部材と、前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材の間に位置する焼結銅ピラーと、を備える、接合体の製造方法であって、前記側面の方法により前記第一の回路部材上に焼結銅ピラーを形成する工程を備える、接合体の製造方法を提供する。
前記側面の接合体の製造方法では、前記工程cの後、前記第一の回路部材上に前記第二の回路部材を搭載してから前記工程dを実施することにより、前記焼結銅ピラーを形成するとともに、前記焼結銅ピラーにより前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接合してよい。
前記側面の接合体の製造方法では、前記工程dの後、前記焼結銅ピラーの接合面、及び/又は、前記第二の回路部材の接合面に、接合材を配置してから前記第一の回路部材上に前記第二の回路部材を搭載し、前記接合材により前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接合してよい。
本発明によれば、微細な焼結銅ピラーを有する回路部材の効率的な製造方法、及び、該方法を用いた、接合体の製造方法を提供することができる。
図1は、一実施形態の銅ピラー付き回路部材の製造方法を示す模式断面図である。 図2は、第一実施形態の接合体を示す模式断面図である。 図3は、第一実施形態の接合体の製造方法を示す模式断面図である。 図4は、第二実施形態の接合体を示す模式断面図である。 図5は、第二実施形態の接合体の製造方法を示す模式断面図である。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<銅ピラー付き回路部材>
図1に示す銅ピラー付き回路部材10の製造方法は、回路部材1と、回路部材1上に設けられた、開口2aを有する熱溶融性のマスク層2と、を備える積層体3を用意する工程aと、マスク層2の開口2a内に、銅粒子及び有機分散媒を含む銅ペースト4を充填して銅ピラー前駆体5を形成する工程bと、マスク層2を熱により溶融させて除去する工程cと、銅ピラー前駆体5を焼結させて焼結銅ピラー6を形成する工程dと、を備える。
上記方法では、熱溶融性のマスク層を用いて焼結銅ピラーの形成を行うため、マスクの除去に伴う不具合が生じ難く、微細な焼結銅ピラーを有する回路部材を効率的に製造することができる。以下、各工程の詳細について説明する。
(工程a)
工程aでは、図1の(a)に示す積層体3を用意する。工程aは、例えば、回路部材1上にマスク層2を形成することにより積層体3を作製する工程である。
回路部材1としては、アクティブ又はパッシブな電子デバイス、電子デバイスを搭載する配線板、電子デバイスと電子デバイス上に設けられた再配線層とを有するパッケージ等が挙げられる。電子デバイスとしては、コイル、コンデンサ、SAWフィルタ、パワーIC、ロジックチップ、メモリチップ、センサ、圧電素子、トランジスタ、ダイオード等が挙げられる。配線板としては、実装基板、銅リードフレーム等のリードフレーム、セラミックス基板、MID(Molded Interconnect Device、成形回路部品)等の印刷金属配線を有する樹脂成型品、再配線層を有するパッケージなどが挙げられる。
マスク層2は、焼結銅ピラーを形成するための型となるものであり、室温(例えば25℃)では固形で所定の形状を呈している。具体的には、マスク層2は、目的とする焼結銅ピラーの形状と略同形状の開口(貫通孔)2aを有している。銅ペーストは乾燥及び焼結により僅かに収縮するため、マスク層2の開口2aの深さ(マスク層2の厚さ方向における両端間の最短距離)は、目的とする焼結銅ピラーの高さHよりもわずかに(例えば1.0~1.2倍)大きくすることが好ましく、マスク層2の開口2aの直径(マスク層2の厚さ方向に垂直な断面での最小径)は、目的とする焼結銅ピラーの直径Wよりもわずかに(例えば1.0~1.2倍)大きくすることが好ましい。
開口2aの深さは、例えば、10μm以上であり、20μm以上、30μm以上又は50μm以上であってもよい。開口2aの深さは、例えば、200μm以下であり、150μm以下又は100μm以下であってもよい。以上より、開口2aの深さは、例えば、10~200μmであってよい。
開口2aの直径は、例えば、200μm以下であり、100μm以下、80μm以下又は60μm以下であってもよい。開口2aの直径は、例えば、20μm以上であり、30μm以上又は50μm以上であってもよい。以上より、開口2aの直径は、例えば、20~200μmであってよい。
開口2aの直径に対する開口2aの深さの比(深さ/直径)は、例えば、0.5以上であり、0.7以上又は1.0以上であってもよい。開口2aの直径に対する開口2aの深さの比は、例えば、2.0以下であり、1.7以下又は1.5以下であってもよい。以上より、開口2aの直径に対する開口2aの深さの比は、例えば、0.5~2.0であってよい。
開口2aの配置は、格子状であってよい。ピッチ間隔は、1μm以上500μm以下であってよい。
マスク層2は、熱溶融性を有する。マスク層2の溶融開始温度は、室温での形状安定性に優れる観点から、例えば、40℃以上であり、50℃以上又は60℃以上であってもよい。マスク層2の溶融開始温度は、溶融後の除去が容易になる観点から、例えば、150℃以下であり、100℃以下又は80℃以下であってもよい。以上より、マスク層2の溶融開始温度は、例えば、40~150℃であってよく、40~100℃又は40~80℃であってもよい。マスク層2の溶融開始温度が40~80℃であると、工程cにおいてマスク層2を40~150℃に加熱することによって容易に除去することができる。マスク層2の溶融開始温度は、示差熱分析により確認することができる。
マスク層2は、例えば、熱溶融性の材料で形成されている。マスク層2は、所定形状に形成し易い観点、回路基板への密着性に優れる観点、及び、熱溶融時に容易に除去できる観点から、ワックスで形成されていることが好ましい。マスク層2が回路基板に密着することで、メタルマスク等を用いた印刷において銅ペーストを開口に充填する際に観察される、マスク層と回路基板との界面に銅ペーストがにじむ現象が起こり難くなる。
ワックスは、天然ワックスであっても、合成ワックスであってもよい。天然ワックスとしては、例えば、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油系ワックスが挙げられる。動物系ワックスとしては、ビーズワックス等が挙げられる。植物系ワックスとしては、パームワックス、ソイワックス等が挙げられる。石油系ワックスとしては、パラフィンワックス等が挙げられる。
ワックスは、単一成分で構成されていてよく、複数成分で構成される組成物であってもよい。ワックスには、アルケンポリマー、分岐ポリマー等の添加成分が含まれていてもよい。
ワックスは銅ペーストにより溶解しないことが好ましい。銅ペーストに用いられる有機分散媒に対するワックスの溶解量は、例えば、有機分散媒100gに対して5g以下であり、1g以下又は0.1g以下であってもよい。
マスク層2は、例えば、3Dプリンタを用いて、マスク層2を形成するための材料(例えばワックス)で開口2a以外の部分を描画する方法、レーザーを用いて、マスク層2を形成するための材料(例えばワックス)からなる膜の一部を焼き切り開口2aを形成する方法、フォトレジストを用いてマスク層2の開口2aとなる箇所にレジストポストを設けた後、該レジストポストの周囲を埋めるようにマスク層2を形成するための材料(例えばワックス)からなる膜を形成し、レジストポストを除去する方法等が挙げられる。
(工程b)
工程bでは、まず、マスク層2の開口2a内に、銅ペースト4を充填する(図1の(b)参照)。銅ペースト4の充填は、例えば、スキージを用いて行うことができる。スキージ角度は、10°以上90°以下であってよく、45°以上70°以下であってもよい。銅ペースト4の詳細は後述する。
次に、銅ペースト4を乾燥させて銅ピラー前駆体5を形成する(図1の(c)参照)。銅ペースト4を乾燥させることで、焼結時の流動及びボイドの発生を抑制することができる。ただし、銅ペースト4の乾燥は必須ではない。工程cでの加熱により銅ペースト4を乾燥させてもよいし、工程dにおいて未乾燥の銅ペースト4(銅ペーストからなる銅ピラー前駆体)を焼結させてもよい。
乾燥の温度及び時間は、銅ペースト4に使用した有機分散媒の種類及び量、並びに、任意で使用される可撓性付与成分の種類及び量等に合わせて適宜調整することができる。乾燥の温度は、マスク層2の溶融開始温度未満の温度であってよい。乾燥の温度は、例えば、30~150℃であってよい。乾燥時間は、例えば、5~60分間であってよい。乾燥時のガス雰囲気は大気であってもよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気であってもよく、水素、ギ酸等の還元雰囲気であってもよい。乾燥方法は、常温放置による乾燥であってもよく、加熱乾燥であってもよく、減圧乾燥であってもよい。加熱乾燥又は減圧乾燥には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。
(工程c)
工程cでは、マスク層2を熱により溶融させて除去する(図1の(d)参照)。加熱温度(加熱時の到達最高温度)は、マスク層2の溶融開始温度以上の温度であればよい。加熱温度は、マスク層2を形成する材料に応じて適宜変更可能であるが、例えば、40~150℃であってよく、40~120℃又は40~100℃であってもよい。加熱時間(到達最高温度での保持時間)は、例えば、5~60分間であってよい。加熱時のガス雰囲気は大気中であってもよく、窒素、希ガス等の無酸素雰囲気中であってもよく、水素、ギ酸等の還元雰囲気中であってもよい。加熱には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
図1では、工程cを工程dの前に実施しているが、工程cは、工程dの後に実施してもよく、工程dと同時に実施してもよい。例えば、図1では、マスク層2を完全に除去し、銅ピラー前駆体付き回路部材7を得た後に工程dを実施しているが、工程dによる焼結銅ピラーの形成後に、マスク層2を除去してもよい。マスク層2の種類によっては、マスク層2を除去するための加熱により、銅ピラー前駆体5の一部又は全部を焼結させてもよい。工程cの後、連続昇温により工程dを実施する場合、マスクの除去後に直ちに銅ピラー前駆体の焼結が進むため、効率よく焼結銅ピラーを形成することができる。
工程cでは、マスク層2を充分に除去する観点から、マスク層2を加熱して溶融させた後に回路部材1を洗浄してもよい。洗浄は、例えば、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、二硫化炭素、石油ベンジン等を用いて行うことができる。
(工程d)
工程dでは、銅ピラー前駆体5を焼結させることにより焼結銅ピラー6を形成する(図1の(e)参照)。銅ピラー前駆体5を焼結させるための加熱処理には、例えば、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
焼結時のガス雰囲気は、銅ピラー前駆体5に含まれる銅粒子の表面酸化物を除去する観点から、還元性ガス雰囲気であってよい。還元性ガス雰囲気としては、例えば、純水素ガス雰囲気、フォーミングガスに代表される水素及び窒素の混合ガス雰囲気、ギ酸ガスを含む窒素雰囲気、水素及び希ガスの混合ガス雰囲気、ギ酸ガスを含む希ガス雰囲気等が挙げられる。
銅ピラー前駆体5の径が小さい場合(特に100μm以下の場合)、ギ酸が銅ピラー前駆体5の内部まで入り込むため銅粒子を還元させやすくなり、ギ酸ガスを含む還元性ガス雰囲気で銅粒子を充分に焼結させることができる。この場合、ギ酸リフロー炉を使用して焼結することが可能となり、効率よく焼結の度合いを向上させることができる。
加熱処理の温度(加熱時の到達最高温度)は、銅ピラー前駆体5を構成する材料によって適宜変更可能であるが、回路部材への熱ダメージを低減しつつ、焼結を充分に進める観点から、例えば、150~300℃であってよく、200~260℃又は200~250℃であってもよい。工程dにおける加熱を150~300℃で行う場合、連続昇温によりマスク層の除去と銅ピラー前駆体の焼結を効率よく実施できる観点から、工程cにおける加熱は、40~150℃で行ってよい。
加熱時間(到達最高温度での保持時間)は、有機分散媒及び任意で使用される可撓性付与成分を充分に除去でき、焼結を充分に進められる観点から、5~120分間であってよく、5~60分間、10~60分間又は15~60分間であってもよい。
以上説明した製造方法によれば、微細な焼結銅ピラー6を有する回路部材(銅ピラー付き回路部材10)を効率よく製造することができる。
上記製造方法によれば、焼結銅ピラー6の高さ(ピラーが延びる方向における両端間の最短距離)Hを、例えば、20μm以上とすることができ、30μm以上又は50μm以上とすることもできる。焼結銅ピラー6の高さHは、例えば、200μm以下とすることができ、150μm以下又は100μm以下とすることもできる。
上記製造方法によれば、焼結銅ピラー6の直径(ピラーが延びる方向に垂直な断面での最小径)Wを、例えば、100μm以下とすることができ、80μm以下又は60μm以下とすることもできる。焼結銅ピラー6の直径Wは、例えば、20μm以上とすることができ、30μm以上又は50μm以上とすることもできる。
上記製造方法によれば、上記焼結銅ピラー6の直径Wに対する上記焼結銅ピラー6の高さHの比(アスペクト比、高さH/直径W)を、例えば、0.5以上とすることができ、0.7以上又は1.0以上とすることもできる。上記焼結銅ピラー6の直径Wに対する上記焼結銅ピラー6の高さHの比は、例えば、2.0以下とすることができ、1.7以下又は1.5以下とすることもできる。
<接合体及びその製造方法>
上記実施形態の銅ピラー付き回路部材の製造方法を用いることで、銅ピラー付き回路部材を備える接合体を製造することができる。
銅ピラー付き回路部材を備える接合体は、例えば、半導体装置等の電子部品装置である。接合体は、例えば、第一の回路部材と、第一の回路部材に接合された第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に位置する焼結銅ピラーと、を備える。焼結銅ピラーは、第一の回路部材上に形成されている。第二の回路部材は、焼結銅ピラーによって第一の回路部材によって接合されていてよく、焼結銅ピラーと第二の回路部材との間に設けられた接合層を介して接合されていてもよい。ここで、接合層とは、接合材により形成される層であり、焼結銅層、はんだ層等が挙げられる。
以下、2つの実施形態に分けて、上記実施形態の銅ピラー付き回路部材の製造方法を用いた接合体の製造方法について説明する。
(第一実施形態)
図2に示す第一実施形態の接合体(第一の接合体)20は、回路部材1(以下、「第一の回路部材1」という)と第二の回路部材12との接合体であり、第一の回路部材1と、第一の回路部材1上に設けられた焼結銅ピラー6と、第二の回路部材12と、を備える。第一の接合体20において、第一の回路部材1及び焼結銅ピラー6が、銅ピラー付き回路部材10を構成する。第一の接合体20において、第二の回路部材12は、焼結銅ピラー6を介して第一の回路部材1に接合されている。
図3は、第一の接合体20の製造方法を示す模式断面図である。第一の接合体20の製造方法では、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程cと工程dとの間に、第一の回路部材1上(銅ピラー前駆体5が形成されている面上)に第二の回路部材12を搭載する工程を実施する。
具体的には、まず、銅ピラー前駆体付き回路部材7を用意する(図3の(a)参照)。銅ピラー前駆体付き回路部材7は、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程a、工程b及び工程cを実施することにより得られる。次いで、第一の回路部材1上に第二の回路部材12を搭載する(図3の(b)参照)。その後、工程dを実施することにより、焼結銅ピラー6を形成するとともに、焼結銅ピラー6により第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する(図3の(c)参照)。これにより、第一の接合体20が得られる。
第二の回路部材12として用いることができる回路部材の例は、第一の回路部材1(上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法で使用される回路部材1)と同じである。第二の回路部材12は、第一の回路部材1と同じであってよく、異なっていてもよい。第一の回路部材1及び第二の回路部材12は、一方がアクティブ又はパッシブな電子デバイスであり、他方が電子デバイスを搭載する配線板であってもよい。この場合、信頼性に優れた電子デバイス実装が可能となる。第一の回路部材1と第二の回路部材12の両方が、電子デバイスと電子デバイス上に設けられた再配線層とを有するパッケージであってもよい。この場合、信頼性に優れたパッケージオンパッケージ実装が可能となる。
第二の回路部材12の接合面(焼結銅ピラー6と接合される面)には、銅、ニッケル、銀、白金、金及びパラジウムからなる群より選択される1種以上の金属が含まれていてよい。接合面がこれらの金属を含む場合、水素、ギ酸等の還元性ガス雰囲気下、300℃以下の焼結温度で、表面の酸化被膜を還元除去することが可能となる。そのため、第一の接合体20は、回路部材の露出した接合面(金属面)と焼結銅ピラーとの金属結合によって高い接合強度を有することができる。
第二の回路部材12の搭載方法は、特に限定されないが、例えば、第一の回路部材1及び第二の回路部材12がマイクロデバイス及び基板である場合、チップマウンター、フリップチップボンダー、カーボン製又はセラミックス製の位置決め冶具を用いる方法であってよい。
第二の回路部材12を搭載した際の押込み深さ(銅ピラー前駆体の高さ-焼結銅ピラーの高さ)は、銅ピラー前駆体の最上部から500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
工程dの詳細は上述したとおりである。工程dにおける銅ピラー前駆体5の焼結は、無加圧で実施してよい。
(第二実施形態)
図4に示す第二実施形態の接合体(第二の接合体)30は、第一の回路部材1と第二の回路部材12との接合体であり、第一の回路部材1と、第一の回路部材1上に設けられた焼結銅ピラー6と、第二の回路部材12と、焼結銅ピラー6の接合面(第二の回路部材12と接合される面)6a及び第二の回路部材12の接合面12aの間に設けられた接合層21と、を備える。第二の接合体30において、第一の回路部材1及び焼結銅ピラー6が、銅ピラー付き回路部材10を構成する。第二の接合体30において、第二の回路部材12は、接合層21及び焼結銅ピラー6を介して第一の回路部材1に接合されている。
図5は、第二の接合体30の製造方法を示す模式断面図である。第二の接合体30は、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程dの後、焼結銅ピラー6の接合面6a、及び/又は、第二の回路部材12の接合面12aに、接合材22を配置する工程、第一の回路部材1上(焼結銅ピラー6が形成されている面上)に第二の回路部材12を搭載する工程、並びに、接合材22により第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する工程を実施する。
具体的には、まず、銅ピラー付き回路部材10を用意する(図5の(a)参照)。銅ピラー付き回路部材10は、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程a、工程b、工程c及び工程dを実施することにより得られる。
次いで、焼結銅ピラー6の接合面6a、及び/又は、第二の回路部材12の接合面12aに、接合材22を配置する(図5の(b)参照)。接合材22としては、例えば、銅ペーストを用いることができ、はんだペーストを用いることもできる。図5に示す接合材22はペースト状の材料であるが、接合材はこれに限られず、例えば、はんだ(例えばはんだめっき)等を用いることもできる。接合材22の配置は、例えば、接合材22がペースト状である場合(例えば、銅ペースト又ははんだペーストを用いる場合)には、接合材22を接合面6a及び/又は接合面12aに塗布すること、又は、平板等に予め塗布された接合材22を接合面6a及び/又は接合面12aに転写すること等の方法により行うことができる。接合材がはんだである場合は、例えば、めっきにより、接合面6a及び/又は接合面12aに接合材を配置することができる。
次いで、第一の回路部材1上に第二の回路部材12を搭載した後(図5の(c)参照)、上記で配置した接合材22により第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する(図5の(d)参照)。この際、例えば、接合材22が銅ペーストである場合、接合材22を加熱して銅粒子を焼結させることにより第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する。接合材22がはんだ又ははんだペーストである場合には、接合材を加熱してはんだを溶融固化させることにより第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する。これにより、第二の接合体30が得られる。なお、接合材22が有機溶剤等の溶媒を含むペーストである場合(例えば、銅ペースト又ははんだペーストを用いる場合)、第二の回路部材12の搭載前又は後に、接合材22を乾燥させてよい。この場合、接合材22の乾燥物を加熱すること等により、接合層21を形成するとともに、第一の回路部材1と第二の回路部材12とを接合する。
接合条件(接合材22の乾燥条件及び加熱条件)は、接合材22に用いられる材料の種類によって適宜変更してよい。例えば、接合材22が銅ペーストである場合、銅ペーストの加熱(焼結)は、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程dと同様にして行うことができる。銅ペーストの焼結は、無加圧で実施してよい。銅ペーストを乾燥させる場合、乾燥は、上記銅ピラー付き回路部材10の製造方法における工程dにおける乾燥と同様にして行うことができる。
<銅ペースト>
上述した銅ピラー付き回路部材の製造方法及び接合体の製造方法で用いられる銅ペーストは、銅粒子と、有機分散媒とを含有する。なお、焼結銅ピラーの形成に用いられる銅ペーストと接合層の形成に用いられる銅ペーストは同一であっても異なっていてもよい。
銅粒子としては、サブマイクロ銅粒子、マイクロ銅粒子等が挙げられる。サブマイクロ銅粒子とは、0.01μm以上0.8μm未満の粒径を有する銅粒子を指す。マイクロ銅粒子とは、0.8μm以上50μm以下の粒径を有する銅粒子を指す。
銅ペーストは、接合強度及び接続信頼性を確保することが容易となる観点から、サブマイクロ銅粒子を含むことが好ましい。銅ペーストは、必要に応じて、マイクロ銅粒子及び/又は銅粒子以外のその他の金属粒子を更に含むものであってもよい。
(サブマイクロ銅粒子)
サブマイクロ銅粒子としては、150℃以上300℃以下の温度範囲で焼結性を有する銅粒子を用いることができる。サブマイクロ銅粒子としては、粒径が0.01μm以上0.8μm未満の銅粒子を含むものが挙げられ、例えば、体積平均粒径が0.01μm以上0.8μm未満の銅粒子の銅粒子を用いることができる。
なお、本明細書において体積平均粒径とは、50%体積平均粒径を意味する。銅粒子の体積平均粒径を求める場合、原料となる銅粒子、又は銅ペーストから揮発成分を除去した乾燥銅粒子を、分散剤を用いて分散媒に分散させたものを光散乱法粒度分布測定装置(例えば、島津ナノ粒子径分布測定装置(SALD-7500nano、株式会社島津製作所製))で測定する方法等により求めることができる。光散乱法粒度分布測定装置を用いる場合、分散媒としては、ヘキサン、トルエン、α-テルピネオール、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン等を用いることができる。
サブマイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、柱状、フレーク状、略球状及びこれらの凝集体が挙げられる。分散性及び充填性の観点から、サブマイクロ銅粒子の形状は、球状、略球状、フレーク状であってもよく、燃焼性、分散性、フレーク状マイクロ粒子との混合性等の観点から、球状又は略球状であってもよい。本明細書において、「フレーク状」とは、板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。
サブマイクロ銅粒子は、分散性、充填性、及びフレーク状マイクロ粒子との混合性の観点から、粒子のアスペクト比が5以下であってもよく、3以下であってもよい。本明細書において、「粒子のアスペクト比」とは、粒子の長辺/厚みを示す。粒子の長辺及び厚みの測定は、例えば、粒子のSEM像から求めることができる。
サブマイクロ銅粒子は、特定の表面処理剤で処理されていてもよい。特定の表面処理剤としては、例えば、炭素数2~18の有機酸(例えば炭素数1~17のアルキル基を有する有機酸)が挙げられる。炭素数2~18の有機酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、メチルヘプタン酸、エチルヘキサン酸、プロピルペンタン酸、ペラルゴン酸、メチルオクタン酸、エチルヘプタン酸、プロピルヘキサン酸、カプリン酸、メチルノナン酸、エチルオクタン酸、プロピルヘプタン酸、ブチルヘキサン酸、ウンデカン酸、メチルデカン酸、エチルノナン酸、プロピルオクタン酸、ブチルヘプタン酸、ラウリン酸、メチルウンデカン酸、エチルデカン酸、プロピルノナン酸、ブチルオクタン酸、ペンチルヘプタン酸、トリデカン酸、メチルドデカン酸、エチルウンデカン酸、プロピルデカン酸、ブチルノナン酸、ペンチルオクタン酸、ミリスチン酸、メチルトリデカン酸、エチルドデカン酸、プロピルウンデカン酸、ブチルデカン酸、ペンチルノナン酸、ヘキシルオクタン酸、ペンタデカン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、パルミチン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、エチルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、ヘキシルシクロヘキサンカルボン酸、ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、オクチルシクロヘキサンカルボン酸、ノニルシクロヘキサンカルボン酸等の飽和脂肪酸;オクテン酸、ノネン酸、メチルノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ペンチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、ヘプチル安息香酸、オクチル安息香酸、ノニル安息香酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような有機酸と上記サブマイクロ銅粒子とを組み合わせることで、サブマイクロ銅粒子の分散性と焼結時における有機酸の脱離性を両立できる傾向にある。
表面処理剤の処理量は、0.07質量%以上2.1質量%以下であってもよく、0.10質量%以上1.6質量%以下であってもよく、0.2質量%以上1.1質量%以下であってもよい。
サブマイクロ銅粒子としては、市販されているものを用いることができる。市販されているサブマイクロ銅粒子としては、例えば、CH-0200(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.36μm)、HT-14(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.41μm)、CT-500(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.72μm)、Tn-Cu100(太陽日酸株式会社製、体積平均粒径0.12μm)及びCu-C-40(福田金属箔粉工業製、体積平均粒径0.2μm)が挙げられる。
サブマイクロ銅粒子の含有量は、焼結の促進、低温焼結性の発現等観点から、銅ペースト全量を基準として、20質量%以上95質量%以下であってもよく、30質量%以上85質量%以下であってもよく、40質量%以上75質量%以下であってもよい。
(マイクロ銅粒子)
マイクロ銅粒子としては、粒径が0.8μm以上50μm以下の銅粒子を用いることができ、例えば、体積平均粒径が0.8μm以上50μm以下の銅粒子を用いることができる。
マイクロ銅粒子は、サブマイクロ銅粒子と組み合わせて配合することが好ましい。この場合、銅ペーストによって形成される銅ピラー前駆体を焼結した際の体積収縮、ボイドの発生等を低減でき、銅ピラー前駆体を焼結させて得られる接合体の接合強度を確保することが容易となり、接合体の部材がマイクロデバイスである場合はマイクロデバイスが良好なダイシェア強度及び接続信頼性を示す傾向にある。
マイクロ銅粒子の形状は、特に限定されるものではない。マイクロ銅粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、針状、フレーク状、略球状、及びこれらの凝集体が挙げられる。
本実施形態においては、フレーク状のマイクロ銅粒子をサブマイクロ銅粒子と組み合わせて配合することができる。この場合、銅ピラー前駆体内のマイクロ銅粒子が、接合面に対して略平行に配向することにより、銅ピラー前駆体を焼結させたときの接合面方向の体積収縮を抑制でき、銅ピラー前駆体を焼結させて得られる接合体の接合強度を確保することが容易となる。より一層上記効果を奏するという観点から、フレーク状のマイクロ銅粒子のアスペクト比は、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。
マイクロ銅粒子において、表面処理剤の処理の有無は特に限定されるものではない。分散安定性及び耐酸化性の観点から、マイクロ銅粒子は表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤は、接合時に除去されるものであってもよい。このような表面処理剤としては、例えば、ドデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、o-フェノキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルシクロヘキサノール、テトラエチレングリコール等の脂肪族アルコール;p-フェニルフェノール等の芳香族アルコール;オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン;ステアロニトリル、デカンニトリル等の脂肪族ニトリル;アルキルアルコキシシラン等のシランカップリング剤;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、シリコーンオリゴマー等の高分子処理剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マイクロ銅粒子は、市販されているものを用いることができる。市販されているフレーク状のマイクロ銅粒子としては、例えば、MA-C025KFD(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径7.5μm)、4L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、3L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径5.7μm)、3L3(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径8.0μm)、2L3N(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径9.9μm)、1110F(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.8μm)、1050YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.94μm)、1100YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.2μm)、1200YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.4μm)及び1400YP(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径5.2μm)が挙げられる。球状或いは略球状のマイクロ銅粒子としては、例えば、1050Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径0.81μm)、1100Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.1μm)、1200Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径2.1μm)、1300Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径4.6μm)、1400Y(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径5.5μm)、1200YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径1.9μm)、1300YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径3.4μm)、1400YM(三井金属鉱業株式会社製、体積平均粒径4.2μm)、Cu-HWQ 1.5μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径1.5μm)、Cu-HWQ 1.5μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径1.4μm)、Cu-HWQ 3.0μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径3.0μm)、Cu-HWQ 5.0μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径4.1μm)及びCu-HWQ 10μm(福田金属箔粉工業株式会社製、体積平均粒径9.4μm)が挙げられる。
マイクロ銅粒子の含有量は、銅粒子の全質量を基準として、0質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の銅ペーストは、上述したマイクロ銅粒子及びサブマイクロ銅粒子による効果が損なわれない範囲で、銅ナノ粒子を含むことができるが、銅ナノ粒子を含まないことが好ましい。
(有機分散媒)
有機分散媒は、300℃未満の沸点を有する溶媒及び/又は300℃以上の沸点を有する溶媒を含む。
300℃未満の沸点を有する溶媒としては、α-テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。300℃未満の沸点を有する溶媒は、銅ピラー前駆体を焼結する前に、乾燥工程又は昇温過程で容易に除去できる。300℃未満の沸点を有する溶媒は1種を単独で、又は、複数種を組み合わせて用いることができる。
300℃未満の沸点を有する溶媒の含有量は、銅粒子の焼結を促進する観点から、有機分散媒の全質量を基準として、0~50質量%、10~40質量%又は20~30質量%であってよい。
300℃以上の沸点を有する溶媒は、銅粒子の分散性を向上させるため、銅粒子表面と親和性の高い構造を選ぶことが好ましい。銅粒子がアルキル基を含む表面処理剤で表面処理されている場合には、アルキル基を有する溶媒を選ぶことが好ましい。このような300℃以上の沸点を有する溶媒としては、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH、日本テルペン社製)、ステアリン酸ブチル、エキセパールBS(花王社製)、ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王社製)、ステアリン酸2-エチルヘキシル、エキセパールEH-S(花王社製)、ステアリン酸イソトリデシル、エキセパールTD-S(花王社製)、イソオクタデカノール、ファインオキソコール180(日産化学社製)、ファインオキソコール180T(日産化学社製)、2-ヘキシルデカノール、ファインオキソコール1600(日産化学社製)、トリブチリン、テトラエチレングリコール、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、メチルヘプタデカン、トリデシルシクロヘキサン、テトラデシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘプタデシルベンゼン、ノニルナフタレン、ジフェニルプロパン、オクタン酸オクチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサン酸)、クエン酸トリブチル、ペンチルフェノール、セバシン酸ジブチル、オレイルアルコール、セチルアルコール、メトキシフェネチルアルコール、ベンジルフェノール、ヘキサデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、安息香酸ベンジル、シンメチリン等が挙げられる。300℃以上の沸点を有する溶媒は1種を単独で、又は、複数種を組み合わせて用いることができる。
300℃以上の沸点を有する溶媒の含有量は、銅ペーストの印刷性を向上させる観点、並びに、焼結時のピラーの亀裂及び剥離を抑制する観点から、有機分散媒の全質量を基準として、50~100質量%、55~95質量%又は60~90質量%であってよい。
上記のように、焼結性、印刷性等の観点から好適な有機分散媒を選択することで、優れた焼結性と優れた印刷性とを両立し、マスク層2の開口2aがより一層微細化した場合にも焼結銅ピラーを形成することが可能となる。
ところで、有機分散媒とマスク層2を形成する材料との組み合わせによっては、有機分散媒によってマスク層2が溶解する場合がある。そのため、上記銅ピラー付き回路部材の製造方法及び接合体の製造方法では、銅ペーストの焼結性、印刷性等の観点に加え、マスク層2の溶解性の観点から有機分散媒を選択することが好ましい。例えば、マスク層2を形成する材料がパラフィンワックスである場合、有機分散媒として、イソボルニルシクロヘキサノール(MTPH、日本テルペン社製)、ステアリン酸ブチル、エキセパールBS(花王社製)、ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王社製)、ステアリン酸2-エチルヘキシル、エキセパールEH-S(花王社製)、ステアリン酸イソトリデシル、エキセパールTD-S(花王社製)、イソオクタデカノール、ファインオキソコール180(日産化学社製)、ファインオキソコール180T(日産化学社製)、2-ヘキシルデカノール、ファインオキソコール1600(日産化学社製)、トリブチリン、テトラエチレングリコール、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、メチルヘプタデカン、トリデシルシクロヘキサン、テトラデシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘプタデシルベンゼン、ノニルナフタレン、ジフェニルプロパン、オクタン酸オクチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサン酸)、クエン酸トリブチル、ペンチルフェノール、セバシン酸ジブチル、オレイルアルコール、セチルアルコール、メトキシフェネチルアルコール、ベンジルフェノール、ヘキサデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、安息香酸ベンジル、シンメチリン等を用いることが好ましい。
有機分散媒の含有量は、銅ペーストをより適切な粘度に調整する観点から、銅ペーストの全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上又は15質量%以上であってよい。有機分散媒の含有量は、銅粒子の焼結性がより向上する観点から、銅ペーストの全質量を基準として、70質量%以下、65質量%以下、又は60質量%以下、50質量%以下であってよい。これらの観点から、有機分散媒の含有量は、銅ペーストの全質量を基準として、1~70質量%、5~70質量%、5~65質量%、10~60質量%、15~50質量%であってよい。
銅ペーストに含まれる有機分散媒の種類は、例えば、高温脱離ガスのガスクロマトグラフ-質量分析法、及びTOF-SIMSで分析できる。その他の分析方法としては、遠心分離により粒子成分を分離して得られる上澄みを通常の有機分析、例えば、FT-IR、NMR、液体クロマトグラフ及びこれらの組み合わせで同定してもよい。有機分散媒の種類の比率は、液体クロマトグラフ、NMR等で定量できる。
(その他の成分)
銅ペーストは、銅粒子及び有機分散媒以外の成分を更に含んでいてもよい。銅粒子及び有機分散媒以外の成分としては、例えば、銅粒子以外の金属粒子、熱分解性樹脂等の可撓性付与成分、充填材、分散剤、フラックス等が挙げられる。
銅ペーストの25℃における粘度は、50Pa・s以上2000Pa・s以下であってよく、100Pa・s以上1750Pa・s以下であってもよく、200Pa・s以上1500Pa・s以下であってもよい。なお、銅ペーストの粘度は、E型粘度計により25℃で回転数0.5rpmの条件で測定される値を意味する。E型粘度計としては、例えば東機産業株式会社製、製品名:VISCOMETER-TV33型粘度計を用いることができる。コーンロータの測定用冶具として、例えば、3°×R14、SPPを適用できる。
銅ペーストのチキソトロピーインデックス(以下、「TI値」ともいう。)は、2.0以上20以下であってよく、3.0以上15以下であってもよく、4.0以上10以下であってもよい。銅ペーストのTI値がこの範囲内にあると、せん断力によって銅ペーストが低粘度化するため、塗布前に手作業又は攪拌装置(例えば、自転公転型攪拌装置(Planetary Vacuum Mixer ARV-310、株式会社シンキー製)等)により銅ペーストを攪拌することで、マスク層の開口を充填しやすくなる。銅ペーストのTI値は、E型粘度計により25℃で回転数0.5rpmの条件で測定される粘度をμ0.5とし、E型粘度計により25℃で回転数5rpmの条件で測定される粘度をμ5としたときに、次式で算出される値である。
TI値=μ0.5/μ5
上記銅ペーストは、銅粒子、有機分散媒、及び、必要に応じて配合される任意成分(可撓性付与成分等)を混合して調製することができる。銅ペーストは、これらの成分を同時に混合することにより調製してよく、複数回に分けて混合することにより調製してもよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
シリコンウェハ上にNi-Cuをスパッタした回路基板を用意した。この回路基板上の、開口が形成される箇所を除く全面に、3Dプリンタを用いてワックス(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、Paraffin Wax-155)を塗布してマスク層を形成した。マスク層の厚さ(開口の深さ)は200μm、開口の直径は100μm、開口間のピッチは500μmとした。開口の配置は格子状とした。ウレタン製スキージを用いて銅ペーストを開口に充填した。続いて、回路基板を65℃のホットプレート上に10分置いて銅ペーストを乾燥させた。続いて、回路基板を100℃のホットプレート上に置いてマスク層(ワックス)を溶融させ、回路基板を傾けることで、回路基板上からマスク層(ワックス)を除去した。これによって、回路基板上にピラー前駆体を形成された、ピラー前駆体付き回路基板を得た。銅ペーストは、銅粒子と2種類の有機分散媒を混合することにより調製したものを用いた。
次に、ピラー前駆体付き回路基板を、ギ酸雰囲気中、250℃で1時間加熱することで、ピラー前駆体を焼結させ、焼結銅ピラーを有する回路基板(銅ピラー付き回路基板)を得た。3Dスキャナを用いて焼結銅ピラーの形状を測定したところ、高さが150μmであり、直径が80μmであり、アスペクト比が1.9であった。
<実施例2>
シリコンウェハ上にNi-Cuをスパッタした回路基板を用意した。この回路基板上の全面に、ポジ型フォトレジストをスピンコートにより塗布し、厚さ100μmの塗膜を形成した。次いで、開口が形成される箇所を除く全面を露光し、現像処理することにより、高さ100μm、直径70μmの円柱状のポストを形成した。ポスト間のピッチは200μmとした。ポストの配置は格子状とした。回路基板の周囲を幅5mmのポリイミドテープで覆い、融けたワックスがこぼれないようにした。回路基板を100℃のホットプレート上に置き、この上から溶融したワックス(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、Paraffin Wax-155)を注入した。注入するワックス量はポスト高さと同じになるようにした。回路基板を徐冷した後、レジストはく離液でポストを溶解除去した。これによってポストと同形状の開口を有するマスク層を形成した。
続いて、実施例1と同様にして、銅ペーストを開口に充填し、マスク層を除去し、焼結銅ピラーを形成することにより、焼結銅ピラーを有する回路基板(銅ピラー付き回路基板)を得た。3Dスキャナを用いて焼結銅ピラーの形状を測定したところ、高さが90μmであり、直径が60μmであり、アスペクト比が1.5であった。
1…(第一の)回路部材、2…マスク層、2a…開口、3…積層体、4…銅ペースト、5…銅ピラー前駆体、6…焼結銅ピラー、7…銅ピラー前駆体付き回路部材、10…銅ピラー付き回路部材、12…第二の回路部材、20…第一の接合体、21…接合層、22…接合材、30…第二の接合体。

Claims (9)

  1. 回路部材と、前記回路部材上に設けられた、開口を有する熱溶融性のマスク層と、を備える積層体を用意する工程aと、
    前記マスク層の前記開口内に、銅粒子及び有機分散媒を含む銅ペーストを充填して銅ピラー前駆体を形成する工程bと、
    前記マスク層を熱により溶融させて除去する工程cと、
    前記銅ピラー前駆体を焼結させて焼結銅ピラーを形成する工程dと、を備える、銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  2. 前記工程cでは、前記マスク層を40~150℃に加熱することによって溶融させて除去する、請求項1に記載の銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  3. 前記工程dでは、前記銅ピラー前駆体を150~300℃に加熱することによって焼結させて焼結銅ピラーを形成する、請求項1又は2に記載の銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  4. 前記マスク層がワックスで形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  5. 前記開口の直径が200μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  6. 前記開口の直径に対する前記開口の深さの比が0.5以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の銅ピラー付き回路部材の製造方法。
  7. 第一の回路部材と、前記第一の回路部材に接合された第二の回路部材と、前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材の間に位置する焼結銅ピラーと、を備える、接合体の製造方法であって、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の方法により前記第一の回路部材上に焼結銅ピラーを形成する工程を備える、接合体の製造方法。
  8. 前記工程cの後、前記第一の回路部材上に前記第二の回路部材を搭載してから前記工程dを実施することにより、前記焼結銅ピラーを形成するとともに、前記焼結銅ピラーにより前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接合する、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記工程dの後、前記焼結銅ピラーの接合面、及び/又は、前記第二の回路部材の接合面に、接合材を配置してから前記第一の回路部材上に前記第二の回路部材を搭載し、前記接合材により前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接合する、請求項7に記載の接合体の製造方法。
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