JP2022059284A - 酸素貯蔵材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高い酸素貯蔵材料を提供すること。【解決手段】パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料であって、CeとZrとの合計量に対するFeの含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、CeとZrとの総モル数に対するZrのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)がX=40~50%であり、大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる、格子定数が下記式(1):格子定数≦-7.00×10-3X+10.874 (1)で表される条件を満たすものであり、かつ、2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線と強度比〔I(14/29)値〕が下記式(2):I(14/29)値≦2.36×10-3X-0.072 (2)で表される条件を満たすものであることを特徴とする酸素貯蔵材料。【選択図】なし

Description

本発明は、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物を含有する酸素貯蔵材料及びその製造方法に関する。
自動車エンジン等の内燃機関から排出される排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化すると同時に、窒素酸化物(NOx)を還元できる排ガス浄化触媒としていわゆる三元触媒が知られている。
そして、排ガス浄化触媒を用いて排ガスを浄化するにあたって、排ガス中の酸素濃度の変動を吸収して排ガス浄化能力を高めるために、排ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵でき、排ガス中の酸素濃度が低いときに酸素を放出できる酸素貯蔵能(Oxygen Storage Capacity(OSC))を有する材料を、排ガス浄化触媒の担体や助触媒として用いることが知られている。
このようなOSCを有する酸素貯蔵材料としては、従来からセリアが好適に用いられており、近年では、セリアを含有する様々な種類の複合酸化物が研究され、いわゆる共沈法、逆共沈法、水熱合成法、熔融法、固相法等によって得られる種々のセリア-ジルコニア系複合酸化物が開発されている。
例えば、特開2015-182931号公報(特許文献1)には、セリウムとジルコニウムとこれら以外の鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属元素とを含み、結晶構造としてパイロクロア相を含むセリア-ジルコニア系複合酸化物をいわゆる熔融法により製造する方法が開示されている。
また、特開2015-080736号公報(特許文献2)には、セリア-ジルコニア複合酸化物に鉄を添加してなる酸素吸放出材であって、前記セリア-ジルコニア複合酸化物がパイロクロア相、κ相又はそれらの組み合わせを有しかつ貴金属を含有せず、前記鉄が該セリア-ジルコニア複合酸化物中のセリウムサイト及び/又はジルコニウムサイトに少なくとも部分的に置換してなる酸素吸放出材をいわゆる共沈法及び還元雰囲気での高温処理(共沈法-高温還元処理)により製造する方法が開示されている。
さらに、特開2019-131455号公報(特許文献3)には、セリウム、ジルコニウム及び鉄を含むセリア-ジルコニア-酸化鉄系複合酸化物からなる酸素吸放出材であって、前記セリウムと前記ジルコニウムとの複合酸化物に前記鉄の少なくとも一部が固溶しており、前記セリア-ジルコニア-酸化鉄系複合酸化物がカチオン秩序構造を有する酸素吸放出材をいわゆる溶液燃焼合成法により製造する方法が開示されている。
しかしながら、近年は、排ガス浄化用触媒に対する要求特性が益々高まっており、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高い酸素貯蔵材料が求められるようになっており、特許文献1~3に記載のような従来の酸素貯蔵材料では必ずしも十分なものではなかった。
特開2015-182931号公報 特開2015-080736号公報 特開2019-131455号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高い酸素貯蔵材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加する元素として鉄を選択して研究したところ、いわゆる共沈法、逆共沈法、水熱合成法といった方法ではセリア-ジルコニア複合酸化物に鉄を固溶させることが困難であり、このような方法で得られる酸素貯蔵材料は、約300℃という低温における酸素貯蔵能(OSC)に関して十分なものではないことを見出した。一方、特許文献1に記載の高温処理を含む熔融法や特許文献2に記載の還元雰囲気での高温処理を伴う製法においては、セリア-ジルコニア複合酸化物に鉄がある程度は固溶するものの、必ずしも十分ではなく、これらの方法で得られる酸素貯蔵材料も、やはり約300℃という低温における酸素貯蔵能(OSC)に関して未だ十分なものではないことを見出した。また、特許文献3に記載の溶液燃焼合成法においては、セリア-ジルコニア複合酸化物に鉄の少なくとも一部が固溶した酸素貯蔵材料が得られるが、この酸素貯蔵材料は、比表面積が大きく、高温に曝された場合に超格子構造(カチオン秩序構造)が消失し、高温耐久性に関して未だ十分なものではないことを見出した。
そして、本発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加する元素として鉄を選択し、かつ、セリウムとジルコニウムと鉄との含有比率を所定の範囲内に調整した鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を所定の圧力で加圧成形した後に所定の高温条件で還元処理し、さらに酸化処理することにより、1100℃程度という高温の排ガスに曝される前及び長時間曝された後のいずれにおいても、セリア-ジルコニア系複合酸化物に鉄が十分に固溶した鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物が得られ、この鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物が、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、酸素貯蔵材料としての利用効率が高いものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の酸素貯蔵材料は、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料であって、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)がX=40~50%であり、
大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる格子定数が下記式(1):
格子定数≦-7.00×10-3X+10.874 (1)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たすものであり、
大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線と強度比〔I(14/29)値〕が下記式(2):
I(14/29)値≦2.36×10-3X-0.072 (2)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たすものであることを特徴とするものである。
本発明の酸素貯蔵材料においては、前記ジルコニウムのモル分率XがX=45~50%であることが好ましい。
また、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料の製造方法であって、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が40~50%である鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末を準備する工程と、
前記鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末を30~350MPaの圧力で加圧成形した後、1400~2000℃の温度条件で還元処理し、さらに酸化処理して請求項1又は2に記載のパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
本発明の酸素貯蔵材料の製造方法においては、前記鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末における前記ジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が45~50%であることが好ましい。
なお、本発明において、前記式(1)で表される条件を満たす鉄含有パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物が、鉄が十分に固溶しているものであると判断できる理由を以下に説明する。すなわち、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物において、格子定数はジルコニウムのモル分率Xに対して負の相関を示す。これは、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物において、ジルコニウムのモル分率Xが増加する、すなわち、イオン半径が大きいCe4+(イオン半径:0.97Å(8配位))に対してイオン半径が小さいZr4+(イオン半径:0.84Å(8配位))の割合が多くなると、結晶格子中のすべての陽イオンの平均イオン半径が小さくなり、格子が収縮するためと考えられる。
そして、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物にイオン半径がZr4+よりも小さいFe3+(イオン半径:0.78Å)を固溶させると、結晶格子中のすべての陽イオンの平均イオン半径が小さくなり、ジルコニウムのモル分率Xが同じであっても鉄が含まれていない場合に比べて格子が更に収縮するため、格子定数が小さくなる。したがって、前記式(1)で表される条件を満たす鉄含有パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物は、鉄が十分に固溶しているものであると判断することができる。なお、格子定数は、X線回折測定により得られるX線回折パターンに対して、市販の解析ソフト(例えば、リートベルト解析ソフト「Jana2006」)を用いて最小二乗法によるフィッティングを行い、格子定数を精密化することによって求めることができる。また、前記X線回折測定の方法としては、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT-Ultima」)を用いて、CuKα線をX線源として、管電圧40KV、管電流40mA、走査速度2θ=20°/minの条件で測定する方法を採用する。
また、本発明において、前記式(2)で表される条件を満たす鉄含有パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物が、鉄が十分に固溶しているものであると判断できる理由を以下に説明する。すなわち、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物において、I(14/29)値はジルコニウムのモル分率Xに対して正の相関を示す。これは、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物のI(14/29)値が結晶格子中のCeサイトとZrサイトとのイオン半径差で決まり、この差が小さいほどI(14/29)値が小さくなることから、ジルコニウムのモル分率Xが減少する、すなわち、Zr4+に対してCe4+の割合が多くなると、イオン半径が小さいZrサイトの一部をCe4+が占有し、CeサイトとZrサイトとのイオン半径差が小さくなるためと考えられる。
そして、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物にFe3+を固溶させると、イオン半径の関係から、Fe3+はZrサイトに置換固溶されると推察される。Fe3+がZrサイトに置換固溶すると、Fe3+がZr4+よりも酸化数が小さいため、電荷補償の原理により、結晶格子中に酸素欠陥が生成し、Zrサイト近傍の構造的な充填度が低下する。その結果、Zrサイトのイオン半径が増大し、CeサイトとZrサイトとのイオン半径差小さくなり、I(14/29)値が小さくなると考えられる。したがって、前記式(2)で表される条件を満たす鉄含有パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物は、鉄が十分に固溶しているものであると判断することができる。なお、I(14/29)値は、X線回折測定により得られるX線回折パターンにおける、2θ=14.5°の回折線のピーク強度I(14)と2θ=29°の回折線のピーク強度I(29)とから求めることができる。また、前記X線回折測定の方法としては、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT-Ultima」)を用いて、CuKα線をX線源として、管電圧40KV、管電流40mA、走査速度2θ=20°/minの条件で測定する方法を採用する。なお、回折線の強度(ピーク強度)を求める際には、各回折線の強度の値から、バックグラウンド値として2θ=10°~12°の平均回折線強度を差し引いて計算する。
さらに、本発明の酸素貯蔵材料が、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高くなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の酸素貯蔵材料を構成する鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物におけるCeO-ZrOの超格子構造(CeZr)は、気相中の酸素分圧に応じてκ相との間で相変化を行い、酸素貯蔵能(OSC)を発現する。Fe3+のイオン半径はZr4+のイオン半径よりも小さいため、本発明にかかる鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物においては、Feイオンが選択的にZrサイトと置換していると考えられる。そして、このようなFeイオンによる置換によって、鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物中に酸素欠陥が生じ、この酸素欠陥によって鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物中の酸素の動作性が向上するため、本発明の酸素貯蔵材料は、約300℃という低温においても優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高くなると推察される。また、ZrサイトがFeイオンで置換されることによって、Ce4+とのイオン半径差が拡大し、電荷補償により生成する酸素欠陥を含む状態の超格子構造がより安定化されるため、本発明の酸素貯蔵材料は、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高くなると推察される。
本発明によれば、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高い酸素貯蔵材料を得ることが可能となる。
実施例1~3及び比較例1~3で得られた、高温耐久試験前後の複合酸化物粉末の格子定数をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした結果を示すグラフである。 実施例1~3及び比較例1~3で得られた、高温耐久試験前後の複合酸化物粉末のI(14/29)値をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした結果を示すグラフである。 実施例1~3及び比較例1~3で得られた、高温耐久試験前の複合酸化物粉末について、触媒粉末のOSC材利用率をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした結果を示すグラフである。 実施例1~3及び比較例1~3で得られた、高温耐久試験後の複合酸化物粉末について、触媒粉末のOSC材利用率をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の酸素貯蔵材料について説明する。本発明の酸素貯蔵材料は、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料であって、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)がX=40~50%であり、
大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる格子定数が下記式(1):
格子定数≦-7.00×10-3X+10.874 (1)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たすものであり、
大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線と強度比〔I(14/29)値〕が下記式(2):
I(14/29)値≦2.36×10-3X-0.072 (2)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たすものである。
本発明の酸素貯蔵材料は、CeとZrとが規則的に配列している超格子構造を有するセリア-ジルコニア系複合酸化物(以下、「パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物」という)からなるものである。このようなパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物からなる酸素貯蔵材料は、蛍石構造を有するセリア-ジルコニア系複合酸化物よりもバルク内の酸素拡散速度が大きいため、酸素貯蔵能(OSC)に優れている。なお、CuKα線を用いたX線回折測定において超格子構造に由来するピーク(2θ=14.0°~16.0°に現れるピーク)の存在を認識することによって、セリア-ジルコニア系複合酸化物が超格子構造を有するパイロクロア型であることを確認することができる。
また、本発明の酸素貯蔵材料は、このようなパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄を更に含有するものである。このような鉄の含有量は、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)として、0.5~9at%であることが必要であり、1~5at%であることがより好ましい。前記鉄の含有量が前記下限未満になると、鉄の固溶による、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上効果と酸素貯蔵材料としての利用効率の向上効果が十分に得られない。他方、前記鉄の含有量が前記上限を超えると、鉄が十分に固溶せず、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上効果と酸素貯蔵材料としての利用効率の向上効果が十分に得られない。
なお、セリア-ジルコニア系複合酸化物に鉄を添加しても、いわゆる固相合成法、水熱合成法といった方法ではセリア-ジルコニア系複合酸化物に鉄を十分に固溶させることが困難であるため、鉄の添加は、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上や酸素貯蔵材料としての利用効率の向上に寄与しないのに対し、本発明においては、後述する本発明の製造方法によって、従来は得ることができなかった鉄が充分に固溶した鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物を得ることができ、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上や酸素貯蔵材料としての利用効率の向上を達成することが可能となる。
本発明の酸素貯蔵材料においては、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)がX=40~50%であることが必要であり、45~50%であることが好ましい。ジルコニウムのモル分率が前記下限未満になると、十分な酸素貯蔵能(OSC)が得られにくくなり、他方、前記上限を超えると、単相として得ることが困難となる。
また、本発明の酸素貯蔵材料は、大気中、1100℃で加熱する前(高温耐久試験前)及び5時間加熱した後(高温耐久試験後)の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる格子定数が下記式(1):
格子定数≦-7.00×10-3X+10.874 (1)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たし、かつ、
前記高温耐久試験前及び前記高温耐久試験後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線と強度比〔I(14/29)値〕が下記式(2):
I(14/29)値≦2.36×10-3X-0.072 (2)
(前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
で表される条件を満たすものである。高温耐久試験前及び高温耐久試後の格子定数が前記式(1)で表される条件を満たし、かつ、高温耐久試験前及び高温耐久試後のI(14/29)値が前記式(2)で表される条件を満たす酸素貯蔵材料は、前記パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物に鉄が十分に固溶しており、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、高い利用効率を示す。一方、高温耐久試験前及び高温耐久試後の格子定数が前記式(1)で表される条件を満足さない場合、或いは、高温耐久試験前及び高温耐久試後のI(14/29)値が前記式(2)で表される条件を満たさない場合には、前記パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物に鉄が十分に固溶していないため、使用初期及び1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後のいずれにおいても、約300℃という低温における酸素貯蔵能(OSC)が十分に発現せず、酸素貯蔵材料としての利用効率も低くなる。
ここで、2θ=14.5°の回折線は規則相の(111)面に帰属する回折線であり、2θ=29°の回折線は規則相の(222)面に帰属する回折線とセリア-ジルコニア固溶体(CZ固溶体)の立方晶相(111)面に帰属する回折線とが重なるため、両者の回折線の強度比であるI(14/29)値を算出することにより超格子構造(規則相)の維持率(存在率)を示す指標として規定される。なお、回折線強度を求める際、各回折線強度の値から、バックグラウンド値として2θ=10°~12°の平均回折線強度を差し引いて計算する。
さらに、本発明の酸素貯蔵材料の平均結晶子径は、0.1~10μmであることが好ましく、0.2~5μmであることがより好ましい。このような平均結晶子径が前記下限未満になると、前記高温耐久試験後において、超格子構造の維持率を示すI(14/29)値が低下しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素貯蔵能(OSC)の向上効果が十分に得られにくくなる傾向にある。なお、このような平均結晶子径は、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる2θ=29°付近の回折線の半値幅を用い、市販の解析ソフト(例えば、XRD解析ソフト「JADE」)を用いてシェラー式に基づいて算出することができる。
また、本発明の酸素貯蔵材料の比表面積としては特に制限されないが、0.01~20m/gであることが好ましく、0.05~10m/gであることがより好ましく、0.1~5m/gであることが更により好ましい。このような比表面積が前記下限未満になると、酸素貯蔵能が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子径が小さな粒子が増加し、耐熱性が低下する傾向にある。なお、このような比表面積は吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
また、本発明の酸素貯蔵材料においては、セリウム以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有していてもよい。このような元素を含有させることで、本発明の酸素貯蔵材料を排ガス浄化用触媒の担体として用いた場合に、より高い排ガス浄化能が発揮される傾向にある。このようなセリウム以外の希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられ、中でも、超格子構造を安定化させる傾向にあるという観点から、La、Nd、Pr、Y、Scが好ましく、La、Y、Ndがより好ましい。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、中でも、超格子構造を安定化させる傾向にあるという観点から、Mg、Ca、Baが好ましい。
さらに、セリウム以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有する場合においては、前記元素の含有量が、前記酸素貯蔵材料中に1~20質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましい。このような元素の含有量が前記下限未満になると、超格子構造を安定化させる作用が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素貯蔵能が低下してしまう傾向にある。
本発明の酸素貯蔵材料は、前記パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と、このセリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有するものであり、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することが可能なものである。そのため、本発明の酸素貯蔵材料は、排ガス浄化触媒の担体や助触媒として好適に用いられる。このような本発明の酸素貯蔵材料を用いた好適な例としては、前記本発明の酸素貯蔵材料からなる担体と、前記担体に担持された貴金属とからなる排ガス浄化用触媒が挙げられる。このような貴金属としては、白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金、銀等が挙げられる。また、他の例としては、他の触媒担体微粒子に貴金属が担持された排ガス浄化触媒の周囲に、前記本発明の酸素貯蔵材料を配置してなるものが挙げられる。
次に、本発明の酸素貯蔵材料の製造方法について説明する。本発明の酸素貯蔵材料の製造方法は、パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料の製造方法であって、
セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が40~50%である鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を準備する工程(第1の工程)と、
前記鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を30~350MPaの圧力で加圧成形した後、1400~2000℃の温度条件で還元処理し、さらに酸化処理して前記本発明のパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料を得る工程(第2の工程)と、
を含む方法である。
先ず、第1の工程において、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%(好ましくは、1~5at%)であり、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が40~50%(好ましくは、45~50%)である鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を準備する。
前記鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末において、前記鉄の含有量が前記下限未満になると、得られる酸素貯蔵材料において、鉄の固溶による、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上効果と酸素貯蔵材料としての利用効率の向上効果が十分に得られにくくなり、他方、前記上限を超えると、得られる酸素貯蔵材料において、鉄が十分に固溶せず、低温での酸素貯蔵能(OSC)の向上効果と酸素貯蔵材料としての利用効率の向上効果が十分に得られにくくなる。また、前記ジルコニウムのモル分率が前記下限未満になると、得られる酸素貯蔵材料において、十分な酸素貯蔵能(OSC)が得られにくくなり、他方、前記上限を超えると、酸素貯蔵材料を単相として得ることが困難となる。
また、前記鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末においては、超格子構造をより十分に形成させるという観点から、セリアとジルコニアとが原子レベルで混合された固溶体を用いることが好ましい。さらに、このような鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末としては、平均一次粒子径が2~100nm程度であることが好ましく、5~70nm程度であることがより好ましく、また、比表面積が1.0~100m/gであることが好ましく、10~80m/gであることがより好ましく、30~80m/gであることが更により好ましい。
このような鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を準備(調製)する方法は特に制限されず、例えば、いわゆる共沈法を採用して、セリウム、ジルコニウム及び鉄の含有比率が上記範囲内となるように前記固溶体粉末を製造する方法等が挙げられる。このような共沈法としては、例えば、セリウムの塩(例えば、硝酸塩)、ジルコニウムの塩(例えば、硝酸塩)及び鉄の塩(例えば、硝酸塩)を含有する水溶液を用い、アンモニアの存在下で共沈殿物を生成せしめ、得られた共沈殿物を遠心分離、洗浄した後に乾燥し、更に焼成後、ボールミル等の粉砕機を用いて粉砕することにより、前記鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を得る方法が挙げられる。なお、前記セリウムの塩、ジルコニウムの塩及び鉄の塩を含有する水溶液は、得られる固溶体粉末中のセリウム、ジルコニウム及び鉄の含有比率が所定の範囲内となるようにして調製する。また、このような水溶液には、必要に応じて、希土類元素並びにアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素の塩や、界面活性剤(例えば、ノニオン系界面活性剤)等を添加してもよい。
また、このような鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末には、セリウム以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有していてもよい。このような元素を含有させることで、本発明の酸素貯蔵材料を排ガス浄化用触媒の助触媒として用いた場合に、より高い排ガス浄化能が発揮される傾向にある。このようなセリウム以外の希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられ、中でも、超格子構造を安定化させる傾向にあるという観点から、La、Nd、Pr、Y、Scが好ましく、La、Y、Ndがより好ましい。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、中でも、超格子構造を安定化させる傾向にあるという観点から、Mg、Ca、Baが好ましい。
さらに、セリウム以外の希土類元素及びアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を更に含有する場合においては、前記元素の含有量が、前記鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末中に1~20質量%であることが好ましく、3~10質量%であることがより好ましい。このような元素の含有量が前記下限未満になると、超格子構造を安定化させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸素貯蔵能が低下してしまう傾向にある。
次に、第2の工程において、前記鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末を30~350MPaの圧力(好ましくは、40~300MPaの圧力)で加圧成形する。加圧成形圧力が前記下限未満になると、粉体の二次粒子同士の接触性が向上しないため、還元処理時における結晶成長が十分に促進されず、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された際の超格子構造の安定性が低下する。他方、加圧成形圧力が前記上限を超えると、還元処理時の結晶成長が進行し過ぎ、約300℃という低温での酸素貯蔵能(OSC)が低下する傾向にある。なお、このような加圧成形の方法としては特に制限されず、静水圧プレス等の公知の加圧成形方法を適宜採用できる。
次に、第2の工程においては、前記加圧成形された固溶体粉末成型体に対して、還元条件下、1400~2000℃(好ましくは、1600~1900℃)の温度で0.5~24時間(好ましくは、1~10時間)加熱する還元処理を施し、さらに酸化処理を施して、本発明の酸素貯蔵材料粉末を得る。前記還元処理の温度が前記下限未満になると、結晶成長が十分に進行しないため、超格子構造の安定性が低下する。他方、前記還元処理の温度が前記上限を超えると、還元処理に要するエネルギー(例えば電力)と性能の向上とのバランスが悪くなる。また、前記還元処理の際の加熱時間が下限未満になると、超格子構造が十分に形成されにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、還元処理に要するエネルギー(例えば電力)と性能の向上とのバランスが悪くなる。
前記還元処理の方法としては、還元性雰囲気下で前記固溶体粉末を所定の温度条件で加熱処理することが可能な方法であれば特に制限されず、例えば、(i)真空加熱炉内に前記固溶体粉末を設置し、真空引きした後に、炉内に還元性ガスを流入させて炉内の雰囲気を還元性雰囲気として所定の温度条件で加熱して還元処理を施す方法や、(ii)黒鉛製の炉を用いて炉内に前記固溶体粉末を設置し、真空引きした後、所定の温度条件で加熱して炉体や加熱燃料等から発生するCOやHC等の還元性ガスにより炉内の雰囲気を還元性雰囲気として還元処理を施す方法や、(iii)活性炭を充填した坩堝内に前記固溶体粉末を設置し、所定の温度条件で加熱して活性炭等から発生するCOやHC等の還元性ガスにより坩堝内の雰囲気を還元性雰囲気として還元処理を施す方法が挙げられる。
このような還元性雰囲気を達成させるために用いる還元性ガスとしては、特に制限されず、CO、HC、H、その他の炭化水素ガス等の還元性ガスを適宜用いることができる。また、このような還元性ガスの中でも、より高温で還元性処理をした場合に炭化ジルコニウム(ZrC)等の複生成物が生成されることを防止するという観点からは、炭素(C)を含まないものを用いることがより好ましい。このような炭素(C)を含まない還元性ガスを用いた場合には、ジルコニウム等の融点に近いより高い温度条件での還元処理が可能となるため、結晶相の構造安定性を十分に向上させることが可能となる。
さらに、第2の工程においては、前記還元処理の後に、酸化処理が更に施される。このような酸化処理を施すことにより、得られる鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物において、還元中に失われた酸素が補填され、酸化物としての安定性が向上する。このような酸化処理の方法は特に制限されず、例えば、酸化雰囲気下(例えば、大気中)において前記鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物を加熱処理する方法を好適に採用することができる。また、このような酸化処理の際の加熱温度の条件としては、特に制限されないが、300~800℃程度であることが好ましい。更に、前記酸化処理の際の加熱時間も特に制限されないが、0.5~5時間程度であることが好ましい。
また、第2の工程においては、前記還元処理及び/又は前記酸化処理の後に、前記鉄含有セリア-ジルコニア系複合酸化物に粉砕処理を更に施すことが好ましい。このような粉砕処理の方法は特に制限されず、例えば、湿式粉砕法、乾式粉砕法、凍結粉砕法等を好適に採用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:49:1である鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を以下のようにして調製した。すなわち、先ず、CeO換算で28質量%となる濃度の硝酸セリウム水溶液245.7gと、ZrO換算で18質量%となる濃度の硝酸ジルコニウム水溶液267.9gと、純水100mlに硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO、和光純薬工業株式会社製、純度99.9%)3.2gを溶解した水溶液とを混合し、得られた混合溶液を、25%アンモニア水163.2gを純水900mlで希釈した溶液に添加し、プロペラ攪拌機とホモジナイザ(アズワン株式会社製)を用いて1100rpmで10分間撹拌して共沈物を生成させ、得られた共沈物に遠心分離を施し、イオン交換水で洗浄した。次に、得られた共沈物を、脱脂炉を用いて大気中、150℃で7時間乾燥した後、大気中、400℃で5時間焼成して鉄含有セリア-ジルコニア固溶体を得た。その後、前記固溶体を、篩分けにより粒径が75μm以下となるように粉砕機(アズワン株式会社製「ワンダーブレンダー」)を用いて粉砕し、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:49:1である鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は1.0at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)は49.5%である。
次に、この鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末20gを、ポリエチレン製のバッグ(容量0.05L)に詰め、内部を脱気した後、前記バッグの口を加熱してシールした。続いて、静水圧プレス装置(日機装株式会社製「CK4-22-60」)を用いて、前記バッグに対して3000kgf/cm(294MPa)の圧力(成型圧力)で1分間、冷間静水圧プレス(CIP)を行い、鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末の成型体を得た。成型体のサイズは、縦20mm、横20mm、平均厚み3mm、質量約10gとした。
次いで、得られた成型体を、小型真空加圧焼結炉(富士電波工業株式会社製「FVPS-R-150」)に投入し、アルゴン雰囲気に置換した後、昇温時聞1時間で1000℃まで加熱した後、昇温時間4時聞で1700℃(還元処理温度)まで加熱して5時間保持し、その後、冷却時間4時間で1000℃まで冷却した後、自然放冷で室温まで冷却して還元処理品を得た。
得られた還元処理品を大気中、500℃で5時間加熱して鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物を、粒径が75μm以下となるように、前記粉砕機を用いて粉砕し、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:49:1である鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は1.0at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=49.5%である。
(実施例2)
前記硝酸ジルコニウム水溶液の量を259.7gに、前記硝酸鉄9水和物の量を8.1gに変更した以外は実施例1と同様にして、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:47.5:2.5である鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は2.6at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=48.7%である。
(実施例3)
前記硝酸ジルコニウム水溶液の量を246.0gに、前記硝酸鉄9水和物の量を16.2gに変更した以外は実施例1と同様にして、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:45:5である鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は5.3at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=47.4%である。
(比較例1)
前記硝酸ジルコニウム水溶液の量を273.4gに変更し、前記硝酸鉄9水和物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:50:0であるセリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。このセリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は0at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=50%である。
(比較例2)
前記硝酸ジルコニウム水溶液の量を218.7gに、前記硝酸鉄9水和物の量を32.32gに変更した以外は実施例1と同様にして、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:40:10である鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。この鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は11.1at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=44.4%である。
(比較例3)
前記硝酸セリウム水溶液の量を252.0gに、前記硝酸ジルコニウム水溶液の量を266.3gに、前記25%アンモニア水の量を164.0gに変更し、前記硝酸鉄9水和物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:47.5:0であるセリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。このセリア-ジルコニア複合酸化物粉末を、得られる鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物粉末におけるセリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:47.5:2.5となるように、純水に硝酸鉄9水和物(Fe(NO・9HO、和光純薬工業株式会社製、純度99.9%)を溶解した水溶液に浸漬して前記セリア-ジルコニア複合酸化物粉末に硝酸鉄を含浸させた後、500℃で5時間加熱して鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物を得た。この鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物を、実施例1と同様にして粉砕し、セリウムとジルコニウムと鉄の含有比率が原子比([Ce]:[Zr]:[Fe])で50:47.5:2.5である鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物粉末を得た。この鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物粉末における、セリウムとジルコニウムとの合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)は2.6at%であり、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)はX=48.7%である。
<高温耐久試験>
実施例及び比較例で得られた複合酸化物粉末を大気中、1100℃で5時間加熱した。
<X線回折(XRD)測定>
実施例及び比較例で得られた高温耐久試験前及び高温耐久試験後の各複合酸化物粉末のX線回折パターンを、X線回折装置(株式会社リガク製「RINT-Ultima」)を用い、CuKα線をX線源として、管電圧40KV、管電流40mA、走査速度2θ=20°/minの条件で測定した。
得られたX線回折パターンに対して、リートベルト解析ソフト「Jana2006」を用いて最小二乗法によるフィッティングを行い、格子定数を精密化した。得られた格子定数を表1に示す。
また、得られたX線回折パターンにおいて、2θ=14.5°の回折線のピーク強度I(14)と2θ=29°の回折線のピーク強度I(29)との比〔I(14/29)=I(14)/I(29)〕を求めた。その結果を表1に示す。
<触媒調製>
実施例及び比較例で得られた高温耐久試験前及び高温耐久試験後の各複合酸化物粉末とPd担持アルミナ粉末(Pd担持量:0.25質量%)とを質量比1:1で混合して触媒粉末を調製した。
<酸素放出量測定>
上記のようにして調製した各触媒粉末15mgを熱重量測定装置(株式会社島津製作所製「TGA-50」)に装入し、この触媒粉末に、温度300℃の条件下でリッチガス(H(5容量%)+N(残部))とリーンガス(O(5容量%)+N(残部))とを5分毎に交互に切替えながら、ガス流量100ml/minで流通させ、この間の前記触媒粉末の質量の増減を測定した。2回目と3回目のリッチガス流通時の前記触媒粉末の質量減少量の平均値を求め、これを酸素放出量(実測値)とした。前記触媒粉末中のセリウム量に基づく最大の酸素放出量(理論値)に対する前記酸素放出量(実測値)の割合を求め、これを酸素貯蔵材料(OSC材)利用率とした。その結果を表1に示す。
Figure 2022059284000001
表1に示したI(14/29)値から、実施例1~3及び比較例1~3で得られた酸素貯蔵材料はパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物を含有するものであることが確認された。
また、表1に示した結果に基づいて、格子定数及びI(14/29)値をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした。これらの結果を図1~2に示す。なお、図1中の直線は、下記式(1a):
格子定数(Y1)=-7.00×10-3X+10.874 (1a)
で表される、酸素貯蔵材料粉末の格子定数(Y1)と、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)との関係を示したものである。また、図2中の直線は、下記式(2a):
I(14/29)値(Y2)=2.36×10-3X-0.072 (2a)
で表される、酸素貯蔵材料粉末のI(14/29)値(Y2)と、セリウムとジルコニウムとの総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)との関係を示したものである。
さらに、高温耐久試験前後の各複合酸化物粉末について、触媒粉末のOSC材利用率をジルコニウムのモル分率Xに対してプロットした。これらの結果を図3A~3Bに示す。
図1~2に示したように、鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)及びジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が所定の範囲内にある鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を加圧成形し、得られた成型体を還元処理し、さらに酸化処理することによって得られた鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末(実施例1~3)は、高温耐久試験前及び高温耐久試験後のいずれにおいても、格子定数が前記式(1)で表される条件を満たし、かつ、I(14/29)値が前記式(2)で表される条件を満たしていたことから、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶していることがわかった。
一方、鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が所定の範囲よりも大きい鉄含有セリア-ジルコニア固溶体粉末を加圧成形し、得られた成型体を還元処理し、さらに酸化処理することによって得られた鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末(比較例2)は、高温耐久試験前及び高温耐久試験後のいずれにおいても、格子定数が前記式(1)で表される条件を満たしていたが、高温耐久試験前のI(14/29)値が前記式(2)で表される条件を満たしていなかったことから、鉄原子はパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶していないと考えられる。なお、比較例2で得られた鉄含有セリア-ジルコニア複合酸化物粉末においては、高温耐久試験後のI(14/29)値が前記式(2a)により求められるI(14/29)値に比べて小さくなったが、これは、高温耐久試験によって鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物中に固溶したためではなく、固溶していない鉄原子によってセリアの分相が促進され、パイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の安定性が低下したためと考えられる。
また、含浸法により鉄をパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物に担持させた鉄担持セリア-ジルコニア複合酸化物粉末(比較例3)は、高温耐久試験前及び高温耐久試験後のいずれにおいても、I(14/29)値が前記式(2)で表される条件を満たしていたが、高温耐久試験前及び高温耐久試験後のいずれにおいても、格子定数が前記式(1)で表される条件を満たしていなかったことから、鉄原子はパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶していないと考えられる。
図3Aに示したように、高温耐久試験前において、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶している複合酸化物粉末からなる酸素貯蔵材料粉末(すなわち、前記式(1)及び(2)で表されるいずれの条件も満たしている酸素貯蔵材料粉末)を含有する触媒粉末(実施例1~3)は、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物からなる酸素貯蔵材料粉末を含有する触媒粉末(比較例1)、並びに、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶していない複合酸化物粉末からなる酸素貯蔵材料粉末(すなわち、前記式(1)及び(2)で表される条件の少なくとも一方を満たしていない酸素貯蔵材料粉末)を含有する触媒粉末(比較例2~3)に比べて、酸素貯蔵材料(OSC材)利用率が高くなることがわかった。
また、図3Bに示したように、高温耐久試験後においても、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶している複合酸化物粉末からなる酸素貯蔵材料粉末(すなわち、前記式(1)及び(2)で表されるいずれの条件も満たしている酸素貯蔵材料粉末)を含有する触媒粉末(実施例1~3)は、鉄を含有していないパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物からなる酸素貯蔵材料粉末を含有する触媒粉末(比較例1)、上述したように、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶しておらず、かつ、固溶していない鉄原子によってセリアの分相が促進され、パイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の安定性が低下した複合酸化物粉末からなる酸素貯蔵材料粉末を含有する触媒粉末(比較例2)、並びに、鉄原子がパイロクロア型セリア-ジルコニア複合酸化物の格子中に十分に固溶していない複合酸化物粉末からなる酸素貯蔵材料粉末(すなわち、前記式(1)で表される条件を満たしていない酸素貯蔵材料粉末)を含有する触媒粉末(比較例3)に比べて、酸素貯蔵材料(OSC材)利用率が高くなることがわかった。
以上説明したように、使用初期だけでなく、1100℃程度という高温の排ガスに長時間曝された後においても、約300℃という低温において優れた酸素貯蔵能(OSC)を発現することができ、利用効率が高い酸素貯蔵材料を得ることが可能となる。したがって、本発明の酸素貯蔵材料は、低温での優れた酸素貯蔵能(OSC)と高温耐久性とを併せ持つため、排ガス浄化触媒の担体や助触媒、触媒雰囲気調整材等として有用である。

Claims (4)

  1. パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料であって、
    セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、
    セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(X=Zr/(Ce+Zr)×100)がX=40~50%であり、
    大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる格子定数が下記式(1):
    格子定数≦-7.00×10-3X+10.874 (1)
    (前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
    で表される条件を満たすものであり、
    大気中、1100℃で加熱する前及び5時間加熱した後の、CuKαを用いたX線回折測定により得られるX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線と強度比〔I(14/29)値〕が下記式(2):
    I(14/29)値≦2.36×10-3X-0.072 (2)
    (前記式中、Xは前記ジルコニウムのモル分率を表す)
    で表される条件を満たすものであることを特徴とする酸素貯蔵材料。
  2. 前記ジルコニウムのモル分率XがX=45~50%であることを特徴とする請求項1に記載の酸素貯蔵材料。
  3. パイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料の製造方法であって、
    セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との合計量に対する鉄の含有比率(Fe/(Ce+Zr)×100)が0.5~9at%であり、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)との総モル数に対するジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が40~50%である鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末を準備する工程と、
    前記鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末を30~350MPaの圧力で加圧成形した後、1400~2000℃の温度条件で還元処理し、さらに酸化処理して請求項1又は2に記載のパイロクロア型セリア-ジルコニア系複合酸化物と該セリア-ジルコニア系複合酸化物に添加された鉄とを含有する酸素貯蔵材料を得る工程と、
    を含むことを特徴とする酸素貯蔵材料の製造方法。
  4. 前記鉄含有セリア-ジルコニア系固溶体粉末における前記ジルコニウムのモル分率(Zr/(Ce+Zr)×100)が45~50%であることを特徴とする請求項3に記載の酸素貯蔵材料の製造方法。
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