JP2022059141A - 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム - Google Patents

抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2022059141A
JP2022059141A JP2020166689A JP2020166689A JP2022059141A JP 2022059141 A JP2022059141 A JP 2022059141A JP 2020166689 A JP2020166689 A JP 2020166689A JP 2020166689 A JP2020166689 A JP 2020166689A JP 2022059141 A JP2022059141 A JP 2022059141A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
coating film
compound
component
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020166689A
Other languages
English (en)
Inventor
岩倉和彦
Kazuhiko IWAKURA
早田大志
Daishi Hayata
長尾朋和
Tomokazu Nagao
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riken Technos Corp
NBC Meshtec Inc
Original Assignee
Riken Technos Corp
NBC Meshtec Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Riken Technos Corp, NBC Meshtec Inc filed Critical Riken Technos Corp
Priority to JP2020166689A priority Critical patent/JP2022059141A/ja
Publication of JP2022059141A publication Critical patent/JP2022059141A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】抗ウィルス性を有し、透明性に優れる塗膜を形成することのできる塗料を提供すること。【解決手段】(A)加水分解性基を有するシラン化合物、(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物及び、(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む塗料。上記成分(C)は好ましくはポリアミン、ポリアミン構造を有するアミン化合物、又は加水分解性シリル基を有するアミン化合物である。更に(D)低屈折率粒子を含んでいてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、抗ウィルス性塗膜形成用塗料に関する。更に詳しくは、抗ウィルス性塗膜を形成することのできる塗料、及び該塗料を用いて形成される塗膜、並びに該塗膜を有する積層フィルムに関する。
近年、様々なウィルス、特に新型コロナウィルス、インフルエンザウィルス、及びノロウイルスなどの強い感染力を有するウィルスによる感染症は、感染が広範囲に急速に広まることから、深刻な問題としてクローズアップされており、例えば、病院や老人ホームなどにおける集団感染は社会問題化している。そして、対処すべきウィルスは、インフルエンザウィルスに限っても非常に多くの種類が存在し、またウィルスはしばしば突然変異して、新型コロナウィルスのような新種が登場することから、様々なウィルスを不活化することができる(ウィルスの種類に依らず汎用的に効果のある)抗ウィルス剤が求められている。そこで、様々なウィルスを不活化することができる抗ウィルス剤として、ヨウ化第一銅(CuI)などのヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなる少なくとも1種のヨウ化物の粒子を有効成分として含むことを特徴とする抗ウィルス剤(特許文献1参照)や、該抗ウィルス剤を用いた樹脂部材(特許文献2参照)が提案されている。
従来から、物品、特に太陽光の直射を受ける場所で使用される物品の表面には、耐候性に優れることから、熱硬化性シリコーン系樹脂をバインダーとする塗料の塗膜(硬化塗膜)がしばしば形成されている。ところが、熱硬化性シリコーン系樹脂をバインダーとする塗料にヨウ化第一銅(CuI)などの抗ウィルス剤を配合した場合、抗ウィルス性が低下する、抗ウィルス剤を塗料中に良好に分散させることが難しい、及び形成される塗膜の透明性が不十分などの不都合のあることが分かった。
国際公開第WO2010/026730号 国際公開第WO2013/005446号
本発明の第1の課題は、抗ウィルス性を有する塗膜(硬化塗膜)を形成することのできる塗料を提供することにある。本発明の更なる課題は、抗ウィルス性を有し、透明性に優れる塗膜(硬化塗膜)を形成することのできる塗料を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の塗料により、上記課題を達成できることを見出した。
即ち、本発明の諸態様は以下の通りである。
[1].
(A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部;
(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物 0.1~150質量部;及び、
(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物 0.01~50質量部;
を含む塗料。
[2].
更に、(D)低屈折率粒子 10~200質量部;を含む[1]項に記載の塗料。
[3].
上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が、ポリアミン又はポリアミン構造を有するアミン化合物を含む[1]項又は[2]項に記載の塗料。
[4].
上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
が、加水分解性シリル基を有するアミン化合物を含む[1]~[3]項の何れか1項に記載の塗料。
[5].
上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
が、アミノ基を有するシランカップリング剤を含む[1]~[4]項の何れか1項に記載の塗料。
[6].
上記成分(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が、ヨウ化第一銅を含む[1]~[5]項の何れか1項に記載の塗料。
[7].
[1]~[6]項の何れか1項に記載の塗料を用いて形成される塗膜を含み、ここで該塗膜が少なくとも一方の表面を構成する積層フィルム。
[8].
物品であって、[1]~[6]項の何れか1項に記載の塗料を用いて形成される塗膜を含み、ここで該塗膜が上記物品の表面の少なくとも一部を構成する、上記物品。
本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)は、抗ウィルス性を有し、透明性にも優れている。また本発明の塗料は、抗ウィルス剤が塗料中に良好に分散しており、塗膜を工業的に安定して形成することができる。そのため本発明の塗料を用いて形成される抗ウィルス性を有する塗膜(硬化塗膜)を表面に有する物品、例えば、窓ガラスや自動車の窓などに貼合される飛散防止フィルム、赤外線遮蔽フィルム、及び反射防止フィルム;スマートフォンやタブレット端末などに貼付されるディスプレイ面板保護フィルム;家具、家電製品、及び建築部材などの装飾に用いられる化粧シート、加飾シート;手擦り、ドアノブ、グリップ、及び床板などの建築部材;並びに、フェイスシールド、間仕切り、及び衝立などは、病院、老人ホ―ム、保育園、学校、医療用器具生産工場、医薬品生産工場、及び食品加工工場など抗ウィルス性が要求される場所で好適に用いることができる。
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
本明細書において数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。また数値範囲に係る「~」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10~90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。更に、数値範囲の上限と下限とは、任意に組み合わせることができるものとし、任意に組み合わせた実施形態が読み取れるものとする。例えば、ある特性の数値範囲に係る「通常10%以上、好ましくは20%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下である。」や「通常10~40%、好ましくは20~30%である。」という記載から、そのある特性の数値範囲は、一実施形態において10~40%、20~30%、10~30%、又は20~40%であることが読み取れるものとする。
実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
本明細書において、「抗ウィルス性」の用語は、ウィルスを不活化すること(ウィルスの感染力を低下又は喪失(失活)させること)、及びウィルスの増殖を抑制することの両方の意味を含む用語として使用する。
1.抗ウィルス性塗膜形成用塗料:
本発明の塗料は、抗ウィルス性塗膜の形成に好適に用いることのできる塗料である。本発明の塗料は、(A)加水分解性基を有するシラン化合物;(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物;及び、(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物;を含む。本発明の塗料は、実施形態の1つにおいて、更に(D)低屈折率粒子を含むものであってよい。以下、各成分について説明する。
(A)加水分解性基を有するシラン化合物:
上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物は、熱などにより縮合、硬化してシリコーン骨格(シロキサン結合(Si‐O‐Si))を主骨格とする重合体となり、塗膜(硬化塗膜)を形成する働きをする。また上記成分(A)はバインダーとして、上記成分(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物などを包含する働きをする。更に、上記成分(A)は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)の耐候性を高める働きをする。
上記成分(A)の有する加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;及び、クロロ基などのハロゲン基をあげることができる。上記成分(A)の有する加水分解性基としては、これらの中で、加水分解反応の制御性の観点から、好ましくはアルコキシ基であってよい。
上記成分(A)としては、例えば、加水分解性有機珪素化合物、該化合物の(部分)加水分解物、及び、これらの(部分)縮合物などをあげることができる。ここで、(部分)加水分解物とは、部分加水分解物、加水分解物、又は部分加水分解物と加水分解物の混合物を意味する。ここで、(部分)縮合物とは、部分縮合物、縮合物、又は部分縮合物と縮合物の混合物を意味する。
上記加水分解性有機珪素化合物等の加水分解又は部分加水分解は、公知の方法で行うことができる。上記加水分解性有機珪素化合物等を加水分解又は部分加水分解する方法としては、例えば、上記加水分解性有機珪素化合物等とジアセトンアルコールなどの有機溶剤との混合物に、水を所定量、典型的には上記加水分解性有機珪素化合物等の有する加水分解性基1モルに対して0.1~2モル程度の量を混合した後、所望により触媒、例えば、リン酸、酢酸、及び蟻酸などの酸又はアルカリなどを添加して、所定の温度、典型的には室温(23℃)~100℃程度で、攪拌しながら反応させる方法をあげることができる。
上記加水分解性有機珪素化合物等の縮合又は部分縮合は、公知の方法で行うことができる。上記加水分解性有機珪素化合物等を縮合又は部分縮合する方法としては、例えば、上述の方法により上記加水分解性有機珪素化合物等の加水分解又は部分加水分解を行い、(部分)加水分解物を得た後、所望によりシラノール縮合触媒、例えば、金属のキレート化合物、有機酸金属塩、及び加水分解性基を有する金属化合物などを添加して、所定の温度、典型的には50℃以上、かつ上記有機溶剤の沸点以下の温度程度で、攪拌しながら反応させる方法をあげることができる。
上記加水分解性有機珪素化合物としては、例えば、アルコキシモノシラン化合物、該アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物、該ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、及び、これらの1種又は2種以上のオリゴマーやプレポリマーなどのアルコキシシラン化合物をあげることができる。
上記アルコキシモノシラン化合物としては、例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、及びジアルキルジアルコキシシランなどをあげることができる。
上記テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びテトライソプロポキシシランなどをあげることができる。
上記アルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n‐プロピルトリメトキシシラン、n‐プロピルトリエトキシシラン、n‐ヘキシルトリメトキシシラン、n‐ヘキシルトリエトキシシラン、n‐オクチルトリエトキシシラン、及びn‐デシルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランなどをあげることができる。
上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、下記一般式(1)の構造を有する化合物をあげることができる。
R-SiX (1)
式(1)中、Xはアルコキシ基である。Rは1個以上、好ましくは3個以上の水素原子が弗素原子に置換されたアルキル基である。Rの有する炭素原子数は、通常1~20個、好ましくは3~12個であってよい。Rは、好ましい実施形態の1つにおいて、下記一般式(1‐1)の構造を有するものであってよい。
CF(CF)n(CH- (1‐1)
式(1‐1)中、nは通常0~17、好ましくは0~9の整数である。
上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、3,3,3‐トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3‐トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5‐ヘプタフルオロペンチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5‐ヘプタフルオロペンチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H‐ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,4,4,4‐テトラフルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)ブチルトリメトキシシラン、及び3,4,4,4‐テトラフルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)ブチルトリエトキシシランなどをあげることができる。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物としては、例えば、下記一般式(2)の構造を有する化合物をあげることができる。
R’3-n-SiXn-R-SiX’m-R”3-m (2)
式(2)中、Rは炭化水素基である。該炭化水素基は直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよく、芳香環、脂肪族環状基、エーテル基、エステル基、窒素原子、又は酸素原子を含んでいてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、通常1~20個、好ましくは2~12個であってよい。X、X’はそれぞれアルコキシ基である。R’、R”はそれぞれアルキル基である。n、mはそれぞれ1~3の整数である。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物としては、例えば、1,2‐ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2‐ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4‐ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1‐ジメチルジメトキシシリル‐4‐トリメトキシシリルブタン、1,4‐ビス(ジメチルジメトキシシリル)ブタン、1,5‐ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,6‐ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6‐ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,7‐ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,8‐ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,9‐ビス(トリメトキシシリル)ノナン、及び1,10‐ビス(トリメトキシシリル)デカンなどのビス(アルコキシシリル)アルカン;及び、ビス[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]アミンなどのアミン基を有するビス(アルコキシシリル)アルカン;などをあげることができる。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、下記一般式(3)の構造を有する化合物をあげることができる。
R’3-n-SiXn-R-SiX’m-R”3-m (3)
式(3)中、X、X’はそれぞれアルコキシ基である。R’、R”はそれぞれアルキル基である。n、mはそれぞれ1~3の整数である。Rは1個以上、好ましくは2個以上の水素原子が弗素原子に置換された炭化水素基である。該炭化水素基は直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよく、芳香環、脂肪族環状基、エーテル基、エステル基、窒素原子、又は酸素原子を含んでいてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、通常1~20個、好ましくは2~12個であってよい。Rは、好ましい実施形態の1つにおいて、下記一般式(3‐1)の構造を有するものであってよい
-(CH-(CF)n-(CH- (3‐1)
式(3‐1)中、nは自然数、好ましくは1~20の自然数、より好ましくは2~12の自然数である。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、3,3,4,4‐テトラフルオロ‐1,6‐ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3,3,4,4,5,5,6,6‐オクタフルオロ‐1,8‐ビス(トリメトキシシリル)オクタン、3,3,4,4,5,5,6,6‐オクタフルオロ‐1,8‐ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H‐ドデカフルオロ‐1,10‐ビス(トリメトキシシリル)デカン、及び1H,1H,2H,2H,11H,11H,12H,12H‐ヘキサデカフルオロ‐1,12‐ビス(トリメトキシシリル)ドデカンなどをあげることができる。
本発明の塗料に上記成分(D)を含ませることにより、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)を低屈折率層にして、反射防止機能を発現させようとする場合には、ベース樹脂の屈折率も低くして、反射防止機能を向上させる観点から、上記成分(A)としては、上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、及び上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物が好ましい。
上記成分(A)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(B)一価の銅化合物等:
上記成分(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とを含むヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)に抗ウィルス性を発現させる働きをする。
上記一価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅(CuCl)、臭化第一銅(CuBr)、ヨウ化第一銅(CuI)、酢酸第一銅(Cu(CHCOO))、硫化第一銅(CuS)、チオシアン酸第一銅(CuSCN)、及び酸化第一銅(CuO)などをあげることができる。
上記ヨウ素と周期表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とを含むヨウ化物としては、例えば、銅、銀、アンチモン、イリジウム、ゲルマニウム、錫、タリウム、白金、パラジウム、ビスマス、金、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、インジウム、及び水銀などのヨウ化物をあげることができる。上記ヨウ素と周期表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とを含むヨウ化物としては、例えば、ヨウ化第一銅(CuI)、ヨウ化第一銀(AgI)、三ヨウ化アンチモン(SbI)、四ヨウ化イリジウム(IrI)、四ヨウ化ゲルマニウム(GeI)、二ヨウ化ゲルマニウム(GeI)、二ヨウ化錫(SnI)、四ヨウ化錫(SnI)、ヨウ化第一タリウム(TlI)、二ヨウ化白金(PtI)、四ヨウ化白金(PtI)、二ヨウ化パラジウム(PdI)、三ヨウ化ビスマス(BiI)、ヨウ化第一金(AuI)、三ヨウ化金(AuI)、二ヨウ化鉄(FeI)、二ヨウ化コバルト(CoI)、二ヨウ化ニッケル(NiI)、二ヨウ化亜鉛(ZnI)、三ヨウ化インジウム(InI)、及びヨウ化第一水銀(Hg)などをあげることができる。
これらの中で、空気中における安定性の観点から、塩化第一銅(CuCl)、臭化第一銅(CuBr)、ヨウ化第一銅(CuI)、チオシアン酸第一銅(CuSCN)、ヨウ化第一銀(AgI)、及び四ヨウ化錫(SnI)が好ましい。抗ウィルス性の観点から、ヨウ化第一銅(CuI)がより好ましい。
上記成分(B)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B)の形状は、特に制限されない。上記成分(B)の形状は、塗料の塗工性の観点から、好ましくは粒子状(球状、繊維状、鱗片状、及びリボン状などを含む)であってよい。
上記成分(B)の形状が粒子状である場合、上記成分(B)の平均粒子径は、塗膜形成性の観点から、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下であってよい。上記成分(B)の平均粒子径は、塗膜にすっきりとした透明感を付与したい場合には、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下であってよい。一方、平均粒子径の下限は特にないが、上記成分(B)を製造する際の生産性の観点から、通常1nm以上であってよい。
本明細書において、粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。上記粒子径分布曲線は、例えば、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計「MT3200II(商品名)」を使用して測定することができる。
上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部に対して、抗ウィルス性を確実に発現させる観点から、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上、最も好ましくは5質量部以上であってよい。一方、塗料の塗工性、及び塗膜の透明性を保持する観点から、通常150質量部以下、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、最も好ましくは20質量部以下であってよい。
(C)アミン化合物等:
上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物は、上記成分(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とを含むヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が抗ウィルス剤として、抗ウィルス性を確実に発現できるようにする働きをする。
上記アミン化合物は、アンモニアの水素原子を炭化水素基又は芳香族原子団で置換した化合物である。上記アミン化合物の好ましいものとしては、例えば、ポリアミン、ポリアミン構造を有するアミン化合物、及び加水分解性シリル基を有するアミン化合物などをあげることができる。
上記シランカップリング剤は、1分子中に1個以上の加水分解性基と1個以上の有機重合性官能基を有するシラン化合物である。上記加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;及び、クロロ基などのハロゲン基;などをあげることができる。上記有機重合性官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基、及びイソシアヌレート基などをあげることができる。上記シランカップリング剤は、これらの加水分解性基の1種又は2種以上とこれらの有機重合性官能基の1種又は2種以上を、それぞれ1分子中に1個又は2個以上含むものであってよい。
なお上記シランカップリング剤は、加水分解性基を有するシラン化合物であるという点では、上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物にも分類し得る化学物質であるが、本明細書においては、上記成分(C)に分類するものとする。つまり、上記成分(A)から上記成分(C)にも該当する物質、即ち、上記有機重合性官能基を有する化合物は除かれる。
(C1)ポリアミン又はポリアミン構造を含有する化合物:
上記成分(C)は、好ましい実施形態の1つにおいて、(C1)ポリアミン又はポリアミン構造を有するアミン化合物を含むものであってよい。ポリアミンは、分子中に2個以上のアミノ基を有する炭化水素化合物である。ポリアミン構造を有する化合物は、2個以上のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個以上有する化合物である。上記ポリアミン構造を有する化合物は、透明性の観点から、好ましくは2個以上のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個以上有するアンモニウム化合物であってよい。ここで言及される「炭化水素」は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、若しくは脂肪族及び芳香族炭化水素、又はこれらの混合物であってよい。ここで言及される「炭化水素」は、典型的には脂肪族炭化水素である。
理論に拘束される意図はないが、ポリアミンはウィルスにも存在し、核酸やタンパク質の合成に関与している。そのため、ウィルスが上記成分(C1)ポリアミン又はポリアミン構造を含有する化合物の近傍に留まり、結果として、抗ウィルス剤としての上記成分(B)一価の銅化合物等の攻撃を受ける機会が増えるのではないかと予想している。
(C2)加水分解性シリル基を有するアミン化合物:
上記成分(C)は、好ましい実施形態の別の1つにおいて、(C2)加水分解性シリル基を有するアミン化合物を含むものであってよい。上記成分(C2)は、アンモニアの水素原子を炭化水素基又は芳香族原子団で置換した化合物であって、1分子中に1個以上の加水分解性シリル基を有する化合物である。
上記成分(C2)は、実施形態の1つにおいて、1個以上のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個以上有し、かつ分子中に1個以上の加水分解性シリル基を有する化合物であってよい。ここで言及される「炭化水素」は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、若しくは脂肪族及び芳香族炭化水素、又はこれらの混合物であってよい。ここで言及される「炭化水素」は、典型的には脂肪族炭化水素である。
2個以上のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個以上有し、かつ分子中に1個以上の加水分解性シリル基を有する化合物は、ポリアミン構造を有するという点では上記成分(C1)の特徴を、加水分解性シリル基を有するという点では上記成分(C2)の特徴を兼ね備える化学物質であり、抗ウィルス性の観点から、上記成分(C)としてより好ましい。
上記成分(C2)の有する加水分解性シリル基は、ケイ素原子に加水分解性基が直接結合した構造を有する官能基である。上記加水分解性シリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、イソプロポキシシリル基などのアルコキシシリル基;アセトキシシリル基などのアシルオキシシリル基;及び、クロロ基などのハロゲン基がケイ素原子に直接結合した構造を有する官能基;などをあげることができる。上記成分(C2)の有する加水分解性シリル基としては、これらの中で、加水分解反応の制御性の観点から、好ましくはアルコキシシリル基(ケイ素原子にアルコキシ基が直接結合した構造を有する官能基)であってよい。上記成分(C2)は、これらの加水分解性シリル基の1種又は2種以上を、1分子中に1個又は2個以上含むものであってよい。
上記成分(C2)は加水分解性シリル基を有することから重合性を有し、多量に配合しても塗膜形成性(ウェット塗膜の硬化性)を大きく低下させることはない。そのため、上記成分(C2)は、抗ウィルス性が確実に発現するように、当該塗料に多量に配合することが可能である。また理論に拘束される意図はないが、上記成分(C2)は重合することにより、ポリアミン構造を形成し、上記成分(C1)と同様の抗ウィルス性発現機構が働いていると予想している。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基を有するシランカップリング剤(ビニル基と加水分解性基を有するシラン化合物)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(エポキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、(メタ)アクリロキシ基(メタクリロキシ基又はアクリロキシ基)を有するシランカップリング剤((メタ)アクリロキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、アミノ基を有するシランカップリング剤(アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、メルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト基と加水分解性基を有するシラン化合物)、イソシアネート基を有するシランカップリング剤(イソシアネート基と加水分解性基を有するシラン化合物)、ウレイド基を有するシランカップリング剤(ウレイド基と加水分解性基を有するシラン化合物)、及びイソシアヌレート基を有するシランカップリング剤(イソシアヌレート基と加水分解性基を有するシラン化合物)などをあげることができる。
上記ビニル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びp‐スチリルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどをあげることができる。
上記(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3‐メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記アミノ基を有するシランカップリング剤としては、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐トリエトキシシリル‐N‐(1,3‐ジメチル‐ブチリデン)プロピルアミン、及びN‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランなどの1個のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個有し、かつ分子中に1個以上の加水分解性基を有する化合物;及び、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、及びN‐(ビニルベンジル)‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランなどの2個のアミノ基を有する炭化水素基を分子中に1個有し、かつ分子中に1個以上の加水分解性基を有する化合物;などをあげることができる。
上記メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、及び3‐メルカプトプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどをあげることができる。
上記ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3‐ウレイドプロピルトリメトキシシラン、及び3‐ウレイドプロピルトリエトキシシランなどをあげることができる。
上記イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、例えば、トリス‐(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどをあげることができる。
これらのシランカップリング剤の中で、抗ウィルス性の観点から、上記アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。なお上記アミノ基を有するシランカップリング剤は、上記(C2)加水分解性シリル基を有するアミン化合物にも該当する化合物である。
上記アミン化合物のアミン価は、抗ウィルス性の観点から、その配合量にもよるが、通常1mgKOH/g以上、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上、最も好ましくは40mgKOH/g以上であってよい。一方、上記アミン化合物のアミン価は、塗料のポットライフの観点から、その配合量にもよるが、通常500mgKOH/g以下、好ましくは200mgKOH/g以下であってよい。
アミン価は、試料1gを中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウム(KOH:分子量56.11)のmg数である。本明細書において、アミン価は、試料5gをエタノール(95)50mLに溶解し、0.5モル/Lの塩酸水溶液で電気滴定法(電位差滴定)により滴定して算出される。
上記成分(C)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部に対して、抗ウィルス性を確実に発現させる観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、最も好ましくは3質量部以上であってよい。一方、ブリード白化抑制の観点、あるいは塗料のポットライフの観点から、通常50質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、最も好ましくは8質量部以下であってよい。
(D)低屈折率粒子:
本発明の塗料は、実施形態の1つにおいて、更に(D)低屈折率粒子を含むものであってよい。上記成分(D)は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)の屈折率を低くする働きをする粒子である。本発明の塗料に上記成分(D)を含ませることにより、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)を低屈折率層にして、反射防止機能を発現させることができる。
上記低屈折率層の屈折率(RL)は、良好な反射防止機能を発現させる観点から、通常1.5以下、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.4以下であってよい。一方、反射防止フィルム(上記低屈折率層を有する積層フィルム)の透明性の観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上、更に好ましくは1.3以上であってよい。
上記屈折率(RL)は、JIS K7142:2008のA法に従い、アッベ屈折率計を使用し、ナトリウムD線(波長589.3nm)、接触液は1‐ブロモナフタレン、サンプルのサンプル作成時に二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム側であった面がプリズムに接する表面、サンプルのバーコーター操作方向が試験片の長さ方向となる条件で測定される値である。サンプルには、上記低屈折率層の形成に用いる塗料を、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの面の上に、硬化後厚みが2μmとなるように、バーコーターを使用して塗布し、乾燥・硬化して得た塗膜を、該二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムから剥離して用いる。
上記成分(D)としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム、弗素樹脂、及びシリコーン樹脂などの低屈折率材料の粒子(中実粒子);並びに中空粒子;などをあげることができる。
上記中空粒子は、外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞(単孔)になっている粒子である。上記中空粒子は、多孔質又は空洞(単孔)の空孔中に空気(屈折率1.0)が含まれるため、塗膜の屈折率を低くする効果が大である。
上記中空粒子を構成する材料としては、上述の構造を形成されるものである限り、特に制限されない。上記中空粒子を構成する材料としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム、弗素樹脂、及びシリコーン樹脂などの低屈折率材料をあげることができる。これらの中で、中空粒子を製造する際の生産性の観点から、シリカが好ましい。
上記成分(D)の平均粒子径は、低屈折率層(上記成分(D)を含む本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜))の厚み、及び低屈折率粒子を製造する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記成分(D)の平均粒子径は、通常1~150nm、好ましくは5~100nm、より好ましくは10~80nm、更に好ましくは15~60nmであってよい。
本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計を使用して、レーザー回折・散乱法により測定される粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。上記レーザー回折・散乱式粒度分析計としては、例えば、日機装株式会社の「MT3200II(商品名)」などを使用することができる。
上記成分(D)としては、これらの中で、中空粒子が好ましく、中空シリカ(シリカの中空粒子)がより好ましい。上記成分(D)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(D)を用いる場合、上記成分(D)の配合量は、上記成分(D)の種類を勘案し、屈折率(RL)を上述の範囲にする観点から、適宜決定する。上記成分(D)の配合量は、上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部に対して、屈折率(RL)を上述の範囲にする観点から、通常10~200質量部、好ましくは20~100質量部、より好ましくは30~80質量部であってよい。
本発明の塗料は、本発明の塗料を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、2‐メトキシエタノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記溶剤の配合量は、本発明の塗料を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点、及びウェット塗膜を形成した後、該ウェット塗膜を乾燥するとともに上記溶剤を回収する工程の生産性の観点から、適宜決定する。
本発明の塗料が上記成分(D)低屈折率粒子を含む実施形態である場合、即ち、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が低屈折率層である場合、上記溶剤の配合量は、本発明の塗料を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、上記成分(A)~(D)の配合量の和を100質量部として、好ましくは600質量部以上、より好ましくは1200質量部以上、更に好ましくは1800質量部以上であってよい。一方、本発明の塗料を用いてウェット塗膜を形成した後、該ウェット塗膜を乾燥するとともに溶剤を回収する工程の生産性の観点から、好ましくは6000質量部以下、より好ましくは4000質量部以下、更に好ましくは3000質量部以下であってよい。
本発明の塗料は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(A)~(D)、及び溶剤以外の任意成分を更に含むものであってよい。上記任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、汚染防止剤、撥水剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、及び染料などをあげることができる。上記任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記任意成分の配合量は、上記成分(A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
本発明の塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
2.積層フィルム:
本発明の積層フィルムは、本発明の塗料を用いて形成される塗膜を含む。本発明の積層フィルムは、通常は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜が、積層フィルムの少なくとも片方の表面を構成する。本発明の積層フィルムは、典型的には、本発明の塗料を用いて形成される塗膜とフィルム基材の層を有し、実使用状態において表面となる面(物品によって片方の面である場合と、両方の面である場合とがある)は、上記塗膜により構成される。ここで実使用状態とは、本発明の積層フィルムが各種物品の部材として用いられている状態(例えば、飛散防止フィルムであれば、窓ガラスなどに貼合されている状態;化粧シートであれば、物品の表面の装飾に用いられている状態;フェイスシールドであれば、フェイスシールドのフレームにセットされて、顔面の保護に使用されている状態)をいう。
本発明の塗料が上記成分(D)低屈折率粒子を含む実施形態である場合、即ち、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が低屈折率層である場合、該低屈折率層は、通常、実使用状態において太陽光又は外光が入射する側の表面となる面(物品によって片方の面である場合と、両方の面である場合とがある)を形成する。ここで実使用状態とは、本発明の積層フィルムが各種物品の部材として用いられている状態をいう。
本発明の塗料については上述した。本発明の塗料を用いて、塗膜を形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記ウェブ塗布方法としては、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。これらの方法の中で、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートが好ましく、塗膜の厚みを均一なものにする観点から、ロッドコートがより好ましく、ロッドとしてメイヤーバーを用いるロッドコート(以下、「メイヤーバー方式」と略すことがある)が更に好ましい。
本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)は、上記フィルム基材の層の面の上に、直接積層されていてもよく、密着性を高めるため、アンカーコートを介して積層されていてもよい。
本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)の厚みは、耐屈曲性、及び塗膜を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)の厚みは、積層フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。一方、塗膜を形成する際の生産性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であってよい。
本発明の塗料が上記成分(D)低屈折率粒子を含む実施形態である場合、即ち、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が低屈折率層である場合、該低屈折率層の厚みは、所望の反射率、及び上記低屈折率層を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記低屈折率層の厚みは、反射率低減の観点から、通常300nm以下、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下であってよい。一方、上記低屈折率層を形成する際の生産性の観点から、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは40nm以上、更に好ましくは60nm以上であってよい。
上記フィルム基材の層は、任意の樹脂フィルムからなり、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)形成するためのフィルム基材となる層である。
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂;芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォンなどの樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した多層フィルムを包含する。
上記樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、所望により任意の厚みにすることができる。本発明の積層フィルムを高い剛性を必要としない用途に用いる場合、上記樹脂フィルムの厚みは、取扱性の観点、及びガラス飛散防止フィルムとしての規格に適合させる観点から、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であってよい。一方、上記樹脂フィルムの厚みは、経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下であってよい。
本発明の積層フィルムを高い剛性を必要とする用途に用いる場合、上記樹脂フィルムの厚みは、通常200μm以上、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上であってよい。一方、上記樹脂フィルムの厚みは、物品の薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下であってよい。
本発明の積層フィルムを透明性が必要とされる用途、例えば、建築物の窓ガラス、自動車のウィンドウなどに貼付される飛散防止フィルム、赤外線遮蔽フィルム、及び紫外線遮蔽フィルム;スマートフォン、タブレット端末、及びカーナビゲーションなどに貼付されるディスプレイ面板保護フィルム;並びに、フェイスシールドなどに用いる場合には、上記樹脂フィルムとしては、高い透明性を有するものが好ましく、高い透明性を有し、かつ着色のない透明樹脂フィルムがより好ましい。
上記透明樹脂フィルムの全光線透過率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であってよい。全光線透過率は高い方が好ましい。ここで全光線透過率は、JIS K7136:2000に従い測定される。測定に使用する装置としては、例えば、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」をあげることができる。
上記透明樹脂フィルムの黄色度指数は、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1~-1であってよい。ここで黄色度指数は、JIS K7105:1981に従い測定される。測定に使用する装置としては、例えば、島津製作所社製の色度計「SolidSpec-3700(商品名)」をあげることができる。
上記透明樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリプロピレン、及び4-メチル-ペンテン-1等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;並びにポリイミド系樹脂などのフィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した多層フィルムを包含する。
本発明の積層フィルムを透明性が必要とされない用途、例えば、化粧シート、加飾フィルムなどに用いる場合には、上記樹脂フィルムは着色されたものであってもよく、不透明なものであってもよく、又は透明なものであってもよい。
本発明の塗料が上記成分(D)低屈折率粒子を含む実施形態である場合、即ち、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が低屈折率層である場合、本発明の積層フィルムは、実施形態の1つにおいて、低屈折率層、高屈折率層、及びフィルム基材の層をこの順に有するものであってよい。
上記低屈折率層、及び上記フィルム基材の層については上述した。
上記高屈折率層を設けることにより、反射防止機能を高めることができる。上記高屈折率層の屈折率(RH)は、上記低屈折率層の屈折率(RL)との屈折率差を大きくし、反射防止フィルム(上記低屈折率層を有する積層フィルム)に良好な反射防止機能を発現させる観点から、通常1.55以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.65以上であってよい。一方、積層フィルムの透明性の観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.9以下、更に好ましくは1.8以下であってよい。
上記屈折率(RH)は、JIS K7142:2008のA法に従い、アッベ屈折率計を使用し、ナトリウムD線(波長589.3nm)、接触液は1‐ブロモナフタレン、サンプルのサンプル作成時に二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム側であった面がプリズムに接する表面、サンプルのバーコーター操作方向が試験片の長さ方向となる条件で測定される値である。サンプルには、上記高屈折率層の形成に用いる塗料を、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの面の上に、硬化後厚みが2μmとなるように、バーコーターを使用して塗布し、乾燥・硬化して得た塗膜を、該二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムから剥離して用いる。
上記高屈折率層の形成に用いる塗料としては、上記屈折率(RH)が上述の範囲となるものであること以外は特に制限されず、任意の塗料を用いることができる。上記高屈折率層の形成に用いる塗料としては、硬度が高く、硬化の所要時間が短く、生産性が高いことから、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料が好ましい。以下、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする高屈折率層形成用塗料(以下、「塗料(H)」と略すことがある)について説明する。
(H1)活性エネルギー線硬化性樹脂:
上記成分(H1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、塗膜(硬化塗膜)を形成する働きをする。
上記成分(H1)としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、トリメチルシロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有単官能反応性モノマー;N-ビニルピロリドン、スチレン等の単官能反応性モノマー;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマーなどから選択される1種以上を、あるいは上記1種以上を構成モノマーとする樹脂をあげることができる。なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
上記成分(H1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(H2)高屈折率粒子:
上記成分(H2)高屈折率粒子は、上記塗料(H)を用いて形成される塗膜の屈折率を高くする働きをする粒子である。
上記成分(H2)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物;及び、これらの金属酸化物にアンチモン、及び錫などの異種元素をドープした複合酸化物;などをあげることができる。
上記成分(H2)として、高屈折率粒子の表面をビニルシラン、及びアミノシランなどのシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びアリル基などのエチレン性不飽和結合基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;並びに脂肪酸、及び脂肪酸金属塩などの表面処理剤;などにより処理したものを用いることは好ましい。上記成分(H2)と上記成分(H1)との相互作用が強められ、塗膜の耐候性を向上させることができる。
上記成分(H2)の平均粒子径は、塗膜の透明性を保持する観点、及び高屈折率粒子を製造する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記成分(H2)の平均粒子径は、通常1~300nm、好ましくは5~200nm、より好ましくは10~150nm、更に好ましくは15~100nmであってよい。平均粒子径の測定方法、定義については上記成分(D)低屈折率粒子の説明において上述した。
上記成分(H2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(H2)の配合量は、上記成分(H2)の種類を勘案し、屈折率(RH)を上述の範囲にする観点から、適宜決定する。上記成分(H2)の配合量は、上記成分(H1)100質量部に対して、屈折率(RH)を上述の範囲にする観点から、通常10~300質量部、好ましくは30~200質量部、より好ましくは45~150質量部、更に好ましくは60~120質量部であってよい。
(H3)光重合開始剤:
上記塗料(H)は、好ましくは更に(H3)光重合開始剤を含むものであってよい。上記成分(H3)は、活性エネルギー線の照射によりラジカルなどの活性種を発生する化合物である。上記成分(H3)はラジカルなどの活性種を発生することにより、上記成分(H1)活性エネルギー線硬化性樹脂を重合、硬化させる働きをする。
上記成分(H3)としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル‐o‐ベンゾイルベンゾエート、4‐メチルベンゾフェノン、4、4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o‐ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(tert‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンジルメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンなどのアセトフェノン系化合物;α‐ヒドロキシアルキルフェノン、及びアセトフェノンジメチルケタールなどのアルキルフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、及び2‐アミルアントラキノンなどのアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4‐ジエチルチオキサントン、及び2、4‐ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6‐トリメチルベンゾイル‐ジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;ビイミダゾール化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;トリアジン系化合物;並びに、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。
上記成分(H3)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(H3)の配合量は、上記成分(H3)の使用効果を確実に得る観点、及び塗膜(硬化塗膜)の着色を抑制する観点から適宜決定する。上記成分(H3)の配合量は、上記成分(H1)100質量部に対して、上記成分(H3)の使用効果を確実に得る観点から、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であってよい。一方、塗膜(硬化塗膜)の着色を抑制する観点から、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下であってよい。
上記塗料(H)は、上記塗料(H)を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、2‐メトキシエタノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記塗料(H)は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(H1)~(H3)以外の任意成分を更に含むものであってよい。上記任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、及び染料などをあげることができる。上記任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記任意成分の配合量は、上記成分(H1)100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
上記塗料(H)は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記塗料(H)を用い、上記高屈折率層を上記フィルム基材の面の上に形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記ウェブ塗布方法としては、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。これらの方法の中で、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートが好ましく、塗膜の厚みを均一なものにする観点から、ロッドコートがより好ましく、ロッドとしてメイヤーバーを用いるロッドコート(以下、「メイヤーバー方式」と略すことがある)が更に好ましい。
上記高屈折率層は、上記フィルム基材の層の面の上に、直接積層されていてもよく、密着性を高めるため、アンカーコートを介して積層されていてもよい。
上記高屈折率層の厚みは、所望の反射率、及び高屈折率層を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記高屈折率層の厚みは、反射防止機能の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であってよい。一方、積層フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
本発明の積層フィルムは、その塗膜(硬化塗膜)の面とA香港型インフルエンザウィルス(A/Hong Kong/8/68 (H3N2))とを、温度25℃で240分間作用させたとき、感染価の対数減少値が好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であってよい。抗ウィルス性の観点から、感染価の対数減少値は高い方が好ましい。ここで感染価の対数減少値は、下記実施例の測定方法(イ)抗ウィルス性に従い測定される。
本発明の積層フィルムを透明性が必要とされる用途に使用する場合、本発明の積層フィルムのヘーズは、通常5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2.5%以下であってよい。すっきりとした透明感を得る観点から、ヘーズは低い方が好ましい。本発明の積層フィルムの全光線透過率は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であってよい。全光線透過率は高い方が好ましい。ここで全光線透過率、ヘーズは、JIS K7136:2000に従い測定される。測定に使用する装置としては、例えば、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」をあげることができる。
図1は本発明の積層フィルムの実施形態の1例を示す断面の概念図である。この実施形態の積層フィルムは、実使用状態において太陽光又は外光が入射する側の表面から順に、本発明の塗料であって、上記成分(D)低屈折率粒子を含むものを用いて形成された低屈折率層1、高屈折率層2、第1のアンカーコート3、透明樹脂フィルムの層4、第2のアンカーコート5、ハードコート6を有している。そして、ハードコート6の面の上に、タッチ・センサを直接形成して、2層構造のタッチパネル(しばしば「ワン・プラスチックガラス・ソリューション」と呼ばれる)が製造され、カーナビゲーションなどに組み込まれる。
3.物品:
本発明の物品は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)を含む。本発明の物品は、通常は、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が、物品の表面の少なくとも一部を構成する。本発明の物品は、実施形態の1つにおいて、本発明の塗料を用いて形成される塗膜(硬化塗膜)が、物品の表面の全部を構成するものであってよい。
本発明の物品は、典型的な一実施形態において、本発明の積層フィルムが部材として用いられている物品(例えば、飛散防止フィルムの貼合されている窓ガラス、化粧シートで装飾されている家具、及びフェイスシールドなど)であってよい。
本発明の物品は、典型的な他の一実施形態において、物品の三次元形状の基体(例えば、電気製品の筐体、及び自動車のインスツルメントパネルなど)の表面の一部又は全部に、本発明の塗料を用いて塗膜(硬化塗膜)が形成されているものであってよい。上記塗膜は上記基体に本発明の塗料を直接塗工して形成してもよく、上記塗膜を含む積層フィルムを貼合することにより形成してもよく、上記塗膜を含む積層フィルムから該塗膜を上記基体に転写して形成してもよい。
上記基体の表面の一部又は全部に、本発明の塗料を直接塗工して塗膜を形成する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法により、本発明の塗料を、1回又は2回以上繰り返して塗工することにより塗膜を形成する方法をあげることができる。
上記基体の成形方法としては、例えば、熱可塑性樹脂シートを、メンブレンプレス成形、圧空プレス成形、真空成形、及び真空圧空成形などの所謂三次元成形する方法;熱可塑性樹脂を射出成形、ブロー成形、及び押出成形する方法;並びに、硬化性樹脂を所望の形状の型に注入し、硬化させる方法などをあげることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)抗ウィルス性:
(イ1)抗ウィルス性a:
(イ‐1)抗ウィルス性フィルムの感染価の測定:
試験はISO 21702「プラスチック及び非多孔質表面の抗ウィルス活性の測定」の方法に準じて行った。具体的には、以下の手順で行った。先ず、積層フィルム(抗ウィルス性フィルム)から5cm×5cmの試験片を採取し、プラスチックシャーレに入れ、上記試験片の抗ウィルス性塗膜の面の上に、A香港型インフルエンザウィルス(A/Hong Kong/8/68(H3N2))のウィルス液(以下、「原液」ということがある)100μLを滴下し、室温(25℃)で60分間作用させた。このとき上記試験片と上記ウィルス液と接触面積を一定にするため、上記試験片の上面をポリエチレンテレフタレートフィルム(大きさ4cm×4cm)により覆った。次に、SCDLP培地10mLを添加し、ピペッティングによりウィルスを洗い出し、作用を停止させた。その後、各作用後のウィルス液の濃度が原液の10-2~10-5になるまで(各作用後のウィルス液の量を、滴下した原液の量(100μL)の10~10倍にするのと同じ濃度になるまで)MEM希釈液にて希釈し、サンプル液(原液、ウィルス液の濃度が原液の10-2、10-3、10-4、及び10-5の5種類)を作成した。続いて、作成した各サンプル液について、6穴プレートシャーレに培養したMDCK細胞(Madin-Darby canine kidney cell)にサンプル液100μLを接種し、60分間静置してウィルスを上記MDCK細胞へ吸着させ、0.7質量%寒天培地を重層し、インキュベータを使用し、温度34℃、5%COで48時間培養した後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い、形成されたプラーク数をカウントした。各サンプル液の結果から、ウィルスの感染価(PFU(Plaque-forming unit)/0.1mL)の常用対数を算出した。
(イ‐2)コントロールフィルムの製造:
下記成分(A‐1)3333質量部(固形分換算100質量部)、下記成分(C‐1)6質量部、下記成分(D‐1)200質量部(固形分換算40質量部)、下記成分(E‐1)4.2質量部、下記成分(F‐1)4400質量部、を混合攪拌し、コントロールフィルムの塗膜形成用塗料を得た。次に、該塗料を、東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー」(商品名)の片面の上に、メイヤーバー方式の塗工装置を使用して、硬化後の厚みが0.1μmとなるように塗布し、乾燥し、紫外線照射によりして硬化して、塗膜を形成し、コントロールフィルムを得た。
(イ‐3)コントロールフィルムの感染価の測定:
上記(イ‐2)で得たコントロールフィルムから5cm×5cmの試験片を採取したこと以外は、上記(イ‐1)と同様にして、コントロールフィルムの感染価の常用対数を算出した。
(イ‐4)抗ウィルス性の評価:
コントロールフィルムの感染価の常用対数と抗ウィルス性フィルムの感染価の常用対数との差(以下、「対数減少値」ということがある)を抗ウィルス性の指標として算出した。なお対数減少値が3であったとは、抗ウィルス性フィルムの感染価がコントロールフィルムの感染価の1/1000であったことを意味する。
(イ2)抗ウィルス性b:
ウィルス液を作用させる時間を240分間に変更したこと以外は、上記試験(イ1)抗ウィルス性aと同様に行った。
(ロ)全光線透過率、ヘーズ:
JIS K7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を使用し、積層フィルム(抗ウィルス性フィルム)の抗ウィルス性塗膜面から光を入射する条件で全光線透過率とヘーズを測定した。
(ハ)最低反射率:
株式会社島津製作所の分光光度計「SolidSpec-3700(商品名)」及び反射ユニット「絶対反射率測定装置 入射角5°(商品名)」を使用し、上記分光光度計の説明書に従い、5度正反射(積分球前に反射ユニットを設置する。)の条件で、積層フィルム(抗ウィルス性フィルム)の抗ウィルス性塗膜面とは反対側の面の上に黒色粘着シートを貼合したものを試験片として測定した可視光線(波長380~780nm)の反射率のスペクトルを、多項式近似法によりスムージング処理して得たスペクトルから、最も低い反射率を、最低反射率として読み取った。上記黒色粘着シートは、東洋紡株式会社の厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「E5431(商品名)」の片面の上に、レジノカラー工業株式会社の黒色アクリル系粘着マスターバッチ「ブラック‐OT‐1338(商品名)」20質量部と藤倉化成株式会社の粘着剤「LKU-01(商品名)」100質量部を混合し、アプリケーターを使用して、乾燥後の厚みが35μmになるように塗工して得た。上記黒色粘着シートの、粘着層の面から測色して求めたL*値は3.13であった。L*値は、JIS Z 8722:2009に従い、コニタミノルタジャパン株式会社の分光測色計「CM600d」を使用し、標準の光D65照明下、幾何条件c、鏡面反射となる成分を含む条件でXYZ座標を測定し、これをL*a*b*座標に換算することにより求めた。
使用した原材料
(A)加水分解性基を有するシラン化合物:
(A‐1)信越化学工業株式会社の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された加水分解性基を有する有機シラン化合物「X‐12‐2510A(商品名)」。固形分3質量%。
(B)一価の銅化合物等:
(B‐1)市販のヨウ化第一銅(CuI)粉末(和光純薬工業株式会社製)をエタノールにプレ分散後、ビーズミルにて解砕・分散し、平均粒子径120nmのヨウ化第一銅のスラリーを得た。これを固形分11質量%に調整した。
(C)アミン化合物等;
(C‐1)信越化学工業株式会社の3‐アミノプロピルトリエトキシシラン「KBE903(商品名)」。
(C‐2)ビッグケミー・ジャパン株式会社のアミン系分散剤「BYK-9076」(商品名)。ポリアミン構造を含有する高分子量共重合体のアルキルアンモニウム塩。アミン価44mgKOH/g。固形分100質量%。
(C‐3)ビッグケミー・ジャパン株式会社のアミン系分散剤「DISPER BYK-145」(商品名)。ポリアミン構造を含有する高分子量共重合体のリン酸エステル塩。アミン価71mgKOH/g。固形分100質量%。
(C‐4)信越化学工業株式会社のN‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン「KBM602(商品名)」。
(C‐5)信越化学工業株式会社のN‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン「KBM603(商品名)」。
(C‐6)信越化学工業株式会社のビニルトリメトキシシラン「KBM1003(商品名)」。
(C‐7)信越化学工業株式会社の3‐メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン「KBM502(商品名)」。
(D)低屈折率粒子:
(D‐1)日揮触媒化成株式会社の中空シリカの分散液「THRULYA4320(商品名)」。分散液中の中空シリカの量は20質量%。中空シリカの平均粒子径は60nm。
(E)任意成分:
(E‐1)東亜合成株式会社のアクリル・シリコーン共重合体系汚染性防止剤「サイマックUS270(商品名)」。固形分100質量%。
(F)溶剤:
(F‐1)2‐メトキシエタノール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、メチルイソブチルケトンの体積比2:1:1の混合溶剤。
(L)抗ウィルス性塗膜形成用塗料:
(L‐1)上記成分(A‐1)3333質量部(固形分換算100質量部)、上記成分(B‐1)136質量部(固形分11質量部)、上記成分(C‐1)6質量部、上記成分(D‐1)200質量部(固形分換算40質量部)、上記成分(E‐1)4.2質量部、及び上記成分(F‐1)4400質量部を混合攪拌し、抗ウィルス性塗膜形成用塗料(L‐1)を得た。
(L‐2)~(L‐8):塗料の配合を表1に示すように変更したこと以外は、上記(L‐1)と同様にして抗ウィルス性塗膜形成用塗料(L‐2)~(L‐8)を得た。
なお表に記載した抗ウィルス性塗膜形成用塗料の各成分の配合部数は、溶剤(上記成分(F‐1))以外の成分については固形分換算の値である。
例1
東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー(商品名)」の片面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記(L‐1)を、硬化後の厚みが0.1μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化して硬化塗膜を形成し、積層フィルムを得た。上記試験(イ)~(ハ)を行った。結果を表1に示す。
例2~8
抗ウィルス性塗膜形成用塗料として、上記(L‐1)に替わりに表1に示す塗料を用いたこと以外は、例1と同様にして積層フィルムを得た。上記試験(イ)~(ハ)を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022059141000002
本発明の塗料を用いて形成した塗膜(硬化塗膜)は、良好な抗ウィルス性を有していた。また本発明の好ましい塗料を用いて形成した塗膜(硬化塗膜)を有する積層フィルムは、透明性も良好であった。
高屈折率層形成用塗料の調製に使用した原材料
(H1‐1)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐954(商品名)」、固形分60質量%、官能基数6。
(H2‐1)CIKナノテック株式会社の酸化ジルコニウムのメチルイソブチルケトン分散液「ZRMIBK15WT%‐P01(商品名)」。分散液中の酸化ジルコニウムの量は15質量%。酸化ジルコニウムの平均粒子径は30nm。
(H3‐1)IGM Resins社のα‐ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン)「Omnirad 184(商品名)」。
(H)高屈折率層形成用塗料:
(H‐1)上記成分(H1‐1)167質量部(固形分換算100質量部)、上記成分(H2‐1)600質量部(酸化ジルコニウム量換算90質量部)、及び上記成分(H3‐1)3質量部を混合攪拌し、高屈折率層形成用塗料(H‐1)を得た。
例H1
東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー(商品名)」の片面の上に、上記(H‐1)をフィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、硬化後の厚みが1.7μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥した後、紫外線を照射して硬化塗膜(高屈折率層)を形成した。続いて、該高屈折率層の面の上に、上記(L‐1)を、硬化後の厚みが0.1μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化して硬化塗膜を形成し、積層フィルムを得た。上記試験(イ)~(ハ)を行った。結果は、抗ウィルス性a1.39、抗ウィルス性b≧4.12、全光線透過率92%、ヘーズ1.9%、最低反射率0.30%であった。
本発明の好ましい塗料を用いて形成された低屈折率層、高屈折率層、及びフィルム基材の層をこの順に有する積層フィルムは、良好な抗ウィルス性を有し、透明性、反射防止性に優れることが分かった。
本発明の積層フィルムの実施形態の1例を示す断面の概念図である。
1:低屈折率層
2:高屈折率層
3:第1のアンカーコート
4:透明樹脂フィルムの層
5:第2のアンカーコート
6:ハードコート

Claims (8)

  1. (A)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部;
    (B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物 0.1~150質量部;及び、
    (C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物 0.01~50質量部;
    を含む塗料。
  2. 更に、(D)低屈折率粒子 10~200質量部;を含む請求項1に記載の塗料。
  3. 上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が、ポリアミン又はポリアミン構造を有するアミン化合物を含む請求項1又は2に記載の塗料。
  4. 上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
    が、加水分解性シリル基を有するアミン化合物を含む請求項1~3の何れか1項に記載の塗料。
  5. 上記成分(C)アミン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物
    が、アミノ基を有するシランカップリング剤を含む請求項1~4の何れか1項に記載の塗料。
  6. 上記成分(B)一価の銅化合物、及びヨウ素と周期律表の第4周期から第6周期かつ8族から15族の元素とからなるヨウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が、ヨウ化第一銅を含む請求項1~5の何れか1項に記載の塗料。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の塗料を用いて形成される塗膜を含み、ここで該塗膜が少なくとも一方の表面を構成する積層フィルム。
  8. 物品であって、請求項1~6の何れか1項に記載の塗料を用いて形成される塗膜を含み、ここで該塗膜が上記物品の表面の少なくとも一部を構成する、上記物品。

JP2020166689A 2020-10-01 2020-10-01 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム Pending JP2022059141A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020166689A JP2022059141A (ja) 2020-10-01 2020-10-01 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020166689A JP2022059141A (ja) 2020-10-01 2020-10-01 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022059141A true JP2022059141A (ja) 2022-04-13

Family

ID=81124041

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020166689A Pending JP2022059141A (ja) 2020-10-01 2020-10-01 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022059141A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107615103B (zh) 层叠薄膜及层叠薄膜的制造方法
CN104335078B (zh) 纳米结构化材料及其制造方法
JP2007121993A (ja) 反射防止積層体及びその製造方法
US20160117004A1 (en) Functional single-layer film and display device having the same
JP2017533291A (ja) ハードコート及び同製品の製造方法
JP2012043693A (ja) 色素増感太陽電池用透明導電フィルム
CN109415577A (zh) 包含用α-羟基酸或盐官能化的纳米粒子的组合物、制品和方法
US20220145029A1 (en) Transparent hydrophilic ultraviolet-absorbing laminate and coating agent
CN112415638B (zh) 层叠薄膜的制造方法
JP2007055207A (ja) 光触媒担持構造体
JP5691279B2 (ja) 透明導電性フィルム
WO2020203069A1 (ja) 抗ウイルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム
TWI644799B (zh) 阻障膜及其製備方法
JP5162813B2 (ja) 反射防止材およびその製造方法
JP2022059141A (ja) 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム
WO2021256560A1 (ja) 抗菌フィルム、タッチパネル、抗菌フィルムの製造方法
WO2015129616A1 (ja) 水性組成物、その製造方法、ハードコートフィルム、積層フィルム、透明導電性フィルム、およびタッチパネル
JP2010113175A (ja) 積層体
JP2022063859A (ja) 反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム
TWI838494B (zh) 抗病毒塗膜形成用塗料、積層膜以及物品
WO2005037901A1 (ja) 防汚膜被覆樹脂物品の製造方法
JP2004002563A (ja) 透明紫外線遮蔽塗膜
US20220033601A1 (en) Transparent polymer hardcoats with antimicrobial efficacy
CN113528007A (zh) 硬涂剂和层叠膜
JP7022603B2 (ja) 防虫機能を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びハードコート積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230907