JP2022063859A - 反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2022063859A
JP2022063859A JP2021165843A JP2021165843A JP2022063859A JP 2022063859 A JP2022063859 A JP 2022063859A JP 2021165843 A JP2021165843 A JP 2021165843A JP 2021165843 A JP2021165843 A JP 2021165843A JP 2022063859 A JP2022063859 A JP 2022063859A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
mass
refractive index
layer
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021165843A
Other languages
English (en)
Inventor
岩倉和彦
Kazuhiko IWAKURA
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riken Technos Corp
Original Assignee
Riken Technos Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Riken Technos Corp filed Critical Riken Technos Corp
Publication of JP2022063859A publication Critical patent/JP2022063859A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合物をバインダーとする塗料を用いて形成される低屈折率層を有し、窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性を有する反射防止フィルムを提供すること。【解決手段】上記ハードコート層を(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物;及び、(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレート;を含む塗料を用いて形成する。上記塗料は好ましくは更に(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物を含む。上記塗料は実施形態の1つにおいて、(B2)高屈折率粒子を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルムに関する。更に詳しくは、窓ガラス等のガラスの屋外側に貼合して用いる反射防止フィルム(以下、「ガラス外貼り用反射防止フィルム」と略すことがある。)に関する。
従来から、建築物の窓ガラス、自動車のウィンドウ、及び画像表示装置のディスプレイ面板などのガラスの保護、及び飛散防止などを目的として、樹脂フィルムがガラスに貼られて用いられている。従来、建築物の窓ガラスに樹脂フィルムを貼る場合、耐候性と耐擦傷性の観点から、更には樹脂フィルムを窓ガラスの屋外側に貼ると、太陽光の直射を受けたとき、その反射光により目が疲労するという問題があることから、屋内側に貼るのが一般的である。しかし、屋内側に貼る場合には、屋内に作業スペースが必要になる;十分な作業スペースを確保できず、作業に制約を受けることがある;などの問題がある。そこで窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性を有し、かつ反射防止機能を有する樹脂フィルムが求められている。自動車のウィンドウに樹脂フィルムを貼る場合についても、同様の観点から、ウィンドウの車外側に貼ることのできる耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性を有し、かつ反射防止機能を有する樹脂フィルムが求められている。また近年、画像表示装置はカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される用途に展開されている。一方、画像表示装置を太陽光の直射を受ける場所で使用されたとき、コントラストが低下し画像が鮮明に見えなくなるという不都合が指摘されている。そこで画像表示装置のディスプレイ面板に樹脂フィルムを貼る場合についても、同様の観点から、耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性を有し、かつ反射防止機能を有する樹脂フィルムが求められている。
そして、反射防止機能を有する樹脂フィルム(反射防止フィルム)としては、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材を有するもの、あるいは低屈折率層、高屈折率層、及びフィルム基材を有するものが広く用いられている。本発明者は、ガラス外貼り用反射防止フィルムを開発するにあたり、低屈折率層の形成用塗料としては、耐候性の観点から、加水分解性基を有するシラン化合をバインダーとする塗料が好適であろうと考えた。またハードコート層や高屈折率層の形成用塗料としては、硬度が高く、硬化の所要時間が短く、生産性が高いことから、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料が好適であろうと考えた。しかし、本発明者が実験したところ、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層や高屈折率層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合をバインダーとする塗料を用いて低屈折率層を形成した場合、耐候性が不十分であり、塗膜剥がれが生じ易いという問題のあることが分かった。また塗膜剥がれは、ハードコート層や高屈折率層の劣化に起因すると考察した。
特開2019‐164255号公報
本発明の課題は、窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性を有する反射防止フィルムを提供することにある。本発明の更なる課題は、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層や高屈折率層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合物をバインダーとする塗料を用いて形成される低屈折率層を有し、窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性を有する反射防止フィルムを提供することにある。本発明の別の更なる課題は、窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性と高い透明性を有する反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の反射防止フィルムにより、上記課題を達成できることを見出した。
即ち、本発明の諸態様は以下の通りである。
[1].
低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有し;上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む塗料を用いて形成され;ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;反射防止フィルム。
[2].
上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、30~99質量%である;[1]項に記載の反射防止フィルム。
[3].
上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線から求められるポリスチレン換算の数平均分子量1000当たり1~10個である;[1]項又は[2]項に記載の反射防止フィルム。
[4].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;[1]~[3]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[5].
低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有し;上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含む塗料を用いて形成され;ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;反射防止フィルム。
[6].
上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、1~40質量部であり;上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~40質量%である;[5]項に記載の反射防止フィルム。
[7].
上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~70質量%である;[1]~[6]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[8].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物を含む;[1]~[7]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[9].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレートを含む;[1]~[8]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[10].
低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有し;上記アンカーコートは、(C1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む塗料を用いて形成される;[1]~[9]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[11].
上記ハードコート層が、更に(B2)高屈折率粒子を含む[1]~[10]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[12].
上記低屈折率層が、更に抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を含む[1]~[11]項の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
[13].
[1]~[12]項の何れか1項に記載の反射防止フィルムを含む物品。
本発明の反射防止フィルムは耐候性に優れる。本発明の反射防止フィルムは、好ましい実施形態の1つにおいて、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層や高屈折率層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合物をバインダーとする塗料を用いて形成される低屈折率層を有するため、生産性が高い。また耐候性に優れている。本発明の反射防止フィルムは、他の好ましい実施形態の1つにおいて、耐候性と透明性に優れる。そのため、本発明の反射防止フィルムは、ガラス外貼り用反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
本明細書において数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。また数値範囲に係る「~」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10~90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。更に、数値範囲の上限と下限とは、任意に組み合わせることができるものとし、任意に組み合わせた実施形態が読み取れるものとする。例えば、ある特性の数値範囲に係る「通常10%以上、好ましくは20%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下である。」や「通常10~40%、好ましくは20~30%である。」という記載から、そのある特性の数値範囲は、一実施形態において10~40%、20~30%、10~30%、又は20~40%であることが読み取れるものとする。
実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
1.反射防止フィルム:
本発明の反射防止フィルムは低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有する。本発明の反射防止フィルムは、実施形態の1つにおいて、低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有する。上記ハードコート層は、好ましい実施形態の1つにおいて、高い屈折率を有するハードコート層(以下、「高屈折率層」という。)であってよい。本明細書において、「ハードコート層」という場合は、別段に指定されていない限り、「高屈折率層(高い屈折率を有するハードコート層)」を含むものとする。以下、各層について説明する。
(A)低屈折率層:
本発明の反射防止フィルムは低屈折率層を有し、該低屈折率層が、通常、実使用状態において太陽光又は外光が入射する側の表面を形成する。ここで実使用状態とは、反射防止フィルムが、建築物の窓ガラス、自動車のウィンドウ、又は画像表示装置のディスプレイ面板などのガラスに貼合され、該ガラスの保護、及び飛散防止などに用いられている状態をいう。
上記低屈折率層の屈折率(RL)は、反射防止フィルムに良好な反射防止機能を発現させる観点から、通常1.5以下、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.4以下である。一方、反射防止フィルムの透明性の観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上、更に好ましくは1.3以上であってよい。
上記屈折率(RL)は、JIS K7142:2008のA法に従い、アッベ屈折率計を使用し、ナトリウムD線(波長589.3nm)、接触液は1‐ブロモナフタレン、サンプルのサンプル作成時に二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム側であった面がプリズムに接する表面、サンプルのバーコーター操作方向が試験片の長さ方向となる条件で測定される値である。サンプルには、上記低屈折率層の形成に用いる塗料を、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの面の上に、硬化後厚みが2μmとなるように、バーコーターを使用して塗布し、乾燥・硬化して得た塗膜を、該二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムから剥離して用いる。
上記低屈折率層の形成に用いる塗料としては、反射防止フィルムの耐候性の観点から、加水分解性基を有するシラン化合物をバインダーとする塗料が好ましい。以下、加水分解性基を有するシラン化合物をバインダーとする低屈折率層形成用塗料(以下、「塗料(A)」と略すことがある)について説明する。
上記塗料(A)は、(A1)加水分解性基を有するシラン化合物;を含み、屈折率(RL)が上述の範囲の低屈折率層を形成することのできる塗料である。上記塗料(A)は、典型的な実施形態の1つにおいて、(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む。
(A1)加水分解性基を有するシラン化合物:
上記成分(A1)は熱などにより縮合、硬化してシリコーン骨格(シロキサン結合(Si‐O‐Si))を主骨格とする重合体となり、塗膜(硬化塗膜)を形成する働きをする。また上記成分(A1)加水分解性基を有するシラン化合物は、バインダーとして上記成分(A2)低屈折率粒子を包含する働きをする。
上記成分(A1)の有する加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;及び、クロロ基などのハロゲン基をあげることができる。上記成分(A1)の有する加水分解性基としては、これらの中で、加水分解反応の制御性の観点から、好ましくはアルコキシ基であってよい。
上記成分(A1)としては、例えば、加水分解性有機珪素化合物、該化合物の(部分)加水分解物、及び、これらの(部分)縮合物などをあげることができる。ここで、(部分)加水分解物とは、部分加水分解物、加水分解物、又は部分加水分解物と加水分解物の混合物を意味する。ここで、(部分)縮合物とは、部分縮合物、縮合物、又は部分縮合物と縮合物の混合物を意味する。
上記加水分解性有機珪素化合物等の加水分解又は部分加水分解は、公知の方法で行うことができる。上記加水分解性有機珪素化合物等を加水分解又は部分加水分解する方法としては、例えば、上記加水分解性有機珪素化合物等とジアセトンアルコールなどの有機溶剤との混合物に、水を所定量、典型的には上記加水分解性有機珪素化合物等の有する加水分解性基1モルに対して0.1~2モル程度の量を混合した後、所望により触媒、例えば、リン酸、酢酸、及び蟻酸などの酸又はアルカリなどを添加して、所定の温度、典型的には室温(23℃)~100℃程度で、攪拌しながら反応させる方法をあげることができる。
上記加水分解性有機珪素化合物等の縮合又は部分縮合は、公知の方法で行うことができる。上記加水分解性有機珪素化合物等を縮合又は部分縮合する方法としては、例えば、上述の方法により上記加水分解性有機珪素化合物等の加水分解又は部分加水分解を行い、(部分)加水分解物を得た後、所望によりシラノール縮合触媒、例えば、金属のキレート化合物、有機酸金属塩、及び加水分解性基を有する金属化合物などを添加して、所定の温度、典型的には50℃~上記有機溶剤の沸点以下の温度程度で、攪拌しながら反応させる方法をあげることができる。
上記加水分解性有機珪素化合物としては、例えば、アルコキシモノシラン化合物、該アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物、該ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、及び、これらの1種又は2種以上のオリゴマーやプレポリマーなどのアルコキシシラン化合物をあげることができる。
上記アルコキシモノシラン化合物としては、例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、及びジアルキルジアルコキシシランなどをあげることができる。上記テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びテトライソプロポキシシランなどをあげることができる。上記アルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n‐プロピルトリメトキシシラン、n‐プロピルトリエトキシシラン、n‐ヘキシルトリメトキシシラン、n‐ヘキシルトリエトキシシラン、n‐オクチルトリエトキシシラン、及びn‐デシルトリメトキシシランなどをあげることができる。上記ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランなどをあげることができる。
上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、下記一般式(1)の構造を有する化合物をあげることができる。
R-SiX (1)
式(1)中、Xはアルコキシ基である。Rは1個以上、好ましくは3個以上の水素原子が弗素原子に置換されたアルキル基である。Rの有する炭素原子数は、通常1~20個、好ましくは3~12個であってよい。Rは、好ましい実施形態の1つにおいて、下記一般式(1‐1)の構造を有するものであってよい。
CF(CF)n(CH- (1‐1)
式(1‐1)中、nは通常0~17、好ましくは0~9の整数である。
上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、3,3,3‐トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3‐トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5‐ヘプタフルオロペンチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,5‐ヘプタフルオロペンチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H‐ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,4,4,4‐テトラフルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)ブチルトリメトキシシラン、及び3,4,4,4‐テトラフルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)ブチルトリエトキシシランなどをあげることができる。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物としては、例えば、下記一般式(2)の構造を有する化合物をあげることができる。
R’3-n-SiXn-R-SiX’m-R”3-m (2)
式(2)中、Rは炭化水素基である。該炭化水素基は直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよく、芳香環、脂肪族環状基、エーテル基、エステル基、窒素原子、又は酸素原子を含んでいてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、通常1~20個、好ましくは2~12個であってよい。X、X’はそれぞれアルコキシ基である。R’、R”はそれぞれアルキル基である。n、mはそれぞれ1~3の整数である。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物としては、例えば、1,2‐ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2‐ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4‐ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1‐ジメチルジメトキシシリル‐4‐トリメトキシシリルブタン、1,4‐ビス(ジメチルジメトキシシリル)ブタン、1,5‐ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,6‐ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6‐ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,7‐ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,8‐ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,9‐ビス(トリメトキシシリル)ノナン、及び1,10‐ビス(トリメトキシシリル)デカンなどのビス(アルコキシシリル)アルカン;及び、ビス[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]アミンなどのアミン基を有するビス(アルコキシシリル)アルカン;などをあげることができる。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、下記一般式(3)の構造を有する化合物をあげることができる。
R’3-n-SiXn-R-SiX’m-R”3-m (3)
式(3)中、X、X’はそれぞれアルコキシ基である。R’、R”はそれぞれアルキル基である。n、mはそれぞれ1~3の整数である。Rは1個以上、好ましくは2個以上の水素原子が弗素原子に置換された炭化水素基である。該炭化水素基は直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよく、芳香環、脂肪族環状基、エーテル基、エステル基、窒素原子、又は酸素原子を含んでいてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、通常1~20個、好ましくは2~12個であってよい。Rは、好ましい実施形態の1つにおいて、下記一般式(3‐1)の構造を有するものであってよい
-(CH-(CF)n-(CH- (3‐1)
式(3‐1)中、nは自然数、好ましくは1~20の自然数、より好ましくは2~12の自然数である。
上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物としては、例えば、3,3,4,4‐テトラフルオロ‐1,6‐ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3,3,4,4,5,5,6,6‐オクタフルオロ‐1,8‐ビス(トリメトキシシリル)オクタン、3,3,4,4,5,5,6,6‐オクタフルオロ‐1,8‐ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H‐ドデカフルオロ‐1,10‐ビス(トリメトキシシリル)デカン、及び1H,1H,2H,2H,11H,11H,12H,12H‐ヘキサデカフルオロ‐1,12‐ビス(トリメトキシシリル)ドデカンなどをあげることができる。
上記成分(A1)としては、ベース樹脂の屈折率も低くして反射防止機能をより向上させる観点から、上記アルコキシモノシラン化合物中の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物、及び上記ビス(アルコキシシリル)アルキル化合物の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された化合物が好ましい。
上記成分(A1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(A2)低屈折率粒子:
上記成分(A2)低屈折率粒子は、上記塗料(A)を用いて形成される塗膜の屈折率を低くする働きをする粒子である。上記成分(A2)としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム、弗素樹脂、及びシリコーン樹脂などの低屈折率材料の粒子(中実粒子);並びに中空粒子;などをあげることができる。
上記中空粒子は、外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞(単孔)になっている粒子である。上記中空粒子は、多孔質又は空洞(単孔)の空孔中に空気(屈折率1.0)が含まれるため、塗膜の屈折率を低くする効果が大である。
上記中空粒子を構成する材料としては、上述の構造を形成されるものである限り、特に制限されない。上記中空粒子を構成する材料としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウム、弗素樹脂、及びシリコーン樹脂などの低屈折率材料をあげることができる。これらの中で、中空粒子を製造する際の生産性の観点から、シリカが好ましい。
上記成分(A2)の平均粒子径は、低屈折率層の厚み、及び低屈折率粒子を製造する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記成分(A2)の平均粒子径は、通常1~150nm、好ましくは5~100nm、より好ましくは10~80nm、更に好ましくは15~60nmであってよい。
本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計を使用して、レーザー回折・散乱法により測定される粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。上記レーザー回折・散乱式粒度分析計としては、例えば、日機装株式会社の「MT3200II(商品名)」などを使用することができる。
上記成分(A2)としては、これらの中で、中空粒子が好ましく、中空シリカ(シリカの中空粒子)がより好ましい。上記成分(A2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A2)の配合量は、上記成分(A2)の種類を勘案し、屈折率(RL)を上述の範囲にする観点から、適宜決定する。上記成分(A2)の配合量は、上記成分(A1)100質量部に対して、屈折率(RL)を上述の範囲にする観点から、通常10~200質量部、好ましくは20~100質量部、より好ましくは30~80質量部であってよい。
上記塗料(A)は、上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記溶剤の配合量は、上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点、及び上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成した後、該ウェット塗膜を乾燥するとともに上記溶剤を回収する工程の生産性の観点から、適宜決定する。上記溶剤の配合量は、上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、上記成分(A1)と上記成分(A2)の配合量の和を100質量部として、好ましくは600質量部以上、より好ましくは1200質量部以上、更に好ましくは1800質量部以上であってよい。一方、上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成した後、該ウェット塗膜を乾燥するとともに上記溶剤を回収する工程の生産性の観点から、好ましくは6000質量部以下、より好ましくは4000質量部以下、更に好ましくは3000質量部以下であってよい。
上記塗料(A)は、実施形態の1つにおいて、更に(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を含むものであってよい。上記成分(A3)は、上記低屈折率層に抗菌性、抗ウィルス性を付与する働きをする。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する化合物としては、例えば、銅化合物、銀化合物、錫化合物、モリブデン化合物、及び亜鉛化合物などの微粒子をあげることができる。上記銅化合物としては、例えば、塩化第一銅(CuCl)、臭化第一銅(CuBr)、及びヨウ化第一銅(CuI)等のハロゲン化第一銅、及びチオシアン酸第一銅(CuSCN)などの第一銅化合物;炭酸第二銅(CuCO)、酸化第二銅(CuO)、及び塩化第二銅(CuCl)などの第二銅化合物をあげることができる。上記銀化合物としては、例えば、ヨウ化第一銀(AgI)などハロゲン化銀化合物などをあげることができる。上記錫化合物としては、例えば、四ヨウ化錫(SnI)などのハロゲン化錫化合物などをあげることができる。上記モリブデン化合物としては、例えば、酸化モリブデン(MoO)、モリブデン・銀複合酸化物、モリブデン・亜鉛複合酸化物、及びモリブデン・銅複合酸化物などの酸化モリブデン化合物などをあげることができる。上記亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)などの酸化亜鉛化合物などをあげることができる。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する化合物としてその他に、例えば、硫酸アルミニウムカリウム、銀・ナトリウム・水素・リン酸ジルコニウム、銀・マグネシウム・アルミニウム・リン酸ガラス(アメリカ食品医薬品局のFCN登録番号433)、銀・マグネシウム・カルシウム・リン酸・硼酸ガラス(アメリカ食品医薬品局のFCN登録番号432)、銀・亜鉛・マグネシウム・アルミニウム・カルシウム・ナトリウム・硼酸・リン酸ガラス(アメリカ食品医薬品局のFCN登録番号476)、銀・マグネシウム・ナトリウム・リン酸ガラス(アメリカ食品医薬品局のFCN登録番号434)、銀・マグネシウム・亜鉛・アルミニウム・カルシウム・ナトリウム・硼酸・リン酸ガラス(アメリカ食品医薬品局のFCN登録番号1981)、銀ゼオライト(CAS番号0130328‐18‐6)、銀銅ゼオライト(CAS番号0130328‐19‐7)、銀亜鉛ゼオライト(CAS番号0130328‐20‐0)、及び銅錫合金などの微粒子をあげることができる。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子の平均粒子径は、上記低屈折率層の厚み、上記低屈折率層を形成する際の生産性、及び透明性の観点から、通常1μm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは120nm以下であってよい。一方、上記成分(A3)の平均粒子径の下限は特にないが、上記抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を製造する際の生産性の観点から、通常1nm以上であってよい。
本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計を使用して、レーザー回折・散乱法により測定される粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。上記レーザー回折・散乱式粒度分析計としては、例えば、日機装株式会社の「MT3200II(商品名)」などを使用することができる。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子としては、抗菌性、抗ウィルス性の観点、及び屈折率を所定範囲内に維持する観点から、これらの中でハロゲン化第一銅化合物、ハロゲン化銀化合物が好ましい。上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子の配合量は、その種類を勘案し、機能を確実に発現させる観点、及びその配合量が過剰なことに起因するトラブルを抑制する観点から適宜選択する。
上記成分(A3)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子の配合量は、上記成分(A1)加水分解性基を有するシラン化合物 100質量部に対して、抗菌性又は抗ウィルス性を確実に発現させる観点から、通常1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であってよい。一方、上記成分(A3)の配合量は、塗料の塗工性、及び塗膜の透明性を保持する観点、並びに屈折率を所定範囲内に維持する観点から、通常100質量部以下、好ましくは60質量部以下、より好ましくは30質量部以下であってよい。
上記塗料(A)は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(A1)~(A3)以外の任意成分を更に含むものであってよい。上記任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する有機化合物、及び染料などをあげることができる。上記任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記任意成分の配合量は、上記成分(A1)100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
上記塗料(A)は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記低屈折率層を上記ハードコート層の面の上に形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記ウェブ塗布方法としては、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、例えば、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートなどの方法が好ましい。これらの方法の中で、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートが好ましく、塗膜の厚みを均一なものにする観点から、ロッドコートがより好ましく、ロッドとしてメイヤーバーを用いるロッドコート(以下、「メイヤーバー方式」と略すことがある)が更に好ましい。
上記低屈折率層の厚みは、所望の反射率、及び低屈折率層を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記低屈折率層の厚みは、反射率低減の観点から、通常300nm以下、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下であってよい。一方、低屈折率層を形成する際の生産性の観点から、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは40nm以上、更に好ましくは60nm以上であってよい。
(B)ハードコート層:
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層を有する。該ハードコート層は、反射防止フィルムの表面硬度を高める働きをする。上記ハードコート層は、好ましい実施形態の1つにおいて、高屈折率層であってよい。該高屈折率層の屈折率(RH)は、上記低屈折率層の屈折率(RL)との屈折率差を大きくし、反射防止フィルムに良好な反射防止機能を発現させる観点から、通常1.55以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.65以上であってよい。一方、反射防止フィルムの透明性の観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.9以下、更に好ましくは1.8以下であってよい。
上記屈折率(RH)は、JIS K7142:2008のA法に従い、アッベ屈折率計を使用し、ナトリウムD線(波長589.3nm)、接触液は1‐ブロモナフタレン、サンプルのサンプル作成時に二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム側であった面がプリズムに接する表面、サンプルのバーコーター操作方向が試験片の長さ方向となる条件で測定される値である。サンプルには、上記高屈折率層の形成に用いる塗料を、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの面の上に、硬化後厚みが2μmとなるように、バーコーターを使用して塗布し、乾燥・硬化して得た塗膜を、該二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムから剥離して用いる。
上記ハードコート層の形成に用いる塗料としては、硬度が高く、硬化の所要時間が短く、生産性が高いことから、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料が好ましい。以下、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとするハードコート層形成用塗料(以下、「塗料(B)」と略すことがある)について説明する。
上記塗料(B)は、(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含み、塗膜(硬化塗膜)を形成することのできる塗料である。上記塗料(B)は、好ましい実施形態の1つにおいて、(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含むものであってよい。
上記ハードコート層が高屈折率層である場合、上記塗料(B)は、(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含み、屈折率(RH)が上述の範囲の高屈折率層を形成することのできる塗料である。上記塗料(B)は、好ましい実施形態の1つにおいて、(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び(B2)高屈折率粒子を含むものであってよい。上記塗料(B)は、好ましい実施形態の他の1つにおいて、(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、(B2)高屈折率粒子、及び(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含むものであってよい。
(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂:
上記成分(B1)は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合、硬化して、塗膜(硬化塗膜)を形成する働きをする。また上記ハードコート層が高屈折率層である場合、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、バインダーとして上記成分(B2)高屈折率粒子を包含する働きをする。
上記成分(B1)は、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合をバインダーとする塗料を用いて低屈折率層を形成する実施形態における、低屈折率層の割れを抑制、防止する観点から、好ましくは(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物を含む。上記成分(B1)は、好ましい実施形態の1つにおいて、(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含むものであってよい。上記塗料(B)が上記成分(B1)、上記成分(B2)、及び上記成分(B3)を含むものである場合、上記成分(B1)は、好ましい実施形態の1つにおいて、(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含むものであってよい。
(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物:
上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物は、主鎖がシロキサン結合(Si‐O‐Si)からなり、単位組成式「(RSiO1.5)n」で表される骨格を有し、光重合性官能基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。ここでRは有機基である。上記光重合性官能基は、活性エネルギー線の照射により重合する官能基である。上記光重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、チオール基、エポキシ基、及び、オキセタニル基などの環状エーテル基などをあげることができる。
上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物は、耐候性を向上させる(特に上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性低下を抑制する)働きをする。
上記成分(B1‐a)としては、例えば、国際公開第2010/024119号、国際公開第2010/044321号、及び国際公開第2018/131565号などに記載されているものをあげることができる。上記成分(B1‐a)の市販例としては、東亜合成株式会社の「MAC‐SQ HDM(商品名)」(シルセスオキサン骨格とメタクリロイル基を有する化合物)、及び「OX‐SQ HDX(商品名)」(シルセスオキサン骨格とオキセタニル基を有する化合物)などをあげることができる。上記成分(B1‐a)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B1‐a)の配合量は、耐候性を向上させる観点、特に上記低屈折率層と上記ハードコートとの密着性低下を抑制する観点から適宜決定する。上記成分(B1‐a)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、耐候性を向上させる観点、特に上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性低下を抑制する観点から、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であってよい。一方、塗膜の硬化性の観点から、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、最も好ましくは25質量%以下であってよい。
(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレート:
上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン構造(-NH-CO-O-)を有する化合物、又はその誘導体であって1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。本明細書において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基、又はメタクリロイル基を意味する。
上記成分(B1‐b)は、耐候性を向上させる(特に上記低屈折率層に微細クラックが生じるのを低減、防止する)働きをする。
理論に拘束される意図はないが、活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層の面の上に、加水分解性基を有するシラン化合をバインダーとする塗料を用いて低屈折率層を形成した場合、耐候性が不十分であり、塗膜の剥がれが生じ易いのは、ハードコート層の劣化に起因すると考察している。もともと活性エネルギー線硬化性樹脂をバインダーとする塗料を用いて形成されるハードコート層と加水分解性基を有するシラン化合をバインダーとする塗料を用いて形成される低屈折率層とでは運動性に差があり、両者の間には応力がかかり易い。ここでハードコート層が劣化することにより、ハードコート層の運動性は更に低下し、低屈折率層の運動性との差が更に大きくなり、両者の間には強い応力がかかることになる。その結果、低屈折率層に微細クラックが生じたり、低屈折率層とハードコート層との密着性ないしは層間強度が低下したりして、塗膜の剥がれが生じる。
そこで、本発明では、ウレタン構造を導入するなどの手法により、上記低屈折率層と上記ハードコート層との運動性の差を小さくすることにより、両者の間にかかる応力を抑制するとともに、上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物を用いることにより、上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性ないしは層間強度の低下を抑制し、耐候性の問題を解決したものである。
上記成分(B1‐b)は、上述の特徴を有するものである限り、特に限定されない。上記成分(B1‐b)は、典型的には、1分子中に2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物、ポリオール化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて製造されるもの、即ちこれらの化合物に由来する構成単位を含むものであってよい。本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート、又はメタクリレートを意味する。
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンビス‐4‐シクロヘキシルイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネートなどの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びイソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のトリメチロールプロパンアダクト体であって、1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のイソシアヌレート体であって、1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のビウレット体であって、1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;並びに、これらのブロック型イソシアネートなどのウレタン架橋剤などをあげることができる。
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールなどをあげることができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエチレンオキサイド、及びポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体;エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体;2価フェノール化合物とポリオキシアルキレングリコールとの共重合体;並びに、2価フェノールと炭素数2~4のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイドなど)の1種以上との共重合体;などをあげることができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、及びポリカプロラクトンなどをあげることができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリ(ブタンジオールカーボネート)、ポリ(ヘキサンジオールカーボネート)、及びポリ(ノナンジオールカーボネート)などをあげることができる。
上記ポリオール化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6‐ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び2‐ヒドロキシ‐3‐(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコール系(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのグリセリン系(メタ)アクリレート;脂肪酸変性‐グリシジル(メタ)アクリレートなどの変性グリシジル系(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐原子含有(メタ)アクリレート;2‐(メタ)アクリロイロキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレートなどのエステル又はエステル誘導体の(メタ)アクリル酸付加物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート;並びに、カプロラクトン変性2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのカプロラクトン変性(メタ)アクリレート;などをあげることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B1‐b)のゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略すことがある。)により測定される微分分子量分布曲線(以下、GPC曲線と略すことがある。)から求められるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、耐候性の観点から、通常500以上、好ましくは800以上であってよい。一方、塗工性の観点から、通常5万以下、好ましくは3万以下であってよい。
上記成分(B1‐b)のGPCにより測定されるGPC曲線から求められるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、耐候性の観点から、通常1000以上、好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上であってよい。一方、塗工性の観点から、通常10万以下、好ましくは5万以下であってよい。
上記成分(B1‐b)の有する(メタ)アクリロイル基の数は、GPC曲線から求められるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たり、塗料の硬化性の観点から、好ましくは1個以上、より好ましくは1.5個であってよい。一方、耐候性の観点から、好ましくは10個以下、より好ましくは6個以下、更に好ましくは4個以下、より更に好ましくは3個以下、最も好ましくは2.5個以下であってよい。
GPCの測定は、システムとして東ソー株式会社の高速液体クロマトグラフィーシステム「HLC-8320(商品名)」(デガッサー、送液ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン及びRI(示差屈折率)検出器を含むシステム。)を使用し;GPCカラムとしShodex社のGPCカラム「KF-806L(商品名)」を2本、「KF-802(商品名)」及び「KF-801(商品名)」を各1本の合計4本を、上流側からKF-806L、KF-806L、KF-802、及びKF-801の順に連結して使用し;和光純薬工業株式会社の高速液体クロマトグラフ用テトラヒドロフラン(安定剤不含)を移動相として;流速1.0ミリリットル/分、カラム温度40℃、試料濃度1ミリグラム/ミリリットル、及び試料注入量100マイクロリットルの条件で行うことができる。各保持容量における溶出量は、測定試料の屈折率の分子量依存性が無いと見なしてRI検出器の検出量から求めることができる。また保持容量からポリスチレン換算分子量への較正曲線は、市販の標準ポリスチレンを使用して作成することができる。その際に測定値が検量線において内挿されるように適宜選択すべきことに留意する。解析プログラムは、東ソー株式会社の「TOSOH HLC-8320GPC EcoSEC(商品名)」を使用することができる。なおGPCの理論及び測定の実際については、共立出版株式会社の「サイズ排除クロマトグラフィー 高分子の高速液体クロマトグラフィー、著者:森定雄、初版第1刷1991年12月10日」、株式会社オーム社の「合成高分子クロマトグラフィー、編者:大谷肇、寶崎達也(「崎」はつくりの上部が「立」)、初版第1刷2013年7月25日」などの参考書を参照することができる。
図2に実施例で用いた下記成分(B1‐b1)の微分分子量分布曲線を示す。相対的に低分子量の領域に2本のシャープなピークが認められ、そのピークトップ位置のポリスチレン換算分子量は、低分子量側から順に280、及び610である。これらの2本のピークよりも高分子量側に主要成分のピークが認められ、そのピークトップ位置のポリスチレン換算分子量は2400である。そして、全体の数平均分子量(Mn)は1000、質量平均分子量(Mw)は2900、Z平均分子量(Mz)は4700である。また1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は2個であるから、GPC曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数は2個である。
上記成分(B1‐b)の配合量は、耐候性を向上させる観点、特に上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性低下を抑制する観点と、上記低屈折率層に生じる微細クラックを低減、防止する観点から適宜決定する。上記成分(B1‐b)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、耐候性を向上させる観点、特に上記低屈折率層に生じる微細クラックを低減、防止する観点から、通常30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってよい。一方、耐候性を向上させる観点、特に上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性低下を抑制する観点から、通常99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下であってよい。
(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレート:
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、好ましくは更に上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含むものであってよい。上記成分(B1‐c)は、1分子中に1個以上の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートは、1分子中に1個以上の水酸基を有することから、上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性ないしは層間強度を高める働きをし、耐候性の向上に有用であると考察している。
また上記塗料(B)が上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含むものである場合、あるいは上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、上記成分(B2)高屈折率粒子、及び上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含むものである場合、上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートは、その水酸基と上記成分(B3)の有するイソシアネート基とでウレタン構造を形成し、耐候性を向上させる(特に上記低屈折率層に生じる微細クラックを低減、防止する)働きをすると考察している。
上記塗料(B)が、上記成分(B1)を含み、ここで上記成分(B1)が上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含む実施形態と、上記塗料(B)が、上記成分(B1)、及び上記成分(B3)を含み、ここで上記成分(B1)が上記成分(B1‐a)、及び上記成分(B1‐c)を含む実施形態とは、上記ハードコート層中に上記成分(B1‐a)に由来する構成単位を含み、かつウレタン構造を有するという点で、共通の又は対応する技術的特徴を有している。
上記塗料(B)が、上記成分(B1)、及び上記成分(B2)を含み、ここで上記成分(B1)が上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含む実施形態と、上記塗料(B)が、上記成分(B1)、上記成分(B2)、及び上記成分(B3)を含み、ここで上記成分(B1)が上記成分(B1‐a)、及び上記成分(B1‐c)を含む実施形態とは、上記高屈折率層中に上記成分(B1‐a)に由来する構成単位を含み、かつウレタン構造を有するという点で、共通の又は対応する技術的特徴を有している。
更に、上記アンカーコートを形成する実施形態にあっては、上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートは、上記アンカーコートとの密着性、特に上記アンカーコートの形成用塗料として、後述する実施例のように、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含む塗料を用いる場合における上記アンカーコートとの密着性を向上させる働きをする。
上記成分(B1‐c)としては、例えば、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6‐ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び2‐ヒドロキシ‐3‐(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコール系(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのグリセリン系(メタ)アクリレート;脂肪酸変性‐グリシジル(メタ)アクリレートなどの変性グリシジル系(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐原子含有(メタ)アクリレート;2‐(メタ)アクリロイロキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレートなどのエステル又はエステル誘導体の(メタ)アクリル酸付加物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート;並びに、カプロラクトン変性2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのカプロラクトン変性(メタ)アクリレート;などをあげることができる。
上記成分(B1‐c)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B1‐c)を用いる場合、その配合量は、その使用効果を確実に得る観点から適宜決定する。上記成分(B1‐c)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、その使用効果を確実に得る観点から、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であってよい。一方、塗膜の硬化性の観点から、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってよい。
(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物:
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、好ましくは更に上記成分(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物を含むものであってよい。上記成分(B1‐d)を含ませることにより、上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性ないしは層間強度を更に高めることができる。
理論に拘束される意図はないが、上記成分(B1‐d)を含ませることにより、上記低屈折率層と上記ハードコート層との密着性ないしは層間強度を更に高めることができる理由を以下のように考察している。上記塗料(B)に含ませる光重合開始剤としてラジカル発生剤を使用した場合、上記成分(B1‐d)はラジカル重合性基が反応することにより、重合して塗膜を形成する。一方、カチオン重合性基の多くは未反応のまま残る。そして、上記塗料(B)を用いて形成された硬化塗膜の面の上に、上記塗料(A)を用いてウェット塗膜を形成し、熱により硬化する際、残存したカチオン重合性基も反応することになる。その結果、上記低屈折率層の硬化反応と上記ハードコート層の硬化反応とが同時に起こることになり、両層間の密着性ないしは層間強度が更に向上する。
上記ラジカル重合性基としては、例えば、アクリロイル基、及びメタクリロイル基などをあげることができる。上記カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基などの環状エーテル基、及びビニルエーテル基などをあげることができる。
上記成分(B1‐d)としては、例えば、(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチル(メタ)アクリレート、及び2‐(2‐ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。
上記成分(B1‐d)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B1‐d)を用いる場合、その配合量は、その使用効果を確実に得る観点から適宜決定する。上記成分(B1‐d)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、その使用効果を確実に得る観点から、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であってよい。一方、塗膜の硬化性の観点から、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってよい。
(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレート:
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、好ましくは更に上記成分(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレートを含むものであってよい。上記成分(B1‐e)は、アルキル分岐、環状炭化水素基、又はエーテル基を有していてもよい脂肪族アルキルモノアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。上記脂肪族アルキルモノアルコール中の炭素数は、通常1~20個、好ましくは2~16個、より好ましくは3~12個であってよい。上記脂肪族アルキルモノアルコールは、好ましくは1級アルコールであってよい。
上記成分(B1‐e)は、上記ハードコート層の運動性を高め、ひいては耐候性を向上させる(特に上記低屈折率層に生じる微細クラックを低減、防止する)働きをする。
上記成分(B1‐e)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、及びオクチル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。
上記成分(B1‐e)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B1‐e)を用いる場合、その配合量は、その使用効果を確実に得る観点から適宜決定する。上記成分(B1‐e)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、その使用効果を確実に得る観点から、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であってよい。一方、塗膜の硬化性の観点から、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってよい。
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(B1‐a)~(B1‐e)以外のその他の活性エネルギー線硬化性樹脂を含むものであってよい。上記成分(B1)中の上記成分(B1‐a)~(B1‐e)の量の和は、上記成分(B1)中の全成分の量の総和を100質量%として、通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98~100質量%であってよい。
(B2)高屈折率粒子:
上記成分(B2)高屈折率粒子は、上記塗料(B)を用いて形成される塗膜の屈折率を高くする働きをする粒子である。
上記成分(B2)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物;及び、これらの金属酸化物にアンチモン、及び錫などの異種元素をドープした複合酸化物;などをあげることができる。
上記成分(B2)として、高屈折率粒子の表面をビニルシラン、及びアミノシランなどのシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びアリル基などのエチレン性不飽和結合基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;並びに脂肪酸、及び脂肪酸金属塩などの表面処理剤;などにより処理したものを用いることは好ましい。上記成分(B2)と上記成分(B1)との相互作用が強められ、塗膜の耐候性を向上させることができる。これらの中で表面処理剤としては、反応性官能基を有する有機化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を有する有機化合物がより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する有機化合物が更に好ましい。
上記成分(B2)の平均粒子径は、塗膜の透明性を保持する観点、及び高屈折率粒子を製造する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記成分(B2)の平均粒子径は、通常1~300nm、好ましくは5~200nm、より好ましくは10~150nm、更に好ましくは15~100nmであってよい。平均粒子径の測定方法、定義については上記成分(A2)低屈折率粒子の説明において上述した。
上記成分(B2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B2)を用いる場合、その配合量は、上記成分(B2)の種類を勘案し、屈折率(RH)を上述の範囲にする観点から、適宜決定する。上記成分(B2)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、屈折率(RH)を上述の範囲にする観点から、通常10~300質量部、好ましくは30~200質量部、より好ましくは45~150質量部、更に好ましくは60~120質量部であってよい。
(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物:
上記塗料(B)は、更に上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物を含むものであってよい。上記成分(B3)は上記成分(B1)の硬化性を高める働きをする。また上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂として上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む実施形態において、上記成分(B1‐c)の有する水酸基と上記成分(B3)のイソシアネート基とでウレタン構造を形成することにより、耐候性を向上させる(特に上記低屈折率層に生じる微細クラックを低減、防止する)働きをする。
上記成分(B3)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチレンビス‐4‐シクロヘキシルイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネートなどの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びイソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のトリメチロールプロパンアダクト体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のイソシアヌレート体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のビウレット体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物;並びに、これらのブロック型イソシアネートなどのウレタン架橋剤などをあげることができる。
上記成分(B)としては、耐候性の観点から、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のトリメチロールプロパンアダクト体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のイソシアヌレート体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物、及び1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物のビウレット体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体であって1分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物がより好ましい。
理論に拘束される意図はないが、これらはヘキサメチレン鎖の先の互いに離れた位置にイソシアネート基が存在するという構造上の特徴があり、そのため架橋密度が適切なものとなり、耐候性に優れるものになると考察される。従って、同様にアルキル鎖の先の互いに離れた位置にイソシアネート基が存在するという構造上の特徴を有するものは、同様に好ましく用いることができると考えられる。
上記成分(B3)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B3)を用いる場合、その配合量は、上記成分(B3)の使用効果を確実に得る観点、及び上記成分(B3)中のイソシアネート基が塗膜中に未反応のまま残留しないようにする観点から適宜決定する。上記成分(B3)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、その使用効果を確実に得る観点から、通常1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であってよい。一方、イソシアネート基が塗膜中に未反応まま残留しないようにする観点から、通常40質量部以下、好ましくは30質量部以下であってよい。
(B4)光重合開始剤:
上記塗料(B)は、好ましくは更に(B4)光重合開始剤を含むものであってよい。上記成分(B4)光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりラジカルなどの活性種を発生する化合物である。上記成分(B4)はラジカルなどの活性種を発生することにより、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を重合、硬化させる働きをする。
上記成分(B4)としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル‐o‐ベンゾイルベンゾエート、4‐メチルベンゾフェノン、4、4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o‐ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(tert‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンジルメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンなどのアセトフェノン系化合物;α‐ヒドロキシアルキルフェノン、及びアセトフェノンジメチルケタールなどのアルキルフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、及び2‐アミルアントラキノンなどのアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4‐ジエチルチオキサントン、及び2、4‐ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6‐トリメチルベンゾイル‐ジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;ビイミダゾール化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;トリアジン系化合物;並びに、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。
上記成分(B4)としては、これらの中で塗膜を確実に硬化させる観点から、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物が好ましく、アセトフェノン系化合物、アルキルフェノン系化合物、及びアシルフォスフィンオキサイド系化合物がより好ましい。
上記成分(B4)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B4)を用いる場合、その配合量は、上記成分(B4)の使用効果を確実に得る観点、及び塗膜の色調の観点から適宜決定する。上記成分(B4)の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記成分(B4)の使用効果を確実に得る観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であってよい。一方、塗膜の色調の観点から、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下であってよい。
上記塗料(B)は、更に、シランカップリング剤を含むものであってよい。上記シランカップリング剤は、1分子中に1個以上の加水分解性基と1個以上の有機重合性官能基を有するシラン化合物である。上記高屈折率層と隣接する層との密着性ないしは層間強度を高めることができる。
上記加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;及び、クロロ基などのハロゲン基;などをあげることができる。上記有機重合性官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基、及びイソシアヌレート基などをあげることができる。上記シランカップリング剤は、これらの加水分解性基の1種又は2種以上とこれらの有機重合性官能基の1種又は2種以上を、それぞれ1分子中に1個又は2個以上含むものであってよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基を有するシランカップリング剤(ビニル基と加水分解性基を有するシラン化合物)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(エポキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、(メタ)アクリロキシ基(メタクリロキシ基又はアクリロキシ基)を有するシランカップリング剤((メタ)アクリロキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、アミノ基を有するシランカップリング剤(アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物)、メルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト基と加水分解性基を有するシラン化合物)、イソシアネート基を有するシランカップリング剤(イソシアネート基と加水分解性基を有するシラン化合物)、ウレイド基を有するシランカップリング剤(ウレイド基と加水分解性基を有するシラン化合物)、及びイソシアヌレート基を有するシランカップリング剤(イソシアヌレート基と加水分解性基を有するシラン化合物)などをあげることができる。
上記シランカップリング剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記シランカップリング剤を用いる場合、その配合量は、使用効果を確実に得る観点、及び塗料のポットライフの観点から適宜決定する。上記シランカップリング剤の配合量は、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記成分(B4)の使用効果を確実に得る観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であってよい。一方、塗料のポットライフの観点から、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下であってよい。
上記塗料(B)は、上記塗料(B)を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記塗料(B)は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(B1)~(B4)、上記溶剤、及び上記シランカップリング以外の任意成分を更に含むものであってよい。上記任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、及び染料などをあげることができる。上記任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記任意成分を用いる場合、その配合量は、上記成分(B1)100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
上記塗料(B)は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記塗料(B)を用い、上記ハードコート層を上記フィルム基材の面の上に形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記ウェブ塗布方法としては、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。これらの方法の中で、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートが好ましく、塗膜の厚みを均一なものにする観点から、ロッドコートがより好ましく、ロッドとしてメイヤーバーを用いるロッドコート(以下、「メイヤーバー方式」と略すことがある)が更に好ましい。
上記ハードコート層(本段落においては、高屈折率層である場合を除く)の厚みは、所望の表面硬度、及びハードコート層を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記ハードコート層の厚みは、表面硬度の観点から、通常1μm以上、好ましくは2μm以上であってよい。一方、反射防止フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であってよい。
上記高屈折率層の厚みは、所望の反射率、及び高屈折率層を形成する際の生産性を勘案して適宜決定する。上記高屈折率層の厚みは、反射防止機能の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であってよい。一方、反射防止フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
(C)アンカーコート:
本発明の反射防止フィルムは、実施形態の1つにおいて、低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有するものであってよい。この実施形態において、通常は、上記アンカーコートの面の上に、上記ハードコート層が直接形成される。また実施形態の1つにおいて、上記フィルム基材の面の上に、上記アンカーコートが直接形成される。
本発明の反射防止フィルムは、好ましい実施形態の1つにおいて、低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有するものであってよい。この実施形態において、通常は、上記アンカーコートの面の上に、上記高屈折率層が直接形成される。また実施形態の1つにおいて、上記フィルム基材の面の上に、上記アンカーコートが直接形成される。
上記アンカーコートを形成するためのアンカーコート剤としては、特に制限されず、任意のアンカーコート剤を用いることができる。上記アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、及びポリエステルウレタン系のアンカーコート剤をあげることができる。
上記アンカーコート剤は、好ましい実施形態の1つにおいて、(C1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(樹脂又はオリゴマー)を含むものであってよい。該重合体中の1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、耐候性の観点から、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、より好ましくは7モル以上、更に好ましくは10モル%以上であってよい。一方、アンカーコート剤としての密着性改良効果の観点、及び硬化性の観点から、通常50モル%以下、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下であってよい。上記アンカーコート剤は、より好ましい実施形態の1つにおいて、上記成分(C1)を主として(固形分の通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上)含むものであってよい。このようなアンカーコート剤を用いることにより、反射防止フィルムの耐候性を更に高めることができる。
上記成分(C1)を含むアンカーコート剤としては、例えば、特開2018‐203989号公報の段落0074~0095に成分(P)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(樹脂又はオリゴマー)を含むアンカーコート剤として説明されているものをあげることができる。
上記アンカーコート剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記アンカーコート剤は、上記アンカーコート剤を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記アンカーコート剤には、本発明の目的に反しない限度において、所望に応じて、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、赤外線遮蔽剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、着色剤、無機粒子、及び有機粒子などの任意成分を1種又は2種以上含ませることができる。上記任意成分を用いる場合、その配合量は、アンカーコート剤のベース樹脂100質量部に対して、通常10質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
上記アンカーコート剤は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記アンカーコート剤を用いて上記アンカーコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記ウェブ塗布方法としては、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、例えば、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートなどの方法が好ましい。
上記アンカーコートの厚みは、上記ハードコート層や上記フィルム基材の層との密着性の観点、反射防止フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から適宜決定する。上記アンカーコートの厚みは、上記ハードコート層や上記フィルム基材の層との密着性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であってよい。上記アンカーコート剤が上記成分(C1)を含むものである場合には、耐候性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは2.5μm以上であってよい。一方、反射防止フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
(D)フィルム基材の層:
上記フィルム基材の層は、任意の樹脂フィルムからなり、その面の上に低屈折率層、ハードコート層、及びアンカーコートなどを形成するためのフィルム基材となる層である。
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂;芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン;などの樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
本発明の反射防止フィルムを透明性が必要とされる用途、例えば、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止などを目的とするガラス外貼り用フィルム;画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とする反射防止フィルムとして用いる場合には、上記樹脂フィルムとしては、高い透明性を有する透明樹脂フィルムが好ましく、高い透明性を有し、かつ着色のない透明樹脂フィルムがより好ましい。
上記透明樹脂フィルムの全光線透過率(JIS K7361-1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であってよい。全光線透過率は高い方が好ましい。
上記透明樹脂フィルムの黄色度指数(JIS K7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec-3700(商品名)」を用いて測定。)は、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2~-2、更に好ましくは1~-1であってよい。
上記透明樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレン・ノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリプロピレン、及び4-メチル-ペンテン-1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などのフィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
本発明の反射防止フィルムを透明性が必要とされない用途、例えば、ガラスの装飾用フィルムなどに用いる場合には、上記樹脂フィルムは着色されたものであってもよく、不透明なものであってもよく、透明なものであってもよい。
上記樹脂フィルムの厚みは、反射防止フィルムの用途、及び取扱性を勘案して適宜決定する。本発明の反射防止フィルムを高い剛性を必要としない用途に用いる場合には、取扱性の観点、及びガラス飛散防止フィルムとしての規格に適合させる観点から、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であってよい。一方、経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下であってよい。本発明の反射防止フィルムを高い剛性を必要とする用途に用いる場合には、通常200μm以上、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上であってよい。一方、物品の薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下であってよい。
本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層、ハードコート層(高屈折率層)、アンカーコート、及びフィルム基材の層以外の任意の層を更に有するものであってよい。本発明の反射防止フィルムとしては、例えば、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、フィルム基材の層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、機能層、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、機能層、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、機能層、フィルム基材の層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、機能層、フィルム基材の層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、機能層、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、機能層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、機能層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、及び粘着剤層を有するもの;低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、機能層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、機能層、及び粘着剤層を有するもの;及び、低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、機能層、アンカーコート、フィルム基材の層、アンカーコート、機能層、及び粘着剤層を有するもの;などをあげることができる。
上記粘着剤層は、本発明の反射防止フィルムをガラスに貼合させる働きをする。上記粘着剤層の形成に用いる粘着剤としては、ガラスに対して十分な粘着力を有すること以外は制限されず、任意の粘着剤を用いることができる。上記粘着剤としては、ガラスに対して十分な粘着力を有し、かつ透明な透明粘着剤が好ましい。上記透明粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などをあげることができる。上記透明粘着剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記粘着剤は紫外線吸収剤を含むものであってよい。粘着強度の耐候性を高めることができる。上記紫外線吸収剤の配合量は、本発明の反射防止フィルムは通常、窓ガラスの屋外側に貼合されることから、粘着剤のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~2質量部、更に好ましくは0.1~1質量部程度であってよい。
あるいは他の実施形態において、上記紫外線吸収剤の配合量は、粘着剤のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部、より好ましくは5~30質量部、更に好ましくは10~25質量部であってよい。これは、例えば、外開き窓、観音開き窓などの開き窓では、窓が開かれたとき、通常は(窓を閉めた状態では)屋内側となる面の側から太陽光を受けることがあることを考慮したものである。
上記粘着剤層の形成用塗料は、該塗料を用いてウェット塗膜を形成する際の生産性の観点から、更に、溶剤を含むものであってよい。上記溶剤としては、例えば、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記粘着剤には、本発明の目的に反しない限度において、粘着剤成分以外の任意成分を、所望に応じて、更に含ませることができる。上記任意成分としては、例えば、光重合開始剤、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、顔料、無機粒子、及び有機粒子などの添加剤をあげることができる。上記任意成分を用いる場合、その配合量は、粘着剤のベース樹脂を100質量部として、通常0.01~50質量部程度、あるいは1~30質量部程度であってよい。
上記粘着剤層の形成用塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記粘着剤層を形成する方法としては、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記粘着剤層を形成する方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの公知のウェブ塗布方法を使用し、反射防止フィルムの粘着剤層形成面の上に、直接又はアンカーコートを介して、上記粘着剤層を形成する方法をあげることができる。上記粘着剤層を形成する方法としては、例えば、任意のフィルム基材(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムや二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムなど。)の面の上に、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの公知のウェブ塗布方法を用いて粘着剤層を形成し、これを反射防止フィルムの粘着剤層形成面の上に、直接又はアンカーコートを介して、転写する方法をあげることができる。
上記粘着剤層の厚みは、粘着強度の観点、及び薄肉化の観点から適宜決定する。上記粘着剤層の厚みは、粘着強度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上であってよい。一方、薄肉化の観点から、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下であってよい。
上記機能層としては、例えば、赤外線遮蔽、赤外線反射、電磁波遮蔽、電磁波反射、視界制御(目隠し)、及び視野角制御などの機能を有するものをあげることができる。
上記機能層は1層に限らず、2層以上であってよい。上記機能層が2層以上である場合、その種類は1種に限らず2種以上であってよい。
上記機能層の厚みは、付与しようとする機能、及び層の形成方法などを勘案し、適宜選択される。
本発明の反射防止フィルムの可視光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上であってよい。可視光線透過率は高いほど好ましい。このような反射防止フィルムは建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とする反射防止フィルムとして好適に用いることができる。このような反射防止フィルムは、画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とする反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
上記可視光線透過率は、JIS A5759:2016の6.4可視光線透過率試験に準拠し、反射防止フィルムの低屈折率層側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で測定する。
本発明の反射防止フィルムの最低反射率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1%以下であってよい。最低反射率は低いほど好ましい。このような反射防止フィルムは建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とする反射防止フィルムとして好適に用いることができる。このような反射防止フィルムは、画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とする反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
上記最低反射率は、下記実施例の試験(ハ)最低反射率に従い測定される。
図1は本発明の反射防止フィルムの一例を示す断面の概念図である。実使用状態(本発明の反射防止フィルムが自動車のウィンドウなどに貼合された状態)において太陽光が入射する側の表面から順に、低屈折率層1、高屈折率層2、アンカーコート3、フィルム基材の層4、赤外線遮蔽機能を有する塗膜5、及び粘着剤層6を有している。
2.物品:
本発明の物品は、実施形態の1つにおいて、本発明の反射防止フィルムを含む。この実施形態の本発明の物品は、通常は、実使用状態において太陽光が入射する側の表面の少なくとも一部又は全部を本発明の反射防止フィルムが構成する。この実施形態の本発明の物品としては、例えば、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどをあげることができる。
本発明の物品は、その他の実施形態の1つにおいて、上記樹脂フィルムの替わりに樹脂板(積層体を含む。以下、同じ)を基材とする物品であってよい。この実施形態の本発明の物品としては、例えば、上記樹脂板を基材として、その少なくとも片面の上に上記ハードコート層、及び上記低屈折率層がこの順に形成されている物品、上記樹脂板を基材として、その少なくとも片面の上に上記高屈折率層、及び上記低屈折率層がこの順に形成されている物品、上記樹脂板を基材として、その少なくとも片面の上に上記アンカーコート、上記ハードコート層、及び上記低屈折率層がこの順に形成されている物品、及び上記樹脂板を基材として、その少なくとも片面の上に上記アンカーコート、上記高屈折率層、及び上記低屈折率層がこの順に形成されている物品をあげることができる。この実施形態の本発明の物品は、特に上記樹脂板として高い透明性を有する樹脂板が用いられているものは、例えば、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどのガラスを代替する部材あるいは物品として好適に用いることができる。
上記樹脂フィルムの替わりに透明樹脂板を基材とする物品に係る上記低屈折率層は、本発明の反射防止フィルムの有する上記低屈折率層の形成用塗料と同じ塗料を用いて形成することができる。
上記樹脂フィルムの替わりに透明樹脂板を基材とする物品に係る上記ハードコート層は、本発明の反射防止フィルムの有する上記ハードコート層の形成用塗料と同じ塗料を用いて形成することができる。
上記樹脂フィルムの替わりに透明樹脂板を基材とする物品に係る上記高屈折率層は、本発明の反射防止フィルムが、好ましい実施形態の1つにおいて有する上記高屈折率層の形成用塗料と同じ塗料を用いて形成することができる。
上記樹脂フィルムの替わりに透明樹脂板を基材とする物品に係る上記アンカーコートは、本発明の反射防止フィルムが実施形態の1つとして有する上記アンカーコートの形成用塗料と同じ塗料を用いて形成することができる。
上記樹脂板としては、例えば、熱可塑性樹脂を押出成形あるいは射出成型して得られる樹脂板、硬化性樹脂を型に注入後、硬化して得られる樹脂板などをあげることができる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレン・ノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;並びに、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂などをあげることができる。上記硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系硬化性樹脂、及びポリエステル系硬化性樹脂などの硬化性樹脂をあげることができる。
上記樹脂板の形状は、平板(直方体)であってもよく、所望の湾曲を有するものであってもよく、更には、表面に凹凸を有するものであってもよい。上記樹脂板の形状は、本発明の物品を建築物の窓ガラスとして用いる場合には、平板(直方体)であってよい。上記樹脂板の形状は、本発明の物品を自動車のウィンドウ、特にフロントウィンドウ、リヤウィンドウに用いる場合には、所望の湾曲を有するものであってよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)全光線透過率、ヘーズ:
JIS K7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を使用し、反射防止フィルムの低屈折率層側の面から光を入射する条件で全光線透過率とヘーズを測定した。このとき、下記試験(ロ)可視光線透過率で使用した測定サンプル(即ち、JIS A5759:2016の6.4可視光線透過率試験に従い板ガラスと貼合したもの)を測定サンプルとして使用した。
(ロ)可視光線透過率:
JIS A5759:2016の6.4可視光線透過率試験に従い、株式会社島津製作所の分光光度計「Solid Spec‐3700(商品名)」を使用し、反射防止フィルムの低屈折率層側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で可視光線透過率(単位:%)を測定した。
(ハ)最低反射率:
株式会社島津製作所の分光光度計「SolidSpec-3700(商品名)」及び反射ユニット「絶対反射率測定装置 入射角5°(商品名)」を使用し、上記分光光度計の説明書に従い、5度正反射(積分球前に反射ユニットを設置する。)の条件で、反射防止フィルムの低屈折率層側の面とは反対側の面の上に黒色粘着シートを貼合したものを試験片として測定した可視光線(波長380~780nm)の反射率のスペクトルを、多項式近似法によりスムージング処理して得たスペクトルから、最も低い反射率を、最低反射率(単位:%)として読み取った。上記黒色粘着シートは、東洋紡株式会社の厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「E5431(商品名)」の片面の上に、レジノカラー工業株式会社の黒色アクリル系粘着マスターバッチ「ブラック‐OT‐1338(商品名)」20質量部と藤倉化成株式会社の粘着剤「LKU-01(商品名)」100質量部を混合し、アプリケーターを使用して、乾燥後の厚みが35μmになるように塗工して得た。上記黒色粘着シートの、粘着層の面から測色して求めたL*値は3.13であった。L*値は、JIS Z 8722:2009に従い、コニタミノルタジャパン株式会社の分光測色計「CM600d」を使用し、標準の光D65照明下、幾何条件c、鏡面反射となる成分を含む条件でXYZ座標を測定し、これをL*a*b*座標に換算することにより求めた。
(ニ)碁盤目試験:
JIS K5600‐5‐6:1999に従い、反射防止フィルムの低屈折率層側から碁盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを碁盤目へ貼り付けて指でしごいた後、剥がした。評価基準はJISの上記規格の表1に従った。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は数箇所の目が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥れの程度が分類4を超える場合。
(ホ)外観:
反射防止フィルムから10cm×10cmの大きさのサンプルを採取し、その低屈折率層側の面を、矯正視力1.0の者が肉眼で又はルーペ(10倍)を使用して目視観察し、以下の基準で評価した。
A:ルーペを使用しても、クラックは認められなかった。
B:肉眼ではクラックは認められなかった。しかし、ルーペを使用するとクラックの発生している箇所が発見された。
C:肉眼ではクラックは認められなかった。しかし、ルーペを使用するとクラックが認められた。
D:肉眼でもクラックが認められた。
(へ)促進耐候性試験:
JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるスガ試験機株式会社のサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)「サンシャインウェザーメーター S300(商品名)」を使用し、試験片を反射防止フィルムの低屈折率層が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件、即ち、放射照度255±25.5W/m(ガラス製フィルタの仕様は、分光透過率 275nmで2%以下、400nmで90%以上)、120分毎に18分間の水噴霧、ブラックパネル温度63±3℃、及び相対湿度50±5%の条件で1000時間処理した。処理後の反射防止フィルムを用い、上記試験(ロ)可視光線透過率に従い(へ‐1)促進耐候性試験後の可視光線透過率、上記試験(ハ)最低反射率に従い(へ‐2)促進耐候性試験後の最低反射率、上記試験(ニ)碁盤目試験に従い(へ‐3)促進耐候性試験後の碁盤目試験、及び上記試験(ホ)外観に従い(へ‐4)促進耐候性試験後の外観を評価した。
使用した原材料
(A1)加水分解性基を有するシラン化合物:
(A1‐1)信越化学工業株式会社の1個以上の水素原子が弗素原子に置換された加水分解性基を有する有機シラン化合物「X‐12‐2510A(商品名)」。固形分3質量%。
(A2)低屈折率粒子:
(A2‐1)日揮触媒化成株式会社の中空シリカの分散液「THRULYA4320(商品名)」。分散液中の中空シリカの量は20質量%。中空シリカの平均粒子径は60nm。
(A3)任意成分:
(A3‐1)東亜合成株式会社のアクリル・シリコーン共重合体系汚染性防止剤「サイマックUS270(商品名)」。固形分100質量%。
(A3‐2)抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子:
市販のヨウ化第一銅(CuI)粉末(和光純薬工業株式会社製)をエタノールにプレ分散後、ビーズミルにて解砕・分散し、平均粒子径120nmのヨウ化第一銅のスラリーを得た。これを固形分(スラリー中のヨウ化第一銅の含有量)11質量%に調整した。
(A3‐3)信越化学工業株式会社の3‐アミノプロピルトリエトキシシラン「KBE903(商品名)」。
(A)低屈折率層形成用塗料(表には塗料(A)と記載):
(A‐1)上記成分(A1‐1)3333質量部(固形分換算100質量部)、上記成分(A2‐1)200質量部(固形分換算40質量部)、及び上記成分(A3‐1)4.2質量部を混合攪拌し、2‐メトキシエタノール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、メチルイソブチルケトンの体積比2:1:1の混合溶剤を用いて固形分濃度4質量%に希釈し、低屈折率層形成用塗料(A‐1)を得た。
(A‐2)上記成分(A1‐1)3333質量部(固形分換算100質量部)、上記成分(A2‐1)200質量部(固形分換算40質量部)、上記成分(A3‐1)4.2質量部、上記成分(A3‐2)100質量部(固形分11質量部)、及び上記成分(A3‐3)6質量部を混合攪拌し、2‐メトキシエタノール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、メチルイソブチルケトンの体積比2:1:1の混合溶剤を用いて固形分濃度4質量%に希釈し、低屈折率層形成用塗料(A‐2)を得た。
(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物:
(B1‐a1)東亜合成株式会社のシルセスオキサン骨格とメタクリロイル基を有する化合物「MAC‐SQ HDM(商品名)」、固形分50質量%。
(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレート:
(B1‐b1)ダイセル・オルネクス株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「EBECRYL284(商品名)」。固形分100質量%、官能基数2個、数平均分子量1000、質量平均分子量2900、Z平均分子量4700、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数2個。
(B1‐b2)ダイセル・オルネクス株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「EBECRYL4101(商品名)」。固形分100質量%、官能基数3、数平均分子量1100、質量平均分子量2800、Z平均分子量4900、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数2.7個。
(B1‐b3)ダイセル・オルネクス株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「KRM8200(商品名)」。固形分100質量%、官能基数6、数平均分子量470、質量平均分子量810、Z平均分子量1300、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数13個。
(B1‐b4)新中村化学工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「UA‐1100H(商品名)」。固形分100質量%、官能基数6、数平均分子量440、質量平均分子量880、Z平均分子量1600、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数14個。
(B1‐b5)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐952(商品名)」、固形分60質量%、官能基数10、数平均分子量2500、質量平均分子量9100、Z平均分子量23000、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数4個。
(B1‐b6)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐954(商品名)」、固形分60質量%、官能基数6、数平均分子量2000、質量平均分子量4800、Z平均分子量9600、数平均分子量1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数3個。
(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレート:
(B1‐c1)4‐ヒドキシブチルアクリレート。
(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物:
(B1‐d1)大阪有機化学工業株式会社の(3‐エチルオキセタン‐3‐イル)メチルアクリレート「OXE‐10(商品名)」。
(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレート:
(B1‐e1)n‐ブチルアクリレート。
(B2)高屈折率粒子:
(B2‐1)CIKナノテック株式会社の酸化ジルコニウムのメチルイソブチルケトン分散液「ZRMIBK15WT%‐P01(商品名)」。分散液中の酸化ジルコニウムの量は15質量%。酸化ジルコニウムの平均粒子径は30nm。
(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物:
(B3‐1)ナトコ株式会社のヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体「No.21硬化剤(商品名)」。
(B4)光重合開始剤:
(B4‐1)IGM Resins社のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド)「Omnirad 819(商品名)」。
(B4‐2)IGM Resins社のα‐ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン)「Omnirad 184(商品名)」。
(B5)その他の成分:
(B5‐1)BASFジャパン株式会社のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐メチルフェノール「TINUVIN P(商品名)」。
(B5‐2)信越化学工業株式会社のアミン系シランカップリング剤、N‐2‐(アミノエチル)‐8‐アミノオクチルトリメトキシシラン「KBM‐6803(商品名)」。
(B5‐3)1‐メトキシ‐2‐プロパノール(表には「PGM」と記載した)。
(B5‐4)日産化学株式会社のシリカ微粒子のプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液「PGM‐AC‐2140Y(商品名)」。固形分42質量%、平均粒子径15nm。
(B)高屈折率層形成用塗料(表には塗料(B)と記載):
(B‐1)上記成分(B1‐a1)36質量部(固形分換算18質量部)、上記成分(B1‐b1)73質量部、上記成分(B1‐d1)9質量部、上記成分(B2‐1)747質量部(酸化ジルコニウム量換算112質量部)、上記成分(B4‐1)6質量部、上記成分(B4‐2)2質量部、上記成分(B5‐1)4質量部、及び上記成分(B5‐3)100質量部を混合攪拌し、高屈折率層形成用塗料(B‐1)を得た。なお表には、溶剤と上記成分(B2‐1)以外は、固形分換算の値を記載した。また上記成分(B2‐1)は酸化ジルコニウム量換算の値を記載した。
(B‐2)~(B‐22):
表1に示すように配合を変更したこと以外は、上記高屈折率層形成用塗料(B‐1)と同様にして高屈折率層形成用塗料(B‐2)~(B‐22)を得た。なお表には、溶剤と上記成分(B2‐1)以外は、固形分換算の値を記載した。また上記成分(B2‐1)は酸化ジルコニウム量換算の値を記載した。
(C1)アンカーコート形成用重合体:
(C1‐1)2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(メタクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール 32質量部(14モル%)、メチルメタクリレート 54質量部(76モル%)、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート 5質量部(5モル%)、及びカプロラクトンメタクリレート 9質量部(5モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させてアンカーコート用重合体(C1‐1)を得た。
(C2)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物:
(C2‐1)東ソー株式会社の「コロネートHX(商品名)」。
(C)アンカーコート剤(アンカーコート形成用塗料。表にはAC剤と記載):
(C‐1)上記成分(C1‐1)を固形分換算で100質量部、及び上記成分(C2‐1)20質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)を用いて固形分濃度50質量%に希釈し、アンカーコート剤を得た。
(D)フィルム基材:
(D‐1)東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー(商品名)」。
(E)粘着剤層形成用塗料:
(E‐1)トーヨーケム株式会社のアクリル系粘着剤「オリバインBPS5296(商品名)」100質量部、トーヨーケム株式会社のイソシアネート系硬化剤「オリバインBXX4773(商品名)」0.5質量部(固形分換算0.2質量部)、シプロ化成株式会社のベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン)「SEESORB106(商品名)」20質量部、及び酢酸エチル70質量部を混合攪拌し、粘着剤層形成用塗料(E‐1)を得た。
例1
(1)上記フィルム基材(D‐1)の片面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記アンカーコート形成用塗料(C‐1)を硬化後の厚みが3μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化してアンカーコートを形成した。
(2)上記工程(1)で形成したアンカーコートの面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記高屈折率層形成用塗料(B‐1)を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥した後、紫外線を照射して硬化し、高屈折率層を形成した。
(3)上記工程(2)で形成した高屈折率層の面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記低屈折率層形成用塗料(A‐1)を硬化後の厚みが0.1μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化して低屈折率層を形成した。
(4)次に、上記フィルム基材(D‐1)のアンカーコート形成面とは反対側の面の上に、上記粘着剤層形成用塗料(E‐1)を乾燥厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥して粘着剤層を形成し、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、低屈折率層、高屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有する反射防止フィルムを得た。
(5)上記試験(イ)~(へ)を行った。結果を表1に示す。
例2~22
高屈折率層形成用塗料として上記(B‐1)の替わりに表1~4の何れかに示すものを用いたこと以外は、例1と同様にして反射防止フィルムを得た。上記試験(イ)~(へ)を行った。結果を表1~4の何れかに示す。
Figure 2022063859000002
Figure 2022063859000003
Figure 2022063859000004
Figure 2022063859000005
本発明の反射防止フィルムは、耐候性に優れていた。また本発明の反射防止フィルムの透明性、反射防止性も良好であった。従って、本発明の反射防止フィルムは、ガラス外貼り用反射防止フィルムとして好適に用いることができると考察した。
例23
低屈折率層形成用塗料として上記(A‐1)の替わりに上記(A‐2)を用いたこと以外は、例1と同様にして反射防止フィルムを得た。上記試験(イ)~(へ)を行った。結果は、上記試験(イ)全光線透過率 90%、ヘーズ 1.5%、上記試験(ロ)可視光線透過率 90%、上記試験(ハ)最低反射率 0.6%、上記試験(ニ)碁盤目試験 分類0、上記試験(ホ)外観 ランクA、上記試験(へ)促進耐候性試験後の可視光線透過率 90%、最低反射率 0.6%、碁盤目試験 分類1、外観 ランクBであった。
例23の反射防止フィルムについて、一般財団法人日本繊維製品品質技術センターにおいて、ISO210702に従い、例1の反射防止フィルムをコントロールとして、A香港型インフルエンザウィルス(A/Hong Kong/8/68(H3N2))に対する抗ウィルス性を試験した。このとき試験条件は、宿主細胞はMDCK細胞(イヌの腎臓由来細胞)、洗い出し液はSCDLP培地、放置温度25℃、放置時間24時間、サンプルサイズは5cm×5cm、密着フィルムはポリエチレンフィルム、及び試験ウィルス懸濁液の接種量0.4ミリリットルであった。またサンプルは、抗菌製品技術協議会持続性基準の前処理を行ってから試験に供した。該基準の耐水処理区分0の前処理を行ったとき、抗ウィルス活性値は4.4以上であった。上記基準の耐光処理区分2の前処理を行っとき、抗ウィルス活性値は3.7以上であった。
ここで、抗ウィルス活性値(R)は、コントロールの放置後ウィルス感染価(PFU(Plaque-forming unit)/cm)の常用対数をUt、サンプルの放置後ウィルス感染価(PFU/cm)の常用対数をAtとしたとき、次式で定義される。
R=Ut-At
更に、例23の反射防止フィルムについて、ネコカリシウィルス(Feline calicivirus, Strain(F-9))に対する抗ウィルス性を試験した。このとき試験条件は、宿主細胞はCRFK細胞(ネコの腎臓由来細胞)、洗い出し液はFetal Bovine Serumを終濃度10%となるように添加したSCDLP培地に変更したこと以外は、上記A香港型インフルエンザウィルスに対する抗ウィルス性試験と同様に行った。上記耐水処理区分0の前処理を行ったとき、抗ウィルス活性値は2.2であった。上記基準の耐光処理区分2の前処理を行っとき、抗ウィルス活性値は3.6であった。
低屈折率層形成用塗料に抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を含ませることにより、本発明の反射防止フィルムに更に抗菌剤や抗ウィルス性を付与できることが分かった。
ハードコート層形成用塗料(1)の調製
上記成分(B1‐a1)36質量部(固形分換算18質量部)、上記成分(B1‐b1)73質量部、上記成分(B1‐d1)9質量部、上記成分(B5‐4)119質量部(固形分換算50質量部)、上記成分(B4‐1)6質量部、上記成分(B4‐2)2質量部、上記成分(B5‐1)4質量部、及び上記成分(B5‐3)160質量部を混合攪拌し、ハードコート層形成用塗料(1)を得た。
ハードコート層形成用塗料(2)の調製
上記成分(B1‐a1)36質量部(固形分換算18質量部)、上記成分(B1‐b1)73質量部、上記成分(B1‐d1)9質量部、上記成分(B4‐1)6質量部、上記成分(B4‐2)2質量部、上記成分(B5‐1)4質量部、及び上記成分(B5‐3)150質量部を混合攪拌し、ハードコート層形成用塗料(2)を得た。
例24
上記高屈折率層形成用塗料(B‐1)の替わりに上記ハードコート層形成用塗料(1)を用い、低屈折率層形成用塗料として上記(A‐1)の替わりに上記(A‐2)を用いたこと以外は、例1と同様にして反射防止フィルムを得た。上記試験(イ)~(へ)を行った。結果は、上記試験(イ)全光線透過率 90%、ヘーズ 1.5%、上記試験(ロ)可視光線透過率 90%、上記試験(ハ)最低反射率 2.0%、上記試験(ニ)碁盤目試験 分類0、上記試験(ホ)外観 ランクA、上記試験(へ)促進耐候性試験後の可視光線透過率 90%、最低反射率 2.0%、碁盤目試験 分類1、外観 ランクBであった。
例25
上記高屈折率層形成用塗料(B‐1)の替わりに上記ハードコート層形成用塗料(2)を用い、低屈折率層形成用塗料として上記(A‐1)の替わりに上記(A‐2)を用いたこと以外は、例1と同様にして反射防止フィルムを得た。上記試験(イ)~(へ)を行った。結果は、上記試験(イ)全光線透過率 90%、ヘーズ 1.5%、上記試験(ロ)可視光線透過率 90%、上記試験(ハ)最低反射率 2.0%、上記試験(ニ)碁盤目試験 分類0、上記試験(ホ)外観 ランクA、上記試験(へ)促進耐候性試験後の可視光線透過率 90%、最低反射率 2.0%、碁盤目試験 分類1、外観 ランクAであった。
例26
(1)上記フィルム基材(D‐1)の片面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記アンカーコート形成用塗料(C‐1)を硬化後の厚みが3μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化してアンカーコートを形成した。
(2)上記工程(1)で形成したアンカーコートの面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記低屈折率層形成用塗料(A‐2)を硬化後の厚みが0.1μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化して低屈折率層を形成した。
(3)次に、上記フィルム基材(D‐1)のアンカーコート形成面とは反対側の面の上に、上記粘着剤層形成用塗料(E‐1)を乾燥厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥して粘着剤層を形成し、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、低屈折率層、アンカーコート、フィルム基材の層、及び粘着剤層を有する反射防止フィルムを得た。
例24~26の反射防止フィルムについて、低屈折率層表面の鉛筆硬度を、JIS K 5600‐5‐4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用いて測定した。このとき傷跡が生じたか否かの判定は、蛍光灯下、蛍光灯から50cm離れた位置において、低屈折率層表面を目視観察することにより行った。結果は、例24が2H、例25がH、及び例26がFであった。
ハードコート層を設けることにより、反射防止フィルムの表面硬度を高めることのできることが確認された。
本発明の反射防止フィルムは上述の通り、良好な特性を有するものであるから、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどのガラスを代替する透明樹脂板(積層体を含む。)に対しても、同様に好適に用いることができることは、当業者であれば直ちに理解するであろう。
また上記樹脂フィルムの替わりに樹脂板(積層体を含む。以下、同じ)を基材とする物品、例えば、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどのガラスを代替する透明樹脂板(積層体を含む。)の実施形態の例は、以下のように要約される。
[1].
透明樹脂板であって、低屈折率層、ハードコート層、及び基材の層をこの順に有し;上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む塗料を用いて形成され;ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;上記透明樹脂板。
[2].
上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、30~99質量%である;[1]項に記載の透明樹脂板。
[3].
上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線から求められるポリスチレン換算の数平均分子量1000当たり1~10個である;[1]項又は[2]項に記載の透明樹脂板。
[4].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;[1]~[3]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[5].
低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有し;上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含む塗料を用いて形成され;ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;透明樹脂板。
[6].
上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、1~40質量部であり;上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~40質量%である;[5]項に記載の透明樹脂板。
[7].
上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~70質量%である;[1]~[6]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[8].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物を含む;[1]~[7]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[9].
上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレートを含む;[1]~[8]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[10].
低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有し;上記アンカーコートは、(C1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む塗料を用いて形成される;[1]~[9]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[11].
上記ハードコート層が、更に(B2)高屈折率粒子を含む[1]~[10]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[12].
上記低屈折率層が、更に抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を含む[1]~[11]項の何れか1項に記載の透明樹脂板。
[13].
[1]~[12]項の何れか1項に記載の透明樹脂板を含む建築物の窓ガラス、又は自動車のウィンドウ。
本発明の反射防止フィルムの一例を示す断面の概念図である。 実施例で用いた上記成分(B1‐b1)のGPC曲線である。
1:低屈折率層
2:高屈折率層
3:アンカーコート
4:フィルム基材の層
5:赤外線遮蔽機能を有する塗膜
6:粘着剤層

Claims (13)

  1. 低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有し;
    上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;
    上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む塗料を用いて形成され;
    ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;
    反射防止フィルム。
  2. 上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、30~99質量%である;請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 上記成分(B1‐b)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線から求められるポリスチレン換算の数平均分子量1000当たり1~10個である;請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;請求項1~3の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 低屈折率層、ハードコート層、及びフィルム基材の層をこの順に有し;
    上記低屈折率層は(A1)加水分解性基を有するシラン化合物、及び(A2)低屈折率粒子を含む塗料を用いて形成され;
    上記ハードコート層は(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂、及び(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を含む塗料を用いて形成され;
    ここで上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物、及び(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートを含む;
    反射防止フィルム。
  6. 上記成分(B3)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、1~40質量部であり;
    上記成分(B1‐c)水酸基含有(メタ)アクリレートの配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~40質量%である;
    請求項5に記載の反射防止フィルム。
  7. 上記成分(B1‐a)シルセスオキサン骨格を有する重合性化合物の配合量が、上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂の全成分の配合量の総和を100質量%として、1~70質量%である;請求項1~6の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  8. 上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐d)1分子中に1個以上のカチオン重合性基と1個以上のラジカル重合性基を有する化合物を含む;請求項1~7の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  9. 上記成分(B1)活性エネルギー線硬化性樹脂が、更に(B1‐e)アルキル(メタ)アクリレートを含む;請求項1~8の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  10. 低屈折率層、ハードコート層、アンカーコート、及びフィルム基材の層をこの順に有し;
    上記アンカーコートは、(C1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む塗料を用いて形成される;請求項1~9の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  11. 上記ハードコート層が、更に(B2)高屈折率粒子を含む請求項1~10の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  12. 上記低屈折率層が、更に抗菌剤又は抗ウィルス剤として機能する無機化合物の微粒子を含む請求項1~11の何れか1項に記載の反射防止フィルム。
  13. 請求項1~12の何れか1項に記載の反射防止フィルムを含む物品。

JP2021165843A 2020-10-12 2021-10-08 反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム Pending JP2022063859A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020171663 2020-10-12
JP2020171663 2020-10-12

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022063859A true JP2022063859A (ja) 2022-04-22

Family

ID=81213344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021165843A Pending JP2022063859A (ja) 2020-10-12 2021-10-08 反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022063859A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11512176B2 (en) Anti-glare hard coat laminated film
JP6395478B2 (ja) ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂積層体
EP3272528B1 (en) Multilayer hard coating film
EP3272518B1 (en) Hard coat laminate film and method for producing same
EP3550335B1 (en) Hardcoat multilayer film
WO2016147776A1 (ja) ハードコート積層フィルム
WO2020095566A1 (ja) 光拡散層形成用塗料、プロジェクションスクリーン用フィルム、及びプロジェクションスクリーン
EP3388237A1 (en) Hard coat layered film
US20220106493A1 (en) Active energy curable resin composition, hard coat laminated film, and film for application to glass
JP2008242076A (ja) 帯電防止性ハードコート組成物および光学物品
JP2004143201A (ja) 活性エネルギー線硬化性組成物、それを用いた硬化皮膜の形成方法およびその硬化物、ならびに反射防止体
JP2020168764A (ja) 透明親水性紫外線吸収積層体、及び透明親水性紫外線吸収コーティング剤
JP2022063859A (ja) 反射防止フィルム、及びガラス外貼り用反射防止フィルム
JP5736698B2 (ja) ガスバリア性ハードコートフィルムおよびその製造方法
TWI774709B (zh) 具有防反射功能和紅外線遮蔽功能的積層膜與其用途
JP7022603B2 (ja) 防虫機能を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びハードコート積層フィルム
JP2022059141A (ja) 抗ウィルス性塗膜形成用塗料、塗膜、及び積層フィルム
JP2021177212A (ja) 低屈折率bステージ塗膜、積層フィルム、三次元成形体、及びこれらの製造方法
JP2022017317A (ja) 防眩性ハードコート積層フィルム