JP2022058222A - セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適したセパレータを提供する。【解決手段】本発明のセパレータ10は、所定の評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合が20%以下である。評価方法は、第1ステップ:平面視サイズ50mm×50mmのセパレータを評価用のサンプルとして用意し、当該サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを前記装置にセットする。第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。第3ステップ:前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物の位置情報および投影像情報を導出する。【選択図】図1
Description
本発明は、セパレータに関する。
ディスプレイパネルは、画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの貼り合わせのために、例えば、透明な光学粘着シートが用いられる。光学粘着シートは、例えば、同シートの両面がセパレータ(はく離ライナー)で被覆された形態で製造される。セパレータに関する技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。
光学粘着シートの製造過程では、両面がセパレータで被覆された光学粘着シートに対して所定波長の光を照射することにより、同シートの内部および表面における異物の有無が検査される。製造される光学粘着シートに求められるクリーン度が高いほど、異物検査では、より小さな異物の検知が求められる(即ち、より精密な検査が要求される)。
本発明は、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適したセパレータを提供する。
本発明[1]は、下記の評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合が20%以下である、セパレータを含む。
評価方法:下記の光源とカメラデバイスとを備える装置を使用して、下記の第1ステップ~第3ステップを実施する。
光源:評価用のサンプルに対して検査用光を照射するための白色LED光源
カメラデバイス:前記検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
カメラデバイス:前記検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
第1ステップ:平面視サイズ50mm×50mmのセパレータを評価用のサンプルとして用意し、当該サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを前記装置にセットする。
第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。
第3ステップ:前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物の位置情報および投影像情報を導出する。
第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。
第3ステップ:前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物の位置情報および投影像情報を導出する。
本発明[2]は、前記平面視投影において最大の異物が有する最大長さが30μm以下である、上記[1]に記載のセパレータを含む。
本発明[3]は、前記平面視投影における最大長さが20μm以上30μm以下の異物の個数が5以下である、上記[1]または[2]に記載のセパレータを含む。
本発明[4]は、前記平面視投影における最大長さが15μm以上30μm以下の異物の個数が10以下である、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載のセパレータを含む。
本発明[5]は、セパレータが、表面粗さRaが20nm以下の表面を有する、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載のセパレータを含む。
本発明のセパレータは、上記評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合が、上記のように20%以下である。このようなセパレータは、光学粘着シートに貼り合わせられた状態において、同シートについて微小な異物の有無を調べるための精密な異物検査を実施するのに適する。したがって、本セパレータは、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適する。
本発明のセパレータの一実施形態としてのセパレータ10は、図1に示すように、所定の厚さのシート形状を有し、厚さ方向Dと直交する方向(面方向)に延びる。セパレータ10は、例えば、光学粘着シートの保護フィルムである。図2に、光学粘着シート20の保護フィルムとして二枚のセパレータ10が用いられている場合を示す。一方のセパレータ10(セパレータ10A)は、光学粘着シート20の厚さ方向Dの一方面上に配置され、他方のセパレータ10(セパレータ10B)は、光学粘着シート20の厚さ方向Dの他方面上に配置されている。
光学粘着シート20は、光学物品の光通過箇所に配置される透明な粘着シートであり、光学物品を製造するのに用いられる。光学物品としては、例えば、ディスプレイパネルが挙げられる。ディスプレイパネルは、画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する。ディスプレイパネルの製造過程では、画素パネルの画像表示側に配置される所定の要素どうしが、例えば光学粘着シートで貼り合わせられる。このようなディスプレイパネルには、VR(Virtual Reality)用途またはAR(Augmented Reality)用途等の超高精細ディスプレイのパネルが含まれる。
光学粘着シート20の製造過程で実施される異物検査では、光学粘着シート20の両面がセパレータ10で保護された状態で、光学粘着シート20に対して、同シートの一方面側からセパレータ10越しに検査用光が照射される。検査用光としては、可視光または赤外線が用いられる。検査用光としての可視光の波長は、例えば400~800nmの範囲内に含まれる。この可視光の光源としては、例えば白色LED光源が用いられる。検査用光としての赤外線の波長は、例えば800~1200nmの範囲内に含まれる。この赤外線の光源としては、例えば赤外線ランプが用いられる。照射領域における可視光透過率または赤外線透過率の分布に基づき、光学粘着シート20の内部および表面における異物の有無およびサイズが調べられる。このような検査において、可視光透過率または赤外線透過率の分布には、セパレータ10の内部および表面における異物の有無およびサイズも反映される。
セパレータ10は、下記の評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合(異物面積割合R)が20%以下である。異物には、環境異物、原料の不純物としての異物、材料変性に起因する異物、および気泡が含まれる。環境異物としては、例えば、繊維片、皮膚片、金属微粒子、微小な油滴、および、汗に由来する塩微粒子等が挙げられる。これら異物は、セパレータや光学粘着シートにおいて、欠点と呼称される場合もある。
評価方法:下記の光源とカメラデバイスとを備える評価用装置を使用して、下記の第1ステップ~第3ステップを実施する。
光源:評価用のサンプルに対して検査用光を照射するための白色LED光源
カメラデバイス:前記検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
カメラデバイス:前記検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
第1ステップ:平面視サイズ50mm×50mmのセパレータ10を評価用のサンプルとして用意し、当該サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを評価用装置にセットする。
第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。サンプル透過光とは、サンプルをその厚さ方向に透過する光である。サンプル反射光とは、サンプルにて反射する光である。
第3ステップ:前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物(内方領域に存在する異物のそれぞれ)の位置情報および投影像情報を導出する。
第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。サンプル透過光とは、サンプルをその厚さ方向に透過する光である。サンプル反射光とは、サンプルにて反射する光である。
第3ステップ:前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物(内方領域に存在する異物のそれぞれ)の位置情報および投影像情報を導出する。
このようなセパレータ10は、光学粘着シート(例えば、図2に示す光学粘着シート20)に貼り合わせられた状態において、同シートについて微小な異物の有無を調べるための精密な異物検査(欠点検査)を実施するのに適する。そのようなセパレータ10は、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適する。例えば、セパレータ10は、従来に比べて格段に微小な異物(即ち欠点)の有無の検査(即ち欠点管理)が要求される光学粘着シートの製造に、用いるのに適する。光学粘着シートがディスプレイパネル用途の粘着シートである場合、セパレータ10は、当該光学粘着シートを用いて製造されるディスプレイパネル(近年、高精細化が進んでいる)の表示画像の品質向上に役立つ。
上記の評価用装置において、カメラデバイスの分解能は、上記のように2.8μmであるが、例えば10μm以下であってもよく、好ましくは5μm以下である。カメラデバイスは、レンズを備えてもよい(即ち、当該カメラデバイスの備える受光素子がレンズを介して受光する構成を有してもよい)。また、上記の評価用装置においては、白色LED光源と他色のLED光源とを組み合わせて、上記第1~第3ステップからなる評価方法やその他の評価方法を、実施できる(他色のLED光源としては、例えば、赤色LED光源および青色LED光源が挙げられる)。例えば、光源として他色のLED光源を単独で使用したり、光源として2以上の複数色のLED光源を併用することにより、検査対象によっては上述の異物検査を実施しやすくなる。
上記の評価方法の第1ステップでは、例えば、評価用装置が備えるチャック機構にサンプルの外方領域を把持させることにより、サンプルを評価用装置にセットする。第2ステップでは、例えば、用いられるカメラデバイスの受光面がサンプルの内方領域に対向配置され、且つ、当該カメラデバイスにより、内方領域に沿ったスキャニングが実行される。第3ステップで導出される位置情報には、例えば、上記の投影面をX-Y平面とするXY座標情報と、当該X-Y平面に直交する厚さ方向をZ方向とするZ座標情報とが含まれる。第3ステップで導出される投影像情報は、それに基づいて少なくとも異物の総面積を導出可能な情報であり、例えば、各異物のサイズおよび異物のサイズ分布を更に導出可能な情報である。
異物面積割合Rは、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下である。上述の精密異物検査の実施の観点からは、異物面積割合Rは、0%に近いほど好ましい。
セパレータ10は、上記平面視投影において最大の異物が有する最大長さ(異物最大長さL)が、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは8μm以下である。このような構成は、光学粘着シートについて、平面視投影における最大長さが30μmを少し超える程度の異物(前記最大長さが例えば33μm程度の異物)の有無を検査するのに適する。上述の精密異物検査の実施の観点からは、異物最大長さLは、短いほど好ましい。
セパレータ10は、上記平面視投影における最大長さが20μm以上30μm以下の異物の個数(第1範囲の異物の個数N1)が、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、殊更に好ましくは2以下、特に好ましくは1以下、極めて好ましくは0である。このようなセパレータ10は、光学粘着シートに貼り合わせられた状態において、同シートについて精密な異物検査を実施するのに適し、従って、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適する。
セパレータ10は、上記平面視投影における最大長さが15μm以上30μm以下の異物の個数(第2範囲の異物の個数N2)が、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは4以下、殊更に好ましくは3以下、一層好ましくは2以下、特に好ましくは1以下、極めて好ましくは0である。このようなセパレータ10は、光学粘着シートに貼り合わせられた状態において、同シートについて精密な異物検査を実施するのに適し、従って、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの製造に用いるのに適する。
セパレータ10の内部および表面における異物コントロール(異物の有無およびサイズの制御)の方法としては、例えば、セパレータを形成する樹脂材料の種類の選択、樹脂材料のフィラーレス化、製膜に供される樹脂材料のフィルタリング径の調整、および、セパレータ製造ラインにおける空気清浄度の制御(浮遊微粒子を排気除去する制御等)が挙げられる。
セパレータ10は、本実施形態では、基材フィルム11と離型層12とを含む。離型層12は、基材フィルム11の厚さ方向Dの一方側に配置され、好ましくは、基材フィルム11の厚さ方向Dの一方面上に配置されている。
基材フィルム11は、例えば、可撓性を有する透明な樹脂フィルムである。基材フィルム11の樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、変性セルロース、ポリスチレン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、および部分芳香族ポリアミドが挙げられる。変性セルロースとしては、例えばトリアセチルセルロース(TAC)が挙げられる。これら樹脂材料は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。基材フィルム11の材料としては、光学用途で用いられるクリーン度の高い材料が好ましい。高いクリーン度のセパレータ10を得る観点から、基材フィルム11の材料としては、好ましくは、ポリオレフィンが用いられ、より好ましくは、COPが用いられる。
また、樹脂材料は、好ましくは、フィラーを含有しないか又は実質的に含有しない。樹脂材料がフィラーを実質的に含有しないとは、樹脂材料におけるフィラー含有割合が0.05質量%以下であることをいうものとする。一方、樹脂材料がフィラーを含有する場合、当該フィラーは、好ましくはナノフィラーである(ナノフィラーとは、最大長さ100nm以下の粒子をいう)。これら構成は、高いクリーン度のセパレータ10を得る観点から好ましい。
基材フィルム11の厚さは、セパレータ10の強度を確保する観点からは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、セパレータ10において適度な可撓性を確保する観点からは、基材フィルム11の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
離型層12は、セパレータ表面からの光学粘着シートの剥離性を確保するための層である。離型層12の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、長鎖アルキル樹脂、および脂肪酸アミド樹脂が挙げられる。これら樹脂は、ポリマー側鎖にフッ素原子を含んでもよい。例えば、シリコーン樹脂は、側鎖にフッ素原子を含むフッ素化シリコーン樹脂であってもよい。
セパレータ10は、例えば次のようにして製造できる。まず、溶融された樹脂材料をフィルムに成形して基材フィルム11を作製する。成形の方法としては、例えば、押出成形、インフレーション成形、およびカレンダー成形が挙げられる。次に、基材フィルム11の一方面を離型剤によって処理して離型層12(離型剤の被膜)を形成する。離型剤は、例えば、離型層12の材料として上記した樹脂のいずれか一つを含有する。セパレータ10は、好ましくは、クリーンルーム内で製造される。セパレータ10の製造ラインにおける空気清浄度(例えば、クリーンルーム内の空気清浄度)が高いほど、製造されるセパレータ10の内部および表面において、環境異物は少なく、環境異物サイズは小さい。製造ラインの空気清浄度は、ISO 14644-1の規格において、好ましくはクラス3以下、より好ましくはクラス2以下、更に好ましくはクラス1である。
セパレータ10は、本実施形態では透明性を有する。セパレータ10のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。セパレータ10のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。
セパレータ10における、白色LED光源から出射される光の透過率は、例えば50%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。このような構成は、白色LED光源を用いての異物検査を適切に実施する観点から好ましい。また、セパレータ10における、赤外線透過率は、例えば50%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。このような構成は、赤外線を用いての異物検査を適切に実施する観点から好ましい。
セパレータ10は、好ましくは、表面粗さRaが20nm以下の表面を有する。セパレータ10が離型層12を有する場合、離型層12の露出面の表面粗さRaが、好ましくは20nm以下である。当該表面粗さRaは、より好ましくは17nm以下、更に好ましくは15nm以下、殊更に好ましくは12nm以下、一層好ましくは10nm以下、より一層好ましくは8nm以下、特に好ましくは6nm以下、極めて好ましくは5nm以下である。表面粗さに関するこのような構成は、セパレータ表面への異物の侵入抑制の観点から好ましく、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの、セパレータ10を用いての製造に、役立つ。表面粗さRaは例えば0.1nm以上である。表面粗さRaは、表面の算術平均粗さであり、実施例に関して後述する用法によって測定できる。
セパレータ10は、好ましくは、表面粗さRzが600nm以下の表面を有する。セパレータ10が離型層12を有する場合、離型層12の露出面の表面粗さRzが、好ましくは600nm以下である。当該表面粗さRzは、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下、殊更に好ましくは200nm以下、一層好ましくは100nm以下、より一層好ましくは80nm以下、特に好ましくは60nm以下、極めて好ましくは50nm以下である。表面粗さに関するこのような構成は、セパレータ表面への異物付着の抑制の観点から好ましく、高いクリーン度が求められる光学粘着シートの、セパレータ10を用いての製造に、役立つ。表面粗さRzは例えば1nm以上である。表面粗さRzは、表面の十点平均粗さであり、実施例に関して後述する用法によって測定できる。
光学粘着シート20は、透明な粘着剤層21を有する光学粘着シートである。粘着剤層21は、粘着性組成物から形成された感圧接着剤層であり、透明性(可視光透過性)を有する。粘着性組成物は、ベースポリマーを含有する。
ベースポリマーは、粘着剤層21において粘着性を発現させるための粘着成分である。ベースポリマーは、室温域でゴム弾性を示す。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ゴムポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ポリエーテルポリマー、シリコーンポリマー、ポリアミドポリマー、およびフッ素ポリマーが挙げられる。粘着剤層21における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルベースポリマーが用いられる。
アクリルベースポリマーは、主たる構成モノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する。「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、即ち(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが、好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、直鎖状または分岐状のアルキル基を有してもよく、脂環式アルキル基など環状アルキル基を有してもよい。
直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、および(メタ)アクリル酸ノナデシルが挙げられる。
脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル、および、三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、および(メタ)アクリル酸シクロオクチルが挙げられる。二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸イソボルニルが挙げられる。三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、および、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アクリルベースポリマーを形成するモノマー成分の合計100質量部に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量は、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは75質量部以上である。アクリルベースポリマーを形成するモノマー成分の合計100質量部に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは95質量部以下、更に好ましくは92質量部以下である。
アクリルベースポリマーは、モノマー成分として、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、好ましくは極性基含有モノマーを含有する。極性基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、および窒素含有モノマーが挙げられる。モノマー成分が極性基含有モノマーを含むことにより、ポリマーの凝集力が高められ、高温での接着保持性が向上する傾向がある。また、イソシアネート架橋剤やエポキシ架橋剤などの架橋剤により、アクリルベースポリマーに架橋構造を導入する場合、ヒドロキシ基やカルボキシ基は、架橋構造の導入点となる。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、および(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリルが挙げられる。粘着剤層21における接着力の確保の観点、および、高湿度環境下での粘着剤層21の白濁の抑制の観点からは、ヒドロキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびアクリル酸4-ヒドロキシブチルが好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、窒素含有ビニル系モノマーおよびシアノアクリレートモノマーが挙げられる。窒素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、およびN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。シアノアクリレート系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。粘着剤層21において凝集力を確保して良好な接着力を実現する観点からは、窒素含有モノマーとしては、好ましくはN-ビニルピロリドンが用いられる。
光学粘着シート20ないし粘着剤層21において良好な接着力を確保する観点から、アクリルベースポリマーのモノマー成分の合計100質量部に対する極性基含有モノマーの量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。また、アクリルベースポリマーのモノマー成分の合計100質量部に対する極性基含有モノマーの量は、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは17質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。
アクリルベースポリマーを形成するモノマー成分は、極性基含有モノマー成分として、好ましくはヒドロキシ基含有モノマーを含む。このような構成は、粘着剤層21において良好な接着力を確保するのに適し、また、高湿度環境での粘着剤層21の白濁を抑制するのに適する。また、アクリルベースポリマーを形成するモノマー成分は、極性基含有モノマー成分として、好ましくは窒素含有モノマーを含む。このような構成は、粘着剤層21において良好な接着力を確保するのに適する。
モノマー成分の合計100質量部に対するヒドロキシ基含有モノマーの量は、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは4質量部以上である。モノマー成分の合計100質量部に対するヒドロキシ基含有モノマーの量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。特に、アクリル酸2-ヒドロキシエチルとアクリル酸4-ヒドロキシブチルの合計量がそのような範囲であることが好ましく、アクリル酸4-ヒドロキシブチルの量がそのような範囲であることがより好ましい。
アクリルベースポリマーのモノマー成分の合計100質量部に対する窒素基含有モノマーの量は、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは4質量部以上である。アクリルベースポリマーのモノマー成分の合計100質量部に対する窒素基含有モノマーの量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。特に、N-ビニルピロリドンの量がそのような範囲であることが好ましい。
光学粘着シート20がタッチパネルセンサーの接着に用いられる場合、酸成分による電極の腐食を防止するために、光学粘着シート20は酸の含有量が小さいことが好ましい。また、光学粘着シート20が偏光板の接着に用いられる場合、酸成分によるポリビニルアルコール系偏光子のポリエン化を抑制するために、光学粘着シート20は酸の含有量が小さいことが好ましい。このような酸フリーの光学粘着シート20は、(メタ)アクリル酸などの有機酸モノマーの含有量が、好ましくは100ppm以下、より好ましくは70ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。光学粘着シート20の有機酸モノマー含有量は、光学粘着シート20を純水中に浸漬して100℃で45分加温し、これによって水中に抽出された酸モノマーをイオンクロマトグラフで定量することにより求められる。
光学粘着シート20中の酸モノマー含有量の低減の観点からは、ベースポリマーを構成するモノマー成分における(メタ)アクリル酸などの有機酸モノマー成分の量が少ないことが好ましい。そのため、光学粘着シート20を酸フリーとするためには、ベースポリマーがモノマー成分として有機酸モノマー(カルボキシ基含有モノマー)を実質的に含有しないことが好ましい。酸フリー粘着シートにおいては、ベースポリマーのモノマー成分の合計100質量部に対するカルボキシ基含有モノマーの量は、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下であり、理想的には0である。
アクリルベースポリマーは、モノマー成分として、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび極性基含有モノマー以外の他のモノマーを含んでいてもよい。他のモノマー成分としては、上記以外のビニル系モノマー、上記以外のシアノアクリレート系モノマー、グリコール系アクリルエステルモノマー、および、上記以外のアクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。上記以外のビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、スルホン酸基含有モノマー、燐酸基含有モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、およびα-メチルスチレンが挙げられる。上記以外のシアノアクリレート系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。グリコール系アクリルエステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、および(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールが挙げられる。上記以外のアクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、およびシリコーン(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができ、例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。モノマーのホモポリマーのTgとしては、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)のピークトップ温度を採用してもよい。ピークトップ温度の具体的な測定方法は、例えば、特開2007-51271号公報に記載されている。
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
ゲル分率は、酢酸エチル等の溶媒に対する不溶分として求めることができる。具体的には、試料としての粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料に対する重量分率(単位:質量%)として、ゲル分率は求められる。一般的に、ポリマーの架橋度が高いほど当該ポリマーのゲル分率は高い傾向にある。ゲル分率(架橋構造の導入量)は、例えば、架橋構造の導入方法の選択、架橋剤の種類の選択、架橋剤の使用量により、調整できる。
ベースポリマーへの架橋構造の導入方法としては、例えば、架橋剤と反応可能な官能基を有するベースポリマーを重合した後に、架橋剤を添加して、ベースポリマーと架橋剤とを反応させる方法(第1の方法)、および、ベースポリマーの重合成分に多官能化合物を含めることにより、ポリマー鎖に分枝構造(架橋構造)を導入する方法(第2の方法)が挙げられる。これらを併用して、ベースポリマーに複数種の架橋構造を導入してもよい。
第1の方法では、重合後のベースポリマーに架橋剤を添加し、必要に応じて加熱することにより、ベースポリマーに架橋構造が導入される。架橋剤としては、ベースポリマーに含まれる官能基(例えば、ヒドロキシ基およびカルボキシ基)と反応する化合物が挙げられる。架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、および金属キレート架橋剤が挙げられる。
第1の方法における架橋剤としては、ベースポリマーの官能基(例えば、ヒドロキシ基およびカルボキシ基)との反応性が高く、架橋構造の導入が容易であることから、イソシアネート架橋剤およびエポキシ架橋剤が好ましい。これらの架橋剤は、ベースポリマー中に導入された官能基(例えば、ヒドロキシ基およびカルボキシ基)と反応して架橋構造を形成する。ベースポリマーがカルボキシ基を含まない酸フリーの粘着剤では、イソシアネート架橋剤を用いて、ベースポリマー中のヒドロキシ基と、イソシアネート架橋剤との反応により架橋構造を形成することが好ましい。
イソシアネート架橋剤としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが用いられる。イソシアネート架橋剤としては、例えば、低級脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族イソシアネート類、芳香族イソシアネート類、およびイソシアネート付加物が挙げられる。低級脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。脂環族イソシアネート類としては、例えば、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。芳香族イソシアネート類としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートが挙げられる。イソシアネート付加物としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートHL」)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学製「タケネートD110N」)、および、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、東ソー製「コロネートHX」)が挙げられる。
上記第2の方法では、アクリルベースポリマーを構成するモノマー成分と、架橋構造を導入するための多官能化合物の全量とを、一度に反応(重合)させてもよく、多段階で重合させてもよい。多段階で重合する方法では、例えば、まず、ベースポリマーを構成する単官能モノマーを重合(予備重合)して、部分重合物(プレポリマー組成物)を調製する。次に、プレポリマー組成物に多官能(メタ)アクリレートなどの多官能化合物を添加して、プレポリマー組成物と多官能モノマーとを重合(本重合)させる。プレポリマー組成物は、低重合度の重合物と未反応のモノマーとを含む部分重合物である。
アクリルベースポリマーの構成成分を予備重合することにより、多官能化合物による分枝点(架橋点)を、ベースポリマーに均一に導入できる。また、低分子量のポリマーまたは部分重合物と未重合のモノマー成分との混合物(粘着剤組成物)を基材上に塗布した後、基材上で本重合し、光学粘着シート20を形成することもできる。プレポリマー組成物等の低重合組成物は低粘度で塗布性に優れるため、プレポリマー組成物と多官能化合物との混合物である粘着剤組成物を塗布後に基材上で本重合する方法は、光学粘着シート20の生産性の観点および厚さの均一化の観点から好ましい。
架橋構造の導入に用いる多官能化合物としては、例えば、不飽和二重結合を有する重合性の官能基(エチレン性不飽和基)を、1分子中に2個以上含有する化合物が挙げられる。多官能化合物としては、アクリルベースポリマーのモノマー成分との共重合が容易であることから、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。活性エネルギー線重合(光重合)により分枝(架橋)構造を導入する場合は、多官能アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ブタジエン(メタ)アクリレート、およびイソプレン(メタ)アクリレートが挙げられる。
アクリルベースポリマーにおいて架橋構造の導入により粘弾性(例えば、貯蔵弾性率G’および損失正接tanδ)を適切に調整する観点から、多官能(メタ)アクリレートなどの多官能化合物の分子量は、好ましくは1500以下、より好ましくは1000以下である。多官能化合物の官能基当量(g/eq)は、好ましくは50以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80である。同官能基当量は、好ましくは500か、より好ましくは300以下、更に好ましくは200である。
アクリルベースポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合、活性エネルギー線重合法、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。粘着剤の透明性、耐水性、およびコストの点では、溶液重合法および活性エネルギー線重合法(例えばUV重合)が好ましい。溶液重合の溶媒としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが挙げられる。
アクリルベースポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤および熱重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、および、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、および、過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤(例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、および、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ)が挙げられる。
重合においては、例えば分子量調整の観点から、連鎖移動剤および重合禁止剤(重合遅延剤)を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、α-チオグリセロール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール等のチオール類、およびα-メチルスチレン二量体が挙げられる。
重合開始剤の種類および量を調整することにより、ベースポリマーの分子量を調整できる。例えば、ラジカル重合では、重合開始剤の量が多いほど、反応系のラジカル濃度が高いため、反応開始点の密度が高くポリマー分子量が小さくなる傾向がある。逆に、重合開始剤の量が少ないほど、反応開始点の密度が小さいため、ポリマー鎖が伸長しやすく、ポリマー分子量が大きくなる傾向がある。
粘着剤層21において高い接着力を実現するには、アクリルベースポリマーが、小さな架橋点密度で高いゲル分率を有することが好ましい。小さな架橋密度でゲル分率(架橋構造が導入されているポリマー鎖の比率)を高めるためには、ベースポリマーの分子量(ポリマー鎖の長さ)を大きくすればよい。ベースポリマーの分子量を大きくするためには、ベースポリマーを重合する際の重合開始剤の使用量を少なくすることが好ましい。
ベースポリマー重合時の重合開始剤の使用量は、例えば、重合反応の種類、モノマーの組成、重合開始剤の種類、および目的分子量に応じて、適宜設定される。ベースポリマーの分子量を大きくして、少ない架橋剤でゲル分率を高める観点から、重合開始剤の使用量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.003質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上である。同使用量は、好ましくは0.4質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下である。
イソシアネート架橋剤により架橋構造を導入する場合、溶液重合によりベースポリマーを重合した後、当該重合溶液に架橋剤を添加し、同溶液を必要に応じて加熱し、ベースポリマーに架橋構造を導入することが好ましい。多官能(メタ)アクリレートなどの多官能化合物により架橋構造を導入する場合、溶液重合または活性エネルギー線重合により、ベースポリマーの重合またはプレポリマー組成物の調製を行い、当該重合溶液に多官能化合物を添加し、更なる活性エネルギー線重合により多官能化合物による架橋構造を導入することが好ましい。
プレポリマー組成物は、例えば、アクリルベースポリマーを構成するモノマー成分と重合開始剤とを混合した組成物(プレポリマー形成用組成物)を、部分重合(予備重合)させることにより調製できる。プレポリマー形成用組成物中のモノマー成分は、アクリルベースポリマーを構成するモノマー成分のうち、単官能モノマー成分であることが好ましい。この単官能モノマー成分は、例えば、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび極性基含有モノマーである。プレポリマー形成用組成物は、単官能モノマーに加えて、多官能モノマーを含有してもよい。例えば、多官能モノマーの一部をプレポリマー形成用組成物に含有させ、予備重合後に多官能モノマー成分の残部を添加して本重合してもよい。
プレポリマーの重合率は特に限定されないが、基材上への塗布に適した粘度とする観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以上、より好ましくは40質量%以下である。プレポリマーの重合率は、光重合開始剤の種類の選択および使用量の調整、並びに、UV光などの活性エネルギー線の照射強度および照射時間の調整によって、調整できる。
粘着シートは、アクリルベースポリマーに加えて、オリゴマーを含んでいてもよい。アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、例えば1000以上であり、また、例えば30000以下である。アクリルオリゴマーは、主たる構成モノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する。
粘着シートの接着力を高める観点から、アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上である。架橋構造が導入された低Tgのアクリルベースポリマーと高Tgのアクリルオリゴマーとの併用により、粘着剤層21において、接着力が向上する傾向があり、特に高温での接着保持力が向上する傾向がある。アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下である。アクリルオリゴマーのガラス転移温度は、上記Fox式により算出される。
ガラス転移温度が60℃以上のアクリルオリゴマーは、構成モノマー成分として、好ましくは、直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および/または、脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。これらの具体例は、アクリルベースポリマーの構成モノマーとして上記したとおりである。
アクリルオリゴマーにおいて、直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ガラス転移温度が高く、ベースポリマーとの相溶性に優れることから、メタクリル酸メチルが好ましい。脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、およびメタクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。好ましくは、アクリルオリゴマーは、構成モノマー成分として、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロヘキシル、およびメタクリル酸シクロヘキシルからなる群より選択される一種以上と、メタクリル酸メチルとを含む。
アクリルオリゴマーを構成するモノマー成分全量に対する、直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。また、アクリルオリゴマーを構成するモノマー成分全量に対する、脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは2000である。同重量平均分子量は、好ましくは30000以下、より好ましくは10000以下、更に好ましくは8000以下である。このような範囲の分子量を有するアクリルオリゴマーは、粘着剤層21において良好な接着力および接着保持力を実現するのに適する。
アクリルオリゴマーは、上記モノマー成分を各種の重合方法により重合することにより得られる。アクリルオリゴマーの重合に際しては、各種の重合開始剤を用いてもよい。また、当該重合反応には、分子量の調整の観点から連鎖移動剤を用いてもよい。
粘着剤層21の接着力を十分に高める観点から、粘着剤層21におけるベースポリマー100質量部に対するアクリルオリゴマーの量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。粘着剤層21におけるアクリルオリゴマーの量は、ベースポリマー100質量部に対して、1.3質量部以上、1.5質量部以上、1.8質量部以上、2質量部以上、2.3質量部以上、または2.5質量部以上であってもよい。高Tgアクリルオリゴマーの添加量が大きいほど、粘着剤層21の接着力は向上する傾向にある。
粘着剤層21におけるアクリルオリゴマーの添加量が過度に大きい場合、相溶性の低下に起因して粘着剤層21のヘイズが上昇して透明性が低下する傾向がある。画像表示パネルよりも視認側に配置される光学粘着シートには高い透明性が求められるため、光学粘着シート20(粘着剤層21)におけるアクリルオリゴマーの量は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは6質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
アクリルベースポリマー(またはプレポリマー組成物)に、アクリルオリゴマーと、架橋構造度を導入するための架橋剤および/または多官能化合物と、必要に応じて配合されるその他の添加剤とを混合して、粘着剤層21形成用の粘着剤組成物を調製する。粘着剤組成物には、必要に応じて、アクリルベースポリマーを構成するモノマー成分の残部を添加してもよい。粘度調整等を目的として、増粘性添加剤等を用いてもよい。
粘着剤組成物がプレポリマー組成物と多官能化合物とを含有する場合、粘着剤組成物には、本重合のための光重合開始剤および連鎖移動剤を添加することが好ましい。 予備重合後に、プレポリマー組成物に、本重合のための重合開始剤を添加してもよい。予備重合の際の重合開始剤がプレポリマー組成物中で失活せずに残存している場合は、本重合のための重合開始剤の添加を省略してもよい。粘着剤組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。
粘着剤組成物は、不揮発分全量に対するアクリルベースポリマー(またはプレポリマー組成物)の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
粘着剤組成物における架橋剤および/または多官能化合物の量は、ゲル分率が上記範囲内となるように調整される。上述のように、貯蔵弾性率G’が小さく且つ接着力に優れる粘着剤層21を得るためには、アクリルベースポリマーの分子量を大きくして、小さな架橋点密度でゲル分率を高くすることが好ましい。例えば、イソシアネート架橋剤により架橋構造を導入する場合、架橋剤の量は、アクリルベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部である。架橋剤の量は、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。多官能(メタ)アクリレートにより架橋構造を導入する場合、多官能(メタ)アクリレートの量は、アクリルベースポリマー(プレポリマー)100質量部に対して、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上である。多官能(メタ)アクリレートの量は、好ましくは0.3質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。
粘着剤層21の接着力の調整の観点から、粘着剤組成物中に、シランカップリング剤を添加してもよい。粘着剤組成物にシランカップリング剤が添加される場合、そのシランカップリング剤の添加量は、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。
粘着剤組成物は、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤が挙げられる。
光学粘着シート20は、例えば、上述の粘着性組成物をセパレータ10上に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥させることによって、製造できる。
粘着性組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
粘着性組成物が架橋剤を含む場合、上述の乾燥と同時に又はその後のエージングによって、架橋反応が進行する。エージング条件は、架橋剤の種類によって適宜設定される。エージング温度は、例えば20℃~160℃である。エージング時間は、例えば、1分から7日である。
また、エージングの前または後に、セパレータ10上の粘着剤層21の上に更にセパレータ10を積層するのが好ましい。
粘着剤組成物がプレポリマー組成物と多官能化合物等を含む光重合性の組成物である場合、セパレータ10上に粘着剤組成物を層状に塗布した後、活性光線を照射することにより光硬化が行われる。光硬化を行う際は、塗布層の表面にカバーシートを付設して、粘着剤組成物を2枚のシート間に挟持した状態で活性光線を照射して、酸素による重合阻害を防止することが好ましい。
活性光線は、モノマー成分、重合性成分(例えば多官能(メタ)アクリレート)の種類、および光重合開始剤の種類に応じて選択される。一般には、紫外線および/または短波長の可視光が用いられる。照射光の積算光量は、例えば100~5000mJ/cm2程度である。光照射のための光源としては、粘着剤組成物に含まれる光重合開始剤が感度を有する波長範囲の光を照射可能な光源が使用される。光源としては、例えば、LED光源、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、およびキセノンランプが挙げられる。
以上のようにして、セパレータ10によって両面が被覆された光学粘着シート20(セパレータ付き粘着シートX)を製造できる。
粘着剤層21の厚さは、被着体に対する充分な粘着性を確保する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。光学粘着シート20のハンドリング性の観点からは、粘着剤層21の厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
粘着剤層21のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。粘着剤層21のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
粘着剤層21における、白色LED光源から出射される光の透過率は、例えば50%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。このような構成は、白色LED光源を用いての異物検査を適切に実施する観点から好ましい。また、粘着剤層21における、赤外線透過率は、例えば50%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。このような構成は、赤外線を用いての異物検査を適切に実施する観点から好ましい。
セパレータ付き粘着シートXにおいては、二枚のセパレータ10が光学粘着シート20(粘着剤層21)を保護する。具体的には、セパレータ10は、例えば光学粘着シート搬送時において光学粘着シート20に傷および打痕が生ずるのを抑制または防止する。また、セパレータ10は、光学粘着シート20に対して環境異物が付着するのを抑制または防止する(これにより、光学粘着シート20からその被着体への環境異物の転写が抑制または防止される)。
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〔実施例1〕
クリーンルーム内において、基材フィルムとしてのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(商品名「ゼオノアフィルム ZF16」,厚さ50μm,日本ゼオン製)の片面にシリコーン系離型層を形成することにより、実施例1のセパレータを作製した。クリーンルーム内の空気清浄度は、ISO 14644-1の規格において、クラス3である。シリコーン系離型層の形成においては、まず、付加型シリコーン組成物(商品名「LTC761」,東レ・ダウコーニング製)30質量部と、シリコーンディスパージョン(商品名「BY 24-850」,東レ・ダウコーニング製)0.9質量部と、シリコーン硬化用白金触媒(商品名「SRX 212」,東レ・ダウコーニング製)2質量部との混合物を、トルエンとヘキサンとの混合溶媒(トルエンとヘキサンの体積比は1:1)により希釈して、離型剤溶液を調製した。次に、この溶液を厚さ50μmのCOPフィルムの一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機内で1分間の加熱乾燥を行った。これにより、実施例1のセパレータを作製した。実施例1のセパレータは、基材フィルムとしてのCOPフィルムと、その一方面上のシリコーン離型層とを備える。
クリーンルーム内において、基材フィルムとしてのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(商品名「ゼオノアフィルム ZF16」,厚さ50μm,日本ゼオン製)の片面にシリコーン系離型層を形成することにより、実施例1のセパレータを作製した。クリーンルーム内の空気清浄度は、ISO 14644-1の規格において、クラス3である。シリコーン系離型層の形成においては、まず、付加型シリコーン組成物(商品名「LTC761」,東レ・ダウコーニング製)30質量部と、シリコーンディスパージョン(商品名「BY 24-850」,東レ・ダウコーニング製)0.9質量部と、シリコーン硬化用白金触媒(商品名「SRX 212」,東レ・ダウコーニング製)2質量部との混合物を、トルエンとヘキサンとの混合溶媒(トルエンとヘキサンの体積比は1:1)により希釈して、離型剤溶液を調製した。次に、この溶液を厚さ50μmのCOPフィルムの一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機内で1分間の加熱乾燥を行った。これにより、実施例1のセパレータを作製した。実施例1のセパレータは、基材フィルムとしてのCOPフィルムと、その一方面上のシリコーン離型層とを備える。
〔実施例2〕
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、フィラーレスのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「38-U41」,厚さ38μm,東レ製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、実施例2のセパレータを作製した。
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、フィラーレスのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「38-U41」,厚さ38μm,東レ製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、実施例2のセパレータを作製した。
〔比較例1〕
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー XD500P」,厚さ75μm,フィラー含有PETフィルム,東レ アドバンストマテリアルズ コリア製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例1のセパレータを作製した。
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「ルミラー XD500P」,厚さ75μm,フィラー含有PETフィルム,東レ アドバンストマテリアルズ コリア製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例1のセパレータを作製した。
〔比較例2〕
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「トレファン #30-2500H」,厚さ75μm,フィラー含有フィルム,東レ製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例2のセパレータを作製した。
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「トレファン #30-2500H」,厚さ75μm,フィラー含有フィルム,東レ製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例2のセパレータを作製した。
〔比較例3〕
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「ダイアホイル T100C50」,厚さ50μm,フィラー含有のPETフィルム,三菱ケミカル製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例3のセパレータを作製した。
基材フィルムとして、COPフィルムの代わりに、二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「ダイアホイル T100C50」,厚さ50μm,フィラー含有のPETフィルム,三菱ケミカル製)を用いたこと以外は実施例1のセパレータと同様にして、比較例3のセパレータを作製した。
〈セパレータの異物測定〉
実施例1,2および比較例1~3の各セパレータについて、異物の量およびサイズを調べた。具体的には、下記の評価方法によって得られる異物面積割合Rと、異物最大長さLと、第1範囲の異物の個数N1と、第2範囲の異物の個数N2とを調べた。
実施例1,2および比較例1~3の各セパレータについて、異物の量およびサイズを調べた。具体的には、下記の評価方法によって得られる異物面積割合Rと、異物最大長さLと、第1範囲の異物の個数N1と、第2範囲の異物の個数N2とを調べた。
[評価方法]
下記の光源とカメラデバイスとを備える評価用装置を使用して、下記の第1ステップ~第3ステップを実施した。
下記の光源とカメラデバイスとを備える評価用装置を使用して、下記の第1ステップ~第3ステップを実施した。
光源:評価用のサンプルに対して検査用光を照射するための白色LED光源
カメラデバイス:検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
カメラデバイス:検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
〈第1ステップ〉
まず、平面視サイズ50mm×50mmのセパレータを評価用のサンプルとして用意した。次に、サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを評価用装置にセットした。本ステップでは、評価用装置が備えるチャック機構にサンプルの外方領域を把持させることにより、サンプルを評価用装置にセットした。
まず、平面視サイズ50mm×50mmのセパレータを評価用のサンプルとして用意した。次に、サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを評価用装置にセットした。本ステップでは、評価用装置が備えるチャック機構にサンプルの外方領域を把持させることにより、サンプルを評価用装置にセットした。
〈第2ステップ〉
評価用装置にセットされたサンプルに対して白色LED光源から検査用光を照射しつつ、内方領域の全体にわたり、カメラデバイスによってサンプル透過光およびサンプル反射光を受光した。これにより、内方領域にわたって受光データを取得した。
評価用装置にセットされたサンプルに対して白色LED光源から検査用光を照射しつつ、内方領域の全体にわたり、カメラデバイスによってサンプル透過光およびサンプル反射光を受光した。これにより、内方領域にわたって受光データを取得した。
〈第3ステップ〉
受光データを用いて、内方領域の平面視投影の投影面における異物(内方領域に存在する異物のそれぞれ)の位置情報および投影像情報を導出した。第3ステップで導出される位置情報には、上記の投影面をX-Y平面とするXY座標情報と、当該X-Y平面に直交する厚さ方向をZ方向とするZ座標情報とが含まれる。第3ステップで導出される投影像情報は、それに基づいて、異物の総面積と、各異物のサイズと、異物のサイズ分布とを、導出可能な情報である。
受光データを用いて、内方領域の平面視投影の投影面における異物(内方領域に存在する異物のそれぞれ)の位置情報および投影像情報を導出した。第3ステップで導出される位置情報には、上記の投影面をX-Y平面とするXY座標情報と、当該X-Y平面に直交する厚さ方向をZ方向とするZ座標情報とが含まれる。第3ステップで導出される投影像情報は、それに基づいて、異物の総面積と、各異物のサイズと、異物のサイズ分布とを、導出可能な情報である。
異物面積割合Rは、上記の評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合である。異物面積割合Rについては、10%以下である場合を“優”と評価し、10%を超え且つ20%以下である場合を“良”と評価し、20%を超える場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に示す。
異物最大長さLは、前記平面視投影において最大の異物が有する最大長さである。異物最大長さLについては、15μm以下である場合を“優”と評価し、15μmを超え且つ30μm以下である場合を“良”と評価し、30μmを超え且つ50μm以下である場合を“可”と評価し、50μmを超える場合を“不良”と評価した。その評価結果を表1に示す。
個数N1は、前記平面視投影における最大長さが20μm以上30μm以下の異物の個数である。個数N2は、前記平面視投影における最大長さが15μm以上30μm以下の異物の個数である。これらを表1に示す。比較例1~3の各セパレータでは、N1は20を超え、N2は100を超えた。
〈表面粗さ〉
実施例1,2および比較例1~3の各セパレータの表面粗さを調べた。具体的には、まず、セパレータの離型層の露出表面の表面粗さRa(算術平均粗さ)を、走査型白色干渉計(商品名「NewView7300」,Zygо社製)による0.7mm×0.52mmの観察像から求めた。また、セパレータの離型層の露出表面の表面粗さRz(十点平均粗さ)を、上記走査型白色計による0.7mm×0.52mmの観察像から求めた。各表面粗さRa,Rz(nm)を表1に示す。
実施例1,2および比較例1~3の各セパレータの表面粗さを調べた。具体的には、まず、セパレータの離型層の露出表面の表面粗さRa(算術平均粗さ)を、走査型白色干渉計(商品名「NewView7300」,Zygо社製)による0.7mm×0.52mmの観察像から求めた。また、セパレータの離型層の露出表面の表面粗さRz(十点平均粗さ)を、上記走査型白色計による0.7mm×0.52mmの観察像から求めた。各表面粗さRa,Rz(nm)を表1に示す。
10 セパレータ
11 基材フィルム
12 離型層
20 光学粘着シート
21 粘着剤層
X セパレータ付き光学粘着シート
11 基材フィルム
12 離型層
20 光学粘着シート
21 粘着剤層
X セパレータ付き光学粘着シート
Claims (5)
- 下記の評価方法による平面視投影の投影面における異物の投影面積の合計の割合が20%以下である、セパレータ。
評価方法:下記の光源とカメラデバイスとを備える装置を使用して、下記の第1ステップ~第3ステップを実施する。
光源:評価用のサンプルに対して検査用光を照射するための白色LED光源
カメラデバイス:前記検査用光のサンプル透過光およびサンプル反射光を撮像可能に配置され、且つ2.8μmの分解能を有する、カメラデバイス
第1ステップ:平面視サイズ50mm×50mmのセパレータを評価用のサンプルとして用意し、当該サンプルにおける外方領域に囲まれた内方領域(30mm×30mm)を前記カメラデバイスによって撮像できる状態で、当該サンプルを前記装置にセットする。
第2ステップ:前記サンプルに対して前記白色LED光源から検査用光を照射しつつ、前記カメラデバイスを用いてサンプル透過光および/またはサンプル反射光を受光して、前記内方領域にわたって受光データを取得する。
第3ステップ:
前記受光データを用いて、前記内方領域の平面視投影の投影面における異物の位置情報および投影像情報を導出する。 - 前記平面視投影において最大の異物が有する最大長さが30μm以下である、請求項1に記載のセパレータ。
- 前記平面視投影における最大長さが20μm以上30μm以下の異物の個数が5以下である、請求項1または2に記載のセパレータ。
- 前記平面視投影における最大長さが15μm以上30μm以下の異物の個数が10以下である、請求項1から3のいずれか一つに記載のセパレータ。
- 前記セパレータが、表面粗さRaが20nm以下の表面を有する、請求項1から4のいずれか一つに記載のセパレータ。
Priority Applications (4)
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