JP2022058172A - 複合基板およびその製造方法、ならびに当該複合基板を備える半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複合基板及びその製造方法を提供する。【解決手段】複合基板14は、ダイヤモンド粒子10と金属を含む複合材料から形成され、第1表面180A及び第1表面の反対側に第2表面180Bを有する基層180と、基層の第1表面に結合される下面82Bと、表面粗さRaが10nm以下である上面82Aを有する平坦層82と、平坦層の上面に直接接合された絶縁層84と、を備える。【選択図】図4A

Description

本開示は、ダイヤモンドおよび金属を含む複合基板およびその製造方法、ならびに当該複合基板を備える半導体装置に関する。
半導体発光素子の光出力が増加するに伴って、半導体素子の放熱が重要な課題になっている。半導体素子の放熱は、半導体発光素子だけではなく、高速で演算処理を実行する半導体集積回路素子、マイクロ波の発振を行うモノリシックマイクロ波集積回路素子などでも重要な課題のひとつである。
このように動作時に発熱する半導体素子からの放熱を行うため、半導体素子の熱を散逸させる複合基板などの放熱部材の開発が進められている。放熱部材には、高い熱伝導率を有することが求められる。複合基板の有望な材料として、ダイヤモンドと金属を含む複合材料の開発が進められている。この複合材料は、金属に比べて熱伝導率の高いダイヤモンドの粒子が銅(Cu)などの金属中に分散している。
特許文献1には、ダイヤモンド粒子がCu中に分散された複合材料の例が開示されている。特許文献2には、ダイヤモンド粒子を金属層で被覆してからCu粉末と焼結して複合材料を作製する方法が開示されている。特許文献3には、ダイヤモンド粉末と、金属と、添加物の粉末を主成分とする合金複合体にメッキにより金属層を形成した放熱基板が開示されている。
特表2019-502251号公報 特開2008-248324号公報 国際公開第2016/056637号
本開示は、新しい複合基板およびその製造方法、ならびに当該複合基板を備える半導体装置を提供する。
本開示の複合基板は、例示的な実施形態において、ダイヤモンドと金属を含む複合材料から形成され、第1表面、および前記第1表面の反対側に第2表面を有する基層と、前記基層の前記第1表面に結合される下面と、表面粗さRaが10nm以下である上面を有する平坦層と、前記平坦層の前記上面に直接接合された絶縁層とを備える。
本開示の半導体装置は、上記の複合基板と、前記複合基板の前記絶縁層上に支持され、前記基板と電気的に接続された半導体素子とを備える。
本開示の複合基板の製造方法は、例示的な実施形態において、ダイヤモンドと金属を含む複合材料から形成され、第1表面、および前記第1表面の反対側に第2表面を有する基層と、前記基層の前記第1表面に結合される下面と、表面粗さRaが10nm以下である上面を有する平坦層と、を有する積層体を準備する工程と、前記平坦層の前記上面に絶縁層を直接接合する工程と、を含む。
新しい複合基板およびその製造方法、ならびに当該複合基板を備える半導体装置を提供することができる。
図1は、ダイヤモンドおよびCuなどの材料について、熱膨張係数および熱伝導率をプロットしたグラフである。 図2は、ダイヤモンド粒子の一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、本開示の実施形態における複合基板の斜視図である。 図4Aは、本開示の実施形態における基板の構成例を模式的に示す断面図である。 図4Bは、本開示の実施形態における基板の直接接合前における状態を模式的に示す断面図である。 図5は、本開示の実施形態における複合基板の直接接合前における他の状態を模式的に示す断面図である。 図6は、本開示の実施形態における複合基板の直接接合前における他の状態を模式的に示す断面図である。 図7Aは、本開示の実施形態による複合基板の製造方法における主な工程を示すフローチャートである。 図7Bは、本開示の実施形態による積層体を準備する工程の例を示すフローチャートである。 図7Cは、本開示の実施形態による積層体を準備する工程の他の例を示すフローチャートである。 図7Dは、本開示の実施形態におけるCu-ダイヤモンド複合材料の基層を形成する工程を示すフローチャートである。 図8は、本開示の実施形態における混合粉末に含まれるダイヤモンド粒子の例を示す写真である。 図9は、本開示の実施形態におけるパルス通電焼結法に用いられる焼結装置の構成例を示す模式図である。 図10は、パルス通電焼結工程の開始から終了までの間の時間の経過と、混合粉末の温度および圧力の関係の例を模式的に示す図である。 図11Aは、パルス通電焼結工程の開始から終了までの間の時間の経過と、混合粉末の温度および圧力の関係の他の例を模式的に示す図である。 図11Bは、パルス通電焼結工程の開始から終了までの間の時間の経過と、混合粉末の温度および圧力の関係の他の例を模式的に示す図である。 図12は、本開示の実施形態により製造された複合材料の外形を模式的に示す斜視図である。 図13は、本開示の実施形態により製造された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図14は、本開示の実施形態において薄肉化処理が施された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図15は、本開示の実施形態において薄肉化処理およびパルス通電焼結が順次施された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図16は、本開示の実施形態において金属層が形成された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図17は、本開示の実施形態において金属層上に絶縁層が形成された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図18は、本開示の実施形態において金属層上に絶縁層が形成された複合材料の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図19は、実験例における複合材料の一部について、その断面の顕微鏡写真を示す図である。 図20は、他の実験例における複合材料の一部について、その断面の顕微鏡写真を示す図である。 図21Aは、明度測定に使用される治具の一例を示す斜視図である。 図21Bは、明度測定の仕方を示す側面図である。 図21Cは、実験例13-18で得られたL*と熱伝導率の測定結果を示すグラフである。 図22は、本開示の半導体装置の一例を示す斜視図である。 図23は、本開示の半導体装置の他の例を示す断面図である。 図24は、本開示の半導体装置の更に他の例を示す断面図である。 図25は、本開示の半導体装置の他の実施形態である発光装置の構成例を示す断面図である。
本開示の実施形態を説明する前に、本発明者が見出した知見およびその技術背景を説明する。
図1は、ダイヤモンドおよびCuなどの材料について、熱膨張係数および熱伝導率をプロットしたグラフである。グラフの横軸は熱膨張係数、縦軸が熱伝導率である。熱膨張係数は単位長さあたりの熱膨張率であり、単位は[10-6/K]である。熱伝導率の単位は、[W/m・K (ワット毎メートル毎ケルビン)]である。
単結晶のダイヤモンドは、物質中で高い熱伝導率を有し、理想的には2000[W/m・K]を超える極めて高い値を示す。多結晶ダイヤモンド粒子の熱伝導率は、例えば900~1800[W/m・K]程度である。CVD法などによって作製されるダイヤモンド粒子の熱伝導率は、例えば900~1800[W/m・K]程度である。
図2は、ダイヤモンド粒子10の一例を模式的に示す斜視図である。図2の例におけるダイヤモンド粒子10は、例えば、六角形および四角形の面(ファセット)を表面に有する多面体の形状を有している。実際のダイヤモンド粒子では、表面に他の多角形の面が表れていたり、一部が欠損していたりしており、より複雑で多様な形状を有し得る。個々のダイヤモンド粒子の熱伝導率は、表面または内部に存在する結晶欠陥または不純物などの存在に応じて異なる値を有し得る。
一方、金属であるCuの熱伝導率は、約400[W/m・K]程度であり、銀(Ag)の熱伝導率は約420[W/m・K]程度であり、アルミニウム(Al)は約235[W/m・K]程度である。このため、Cuなどの金属中にダイヤモンド粒子を分散させた複合材料の熱伝導率は、金属の熱伝導率とダイヤモンド粒子の熱伝導率との間の中間的な値を示す。複合材料に含まれるダイヤモンド粒子の体積比率が高いほど、複合材料の熱伝導率の理論値は増加する。しかし、実際には複合材料の熱伝導率は、ダイヤモンドの体積比率だけでは単純には決まらず、Cuとダイヤモンド粒子との界面の状態も影響していると考えられる。Cuとダイヤモンドとの界面は製造工程中にダイヤモンド粒子に生じ得る欠陥または傷などによって変動し得る。
半導体素子が基板に接合されて使用される場合、半導体素子側の複合基板と接触する部材と、複合基板との間に存在する熱膨張係数の差が大きいと、剥がれなどの問題が生じ得る。このため、複合基板に使用される複合材料の熱膨張係数は、接合対象である部材の熱膨張係数に近いことが望ましい。
ダイヤモンド粒子およびCuを含む複合材料は、Cuよりも熱伝導率が高く、かつ、半導体の熱膨張係数に近い優れた特性を有している。なお、金属をマトリクスとする複合材料は、メタル・マトリクス・コンポジット(MMC)と呼ばれることがある。このため、ダイヤモンド粒子がCu中に分散した複合材料を、本明細書では、「Cu-ダイヤモンドMMC」と称する場合がある。また、単に「Cuダイヤモンド複合材料」または「複合材料」と称する場合がある。
複合材料上に設ける絶縁層の材料は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)、アルミナ(Al23)、窒化シリコン(Si34)、窒化ガリウム(GaN)である。複合材料上に設ける絶縁層は、複合基板の一部を構成し、放熱の経路上に位置するため、熱伝導率の高い材料から形成されることが好ましい。熱伝導率が比較的高い絶縁材料の例は、GaNやセラミックスのAlN、SiCである。しかし、このような材料から形成された絶縁層を上記のダイヤモンドと金属の複合材料に接合させるには、以下のような課題がある。
一般に、2つの部材を接合する方法には、例えば、無機接着剤による接合と、中間層を接合面間に介在させる接合と、固体部材同士を直接に接合する「直接接合」とがある。中間層を接合面間に介在させる接合は、金属ロウによるブレージングなどのように液相状態から固相状態に変化する中間層を用いる。中間層を接合面間に介在させる接合は、接合対象となる2つの部材の接合面に微細な凹凸が存在しても実行され得る。一方で、直接接合を行うには、接合面に表面粗さ(Ra)が10nm以下となるような平坦性が求められる。このような平坦面どうしであれば、常温で接合することが可能である。直接接合には、表面活性化接合、原子拡散接合などが含まれる。
金属ロウを使用する接合では、金属ロウの融点以上の温度で金属ロウを加熱する必要がある。この場合、複合材料と絶縁層の材料との熱膨張係数差に起因して、絶縁層が剥がれやすくなるという問題がある。また、ダイヤモンド粒子および金属を含む複合材料は、一般に、焼結工程によって形成されるが、焼結された複合材料の表面の平坦性は、直接接合を行う場合、不十分なことがある。しかも、このような複合材料の表面またはその近傍には、ダイヤモンド粒子が存在しているため、研削あるいは研磨を行っても、複合材料中のダイヤモンド粒子が脱粒したり、破断したりして、研磨面もしくは研削面には、ダイヤモンド粒子の粒径程度の凹凸が生じ得る。このため、直接接合により、例えば絶縁性セラミックスからなる絶縁層を複合材料の研磨加工面に直接接合することは難しい。
以下、本開示における複合基板およびその製造方法、半導体装置の実施形態を説明する。
<実施形態>
まず、図3、図4Aおよび図4Bを参照しながら、本開示の一実施形態における複合基板の構成例を説明する。図3は、本開示の一実施形態における複合基板14および半導体素子12の斜視図である。図4Aは、複合基板14の構成例を模式的に示す断面図であり、図4Bは、直接接合前の状態を模式的に示す断面図である。
図3に示されるように、複合基板14は、基層180と、平坦層82と、絶縁層(絶縁部材)84とを備えている。図3の例において、複合基板14の絶縁層84上には半導体素子12が配置されている。
次に、図4Aおよび図4Bを参照する。複合基板14の基層180は、ダイヤモンド粒子10と金属70を含む複合材料80から形成され、第1表面180A、および第1表面180Aの反対側に第2表面180Bを有する。複合基板14の基層180を構成する複合材料80の具体的構造およびその製造方法は特に限定されないが、複合材料80は熱伝導性に優れたCu-ダイヤモンドMMCやAl-ダイヤモンドMMC、Ag-ダイヤモンドMMCであることが望ましい。本開示の一実施形態で使用され得る複合材料80の構造および製造方法の詳細については、後述する。
平坦層82は、基層180の第1表面180Aに結合される下面82Bと、表面粗さRaが10nm以下である上面82Aを有する。平坦層82の形成方法の詳細についても、後述する。絶縁層84は、平坦層82の上面82Aに直接接合されている。より詳細には、絶縁層84は、上面84Aと表面粗さが10nm以下である下面84Bとを有し、下面84Bが平坦層82の上面82Aに直接接合されている。
ある実施形態において、平坦層82は、Cu、Ag、Au、Al、CuW、CuMo、AlN、SiN、SiO2からなる群から選択された1または2以上の材料を含んで形成されている。好ましい実施形態において、平坦層82は、複合材料80の熱膨張係数の2倍以上の熱膨張係数を有する材料から形成されている。平坦層と絶縁層とは、直接接合されるので、熱膨張係数差が2倍以上であっても意図的な加熱を必要とせずに、接合することが可能である。このような材料は熱伝導率が高い材料が多く、これにより、平坦層を設けることによる熱伝導率の低下を低減することができる。熱膨張係数が複合材料の熱膨張係数の2倍以上ある材料としては、例えば、Cu、Ag、Au、Alが挙げられる。平坦層82の厚さは、例えば、50μm以上1000μm以下である。好ましくは、50μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以上200μm以下である。これらの範囲であれば、平坦層を設けることによる熱伝導率の低下を低減することができる。
ある実施形態において、絶縁層84は、熱伝導性に優れる材料が好ましい。絶縁層84としては、例えば、GaNやセラミックスのAlN、SiCから形成される。絶縁層84の厚さは、例えば200μm以下である。絶縁層84が厚すぎると、複合基板14の放熱機能が発揮されにくくなる。また、絶縁層84が薄すぎると、電気絶縁性を十分に確保できなくなる。絶縁層84の厚さは、200μm未満、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。絶縁層84の厚さが上記範囲であれば、複合基板の熱伝導率の低下を低減することができる。また、絶縁層84は5μm以上である。5μm以上とすることで電気絶縁性を確保することができる。また、例えば、厚さが100μm以下の絶縁層84を形成する必要がある場合は、製造工程において絶縁層のハンドリング性を高めるために、複合基板を作製したあとで研磨等により所望の厚さを有する絶縁層84を形成することができる。ただし、予め所望の厚さを有する絶縁層84を準備して、平坦層と直接接合することも可能である。
「直接接合」の方法は、特定の方法に限定されず、例えば、表面活性化接合、および原子拡散接合のいずれかを採用することができる。表面活性化接合では、真空中で接合面を清浄化することにより、活性な表面状態を実現して接合する。清浄化は例えば、接合面にイオンビームを照射することで行われる。原子拡散接合では、例えば、各接合面に1nm以上500nm以下の厚さを有する金属層を形成した後、真空中または不活性ガス中でそれぞれの接合面を接触させることにより、金属原子が相互に拡散して金属原子どうしが直接に結合することが可能になる。なお、接合前に互いの接合面にアルゴンプラズマ、イオンビーム、または原子ビームを真空中で照射して各接合面の表面清浄化および活性化を行ってから、接合面どうしを接触させてもよい。これらのような直接接合によれば、接着剤などの接合部材を用いることなく、原子どうしの結びつきで強固な接合が実現する。このため、接合面における熱伝導性の低下が抑制され得る。
原子拡散接合を行う場合、複合基板14と熱的に接する半導体素子12が動作中に発する熱で昇温して達する最高温度、例えば200℃程度以下の比較的低い温度で直接接合を実現することができる。しかし、このような温度で直接接合を実行する場合には、接合面の表面粗さ(Ra)は10nm以下、好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは1nm以下であることが必要になる。このような比較的低い温度で実行され得る直接接合によれば、平坦層82と絶縁層84とを接合する際に高温の環境を必要としないので、接合界面は両者の熱膨張係数差による応力の影響を受けにくく、高い接合強度が得られる。また、このことは、平坦層82および絶縁層84の材料を選択するとき、両者の熱膨張係数に比較的大きな差異が存在してもよいことを意味し、材料選択の自由度を高める。具体的には、高い熱伝導性を示すセラミックスのAlNを用いて絶縁層84を形成する場合、本開示の実施形態によれば、AlNの熱膨張係数の2倍以上の熱膨張係数を有するCu、Ag、Au、Alから平坦層82を形成することが可能になる。
次に、図5を参照して、直接接合の工程の例を説明する。ここでは、直接接合として原子拡散接合を利用する形態を説明する。図5の例において、絶縁層84の下面84Bには、金属層90が形成されている。同様に、平坦層82の上面82Aには金属層92が形成されている。金属層90、92は、任意の金属材料から形成されるが、好ましくは、Ti、Al、Au、Cu、もしくはTaの金属、またはこれらの合金から形成され得る。金属層90、92は、それぞれ、絶縁層84の下面84B、および、平坦層82の上面82Aに対して、真空蒸着またはスパッタリングなどによって形成され得る。金属層90、92のそれぞれの厚さは、例えば1nm以上500nm以下である。
金属層90、92は、下地である金属層および絶縁層の平坦性を反映して平坦な表面を有している。直接接合の工程中に、互いに接触した金属層90と金属層92との間では、例えば200℃以下、50℃以下または40℃以下でも、原子が相互に拡散して結合が進行する。このような常温接合が実現するには、金属層90、92のそれぞれの表面が、形成直後から直接接合開始までの間、清浄に保たれている必要がある。このため、金属層90、92の形成工程、および、その後の直接接合は、大気から遮断された真空チャンバ内で連続して実行されることが好ましい。ただし、金属層90,92の材料としてAuを利用する場合は、大気中で接合してもよい。Auは比較的安定な金属であり、大気中でも表面に自然酸化膜を形成しにくい。また、Au表面に自然酸化膜が形成されたとしても、半導体プロセスとしては比較的低温である200℃以下の条件で加熱しながら接合することで、自然酸化膜を除去しつつ、接合することができるので、取り扱いが容易である。
次に、図6を参照して、直接接合の工程の他の例を説明する。図6の例において、絶縁層84の下面84Bに形成された金属層90は、積層された第1金属層90A、および、第2金属層90Bを含んでいる。平坦層82の上面82Aには金属層92が形成されている。絶縁層84がセラミックスなどの焼結体から形成されている場合、その下面84Bには微細な凹凸が存在する可能性がある。金属層90を多層とすることで金属層90の表面の平坦性が改善するような手法を選択することができる。例えば、イオンエッチングを併用したスパッタ成膜法や、化学機械研磨(CMP)が挙げられる。第1金属層90Aは、例えばTiとCuから形成されることが好ましい。Cuは熱伝導性にすぐれ、TiはCuとAlNなどの焼結体に対する密着性に優れている。なお、金属層90と同様に、金属層92を多層にしてもよい。
上記の直接接合を実現するために、本開示の実施形態では、平坦層82が重要な役割を果たす。実施形態における平坦層82は、上述したようにCuなどの金属材料から形成されるが、本開示の実施形態では、平坦層82と複合材料80との結合を焼結によって実現する。なお、これまでは原子拡散接合を用いて複合材料80および平坦層82と、絶縁層84とを直接接合する場合について説明してきたが、直接接合は上述の表面活性化接合法を用いてもよい。すなわち、接合面である平坦層82の上面82Aと絶縁層の下面84Bの表面粗さをそれぞれ10nm以下にし、これらの接合面を真空中でイオンビームによって清浄化する。清浄化された接合面を真空中で重ね合わせることにより、複合基板14を得ることができる。
以下、本開示による複合基板の製造方法の一実施形態を説明する。
まず、図7Aを参照する。図7Aは、本開示の一実施形態による複合基板の製造方法における主な工程を示すフローチャートである。本実施形態による複合基板の製造方法は、ダイヤモンドと金属を含む複合材料から形成され、第1表面、および第1表面の反対側に第2表面を有する基層と、基層の第1表面に結合される下面と、表面粗さRaが10nm以下である上面を有する平坦層と、を有する積層体を準備する工程S400を実行する。平坦層は、基層の第1表面に焼結によって結合されている。このような積層体を作製する方法の具体例は、後述する。次に、平坦層の上面に絶縁層を直接接合する工程S430を実行する。なお、積層体を準備する工程において、積層体における金属層の表面を研磨加工して、表面粗さRaが10nm以下の上面を有する平坦層を形成してもよい。
次に、図7Bを参照して、上記の複合材料の基層と金属層とを有する積層体を準備する工程の一例を説明する。図7Bは、本開示の一実施形態における積層体の準備工程を示すフローチャートである。図7Bに示されるように、積層体の準備工程は、第1のパルス通電焼結によってダイヤモンドとCuを含む複合材料を準備する工程S100と、第2のパルス通電焼結により、基層上に金属層を形成する工程S300とを含む。パルス通電焼結の詳細は、後述する。
積層体を準備する方法は、このような例に限定されない。図7Cは、積層体の準備工程の他の例を示すフローチャートである。この例における積層体の準備工程は、図7Cに示されるように、第1のパルス通電焼結によりダイヤモンドとCuを含む複合材料を準備する工程S100と、複合材料の表面を薄肉化処理して、複合材料に加工面を形成する工程S200と、第2のパルス通電焼結により、基層上に金属層を形成する工程S300と、を含む。以下、このような研磨工程後に行うパルス通電焼結を、複合材料を作製するために行うパルス通電焼結から区別して「再パルス通電焼結」と呼ぶことがある。
以下、本実施形態における複合材料の基層を準備する工程S100を詳細に説明する。図7Dは、本実施形態による複合材料を準備する工程S100の具体例を示すフローチャートである。本実施形態では、公知の方法により製造された様々な複合材料を用いることができるし、例えば、市販されている複合材料を用いてもよい。複合材料を製造する方法としては、例えば、焼結法、溶融法等が挙げられる。複合材料の製造方法として好ましい方法はパルス通電焼結法である。この方法であれば、後述するように従来と比べて比較的低温の条件で複合材料を得ることができる。
図7Dに示されるように、この工程S100は、ダイヤモンド粒子とCu粉末粒子との混合粉末を準備する工程S10と、パルス通電焼結法により、混合粉末に圧力を印加した状態で500℃以上800℃未満の温度に保持して、混合粉末からダイヤモンドとCuを含む複合材料を生成する工程S20とを含む。この「温度」は、例えば放射温度計または熱電対などの温度測定装置によって直接または間接的に測定される「温度」である。本開示における「温度」は、後述する図9に示されるようなSPS装置のダイ30における温度の測定値である。なお、後述する焼結ピーク温度Tsとは、放射温度計または熱電対で測定されるダイ30の温度の内、所定の圧力で合計1分以上保持される温度を意味するものとする。例えば、図10の場合、焼結工程において、最も高い温度で保持されている温度を焼結ピーク温度Tsと呼び、昇温および降温の途中で過渡的に変化する温度から区別する。
図8は、工程S10の混合粉末に含まれるダイヤモンド粒子の例を示す写真である。ある実施形態において、ダイヤモンド粒子の平均粒径は、40μm以上500μm以下である。ダイヤモンド粒子の粒径分布は、ピークが単数の単峰型である必要はなく、ピークは複数であってもよい。ダイヤモンド粒子の平均粒径を40μm以上とすることにより、Cu‐ダイヤモンドMMCを安価に製造しながら、熱伝導率を高めることができる。ダイヤモンド粒子の平均粒径を500μm以下とすることにより、ダイヤモンド粒子そのものの製造コストを低減できる。また、ダイヤモンド粒子の粒径分布は200μm以上400μm以下あることが好ましい。この範囲であれば、熱伝導率をさらに向上させることができる。ある実施形態において、混合粉末におけるダイヤモンド粒子は、平均粒径が200μm以上500μm以下の粒子と、平均粒径が40μm以上80μm以下の粒子とを含んでいてもよい。本明細書では、平均粒径が200μm以上500μm以下の粒子を「大粒子」、平均粒径が40μm以上80μm以下の粒子を「小粒子」と呼ぶ。平均粒径が相対的に小さい粒子は平均粒径が相対的に大きな粒子どうしがつくる隙間を埋めるように配置することできるので、熱伝導率がCuよりも高いダイヤモンドの充填量を増やすことができる。これにより、Cu‐ダイヤモンドMMCの熱伝導率をさらに向上させることができる。このような粒径分布に双峰性がある混合粉末を本明細書では、「バイモーダル混合粉末」と呼ぶ。バイモーダル混合粉末では、平均粒径が200μm以上400μm以下の粒子がダイヤモンド粒子全体に占める割合は、質量比率で50%以上であることが好ましい。平均粒径が大きい粒子が多いほど、ダイヤモンド粒子の総表面積が減少し、ダイヤモンド粒子とCuとの界面における熱抵抗の寄与が小さくなるからである。
Cu粉末粒子の平均粒径は、例えば、3μm以上10μm以下である。Cu粉末には、粉砕などによって生じ得る粒径1μm以下のCu微粉が含まれていてもよい。Cu粉末粒子は、不可避的な不純物を含有していてもよい。ただし、酸素、窒素などの不純物は、熱伝導率の低下を招くため、可能な限り除去されていることが望ましい。Cu粉末粒子における不純物の含有量は、2質量%以下が好ましい。このようなCu粉末粒子は公知の製法によって製造されるものを使用してもよい。また、市販されているCu粉末粒子を使用してもよい。
なお、本開示における「平均粒径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される粒度分布における「メディアン径」を意味する。
本開示の実施形態では、濡れ性を高めるためにCu粉末粒子以外の金属を意図的に添加してない。従来、Cuとダイヤモンドとは濡れ性が悪いため、添加金属によって濡れ性を改善することが必要であると考えられているが、本開示の実施形態では、そのような添加金属は不要である。Cu粉末粒子以外の金属を意図的に添加しないことで、焼結阻害を低減することができる。ある実施形態において、混合粉末におけるCu以外の金属の添加量は、質量比率で1%以下である。
また、ダイヤモンド粒子とCu粉末粒子との密着性を高めるなどの目的で、上述のように個々のダイヤモンド粒子を予めCuなどの金属層によって被覆する可能性があるが、本開示の実施形態では、ダイヤモンド粒子を予め金属層によって被覆しない。これは、予めダイヤモンド粒子をCuなどの金属層によって被覆しないことにより、予めダイヤモンド粒子をCuなどの金属層によって被覆する場合と比べて焼結活性を高めることができるからである。予めダイヤモンド粒子をCuなどの金属層で被覆すると、焼結活性が低下し、金属を添加する場合と同様に高温での焼成が必要となる。
本実施形態において、混合粉末におけるCu粉末粒子の質量比率は、例えば、60%以上85%以下が好ましく、混合粉末におけるダイヤモンド粒子の質量比率は、例えば、15%以上40%以下が好ましい。言い換えると、Cu粉末粒子とダイヤモンド粒子との質量比率は、60:40から85:15の範囲内で選択され、例えば80:20である。ダイヤモンド粒子の質量比率が増加するほど、複合材料の熱伝導率は増加する。Cu粉末粒子の質量比を60%以上85%以下とすることで、ダイヤモンドの周囲に充分な量のCuが配置され、Cu‐ダイヤモンドMMC内に、熱伝導を阻害する隙間が生じにくくなる。言い換えると、Cu粉末粒子の質量比が上記範囲であれば、Cuがダイヤモンドの周囲に十分配置できるだけの体積をもつことができるので、ダイヤモンド粒子間の隙間を効果的に埋めやすい。また、Cuの熱伝導率がダイヤモンドの熱伝導率よりも低いので、Cuの質量比率が高すぎるとCu‐ダイヤモンドMMCの熱伝導率が低下し得るが、上記範囲であれば、高い熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを製造することができる。また、後述するように、本発明者の実験によると、ダイヤモンド粒子の質量比率が同一でも、バイモーダル混合粉末の方が高い熱伝導率を実現しやすい。
工程S20におけるパルス通電焼結法は、例えば図9に示されるような焼結装置100を用いて実行され得る。パルス通電焼結法は、放電プラズマ焼結法(スパーク・プラズマ・シンタリング:SPS)法と称されることもある。このため、図9の焼結装置100は、「SPS装置」と呼ばれる場合がある。図9の焼結装置100は、キャビティ20を形成する貫通孔を有するダイ30と、ダイ30の貫通孔に沿って相対的に上下動し得る上パンチ40と下パンチ50とを備えている。この例における焼結装置100は、縦一軸加圧下で自己発熱を利用した焼結を行うことができる。上パンチ40は第1の電極51に電気的に接続され、下パンチ50は第2の電極52に電気的に接続されている。第1の電極51および第2の電極52は、電源ユニット60に電気的に接続されている。
ダイ30は、耐熱性に優れた材料、例えばグラファイトから形成され得る。上パンチ40および下パンチ50は、導電性および耐熱性を有する材料、例えばグラファイトから形成され得る。なお、熱伝導率測定においては、試料が平坦であるほど信頼性の高い熱拡散率が測定することができる。したがって、製造する焼結体の平坦性を確保することが難しい場合は、上パンチ40と試料の間および下パンチ50と試料の間に硬質な材料を挿入し、平坦な面を有する焼結体を得ることが好ましい。硬質な材料は、超硬合金が好ましく、例えば、炭化タングステン(WC)や炭化チタン(TiC)である。また、上パンチ40および下パンチ50の材料を硬質な材料に変更してもよい。キャビティ20は、ダイ30の貫通孔の内壁面と、上パンチ40の下端面と、下パンチ50の上端面によって規定される空間である。キャビティ20の内部には、上述した混合粉末が装填される。上パンチ40および下パンチ50の少なくとも一方が上下方向に移動することにより、上パンチ40と下パンチ50との間隔が減少してキャビティ20内の混合粉末に圧力が印加される。上パンチ40および下パンチ50は、例えば、不図示の油圧装置によって駆動される。キャビティ20内の混合粉末に印加される圧力は、例えば5MPa以上100MPa以下の範囲で任意に調整され得る。
パルス通電焼結法では、焼結装置100によって混合粉末に圧力を印加しながら、上パンチ40と下パンチ50との間でパルス通電を行う。パルス通電は、第1の電極51と第2の電極52との間に電源ユニット60から直流のパルス電流を繰り返して流すことによって行われる。上パンチ40および下パンチ50によって加圧された混合粉末中において、Cu粉末粒子どうしが接触しているため、混合粉末中に局所的な電流パスが幾つも形成され、電流が流れる。このようなパルス通電により、ジュール熱が発生し、混合粉末の温度は所定の焼結温度まで上昇する。
図10は、パルス通電焼結工程の開始から終了までの間の時間の経過に伴って、混合粉末の温度および圧力が変化する様子の例を模式的に示す図である。温度は一点鎖線で示され、圧力は実線で示されている。横軸が時間、左側の縦軸が温度、右側の縦軸が圧力を示している。上パンチ40および/または下パンチ50の移動により、圧力は、例えば数秒で焼結時圧力Psに達し、焼結時圧力Psが例えば、60~1800秒の間、維持される。パルス通電の開始により、混合粉末の温度は例えば10~150[℃/分]またはそれ以上のレートで上昇する。所定の焼結ピーク温度Tsに達した後、パルス通電の電圧印加条件を調整することにより、焼結ピーク温度Tsが目標温度の±5℃以内に維持される。焼結温度の制御は、図9のダイ30に取り付けられた温度測定装置による測定のフィードバックで実行され得る。
所定の焼結時間が経過して混合粉末から複合材料が作製された後、パルス通電を停止し、降温を開始する。また、上パンチ40および/または下パンチ50の移動により、複合材料に対する圧力の印加を停止する。複合材料の温度が十分に低下し、例えば50℃以下になった後、複合材料はダイ30から取り出される。
図10では、時間の経過に伴って温度および圧力が直線的に上昇、維持されるように示されているが、これは説明をわかりやすくするためである。現実の温度および圧力の推移は、僅かなオーバーシュート、曲線的な変化、小さな振動などを含み得る。
本実施形態において、焼結温度を維持する際の電圧は1.0V以上3.0V以下の範囲で調整し、パルス電流は400A以上800A以下の範囲で調整する。パルス電流のデューティー比は例えば、10~80%であり、パルス幅は例えば、1から500ミリ秒である。所定の焼結ピーク温度Tsで所定の時間保持したあとは、パルス通電は停止される。なお、これらの値は混合粉末の重量や焼結温度、パンチの材料など種々の条件によって変動するものであり、上記範囲に限定されず、適宜変更可能なものである。
焼結温度を例えば600℃に設定した場合、室温から焼結温度に達するまでの時間は、例えば、数分から20分程度である。キャビティ20は、減圧チャンバ内に位置している。減圧チャンバ内の雰囲気圧力は、例えば100Pa以下である。こうして、パルス通電による焼結工程中に粉末粒子が酸化したり窒化したりすることが防止され得る。
本開示に係る実施形態における焼結ピーク温度Tsは、前述のように、500℃以上800℃未満である。この範囲であれば、優れた熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを製造することができる。また、好ましい焼結ピーク温度Tsは500℃以上750℃以下である。さらに好ましくは、550℃以上700℃以下である。特に好ましくは600℃以上700℃以下である。上記範囲であれば、さらに優れた熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを得ることができる。焼結時間の範囲は、焼結ピーク温度Tsにも依存し、例えば1分以上30分以下の範囲にある。焼結ピーク温度Tsが例えば550℃以上650℃以下の場合、焼結時間は5分以上20分以下、例えば10分程度であり得る。
上記の焼結ピーク温度Tsで混合粉末に印加する圧力は、一定の圧力で保持する場合、5MPa以上100MPa以下である。印加する圧力を5MPa以上100MPa以下とすることで、優れた熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを製造することができる。好ましい圧力範囲は10MPa以上90MPaである。より好ましい圧力範囲は20MPa以上90MPa以下である。さらに好ましくは25MPa以上75MPa以下である。特に好ましくは25MPa以上50MPa以下である。これらの圧力範囲であれば優れた熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを製造することができる。上記したように、焼結ピーク温度Tsにおいて一定の圧力を印加することを本明細書では「連続加圧」と呼ぶ。
なお、これまでは連続加圧する場合について説明したが、上記圧力は常に一定である必要はない。焼結の進行に応じて印加圧力を段階的または連続的に上昇させたり、降下させたりしてもよい。また、パルス通電を行いながら、第1の圧力と、第1の圧力よりも高い第2の圧力とを混合粉末に対して繰り返し印加してもよい。このような加圧の形態を「サイクル加圧」と呼ぶことにする。上記サイクル加圧において、第1の圧力と、第1の圧力よりも高い第2の圧力とを繰り返し印加することで、高い熱伝導率を有するCu‐ダイヤモンドMMCを製造することができる。これは、例えば次に説明するようなメカニズムによるものと考えられる。
第1の圧力と第2の圧力にはその絶対値に差がある。これらの圧力を繰り返し印加する場合、第2の圧力を印加したあとに第1の圧力を印加する工程が存在する。このとき、相対的に高い圧力から相対的に低い圧力を印加することになるので、第1の圧力が印加されているときのダイヤモンド粒子は第2の圧力が印加されているときと比べて、ダイ内での自由度が増す。これにより、ダイヤモンド粒子の配置またはCuとダイヤモンド粒子との界面の状態が熱伝導にとってより有利になり得ると考えられる。また、Cu表面に存在し、熱伝導を阻害する酸素を除去している可能性もある。その結果、サイクル加圧によって製造されるCu‐ダイヤモンドMMCは第1の圧力のみを印加する場合と比べて熱拡散率が向上し、熱伝導率が高くなると考えられる。
上記ダイヤモンド粒子とCu粉末粒子との混合物に印加する第1の圧力および第2の圧力は、第2の圧力が第1の圧力よりも大きいという条件の下で、5MPa以上100MPa以下の範囲においてそれぞれ設定され得る。例えば、第1の圧力は5MPa以上60MPa以下であり、第2の圧力は20MPa以上100MPa以下としてよい。好ましくは、第1の圧力が5MPa以上20MPa未満であり、第2の圧力が20MPa以上40MPa以下である。第1の圧力と第2の圧力とをそれぞれ上記範囲とすることで、熱伝導率をさらに向上させることができる。
図11Aは、焼結中における「サイクル加圧」の例を示す図である。この例では、焼結時間の間、第1の圧力P1と、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2とを混合粉末に対して繰り返し印加している。一例として、第1の圧力P1を10MPa、第2の圧力P2を40MPaとする場合、第1の圧力P1を10秒間印加した後、第2の圧力P2を20秒間印加する動作を1サイクルとして、例えば10~50サイクルの圧力印加を焼結工程中に繰り返すことができる。後述するように、焼結時間の間に圧力を変動させることにより、得られる複合材料が緻密化して相対密度が高くなる。このことは、複合材料の熱伝導率を高めることに寄与する。
図11Bは、焼結中における「サイクル加圧」の別の例を示す図である。図11Bに示すように、昇温の段階から第1の圧力と、第1の圧力よりも高い第2の圧力とを混合粉末に対して繰り返し印加してもよい。また、この第1の圧力と第2の圧力とを、焼結ピーク温度Tsの保持時間の間においても繰り返し印加することができる。
図12は、本実施形態により製造される複合材料80の外形の例を模式的に示す斜視図である。この例において、複合材料80は厚さがT[mm]、半径がR[mm]の円板形状を有している。厚さTは、例えば0.2mm以上20.0mm以下である。また、半径Rは、例えば3mm以上200mm以下である。焼結直後における複合材料80の形状は、円板形状に限られず、直方体または他の多面体の形状を有していてもよいし、表面にストライプ溝または規則的な凹凸パターンを有する形状を有していてもよい。焼結直後における複合材料80の上面視における形状は、図9のキャビティ20と垂直な軸方向断面の形状によって規定される。例えば、図9のダイ30が角柱形状の貫通孔を有し、上パンチ40の下端面および下パンチ50の上端面が平坦な矩形の面である場合、焼結装置100から取り出される複合材料80は、上面視が矩形である薄板形状を有し得る。複合材料80は、焼結装置100から取り出された後、切削、研磨などの機械加工、またはレーザ加工などの各種の処理を受けてもよい。1個の複合材料80から複数の放熱部材を個片化することも可能である。
図13は、こうして製造された複合材料80の断面の一部を拡大して示す模式図である。図13は、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察に基づいている。図13に示される複合材料80は、金属マトリクスであるCu70と、Cu70中に分散した多数のダイヤモンド粒子10とを含有している。Cu70は、混合粉末に含まれていたCu粉末粒子がパルス通電によって焼結して一体化した金属体である。複合材料80に含まれる個々のダイヤモンド粒子10は、混合粉末に含まれていたダイヤモンド粒子である。パルス通電焼結の工程中にダイヤモンド粒子10の一部が欠けたりすることは生じ得るが、複数のダイヤモンド粒子が結合して新たな1個の粒子に粒成長することはない。
上記の実施形態によれば、従来技術に比べて低い温度、かつ、低い圧力でCu-ダイヤモンド複合材料を作製することにより、複合材料の熱伝導率を、例えば、460[W/m・K]以上の値にすることができる。また、500[W/m・K]以上の熱伝導率を有する複合材料を得ることもできる。さらには600[W/m・K]、好ましくは690~710[W/m・K]またはそれ以上の値にすることが可能である。これは、焼結温度を従来必要と考えられた値よりも低くし、かつ圧力を低くすることにより、高温高圧焼結時に生じていたダイヤモンド粒子またはCu/ダイヤモンド界面における熱伝導性の劣化を低減または回避することができるためと考えられる。
上記の実施形態によれば、パルス通電焼結後にCu-ダイヤモンドMMCを室温に冷やす過程において熱膨張係数差に依存するCuとダイヤモンドそれぞれの伸縮の量は小さい。すなわち、Cuとダイヤモンドとが熱膨張係数差により剥離しにくくなるので、熱伝導率の低下を低減することができる。
再び図7Cを参照して、工程S200を説明する。この工程S200では、Cu-ダイヤモンド複合材料を薄肉化処理(薄くする処理)する。薄肉化処理は、研磨加工およびレーザ加工を含む。研磨加工は、粗研磨、精研磨、固定砥粒方式(研削)、遊離砥粒方式(研磨)などの、さまざまな研磨方法によって行われ得る。
本開示における「研磨」は、ダイヤモンドのように硬度の高い砥粒によって複合材料80の表面を削り取る「研削」を含む意味を有する。Cu-ダイヤモンド複合材料では、ダイヤモンドを含んでいるため、研磨を行っても、理想的に平坦な表面は形成されないこともある。砥粒との衝突または摩擦により、複合材料の表面からダイヤモンド粒子が欠落するため、研磨後も、複合材料の加工面には、ダイヤモンド粒子のサイズ程度の凹凸が残り得る。このため、本開示においては、研磨と研削とを区別せず、「研磨工程」は、研磨および/または研削を行う工程を広く意味するものとする。
図14は、複合材料80の加工面80Pの近傍を模式的に示す断面図である。薄肉化処理によって削り取られた部分に参照符号「80X」が付されている。図14の例において、加工面80Pには、ダイヤモンド粒子10のサイズ程度の凹凸が存在している。例えば、研磨工程前における複合材料80の厚さが1mmのとき、研磨工程後の複合材料80の厚さは、例えば100μm以上800μm以下であり得る。このような研磨工程は、パルス通電焼結直後における複合材料80の厚さを、最終的に必要な放熱部材の厚さよりも十分に大きくすることを可能にする。発明者の実験によると、作製すべき複合材料80が薄すぎると、焼結工程途中にパルス通電焼結によって発生する熱の分布が不均一化するなどして、複合材料80の特性ばらつきが増加することがわかった。このため、研磨工程によって厚さを目標値に合わせることを前提として、その目標値よりも厚い複合材料80を形成すれば、特性のばらつきを抑制または低減することが可能になる。
しかしながら、本発明者の更なる検討によると、薄肉化処理後の複合材料80の熱伝導率は、薄肉化処理前の熱導電率の例えば80%程度に低下し得ることがわかった。これは、薄肉化処理により、複合材料80の相対密度および熱拡散率が低下することに起因する。その理由は、例えば研磨工程を行う場合、複合材料80の一部が削り取られるとき、応力が発生し、ダイヤモンド粒子10とCu70との界面における熱抵抗が増加するためと考えられる。また、研磨加工時の振動によって、複合材料内部のダイヤモンドとCuとの密着性が低下することも一因であると考えられる。相対密度の低下は、複合材料80の内部に複数の空隙が発生したことを意味する。また、レーザ加工を行う場合、複合材料には局所的に熱が与えられ、複合材料の温度が上昇する。これにより、ダイヤモンド粒子10とCu70は熱膨張係数差により複合材料内部のダイヤモンドとCuとの密着性が低下し得る。このような薄肉化処理によって生じ得る熱伝導率低下の原因を、以下、複合材料の「欠陥」または「損傷(ダメージ)」と称することにする。なお、上述のような薄肉化処理に起因する熱伝導率の低下は、複合材料のマトリクスがCu以外の金属であっても起こり得る。
本実施形態では、図7Cに示すように、薄肉化処理を行う工程S200の後、再パルス通電焼結による欠陥回復の工程S300を実行する。この工程S300では、薄肉化処理によって生じた欠陥または損傷の程度を緩和したり、元の状態に回復したりすることが可能になる。その結果、薄肉化処理によって低下した熱伝導率を上昇させることができる。言い換えると、再パルス通電焼結により、少なくとも、複合材料80の相対密度を、再パルス通電焼結を行う前の相対密度よりも高くすることができる。再パルス通電焼結は、複合材料に50MPa未満の圧力を印加した状態で行うことができる。
ある実施形態において、再パルス通電焼結は、複合材料80を作製するときに行ったように低温低圧の条件で実行される。具体的には、例えば図9に示されるような焼結装置100において、上パンチ40と下パンチ50との間に形成されたキャビティ20内に研磨後の複合材料80を装填する。焼結装置100としては、パルス通電焼結を行うことが可能な焼結装置を用いる。Cuとダイヤモンドとの混合粉末をパルス通電焼結することにより複合材料80を得る場合は、複合材料80を作製するときに使用した焼結装置と同一または同型の焼結装置を好適に使用すればよい。再パルス通電焼結により、複合材料80に例えば5MPa以上50MPa未満の圧力を印加した状態で例えば500℃以上800℃未満の温度に保持する。保持する時間は、保持温度にもよるが、例えば60秒以上1800秒以下である。圧力の印加は、前述した「サイクル加圧」でもよい。研磨加工によって低下した熱伝導率を高めるためのパルス通電焼結の方法は、例えば、図10および図11Aならびに図11Bを参照しながら説明した種々の例を含み得るが、必ずしも混合粉末から複合材料80を製造したときの温度および圧力と同一の条件で実行する必要はない。
図15は、研磨された複合材料80の再パルス通電焼結後の状態を模式的に示す断面図である。再パルス通電焼結の結果、研磨加工によって生じた欠陥または損傷の程度が緩和され、元の状態に回復し得る。これは、再パルス通電焼結工程における温度および圧力のもとで、複合材料80の相対密度が高まり、ダイヤモンド粒子とCuとの界面における熱抵抗が低下したり、放熱経路が短くなって熱拡散率が高まったりしたためと考えられる。
また、複合材料80を作製するときに行ったパルス通電焼結と同様の条件で再パルス通電焼結を行うと、複合材料80の熱拡散率が、再パルス通電焼結を行う前の熱拡散率よりも高くなることがわかった。ここで、熱伝導率と熱拡散率との間には、以下の関係がある。
熱伝導率[W/m・K]=熱拡散率[m2/秒]×比熱[J/K・kg]×密度[kg/m3
後述する実験の結果によると、薄肉化処理によって減少した相対密度および熱伝導率が再パルス通電焼結によっていずれも増加する。また、例えば後述する実験例1によれば、再パルス通電焼結によって相対密度が増加する割合よりも熱伝導率が増加する割合の方が大きいことがわかった。このことは、再パルス通電焼結が、研磨によって低下した複合材料80の熱拡散率そのものを増加させることを意味している。言い換えると、再パルス通電焼結は、研磨後の複合材料の相対密度を増加させるだけではなく、研磨によって生じた欠陥・損傷を回復することに寄与していると考えられる。
再パルス通電焼結は、複合材料80の加工面80P上に金属の粉末または金属板を接触させた状態で行われてもよい。これらの金属の例は、Cu、Al、CuW、CuMoなどである。熱伝導率および取り扱いの容易性の観点からはCuを用いることが好ましい。また、複合材料80との間で熱膨張の差を小さくするという観点からはCuWを用いることが好ましい。Cuの粉末またはCu板は、複合材料80のCuと接合して一体化されやすい。再パルス通電焼結により、金属の粉末は、複合材料80の加工面80Pに結合した金属層を形成することができる。また、複合材料80の加工面80P上に接触させた金属板も、再パルス通電焼結により、複合材料80の加工面80Pに結合した金属層を形成することができる。「金属板」は、その厚さが十分に薄い場合、自立的な剛性を有している必要はない。そのように薄い金属板を、金属の薄膜または箔(フォイル)と呼んでもよい。
図16は、こうして形成された金属層81を有する複合材料80の一部を模式的に示す断面図である。再パルス通電焼結によって形成された金属層81と下地の複合材料80との間では一体焼結が実現している。特に金属層81がCuから形成されている場合には、複合材料80を構成するCuと連続している。このような一体焼結によれば、複合材料80の加工面80P上に物理的または化学的な方法によって金属を接合させる場合、あるいは、接合材を介して金属層を複合材料80に接合させる場合に比べて、複合材料80と金属層81とを、より強固に結合することが可能になる。
金属層81の表面は、再パルス通電焼結の工程中、例えば図9に示される焼結装置100において、上パンチ40の下端面に押圧される。このときの圧力は、前述したように、例えば5MPa以上50MPa未満であり、温度は例えば500℃以上800℃未満である。このため、軟化した金属は加工面80Pに強く結合することが可能である。金属層81の熱伝導率は、ダイヤモンドと比べると低いため、金属層81が厚すぎると、複合材料80と金属層81が一体焼結された複合基板の熱伝導率が低下すると考えられる。しかしながら、金属層81の厚さが、例えば、50μm以上1000μm以下であれば、複合基板の熱伝導率が低下することを低減することができる。
複合材料80の加工面上に金属の粉末を接触させた状態でパルス通電焼結を行い、金属層81を形成する場合、複合材料80に対する金属層81の密着性を高めることが容易である。
また、複合材料80の加工面上に金属板を接触させた状態で再パルス通電焼結を行い、金属層81を形成する場合は、所定の厚さを有する金属板を用いることができるので、金属層81の厚さを目標値に近づけやすいという利点がある。また、金属板を用いる場合は金属板の熱伝導率を材料である金属の熱伝導率に近づけた状態に維持できる。よって、複合材料80を所定の厚さ以上にすることで、複合材料80と金属層81とが一体焼結されている複合基板の熱伝導率の低下を低減することができる。
こうして形成された金属層81は、ダイヤモンド粒子10を実質的に含まないため、複合材料80の加工面80Pに比べて平坦な表面を形成し得る。平坦な表面は、半導体発光素子などの発熱源と放熱部材とが熱的に接触する場合において、実効的な接触面積を拡大して熱抵抗を下げることに寄与する。また、金属層81が複合材料80の表面に位置することにより、めっきなどが容易になる効果もある。
本開示の実施形態では、原子拡散接合法による直接接合を行うため、金属層81の上面を研磨して金属の平坦層82を形成する。研磨は、様々な方法によって行うことができる。金属層81にはダイヤモンド粒子が含まれていないため、直接接合に適した平坦な表面を形成することが可能になる。
図17は、平坦層82上に絶縁層84が形成された状態を示す断面図である。研磨された平坦層82が複合材料80と比べて平坦な表面を有するため、絶縁層84との間で良好な密着性を維持することができる。特に、前述した表面活性化接合法や原子拡散接合法などによる「直接接合」を実現するためには、平坦な接合面を準備することが求められるが、例えば、金属層81を研磨して平坦層82を形成することより、その要求を満足させることができる。平坦層82の上面の表面粗さ(Ra)は、例えば10nm以下であり、好ましくは5nm以下であり、特に好ましくは1nm以下である。上記の表面活性化接合法や原子拡散接合法によれば、常温でも2つの材料を接合することが可能である。ここで、「常温」とは、例えば50℃以下、好ましくは40℃以下である。これらの方法は、金属層81と絶縁層84とを接合する際に、複合基板に熱的に接する半導体素子が駆動中に発する熱で昇温することで達する最高温度よりも低い温度で接合できるので、接合界面は両者の熱膨張係数差による応力の影響を受けにくく、高い接合強度が得られるという点でも好ましい。
こうして積層された平坦層82および絶縁層84が強固に結合した複合材料80の個片化を行うことにより、複数個の複合基板を得ることもできる。
また、図18に示すように、金属層81上に金属層81の表面粗さよりも大きい厚さの金属部材を設け、金属部材を表面粗さが10nm以下となるまで研磨して平坦層82を形成してもよい。平坦層82のための金属部材の例は、Cuなどのめっき層を含む。金属部材は、他の方法で形成されるCu膜であってよい。Cu膜は、例えばスパッタ法によって成膜することができる。なお、金属層81と金属部材との密着性を向上させるために、金属層81の表面にチタン、ニッケル、金などの密着層をさらに設けてもよい。めっき法またはスパッタ法などの薄膜堆積技術によって堆積される金属部材は、前述した方法で形成される金属層81よりも結晶の配向を揃えやすいので、研磨により容易に平坦面を形成することができる。また、金属層81の表面粗さよりも大きい厚さの金属部材を形成すると、金属層81の凹凸が金属部材に吸収されるので、研磨により平坦性を向上させることが可能となる。金属部材は金属層81を研磨する前に形成してもよいし、研磨した後に形成してもよいが、金属層81を研磨した後に金属部材を形成する方が好ましい。これにより、効率よく平坦層82を形成することができる。薄肉化処理された後の複合材料は、ダイヤモンド粒子程度の凹凸が存在し得る。この凹凸を吸収するほどの厚みの金属部材をめっき法やスパッタ法で形成するよりも、予め金属層81を形成および平坦化した後で、金属部材を形成したほうが効率がよい。
なお、複合材料から形成された基層と、この基層に金属層とを有する積層体を準備する工程は、複数のダイヤモンド粒子と複数の金属粉末粒子とを含む混合粉末の層に金属の粉末または金属板を接触させる工程と、パルス通電焼結法により、混合粉末から複合材料を生成して基層を形成し、かつ、基層の前記第1表面に金属の粉末または金属板からなる金属層を結合する工程とを含んでいてもよい。また、この積層体を準備する工程は、前述したように、第1のパルス通電焼結により、複数のダイヤモンド粒子と複数の金属粉末粒子とを含む混合粉末から複合材料を生成して基層を形成する工程と、第2のパルス通電焼結により、基層の第1表面に前記金属の粉末または金属板を結合し、前記金属層を得る工程とを含んでいてもよい。
このように、本開示の実施形態では、複合材料そのものを薄肉化処理することは不可欠の工程ではない。しかしながら、前述したように、複合材料の厚さを研磨によって調整することが必要な場合、積層体を準備する工程は、第1のパルス通電焼結により基層を形成する工程の後、基層の第1表面を薄肉化処理する工程と、第2のパルス通電焼結により、基層の薄肉化処理された第1表面に金属の粉末または金属板を結合し、金属層を得る工程とを含む。
なお、これまで説明してきた基層に含まれるダイヤモンドは、次に示すような工程を行って得てもよい。すなわち、基層を形成する工程において、混合粉末に含まれる複数のダイヤモンド粒子として、CIE1976L***表色系におけるL*が53以上のダイヤモンド粒子群を準備してもよい。「ダイヤモンド粒子群」とは、複数のダイヤモンド粒子の集合であり、「CIE1976L***表色系におけるL*が53以上のダイヤモンド粒子群」とは、ダイヤモンド粒子群全体としてL*が53以上であることを意味する。このようなダイヤモンド粒子群を用いて基層を形成することで、基層の熱伝導率を向上させることができる。L*は、CIE1976L***表色系における明度を表す。CIE1976L***表色系は、CIE(国際照明委員会)が規格化した色空間(均等色空間)の一つである。L*は、0から100までの数値をとり、値が大きいほど、高い明度を表す。ダイヤモンド粒子群のL*が低いことは、ダイヤモンド粒子群に黒色に近いダイヤモンド粒子が多く含まれることを意味する。このようにダイヤモンド粒子の一部が黒くなる原因は、ダイヤモンド粒子内部または表面にダイヤモンドとは異なる状態の炭素成分などが不純物として存在することに起因すると考えられる。そして、そのような不純物の濃度の増加は、明度および熱伝導率の低下を生じさせ得る。L*は54以上であることが好ましい。また、L*は55以上であることが更に好ましく、56以上であることが特に好ましい。これにより、複合材料の熱伝導率をさらに向上させることができる。L*は60以下であってよい。
また、ダイヤモンド粒子には、Fe不純物濃度が高いダイヤモンド粒子(明度が相対的に低い)が混じることがある。Fe濃度が相対的に高いダイヤモンド粒子の内部または表面において、Feは強磁性の金属(合金を含み得る)または強磁性の化合物(例えば金属酸化物)を形成していると考えられる。このようなダイヤモンド粒子は、Fe濃度が相対的に低いダイヤモンド粒子に比べて、磁力によって引きつけられやすい。このため、上述のダイヤモンド粒子群を準備する工程において、強磁性の不純物を含有するダイヤモンド粒子を磁力によって取り除く工程を含むことができる。これにより、効率よくFeなどの強磁性の金属または強磁性の化合物を多く含むダイヤモンド粒子を取り除くことができる。例えば永久磁石を複数のダイヤモンド粒子に接近させることにより、Fe濃度が相対的に高いダイヤモンド粒子を永久磁石に引きつけて複数のダイヤモンド粒子から取り除くことが可能である。このような磁力による選別(磁力選別)は、例えば、ベルトコンベアのベルトの上面から数mm程度の隙間をあけて永久磁石を配置し、走行するベルト上に多数のダイヤモンド粒子を分散させておくことによって効率的に実行することが可能である。また、ベルトコンベアの代わりに、円筒ドラム装置であってもよい。また、磁力選別を容易にするため、磁力選別は、ダイヤモンド粒子を粉末状態のまま選別を行うだけではなく、ダイヤモンド粒子を水中に分散した状態、あるいは、上方から自由落下させる状態にある多数のダイヤモンド粒子を磁石に直接または間接的に接触させるようにしてもよい。更に、ダイヤモンド粒子の粉末に対して超音波振動を印加してもよい。
このような磁力選別は、複合材料に使用されるダイヤモンドのいずれに対して行ってもよいが、平均粒径が400μm以上600μm以下のダイヤモンド粒子群に対して磁力選別を行うことが好ましい。比較的大きなダイヤモンド粒子に対して磁力選別を行うことで、複合材料の熱伝導率が向上しやすい。
磁力選別では、Fe濃度が高いダイヤモンドだけでなく、例えば、NiやCoなど、他の強磁性金属またはそれらを含む強磁性化合物を選別するために用いることができる。磁力選別されたダイヤモンド粒子群に含まれる不純物の含有量は、例えば、蛍光X線分析(XRF分析;X-ray Fluorescence分析)によって分析することが可能である。Fe不純物濃度が高いほど、ダイヤモンド粒子の内部または表面にFeが形成する強磁性合金または強磁性化合物の含有量が多く、ダイヤモンドと強磁性合金または強磁性化合物との間にある熱膨張係数の差によって、ダイヤモンド粒子に欠陥が形成されやすい可能性がある。このため、Fe不純物の濃度を低下させることにより、ダイヤモンド粒子の結晶性を高め、熱伝導率を向上させることができると考えられる。
以下、本開示における複合材料の製造方法の例について説明する。
<実験例1>
まず、Cu‐ダイヤモンドMMC複合材料を準備した。複合材料は以下の方法で得た。平均粒径が5μmのCu粉末粒子と平均粒径が250μmのダイヤモンド粒子とを混合し、混合粉末を得た。混合粉末の総重量は6.24グラムであった。この混合粉末全体に対して、Cu粉末粒子は60質量パーセントであり、平均粒径が250μmのダイヤモンド粒子は20質量パーセントであり、平均粒径が60μmのダイヤモンド粒子は20質量パーセントであった。次にSPSシンテックス社製の焼結装置(型番SPS-515S)を用いて、厚さが3mmのCu‐ダイヤモンドMMCを作製した。焼結ピーク温度Tsは670℃であり、印加圧力は36MPaであった。焼結ピーク温度Tsの保持時間は、10分であった。また、焼結開始時の真空度は10Paであった。複合材料のサイズは、直径20mm×厚さ2.73mmであった。複合材料を得た後、密度および熱拡散率を測定した。上記複合材料の作製条件を表1に示す。
次に、準備した複合材料に機械研磨加工を行い、複合材料に加工面を形成した。この研磨加工により、厚さが0.18mm減少した。加工面を形成した後、密度および熱拡散率を測定した。
次に、加工面を形成した複合材料に、上記焼結装置を用いてパルス通電焼結を行い、複合基板を得た。焼結ピーク温度Tsは660℃であり、印加圧力は36MPaであった。焼結ピーク温度Tsの保持時間は10分であった。焼結開始時の真空度は10Paであった。このパルス通電焼結により、複合材料の厚さが0.12mm減少した。複合基板を得た後、密度および熱拡散率を測定した。
なお、実験例1および後述の実験例2及び実験例3では、焼結ピーク温度Tsを維持している間の電流値は350A以上700Aの範囲にあった。印加電圧のパルス幅は3.3ミリ秒であった。
<実験例2>
下記の点以外は実験例1と同じ方法により、複合基板を得た。
複合材料を準備するにあたり、Cu粉末粒子とダイヤモンド粒子との混合比率を変更した。混合粉末全体に対して、Cu粉末粒子は65質量パーセントとし、平均粒径が250μmのダイヤモンド粒子は20質量パーセントとし、平均粒径が60μmのダイヤモンド粒子は15質量パーセントとした。焼結ピーク温度Tsは660℃としてパルス通電焼結を行った。上記複合材料の作製条件を表1に示す。
複合材料に研磨加工を行い、加工面を形成した後、加工面上にCu板を接触させた状態でパルス通電焼結を行い、複合基板を得た。パルス通電焼結の条件は、複合材料を準備する際の焼結条件と同様である。
<実験例3>
下記の点以外は実験例1と同じ方法により、複合基板を得た。
複合材料を準備するにあたり、第1の圧力を10MPaとし、第2の圧力を36MPaとしてこれらを繰り返し印加した。印加した圧力の保持時間は第1の圧力が15秒、第2の圧力が20秒、圧力の切り替え時間の合計を50秒とし、1サイクルの合計時間を85秒とした。繰り返したサイクル数は25回であった。焼結ピーク温度Tsの保持時間は20分であった。上記複合材料の作製条件を表1に示す。
複合材料に薄肉化処理を行い、加工面を形成した後、加工面上にCu粉末粒子を接触させた状態でパルス通電焼結を行い、複合基板を得た。パルス通電焼結の条件は、複合材料を準備する際の焼結条件と同様である。
Figure 2022058172000002
<熱伝導率>
実験例1から実験例3のそれぞれに対して熱伝導率を求めた。熱伝導率は比熱と密度と熱拡散率の積として求めることができる。比熱はダイヤモンドとCuの比熱の文献値を、混合した質量比で重みづけすることで得た。密度はアルキメデス法によって測定した。熱拡散率はネッチジャパン社製の測定装置(型番LFA-447)を用い、キセノンランプを用いたフラッシュ法により得た。測定温度は25℃であった。実験例1における複合材料の厚さは2.73mmであり、研磨加工後の厚さは2.55mmであり、パルス通電焼結後の厚さは2.43mmであった。実験例2における複合材料の厚さは2.64mmであり、研磨加工後の厚さは2.49mmであり、パルス通電焼結後の厚さは2.56mmであった。実験例3における複合材料の厚さは2.64mmであり、研磨加工後の厚さは2.45mmであり、パルス通電焼結後の厚さは2.51mmであった。研磨前、研磨後、および再パルス通電焼結後における「相対密度」を表2に示し、「熱拡散率」を表3に示し、「熱伝導率」を表4に示す。なお、表2における「相対密度」とは、複合材料の真比重に対する実際の密度の相対比を表す。実験例2および実験例3において、再パルス通電焼結後の真密度は、複合材料とCu粉末粒子もしくは複合材料とCu板とを焼結した複合基板の密度であるため、再パルス通電焼結が密度に及ぼした影響がわかりにくくなる。よって、「複合材料準備後」と「加工面形成後」と「再パルス通電焼結後」とのそれぞれにおいて相対密度の推移を求めた。
Figure 2022058172000003
Figure 2022058172000004
Figure 2022058172000005
表2および表3からわかるように、いずれの実験例でも、研磨工程によって相対密度および熱拡散率が低下した。しかし、加工面形成後に再パルス通電焼結を行った実験例1から実験例3にかかる複合基板の相対密度はいずれも加工面形成後の相対密度よりも高かった。また、同様に、熱伝導率も加工面形成後よりも再パルス通電焼結後の熱伝導率の方が高かった。
上記の実験例2および実験例3では、複合材料から形成された基層と、この基層の研磨加工面に結合された金属層とを有する積層体が得られた。
このようにして、本実験例2および3によれば、ダイヤモンドと金属を含む複合材料に対して薄肉化処理を行って厚さの調節を行っても、研磨工程による熱伝導率の低下を回復させ、かつ、平坦化に利用できる金属層が形成されるため、その上に常温での直接接合によって絶縁層の接合が可能になる。このような常温での直接接合によれば、熱伝導性には優れるが熱膨張係数が複合材料および絶縁層よりも例えば2倍以上の金属を平坦層の材料として選択することが可能になり、優れた放熱性を有する複合基板を実現することができる。このような平坦層の材料として、例えばCuが挙げられる。
本開示の実施形態において、ダイヤモンドとCuを含む複合材料を準備する工程としては、さまざまな公知の方法を採用し得る。以下、ダイヤモンドとCuを含む複合材料を準備する工程の実験例を説明する。下記の実験例に係る複合材料を準備した後、上述した平坦層を形成する工程、および、直接接合によって絶縁層を形成する工程を行うことができる。
<実験例4>
平均粒径が5μmのCu粉末粒子と平均粒径が250μmのダイヤモンド粒子とを混合し、混合粉末を得た。混合粉末の総重量は6.24グラムであった。この混合粉末全体に対して、Cu粉末粒子は80質量パーセントであり、ダイヤモンド粒子は20質量パーセントであった。次にSPSシンテックス社製の焼結装置(型番SPS-515S)を用いて、厚さが3mmのCu‐ダイヤモンドMMCを作製した。焼結ピーク温度Tsは500℃であり、印加圧力は36MPaであった。焼結ピーク温度Tsの保持時間は、10分であった。また、焼結開始時の真空度は10Paであった。作製条件および見積もった熱伝導率を表5に示す。
<実験例5>
実験例4に対して、焼結温度を600℃に変更したことと、印加圧力を10MPaに変更したこと以外は実験例4と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例6>
実験例4に対して、焼結温度を600℃に変更したこと以外は実験例4と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例7>
実験例4に対して、焼結温度を600℃に変更したことと、印加圧力を90MPaに変更したこと以外は実験例4と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例8>
実験例4に対して、焼結温度を640℃に変更したことと、混合粉末全体に対して平均粒径が60μmのダイヤモンド小粒子10質量パーセントと平均粒径が250μmのダイヤモンド大粒子20質量パーセントを混合してバイモーダル混合粉末としたこと以外は実験例4と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例9>
実験例4に対して、焼結温度を750℃に変更したこと以外は実験例4と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例10>
以下の点以外は実験例8と同じ方法で複合材料を得た。第1の圧力を10MPaとし、第2の圧力を36MPaとしてこれらを繰り返し印加した。印加した圧力の保持時間は第1の圧力が15秒、第2の圧力が20秒、圧力の切り替え時間の合計を50秒とし、1サイクルの合計時間を85秒とした。繰り返したサイクル数は25回であった。また、焼結ピーク温度Tsの保持時間は20分であった。
<実験例11>
実験例10に対して、焼結温度を660℃に変更した。また、混合粉末全体に対して平均粒径60μmのダイヤモンド小粒子を15質量パーセントと、平均粒径が250μmのダイヤモンド大粒子を20質量パーセント混合してバイモーダル混合粉末とした。これら以外は実験例10と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
<実験例12>
実験例10に対して、第1の圧力を50MPaとし、第2の圧力を90MPaとしたこと以外は実験例10と同様にしてCu‐ダイヤモンドMMCを得た。
複合材料を準備する工程において、ダイヤモンド粒子とCu粉末粒子との混合粉末を準備し、パルス通電焼結により、該混合粉末に5MPa以上100MPa以下の圧力を印加した状態で500℃以上800℃未満の温度に保持して、該混合粉末から複合材料を生成した実験例1から実験例12では、Cu単体と比べて高い熱伝導率を有する複合材料を生成した。これらの実験例4から実験例12における複合材料は、上記実験例1から実験例3における複合材料として利用できる。
Figure 2022058172000006
図19は、表5の実験例6と同様にして製造された複合材料の一部について、その断面の光学顕微鏡写真を示す図である。図20は、表5の実験例10と同様にして製造された複合材料の一部について、その断面の光学顕微鏡写真を示す図である。それぞれの写真において、相対的に明度の高い領域がCuの部分であり、相対的に明度の低い領域がダイヤモンド粒子である。図20の複合材料では、平均粒径が250μmの相対的に大きなダイヤモンド粒子の隙間に、平均粒径が60μmの相対的に小さなダイヤモンド粒子が位置している。図19の複合材料に比べると、図20の複合材料では、ダイヤモンド粒子の個数が増え、また、表面の合計面積も増大している。このことは、Cuとダイヤモンドとの界面の面積が増加することを意味している。この界面の面積が増加すると、ダイヤモンドとCuとの密着性が悪いために熱抵抗が増加して熱伝導率が低下する可能性がある。しかしながら、本実験例10では、そのような現象は観察されなかった。図19および図20からわかるように、実験例6および10における複合材料は緻密である。
<実験例13>
本実験例では、まず、平均粒径が500μmのダイヤモンド粒子を複数準備した。そして、これらのダイヤモンド粒子に対して、目視により、特に明度の低い(例えば黒に近い)ダイヤモンド粒子を選んで除去する工程(選別工程)を行った。明度が低いダイヤモンド粒子を除した後に残ったダイヤモンド粒子について、L*を測定した。
本実験例の選別工程を行った後のダイヤモンド粒子群のL*は55.63であった。この測定は、図21Aに示す治具600の開口部620にダイヤモンド粒子を充填して行った。具体的には、図21Bに示すように、重ねた20枚の白色用紙640の上に治具600を載せ、治具600の開口部620の内部にダイヤモンド粒子を充填した後、分光色差測定装置660を治具600の上面に押し当て、外光が開口部620の内に入らない状態で明度の測定を実行した。治具600は金属(具体的にはSUS)製であり、開口部620の深さは4mm、直径は15mmであった。分光色差測定装置660は、日本電色工業株式会社製の商品名「ハンディ型分光色差計NF555」であった。
*の第1の参照値(ref.1)を得るため、重ねた20枚の白色用紙640を対象として、上記の分光色差測定装置660によるL*の測定を行った。なお、この測定では、図21Aに示す治具600は利用せず、分光色差測定装置を直接押し当て、外光が開口部620の内に入らない状態で明度の測定を実行した。測定によって得たL*、すなわち第1の参照値(ref.1)は、93.62であった。また、L*の第2の参照値(ref.2)を得るため、重ねた20枚の白色用紙に図21Aの治具600を当て、開口部620の内部に位置する白色用紙を対象として、外光が開口部620の内部に入らない状態で、分光色差測定装置660によるL*の測定を行った。この測定によって得たL*、すなわち第2の参照値(ref.2)は、61.58であった。
本実験例の選別工程を行った後のダイヤモンド粒子群のL*(55.63)について、参照値(ref.2)を基準とするL*の相対値を算出すると、0.903であった。
このように本開示におけるL*の測定は、外光が入らない空間に充填されたダイヤモンド粒子群に対して分光色差測定装置を用いて実行される。また、相対値を取得する場合は、ダイヤモンド粒子が充填される空間内に積層された白色用紙のL*の測定値を基準値として用いればよい。
次に、上記の選別工程によって得たL*が55.63のダイヤモンド粒子群を平均粒径が5μmのCu粉末粒子と混合し、混合粉末を得た。混合粉末の総重量は6.24グラムであった。この混合粉末全体に対して、Cu粉末粒子は80質量パーセントであり、ダイヤモンド粒子は20質量パーセントであった。次にSPSシンテックス社製の焼結装置(型番SPS-515S)を用いて、厚さが4mmのCu-ダイヤモンドMMCを作製した。具体的には、36MPaの圧力を印加した。焼結ピーク温度Tsは620℃であり、保持時間は10~15分であった。焼結は真空雰囲気中で行った。
また、上記の選別工程によって得たL*が55.63のダイヤモンド粒子群を、平均粒径が50μmのダイヤモンド粒子、および、粒径が5μmのCu粉末粒子と混合し、別の混合粉末(バイモーダル混合粉末)を得た。この混合粉末の総重量は5.76グラムであった。この混合粉末全体に対して、Cu粉末粒子は70質量パーセントであり、粒径が500μmダイヤモンドの粒子は20質量パーセントであり、粒径が50μmダイヤモンドの粒子は10質量パーセントであった。次にSPSシンテックス社製の焼結装置(型番SPS-515S)を用いて、厚さが3mmのCu-ダイヤモンドMMCを作製した。具体的には、第1の圧力を10MPaとし、第2の圧力を36MPaとしてこれらを繰り返し印加した。印加した圧力の保持時間は第1の圧力が15秒、第2の圧力が20秒、圧力の切り替え時間の合計を50秒とし、1サイクルの合計時間を85秒とした。繰り返したサイクル数は25回であった。また、焼結ピーク温度Tsは660℃であり、保持時間は40分であった。室温から430℃までの昇温中、焼結雰囲気は真空であり、430℃以上では、窒素および水素の混合ガス雰囲気であった。
上記の焼結によって得られたCu-ダイヤモンドMMCのそれぞれについて、熱伝導率を測定したところ、表6に示す結果が得られた。
Figure 2022058172000007
<実験例14>
本実験例では、ダイヤモンド粒子の選別工程の内容だけが異なり、他の条件は同一の条件でサンプルを作製した。選別工程の対象となるダイヤモンド粒子は、平均粒径が500μmのダイヤモンド粒子群(粉末)であり、この点は、実験例13と同じである。この後に説明する実験例15から実験例18でも、選別工程の対象とするダイヤモンド粒子に違いはなく、選別工程のみに違いがある。
本実験例では、上記のダイヤモンド粒子に対して、磁力による選別を行った。磁石に引き付けられずに残ったダイヤモンド粒子群について、蛍光X線分析(XRF分析;X-ray Fluorescence分析)によってFe不純物の濃度を測定したところ、104ppmの値を得た。XRF分析は、株式会社リガク社製の商品名「ZSX Primus II」を使用した。測定条件は、不純物としてFeを確認するとき、管電圧50kV、管電流60mAで行った。また、X線源はRh(Kα1線)であり、X線検出器はFe(Kα1線)を確認するときはシンチレーションカウンターを使用した。なお、エネルギー分解能は約20eV(Mnの半値幅、2θは1.5度に相当する)であった。
本実験例では、磁石に引き付けられずに残ったダイヤモンド粒子群を用いて混合粉末とバイモーダル混合粉末をそれぞれ準備し、実験例13と同様にしてCu-ダイヤモンドMMCを作製した。磁石に引き付けられずに残ったダイヤモンド粒子群について、実験例13と同様に明度の測定を行った。また、焼結によって得たCu-ダイヤモンドMMCについて熱伝導率の測定を行った。その結果を表6に示している。
<実験例15>
本実験例では、実験例14における磁力選別で磁石に引き付けられずに残ったダイヤモンド粒子群に対して、更に目視によって黒色のダイヤモンド粒子を取り除く選別工程を行った。この点で、本実験例は実験例14と異なる。この選別工程後のダイヤモンド粒子群について、上記の明度測定を行ったところ、L*は56.65(相対値は0.920)であった。実験例14の選別工程後におけるダイヤモンド粒子群のL*は、56.38(相対値は0.916)であったので、明度の増加が観察された。また、実験例15において、このような磁力選別および目視による選別を行った後に残ったダイヤモンド粒子のFe濃度の測定値は、111ppmであった。
選別工程後のダイヤモンド粒子群を用いて、実験例13について説明したバイモーダル混合粉末を準備し、実験例13と同様にしてCu-ダイヤモンドMMCを作製した。こうして得たCu-ダイヤモンドMMCについて、熱伝導率の測定を行った。その結果を表6に示している。
<実験例16>
本実験例では、実験例14における磁力選別でダイヤモンド粒子から取り除かれたダイヤモンド粒子(すなわち、磁石に引き付けられて回収されたダイヤモンド粒子)群について、上記の明度測定を行った。L*は53.16(相対値は0.863)であった。実験例14の選別工程後におけるダイヤモンド粒子群のL*は、56.38(相対値は0.916)であったので、相対的に明度の低いダイヤモンド粒子が磁力選別によって回収されたことが確認された。
磁力で回収されたダイヤモンド粒子群を用いて、実験例13について説明した混合粉末(Cu粉末粒子は80質量パーセント、ダイヤモンド粒子は20質量パーセント)を準備し、実験例13と同様にしてCu-ダイヤモンドMMCを作製した。こうして得たCu-ダイヤモンドMMCについて、熱伝導率の測定を行った。その結果を表6に示している。
<実験例17>
本実験例では、実験例14における磁力選別(1回目の磁力選別)を行った後に磁石に引き付けられずに残ったダイヤモンド粒子群から、2回目の磁力選別を行った。2回目の磁力選別を行って、磁石に引き付けられて回収されたダイヤモンド粒子群について、上記の明度測定を行った。L*は53.07(相対値は0.862)であった。
2回目の磁力選別で回収されたダイヤモンド粒子群を用いて、実験例13について説明したバイモーダル混合粉末を準備し、実験例13と同様にしてCu-ダイヤモンドMMCを作製した。こうして得たCu-ダイヤモンドMMCについて、熱伝導率の測定を行った。その結果を表6に示している。
<実験例18>
本実験例では、上記の選別工程を行わない状態のダイヤモンド粒子を用いた点を除いて、実験例13と同じ実験を行った。
選別工程を行わなかったダイヤモンド粒子群について、上記の明度測定を行ったところ、L*は54.73(相対値は0.889)であった。また、このダイヤモンド粒子のFe濃度の測定値は、113ppmであった。このようなダイヤモンド粒子群を用いて、実験例13について説明した混合粉末およびバイモーダル混合粉末と同様の混合粉末をそれぞれ準備し、実験例13と同様にしてCu-ダイヤモンドMMCを作製した。こうして得たCu-ダイヤモンドMMCについて、熱伝導率の測定を行った。その結果を表6に示している。
図21Cは、実験例13-18で得られたL*と熱伝導率の測定結果を示すグラフである。グラフ中におけるEx.13-Ex.18は、それぞれ、実験例13-18のデータであることを示している。図21Cにおいて、黒い丸は、Cu粉末粒子が80質量パーセント、ダイヤモンド粒子が20質量パーセントの混合粉末を用いたサンプルを意味している。また、黒の四角は、ダイヤモンド粒子のバイモーダル粉末を混合粉末に用いたサンプルを意味している。
図21Cのグラフからわかるように、いずれの実験例においても、575[W/m・K]を超える高い熱伝導率が実現している。したがって、基層に含まれるダイヤモンド粒子群のL*が53以上(相対値:0.86以上)であれば、575[W/m・K]を超える高い熱伝導率が得られることがわかる。また、L*が増加すると、熱伝導率が増加する傾向が観察された。L*は54以上(相対値:0.88以上)であることが好ましい。また、L*は55以上(相対値:0.89以上)であることが更に好ましく、56以上(相対値:0.91以上)であることが特に好ましい。これにより、複合材料の熱伝導率を更に向上させることができる。
また、表6から、磁力選別を行っていない実験例18と、磁力選別を行った実験例14および実験例15を比べると、実験例14および15のFe不純物量が実験例18のFe不純物量よりも低いことが確認できた。また、実験例14および実験例15の熱伝導率が実験例18の熱伝導率よりも高いことが確認できた。L*だけでなく、Fe不純物も熱伝導率を向上させる要因の一つであることが推測された。
これらの複合材料を準備した後、実験例1から実験例3について説明したように、研磨工程、金属層の形成工程、金属層の研磨工程、および絶縁層の直接接合工程を行うことにより、本開示による複合基板の実験例が得られる。
<半導体装置>
以下、本開示における複合材料を利用した半導体装置の一例について説明する。
ダイヤモンド粒子と金属とを含む複合材料は、連続する金属マトリクスが電流を流し得るため、全体として導電性を有している。このため、上述したように半導体素子が複合材料に接合されて使用される場合、複合材料の表面に絶縁層(絶縁部材)を設けることにより、半導体素子の導電性を有する部分、例えば半導体基板を、複合材料の絶縁層に接触した状態で実装することが可能になる。また、絶縁層の熱膨張係数を複合材料と半導体素子との中間的な値となるように選べば、熱膨張係数差による複合材料と半導体素子との剥がれを低減することができる。
一方で、複合材料が導電性を有していることを利用して、半導体素子と複合材料とを電気的に接続し、複合材料を電流経路の一部にすることもできる。この場合、複合材料は放熱経路と電流経路の2つ役割を担うことができる。絶縁層と直接接合された複合材料は、絶縁層上にさらに導電層を備えることができる。導電層と半導体素子とはワイヤにより電気的に接続することができる。導電層を中継点とすることで、ワイヤ1本ごとの長さを短くすることができ、ワイヤが断線することを低減できる。また、導電層の面積を適宜設定することで、外部電極と接続するための取り回しが向上する。半導体素子として、例えば半導体レーザ素子を用いる場合は、半導体レーザ素子から導電層に複数本のワイヤを配線することが容易となるので、半導体素子へ均一な電流注入が可能になる。
以下、本開示における実施形態で製造された複合基板を備える半導体装置として、発光装置の構成例を説明する。
図22は、発光ダイオード(LED)素子22と、LED素子22を支持する複合基板14とを備える発光装置200の構成例を模式的に示す斜視図である。複合基板14は、基層180と平坦層82と絶縁層84とを含み、上記の実施形態における製造方法で作製する。絶縁層84は、例えば、セラミックスのAlNにより形成されている。絶縁層84上には、p側配線28pおよびn側配線28nが形成され、それぞれ、LED素子22のp側電極およびn側電極と電気的に接続されている。複合基板14の下面は、ヒートシンク190と熱的に接触している。動作中にLED素子22で発生した熱は、絶縁層84によって面内方向に拡がった後、基層180を介して外部に散逸する。
図23は、レーザダイオード(LD)素子32と、LD素子32を支持するサブマウント34と、サブマウント34を支持する基体42とを備える発光装置300の構成例を模式的に示す断面図である。サブマウント34は、上記の実施形態における基層から形成されている。基体42は、サブマウント34と同じ材料から形成されていてもよいが、他の材料、例えば金属またはセラミックスから形成されていてもよい。基体42の上面には導電層37が設けられている。サブマウント34はこの導電層37上に配置されている。
サブマウント34の上面の一部は、例えばAlNなどの絶縁層36によって覆われているが、上面の他の部分ではサブマウント34の導電性表面が現れている。このように本開示の実施形態において、複合基板の上面の全体が絶縁層36によって覆われている必要はない。この絶縁層36は、前述した直接接合法によってサブマウント34と直接接合されている。すなわち、絶縁層36は、サブマウント34の上面を構成する平坦層と直接接合される。
基体42は、絶縁部材44によって本体から電気的に分離されたp側端子48pおよびn側端子48nを有している。絶縁部材44と基体42とは樹脂、半田等による接着されるか、または拡散接合によって接合されている。p側端子48pおよびn側端子48nは、それぞれ、絶縁部材44を上下方向に貫通する導電性ビア49に電気的に接続されている。
LD素子32の下面に位置するp側電極は、サブマウント34の上面における導電性表面と電気的に接続されている。基体42のp側端子48pは、ワイヤ33aにより、基体42の上面に位置する導電層37上に設けられた導電層38と電気的に接続されている。サブマウント34は導電性を有するため、p側端子48pは、ワイヤ33a、導電層38、導電層37、およびサブマウント34を介して、LD素子32のp側電極と電気的に接続されている。
一方、LD素子32の上面に位置するn側電極は、ワイヤ33bにより、絶縁層36上に形成された導電層39に電気的に接続されている。この導電層39は、ワイヤ33cにより、n側端子48nと電気的に接続されている。
基体42の下面は、ヒートシンクまたは冷却装置に熱的に接触してもよい。動作中にLD素子32で発生した熱は、サブマウント34によって面内方向に拡がった後、基体42を介して外部に散逸していく。
図24は、本開示の半導体装置の他の実施形態である発光装置400の構成例を示す断面図である。発光装置400が前述の発光装置300と異なる点は、主に、サブマウント34の絶縁層36で覆われていない上面領域にAu層41が配置されていることにある。絶縁層36で覆われていないサブマウント34の上面領域にAu層41が配置されているため、ワイヤ33aは、このAu層41を介してサブマウント34上のLD素子32のp側電極と電気的に接続され得る。このようなAu層41は、例えば図5に示されている金属層92によって実現され得る。すなわち、発光装置400の構成例において金属層92は、サブマウント34と絶縁層36とを直接接合する役割と、ワイヤ33aとサブマウント34とを電気的に接続する電流経路としての役割を担うことができる。
図25は、本開示の半導体装置の他の実施形態である発光装置500の構成例を示す断面図である。発光装置500は、基部110、蓋部120、光反射部材130、サブマウント140、半導体レーザ素子150、およびワイヤ160を有する。また、基部110と蓋部120とを接合することによって形成されるパッケージの閉空間の内部において、光反射部材130と、半導体レーザ素子150を配したサブマウント140とが配置される。パッケージの閉空間内では、更に、基部110の上に配置された半導体レーザ素子150に電気的に接続するワイヤ160が設けられる。蓋部120は、例えば、表面に金属膜が設けられたガラスまたはサファイアから形成され得る。特に、表面に金属膜が設けられたサファイアを用いることが好ましい。サファイアは、屈折率が比較的高く、光の拡がりを抑えることができる。また、サファイアは、比較的強度が高く、破損しにくいため、閉空間の気密性および発光装置500の信頼性を高めることができる。
図25に示すように、基部110は枠部112と底部114とを有する。底部114は、本開示にかかる複合材料から形成され得る。複合材料の例は、Cuダイヤモンド、Agダイヤモンド、Alダイヤモンドを含む。枠部112は、アルミナ、AlN等のセラミックスから形成され得る。基部110の材料はこれに限定されるわけではない。底部114は、枠部112よりも熱伝導率が高い材料が選択されることが望ましい。底部114と枠部112とは、直接接合法により接合され得る。直接接合により、接合強度の高い基部110が得られる。複合材料から形成された底部114は高い熱伝導率を有するため、半導体レーザ素子150の駆動によって生じる熱が散逸しやすい。光反射部材130も複合材料から形成された底部114上に配置されているため、光反射部材で生じる熱も散逸しやすい。
なお、上記の発光装置200、300、400、500は、本開示の実施形態による放熱基板を備える半導体装置の例であり、この放熱基板は様々な用途に使用され得る。
本開示による複合基板は、さまざまな放熱部材として利用可能である。複合基板の例は、半導体装置、半導体発光素子、半導体集積回路素子、モノリシックマイクロ波集積回路素子などの素子に熱的に接触する基体、サブマウント、ヒートスプレッダ、パッケージ、およびヒートシンクを含む。
10・・・ダイヤモンド粒子、20・・・キャビティ、30・・・ダイ、40・・・上パンチ、50・・・下パンチ、60・・・電源ユニット、100・・・焼結装置

Claims (16)

  1. ダイヤモンドと金属を含む複合材料から形成され、第1表面、および前記第1表面の反対側に第2表面を有する基層と、
    前記基層の前記第1表面に結合される下面と、表面粗さRaが10nm以下である上面を有する平坦層と、
    前記平坦層の前記上面に直接接合された絶縁層と、
    を備える、複合基板。
  2. 前記平坦層は、Cu、Ag、Au、Al、CuW、CuMo、AlN、SiN、SiO2からなる群から選択された1または2以上の材料を含んで形成されている、請求項1に記載の複合基板。
  3. 前記平坦層は、前記複合材料の熱膨張係数の2倍以上の熱膨張率を有する材料から形成されている、請求項1または2に記載の複合基板。
  4. 前記平坦層の厚さは、1000μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の複合基板。
  5. 前記絶縁層の厚さは、200μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の複合基板。
  6. 前記平坦層は、前記第1表面と結合される下面を有する金属層と、前記金属層上に形成され、前記金属層の表面粗さよりも厚く、前記上面を有する金属部材とを含む、請求項1から5のいずれかに記載の複合基板。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の複合基板と、
    前記複合基板の前記絶縁層上に支持され、前記複合基板と電気的に接続された半導体素子と、
    を備える半導体装置。
  8. ダイヤモンドと金属を含む複合材料から形成され、第1表面、および前記第1表面の反対側に第2表面を有する基層と、前記基層の前記第1表面に結合される下面と、表面粗さRaが10nm以下である上面を有する平坦層と、を有する積層体を準備する工程と、
    前記平坦層の前記上面に絶縁層を直接接合する工程と、
    を含む、複合基板の製造方法。
  9. 前記積層体を準備する工程において、
    前記基層の前記第1表面に金属層を形成する工程と、
    前記金属層の表面を研磨加工して、前記平坦層を形成する工程と、を含む請求項8に記載の複合基板の製造方法。
  10. 前記積層体を準備する工程は、
    複数のダイヤモンド粒子と複数の金属粉末粒子とを含む混合粉末の層に金属の粉末または金属板を接触させる工程と、
    パルス通電焼結法により、前記混合粉末から前記複合材料を生成して前記基層を形成し、かつ、前記基層の前記第1表面に前記金属の粉末または金属板からなる前記金属層を結合する工程と、
    を含む、請求項9に記載の複合基板の製造方法。
  11. 前記積層体を準備する工程は、
    第1のパルス通電焼結により、複数のダイヤモンド粒子と複数の金属粉末粒子とを含む混合粉末から前記複合材料を生成して前記基層を形成する工程と、
    第2のパルス通電焼結により、前記基層の前記第1表面に金属の粉末または金属板を結合し、前記金属層を得る工程と、
    を含む、請求項9に記載の複合基板の製造方法。
  12. 前記積層体を準備する工程は、
    前記第1のパルス通電焼結により前記基層を形成する工程の後、
    前記基層の前記第1表面を薄肉化処理する工程と、
    前記第2のパルス通電焼結により、前記基層の薄肉化処理された前記第1表面に前記金属の粉末または前記金属板を結合し、前記金属層を得る工程と、
    を含む、請求項11に記載の複合基板の製造方法。
  13. 前記平坦層を形成する工程において、前記上面の表面粗さRaが前記積層体を準備する工程における前記第1表面の表面粗さRaよりも小さくなるように前記平坦層を形成する、請求項12に記載の複合基板の製造方法。
  14. 前記積層体を準備する工程において、前記第1のパルス通電焼結および/または前記第2のパルス通電焼結において、第1の圧力と、前記第1の圧力よりも高い第2の圧力とを混合粉末に対して繰り返し印加する、請求項11から13のいずれかに記載の複合基板の製造方法。
  15. 前記基層を形成する工程は、
    前記混合粉末に含まれる前記複数のダイヤモンド粒子として、CIE1976L***表色系におけるL*が53以上のダイヤモンド粒子群を準備する工程を含む、請求項11から14のいずれかに記載の複合基板の製造方法。
  16. 前記ダイヤモンド粒子群を準備する工程は、強磁性の不純物を含有するダイヤモンド粒子を磁力によって取り除く工程を含む、請求項15に記載の複合基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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