JP2022057350A - 猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法 - Google Patents

猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法の提供。【解決手段】含硫化合物、飽和脂肪酸及び飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上を有効成分として含有する、猫用排泄抑制組成物。【選択図】図2

Description

本発明は、猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法に関する。
愛玩動物(ペット)の歴史は古く、その中でも猫は、古代エジプトの時代から現在のペットのような位置づけとして、または、ネズミの駆除などの実用目的で飼われてきた。現在では、犬・猫・ウサギ・小鳥などの動物が多く飼育され、人間の日常生活と密着した馴染みの深い愛玩動物(ペット)として定着している。その代表的な存在である犬と猫であるが、最近では、犬の飼育頭数が減少傾向である一方、猫の飼育頭数が増加しており、飼育頭数では猫が犬を上回っている。
猫は、その室内飼育が進んできてはいるものの、未だに自由飼育(放し飼い)が多く、人間に飼育されていない野良猫も加え、戸外で活動する猫が意図しない場所へ侵入し、人間の迷惑となる行為を行うなど問題となっている。特に、猫の糞尿などの排泄物に関する問題は、その強烈な臭気や掃除の手間などにより、大きな社会問題にすら発展している。また、室内飼育の猫も、トイレ以外の場所での排泄を意味する「不適切な排泄」や、「スプレー行動」と呼ばれるマーキング行為に悩まされる飼い主も多い。
この問題を解決するため、例えば、猫や犬が嫌がる忌避剤を処理するほか、超音波やホログラムシートによって忌避させるもの(特許文献1~3等)など、多くの忌避剤が開示されている。しかしながら、これらの方法による忌避効果は十分でなく、一時的に猫を忌避できてもすぐに元の状態に戻るなど、忌避効果の持続性に問題があり、糞尿などの排泄物による被害を十分に抑制することができていないのが現状であった。
特開平01-139515号公報 特開平07-322805号公報 特開2006-020598号公報
本発明は、猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法の提供を目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、含硫化合物、飽和脂肪酸及び飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上を有効成分として含有する組成物で処理することにより、処理した場所はもとよりその周辺の広域にわたり猫の排泄を抑制し、糞尿などの排泄物による被害を大きく低減することを見出し、上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.含硫化合物、飽和脂肪酸及び飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上を有効成分として含有する、猫用排泄抑制組成物。
2.1.記載の猫用排泄抑制組成物を処理することを特徴とする、猫の排泄抑制方法。
本発明の猫用排泄抑制組成物で処理することにより、処理した場所はもとよりその周辺の広域にわたり猫の排泄を抑制することができる。しかも、本発明は、猫用排泄抑制組成物で処理した場所が排泄場所ではないことを猫に認識させることにより、その排泄抑制効果が得られるため、組成物中の有効成分の濃度が低下しても、排泄抑制の効果を長期間持続させることが可能である。
猫は「単独行動」のイメージが強いが、自由飼育(放し飼い)や野良猫など戸外で活動する猫は、複数の猫で群れを形成し共同生活する場合も多い。本発明は、一部の猫のみならず群れを構成する猫全体が、猫用排泄抑制組成物で処理した場所を排泄場所ではないと認識し、大きな排泄抑制効果を得ることができる。また、室内飼育の猫の「トイレ」のしつけなどのほか、上述の「不適切な排泄」や「スプレー行動」に対しても、抑制効果を得ることができるため有用である。
さらに、本発明の猫用排泄抑制組成物は、詳細は後述するものの、猫が誤食・誤飲しないことが確認されているため安全性にも優れており、例えば、室内飼育の猫に対する「トイレ」のしつけにも、安心して使用することができる。
実施例における「猫の排泄抑制効果確認試験1」の結果を示すグラフである。 実施例における「猫の排泄抑制効果確認試験2」の結果を示すグラフである。 実施例における「猫の排泄抑制効果確認試験3」の結果を示すグラフである。
以下、本発明の猫用排泄抑制組成物及び猫の排泄抑制方法について詳細に説明する。
完全室内飼育されている猫も含めて全ての猫は、「なわばり(テリトリー)」を作り、その中で生活する習性がある。自由飼育(放し飼い)や野良猫などは、他の猫とも「なわばり」を共有しているので、毎日見回り、自分の「なわばり」を点検する習性もある。猫は、「なわばり」内にある1ヶ所以上の「トイレ」において、糞尿を排泄するだけではなく、自分の「なわばり」を誇示するための「スプレー行動」と呼ばれるマーキング行為も行う。このようにマーキング機能を有する猫の尿は強烈な臭いを発するため、大きな問題となる。
一方、猫は非常にきれい好きで臭いにも敏感な動物のため、糞尿などの排泄をする場所と、餌などを食べる場所は明確に区別する習性がある。
本発明者は、この習性が排泄する場所と食事をする場所を猫は分けて認識していることの現れと推測し、糞尿被害が発生している場所を、食事場所であると猫に認識・学習させることができれば、その糞尿被害を低減できると考え、検討を行った。その結果、糞尿被害が発生している場所に、猫の餌様の香料化合物を処理したところ、処理直後から当該場所での排泄行動を抑制できるという事実が明らかとなった。特に、餌様の香料化合物の中でも、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物を処理した直後から、処理した場所における排泄行動が強く抑制されることを見出し、本発明を完成した。
本発明の猫用排泄抑制組成物や猫の排泄抑制方法は、猫が排泄する場所と食事をする場所を区別して認識し、それを学習することに基づくものであり、猫が嫌う臭気や成分を使用して猫が近寄らないようにする忌避剤とは、根本的に相違するものである。このことは、後述する実施例において詳細に説明するが、本発明の猫用排泄抑制組成物や猫の排泄抑制方法の効果は、有効成分が消失した後も継続する一方、忌避剤は、その有効成分が消失するとともに忌避効果も得られなくなることでも、裏付けされている。
本発明の猫用排泄抑制組成物は、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上を有効成分として含有するものである。
<含硫化合物>
本発明における含硫化合物とは、有機硫黄化合物とも呼称される化合物で、硫黄原子を含む有機化合物を意味する。含硫化合物は一般的に不快な臭気を有する化合物として認識されている一方で、低濃度において、強くしかも特徴ある香気を呈する化合物であることが知られており、中でも、肉様、特に調理肉様香気化合物として利用されている。
本発明における含硫化合物としては、その分子量が50~250の範囲である化合物が好ましく、1分子中に硫黄原子を1個または2個有する化合物がより好ましく、特に、スルフィド化合物またはジスルフィド化合物が好ましい。
本発明における含硫化合物として好適な化合物としては、具体的に、ジメチルスルフィド、2,4-ジチアペンタン、3-(メチルチオ)プロパナール、ジメチルスルホン、フルフリルメチルジスルフィド、ジフルフリルジスルフィドなどが挙げられる。
<飽和脂肪酸>
本発明における飽和脂肪酸とは、炭素鎖に二重結合あるいは三重結合を有しておらず、水素で飽和されている炭化水素の1価のカルボン酸である。飽和脂肪酸は、肉、牛乳、バター、卵黄、チョコレート、ココアバター、ココナッツ、パーム油などに多く含まれており、特に、乳製品独特の香気成分であることが知られている。
本発明における飽和脂肪酸としては、その沸点が210~400℃の範囲の化合物が好ましく、中でも、炭素数7~18の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数7~9の飽和脂肪酸がより好ましい。
本発明における飽和脂肪酸として好適な化合物としては、具体的に、ヘプタン酸(炭素数7、沸点:223℃)、オクタン酸(炭素数8、沸点:240℃)、ノナン酸(炭素数9、沸点:254℃)などが挙げられる。
<飽和脂肪族炭化水素化合物>
本発明における飽和脂肪族炭化水素化合物とは、炭素鎖に二重結合あるいは三重結合を有しておらず、水素で飽和されている炭化水素化合物である。飽和脂肪族炭化水素化合物は、かつお節の香気成分であることが知られている。
本発明における飽和脂肪族炭化水素化合物としては、その沸点が210~320℃の範囲の化合物が好ましく、中でも、炭素数12~18の飽和脂肪族炭化水素化合物が好ましく、炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素化合物がより好ましい。
本発明における飽和脂肪族炭化水素化合物として好適な化合物としては、具体的に、ドデカン(炭素数12、沸点:214~216℃)、トリデカン(炭素数13、沸点:234℃)、テトラデカン(炭素数14、沸点:253~255℃)などが挙げられる。
本発明の猫用排泄抑制組成物における、有効成分の含有量は特に制限がなく適宜設定すればよいが、猫用排泄抑制組成物全体に対して、0.5ppb~10重量%含有することが好ましく、0.5ppm~3重量%含有することがより好ましく、0.001~2重量%含有することがさらに好ましい。0.5ppb未満では優れた猫の排泄抑制効果が得られず、10重量%を超える量では猫の排泄抑制効果は大きく変化しないだけでなく、人間に対しても刺激臭となってしまうおそれがあり好ましくない。
<製剤>
本発明の猫用排泄抑制組成物は、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上の有効成分を含有するものであり、通常は製剤として使用する。その製剤形態は使用態様に応じて適宜設定すればよい。例えば、油剤、乳剤、水和剤、粒剤、粉剤、噴霧剤、エアゾール剤、塗布剤、洗浄剤、シート剤、注入剤等の剤型とすることができる。好ましい製剤形態は、液剤として調製しゼオライト等の多孔質の固体担体に含浸させた粒剤、粉剤のほか、液剤として調製したスプレー剤やエアゾール剤等の噴霧用製剤である。
これらの中でも、粒剤や粉剤は、猫の排泄抑制を望む水平な処理面に対して撒くなど簡便に処理することができ便利であるほか、エアゾール剤などの噴霧用製剤は、猫の排泄抑制を望む垂直面にも簡単に処理することができるので、好適である。
本発明の猫用排泄抑制組成物の液剤を調製するにあたっては、必要に応じてノニオン系、アニオン系、カチオン系等の界面活性剤を配合することができる。具体的には、例えば、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、多価アルコールエステル類及び糖アルコール誘導体等のノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、アルキルアンモニウムハライド等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。その中でも、本発明の猫用排泄抑制組成物の原液を水性溶液とする場合は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、グリセリン脂肪酸エステル類、アルキルグリセリルエーテル類、ポリオキシエチレングリセリルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤を配合することが好ましい。
本発明の猫用排泄抑制組成物は、その他公知の液体担体、ガス状担体、固体担体、その他製剤助剤を配合してもよい。
液体担体としては、例えば、芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン、流動パラフィン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸エチル、安息香酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ヘテロ環系溶剤(スルホラン、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)、酸アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-ピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等)、炭酸アルキリデン類(炭酸プロピレン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
ガス状担体としては、例えば、ブタンガス、フロンガス、(HFO、HFC等の)代替フロン、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素ガス及び炭酸ガスが挙げられる。
固体担体としては、例えば、粘土類(カオリン、珪藻土、ベントナイト、クレー、酸性白土等)、ゼオライト、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、多孔質体等が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤、溶解助剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等)、安息香酸エステルや塩類、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、及びBHA(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノールと3-tert-ブチル-4-メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
本発明では、さらに必要に応じて防錆剤、防腐剤、pH調整剤、香料等の成分を適宜添加し得る。これらの成分としては、この分野で慣用されているものを使用することができ、具体的には、防錆剤としてはカーレンNo.955、No.906、No.954、No.958、No.970(いずれも商標:三洋化成工業株式会社)等を、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、イソチアゾリノン、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム等を、pH調整剤としては酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機酸類やリン酸等の無機酸類、その塩類をそれぞれ例示できる。
本発明の猫用排泄抑制組成物を、粒剤や粉剤とする場合について説明すると、例えば、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上の有効成分をノニオン系界面活性剤により水中に溶解または分散させて得られた液体製剤を、ゼオライトなどの多孔質の固体担体に担持させることにより、粒剤や粉剤とすることができる。使用するゼオライトなどの多孔質の固体担体の大きさとしては、0.1~10mm程度の粉状、球状、ペレット状のものが例示され、中でも、1~5mm程度の球状もしくはペレット状のものが好ましい。
これらの粒剤や粉剤は、猫の排泄抑制を望む場所に対して撒いて使用するほか、通気性を有する袋や容器に収納して、猫の排泄抑制を望む場所に載置または設置して使用することができる。
本発明の猫用排泄抑制組成物を、エアゾール式スプレー容器に充填しエアゾール剤とする場合について説明すると、噴射剤としては、公知のものを広く使用することができ、例えばブタンガス、フロンガス、(HFO、HFC等の)代替フロン、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素ガス及び炭酸ガス等を挙げることができる。本発明の猫用排泄抑制組成物においては、噴射剤量を猫用排泄抑制組成物全体の10~95容量%、特に30~90容量%とすることができる。
本発明の猫用排泄抑制組成物をエアゾール剤として製造するに際しては、この分野で慣用されている方法を広く使用し得る。そのうち代表的な方法としては、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上の有効成分を必要に応じて加熱(30~50℃)混合して均一な溶液を作製した後、防錆剤、防腐剤等を加え、得られる原液をエアゾール式スプレー容器に入れ、噴射剤を充填して製品とする方法等を挙げることができる。このようにして得られる本発明の猫用排泄抑制組成物のエアゾール剤は、長期間過酷な条件下においても安定で、均一な状態を維持することができ、所望する時にワンタッチで微粒子として噴射して猫の排泄を抑制したい場所を処理することが可能となる。
本発明の猫用排泄抑制組成物を、スプレー剤とする場合について説明すると、例えば、含硫化合物、飽和脂肪酸、飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上の有効成分をノニオン系界面活性剤により水中に溶解または分散させて得られた液体製剤をスプレー容器に充填することにより、スプレー剤として使用することができる。
スプレー容器としては、液体製剤を容易に充填することができ、スプレーする機能を有するものであればよいが、汎用性やスプレー精度の高さを考慮すると、トリガー式スプレー容器またはミスト式スプレー容器が好ましく、特に、トリガー式スプレー容器が好ましい。このトリガー式スプレー容器は、内容物を充填する容器本体の口部にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたものであり、大気圧でスプレーを操作でき、スプレー容器として汎用性の高いものである。ここでいうトリガー式スプレー容器には、スプレー機能を高めるために、トリガー式スプレー容器の一部を改良したものも全て含まれる。
本発明の猫用排泄抑制組成物は、屋内屋外を問わず、猫の糞尿などの排泄物を望まない場所に処理することにより、猫の排泄を抑制することができる。これは、本発明の猫用排泄抑制組成物を処理した場所を、猫が排泄場所に適していないと認識することにより奏される効果である。そのため、本発明の猫用排泄抑制組成物中の有効成分の濃度が低下しても、排泄抑制の効果を長期間得られるものであり、一般的な猫用忌避剤とは根本的に相違する。
本発明の猫用排泄抑制組成物は、処理面1平方メートル当たり、組成物中の有効成分を0.01μg以上処理することにより、猫の排泄行動を抑制することができる。より十分な効果を得るためには0.02μg~5g/m、より好ましくは0.02mg~3g/m、さらに好ましくは0.01~1g/mを適用すればよい。
以下、処方例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
<猫の排泄抑制効果確認試験1>
(1)試験検体の調製
ジメチルスルフィド1重量部をミリスチン酸イソプロピル10重量部で溶解し、これを粒子径2~3mmのゼオライト89重量部に均一に担持させて、実施例1の試験検体を得た。
実施例2、3は下記表1に示した配合で、実施例1と同様にしてそれぞれの試験検体を得た。実施例3の有効成分である「香料組成物A」は、ジメチルスルフィド、オクタン酸、トリデカン、2,4-ジチアペンタン、3-(メチルチオ)プロパナール、ジメチルスルホン、フルフリルメチルジスルフィド、ジフルフリルジスルフィドを含有する調合香料である。
表1中の「IPM」はミリスチン酸イソプロピルを意味する。
Figure 2022057350000002
(2)猫の排泄抑制効果確認試験方法
野良猫が糞尿を繰り返している排泄場所(約1m)3カ所に、試験検体(実施例1~3)をそれぞれ35g/mとなるように均一に散布した。排泄場所(約1m)1カ所は何も散布せず無処理区とした。試験検体(実施例1~3)を散布した日を試験開始日として、各経過時間後に糞の有無を確認し、糞を確認した場合はその糞を取り除き、糞の累計数(個)を計数した。
その結果を図1に示す。
図1に示すとおり、何も散布しなかった無処理区は、試験開始日から4週間後に糞の累計数が17個であったのに対して、本発明の有効成分を複数含有する実施例3の試験検体は、試験開始日から4週間にわたり猫の糞は確認されなかった。また、本発明の有効成分を1種のみ含有する実施例1、2の試験検体は、試験開始日から4週間の期間にそれぞれ5個と2個であり、無処理区に比べてそれぞれ10~30%程度に抑制されることが明らかとなった。
<猫の排泄抑制効果確認試験2>
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」において、極めて優れた猫の排泄抑制効果を発揮した実施例3の試験検体を使用して、市販されている猫用忌避剤の有効成分と猫の排泄抑制効果を比較する試験を行った。
(1)試験検体の調製
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の実施例3の試験検体を使用した。
また、比較例1、2は、下記表2に示した配合で、上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の実施例1と同様にしてそれぞれの試験検体を得た。比較例1、2の有効成分である植物精油Bとサリチル酸メチルは、それぞれ市販されている猫用忌避剤の有効成分であり、植物精油Bはハーブ(タイム、チョウジ、シソなど)から抽出される成分の混合物からなる精油である。
表2中の「IPM」はミリスチン酸イソプロピルを意味する。
Figure 2022057350000003
(2)猫の排泄抑制効果確認試験方法
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の試験方法と同様にして、糞の累計数(個)を計数した。
その結果を図2に示す。
図2に示すとおり、何も散布しなかった無処理区は、試験開始日から5週間後に糞の累計数が18個であったのに対して、本発明の有効成分を複数含有する実施例3の試験検体は、試験開始日から5週間にわたり猫の糞は1個のみであり、上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」と同様に、極めて優れた猫の排泄抑制効果を発揮することが確認された。
5週間という長期間にわたり排泄抑制効果が得られたことから、本発明の猫用排泄抑制組成物は、処理した場所を排泄場所ではないと猫が認識・学習したことにより発揮されたものと考える。
これに対して、市販の猫用忌避剤の有効成分である植物精油Bやサリチル酸メチルを含有する比較例1、2の試験検体は、試験開始日から2週間は、無処理区に比べて猫の排泄抑制効果が認められるものの、それ以後は抑制効果が得られず、結果として、試験開始日から5週間後の糞の累計数は無処理区と同じ18個またはそれを上回る22個であった。これは、比較例1、2の試験検体が、猫用忌避成分が試験開始日から2週間以降は揮散してしまい、忌避効果が得られなくなった結果と考えられる。
本発明の具体例である実施例3と、比較例1、2の結果より、本発明の猫用排泄抑制組成物は、猫が排泄する場所と食事をする場所を区別して認識し、それを学習することに基づくものであり、猫が嫌う臭気や成分を使用して猫が近寄らないようにする忌避剤とは、根本的に相違するものであることが、裏付けられたものと考える。
<猫の排泄抑制効果確認試験3>
(1)試験検体の調製
フルフリルメチルジスルフィド1重量部をミリスチン酸イソプロピル10重量部で溶解し、これを粒子径2~3mmのゼオライト89重量部に均一に担持させて、実施例4の試験検体を得た。
フルフリルメチルジスルフィドに代えてトリデカンを使用する以外は実施例4の試験検体と同様にして、実施例5の試験検体を得た。
表3中の「IPM」はミリスチン酸イソプロピルを意味する。
Figure 2022057350000004
(2)猫の排泄抑制効果確認試験方法
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の試験方法と同様にして、糞の累計数(個)を計数した。
その結果を図3に示す。
図3に示すとおり、何も散布しなかった無処理区は、試験開始日から4週間後に糞の累計数が8個であったのに対して、本発明の有効成分を1種のみ含有する実施例4の試験検体は、試験開始日から4週間にわたり猫の糞は確認されなかった。また、本発明の有効成分を1種のみ含有する実施例5の試験検体は、試験開始日から3週間の期間に1個、4週間の期間に3個であり、無処理区に比べて大きく抑制されることが明らかとなった。
<猫の排泄抑制組成物の誤食確認試験>
(1)試験検体の調製
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の実施例3の試験検体、香料組成物A及び市販の猫の餌を使用した。香料組成物Aは、希釈せずそのまま脱脂綿に含浸させたものを使用した。
(2)試験方法
野良猫の縄張り内にある糞尿を繰り返している排泄場所と、排泄場所以外の場所に、実施例3の試験検体、香料組成物A(希釈せずそのまま脱脂綿に含浸させたもの)及び市販の猫の餌を散布/配置し、猫の挙動を観察(観察期間:2019年8~9月、10~17時の何れか1時間、観察回数6回)し、猫の喫食行動(舐めるか否かも含めて)の有無を確認した。
(3)結果
全ての観察時において、市販の猫の餌は、排泄場所と排泄場所以外の場所の両方において喫食行動が確認されたが、実施例3の試験検体と香料組成物Aは、排泄場所と排泄場所以外の場所の両方において喫食行動が確認されなかった。
この結果より、本発明の猫用排泄抑制組成物は、猫の誤食がないことが確認された。
<猫の排泄抑制効果確認試験4>
(1)試験検体の調製
上記「猫の排泄抑制効果確認試験1」の実施例3の試験検体を使用した。
(2)試験方法
群れA、Bを構成している野良猫を個体識別し、群れAの縄張り内で群れAを構成する野良猫が糞尿を繰り返している区域P(100m:公園)と、群れBの縄張り内で群れBを構成する野良猫が糞尿を繰り返している区域Q(200m:駐車場)を設定した。この区域Pと区域Qにおける、群れA、Bを構成する各個体の行動を観察(2019年10月~12月、16~18時、観察回数6回)したところ、区域Pでは群れAの3頭(各個体をA―1、A-2、A-3とする)、区域Qでは群れBの5頭(各個体をB-1、B-2、B-3、B-4、B-5とする)の排泄行動が確認された。排泄行動が確認された区域P、Q内の糞は、それぞれ26個、10個であった。
区域P、Qにおいて確認された糞を取り除いた後、区域P内の個体A-1の排泄行動が確認された排泄場所p(約33m)と、区域Q内の個体B-1、B-2の2頭の排泄行動が確認された排泄場所q(約66m)に対して、実施例3の試験検体を35g/mとなるように均一に散布した。
散布処理から6週間後、それぞれの排泄場所にある糞の有無を確認した。
(3)結果
実施例3の試験検体を処理した排泄場所p、排泄場所qはもとより、区域P内の排泄場所p以外の場所(無処理区域)や、区域Q内の排泄場所q以外の場所(無処理区域)においても、散布処理から6週間後において糞は全く確認されなかった。
この結果より、実施例3の試験検体を処理した排泄場所p、排泄場所qのみならず、実施例3の試験検体を処理していない場所も含めて区域P、Qの全域にわたり、優れた排泄抑制効果が得られることが明らかとなった。
排泄場所p及び排泄場所qは、群れA、Bの一部の個体(A-1、B-1、B-2)の排泄行動が確認された場所であるにも関わらず、これらの個体(A-1、B-1、B-2)はもちろんのこと、群れA、Bの他の個体(A-2、A-3、B-3、B-4、B-5)に対しても、長期間にわたる排泄抑制効果が得られることが確認された。
本発明の猫用排泄抑制組成物を、猫の排泄が確認された場所の一部の箇所に処理するだけで、処理した場所はもとよりその周辺の広域にわたり、猫の排泄抑制効果が長期間得られることが明らかとなった。
本発明の猫用排泄抑制組成物を処理することにより、処理した場所はもとよりその周辺の広域にわたり猫の排泄を抑制することができる。しかも、本発明は、猫用排泄抑制組成物で処理した場所が排泄場所ではないことを猫に認識させることにより、その排泄抑制効果が得られるため、組成物中の有効成分の濃度が低下しても、排泄抑制の効果を長期間持続させることができ有用である。
本発明は、群れを構成する猫全体において、猫用排泄抑制組成物を処理した場所が排泄場所ではないことを認識させ、大きな排泄抑制効果を得ることができる。
さらに、本発明の猫用排泄抑制組成物は、猫が誤食・誤飲をしないので安全性にも優れており、例えば、室内飼育の猫に対する「トイレ」のしつけにも、安心して使用することができる。

Claims (2)

  1. 含硫化合物、飽和脂肪酸及び飽和脂肪族炭化水素化合物から選択される1種以上を有効成分として含有する、猫用排泄抑制組成物。
  2. 請求項1記載の猫用排泄抑制組成物を処理することを特徴とする、猫の排泄抑制方法。
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