JP2022056842A - 筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能、インキ経時安定性、インキ追従性が良好である油性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた油性ボールペンを得ることである。【解決手段】着色剤、有機溶剤、一般式(化1)で表される化合物を含んでなることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物とすることである。【選択図】 なし

Description

本発明は筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関するものである。
筆記具は筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗によって、ボールペンやマーキングペン等の書き味に影響を及ぼしやすく、特にボールペンは、先端にステンレス鋼などからなる金属チップと、該金属チップのボール受け座に抱持される超鋼などの金属からなる転写ボールと、からなるボールペンチップをインキ収容筒に装着した構成を有しており、筆記時にボールの回転によって、ボール座に摩耗が発生し、筆跡に線飛び、カスレなどの発生や、書き味が悪くなるという問題があり、改善の余地があった。
また、チップ先端部を大気中に放置したままの状態にすると、インキ中の溶媒などが蒸発して、着色剤や樹脂などが乾燥固化したときに、書き出し時において筆跡カスレが発生しやすい。
こうした問題を解決するため、筆記時に筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗を抑制するために、潤滑性向上などを目的として、様々な潤滑剤を用いた油性ボールペン用インキ組成物が多数提案されている。
このような添加剤を用いた油性インキ組成物として、アルキルβ-D-グルコシドを用いたものとしては、特開平5-331403号公報「油性ボールペンインキ」、平均分子量が200~4000000であるポリエチレングリコールを用いたものとしては、特開平7-196971号公報「油性ボールペン用インキ組成物」、N-アシルアミノ酸、N-アシルメチルタウリン酸、N-アシルメチルアラニンを用いたものとしては、特開2007-176995号公報「油性ボールペン用インキ」、デカマカデミアナッツ油脂肪酸デカグリセリルと、アルキル基の炭素数が16以上であり常温で固体のポリオキシエチレンアルキルエーテルとを少なくとも含有するものとしては、特開2008-88264号公報「ボールペン用油性インキ組成物」、水性インキ組成物として、N-アシルアミノ酸、N-アシルメチルタウリンを含有するものとして、特開2003-192972号公報「水性ボールペン用インキ」、イソプレンスルホン酸-アクリル酸共重合体を含有するものとして特開2006-282870号公報「ボールペン用水性インキ組成物」、等に開示されている。
「特開平5-331403号公報」 「特開平7-196971号公報」 「特開2007-176995号公報」 「特開2008-88264号公報」 「特開2003-192972号公報」 「特開2006-282870号公報」
しかし、特許文献1~6のような各種添加剤を用いた場合、筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗をある程度低減することができる添加剤もあるが、満足できるものではなく、改良の余地があった。
さらに、近年では、ボールペンインキで、書き味を良好とするために、インキの低粘度化がすすんでおり、高筆圧で筆記する場合は(耐高筆圧筆記、筆記荷重300~500gf)、潤滑性に影響が出やすく、ボール座の摩耗がすすむことで、筆記性能に影響しやすい。そのため、筆記先端部と被筆記面との間で筆記抵抗をより低減するために、より潤滑性を向上して、耐高筆圧筆記の向上が求められている。
また、ノック式ボールペンや回転繰り出し式ボールペン等の出没式ボールペンとした場合では、チップ先端部を大気中に放置したままの状態で、書き出し性能に影響が出やすいので重要となる。
そのため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)における潤滑性と、書き出し性能の両性能を満足することが必要とされている。
本発明の目的は、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能、インキ追従性が良好である筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.着色剤、溶媒、一般式(化1)で表される化合物を含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
Figure 2022056842000001
2.前記一般式(化1)で表される化合物の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~40質量%であることを特徴とする第1項に記載の筆記具用インキ組成物。
3.前記一般式(化1)の水酸基価(mgKOH/g)が、100~1000(mgKOH/g)であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用インキ組成物。
4.前記溶媒が、芳香族アルコールであることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
5.前記筆記具用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。。
6.前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることを特徴とする第5項に記載の筆記具用インキ組成物。
7.前記界面活性剤が、リン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸であることを特徴とする第5項または第6項に記載の筆記具用インキ組成物。
8.20℃、剪断速度5sec-1におけるインキ粘度が、30000mPa・s以下であることを特徴とする第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
9.第1項~第8項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
10.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第8項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。」とする。
本発明は、潤滑性を向上することで、筆記先端部と被筆記面との間の潤滑性(ボールとチップ本体との間の潤滑性も含む)を保ち、筆記先端部の筆記抵抗を抑制して、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能、インキ追従性が良好である筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることができた。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準であり、含有量とは、インキ組成物の質量を基準としたときの構成成分の質量%である。
本発明の特徴は、着色剤、溶媒、一般式(化1)で表される化合物を含んでなる筆記具用インキ組成物とすることである。これは、酸化アルキレン含有物である一般式(化1)で表される化合物を含んでなることで形成される潤滑層によって、筆記先端部と被筆記面との間の潤滑性(ボールとチップ本体との間の潤滑性も含む)を保ち、筆記先端部の筆記抵抗を抑制して、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗の抑制と、書き味を向上し、さら筆記先端部を大気中に放置した場合でも、インキ中の溶媒蒸発を抑制することで、書き出し性能を向上することが可能となる。そのため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗の抑制と、書き味、書き出し性能を全て向上することが可能であり、ボールペン用インキに用いる場合は、効果的であり、好ましい。特に、油性ボールペンは、複写用紙に筆記することも想定され、通常より筆圧を高く筆記(高筆圧筆記)するため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)が良好であることが望まれるため、油性ボールペン用インキに用いる場合は、最も効果的であり、好ましい。
Figure 2022056842000002
(一般式(化1)で表される化合物)
本発明で用いる一般式(化1)で表される化合物については、構造内に酸化アルキレンを有する化合物で、ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル、トリメチロールプロパントリポリオキシアルキレンエーテルなどが挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテルなどのペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテルなどのトリメチロールプロパントリポリオキシアルキレンエーテルなどが挙げられ、PNT-40(エチレンオキサイド平均付加モル数:4)、PNT-F40(プロピレンオキサイド平均付加モル数:4)、TMP-F32(プロピレンオキサイド付加)、TMP-30(エチレンオキサイド平均付加モル数:3)、TMP-60(エチレンオキサイド平均付加モル数:6)、TMP-60(エチレンオキサイド平均付加モル数:6)(日本乳化剤(株))などが挙げられる。
これらの一般式(化1)で表される化合物は、構造内に酸化アルキレンを有し、親水性、親油性を有する化合物であり、前記構造内に極性が高い親水基を有することで、ボールペンチップの金属材に吸着しやすくなり、より潤滑性を向上することができるため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)においてもボール座の摩耗の抑制と、書き味を向上することができる。
さらに、一般式(化1)で表される化合物は蒸発しづらいため、筆記先端部を大気中に放置した場合でも、書き出し性能を向上するとともに、筆記具用インキ組成物のインキ増粘を極力抑制することで、インキ追従性を向上することができるため、好ましい。また、着色剤に顔料を用いる場合、一般的には経時的に顔料の凝集によりインキ粘度が増加し、インキ追従性が低下するが、前記般式(化1)で表される化合物の構造内の極性基が顔料表面に吸着し、インキ中で顔料を安定に分散するため、顔料の凝集によるインキ粘度の増加を抑制することで、インキ追従性を向上することができる。
また、前記一般式(化1)で表される化合物は、分岐鎖が多く、嵩高い構造を形成することで、より厚い潤滑膜を形成しやすく、より潤滑性を向上することで、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)においてもボール座の摩耗の抑制と、書き味を向上しやすいため、一般式(化2)であるペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテルを含んでなることが好ましい。さらに、油性インキに用いる場合は、一般式(化1)、一般式(化2)のRがメチル基とすることが好ましく、これは、酸化プロピレン基を有することで、親油性に優れることで、インキ中で安定しやすく、本発明の効果が得られすいためで、より考慮すれば、一般式(化2)のRがメチル基であるペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテルを含んでなることが好ましい。
Figure 2022056842000003
前記一般式(化1)、一般式(化2)で表される化合物は、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能をより向上することを考慮すれば、アルキレンオキサイド平均付加モル数(k+l+m+n)が1~20であることが好ましく、よりインキ中で安定することで、本発明の効果を得られやすくすることを考慮すれば、アルキレンオキサイド平均付加モル数が1~15であることが好ましく、さらに高筆圧下におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能を向上することを考慮すれば、アルキレン平均付加モル数が1~10であることが好ましく、さらにアルキレン平均付加モル数が1~6であることが好ましい。
特に、高筆圧下におけるボール座の摩耗抑制を考慮すれば、Rをメチル基とすることが好ましく、その場合のプロピレンオキサイド平均付加モル数(k+l+m+n)が1~20であることが好ましく、より考慮すれば、プロピレンオキサイド平均付加モル数が1~15であることが好ましく、1~10であることが好ましく、さらに1~6であることが好ましい。
また、前記一般式(化1)で表される化合物の水酸基価(mgKOH/g)については、100~1000(mgKOH/g)であることが好ましい、これは、上記範囲であると、着色剤やその他の成分との安定性に影響しにくく、本発明の効果が得られやすいためで、より考慮すれば、300~800(mgKOH/g)であることが好ましく、より考慮すれば、500~750(mgKOH/g)であることが好ましい。
また、前記一般式(化1)で表される化合物の平均重量分子量については、2000以下であることが好ましい、これは、平均重量分子量が大きすぎると、油性インキ中の経時安定性に影響が出やすく、本発明の効果が得られにくいためで、より考慮すれば、平均重量分子量は1000以下であることが好ましい
重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算で得られた値である。
また、前記一般式(化1)で表される化合物の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、上記のような高筆圧下におけるボール座の摩耗抑制と、書き味、書き出し性能、インキ追従性の効果が得られないおそれがあり、40質量%を越えると、インキ経時安定性に影響するおそれがあるため、インキ組成物全量に対し、0.1~40質量%が好ましく、より上記効果を考慮すれば、1~30質量%が好ましく、さらに、ボール座の摩耗抑制と、書き味、書き出し性能、インキ追従性のバランスを考慮すれば、3~25質量%が好ましく、最も好ましくは、8~25質量%である。
(溶媒)
本発明で用いる筆記具用インキ組成物に用いられる溶媒としては、水、有機溶剤、および水と有機溶剤との混合溶媒を用いても良い。また、水としては、イオン交換水、蒸留水および水道水などの慣用の水を用いることができる。
有機溶剤としては、非水溶性有機溶剤、水溶性有機溶剤などがあり、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、油性ボールペン用インキ組成物、水性ボールペン用インキ組成物として一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
これらの有機溶剤の中でも、芳香族アルコ-ルは、芳香環を有することで潤滑性を向上し、前記一般式(化1)で表される化合物と溶解安定性しやすいやすいため、芳香族アルコ-ル溶剤を用いることが好ましい。
また、グリコールエーテル溶剤を用いると、吸湿しやすいため、チップ先端部が乾燥したときに形成する被膜の強度を軟化させ、書き出し性能を向上しやすいため、本発明のように前記一般式(化1)で表される化合物を用いる場合は、より効果的であり、潤滑性、書き出し性能を考慮すれば、芳香族グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。
また、溶媒の含有量は、溶解性、潤滑性、筆跡乾燥性などを向上することを考慮すると、インキ組成物全量に対し、10~90質量%が好ましく、より考慮すれば、20~90質量%が好ましく、より好ましくは40~70質量%である。
(着色剤)
本発明に用いる水性インキ組成物、油性インキ組成物に用いられる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料、顔料を併用しても良い。
また、着色剤としては、潤滑性を考慮すれば、顔料を用いることが好ましい、これは、ボールとチップ本体の隙間に顔料粒子が入り込むことで、ベアリングのような作用が働きやすく、金属接触を抑制することで、潤滑性を向上し、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制する効果が得られやすいため、顔料を用いることが好ましい。さらに、顔料は、耐水性、耐光性に優れ、良好な筆跡堅牢性を得られるため、好ましい。
特に、一般式(化1)で表される化合物と、後述するノニオン系界面活性剤またはリン酸エステル系界面活性剤による潤滑層と、顔料粒子とベアリング作用による相乗効果によって、潤滑性を保ちやすく、ボール座の摩耗の抑制と、書き味を向上とすることが可能となる。また、ボールペンチップ内部の隙間関係を考慮し、平均粒子径は、1~500nmとすることが好ましい。より好ましくは、30~350nmであり、さらに好ましくは、50~300nmである。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法、具体的には、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「MicrotracHRA9320-X100」、日機装株式会社)を用いて、標準試料や他の測定方法を用いてキャリブレーションした数値を基に測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)により求めることができる。
尚、前記顔料は、油性ボールペン用インキ組成物中での顔料の分散状態で前記した作用効果を奏するため、分散状態の粒子径を求めることが好ましい。さらに、顔料は、耐水性、耐光性に優れ、良好な発色を得られるため、好ましい。
また、染料を用いる場合は、前記一般式(化1)で表される化合物との相性による経時安定性を考慮して、造塩染料を用いることが好ましく、さらに造塩結合が安定していることで経時安定性を保てることを考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料の中から用いることが好ましい。よりインキ中の成分との安定性を考慮すれば、塩基性染料と有機酸との造塩染料が好ましい。
油性インキ組成物に用いる染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。本発明で用いる一般式(化1)で表される化合物との安定性を考慮すれば、造塩染料を用いることが好ましい。
染料としては、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB-B、BASE OF BASIC DYES RO6G-B、BASE OF BASIC DYES VPB-B、BASE OF BASIC DYES VB-B、BASE OF BASIC DYES MVB-3(以上、オリヱント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH-スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C-RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C-RH、アイゼンスピロンレッド C-GH、アイゼンスピロンレッド C-BH、アイゼンスピロンイエロー C-GNH、アイゼンスピロンイエロー C-2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH-スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.イエロー510、S.B.N.イエロー530、S.R.C-BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
水性インキ組成物に用いる染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。
(a)直接染料としては、ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、同85、ダイレクトレッド1、同2、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、ダイレクトブルー1、同3、同15、同41、同71、同86、同106、同119、ダイレクトオレンジ6等、(b)酸性染料としては、アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、アシッドオレンジ56、アシッドイエロー3、同7、同17、同19、同23、同42、同49、同61、同92、アシッドレッド8、同9、同14、同18、同51、同52、同73、同87、同92、同94、アシッドブルー1、同7、同9、同22、同62、同90、同103、アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、アシッドバイオレット15、同17等、(c)塩基性染料としては、C.I.ベーシックイエロ-1、同2、同21、同7、同40、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同1:1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同11:1、C.I.ベーシックブル-3、同7、同26、ベーシックグリ-ン4、C.I.ベーシックブラウン12、C.I.ベーシックブラック2、メチルバイオレット、ビクトリアブルーFB、マラカイトグリーン、ローダミンのシリーズ等、(d)その他の染料としては、ディスパーズイエロー82、同121、ディスパーズブルー7などの分散染料などが挙げられる。
着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、5.0~30.0質量%が好ましい。これは5.0質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、30.0質量%を越えると、インキ中での溶解性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7.0~25.0質量%が好ましく、さらに考慮すれば、10.0~20.0質量%がより好ましい。
(界面活性剤)
本発明においては、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、インキ中に含まれる樹脂などによって形成される被膜を柔らかくし、書き出し性能を向上しやすく、さらに潤滑性を向上して、書き味を向上しやすいためである。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などあるが、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。これは、イオン性を示しづらく、インキ中の他成分による析出物が発生しづらいため、インキ経時安定性が良好であるため、好ましい。
前記ノニオン系界面活性剤については、インキ経時安定性を考慮すれば、HLB値が16以下であることが好ましい。よりインキ経時安定性を考慮すれば、HLB値が3~14であることが好ましく、より考慮すれば、HLB値が3~11であることが好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
また、ノニオン系界面活性剤としては、脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルイミダゾリン、アルキルアルカノールアミド、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。その中でも、上記のような書き出し性能、インキ経時安定性を考慮すれば、脂肪酸エステル類、ポリアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルイミダゾリン、アルキルアルカノールアミドの中から1種以上を選択することが好ましく、より書き出し性能を向上することを考慮すれば、脂肪酸エステル類を用いることが好ましい。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
また、前記脂肪酸エステル類としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられるが、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとの相互作用により、書き出し性能を考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルイミダゾリンの中から1種以上を選択することが好ましく、さらに、環状骨格を有している構造であるソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルイミダゾリンを用いることが好ましく、より考慮すれば、水酸基を複数有し、吸湿作用が働きやすいため、ソルビタン脂肪酸エステル、または、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであるソルビタン脂肪酸エステル類の中から1種以上を選択することが好ましい。
また、前記ソルビタン脂肪酸エステル類の中でも、書き出し性能を考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステル類のアルキル基に含まれる炭素数が1~20であることが好ましく、さらに潤滑層を形成するのに適した長さとすることで、高筆圧下におけるボール座の摩耗抑制を向上しやすくすることを考慮すれば、前記アルキル基に含まれる炭素数が10~20であるソルビタン脂肪酸エステル類を用いることが好ましく、より考慮すれば、前記炭素数が12~18であるソルビタン脂肪酸エステル類を用いることが好ましい。
前記ソルビタン脂肪酸エステル類としては、具体的に、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノココエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートやそれらの複合物などのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートやそれらの複合物などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~15質量%がより好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、所望の高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制と、書き味を向上し、書き出し性能、インキ追従性が得られにくく、15質量%を越えると、インキ経時が不安定になりやすい傾向があるためであり、その傾向を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.5~10質量%が好ましく、より考慮すれば、1~5質量%が、最も好ましい。
本発明において、筆記先端(ボールペンのボールとボール座)の潤滑性を向上し、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗の抑制と、書き味の向上や、筆記先端部を大気中に放置し、筆記先端部が乾燥したときの書き出し性能の更なる向上を考慮すると、リン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸を含んでなることが好ましく、より潤滑性を考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤を含んでなることが好ましい。
これは、リン酸基、脂肪酸基を有することから、金属表面に吸着しやすく、特に、ボールとボール座との間に潤滑膜を形成することから、潤滑性が向上し、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗の抑制と、書き味を良化させることができるためである。そのため、リン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸と前記一般式(化1)で表される化合物を用いることは、双方の潤滑作用が働き、相乗的にボールとボール座の間の潤滑性をより一層向上させることができ、より高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗の抑制を発揮しやすいことを考慮すれば、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。
さらに、リン酸エステル系界面活性剤は、防錆効果を有するため、ボールが金属材である場合は、ボールの腐食を抑制することで、書き味、ボール座の摩耗抑制を良好にしやすいため好ましい。さらに、ボール材とした場合は、その結合材として、コバルト、ニッケル、クロム等を用いており、コバルト、ニッケル、クロム等の金属に対して、経時的に腐食しづらいため、腐食によるボールの回転抵抗を生じることもなく、書き味、ボール座の摩耗抑制を良好にしやすいため好ましい。特に、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボールの場合は、結合材として、コバルト、ニッケル、クロム等を用いているため、効果的であり、好ましい。
このため、本発明において、リン酸エステル系界面活性剤と前記一般式(化1)で表される化合物を併用することは効果的であり好ましく、さらに、より書き味、ボール座の摩耗抑制をバランス良く良好とすることを考慮すれば、前記ノニオン系界面活性剤とリン酸エステル系界面活性剤と前記一般式(化1)で表される化合物を併用することは効果的であり好ましい。
さらに、本発明において、ポリビニルブチラールを用いる場合、リン酸エステル系界面活性剤を用いることは、ポリビニルブチラールによる潤滑層と、リン酸エステル系界面活性剤による潤滑膜により、潤滑性がより一層、向上しやすく、効果的であり好ましい。
前記リン酸エステル系界面活性剤において、前記一般式(化1)で表される化合物との相互作用による潤滑性と書き出し性能との両方をより向上させることを考慮すれば、HLB値が6~18であることが好ましい。これは、HLB値が18を越えると親水性が強くなりやすく、インキ中での溶解性が劣りやすいため、前記一般式(化1)で表される化合物との相互作用によるリン酸エステル系界面活性剤の効果が得られにくく、特に、潤滑効果が得られにくいためである。また、HLB値が6未満だと、親油性が強くなり過ぎて、有機溶剤との相溶性に影響が出やすく、インキ経時安定性が得られにくく、さらに書き出し性能が向上しにくいためである。さらに、さらに高筆圧下におけるボール座の摩耗抑制を考慮すれば、HLB値が17以下にすることが好ましく、HLB値が6~17であることが好ましく、より書き出し性能を考慮すれば、HLB値が7~17が好ましい。特に、ノック式ボールペンや回転繰り出し式ボールペン等の出没式ボールペンにおいては、キャップ式ボールペンとは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいことから、上記HLB値としたリン酸エステル系界面活性剤を用いることはより好ましい。尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、アルコキシ基(C2a+1O)を有するリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル或いはその誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制を考慮すれば、アルキル基を有するリン酸エステル系界面活性剤を用いることが好ましく、特に、アルキル基に含まれる炭素数が8~18であることが好ましく、さらに考慮すれば、前記炭素数が10~18であることがより好ましく、より考慮すれば、前記炭素数12~18が好ましい。これは、アルキル基の炭素数が過度に少ないと、潤滑性が不足しやすい傾向があり、炭素数が過度に多いと、インキ経時安定性に影響が出やすい傾向があるためである。
また、リン酸エステル系界面活性剤を用いる場合は、酸価は、200以下とすることが好ましい、これは、リン酸エステル系界面活性剤による潤滑性の向上を発揮しやすくするためで、さらにインキ中での安定性や、潤滑性を考慮すれば、酸価は30~170が好ましい、より考慮すれば、酸価は40~160が好ましい
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
本発明では、上記のようなノニオン界面活性剤やリン酸エステル系界面活性剤などの界面活性剤に対する、前記一般式(化1)で表される化合物の配合比(前記一般式(化1)で表される化合物/界面活性剤)が、質量基準で1~40倍とすることが好ましく、2~30倍とすることがより好ましく、1~25倍とすることが好ましく、1~15倍が最も好ましい。これは、上記範囲だと、ボール座の摩耗抑制と、書き味、書き出し性能、インキ追従性をバランス良く向上することが可能である。
(安定剤)
本発明では、リン酸エステル系界面活性剤などの界面活性剤を用いる場合は、中和することで、インキ中で溶解安定させ、書き味や書き出し性能を向上する効果が得られやすいため、好ましい。安定剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性無機化合物、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどのエチレンオキシドを有するアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミンや、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオクチルアミン等のジメチルアルキルアミン等の脂肪族アミン、酢酸ナトリウムなどの塩基性有機化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられる。その中でも、界面活性剤との安定性を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミン、ジメチルアルキルアミン、アルカノールアミンが好ましい。特に、油性インキ組成物の場合は、エチレンオキシドを有するアミン、ジメチルアルキルアミンが好ましく、さらに、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)におけるボール座の摩耗抑制を考慮すれば、エチレンオキシドを有するアミンが好ましく、水性インキ組成物の場合は、アルカノールアミンが好ましく、弱塩基性であるトリエタノールアミンを用いることが好ましい。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、前記有機アミンの全アミン価は、前記界面活性剤、リン酸エステル界面活性剤、着色剤やその他の成分との安定性を考慮すれば、100~300(mgKOH/g)とすることが好ましい。これは、300(mgKOH/g)を超えると、反応性が強いため、上記成分と反応し易いため、インキ経時安定性が劣りやすい。また、全アミン価が、100(mgKOH/g)未満であると、インキ中での界面活性剤、リン酸エステル界面活性剤の安定性に影響が出やすく、油性ボールペンとした場合、ボールやチップ本体などの金属類の吸着性が劣りやすく、潤滑性能が得られにくい。より上記成分との安定性や潤滑性を考慮すれば、150~300(mgKOH/g)の範囲が好ましく、より安定性を考慮すれば、180~300(mgKOH/g)が好ましく、より考慮すれば、230~270(mgKOH/g)が好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
前記安定剤の含有量は、前記界面活性剤との中和安定性を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、さらに前記界面活性剤に対する中和を考慮すれば、0.1~8質量%が好ましく、より考慮すれば、0.5~6質量%が好ましい。
(樹脂)
また、本発明では、インキ粘度調整剤、インキ漏れ抑制剤、顔料分散剤、定着剤として、樹脂を用いても良い。樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、エチレンオキサイド重合体、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂などや、オレフィン系樹脂粒子、アクリル酸エステル樹脂粒子、アミノ樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、スチレン-ブタジエン系樹脂粒子などの樹脂粒子などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。これらの樹脂の中でも、インキ漏れ抑制をより向上するためには、樹脂をインキ粘度調整剤として、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることが好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂についても、より高い潤滑効果が得られる潤滑層を形成しやすい。これは、前記ポリビニルブチラール樹脂を用いると、ボールとボール座との間に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすく、前記一般式(化1)で表される化合物と併用することで形成される潤滑層とによる相乗効果によって、より高い潤滑効果が得られやすい。さらに、前記ポリビニルブチラール樹脂を用いると、形成する被膜によって、インキ漏れをより向上しやすくなるため、好ましく、また、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料分散効果も得られるため、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましい。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
また、ポリビニルブチラール樹脂は、水酸基量25mol%以上とすることが好ましい。これは、水酸基量25mol%未満のポリビニルブチラール樹脂では、有機溶剤への溶解性が十分でなく、十分な潤滑効果や、インキ漏れ抑制の効果が得られにくく、さらに、吸湿性による書き出し性能を考慮すると、水酸基量25mol%以上のポリビニルブチラール樹脂を用いることが好ましいためである。また、前記水酸基量30mol%以上のポリビニルブチラール樹脂は、書き味が向上しやすくなるため、好ましい。これは、筆記時において、ボールの回転により摩擦熱が発生することで、チップ先端部のインキが温められて、該インキの温度が高くなるが、前記ポリビニルブチラール樹脂は他の樹脂とは違い、インキ温度が高くなっても、インキ粘度を下がりづらくする性質があり、ボールとボール座との間に常に弾力性があるインキ層を形成して、直接接触しづらくするため、書き味を向上しやすい傾向がある。ボールペン用インキに用いる場合は、効果的であり、好ましい。特に、油性ボールペンは、複写用紙に筆記することも想定され、通常より筆圧を高く筆記(高筆圧筆記)するため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)が良好であることが望まれるため、油性ボールペン用インキに用いる場合は、最も効果的であり、好ましい。また、前記水酸基量40mol%を越えるポリビニルブチラール樹脂を用いると、吸湿量が多くなりやすく、インキ成分との経時安定性に影響が出やすいため、水酸基量40mol%以下のポリビニルブチラール樹脂が好ましい。そのため、水酸基量30~40mol%のポリビニルブチラール樹脂が好ましく、さらに好ましくは、水酸基量30~36mol%が好ましい。
なお、前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量(mol%)とは、ブチラール基(mol%)、アセチル基(mol%)、水酸基(mol%)の 全mol量に対して、水酸基(mol%)の含有率を示すものである。
また、ポリビニルブチラール樹脂の平均重合度については、前記平均重合度は200以上であると、インキ漏れ抑制性能が向上しやすく、また、前記平均重合度は2500を超えると、インキ粘度が高くなりすぎて書き味に影響する傾向があるため、前記平均重合度は、200~2500が好ましい。さらに、より考慮すれば、前記平均重合度は1500以下が好ましく、前記一般式(化1)で表される化合物との相互的な潤滑効果を考慮すれば、前記平均重合度は、200~1000が好ましい。ここで、平均重合度とは、ポリビニルブチラール樹脂の1分子を構成している基本単位の数をいい、JISK6728(2001年度版)に規定された方法に基づいて測定された値を採用可能である。
ポリビニルブチラール樹脂の含有量は、油性ボールペン用インキ組成物中の全樹脂の含有量に対して50%以上とし、主たる樹脂として用いることが好ましい。これは、ポリビニルブチラール樹脂の含有量が全樹脂の含有量の50%未満となると、その他の樹脂によって、弾力性があるインキ層を形成するのを阻害してしまいやすく、書き味向上の効果が得られづらくなり、さらに、チップ先端の樹脂被膜の形成を阻害しやすく、インキ垂れ下がりを抑制できず、さらに弾力性があるインキ層を形成するのを阻害してしまい、書き味向上の効果が得られづらくなるためである。より書き味やインキ垂れ下がり性能を向上する傾向を考慮すれば、ポリビニルブチラール樹脂の含有量は、全樹脂の含有量に対して70%以上が好ましく、90%以上が好ましい。
前記樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対し、1質量%より少ないと、所望の潤滑性やインキ漏れ抑制性能が劣りやすく、40質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすいため、インキ組成物全量に対し、1~40質量%が好ましい。さらに、考慮すれば5質量%以上が好ましく、30質量%を越えると、インキ粘度が高くなりすぎて書き味に影響する傾向があるため、5~30質量%が好ましく、より考慮すれば、10~25質量%が好ましい。
また、その他として、粘度調整剤として、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤を、また、着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の筆記具用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、油性インキ組成物の場合は、20℃、剪断速度5sec-1(静止時)におけるインキ粘度が30000mPa・sを越えると、書き出し性能、書き味、インキ追従性が劣りやすいため、20℃、剪断速度5sec-1(静止時)におけるインキ粘度は、30000mPa・s以下であることが好ましい。また、20℃、剪断速度5sec-1(静止時)におけるインキ粘度が500mPa・s未満だと、インキ漏れを抑制しにくいため、500mPa・s以上とすることが好ましい。インキ漏れ抑制、書き味、インキ追従性能、書き出し性能をより向上することを考慮すれば、前記インキ粘度は500~25000mPa・sがより好ましく、800~25000mPa・sがより好ましく、さらに、書き味、書き出し性能をより考慮すれば、1000~20000mPa・sが好ましい。より書き味をより向上し、インキ消費量を多くして、濃い筆跡とすることを考慮すれば、500~10000mPa・sが好ましく、より考慮すれば、1000~5000mPa・sが好ましい。
水性インキ組成物の場合は、20℃、剪断速度1.92sec-1(静止時)におけるインキ粘度は、500~5000mPa・sが好ましく、より考慮すれば、500~3500mPa・sが好ましく、さらに考慮すれば、1000~3000mPa・sがより好ましい。ここで、水性インキ組成物のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(CPE-42ローター)を使用して、測定したものである。
(ボールペン)
本発明による筆記具用インキ組成物は、各種のボールペンに適用することができるが、特にノック式や回転繰り出し式などの出没式ボールペンに用いることが好ましい。このようなボールペンは、本発明による筆記具用インキ組成物を収容した収容筒と、その収容筒の先端に配置された、ボール抱持室にボールを回転自在に抱持したボールペンチップとを具備したものである。そして、そのボールペンチップを軸筒の先端開口部から出没可能とされており、一般的に出没式ボールペンと呼ばれる構造を有する。一般にインキ組成物をペン先が密閉されない出没式ボールペンに用いた場合は、チップ先端部が定常的に大気中に放置されるため、チップ先端部が乾燥して、書き出し時にカスレなどが生じやすいが、本発明による組成物を用いると、そのような問題が改善されるため好ましい。
(ボールペンチップ)
また、ボールペンの場合、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、50μm以下が好ましい。油性ボールペンの場合は、3~30μmとすることが好ましい。これは、3μm未満であると、良好な書き味、筆跡カスレ抑制を得られづらくなり、30μmを越えると、インキ漏れ抑制、泣きボテ、インキ追従性能に影響が出やすくなるためで、より考慮すれば、3~25μmとすることが好ましく、より考慮すれば、前記縦軸方向の移動量を7~20μmとすることが好ましい。水性ボールペンの場合は、15~50μmとすることが好ましい。これは、15μm未満であると、良好な書き味、筆跡カスレ抑制を得られづらくなり、50μmを越えると、インキ漏れ抑制、泣きボテ、インキ追従性能に影響が出やすくなるためで、より考慮すれば、20~50μmとすることが好ましく、より考慮すれば、前記縦軸方向の移動量を25~45μmとすることが好ましい。
前記ボールペンチップのボールが、軸方向への移動量(クリアランス)とは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。
また、本発明で用いるボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1~12nmとすることが好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.1nm未満だと、ボール表面に十分にインキが載りづらく、筆記時に濃い筆跡が得られづらく、筆跡に線とび、カスレが発生しやすく、算術平均粗さ(Ra)が12nmを越えると、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きいため、ボール座の摩耗や書き味が劣りやすく、さらに、筆跡にカスレ、線とび、線ムラなどの筆記性能に影響が出やすくなるためである。また、前記算術平均粗さ(Ra)が0.1~10nmであると、本発明のようなインキ組成物を用いた場合、書き味の向上やボール表面にインキが載りやすいためより好ましく、より書き味を考慮すれば、2~8nmが好ましい。
ボール 表面の算術平均粗さについて、算術平均粗さ(Ra)とは、(表面粗さ測定器(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)により測定された粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボ-ルペンチップの材料は、ステンレス鋼、洋白、ブラス(黄銅)、アルミニウム青銅、アルミニウムなどの金属材、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABSなどの樹脂材が挙げられるが、ボール座の摩耗、経時安定性を考慮するとステンレス製のチップ本体とすることが好ましい。
ボールペンの100mあたりのインキ消費量は、20~120mgであることが好ましい。これは、100mあたりのインキ消費量が、20mg未満だと、筆跡カスレや点ムラが発生しやすく、濃い筆跡、良好な書き味が得られにくく、100mあたりのインキ消費量が120mgを越えると、インキ追従生に影響や、ボールとチップ先端の間隙よりインキ漏れしやすく、さらに泣きボテも発生しやすいためである。より上記効果を考慮すれば、ボールペンの100mあたりのインキ消費量は、25~100mgであることが好ましく、より好ましくはボールペンの100mあたりのインキ消費量は、30~90mgであることが好ましい。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
また、より濃い筆跡や、書き味、インキ追従性、インキ漏れ抑制を向上するにはインキ消費量を設定するだけではなく、ボール直径との関係も考慮すると効果的である。具体的には、油性ボールペンの100mあたりのインキ消費量(mg)に対するボール直径(mm)の比については(ボール直径:インキ消費量)、1:40~1:140の関係とし、従来とは異なる関係とすることで、より濃い筆跡や、書き味、インキ追従性、インキ漏れ抑制が得られやすいため、好ましく、さらに考慮すれば、1:50~1:130であることが好ましく、1:60~1:120であることが好ましい。
なお、インキ消費量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に筆記角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度4m/minの速度で、試験サンプル5本を用いて、らせん筆記試験を行い、その100mあたりのインキ消費量の平均値を、100mあたりのインキ消費量と定義する。
(実施例)
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)は、予め有機溶剤、顔料、顔料分散剤を添加し、3本ロール分散機で分散させて、顔料分散体を作製した。その後、顔料分散体、有機溶剤、一般式(化2)のRがメチル基である化合物(ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル)、ノニオン系界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール樹脂を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して20℃の環境下で剪断速度5sec-1(回転数2.5rpm)にて実施例1のインキ粘度を測定したところ、インキ粘度3000mPa・sであった。
実施例1
<油性ボールペン用インキ組成物>
顔料分散体(顔料20%含有、ポリビニルブチラール20%含有) 50.0質量%
アルコール溶剤(ベンジルアルコール) 26.5質量%
一般式(化2)のRがメチル基(ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル) 20.0質量%
ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル) 2.0質量%
ポリビニルピロリドン 0.5質量%
ポリビニルブチラール樹脂 1.0質量%
試験および評価
実施例1~21および比較例1~3で作製した油性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒(ポリプロピレン製)の先端に、ボール(φ0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):7nm))を回転自在に抱時したボールペンチップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの軸方向の移動量:12μm)を装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例1の油性ボールペン用インキ(0.2g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペン(商品名:アクロボール(登録商標))に配設して、油性ボールペンを作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
実施例1、実施例3の初期100mあたりのインキ消費量は、油性ボールペンで、らせん筆記試験を行ったところ、それぞれ、70mg/100m、75mg/100mであった。
実施例2~21
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキ配合し、実施例2~21の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を得た。表に評価結果を示す。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例3のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下、剪断速度5sec-1(回転数2.5rpm)、実施例3:インキ粘度=2000mPa・sであった。
比較例1~3
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1~3の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を得た。表に評価結果を示す。
実施例101
<水性ボールペン用インキ組成物>
着色剤として顔料分散体、水、多価アルコール、、一般式(化2)のRがメチル基である化合物(ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル)、有機樹脂粒子、安定剤、リン酸エステル系界面活性剤、防錆剤を採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて、ベースインキを作成した。その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例1の水性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
尚、実施例101のインキ粘度は、ブルックフィールド社製DV-II粘度計(CPE-42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、1600mPa・sであった。
顔料分散体(着色樹脂粒子、固形分量34%) 20.0質量%
水 66.2質量%
多価アルコール(グリセリン) 10.0質量%
一般式(化2)のRがメチル基(ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル) 3.0質量%
有機樹脂粒子(オレフィン樹脂) 1.0質量%
安定剤(トリエタノールアミン) 2.0質量%
リン酸エステル系界面活性剤(HLB値:11.5) 1.0質量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量%
剪断減粘性付与剤(サクシノグリカン) 0.3質量%
<実施例102>
実施例101に対して、一般式(化2)のRがメチル基(ペンタエリスリトールポリオキシアルキレンエーテル)の添加量を5%、その分、水を減量して、変更した以外は、実施例101と同じ方法で、水性ボールペン用インキ組成物を得た。
実施例101~102で作製した水性ボールペン用インキ組成物(1.0g)を、インキ収容筒(ポリプロピレン)に、ボール径がφ0.7mmのボールを回転自在に抱持したボールペン用チップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの縦軸方向の移動量:30μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):1nm)を装着したボールペン用レフィルに充填し、ボールペンを作製した。筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
Figure 2022056842000004
Figure 2022056842000005
耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験):荷重400gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて筆記試験後のボール座の摩耗を測定した。
ボール座の摩耗が5μm未満のもの ・・・◎
ボール座の摩耗が5μm以上、10μm未満であるもの ・・・○
ボール座の摩耗が10μm以上、20μm未満であるが、筆記可能であるもの・・・△
ボール座の摩耗がひどく、筆記不良になってしまうのもの ・・・×
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
書き出し性能試験:手書き筆記した後、チップ先端部を出したまま20℃、65%RHの環境下に24時間放置し、その後、走行試験で下記筆記条件にて筆記し、書き出しにおける筆跡カスレの長さを測定した。
<筆記条件>筆記荷重200gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、5mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、5mm以上、10mm未満であるもの ・・・○
筆跡カスレの長さが、10mm以上、20mm未満であるもの ・・・△
筆跡カスレの長さが、20mm以上であるもの ・・・×
インキ追従性能試験:50℃環境下、1ヶ月後に手書きにて連続早書き筆記を10秒間行った。
筆跡カスレ、線とびがないもの ・・・◎
筆跡カスレ、線とびが若干あったが、実用上問題ないレベルであったもの ・・・○
筆跡カスレ、線とびがあったもの ・・・△
筆跡カスレ、線とびがひどかったもの ・・・×
実施例1~21(油性ボールペン)では、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)、書き味、書き出し性能試験、インキ追従性能試験ともに良好な性能が得られた。
実施例1~21、実施例101~102において、着色剤として顔料を含んだ筆記具用インキ組成物においては、顔料分散性が良く、安定していた。
実施例101~102(水性ボールペン)では、耐摩耗試験(荷重100gf、筆記角度70°、4m/minの条件とした)、書き味、書き出し性能試験(筆記荷重100gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件とした)、インキ追従性能試験を行ったところ、各試験ともに良好な性能が得られた。
なお、実施例22として、実施例1の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を用いて、ボール(φ0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):2nm)に変更した油性ボールペン、実施例23として、実施例1の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を用いて、ボール(φ0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):3nm)に変更した油性ボールペン、実施例24として、実施例1の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を用いて、ボールペンチップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの軸方向の移動量:17μm)に変更した油性ボールペン、実施例25として、実施例1の筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を用いて、ボールペンチップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの軸方向の移動量:7μm)に変更した油性ボールペン、を試験評価したところ、実施例1と同様に耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)、書き味、書き出し性能試験、インキ追従性能試験ともに良好な性能が得られた。
また、比較例1~3では、一般式(化1)で表される化合物を用いなかったため、耐摩耗試験(ボール座の摩耗試験)が悪く、さらに、インキ追従性試験が劣っていた。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具を用いた場合では、書き出し性能が重要な性能の1つであるため、本発明のようなインキ組成物を用いると効果的である。
また、本実施例では、インキ収容筒内に筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を収容したボールペンレフィルを軸筒内に配設した筆記具(油性ボールペン)を例示したが、本発明の筆記具(油性ボールペン)は、軸筒自体をインキ収容筒とし、軸筒内に、筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を直に収容した直詰め式の筆記具(ボールペン)であっても良く、インキ収容筒内に筆記具用インキ組成物(油性ボールペン用インキ組成物)を収容したもの(ボールペンレフィル)をそのまま筆記具(ボールペン)として使用した構造であっても良い。
本発明は筆記具用油性インキ組成物、筆記具用水性インキ組成物として利用でき、さらに詳細としては、該筆記具用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の筆記具として、ボールペン、マーキングペン、サインペンとして広く利用することができる。

Claims (10)

  1. 着色剤、溶媒、一般式(化1)で表される化合物を含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
    Figure 2022056842000006
  2. 前記一般式(化1)で表される化合物の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
  3. 前記一般式(化1)の水酸基価(mgKOH/g)が、100~1000(mgKOH/g)であることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用インキ組成物。
  4. 前記溶媒が、芳香族アルコールであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  5. 前記筆記具用インキ組成物に、界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  6. 前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項5に記載の筆記具用インキ組成物。
  7. 前記界面活性剤が、リン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸であることを特徴とする請求項5または6に記載の筆記具用インキ組成物。
  8. 20℃、剪断速度5sec-1におけるインキ粘度が、30000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする筆記具。
  10. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1ないし8のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。
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