JP2022056590A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の低回転時に、偏心部の周方向に対するピストンの自転運動を促し、ピストンの異常摩耗を抑える。【解決手段】ロータリ圧縮機の圧縮部は、シリンダと、モータにより回転される回転軸と、回転軸の中心に対して偏心して設けられた偏心部と、偏心部にはめ込まれシリンダの内周面に沿って回転しシリンダ内にシリンダ室を形成するピストンと、シリンダに設けられたベーン溝からシリンダ室内に突出しピストンと接してシリンダ室を吸入室と圧縮室に区画するベーンと、を有する。偏心部の外周面には、この外周面とピストンの内周面との間の摩擦力を高める被覆膜が、この外周面の周方向における一部に形成されている。偏心部の外周面の周方向において、被覆膜は、回転軸の中心に対して偏心部の中心が偏心する方向が外周面に交差する第1位置と、この第1位置から回転軸の回転方向に向かって、偏心部の中心まわりの中心角が90度をなす第2位置との間の範囲内のみに形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
ロータリ圧縮機の圧縮部としては、回転軸の偏心部に嵌め込まれたピストンが、シリンダの内周面に沿って回転してシリンダ内にシリンダ室を形成し、シリンダのベーン溝に沿って移動するベーンの先端とピストンの外周面とが接してシリンダ室が吸入室と圧縮室に区画される構造が知られている。このような圧縮部では、回転軸に嵌め込まれたピストンは、回転軸の回転に伴って、シリンダの内周面に沿って公転運動しながら、回転軸まわりに自転運動を行う。
国際公開第2018/131265号
上述のような圧縮部では、ピストンの公転速度が遅くなるに伴ってピストンが自転しにくくなる傾向がある。このため、ピストンの公転速度が遅くなる回転軸の低回転時に、回転軸の偏心部の周方向に対するピストンの自転運動が停止するおそれがある。ピストンが自転運動を行わずに公転運動のみを行った場合、ベーンの先端が、ピストンの外周面の周方向における一部の範囲だけに接することになり、ピストンの一部に異常摩耗が生じてしまう。このような異常摩耗が生じた場合、ピストンの外形の変形に伴い、圧縮部の異常停止につながるおそれもある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、回転軸の低回転時に、偏心部の周方向に対するピストンの自転運動を促し、ピストンの異常摩耗を抑えられるロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様は、冷媒の吐出部及び吸入部が設けられた圧縮機筐体と、圧縮機筐体の内部に配置されて吸入部から吸入した冷媒を圧縮して吐出部から吐出する圧縮部と、圧縮機筐体内に配置されて圧縮部を駆動するモータと、を備え、圧縮部は、環状のシリンダと、シリンダを閉塞する上端板及び下端板と、上端板及び下端板に支持されモータにより回転される回転軸と、回転軸の中心に対して偏心して設けられた偏心部と、偏心部にはめ込まれシリンダの内周面に沿って回転しシリンダ内にシリンダ室を形成するピストンと、シリンダに設けられたベーン溝からシリンダ室内に突出しピストンと接してシリンダ室を吸入室と圧縮室に区画するベーンと、を有するロータリ圧縮機において、偏心部の外周面には、この外周面とピストンの内周面との間の摩擦力を高める被覆膜が、この外周面の周方向における一部に形成され、偏心部の外周面の周方向において、被覆膜は、回転軸の中心に対して偏心部の中心が偏心する方向が偏心部の外周面に交差する第1位置と、この第1位置から回転軸の回転方向に、偏心部の中心まわりの中心角が90度をなす第2位置との間の範囲内のみに形成されている。
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様によれば、回転軸の低回転時に、偏心部の周方向に対するピストンの自転運動を促し、ピストンの異常摩耗を抑えられる。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。 図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。 図3は、実施例のロータリ圧縮機の要部を説明するための平面図である。 図4は、実施例における回転軸の上偏心部を拡大して示す平面図である。 図5Aは、実施例における回転軸の上偏心部に形成される被覆膜のパターンの一例を示す側面図である。 図5Bは、実施例における回転軸の上偏心部に形成される被覆膜のパターンの他の例を示す側面図である。 図5Cは、実施例における回転軸の上偏心部に形成される被覆膜のパターンの他の例を示す側面図である。 図6は、参考例において、被覆膜が0度から180度までの範囲に形成された場合の上偏心部と上ピストンの挙動を説明するための図である。 図7は、実施例において、被覆膜が0度から90度までの範囲に形成された場合の上偏心部と上ピストンの挙動を説明するための図である。 図8は、実施例において、被覆膜が0度から45度までの範囲に形成された場合の上偏心部と上ピストンの挙動を説明するための図である。
以下に、本願の開示するロータリ圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示するロータリ圧縮機が限定されるものではない。
(ロータリ圧縮機の構成)
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す分解斜視図である。
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10内の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10内の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、圧縮機筐体10の外周面に固定された縦置き円筒状のアキュムレータ25と、を備えている。
アキュムレータ25は、上吸入管105及びアキュムレータ上湾曲管31Tを介して上シリンダ121Tの上シリンダ室130T(図2参照)と接続され、下吸入管104及びアキュムレータ下湾曲管31Sを介して下シリンダ121Sの下シリンダ室130S(図2参照)と接続されている。
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を備えている。ステータ111は、圧縮機筐体10の内周面に焼嵌め状態で固定されており、ロータ112は、回転軸15に焼嵌め状態で固定されている。
回転軸15は、下偏心部152Sの下方の副軸部151が、下端板160Sに設けられた副軸受部161Sに回転自在に支持され、上偏心部152Tの上方の主軸部153が、上端板160Tに設けられた主軸受部161Tに回転自在に支持されている。回転軸15は、互いに180度の位相差をつけて設けられた上偏心部152T及び下偏心部152Sに、環状の上ピストン125T及び環状の下ピストン125Sがそれぞれ支持されている。これによって、回転軸15は、圧縮部12に対して回転自在に支持されると共に、回転に伴って上ピストン125T及び下ピストン125Sを、上シリンダ121Tの内周面137T、下シリンダ121Sの内周面137Sに沿ってそれぞれ公転運動させる。
また、上ピストン125Tの内周面125aが回転軸15の上偏心部152Tの外周面152aと接しており、上ピストン125Tは、上シリンダ121Tの内面の周方向に沿った公転運動と共に、上偏心部152Tの周方向に沿った自転運動を行う。下ピストン125Sの内周面125aが下偏心部152Sの外周面152aと接しており、下ピストン125Sは、下シリンダ121Sの内面の周方向に沿った公転運動と共に、下偏心部152Sの周方向に沿った自転運動を行う。本実施例では、上偏心部152Tの外周面152aの一部及び下偏心部152Sの外周面152aの一部には、摩擦係数を高くする被覆膜155が形成されている(図1参照)。被覆膜155の詳細については後述する。
圧縮機筐体10の内部には、圧縮部12に供給する潤滑油(冷凍機油)18が貯留されている。圧縮機筐体10の内部には、圧縮部12において摺動する上ピストン125T及び下ピストン125S等の摺動部の潤滑性を確保し、上圧縮室133T(図2参照)及び下圧縮室133S(図2参照)をシールするために、潤滑油18が圧縮部12をほぼ浸漬する量だけ封入されている。圧縮機筐体10の下側には、ロータリ圧縮機1全体を支持する複数の弾性支持部材(図示せず)を係止する取付脚310(図1参照)が固定されている。
図1に示すように、圧縮機筐体10には、冷媒を吐出する吐出管107が上部10bに設けられており、冷媒を吸入する上吸入管105及び下吸入管104が側面部に設けられている。圧縮部12は、上吸入管105及び下吸入管104から吸入した冷媒を圧縮し、吐出管107から冷媒回路(図示せず)へ吐出する。図2に示すように、圧縮部12は、上から、内部に中空空間が形成された膨出部を有する上端板カバー170T、上端板160T、環状の上シリンダ121T、中間仕切板140、環状の下シリンダ121S、下端板160S及び平板状の下端板カバー170Sを積層して構成されている。圧縮部12全体は、上下から略同心円上に配置された複数の通しボルト174,175及び補助ボルト176によって固定されている。
図2に示すように、上シリンダ121Tには、円筒状の内周面137Tが形成されている。上シリンダ121Tの内周面137Tの内側には、上シリンダ121Tの内周面137の内径よりも小さい外径の上ピストン125Tが配置されており、内周面137Tと上ピストン125Tの外周面139Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する上圧縮室133Tが形成される。下シリンダ121Sには、円筒状の内周面137Sが形成されている。下シリンダ121Sの内周面137Sの内側には、下シリンダ121Sの内周面137Sの内径よりも小さい外径の下ピストン125Sが配置されており、内周面137Sと下ピストン125Sの外周面139Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する下圧縮室133Sが形成される。
上シリンダ121Tは、円形状の外周部から、円筒状の内周面137Tの径方向に張り出した上側方突出部122Tを有する。上側方突出部122Tには、上シリンダ室130Tから放射状に外方へ延びる上ベーン溝128Tが設けられている。上ベーン溝128T内には、上ベーン127Tが摺動可能に配置されている。下シリンダ121Sは、円形状の外周部から、円筒状の内周面137Sの径方向に張り出した下側方突出部122Sを有する。下側方突出部122Sには、下シリンダ室130Sから放射状に外方へ延びる下ベーン溝128Sが設けられている。下ベーン溝128S内には、下ベーン127Sが摺動可能に配置されている。
上シリンダ121Tには、外側面から上ベーン溝128Tと重なる位置に、上シリンダ室130Tに貫通しない深さで上スプリング穴124Tが設けられている。上スプリング穴124Tには上スプリング126Tが配置されている。下シリンダ121Sには、外側面から下ベーン溝128Sと重なる位置に、下シリンダ室130Sに貫通しない深さで下スプリング穴124Sが設けられている。下スプリング穴124Sには下スプリング126Sが配置されている。
また、下シリンダ121Sには、下ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、下ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける下圧力導入路129Sが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、下スプリング穴124Sからも導入される。また、上シリンダ121Tには、上ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、上ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける上圧力導入路129Tが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、上スプリング穴124Tからも導入される。
上シリンダ121Tの上側方突出部122Tには、上吸入管105が嵌め込まれる上吸入孔135Tが設けられている。下シリンダ121Sの下側方突出部122Sには、下吸入管104が嵌め込まれる下吸入孔135Sが設けられている。
上シリンダ室130Tは、上下をそれぞれ上端板160T及び中間仕切板140で閉塞されている。下シリンダ室130Sは、上下をそれぞれ中間仕切板140及び下端板160Sで閉塞されている。
上シリンダ室130Tは、上ベーン127Tが上スプリング126Tに押圧されて上ピストン125Tの外周面139Tに当接することによって、上吸入孔135Tに連通する上吸入室131Tと、上端板160Tに設けられた上吐出孔190Tに連通する上圧縮室133Tと、に区画される(図3参照)。下シリンダ室130Sは、下ベーン127Sが下スプリング126Sに押圧されて下ピストン125Sの外周面139Sに当接することによって、下吸入孔135Sに連通する下吸入室131Sと、下端板160Sに設けられた下吐出孔190Sに連通する下圧縮室133Sと、に区画される(図3参照)。
図2に示すように、上端板160Tには、上端板160Tを貫通して上シリンダ121Tの上圧縮室133Tと連通する上吐出孔190Tが設けられ、上吐出孔190Tの出口側には、上吐出孔190Tの周囲に上弁座(図示せず)が形成されている。上端板160Tには、上吐出孔190Tの位置から上端板160Tの周方向に溝状に延びる上吐出弁収容凹部164Tが形成されている。
上吐出弁収容凹部164Tには、後端部が上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され前部が上吐出孔190Tを開閉するリード弁型の上吐出弁200T及び後端部が上吐出弁200Tに重ねられて上吐出弁収容凹部164T内に上リベット202Tにより固定され前部が湾曲して(反って)いて上吐出弁200Tの開度を規制する上吐出弁押さえ201T全体が収容されている。
下端板160Sには、下端板160Sを貫通して下シリンダ121Sの下圧縮室133Sと連通する下吐出孔190Sが設けられている。下端板160Sには、下吐出孔190Sの位置から下端板160Sの周方向に溝状に延びる下吐出弁収容凹部(図示せず)が形成されている。
下吐出弁収容凹部には、後端部が下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定され前部が下吐出孔190Sを開閉するリード弁型の下吐出弁200S及び後端部が下吐出弁200Sに重ねられて下吐出弁収容凹部内に下リベット202Sにより固定され前部が湾曲して(反って)いて下吐出弁200Sの開度を規制する下吐出弁押さえ201S全体が収容されている。
互いに密着固定された上端板160Tと、膨出部を有する上端板カバー170Tとの間には、上端板カバー室180Tが形成される。互いに密着固定された下端板160Sと平板状の下端板カバー170Sとの間には、下端板カバー室180S(図1参照)が形成される。下端板160S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上シリンダ121Tを貫通し下端板カバー室180Sと上端板カバー室180Tとを連通する冷媒通路孔136が設けられている。
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。上シリンダ室130T内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tに嵌合された上ピストン125Tが、上シリンダ121Tの内周面137T(上シリンダ室130Tの外周面)に沿って公転することにより、上吸入室131Tが容積を拡大しながら上吸入管105から冷媒を吸入し、上圧縮室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が上吐出弁200Tの外側の上端板カバー室180Tの圧力よりも高くなると、上吐出弁200Tが開いて上圧縮室133Tから上端板カバー室180Tへ冷媒が吐出される。上端板カバー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172T(図1参照)から圧縮機筐体10内に吐出される。
また、下シリンダ室130S内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の下偏心部152Sに嵌合された下ピストン125Sが、下シリンダ121Sの内周面137S(下シリンダ室130Sの外周面)に沿って公転することにより、下吸入室131Sが容積を拡大しながら下吸入管104から冷媒を吸入し、下圧縮室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が下吐出弁200Sの外側の下端板カバー室180Sの圧力よりも高くなると、下吐出弁200Sが開いて下圧縮室133Sから下端板カバー室180Sへ冷媒が吐出される。下端板カバー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路孔136及び上端板カバー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172Tから圧縮機筐体10内に吐出される。
圧縮機筐体10内に吐出された冷媒は、ステータ111の外周部に上下方向に沿って設けられた切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(図1参照)、又はロータ112の内部の冷媒通路(図示せず)を通ってモータ11の上方に導かれ、圧縮機筐体10の上部10bに配置された吐出管107から吐出される。
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。実施例の特徴には、回転軸15の上偏心部152Tの外周面152aの一部である所定位置及び下偏心部152Sの外周面152aの一部である所定位置に形成される被覆膜155が含まれる。
以下、上偏心部152Tに形成される被覆膜155について説明し、下偏心部152Sに形成される被覆膜155の説明を省略するが、下偏心部152Sにも上偏心部152Tと同様に被覆膜155が形成される。上偏心部152Tと下偏心部152Sにおける被覆膜155の作用も同様である。
上述したように、上ピストン125Tは、上シリンダ121Tの内面の周方向に沿って公転運動しながら、回転軸15の上偏心部152Tの周方向に沿って自転運動するが、上ピストン125Tの公転速度の低下に伴って上ピストン125Tが自転しにくくなる傾向がある。このため、回転軸15の低回転時に、回転軸15の上偏心部152Tの周方向に上ピストン125Tが回転せずに、上ピストン125Tの自転運動が停止する場合がある。このような上ピストン125Tが自転しにくくなることにより生じる自転運動の停止を抑えるため、本実施例では、上偏心部152Tの外周面152aの一部に被覆膜155が形成されている。
図3は、実施例のロータリ圧縮機1の要部を説明するための平面図である。図4は、実施例における回転軸15の上偏心部152Tを拡大して示す平面図である。図3及び図4において、時計まわりの矢印方向に沿って、回転軸15が回転し、上ピストン125Tが公転及び自転する。
図3及び図4に示すように、本実施例における回転軸15の上偏心部152Tの外周面152aには、この外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとの間の摩擦力を高める被覆膜155が、外周面152aの周方向における一部に形成されている。つまり、上偏心部152Tの外周面152aにおいて、被覆膜155が形成された範囲の摩擦係数は、被覆膜155が形成されていない範囲の摩擦係数よりも高くされている。
このような被覆膜155によって、回転軸15の低回転時の、上ピストン125Tの公転運動における所定のタイミングで、上偏心部152Tの外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとの間の摩擦力を高めることにより、上ピストン125Tの自転運動の停止が抑えられる。
具体的には、上偏心部152Tの外周面152aの周方向において、被覆膜155は、図4に示すように、回転軸15の中心C1に対して上偏心部152Tの中心C2が偏心する方向が外周面152aに交差する第1位置P1と、この第1位置P1から回転軸15の回転方向に、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θが90度をなす第2位置P2との間の範囲内のみに形成されている。
上偏心部152Tの外周面152aの第1位置P1は、回転軸15の中心C1と、上偏心部152Tの中心C2とを結ぶ直線L上に位置しており、上偏心部152Tの周方向に対する中心C2まわりの中心角θを0度とする。以下、被覆膜155が形成される範囲について、図4に示すように、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θを基準として、第1位置P1を0度、第2位置P2を90度とも称する。
第1位置P1と第2位置P2との間に形成される被覆膜155は、例えば、上偏心部152Tの外周面152aにおける周方向に連続して形成されるが、外周面152aの周方向に間隔をあけて非連続に形成されてもよい。
また、本実施例において、第1位置P1と第2位置P2との間に形成される被覆膜155は、上ピストン125Tの公転運動において摩擦力を高めるタイミングを調節する必要に応じて、図4に示すように、第1位置P1と、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θが45度をなす第3位置P3との間の範囲内のみに形成されてもよい(図8参照)。なお、被覆膜155は、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力を適切に高めるために、上偏心部152Tの外周面152aにおいて中心C2まわりの中心角θが少なくとも10度をなす範囲にわたって形成されることが望ましい。
被覆膜155としては、例えば、シリコーンの薄膜が用いられる。シリコーンの薄膜は、耐熱温度が200[℃]程度であるので、圧縮部12の内部温度に対して耐久性を確保できる。被覆膜155の膜厚は、数[μm]程度が好ましい。被覆膜155の膜厚が数[μm]よりも厚い場合には、上ピストン125Tの内周面125aと上偏心部152Tの外周面152aとの間における摺動部分に所望の隙間(例えば、20[μm]以上の隙間)を確保することが困難になり、圧縮部12の組み立て性や動作信頼性が低下するので好ましくない。また、被覆膜155の膜厚が数[μm]よりも薄い場合には、被覆膜155の膜厚を制御することが困難になるので好ましくない。
課題で述べたように、圧縮部12では、上ピストン125Tの公転速度が遅くなるに伴って上ピストン125Tが自転しにくくなる傾向がある。このため、上ピストン125Tの公転速度が遅くなる回転軸15の低回転時に、回転軸15の上偏心部152Tの周方向に対する上ピストン125Tの自転運動が停止するおそれがある。そこで、上述のように、被覆膜155が、上偏心部152Tの外周面152aの周方向における第1位置P1(0度)と第2位置P2(90度)との間に形成されることで、上ピストン125Tの低回転時に、公転運動における所定のタイミングで、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。これにより、上ピストン125Tの自転運動が促されるので、自転運動の停止を防ぎ、上ピストン125Tの異常摩耗を抑えられる。
上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力を、上ピストン125Tの公転運動における所定のタイミングで間欠的に高める理由、被覆膜155を第1位置P1(0度)と第2位置P2(90度)との間に形成する理由等については、後述する(図6~図8)。
一般に、潤滑油18による滑り軸受の潤滑状態を表すゾンマーフェルト数Sは、潤滑油18の粘度をη、回転軸15の回転数をn、面圧をPとしたときに、S=ηn/Pで表される。ゾンマーフェルト数Sが大きいほど潤滑状態が良好になり、回転数nが大きいほど潤滑状態が良好になる。このため、回転軸15の高回転時には、滑り面に油膜が形成されやすくなる。
したがって、回転軸15の低回転時には、回転軸15の上偏心部152Tの外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとの間に、潤滑油18の油膜が形成されにくい。このため、上偏心部152Tの外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとが直接的に接触しやすく、上偏心部152Tに形成された被覆膜155によって生じる摩擦力は、油膜によって損なわれることなく、上偏心部152Tに対して上ピストン125Tを回転させるように効果的に作用する。
一方、回転軸15の高回転時には、回転軸15の上偏心部152Tの外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとの間に、潤滑油18の油膜が形成されやすい。このため、油膜を介して上偏心部152Tの外周面152aと上ピストン125Tの内周面125aとが接触しないので、上偏心部152Tに形成された被覆膜155によって摩擦力が生じず、被覆膜155が、上偏心部152Tに対する上ピストン125Tの回転抵抗とはならない。このように被覆膜155は、回転軸15の低回転時に上ピストン125Tの自転運動を促し、回転軸15の高回転時に上ピストン125Tの自転運動を妨げない。
図5Aは、実施例における回転軸15の上偏心部152Tに形成される被覆膜155のパターンの一例を示す側面図である。図5B、5Cは、実施例における回転軸15の上偏心部152Tに形成される被覆膜155のパターンの他の例を示す側面図である。
図5Aに示すように、上偏心部152Tの外周面152aに形成される被覆膜155は、例えば、回転軸15の軸方向(上下方向)における外周面152aの上端と下端とに連続して形成されている。被覆膜155は、上偏心部152Tの外周面152aにおいて、回転軸15の軸方向に連続して形成されることに限定されず、回転軸15の軸方向に対して間隔をあけて形成されてよい。
例えば、図5Bに示すように、被覆膜155は、回転軸15の軸方向における外周面152aの中央部のみに形成されてもよく、図5Cに示すように、回転軸15の軸方向における外周面152aの中央を除く上端側と下端側に形成されてもよい。これにより、被覆膜155によって生じる摩擦力の大きさを適切に調節し、かつ被覆膜155の形成に要する製造コストの削減が可能になる。
(被覆膜の形成範囲)
上偏心部152Tの外周面152aの周方向における、被覆膜155を形成する範囲について、上ピストン125Tの公転運動を示す図6~図8を参照して説明する。
図6~図8において、回転軸15は、矢印で示すように時計まわりに回転し、上ピストン125Tが上シリンダ121Tの内周面137Tに沿って時計まわりに公転しながら、上ピストン125Tが回転軸15まわりに自転する。また、図6~図8では、上ピストン125Tの公転運動を基準として、回転軸15の中心C1まわりに対する回転角(上ピストン125Tの回転角と称する。)が、時計まわりに0度から360度(0度)まで順番に、45度ごとに変化する状態を示している。上ピストン125Tが上ベーン127Tを上ベーン溝128T内に最も押し込んだ状態のときの、上ピストン125Tの回転角を0度としている。
上ピストン125Tの回転角が0度となる上死点において、上偏心部152Tの外周面152aの第1位置P1(上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θが0度)は、上ピストン125Tと上ベーン127Tが接する位置と、回転軸15の中心C1とを結ぶ直線L上に位置している。公転運動する上ピストン125Tの回転角の変化に伴って、上偏心部152Tの第1位置P1の位置は、上シリンダ121Tの内周面の周方向に対して上ピストン125Tの回転角と一致するように移動する。つまり、上ピストン125Tの回転角が180度となる下死点において、上偏心部152Tの外周面152aの第1位置P1は、上シリンダ121Tの周方向における180度の位置に移動する。
例えば、図6に示すように、上シリンダ121Tでは、上ピストン125Tが公転運動する際、上ピストン125Tの回転角の変化に伴って上ピストン125Tと上ベーン127Tとの接触位置が変化することで、上シリンダ121T内の上吸入室131Tと上圧縮室133Tの大きさがそれぞれ変化する。上ピストン125Tの回転角が0度のときは、上吸入室131Tが上圧縮室133Tへと移行する直前であり、上圧縮室133Tが縮小して容積がゼロとなる位置である。そして、上ピストン125Tの回転角が0度から大きくなるに従って、上吸入室131Tが徐々に大きくなると共に上圧縮室133Tが徐々に小さくなる。
上シリンダ121Tでは、上圧縮室133T内で冷媒が圧縮されるとき、上圧縮室133T内での圧力(吐出圧)が、上吸入室131T内での圧力(吸入圧)よりも大きくなり、吐出圧と吸入圧との差圧が上ピストン125Tの外周面139Tに作用する。この差圧によって、上圧縮室133T内を形成する上ピストン125Tの外周面139Tが、差圧が作用する方向(図中に斜線付き矢印で示すF方向)に、上吸入室131T側へ向かって押し付けられる。
また、この差圧は、上ピストン125Tと上ベーン127Tとが接する位置、上ピストン125Tの外周面139Tと上シリンダ121Tの内周面137Tとが接する位置の変化、すなわち上圧縮室133Tの容積の変化に伴って、差圧が作用する矢印F方向の向き、差圧の大きさが変化する。言い換えると、上ピストン125Tの回転角が大きくなるに従って、差圧が徐々に大きくなると共に、差圧が作用する矢印F方向の向きが変化する。
このように差圧が生じることにより、差圧が作用する矢印F方向とは反対側の、上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、上偏心部152Tの外周面152aに対して矢印F方向に押圧されることになる。また、上ピストン125Tの内周面125aの位置Xは、上ピストン125Tの回転角の変化に伴って、上ピストン125Tの内周面125aの周方向に沿って移動する。
そして、本実施例では、上偏心部152Tの外周面152aに押圧される上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、上偏心部152Tの外周面152aにおける被覆膜155の形成範囲と重なるタイミングで、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間に生じる摩擦力が高められる。
このような差圧の振る舞いを踏まえて、まず参考例における被覆膜155の形成範囲について説明する。図6は、参考例において、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θ(図4参照)を基準として、被覆膜155が0度から180度までの範囲に形成された場合の上偏心部152Tと上ピストン125Tの挙動を説明するための図である。
図6に示すように、被覆膜155が、上偏心部152Tの外周面152aにおける第1位置P1(0度)と第2位置P2(90度)との間を越えて、0度から180度までの範囲に形成された場合、矢印F方向に作用する差圧によって上偏心部152Tの外周面152aに押圧される上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、上ピストン125Tの1回転の公転運動中に、被覆膜155の形成範囲と常に重なることになる。
このため、上ピストン125Tの1回転の公転運動中、被覆膜155によって、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が、位置Xで常に高められることになる。その結果、上偏心部152Tと共に上ピストン125Tが自転する回転軸15の回転負荷が大きくなり、モータ11の駆動力の損失が増える原因となる。したがって、モータ11によって圧縮部12を効率的に駆動するために、被覆膜155の形成範囲を0度から180度までの範囲よりも狭くする必要がある。
図7は、実施例において、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θ(図4参照)を基準として、被覆膜155が0度から90度までの範囲に形成された場合の上偏心部152Tと上ピストン125Tの挙動を説明するための図である。図8は、実施例において、上偏心部152Tの中心C2まわりの中心角θを基準として、被覆膜155が0度から45度までの範囲に形成された場合の上偏心部152Tと上ピストン125Tの挙動を説明するための図である。
図7に示すように、被覆膜155が、上偏心部152Tの外周面152aにおける第1位置P1(0度)から第2位置P2(90度)までの範囲に形成された場合、上ピストン125Tが上死点(0度)から下死点(180度)に達する前までの間、矢印F方向に作用する差圧によって上偏心部152Tの外周面152aに押圧される上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、被覆膜155に重ならず、被覆膜155によって大きな摩擦力が得られない。
そして、上ピストン125Tが下死点(180度)に到達したときに、上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、被覆膜155に重なり、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。以降、上ピストン125Tが下死点(180度)から上死点(360度)に達する直前まで、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。
このように、上ピストン125Tの1回転の公転運動中において、矢印F方向に作用する差圧の大きさが変化しているが、公転運動中における差圧が相対的に大きくなる、上ピストン125Tの下死点(180度)から上死点(360度)までの間のタイミングで、大きな差圧によって上ピストン125Tの内周面125aが上偏心部152Tの被覆膜155に押圧されることにより、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力を高めることができる。このため、被覆膜155によって生じる摩擦力により、上ピストン125Tが上偏心部152Tと共に自転することが促されるので、上偏心部152Tによって上ピストン125Tを回転させて、上ピストン125Tの自転運動の停止が抑えられる。
また、被覆膜155が上述の形成範囲のみに形成されることにより、上偏心部152Tの外周面152aに対する上ピストン125Tの内周面125aの回転抵抗が大きくなり過ぎることが抑えられている。これにより、上ピストン125Tの1回転の公転運動中における上述の所定のタイミングで上ピストン125Tが上偏心部152Tと共に回転する自転運動を行いながら、所定のタイミング以外で上ピストン125Tの内周面125aに対して上偏心部152Tの外周面152aが滑ることで上ピストン125Tの自転運動が間欠的に行われることになり、上ピストン152Tを自転させる回転軸15の回転負荷が大きくなることが抑えられる。
また、図8に示すように、被覆膜155が、上偏心部152Tの外周面152aにおける第1位置P1(0度)から第3位置P3(45度)までの範囲に形成された場合、上ピストン125Tが上死点(0度)から270度に達する前までの間、矢印F方向に作用する差圧によって上偏心部152Tの外周面152aに押圧される上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、被覆膜155に重ならず、被覆膜155によって大きな摩擦力が得られない。
そして、上ピストン125Tが270度に到達したときに、上ピストン125Tの内周面125aの位置Xが、被覆膜155に重なり、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。以降、上ピストン125Tが270度から上死点(360度)に達する直前まで、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。すなわち、上圧縮室133T内での冷媒の圧縮工程の後期に上圧縮室133T内の冷媒が上吐出孔190Tから吐出される直前で、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力が高められる。
このように、上ピストン125Tの1回転の公転運動中において、矢印F1方向に作用する差圧が顕著に大きくなるタイミングで、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間の摩擦力を高めることにより、上偏心部152Tに対して回転する上ピストン125Tの回転抵抗が大きくなり過ぎることが更に抑えられる。
(実施例の効果)
上述したように実施例のロータリ圧縮機1における回転軸15の上偏心部152T(下偏心部152S)の外周面152aには、外周面と上ピストン125T(下ピストン125S)の内周面125aとの間の摩擦力を高める被覆膜155が、外周面152aの周方向における一部に形成されている。上偏心部152T(下偏心部152S)の外周面152aの周方向において、被覆膜155は、回転軸15の中心C1に対して上偏心部152T(下偏心部152S)の中心C2が偏心する方向が外周面152aに交差する第1位置P1と、この第1位置P1から回転軸15の回転方向に向かって、上偏心部152T(下偏心部152S)の中心C2まわりの中心角θが90度をなす第2位置P2との間の範囲内のみに形成されている。これにより、上ピストン125T(下ピストン125S)の公転運動における所定のタイミングで、被覆膜155によって上ピストン125Tと上偏心部152T(下ピストン125Sと下偏心部152S)との間の摩擦力を高めることが可能になる。このため、回転軸15の低回転時に、上偏心部152T(下偏心部152S)の周方向に対して上偏心部152T(下偏心部152S)と共に上ピストン125T(下ピストン125S)が回転する自転運動を促すことができるので、上ピストン125T(下ピストン125S)の自転運動が停止することを抑えられる。その結果、上ベーン127T(下ベーン127S)によって上ピストン125T(下ピストン125S)の異常摩耗によって生じる上ピストン125T(125S)の外形の変形に伴い、圧縮部12が異常停止することを抑えられる。
また、実施例のロータリ圧縮機1は、上偏心部152T(下偏心部152S)の外周面152aの周方向において、被覆膜155が、第1位置P1と、上偏心部152T(下偏心部152S)における中心角θが45度をなす第3位置P3との間の範囲内のみに形成されている。これにより、冷媒の圧縮工程の後期に上圧縮室133T内(下圧縮室133S)の冷媒が上吐出孔190Tから吐出される直前で、上ピストン125Tと上偏心部152T(下ピストン125Sと下偏心部152S)との間の摩擦力が高められる。このため、上ピストン125T(下ピストン125S)の1回転の公転運動中において、上ピストン125Tを上偏心部152Tに押圧する力(下ピストン125Sを下偏心部152Sに押圧する力)が顕著に大きくなるタイミングで、上ピストン125Tと上偏心部152T(下ピストン125Sと下偏心部152S)との間の摩擦力を高められるので、上偏心部152Tに対して回転する上ピストン125T(下偏心部152Sに対して回転する下ピストン125S)の回転抵抗が大きくなり過ぎることが更に抑えられる。
また、実施例のロータリ圧縮機1における被覆膜155は、上偏心部152T(下偏心部152S)の外周面152aの周方向に対して間隔をあけて形成されている。これにより、被覆膜155によって生じる摩擦力の大きさを適切に調節し、かつ被覆膜155の形成に要する製造コストの削減が可能になる。
また、実施例のロータリ圧縮機1の被覆膜155は、上偏心部152T(下偏心部152S)の外周面152aにおける、回転軸15の軸方向に対して間隔をあけて形成されている。これにより、被覆膜155によって生じる摩擦力の大きさを適切に調節し、かつ被覆膜155の形成に要する製造コストの削減が可能になる。
(変形例)
上述した実施例では、回転軸15の上偏心部152Tに単一の被覆膜155が形成されたが、上偏心部152Tの外周面152aにおける第1位置P1(0度)と第2位置P2(90度)との間、または第1位置P1(0度)と第3位置P3(45度)との間において、被覆膜155は、上偏心部152Tの外周面の周方向に沿って並んで配置された摩擦係数が異なる複数種類の被覆膜155を含んでもよい。
この場合、第1位置P1から、上偏心部152Tにおける中心角θが大きくなるに従って、摩擦係数が高くように複数種類の被覆膜155が形成されてもよい。このような複数種類の被覆膜155が上偏心部152Tに形成されることで、上ピストン125Tが上偏心部152Tに押圧される位置Xに生じる押圧力が上偏心部152Tの周方向に沿って変化する大きさに応じて、上ピストン125Tと上偏心部152Tとの間で適切な摩擦力が生じさせることが可能になる。また、複数種類の被覆膜155としては、例えば、上偏心部152Tの外周面152aの周方向において、外周面152aに形成された第1の被覆膜上の所定範囲に第2被覆膜の一部が積層されて形成されてもよい。
なお、実施例は、上シリンダ121Tと下シリンダ121Sを備える、いわゆる2シリンダ型のロータリ圧縮機1に適用されたが、1つのシリンダを備える、いわゆる1シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されてもよい。
1 ロータリ圧縮機
10 圧縮機筐体
11 モータ
12 圧縮部
104 下吸入管(吸入部)
105 上吸入管(吸入部)
107 吐出管(吐出部)
121T 上シリンダ
121S 下シリンダ
125T 上ピストン
125S 下ピストン
125a 内周面
127T 上ベーン
127S 下ベーン
128T 上ベーン溝
128S 下ベーン溝
130T 上シリンダ室
130S 下シリンダ室
131T 上吸入室
131S 下吸入室
133T 上圧縮室
133S 下圧縮室
152T 上偏心部
152S 下偏心部
152a 外周面
155 被覆膜
160T 上端板
160S 下端板
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
C1 回転軸の中心
C2 偏心部の中心
L 直線
θ 中心角

Claims (5)

  1. 冷媒の吐出部及び吸入部が設けられた圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体の内部に配置されて前記吸入部から吸入した冷媒を圧縮して前記吐出部から吐出する圧縮部と、前記圧縮機筐体内に配置されて前記圧縮部を駆動するモータと、を備え、
    前記圧縮部は、
    環状のシリンダと、
    前記シリンダを閉塞する上端板及び下端板と、
    前記上端板及び前記下端板に支持され前記モータにより回転される回転軸と、
    前記回転軸の中心に対して偏心して設けられた偏心部と、
    前記偏心部にはめ込まれ前記シリンダの内周面に沿って回転し前記シリンダ内にシリンダ室を形成するピストンと、
    前記シリンダに設けられたベーン溝から前記シリンダ室内に突出し前記ピストンと接して前記シリンダ室を吸入室と圧縮室に区画するベーンと、
    を有するロータリ圧縮機において、
    前記偏心部の外周面には、当該外周面と前記ピストンの内周面との間の摩擦力を高める被覆膜が、前記外周面の周方向における一部に形成され、
    前記偏心部の前記外周面の周方向において、前記被覆膜は、前記回転軸の中心に対して前記偏心部の中心が偏心する方向が前記外周面に交差する第1位置と、当該第1位置から前記回転軸の回転方向に向かって、前記偏心部の中心まわりの中心角が90度をなす第2位置との間の範囲内のみに形成されている、ロータリ圧縮機。
  2. 前記偏心部の前記外周面の周方向において、前記被覆膜は、前記第1位置と、前記中心角が45度をなす第3位置との間の範囲内のみに形成されている、
    請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記被覆膜は、前記偏心部の外周面の周方向に沿って並んで配置された摩擦係数が異なる複数種類の被覆膜を含む、
    請求項1または2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記被覆膜は、前記偏心部の前記外周面の周方向に対して間隔をあけて形成されている、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
  5. 前記被覆膜は、前記偏心部の前記外周面における、前記回転軸の軸方向に対して間隔をあけて形成されている、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
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