JP2022056384A - ツイスト包装材用樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂フィルムであって、良好な生産性を示し、かつツイスト包装材として使用可能な樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、下記条件(1)及び(2)を満足する、ツイスト包装材用樹脂フィルム。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である。
【選択図】なし
【解決手段】ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、下記条件(1)及び(2)を満足する、ツイスト包装材用樹脂フィルム。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有するツイスト包装材用樹脂フィルムに関する。
石油由来プラスチックは毎年大量に廃棄されており、これらの大量廃棄物による環境汚染が深刻な問題として取り上げられている。また近年、マイクロプラスチックが、海洋環境において大きな問題になっている。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は優れた海水分解性を有しており、廃棄されたプラスチックが引き起こす環境問題を解決しうる材料である。例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の1種であるポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)は3-ヒドロキシヘキサノエートの組成比率を変化させることにより、機械特性を柔軟にコントロールできる。また、生分解樹脂の中でガスバリア性が高く、また加水分解性もしにくいことから、包材用途をはじめとする幅広い用途への展開が期待されている。
特許文献1では、溶融成形加工における固化性を改善して加工速度を向上させるために、2種類のポリヒドロキシアルカノエートを含有するポリエステル樹脂組成物が記載されており、その成形体の一例としてフィルムやシートが記載されている。
包装材の一種として、フィルムの中央にキャンディやチョコレートなどを置いた後、フィルムの端部をひねることでキャンディなどを包み込む、ツイスト包装(ひねり包装)材が知られている。しかし、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂をツイスト包装材に適用した例は報告されていない。
従来報告されているポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂では、生産性と、ツイスト包装材としての適性とを兼ね備えた樹脂フィルムを製造することが困難であった。
本発明は、上記現状に鑑み、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂フィルムであって、良好な生産性を示し、かつツイスト包装材として使用可能な樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分を含有する樹脂フィルムにおいて、降伏点伸びが特定の数値範囲を満足し、かつ降伏点伸びと破断伸びが特定の関係を満足するように構成した樹脂フィルムは、ツイスト包装材としての使用可能な適性を有することに加えて、良好な生産性で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、下記条件(1)及び(2)を満足する、ツイスト包装材用樹脂フィルム。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む。より好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が1~7モル%である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(A)、及び、他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が9モル%以上である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(B)を含む。さらに好ましくは、前記共重合体(B)における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である。さらに好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分中、前記共重合体(A)の割合が35重量%以上、95重量%以下で、前記共重合体(B)の割合が5重量%以上、65重量%以下である。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める前記他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合が、5~19モル%である。
好ましくは、前記他のヒドロキシアルカノエート単位が、3-ヒドロキシヘキサノエート単位である。
好ましくは、前記樹脂フィルムの厚みが10μm以上1mm以下である。
また本発明は、前記樹脂フィルムを含む、ツイスト包装材にも関する。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む。より好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が1~7モル%である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(A)、及び、他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が9モル%以上である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(B)を含む。さらに好ましくは、前記共重合体(B)における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である。さらに好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分中、前記共重合体(A)の割合が35重量%以上、95重量%以下で、前記共重合体(B)の割合が5重量%以上、65重量%以下である。
好ましくは、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める前記他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合が、5~19モル%である。
好ましくは、前記他のヒドロキシアルカノエート単位が、3-ヒドロキシヘキサノエート単位である。
好ましくは、前記樹脂フィルムの厚みが10μm以上1mm以下である。
また本発明は、前記樹脂フィルムを含む、ツイスト包装材にも関する。
本発明によれば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有する樹脂フィルムであって、良好な生産性を示し、かつツイスト包装材として使用可能な樹脂フィルムを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有するツイスト包装材用樹脂フィルムに関する。
(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分)
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂成分は、単独のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂であってもよいし、2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物であっても良いが、後述する条件(1)及び(2)の制御が容易であることから、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物であることが好ましい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)樹脂成分は、単独のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂であってもよいし、2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物であっても良いが、後述する条件(1)及び(2)の制御が容易であることから、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物であることが好ましい。
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシアルカノエート単位を有する重合体、具体的には、下記一般式(1)で示される単位を含む重合体であることが好ましい。
[-CHR-CH2-CO-O-] (1)
[-CHR-CH2-CO-O-] (1)
一般式(1)中、RはCpH2p+1で表されるアルキル基を示し、pは1~15の整数を示す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、メチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。pとしては、1~10が好ましく、1~8がより好ましい。
前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂としては、特に微生物から産生されるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が好ましい。微生物から産生されるポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂においては、3-ヒドロキシアルカノエート単位が、全て(R)-3-ヒドロキシアルカノエート単位として含有される。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシアルカノエート単位(特に、一般式(1)で表される単位)を、全構成単位の50モル%以上含むことが好ましく、60モル%以上含むことがより好ましく、70モル%以上含むことが更に好ましい。ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、重合体の構成単位として、1種又は2種以上の3-ヒドロキシアルカノエート単位のみを含むものであってもよいし、1種又は2種以上の3-ヒドロキシアルカノエート単位に加えて、その他の単位(例えば、4-ヒドロキシアルカノエート単位等)を含むものであってもよい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシブチレート(以下、3HBと称する場合がある)単位を含む単独重合体又は共重合体であることが好ましい。特に、3-ヒドロキシブチレート単位は、全て(R)-3-ヒドロキシブチレート単位であることが好ましい。また、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体であることが好ましい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の具体例としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)(略称:P3HB3HV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(略称:P3HB3HH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシノナノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシウンデカノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(略称:P3HB4HB)等が挙げられる。特に、樹脂フィルムの生産性およびツイスト包装材としての適性等の観点から、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、又は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む場合、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位および他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有比率は、樹脂フィルムの生産性とツイスト包装適性を両立する観点から、3-ヒドロキシブチレート単位/他のヒドロキシアルカノエート=95/5~81/19(モル%/モル%)が好ましく、93/7~82/18(モル%/モル%)がより好ましく、92/8~83/17(モル%/モル%)がさらに好ましく、88/12~84/16(モル%/モル%)が特に好ましい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める各モノマー単位の平均含有比率は、当業者に公知の方法、例えば国際公開2013/147139号の段落[0047]に記載の方法により求めることができる。平均含有比率とは、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める各モノマー単位のモル比を意味し、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である場合、混合物全体に含まれる各モノマー単位のモル比を意味する。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、樹脂フィルムの生産性とツイスト包装適性を両立する観点から、10万~200万が好ましく、15万~150万がより好ましく、18万~100万が更に好ましく、20万~80万が特に好ましい。
また、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である場合、各ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。しかし、例えば、後述するような高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂とを併用する場合、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、樹脂フィルムの生産性とツイスト包装適性を両立する観点から、10万~200万が好ましく、15万~150万がより好ましく、18万~100万が更に好ましく、20万~80万が特に好ましい。一方、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量平均分子量は、樹脂フィルムの生産性とツイスト包装適性を両立する観点から、10万~200万が好ましく、15万~150万がより好ましく、18万~100万が更に好ましく、20万~80万がとくに好ましい。
なお、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂又はポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の重量平均分子量は、クロロホルム溶液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(島津製作所社製HPLCにGPC system)を用い、ポリスチレン換算により測定することができる。該ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるカラムとしては、重量平均分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の製造方法は特に限定されず、化学合成による製造方法であってもよいし、微生物による製造方法であってもよい。中でも、微生物による製造方法が好ましい。微生物による製造方法については、公知の方法を適用できる。例えば、3-ヒドロキシブチレートと、その他のヒドロキシアルカノエートとのコポリマー生産菌としては、P3HB3HVおよびP3HB3HH生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、P3HB4HB生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)等が知られている。特に、P3HB3HHに関し、P3HB3HHの生産性を上げるために、P3HA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32,FERM BP-6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821-4830(1997))等がより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にP3HB3HHを蓄積させた微生物菌体が用いられる。また前記以外にも、生産したいポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に合わせて、各種ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂合成関連遺伝子を導入した遺伝子組み換え微生物を用いても良いし、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
(他の樹脂)
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、発明の効果を損なわない範囲で、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。そのような他の樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンセバケートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレートなどの脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。他の樹脂としては1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、発明の効果を損なわない範囲で、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。そのような他の樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンセバケートテレフタレート、ポリブチレンアゼレートテレフタレートなどの脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。他の樹脂としては1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記他の樹脂の含有量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。他の樹脂の含有量の下限は特に限定されず、0重量部であってもよい。
(シリカ)
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、その機械特性について改良効果を得ることを目的に、更にシリカを含有しても良い。
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、その機械特性について改良効果を得ることを目的に、更にシリカを含有しても良い。
前記シリカとしては、特にその種類は限定されないが、汎用性の観点から、乾式法または湿式法で製造される合成非晶質シリカが好ましい。また、疎水処理または非疎水処理を施したいずれのものも使用可能であり、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記シリカとしては、吸着水分量が0.5重量%以上7重量%以下のシリカが好ましい。吸着水分量は、例えば研精工業株式会社製電磁式はかりMX-50を用いて160℃における揮発分を吸着水分量として測定することができる。吸着水分量が7重量%より大きい場合、シリカ表面や粒子間に吸着した水分の凝集力で分散しにくくなってフィルム成形時にフィッシュアイとなって外観不良を起こす場合がある。また逆に0.5重量%未満の場合には、この僅かに粒子間の残った水分が架橋液膜を形成して表面張力で大きな結合力を生み、分離・分散が極端に難しくなる傾向がある。
前記シリカの平均一次粒子径は、ツイスト包装材用樹脂フィルムの引裂強度を向上させることができ、フィッシュアイ等の外観上の欠陥を生じにくく、透明性を大きく損なうことがなければ特に限定されないが、引裂強度等の機械的特性の向上効果が得られやすく、透明性に優れている点で0.001~0.1μmであることが好ましく、0.005~0.05μmであることが特に好ましい。なお、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した任意の50個以上の一次粒子の径を算術平均することにより求められる。
前記シリカの配合量(総配合量)は、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、1~12重量部であることが好ましい。1重量部より少ないと、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分と複合化した際に引裂強度などの機械特性について前記シリカの配合による十分な改良効果を発現できない場合がある。また、12重量部より多い場合は、シリカを良好に分散させることが難しくなる場合がある。前記シリカの配合量は、2重量部以上がより好ましく、4重量部以上がさらに好ましい。また、11重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
前記シリカの分散性を向上させることを目的に、前記シリカと、分散助剤を併用することが好ましい。
前記分散助剤としては、例えば、グリセリンエステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、イソソルバイドエステル系化合物、ポリカプロラクトン系化合物などが例示される。これらのうち、樹脂成分への親和性に優れブリードしにくいことから、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノデカノエートなどの変性グリセリン系化合物;ジエチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル系化合物;ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジカプリレート、ポリエチレングリコールジイソステアレートなどのポリエーテルエステル系化合物が好ましく、更には、バイオマス由来成分を多く含むものが、組成物全体のバイオマス度を高めることができることから特に好ましい。このような分散助剤としては、理研ビタミン株式会社のアセチル化モノグリセライドBIOCIZERやPLシリーズ、ROQUETTE社のPolysorbシリーズなどが例示される。分散助剤は一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
前記分散助剤の配合量(総配合量)は、前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して0.1~20重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では、シリカの分散助剤としての機能を十分に発揮させることができない場合や、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分と複合化した際に引裂強度などの機械特性について前記シリカの配合による十分な改良効果を発現できない場合がある。一方、20重量部を超えると、ブリードアウトの原因になる場合がある。前記分散助剤の配合量は、0.3重量部以上がより好ましく、0.5重量部以上がさらに好ましい。また、10重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましい。
(添加剤)
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、発明の効果を阻害しない範囲において、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、結晶核剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、導電剤、断熱剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、加水分解抑制剤等を目的に応じて使用できる。特に生分解性を有する添加剤が好ましい。
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、発明の効果を阻害しない範囲において、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、結晶核剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、導電剤、断熱剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、加水分解抑制剤等を目的に応じて使用できる。特に生分解性を有する添加剤が好ましい。
結晶核剤としては、例えば、ペンタエリスリトール、オロチン酸、アスパルテーム、シアヌル酸、グリシン、フェニルホスホン酸亜鉛、窒化ホウ素等が挙げられる。中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の結晶化を促進する効果が特に優れている点で、ペンタエリスリトールが好ましい。結晶核剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.5~3重量部がより好ましく、0.7~1.5重量部がさらに好ましい。また、結晶核剤は、1種を使用してよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
滑剤としては、例えば、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N-ステアリルベヘン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p-フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物等が挙げられる。中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分への滑剤効果が特に優れている点で、ベヘン酸アミドとエルカ酸アミドが好ましい。滑剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、0.01~5重量部が好ましく、0.05~3重量部がより好ましく、0.1~1.5重量部がさらに好ましい。また、滑剤は、1種を使用してもよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
可塑剤としては、例えば、グリセリンエステル系化合物、クエン酸エステル系化合物、セバシン酸エステル系化合物、アジピン酸エステル系化合物、ポリエーテルエステル系化合物、安息香酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、イソソルバイドエステル系化合物、ポリカプロラクトン系化合物、二塩基酸エステル系化合物等が挙げられる。中でも、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分への可塑化効果が特に優れている点で、グリセリンエステル系化合物、クエン酸エステル系化合物、セバシン酸エステル系化合物、二塩基酸エステル系化合物が好ましい。グリセリンエステル系化合物としては、例えば、グリセリンジアセトモノラウレート等が挙げられる。クエン酸エステル系化合物としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられる。セバシン酸エステル系化合物としては、例えば、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。二塩基酸エステル系化合物としては、例えば、ベンジルメチルジエチレングリコールアジペート等が挙げられる。可塑剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、1~20重量部が好ましく、2~15重量部がより好ましく、3~10重量部がさらに好ましい。また、可塑剤は、1種を使用してもよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、酸化チタンなどが挙げられる。無機充填剤の使用量は、特に限定されないが、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分の合計100重量部に対して、0.5~30重量部が好ましく、1~20重量部がより好ましく、2~15重量部がさらに好ましい。また、無機充填剤は、1種を使用してもよいし、2種以上使用してもよく、目的に応じて、使用比率を適宜調整することができる。
(ツイスト包装材用樹脂フィルムの降伏点伸び及び破断伸び)
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、以下の条件(1)及び(2)を満足するものである。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。これら条件を双方満足することによって、ツイスト包装材用樹脂フィルムは、ツイスト包装材としての適性を示すことができる。
本発明の一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、以下の条件(1)及び(2)を満足するものである。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。これら条件を双方満足することによって、ツイスト包装材用樹脂フィルムは、ツイスト包装材としての適性を示すことができる。
条件(1)に関し、降伏点伸びYが9.0%を超える値であると、ツイスト包装を行うに際して樹脂フィルムをひねった後、手を離すと樹脂フィルムが元の形状(ひねる前の形状)に戻りやすくなるため、当該樹脂フィルムはツイスト包装材としての適性が十分でない場合がある。また、降伏点伸びYが1.0%未満の値であると、降伏時の伸びが少なすぎるため、樹脂フィルムをひねりにくく、ツイスト包装材としての適性が十分でない場合がある。降伏点伸びYは、4.0%以上8.0%以下が好ましく、5.0%以上7.0%以下がより好ましい。
条件(2)に関し、破断伸びXが降伏点伸びYより小さいものであると、樹脂フィルムに力を加えた時、樹脂フィルムが降伏する前に破断してしまうことになるため、当該樹脂フィルムをツイスト包装材として使用することができない。
ツイスト包装材用樹脂フィルムが示す破断伸びXの数値は特に限定されないが、大きい数値であるほど、ツイスト包装の際に樹脂フィルムが破断しにくくなるので、好ましい。具体的には、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、100%以上が好ましい。
破断伸びX及び降伏点伸びYは、引張試験機(島津製作所製:EZ-LX 1kN)を用いて、JIS K 7127に準拠して、試験片タイプ5を用い、引張速度100mm/minの条件で、MD方向に引張試験を行ってS-Sカーブを得、該S-Sカーブに基づいて測定することができる。
(ツイスト包装材用樹脂フィルムの厚み)
ツイスト包装材用樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、10μm以上1mm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下がより好ましく、15μm以上100μm以下がさらに好ましい。
ツイスト包装材用樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、10μm以上1mm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下がより好ましく、15μm以上100μm以下がさらに好ましい。
(ツイスト包装材用樹脂フィルムの製造方法)
前記条件(1)及び(2)を満足するツイスト包装材用樹脂フィルムを製造するための方法としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合を調節する方法や、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分に含まれる各樹脂を構成する各モノマーの含有割合を調節する方法、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の使用割合を調節する方法等が挙げられる。
前記条件(1)及び(2)を満足するツイスト包装材用樹脂フィルムを製造するための方法としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合を調節する方法や、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分に含まれる各樹脂を構成する各モノマーの含有割合を調節する方法、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の使用割合を調節する方法等が挙げられる。
少なくとも2種のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を併用する場合は、少なくとも1種の高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と、少なくとも1種の低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を組み合わせて使用することが好ましい。一般に、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は生産性に優れるが機械強度が乏しい性質を有し、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂は生産性に劣るが優れた機械特性を有する。両樹脂を併用すると、高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が微細な樹脂結晶粒子を形成し、低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が、該樹脂結晶粒子同士を架橋するタイ分子を形成すると推測される。これらの樹脂を組み合わせて使用することで、樹脂フィルムの生産性とツイスト包装適性を両立することが可能になる。
前記高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位を含む場合、該高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に含まれる3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位の平均含有割合よりも高いことが好ましい。
高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位を含む場合、該高結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、1~7モル%が好ましく、2~6モル%がより好ましい。
高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位を含む場合、該高結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、1~7モル%が好ましく、2~6モル%がより好ましい。
前記高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、又は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましく、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましい。
また、前記低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位を含む場合、該低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂に含まれる3-ヒドロキシブチレート単位の含有割合は、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める3-ヒドロキシブチレート単位の平均含有割合よりも低いことが好ましい。
低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位を含む場合、該低結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、9~99モル%が好ましい。
当該低結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、9モル%以上24モル%未満であってよい。この時、10モル%以上20モル%以下が好ましく、11モル%以上15モル%以下が好ましい。
別の態様では、前記低結晶性の樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合は、24モル%以上99モル%以下であってもよい。この時、24モル%以上50モル%以下が好ましく、24~35モル%がより好ましく、24~30モル%が更に好ましい。前記含有割合が24モル%以上である態様では、樹脂フィルムの破断伸びが大きくなり、ツイスト包装の際に樹脂フィルムが破断しにくくなるため好ましい。
前記低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、又は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)が好ましく、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましい。
高結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂と低結晶性のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂を併用する場合、両樹脂の合計量に対する各樹脂の使用割合は特に限定されないが、前者が35重量%以上95重量%以下で、後者が5重量%以上65重量%以下であることが好ましく、前者が40重量%以上90重量%以下で、後者が10重量%以上60重量%以下であることがより好ましい。
低結晶性の樹脂として、他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である樹脂を使用する場合、高結晶性の樹脂の使用割合は40重量%以上90重量%以下、低結晶性の樹脂の使用割合は10重量%以上60重量%以下であることが好ましく、高結晶性の樹脂の使用割合は45重量%以上85重量%以下、低結晶性の樹脂の使用割合は15重量%以上55重量%以下であることがより好ましく、高結晶性の樹脂の使用割合は50重量%以上75重量%以下、低結晶性の樹脂の使用割合は25重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。
2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂のブレンド物を得る方法は特に限定されず、微生物産生によりブレンド物を得る方法であってよいし、化学合成によりブレンド物を得る方法であってもよい。また、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて2種以上の樹脂を溶融混練してブレンド物を得てもよいし、2種以上の樹脂を溶媒に溶解して混合・乾燥してブレンド物を得ても良い。
一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムの製造方法は特に限定されず、公知のフィルム製造方法を使用することができるが、生産性の観点から、インフレーション成形やTダイ押出成形が好ましい。インフレーション成形やTダイ押出成形は、必要に応じて樹脂成分や各種添加剤などを溶融混錬した後に実施してもよい。
前記インフレーション成形とは、先端に円筒ダイが取り付けられた押出機から溶融樹脂組成物をチューブ状に押し出し、直後に、該チューブのなかに気体を吹き込んでバルーン状にふくらませることでチューブ状の単層または多層フィルムを成形する成形方法のことをいう。当該インフレーション成形の方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂をフィルム成形する際に用いられる一般的なインフレーション成形機を用いて実施することが可能である。一般的なインフレーション成形機とは、単層フィルムの成形の場合、1台の単軸押出機に1台の円筒ダイが取り付けられているものをいう。多層フィルムの成形の場合は、使用する樹脂の種類に合わせて複数の押出機から1台の円筒ダイに溶融樹脂を流し込み、ダイス内で各樹脂を積層できるものをいう。上記単軸押出機は、投入された原料樹脂を溶融混練し、所望の温度に保ちながら一定の吐出を得るものであればよい。単軸押出機のスクリュー形状等も特に限定されないが、ミキシングエレメントを備えるものが、混練性の観点から好ましい。また、円筒ダイの構造も単層、積層フィルムに合わせて適宜設計されるものであり特に限定されないが、中でも、ウエルドの発生が少なく、厚みの均一性も得やすいため、スパイラルマンドレルダイが好ましい。
インフレーション成形における成形温度としては、樹脂が適切に溶融できる温度であれば特に限定されるものではないが、例えば135~200℃が好ましい。ここでいう成形温度とは、押出機以降からダイから吐出するまでの間の樹脂温度のことを指す。樹脂温度は、一般的には例えばアダプターに設置された温度計により測定することができる。
インフレーション成形における引取速度としては、成形体の膜厚、幅、樹脂吐出量により決定されるが、バルーン安定性を維持できる範囲で調整可能である。一般的に1~50m/分が好ましい。尚、インフレーション成形が可能である最大の引取速度(最大成形速度)としては、生産性の観点で5m/min以上であることが好ましく、7m/min以上であることがより好ましい。
インフレーション成形においては、バルーンの外側から吹き付けるエアリングを、吐出した溶融樹脂を固化させてバルーンを安定させるために用いることができる。好適に用いられるエアリングの吹き付け構造としては、エアの吹き出す環状のスリットが複数設けられ、各スリット間にあるチャンバーによりバルーンの安定化が促進されるスリットタイプのものである。
インフレーション成形の後、チューブ状の成形フィルムをピンチロールで折り重ねた状態で巻き取りロールまで引き取る工程や、巻き取り後に折り重ねた成形フィルムを容易に剥離させるため、ピンチロールで折り重なったフィルムの界面にエアを吹き込む工程、引き取りの途中で、用途に合わせてフィルムをカットする工程などを行ってもよい。カット方式としては、折り重ねられたチューブ状成形フィルムの幅方向の両端をカットして2枚のフィルムを形成する方式や、チューブ状成形フィルムを幅方向にホットカットすると共に、ヒートシールによって融着を行うことで袋形状のフィルムを形成する方式などがある。また、カットしやすいように、カット直前で折り重なったフィルムの界面にエアを吹き込む工程を含んでもよい。また、折り重ねられた状態のチューブ状フィルムの両端を内側に折り込む、いわゆるガゼット折りをする工程を行ってもよい。また、ピンチロールで折り重ねた後、巻き取り前までにフィルム表面に印刷する工程を行ってもよく、さらに印刷密着性を向上させるために、印刷前にフィルム表面にコロナ処理を行ってもよい。印刷方法としては、特に限定されるものではないが、グラビア印刷やフレキソ印刷が挙げられる。
一実施形態に係るツイスト包装材用樹脂フィルムは、所望のサイズにカットした後、ツイスト包装材とすることができる。また、該樹脂フィルムの表面に金属蒸着膜、無機蒸着膜、アルミホイル等の金属薄膜を形成してもよい。該ツイスト包装材は、キャンディやチョコレートといった製菓類等の小型の被包装物を包装材の中央に置いた後、包装材の端部を捻ることで被包装物を包み込むために使用される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲を限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した物質を以下に示す。
[ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂]
P3HB3HH-1:P3HB3HH(平均含有比率3HB/3HH=97.2/2.8(モル%/モル%)、重量平均分子量は66万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例2に記載の方法に準じて製造した。
P3HB3HH-2:X131A(カネカ生分解性ポリマーPHBH(登録商標))(平均含有比率3HB/3HH=94/6(モル%/モル%)、重量平均分子量は60万g/mol)
P3HB3HH-3:X151C(カネカ生分解性ポリマーPHBH(登録商標))(平均含有比率3HB/3HH=89/11(モル%/モル%)、重量平均分子量は60万g/mol)
P3HB3HH-4:P3HB3HH(平均含有比率3HB/3HH=71.8/28.2(モル%/モル%)、重量平均分子量は66万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例9に記載の方法に準じて製造した。
[ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂]
P3HB3HH-1:P3HB3HH(平均含有比率3HB/3HH=97.2/2.8(モル%/モル%)、重量平均分子量は66万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例2に記載の方法に準じて製造した。
P3HB3HH-2:X131A(カネカ生分解性ポリマーPHBH(登録商標))(平均含有比率3HB/3HH=94/6(モル%/モル%)、重量平均分子量は60万g/mol)
P3HB3HH-3:X151C(カネカ生分解性ポリマーPHBH(登録商標))(平均含有比率3HB/3HH=89/11(モル%/モル%)、重量平均分子量は60万g/mol)
P3HB3HH-4:P3HB3HH(平均含有比率3HB/3HH=71.8/28.2(モル%/モル%)、重量平均分子量は66万g/mol)
国際公開第2019/142845号の実施例9に記載の方法に準じて製造した。
ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分として2種以上のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物を使用する場合、表1中の平均HH割合は、各ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂における3HH割合と、各ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の重量割合とから算出した平均値である。
[添加剤]
添加剤-1:ベヘン酸アミド(日本精化社製:BNT-22H)
添加剤-1:ベヘン酸アミド(日本精化社製:BNT-22H)
実施例および比較例において実施した評価方法に関して、以下に説明する。
・引張特性の測定
得られたフィルムについて、引張試験機(島津製作所製:EZ-LX 1kN)を用いて、JIS K 7127に準拠して、試験片タイプ5を用い、引張速度100mm/minの条件で、フィルムのインフレーション方向(MD方向)に引張試験を行った。引張試験により得られたS-Sカーブに基づき、降伏点伸び、及び、破断伸びの算出を行った。
・引張特性の測定
得られたフィルムについて、引張試験機(島津製作所製:EZ-LX 1kN)を用いて、JIS K 7127に準拠して、試験片タイプ5を用い、引張速度100mm/minの条件で、フィルムのインフレーション方向(MD方向)に引張試験を行った。引張試験により得られたS-Sカーブに基づき、降伏点伸び、及び、破断伸びの算出を行った。
・ツイスト角度の測定
得られたフィルムを8cm角に切り出し、中央に直径2cmの球体の乾燥紙粘土を置き、TD方向を軸とする円筒状に上記乾燥紙粘土を包み、端部を540度ひねった後に30秒静置し、静置後に保持している角度を測定した。この角度が大きいほど、ツイスト包装材として適性を有する。
得られたフィルムを8cm角に切り出し、中央に直径2cmの球体の乾燥紙粘土を置き、TD方向を軸とする円筒状に上記乾燥紙粘土を包み、端部を540度ひねった後に30秒静置し、静置後に保持している角度を測定した。この角度が大きいほど、ツイスト包装材として適性を有する。
(実施例1)
表1に記載の樹脂組成となるようにP3HB3HH-1にP3HB3HH-2およびPHBH3HH-4をブレンドしたもの100重量部に対し、添加剤-1を0.5重量部配合し、二軸押出機(TEM26 東芝機械製)を用い、バレル温度150℃、スクリュー回転数100rpm、吐出量10kg/hとの条件で混練し、ダイから溶融混錬されたストランドを出し、40℃に加熱した水槽中にストランドを投入し固化させ、ペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物ペレットとした。
表1に記載の樹脂組成となるようにP3HB3HH-1にP3HB3HH-2およびPHBH3HH-4をブレンドしたもの100重量部に対し、添加剤-1を0.5重量部配合し、二軸押出機(TEM26 東芝機械製)を用い、バレル温度150℃、スクリュー回転数100rpm、吐出量10kg/hとの条件で混練し、ダイから溶融混錬されたストランドを出し、40℃に加熱した水槽中にストランドを投入し固化させ、ペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物ペレットとした。
φ50mm単軸押出機とインフレーション成形ダイ(ダイ径100mm、リップクリアランス1.0mm)を有するインフレーション成形機(北進産業株式会社製)を用いて、前記樹脂組成物ペレットを押出機に投入し、吐出量10kg/h、樹脂温度165℃、フィルムの折幅314mm(ブローアップ比2.0)、引取り速度5m/minで、厚み35μmの樹脂フィルムを取得した。取得したフィルムを50℃で1週間養生した後、引張特性、及びツイスト角度を測定した。
また、上記装置を用いて折り幅314mm、厚み35μmを維持したまま、吐出量と引取り速度を上げていき、インフレーション成形が可能であった最大の引取り速度を、最大成形速度とした。測定した結果を表1にまとめた。
(実施例2~7、比較例1)
樹脂配合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物ペレットを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1にまとめた。
樹脂配合を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物ペレットを作製し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1にまとめた。
表1より以下のことが分かる。実施例1~7で得た各樹脂フィルムは、降伏点伸びYが1%以上9%以下の範囲内にあり、破断伸びXは降伏点伸びYよりも大きな値を示し、高いツイスト角度を示した。即ち、高いツイスト包装適性を示した。また、実施例1および実施例3~7で得た樹脂フィルムは、実施例2の樹脂フィルムよりも破断伸びXが大きな値を示し、より破断しにくいものであった。
実施例1~7のフィルム成形において、最大成形速度が5m/min以上であり、生産性にも優れているものであった。
実施例1~7のフィルム成形において、最大成形速度が5m/min以上であり、生産性にも優れているものであった。
一方、比較例1の樹脂フィルムは、最大成形速度が高く、生産性が優れるものの、引張試験で降伏を示す前に破断してしまい、降伏点伸びYを測定できず、ツイスト角度測定の際にもフィルムが破断する結果となった。そのため、ツイスト包装適性を有しないものであった。
Claims (10)
- ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を含有し、
下記条件(1)及び(2)を満足する、ツイスト包装材用樹脂フィルム。
(1)1.0≦Y≦9.0
(2)Y≦X
式中、Xは、前記樹脂フィルムの破断伸び(%)を示し、Yは、前記樹脂フィルムの降伏点伸び(%)を示す。 - 前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、構成モノマーの種類及び/又は構成モノマーの含有割合が互いに異なる少なくとも2種類のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂の混合物である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体を含む、請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分が、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が1~7モル%である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(A)、及び、
他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が9モル%以上である、3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体(B)を含む、請求項3に記載の樹脂フィルム。 - 前記共重合体(B)における他のヒドロキシアルカノエート単位の含有割合が24モル%以上である、請求項4に記載の樹脂フィルム。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分中、前記共重合体(A)の割合が35重量%以上、95重量%以下で、前記共重合体(B)の割合が5重量%以上、65重量%以下である、請求項4又は5に記載の樹脂フィルム。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系樹脂成分を構成する全モノマー単位に占める前記他のヒドロキシアルカノエート単位の平均含有割合が、5~19モル%である、請求項3~6のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
- 前記他のヒドロキシアルカノエート単位が、3-ヒドロキシヘキサノエート単位である、請求項3~7のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
- 前記樹脂フィルムの厚みが10μm以上1mm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを含む、ツイスト包装材。
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