JP2022056096A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蓋の裏返し作業をスムーズに行うことができ、かつ、裏返した後の蓋の浮き上がりや型崩れも生じ難い包装袋を提供すること。【解決手段】 熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂緩衝シート或いは気泡緩衝シートから成る包装袋において、前記袋体を、底側折返し部を介して連続する第一シート部と第二シート部を重ね合わせた状態で両側縁部を帯状に熱溶着して形成する一方、裏返し蓋は、開口側折返し部を介して連続する第二シート部と第三シート部を重ね合わせた状態で両側縁部を帯状に熱溶着して形成し、更に前記各シート部の熱溶着部については、内側部位よりもシール強度の高い外側部位を形成すると共に、前記第三シート部と第二シート部の熱溶着部の内側部位を、第一シート部と第二シート部の熱溶着部の内側部位よりもシール強度が低い状態、または剥がれた状態とする構成を採用した。【選択図】 図1

Description

本発明は、裏返し蓋を開口部に備えた包装袋に関するものである。
従来、緩衝機能を有する包装資材としては、発泡樹脂緩衝シートや気泡緩衝シートが知られており、これらの緩衝シートを用いた包装袋も公知となっている。また不織布等から成る袋(例えば、お茶パック等)としては、両側縁部が熱溶着または接着された裏返し蓋を開口部に備え、この蓋を裏返して開口部を塞ぐ構造も公知となっている。
そして、従来においては、上記緩衝シートを用いた包装袋において、上記裏返し蓋を開口部に設ける技術も公知となっているが(特許文献1参照)、この技術に関しては、裏返し蓋の両側縁部を帯状にしっかりと熱溶着する構造であったため、蓋を閉じた状態で帯状の熱溶着部が蓋の内側に巻き込まれて包装袋が型崩れし易かった。
また上記従来の包装袋においては、裏返し蓋の両側縁部の近傍まで気泡緩衝シートの凸部(気泡)が配置されていたため、蓋を裏返した後に両側縁部近傍の凸部によって蓋が袋本体から浮き上がり、蓋を閉じ難くなる欠点があった。また裏返し蓋の両側が嵩張ることによって蓋の裏返し作業もスムーズに行うことが難しかった。
特開2005-239238号公報
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを目的としており、要約すると蓋の裏返し作業をスムーズに行うことができ、かつ、裏返した後の蓋の浮き上がりや型崩れも生じ難い包装袋を提供することにある。
本発明者は、上記課題の解決手段として、熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂緩衝シート或いは気泡緩衝シートから成り、袋体1の開口部の外側に裏返し蓋2が設けられた包装袋において、前記袋体1を、底側折返し部T1を介して連続する第一シート部11と第二シート部12を重ね合わせた状態で両側縁部を帯状に熱溶着して形成する一方、前記裏返し蓋2は、開口側折返し部T2を介して連続する第二シート部12と第三シート部21を重ね合わせた状態で両側縁部を帯状に熱溶着して形成し、更に前記各シート部の熱溶着部S1・S2については、内側部位Pよりもシール強度の高い外側部位Qを形成すると共に、前記第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2の内側部位Pを、第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1の内側部位Pよりもシール強度が低い状態、または剥がれた状態とする構成を採用した(詳しくは発明の効果で説明する)。
ちなみに本明細書中における「シール強度」とは、ヒートシールした部分がどの程度剥がれ難いかを数値化したものであり、JIS Z 1711等の引張り試験により熱溶着部が破断したときの強度を意味する。
また上記の袋体1及び裏返し蓋2に関しては、発泡樹脂層とこの発泡樹脂層の片面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する発泡樹脂緩衝シートを使用すると共に、第一シート部11と第二シート部12の対向面に発泡樹脂層を、また第三シート部21と第二シート部12の対向面にベースフィルム層を配置した状態で熱溶着を行うことでシール強度の調節を容易に行うことができる。
一方、上記の袋体1及び裏返し蓋2に関しては、表側に多数の凸部が形成されたキャップフィルム層と、このキャップフィルムの裏面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する気泡緩衝シートを使用することもでき、その場合には、第一シート部11と第二シート部12の対向面にキャップフィルム層を、また第三シート部21と第二シート部12の対向面にベースフィルム層を配置した状態で熱溶着することでシール強度の調節を容易に行うことができる。
また上記第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2に関しては、外側部位Qを線状に、内側部位Pを面状に形成することで、裏返し蓋2の折り返し作業を容易に行うことが可能となる。
また本発明では、上記第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1の外側部位Qのシール強度よりも、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2の外側部位Qのシール強度を大きくすることで、裏返し蓋2の繰り返し耐久性を向上できる。
本発明では、袋体の開口部に裏返し蓋を備えた包装袋において、蓋の両側の熱溶着部のシール強度を調節して、内側部位のシール強度を外側部位よりも小さくしたことにより、熱溶着部の内側部位を剥がした状態で蓋の裏返し作業を行うことができるため、蓋を閉じる際に蓋の内側に巻き込む熱溶着部の面積を小さく抑えることができる。これにより蓋を閉じた際の包装袋の型崩れを防止することができる。
また本発明では、上記のように熱溶着部の内側部位を剥がして使用することにより、蓋自体に厚みのある発泡樹脂緩衝シートや気泡緩衝シートを使用する場合でも、蓋の両側に厚みの小さい柔軟な部位を形成することができるため、蓋の裏返し作業をスムーズに行うことができるだけでなく、裏返した後の蓋の浮き上がりも防止できる。
本発明の第一実施形態の包装袋を表す全体正面図である。 本発明の第一実施形態の包装袋の断面構造を表すX-X断面図である。 本発明の第一実施形態の包装袋の断面構造を表すY-Y断面図である。 本発明の第一実施形態の包装袋を表す状態説明図である。 本発明の第二実施形態の包装袋を表す全体正面図である。 効果の実証試験の試験方法を説明するための説明図である。
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について図1~図4に基づいて説明する。なお図中、符号Bで指示するものは、包装袋であり、符号1で指示するものは、袋体である。また符号2で指示するものは、裏返し蓋である。
「包装袋の構成」
[1]包装袋の基本構成について
本実施形態の包装袋Bの基本構成について以下に説明する。本実施形態では、図1に示すように、正面視で矩形状を成す封筒型の袋体1の一辺(上辺)に開口部を形成し、この袋体1の開口部の外側に裏返し蓋2を設けて包装袋Bを構成している。また包装袋Bの材料には、熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂緩衝シートを使用し、裏返し蓋2の両側縁部を袋体1に熱溶着して構成している。
具体的には、本実施形態では発泡樹脂緩衝シートを使用して、図2及び図3に示すように、底側折返し部T1を介して連続する第一シート部11と第二シート部12を重ね合わせた状態で両側縁部を熱溶着して袋体1を構成し、開口側折返し部T2を介して連続する第二シート部12と第三シート部21を重ね合わせた状態で両側縁部を熱溶着して裏返し蓋2を構成している。
また本実施形態では、図2に示すように、上記第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1、および第二シート部12と第三シート部21の熱溶着部S2に内側部位Pよりもシール強度の高い外側部位Qを形成すると共に、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2の内側部位Pを、第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1の内側部位Pよりもシール強度が低くなるように構成した。
上記の構成により、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2の内側部位Pが剥がれ易くなっているため(使用前に剥がれた状態となっていても問題ない)、図4に示すように裏返し蓋2によって開口部を閉じる際、外側部位Qのみを内側に巻き込んだ状態で蓋を型崩れさせずに裏返すことができる。また上記第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2の内側部位Pは、熱溶着時の熱プレス加工によって潰された状態となっているため、裏返す際に柔軟で捲り易い。
また上記のように第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2の内側部位Pを潰して厚みを小さくすることで、裏返し蓋2を閉じた状態での裏返し蓋2の浮き上がりも抑えられる。また本実施形態では、第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1の内側部位Pを、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2の内側部位Pよりもシール強度が高くなるように構成しているため、袋体1の内部に物品を収容しても袋体1の両側縁部が破れ難くなっている。
[2]袋体について
[2-1]第一シート部及び第二シート部の材料
次に上記包装袋Bの各構成要素について説明する。まず上記袋体1に関しては、本実施形態では発泡樹脂層とこの発泡樹脂層の片面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する発泡樹脂緩衝シートを使用している。そして袋体1の内側(収納スペース)側に発泡樹脂層を配置して緩衝性を得られるようにしている。また袋体1の両側縁部においては、第一シート部11と第二シート部12の対向面に発泡樹脂層を配置して発泡樹脂層同士を熱溶着している。
また本実施形態では、上記発泡樹脂緩衝シートの樹脂材料として低密度ポリエチレン(LDPE)を使用しているが、熱可塑性樹脂であれば高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン等の他のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、熱可塑性エラストマー、これらの混合樹脂などを使用することもできる。また発泡樹脂緩衝シートの発泡樹脂層とベースフィルム層には同じ樹脂を使用するのが好ましいが、相溶性の高い異なる樹脂を使用することもできる。
[2-2]底側折返し部
また上記袋体1における第一シート部11と第二シート部12の底側折返し部T1に関しては、本実施形態では図3に示すように一枚の発泡樹脂緩衝シートを折り曲げて形成しているが、袋体1の両側縁部と同様、第一シート部11と第二シート部12の底辺部を熱溶着して底側折返し部T1を形成することもできる。またその場合には、第一シート部11と第二シート部12に異なる発泡樹脂緩衝シート、或いは気泡緩衝シートを使用することもできる。
[2-3]熱溶着部
また上記第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1に関しては、本実施形態では、図1に示すように矩形状の袋体1の両側縁部(開口部に隣接する二辺)に沿って帯状に形成している。そして、熱溶着部S1・S1の外側部位Qは、熱プレス加工時に大きな圧力をかけることで、内側部位Pよりもシール強度が高くなるようにしている。但し、内側部位Pについても、溶融し易い発泡樹脂層同士を熱溶着することで最低限のシール強度が得られるようにしている。
[2-4]袋体の形状
また上記袋体1の形状に関しては、本実施形態では図1に示すように正面視で縦長矩形の封筒型の形状としているが、裏返し蓋2を裏返して閉じることができる形状であれば、これに限らず横長矩形型や多角形型、底部が丸みを帯びた形状など、適宜変更することができる。また袋体1の収容した物品を外側から確認できるように、第一シート部11または第二シート部12の中央部に透明材料を使用することもできる。
[3]裏返し蓋について
[3-1]第三シート部の材料
一方、上記裏返し蓋2に関しては、本実施形態では第三シート部21に上記袋体1と同じ発泡樹脂緩衝シートを使用し、袋体1の第二シート部12と第三シート部21の対向面にそれぞれベースフィルム層を配置した状態で両側縁部を熱溶着している。これにより図4に示す裏返し蓋2を閉じた状態で、内側(袋体1側)に発泡樹脂層が配置される。
[3-2]開口側折返し部
また上記第三シート部21と第二シート部12の開口側折返し部T2に関しては、本実施形態では図3に示すように一枚の発泡樹脂緩衝シートを折り曲げて形成しているが、裏返し蓋2の両側縁部と同様、第三シート部21と第二シート部12の上辺部を熱溶着して開口側折返し部T2を形成することもできる。またその場合には、第三シート部21と第二シート部12に異なる発泡樹脂緩衝シート、或いは気泡緩衝シートを使用できる。
[3-3]熱溶着部
また上記第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2も、図1に示すように矩形状の袋体1の両側縁部に沿って帯状に形成している。また熱溶着部S1・S1の外側部位Qは、熱プレス加工時に大きな圧力をかけることで、内側部位Pよりもシール強度が高くなるようにしている。一方、熱溶着部S1・S1の内側部位Pは、溶融し難いベースフィルム層を低圧力で熱溶着することで簡単に剥がれる程度のシール強度としている。
また上記熱溶着部S2・S2の内側部位Pのシール強度としては、熱溶着部S2を含む第三シート部21と第二シート部12の引張り試験において、熱溶着部以外の部分(シート自体)が破断する強度よりも熱溶着部S2が破断する強度が小さければよく、包装袋Bのサイズや用途に応じて適宜調整できる。
また本実施形態では、第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1の外側部位Qのシール強度よりも、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2の外側部位Qのシール強度が大きくなるようにしているため、裏返し蓋1を繰り返し開閉した場合でも両側の熱溶着部S2・S2の破断が生じ難い。
なお本実施形態では、第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2の外側部位Qを引張強度の大きいベースフィルム層同士を高圧力で熱溶着することによって、引張強度の小さい発泡樹脂層同士を熱溶着した第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1の外側部位Qよりもシール強度が大きくなるようにしている。
[4]耳部について
また本実施形態では、上記第一シート部11と第二シート部12(袋体1)の熱溶着部S1・S1と、第三シート部21と第二シート部12(裏返し蓋2)の熱溶着部S2・S2を同じ幅の帯状に形成して、図1に示すように包装袋Bの両側に耳部E・Eを形成している。これにより袋体1と裏返し蓋2の各熱溶着部S1・S2を熱プレス加工で同時に形成することができる。
また上記第一シート部11と第二シート部12(袋体1)の熱溶着部S1・S1と、第三シート部21と第二シート部12(裏返し蓋2)の熱溶着部S2・S2は、外側部位Qを線状に、内側部位Pを面状に形成することで、裏返し蓋2の裏返し作業を容易に行えるようにすると共に、袋体1の両側を破れ難くしている。
「包装袋の製造方法」
[1]基本工程
次に上記包装袋Bの製造方法について説明する。まず長さ方向(包装袋Bの幅方向)に連続する発泡樹脂緩衝シートを、コンベア装置によって長辺側(包装袋Bの底辺側と上辺側)を折り曲げた状態で連続的に供給する。そして、この連続的に供給される発泡樹脂緩衝シートに対し、一定の間隔で帯状の熱プレス加工を短辺方向(包装袋Bの高さ方向)に行い、同時にカッターで溶断して個々の包装袋Bに分割する。
[2]熱溶着部のシール強度の調節
また本実施形態では、上記発泡樹脂緩衝シートの第一シート部11と第二シート部12の対向面に低密度で溶融し易い発泡樹脂層を配置し、第三シート部21と第二シート部12の対向面に発泡樹脂層よりも高密度で溶融し難いベースフィルム層を配置することでシール強度を調節している。また上記熱溶着部を溶断することで、外側部位Qにかかる圧力を大きくしてシール強度を内側部位Pよりも高めている。
[3]熱プレス加工の変更例
本実施形態では、袋体1と裏返し蓋2の熱プレス加工、及び熱溶着部の溶断加工を同時に行っているが、各加工を段階的に行うこともできる。また本実施形態では両刃型のカッターを使用しているが、段付き型などカッター刃の形状を工夫することにより内側部位Pと外側部位Qの熱プレスの圧力調整を行うこともできる。またシール強度は、熱プレスの温度、時間および圧力によって適宜調節することができる。
『第二実施形態』
[1]包装袋の基本構成について
次に本発明の第二実施形態について図5に基づいて説明する。本実施形態では、包装袋Bの袋体1及び裏返し蓋2に、表側に多数の凸部が形成されたキャップフィルム層と、このキャップフィルムの裏面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する気泡緩衝シートを使用している。そして第一シート部11と第二シート部12の対向面にキャップフィルム層を、また第三シート部21と第二シート部12の対向面にベースフィルム層を配置した状態で両側を熱溶着している。これにより、第一実施形態と同様の効果が得られる。なおその他の基本構成については、第一実施形態と同様である。
[2]袋体について
[2-1]第一シート部及び第二シート部の材料
次に包装袋Bの各構成要素について説明する。上記袋体1に関しては、本実施形態では内側(収容スペース側)にキャップフィルム層を配置して包装袋の緩衝性が得られるようにしているが、逆向きで使用することもできる。また袋体1の両側縁部においては、第一シート部11と第二シート部12の対向面にキャップフィルム層を配置して、キャップフィルム層同士を熱溶着している。
また本実施形態では、上記気泡緩衝シートの樹脂材料として低密度ポリエチレン(LDPE)を使用しているが、熱可塑性樹脂であれば高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン等の他のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、熱可塑性エラストマー、これらの混合樹脂などを使用することもできる。また発泡樹脂緩衝シートのキャップフィルム層とベースフィルム層には同じ樹脂を使用するのが好ましいが、相溶性の高い異なる樹脂を使用することもできる。
[2-2]底側折返し部
また上記袋体1における第一シート部11と第二シート部12の底側折返し部T1に関しては、本実施形態では気泡緩衝シートを折り曲げて形成しているが、袋体1の両側縁部と同様、第一シート部11と第二シート部12の底辺部を熱溶着して底側折返し部T1を形成することもできる。またその場合には、第一シート部11と第二シート部12に異なる気泡緩衝シート、或いは発泡樹脂緩衝シートを使用することもできる。
[2-3]熱溶着部
また上記第一シート部11と第二シート部12の熱溶着部S1・S1に関しては、本実施形態では、図5に示すように矩形状の袋体1の両側縁部(開口部に隣接する二辺)に沿って帯状に形成している。そして、熱溶着部S1・S1の外側部位Qは、熱プレス加工時に大きな圧力をかけることで、内側部位Pよりもシール強度が高くなるようにしている。但し、内側部位Pについても、溶融し易いキャップフィルム層同士を熱溶着することで最低限のシール強度が得られるようにしている。
[3]裏返し蓋について
[3-1]第三シート部の材料
また上記裏返し蓋2に関しては、本実施形態では第三シート部21に上記袋体1と同じ気泡緩衝シートを使用し、袋体1の第二シート部12と第三シート部21の対向面にベースフィルム層を配置した状態で両側縁部を熱溶着している。これにより裏返し蓋2を閉じた状態(図示せず)で内側(袋体1側)にキャップフィルム層が配置される。
[3-2]開口側折返し部
また上記裏返し蓋2における第三シート部21と第二シート部12の開口側折返し部T2に関しては、本実施形態では図3に示すように一枚の気泡緩衝シートを折り曲げて形成しているが、裏返し蓋2の両側縁部と同様、第三シート部21と第二シート部12の上辺部を熱溶着して開口側折返し部T2を形成することもできる。またその場合には、第三シート部21と第二シート部12に異なる気泡緩衝シート、或いは発泡樹脂シートを使用することもできる。
[3-3]熱溶着部
また上記第三シート部21と第二シート部12の熱溶着部S2・S2も、図5に示すように矩形状の袋体1の両側縁部に沿って帯状に形成している。また熱溶着部S2・S2の外側部位Qは、熱プレス加工時に大きな圧力をかけることで、内側部位Pよりもシール強度が高くなるようにしている。一方、熱溶着部S1・S1の内側部位Pは、溶融し難いベースフィルム層を低圧力で熱溶着することで簡単に剥がれる程度のシール強度としている。その他は第一実施形態と同様である。
「包装袋の製造方法」
[1]基本工程
次に上記包装袋Bの製造方法について説明する。まず長さ方向(包装袋Bの幅方向)に連続する気泡緩衝シートを、コンベア装置によって長辺側(包装袋Bの底辺側と上辺側)を折り曲げた状態で連続的に供給する。そして、この連続的に供給される気泡緩衝シートに対し、一定の間隔で帯状の熱プレス加工を短辺方向(包装袋Bの高さ方向)に行い、同時にカッターで溶断して個々の包装袋Bに分割する。
[2]熱溶着部のシール強度の調節
また本実施形態では、上記発泡樹脂緩衝シートの第一シート部11と第二シート部12の対向面に厚みが小さく溶融し易いキャップフィルム層を配置し、第三シート部21と第二シート部12の対向面にキャップフィルム層よりも厚みが大きく溶融し難いベースフィルム層を配置することでシール強度を調節している。また上記熱溶着部を溶断することで、外側部位Qにかかる圧力を大きくしてシール強度を内側部位Pよりも高めている。
[3]熱プレス加工の変更例
本実施形態では、袋体1と裏返し蓋2の熱プレス加工、及び熱溶着部の溶断加工を同時に行っているが、各加工を段階的に行うこともできる。また本実施形態では両刃型のカッターを使用しているが、段付き型などカッター刃の形状を工夫することにより内側部位Pと外側部位Qの熱プレスの圧力調整を行うこともできる。またシール強度は、熱プレスの温度、時間および圧力によって適宜調節することができる。またキャップフィルム層の熱溶着については、凸部の空気が抜けるように穿孔加工も同時に行っている。
[効果の実証試験]
次に本発明の効果の実証試験について説明する。本試験では、図5(a)に示す形態の包装袋を、第一実施形態の構成(実施例1)、第二実施形態の構成(実施例2)、第二実施形態の気泡緩衝シートの表裏の向きを変えた構成(実施例3)、第一実施形態の発泡樹脂緩衝シートを発泡樹脂層のみにした構成(比較例1)で作製し、これらの熱溶着部のシール強度の試験・評価を行った。なお包装袋の製造方法は、第一実施形態及び第二実施形態に記載されているとおりである。
<シール強度の測定試験>
本試験では、まず上記実施例1~3及び比較例1の包装袋を片側の熱溶着部(側縁部)が含まれるように切り取り、図5(b)に示す形態の試験片(幅:25mm×長さ:100mm)を作製した。そして、引張り試験機(万能試験機Instron4482)を用いて、図5(c)に示すように第一シート部と第二シート部、第二シート部と第三シート部、第一シート部と第三シート部を水平方向に外側に引っ張り、中央の熱溶着部が破断したときの強度をシール強度として測定した。
[測定結果]
その結果、第一シート部と第二シート部のシール強度は、実施例1:20.0N/25mm、実施例2:20.8N/25mm、実施例3:22.7N/25mm、比較例1:10.7N/25mmであった。また第二シート部と第三シート部のシール強度は、実施例1:22.8N/25mm、実施例2:21.1N/25mm、実施例3:22.8N/25mm、比較例1:9.1N/25mmであった。また第一シート部と第三シート部のシール強度は、実施例1:29.0N/25mm、実施例2:24.6N/25mm、実施例3:23.9N/25mm、比較例1:12.0N/25mmであった。
これにより実施例1~3の方が比較例1よりもシール強度が全体的に大きく、袋体を構成する第一シート部と第二シート部のシール強度よりも、裏返し蓋を構成する袋体を第三シート部と第二シート部のシール強度の方が大きいことが確認できた。また第一シート部と第三シート部のシール強度も大きく、外側部位でしっかりと熱溶着されていることが確認できた。
<繰り返し耐久性試験>
本試験では、まず上記実施例1~3及び比較例1の包装袋(横幅:160mm、深さ:200mm、裏返し蓋の縦幅:60mm)に対し、重さ500gの鉄板(幅:100mm×長さ:100mm)を開口部から挿入し、裏返し蓋を一旦閉じ、その後、裏返し蓋を再度裏返して鉄板を出す作業を10セット繰り返した。そして、繰り返し作業後に裏返し蓋(第三シート部と第二シート部)の両側の熱溶着部が破断して再使用できない状態のものを“×”とし、破断がなく、再使用できる状態のものは“○”と評価した。
[評価結果]
その結果、実施例1~3の評価は“〇”であり、比較例1の評価は“×”であった。これにより第三シート部と第二シート部の両側の熱溶着部は、充分な繰り返し耐久性を得られるシール強度であることが確認できた。試験結果をまとめた表を以下に示す。
Figure 2022056096000002
1 袋体
11 第一シート部
12 第二シート部
2 裏返し蓋
21 第三シート部
T 折返し部
S 熱溶着部
B 包装袋

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂緩衝シート或いは気泡緩衝シートから成り、袋体(1)の開口部の外側に裏返し蓋(2)が設けられた包装袋において、
    前記袋体(1)が、底側折返し部(T1)を介して連続する第一シート部(11)と第二シート部(12)を重ね合わせた状態で両側縁部を熱溶着して形成される一方、前記裏返し蓋(2)は、開口側折返し部(T2)を介して連続する第二シート部(12)と第三シート部(21)を重ね合わせた状態で両側縁部を熱溶着して形成されており、
    更に前記各シート部の熱溶着部(S1)(S2)においては、内側部位(P)よりもシール強度の高い外側部位(Q)が形成されると共に、前記第二シート部(12)と第三シート部(21)の熱溶着部(S2)の内側部位(P)が、第一シート部(11)と第二シート部(12)の熱溶着部(S1)の内側部位(P)よりもシール強度が低い状態、または剥がれた状態となっていることを特徴とする包装袋。
  2. 前記袋体(1)及び裏返し蓋(2)に、発泡樹脂層とこの発泡樹脂層の片面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する発泡樹脂緩衝シートが使用されると共に、第一シート部(11)と第二シート部(12)の対向面に発泡樹脂層を、また第三シート部(21)と第二シート部(12)の対向面にベースフィルム層を配置した状態で熱溶着されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
  3. 前記袋体(1)及び裏返し蓋(2)に、表側に多数の凸部が形成されたキャップフィルム層と、このキャップフィルムの裏面に熱溶着によって貼り合わされたベースフィルム層とを有する気泡緩衝シートが使用されると共に、第一シート部(11)と第二シート部(12)の対向面にキャップフィルム層を、また第三シート部(21)と第二シート部(12)の対向面にベースフィルム層を配置した状態で熱溶着されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
  4. 前記第三シート部(21)と第二シート部(12)の熱溶着部(S2)(S2)において、外側部位(Q)が線状に、内側部位(P)が面状に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の包装袋。
  5. 第一シート部(11)と第二シート部(12)の熱溶着部(S1)(S1)の外側部位(Q)のシール強度よりも、第三シート部(21)と第二シート部(12)の熱溶着部(S2)(S2)の外側部位(Q)のシール強度の方が大きいことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の包装袋。
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