JP2022056074A - 難燃性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】2段発泡を抑制し、かつ難燃性にも優れるポリウレタン発泡体を形成できる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、液状難燃剤、発泡剤、及び触媒を含み、前記ポリオール化合物のうち、少なくとも1種が臭素含有ポリオールである、難燃性ウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性ウレタン樹脂組成物に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの建築部材の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタン発泡体は、各構造物の表面に、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を含む発泡性ウレタン樹脂組成物を吹付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
ポリウレタン発泡体は、軽量であるものの、有機物であるため燃えやすい。これを改善するため、難燃性の高いポリウレタン発泡体が必要とされている。ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、ポリウレタンにイソシアヌレート環を形成させる方法が知られている。
例えば、特許文献1では、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、及び発泡剤などの種類及び量を特定し、かつイソシアネートインデックスを一定範囲として形成させたポリイソシアヌレート発泡体(ポリウレタン発泡体)についての発明が開示され、難燃性に優れることが記載されている。
特開2006-321882号公報
しかしながら、ポリウレタンにイソシアヌレート環を多く形成させたヌレート化度の高いポリウレタン発泡体は、初期発泡による発泡と、初期発泡の後に一定時間経過した後に生じる2回目の発泡との2段発泡により形成される。このような2段発泡により形成されたポリウレタン発泡体は、形状が歪になったり構造物との接着性が悪くなるなどの問題があった。一方で、ヌレート化度を低くした場合は、上記2段発泡の問題は生じないものの、難燃性が低下してしまう。
そこで、本発明は、2段発泡を抑制し、かつ難燃性に優れるポリウレタン発泡体を形成できる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、液状難燃剤、触媒、発泡剤を含み、前記ポリオール化合物が、少なくとも1種が臭素含有ポリオールである難燃性ウレタン樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の[1]~[11]を提供する。
[1]ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、液状難燃剤、発泡剤、及び触媒を含み、前記ポリオール化合物のうち、少なくとも1種が臭素含有ポリオールである、難燃性ウレタン樹脂組成物。
[2]前記臭素含有ポリオールがビスフェノールAを基本骨格とする、[1]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[3]ポリオール化合物100質量部あたり、芳香環含有ポリオールを80質量部以上含有する、[1]又は[2]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[4]イソシアネートインデックスが90~700である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[5]前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物のカールフィッシャー測定装置により測定される水分率が0.2%以上である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[6]前記臭素含有ポリオールを、ポリオール化合物100質量部あたり30質量部以上含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[7]前記触媒が三量化触媒を実質的に含まない、[1]~[6]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[8]前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物の20℃における粘度が1500mPa・s以下である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[9]吹き付け用途に用いられる、[1]~[8]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[10]無機フィラーを実質的に含まない、[1]~[9]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体。
本発明によれば2段発泡を抑制し、かつ難燃性に優れるポリウレタン発泡体を形成できる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
[難燃性ウレタン樹脂組成物]
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、液状難燃剤、触媒、発泡剤を含み、前記ポリオール化合物のうち少なくとも1種が臭素含有ポリオールである。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃性向上のため、液状難燃剤と臭素含有ポリオールとを併用している。これらを併用した場合は、ヌレート化度を高くすることなく、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させることができ、そのため2段発泡も抑制できると考えられる。
<液状難燃剤>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、液状難燃剤を含有する。これにより、難燃性ウレタン樹脂組成物により形成されるポリウレタン発泡体の難燃性が向上する。ここで、液状の難燃剤とは、23℃において液状の難燃剤である。
液体難燃剤として、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等のリン酸エステル系難燃剤が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)などが挙げられる。
液状難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは10~120質量部であり、より好ましくは20~100質量部であり、さらに好ましくは40~90質量部である。液状難燃剤の含有量がこれら下限値以上であると、ポリウレタン発泡体の難燃性が向上しやすくなる。また、臭素含有ポリオールを含むポリオール化合物を適切に希釈することができる。液状難燃剤の含有量がこれら上限値以下であると、発泡が阻害されないなどにより、ポリウレタン発泡体が製造しやすくなる。
<ポリオール化合物>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン発泡体の原料としてポリオール化合物を使用する。ポリオール化合物は、臭素含有ポリオールを含む。本発明では、臭素含有ポリオールを使用することで、形成されるポリウレタン発泡体の難燃性が良好になる。
(臭素含有ポリオール)
臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリオール、脂肪族系臭素含有ポリオールが挙げられる。本発明では、いずれか一方を使用してもよいし、両者を併用してもよいが、臭素含有ポリオールは、難燃性を向上させる観点から、芳香族系臭素含有ポリオールを含有することが好ましい。芳香族系臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリエステルポリオール、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを挙げることができ、これらの中では、発泡性の観点から、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールが好ましい。
また、臭素含有ポリオールは、ビスフェノールAを基本骨格に有するポリオールも好ましく、例えばテトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有ビスフェノールAを基本骨格に有するポリオールがより好ましい。ビスフェノールAを基本骨格に有するポリオールは、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールがより好ましい。
芳香族系臭素含有ポリエステルポリオールとしては、例えばテトラブロモフタル酸などの臭素含有多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応で得られるものを使用できる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは1種単独、或いは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有多価アルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種または2種以上を付加重合して得られるものなどが使用できる。臭素含有ポリエーテルポリオールを用いる場合、特に、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系臭素含有ポリオールとしては、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオール、脂肪族系臭素含有ポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらの中では、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリオール化合物として臭素含有ポリオールが用いられることで、ラジカルトラップ効果による延焼抑制効果が発揮され、発泡体の難燃性や燃え拡がりにくさが向上する。また、この効果をより効率的に発揮させるためには、難燃性ウレタン樹脂組成物中に、臭素含有ポリオールをより均一に分散させることが好適である。そのため、臭素含有ポリオールを他の原料と混合する際、リン酸エステル系難燃剤などと臭素含有ポリオールを予め混合して粘度の調整をしてもよい。臭素含有ポリオールの粘度の調整がなされることで臭素含有ポリオールを他の原料とより容易に混合させることができる。
臭素含有ポリオールの含有量は、難燃性及び燃え拡がりにくさを向上させる観点から、ポリオール化合物100質量部あたり、30質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましい。臭素含有ポリオールの含有量は、上限に関して特に限定されず、ポリオール化合物100質量部に対して、100質量部以下であればよいが、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。臭素含有ポリオールの含有量を前記数値とすることにより、他のポリオール化合物を配合することができ、様々な性能を改善しやすくなる。
臭素含有ポリオールの水酸基価は、100~600mgKOH/gであることが好ましく、110~450mgKOH/gであることがより好ましく、110~200mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。本発明では、臭素含有ポリオールの水酸基価を低くすることで、収縮を抑制しやすくなり、さらには、発泡体の強度などを向上させやすくなる。
(その他のポリオール化合物)
本発明に用いるポリオール化合物は、上記の臭素含有ポリオール単独で使用してもよいが、臭素含有ポリオール以外のポリオール(臭素不含有ポリオール)を使用してもよい。
臭素不含有ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらの中では、ポリエステルポリオールが好ましく、難燃性の観点から、芳香族ポリエステルポリオール、すなわち、臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールがさらに好ましい。
また、ポリエーテルポリオールは、難燃性の観点から、臭素不含有の芳香族ポリエーテルポリオールが好ましく、臭素不含有ポリオールとして、臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールと臭素不含有の芳香族系ポリエーテルポリオールを併用することも好ましい。
臭素不含有のポリエステルポリオールは、芳香環を有するポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオールなどが挙げられるが、上記の通り芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。
臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性、及び燃え拡がらない性能を高める観点から、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがさらに好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~400mgKOH/gであることが好ましく、150~350mgKOH/gであることがより好ましい。
ポリオール化合物が臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、難燃性ウレタン樹脂組成物中のポリオール化合物100質量部に対して、10~70質量部であることが好ましく、15~65質量部であることがより好ましい。
臭素不含有のポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールであり、開始剤に臭素を含有しない。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、シュクロース類、ソルビトール類などの高官能類)、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、マンニッヒ縮合物など)などが挙げられる。
これらのうち、芳香環を有する開始剤を用いて製造したポリエーテルポリオールが、芳香環を有するポリエーテルポリオールであり、例えば芳香族アミンを開始剤として用いて製造したポリエーテルポリオールは、芳香環を有するポリエーテルポリオールである。芳香環を有するポリエーテルポリオールの中でも、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオールなどを好適に使用することができる。
トリレンジアミン系ポリエーテルポリオールとは、開始剤としてトリレンジアミンを用いて製造したトリレンジアミン系ポリエーテルポリオールである。
上記マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子内に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物に、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールである。より具体的には、フェノール及びそのアルキル置換誘導体の少なくともいずれか、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られたマンニッヒ縮合物、又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、200~2000mgKOH/gであることが好ましく、300~1000mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、該組成物から形成されるポリウレタン発泡体の難燃性を向上させる観点から、芳香環含有ポリオールを、ポリオール化合物100質量部あたり80質量部以上含有することが好ましく、90質量部以上含有することがより好ましい。なお、芳香族含有ポリオールの含有量は、上記した臭素含有ポリオールと臭素非含有ポリオールに含有される芳香族含有ポリオールの合計量である。
<ポリイソシアネート化合物>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。また、イソポリシアネート化合物内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、好ましくは700以下であり、より好ましくは500以下であり、さらに好ましくは300以下であり、よりさらに好ましくは250以下である。イソシアネートインデックスがこれら上限値以下であると、余剰イソシアネートが減少し、発泡がスムースに進行する。それゆえ、2段発泡を抑えることができる。
また、難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、ポリウレタン発泡体を適切に形成させる観点から、90以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、105以上であることがさらに好ましい。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
<触媒>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、触媒を含有する。触媒は、例えばウレタン化触媒、三量化触媒が挙げられる。三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。そのため、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、2段発泡を抑制する観点から、三量化触媒を実質的に含まないことが好ましい。ここで、三量化触媒を実質的に含まないとは、ポリオール化合物100質量部に対して、三量化触媒の含有量が3質量部以下であることを意味する。ポリオール化合物100質量部に対する、三量化触媒の含有量は2質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0質量部であることがさらに好ましい。このような観点から、本発明における触媒は、ウレタン化触媒のみにより構成されることが好ましい。
ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。具体的には、アミノ化合物、錫化合物、ビスマス化合物、アセチルアセトン金属塩が挙げられる。
前記アミノ化合物としては、例えば、1-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などのイミダゾール系化合物、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、グアニジン誘導体、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等、またはそれらの酸ブロック体が挙げられる。
アミノ化合物としては、イミダゾール系化合物が好ましいが、イミダゾール系化合物とイミダゾール系化合物以外の3級アミン化合物を併用することも好ましい。3級アミン化合物としては、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンなどが好ましい。
また、錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)-ヘキサヒドロ-S-トリアジン等のトリアジン類、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、触媒の量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.5~20質量部が好ましく、1~15質量部がより好ましく、2~12質量部がさらに好ましい。
<発泡剤>
発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH22、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン))、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
上記した中でも、発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、水などが好ましく、ハイドロフルオロオレフィン及び水を併用することが好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡体の密度を所望の範囲に調整する観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~80質量部であり、より好ましくは10~65質量部であり、さらに好ましくは25~55質量部である。
発泡剤として使用するハイドロフルオロオレフィンの量は、ポリウレタン発泡体の密度を所望の範囲とする観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~80質量部であり、より好ましくは10~60質量部であり、さらに好ましくは23~50質量部である。
発泡剤として使用する水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、好ましくは0.5~15質量部であり、より好ましくは1~12質量部であり、さらに好ましくは2~10質量部である。
<整泡剤>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤としては、例えば、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤が挙げられるが、シリコーン成分がなくとも分子内に極性部分と非極性部分を有するような構造をもっていれば界面活性効果が得られるため、上記種類に捕らわれることはない。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~8質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、固体難燃剤等の無機フィラーを含有してもよいが、無機フィラーを実質的に含有しないことも好ましい。無機フィラーを実質的に含有しないことにより、保管時に沈殿物が生じ難く、分離などの貯蔵安定性に優れ、かつ使用時に用いる機具類の摩耗を抑制する難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
ここで、無機フィラーを実質的に含有しないとは、難燃性ウレタン樹脂組成物全量基準において、無機フィラーの含有量が、5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることを意味する。
無機フィラーは、常温、常圧において、ポリオール化合物、ポリイソシアネートに溶解しない成分であり、例えば後述するポリオール組成物において粉体として存在する成分である。なお、無機フィラーには、上記した触媒は包含されない。
無機フィラーは、粒子状の無機系の化合物であり、固体難燃剤、固体難燃剤以外の無機充填剤等が例示される。固体難燃剤は、23℃において固体状の難燃剤であり、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等のアンチモン含有難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ素含有難燃剤、ホスフィン酸系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、赤燐などが挙げられる。
また、固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
難燃性ウレタン樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、その他添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、1液型でもよいが、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応して硬化するため、その粘度は時間と共に変化する。そこで該組成物を使用する前は、該組成物を二以上に分割して、該組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして該組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた該組成物を混合することが好ましい。具体的には、ポリオール化合物を含むポリオール組成物と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物に分割する2液型が好ましい。なお、本明細書でいう難燃性ウレタン樹脂組成物には、2液型の場合など2以上に分割されている場合には、2以上に分割されたものも包含するものとする。
また、上記した、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤は、ポリオール化合物に混合させてもよいし、ポリイソシアネートに混合させてもよいが、保管安定性などの観点から、ポリオール化合物に混合し、ポリオール組成物とすることが好ましい。すなわち、難燃性ウレタン樹脂組成物において、ポリオール組成物は、ポリオール化合物、液状難燃剤、触媒、及び発泡剤を含有するとよい。また、難燃性ウレタン樹脂組成物が整泡剤や、その他添加剤を含有する場合、これらもポリオール組成物に含有させるとよい。
なお、該組成物を構成するポリオール組成物は、該組成物からポリウレタン発泡体を形成する際、混練しやすくする観点から、粘度が1500mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましい。また、粘度は、例えば50mPa・s以上である。ポリオール組成物の粘度は、20℃における粘度であり、後述の実施例に記載の方法により、測定することができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物は、該組成物の発泡性を良好にする観点から、カールフィッシャー装置で測定したときの水分率が0.2%以上となることが好ましく、0.5%以上がより好ましい。また、水分率は、発泡性や難燃性などの観点から、6%以下が好ましく、4%以下がより好ましい。
[ポリウレタン発泡体]
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体は、上記した難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、難燃性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
<ヌレート化度>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、発泡時にイソシアヌレート環が形成されにくく、2段発泡を抑制し易くなる。そのため、本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体は、ヌレート化度の低いものとなる。
ポリウレタン発泡体のヌレート化度は、好ましくは1.2以下であり、より好ましくは0.9以下である。
ヌレート化度は、ポリウレタン発泡体について赤外線吸収スペクトルを測定し、1900~2000cm-1の平均強度をゼロに合わせた時の1500~1520cm-1の最大ピーク強度Iaに対する、1900~2000cm-1の平均強度をゼロに合わせた時の1390~1430cm-1の最大ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)である。赤外線吸収スペクトルの測定は、ポリウレタン発泡体の表層から5mm~10mmの深さ部分を対象にATR法(全反射測定法)により行う。
ここで、赤外吸収スペクトルにおける強度とは、赤外線吸収強度を意味する。また、赤外線吸収スペクトルにおいて、1400cm-1の吸収はイソシアヌレート結合に由来する吸収であり、1510cm-1の吸収は、ウレタン結合に由来する吸収である。
<密度>
ポリウレタン発泡体の密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ポリウレタン発泡体が軽量となり、構造物への施工性が高まる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性を発現しやすくなる。これら観点から、ポリウレタン発泡体の密度は、20~100kg/mの範囲であることがより好ましく、23~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ポリウレタン発泡体の密度は、JIS K7222に準拠して測定できる。
<熱鋼球評価>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離が10mm以下であることが好ましい。鋼球の沈み込み距離が10mm以下であることにより、ポリウレタン発泡体が、火災などに晒された場合に燃え拡がりにくく、延焼を有効に防止することができる。
なお、熱鋼球評価は、実施例に記載する手順により実施するとよい。
上記熱鋼球評価における鋼球沈み込み距離は、難燃性ウレタン樹脂組成物に含有されるポリオール化合物の種類、難燃剤や水の含有量、触媒の種類や含有量、イソシアネートインデックスなどを調整することによって、所望の値に調節することができる。
上記熱鋼球評価において、試験体には、鋼球の沈み込みにより、試験体の上面から内部に渡って空洞が形成される。鋼球の沈み込み距離は、試験体の上面に対して垂直方向の空洞の最大距離を意味する。なお、熱による変色があるものの形状を保持している部分については、前記沈み込み距離の測定対象にはしないものとする。
また、上記した、難燃性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体の、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離は、難燃性ウレタン樹脂組成物から実施例にて記載する条件でポリウレタン発泡体を作製し、そのポリウレタン発泡体に対して測定した測定値を採用する。
本発明の発泡体は、特に限定されないが、例えば2液型の難燃性ウレタン樹脂組成物などのように2以上に分割される場合には、例えば、予め各成分を混合して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物などの2以上に分割されたものを作製しておき、それらを混合して、発泡させることで得ることができる。各成分の混合及び発泡は、公知の方法により行うことができる。例えば高圧発泡機、低圧発泡機、吹き付け発泡機、ハンドミキサーなど公知の装置を用いて得ることができる。また、1液型の場合には、難燃性ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混合して得た難燃性ウレタン樹脂組成物を公知の方法で発泡させる方法が挙げられる。
<用途>
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物、及び上記したポリウレタン発泡体の用途は、特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、即ち、吹き付け用途に用いられることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。また原液温度設定・圧力等は一般的なウレタンフォームの吹き付け条件が適応できる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
<ポリオール化合物>
(i)芳香族ポリエステルポリオール
・p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成社製、製品名:RFK-505、水酸基価=250mgKOH/g)
(ii)含臭素芳香族ポリエーテルポリオール(リン酸エステルA含有):万華化学社製、製品名:FR-130、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系の臭素含有ポリエーテルポリオール、臭素系ポリオール成分が70質量%、液状のリン酸エステルA成分が30質量%の比率で含まれる混合液、水酸基価110mgKOH/g
(iii)芳香族ポリエーテルポリオール
・マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(第一工業製薬社製、製品名:DK3776S、水酸基価=350mgKOH/g)
<液状難燃剤>
・リン酸エステル系難燃剤 トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
<整泡剤>
・シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH-193)
<触媒>
(i)ウレタン化触媒
・アミノ化合物1 N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、(エアプロダクツ社製、製品名「PC-8」)
・アミノ化合物2 1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名「カオライザー No.390」)
・ビスマス化合物 2-エチルヘキサン酸ビスマス(日東化成社製、製品名:Bi28)
(ii)三量化触媒
・アルカリ金属塩 2-エチルヘキサン酸カリウム(東栄化工社製、製品名:ヘキソエートカリウム15%)
<発泡剤>
・水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル製、製品名:ソルスティスLBA)
<ポリイソシアネート化合物>
・MDI(住化コベストロウレタン(株)製、製品名:44V-20)
以下の方法により、測定及び評価を行った。
[ポリオール組成物の粘度]
ポリオール組成物の粘度を、25℃にてB型粘度計により測定した。
〇:粘度が1500mPa・s以下である
×:粘度が1500mPa・sを超える
[水分率]
ポリオール組成物をカールフィッシャー水分測定装置(京都電子工業社製、製品名:MKV-710)により測定した。
[ヌレート化度]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体についてヌレート化度を測定した。ヌレート化度の測定は、明細書記載の方法により、赤外分光光度計(サーモフィッシャー サイエンティフィック社製「Nicolet is5」)を使用して行った。
[熱鋼球評価]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体について、以下(1)~(3)の手順で、鋼球の沈み込み距離及び溶融直径距離を測定した。
(1)ポリウレタン発泡体を、各辺の寸法が100mm×100mm×60mmである直方体に切り出し、試験体とする。
(2)800℃に温度設定した電気炉内に、直径10.0mm、重量4.15gの鋼球を入れ、鋼球全体が均一に加熱され、赤色に変化するまで、10分以上放置し、鋼球温度を800℃とした。なお鋼球は新品のものを用いた。
(3)23℃雰囲気下にて、上記(2)で加熱した鋼球を直ちに、上記(1)の試験体の上部の中心に載せて、鋼球の沈み込みが完了するまで放置する。次いで、十分に冷却された試験体の断面を裁断して、鋼球の沈み込み距離を測定する。
なお、本熱鋼球評価において、鋼球を加熱した後、試験体上に載せるまでの時間は1秒以内である。また鋼球としては、SUS304製の鋼球を使用する。
また、電気炉に関しては、例えば、炉内寸法120mm×150mm×100mmの小型プログラム電気炉(製品名:MMF-1、アズワン社製)を使用した。
以上の手順にて得られた鋼球の沈み込み距離から、下記のとおり、燃え拡がらない性質の良し悪しを判断した。
≪熱鋼球評価基準≫
・鋼球の沈み込み距離
〇・・鋼球の沈み込み距離が10mm以下
×・・上記〇以外の場合
[UL94規格による燃焼評価]
各実施例、比較例で作製したポリウレタン発泡体を切り出して、125mm×13mm×13mmのサイズの測定試料とし、UL94規格に従って燃焼試験を行った。なお、難燃性の等級は、難燃性が高いものから順に、V-0、V-1、V-2で表される。燃焼試験を5回行い、5回全てにおいてV-0の等級を満足したものを「〇」、1回でもV-0の等級を満たさなかったものを「×」として評価した。
[発泡挙動]
発泡挙動は目視により判断した。クリームタイムから発泡が停止する時間(ライズタイム)までの間に、スムースに発泡が進行したものを○、発泡速度に急激な変化が見られたもの(2段発泡)を×とした。また上記評価法以外にも、ライズカーブを用いて評価することができる。ライズカーブは横軸をポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを混合してからの時間、縦軸を発泡体の発泡高さとして得たグラフである。ライズカーブを評価する装置として、例えばFORMAT社製の「FOAMAT」が挙げられる。スムースな発泡をするものはライズカーブが放物線上となるが、2段発泡するものは一度発泡高さが停滞した後に、再度発泡が開始し高さ変化が起こる。
[実施例1~3、比較例1~2]
表1の配合に従い、ポリオール組成物を構成する各成分を1000mLポリプロピレンビーカーに計りとり、20℃、10秒間ハンドミキサーで攪拌しポリオール組成物を作製した。その後10℃に冷却した該ポリオール組成物に対して同じく10℃に温調したポリイソシアネートを加えて難燃性ウレタン樹脂組成物とし、該組成物をラボディスパーで3秒間攪拌し、ポリウレタン発泡体を作製した。該ポリウレタン発泡体を用いて、上記した熱鋼球評価および燃焼評価を行った。
得られたポリウレタン発泡体を用いて、上記した各評価を実施した。各項目の評価結果を表1に示した。
Figure 2022056074000001
なお、各触媒の質量部は製品としての質量部である。
製品名の括弧内の数値は、水酸基価(mgKOH/g)である。
FR-130は、ポリオール化合物とリン酸エステルの混合液であるため、FR-130に含有されるポリオール化合物及びリン酸エステルそれぞれの質量部を示し、製品としての質量部は括弧内に示した。
以上のとおり、本発明の要件を満足する各実施例の難燃性ウレタン樹脂組成物は、2段発泡することなくポリウレタン発泡体を形成し、かつポリウレタン発泡体の難燃性も優れていた。一方、本発明の要件を満足しない比較例では、発泡時に2段発泡が生じるか、あるいはポリウレタン発泡体の難燃性が劣るものとなった。

Claims (11)

  1. ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、液状難燃剤、発泡剤、及び触媒を含み、前記ポリオール化合物のうち、少なくとも1種が臭素含有ポリオールである、難燃性ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記臭素含有ポリオールがビスフェノールAを基本骨格とする、請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  3. ポリオール化合物100質量部あたり、芳香環含有ポリオールを80質量部以上含有する、請求項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  4. イソシアネートインデックスが90~700である、請求項1~3のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物のカールフィッシャー測定装置により測定される水分率が0.2%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  6. 前記臭素含有ポリオールを、ポリオール化合物100質量部あたり30質量部以上含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  7. 前記触媒が三量化触媒を実質的に含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物の20℃における粘度が1500mPa・s以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  9. 吹き付け用途に用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  10. 無機フィラーを実質的に含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体。

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