JP2022095488A - 発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】火災が生じたときなどに、燃え広がり難い性質を備え、かつ煙を発生し難い性質を備えるポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体を提供する。【解決手段】ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、前記発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量が500m2/m2以下である、発泡性ウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの断熱や結露防止に実用されている。 ポリウレタン発泡体は、軽量であるものの、有機物であるため燃えやすい。これを改善するため、難燃剤などをポリウレタン発泡体に含有させ、難燃性を高めたポリウレタン発泡体が用いられている。例えば、特許文献1では、ポリリン酸アンモニウム、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して5~150重量部の範囲のポリリン酸アンモニウム及び0.001~15重量部の範囲のウレア誘導体が用いられることで得られることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォームが記載されている。
特開2015-151524号公報
近年、断熱材として建築物に用いられるポリウレタン発泡体に起因する火災が比較的多く報告されている。このような問題を改善するため、優れた難燃性を有するのみならず、出火した際に、燃え広がり難い性質を備えるポリウレタン発泡体の開発が期待されている。また、火災が発生した際にポリウレタン発泡体が燃焼した場合、黒煙等の有色煙が発生し、避難者の視界を遮ったり、呼吸困難を生じさせたりすることで避難が困難になることから煙を発生し難い性質を備えるポリウレタン発泡体の開発が期待されている。
そこで本発明は、火災が生じたときなどに、燃え広がり難い性質を備え、かつ煙を発生し難い性質を備えるポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、ISO-5660の試験方法に準拠したコーンカロリー試験をしたときの総発煙量(TSR:Total Smoke Release)が特定の値を示す発泡性ウレタン樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1]ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、前記発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量が500m/m以下である、発泡性ウレタン樹脂組成物。
[2]前記触媒が三量化触媒を含有する、[1]に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[3]前記ポリオール化合物が、芳香族ポリエステルポリオールを含み、前記芳香族ポリエステルポリオールの含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して50質量部以上である、[1]又は[2]に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[4]前記発泡性ウレタン樹脂組成物は、実質的に無機フィラーを含有しない、[1]~[3]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[5]前記発泡性ウレタン樹脂組成物は、無機フィラーを含有し、前記無機フィラーが臭素系難燃剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[6]イソシアネートインデックスが130~600である、[1]~[5]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[7]吹き付け用途に用いられる、[1]~[6]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[8]前記触媒がビスマス化合物を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡させてなるポリウレタン発泡体。
本発明によれば、火災が生じたときなどに、燃え広がり難い性質を備え、かつ煙を発生し難い性質を備えるポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体を提供することができる。
[発泡性ウレタン樹脂組成物]
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む。
以下に、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物の組成及び性状について説明する。
(ポリオール化合物)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリオール化合物は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、臭素含有ポリオールが好ましい。中でも、得られるポリウレタン発泡体の難燃性などを高め、かつ総発煙量を低くして、火災が発生した際の煙の発生を抑える観点から、後述するように、芳香族ポリエステルポリオールが好ましく、フタル酸系ポリエステルポリオールがより好ましい。また、フタル酸系ポリエステルポリオールなどの芳香族ポリエステルポリオールは、ポリオール化合物として単独で使用することも好ましいが、後述する通り、ポリエーテルポリオールなどの他のポリオール化合物と併用してもよい。
<ポリエーテルポリオール>
ポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、シュクロース類、ソルビトール類などの高官能類)、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、マンニッヒ縮合物など)などが挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、ウレタン発泡時に注入時における成型性や吹付け時における施工性を高める観点から、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールが好ましい。これらポリエーテルポリオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記した中でも、少なくともマンニッヒ系ポリエーテルポリオールを使用することがより好ましく、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール及びエチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの両方を使用することがさらに好ましい。
これらポリエーテルポリオールは、成型性と難燃性を両立する観点、及び後述する総発煙量を低くして低煙性を高める観点から、後述する芳香族ポリエステルポリオールと併用することが好ましい。ポリエーテルポリオールの含有量は、成型性、難燃性、低煙性を高める観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~40質量部であることがより好ましい。本発明のポリオール化合物は、このような観点から、本発明の一態様において、ポリエーテルポリオールと後述するフタル酸系ポリエステルポリオールとを含むことがより好ましい。フタル酸系ポリエステルポリオールの種類、含有量などは後述する。
なお、上記トリレンジアミン系ポリエーテルポリオールとは、開始剤としてトリレンジアミンを用いて得られたポリエーテルポリオールのことである。シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールも同様である。
上記マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子内に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物に、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールである。より具体的には、フェノール及びそのアルキル置換誘導体の少なくともいずれか、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られたマンニッヒ縮合物、又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、200~1,000mgKOH/gであることが好ましく、250~800mgKOH/gであることがより好ましく、300~500mgKOH/gがさらに好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステルポリオールなどが挙げられるが、得られるポリウレタン発泡体の難燃性を考慮した場合、芳香族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高めて、上記した鋼球沈み込み距離の値を小さくし、燃え広がらない性能を高める観点、総発煙量を抑えて低煙性を確保する観点から、ポリオール化合物は、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことが好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
芳香族ポリエステルポリオールの含有量は、成型性、難燃性、低煙性を高める観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは90質量部以上、よりさらに好ましくは100質量部である。
なお、上記のとおり、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸系ポリエステルポリオールが好ましく、したがって、フタル酸系ポリエステルポリオールの含有量が上記範囲内である態様がより好ましい。
ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~400mgKOH/gであることが好ましく、150~350mgKOH/gであることがより好ましく、170~280mgKOH/gがさらに好ましい。
<臭素含有ポリオール>
臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリオール、脂肪族系臭素含有ポリオールが挙げられる。本発明では、いずれか一方を使用してもよいし、両者を併用してもよい。臭素含有ポリオールは、難燃性を向上させる観点から、芳香族系臭素含有ポリオールを含有することが好ましい。芳香族系臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリエステルポリオール、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを挙げることができる。
芳香族系臭素含有ポリエステルポリオールとしては、例えばテトラブロモフタル酸などの臭素含有多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応で得られるものが使用できる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは1種単独、或いは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有多価アルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種または2種以上を付加重合して得られるものなどが使用できる。臭素含有ポリエーテルポリオール用いる場合、特に、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系臭素含有ポリオールとしては、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオール、脂肪族系臭素含有ポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらの中では、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオールが好ましい。
臭素含有ポリオールの含有量は、難燃性及び燃え拡がりにくさを向上させる観点や加熱時の膨張変形を抑制するといった観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、14~100質量部であることが好ましく、20~90質量部であることがより好ましい。
臭素含有ポリオールの水酸基価は、100~600mgKOH/gであることが好ましく、110~450mgKOH/gであることがより好ましく、110~350mgKOH/gであることがさらに好ましい。
(ポリイソシアネート化合物)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中では、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性、及びコストの低さの観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることがより好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)でもよい。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。また、ポリイソシアネート内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。
《イソシアネートインデックス》
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスの範囲は、好ましくは130~600であり、より好ましくは150~550であり、さらに好ましくは230~500である。イソシアネートインデックスがこのような範囲であると、ヌレート化率が高くなり、難燃性、燃え広がりにくさを向上させやすくなり、かつ総発煙量を抑えて火災が発生したときの煙の発生も抑制しやすくなる。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56,100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
(難燃剤)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、難燃剤を含有する。本発明で使用する難燃剤は、リン酸エステル系難燃剤を含むことが好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物は、リン酸エステル系難燃剤を含有することで、難燃剤が向上する。
また、リン酸エステル系難燃剤は、液状の難燃剤であることが好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物は、液状のリン酸エステル系難燃剤を含有することで、固体難燃剤の使用量を抑えることができる。そのため、該組成物の貯蔵安定性が良好になり、保管時に沈殿物が生じにくくなり、さらには、該組成物の使用時に用いる機具類の摩耗を抑制できる。さらには、高い難燃性を確保しつつ、火災が生じたときに煙が発生しにくくなる。
また、該組成物の使用時に用いる機具類の摩耗を十分抑制することができなくなる。なお、ここで室温とは23℃を意味することとする。
<リン酸エステル系難燃剤>
本発明で使用するリン酸エステル系難燃剤としては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)(商品名ADEKA PFR)等が挙げられる。
上記した中では、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等の塩素原子を有するモノリン酸エステルがより好ましい。液状難燃剤として、塩素原子を有するリン酸エステルを使用すると、難燃性を向上させやすくなる。
リン酸エステル系難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、10~120質量部が好ましく、15~100質量部がより好ましく、30~80質量部がさらに好ましく、35~70質量部がよりさらに好ましい。リン酸エステル系難燃剤の含有量を上記範囲内とすることで、総発煙量を低くして煙の発生を抑制しつつも、難燃性を高めることができる。
<固体難燃剤>
本発明で使用する難燃剤は、上記したリン酸エステル系難燃剤以外にも、固体難燃剤を有してもよい。固体難燃剤は、発泡性ウレタン樹脂組成物において固体分として含まれるものであり、一般的に粒状、粉状として存在する成分である。固体難燃剤は、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体であり、かつ発泡性ウレタン樹脂組成物において溶解しない成分であればよい。
固体難燃剤としては、臭素系難燃剤、ホウ素系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホスフィン酸系難燃剤、膨張黒鉛、金属水酸化物系難燃剤、赤燐、及び針状フィラー等が好ましい。これらの中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を向上させ、かつ総発煙量を抑えて低煙性を向上させる観点から、臭素系難燃剤が好ましい。
《臭素系難燃剤》
臭素系難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、等のモノマー系有機臭素化合物、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、架橋または非架橋臭素化ポリ(α-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。これらの中でも、モノマー系有機臭素化合物が好ましく、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、ヘキサブロモベンゼン等がより好ましい。
臭素系難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《ホウ素系難燃剤》
ホウ素系難燃剤としては、具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。中でも、ホウ酸亜鉛が好ましい。
ホウ素系難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《リン酸塩含有難燃剤》
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、リン酸と、周期律表IA族~IVB族の金属、
アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合
物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
リン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙
げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。また前記芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆
する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよい。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水
素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、
リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウ
ム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リ
ン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカ
リウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウ
ム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、
リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一
水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネ
シウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三
カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜
リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
ポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
リン酸塩含有燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《アンチモン含有難燃剤》
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられ
る。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム
等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、
ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することがで
きる。またより難燃性を向上させるには前述した臭素系難燃剤との併用が好ましい。
アンチモン含有難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《ホスフィン酸系難燃剤》
ホスフィン酸系難燃剤としては、例えば、ホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
ホスフィン酸系難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《膨張黒鉛》
膨張黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた膨張黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
膨張黒鉛の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、20~150質量部が好ましく、30~120質量部がより好ましく、40~100質量部がさらに好ましい。
《金属水酸化物系難燃剤》
金属水酸化物系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物系難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することもできる。
金属水酸化物難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、10~60質量部がより好ましく、15~40質量部がさらに好ましい。
《赤燐》
赤燐としては、赤燐単体からなるものであってもよいし、赤燐に、樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを混合したり、被覆したりしたものであってもよい。
赤燐の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましく、10~40質量部がさらに好ましい。
《針状フィラー》
針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
これらの針状フィラーは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
針状フィラーの含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、20~100質量部が好ましく、30~90質量部がより好ましく、40~80質量部がさらに好ましい。
固体難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。固体難燃剤の含有量がこれら下限値以上であると、ポリオール組成物中のポリオール化合物の濃度が低下するため、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを上記の通り一定の容量比で混合した場合などにおいて、イソシアネートインデックスが高まりやすく、そのため得られるポリウレタン発泡体の難燃性が向上する。また、固体難燃剤を使用した場合には、該固体難燃剤自体の機能により、難燃性を向上させることができる。
固体難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。固体難燃剤の含有量がこれら上限値以下であると、吹き付け装置の詰まりなどが抑制され、吹き付け性を向上させることができる。
(発泡剤)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含有する。発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH22、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4、-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
本発明においては、発泡剤は水を含むことが好ましく、より詳細には、上記した低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、及びハイドロフルオロオレフィンから選択される少なくともいずれかの化合物と水を併用した発泡剤が好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であるさらに好ましく、そして2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.1質量部以下であることがさらに好ましい。水の含有量がこれら下限値以上であると、発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡させやすくなる。また、水の含有量がこれら上限値以下であると、難燃性を良好にし、総発煙量を抑えて低煙性を確保しつつ燃え広がり難い性質を確保しやすくなる。
本発明においては、発泡剤はハイドロフルオロオレフィンを含有することが好ましく、ハイドロフルオロオレフィンと上記した水とを共に含有することがより好ましい。ポリオール化合物100質量部に対するハイドロフルオロオレフィンの量は、10~60質量部が好ましく、15~55質量部がより好ましく、20~50質量部がさらに好ましく、28~40質量部がよりさらに好ましい。
(触媒)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、触媒を含有する。触媒は、例えばウレタン化触媒及び三量化触媒の一方又は両方を含有してもよく、両方を含有することが好ましい。
なお、発泡性ウレタン樹脂組成物に含まれる触媒は、本発明における無機フィラーに該当しないものとする。
ウレタン化触媒は、ポリオール成分とポリイソシアネートとの反応を促進させる触媒である。具体的には、ビスマス化合物、アミノ化合物、錫化合物、アセチルアセトン金属塩が挙げられる。中でも、吹き付け用途に使用する際に、難燃性や貯蔵安定性を低下させず初期活性を高める観点から、ビスマス化合物が好ましい。
ビスマス化合物としては、2-エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
アミノ化合物としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等が挙げられる。アミノ化合物としてはイミダゾール化合物が好ましい。
錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
ウレタン化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
発泡性ウレタン樹脂組成物におけるウレタン化触媒の配合量に特に限定はないが、ポリオール化合物100質量部に対して、1~25質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2~15質量部の範囲であることが更に好ましい。上記範囲内とすることで、適度な反応速度で、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進できる。
また、ウレタン化触媒としては、上記の通りビスマス化合物を使用することが好ましいが、ビスマス化合物の配合量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.05~13質量部の範囲であることが好ましく、0.08~10質量部の範囲であることがより好ましく、0.1~8質量部の範囲であることが更に好ましい。
また、ビスマス化合物は、イミダゾール化合物と併用することも好ましい。ビスマス化合物とイミダゾール化合物を併用する場合は、イミダゾール化合物の配合量は、ポリオール化合物100質量部に対して、1~12質量部の範囲であることが好ましく、1.5~10質量部の範囲であることがより好ましく、2~7質量部の範囲であることが更に好ましい。
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。ポリウレタン樹脂は、三量化が促進されることで、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。これらの中では、4級アンモニウム塩が好ましい。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
三量化触媒の配合量は特に限定されないが,ポリオール化合物100質量部に対して、0.5~13質量部の範囲であることが好ましく、1~10質量部の範囲であることがより好ましく、1.5~8質量部の範囲であることが更に好ましい。三量化触媒の量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
また、触媒の合計量は、ウレタンの硬化速度や難燃性を向上させる観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、1~38質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましく、3~23質量部がさらに好ましい。
(無機フィラー)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、上記した固体難燃剤等の無機フィラーを含有してもよいが、無機フィラーを実質的に含有しないことも好ましい。無機フィラーを実質的に含有しないことにより、保管時に沈殿物が生じ難く、使用前に再攪拌などをする必要がない。また、吹き付け用途に使用時に用いる機具類の摩耗を抑制することができる。
ここで、無機フィラーを実質的に含有しないとは、発泡性ウレタン樹脂組成物全量基準において、無機フィラーの含有量が、5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることを意味する。
なお、無機フィラーとは、粒子状の無機系の化合物であり、固体難燃剤、固体難燃剤以外の無機充填剤等が例示される。固体難燃剤の詳細は、上記した通りである。
また、固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
(整泡剤)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて整泡剤を含有する。整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられるが、分子内に極性部分と非極性部分を有するような構造をもっていれば界面活性効果が得られるため、上記種類に捕らわれることはない。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~8質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
(その他の添加剤)
発泡性ウレタン樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱・光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
(総発煙量(TSR))
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量が500m/m以下である。総発煙量が500m/m超であると、ポリウレタン発泡体が燃焼した場合、黒煙等の有色煙が多量に発生することになり、避難者の視界を遮ったり、呼吸困難を生じさせたりすることで避難が困難になる。本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体が優れた低煙性を有する観点から、総発煙量が500m/m以下であることが好ましく、300m/m以下であることがより好ましく、200m/m以下であることがさらに好ましい。
以下に、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体の総発煙量の算出方法の具体例を示す。なお、試験機種類及び処理ソフトによっては総発煙量(TSR)[m/m]が自動計算され記録される場合がある。
まず、コーンカロリーメーター試験機を用いて、ポリウレタン発泡体から発生する煙の煙濃度の変化を記録し、そのデータから発煙速度(SPR)を決定する。
発煙速度(SPR)[m/s]=煙濃度[1/m]×体積流量[m/s]
次いで、得られた発煙速度(SPR)の積算値(TSP)[m]を算出する。
そして、得られた発煙速度の積算値(TSP)からサンプルの単位面積[m]当たりの総発煙量(TSR)[m/m]を算出する。
上記総煙量は、発泡性ウレタン樹脂組成物に含有されるポリオール化合物の種類、難燃剤や水の含有量、触媒の種類や含有量、イソシアネートインデックス、フィラーの有無、フィラーの量、フィラーの種類などを調整することによって、所望の値に調節することができる。例えば、上記固形難燃剤などのうち、チャー形成などの固相難燃化を促進させるフィラーを含有させたにも関わらず、難燃剤量が少ないなどの理由により難燃性の発現が低い場合には、一般的に総発煙量が高くなる傾向にあるが、フィラーとして臭素系難燃剤などのように難燃化がチャー形成以外にも効果を有する特定のものを使用する、又は併用すると総発煙量があまり高くならず、フィラーを使用しつつも総煙量が抑えられる。
(総発熱量)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて5分間加熱したときの総発熱量が10MJ/m以下であることが好ましい。総発熱量が10MJ/m以下であることにより、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。所定の難燃性を有し、かつ下記に示す鋼球沈み込み距離が一定値以下であることにより、難燃性を有し、かつ燃え広がらない性質を兼ね備えたポリウレタン発泡体となり、火災時の延焼をより有効に防止することができる。
ポリウレタン発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記総発熱量は、9.5MJ/m以下であることがより好ましく、9.0MJ/m以下であることがさらに好ましい。
(最高発熱速度)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて5分間加熱したときの最高発熱速度が150kW/m以下であることが好ましい。最高発熱速度が150kW/m以下であることにより、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。また、最高発熱速度及び総発熱量を共に上記のとおり調整することにより、より難燃性は向上する。
所定の難燃性を有し、かつ下記に示す鋼球沈み込み距離が一定値以下であることにより、難燃性を有し、かつ燃え広がらない性質を兼ね備えたポリウレタン発泡体となり、火災時の延焼をより有効に防止することができる。
ポリウレタン発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記最高発熱速度は、140kW/m以下であることがより好ましく、130kW/m以下であることがさらに好ましい。
上記総発煙量、総発熱量及び最高発熱速度は、コーンカロリーメーター試験により得られ、詳細には実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、上記コーンカロリーメーター試験の際、試験に供したポリウレタン発泡体がコーンカロリーメーターのスパーク点火器に接触しない程度の形状安定性を有することが好ましい。
(熱鋼球評価)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離が12mm以下であることが好ましい。鋼球の沈み込み距離が12mm以下であることにより、ポリウレタン発泡体が、火災などに晒された場合に燃え広がり難くすることができ、火災時の延焼をより有効に防止することができる。延焼を有効に防止する観点から、鋼球の沈み込み距離は、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、よりさらに好ましくは0mmである。
なお、熱鋼球評価は、実施例に記載する手順により実施するとよい。
上記熱鋼球評価における鋼球沈み込み距離は、発泡性ウレタン樹脂組成物に含有されるポリオール化合物の種類、難燃剤や水の含有量、触媒の種類や含有量、イソシアネートインデックスなどを調整することによって、所望の値に調節することができる。
熱鋼球評価において、試験体には、鋼球の沈み込みにより、試験体の上面から内部に渡って空洞が形成される。鋼球の沈み込み距離は、試験体の上面に対して垂直方向の空洞の最大距離を意味する。なお、熱による変色があるものの形状を保持している部分については、沈み込み距離の測定対象にはしないものとする。
(垂直燃焼評価)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、垂直燃焼評価における展炎状態としては、炎の到達距離が100mm以下となるものが好ましい。展炎状態としての炎が100mm以下であることにより、ポリウレタン発泡体が、火災などに晒された場合に燃え広がりにくくなり、延焼を有効に防止することができる。延焼を有効に防止する観点から、展炎状態としての炎は、75mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることがさらに好ましい。なお、垂直燃焼評価は、実施例に記載する手順により実施するとよい。
発泡性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体の総発熱量、最高発熱速度、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離、及び垂直燃焼評価における炎の到達距離のそれぞれは、発泡性ウレタン樹脂組成物から実施例にて記載する条件でポリウレタン発泡体を作製し、そのポリウレタン発泡体に対して測定した測定値を採用する。
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応して硬化するため、その粘度は時間と共に変化する。そこで発泡性ウレタン樹脂組成物を使用する前は、発泡性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割して、発泡性ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして発泡性ウレタン樹脂組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた発泡性ウレタン樹脂組成物を一つにまとめることが好ましい。
なお発泡性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された発泡性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、発泡性ウレタン樹脂組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。通常、発泡性ウレタン樹脂組成物を、ポリオール化合物を含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物とに分割する。
上記難燃剤、発泡剤、触媒、及び必要に応じて配合される整泡剤は、ポリオール組成物に含有されていてもよいし、ポリイソシアネート組成物に含有されていてもよいし、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物とは別に提供されてもよいが、ポリオール組成物に含有されることが好ましい。
発泡性ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、予め混練して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混合する方法、発泡性ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混合することにより製造される。各成分の混合は、公知の方法により行うことができ、例えば、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け発泡機及びハンドミキサー等の公知の装置を用いることにより得ることができる。
(用途)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物の用途は特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物などの空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、すなわち、吹き付け用の発泡性ウレタン樹脂組成物として用いることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。一般的な吹き付け装置及びスプレーガンは、発泡原液のイソシアネートとポリオールの容量比を均等に反応させて吹付けるので、発泡原液は容量比でイソシアネートが1.0に対し、ポリオールが0.8~1.2の範囲で反応させることができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。
[ポリウレタン発泡体]
本発明のポリウレタン発泡体は、上記した発泡性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
本発明のポリウレタン発泡体は、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量が500m/m以下であり、300m/m以下であることが好ましく、200m/m以下であることがより好ましい。
また、本発明のポリウレタン発泡体は、上記した総発熱量、最高発熱速度、熱鋼球評価における沈み込み距離、垂直燃焼評価における炎の到達距離のそれぞれも、上記した通りである。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
〔ポリオール化合物〕
・p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社株式会社製、製品名:RFK-509、水酸基価=200mgKOH/g)
・p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業株式会社製、製品名:マキシモールRLK-087、水酸基価=200mgKOH/g)
・p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK-505、水酸基価=250mgKOH/g)
・マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(第一工業製薬社製、製品名:DK-3776、水酸基価=350mgKOH/g)
・シュクロース系ポリエーテルポリオール(三井武田ポリケミカル社製、製品名:GR-84、水酸基価450mgKOH/g)
・エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(AGC社製、製品名:エクセノール750ED、水酸基価=750mgKOH/g)
〔触媒〕
(1)三量化触媒
・4級アンモニウム塩(エボニックジャパン社製、製品名:TMR-7)、エチレングリコールとの混合物(濃度45~55質量%)
(2)ウレタン化触媒
・イミダゾール化合物<1,2-ジメチルイミダゾール>(アミノ化合物:花王社製、製品名:カオーライザー No.390、濃度65~75質量%)
・ビスマス化合物<2-エチルヘキサン酸ビスマス>(ウレタン化金属触媒:日東化成社製、製品名:Bi28、濃度81~90質量%)
〔難燃剤〕
・リン酸エステル系難燃剤<トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート>(大八化学社製、製品名:TMCPP)
・固体難燃剤(臭素系難燃剤)<ヘキサブロモベンゼン>(マナック社製、製品名:HBB-B)
・固体難燃剤(臭素系難燃剤)<エチレン-1,2-ビス(ペンタプロモフェニル)>(アルベマール社製、製品名:SAYTEX8010)
〔発泡剤〕
・水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル製、製品名:ソルスティスLBA)
〔整泡剤〕
・シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH-193)
〔ポリイソシアネート化合物〕
・MDI(住化コベストロウレタン株式会社製、製品名:44V-20)
各物性及び性状の測定方法は、以下のとおりである。
[総発煙量(TSR)]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の総発煙量(TSR)は、以下の方法により評価した。ポリプロピレンビーカー内に、表1に示す配合でポリオール化合物、触媒、難燃剤、発泡剤、整泡剤を混合して得た混合物とポリイソシアネート化合物を(合計量は200g、液温は10℃)を投入しラボディスパーで3秒間攪拌する。その後直ちに厚さ12.5mmの石膏ボード上に散布しポリウレタン発泡体を得る。石膏ボードを下地として接着したポリウレタン発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備し、以下の通りコーンカロリーメーター試験を行った。該試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量を測定した。なお、ポリウレタン発泡体の作製方法は上記方法以外に、吹付け装置及びスプレーガンを利用して、発泡性ウレタン樹脂組成物を構造物に吹き付ける方法で行っても同様の数値が得られた。
得られたポリウレタン発泡体の総発煙量から、下記のとおり、低煙性の良し悪しを判断した。
≪総発煙量評価基準≫
A・・総発煙量が200m/m以下
B・・総発煙量が200m/m超300m/m以下
C・・総発煙量が300m/m超500m/m以下
D・・総発煙量が500m/m
[総発熱量、最高発熱速度]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の総発熱量及び最高発熱速度は、以下の方法により評価した。ポリプロピレンビーカー内に、表1に示す配合でポリオール化合物、触媒、難燃剤、発泡剤、整泡剤を混合して得た混合物とポリイソシアネート化合物を(合計量は200g、液温は10℃)を投入しラボディスパーで3秒間攪拌する。その後直ちに厚さ12.5mmの石膏ボード上に散布しポリウレタン発泡体を得る。石膏ボードを下地として接着したポリウレタン発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備し、以下の通りコーンカロリーメーター試験を行った。該試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて5分間加熱したときの総発熱量及び最高発熱速度を測定した。なお、ポリウレタン発泡体の作製方法は上記方法以外に、吹付け装置及びスプレーガンを利用して、発泡性ウレタン樹脂組成物を構造物に吹き付ける方法で行っても同様の数値が得られた。
[コーンカロリー評価]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体のコーンカロリーメーター試験による評価をした。
≪コーンカロリー評価基準≫
A・・総発熱量が5MJ/m以下
B・・総発熱量が5MJ/m超8MJ/m以下
C・・総発熱量が8MJ/m超10MJ/m以下
D・・総発熱量が10MJ/m
[作業性]
各実施例及び比較例で調整したポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物からポリウレタン発泡体を作製する際の作業性を評価した。
≪作業性評価基準≫
A・・ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を製造後24時間後に発泡させる際に再撹拌の必要なし
B・・ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を製造後24時間後に発泡させる際に再撹拌の必要あり
[熱鋼球評価]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体について、以下(1)~(3)の手順で、鋼球の沈み込み距離及び溶融直径距離を測定した。
(1)ポリウレタン発泡体を、各辺の寸法が100mm×100mm×60mmである直方体に切り出し、試験体とする。
(2)800℃に温度設定した電気炉内に、直径10.0mm、重量4.15gの鋼球を入れ、鋼球全体が均一に加熱され、赤色に変化するまで、10分以上放置し、鋼球温度を800℃とした。なお鋼球は新品のものを用いた。
(3)23℃雰囲気下にて、上記(2)で加熱した鋼球を直ちに、上記(1)の試験体の上部の中心に載せて、鋼球の沈み込みが完了するまで放置する。次いで、十分に冷却された試験体の断面を裁断して、鋼球の沈み込み距離を測定する。
なお、本熱鋼球評価において、鋼球を加熱した後、試験体上に載せるまでの時間は1秒以内である。また鋼球としては、SUS304製の鋼球を使用する。
また、電気炉に関しては、例えば、炉内寸法120mm×150mm×100mmの小型プログラム電気炉(製品名:MMF-1、アズワン社製)を使用した。
以上の手順にて得られた鋼球の沈み込み距離から、下記のとおり、燃え拡がらない性質の良し悪しを判断した。
≪熱鋼球評価基準≫
A・・鋼球の沈み込み距離が5mm以下
B・・鋼球の沈み込み距離が5mm超10mm以下
C・・鋼球の沈み込み距離が10mm超
[垂直燃焼評価]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体を、以下(1)~(3)の手順で垂直燃焼性を評価した。
(1)ポリウレタン発泡体を、各辺の寸法が100mm×10mm×10mmである棒状サンプルを切り出し、試験体とする。
(2)垂直に保持した棒状サンプルの下端を、炎長さ20mmのプロパンガスバーナーに接炎させる。
(3)上記(2)で接炎させた棒状サンプルの展炎状態を評価する。
≪垂直燃焼評価基準≫
A・・展炎状態としての炎が50mm未満
B・・展炎状態としての炎が50mm以上100mm未満
C・・展炎状態としての炎が100mm以上
D・・展炎状態としての炎が100mm以上かつ燃焼残渣がほとんど残らない
[実施例1]
表1の配合に従い、ポリオール化合物、触媒、難燃剤、発泡剤、整泡剤を1000mLポリプロピレンビーカーに計りとり、20℃、10秒間ハンドミキサーで攪拌しポリオール組成物を作製した。その後10℃に冷却した該ポリオール組成物に対して同じく10℃に温調したポリイソシアネート組成物(ポリイソシアネート化合物)を加えて発泡性ウレタン樹脂組成物とし、該組成物をラボディスパーで3秒間攪拌し、ポリウレタン発泡体を作製した。該ポリウレタン発泡体を用いて、上記した作業性評価、熱鋼球評価及び垂直燃焼評価を行った。また、総発煙量、総発熱量及び最高発熱速度についても、上記した手順で評価した。各種評価結果を表1に示した。
[実施例2~8、比較例1~2]
配合を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン発泡体を得た。該ポリウレタン発泡体を用いて、上記した作業性評価、熱鋼球評価及び垂直燃焼評価を行った。また、総発煙量、総発熱量及び最高発熱速度についても、上記した手順で評価した。各種評価結果を表1に示した。
Figure 2022095488000001
各実施例で示されているように、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物により形成されたポリウレタン発泡体は、総発煙量が低いことより、低煙性を備えていることが分かった。
これに対して、比較例の発泡性ウレタン樹脂組成物により形成されたポリウレタン発泡体は、総発煙量評価が本発明で規定する範囲を外れており、燃焼した場合に煙を発生しやすいことが分かった。

Claims (9)

  1. ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、
    前記発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、コーンカロリー試験をしたときの総発煙量が500m/m以下である、発泡性ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記触媒が三量化触媒を含有する、請求項1に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  3. 前記ポリオール化合物が、芳香族ポリエステルポリオールを含み、前記芳香族ポリエステルポリオールの含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して50質量部以上である、請求項1又は2に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  4. 前記発泡性ウレタン樹脂組成物は、実質的に無機フィラーを含有しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記発泡性ウレタン樹脂組成物は、無機フィラーを含有し、前記無機フィラーが臭素系難燃剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  6. イソシアネートインデックスが130~600である、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  7. 吹き付け用途に用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記触媒がビスマス化合物を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡させてなるポリウレタン発泡体。
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