JP2022068681A - 難燃性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】横方向に発泡せず、かつ良好な難燃性を有するポリウレタン発泡体を製造するための難燃性ウレタン樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、触媒、発泡剤、液状難燃剤を含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、前記触媒が、アミン系泡化触媒を含有し、イソシアネートインデックスが150以上である、難燃性ウレタン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの建築部材の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタン発泡体は、各構造物の表面に、ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物を含む難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
ポリウレタン発泡体は、軽量であるものの、有機物であるため燃えやすい。これを改善するため、難燃性の高いポリウレタン発泡体が必要とされている。ポリウレタン発泡体の難燃性を高める為の手段として、例えば、特許文献1のように、難燃性ウレタン樹脂組成物にイソシアヌレート環を形成させる方法がある。
特開平11-292949号公報
しかしながら、ヌレート化度を高めたポリウレタン発泡体は、難燃性は向上するが、発泡性が悪化し、横方向、即ち厚さ方向に対し垂直な方向に発泡するいわゆる横伸びにより、施工性が悪化し、対象物に吹き付けた後、剥離が発生するなどの問題があった。
そこで本発明は、横伸びを抑制し、かつ良好な難燃性を有するポリウレタン発泡体を製造するための難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、液状難燃剤を含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、前記触媒が、アミン系泡化触媒を含有し、イソシアネートインデックスが150以上である、難燃性ウレタン樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]~[13]を要旨とする。
[1]ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、触媒、発泡剤、液状難燃剤を含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、前記触媒が、アミン系泡化触媒を含有し、イソシアネートインデックスが150以上である、難燃性ウレタン樹脂組成物。
[2]前記アミン系泡化触媒が、分子中に窒素原子を2個以上有する、又は分子中に窒素原子及び酸素原子をそれぞれ1個以上有する、[1]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[3]前記アミン系泡化触媒を、ポリオール化合物100質量部あたり2質量部以上含有する、[1]又は[2]に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[4]前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(1)で示される芳香族アミンを含む、[1]~[3]いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
Figure 2022068681000001

(一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基または水素原子を表す。)
[5]前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(2)で示される第三級アミンを含む、[1]~[4]いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
Figure 2022068681000002

(一般式(2)中、kは0~3の整数、R11~R14は、炭素数1~2の飽和炭化水素基を表す。Yは酸素原子又は-NCH-を表す。X、Xは、水素原子、水酸基、炭素数1~2のアルコキシ基、又は酸素原子を表すが、酸素原子の場合には、それぞれR12、R13に結合してモルホリン骨格を形成する。)
[6]前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(3)で示されるグアニジン誘導体を含む、[1]~[5]いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
Figure 2022068681000003

(一般式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
[7]前記触媒として三量化触媒を含有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[8]前記発泡剤が水を含み、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物において、カールフィッシャー装置で測定したときの水分率が0.1~3質量%である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[9]芳香族ポリエステルポリオールを、ポリオール化合物100質量部あたり50質量部以上含有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[10]吹き付け用途に用いられる、[1]~[9]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[11]前記触媒が、ウレタン化触媒として金属触媒を含有する、[1]~[10]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[12]無機フィラーを実質的に含有しない、[1]~[11]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
[13][1]~[12]のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体。
本発明によれば、横伸びを抑制し、かつ良好な難燃性を有するポリウレタン発泡体を製造するための難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[難燃性ウレタン組成物]
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、触媒、発泡剤、及び液状難燃剤を含有する。
(ポリオール化合物)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物はポリウレタン発泡体の原料としてポリオール化合物を含有する。
本発明に用いるポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールなどの活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、炭素数2~6のアルキレンオキサイド、具体的にはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも一種が挙げられる。
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等のポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
本発明に使用するポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールが好ましい。また、水酸基を2個有するポリオール化合物が好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、芳香族環を有するポリエステルポリオールである芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性、特に燃え拡がらない性能を高める観点から、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオール、及び、о-フタル酸とグリコールの縮合物である、о-フタル酸系ポリエステルポリオールから選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
ポリオール化合物が芳香族ポリエステルポリオールを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、難燃性ウレタン樹脂組成物中のポリオール化合物100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、100質量部であることがさらに好ましい。
ポリオール化合物の水酸基価は、20~300mgKOH/gが好ましく、30~250mgKOH/gがより好ましく、50~220mgKOH/gがさらに好ましい。ポリオールの水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度が下がりやすく、取り扱い性等の観点で好ましい。一方、ポリオールの水酸基価が前記下限値以上であるとポリウレタン発泡体の架橋密度が上がることにより強度が高くなる。
なお、ポリオール化合物の水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
(ポリイソシアネート化合物)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中では、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性、及びコストの低さの観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることがより好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)でもよい。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。また、ポリイソシアネート内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。
(イソシアネートインデックス)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、150以上である。該組成物のイソシアネートインデックスが150未満であると、該組成物から形成されるポリウレタン発泡体の難燃性、特に燃え拡がりにくさを向上させにくくなる。また、インデックスを高くすることで横伸びが発生しやすいが、後述するアミン系泡化触媒を使用することで、横伸びを適切に防止できる。こうしたことを踏まえると、イソシアネートインデックスは、200以上が好ましく、250以上がより好ましく、300以上であることがさらに好ましい。また、イソシアネートインデックスは、上限に関しては特に限定されないが、好ましくは700以下、より好ましくは650以下、さらに好ましくは600以下である。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
(触媒)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物中の触媒は、アミン系泡化触媒を含有する。泡化触媒は、難燃性ウレタン樹脂組成物の発泡を促進する役割を果たすものである。泡化触媒としてアミン系泡化触媒を含有することにより、該組成物の発泡性が良好になり、該組成物を対象物に吹き付けた際の横伸びを防止し、該組成物を対象物に吹き付けてポリウレタン発泡体が形成された際、対象物からの該発泡体の剥離等を防止することが可能になる。
<アミン系泡化触媒>
本発明で使用するアミン系泡化触媒としては、分子中に窒素原子を2個以上有する化合物、又は分子中に窒素原子及び酸素原子をそれぞれ1個以上有する化合物であることが好ましい。一般的に、アミノ基を有する触媒は、ヘテロ原子(N,O)間に炭素数4以上の直鎖の炭化水素があったり、環構成原子のヘテロ原子が窒素原子のみからなるヘテロ環(例えば、イミダゾール環)を有したりすると、樹脂化を優先的に促進する傾向にある。したがって、アミン系泡化触媒は、一般的にヘテロ原子(N,O)間に炭素数4以上の直鎖炭化水素基がなく、また、環構成原子のヘテロ原子が窒素原子のみからなるヘテロ環も有さない。
アミン系泡化触媒としては、具体的には、芳香族アミン、第三級アミン、グアニジン誘導体が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アミノ基を少なくとも2つ有する化合物が好ましく、1つのベンゼン環に2つのアミノ基が結合されたジアミノフェニル骨格を有する芳香族アミンがより好ましい。具体的には、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 2022068681000004

(一般式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立にアルキル基または水素原子を表す。)
~Rのアルキル基は、例えば炭素数1~16のアルキル基であり、好ましくは炭素数1~4である。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよいし、環状構造を有していてもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基等が挙げられる。この中では、安定性、発泡性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(1)においては、R、R、Rがアルキル基で、Rが水素原子であることが好ましく、R、R、Rがメチル基又はエチル基のいずれかであり、Rが水素原子であることがより好ましく、中でも、上記R、R、Rのアルキル基のうち、任意のいずれか1つがメチル基、残り2つがエチル基である、ジエチルトルエンジアミンがさらに好ましい。
第三級アミンとしては、3級アミノ基を2つ以上有する化合物が好ましく、具体的には、下記一般式(2)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 2022068681000005

(一般式(2)中、kは0~3の整数、R11~R14は、炭素数1~2の飽和炭化水素基を表す。Yは酸素原子又は-NCH-を表す。X、Xは、水素原子、水酸基、炭素数1~2のアルコキシ基、又は酸素原子を表すが、酸素原子の場合には、それぞれR12、R13に結合してモルホリン骨格を形成する。)
は、酸素原子となる場合には、R11、R11に結合する窒素原子、さらにはR12とともにモルホリン骨格を形成するものであり、この場合、R11、R12は、いずれも-CHCH-となる。Xは、酸素原子となる場合には、R14、14に結合する窒素原子、さらにはR13とともに、モルホリン骨格を形成するものであり、この場合、R13、R14は、いずれも-CHCH-となる。
、Xはいずれも酸素原子でありモルホリン骨格を形成する場合、Yは酸素原子であることが好ましい。X、Xがモルホリン骨格を形成する場合の具体的な化合物は、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルが好ましい。
また、X、Xは、水素原子、水酸基、又は炭素数1~2のアルコキシ基が好ましい。その場合には、第三級アミンは、以下の(2-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022068681000006

(一般式(2-1)中、mは1~3の整数、nは0~1の整数を表す。R14は炭素数1~2の二価の飽和炭化水素基を表す。Xは、水素原子、水酸基、炭素数1~2のアルコキシ基を表す。)
上記一般式(2-1)で示される化合物としては、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、N,N,N'-トリメチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N',N'-トリメチル-N-(2-メトキシエチル)エチレンジアミンなどが挙げられる。
また、上記一般式(2-1)中のmは1であることがより好ましく、nは1であることが好ましく、Xは水素原子、水酸基が好ましい。
本発明で使用する第三級アミンとしては、N,N,N'-トリメチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルが好ましい。これらの第三級アミンのうち、難燃性ウレタン樹脂組成物の貯蔵安定性を高める観点から、N,N,N'-トリメチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテルが特に好ましい。
第三級アミンとしては、上記一般式(2)で表される化合物以外であってもよく、3級アミノ基を1つのみ有する化合物も挙げられる。3級アミノ基を1つのみ有する化合物としては、ジメチルアミノエトキシエタノールが挙げられる。
グアニジン誘導体は、グアニジン骨格を有する化合物であり、その具体例としてテトラアルキルグアニジンが挙げられる。テトラアルキルグアニジンは、1位及び3位の窒素原子に結合している合計4つの水素原子がそれぞれ独立にアルキル基に置換されたN,N,N’,N’-テトラアルキルグアニジンである。
テトラアルキルグアニジンの具体例としては、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2022068681000007

(一般式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
、R、R及びRのアルキル基は、例えば炭素数1~16のアルキル基であり、好ましくは炭素数1~4である。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよいし、環状構造を有していてもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基などが挙げられる。この中では、安定性、発泡性の観点から、メチル基が好ましく、上記4つのアルキル基がすべてメチル基である、N,N,N',N'-テトラメチルグアニジンがより好ましい。
上記アミン系泡化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよいが、発泡性の観点から、二種以上を併用して使用することも好ましい。併用する場合には、上記した芳香族アミンと第三級アミンを組み合わせて使用することが好ましい。
上記アミン系泡化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上がさらに好ましい。アミン系泡化触媒の含有量を上記下限値以上とすることで、該組成物の発泡性が良好となり、横方向への発泡を防止し、横伸びを抑制することが可能になる。また、アミン系泡化触媒の含有量の上限は、特に限定されるものではないが、ポリオール化合物100質量部に対し、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
<その他の触媒>
本発明で使用する触媒としては、上記したアミン系泡化触媒以外の触媒を含有してもよい。その場合、三量化触媒を含有することが好ましい。
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。難燃性ウレタン樹脂組成物において、三量化が促進されることで、ポリウレタン発泡体の難燃性や燃え拡がりにくさが向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、ギ酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の第三級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。これらの中では、4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩を使用すると、発泡剤にハイドロクロロフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィン化合物を使用しても、触媒活性が良好に維持されることで、三量化が適切に進行し難燃性などが向上する。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
三量化触媒の含有量は特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、1~15質量部の範囲であることが好ましく、1.5~13質量部の範囲であることがより好ましく、2~10質量部の範囲であることがさらに好ましい。三量化触媒の含有量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記した三量化触媒に加え、ウレタン化触媒を含有してもよい。ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。ウレタン化触媒としては、錫化合物、ビスマス化合物等の金属触媒を含有することが好ましい。
錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、初期活性の観点から、金属触媒としてビスマス化合物を含有することが好ましい。
また、ウレタン化触媒のうち、金属触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~4質量部がより好ましく、0.15~3質量部がさらに好ましい。金属触媒の含有量が上記下限値以上であることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物の初期活性が良好となり、それに伴い、該組成物の発泡性も良好になる。一方、金属触媒の含有量が上記上限値以下であることにより、難燃性ウレタン樹脂組成物が発泡する際、横方向に発泡することを有効に防止することが可能になる。
ウレタン化触媒としては、上記した金属触媒に加え、アミノ化合物、アセチルアセトン金属塩等を含有してもよい。
アミノ化合物としては、例えば1-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、イミダゾール環中の第二級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などのイミダゾール系化合物等が挙げられる。イミダゾール系化合物としては、1、2-ジメチルイミダゾールが好ましい。
ウレタン化触媒としてアミノ化合物を含有する場合、アミノ化合物の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、2~14質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましく、3.5~9質量部がさらに好ましい。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物に含有されるウレタン化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。ウレタン化触媒として、金属触媒を含有する場合、難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付けることによりポリウレタン発泡体を形成する際の発泡性を良好にする観点から、上記したビスマス化合物を含有することが好ましい。また、上記金属触媒に加え、金属触媒以外のウレタン化触媒を含有する場合は、ウレタン化触媒としてビスマス化合物とアミノ化合物の併用が好ましく、ビスマス化合物とイミダゾール化合物の併用がより好ましい。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物におけるウレタン化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、例えば1質量部以上であり、2質量部以上であることが好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性を良好にしつつ、適度な反応速度で、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進できる。また、反応速度を向上させて、吹き付け用途に好適とするために、ウレタン化触媒の上記含有量は、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、触媒の含有量に見合った発泡性、反応性を得る観点から、ウレタン化触媒の上記含有量は、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
(難燃剤)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、液状難燃剤を含有する。これにより、難燃性ウレタン樹脂組成物により形成されるポリウレタン発泡体の難燃性が向上する。ここで、液状の難燃剤とは、23℃において液状の難燃剤である。
液体難燃剤として、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等のリン酸エステル系難燃剤が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)などが挙げられる。
液状難燃剤は、モノリン酸エステルが好ましく、中でもトリス(β-クロロプロピル)ホスフェートがより好ましい。
液状難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは3~70質量部であり、より好ましくは5~60質量部であり、さらに好ましくは10~50質量部である。液状難燃剤の含有量がこれら下限値以上であると、泡化触媒を用いた場合でもポリウレタン発泡体の難燃性を維持しやすくなる。また液状成分が増えることで、後述する固体難燃剤などの固形成分が難燃性ウレタン樹脂組成物内に入っても、該組成物の流動性を担保することが可能となる。液状難燃剤の含有量がこれら上限値以下であると、発泡が阻害されないなどにより、ポリウレタン発泡体が製造しやすくなる。
本発明で使用する難燃剤は、上記した液状難燃剤以外にも、固体難燃剤を有してもよい。固体難燃剤は、室温で固体となる難燃剤である。固体難燃剤としては、赤燐系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、針状フィラー、及び金属水酸化物等が挙げられる。固体難燃剤は例えば粉体状である。
<赤燐系難燃剤>
赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物等を被膜したものでもよいし、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物等を混合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述するものを適宜選択して使用するとよい。
<リン酸塩含有難燃剤>
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、環中に窒素を含む複素環式化合物から選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩が挙げられる。
リン酸としては、特に限定されないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等が挙げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、o-トリイジン、2,4,6-トリメチルアニリン、アニシジン、3-(トリフルオロメチル)アニリン等が挙げられる。環中に窒素を含む複素環式化合物として、ピリジン、トリアジン、メラミン等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。ここで、ポリリン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
リン酸塩含有難燃剤は、上記したものから一種もしくは二種以上を併用して使用してもよい。
<臭素含有難燃剤>
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温、常圧で固体となる化合物であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)等のモノマー系有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物等が挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シアヌールとの臭素化フェノールの縮合物、未架橋又は架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物であってもよい。
これら臭素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
また、上記した中では、臭素化芳香環含有芳香族化合物が好ましく、中でも、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)等のモノマー系有機臭素化合物がより好ましい。
<塩素含有難燃剤>
塩素含有難燃剤は、ポリウレタン発泡体に通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテン等が挙げられる。
<アンチモン含有難燃剤>
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
<ホウ素含有難燃剤>
ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛がより好ましい。
<針状フィラー>
針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、スラグ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。針状フィラーのアスペクト比(長さ/直径)の範囲は、5~50の範囲であることが好ましく、10~40の範囲であればより好ましい。
<金属水酸化物>
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
固体難燃剤を含有する場合には、難燃性ウレタン樹脂組成物における固体難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、3~65質量部が好ましく、5~60質量部がより好ましく、10~40質量部がさらに好ましい。固体難燃剤の含有量をこれら下限値以上とすることで、固体難燃剤を含有させた効果を発揮しやすくなり、難燃性が高められる。一方で、上限値以下とすることで固体難燃剤によって発泡が阻害されたりすることがない。
(発泡剤)
発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF3、CH22、CH3F等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン))、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1224yd(Z)等が挙げられる。
上記した中でも、発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、水などが好ましく、ハイドロフルオロオレフィン及び水を併用することがより好ましい。
発泡剤の含有量は、発泡体の密度を所望の範囲に調整する観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~70質量部であり、より好ましくは10~60質量部であり、さらに好ましくは20~50質量部である。
発泡剤として使用するハイドロフルオロオレフィンの量は、ポリウレタン発泡体の密度を所望の範囲とする観点から、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは5~70質量部であり、より好ましくは8~60質量部であり、さらに好ましくは18~50質量部である。
発泡剤として使用する水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、好ましくは0.1~15質量部であり、より好ましくは0.2~5質量部であり、さらに好ましくは0.3~3質量部である。水の含有量を上記範囲内とすることで、難燃性及び発泡性がバランス良く良好となる。
(無機フィラー)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、上記した固体難燃剤等の無機フィラーを含有してもよいし、実質的に含有しなくてもよいが、無機フィラーを実質的に含有しないことが好ましい。無機フィラーを実質的に含有しないことにより、保管時に沈殿物が生じ難く、貯蔵安定性に優れ、かつ使用時に用いる機具類の摩耗を抑制することができる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。また、本発明では、無機フィラーを実質的に含有しなくても高い難燃性が得られる。
ここで、無機フィラーを実質的に含有しないとは、難燃性ウレタン樹脂組成物全量基準において、無機フィラーの含有量が、5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることを意味する。
なお、無機フィラーとは、粒子状の無機系の化合物であり、固体難燃剤、固体難燃剤以外の無機充填剤等が例示される。固体難燃剤の詳細は、上記した通りである。
また、固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
(整泡剤)
難燃性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤としては、分子内に極性部分と非極性部分を有し界面活性効果を備える化合物を好適に使用することができる。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。また、シリコーン整泡剤としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの重合体であるポリオキシアルキレングリコールとポリジメチルシロキサンとのグラフト共重合体でもよい。また、市販品も使用でき、具体的にはSH-193(東レダウコーニング社製)、S-824-02(日本ユニカー社)、SZ-1704(日本ユニカー社)、F501(信越化学工業社)、SF-2937F(ダウ東レ社製)等の整泡剤を使用することができる。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.5~12質量部であることがより好ましく、1~8質量部であることがさらに好ましい。
(その他成分)
難燃性ウレタン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料等から選択される1種以上を含むことができる。
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応して硬化する。そのため、難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する前は、難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割して、難燃性ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして難燃性ウレタン樹脂組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた難燃性ウレタン樹脂組成物を一つにまとめることが好ましい。
なお本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された該組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、該組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。通常、該組成物を、ポリオール化合物を含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物とに分割する2液型が好ましい。
上記した触媒、液状難燃剤、発泡剤、及び必要に応じて含有される整泡剤は、ポリオール組成物に含有されていてもよいし、ポリイソシアネート組成物に含有されてもよいし、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物とは別に提供されてもよいが、ポリオール組成物に含有されることが好ましい。
(水分率)
本発明に使用する発泡剤がポリオール組成物に含有され、かつ該発泡剤が水を含む場合、ポリオール組成物は、カールフィッシャー水分測定装置により測定される水分率が3質量%以下となることが好ましい。水分率が3質量%以下であることにより、ポリウレタン発泡体が燃え拡がりにくくなり、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離を後述する所望の範囲に調整しやすくなる。上記水分率は、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、発泡性の観点から、一定以上の水分を含有することが好ましく、水分率は、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましい。
(熱鋼球評価)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体は、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離が10mm以下であることが好ましい。鋼球の沈み込み距離が10mm以下であることにより、ポリウレタン発泡体が、火災などに晒された場合に燃え拡がりにくく、延焼を有効に防止することができる。延焼を有効に防止する観点から、鋼球の沈み込み距離は、5mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。
なお、熱鋼球評価は、実施例に記載する手順により実施するとよい。
上記熱鋼球評価における鋼球沈み込み距離は、難燃性ウレタン樹脂組成物に含有されるポリオール化合物の種類、難燃剤や水の含有量、触媒の種類や含有量、イソシアネートインデックスなどを調整することによって、所望の値に調節することができる。
上記熱鋼球評価において、試験体には、鋼球の沈み込みにより、試験体の上面から内部に渡って空洞が形成される。鋼球の沈み込み距離は、試験体の上面に対して垂直方向の空洞の最大距離を意味する。なお、熱による変色があるものの形状を保持している部分については、前記沈み込み距離の測定対象にはしないものとする。
また、上記した、難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体の、熱鋼球評価における鋼球の沈み込み距離は、難燃性ウレタン樹脂組成物から実施例にて記載する条件でポリウレタン発泡体を作製し、そのポリウレタン発泡体に対して測定した測定値を採用する。
(製造方法)
難燃性ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、予め混合して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混合する方法、難燃性ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混合することにより製造される。各成分の混合は、公知の方法により行うことができ、例えば、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け発泡機及びハンドミキサー等の公知の装置を用いることにより得ることができる。
[ポリウレタン発泡体]
本発明のポリウレタン発泡体は、上記した難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、難燃性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
(密度)
ポリウレタン発泡体の密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ポリウレタン発泡体が軽量となり、構造物への施工性が高まる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性を発現しやすくなる。これら観点から、ポリウレタン発泡体の密度は、20~100kg/mの範囲であることがより好ましく、23~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ポリウレタン発泡体の密度は、実施例に記載する方法により測定できる。
(用途)
本発明の難燃性ウレタン樹脂組成物、及び該組成物から形成されるポリウレタン発泡体の用途は、特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、即ち、吹き付け用途に用いられることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置及びスプレーガンを利用して実施することができる。一般的な吹き付け装置及びスプレーガンは、発泡原液のイソシアネートとポリオールの容量比を均等に反応させて吹付けるので、発泡原液は容量比でイソシアネートが1.0に対し、ポリオールが0.8~1.2の範囲で反応させることができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。吹き付け装置は、例えばGRACO社製の「A-25」などを使用でき、スプレーガンとしては、例えばガスマー社製の「Dガン」を使用できる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
(ポリオール化合物)
・芳香族ポリエステルポリオール p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名「マキシモールRFK-505」、水酸基価=250mgKOH/g)
(液状難燃剤)
・リン酸エステル系難燃剤 トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名「TMCPP」)
(整泡剤)
・シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名「SH-193」)
(触媒)
(1)アミン系泡化触媒
(i)芳香族アミン
・ジエチルトルエンジアミン(ロンザジャパン社製、製品名「ロンザキュアDETDA 80」)濃度100質量%
(ii)グアニジン誘導体
・N,N,N',N'-テトラメチルグアニジン(エボニックジャパン社製、製品名「POLYCAT 201」、水及びエチレングリコールとの混合物(N,N,N',N'-テトラメチルグアニジン60質量%、エチレングリコール32質量%、水8質量%))
(iii)第三級アミン
・第三級アミンA:N,N,N'-トリメチル-N'-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、濃度約85質量%
・第三級アミンB:ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、製品名「NIAX CATALYST A-1」)濃度約70質量%
(2)ウレタン化触媒
・アミノ化合物:1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名「カオライザー No.390」)濃度約65~75質量%
・金属触媒:2-エチルヘキサン酸ビスマス(日東化成社製、製品名「Bi28」)濃度約81~90質量%
(3)三量化触媒
・4級アンモニウム塩:2,2-ジメチルプロパン酸テトラメチルアンモニウム塩(エアープロダクツ社製、製品名「DABCO TMR7」)濃度約45質量%
(発泡剤)
・水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル社製、製品名「ソルスティスLBA」)
(ポリイソシアネート化合物)
・芳香族ポリイソシアネート ポリメリックMDI(住化コベストロウレタン(株)製、製品名:44V-20)
[実施例1~6、比較例1~2]
500mLポリプロピレンカップ(テラオカ社製)にて、ポリオール組成物及びポリイソシアネート化合物を、表1に記載の比率にて、合計80gの難燃性ウレタン樹脂組成物となるよう混合し、液温10℃の条件にて、該組成物を2秒間攪拌して発泡させた。
なお、難燃性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体の各物性及び性状の測定方法は、以下のとおりである。
[水分率]
ポリオール組成物をカールフィッシャー水分測定装置(京都電子工業社製、製品名「MKV-710」)により測定した。
[密度]
難燃性ウレタン樹脂組成物を上記の通り発泡させ、形成されたポリウレタン発泡体のうち、ポリプロピレンカップからはみ出た部分から、ポリウレタン発泡体を50mm四方に切り出し、切り出した該発泡体の質量及び体積に基づき測定した。なお、発泡体は、カップからはみ出た部分の表面層を除く部分から切り出した。
なお、ポリウレタン発泡体の密度の基準を40kg/mとし、その基準からの実測値のずれ度合いを示す密度補正係数を、以下の計算式を用いて算出した。
密度補正係数=密度の実測値(kg/m)÷40(kg/m
[クリームタイム(CT)]
クリームタイム(CT)は、常法により測定した。即ち、ハンド発泡により、雰囲気温度20℃で液温10℃のポリオール組成物とポリイソシアネート成分を8000rpm×2秒間の条件で混合攪拌する。攪拌し始めた段階で時間計測を開始し、反応混合液がクリーム状に白濁して立ち上がってくるまでの時間をクリームタイム(CT、秒)とした。
上記の通り測定したクリームタイムに基づき、初期活性を以下の評価基準により評価した。
○・・・クリームタイムが5秒未満
×・・・クリームタイムが5秒以上
[発泡挙動]
(1)最大直径
難燃性ウレタン樹脂組成物を上記の通り発泡させ、ポリウレタン発泡体を形成したのち、ポリプロピレンカップからはみ出たポリウレタン発泡体のうち、横方向の直径が最大となる部分の長さをノギスにより測定した。
(2)発泡高さ
難燃性ウレタン樹脂組成物を上記の通り発泡させ、ポリウレタン発泡体を形成したのち、ポリプロピレンカップの底面部分から、ポリプロピレンカップからはみ出た部分の頂点までの高さを、ノギスにより測定した。
なお、発泡高さの補正値(以下、「発泡高さ(補正後)」と表記)を、以下の計算式を用いて算出した。
発泡高さ(補正後)=発泡高さの実測値×密度補正係数
(3)挙動評価
最大直径を発泡高さ(補正後)で割った数値結果に基づき、発泡挙動について以下の基準で評価した。なお、最大直径を発泡高さ(補正後)で割った値は、横伸びを示す指標であり、数値が小さいほど横伸びが小さいことを示す。
〇・・・0.50未満
△・・・0.50以上0.55未満
×・・・0.55以上
[難燃性]
(1)ポリウレタン発泡体のヌレート化度
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体についてヌレート化度を測定した。ヌレート化度は、ポリウレタン発泡体について赤外線吸収スペクトルを測定し、1900~2000cm-1の平均強度をゼロに合わせた時の1500~1520cm-1の最大ピーク強度Iaに対する、1900~2000cm-1の平均強度をゼロに合わせた時の1390~1430cm-1の最大ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)である。赤外線吸収スペクトルの測定は、ポリウレタン発泡体の表層から5mm~10mmの深さ部分を対象にATR法(全反射測定法)により行った。
なお、赤外吸収スペクトルにおける強度とは、赤外線吸収強度を意味する。また、赤外線吸収スペクトルにおいて、1400cm-1の吸収はイソシアヌレート結合に由来する吸収であり、1510cm-1の吸収は、ウレタン結合に由来する吸収である。
測定は赤外分光光度計(サーモフィッシャー サイエンティフィック社製「Nicolet is5」)を使用して行った。
(2)熱鋼球評価
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体について、以下(i)~(iii)の手順で、鋼球の沈み込み距離を測定した。
(i)ポリウレタン発泡体を、各辺の寸法が50mm×50mm×30mmである立方体に切り出し、試験体とした。
(ii)800℃に温度設定した電気炉内に、直径10.0mm、重量4.15gの鋼球を入れ、鋼球全体が均一に加熱され、赤色に変化するまで、10分以上放置し、鋼球温度を800℃とした。なお鋼球は新品のものを用いた。
(iii)23℃雰囲気下にて、上記(ii)で加熱した鋼球を直ちに、上記(i)の試験体の上部の中心に載せて、鋼球の沈み込みが完了するまで放置した。次いで、十分に冷却された試験体の断面を裁断して、鋼球の沈み込み距離を測定した。
なお、本熱鋼球評価において、鋼球を加熱した後、試験体上に載せるまでの時間は1秒以内である。また鋼球としては、SUS304製の鋼球を使用した。
また、電気炉に関しては、例えば、炉内寸法120mm×150mm×100mmの小型プログラム電気炉(アズワン社製、製品名「MMF-1」)を使用した。
(3)難燃性評価
以上の手順にて得られた鋼球の沈み込み距離に基づき、ポリウレタン発泡体の難燃性について以下の基準で評価した。
◎・・・鋼球の沈み込み距離が1mm未満
〇・・・鋼球の沈み込み距離が1mm以上6mm未満
×・・・上記◎及び〇以外の場合
[施工性]
表1の配合に従い、ポリオール化合物、三量化触媒、ウレタン化触媒、整泡剤、難燃剤、及び発泡剤からなるポリオール組成物、及びMDIからなるポリイソシアネート組成物を、それぞれの組成物を吹き付け装置(GRACO社製:A-25)に導入した。装置内で温度調整し、スプレーガン(GRACO社製:APガン)を利用して、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物の混合液からなる難燃性ウレタン樹脂組成物を、長さ600mm、幅300mmの合板に対し、一度に、厚さ20mmになるように吹き付け、横方向への発泡程度を以下の基準で評価した。
◎・・・横方向への伸びが小さい。
〇・・・横方向への伸びが大きいが、合板からの反りや剥離などは無い。
×・・・横方向への伸びが大きく、合板からの反りやポリウレタン発泡体の部分的剥離がある。
得られたポリウレタン発泡体を用いて、上記した各評価を実施した。各項目の評価結果を表1に示した。
Figure 2022068681000008
なお、各触媒の質量部は製品としての質量部である。
以上の通り、各実施例では、難燃性ウレタン樹脂組成物中にアミン系泡化触媒を含有し、かつ該組成物のイソシアネートインデックスが150以上であることにより、横伸びを抑制することができ、かつ難燃性に優れたポリウレタン発泡体を得ることができた。
また、各比較例では、難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスに関しては、各実施例と同様150以上であることから、難燃性に優れたポリウレタン発泡体が得られたものの、難燃性ウレタン樹脂組成物中にアミン系泡化触媒を含有していないため横伸びが発生した。

Claims (13)

  1. ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、触媒、発泡剤、液状難燃剤を含有する難燃性ウレタン樹脂組成物であって、
    前記触媒が、アミン系泡化触媒を含有し、
    イソシアネートインデックスが150以上である、難燃性ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記アミン系泡化触媒が、分子中に窒素原子を2個以上有する、又は分子中に窒素原子及び酸素原子をそれぞれ1個以上有する、請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  3. 前記アミン系泡化触媒を、ポリオール化合物100質量部あたり2質量部以上含有する、請求項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  4. 前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(1)で示される芳香族アミンを含む、請求項1~3いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
    Figure 2022068681000009

    (一般式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基または水素原子を表す。)
  5. 前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(2)で示される第三級アミンを含む、請求項1~4いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
    Figure 2022068681000010

    (一般式(2)中、kは0~3の整数、R11~R14は、炭素数1~2の飽和炭化水素基を表す。Yは酸素原子又は-NCH-を表す。X、Xは、水素原子、水酸基、炭素数1~2のアルコキシ基、又は酸素原子を表すが、酸素原子の場合には、それぞれR12、R13に結合してモルホリン骨格を形成する。)
  6. 前記アミン系泡化触媒が、下記一般式(3)で示されるグアニジン誘導体を含む、請求項1~5いずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
    Figure 2022068681000011

    (一般式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
  7. 前記触媒として三量化触媒を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記発泡剤が水を含み、前記難燃性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物において、カールフィッシャー装置で測定したときの水分率が0.1~3質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  9. 芳香族ポリエステルポリオールを、ポリオール化合物100質量部あたり50質量部以上含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  10. 吹き付け用途に用いられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  11. 前記触媒が、ウレタン化触媒として金属触媒を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  12. 無機フィラーを実質的に含有しない、請求項1~11のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されるポリウレタン発泡体。
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