JP2022175950A - 発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体 - Google Patents

発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体 Download PDF

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裕介 玉井
Yusuke Tamai
倫生 梶田
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Abstract

【課題】難燃性が向上し、かつ施工性も改善されるポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、前記ポリオール化合物が臭素含有ポリオールを含み、前記難燃剤がリン酸エステル系難燃剤を含み、前記触媒が、ウレタン化金属触媒を含む、発泡性ウレタン樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性ウレタン樹脂組成物及びポリウレタン発泡体に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタン発泡体は、軽量であるものの、有機物であるため燃えやすい。これを改善するため、難燃剤などをポリウレタン発泡体に含有させたり、ポリオールに臭素系ポリオールを使用したりして難燃性を高めたポリウレタン発泡体が用いられている。
例えば、特許文献1には、臭素系ポリオール及び臭素不含有の芳香族系ポリエステルポリオールを含有するポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤及び難燃剤を含むポリオール組成物と、イソシアネート組成物との反応物から構成される硬質ポリウレタンフォームが開示される。特許文献1では、臭素系ポリオールの添加量が、ポリオール100質量部に対して、25質量部以上70質量部以下であり、かつ臭素系ポリオールが、芳香族環を有し、少なくとも1つ以上の臭素が芳香族環と結合した骨格を有する点が示されている。
特開2019-214651号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるポリオール組成物は、吹付などによりポリウレタンフォームを形成した場合、初期反応性、とりわけウレタン反応の活性が遅く施工性に問題があり、難燃性を向上させつつ、吹付け施工性を改善することが難しい。
そこで本発明は、難燃性が向上し、かつ吹付け施工性を改善したポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物において、前記ポリオール化合物として臭素含有ポリオール、触媒としてウレタン化金属触媒をそれぞれ含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]~[13]を要旨とする。
[1]ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、前記ポリオール化合物が臭素含有ポリオールを含み、前記触媒が、ウレタン化触媒としてウレタン化金属触媒を含む、発泡性ウレタン樹脂組成物。
[2]前記臭素含有ポリオールをポリオール化合物100質量部あたり14質量部以上含む、上記[1]に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[3]コーンカロリー発熱性試験において10分間試験で総発熱量が8.0MJ/m以下である上記[1]又は[2]に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[4]コーンカロリー発熱性試験において20分間試験で総発熱量が8.0MJ/m以下である上記[1]~[3]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[5]前記臭素含有ポリオールが芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[6]前記発泡剤が水を含み、前記発泡性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物のカールフィッシャー水分測定装置により測定される水分率が2質量%以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[7]前記触媒が三量化触媒を含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[8]前記ウレタン化触媒の含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して0.1質量部以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[9]前記ウレタン化金属触媒が、ビスマス化合物である上記[1]~[8]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[10]イソシアネートインデックスが150~900である、上記[1]~[9]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[11]吹き付け用途に用いられる、上記[1]~[10]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[12]実質的に粉体を含有しない上記[1]~[11]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
[13]上記[1]~[12]のいずれかに記載の発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られる、ポリウレタン発泡体。
本発明によれば、難燃性が向上し、かつ施工性も改善されるポリウレタン発泡体を製造するための発泡性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[発泡性ウレタン樹脂組成物]
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であり、前記ポリオール化合物が臭素含有ポリオールを含み、触媒としてウレタン化金属触媒を含む、発泡性ウレタン樹脂組成物である。
(ポリオール化合物)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン発泡体の原料としてポリオール化合物を使用する。ポリオール化合物は、臭素含有ポリオールを含む。本発明では、臭素含有ポリオールを使用することで、形成されるポリウレタン発泡体の難燃性が良好になる。
<臭素含有ポリオール>
臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリオール、脂肪族系臭素含有ポリオールが挙げられる。本発明では、いずれか一方を使用してもよいし、両者を併用してもよい。臭素含有ポリオールは、難燃性を向上させる観点から、芳香族系臭素含有ポリオールを含有することが好ましい。芳香族系臭素含有ポリオールとしては、芳香族系臭素含有ポリエステルポリオール、芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを挙げることができる。
芳香族系臭素含有ポリエステルポリオールとしては、例えばテトラブロモフタル酸などの臭素含有多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル化反応で得られるものが使用できる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ビスフェノールAなどが挙げられ、これらは1種単独、或いは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、テトラブロモビスフェノールAなどの臭素含有多価アルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種または2種以上を付加重合して得られるものなどが使用できる。臭素含有ポリエーテルポリオールを用いる場合、特に、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
脂肪族系臭素含有ポリオールとしては、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオール、脂肪族系臭素含有ポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらの中では、脂肪族系臭素含有ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリオール化合物として臭素含有ポリオールが用いられることで、ラジカルトラップ効果による延焼抑制効果が発揮され、発泡体の難燃性が向上する。また、この効果をより効率的に発揮させるためには、発泡性ウレタン樹脂組成物中に、臭素含有ポリオールをより均一に分散させることが好適である。そのため、臭素含有ポリオールを他の原料と混合する際、リン酸エステル系難燃剤などと臭素含有ポリオールを予め混合して粘度の調整をしてもよい。臭素含有ポリオールの粘度の調整がなされることで臭素含有ポリオールを他の原料とより容易に混合させることができる。
臭素含有ポリオールの含有量は、難燃性を向上させる観点や加熱時の膨張変形を抑制するといった観点から、ポリオール化合物100質量部あたり、14質量部以上であることが好ましく、難燃性を向上させる観点から、40質量部以上であることがより好ましく、60質量以上であることがさらに好ましい。臭素含有ポリオールの含有量は、上限に関して特に限定されず、ポリオール化合物100質量部に対して、100質量部以下であればよいが、より好ましくは95質量部以下、さらに好ましくは90質量部以下である。臭素含有ポリオールの含有量を前記範囲とすることにより、他のポリオール化合物や微粒子含有ポリオールを含有することができ、様々な性能を改善することができる。
臭素含有ポリオールの水酸基価は、100~600mgKOH/gであることが好ましく、110~450mgKOH/gであることがより好ましく、110~200mgKOH/gであることがさらに好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。本発明では、臭素含有ポリオールの水酸基価を低くすることで、イソシアネートインデックスを高め発泡体の強度などを向上させやすくなる。
<その他のポリオール化合物>
本発明に用いるポリオール化合物は、上記の臭素含有ポリオール単独で使用してもよいが、必要に応じ、臭素含有ポリオール以外のポリオール(臭素不含有ポリオール)を使用してもよい。
臭素不含有ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられるが、これらの中では、ポリエステルポリオールが好ましく、芳香族ポリエステルポリオール、すなわち、臭素不含有の芳香族系ポリエステルポリオールがさらに好ましい。
臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがさらに好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
臭素不含有の芳香族ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~400mgKOH/gであることが好ましく、150~350mgKOH/gであることがより好ましい。
ポリオール化合物が臭素不含有の芳香族系ポリエステルポリオールを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、発泡性ウレタン樹脂組成物中のポリオール化合物100質量部に対して、5~86質量部であることが好ましく、10~60質量部であることがより好ましく、20~40質量部であることがさらに好ましい。
<不飽和結合を有する有機微粒子含有ポリオール>
ポリオール化合物としては、上記の不飽和結合を有する有機微粒子を含有するポリオールを使用してもよい。その際のポリオールの種類としては、特に限定されないが、ポリウレタン発泡体の収縮を抑えつつ、適度な反応性を得る観点から、ポリエーテルポリオールが好ましく、中でもアミン系ポリエーテルポリオールがより好ましい。該アミン系ポリエーテルポリオールとしては、例えば、後述するトリレンジアミン系ポリエーテルポリオール(TDA系ポリエーテルポリオール)、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール等が好ましい。なお、有機微粒子含有ポリオールに使用するポリエーテルポリオールは、臭素不含有であるとよい。
また、不飽和結合を有する有機微粒子を含有するポリエーテルポリオールの水酸基価は、好ましくは200~500mgKOH/g、より好ましくは250~400mgKOH/gである。さらに、微粒子を含有するポリエーテルポリオールの官能基数(水酸基の数)は2~4が好ましい。
不飽和結合を有する有機微粒子を含有するポリオールは、公知の方法により製造することができる。例えば塊状重合法や溶液重合法等により製造した樹脂を粉砕して微粒子化し、必要に応じて分級して得られた樹脂微粉末をポリオールに添加混合する方法が挙げられる。また、エマルジョン重合法により得られた微粒子を含有するエマルジョンをそのまま添加する方法が挙げられる。さらに、ポリオールにモノマーを溶解ないし分散し、AIBNやBPO等のラジカル重合開始剤を添加して加熱し、重合させて不飽和結合を有する有機微粒子含有ポリオールとする方法等が例示される。これらの中でもポリオール中にて重合して微粒子を形成する方法が、長期間放置しても粒子が沈降しにくく、安定なポリオール組成物が得られることから、最も好ましい。
有機微粒子に含まれる不飽和結合としては、ニトリル基(CN)、カルボニル基(C=O)、芳香族性炭素-炭素二重結合(C=C)などが挙げられる。有機微粒子としては、具体的には、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、含フッ素アクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、アクリルモノマー類からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの重合体であることが好ましい。これらの中でも、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、及び含フッ素アクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの重合体であることがより好ましく、アクリロニトリルの重合体がさらに好ましい。
不飽和結合を有する有機微粒子含有ポリオールを使用する場合、不飽和結合を有する有機微粒子を含有するポリオールの含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、好ましくは5~30質量部であり、より好ましくは8~25質量部であり、さらに好ましくは10~20質量部である。微粒子含有ポリオールの含有量がこれら下限値以上であると、ポリウレタン発泡体の収縮を抑えやすくなり、これら上限値以下であると、ポリウレタン発泡体の難燃性を高めやすくなる。
(難燃剤)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、難燃剤を含有する。本発明で使用する難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤を含むことが好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物は、リン酸エステル系難燃剤を含有することで、難燃性が向上する。
また、リン酸エステル系難燃剤は、室温で液状の難燃剤であることが好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物は、液状のリン酸エステル系難燃剤を含有することで、固体難燃剤の使用量を抑えることができる。そのため、該組成物の貯蔵安定性が良好になり、保管時に沈殿物が生じにくくなる。さらには、該組成物の使用時に用いる機具類の摩耗を抑制できる。
なお、本明細書において、室温とは23℃を意味することとする。
本発明で使用するリン酸エステル系難燃剤としては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)(商品名ADEKA PFR)等が挙げられる。
上記した中では、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等の塩素原子を有するモノリン酸エステルがより好ましい。液状難燃剤として、塩素原子を有するリン酸エステルを使用すると、難燃性を向上させやすくなる。
リン酸エステル系難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、30~150質量部が好ましく、50~120質量部がより好ましく、70~115質量部がさらに好ましい。
本発明で使用する難燃剤は、上記したリン酸エステル系難燃剤以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で固体難燃剤や固体難燃剤以外の無機フィラーを有してもよいが、実質的に粉体を含有しないことが好ましい。ここで、実質的に粉体を含有しないとは、発泡性ウレタン樹脂組成物全量基準において、粉体の含有量が、5質量%以下、好ましくは1質量%以下であることを意味する。粉体を実質的に含有しないことにより、保管時に沈殿物が生じ難く、貯蔵安定性に優れ、かつ使用時に用いる機具類の摩耗を抑制することができる発泡性ウレタン樹脂組成物を提供することができる。
なお、固体難燃剤は、室温で固体となる難燃剤であり、通常粉体状である。固体難燃剤としては、赤燐系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、針状フィラー、及び金属水酸化物等が挙げられる。
また、無機フィラーとは、粒子状の無機系の化合物であり、固体難燃剤、固体難燃剤以外の無機充填剤等が例示される。
固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
(ポリイソシアネート化合物)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中では、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性、及びコストの低さの観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることがより好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)でもよい。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。また、ポリイソシアネート内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。
(イソシアネートインデックス)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、好ましくは150~900であり、より好ましくは200~800であり、さらに好ましくは250~700、よりさらに好ましくは300~600である。イソシアネートインデックスがこのような範囲であると、難燃性を向上させやすくなる。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
(発泡剤)
発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロフルオロカーボン化合物、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィン化合物等が挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
上記低沸点の炭化水素としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF、CH、CHF等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボン化合物としては、例えば、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン))、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)等の塩素を含有するハイドロフルオロカーボン(ハイドロクロロフルオロカーボン)が挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィン化合物としては、例えば、HFO-1336mzz(Z)(シス―1,1,1,4,4,4、-ヘキサフルオロブタ-2-エン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)などのハイドロフルオロオレフィン、HFO-1224yd(Z)(トランス-1-クロロ-2,3,3,3,‐テトラフルオロプロペン)、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1224yd(Z)(トランス-1-クロロ-2,3,3,3,‐テトラフルオロプロペン)等の塩素原子を有するハイドロフルオロオレフィン(ハイドロクロロフルオロオレフィン)が挙げられる。
ハイドロフルオロオレフィン化合物としては、ハイドロクロロフルオロオレフィンが好ましく、中でもHFO-1233zd(E)がより好ましい。
本発明においては、発泡剤は、ハイドロフルオロオレフィン化合物を含むことが好ましい。ポリオール化合物100質量部に対するハイドロフルオロオレフィン化合物の含有量は、10~70質量部が好ましく、20~65質量部がより好ましく、30~60質量部がさらに好ましい。
本発明においては、発泡剤は水を含むことも好ましく、発泡剤がハイドロフルオロオレフィン化合物と水とを含むことがより好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水等を適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、発泡性及び難燃性の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下、さらに好ましくは0.9質量部以下である。本発明では、水の含有量がこれら上限値以下であると、ポリウレタン発泡体が燃え拡がりにくくなる。
(触媒)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、触媒を含有する。用いる触媒の内、ウレタン化触媒としては、ウレタン化金属触媒を含むものである。また、三量化触媒を含有することも好ましい。なお、該組成物に含まれる触媒は、本発明における無機フィラーに該当しないものとする。
ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。ウレタン化触媒としては、上記ウレタン化金属触媒に加え、アミノ化合物、アセチルアセトン金属塩を使用してもよい。また上記触媒の中には、ウレタン化に寄与するだけではなく、自身がもつ活性の高さから、発泡初期の活性改善に寄与する場合もある。
ウレタン化金属触媒としては錫化合物、ビスマス化合物等が挙げられる。ウレタン化金属触媒を用いることで特に反応初期の活性を高めることができ、例えば吹付けなどの硬化速度が求められる場合において効果的に作用する。
錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマス等が挙げられる。
アミノ化合物としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、1-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2メチルイミダゾール、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物などのイミダゾール系化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、グアニジン誘導体、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等が挙げられる。またこれらアミノ化合物の酸ブロック化物を使用することもできる。ここで、アミノ化合物の酸ブロック化物としては、例えば、アミノ化合物を、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチル酸、2-エチルヘキサン酸等のカルボン酸にてブロックしたものが挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
なお、ウレタン化触媒は、ウレタン化金属触媒を単独で使用してもよいし、ウレタン化金属触媒に加え、ウレタン化金属触媒以外の化合物を併用して使用してもよい。ウレタン化金属触媒としては、反応初期の活性をより高める観点から、ビスマス化合物が好ましい。また、ウレタン化金属触媒に加え、ウレタン化金属触媒以外の化合物を併用して使用する場合、アミノ化合物が好ましく、上記のハイドロクロロフルオロオレフィンとの相性の観点からイミダゾール系化合物がより好ましい。アミノ化合物は、単独で使用した場合、対応するアミノ化合物の構造上ハイドロクロロフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィン化合物との相性が悪く触媒失活などの長期保管性が悪化するため、使用量や種類が制限されやすいといった問題がある。一方、ウレタン化金属触媒と併用して使用することで、ハイドロクロロフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィン化合物を使用しても、長期保管性を維持しつつ発泡性ウレタン樹脂組成物の発泡性、反応性等を初期段階から良好にしやすくなる。
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物におけるウレタン化触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性を良好にしつつ、適度な反応速度で、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進できる。また、反応速度を向上させて、吹付用途に好適とするために、ウレタン化触媒の上記含有量は、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、触媒の含有量に見合った発泡性、反応性を得る観点から、ウレタン化触媒の上記含有量は、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
また、ウレタン化金属触媒の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、0.05~15質量部であることが好ましく、0.1~13質量部がより好ましく、0.15~10質量部がさらに好ましい。
また、ウレタン化触媒としてアミノ化合物を含有する場合、アミノ化合物の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、2~14質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましく、3.5~9質量部がさらに好ましい。
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。ポリウレタン樹脂は、三量化が促進されることで、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、ギ酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。これらの中では、4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩を使用すると、発泡剤にハイドロクロロフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィン化合物を使用しても、触媒活性が良好に維持されることで、三量化が適切に進行し難燃性などが向上する。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
三量化触媒の含有量は特に限定されないが、ポリオール化合物100質量部に対して、1~15質量部の範囲であることが好ましく、1.5~13質量部の範囲であることがより好ましく、2~10質量部の範囲であることがさらに好ましい。三量化触媒の含有量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
なお、無機フィラーとは、粒子状の無機系の化合物であり、固体難燃剤、固体難燃剤以外の無機充填剤等が例示される。
また、固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
(整泡剤)
発泡性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤としては、分子内に極性部分と非極性部分を有し界面活性効果を備える化合物を好適に使用することができる。
整泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。また、シリコーン整泡剤としては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの重合体であるポリオキシアルキレングリコールとポリジメチルシロキサンとのグラフト共重合体でもよい。また、市販品も使用でき、具体的にはSH-193(ダウ東レ社)、S-824-02(日本ユニカー社)、SZ-1704(日本ユニカー社)、F501(信越化学工業社)、SF-2937F(ダウ東レ社)等の整泡剤を使用することができる。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.5~12質量部であることがより好ましく、1~8質量部であることがさらに好ましい。
(その他成分)
発泡性ウレタン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料等から選択される1種以上を含むことができる。
(総発熱量)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて10分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m以下であることが好ましい。また、20分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m以下であることがさらに好ましい。総発熱量が8MJ/m以下であることにより、本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。
該発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記総発熱量は、7.8MJ/m以下であることがより好ましく、7MJ/m以下であることがさらに好ましい。
(最高発熱速度)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物からなるポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて10分間加熱したときの最高発熱速度は150kW/m以下であることが好ましい。最高発熱速度が150kW/m以下であることにより、該組成物からなるポリウレタン発泡体は、所定の難燃性を有する。また、最高発熱速度及び総発熱量を共に上記のとおり調整することにより、より難燃性が向上する。
ポリウレタン発泡体の難燃性をより向上させる観点から、上記最高発熱速度は、130kW/m以下であることがより好ましく、110kW/m以下であることがさらに好ましい。
上記総発熱量及び最高発熱速度は、コーンカロリーメーター試験により測定され、詳細には実施例に記載の「ハンド法」により作製した発泡体に対して、実施例に記載した方法で測定することができる。
なお、上記コーンカロリーメーター試験の際、試験に供したポリウレタン発泡体がコーンカロリーメーターのスパーク点火器に接触しない程度の形状安定性を有することが好ましい。
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応して硬化する。そのため、発泡性ウレタン樹脂組成物を使用する前は、発泡性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割して、発泡性ウレタン樹脂組成物が反応して硬化することを防止しておく。そして発泡性ウレタン樹脂組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた発泡性ウレタン樹脂組成物を一つにまとめることが好ましい。
なお本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された該組成物のそれぞれの成分単独では硬化が始まらず、該組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。通常、該組成物を、ポリオール化合物を含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物とに分割する2液型が好ましい。
上記した難燃剤、発泡剤、触媒、及び必要に応じて含有される整泡剤は、ポリオール組成物に含有されていてもよいし、ポリイソシアネート組成物に含有されてもよいし、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物とは別に提供されてもよいが、ポリオール組成物に含有されることが好ましい。
(水分率)
本発明に使用する発泡剤がポリオール組成物に含有され、かつ該発泡剤が水を含む場合、ポリオール組成物は、カールフィッシャー水分測定装置により測定される水分率が2質量%以下となることが好ましい。水分率が2質量%以下であることにより、難燃性が向上する。上記水分率は、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。また、発泡性及び難燃性の観点から、一定以上の水分を含有することが好ましく、水分率は、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましい。
(クリームタイム(CT))
発泡性ウレタン樹脂組成物は、特に吹付け用途に用いる場合、クリームタイムが6秒以内であることがより好ましい。クリームタイムとはポリオール含有組成物とイソシアネートを撹拌混合し始めてから、混合物がクリーム状に白濁するまでの時間(秒)をいう。クリームタイムが6秒以内であると、吹き付け施工等の際に、液だれを抑制することができる。以上の観点から、クリームタイムは5秒以内であることがより好ましく、4秒以内であることがさらに好ましい。
なお、クリームタイムの測定は、実施例に記載の方法で行うことができる。
発泡性ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、予め混練して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混合する方法、発泡性ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混合することにより製造される。各成分の混合は、公知の方法により行うことができ、例えば、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け発泡機及びハンドミキサー等の公知の装置を用いることにより得ることができる。
(用途)
本発明の発泡性ウレタン樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、即ち、吹き付け用途に用いられることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置及びスプレーガンを利用して実施することができる。一般的な吹き付け装置及びスプレーガンは、発泡原液のイソシアネートとポリオールの容量比を均等に反応させて吹付けるので、発泡原液は容量比でイソシアネートが1.0に対し、ポリオールが0.8~1.2の範囲で反応させることができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。吹き付け装置は、例えばGRACO社製の「A-25」などを使用でき、スプレーガンとしては、例えばガスマー社製の「Dガン」を使用できる。
[ポリウレタン発泡体]
本発明のポリウレタン発泡体は、上記した発泡性ウレタン樹脂組成物から形成されてなるものであり、具体的には、発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
本発明のポリウレタン発泡体は、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて10分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m以下であることが好ましく、7.8MJ/m以下であることがより好ましく、7MJ/m以下であることがさらに好ましい。
また、本発明のポリウレタン発泡体を、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて10分間加熱したときの最高発熱速度が150kW/m以下であることが好ましく、130kW/m以下であることがより好ましく、110kW/m以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のポリウレタン発泡体の上記総発熱量及び最高発熱速度は、コーンカロリーメーター試験により測定され、詳細には実施例に記載の方法で測定することができる。
ポリウレタン発泡体の密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ポリウレタン発泡体が軽量となり、構造物への施工性が高まる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性を発現しやすくなる。これら観点から、ポリウレタン発泡体の密度は、20~100kg/mの範囲であることがより好ましく、23~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ポリウレタン発泡体の密度は、JIS K7222に準拠して測定できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
<ポリオール組成物>
(1)ポリオール化合物
(i)芳香族ポリエステルポリオール
・p-フタル酸ポリエステルポリオール:川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK-505、水酸基価=250mgKOH/g
(ii)芳香族系ポリエーテルポリオール(万華化学社製、製品名:FR-130、テトラブロモビスフェノールA骨格を有する芳香族系の臭素含有ポリエーテルポリオール、臭素系ポリオール成分が70質量%、リン酸エステル成分(リン酸エステルB)が30質量%の比率で含まれる混合液、水酸基価110mgKOH/g)
(2)難燃剤
・リン酸エステル系液状難燃剤<トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート>、(大八化学社製、製品名:TCPP、塩素濃度32.5質量%、リン酸エステルA)
(3)整泡剤
・シリコーン系整泡剤(ダウ東レ社製、製品名:SH-193)
(4)触媒
(i)ウレタン化触媒
・イミダゾール化合物:1,2-ジメチルイミダゾール(花王社製、製品名:KL No.390、濃度65~75質量%)
・ビスマス化合物:2-エチルヘキサン酸ビスマス(ウレタン化金属触媒:日東化成社製、製品名:Bi28、濃度81~90質量%)
(ii)三量化触媒
・アルカリ金属塩:2-エチルヘキサン酸カリウム(東栄化工社製、製品名:ヘキソエートカリウム15%)
・4級アンモニウム塩:2,2-ジメチルプロパン酸テトラメチルアンモニウム塩(エボニック社製、製品名「DABCO TMR7」)濃度約45質量%
(5)発泡剤
・水
・HFO-1233zd(E)<ハイドロフルオロオレフィン化合物>(ハネウェル社製、製品名:ソルスティスLBA)
<ポリイソシアネート組成物>
・MDI(住化コベストロウレタン社製、製品名:44V-20)
ポリウレタン発泡体の各物性及び性状の測定方法は、以下のとおりである。
[総発熱量、最高発熱速度]
各実施例及び比較例で作製したポリウレタン発泡体の総発熱量、最高発熱速度は、以下の方法により評価した。
各実施例、比較例で得た石膏ボードを下地としたポリウレタン発泡体を、縦10cm、横10cmおよび厚み3.25cm(内石膏ボード12.5mm)に切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備した。コーンカロリーメーター試験用サンプルを、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて10分間加熱した場合、及び20分間加熱した場合の総発熱量、最高発熱速度を測定した。
[クリームタイム(CT)]
クリームタイム(CT)は、常法により測定した。即ち、ハンド発泡により、雰囲気温度20℃で液温10℃のポリオール組成物とポリイソシアネート成分を8000rpm×2秒間の条件で混合攪拌する。攪拌し始めた段階で時間計測を開始し、反応混合液がクリーム状に白濁して立ち上がってくるまでの時間をクリームタイム(CT、秒)とした。
[フォーム状態]
作成した発泡体を切り出し,混合不良に由来する縞や割れの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。
〇:縞や割れがなく良好であった。
△:セルは良好であるが、一部均一性に欠けた。
×:均一性に欠け,セルが粗かった。
[水分率]
ポリオール組成物について、カールフィッシャー水分測定装置(京都電子工業社製、製品名:MKV-710)により、水分率を測定した。
[実施例1、3~4、比較例1~3]
表1に示す配合で、ポリオール化合物、難燃剤、整泡剤、触媒、発泡剤を混合して得たポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を、合計200gとなるように、液温10℃で8000rpmで2秒間攪拌して得た液状混合物を、180mm×180mmで深さ100mmのサイズのボックス内に散布した。
ただし、コーンカロリーメーター試験用サンプルは、下地として厚み12.5mmの石膏ボードをボックスの底部にセットしその上に散布した。
なお、当該方法を「ハンド法」と称し、表1中では、ポリウレタン発泡体の作製方法として、「ハンド」と記載した。
[実施例2]
実施例2は表1の配合に従い、ポリオール化合物、液体難燃剤、整泡剤、触媒、発泡剤を混合した発泡性ウレタン樹脂組成物(実施例1と同様の組成物)を用い、吹付け装置及びスプレーガンを利用して、ポリウレタン発泡体を作製した(表1中では「スプレー」と記載)。この時の下地材は上記と同様に厚み12.5mmの石膏ボードである。
得られたポリウレタン発泡体を用いて、上記した各評価を実施した。各項目の評価結果を表1に示した。
Figure 2022175950000001
なお、各触媒の質量部は製品としての質量部である。
臭素含有ポリオールは、ポリオール化合物とリン酸エステルの混合液として配合したが、表1においては、ポリオール化合物とリン酸エステルそれぞれの含有量として示した。
ポリオール組成物における各成分の含有量は、ポリオール化合物100質量部基準の量である。
以上のとおり、各実施例では、発泡性ウレタン樹脂組成物がリン酸エステル系難燃剤、臭素含有ポリオール、及びウレタン化金属触媒を含有することで、コーンカロリーメーター試験における、最高発熱温度及び総発熱量が低く難燃性が高くなりながらも、施工性を改善することができた。これに対して、比較例1~3の発泡性ウレタン樹脂組成物は、ウレタン化金属触媒を含有していないため、難燃性を向上させつつ、施工性を改善することができなかった。

Claims (13)

  1. ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤、及び触媒を含む発泡性ウレタン樹脂組成物であって、
    前記ポリオール化合物が臭素含有ポリオールを含み、
    前記触媒が、ウレタン化触媒としてウレタン化金属触媒を含む、発泡性ウレタン樹脂組成物。
  2. 前記臭素含有ポリオールをポリオール化合物100質量部あたり14質量部以上含む、請求項1に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  3. コーンカロリー発熱性試験において10分間試験で総発熱量が8.0MJ/m以下である請求項1又は2に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  4. コーンカロリー発熱性試験において20分間試験で総発熱量が8.0MJ/m以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記臭素含有ポリオールが芳香族系臭素含有ポリエーテルポリオールである、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  6. 前記発泡剤が水を含み、前記発泡性ウレタン樹脂組成物を構成するポリオール組成物のカールフィッシャー水分測定装置により測定される水分率が2質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  7. 前記触媒が三量化触媒を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記ウレタン化触媒の含有量が、ポリオール化合物100質量部に対して0.1質量部以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  9. 前記ウレタン化金属触媒が、ビスマス化合物である請求項1~8のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  10. イソシアネートインデックスが150~900である、請求項1~9のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  11. 吹き付け用途に用いられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  12. 実質的に粉体を含有しない請求項1~11のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の発泡性ウレタン樹脂組成物を発泡及び硬化させて得られる、ポリウレタン発泡体。
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