JP2022055765A - 軸受密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール性を維持しながら低トルク化を達成する。【解決手段】互いに対向配置された環状のスリンガ30とシールリング20とで構成され、シールリング20は、円筒状の外側嵌合部21aと径方向内方に延びる立上り部21bからなる芯金21と、芯金21に一体の弾性素材からなるシール部材22とを備え、スリンガ30は、円筒状の内側嵌合部31と径方向外方に延びる立板部32とを備え、シール部材22は、立上り部21bに沿う基部22bと、基部22bから突出する少なくとも1つのサイドリップ24を備え、サイドリップ24は、基部22bに接続される根元部24aと根元部24aから外径方向へ伸びて立板部32に摺接するリップ部24cに至る先端部24bとを備え、根元部24aと先端部24bとの接続部の外径面の溝部27にガータースプリング26が収納され、サイドリップ24を構成する弾性素材はデュロメータA硬さ80以上である軸受密封装置10とした。【選択図】図1

Description

この発明は、軸受空間を密封する軸受密封装置に関するものである。
自動車等に用いられる車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を、車体に対して転がり軸受を介して回転自在に支承するものである。車輪用軸受装置の構成として、例えば、特許文献1に示すものがある。特許文献1の車輪用軸受装置は、車体側のフレームに外方部材が固定され、外方部材の内側に内方部材が配置され、外方部材と内方部材にそれぞれ設けられた軌道面間に複数の転動体が配置されて、転がり軸受部を構成している。内方部材には車軸が接続されて、内方部材はハブ輪として機能する。
一般に、車輪用軸受装置では、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。また、オフロードカーやトラック等、車体重量が嵩む車両の車輪用軸受装置には、複列円錐ころ軸受が使用されている。
外方部材と内方部材との間の環状空間には、転がり軸受部の潤滑を図るためにグリース等の潤滑材が封入されている。この環状空間に泥水や砂塵等の異物が侵入すると、軸受寿命が短くなる。また、環状空間に封入しているグリースが外部へ漏出しても同様である。このため、この種の車輪用軸受装置には、軸受内部に封入された潤滑材の漏れを防止するとともに、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するために密封装置が装着されている。
特許文献1の車輪用軸受装置では、密封装置として断面L字状のスリンガと、芯金と一体の弾性部材とを備え、弾性部材は、スリンガの円筒部の外周面に摺接させるラジアルシールリップと、スリンガの立板部内側面に摺接するサイドリップとを備えている。サイドリップは、異物侵入防止性能を向上させるため、軸受の半径方向に沿って2つ並列して設けられている。また、特許文献2に示すように、スリンガの円筒部の外周面に摺接させるラジアルシールリップにガータースプリングを取り付け、そのガータースプリングの弾性力によって安定した密封性の維持を実現している。
特開2019-138457号公報 特開2015-59644号公報
ガータースプリングを備えたシールリップは、安定したシール性(シールの密封性)を維持できるが、その弾性力によって相手方部材への緊迫力が大きくなり、シールリップの摺動部のトルク、すなわち、シールトルクが増加するという問題がある。自動車等の燃費向上のために、車輪用軸受装置にはさらなる低トルク化が求められており、シールトルクの増加は好ましくない。
一方、シールリップの摺動部の摩擦を低減するには、その摺動部を構成するリップの素材である弾性部材の硬さを高くするという手法が考えられる。しかしながら、弾性部材の硬さを高くすると弾性の低下によりリップの追従性が低下し、その結果、シール性が低下する問題がある。
そこで、この発明の課題は、シール性を維持しながら低トルク化を達成することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、互いに対向配置された環状のスリンガとシールリングとで構成され、前記シールリングは、円筒状の外側嵌合部と、前記外側嵌合部の軸方向端部から径方向内方に延びる立上り部からなる芯金と、前記芯金に一体の弾性素材からなるシール部材とを備え、前記スリンガは、円筒状の内側嵌合部と、前記内側嵌合部から径方向外方に延びる立板部とを備え、前記シール部材は、前記立上り部に沿う基部と、前記基部から突出する少なくとも1つのサイドリップを備え、前記サイドリップは、前記基部に接続される根元部と、前記根元部に接続され前記根元部から外径方向へ伸びて前記立板部に摺接するリップ部に至る先端部とを備え、前記根元部と前記先端部との接続部の外径面に溝部を有して前記溝部にガータースプリングが収納され、前記ガータースプリングが装着された前記サイドリップを構成する弾性素材はデュロメータA硬さ80以上であることを特徴とする軸受密封装置を採用した。
ここで、前記ガータースプリングが装着された前記サイドリップは、前記根元部が前記基部から突出側へ向かって内径方向に傾斜する構成を採用することができる。
また、前記ガータースプリングが装着された前記サイドリップは、前記ガータースプリングが装着されていない状態での締め代が設定されていない構成を採用することができる。
さらに、前記ガータースプリングが装着された前記サイドリップは、前記根元部の径方向厚さが基部に近付くにつれて薄く設定されている構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記サイドリップを複数備え、前記ガータースプリングが装着された前記サイドリップは、最も内径側に位置する前記サイドリップである構成を採用することができる。
この発明は、デュロメータA硬さ80以上の弾性素材でサイドリップを設けて、そのサイドリップにガータースプリングを備える構成とした。ゴム硬さが高いので、リップの実接触面積が小さくなりシールトルクを低減することができる。また、リップの押付力はガータースプリングにより付勢されるので、ゴム硬さが高くても追従性が低下しない。さらに、ゴム硬さが高いので耐摩耗性が高く、長期間安定して良好な密封性を維持できる。これらにより、シール性を維持しながら低トルク化を達成することができる。
この発明の一実施形態を示す要部拡大縦断面図 シール装置の断面図 変形例を示すシール装置の断面図 他の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の作用を示すグラフ図
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、車輪用軸受装置40を示す縦断面図である。図2は、その車輪用軸受装置40に装着される軸受密封装置10の構造を示し、図3は、その変形例を示している。
車輪用軸受装置40の構成は、図1に示すように、車体側のフレームに外方部材42が固定され、外方部材42の内側に内方部材43が配置されている。外方部材42と内方部材43との間に複数の転動体5が配置されて、転がり軸受部1を構成している。以下、車体に取り付けた状態の車輪用軸受装置40の車体側(図1の右側)を「インナー側」と称し、車体に取り付けた状態の車輪用軸受装置40の車輪側(図1の左側)を「アウター側」と称する。
外方部材42は、その軸方向中央部の内周に転がり軸受部1の外輪2を備え、インナー側端部の内周にはシール嵌合面2bが、アウター側端部の内周には、シール嵌合面2cが形成されている。外輪2には、その内周に2つの外側軌道面2aが形成されている。また、外方部材42には、径方向外側へ突出する車体取り付けフランジ42bが形成されている。車体取り付けフランジ42bには、車体への取り付け用のボルト穴42cが複数設けられている。
内方部材43は、車軸(図示せず)が接続されるハブ輪41と、転がり軸受部1の内輪3、車輪(図示せず)が固定されるフランジ44等で構成されている。ハブ輪41のインナー側端部の外周には、円筒面状の小径段部43bが形成されている。小径段部43bの外周には、補助内方部材43aが嵌合されている。ハブ輪41には、軸方向に貫通するスプライン穴46が形成されて車軸が接続できるようになっている。また、ハブ輪41の軸方向中央部の外周には、2つの内側軌道面3aが形成されている。この実施形態では、内側軌道面3aの1つは、補助内方部材43aの外面に形成されている。内側軌道面3aは、内方部材43のハブ輪41が外方部材42の内側に配置された状態で、それぞれ対応する外側軌道面2aに対向している。また、フランジ44は、ハブ輪41のアウター側端部に径方向外側へ突出するように設けられている。フランジ44には複数のボルト穴44aが設けられており、それぞれのボルト穴44aに車輪取り付け用のハブボルト45が圧入されている。さらに、ハブ輪41のインナー側端部の外周にはシール嵌合面3bが、アウター側端部の外周には、シール嵌合面3cが形成されている。
転動体5は、外側軌道面2aと内側軌道面3aとの間に周方向に沿って複数配置され、それらが保持器4によって周方向に保持されている。保持器4は、転動体5を収容するポケットが周方向に沿って等間隔に形成された環状部材である。この実施形態では、転動体5としてボールを採用し、外側軌道面2a及び内側軌道面3aは、そのボールが転動する円弧状面を採用している。転動体5の介在によって、外方部材42と内方部材43とは相対的に軸回り回転可能である。
また、車輪用軸受装置40は、外方部材42と内方部材43との間に形成される環状空間、すなわち、転がり軸受部1の軸受空間における軸方向両端の開口を密封するように、軸受密封装置10,50を備えている。環状空間のインナー側の開口に装着される軸受密封装置10をインナー側シール部材10と称し、環状空間のアウター側の開口に装着される軸受密封装置50をアウター側シール部材50と称する。
アウター側シール部材50は、図1に示すように、シール嵌合面2c,3c間に嵌合して装着されている。アウター側シール部材50は、金属製の芯金51に弾性部材52を一体に接合したものである。弾性部材52の素材は適度な弾力を有する弾性素材であればよく、この実施形態ではゴムが用いられている。ゴムからなる弾性部材52は、芯金51に加硫接着されている。芯金51は、円筒状の嵌合部と、嵌合部のアウター側の軸方向端部から径方向内側へ延びる円板状の側板部を有している。嵌合部がシール嵌合面2cに嵌合する。弾性部材52には、側方へ突出する側方リップと、側方リップよりも内径側に設けられた中間リップが形成されている。側方リップと中間リップは、それぞれアウター側へ突出してその先端縁がフランジ44につながる円弧状のシール嵌合面3cに接触している。また、弾性部材52にはグリースリップが形成されており、その先端縁が軸方向内方側(内側軌道面3aに近い側)でシール嵌合面3cに接触している。なお、アウター側シール部材50には周知の仕様を採用でき、この実施形態以外の他の形態を採用してもよい。
インナー側シール部材10は、図1に示すように、シール嵌合面2b,3b間に嵌合して装着されている。インナー側シール部材10は、互いに対向配置された環状のスリンガ30と環状のシールリング20とで構成されている。シールリング20は、図2に示すように、金属製の芯金21に弾性素材からなるシール部材22を一体に接合したものである。シール部材22の素材は適度な弾力を有する弾性素材であればよく、この実施形態ではゴムが用いられている。ゴムからなるシール部材22は、芯金21に加硫接着されている。芯金21は、円筒状の外側嵌合部21aと、外側嵌合部21aのアウター側の軸方向端部から径方向内方に延びる立上り部21bからなる。また、スリンガ30は、円筒状の内側嵌合部31と、内側嵌合部31のインナー側の端部から径方向外方に延びる立板部32とを備えた断面L字状の部材である。
シール部材22は、芯金21の外側嵌合部21aの内径面に沿う外径部22aと、立上り部21bのインナー側の側面に沿う基部22bと、基部22bから側方へ突出する少なくとも1つのサイドリップを備えている。外径部22aは、外側嵌合部21aの外径面に至る回り込み部22cによって芯金21に強固に保持されている。また、基部22bは、立上り部21bのアウター側の側面に至る回り込み部22dによって芯金21に強固に保持されている。また、シール部材22は、その内径側の端部にラジアルリップ25を備えている。
この実施形態では、軸受の半径方向に並列する2つのサイドリップ23,24を備えている。外径側のサイドリップ23(以下、外径側サイドリップ23と称する)は、基部22bに接続される根元部23aと、その根元部23aの先端に接続されて根元部23aから外径方向へ伸びる先端部23bとを備えている。先端部23bは、その突出側の端部(インナー側の端部)でスリンガ30の立板部32のアウター側の側面32aに摺接するリップ部23cに至っている。この実施形態では、外径側サイドリップ23の根元部23aは、基部22bから突出側へ向かって軸方向に平行に伸びているが、これを基部22bから突出側へ向かって内径方向に傾斜するようにしてもよい。
内径側のサイドリップ24(以下、内径側サイドリップ24と称する)は、基部22bに接続される根元部24aと、その根元部24aの先端に接続されて根元部24aから外径方向へ伸びる先端部24bとを備えている。先端部24bは、その突出側の端部(インナー側の端部)でスリンガ30の立板部32のアウター側の側面32aに摺接するリップ部24cに至っている。内径側サイドリップ24の根元部24aは、この実施形態のように、基部22bから突出側へ向かって内径方向に傾斜するように伸びていることが望ましいが、これを基部22bから突出側へ向かって軸方向に平行に伸びるようにしてもよい。
また、内径側サイドリップ24は、根元部24aと先端部24bとの接続部の外径面に溝部27を有して、その溝部27に環状のガータースプリング26が収納されている。溝部27は、ガータースプリング26の外面に沿う円弧状の底面を有している。また、その溝部27は、根元部24aと先端部24bとの成す谷部に凹むように設けられている。
さらに、内径側サイドリップ24を構成する弾性素材は、JIS K 6253で規定されるデュロメータA硬さが80以上の素材で構成されている。この硬さ80以上の素材は、シール部材22の少なくとも内径側サイドリップ24を構成する部分について採用されていればよいが、シール部材22の全体を硬さ80以上の素材で構成してもよい。
また、ラジアルリップ25は、基部22bに接続される根元部25aと、その根元部25aの先端に接続されて根元部25aから内径方向へ伸びる先端部25bとを備えている。先端部25bは、その突出側の端部(アウター側の端部)でスリンガ30の内側嵌合部31の外面31aに摺接するリップ部25cに至っている。ラジアルリップ25の根元部25aは、この実施形態のように、基部22bから突出側へ向かって軸方向へ直交する内径方向に伸びていることが望ましいが、これを基部22bからアウター側へ向かって傾斜する方向へ伸びるようにしてもよい。この実施形態では、ラジアルリップ25のリップ部25cは、内側嵌合部31の外面31aに摺接する構成としているが、このリップ部25cを内側嵌合部31の外面31aに対して微小なラビリンス隙間をおいて対向している構成としてもよい。また、シール機能が充分であれば、ラジアルリップ25を省略した構成としてもよい。
外径側サイドリップ23及び内径側サイドリップ24は、それぞれの突出端のリップ部23c,24cが、軸方向へ対向するスリンガ30の立板部32に接触している。ここで、ガータースプリング26は、内径側サイドリップ24への装着状態で、径が小さくなる方向に弾性力が作用する。この弾性力によって、内径側サイドリップ24は、図2において根元部24aを中心に時計回りに回転しようとするモーメントが作用する。その結果、リップ部24cは、スリンガ30の側面32aに押し付けられるので、ガータースプリング26の弾性力によって、長期間安定して所定の押付力を維持できる。ここで、内径側サイドリップ24は、根元部24aが基部22bから突出側へ向かって内径方向に傾斜しており、逆に、先端部24bは突出側へ向かって外径方向に傾斜している。ガータースプリング26が、互いに逆方向の勾配である根元部24aと先端部24bとの間の勾配変更点に装着されていることから、ガータースプリング26の弾性力によって縮径方向に作用する力を、基部22bと立板部32の両方に伝達しやすい。
また、内径側サイドリップ24は、ガータースプリング26が装着されていない状態で、締め代が設定されていない状態となっている。すなわち、ガータースプリング26が装着されていない状態で、内径側サイドリップ24のリップ部24cは、スリンガ30の側面32aとの間の隙間が0であり、且つ、その側面32aへの押付力も0又はほぼ0として、押付力は全てガータースプリング26の弾性力によって付与されるように設定されている。これにより、内径側サイドリップ24のスリンガ30の側面32aへの押付力は、内径側サイドリップ24を構成する弾性素材の硬さの影響を受けずに、ガータースプリング26の弾性力によってのみ設定できる。これにより、弾性素材の硬さが高くてもリップ部24cの追従性が低下しない。さらに、硬さが高いので耐摩耗性が高く、長期間安定して良好な密封性を維持できる。これらにより、シール性を維持しながら低トルク化を達成することができる。
なお、外径側サイドリップ23も締め代が設定されていない状態となっているが、内径側サイドリップ24へのガータースプリング26の装着によって、外径側サイドリップ23のリップ部23cにもスリンガ30の側面32aへの押圧力が付与される。ただし、その外径側サイドリップ23のリップ部23cに作用する押圧力は、ガータースプリング26が装着された内径側サイドリップ24のリップ部24cに作用する押圧力よりも小さいものとなる。
また、図3の変形例に示すように、ガータースプリング26が装着された内径側サイドリップ24は、その根元部24aの径方向厚さwが、基部22bに近付くにつれて薄く設定された構成を採用することができる。このように、内径側サイドリップ24の根元部24aの厚みを先端側よりも薄くすることで、仮に、リップ部24cの摩耗が進行した場合であっても、径方向厚さwを薄くした根元部の曲げ応力(曲がりやすさ)によって、押付力の減少量を小さくすることができる。これにより、安定した押付力を維持できる。
ここで、内径側サイドリップ24を構成する弾性素材は、デュロメータA硬さで80以上としている。軸受密封装置10による回転方向への摩擦抵抗すなわちシールトルクと、この実施形態において弾性素材として採用したゴムの硬さとの関係を、図5に示す。図5のグラフ図において、横軸右側へいくにしたがってゴム硬さは高く(硬く)なり、それとともにシールトルクを減少することができることが確認できている(グラフ中のゴム硬さ60,70,80の時のシールトルクの値参照)。また、ゴム硬さが80以上の領域では、ゴム硬さが増加してもシールトルクは、ゴム硬さ80でのシールトルクよりも小さい数値、すなわち、所定値未満の数値でほぼ横ばいで推移するものと考えられる。すなわち、ゴム硬さを80以上とすれば、リップ部24cの実接触面積を小さくすることができ、シール部材22の耐摩耗性が向上し、その結果、長期間安定してシール性を維持できるようになる。なお、ゴム硬さが90を超えると、素材が硬すぎることによって逆にシール性が低下すると考えられるので、硬さは90以下とすることが望ましい。
なお、一般に、シールリップの先端縁を相手面に摺接させることで構成したシール部のシール性は、この先端縁と相手面とのなす角度(接触角度)の影響を受ける。仮に、シールリップの相手面への接触角度が小さい場合は、シーツリップの接触面積の増大などによりシール性が向上するが、逆に、接触面積の増加や接触面近傍のグリース付着面積の増加によって、グリースのせん断抵抗が増加するためトルクも増加する傾向がある。一方、その接触角度が大きい場合、トルクは低減するもののシール性を確保することが難しい傾向がある。これらを踏まえ、内径側サイドリップ24の締め代が加わった状態でのスリンガ30の側面32aへの接触角度、すなわち、図3に示す先端部24bの傾斜方向とスリンガ30の側面32aとの成す角度α(鋭角)が設定される。また、図3に示す先端部24bの傾斜方向の軸方向に対する仰角β(鋭角)は、根元部24aの下面方向の軸方向に対する俯角γ(鋭角)よりも大きいことが望ましい。
この実施形態では、転がり軸受部1として転動体5にボールを採用した玉軸受を採用したが、転がり軸受部1を構成する軸受の種別は自由である。例えば、図4に示すような円錐ころ軸受を採用してもよい。また、転動体5の列数も自由であり、これらの実施形態のような複列の軸受には限定されず、強度や耐久性が確保される限りにおいて、単列の軸受としてもよい。
図4に示す円錐ころ軸受では、図中右側に示すインナー側の軸受密封装置10として、上記の実施形態と同様のインナー側シール部材10を採用している。図中左側に示すアウター側の軸受密封装置50には、金属製の芯金51に弾性部材52を一体に接合したアウター側シール部材50を採用している。アウター側シール部材50には周知のシール装置を採用できるが、内外のシール嵌合面が同心円状の円筒面を成す軸受形態であれば、このアウター側にもインナー側シール部材10と同様のものを採用することができる。これは、前述の図1の実施形態においても同様である。
上記の各実施形態では、この実施形態では、外径側サイドリップ23及び内径側サイドリップ24の2つのサイドリップを備えている構成としたが、サイドリップの数は1つ、又は、3つ以上とすることもできる。サイドリップの数が1つである場合、そのサイドリップに、ガータースプリング26が装着される。サイドリップの数が3つ以上である場合、少なくとも最も内径側に位置するサイドリップに、ガータースプリング26が装着されることが望ましい。ただし、複数のサイドリップにそれぞれガータースプリング26を装着してもよい。
なお、シール部材22の素材は適度な弾力を有する弾性素材であればよく、この実施形態のゴムには限定されず、強度や耐久性が確保される限りにおいて、例えば、軟質の樹脂、硬質の樹脂等を採用することができる。これらのゴム以外の素材においても、図5に示すシールトルクと弾性素材の硬さとの関係、及び、サイドリップ24を構成する弾性素材のデュロメータA硬さ80以上が求められるのは同様である。また、車輪用軸受装置40以外の各種の軸受装置に、この発明の軸受密封装置10を適用することも可能である。
1 転がり軸受部
10 密封装置(軸受密封装置)
20 シールリング
21 芯金
21a 外側嵌合部
21b 立上り部
22 シール部材
22b 基部
23,24 サイドリップ
23a,24a 根元部
23b,24b 先端部
30 スリンガ
31 内側嵌合部
32 立板部
40 車輪用軸受装置
42 外方部材
43 内方部材

Claims (5)

  1. 互いに対向配置された環状のスリンガ(30)とシールリング(20)とで構成され、
    前記シールリング(20)は、円筒状の外側嵌合部(21a)と、前記外側嵌合部(21a)の軸方向端部から径方向内方に延びる立上り部(21b)からなる芯金(21)と、前記芯金(21)に一体の弾性素材からなるシール部材(22)とを備え、
    前記スリンガ(30)は、円筒状の内側嵌合部(31)と、前記内側嵌合部(31)から径方向外方に延びる立板部(32)とを備え、
    前記シール部材(22)は、前記立上り部(21b)に沿う基部(22b)と、前記基部(22b)から突出する少なくとも1つのサイドリップ(24)を備え、
    前記サイドリップ(24)は、前記基部(22b)に接続される根元部(24a)と、前記根元部(24a)に接続され前記根元部(24a)から外径方向へ伸びて前記立板部(32)に摺接するリップ部(24c)に至る先端部(24b)とを備え、
    前記根元部(24a)と前記先端部(24b)との接続部の外径面に溝部(27)を有して前記溝部(27)にガータースプリング(26)が収納され、前記ガータースプリング(26)が装着された前記サイドリップ(24)を構成する弾性素材はデュロメータA硬さ80以上であることを特徴とする軸受密封装置。
  2. 前記ガータースプリング(26)が装着された前記サイドリップ(24)は、前記根元部(24a)が前記基部(22b)から突出側へ向かって内径方向に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の軸受密封装置。
  3. 前記ガータースプリング(26)が装着された前記サイドリップ(24)は、前記ガータースプリング(26)が装着されていない状態での締め代が設定されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受密封装置。
  4. 前記ガータースプリング(26)が装着された前記サイドリップ(24)は、前記根元部(24a)の径方向厚さが基部(22b)に近付くにつれて薄く設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受密封装置。
  5. 前記サイドリップ(24)を複数備え、
    前記ガータースプリング(26)が装着された前記サイドリップ(24)は、最も内径側に位置する前記サイドリップ(24)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の軸受密封装置。
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